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1963-05-16 第43回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十六日(木曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石谷 憲男君    理事            小林 武治君            西郷吉之助君            林  虎雄君            市川 房枝君    委員            北口 龍徳君            沢田 一精君            館  哲二君            秋山 長造君            占部 秀男君            小柳  勇君            鈴木  壽君            松本 賢一君            鈴木 一弘君            基  政七君   国務大臣    自 治 大 臣 篠田 弘作君   政府委員    警察庁長官   江口 俊男君    警察庁刑事局長 宮地 直邦君    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○地方行政改革に関する調査刑事  警察に関する件)     —————————————
  2. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方自治法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。なお、自治大臣は十時四十分ごろ出席の予定でございますので、それまで政府委員に対し御質疑の方は御発言を願います。
  3. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 二百四十四条二項で、今度の改正で、「普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設利用することを拒んではならない。」その「正当な理由が」というのは、どういうのを指していらっしゃるのか。たとえばちゃんとした正当な手続をとった場合ならばよろしいというような、その辺の解釈をひとつ最初にお願いしたいと思うのですが。
  4. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは地方公共団体設置いたします公の施設につきましては、これを広く住民利用に供することが本来の趣旨でございますので、むしろ正当な、特別な理由がない限りは拒んではならないというほうに重点を置いて規定をいたしたわけでございまして、通常はよほどのことのない限り、今先生のおっしゃいました、ある手続がきめられておりますれば、もちろんその手続に従わないという場合は別でございますが、そうじゃない限りは広く利用させなければならぬ、こういう趣旨を申しておるわけでございます。
  5. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現行法の場合ですと、二百十二条の中には「宗教上の組織若しくは団体使用便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、その利用に供してはならない。」というようなのがあったわけですよ。それをさらに広く住民便益をはからんがために、こういうように変えていったと、そういう精神だというふうに解釈してよろしいですか。
  6. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現行の二百十二条の規定は、憲法に書いてございます同趣旨のことを念のために規定をいたしておったわけでございますが、法律上は憲法にございますので、わざわざ地方自治法に書く必要もないということで今回は落としたわけでございます。
  7. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、今回落としたということになりますけれども、この精神というものはそのままあると、しかし実際上の運営から言えば、公の施設をどんどんいろんな団体が借りにくる、あるいは住民利用したいということで、正当な手続を踏んできたような場合は、自由に——公優先になりますけれども公優先でないようなときは、あいているときは、正当な理由を持ってくる場合はきちっと貸してやる、あるいは利用することを許すと、そういうふうになっていく。特にそのあとの二百四十四条の三項に「不当な差別的取扱いをしてはならない。」というふうに載っておりますから、そういう意味じゃないかなと、私は思ったわけなんですけれども、そういうふうでいいですか。
  8. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 初めの二百十二条を落としましたことによりまして、二百十二条の趣旨を変更するものではないという点はそのとおりでございます。  それから次におっしゃいました改正案の第二項でございますが、これは先ほどもお話のございましたように、手続上、たとえば手数料を払わなければいけないということがきめてあります場合に、使用料を払わないとか、あるいはその施設定員がきめてございます場合に、その定員を超過するような場合とか、そういうような通常常識的に考えてごくあたりまえな正当な理由のない限りは、広く住民利用に供さなきゃいかぬということであり、三項はおっしゃいましたとおりに、不当な差別的な扱いをしてはならない、こういう趣旨をうたったわけでございます。
  9. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 公の施設の件はよくわかりました。  次に、事業団のことで一つ、二つ聞いておきたいのですが、地方開発事業団設置が認可された場合は、名称で地域を示すようにするのか。たとえば何々というように上へくっつけていくようにするのかどうか、その名称あたりはどんなふうに考えられていらっしゃいますか。
  10. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 名称規約で定めることになっておりまするので、関係地方公共団体協議の上で適当な名称を定めていいわけでございます。おそらく実際問題といたしますと、おっしゃいましたようにその地方名称を冠する場合が多くあろうと思いますが、その点は規約関係公共団体協議をした上で自主的にきめていただこう、かような考え方をいたしているわけであります。
  11. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま一つですが、事業団仕事内容から言って、規約の中に、一体この開発事業団一つ一つできてくるわけですが、それの事業完成をきちっと考えて計画を立てるわけです。そこで完成の年月日まで入れて、この開発事業団は何年までに仕事を終わって、解散をするようになっていくべきであるとか、そういうような完成年度ですね、解散年度といいますか、そういうものを初めから置いておかないと、中途半端な仕事にかなりなっていくんじゃないか、場合によればそういうように考えるわけなんですが、その点についてどうですか。
  12. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいましたとおりに、この事業団は特定の事業建設をいたしましたならば、あと施設関係地方公共団体に引き継ぐことになっておりますわけでございますから、規約なり、事業計画なりにおきまして、それぞれの事業についておよそ完成めどをきめておきまして、それまでにできるだけ能率的に事業を仕上げるようにいたしていくということが、適当な措置であろうと、私どもも考えております。したがいまして、場合によりましては、事業団規約の中に一応この事業団存続期間は何年間ということを定めるようにいたしますことも、法律運用といたしましては差しつかえないことと考えております。
  13. 占部秀男

    占部秀男君 二、三の点で御質問したいのですが、まず九十六条の改正の問題ですが、これは現行法では、御案内のように「地方税使用料手数料分担金加入金又は夫役現品賦課徴収」となっておりますが、今度の改正では「地方税賦課徴収又は分担金使用料加入金若しくは手数料徴収」、かように改めているのですが、これは単に字句だけの整理で、こうしたのかどうかということです。
  14. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございまして、地方税につきましては地方税法におきまして、賦課徴収法律上行為を区分して規定いたしておりますが、分担金等につきましては徴収という言葉で、いわゆる賦課も含めた意味規定いたしておりますので、ただ字句をそれに合わせたというだけでございます。
  15. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、念のために聞きますが、たとえば使用料なり、手数料なりをきめるということは、やはり議会議決を経ることになりますね。従来はそうなっていたわけですね。
  16. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  17. 占部秀男

    占部秀男君 それから、百九十九条の三ですが、今度の改正によると、代表監査委員というものが設けられ、その代表監査委員は「監査委員に関する庶務を処理する」となっております。この庶務内容の問題ですが、たとえば監査委員自体の旅費だとかあるいは諸手当の問題とか、そういった問題もその代表監査委員がきめることになるのかどうか、いろいろ運営上の費用の問題などをきめるのですか。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この庶務と申しましたのは、いわゆる内部管理事務でございまして、監査そのもの権限の行使のことを言うているわけではございません。事務局職員任免でございますとか、あるいは監査委員事務局施設管理でございますとか、あるいは監査費用予算の要求とか、予算関係の書類を整理するといったような、いわゆるほんとう庶務でございます。
  19. 占部秀男

    占部秀男君 それに関連をした事項なんですが、次の二百条の「事務局長、書記その他の職員は、代表監査委員がこれを任免する。」と、こういうことになっているわけですが、改正前の現行法では、これはどういうふうになっておりましたか。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現行法では、監査委員任免するということになっておりまして、その点が明確ではなかったわけであります。機関としての監査委員というものが任免すると、こういうふうになっておったわけでございます。
  21. 占部秀男

