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1963-03-14 第43回国会 参議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十四日(木曜日)    午前十時十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     櫻井 志郎君    理事            青田源太郎君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君            森 八三一君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            梶原 茂嘉君            木島 義夫君            中野 文門君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            山埼  斉君            大河原一次君            大森 創造君            亀田 得治君            北村  暢君            安田 敏雄君            矢山 有作君            牛田  寛君            天田 勝正君   国務大臣    農林大臣    重政 誠之君   政府委員    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林大臣官房長 林田悠紀夫君    農林省農林経済    局長      松田  亮君    農林省農地局長 任田 新治君    林野庁長官   吉村 清英君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    林野庁林政部長 厚味荘之助君    林野庁林政部森    林組合課長   黒河内 修君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○森林組合合併助成法案内閣提出) ○林業信用基金法案内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。  森林組合合併助成法案及び林業信用基金法案一括議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑のある方は、御発言を願います。
  3. 安田敏雄

    安田敏雄君 今度参議院先議で、ただいま委員長から議題にされました二法案が出ておるわけですが、私どもはこの国会に対して、すでに林業問題基本調査会答申によって、基本問題とその対策というようなことで調査会答申がすでに出されて二年近くたっておるわけでございますが、この国会においては、林業の根本的な振興策といたしましての基本法提出されるのではないかという、こういう予想を持ち、また期待もしておったわけでございますが、そういう基本政策が全然手をつけられずにこま切れ式にこのような法案が出てくる、また今後も出る可能性がある、提出される可能性があるというようなことについては、まことに納得ができないところがあるわけでございますけれども、基本問題についての振興法といいますか、基本法といいますか、そういうようなものを一体提出する御意思があるわけですかどうか、お聞きしたいと思います。
  4. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 実は林業基本法につきましては、いろいろ検討をいたしておるわけであります。が、今国会提案をする運びに至りませんでしたのは 省内でいろいろ検討をいたしておるのでありますけれども農業関係山村における進み方が、構造改善等のやり方というものが、どういうふうに進むかということを、ある程度見きわめる必要があるというところで、実は、この国会に御提案をする運びに至らなかったわけであります。これは、もう少し検討いたしまして、できるだけ早い機会に、林業についての基本法提案をいたしたいと、こう考えておるのであります。  ただ、その答申にいろいろの事項がございますが、そのうちで金融関係でありますとか、あるいはその他林業構造改善についての問題以外の事項でやれるものは、ひとつ一日も早く行なったほうがよろしいという考えから、それらの問題については御提案をしておるわけでありまして、基本的な構造改善問題等につきましては、これは追って早い機会に御審議をわずらわしたいと、こういうふうに考えております。
  5. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、目下農業関係との関連的な諸問題を考究中であるから、準備はしておるけれども、この国会は間に合わない、出す意思はあるんだけれども、それは次期国会ぐらいになる、こういうことに了解してよろしゅうござがますか。
  6. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) なお、よく検討をいたしたいというつもりでおるわけであります。できるだけ早くやりたい、こういう考えを持っております。
  7. 安田敏雄

    安田敏雄君 四十国会において、衆議院では、附帯決議として基本政策をすみやかに樹立するよう議決しておるわけですね。したがって、そのいう国会の議決が尊重せられて準備を進めておるだろうと思いますけれども、そういう決議に基づけば、至急提出しなければならない、こういうように判断いたします。  そこで、実はただいまの大臣答弁の中にも、これは林野庁長官答弁の中にもあったんですが、農業基本法の第二十二条に農業林業をあわせ営む云々という項がございますが、この農業基本法を制定するときには、すでに林業との関係の問題が基本的に考究せられ、検討されなければ、農業基本法の第二十二条に条文を載せるということはできないはずであろうと思うんですよ。二十二条を参考に続みますが、「国は、農業構造改善に係る施策を講ずるにあたっては、農業を営む者があわせて営む林業につき必要な考慮を拡うようにするものとする。」と、こうあります。したがって、この基本法の制定のときに、すでに林業農業との関係については、基本的な考え方がなければ、このような条文をうたうはずがないわけなんであります。したがって、今度林業基本法を作るときには、やはりその基本的考えに一致したものを出せばいいわけで、具体的な問題は、これは基本法には、そうこまかくうたう必要はないわけなんです。そうしますというと、対農業関係の問題は、そのとき考究せられておらなければならないし、それから以後、二ヵ月たっておれば、もう当然その問題の基本的な解決はついてなければならぬはずだと、こうわれわれは想像するわけなんですよ。  そうしますと、どうしても基本法提出しなければならないというのは、今日の林業のおくれておる状態から見ても当然のことだと、こういうように判断するわけでございますが、私の考え方が違うかどうかしりませんが、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  8. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 観念的と申しちゃなんでございますが、理論的にと申しますかに申しますれば、一応、今の御意見も成り立つと思うのであります。御承知のとおりに、林業経営というのは、農業経営とを兼ね行なっているというものが、十町歩未満というものがほとんど九割もあるという現状でありますから、今のようなお話であると、兼業でない専業の分だけを林業基本法で取り扱って考えたらいいではないかという御趣旨のようにも受け取れたわけでありますが、私のほうは、そこのところが、実は十町歩未満といいましても、兼業農業を営む者、これを一体林業基本法で全部はずしてしまうのがいいかどうか。どこに線を引くかということが重大な問題なんです、これが。でありますから、実態をもう少し、調査をしてきわめなければいけないのじゃないかというような考えもありまして、これは基本的な法律になるわけでありますから、慎重にそこのところは考えていきたい、こういう考えを持ってさらに調査を進めて、その結果に基づいてやりたい、こういうふうに慎重の態度をとっておるわけであります。
  9. 安田敏雄

    安田敏雄君 私は別に、専業林業者の面ばかり取り上げているわけじゃないわけでありまして、各委員質問の中にもありましたように林業を営む者は大体八〇%くらい農業を営んでおる。兼業が多い。したがって、その問題が解決してないとすれば、早急にその問題についての作業を完了して、基本法を早く提出するように要望したいと思うわけであります。  と同時に、実際こういうように、こま切れ式に、断片的にこまかい法案が出て参りますということは、これは政府基本政策が明らかにならない。実際上、こういう関係諸案の審議をいたしましても、事実上、それはまことに意味のないことになりますから、そういう意味合いにおきましても、早急にひとつ提出をお願いいたします。
  10. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御趣旨の点、十分拝承いたしましたから、できるだけこの実態調査もすみやかに完了いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。  ただ、一言つけ加えて御了承を得ておきたいと思いますことは、農業基本法を制定したときにも、すでに重要なる問題につきましては、それぞれその法律整備があったわけであります。ことに、中央森林審議会の御答申にも、いろいろ事項をあげてございますので、基本的な基本法については、ただいま申し上げましたように十分慎重にこれはやりたい。しかし、基本法ができないでも、当然御答申にあるような事項について、今やれるものは早く手をつけたらいいじゃないか、こういう考え法律案提案をしておるような次第でありますから、その点はひとつ御了承を賜わりたいと思います。
  11. 矢山有作

    矢山有作君 関連して、長くではありませんから。先ほど大臣のほうから、山村地域構造改善等も、まだはっきりしたものがつかめぬので、基本法的なものが提出がおくれていると、こういうような趣旨だと思うんです。これは先般来の審議を通じまして、今後の林業経営というものを、林業経営のにない手を、どういうところに求めるかというので話が出た中では、いわゆる家族経営林業と、それから大規模林業経営形態、それから国有林経営と、この三つが今後の林業経営のにない手である、こういうふうな答弁があったわけです。  ところが、私の承知しておるのでは、基本問題と基本対策答申ですね、あれを続んでみると、家族経営林業というのに非常に重点がかかっておるわけですね。そういう感じがするんです。ところが中央森林審議会答申を見ると、どうもその家族経営林業と大規模林業経営とが同列に扱われておるような感じがするわけです。ところが、そのどちらに重点を置くかということは、国有森の問題、公有森の問題、あるいは大規模山林所有問題等に対する方針等と関連してきまして、今後の林業方向を打ち出すのに非常に重要な問題だと思うのです。ところが、林野庁では、その辺がはっきり整理されてないために案外基本法的なものが作れぬのではないか、こういう話も聞いておるのですがね。基本問題の答申のように、家族経営林業主体に置くのか、あるいは中央森林審議会答申のように二本建で並列的に扱っていくのか、そこら辺がはっきり整理されているのですか、林野庁では。
  12. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 大体の私が考えておるのは、先ほども申し上げましたように、農業との兼営林業というものが統計的には八割前後ある、こういうことでありますが、林業については、それを主体に置いて考えるというわけには私は参らぬと思うのです。これはやはり村有林もあったり県有林もあっだり、公有林があり国有林がある。また私的には、今大きな森林経営をやっておる形態もあるのでありますから、やはりそういうような現実に即して、これらを並列的と申しますか、に考えていかなければならなぬのではないか、経営主体からいえば、そういうことであろうと私は考えておるのであります。
  13. 矢山有作

    矢山有作君 それを並列的に扱うということになると、基本問題の答申よりも、かなり違ったような林業方向が今後打ち出されてくると思うのですがね。大臣は、そういうことも考えながら並列的に扱う、こう言っておられるわけですね。
  14. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) まあ、そういうことになるかと思うのです。
  15. 矢山有作

    矢山有作君 きょうこの問題は、ここまででとめておいて、また後日、この問題については、いろいろな方から御質疑を申し上げることがあると思います。
  16. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 十分に検討いたします。
  17. 安田敏雄

    安田敏雄君 これは私、まだ林業信用基金法案内容に触れては、詳しくはまだ質問はしてないのですが、実は今度新しく林業信用基金法案提出されましたが、私は農林漁業関係といたしましては、すなわち農林省関係としては、漁業信用基金協会もあるし、農業信用基金協会もあり、畜産振興事業団もある。あるいはまた開拓融資保証協会もある。こういうように非常にバラエティに、たくさんあるわけなんです。で、今度林業信用基金法案を出すについては、なぜこういう各機関一緒農林省で総括して合同して、一機関として統合しないかという点をお聞きしたいと思うわけですがね。
  18. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それも一つ行き方であろうと思うのでありますが、何さま御承知のように農業漁業林業と、いずれも相当専門的と申しますか、その事業内容が相当違っておるものでございますから、それぞれのものにつきまして、やはり信用保証制度を持っていくのが実際的であるという考えから、お示しのとおりに、それぞれの信用保証制度ができておるわけであります。
  19. 安田敏雄

    安田敏雄君 農林省の行政も、農林省という一つの省になっておりますが、これは漁業もあれば林業もあれば農業もあるわけです。したがって、これらの基金協会は、農林省管轄のものですから、私はそういう統合的なものを作っていけばいいんじゃないか、こういうように考える。特に、昨年も機械化開発公団ですか、問題が出たのです。そして最近におきましては、その予算を編成するたびに、各省から、こういう公社公団基金協会というようなものが出るということで、非常に国会でも問題になっておるし、ジャーナリズムも非常に騒いでいるわけです。また世論もそのとおり。したがって、こういうようなたくさんあるところへ役員を置いて、そうして農林省その他の各官庁を卒業するような人たちをそこへ入れ込んで高給を取らしていくというような面については、批判しなければならぬ時にきておるわけです。そういう時にあたって、こういう別途に新しく信用基金協会というようなものを設けるということは、ちょっと私は差し控えなければならぬものだと思う。したがって、むしろ今後におきましては、農林省管轄のものは、むしろ統合する方向へ持っていく、役員やそういう人たちを極度に制限して、実際に仕事をする部長とか課長とか、そういう現業人たちを有効適切に配置して、そうしてやることのほうが、これは能率が上がるだろうと思うのですよ。これは大臣農林省を扱っておっても、いろいろな問題があると思う。大臣一人でさばけるものではない。しかし総合統轄大臣がするわけなんですよ。そういうようなことを考えたならば、一々こういう、こま切れ式に――ここにも役人救済事業だね、大役人救済事業のようなことを事新しく設置する必要はない、こういうように考えてお伺いしたわけなんですね。当然その方向へいくことのほうがいいと思うのですよ。  特に、今どこの民間組織会社でいいましても、人つくりだとか人間能力開発委員会というものを立てたり何かして、非常に能率化して合理化しようとしておるわけなんです。普通の民間会社では、こんなこといきませんけれどもね。こんなにたくさん基金なんというものがあったりなんかしたら、株式でいったら赤字になってしまう。国の仕事だからいいですがね。こういうようなことこそ大臣が真剣に私は取り組んで、そしてこの問題は、この機関をたくさんつくることじゃないんですよ。林業者にとっても漁業者にとっても農民にとってもいかにして構造改善なり近代化したり、それから経営を高度化するために、その資金が必要だ、そしてその資金を取得することによって、その運営が適切にいくのだというところに、ねらいがあるわけなのですよ。ですから、協会をやたらに作ることが目的ではないということを十分配慮して、そうして、これらの問題を取り扱うべきではなかったか、こういうように思うわけでございますが、一応、今度出たわけですから、将来についての一つの構想といいますか、私の言うことが正しいかどうか、御答弁願いたいと思います。
  20. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは今、お述べになりました御意見は、一応御意見としては私は一つの指標であろうと思うのです。  ただ問題は、実態の問題でありまして、ただ、その大きくこれを一つにまとめるということが私はいいとは考えない。実態によりまして、むしろ専門的に、これが分化せられるというのも、一つのこれは傾向でありまして、統一をするというのも、一つの私は有力な御意見だろうと思いますが、同時にまた、分化をする、専門的なものについては、ただ一緒にするということでなしに、それぞれ分化をして、目の届くようにして、その責任の体制を明らかにするという行き方も私は必要であろうと思うのです。問題はそれを、両者を、どういうところで調和をはかるかということが私は実際の問題であろうと思うのであります。  御意見の点は、十分私も拝聴いたしましたから、これは今のところは、私はやはり、こういう分化で、林業漁業一緒にしてやるということは、ちょっと私は自信が持てないわけでありますが、十分将来の問題としては、それらの点は検討をいたしたいと思います。
  21. 安田敏雄

    安田敏雄君 民間にすれば銀行でも、あるいは政府でも、あるいは政府で作っておる信用保証協会みたいなものでも、あるいは農林漁業金融公庫にしても、全部、そういうかなり広範囲仕事を、違った方面の仕事をそういう金融機関がしておるわけですよ、実際に。保証協会ですから、やはり全体の保証総額の中で、各部でもって、それは漁業なら漁業担当の、農業なら農業担当の人で扱って、一番上の役員の中心における理事長というものを、各部でたくさんこま切れ式に設ける必要はないというのです。もっと現業の、その任に当たる人たちを強化して、うんと統轄するものがあれば、それでいいわけなんですよ。  そういうような意味において、特に公社公団が盛んに問題になっておるときです、実際のこというと。しかも役員は、相当の高給を取っておるという世間の批判も出てきておるときですよ。ですから、そういう際において、この林業信用基金協会というようなものを事新しく作ることもやはりいい、いいけれども、そういうものについて配慮して、将来これは何とか、いろいろある機構については再考をしていかなければならぬということを片方においては考えていかなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。まあこのくらいにしておきますが、ひとつ検討を要望いたします。
  22. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 承知いたしました。
  23. 北村暢

    北村暢君 私は委員会にあまり出ておりませんので、質問がダブるといけぬですから、委員長のほうで、それはもう聞いておるということでしたら、差し止めて下さい、けっこうですから。  それでは、時間もないようですから要約してお伺いいたしますが、先ほど安田君から基本問題に対する、林業基本法的なものを提出する問題について触れられておりましたけれども、私は基本問題調査会答申案が三十五年十月二十六日に出まして、中央森林審議会最終答申が昨年の十月二十六日に出た、そういう過程を経ているわけでございますけれども、今日これがおくれているという点については、まことに遺憾であります。これは森林法の一部改正をしましたが、去年においても、衆参において論議の中から、特に衆議院において附帯決議もつけて、これを要望しているところでございまするので、すでにこの国会で出してくるだろうと、こう期待をしておったのでありますが、実は出てこないのであります。  そこで、何か調査をして努力するというようなことのようでございますけれども、まず基本問題調査会答申案と、中央森林審議会答申案との差というのは、一体どんなところに差があったのか、これをお伺いいたしたいと思います。
  24. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 私から申し上げさしていただきますが、この根本的な考え方といたしましては、先生御承知のとおり変わりはございません。とかく第三者からいろいろと言われておりますように、林業のにない手というところにおきまして、基本問題の調査会答申におきましては、かなり強く家族経営的林業というものが取り上げられておるのでございます。  しかしながら、あの答申の中におきましても、決して、この大経営というもの、その他国有林公有林というものを弱く見ているということではなくて、先ほど来、大臣からもお話がございましたように、この経営者の九〇%は非常に零細な家旅労働力による経営であるので、その面の対策、特に経営基盤整備を必要とするというところが力が入れらているのであります。今回の審議会答申のほうでは、それももちろん必要であるが、さらにその他の雇用労働力による経営のものについても、それと同等の力を入れていくべきであるという考え方でございまして、決して、その根本的の筋としては違っていないと思うのでございます。表現その他によって、若干そういうような、そういう感じを受けられるというふうに私ども考えております。
  25. 北村暢

    北村暢君 答申に対して農林当局は、どういう基本的な態度で臨むことにきまっているのかどうか、これは大臣からひとつ、答申企業的林業というものを取り入れているだけに、ちょっと違うのです。今、基本的には違いないのだと、こうおっしゃるのですけれども、ニュアンスにおいて、やはり相当な違いがあると思う。企業的林業というものを、やはり対等に取り扱うべきだと、こういう答申が、はっきりそういうようになっておりますので、これに対する農林当局は、いかなる態度で、どっちを是としてやっていくかということについての方針を承っておきたい。
  26. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 先ほど安田さんの御質問にお答えを申し上げましたとおりでありまして、企業的な林業についても、やはり農業兼営をやっております、いわゆる家族経営という表現をしておりますその林業経営も、これは併立と申しますから、そういったような意味で、これは取り扱っていきたい、こういうふうに現在のところは考えているわけでございます。
  27. 北村暢

    北村暢君 それでは次にお伺いいたしますが、家族経営林業的な今の事業形態において、この雇用労働によっておる林業経営と、家族経営的な林業と、一体民有林において、どういう状況になっておるのか、これはおわかりでしょうか、実態です。
  28. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 実態を申し上げますと、家族経営的林業は、ほとんどと申しますか、私有林の九〇%以上が農家経営でございます。したがって、家族経営的の林業が圧倒的に多い、それから面積的に見ますと、その規模家族経営的のものは、大体五町歩未満のものが四〇%前後ということになっております。
  29. 北村暢