    占部秀男君 機関としての監査委員任免するということと、これは小さな問題のようですが、代表監査委員任免するということでは、代表監査委員権限というものが他の監査委員に比べて、非常に事実問題として、運営面から言って、非常に拡大される心配があるのですが、監査委員というものを作る以上は、やはり機関としての監査委員がこれを任免するということにして、事務運営面についての問題点については、現行法のほうがはるかに民主的でいいのではないかと思うのですけれども、そういう点はどうなのですか。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在におきましても、実際問題といたしましては、監査委員の中で、たとえば常勤監査委員都道府県等には通常おるわけでございますが、その常勤監査委員が、事実上その任免仕事をしておった場合が多いわけでございますし、今回この監査委員事務組織の整備をするということにいたしまして、都道府県には事務局を必ず置く。市についても事務局を置くことができるということにいたしました関係で、かなり職員も充実するということも予想されますので、やはりそうした庶務につきましては責任者をきちんときめておきますことのほうが、より便宜であろうという考え方で、さようにいたしたわけでございます。
  23. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  24. 石谷憲男

  25. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 途中でありますが、地方行政改革に関する調査として、刑事警察に関する件を議題といたします。  委員長の手元に各派共同提案として刑事警察に関する決議案提出されておりますので、本決議案議題といたします。まず趣旨について御説明を願います。
  26. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は、ただいま議題となりました刑事警察に関する決議案につきまして、各派共同提案趣旨を御説明申し上げます。  最近、御承知のとおり、東京の幼児誘拐事件あるいは埼玉の狭山における女子高校生殺害事件等が起き、さらにその前には紙幣の偽造事件等が相ついで起こっておりまするが、これらの事件は現在遺憾ながらいまだ未解決のままになっております。当委員会におきましても、先般来これらの問題につきまして当局説明等を聞いたのでありまするが、結局この際、刑事警察体制強化を迅速に行なうべきであるというふうに考えましたので、今回決議案各派共同提案で提案することになったのであります。  以下決議案を朗読いたします。    刑事警察に関する決議(案)   最近において、千円札偽造事件幼児営利誘拐事件女子高校生殺害事件など悪質または凶悪な犯罪が続発しており、これに対する警察当局の努力にもかかわらず、いずれも未解決国民に不安と失望の念を与えていることは甚だ遺憾である。   警察当局は、これらの事件について、その全機能を集中して速やかなる解決に努力するとともに、この際、刑事警察体制強化運営に検討を加え、科学的、機動的装備を拡充し、さらに刑事警察官捜査技術の向上、待遇の改善等により警察機能の充実を期し、今後この種事案の再発を未然に防止し、もって国民の期待と信頼に応えるよう強く要望する。  以上であります。  当局のすみやかなる御善処をお願いいたします。
  27. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) これより採決を行ないます。  刑事警察に関する決議案を問題に供します。本決議案を、本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  28. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 全会一致であります。よって本決議案は、全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  それでは、ただいまの決議について国家公安委員長所信をお述べ願います。
  29. 篠田弘作

    国務大臣篠田弘作君) ただいまの御決議趣旨は全くごもっともでございまして、われわれといたしましてもけんけん服膺いたしまして、最善の方法を尽くし、御決議の御趣旨に沿うように努力いたしたいと考える次第でございます。
  30. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 続いて警察庁長官所信をお述べ願います。
  31. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいま国家公安委員長からも所信をお述べになりましたとおり、私たち実際に刑事警察に当たる者といたしましても、この御決議趣旨を体し、さらに具体的には公安委員長はじめ公安委員会の御指示に従いまして、すみやかに実質的な実現をはかりたいという所在でございます。     —————————————
  32. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) それでは、地方自治法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。御質疑のある方は御発言を願います。
  33. 占部秀男

    占部秀男君 さっきの局長の御答弁ですが、従来は事実上常勤的な人が扱っておった、しかも職員も充実されるだろうという、その理由は私はわかるのですけれども、それだからこそ、なお、代表監査委員がこれを任免するというふうにする必要はないのではないかと私は思う。これは逆説的な言い方ですけれども、やはり「監査委員を置くことができる」という、その監査委員は複数ということになっておる。この職員任免というものは、実際問題としては監査事務というものの死命を制する問題になってくると思うのですが、これは実際運営の面においては、その場合に現在事実上は常勤監査委員の人が任免するのではあるけれども、やはり非常勤の人も合議的にはチェックすることができる。そういうようなよさというものを、一つ代表監査委員に集中させるという行き方は、僕は監査というものの性格からしてまずいのではないか。これはほかの仕事の場合は、確かに指揮命令の系統のいろいろな問題から、問題はあると思うのです。ところが、監査という仕事性格からして、やはり公正を期するためには、監査の実務の死命を制するような問題点については、やはり他の監査委員がチェックできるような姿のほうがいいのじゃないか、望ましいのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  34. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいます御趣旨は、私どももごもっともだと思います。しかし相当数職員任免、また職員任免に伴ういろいろな取り扱いなどいたします場合に、かなり事務量も多くなるわけでございますし、また監査委員も全部が常勤でございますれば、それは合議制でそういうこまかいことまでやらせることもよかろうかと思いますけれども常勤がむしろ少なくて、非常勤が多い状況でございますから、やはりそういう庶務的なことは代表監査委員にやらせていくということが適当なんじゃなかろうか、こういう考え方に立って立案をいたしたわけでございます。
  35. 占部秀男

    占部秀男君 次に事業団の問題で、三百条の問題ですが、「設置団体は、その議会議決を経てする協議により、事業団委託すべき事業に関する計画を決定しなければならない。」ということなんですが、計画というものの内容はどういうことを考えておられるのか。つまり相当こまかい点についての問題を考えておられるのか、あるいは事業別にやはり包括的な方向内容を考えておられるのか、そういう点のめどがありましたら、ひとつお答え願いたいと思います。
  36. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 事業団への委託の対象になります事業は、二百九十八条の第一項で列挙してあるわけでございますが、具体的にそれらの事業のうちの、どの事業委託をするか、またその事業について、大体の基本的な事項は、事業計画に定めておきませんと、事業団事業執行に差しつかえるわけでございますから、そういう基本的なワクだけは、この事業計画で定めておかせるようにしたい、そういう考え方をいたしておるわけでございます。
  37. 占部秀男

    占部秀男君 次に事業費の問題なんですが、これはもちろん計画に伴う事業費で、設置団体分担の金は、これはそれぞれの設置団体議決で出すのだと思うのですが、ところがその事業計画について、この法律ですと、設置団体の長にそれを報告すればいいようなことになっておりますね。どうも事業報告設置団体の長に提出しなければならないということが書かれてあるわけですね。これはむしろ当該設置団体では、それぞれ予算関係を、財政関係を含めての問題ですから、この事業報告というものは、長並びにそれぞれの設置団体議会にやはり報告しなければならないというようにするのがほんとうじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。またどういう考えでこういう扱いをしたかお伺いしたい。
  38. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お話のとおりに、長だけでなくて、議会にも報告することが適当かと存じますが、決算につきましては、三百十二条の第三項によりまして、長は提出を受けましたならば、すみやかにこれを議会に報告しなければならない、こういうことになっておりますので、差しつかえないかと思いますが、事業計画につきましても、議会に長から、それに関連をいたしまして必要な事項は連絡をするように運用上して参りたいと、かように考えております。
  39. 占部秀男