    北村暢君 そうすると、あとの六〇%は企業的な林業経営である、こういうふうに。面積的にいけば、そういうことに理解していいのですか。
  30. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 面積としまして五町歩未満、零細な林業が約四〇%ということでございまして、家族経営的林業と申しますと、さらにふえまして、六九%くらいでございます。二十町歩未満でございます。それから漸次雇用労働力がふえまして、五〇%以上の雇用労働力になるのが、大体三十町歩以上、こういうようになっております。
  31. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、私はやはりこの問題は、林業の問題は、階層別経営規模の問題を、どういうふうに持っていくかということを考えなければ、今後の林業山林の所得、生産等において、政策として、どう持っていくかということが、今まであまり考えられておらないわけです。したがって、これは非常に大きな問題だろうと思うのでありますが、おそらくこの基本法的な振興法も出てこないというのは、ここら辺のめどが立たないから出て来ないのじゃないか、私はそういうふうな感じがするのであります。  したがって、農業のように営農類型というようなものが、畜産、果樹を取り入れた類型であるとか、畑作あるいは水田、こういうようないろいろの類型というのではなくして、林業の場合は、経営規模による類型というものが出て来なければならないのじゃないかと思うのです。こういう面についての検討はされたことがあるのですか、どうなんですか。一体林業専業でやっいてく場合に、どの程度あれば、林業として専業で連年収入が入ってやっていける、あるいは農業兼業でやる場合に――兼業が圧倒的に多いのですから、兼業でやる場合に、どういう規模で、農業の収入はどういうふうになるとか、そういうような構造的な検討は加えられたことがあるかどうか。私はもう基本問題で、これだけ論議二回にわたって、中央森林審議会基本問題調査会でやっておるし、林野庁も、相当長期にわたりまして山村実態調査というものをやっているのですから、もう、そういうものは出ていい時期でないかと、こう思っておるのでありますけれども、そういう準備はできているのでしょうか、どうでしょうか。
  32. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 私から御説明をさせていただきたいと思いますが、大体、階層別に申しまして、どの程度のところで、まあ経営というような感じが出てくるのか、まず、そういうところを御説明申し上げますと、五町歩程度になって参りますと、伐採なり、それから造林なりと、こういうような作業が二年に一回、あるいは三年に一回程度出てくる。まあ、この階層になりますと、所有者も、大体森林の経営というものに関心を持ってる規模になってくるのではないかというように考えております。  で、大体私ども、概括をいたしまして、ヘクタール当たり二万円程度の所得が、今現状で得られるといたしますと、二十町歩で四十万円程度。で、基本問題調査会答申には、二十町歩程度というあれは、育林地二十町歩程度ということが出ておるわけでございますが、そういうことでございまして、現状で、先生のおっしゃいました自立林家と申しますか、林業経営だけを専業としていくという規模になりますと、かなり大きなものでなければならないというようなことになるかと思うのでございます。
  33. 北村暢

    北村暢君 この論議は資料に基づいていろいろやりたいのですが、時間がございませんから、これはもう省略いたしますが、いずれにしても非常に経営規模の零細なものが圧倒的に多いわけですね。これを一体、どういうふうに解決するかというのはたいへんな問題だと思うのです。今言った家族経営林業という形では、かえって解決しないですよ。今言ったように二十町歩ということであれば、平均三町歩事業体数と面積から言うと、約三町歩くらいしかなっていない。それを二十町歩くらいに持っていくことはたたいへんなことだ。施策として、林地の取得の施策、資金をやるということを言っておりますけれども、これはどういう考え方で、この林地取得の予算――何というか、資金ワクというものを考えておられるか。何かここに、政策にもうたっておるようでございますけれども、林地取得のための融資ワクというようなものを、どのように考えているか。そしてまた、どのような規模のものを考えておられるか。従来もやっていることなんですから、これをひとつ。
  34. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 先ほど御説明をいたしましたように、この家族経営的林業と申しますか、家族労働力による林業は、御指摘のように平均すると非常に小さい。で、これをそのままでは、まことにどうも、政策の対象としても非常にむずかしいわけでございますが、これを先ほど申し上げました五町歩程度には、大体そろえていける可能性考えたい。それから私どもとしては、やはり二十町歩程度までは、そういった施策でふやせるものはふやして参りたい。こういうような考え方から、この資金は斎林地二十町歩未満のものに対して林地の取得資金考えているわけでございます。その額は、林経資金と合わせまして約二十四億円になっております。
  35. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ちょっと、委員長から注意があったのですけれども、非常に制約された時間の中で、答弁は前提が長すぎる。わかっていることをさらに、時間の中に答弁されちゃ、次々と大事な問題を明らかにする時間に制約を受けますから、もっとダイレクトに、質問に対して、もうそのものずばりずつ答えていただきたい。
  36. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) よく注意して下さい。
  37. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) はい。
  38. 北村暢

    北村暢君 次に、農業構造改善事業の一環として、国有林の開放ということについて、大臣はしばしば国会答弁しているようでございますが、三十七年、八年の農業構造改善事業の計画に対する国有林の開放予定面積は、どのような状況になっておりますか。
  39. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 農業構造改善事業国有林の開放をやりたいというものは約千町歩でございます。三十八年度はどうなっておりますか、これはやはり、国有林の開放と申しましても、ついその、やるわけではございませんから、あるいは今度は、果樹園の造成をする、あるいは草地、牧草地の造成をするという計画に入って参りましたものは、ほとんど全部、これはできるだけ、多少の無理があっても開放をやりたい、こういう方針のもとにやっております。でありますから、これは年々ふえるわけであります。構造改善が進んでいけば進んでいくほど、年々ふえるわけであります。
  40. 北村暢

    北村暢君 ただいまの千町歩というのは、三十七、八年で千町歩なんですか。それとも構造改善事業十年間に千町歩ということですか。
  41. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 三十七年度の計画に予定されているものが千町でございます。
  42. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、この三十七年度で千町歩でございますから、そうしますと、十年間で一万町歩、こういうようなことに平均して考えられるのか。それとも、もっと大きいものを考えられるのか。それからまた、民有林を放牧地に切りかえて、代替地として国有林を開放するか、山林としてよこせ、こういうものは、構造改善事業の中で国有林は、そういうものにも開放するのかどうか。
  43. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) この三十七年度一千町歩と申し上げましたのは、構造改善計画が出て参りました、それに関連をするものでございまして、将来この割でいくというものではございません。したがいまして、私どもも具体的な調査は進めておりますが、将来十年間に、どの程度ということはまだ出ておりません。  それから民有林を放牧地等に開放をいたしまして、その代替地として国有林の林地を提供するということについては、従来、私の覚えている範囲ではやっておりませんし、将来も、そういうことは今のところ考えておりません。
  44. 北村暢

    北村暢君 目下、青森県あるいは宮崎県、鹿児島県等、東北、南九州等において国有林開放論というものが非常に叫ばれておるわけなんですが、しかもこれに対して林野庁は、一部国有林を開放するという、軒先国有林等は開放する、こういうような趣旨の発表があったように新聞で伝えられているわけです。これは事実かどうかは知りませんけれども国有林を三十六万町歩程度開放する、こういうことが伝えられておるのでございます。  したがって、今申した農用地だけでなしに、山林山林として開放する意思があるのかどうでしょうか、この点について。
  45. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) そういう考えは持っておりません。ただいま北村さんのお述べになりましたような趣旨国有林を払い下げるということは考えておりません。やはりこれは、農業の体質改善をやるため必要なものは国有林を開放する、こういうように、現在のところ考えておるわけでございます。
  46. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 補足させていただきます。先生のおっしゃいます新聞の報道は、林野庁とは全く関係のないことでございますので、どうかひとつ、御了承願います。
  47. 北村暢

    北村暢君 これは日本農業新聞というのに、国有林の三十六万町歩開放というのは、三十七年十一月十九日の新聞に、これはもう出ておる。長官の写真入りでもって常々と出ておりますね、三十六万町歩開放するということが。そしてその中身が、非常にもっともらしく、ちゃんと方針から実施地域、実施期間、それから買い受けの用途まで全部出ているのですよ。こういうものは新聞記者が想像して作った記事ではないと思われるのです。何かどっかにあったに相違ない。それがスクープされたのじゃないかと思うのです。したがって私は、この国有林開放は非常に強い運動が起こっておるのと呼応して、これが言われておるのではないか。まあ自由民主党の議員さんの中から私のところにも、この開放の趣旨を堂々と書いた論文がきたり、そして開放の要領まで、国有林の再編成の問題まで実は出てきておるのです。  そういうようなことなんで、今の大臣の御答弁を聞きますというと、農業構造改善事業との関連でしかやらない。まあ三十七年度一千町歩程度ですから、これがどういうふうに十年間でふえていくか知りませんが、やはりこの国有林の開放の問題についての方針というものは はっきりすべきではないか、このように思うのです。したがって、この問題については、再度ひとつ農林大臣方針というものをはっきりさしていただきたい。それでないというと、非常にこれは期待感を持って、国有林はまあ簡単に払い下げるのだろうと、こういうようなことで計画を立てられても困りましょうし、構造改善事業では、先ほど言ったように、民林を放牧地に切りかえて、そして、その隣の国有林を森林としてよこせと、こういう構造改善計画がたくさんありますよ。したがって、今林野庁長官は、それはだめだと、こうおっしゃったのですけれども、そういう問題について、やはり確たる方針というものをはっきりしておく必要があるのではないかと思うのです。
  48. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 国有林の開放は、従来ともやっておりましたのは、合併町村の基本財産を作るために一定の条件でやっておりましたが、そのほかに、私が特に国会においてもいろいろ御答弁をいたす中に、国有林の開放ということを申しておりますが、これは、農業改善事業に関連してやりますと、こういうことであります。ただその場合の農業改善事業というのは、例の計画を立ててやります農業構造改善と、そのほかに主産地の形成とか、畜産経営の拡大というようなために、やはり国有林の開放が必要な場合も、あわせてこれは農業構造改善という言葉を使って私は開放をいたしますということを言っておるわけであります。先ほど千町歩と申しましたのは、この狭義の計画を立ててやります例の年々、三十八年度では三百町村の実施をやるというあの分でありまして、そのほかに、あるいは果樹園の造成であるとか、あるいは畜産経営を拡大するための牧草地を拡大するというようなことによって必要な部分を入っておらないわけでありますから、方針といたしましては、この広義の農業体質の改善というのに関連して、国有林の開放をいたしたい、こういうふうな考えを持っておるわけであります。
  49. 北村暢

    北村暢君 それに関連して、まあ国有林のことは、そうするというと、これは構造改善事業の計画が出てきたものについてだけ千町歩というのですから、それ以外のものは、構造改善地域以外は、相当ある――相当ではない、大部分ですから、これは思い切って、やはり国有林を開放するということに私はつながるのだろうと思うのです。構造改善事業三十七年のこの計画というものは、もう微々たるものですから、したがって、しかもこれが、今平場地帯に多く構造改善事業というものはやられている。将来構造改善事業を進めていけば、山間地帯にどんどんいくことになってくるし、それ以外の指定地域以外のものなんか、もう九〇%以上あるのです。おそらく農業構造改善事業の指定地域というのは、面積的にいけば、ごくわずかなものではないかと思うのです。したがって、農業構造改善という広い意味の指定地域の構造改善事業ではなく、農業全体の構造改善ということになれば、相当なものになると思う。  したがって、それであるならば、今大臣趣旨のようであったならば、やはり国有林の開放の問題について、幾らぐらいやるという適地について調査もし、そして積極的にやると、こういうことでなければならない。特に今度は、農地関係において、草地造成というものが、今までの開拓と相待って、新たに事業を実施するわけですね、農地局の所管として。そうすれば、農用地の拡大ということが当然出てくる。その場合に一体この三十六万町歩というのは、何だかわかりませんけれども、どっから出たかわからないけれども、しかし、これに該当するようなものが やはり何らかにおいて、農林当局としては、計画を立てざるを得ない、こういうふうに思うのですけれども、そういう準備があるのですか。
  50. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは三十六万町歩が、たまたまどういう数字かわかりませんが、それだけを開放するということは、実は意味がないと言っちゃ、はなはだ何でありますが、そういうわけのものじゃない。具体的に、どこどこでどういう計画をもって草地の造成をやる、それには国有林が、ここにその計画の中には何十町歩含まっておるんだ、であるから、その国有林の開放を求めると、こういうことになると思うのです。  その場合に、しからば、国有林であれば、何でもかんでも開放するかといえば、そこは御承知のとおりに、北村さん専門家であるから、よくおわかりになると思うのですが、国有林経営は、ただ林産物を生産するというだけじゃない、保安林、治山の重要な公共的な性質を持っておるのでありますから、そこで、林産物の生産と同時に、公共的な保安林その他の治山というような政策から見て、どうしてもそこは、そうは言っても、これは開放はできないというものが私はあろうと思うのであります。そこらは具体的に検討いたしまして、そうして、これは適当である、こう考えたものについては、これは思い切って払い下げをすべきである、こういうふうに私は考えておるのです。
  51. 北村暢

    北村暢君 この問題は、ほんとうはもっと突っ込んでやりたいのですけれども、時間がございませんから。そうすると、計画に出てきたもので、指定地域の計画、またそれ以外の農業計画でも、農業経営においても、実際に問題にぶつかった場合、ここに適当なものは処理していくんだと、こういうふうに理解していいですね。
  52. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) はい。
  53. 北村暢

    北村暢君 それから次にお伺いいたしたいのは、農業の場合、それでいいわけですが、農業構造改善事業と、指定地域というのは三千百、十年間でやるというのですが、それ以外の林野率の高いところは、都市近郊のところは残るわけですね。これについての構造改善林業的な構造改善、これは当然考えなければならないのですが、これは何か調査費をとって今後検討するのだと、このようなことのようですけれども、これはもう、調査という段階ではないのじゃないか、この調査というのは、パイロット的に、試験的にやるのか、それとも雲をつかむように、これからそういうものがどういう形になるのかということまで含めてやろうとするのが、どうなんでしょうか。
  54. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) これは全国の十八地域にパイロット的に具体的に、スポットをおろしまして、構造改善事業は、いかにすることが林業構造改善として最も適切であるか、また、そうするためには、どういう処方せんを作っていくべきかというような検討をいたすものでございます。
  55. 北村暢

    北村暢君 次にお伺いしたいのは、森林組合の合併に関連をして、まずこの森林組合というのを、答申が出ておるわけですけれども答申は森林組合制度そのものについて改めろ、こういうことなんですが、それに関する、どちらかといえば、森林法につけたり的に、森林組合というものが法律的にできている。単独法を設けて、そして本格的に森林組合の性格そのものについて、もう検討をされたんだろうと思うのですが、一体いつごろ森林組合法の制定、まあ森林法の改正をするのか、森林組合法という単独法にするのか知りませんけれども、とにかく制度的な問題についての抜本的な改正というのは、いつごろおやりになるのですか。
  56. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは一応、ある程度の検討はすでにいたしておるわけであります。いたしておるわけでありますが、これが、先ほど来、安田さんからもお話がありました、この森林基本法との関連がどうであろうかということを、今おもんぱかっておるわけであります。その関連について、もう少しある程度の見通しを立てたいと、こう考えているわけでありまして、一応の森林組合法について、制度的なものについての考え方というのは、検討を終えているわけであります。今国会に、こういうものを提案したほうがよろしいという、森林組合法とは切り離してやったほうがよろしい、こういうような御意見でありますれば、私どもは、そういうふうにすることもできると考えているのであります。今そこの点について、若干検討をしている段階でございます。
  57. 北村暢

    北村暢君 その場合、森林組合の構成でありますが、きのうも、おとといですか、触れましたように、任意加入になっておって、まだ二百七十八万のうち百万の森林所有者が加盟しておらない、こういう問題、それから森林組合の加盟者が森林所有者ということになっているので、従事者、労働者等は入らないわけです。林業従事者は入らない。それから、これは三千町歩以下の森林所有者が森林組合に入れる、こういうことのようですが、そういう大森林所有者、それから市町村も森林所有者ということで、森林組合に入っているわけです。それから大会社、パルプ会社でも、三千町歩以下なら入っていいということになっている。こういう点からいくというと、協同組合原理に立脚して森林組合を作っているというんですから、そういう森林組合の構成でもって協同組合の原理に立脚した組合の運営ができるかどうか、こういう根本問題があるわけです。  これに対して、今後、今もう検討されたというんですが、一体、今後これは、どういうふうに改正をしようとする御意思なのか、お伺いしたい。
  58. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) その問題につきましては、まず、かなり人類の多い部分が組合員から抜けているではないかというようなお言葉につきましては、一反歩未満の所有者というものが非常に多いということがあるわけでございます。また、常識的に見て、かなり大規模なものが入り得るじゃないか、また公共団体も森林所有者として入り得るじゃないか、それでは協同組合の原理に基づいた協同組合というものの性格からはずれてくるんじゃないかということでございますが、これは他のものと違いまして、林業と、たとえばほかの産業でございますと、公共団体が所有者になっている、ということはきわめてまれでございますが、林業の場合には、やはりそういうものが、全体が森林所有者として、森林全体の中で経営を行なわれているわけでございまして、やはり総合的に運営をはかって参りますためには、そういうものが入って運営をされるということが望ましいこと、そこにやはり林業としての特色と申しますか、特異性があるというように考えております。
  59. 北村暢

    北村暢君 大臣、それでようございますか。
  60. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは、林業というものが、ただいま林野庁長官の申しましたとおりに、農業の場合と違いまして、特殊な形態を持っておりますので、地域的に考えますと、どうしても、ただいま答弁をいたしましたようなことにならざるを得ぬと思うのでありまして、ただ、人的関係だけを集めて、地域的なことを考えないでやると、どういうものであるかというように私は考えておるわけであります。
  61. 北村暢

    北村暢君 もう時間がきましたから、私はこれでやめます。しかし、森林組合に入ったばかりでやめなきゃならないわけで、理事のほうで質問をされるそうですから、まことに不十分で遺憾ですけれども、やむを得ないからやめますが、これだから、時間を制約してやるのは非常に困るということを言っておったのです。委員長も、この状況を見られればわかると思うのですが、ひとつ、今後、配慮していただきたいと思います。私の質問を終わります。
  62. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大臣の御答弁を願いたい幾多の問題のうちから、一つだけ、時間があればまたしますが、ただいままで明らかにされたように、森林行政を進めていく上において、林業の基本立法がまず立てられないで、そして今度提案されたような実体法が出てくるというところに、私は、この実体法の含んでおる幾多の矛盾を指摘せざるを得ない。どういう点かということですが、端的に申しますと、森林組合自体が単独立法さえない。これが、やはり林業の基本的な、憲章的なものが出て、その中に、共同体的な森林組合はいかにあるべきかとならば、やはりこれは、森林組合の単独立法が、実体法としてしかれてしかるべきものである。そういう中において、やはり、森林組合の共同的な機能を発揮する適正規模というものを目途とする合併の促進法がまた出てこなければならない。しかるに、物事の順序が逆でありまして、あくまでも、現象にとらわれた合併法が出てくるから、非常に実のない、ヤマブキのような法案が出ておるのです。それで、私は、そういうさしあたりの問題を一つの問題にしぼって、大臣意見を伺いたいのでありますが、森林組合は、今日に至った経過からいっても、非常に歴史が浅い。農協と比べれば、私は、少なくとも十年以上のおくれの時点に立っておると思う。そういう非常におくれた、しかも非常に重大な機能を付加されるはずの森林組合の合併に、その行政的な措置としての合併促進の具体的な助成の措置が、十年以上も、二十年以上も先に走っておる農協ですから、参加組合に対して、それぞれ十万円の助成金を出しておる。あなたの所管の農業協同組合ですよ。もっと、経済的に劣弱な基盤に立った森林組合に対しては、合併した、その一つの統合した組合に十万円、逆じゃないですか。農協自体も参加組合十万円は非常に不足である。現実はそのために、合併も、なかなか――その他の理由もありますが、遅々として進まない。少なくとも大臣のやはり統一ある行政的な措置から、農林経済局が所管するものと、林野庁が所管するものと、その組織は別であっても、森林組合の合併には、少なくとも農協程度の合併のための助成の措置を講じてもらわなければ、これは片手落ちじゃないだろうか。また、この組合の運営は、これは人のよろしきを得るかいかんにかかわっている。問題は、その当事者の人を得るかどうか、それに対して、農協は合併に関連しての駐在員の人件費補助なり、あるいは県の中央会が設置する指導員に対する間接補助を出している。森林組合には合併助成法案の裏づけとしての、そういう具体的な、最も大事な活動家に対する行政的な何らの措置が払われていない。これではほんとうに政府は責任をもって森林組合合併促進法を打ち出しているか、その真意が疑わしい。私は抽象的じゃなくて、農協と比較して申し上げている。だから、予算はすでに原案として国会審議されている中に、そういうものはないでありましょうが、そういう点を大臣は責任をもって、三十八年度から農協並みのひとつ予算措置を、これから請じて、森林組合合併を、名実ともに促進するための措置を講ずる努力を払う御意思があるかどうかを伺いたい。
  63. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 三十八年度の予算につきましては、すでに今御指摘になりましたとおりの予算を計上いたしているのでありますから、おそらく、ただいまあなたが御指摘になったのは、三十九年以降において、これを考慮しろという御意見だろうと思うのです。
  64. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いやいや、三十八年度からやり繰りをして、予備費もあるだろうし、ほんとうに必要だと思うなら、今からでも、おそくはないじゃないですか。その御用意はないですかということです。
  65. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 三十八年度からやるということは、なかなか私は困難だろうと思うのですが、一応これは御承知のとおりに、ただ森林組合であろうが農協であろうが、漁協であろうが、組合であるから、みんな一緒に、平等な合併助成方式をもってやれと、こういう御意見を拝承いたすわけでありますが、ただ、この補助金は、今までの大蔵省との折衝におきましては、やはり事業分量あるいは財務の規模の問題というようなことが、内容的に問題になるわけでありまして、したがって、農業林業漁業はさらに林業の半分になっているわけでありますが、そういうふうに差異がついております。その差異がはたして適当であるかどうかということは、ただいま渡辺さんから御指摘のありましたとおり、これは考えなければならぬと私は思うのであります。私どもといたしましては、できるだけ合併促進の上から参りましても、多くの補助金を支出いたしたい、こう考えているのでありますが、財務当局といたしましては、先ほど申し上げましたような標準によりまして、農協と林業の組合、さらに漁業組合というようなものと、いずれも差異をつけているのが現状でございます。  御了承を賜わりたいと思うのでありまして、将来の問題といたしましては、先ほど述べましたとおりに、できるだけこれは配慮をいたしまして、合併促進が容易にできますように、助成金のほうも増額をいたしたい、こういうふうに考えております。
  66. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、この間から病気しておりまして、欠席しておりましたので、あるいは同僚委員からの質問と重複する点があるかもしれません。そういうときには御注意を願いたいと思います。今まで安田委員、それから矢山委員北村委員からお話がございましたが、この林業の基本問題につきましてはもう答申案が出てしばらくになりますので、未だになお、基本法ができないということは、実に私も合点がいかない一人でございますが、今度の組合の合併助成法案にいたしましても、まずもって、その基本法がきまらないうちには、その方針がはっきりわかりませんから、どういうふうに、またどういう程度に合併するかということもわからないはずだと思うわけです。で、一体、合併をしまして、今までと違って、森林組合の仕事をさせるには、どういう点従来と変わるのでありますか。どういう目的をもって大型に合併をさせるのか。その点を簡単に要点だけ伺いたいと思います。
  67. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 私から御説明申し上げます。
  68. 北條雋八

    ○北條雋八君 大臣にお願いします。(「大臣だ、大臣だ。」と呼ぶ者あり)
  69. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 森林組合の合併につきましては、かねてから、御承知のように過去三ヵ年間引き続き合併の促進をしたのでございますが、林業の現況から見ますと、さらに、この森林組合の事業を強化振興して参りますためには、この規模も大きくして参らなければならないということから今回の合併の構想を持ったわけでございまして、その効果でございますが、これは専門の先生でいらっしゃいますから十分おわかりと思うのでございますが、規模の拡大によりまして事業が合理化され、また機械等の導入によりまして生産性の向上、生産の増強、こういう面がさらに強化をされて、従業者の所得の向上という面にも貢献がされるというところにねらいがあるわけでございます。
  70. 北條雋八

    ○北條雋八君 先ほどもお話がありましたとおり、家族経営事業あるいは林総協の主張しておる大面積の森林所有者を対象とする企業林業、いずれにも偏しないのだというお話でございますが、実際問題として先ほどお話のありましたとおり、五町歩未満の森林所有者というものは非常に多いわけでありまして、いずれにしても森林組合というものは、主として農家林業の育成指導あるいは将来植伐の計画を企画する、あるいはいろいろ協業化の上の機械化森林に力を入れるとか、いろいろ仕事はふえてくるということは事実だと思うのでありますが、ただ大型にするから、それで強力になるというふうには簡単に考えられないと思うのです。大型にするために、あるいは組合の事務所から非常に遠くなったり、あるいは非常に不便な点もあるかと思いますが、大型にするための弊害としてお考えになった点は、どういう点でございましょうか、伺いたいと思います。
  71. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 身体的な問題でございますので、私から御説明をいたしますが、さきにお手元へ差し上げてあります政令の見込み事項に掲げてございますように、おおむねといたしましては五千町歩以上程度のもの、それから出資の総額が百万円以上、それから役職員の数が五人以上、こういうふうに考えておるわけでございます。
  72. 北條雋八

    ○北條雋八君 しかし大型にするために、必ずしも強化されるとは考えられないと思うんです。いろいろ地形の関形の関係あるいは土地の環境の関係がございますから、流域の関係もありますし、ですから、いろいろそういう不便な点があるんじゃないかと思いますが、それを一律にただ面積がふえればいいんだというふうに考えるのは間違いじゃないかと思うのでありますが、その弾力性を持たせる点にきまして、何か基準をやはり示していただかないと、ただ特別の場合は五千町歩にはこだわらないんだといっただけは、当事者がかわれば、それはどうなるかわからないという危惧を抱くものでございます。その点について、何か基準とか範囲を示される御意思はありませんですか。
  73. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは合併は強制的に合併をするものでもなんでもないわけでございます。一応私どもとしましては、先ほど長官が申しましたとおりに、五千町歩とか、あるいは出資百万円とかいうような標準を掲げておるにすぎないわけであります。ただいま御指摘になりましたような、いろいろ実際上地形の関係その他において非常なる不便があって、それは無理であるというような場合におきましては、これはしいて合併をされたらよろしいと言うわけではございません。  が、しかし合併をいたしますれば組合の経営上非常に財政的にも楽になる、あるいはまた人材を得るのにも、これは便宜になるとか、いろいろ合併の利点があろうと思うのでありますから、そういうところを、よくかね合いを十分にお考えをいただいて、できるだけひとつ合併をしていただきたいというのがわれわれの趣旨でございます。特にこういうのは合併せんでいいとか、どうとかいうような標準を示す考えは現在はないのでありまして、運用上、これは無理のないようにやりたい、こういうふうに考えております。
  74. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると、合併の基準を五千ヘクタール、あるいは出資の百万円、あるいは役職員の五人以上というようなことにはこだわらないというわけですか。
  75. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 大臣の仰せのとおりでございまして、この事業は、決して強制をするわけではないのでございますが、この法律によりまして助成をいたしますのには、こういう基準によって助成をいたしたい、こういうことでございます。したがいまして、この助成を受けますためには、大体こういった基準になる、ただ、この基準も、かねてからも再々議論があったところでございますが、おおむね五千ヘクタールというものにつきましては、十分さらに政令をきめますまでの間に検討を慎重に進めたい、かように考えております。
  76. 北條雋八

    ○北條雋八君 政令で、それじゃ定まるわけですか、その範囲というものは。
  77. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) はい。
  78. 北條雋八

    ○北條雋八君 わかりました。  次に伺いたいのは、この組合の欠損組合とまた資力のある組合の合併ということは非常にむずかしいことだと思うのです。あるいは資産の評価の点におきましても、あるいはまた、一方欠損金の処理につきましても、そういう点につきまして、特別に政府から合併に際して、お互いに魅力を持たせるという政策をお考えになっていらっしゃらないのでしょうか。
  79. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) そういった合併に際します諸種の問題につきましては、資料で差し上げてございますと思いますが、税制上の措置によりまして、できる限りの優遇措置を考えておるわけでございます。
  80. 北條雋八

    ○北條雋八君 この点につきましては、先ほど渡辺委員からもお話がありました。私もほんとうに、それに対しては同感でございまして、やはり合併させるにはさせるだけの政府の補助といいますか、補助金がいかにも少ないということは、私もしみじみ痛感いたしております。どうぞその点は、渡辺委員の言われるように、今後促進するために一そうのひとつ助成をお願いしたいと思います。  それから次に、林業信用基金法のことにつきまして伺いますが、この制度ができましたために、今まで保証なしで借りられたものまでが、今度は保証を中金から要求される。すなわち保証なしでは今までより借りにくくなるというような点が出てくるんじゃないかというふうに心配するのですが、金を借りるほうは、いやでも応でも保証協会に出資しなければならなぬといった今度は負担を負うという心配はないのですか。
  81. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それは一がいには申されないと思いますが、従来保証なしで融資をしておったものが、この制度ができるために、どれもこれも、みな保証を要求するとは私は考えておりません。そうは考えられない。ただ、ボーダー・ラインにある融資先に対しては、ただいま御指摘になりましたようなケースが出てくるかと思うのでありますが、しかしこれは一面から考えますと、そういうボーダー・ライン・ケースというものは、この保証さえあれば、簡単に金を融資をするということになりますから、やはりこの制度があるために、私は森林金融というものを円滑に行なうことができるというふうに考えております。
  82. 北條雋八

    ○北條雋八君 貸すほうではやはり保証のあるほうによけい貸したがりますから、それで今まで保証なしで借りていた者までが、やはり出資をしなければ借りられないというふうになるおそれがあるのじゃないかと思って伺ったわけです。そういう点もひとつ御注意を願いたいと思います。  時間がございませんから、もう一点伺いたいのですが、この林業者で保証を受けておる者が、あるいは破産するとかあるいは業務を変更して、そうして林業者でなくなったような場合も出てくるのじゃないかと思う。そういう場合はどうなるのか。また保証を受けておる林業者が、相続後に林業者でなくなったというようなこともあるのだと思います。そういう場合の保証はどういうふうになるのでございますか、その点伺いたい。
  83. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは保証でありますから、やはりその債務については、この保証機関が責任を持つべき筋合いがあると私は思うのでありますが、詳細は長官からひとつ。
  84. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 先生の御質問は、出資をしておる者が林業者でなくなった場合にはどうするか、持ち分をどうするか、こういうことだと思いますが、これは払い戻しはしない規定になっております、法律では。で、これは譲渡をするようになってございます。
  85. 北條雋八

    ○北條雋八君 譲渡はできるのですか。
  86. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) はい。
  87. 北條雋八

    ○北條雋八君 払い戻しはしないけれども、譲渡はできる。
  88. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 林野庁長官、立って答えて下さい。
  89. 安田敏雄

    安田敏雄君 譲渡ができますから、保証を受けておる者が林業者でなくなった場合にはどうなるかという…。
  90. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) その期間は、やはり払い戻しもできませんし、それから譲渡もできないわけでございます。
  91. 北條雋八

    ○北條雋八君 その場合は、泣き寝入りというわけですね。
  92. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それは泣き寝入りということではないのじゃないでしょうか。その借金を全部払ってしまえば、保証の必要がないのだから、それはその持ち分は譲渡はできるだろうと思うわけですが……。
  93. 安田敏雄

    安田敏雄君 払ってしまえばいい、払ってしまわない場合。
  94. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 払ってしまわない場合は、どうも責任だけを保証機関に持たしておいて、自分の出資は引き掲げてしまうというわけにも参らぬのじゃないかと思いますが、それはどうですか……。
  95. 安田敏雄

    安田敏雄君 金を借りて保証してもらっておるのだ、林業者でなくなった場合にその金が払えない、破産したような場合、そういうときにはどうなるか。
  96. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 林業者でなくなりましても、やはり返さなければならぬわけですから、それはちょっと、払えなくなるということは言えないかと思います。
  97. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 以上をもって農林大臣に対する質問を終わりました。  ここでしばらく休憩し、午後一時二十分から再開いたします。    午後十一時四十九分休憩    ――――・――――    午後一時五十五分開会
  98. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、森林組合合併助成法案及び林業信用基金法案を一括して議題といたします。  質疑のある方は、御発言を願います。
  99. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、審議もだいぶ急いでおられるようですし、この前までで、だいぶやってきましたので、この前のことは繰り返さないですぐ引き続いていきたいと思います。  この間の作業方法等の変更があった場合に、労働条件等について、いろいろな変更も起ってくるので、そういう場合には、十分労働組合と協議をしてから作業にかかるようにしてもらいたい。それがないがために、所々で、労使間で、当局と組合との間で、いろいろと問題が起ってるようですので、そのことをお伺いしたわけです。そこで、それは全幹集材についてお聞きしたのですが、その問題はそこでとめておきまして、次に、ひとつお伺いしたいのは、最近使用が始まったと聞いておるのですが、去年ごろからですか、あの枯殺剤の問題なんですね。林野庁で枯殺剤を使用され出して、各地でいろいろ事故が起こったように聞いておりますし、また、造林上の効果についても、むしろいい効果がないで、枯れたり何かして、かえって悪いほうの現象がたくさん起こってきておると、こういうようなことを聞いておるのですが、そうした実情について、ひとつ概略お話を聞きたいと思うのです。
  100. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 詳しい資料を持ち合わしておりませんが、ただいま私が承知をしております範囲について御説明を申し上げたいと思います。除草剤といたしまして私どもが主として使っておりますのは、塩素酸ソーダでございますが、これは除草能力があるということについては間違いがないのでございます。特に、まあササ等におきましては、これは林業試験場その他で試験をいたしました結果、決して悪いというものでございませんで、非常に効果があるようになっております。したがいまして、私どもといたしましては、全国的に、試験的にただいま使用をいたしておるところでございます。  この使用も、すでに他の方面ではいろいろと使われておるものでございまして、国有林で使っておりますのは全使用量の一割程度のことでございます。これももうすでに数年前から、試験的に局所的には使っておるところでございまして、事故があったのは、ごく最近でございます。これは火気の注意をする必要があるのでございまして、その点につきましては、私どもも十分に指導をいたさせまして使わせたのでございますが、遺憾ながら、休憩時間中にたばこの火が落ちて衣服について燃え上がってやけどが起きたり、それがもとで死亡をしたのが一人あったというようなことでございます。で、これは労働省のほうの指定の毒物の中にも入っておりませんし、そういう点で、さらに検討はする必要があるかと思いますが、現在のところ、十分に注意をして使う範囲においては危険はないという考えでおります。で、私ども、さらにこの点につきましては、作業衣、あるいははきもの、靴等の防護の用具を支給をいたしまして、間違いのないように注意をいたしておるところでございます。
  101. 矢山有作

    矢山有作君 長官、今試験的にやったと言われるんですが、どのくらいやられたんですか。それからなお、たばこの火で引火して事故がたまたま起こったりしたというようなお話なんですが、私どもの、ここへ持っておる資料を見ると、たまたま、たばこの火で引火して事故が起こるというようなのでなしに、もともと非常に危険性を伴う薬剤だというふうに承知しておるんですがね。たまたま、たばこの火で事故が起こったという性格のものじゃないんじゃないですか。やはり保護具等その他の面が、不行き届きな点があったり、あるいは実際に使用するのに、管理者のほうで十分注意が届いておらなかったと、そういう問題のほうが中心なんじゃないですか。それはどうなんですか。
  102. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 昭和三十六年度におきましては、全国で使用されておる量は二千四百九十一トンでございますが、そのうちで、国有林の使用しておりますのは二百二十九トンでございます。この程度でございますが、使用に際しましては、火気に注意をいたしまして、防護衣、手袋、マスク、こういうようなものを着用をして使用をするわけでございまして、問題は、やはり火気でございます。したがいまして、火気を十分に注意をするということが大切なわけでございますが、その点は、農業あるいは鉄道、その方面で使われておるわけで、事故もそれほどないわけでございまして、この注意につきましては、十分注意をいたしておるわけでございます。で、これは、作業員の不注意だけだということにきめつけるわけにはいかないかと思います。あるいは指導が、若干落ちていたということもあるかもしれませんが、少なくとも注意をすべき事項につきましては、十分注意をしてあるという報告を受けておる次第でございます。
  103. 矢山有作