    占部秀男君 それから、三百二条に「施設等の移管又は処分」の問題があるわけですね。その中の四行目に「当該事業に係る住宅又は土地処分し、又は設置団体若しくは設置団体の長に移管するものとする。」と、こういうことがあるのですが、設置団体に移管する以外に処分の問題がこの中に入っておると思うのですが、その点はどういう考え方で、どういう形のものを予想しておりますか。
  40. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 住宅につきましては、いわゆる分譲住宅建設がございますので、これは事業団体建設をいたしまして、その上で処分をしてしまって、設置団体には移管するものが残らないようになるのです。  それから土地につきましては、用地を造成をいたしまして、その造成をいたしましたものを工場等に売却をして、これもまた事業団の手で処分をしてしまって設置団体に移管するものは残らない、そういうことを予想しておるわけであります。
  41. 占部秀男

    占部秀男君 その場合、土地の問題については、これは事業団土地造成をするからには大きな問題ですから、これは工場誘致の場合の工場に売ることは差しつかえないと思うのですが、ただ住宅の問題ですが、これは結局は、そういうこまかいことまであるいはここで論議することが適当かどうかわかりませんけれども、この住宅事業団で作った場合に、それを分譲住宅ということだけに限定をして、初めから入った個人がそれを譲り受けるのだと、こういう建前に立っておるのか、それとも会社なら会社が、寄宿舎式にある程度ずっと借りて、分譲してもらおうということでやるようなやつも、この中に入っていて、結局分譲した後は、入っておる個人のものでなくて、会社なら会社の寮的なものになる、こういうようなことも予想しておるのか、どういうことでありますか。
  42. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それは個人の場合もございましょうし、会社の場合もございましょう。いずれとも制限をいたしておりません。
  43. 占部秀男

    占部秀男君 私は、この問題については、もう一度そういう点について、これはあとでまた行政指導の問題になると思うのですけれども、考えてもらいたいのは、今住宅難ですね。それで、住宅難というのは、個人住宅が足りないというのですね。かりに会社などに分譲した場合に、職をやめたらすぐ住宅を見つけなければならぬ。これは相当今あっちこっちにあるのですね。これはこんなことをうたう必要はないのですけれども、やはり個人住宅を安定させるということに中心を置いて、行政指導をすべきじゃないかと、こういうように思うのです。できるだけ個人への住宅分譲ということに力点を置くような方向へ行ってもらいたいと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  44. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは、事業団ができましたあと運用の問題になろうかと思いますが、先生のおっしゃいました趣旨は、よくくんで研究をしてみたいと思います。
  45. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、三百六条の職員の問題なんですが、私は忙しくてまだこれを全部読んでいないのですけれども、この身分地方公務員であるわけですね。そこで、いわば出向という形になるわけですか。
  46. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 通常言っておる出向という形になろうかと思います。で、地方公務員法上、身分設置団体にあって、職務に伴いますいろいろな扱い事業団のほうに移る、そういう考え方をいたしております。
  47. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、職務に関する問題は別として、身分上の給与勤務条件の問題ですね。これは一般地方公務員とやはり同じ形で行なわれるということに了解していいんですか。
  48. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 給与その他につきましては、設置団体の条例の規制を受けるということでございます。
  49. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、結局この事業団解散する、あるいは途中で、事業団事務事業関係があって、その職員がかりに要らなくなる、そういう場合には、当然同じ府県なら府県市町村なら市町村で職場が変ると同じような形で、それは引き継がれるということになるわけでありますか。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  51. 占部秀男

    占部秀男君 次は退職金その他の問題ですが、これはもちろんそのままの通算でずっとやっていくということになるわけですね。
  52. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  53. 占部秀男

    占部秀男君 念を押すわけではないのですが、退職年金の問題もそういうわけですね。
  54. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地方公務員でございますから、当然そういうわけであります。
  55. 占部秀男

    占部秀男君 それでは、一応私の質問は終ります。
  56. 市川房枝

    市川房枝君 今度の地方自治法改正の中で、監査委員の問題と、納税者の訴訟の問題について少しお伺いしたいと思います。しろうとでございますから、あるいは少し見当違いのことをお伺いするかもしれませんが、それをひとつ御了承願いたいと思います。  今度の改正の中で、監査委員についての改正は、「地方財務会計制度改革に関する答申」によって御改正になったと伺ったのですが、その答申と、この改正案と幾らか違うようですが、どの点が違うか、その点をまず伺いたいと思います。
  57. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 大体は答申趣旨に従ってやったわけでございますが、若干違います点がございます。その第一は、監査委員の構成でございます。監査委員は、現行法におきましては、学識経験者と、地方公共団体議会の議員から選出される委員と、双方半数ずつになっております。答申におきましては、学識経験者重点をおくようになっておりまして、議会選出委員は置かなくてもいいようなことになっておりましたのでございますが、御審議いただいております案におきましては、議会選出委員を必ず入れなければならないというふうに若干答申の線を変えております。  次に、監査の対象の点でございますが、これは答申どおりに法文化いたしております。  それからなお、答申には監査の保障といたしまして、監査委員職務を怠ったり、明らかに公益を害するものがあると認められるような場合におきまして、自治大臣あるいは都道府県知事がかわりの者を任命するようになっておりましたが、この点は政府部内で検討いたしました結果、適当じゃないということで改正案からは除いております。
  58. 市川房枝

    市川房枝君 答申案では、監査委員の任命については学識経験者重点をおいた。ところが改正案ではむしろ議員に重点をおおきになったようにうかがうのですが、どういう理由でそういうふうになったのでしょうか、それを伺いたい。
  59. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 答申におきましては、監査の公正な執行、能率的な執行という観点からいたしますと、専門的な学識経験を持った学識経験者重点をおいて監査委員の構成を考えることがよいという御趣旨でございました。政府案におきましては、その御趣旨はそのまま受け継いでおりますが、しかしながら、議会選出委員を一人も入れないということも、監査の実施の実情から考えますと適当ではございませんので、学識経験者重点はおきますけれども議会選出委員も必ず加えておかなければならないというふうに若干修正をいたしたわけでございます。
  60. 市川房枝

    市川房枝君 改正案で、町村なんかは一人でもいいということになっておるのですね。その一人の場合は、やっぱり議員でなくちゃならぬということですね。
  61. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 町村の場合はそうでございます。
  62. 市川房枝

    市川房枝君 答申どおり学識経験者重点はおいたのだけれどもとおっしゃったのですが、それはどういうところに出ておりますか。
  63. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 一般的に申しますと、学識経験者重点をおいたわけでございまして、この百九十六条の第一項でございますが、議会から選出する監査委員の数は、監査委員の定数が四人のときは二人または一人、三人以内のときは一人ということで、学識経験者よりも数は少なくいたしておるわけでございます。ただ、町村の場合におきましては、現在町村は監査委員を必置制にいたしておりませんので、町村におきましては監査委員を置いてないところが相当数あるわけでございます。しかし、今回は、監査機能を充実強化する、そういう答申精神を尊重いたしまして、町村に至るまで監査委員は必置制にする、しかし、小さな町村におきまして学識経験者を、わざわざ適任者を求めるということは、実際上困難な状況でございますし、また、そのために監査委員を特別に置くということは組織の上からいいましてもむだだと考えられる場合もありますので、そういうところは、議会の中から選出される監査委員だけでよろしいという考え方をいたしたわけでございます。
  64. 市川房枝

    市川房枝君 学識経験者の選び方でございますね。具体的な資格というものはないみたいですが、会計の監査の場合には、普通の民間の会社なんかでは、公認会計士にちゃんと見せることになっておるように思うのですが、監査委員にはそういう資格はなくてもいいわけですか。
  65. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 「財務管理又は事業の経営管理について専門の知識又は経験を有する者」というふうに法文をいたしておりまするので、会計関係につきましての専門家を予想いたしておるわけでございますが、必ずしも公認会計士という資格を持った者でなくちゃならぬというふうには考えておらないわけでございます。
  66. 市川房枝

    市川房枝君 現在のそういう条件と言いますか、そういう規定で選ばれております学識経験の監査委員が実際に任務を果たしていて下さるかどうか、これはちょっとむずかしい質問かもしれませんけれども、大体どんなふうな前歴を持っていられる方がなっておられるでしょうか。
  67. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 正確な調査の資料は手元にございませんけれども、これは地方公共団体によって必ずしも一様ではございませんが、たとえば会計関係の専門家の場合もございまするし、それから銀行関係仕事をしておられる方がなっておられる場合もございまするし、あるいは役人として長らくそういう関係の経験を持っておられるというような方もございます。で、それらがうまく職務の実績をあげておるかという御趣旨のお尋ねでございますが、これは監査委員制度が戦後できまして以来、戦後新しくできましたいろいろな制度の中でもおそらく一番実効をあげている制度の一つではなかろうかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  68. 市川房枝

    市川房枝君 これは私ども一般の住民あるいは納税者といいますか、そういう立場からみますと、議員出身の監査委員の方々の多くは多数党から出ておいでになると思いますが、自治体の長と非常に密接な関係においでになる方が多い。それから学識経験者もやはり長が選定——議会の承認を得るわけですが、選定しているということになりますと、ほんとう住民の立場に立っての監査をはたしてやっていただいているかどうか、悪い言葉で言いますというと、同じ穴のムジナなんだ、だからどうせ監査と言ったってそんなに信用はできないというような感じを持つわけでありますが、今非常に効果をあげているとおっしゃいましたけれども、そういうふうな心配はしなくてもいいんでしょうか。
  69. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいましたような心配もないわけではないと思います。財務会計制度調査会の答申学識経験者重点を置いた構成をとるようにと述べておられますのも、一つにはおっしゃいましたような弊害も是正をするという意味もあったかと思うのでございます。ただ政府案におきまして、なぜそれなら議員選出の監査委員を若干加えることにしたかと申しますと、やはり監査といいますのは、ただ会計上の知識だけで、会計技術的な監査だけではございませんで、やはりその監査内容地方公共団体の行政全般について批判をすることにもなるわけでございますから、むしろ地方公共団体の長その他の執行機関に対しまして、独立的な立場で思い切ったものが言える立場にある議会の議員の方が加わっておることが、かえって実情におきましては監査委員監査全体として独立した、中正な監査をする上に役立っておるという点が、同時にまた、私どもといたしましてはそういう判断をいたしておりますものでございますので、議員選出の監査委員をごく少数やはり加えておかなきゃならぬというふうにいたしたわけでございます。
  70. 市川房枝

    市川房枝君 監査委員事務局は、都道府県は必ず置かなければならないが、市では「置くことができる」ということになっておりますけれども、実際に東京都の区で監査委員をやっている方からちょっと実情を聞きましたのですが、事務局が現在はないので、監査の場合に、臨時職員を区のほうで任命する。ところが任命される人は係長クラスといいますか、そういうような人が任命されるのです。ところが監査する対象は、結局そういう人たちがやった仕事あるいは同僚のやった仕事ということになって、実際は監査できないのだ。だから独立したやはり事務局があって、そして平生から用意をし、監査しなければ困るから、結局事務局をはっきり置いてもらいたいのだ、こういう希望がありましたけれども、それはいかがですか。
  71. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生の御指摘になりましたような点を考慮いたしまして、今回都道府県監査委員には必ず事務局を置かなければならないということにいたしましたわけでございます。理想から申しますと、市町村にも全部独立の事務局を置くことが望ましいかと存じますが、しかしあまり小さな団体におきまして、わざわざ事務局という大がかりなものを置きますと、その地方公共団体組織全体の上から申しますと合理的でございませんので、そこで市の場合には、「事務局を置くことができる」というふうにいたしまして、相当大きな市におきましては、事務局が置かれるだろうということを期待いたしたわけでございます。そのほかのところにおきましては、従来どおり事務局ということでなくして、必要な「書記その他の職員を置く」、こういうふうにいたしたわけでございます。
  72. 市川房枝

    市川房枝君 住民による監査の請求が、今度整備をなされたということでありますが、住民による監査の請求というのは、納税者が——住民が納めた税金が不当に使われているということに対して請求できるという意味において、私はたいへんいい制度だと思うのですが、これはやはりアメリカの示唆だったのですか。
  73. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この制度は、アメリカの示唆によったところが大きかった制度でございます。
  74. 市川房枝

    市川房枝君 今度、監査請求の規定を整備されたというのは、どういう点でございますか。
  75. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはいろいろな点がございますが、たとえば監査請求の対象となりますものは、現行法におきましては、地方公共団体の長、出納長、収入役、その他の職員ということでやや狭い規定をいたしておったわけでございますが、今回は広く地方公共団体の長、委員会あるいは職員というふうにいたしましたことと、それから対象となります行為でございますが、この対象になります行為につきましても範囲を広げたわけでございまして、たとえば地方公共団体機関が怠っておって住民に損害をかけているというような不作為の場合も、対象に加えることにいたしたのでございますが、それから請求の内容といたしまして、現行法におきましては、当該行為の制限または禁止に関する措置を求めることになっておったわけでございますが、禁止、制限だけではございませんで、それを是正をし、改めるということをも請求の内容に加えることにいたしたわけでございます。そのほか訴訟の提起期間等、若干手続的な規定をなお整備をいたしたわけでございます。
  76. 市川房枝

    市川房枝君 整備という点もありますけれども、伺いますと、少し拡大されたといいますか、そういうことも言えるわけですね。
  77. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 住民の権利の行使の範囲が拡充されたということが言えるわけでございます。
  78. 市川房枝

    市川房枝君 住民による監査の請求の件数というものを、お願いして資料をいただいたのでありますが、だんだんふえてきているようでありますが、あるいはその件数に対して、自治省当局はもっとふえてもいいとお考えになりますか、そのお考えを伺いたいと思います。
  79. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 調べによりますというと、年を追うてふえて参っておる傾向にございます。私どもといたしましては、今回の改正法によりまして、さらに住民の権利行使がしやすくなるように整備されることになりまするので、今後これがもっと活用されることを期待をいたしておるわけでございます。
  80. 市川房枝

    市川房枝君 こういう住民による監査請求ができるんだ。そうしてその請求の仕方ですね、これも新聞記事のようなものでもかまわないといいますか、はっきりした裁判におけるような証拠がなくてもいいのだというか、そういうことをもっと住民に知らせるようなことは、当局としてはなさっておいでになりますか、どうですか。
  81. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 格別、この点だけを取り出しまして住民に知らせる方法を講じたことはございませんが、せっかくこういう改正が御審議の結果でき上がりますならば、その趣旨をいろんな機会を利用いたしまして徹底させるようにいたしたいと思います。
  82. 市川房枝