    矢山有作君 じゃ、この薬剤が使用上非常に危険なものであるということは、今までのお話でお認めになるはずなんですが、そういうふうに危険なものであるということになれば、これを使用する段階に入る前に、十分それぞれ話し合いがなされておったのかどうか。私どもの聞いておるところでは、十分な話し合いがなされないままに、強制的に、この薬剤を使って就労させるようにしたとか、あるいはまた、警官までその就労を強制するのに動員したとかというような話も聞いておるのですが、その辺のところはどうですか。
  104. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) この薬は注意を十分にいたして使用をされれば、それほど危険なものではないように私ども承知をいたしておるわけでございます。それにいたしましても、その注意をするということが大切でございますので、使用にあたりましては、私報告を受けております範囲では、十分に使用について注意を促しておるということでございます。で、それでは強制的に使用をさせて、警官まで動員をしたというようなお話でございますが、それは私は、そういうことについては報告を受けておらないので、おそらくそういうことはなかったのではないかと思っておりますが……。
  105. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、先ほどの御説明で、二つ問題が出てきたので、一つのほうから取り上げていきますが、取り扱いになれていないのですからね。取り扱いを注意してやれば危険の少ないものだとおっしゃっても、取り扱いになれていない新たな薬剤を使って、しかも、それが危険性を持っておるということがはっきりしておるなら、それを使用する段階に入る前に、やはり組合との間で、それらの安全対策の問題だとか、その他十分な話し合いをして入っていくというのが、これはあたりまえな話なんじゃないですか。特に長官は、今まで労使双方の信頼性に立ってとか何とかということを非常に強調されるのですが、そうなると、労使双方が信頼性に基づいて仕事をやっていこうというなら、こういう危険なものを使うときには、特に十分な話し合いをなされて、了解を取りつけて、そうして十分に万全な災害予防の対策を立てて、それから実施に移っていく、これがあたりまえな話じゃないですかね。
  106. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) その点は、ごもっともでございますが、私どもといたしましても、この使用に際する注意を十分にいたしておるわけでございまして、特にこの使用の方法がむずかしいものであるとかというようなことではないのでございまして、すでに鉄道あるいは農業関係に広く使われておるところでございますので、その点は、火気に関する危険性があるということはもちろんでございますので、十分注意はいたさなければなりませんが、その他の問題につきましては、それほど使用にむずかしいということはないかと考えておるのでございます。  まあ、これに関連いたしまして、十分な話し合いがなされるべきではないかということでございますが、私どももこの新しい薬剤を使いますためには、すでに何年か、この使用をいたして参っておるのでございますが、そういう経験に立って、まず実際に試験的に現地へおろしていくという経過をたどっておるわけでございます。で、この話し合いの性格でございますが、これはどこまでも私どもとしては、この薬剤を使用をしていくための使用方法に関する理解を得るというところに重点を置きまして、説明なり、話し合いをいたして参ったものでございます。
  107. 矢山有作

    矢山有作君 長官、試験的ということを盛んに強調されるのですがね。去年は一体どのくらいやられたのですか。
  108. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 三十六年度に二百二十九トンでございます。
  109. 矢山有作

    矢山有作君 いや、いや、面積にしてどのくらいやっておられますか。
  110. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) ただいま、ちょっと調べてお答えいたします。
  111. 矢山有作

    矢山有作君 私が聞いておるのでは、三千町歩ぐらいやっておるのですね。試験的にやるのなら、こんなに、三千町歩も、この薬剤を使ってやらないで、試験場でやってもらいたいのです。危険が伴うかもしれないということがわかっておるような薬剤を、しかも現実にどういうことがあったにしろ、身体にいろいろな障害を生じたり、あるいは人が死ぬという問題まで起こっておるのでしょう。あくまでも試験的ということを強調されるなら、こうした大々的な使用に入る前に、もっともっと、林業試験場で試験さるべきじゃないですか。
  112. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) この試験場の試験というものは、実施をいたしておりますと同時に、試験場等の試験をもとにしまして、現地の現場におきまして、現地の適応試験をいたしておるのでございます。
  113. 矢山有作

    矢山有作君 それで、あくまでも試験的にやったということを強調されるなら、私のほうとしては、あくまでも、試験的にやることは林業試験場でやるべきなんで、それで十分な成果が出ないで危険を伴うおそれのあるものを、組合との十分な話し合いもなしに、いろゆる災害対策も万全に立てられない中でやったということは、私は間違いだと、しかも、これがどれだけの効果があったということで調べてみると、これは何も効果はないじゃないですか。私が手元に持っておるこの写真で見ましても、枯殺剤としてササや草を枯らすというのに、実際には、ササや草が枯れないで、肝心かなめの、植林された木がたくさん枯れているじゃありませんか。こういう点をみても、これは、十分、造林上に効果があるというような確信を持つところまで、林業試験場で試験がなされておったかどうか、これは多分に疑わざるを得ぬのです。どうなんですか。何だったら、お見せしますよ。写真があるから。
  114. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 林業の試験は、試験場における試験の成果を得られますと、十分な現地の適応の試験の段階を経て事業的に取り入れられて参ってくるわけでございまして、そういう過程にあるものでございます。
  115. 矢山有作

    矢山有作君 ところが、私は、その試験が十分にいっておらぬから、実際に現地で使ってみたら、あの写真で見るような、ササが枯れたり雑草が枯れたりしないで、肝心かなめの、植えた木が枯れているということを言っておるのです。それじゃ、十分な試験をしたとはいえないと、こういうことを指摘しておるのです。  それから、次に移りますが、先ほど警官を動員したとかなんとかいうことを、私のほうはよく承知しておらないということなんですが、少なくとも、長官として、そういった問題を承知していないということは、私はないと思う。現実に、私のところにきておる資料で見ると、串間という営林署では、この問題をめぐって、隣接の管理者を動員したり、制服、私服の警官を大量に動員したり、業務命令を出して、就労を強行したという事実が出ておるじゃありませんか。これは御存じないですか。
  116. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) そういう報告を聞いたことはございますが、それは薬剤の問題ではないように聞いております。それと警官は、当局が動員をしたものではありません。
  117. 矢山有作

    矢山有作君 これは一体、何だったと聞いているのですか。
  118. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 警察で、自主的に参ったように聞いております。
  119. 矢山有作

    矢山有作君 薬剤の問題じゃなしに、何の問題で、こういうことが起こったかと聞いているのですが。
  120. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 全幹集材の問題であったというふうに、私は報告を受けております。
  121. 矢山有作

    矢山有作君 たとえば事が全幹集材の問題であったにしても、全幹集材の問題をめぐって、警官がやってこなければ就業ができないというようなことは、事前に組合との間に、十分な話し合いができておらなかったということを証明するのじゃないですか。
  122. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) その点は、なかなか微妙な問題でございまして、私、ここで現地の事情を、十分に間違いなく申し上げられるかどうかわかりませんが、とにかく当局といたしましては、計画を立てますと、この新しい計画につきましては、組合側にも説明をして、理解をしてもらうようにいたしております。で、これに対しまして、やはり組合側も、その真意のあるところを十分に理解をして協力をしてもらいませんと、なかなか実行に困難が出てくるわけでございますが、やはり問題をケース・バイ・ケースに、是か非かということを十分に理解をしてお互いに話し合いをして参らなければならないかと思うのでございます。  で、問題がそこに移りましたので、若干御説明を重複するかもしれませんがいたしておきますと、この全幹集材と申しますものは、何も事新しい問題ではないのでございます。木を伐倒いたしまして、玉切りを、造材をしないままで運搬をして……。
  123. 矢山有作

    矢山有作君 それは聞いております。
  124. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) そういうことではないのでございまして、どうかひとつ、そういう点で、その問題の中心をごらんになって、御判断をお願いをしたいと思うのでございます。
  125. 矢山有作

    矢山有作君 問題の中心を見て判断をして、問題が起こっているから言うている。つまり、なるほど全幹集材は、三十一年度からやられておったのかもしれません。しかし、全幹集材の問題をめぐって、組合との間に問題が起こったということは、全幹集材という作業方式をとることによって、労働条件なり、職務の内容に変化がきているはずなんです。それに対する変更があったはずなんです。職務内容が全然変わらぬと言われますか、全幹集材をとる前と以後と。
  126. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 全然とは申し上げられませんが、ほとんど変わりはないと申し上げていいと思います。
  127. 矢山有作

    矢山有作君 そうすれば、今言葉のあやで、やり取りしておったのじゃきりがないから、次へ移りますがね。労働条件に、あるいは職務の内容に、多少でも変化があるということになってくれば、そのことについて、組合が話し合いを申し出てくれば、十分に話し合いをやって、それから実施に移せば、各地で起きているような、労使間の紛争というものは起きなかったのだから、これは問題の焦点をとらえているはずなんです。枯殺剤の問題にしても、災害が発生するおそれがある、生命、身体に危険があるということが心配だから、組合のほうでは、これを実施に移す前に話し合いをしてくれということを言っているはずだ。そうすると、それに対して十分な話し合いをやっていく。これが労使間のあり方じゃないですか。  しかも、枯殺剤なんか使っていく場合には、ただ単に労働条件とか、職務の内容だけじゃなしに、広い意味の労働条件に入るだろうが、生命や身体に危険まで出てくるのですからね。そうすれば、その危険を感じて組合が話し合いを申し出てくれば、とりあえず、それに対して、十分な話し合いをするというのが筋じゃないのですか。あなたは、常に労使間の信頼に基づいてと、こうおっしゃるのだから……。
  128. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) その点、そのとおりでございます。この労働条件について団交を持たなければならんということも、私もそのとおりに考えております。この串間の問題につきましては、この経過にあたって、私も直接関心を持って指導をいたしたのでございますが、当時当局から各般の問題について、組合に話し合いを申し入れて参りましても、なかなか話し合いに応じてこなかったということで、私、再々連絡をして、覚えているのでございますが、そういう事態でございました。
  129. 矢山有作

    矢山有作君 具体的にあなたのほうが話しかけられて、話しかけに応じなかったか、応じたか、そこまでは、私も調査しておりませんのでわかりませんから、この点は、はたしてそのとおりかどうかという問題は、あとにします。この問題については、さらに論議をする機会を持ちたいと思います。  しかしいずれにしましても、今そういうように林野庁において、いろいろな労使間の問題が起こっておるというのは、林野庁の労務政策のあり方自体に反省すべき点があるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、長官として、今後労使間の円満な運営をはかって、しかも国有林事業としての使命を達成するというために、今までの労務政策のあり方から見て、どういうふうに今後お考えになるか、それをちょっとお話を伺っておきたいのです。
  130. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 仰せのとおりでございます。私は、従来も将来も変わりはないのでございまして、この労使間の問題というのは、労使の信頼関係の上に立って初めて円満に事業も進められることになるということでございます。したがいまして、その精神の上に立ちまして、お互いに、私どもは、何と申しますか、ルールに沿って話し合いを進めて、もの事をきめて参らなければならない、こういうふうに考えます。
  131. 矢山有作

    矢山有作君 その労務政策の問題について、最近問題になっておるのが一つあるようです。いわゆる林野庁の労務政策の本音を表わしたといいますか、そういうような感じのする労務ハンドブックとか、こういうものが下部にまで、ずっと配られておるようですが、この労務ハンドブックに盛られておる労務政策に対する考え方というものについて、私が聞いたところでは、これは全面的に白紙に戻しますということが社労委員会で言われたそうですから、私はこの問題について、さらに突っ込んでとやこう申しませんが、この労務ハンドブックに表われておるような考え方で、労働問題を考えていこうというのであれば、私は、長官が言う労使の信頼性に基づいてやっていこうという考え方には、全く相反するような思想が出ているのです。したがって、この問題については、社労委員会でおっしゃったように、こういう労働問題に対する、とんでもない考え方というものを全く白紙に戻して、労使間の信頼性に基づいた、あなたのおっしゃったような考え方を基本にして、今後十分な話し合いをしながらやっていっていただきたい、こういうふうに思います。
  132. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) ちょっとお断わりしておきますが、労務ハンドブックというのは、私のほうで作ったものでございませんので、ひとつ御了承願います。  その内容は、これは私どものほうの課長が九州へ参りましたときに、営林署長会議ですかの席上で話をしたことが出ておるのでございますが、これにいたしましても、その当時の九州の置かれております環境が非常に異様なものでございました。その話をする前に、この営林署で、つぶさにその情勢を見た感覚で、その話が出たというところに、私どもとしては、言葉の上で行き過ぎがあるということを考えておると同時に、これが全国の管理者にわたったということで、若干林野の体制、姿勢が誤解を受けるということがあっては、まことに遺憾であるという考えから、私どもはこの措置をいたしたいというように考えておる次第でございます。そのほんとうの底を流れておる精神も、私どもが先ほど申し上げました精神とは変わりはないのでございますが、そういった事情のもとで話が進みました結果、さようなことになったわけでございます。そういった前後の事情も、どうか御了察をお願い申し上げたいと思います。
  133. 矢山有作

    矢山有作君 長官、そのとおりですと言って、簡単に答弁していただけば、もうこれ以上出さなくて済む問題ですが、いろいろとおっしゃるので、まだ言わなけりゃならぬようになる。私のほうで作ったものじゃないとおっしゃるが、こういうものが出ておるわけです。これのはしがきというのがあるのです。そこを見ると、林野庁林政部労務課長隅田何がしとして、このはしがきの中の文章を見ると、これはもう私のほうで作ったものじゃないから知らぬというわけには、これはいきませんな。
  134. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 知らぬと申し上げたのではなくして、労務ハンドブックというものではないのでございまして、その表題はどこかでそういうことになったのだと思いますが、国有林事業における労使関係の現状と労使関係に対する考え方ということで話をしたものが、そういう名前になったということでございます。内容については、私ども承知をしております。
  135. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、少なくとも労務課長と名を打った人が、こういうことを講演をなさったのか座談会で言われたのか知りませんが、いずれにしても言っておられるということになれば、これがやはり林野庁の労務政策に対する考え方じゃないかと、こういうふうに考えられるわけです。  だから私は、こういうふうな考え方は改めなければいけない。それに対してお宅のほうでは、こういう考え方は白紙に戻しましょうとおっしゃったのだから、それで私のほうは了解をしておるわけです。ただ、先ほども環境が異様であったとかどうとかおっしゃるのですが、そうなると、一体、どういう異様な環境であったのかと、こう言いたくなるわけで、どういう環境にあろうと、やはり労使間の問題というのは労使の問題として、あなたのおっしゃる信頼性に基づいて、相互対等の立場で十分論議を尽くされるべきだと、こう思うのです。  ところがこのハンドブックに出ておる思想というのは、そんな労使対等だとか何とかいうなまやさしい思想じゃないのですね。これは私が持っているところのこれでいくと、二十五ページにある言葉なんというのは、つづめて言えば、一たん雇ったら雇った者は煮て食おうと焼いて食おうと雇ったほうの側の勝手だと、こういうような表現が出ておるのです。これは前時代的もはなはだしい表現ですね。それからまた、こういうこともあるのですね。三十四ページには、使用者と従業者という立場であった場合には、使用者のところへ、いろいろな問題で話にくるときにはひざをついてやってこい、対等の権利を帯びたような大きな顔をしてくるな、こういうことも表現されているのですね。こういう思想というものは、おそらく林野庁くらいしか今ごろ見られぬ労務政策に対する思想なんですね、これはもう先ほど、こういうものは撤回するとおっしゃたので、ひとつ是非撤回をしていただいて、あなたのおっしゃるようなひとつ労使間の対等な立場に立って、信頼性の上に立って十分な話し合いをしてやっていくという姿勢を堅持していただきたいと思います。
  136. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) そのとおりいたします。
  137. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、もうそろそろ終わりますが、この開の御答弁の中に、国有林野の労働者が、民間の林野事業等にもかなり流れていっておる。そのことは、いろいろな原因があるが、国有林事業の労働者の賃金水準が低いということにも一つの大きな原因があるだろう、こういうふうにおっしゃっておられましたが、何といいましても、基本問題の答申にいたしましても、あるいは中央森林審議会答申にいたしましても、これからの林業の幕末的な目標というものは林業の生産性を向上させるということと、林業従事者の所得の増大をはかるということが基本目標になるはずなんです。したがって、そういう点については一十分ひとつ検討されて、賃金の適正な支給ということに努めていただきたいと思うのです。国有林事業の労働者の賃金が低いということは、やはり民間の賃金を高くしないという作用も持つわけなんですから、そういう点では、今後賃金等の問題についても十分お考え願いたいし、さらに先日来問題になっておりました雇用安定の問題についても、十分ひとつ御考慮を願いたいと思います。特に話が前後しますが、賃金等の問題について見ますと、その職種によって非常に大きな開きがあるように思います。はたして今日の段階で、そういうような大きな開きが必要なのかどうかということを考えてみますと、すべてにわたって、そういうことが言えるとは限らぬような部面が出てきておるわけです。したがって、そういうような問題についても、早急に手直しをされる、そういうふうにやっていただきたい。このことを最後に一つ申し上げまして、御意見を伺って、私の質問を終わりたい、このように考えます。
  138. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) この賃金問題でございますが、確かに御指摘のような点があるかと考えております。組合側からも新賃金の要求が出まして、ただいま調停にあげておるところでございますが、将来にわたりまして、組合側とも十分交渉を重ねまして、さらに是正をいたして参りたいと考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
  139. 矢山有作

    矢山有作君 それでなお、先ほど保留しておる問題もありますし、雇用の安定、賃金問題については、これは今後の林業政策の立場からいって非常に重大な問題ですので、もしどうしても、われわれのほうでお尋ねしなければならぬような問題が起こった場合にはお尋ねしますので、そういう立場で、なお質問をする権利を留保しておきたいと思います。以上です。
  140. 安田敏雄

    安田敏雄君 ただいまの国有林の労働者の、今指摘された労務ハンドブック、あれによって、基本的な労務対策政策を今日まで推進してきたかどうか、それから、もし推進しないとするならば、今後は、ただいま矢山君が申し上げたように、基本的な何か政策について、どのように考えておるか、その点だけ一つ関連してお聞きしておきたいと思います。
  141. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 誤解だけではないのでございますが、あのハンドブックという表題をつけたのは、私ども、どこでついたかわからないのでございまして、決して林野の指針として出したのでなくて、これは労務課長が熊本へ指導に参りましたときに、営林局の会議の席上で話したことを印刷をしたということでございまして、これによって労務政策を進めてきたということではないのでございます。先ほどから再々申し上げておりますように、私どもの基本的な態度というのは、お答えを申し上げたとおりでございます。その態度を誤解を受けるようなことであるということはまことに私どもとしても残念でございますので、これはひとつ、この際、白紙に戻そうということを申し上げておるのでございます。
  142. 安田敏雄

    安田敏雄君 そのことはわかりましたが、そこで、全国の事業所へこれが回っておるわけですよ。回ってないですか。
  143. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 営林署まで回っておるようでございます。
  144. 安田敏雄