    市川房枝君 私自身直接ではありませんけれども、私が関係しております婦人団体が、数年前に東京都会議員の退職金の不当支出の問題で監査の請求をしたことがありまして、そのとき幾らか手伝いましたから、この問題について経験を持っておるのですけれども、何か非常にめんどうだといいますか、さっき申しましたように、請求しても結局ほんとうの正しい監査はしてもらえないという印象を持ってしまったんです。これは私どもは、そういう信頼ができないといいますか、結局監査委員も市の当局も同じ穴のムジナという言葉を、そのときにみんな使ったんですが、そうでなくて、公選ということはできないのでしょうか。監査委員は、これは住民の税金がいかに使われているかというような見張り役というような意味で、公選されれば信用できるといいますか——そういう意見はあまり出ないのでしょうか、出ても実際問題として法の中に取り上げていないわけですか。
  83. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この監査委員制度ができましたのは、戦後の昭和二十二年の改正のときでございまして、そのときにはあるいは公選のほうがいいという意見も一部にはあったかもしれませんけれども、私ども調べました限りにおきましては、格別、公選にしたらどうかということが公の機関で論議されたことはなかったようでございます。その後は今日まで、この監査委員監査機能をもっと充実強化すべきだという御意見はあちこちで出ておったのでございますが、監査委員を公選にすべきだという御意見は私どもあまり聞いたような記憶はございません。ただ、先生のおっしゃいますような趣旨からいたしまして、できるだけ監査委員がきぜんたる態度で公正な監査ができるように、いろいろな点で検討をしていかなければならぬという点は、私どもも痛感をいたしておるわけでございまして、今回の改正におきましても、従来、監査委員市町村におきましては任意制でございましたので、置いていないところがかなりあったわけでございます。そういうところにおきましては、こういう住民による監査請求も市町村長にすることになっておりますので、それではせっかくの監査請求の制度も、お話のような弊害もあって生かされないわけでございますので、そこで、そういう点も考慮いたしまして、とにかく、今回は市町村に至るまで監査委員を必置制にするという考え方で提案をいたしたわけなのでございます。
  84. 市川房枝

    市川房枝君 この国のほうの金の使い方といいますか、これは会計検査院もあって、相当政府機関とは独立して、そうして税金の使い方を検査している。そうして不当事項なんかを国会に報告して、国会でこれを審議されているという建前になっておりますが、会計検査院でもときにごちそうをすれば何か少し監査の手をゆるめるとか何とかいううわさもあり、そういう事件があったこともあるのですが、しかし、私も決算委員をやったこともありますけれども、相当程度会計検査院の検査というものは国民としては信用できるのじゃないか。ところが、地方自治体になりますと、自治体の中でも一番大きいのは東京都でありますが、その予算は国の予算の一割どころかもっと多いのですが、その都の膨大な予算、その金の使い道について現在のような監査委員制度ではどうも不安なんです。それこそ会計検査院のような組織を持った検査機関があってしかるべきじゃないかと思うのですが、そういうようなことができないものでしょうか。
  85. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 今後の研究といたしましては、いろいろ検討もして参りたいと思いますけれども地方公共団体におきましては、東京のように大きいところもございますけれども、かなり小さな市町村もあるわけでございますので、その市町村の行政運営全体が円満に参るという点を考えてみますというと、会計検査院のように全く独立した機関として地方公共団体に置く。あるいはまた、地方公共団体から離れた独立の監査機構というものを、たとえば国が持つといったようなことになりますことは、また一つの行き過ぎではなかろうか。現状におきましていろいろ制度の運用の上にまだ未熟な点はございますけれども、現在この制度をとにかく一般住民の自覚もまちまして、また当局の反省もまちまして、これで実効をあげていくように、もっと努力をすべきではないか。そのような考え方を私どもとしては持っているわけでございます。
  86. 市川房枝

    市川房枝君 監査委員は決算を監査して、そして長に対して報告する。それを通常の予算の編成のときに、府県議会ですか市議会ですか、議会に報告するのですか。何かそれがちょっと法に出ていますね。監査委員監査をした結果、その結果というもの、そういうものはあるはずだと思うのですが、それは公表されないのでしょうか。一般の住民に対してその結果を知らせる。会計検査院は不正不当事項として国会に報告する。それが一般にも報告されるわけですけれども、そういうようなものはありませんか。
  87. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 決算につきましては、地方公共団体の長が議会にかけます前に、監査委員の審査に対しまして監査委員の意見をつけて議会提出することになるわけでございます。で、議会におきましては、監査委員の意見というものを相当参考にして、審議をなさることと期待いたしておるわけでございます。  それから、なお、公表の点でございますが、公表の点につきましては、監査委員は、監査の結果を、都道府県におきましては自治大臣市町村におきましては都道府県知事等に報告をすると同時に、これを公表しなければならないということになっておるわけでございます。
  88. 市川房枝

    市川房枝君 住民による監査の請求について、まあ納税者の訴訟、住民訴訟となっておるのですが、それの規定があり、現実に、それがある程度実行されておりますが、現在の納税者の訴訟は監査の請求をした上でなければ——監査の請求をして、その回答と言いますか、回答に不満であった場合に訴訟が提起できるということになっておりますね。これは直接と言いますか、直接この訴訟はできないわけなんですか、そういうことに対しての。どうして、こういうふうな一応監査を通らなければならないということになっているのか、伺いたい。
  89. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) いきなり裁判所へ持ち込みましても、裁判所といたしましては違法かどうかという点の審査をいたすわけでございます。で、住民から監査請求をいたしますものは、心ずしも違法かどうかという法律問題ではなくて、地方公共団体のやり方が不当な場合をも含めて請求をいたすわけでございますので、まず監査委員に請求をいたしまして、監査委員にその監査をさせて、そして是正の措置をとらせるということが実情に合っておると思うのでございます。その上でもって違法な問題について、さらに裁判所の判断を仰ぐ必要のあるものにつきましては、訴訟を提起するという現在の建前が——この請求の対象になります問題の性質上、この建前が適当であろう、純然たる法律問題の判断だけでありますれば、これは監査を受けないでも直接裁判所に行くということも考えられるわけでございますが、ただいま申し上げましたような性質の事件でございますので、監査委員監査を前置するという現行の制度が、私どもは適当であろうと考えているわけでございます。
  90. 市川房枝

    市川房枝君 この納税者訴訟制度こそは、アメリカの制度を輸入したものなのですから、この制度がアメリカで現在どんなふうに運営されておるか、御存じでしたらひとつ伺いたい。
  91. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在アメリカに同様の制度のありますことは、私どもも承知をいたしておるわけでございますが、それが実際にどのように運用されているかにつきましては、よく調べました資料を持ち合わせておりません。
  92. 市川房枝

    市川房枝君 この納税者の訴訟のところも整備されて幾らか拡充されているようにも思うのですが、その点ちょっとまとめてお知らせ願いたい。
  93. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは監査請求に継続する手続でございまするので、先ほど監査請求について申し上げましたように、まず請求の対象となりますものが、およそ地方公共団体機関なり職員の行為であればすべて対象になるという点が、現行法よりも拡充されておるわけでございます。それからまた、それらの機関なり職員の行為につきましても、二百四十二条の二第一項に第一号から第四号まで列挙してございますが、「怠る事実」、いわゆる不作為につきましても、この訴訟の対象にいたしたという点が現行法より非常に違う点でございます。それから現行法には、この訴訟の提起期間につきまして定めがございませんでしたので、これを期間を定めることにいたしたのでございます。そのほか、訴訟の費用の負担等若干のごく技術的な手続規定を整備いたしております。
  94. 市川房枝