    安田敏雄君 回っておるわけですね。そうしたら、ただ国会長官答弁だけでは、地方では国会の会議録なんて読まないんですよ、実際は。ですから、これは取り消すと言うなら、やはり取り消すところの、あなたのほうでいえば、行政の措置を営林署までしていかないと、ただあんたが、これを取り消しただけでは、営林署のほうでは署長はまだこの方針でいきます。というのは、やはりここに労務課長ということが、はっきり労働課長隅田達人ですか、この人の名前が出ている以上、これは当然林野当局から、下部機構の営林署に対して発せられたものですから、署長がその方針で、労務対策を推し進めていくのはきまっている。ですから、それを徹底させるのが、あなたのほうで、そういう行政措置をとりますということを組合の代表にも通達をするとともに、やはり各事業所へ通達をしなければならない、こういうように私は考えますが、この点について。
  145. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) まあ公文書でないから、私は責仕を持たないということではないのでございますが、それは講演の印刷になったものでございます。これが私どもといたしましては、熊本だけでございましたら、さしたる問題もなかったと思うのでございますが、全国に配付がされたというところに、私どもも非常に何と申しますか、疑問を持っておりますので、私としても措置はとりたいと存じております。組合に対しては、組合に別に、何と申しますかお示ししたものでもございませんので、この点は別に、私としては考えておりません。
  146. 安田敏雄

    安田敏雄君 林業関係の労使の問題というものは、中央の林野庁を取り巻くその情勢の中で発生するわけでないのです。やはり現地の営林局以下のところで発生するのですから、やはりこういうものは、これは新しい基本方針として、私のほうで出すから、あなたのほうは、このいわば課長の全国のだれに配ったかわからないような労務ハンドブックによって労務管理をしてはよろしくない、こういうような通達を、はっきり私はすべきだと思う。でないと、やはり紛争というものは、その現地において出る。それが、あちらこちらに出ますと、それが結局は、あなたのほうでも困ることになるわけだ。収拾のつかない場合が出てくるかもわからない。ですから、今日の林業労働者の実態から考えまして、できるだけ、他の産業からして、賃金その他の労働条件も悪いわけですから、それをひとつ向上させるという気持になっていくならば、当然この撤回の措置もしなければならないし、新しい基本方針についても、やはり通達して、このように切りかえたのだということをするということが私はきわめて適切な、いわば長官としての責務ではないかと、このように判断するわけでございます。
  147. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 私どもといたしましても、従来からの私どもの労務管理態勢の基本方針をはっきりいたしますために、新しい指針になるようなものを準備をいたしております。これは新しい団体交渉に関する協約をもとにいたしまして、基本的な態度をはっきりするようにいたす考えでございますが、そういうものをなるべく近い時期に出しまして、さらにこの労務管理の適正化をはかって参りたいと、かように考えております。
  148. 安田敏雄

    安田敏雄君 それでは、私は関連ですから、この点につあましては、これで打ち切ります。  で、以下提案されております林業信用基金法案について質問をいたしたいと思いますが、そこで、まずお尋ねしたいのは、この信用基金の目的とか定義とかいうものは、ここに書いてありますからわかりますけれども、特質といいますか、特徴的なものは、どのようにお考えになっておりますか。なければいいですよ。
  149. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) この林業信用基金の特徴と申しますると、こういう類似の制度が幾つかございまするので、それとの対比といいますると、いろいろ違ってきまするけれども、当面、業務の内容といたしまして、比較すべきものとしては、中小企業の信用保証制度、これと対比いたしました場合に、第一点は出資の点でございます。中小企業のほうは、出資をいたさずに信用保証するという体制になっておりますが、私どものほうの今回の基金におきましては出資をする。出資によって融資を受けて、債務の保証を受けるということでございます。それから債務保証の対象でございまするが、中小企業のほうにおきましては、設備資金、運転資金、これは細部は業務方法書できまっておりますが、その両部面にわたっておりまするが、林業の信用基金におきましては運転資金ということにいたしております。その他、これは業務方法書の段階において決定することでございますが、今予定いたしております事項について申し上げますれば、保証手数料等の点におきましては、現在の中小企業におきましては日歩五厘程度でございまするが、林業におきましては、一応予定としては二厘見当に考えるということでございます。  なお、細部につきましては、先般資料でお配りいたしました比較表がございますが、対象の業種等につきましても、先般お配りいたしました資料の概要のところに書いてありますとおり、中小におきましては、中小企業全般にわたっておりまするけれども、私ども林業資金という性格にかんがみまして、林業の生産者、製材業者というふうに限定をいたしております。
  150. 安田敏雄

    安田敏雄君 それは、この基金法の内容を見れば、ただいまお答えになったことはわかるわけですが、従来も公庫の金、あるいはその他の系統資金によって、林木の育成から生産から種苗から木炭生産から、その他いろいろなことについての融資の道はあったわけです。だけれども、今度のは森林組合合併法もできておるし、それから林業を営むものにも、大きいものも小さいものもある。そういうようなものに対して、個人を中心にしていくのか、あるいは組合を中心にして、こういうようなものを考えていくのかという、何かそこに特徴的なもの、動機があろうかと思うわけです。ただ、内容の幾歩で貸すとか、どうのこうのということはわかるわけです。そういうような何か特徴的なものはあるわけですか、動機となったものは。
  151. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 法案にも書いてございますが、この林業基金の対象といたします者は、個人も対象にいたしますと同時に、団体としますか、森林組合系統それから中小企業協同組合系統、いずれも対象にいたしております。ただし、今後の方向といたしましては、こういう基金制度を媒介にいたしまして、団体利用のさらに拡充をはかって参りたい。これによって団体の系統利用ということの整備もはかり、あわせて団体の整備に資するというような方向に持っていきたい、かように考えております。
  152. 安田敏雄

    安田敏雄君 今までの林野庁の経験から言って、やはり林木の育成とか、素材の生産とか、あるいはたくさんの事業があるわけでございますが、一体、この資金の保証をする場合に、見通しとしては、どういうような事業が一番保証の対象になるのか。そういうような見通しを立てたことがあるのですか。また、過去の経緯からかんがみて、将来はこのような事業が、一番この保証の対象になっているのだというようなことは、大体わかるわけだろうと思いますけれども、そういう点について。
  153. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) この事業の割合でございますが、私どもも十分に見通しを立てることは困難でございますが、一番大きいのは、何と申しましても原木の購入、こういう面になるのではないかと思っております。
  154. 安田敏雄

    安田敏雄君 原木の購入といいますと……。
  155. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 原木でございます。製材原木の購入資金
  156. 安田敏雄

    安田敏雄君 輸入も含めて……。
  157. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 輸入も入ります。
  158. 安田敏雄

    安田敏雄君 その次には。
  159. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) それから伐採関係資金、こういうことになります。育成のほうは、これは公庫資金がございますから、これは別になります。
  160. 安田敏雄

    安田敏雄君 特徴点は、それでいいです。  そこで次に質問したいのは、林業を営む者が直接間接の構成員となっている中小企業等協同組合とありますが、これは一体、どういうようなもので、全国にどのくらいの数があるのですか。
  161. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) この第二条の「林業を営む者が直接又は間接の構成員となっている中小企業等協同組合」と申しますのは、主として製材業者が組織いたします中小企業協同組合、それからなお、素材生産業者が組織するもの、大体そういうものが入っておりまして、大体全国に単位組合として千二十八ぐらいございます。
  162. 安田敏雄

    安田敏雄君 連合会はあるのですか。
  163. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) 連合会は、そのほかに大体二十程度ございます。
  164. 安田敏雄

    安田敏雄君 全国的な……。
  165. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) いや、県単位。それから全国単位には一つございます。
  166. 安田敏雄

    安田敏雄君 一つ。これでわかりました。そこでお聞きしたいのは、この基金協会の保証の対象外として、一千万円以上の林業者を対象としなかった理由について、ひとつお伺いいたしたい。
  167. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 一千万円以上三百人以上を対象外とした理由は、まあ大体中小企業というものを基準にいたしたわけでございます。
  168. 安田敏雄

    安田敏雄君 いや、この人たちを省いた理由、中小企業を基準にしたということはわかるが、省いた理由……。
  169. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 資料を差し上げてございますのでごらんいただくとおわかりになりますように、大体この保証制度を利用しないでも、十分やっていけるようなところばかりだと申し上げていいかもしれないと思っております。
  170. 安田敏雄

    安田敏雄君 たとえば一千万円以上の大会社が、それはそのとおりでいいと思いますが、それが、たまたま地方に出張所、事業所を持っておって、その土地の森林組合に入っておる場合がある、ないですか、事業所の名義か何かで……。そういうようなときには、それは対象になっているわけですね。系統としては対象にならないでしょう、地域的に森林組合に入っていますね。
  171. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 御指摘のような場合があるかと思いますが、さような場合に、いずれかの資格に該当すれば、これはこの基金制度の対象になり得ると思います。
  172. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、これは特徴的なものは、たとえば農業協同組合であるとか、森林組合であるとか、にるいはそういう素材製造業者というような中小企業に対する融資の道をきわめて有利に開いていくというところが、この法案のねらい的なものであるということは、この特徴としてわかります。しかし、そういう全国的な一千万円以上の林業者事業所、出張所が、その土地の森林組合に入っているときには、これはどっちか入っていれば対象になるなんていうことは、これはおかしいのですよ。一千万円以上、はっきり言ったことになるのじゃないですか、会社が資本を持っているのですから……。
  173. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) まあそういうことはめったにないと思いますが、もしありましても、そういう一千万円以上でなおかつ三百人以上というようなものの出張所がたとえありましても、それは適用にはならないということになります。
  174. 安田敏雄

    安田敏雄君 じゃさっきと食い違っておる。さっきの部長の言うのと食い違っておる。
  175. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) あるいは私表現が不十分であったかもわかりませんが、今の中小企業の資格に該当する資格についての御質問でありましたとすれば、私同じ趣旨でお答えしたつもりでございます。
  176. 安田敏雄

    安田敏雄君 わかりした。そこで、これは一般の中小企業の中の保証というものは、出資がなくても一〇〇%保証するのですね。これは出資したにもかかわらず、大体八〇%保証ということを前の質疑で聞いておりますが、八〇%保証をするといっておりますけれども、どうしてその出資までしておるものに一〇〇%の保証ができないか、その理由について聞きたいと思います。
  177. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) いろいろ、これは考え方によろうかと思いまするが、私どもの八〇%といたしましたのは、融資をする場合に、その融資機関もそれ相当の慎重さと責任を持って融資をしていただく。一〇〇%にした場合には、全額債務保証になればその点の融資の気持について多少差異があろう、その意味でより適切慎重な融資をしてもらうという観点で八割ということにしたわけでございます。
  178. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、その信用保証が将来その金融機関について損害を与えないときにはこれは九一%にもする場合がある。しかし将来はなはだ成績が思わしくないときにおきましては、さらに六〇%くらいというような趣があるわけですか。
  179. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 現在考え方として今お話ししたようなことで考えておるわけでございまするが、これは細部は業務方法書等の段階でございまするが、そういう個別ケースについての保証率を変えるかどうかということは、ただいまは考えておりませんが、さらにさような点につきましても、その時期までに検討いたしたいと思います。
  180. 安田敏雄

    安田敏雄君 今度はこれは一般の市中銀行その他金融機関も取扱うようになるわけでございますから、そういう銀行等の意見を聞いてそのように八〇%ということにきめたんですか、それともあなたのほうで八〇%と定めて、これから交渉して銀行その他の金融機関にこれをやってもらうんだと、こういう点はどうなっておるのですか。
  181. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 私たちがかような案を考えました経過におきましては、商工中金、農林中金等の御意見も聞きまして検討したわけでございます。
  182. 安田敏雄

    安田敏雄君 商工中金であるとか農林中央金庫というようなものは、地方へいきますと出張所は県単位しかございません。あるいは大きな都市しかない。ところが、おおむね林業者というものは大体そうでない地域に、特定の大きなものは別にしてあるわけであります。存在しているわけであります。したがって、地方の銀行は商工中金や農林中央金庫の窓口としてなるわけであります。ですからそういうことを考えましたときにはやはり銀行、たとえばセンターである日銀あたりあるいは銀行協会、こういうようなものとはたして八〇%保証可能かどうかという交渉をしなければ、たとえ政府資金であっても、銀行の責任で貸すわけなんですから、公庫の金であっても銀行の窓口を通じて貸すわけですから、銀行自体がその責任の立場上引き受けませんよ。そういうような交渉に基づいて大体いろいろ協議した結果が八〇%保証ということに落ちついたというなら、これは話はわかるわけですが、これから交渉するならば、その見通しがはたしてあるかどうかということについてお聞きしたいわけです。
  183. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 私たちは今の八〇%でおおむね妥当だと考えておりまするが、さらにこれを業務方法書により決定いたしますまでいろいろ他の部面の御意見等も参考にして、適切な意見があればお伺いして、そうしてより適切な率等をきめて参りたいと、かように思っております。
  184. 安田敏雄

    安田敏雄君 どうもそのことをよくしておかないと、実際この道が開けても、地方的には貸付の対象にはならぬのですよ。今日みんな信用金庫へ行ってごらんなさい。中央の金を扱っておる地方銀行などそのとおりですよ。それはその銀行でいけば、信用金庫でもそうですが、これはあなた方が実態を知らないからですけれども、たとえば公庫の金を三十万円なら三十万円借りまして、手形で借りました場合に、今度はどうかというと、三十万円に対する期間が百日なら百日の利息を勘定されて、そしてその上にそれと同額の歩積みというやつを別にさせられるですよ。自分の金を貸さないにもかからわず、政府の金を貸しておいて、強制的に定期の株立金をさせられるのですよ。そうすると三十万円借りても、実態は二十万か何ぼしか借りられないことになる。しかも地方銀行ならば、その裏街道を通って、支店長なり他の人たちに別の交渉もしなければならぬという面も出てくるわけなんですよ。ですから、そういうようなこと心配したときには、十分この市中銀行と銀行協会あたりと、この問題について八〇%がいいかどうかというはっきりた交渉がないと、これはたいへんなことになっちゃうのですよ。この点は、どうなっていますか。
  185. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) これはこの資金は、御承知のように運転資金でございまして、今考えておりまするのは、おおむね一年期間のもの、そういう短期のものに考えております。したがいまして、そこら辺の事情も考えて、ただいま申し上げたような聴取いたしました意見の筋も考えて、八割ということできたわけでございます。さらに繰り返しになりまするが、今後各方面の意見も参考にいたしまして、その点をより適切なものにしてきめて参りたい、さように考えます。
  186. 安田敏雄

    安田敏雄君 法案というものは、ただ国会やその他で審議するだけではなくて、これが実施されるときには、みんな地方の人たちがこの精神によって、相手のあるところは相手の意思によって運用させられるわけなんですね。したがって、銀行にいったときには八〇%保証だといったって、これは通りませんよ。県で、国でやったって、個人の信用問題、これ担保取らないでしょう。取りませんよ。実際運転資金がかりに百万円要るときに、五十万借りたって、また事業遂行上支障が出てくるわけなんです。だからそういう点はきちっとはっきりして、そして銀行協会なりそういうところとも交渉する、あるいは信用金庫なら信用金庫でもって全国の信用金庫の中央機関ともちゃんとこういうものは折衝しなければいかぬ。そう金融というものは甘いものじゃないのですよ。皆さんの言うように、それは国できめたって地方へ行けば、県が保証しようが国が保証しようが、実際そんなに貸さない。なるほどそれは短期融資ですが、しかしそれが実際その期間に返さないときには、銀行、信用金庫等ではその他の業務に全般的に大きな影響が出てくる面も考えられるわけなんです。だからそういう点はこの保証額の率ですか、これにつきましては、十分もっと金融機関等々と折衝することがよろしいのです。というのは、私は何もこの第七の「銀行その他の金融機関で政令で定めるもの」とあるから、これがなければ聞きません。ですから、そういう点は特に十分今後も積極的に交渉をして了解点に達することが必要ではないかというように今考えるわけでございます。そこで第七の「銀行その他の金融機関で政令で定めるもの」という中に、これは前の堀本さんだかの質問では、農業協同組合を入れるべきであるということが言われましたが、何か政令にありましたね、これは。信用組合は入らないのですか。信用金庫は入っている。
  187. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) この点につきましては、先日も御質問がありましたのですが、政令見込め事項には書いてございませんけれども、さらに信用組合等の実態調査をいたしまして、その結果に基づきまして善処いたして参りたいと考えております。
  188. 安田敏雄

    安田敏雄君 これはやはり林業者農業協同組合との関係が深いわけですから、当然どうなるということでなくて、やはり立場を尊重する意味合いにおきましても、これは入れるべきであろうと思うのですよ。信用組合については信用金庫と規模が違うから、入れるか入れないかということは、これは別にいたしましても、やはり信用組合等におきましても政府の公庫の金を扱っているのですから、だからその点は今ここでとやかく言うわけではないのですけれども、至急にこれらもはっきりさせることがいいのですね。  それから次にお伺いしたい点は、業務方法書ですが、これが問題なんですよ。とにかく保証してもらには、これがぴちっとしていなければならない。ここで業務方法書の参考資料をいただいたわけでございますが、これには「出資金総額の〇〇倍とする」。ということがありますが、別の表で見ますと、大体十倍ぐらい、出資金額の十倍それでいいですか。
  189. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 最終的なことは申し上げられませんけれども、現在私たちが考えておりまするのは、出資総額の十倍ということで考えております。
  190. 安田敏雄

    安田敏雄君 一万円出資すれば十万円……。
  191. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) それは基金全体のことで……。
  192. 安田敏雄

    安田敏雄君 全体の……。
  193. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) そうでございます。
  194. 安田敏雄

    安田敏雄君 それからその次に、被保証者についての保証の金額の最高限度は、出資額のこれは二十倍でいいですか。
  195. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) さように現在のところ考えております。
  196. 安田敏雄

    安田敏雄君 この考え方は、もう固まっているのですか。
  197. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 業務方法書は、結局は基金できまってくるものでごいますから、私どもが今この立案にあたって予想をして考えておるということございますで、その点御了承願います。
  198. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、これは基金関係できまってくるといいますけれども、出資と保証総額との関係という問題になってきますが、これは大体今のところのアウトラインといいますか、そういうようなものについてはどういうような計画、考え方でやっておりましょうか。
  199. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 出資と保証総額と申しますと、大体出資が七億になりますので、その十倍ですから、七十億、それを八掛けにいたしますと八十七億五千万でございますか、そういうことでございます。
  200. 安田敏雄

    安田敏雄君 五十六億でしょう。
  201. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 八十七億でございます、八掛け八割保証するわけでございますから。
  202. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで、この基金政府出資が三億五千万円で、民同その他県からその出資を依頼してそれが三億五千万円で七億、こういうことになるわけですが、政府が出資して、民間なり地方の県の出資がなかなかおくれている場合に、一体幾らになって、五億円になったらこれはやるというようなことになるわけですが、その五億円になる見通しというものは、本年度中につくわけですか。
  203. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) さようでございます。少なくとも年度末には七億に達したい、こう考えております。
  204. 安田敏雄