    市川房枝君 その訴訟の費用で、普通の民事訴訟では負けたほうが訴訟費用を払うということになっておるのですが、今度の改正案では弁護士の報酬——もしその請求者が、納税者が勝ったときといいますか、勝ったときには弁護士の費用もある程度払うということにこれはなっておるのですが、それをもう少しこまかく、くわしく御説明いただきたいのです。
  95. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 普通の訴訟で申しますと、敗訴したものが訴訟費用を負担するわけでございますが、この第七項で規定をいたしておりますのは、住民が、地方公共団体職員の行為が違法または不当——違法でございましたために地方公共団体が損害を受けた、その損害の賠償の請求をするとか、あるいは不当利得の返還を請求するとかいうようなものにつきましては、いわば住民地方公共団体に代位して地方公共団体の損害を補てんする訴訟でございますので、その場合におきましては、弁護士に払う報酬も地方公共団体に請求することができるということにいたしたわけでございます。
  96. 市川房枝

    市川房枝君 これは何か商法の株主代表の場合と同様というのですが、これは普通からいえばやはり異例の措置でございますか。
  97. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは商法と大体同じ考え方でございます。
  98. 市川房枝

    市川房枝君 納税者監査請求をして、それに不満な場合に訴訟をするわけなんですが、それの件数は、いただきました資料——これは市における数字だけをいただいたのですが、非常に少ないのですね。そうして納税者のほうが勝つといいますか、そういうような割合が非常に少ないのです。したがって納税者の訴訟というような、こういう道が開かれており、今度は少し範囲が拡大されているとしても、あまりどうもなかなか実際には行なわれていない。行なわれる場合が非常に少ないということが言えるのですか、どうでしょうか。
  99. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは精細に一件々々につきまして調査をいたしたわけではございませんけれども、おそらくこの監査請求の段階におきまして相当目的を達して、わざわざ訴訟までいかなくてもよろしいというケースがかなりあるのじゃなかろうかと思っております。
  100. 市川房枝

    市川房枝君 この監査並びに納税者の訴訟といいますか、これはそれこそ一般の住民の立場で非常に重要な項目だと思うのですが、これが適当に運営されれば自治体の会計も明朗になるといいますか、あるいは住民の自治体に対する信頼もふえてくるかと思います。こういう制度があるということをもっと一般に知らせて、そうしてこれを住民が積極的に利用するような方向に行くことが、一つは現在の自治制を健全に発達させる大きな一つの要因だと思うのであります。当局においてもひとつそういうふうにおはかりいただけると、たいへんありがたいと思うのです。
  101. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいましたように、この制度は、地方自治の真の意味の主体である住民の手によりますところの、非常な制度的にいいましても思い切った制度だと思います。ただこれまで制度のありますこと、あるいはその制度の趣旨が十分知られていなかったために、活用されていなかったという点があったわけでございますので、おっしゃいました御趣旨をよくくみまして、今後これが周知をはかって参りたいと思っております。
  102. 秋山長造

    ○秋山長造君 今の市川さんの御質問とダブるのですけれども、これはまあ少し別な角度から御質問したいと思います。  最初、自治法で監査委員制度ができたときから見ますと、これは法文の上でも相当充実してきたし、それからまた地方団体の実態から見ましても、事務局の整備を初めとして、相当一応充実してきたことは、これは認めます。それから同時に、今度の改正案で、さらにそれを何とか強化していこうという態度をとられておることも、これは十分了とするのですが、ただしかし監査委員制度——現行監査委員制度というものが、もうここらでひとつ頭打ちになっておるのじゃ、ないかという感じがするのです。と言いますのは、今まで必置でなかった町村あたりを必置にするとかというようなことは、これは大きな前進であろうと思うが、すでに必置になって、いる府県だとか、市だとかいうようなところの監査制度というものは、もうちょっと限界点にきているのじゃないかという気がするのです。それはどういうことかと言いますと、一つには監査委員の選任の手続ということからもきていると思うのですが、それからまた、監査委員に選ばれる人が大体もう県なり、市役所なりに長年勤めておった、前の会計課長だとか何とかいうような人が退職後、理事者側の配慮によって、この監査委員で老後の生活の保障もある程度してもらうというようなことになっている例が非常に多いと思うのですが、ここに出ている資料なんかを見ましても、公務員の前歴を持った人が非常に多い。しかもよその役所に勤めておった人ならいいけれども、大体その役所へ勤めておった人が多いと思う。そういう関係もありまして、どうしても気分的に、そもそもその就任したときからして理事者側に対して非常に遠慮、気がねがあるわけなんです。率直に言いますと、監査委員にしてもらったことを恩に着ているんです。ですからやはり、ほかの点が幾ら充実しても、肝心のぴりっとした監査がやれぬのです。それはもう市川さんのおっしゃるとおりなんです。だから悪くいえばなれ合いというようなことをやられるということになる、それが一つ。それからさらに、それでもまだ、制度の上で監査委員というものに相当権限の裏づけがあればいいのですけれども権限にしても、ただ監査の報告をするだけで、じゃあここが悪いからどうしろといって、それに対してその措置した結果を監査のほうへ逆に報告しろと——これがないのですから、報告のしっぱなしなんですよ。だから理事者側が黙殺すれば「はい、それまでよ」ということになってしまう、その点が一つ。  それからもう一つは、事務局を充実されることは非常にけっこうだと思うのだけれども事務局職員身分が別に別個の、会計検査院のように独立したものじゃないのです。やはり知事の部局なり、あるいは市長の部局なりの人が暫時監査事務局へ勤めるわけですから、だからあんまり監査で張り切ってやっておくと、今度その理事者側の部局へ帰ったときにかたきを討たれるわけなんですよ。あいつは監査のときにいばりやがったから、今度はだめだと、こうやられる。それはほんとうに大きいんですよ。ですから適当にお茶を濁すということになってしまう。これはもう僕の言うのは間違いじゃないと思う。もう実態はそうなっていると思うんですよ。ですから監査委員権限なり、選任の方法なり、あるいは具体的に選任される人の問題と、それから事務局職員身分上の保障がないということと、二つがあるために、もう頭打ちになっていると思うのですね。それで今、市川さんのおっしゃるとおりの例が、大なり小なりもうどこにもあると思うのです。だから、たとえば住民がこの監査請求をやったような場合、それは事あれかしのような事件屋みたいな人も中にはおりますから、そういう人からやたらに監査請求ばかり出されて、それを一々本気で取り上げておっても、これはかなわぬけれども、しかしそればかりじゃないので、まじめな監査請求が出ているにもかかわらず、監査委員がそれをまるでもみ消すような立場になってしまって、いいかげんにお茶を濁して、いや何にもない、不正はないというようなことの結論を出してしまう。そうすると納得ができぬ。だけど、それじゃ納得できぬならば裁判所に訴えたらいいじゃないかと、こう言うけれども、なかなかこの監査請求に不満を持って、その行政訴訟を起こすという能力が一体今の地方住民にあるかどうかというと、これはないですよ。だから、結局はもう幾ら言うてみてもいかぬのだ、要するに泣く子と地頭には勝てぬのだ、しようがないと、こういうことで泣き寝入りをするよりしようがないというケースが非常に多いと思うのです、特に小さい団体になりますと。だから、そこのところ、まあ事務局の充実もよろしい、それから代表監査委員を作ることもいいです。それはそういうこともけっこうですけれども、やはりもう一つ今申し上げたような点に何かぴりっとしたところがないと、どうもかなめの抜けた扇子みたいなことになってしまって、監査委員制度というものは、それはけっこうなことではあるが、どうもこう、肝心なところでしりが抜けるということになるのです。そこで、それは一般論ですけれども、具体的にお尋ねしますが、百九十九条の九項ですね、これは現行法で、別に改正されていないのですが、九項に監査委員監査報告すると同時に、それに添えて意見を提出することができるという規定がありますね。それで、これなんかを、ただ意見の提出ということでなしに、もう少しついでにこの実質的な強化という意味で、たとえば勧告をすることができるというようにするとか、あるいは意見ならば意見を提出したのに対しても、その理事者側が監査委員から提出された意見に対しては受け答えをしなきゃいかぬ。つまり監査委員から意見を受けたことについては、何らかの行政上の措置を、良心的な首長ならばやるだろうと思う。そのやった措置の経過あるいは結果を監査委員に逆に報告しなきゃならぬ、あるいは通知しなきやならねとか、何かそういう規定を私は一カ条入れてもらいたいと思うのですよ。それがあれば、選任方法がどうであろうとも、また選ばれる人が、かりにその役所へ長年勤めておったような人で、その首長の息のかかったような人であっても、この一カ条を足場にして、今よりはもう少しぴりっとした監査がやれるのじゃないかという気がするのですがね。これだけの大改正をやられるならば、なぜ九項というものをもう少し強化されなかったかということをお尋ねしたいのです。この資料では九項は(略)と書いてあるのですけれども、私は、この点が監査制度の一番勘どころだと思うのですが、当局の御見解をお伺いしたい。
  103. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生からるるお話のございました点、全くごもっともなことと傾聴いたしておったわけでございますが、最後に御指摘のございました点でございますが、まあこれもなおよくこれは研究して参るべき点だと思いますが、ただ問題は監査委員というものが、ただ悪いことを摘発するのだということよりも、監査によって地方公共団体の行政全体が公正に、能率的に行なわれるようになっていくのだという点が重点であろうと思うわけでございます。そこで、それにいたしましても、おっしゃいますように意見を提出するだけじゃなくて、その意見がどう処理されたかということの報告をとるということがいいじゃないかという点は、確かにそういう点もあろうかと思いますが、そこのところが、実情をいろいろ見て参りますと、そこまで監査委員権限を拡充することが、また地方公共団体によりましては、よしあしだという感じもするわけでございます。ただ監査委員運用が非常によくいっておりますところの話を間々聞いてみますと、監査委員監査の報告があった場合に、地方公共団体の長が関係の部課長を集めて、一々それに対する処置の回答を部課長に求めておる、そして大へん行政の運営の改善の上に役立てておるという例があるわけでございます。私は、実際の運用として、できるだけ監査の結果というものを行政の上に反映させていくということがいいんじゃなかろうか、必ずその結果を監査委員まで報告をしなければならぬというところまで、制度的に縛ることはどうであろうかという感じがいたしておるわけでございます。しかしながら、御指摘の点まことにごもっともな点でございますので、今後の運営の実情を見まして、私どもといたしましても真剣にひとつ検討をしてみたいと思います。
  104. 秋山長造