    安田敏雄君 年度末に七億に達したいという希望はわかりますけれども、その見込みを……。
  205. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 私どもの見込みといたしましては、五億には大体十月ごろには達するように……。
  206. 安田敏雄

    安田敏雄君 林野庁の計画がかりに本年度やってみても五億に達しない場合も考えられるわけですよ。それは全然ないですか。
  207. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) それは考えないようにしております。
  208. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 先ほど七億、やはり七十億ですね、八掛けで五十六。七十億と五十六億とは関係ないんじゃないですか。
  209. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 七十億になりまして、保証額が八割の保証になりますから、八十五億分の保証ができるということを申し上げて、五十六億では八十七億五千万円……。
  210. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そうしますと、保証額の十倍というのじゃなく、保証総額の十倍というのじゃないんじゃないでしょうか。保証総額の十倍の限度で抑えて、ここにある八割をなにして、その総額が八十億になる、こういう計算じゃないでしょうか。
  211. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) 長官が申し上げましたのは、基金の出資が七億ですから、その十倍まで債務保証の対象にいたします。それは債務保証額でございます。そこで、これは八掛けの債務保証をするということでございますから、銀行のほうで今度は債務保証者が融資を受ける額として、それに見合うものの総額を申し上げますと、八十七億五千、そういう意味でございます。
  212. 安田敏雄

    安田敏雄君 これはもし五億円に達しなくても、政府で三億五千万円出しても始まるのじゃないですか。その点はどうですか。
  213. 厚味荘之助

    ○説明君(厚味荘之助君) これは条文にも書いてございますが、発足にあたっては、少なくとも五億を確保して発足するということになっておりまして、その五億の中には、政府出資の三億五千を含んで考えております。
  214. 安田敏雄

    安田敏雄君 それは本年の十月までですか。
  215. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) さようでございます。
  216. 安田敏雄

    安田敏雄君 その自信は、長官はあるわけですね。十月まで……。
  217. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 極力努力をいたしたいと思います。
  218. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで、さっき北條さんから質問がありましたが、林業者であって、保証を受けている者が林業者でなくなった場合は、たとえば破産するとか、営業閉鎖とか業務変更をするとかいう理由によって林業者でなくなった場合は、どうなるのかということと、それからもう一つは、保証を受けている林業者が跡目相続をした場合、だれかが、その場合に相続者が林業者でなくなった場合はどうなるのか、こういう問題が出ているわけですね。これらについての取り扱いの考え方をひとつ伺いたいと思います。
  219. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 相続をした場合に、その相続した人が林業者でない場合にはどうなるかということでございまするが、これはその場合には、新たなる相続人は、債務保証の対象にはなり得ないということになります。ただし、持ち分の所有については何も触れてないのでございまするから、したがって、そういう林業者でない相続人におきましても、持ち分だけはそのまま持っておるということになります。債務保証だけその資格の対象になるわけであります。
  220. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうすると、保証した金額は損したということになるわけですね。基金がそういうことでいいですか。そうすると、あとは相続者については請求権がないでしょう。なかった場合に、結局親の林業者が借りて、子供が相続した場合に、林業者でないという場合は、その人はその債務が親から引き継がないわけですが、そういう点の問題はどうなんですか。
  221. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) それはその親が受けた債務保証はそのまま残っているということになりますね。
  222. 安田敏雄

    安田敏雄君 借りた金額は、そのまま銀行に借りの帳簿で残っているわけでしょう。その処置は最終的にはどうなるのですか。
  223. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) それは、借りた分は返済する義務がございます。
  224. 安田敏雄

    安田敏雄君 子供にそんな権利、義務があるのですか。
  225. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) それは債務も相続して継承しているわけでございます。
  226. 安田敏雄

    安田敏雄君 継承させる……。それから林業者でなくなった場合はどうなるか。破産、業務変更その他の場合。
  227. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) その際は、持ち分の譲渡をその人が他の人にするということになろうかと思います。
  228. 安田敏雄

    安田敏雄君 まあ大体いいでしょう。  そこで、私午前中に、こういう兼金を作る場合には、農林省でまた今度いろいろ鶏の卵は、非常に競争力が強いから、中国市場の拡大等の問題でもって、盛んに海外進出が行なわれれば、もっと鶏を生めよ、ふやせよということが考えられるときに、また農林省あたりは鶏卵振興基金法案なんというのを作るかもしれない。よく始終作ってくるから――。そういうことで、これは農林省で統合をした、一括したものを持って、各部門部門で、専門の部門をその中できめてやるべきだ。そうすれば、役員の数も少なくて済むのだ、こういう質問を午前中したわけです。こういうようなことを、農林省の首脳陣といいますか、幹部の中で、そういうような問題はやはり討議されたことがあるのですか。ただこういう林業者経営安定のために、こういう基金を作ったらいいだろうほかにも前例があるからというようなことで、こういうものを作って発足さしているわけですが、何かこういうことはたくさん出てくるわけですよ。そういう点について、午前中は大臣から簡単な答弁をいただいたのですが、長官や政務次官には答弁は御無理だろうと思いますが、そういう問題については、やはり論議されたことが、省内でございますか。
  229. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) まあこういう問題の出るたびに、そういう議論が出るわけでございますが、私ども考えましてみましても、やはりこの林業の特殊性でありますとか、あるいは出資者の出資意欲でありますとか、いろいろなことを考えてみますと、やはり専門的な基金制度というものが、現在のところではあるのが最も適切なのではないかというように考えている次第でございます。
  230. 安田敏雄

    安田敏雄君 ちょっとここのところでまた質問が前に戻りますが、ちょっと私忘れましたが、役職員の問題はあとにします。被保証者の保証の最高限度の決定についてはわかりましたが、その中で組合が借りて、個人に貸すという場合の転貸資金の場合、組合の出資額とのその関係、組合が出資しているわけなんです、組合員が借りる場合。そのときにおける出資額との関係は、どいううように処理するのか。その際、担保を取るのかどうかという問題が考えられるのですが、その点について御説明願いたいと思います。
  231. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 組合が出資した場合に、その組合員が転貸を受ける。その転貸を受ける組合員のワクと申しまするか、その限度はいかがかと、こういう御質問ですね。それは当然、その組合の出資額に見合った融資可能額の範囲内でございますが、ただ、一組合員だけが融資を受けて、そのワクを使い切るということも不適当でございますので、その組合の中で、なるべく公平に各組合員が転貸を受けられるというようなことでその組合の中できめられた範囲内において運用するということになろうかと思います。
  232. 森八三一

    ○森八三一君 関連。今の場合ですね、先刻の安田委員質問で、この資金は、個人に貸すと組合に貸すとを問わず、その債務の保証をして、この制度を通じて組合の振興、発展をはかりたい。そこで、今の問題に関しまして、組合が出資をしておる、で、組合が、その原資を上級の機関から借りてきて、融資をした場合、その場合の保証関係はどうなるのかという問題です。その組合には、組合全体の資産では、返済能力はある。けれども、最末端の組合員は、その資金を返済する能力を失っておるという場合の保証関係はどうなりますか。もっと具体的に言うと、農林中金というものから森林組合が借りてきて貸した、その場合に、農林中金に保証が行なわれるのか、単位組合が組合員に貸すその段階で、保証が行なわれるのかという問題です。それはどうなりますか。
  233. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 森林組合が融資を受けて、それをもって組合員に貸すという場合でございますね、その際には、融資を受けた森林組合が、保証を受けるということになろうかと思います。
  234. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、もっとはっきりさせますが、中央金庫から百万円単位組合が借りてきて、その段階では、別に保証の問題は発生しないのですね。そうしてその百万円を、その組合が、十人の人に十万円ずつ貸したというときに、この保証の行為が、そこで発生してくる、こう理解していいのですか。
  235. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) 今、お尋ねの中金から単位組合が転貸融資を受けまして、そのときには、債務保証は要らないというわけですね。その場合には、単位組合が、もしこの法案の第二条にございます融資機関である場合には、そこで今度はこの単位組合と、その組合員との債務について、これは債務保証をいたすことになるわけでございます。
  236. 安田敏雄

    安田敏雄君 その点はよくわかりましたが、その際、組合員から担保を取るのですか。銀行は取らなくても、金融機関は取らなくても、森林組合がですね、連帯性があるから、自分の損失になっちゃ困るということで、その個人から担保を取る場合があるでしょう。そういう場合の防止策は、どうなっておるのですか。
  237. 厚味荘之助

    ○安明員(厚味荘之助君) なるべく担保は取らないように運用して参りたいと考えております。
  238. 安田敏雄

    安田敏雄君 なるべく担保は取らないように運用すると言うが、担保を取り得るという場合もあるということですね。そうですか。
  239. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) これは、先ほども御説明いたしましたように、大体、短期資金を対象にしていますから、それで私どもとしては、原則として大体取りません。ただし、特に融資機関のほうから、この人については取ったほうが安全であるとかというような例外的な場合には、やはり担保を徴求することもございます。私ども考え方としては、大体、担保は、短期資金でもございますし、求めないということを原則にいたしたい、かように考えておるのであります。
  240. 安田敏雄

    安田敏雄君 この人は信用が置けないから取るのだということになりますと、末端の金融機関へ行きますと、地方銀行へ行きますと、そういうようなことが口実になって、みんな取るようになるのです。しかも、それに、その保証人も、れっきとした保証人をつけろとか、ちょうど住宅金融公庫の金を借りる場合のように、なかなか借りたい人が借りられない場合が出てくる、しかし林業なんという大きな経営をする場合においては、小さい資金じゃないのですから、自分の山へ植林しようとか、あるいはまた、そのいろいろの事業、シイタケを作っていろいろの事業をしようという場合には、どうしたってある程度の設備資金とし、あるいは運転資金として、これは逆転資金だけですけれども、場合によれば設備の名目、設備をするのだけれども、あるいは運転という名目で借りる場合もあるのですよ。そういう場合に、結局、そのことがはっきりしてないというと、これは担保を取るようになるのですよ。だから、担保は取らないなら取らないという方針をやはり堅持する、問題は、その名目が信用基金ですから。だからそういう場合、銀行のじかに取引をする個人についても、特に傘下の組合員を持っておる森林組合等の場合を考慮しても、どうもそこに何か担保を取られるのじゃないかというような気配がするわけです。
  241. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) これは、各種のほかの債務保証関係を見ましても、原則として取るという場合もございますし、それから、原則として取らない、ただし先ほど私が申しましたように、例外的に金額が非常に大きいとか、あるいは本人の信用力の問題だとかいう場合には、徴求することがある。大体二つの行き方が、制度的にあるようです。で、私のほうは先ほど申しました理由で、原則的にはいただかない、しかし、場合によれば、レア・ケースとしていただく場合もあり得る、こういうことで運用して参りたいということでございます。
  242. 安田敏雄

    安田敏雄君 この点に対する政府関係機関の公庫等の考え方意見はどうなんですか。あるいは、銀行等の意見は、どういうようなことになっておりますか。
  243. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) ただいまの点は、担保の問題でございますか。
  244. 安田敏雄

    安田敏雄君 ええ。
  245. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) 特にこの点については、格別の御意見はなかったように考えております。
  246. 安田敏雄

    安田敏雄君 いや、おかしいですよ、あなた、銀行が金貸するときに、無担保でいいか、担保を設定するかというくらいの基本的な問題に、意見の一致を見なかったら、これはたいへんですよ。端から担保を取られるようになりますよ。銀行なんて自分の金貸すのじゃないんですから、預金を貸すのですからね。みんな庶民の預金を。人の金貸して商売しているんですからね。その点くらいは、はっきりしておかなければならぬですよ。
  247. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) ただいま私が申しましたのは、この組合が債務保証をするときの担保を取るか取らないかという問題でございまして、銀行が、自分のほうの貸付金についての担保を取る、取らぬという問題とは、おのずから異なることでございまして、金融機関としてこれは二割のリスクがあるわけでございますから、銀行としては担保を取るかもしれません。それは別でございます。私が申しましたのは、債務保証関係基金がその保証者からさらにまた担保を取るかということに対しては、取りません、こういうお答えをしたわけです。
  248. 安田敏雄

    安田敏雄君 その点はわかりました。しかし、中小企業等に対する各県の信用保証協会というものがありますが、これが幾ら信用しても、実際銀行の窓口へ本人が借りにいく場合、担保を取りますよ。だから、保証協会が取らなくても銀行に取られれば、結局その借りた本人から見れば、担保を取られたことになるわけです。
  249. 厚味荘之助

    政府委員厚味荘之助君) 金融機関とは別に、この基金が債務保証をする場合に、なるべくさっき申し上げたような気持で、原則として担保を取らないようにして運用して参りたいということでございます。
  250. 安田敏雄

    安田敏雄君 いや、それはあなた方の考え方で、金融機関等の御意見はどのような意見でおるかということなんです。
  251. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) その点、私のほうもまだ広く各種金融機関意見を具体的に徴しておるわけでございませんけれども、農林中金、商工中金等の意見を聞いた範囲でございますが、将来、先生のお話もございますから、よく業務方法その他で検討していきたいと考えております。
  252. 安田敏雄

    安田敏雄君 いや、そのことは了解しますが、特に対象となる金融機関を次に掲げて、法文で第二条第二項以下にずっときて、その七に、「銀行その他の金融機関で政令で定めるもの」とあるんですよ。これを新しく広い範囲で入れようとするには、やはりそのくらいの、保証額の問題にしても、あるいはまた、こういう担保を取るか取らないかという問題にしても、あらかじめこうしろと言わなくとも、意見ぐらいは前もって聞いておかなければ、これは法案を作る上において手抜かりなんですよ。そうでしょう。実際は、法案を作る人が借りるわけでもなく、われわれ審議する人でもないんです。地方へ行けば、林業者が借りるわけです。特に中小企業の林業者を育成強化するわけですから、だから、その中小企業というものはおよそ信用度合というものは薄いわけですね。信用度合いがもう非常によければ、何もここに一千万円以下とか、三百人以下というような、別に断わらなくともいいんです。ですから、そういう意味合いにおきますれば、これはやはり、法案の中へそういう金融機関を指名する以上は、そのくらいのことは意見を聞いておくべきだろうと思うんですよ。これは実際われわれの経験からいきますというと、さっきとまた重複しますけれども、県の信用保証協会でも、これは保証協会は無担保でよろしいからといって、業務方法書を取り上げて、お前はこういう地方銀行へ行きなさいといったって、地方銀行でもって担保を取っちゃう。歩積みを取り、その上に定期預金をさせられるんですよ。ですから、これはたいへんなことになってしまう。だから、その意見はどうであったかということを聞いているわけなんですよ。
  253. 厚味荘之助

    政府委員厚味荘之助君) さっきお答えいたしましたとおり、現在までのところでは、さような各金融機関に担保の徴求についての意見についてはまだ聞いておらぬわけでございますが、ただ一般的に、かような制度を作りまして、基金として債務保証いたしますれば、従来林業者等が金融機関から融資を受ける場合の担保とその他の条件に比べて、その債務保証のある融資についてはより条件は緩和されるであろうということは、一般的に期待されるといたしておるわけであります。
  254. 安田敏雄

    安田敏雄君 これからよく、銀行ですね、日銀かどこか、全国銀行協会かしらぬけれども、そういうところとは十分協議をするというわけですね、この法案の。ただ問題は、その大銀行でなくて、地方銀行ではなくて、地方銀行が一番問題となるのですよ。林業者の窓口はたいてい地方銀行が多いですからね。ですから、そういう地方銀行に、このような法案趣旨が徹底していないと、往々にしてみな担保を取られるようになってしまうのです。そうすると、何もこの保証協会へ出資したって、こんなことはばかばかしいということになっちゃって、これは結局比較的力のある人たちの小範囲における活用機関にしかならんです。そういうことが出てくるわけだ。で、県では、政府法案農林省に何かおつき合いしないというと、何かほかのほうの補助金でもこないとたいへんだからなんてことで、つき合いには入りますけれどもね。そうすると、林業全般に対する振興の問題へ大きな影響が出てくるということになる。金融を通じてそういうことになってくるわけです。ですから、そういう点、私は心配するわけでございますから、まあこれは手抜かりであったろうと思いますけれども、その金融機関をこの法文の中へ入れる以上は、十分そういう点は配慮して、その問題の処理を、問題となろうと思われるところの処理をいたして整えておくということが必要ではないか、こういうように思うわけでございます。
  255. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) ありがとうございました。今後そういう方向によりまして、十分慎重に進めて参りたいと思います。
  256. 安田敏雄

    安田敏雄君 それから、再度役職員のところへ戻りますがね。この役職員は、常勤の理事長が一名、理事が一名、監事一名、今度は今までの公庫だとか事業団だとかに比べると、非常に常勤理事がきわめてつつましやかに一名になっているわけですがね。大体この理事長理事というものは、役職員は農林大臣の任命するところになるわけでございますが、まあその他兼職等の場合も規定してありますけれども、大体どういうような人たちをこのなにしていくのか、大体目算があるわけでしょう。もし設立も間近で、とにかく十月までにもう半年しかない。五、六人集めてそしてやっていこうというには……。
  257. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) この問題でございますが、仰せのように、大臣の任命でもございますし、また将来の問題でもございますわけでございまして、それまでの間に十分に慎重に検討をいたしまして、最も適任者を選んでいただくようにしたいと思っております。
  258. 安田敏雄

    安田敏雄君 私はとかく公団事業団の理事長理事にまつわるいろいろの問題が、過去幾つか発生しておるわけですよね。昨年も問題になりました機械開発公団等の問題もあるわけなんですよ。しかも、まあ特に最近の週刊誌の朝日ジャーナルか、あれを見ますというと、まるで理事長は総理大臣に匹敵、それ以上の報酬を受けておる、こういうようなことが出ているわけだ。ですから、そういう点で、これはどなたを任命するとかいうことについては、これはわれわれも、行政上の意思決定の問題ですから、われわれとしては容喙するところはないわけですけれども、そういう世間がいろいろ取り上げている問題などで、きわめて慎重を期せられたいという意味から申し上げたわけでございますが、そこで理事長の給与というようなものは、理事理事長、監事ですか、で非常勤の理事七人、大体この報酬関係はどのくらいを予定しているのしょう。
  259. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) これもまだ基金ができるからのことになりますので、腹案をどの程度ということも考えておらないのでございますけれども、一応の目安としましては、御承知のように公団その他ABCくらいのクラスまで分けられると思いますが、その一番低いほうのクラスになるのではないかというように考えております。
  260. 安田敏雄