    ○秋山長造君 もうおっしゃるとおり、監査委員というものは検察官みたいな立場でやれということを私も言うておるのじゃないのです。それは、もう少し広い立場で、利害得失いろいろなことを考えて、これをやらなければならぬと思うのですけれども、しかし結局せんじ詰めていきますと、執行機関監査委員との接点というのは何かというと、やっぱり会計上に不正があったとか、不正と言われないまでも、不当なことがあるのじゃないかというところが、せんじ詰めるとそこになる。だから、そうなった場合に、今の監査制度ではしりが抜けると、こういうことを私は言うておるのですよ。だから別に、首長のほうに監査委員に対して措置の結果についての報告の義務を負わせるというても、何もそれを道具に使って監査委員が事ごとにあら探しをやるという意味じゃない。またおそらく、かりにこの点がそういうように権限強化されても、監査委員の任命の手続というものは、やっぱり首長が握っておるわけですから、そういう線からのコントロールがあるわけですから、だからこそ、これを乱用して、事ごとにあら探しをして、行政が円滑に行くじゃまをする、監査制度がかえって障害になるということは万々あり得ぬと思うのです。今の場合は、むしろそうじゃなくて、市川さんのおっしゃったとおりの実情だと私は思う。ですから、これは一番望ましいことは、今言いましたように、監査委員監査報告なり意見を出した場合に、その点に対する首長のほうの措置の結果というものを、一応監査のほうへ報告させるということが一番いいと思う。しかし、それがどうも少し行き過ぎじゃないかということなら、せめて意見の提出ということを勧告することができるという、勧告という言葉にでも改めてもらえませんか、それだけでも私は違うと思う。それはやっぱり良心的な首長は一々監査報告というものを重大視して、そうして部課長を集めて注意したり、何したりしておる。それはしておる人があるかもしれんけれども、そういう例はまあ割合い少ないのじゃないですか。大体おざなりに適当にやって、それでまあそのまま済むということが多いのじゃないでしょうか。監査のほうもまた、報告をしたら出しっぱなしで、あと首長のほうがどういうことをやったか何かということは茶飲み話に聞き置く程度になって、一丁上がりということになってしまうのじゃないかと私は思うのです。思うだけじゃない、私も実は監査委員の経験があるからなおさら言うのですけれども——だからこの点は、ぜひひとつ監査制度をほんとうに実質的に強化するという立場で研究していただきたい。これは決して首長のほうはだれでも、監査みたいな制度が強化されることは本心からいうて好まぬですよ。なるべくならあまり権限を持たさぬ。おざなりにやらしておったらいいと思うのが人情だろうと思うのですけれども、それでは首長のためにならない。なかなか首長が自分の部下をしっかり掌握していくというても、今日のような膨大な機構になってはそう目が届かぬので、結局分業で、監査的にもまた別の監査委員にやかましく言ってもらったほうが、首長のほうでも都合のいいことが多いだろうと思う。これをぜひひとつ、この際これが改正されてないことは、はなはだ残念に思うのですけれども、どうも画龍点睛を欠いた感じを受ける。これは勘どころですよ、この点が。そうじゃないですか、私はそう思う。ほかの部局を作るとか、監査委員を何名にするとか、代表監査委員を作るとかいうことよりも、本質的な勘どころはこの点ですよ。そうお思いになりませんか。
  105. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘のとおりに、確かにそこは勘どころの一つであろうと私どもも思います。ただ先ほど申し上げましたような気持から、すぐ改正をするというととろまでは踏み切れなかった実情でございます。現行法におきましても、御承知のように議会は、監査委員に、必要があれば監査を求めて、その結果の報告を議会にさせることはできるようになっておりますので、私どもとしては議会のその権限の行使と相待って、これでいいのじゃなかろうかということで考えておったわけでございますが、なお今後の運営の実情を見ました上で、御指摘の点は研究をいたしたいと存じます。
  106. 秋山長造

    ○秋山長造君 議会が要求した場合はできるというお話ですけれども、今度の改正案では、今までは議会のほうからも監査要求ができていたけれども、今度はできなくなるのじゃないですか。長だけになる……。
  107. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは九十八条でございますが、これは改正をいたしておりませんので、そのままでございます。
  108. 秋山長造