    安田敏雄君 私は、この点おかしいと思うのです。こういう法案を出す以上は、少なくとも協会の年間運営費が、もう四月から始まるのですから、大体どのくらいだ。そしてそのうち一年間運営する、そうすると、その翌年はまた政府のほうから金を出してもらう。大体どのくらいを出すか。毎年々々政府がこれを補てんしていくのか。最初の三億五千万円だけ出すわけじゃないでしょう。あと事業をやっていくわけじゃないのだから、それを三億五千万円、まあ最大七億集まっても、この金は始終出しているのだから、これに利息がつくわけじゃないんです。そうすると、これは勢い政府のお金でまかなっていかなければならないということになるわけです、この台所は。だからそのくらいの、大体はっきりきまらなくとも、これだけの人たちに報酬をやって、それからいろいろの運営をしておったならば、年間経費がどれくらいかかる、そのうちの役職員の取り分はこれくらいだというくらいの概算の見通しがなかったらおかしいですよ。でなかったら、われわれこの法案は賛成でも、通すわけにはいかなくなる。
  261. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 大体の試算をしている程度でございまして、まだここでお話を申し上げるのが適当かどうか判断に苦しむわけでございますが、まあ大体一般管理費といたしまして四千万円余りを予定いたしております。
  262. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連して。こういう新しい事業団を作る場合に、そのもくろみの、しかも内容としてその協会の収入はどれだけの積数によって、手数料収入がどれだけあって、支出としては管理職はどのくらいを予定し、雇用する職員にはどれだけを支払うという、総体の事業の計画がここで示されずに、これで私たちは審議を尽くしたとは言えない。その点の腹案がなければ、法律はまだ通すわけには参りません。納得のいくような説明を求めます。
  263. 大森創造

    ○大森創造君 これは私は趣旨としてはけっこうだと思っていたけれども、今の安田さんとの質疑応答を聞いておるというと、これは何かこの法案の、準備に対してどうもあまりにずさんなんだけれども、この法律ができる根拠というのは、何か圧力団体でもあって、理事長役員を作るので、林野庁こんな法律でも作ったらどうかというので、どうもこれはむぞうさにぼうんと作ったわけですか。あまりといえばあまりにずさんですよ。渡辺理事の言ったとおりですよ。おかしいですよ、これは。
  264. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 確実なことを申し上げかねると申し上げたのでございまして、大体の腹案を御説明をいたさせますので、お聞き取りを願います。
  265. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) いろいろの前提によって異なることかとも思いますが、一応職員三十人見当といたしました場合には、さっき申し上げました一般管理費といたしまして四千二百万円見当、その場合の運用益といたしましては四千九百万円見当、かように考えておりまするが、もちろん今後細部決定いたしまするまでにこの職員数等につきましては、なるべく簡素、能率的なものにして決定をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  266. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 今の説明じゃ、さっぱり小学生に言うているようなもので、一体収入財源の積数の根拠はどうして四千二百万になったのか。その見合いの支出として職員三十名はわかりますが、その三十名の職員の人件費がどれだけで、管理職は一体どれだけを見、そのほかに業務費あるいはその他の総務費・現業費用等をどういうふうに見てこの年間の収支を立てたかを、もっと計数的に納得のいく説明をしてもらいたい。
  267. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 職員の三十人の場合の数字について申し上げますると、まず収入でございまするが、利息収入といたしまして三千八百八十万円、これはラウンドにいたしまして三千八百八十万円、これは普通預金だとか定期預金、有価証券等を一応考えております。それから違約金収入といたしまして一千百万円、保証料といたしまして三千六十万円、雑収入九十万円、合計いたしまして、ちょっとラウンドで違って参りまするが、八千百四十万円。そのほか経常外の収入といたしまして、求償権の償却の準備の戻入といたしまして二千九百四十万円、かように考えております。これに対しまして、支出の点におきましては、業務の委託費、これは先般来御説明いたしましたように、債務保証をいたしまするにあたって、各現地の業務を各融資機関に委託するという建前でございまするので、これは業務の委託費といたしまして約三百万円、これは保証料の一〇%という見込みでございます。一般管理費といたしまして四千二百万円、そのうちで人件費が二千七百十万円、このうちで役員分といたしましては七百六十万円、その他が千九百五十万円。それから一般管理費……。
  268. 安田敏雄

    安田敏雄君 ちょっと今説明を受けたのですが、一応それだけの試算書が出ておるわけですから、初めて出発する協会です。ですからその試算書は、これは実際の場合と違うことは承知しております。しかし、試算書がある以上、やはりちょっと出していただきたいと思います。
  269. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 資料はあとで出してもらうことにして、きょうは口頭で説明を続けて下さい。
  270. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) それから一般管理費の中で、人件費以外の事務質的な管理費といたしまして千五百万円、これは職員三十人と想定いたしますると、一人当たりがさような事務費が五十万円かかるといたしまして千五百万円、その他の雑支出といたしましてこれは保証料の五%程度を見込みまして百五十万円、合計いたしまして四千六百七十万円。それから経常外の支出といたしまして、さっき収入でも申し述べましたとおり、求償権の償却の準備金といたしまして二千九百四十万円、そのほか求償権の償却といたしまして二千百万円、合計経常外支出が五千四十万円、それで差引いたしますると、当期の損失、不足額といたしまして千三百六十万円見当ということに一応予定いたしております。
  271. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこでね、実はこの資料を見ますと、たくさんのほかの、もうすでに、既設の漁業信用兼金協会だとか、あるいは畜産振興事業団とか、開拓者融資保証協会というのがあるのですよね。これらの役職員の給与はきまっている。きまっているのですよ。ですから、大体これと肩を並べていくのだというならね、大体その理事長以下の非常勤までの手当わかるわけでしょう。報酬、手当。これ以上きっと上に出てこない。上にいくとは限らない。
  272. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) ただいま私どもが役職員の手当として一応考えておりますのは、先ほど長官お話ししましたように、政府公団、公庫その他の各種機関がございますが、そのうちのまあ大体Cクラスという最低で、理事長が月額二十万円見当、それから常勤理事が月額で十五万五千円見当、それから常勤監事が同じく月額で十二万五千円、それでそれを大体……、
  273. 安田敏雄

    安田敏雄君 非常勤。
  274. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) 非常勤につきましては、大体これも各種政府機関がいろいろございますが、私どもとしては、大体年額五万円程度のまあ一応……。
  275. 安田敏雄

    安田敏雄君 年額ですね。
  276. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) はい、これは年額でございます。その程度のことを考えております。これはいろいろな畜産振興事業団その他各種のやつを比べまして、そのまあ大体Cクラスの標準を一応私どもは想定をいたしておる次第でございます。
  277. 安田敏雄

    安田敏雄君 先ほどのね部長の説明の中で、運用費四千九百万、これで大体一年間の台所をまかなっていくのですか。これは、赤字を出さないようにやっていくという方針には違いないと思いますがね。よく公団公社経営から見ますというと、みんな赤字出しているのですな。その翌年においてはちゃんと予算要求をしているわけですよね。私らは、たとえこういう政府の国民に対するいろいろのサービス事業としていろいろなものをやりますがね、確かにこういう政府機関事業というものは、基本的にはですよ、それはもうける必要もないのだが、赤字があってはならないということなんですよ。原則は赤字を生じてはいけないということなんですね。そういう見地からいって、これでいけばまあ大体赤字を出さないで済む。それで来年からはこの基金の金だけでその役職員の給与その他職員の給与を全部まかなって、翌年は政府のほうから何も出資はいただかなくともできると、こういうようなことで発足しているのですか。
  278. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) さっき申し上げました数字は、発足の年ではなしに、大体通常に年間事業を運営いたした場合の数字を申し上げたわけでございます。それで、なおはなはだ恐縮でございますが、最後に収支の差額で申し上げましたのは千三百万の黒でございます。したがいまして、正常の利息収入等による収入額でもって運営費をまかなって参るという原則を貫いて事業が運営円滑にいくような年度におきましては、そうような見込みでもって運営して参りたい、かように考えるのでございます。
  279. 安田敏雄

    安田敏雄君 それは七億円に対してのまあ試算書になっているわけですね。七億円に対してのね。
  280. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) さようでございます。
  281. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連の質問です。資料はいずれ出してもらうことになりましたから、その資料を見ないと、聞き取りだけでは数字の聞き違いもあると思うのですけれども、私はこの収支の見込みの中でお伺いしたい一、二点は、保証手数料収入が三千六十万があるわけですね。で、その仕事をやる場合に、かなり足を持っていないこの組織とすれば、業務委託がウエートが非常に運営上大きな仕事になると思うのですが、この業務委託費が保証料の一〇%ですか、三百万はね、で、これは非常に低いのじゃないかという気がするのですね。で、他の公団等で委託する場合の委託料は、保証料の何%になっておるのか。それらの比較でおきめになったと思うのですが、それであまりそれに差異がなければ、まあ妥当だということにこちらも理解できると思うのです。その点をお伺いいたしたい。  第二点は、今の説明の理事報酬は、説明だけでは常勤は五百七十六万、で、このほかに非常勤理事が何名ありますか、十名あっても五十万、あと説明がないのは、その差額はたとえば退職手当を毎月給与の六割五分を計上してこれらの総額が七百六十万になるのか、そういう点の説明は聞かなければ出てこないような説明の仕方では、非常にどうも不十分、親切を欠いていると思うのです。  それから当期の差引きが赤であったり黒であったり、いやしくもこういう大きな金額が赤だか黒だか資料を見間違ったりするようなそういうお粗末な構え方では、はなはだどうもうまくないと思うのですが、まあそれはさておいてお伺いいたしたいのは、この経常外収支の求償権償却の準備の二千九百四十万、これの概算の基礎をお伺いいたしたい。その三点をひとつ。
  282. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) まず第一点の保証料がお話しのように大体一割でございます。で、これは私どもの今度の基金は全国団体でございまして融資機関に委託をすると、こういう新例を開いております。ほかの大体債務保証機関、みな県ごとにできておりますから、みな直接やるということですが、そこでこれに似ました先例というのは、畜産事業団が全国団体で一部債務保証事業やっております。ただ畜産事業団につきまして調べてみましたところ、その保証料というものを融資機関にやっているようではないようです。で、私どもは別に民間金融機関にもお願いするわけですから、全然無手数料ということではいかがかと思いますし、ただ問題は、私ども考え方は、非常に少ないようでございますけれども、まあ融資機関がみずから融資をする、債務については私どもが債務保証すると、そういうことでございますので、まあ融資機関のほうといたしてもメリットが出せる、自分で金を貸すのだから調査もなさるということで、まあ一〇%という程度の保証料を差し上げるという一応の計算にしてございます。  それから第二点は人件費の点でございますが、先ほど申しましたのは月額で申しまして、それは大体年間にいたしまして三・七ヵ月分のボーナスも込めまして、積算の基礎は一五・七ヵ月、まあ公務員並みの一応のボーナスをやるということで想定しております。それで、したがいましてそれらを合わせまして、なお非常勤の役員を入れまして大体役員給与は七百五、六十万円になるわけでございます。それからその他は千九百万円見当は職員の三十名分の人件費になっております。それで退職引当金その他のあまりこまかい計数までは、私どもまだ算入しておりません。  それからもう一点の求償権の償却準備金につきましてのお尋ねがございましたが、これは一応私どもの例といたしまして、まあ似たようなもので一応信用保証協会の従来の過去五ヵ年間のいろいろ事故率等を検討をいたして、そこで具体的に何と申しますか・金額が、代位弁済を債務保証機関がして、そして結局その後求償するわけでございます。その求償事故率を見てみますと、大体〇・五程度になっております。そして一応私ども準備金としては、安全率をみまして〇・七%見当を計上いたしまして、それはどういう計算をしますかと申しますと、基金の七億の平均の残高を一応六倍といたしまして、それに対して〇・七%をかけますとこの二千九百四十万、こういうことに相なるのでございます。
  283. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 四十二億の〇・七%ですね。
  284. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) そうでございます。
  285. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 わかりました。
  286. 安田敏雄

    安田敏雄君 役職員の問題について聞いたわけですが、全体の試算書のこまかいのをひとつ見せていただきたいと思います。  それから次に移りますけれども、しかし私はここで申し上げたいのは、午前中の質問にもありますように、たくさん農林省の中にいろいろこういう協会を設けたり、事業団を設けたりするということは、これは感心したことじゃないですよ。これはもう与党側でもきっとそう思うだろうと思うのですよ。これはしょせんずっと洗ってみますと、みんな各省の局長以上の卒業近い人たちがみんな入っているのですよね。これは事実なんです。私は要求もしないけれども、実際機会があったら明らかにしてもらいたいのは、戦後農林省局長以上の人たちで、一体政界、国会議員になっている方が幾名、こういう事業団へ転出した人たちが幾名、農村の末端へ行って実際農業振興のために豊富な経験を生かして指導している人が幾名か、株式会社へ行って、嫁に行った人が幾名かということをほんとは聞きたいのですよ。こういうところみんなお役人ですよ。林業の経験者は評議員にはなるけれども、こういうような中心部へすわる人はいない。実際世の中の経済の第一線へ、生きた経済の中へなまの経済の中へ立ち向かっている人はいないのですよ。だからそういう意味で、こういうものはむしろ整理すべきにもかかわらず、役職員に二十万円もの、国会議員以上ですよ。交際費もらって自家用車でしょう。しかもこの公団公社人たちが実際一週間詰めている人はいない。一週間に一ぺんか二へんしか出勤していない。事実上はそういうような現状の中でこれをふやしていこうなんという考え方は、これは逆転なんです。今日みんな合理化合理化で、各民間会社に行ってごらんなさい。こういう部を整理して、そうして機械化していこうとしている。それと逆行するもはなはだしいですよ、こういうものをたくさん置くのは。それであんた、いろいろ質問の中にも今度の合併案にあったけれども林業労働者についてはきわめて苛酷な労働条件、安い賃金でもって、そうしてこういうところにあぐらをかいている人たちは、あぐらをかいているといっては語弊があるかもしれませんが、真剣にこの林業者林業の振興ということに取り組まないで、こういうような基金の中に温存されているということは近代政治のあり方じゃないのです。そういう意味において私はこれに非常に関心を持っているわけなんですけれども、午前中の大臣との質疑答弁もあったので、その点についてはもうこのくらいにとめおきますけれども、十分反省してもらいたいと思うわけでございますが、こういうような私の意見について、政務次官ひとつどういう考え方か、基本的な考え方を御披瀝願いたいと思います。
  287. 大谷贇雄

    政府委員(大谷贇雄君) 各省に公団を作るようなことが多過ぎるというようなお話しでございまして、これは行管のほうでもただいま検討をしておるのでございますが、今朝大臣も申しましたように、この林業信用基金制度は特別の措置でございまして、専門的な立場から必要である。こういうことで御提案を申したようなことでございますので、御了承を賜わりたいと存じます。
  288. 安田敏雄

    安田敏雄君 そういうような答弁じゃ納得できないんですがね。もしいろいろ特別だというなら林業省を作ればいいし、漁業省を作ればいいし、農業省を作ればいいんですよ、仕事がそれぞれ別であって広範にわたっているというなら。それをやはり農林省という中でずっとしていくのは、枝葉をたくさん作ったって、林業者はそんなに利便を受けるものじゃないですよ、実際。まあこの辺にしておきましょう。  それでもう二、三お尋ねしたいのですがね。設立委員の項ですが、設立委員は大体どのくらい置く予定なんですか。
  289. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 大体六、七人程度考えております。
  290. 安田敏雄

    安田敏雄君 この基金が成立すると同時に、設立委員委員会を解散するわけですが、いつごろまでに見込んでいるのですか。
  291. 吉村清英

    政府委長(吉村清英君) 大体基金の発足の見通しとして十月と考えておりますので、大体そのころまでと考えております。
  292. 安田敏雄

    安田敏雄君 あのね、そこなんですよ。先ほど五億円に満ちたときに発足すると、それが十月だと、これは五億円になるまでということになると、十月ごろに合致するわけなんですけれどもね。だから私が聞きたいのは、五億円には拘泥しないで、政府の出資三億五千万円が満ちたならば、もう三億五千万円もあれば、実際としては営業開始できるんでしょう、営業というか、取り扱い開始ができるはずなんですよ。あと一億五千万円足りないからといって、保証行為ができないものとは限らないと思います。ですからそういうような点を考えたときに、この設立委員を十月ころまでというのは少しゆうちょう過ぎるのではないか。別に発足してからでも、あと七億円満たすためには設立委員会が解散したあとでも、まだ増資をしなければならぬのでしょう。増資をしなければならぬ行為が引き継がれるわけですよ。ですから、何も五億円に満ちて十月に発足するまでとか、そんなゆうちょうなことではどうもおかしい。納得できないと思うのですがね。
  293. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) この債務保証の仕事は、民間の出資を待って開始するわけでございますので、政府出資だけでは無理かと考えております。
  294. 安田敏雄

    安田敏雄君 それなら民間のものをもっと督励して、県なら県でもいいですよ、そんなの一ヵ月くらいで集まるでしょう、農林省の命令で県は出資せよと言ったら。
  295. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) これは極力早く出資してもらうように努力をいたしたいと思っております。
  296. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで設立委員ですが、これはどういうような人が任命されるのですか。
  297. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 具体的にまだ予定しておりませんが、こういう方面に十分知識もあり、経験もあるというような人の中からお願いをしたいと思っております。
  298. 安田敏雄

    安田敏雄君 設立委員の任務はきわめて重要なんですよ。したがって、こんな重大な基金を作り上げる設立委員なら、無報酬で使うわけにもいかないでしょう。かなり専門的にやらなければならぬわけです。そういうような人に対する、六ヵ月間なら六ヵ月間の手当の支給問題もございます。で、将来この設立委員がそのまま自動的に横すべりして理事長理事等の役職につくことになるのですか。
  299. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) いろいろ、その期間こういうまことにむずかしくまた繁雑な業務をお願いするのですから、実費程度については考えたらいかがかと、かように考えております。
  300. 安田敏雄

    安田敏雄君 この法律の施行は法律が通ってのち九十日以内というのですから、大体六月以内になりますね。そうしますと、とにかくこの法案を、委員長は、きょうにも上げようというのですから、相当農林省当局は急いでいるわけです。急いでいるとしたら、もう設立委員の大体アウト・ラインくらいは、私は準備期間もあるのですから、ですから、少しは交渉もしておるだろうし、名前の発表くらいできなければならぬと思うのですがね。どうもそういう点もなかなか手抜かりだろうと思うのですよ。法律を急いで、これきょう通って次の本会議通れば、六月、九十日こえない範囲内において施行されるのですよ。そんなゆうちょうなものだったら、何もこんなに急いで通すことはない。あまり急ぐ必要はない。委員長のほうからきょう上げてくれ、きょう上げてくれと言ったって、そんなのんびりしたのじゃ上げたって意味がない。
  301. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) これは設立をいたしますまでに、業務方法書から定款から、すべてここに条文にも書いてございまするが、相当の業務量、種類のやるべきことがございまするので、なるべく早く法案を御審議いただきまして、そのような本格的な準備体制に早く入る。もう一つ、それから民間からの出資の点につきましては、かような法案が成立する見通しを得た上で、各県なり関係業界とも連絡をとって、確実に予定の時期までに出資の実現をいたしたい。その意味におきましてもなるべく一日も早くということをお願いしておるわけであります。
  302. 安田敏雄

    安田敏雄君 私は、設立委員がどういう経験のある人たちがなるのか、あるいはまた手当をどのくらい出すのか、とにかくまあ相当長い間その機関にすわらなければならぬわけです。無報酬で使うわけにもいかないでしょうということです、それを聞いているわけですよ。  それからもう一つ、たとえばこの法案が通ったら、業務方法書を作ったり何かということをあなたに言っていますが、附則をごらんなさい、設立委員が業務方法書を作成するのですよ、それはあなたたちが原案を書くかもしらぬけれども、この附則にはちゃんと設立委員がその定款、業務方法書は作るのだと書いてある。そして農林大臣の認可を受けなければならないとしてある。だからできるだけ早く発足していこうといって、各林業者からも県からも出資を取ろうとするには、できるだけ早いこういう準備行動というものは必要なんだ。しからばその一番早く任命しなければならぬものは設立委員なんですよ、そうでしょう、原案は、それは林野庁当局が作成するかもしれぬけれども、設立委員会のほうでよろしいという最終的のものがなければ、農林大臣の認可を受けることができないのですよ。だからそのくらいの急いでいる法案であるといってやろうとするには、もうそういう委員のあらかじめの選定ぐらいは、これはもう当然あってしかるべきだろうと思います、あえて名前を聞きませんけれども
  303. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) いずれにいたしましても、まだ具体的に進めておりませんので、法案審議をお進めいただく過程でなるべく早く準備をいたしたいと思います。
  304. 安田敏雄

    安田敏雄君 これは無報酬で使うのですか。
  305. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) さっき申し上げましたように、設立委員のいろいろ努力に対ましては、実費程度のものはお支払いいたしたいという気持でございます。
  306. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連。こういう法案を最終的に審議する際に、事務的な答弁で非常に何か緩慢な感じを与えている。しかしわれわれはやはりできるだけこの法案審議を終了して上げるというかねての方向で一生懸命努力をしておるのですが、それいうときに林政部長がしばしば立って説明したりするということをよそごとのように見ているようなことじゃ、そういうときこそ政府の責任者として政務次官が基本的な態度をわれわれに示して、そうして納得のいくようなやはり基本的な態度によって促進をするような気がまえを示してもらいたいと思いますがね、何かとにかくもう事務的に理事会が話し合いがついたから上がるのだ、あと五分か十分たてばいいじゃないかということでは、私は済まされない。安田委員一つの基本的な姿勢を聞いているわけですよ。少なくともそれは安田委員個人が言うているのではなくて、国民のやはり代表した形で問うているそのときに、事務的にはかなり弱いようなところがあったら、これをあなたがもう少し大乗的にこの法案を積極的に通すという意欲で、答弁にみずから立って当たるというくらいでないと、一々大臣を呼ばなければまた話ができぬということでは、これは困るのじゃないですか、どうですか、政務次官。
  307. 大谷贇雄

    政府委員(大谷贇雄君) よくわかりました。
  308. 安田敏雄

    安田敏雄君 私は、こういう基金の設定の場合においては、これは政府の金を使うだとか、県の金を使うだとかいうことじゃ済まされないですよ、もとはみんな国民の膏血をしぼった税金なんですよね。ですから、こういう基金の将来の健全な運営をはかろうとするとにかく出発点に当たっているわけですから、しかもそれが中小企業を中心とする林業者のその所得の向上に結びつくというところに最大の眼目があるわけです。基金の運用に眼目があるわけじゃないのですよ。ですから、そこのところでお聞きしているわけです。  それから、その次、お聞きしたいのは、この評議員会ですがね。これはまあ出資をした林業者とそれから学職経験者で構成するようになっておりますがね。その二十人以内の比率はどの程度に考えているのですか。
  309. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 一対二の比率にしております、考えております。
  310. 安田敏雄

    安田敏雄君 二十人以内ですから、二十人の場合にはどうなるのかな。
  311. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 学識者は、そうでございますね、三分の一ぐらいになります。まあはっきり割り切れませんが、大体そういう見当で考えております。
  312. 矢山有作

    矢山有作君 大体今まで見ていると、こんな事務的な問題で答弁がすぱすぱとできぬことでどうするのです。物事の考え方の相違じゃないしね。もう少しちゃんと、事務局たくさん来ておるのだから、このくらいの答弁はもう少しスムーズにいくようにせぬと、審議促進しろ促進しろというだけじゃ、促進にならぬよ。もう少し長官に協力するなら協力して答弁のしゃっしゃっしゃっとできるようにしなさいよ、少し。
  313. 安田敏雄

    安田敏雄君 これは、評議員会の役割はきわめて、これはまあ民間会社でも、あるいはそういう政府機関でも重要なことですがね。まあ林業者から入れることはいいんですがね。これは何というのですか、林業者でも、できるだけまあ何というのですかな、県やなんかそういうところを入れないで、むしろ実際に山村でやっぱし林業経営している森林組合の代表みたいな人たちのほうを入れることのほうが適切じゃないかと思うのです。実際金を活用するほうですから。保証するほうの側は、これは国の監督があるわけですから、まああまり必要がないと思うのですよね。そういう意味合いでこれだけは注文しておきます。  それから次に、罰則を見ますと、いろいろまあ、何とかいろいろありますがね。懲役五ヵ年だとか何とかということがありますがね。三年とか五年以下の懲役に処するということがある。これはまずこういう醜い行為をした者は、もう最初から依願退職というようなことじゃなくて、免職というような強硬的なものが基本的になるのですよ。あとは懲役その他の問題は、これは裁判所の判定の問題なんでね。ですから、基金としては、協会としては、もう醜い行為をした者は、直ちに免職すると。あとの罰則なんという、こんなものは法律に従って裁判所がきめるものです。裁判所が十年にしたって、十五年といったって……。ところが、免職の問題は一つも出ておらない。
  314. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 御指摘の点は、これは基金内部の服務上の問題でございまするので、法案とは別個に、成立いたしました後におきましては、さような服務の準則、かようなものを定めて、法規の厳正なる執行については留意いたして参りたいと思います。
  315. 安田敏雄

    安田敏雄君 それから次に、ぼつぼつ終わりますけれども、この運用について、協会の保証の運用について、これは地方には取扱機関設けないわけですからね。これは金融機関だけが業務方法書によって取り扱うわけですよ。そうしますと、この金融機関はなかなかそれは実際問題として、右から左にオーケー言うわけではありません。業務方法書について、細心の注意、異常なまあ容喙をして、そしてその業務方法書が実際のこの中央の信用協会に来ますというと、またそこでも相当の時間がかかるということになると、おそらく三ヵ月か四ヵ月くらいかかっちゃうのだろうと思うのですよね。これが大体の今までの傾向なんです。しかし、これはできるだけ短期間でもってそういう手続からその現金が林業者の手元に入るまでしなければならぬ、こういうように思うのですがね。大体その取り扱いの運用の、実際現金が利用者に届くまでの期間は、申し込みから大体どのくらいを見ておるのですか。
  316. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) まあ、短期の運転資金の問題でもございますので、極力早くできますように指導をいたしたいと思っております。
  317. 安田敏雄

    安田敏雄君 この点についても、やはり銀行に窓口を開いたわけですから、銀行協会あたりと十分意見を整えてもらいたいと思うのです。その点は特にお願いしておきます。  そこでぼつぼつ終わりになりますが、これは担保を取らないのですからね、原則として。したがいまして、求償権の行使方法というようなものが問題になってくるわけですよね。これについての構想はどのようにお考えになっていますか。求償権の行使方法の決定の問題です。
  318. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) すみやかに答弁して下さい。
  319. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) これは在来の同種の機関等の例も参考にいたしまして、具体的には考えたいと思いますが、今考えておりまするのは、二、三ヵ月の期間でもって返済されない場合には、さように求償権の問題になろうかと、かように考えております。
  320. 安田敏雄

    安田敏雄君 短期資金の場合、一年ですね。一年以内ですからね。借りて一年三ヵ月たっても払わないときにはと、こういうことですか、具体的に言えば、求償権の行為をとっていくと。
  321. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) さようでございます。
  322. 安田敏雄

    安田敏雄君 それ以外にはないですか。
  323. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) それ以外と申しますというと……。
  324. 安田敏雄

    安田敏雄君 これの利用者というのは、一年たって払われないような場合には、すぐ銀行に行って手形を書きかえをするわけですよ。また三ヵ月なり六ヵ月の手形の書きかえを。そうすると、あなた、三ヵ月たったって、銀行がそれを手形に書きかえしてしまえば、求償権の発動をしたってどうにもならぬでしょう。
  325. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) ちょっと御質問趣旨を聞き漏らしましたが……。
  326. 安田敏雄

    安田敏雄君 一年たって、借りた金の返済がない場合の求償権はどうするかという場合ですよ。その場合に、三ヵ月たったら求償権の行使の発動をするということですよね。それだけでは今度済まされなくなるのですよ。そんなものは、求償権としては空文にひとしいものになっちゃう。金融機関はその債務者が払わない場合については、これはまた行って手形を書きかえることができるしょう、利息だけ払えば。三ヵ月たって、また三ヵ月たっても、また次の三ヵ月もやりますよ。そうしましたときに、求償権を発動したって、これはどうにもならぬじゃないですか。回収がつきませんよ。
  327. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) お答えいたします。こういうことです。結局債務の履行の返済期が来まして、そして一定期間支払いがない場合には、基金が代位弁済をするわけです、自分が保証をしておりますから。代位弁済をしまして、それから先ほど申しました一定期間どうしても取れないといって銀行からのあれがありますと、銀行からの要求によって代位弁済をして、そして弁済をしたあとに求償権の行使で代位弁済をしましたので、そういうことになります。ですから、今おっしゃるように、手形で更新をするというようなお話しですが、それが済みませんと、銀行でも前の借金を自分でも二割持っておるわけですから、そう簡単には手形で更新というふうにはいかないと私は考えております。
  328. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうすると、基金が立てかえ払いをする、そうすると、今度は貸借関係金融機関を除かれて林業者基金との貸借関係になるわけですね。
  329. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) それは主としては八制そうでございます。債務保証八割分はそうでございますが、二割分は金融機関でございますから、八・二の割合で一応債権共同の求償権を持つわけです。
  330. 安田敏雄

    安田敏雄君 その場合に、銀行はもう自分の分だけ二割取ればいい、保証協会は八割負担するわけです、立てかえ払い……。そうすると、保証協会が取れなくなれば損害になるでしょう。そのときの、そういう場合の求償権はどうなるのですか。
  331. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) それはまあ、これは要するに業務の委託契約の内容になるわけでございますが、一応私ども考え方では、八・二の割合にありますから、たとえば十万円入ったとしますと、二万・八万の割合でやっていく、こういうふうにいくのではないかと考えております、ただいまのところは。
  332. 安田敏雄

    安田敏雄君 ちょっと甘いな。だけれども、未済のやつを銀行が自分だけ二割払いますよ。ところが残りの八割を保証協会に肩がわりしてしまっておいておけば、あとは担保を取っていないのだからどうにもならぬ場合が出てきますよ。今度は銀行は責任ないのだから、立てかえ払いをするといったんだから、さっき協会が。その場合の一体求償権はどうなるのですか。
  333. 黒河内修

    説明員(黒河内修君) ごくそれはおっしゃるようなことはレア・ケースとしては出て、現実には代位弁済をしても、どうしても焦げついて取れないという、こういうことは絶無とはいえないと思います。
  334. 安田敏雄

    安田敏雄君 私はこの基金の性格が長期のものならいいんですが、短期であるから、そういう心配をよけいにするわけなんですよ、短期資金ですからね。長期なら金を出しても計画立てて年賦均等償還とかいろいろ方法がありますからいいのですが、短期ですからそういうよけいな配慮をしなければならぬ。こういう結果から聞いたわけですが、まあいいでしょう、その点で。  そこで最後に政令のところでお聞きしたいと思いますが、配付せられました政令の二でも三でもいいわけですがね。これで取り扱い事業量の総額がどちらも一千万円以上になっておるわけですね。ところが、このうち現在の森林組合でもって、合併のときに質疑したんですが、一千万円以上のものは活動組合の千に幾つかのうち二百七十件くらいしかないわけですね。そうすると五百万円以上のものは要するにこれから省かれるわけです。一千万円以下のものは省かれるわけです。金融の対象にもならぬわけですけれども、またこちらのほうの保証を受けるほうの対象にもならぬということになるわけですね、そうでしょう。
  335. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) これは融資機関といたしましては……
  336. 安田敏雄

    安田敏雄君 いや両方そうでしょう。
  337. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) ここに書いてある資格要件をおおむね考えておるわけでございますが、融資を受ける、債務保証を受ける対象につきましては、これは第二条の一項でございます。したがって第一項によりますれば森林組合はすべて対象になる。
  338. 安田敏雄

    安田敏雄君 間違いました。その第二条の三です。三の場合ですね。それば私は今間違いました。申しわけございませんが、しかし金融機関として一千万円以上でなければ資格が生じない。そうすると現在の森林組合では二百七十しかないわけでございまして。しかしこの前の資料でいただいたのは五百万円以上は、活動組合としてあなた方が認めておるわけです。そうすると五百万円以上が六割以上あるわけですよ、森林組合が。そうすると当面暫定的に事業量が一千万円を割ってもやはり五百万円以上の活動組合であるならば、そういう金融機関としての一応の指定は暫定的にあっていいというその配慮が必要だろうと思いますが、そういう点についての取り扱いは絶対のものですか、この政令は。
  339. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) この融資機関となりまする以上は、これは金融業務でございまするので、その点で債権確保、保全という見地もございまして、おおむねここに書いてあるような基準でもって基礎の確定また信用のおける森林組合を指定いたしたい、かような考え方でこの政令案を考えておるわけでございます。
  340. 安田敏雄

    安田敏雄君 今信用金庫及び信用組合の実態を見ますと、信用組合というものは、資本金出資額三百万円から知事認可になっておるのです。あの日本一の、銀行の中心の、銀行法が変わっておらぬですけれども、銀行法によっても、日本銀行の出資額は一億円ですよ、これは時代おくれですけれども。そういうように三百万円になっておる。それで大体今の出資額は五百万円くらいのところでもって、政府の商工組合中央金庫の扱っておるそういう出資額の点においてそうなんだけれども、しかし林業については少なくともそういう信用組合なんかで考慮するという以上は、これは事業量が、出資額と違いますけれども、とにかく一千万円まあちょっと割ったくらいであっても、やはり弾力性を持たしたほうが林業者の利用に私は適するんじゃないかと思いますがね。
  341. 厚味荘之助

    説明員厚味荘之助君) 御指摘の点もございまして、さらにこれは最終的に政府令に定めますまでに慎重に検討して参りたいと思います。
  342. 安田敏雄

    安田敏雄君 検討でなくて、森林合併法を制定し、こういう基金法を作る以上はやはり暫定的にそういう私は取り扱いが必要だろうと思うのです。しかもこの組合のうちで千以上をあげて、これが何というんですか、活動組合だと、こうあなた方は推奨しておるわけですが、その推奨しておるものくらいは、この金融機関の列の中へ配慮すべきであろうと、こういうふうに思って質問申し上げたわけです。そのように配慮でき得るのですか。
  343. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) 先生先ほど来お話の出資金につきましては百万円というレベルで考えております。事業量は大体一千万円以上ということで考えております。そういうことで、御指摘の点もございましたので、これは将来政令の段階で十分検討をして、慎重にきめて参りたいと思います。
  344. 安田敏雄

    安田敏雄君 この規定でいきますと、森林組合が三千七百十八とかあるうち二百七十六しか資格がなくなるんですよ、事業量だけの面で考えれば。だから、林野庁で推奨しておる活動組合と言われるものの中で、できるだけ百万円に出資の総額が近いもの、役職員が何も五人いなくとも四人でも、あるいは一千万円にかなり近かったら、それくらいの配慮をしてやらなかったら、地方の林業者が、山の林業者が借りることができないじゃないですか。そんな人が取引のない銀行に行ったって、担保か何かなければ借りられませんよ。銀行は取引している人じゃなきゃ貸さないだんから、新しい人が行ったんでは。
  345. 吉村清英

    政府委員吉村清英君) ただいまそういうことでございますが、将来合併等が進みまして逐次数もふえて参ってくることでございますし、また御注意の点につきましては、十分私ども検討をいたしたいと思います。
  346. 安田敏雄

    安田敏雄君 ほかにも質問がありますけれども、大体この辺で……。
  347. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 他に御発言もなければ、これにて両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  348. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。両案について御意見のある方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。  別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  349. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  350. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記起こして。  御異議ないと認めます。これより採決に入ります。  森林組合合併助成法案並びに林業信用基金法案、両案を問題に供します。両案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います   〔賛成者挙手〕
  351. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 全会一致でございます。よって両案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  お諮りいたします。ただいま可決されました両案に対し、委員長及び理事打合会で協議の結果、それぞれ附帯決議を付すことにきまりましち。案文はお手元に配付いたしたとおりでございます。案文を朗読いたします。  「森林組合合併助成案」附帯決議(案) 一、政府は、可及的速かに、農林漁業基本問題調査会及び中央森林審議会答申等を尊重し、かつ、農業施策との関連をも考慮しつつ林業政策の根本方針を確立し、これが実施のため必要な立法措置を講ずべきである。 二、政府は、本法の施行に当り、合併後における組合の規模の基準については、地方の実情に即し、努めて弾力的に運用するとともに、財政的援助については、農協等の例に準じて配慮すべきである。   右決議する。  「林業信用基金法案附帯決議(案)  政府は、林業金融実態調査検討し、速かに木材の生産流通の整備改善に万全の措置を講ずるとともに、これがため必要な金融に遉憾なき措置を講ずべきである。   右決議する。  両案附帯決議案を本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔替成者挙手〕
  352. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 全会一致でございます。よって両決議案は、全会一致をもって、本委員会決議とすることに決定いたします。
  353. 大谷贇雄

    政府委員(大谷贇雄君) ただいま森林組合合併助成法案並びに林業信用基金法案、御可決を賜わりまして、まことにありがたく存じ上げます。  なお、ただいま両法案につきまして、附帯決議を御決定相なりましたが、この御趣旨はきわめて適切でございますので、十分にこの御趣旨に沿いまするように善処をいたす覚悟でございます。
  354. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一仕願いたいと存じますが、御異議ございませんが。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  355. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  本日は、これをもって散会いたします。   午後四時四十七分散会    ――――・――――