    ○秋山長造君 新しい百九十九条の五項ですね、「監査委員は、自治大臣若しくは都道府県知事又は当該普通地方公共団体議会若しくは」云々の監査の要求があったときは監査をやらなければならぬ、こうあるが、それを今度は改正して、「公共団体議会」というのをやめて「長」だけにしておる。改正されておるのですがね。
  109. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは、うらはらで規定をいたしておったわけでございますが、まあ字句の上でそちらのほうは整理をしてあるわけでございますが、九十八条の、もとの規定はそのままに残しておりますので、変更はございません。
  110. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、九十八条があるから、ここは抜いたわけですか。
  111. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  112. 秋山長造

    ○秋山長造君 それから百九十六条の改正ですね、監査委員を知識経験者から選ぶのと、議会から選ぶのとの比率は、今までは半数は議会から選ぶということだった。今度は二人あるいは一人ということで、議会側から少なくなる。その理由について、先ほど市川さんの御指摘に対して何か議会から選ぶことは、どうもなれ合いになって、かえって弊害があるというようなことも、一つ理由だというような御答弁があったのですが、これはどういうわけなんですか、議会から選ぶのを減らしたのは。
  113. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 専門的な監査を拡充していきたいというのが、地方財務会計制度調査会の答申でございまして、地方財務会計制度調査会におきましては、学識経験者重点を置いて、議会の選出の者も状況によって加えてもいいという趣旨であったわけでございます。ただ政府案を立案の際には、その調査会でおっしゃっておられます監査委員になるべく専門家を選んで、専門的な監査を徹底させたいという御趣旨はくみつつ、しかし同時にまた、議会選出の議員が入っておりますことが、かえって監査を強力に、公正に行なう上に役立っている実情も考えまして、議会選出の議員も数は減らしましたけれども、必ず加えておかなければならぬということにいたしたわけでございます。
  114. 秋山長造

    ○秋山長造君 町村で一人しか監査委員を置かないという場合にはこれは必ず議会人がなる。そうなりますと、私はむしろ町村あたりこそ監査委員というものは学識経験者から、議会とは別な人を置いたほうがいいんじゃないか——といいますのは、町村あたりの小さい地域での実態を見ますと、その町会議員、村会議員というのが、みなそれぞれ、まるで自分が町村長みたいな顔をしておるような例が多いのですね。そこで町村なんかの場合、議員がただ一人の監査委員になるというと、監査というものと議会というものとがごっちゃになってしまって、かえって困るのじゃないか、そこが混乱してしまうのじゃないかという気がするのと、それからまあ町村あたりではなかなか学識経験者の適任者が得にくいというお話があったけれども、しかし同時に、町村の議員にしても、なかなかほんとうの、本来の意味での監査委員というものの適任者が得られるかどうかということは同じことだと思うのですがね。で、むしろ町村のようなところでは専門的な学識経験者を何とかして探し出して、その人にやってもらうということにしたほうが実態に即するのじゃないか。それから大きい市だとか、府県だとかいうようなところでは、むしろやっぱり今までどおり議会からも半数を出すということのほうが、かえって監査の権威を高めるというか、機能を高めるゆえんではないかというように、これは経験論として——私の乏しい経験ですけれども、経験論として私は言うのですが、やはり学識経験者だけになってしまいますと——学識経験者といえば聞こえはいいですけれども、実態は、さっきもいうように、そんならといって部外の人を引っ張ってきても、部外の人は出し抜けにああいう役所の機構の中に入りましても、なかなかよくわからぬですよ。ですから、結局は役人上がりの監査委員というような人にもうまかせっきりになってしまう。そういうことになるから、結局、理論的にはどうあろうとも、やはり実際の取り扱いとしては、その役所に長年おったような人で、まあまああまり非難のないような人を、定年退職後に便宜的に学識経験者監査委員として使うという例が圧倒的にこれは多い。そうなりますと、それは監査を受ける側からいいましても、どうせ血がつながっているわけですよ。一つ釜のめしを食っておった人が今度は監査委員の肩書きで監査するわけですから、どうしてもさっき市川さんのおっしゃったようななれ合い——悪くいえばなれ合い的なことにえてして流れがちだと思う。そこで、その場合に、議会から出た委員が半数おれば、それはやはり知事と同じ与党から出るという場合が多いといっても、それはやはり議会人ということになれば、監査を受ける側の考え方なり、接触の仕方でもおのずから違うのです。自分らとは別個の立場の人だという受け取り方をするわけで、遠慮もあるでしょうから、かえって監査の権威をそのほうが高からしめるゆえんではないかということが確かに私はあると思うのですが、どうお考えになりますか。
  115. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 議会選出監査委員の長短と申しますか、それにつきましていろいろ御説があったわけでございますが、確かに一面におきましては、長となれ合いになるというような点もあろうと思いますし、それから地方自治法におきましては、議員の任期が四年ということになっておるわけでございますが、実際上は議会の役職の配分の都合から毎年人が変わるというようなことになって、ほんとうに適当な人が得られないという点もあろうかと思います。しかし、同時にまた、一面、先生のおっしゃいましたように、学識経験者でございますと、どうしても長に遠慮がちだという傾向もあるわけでございまして、長の行ないますことにつきましてきぜんたる態度でメスを入れるというような点からいきますと、議会選出監査委員のほうに非常に長所があるわけでございます。ですから、彼此勘案いたしまして、調査会の答申では学識経験者重点をおいた答申であったわけでございますが、その趣旨を生かしながら、政府案におきましては、議会選出委員の長所を生かす意味において、必ずこれを加えなければならぬというふうにいたしたわけでございまして、運用におきましては、定数が四人のときには、二人または一人の議会選出監査委員を置くということにいたしたのでありますから、現行どおり四人のうちの半数を学識経験者、半数を議会選出の者に充てるという運用も可能なわけでございます。それは個々の団体の実情に応じて運用していただけばよろしいかと思っておるわけでございます。  それから、町村で監査委員定数一人の場合には、御説のとおりに、議会選出監査委員だけになるわけでありますが、これは小町村におきましては、なかなか学識経験者といっても適任者が得られにくい事情もありますし、かえって町村の機構が全体として複雑になるというような点も考えまして、議会選出監査委員だけということに立案をいたしたわけでございます。まあ小町村におきましては、議会というものの機能がもともと執行機関を批判するという広い意味においての監査的な機能を持っておるわけでありますから、そこから一人の代表者を出して監査をさせるということも、制度としては一つ考え方ではなかろうか、かように存じたわけでございます。
  116. 秋山長造

    ○秋山長造君 もう二点だけお伺いいたしますが、さっきちょっと触れた事務局職員身分の問題ですが、これはなかなか理事者側の部局と独立さすというても、国会の事務局のように膨大な機構なら、その中でおのずから独立しておって昇進の道もあるし、なにもある。前途に希望を持つという余地があるのですからいいけれども監査事務局というても、幾ら拡充したところでそう何十人というわけにもいかぬ。やっぱり、身分の独立ということが望ましいが独立するというわけにいかぬ。だからというて、今までのままだったら、さっき言いましたように、あまり監査をばりばりやっていくと、今度理事者側の部局に帰るときに、とんでもないところに左遷させたりする、かたきをとられるおそれもあるから、気がついたことでもなるべく当たりさわりのないように、そのままほっておこうということで、とても消極的なことになると思う。あなたがたは役人生活をしておられるから、私らが一口言うたら十ぐらい聞きわけていただけると思うが、まあそれはそのとおりだと思うが、そこで理想と現実と、どこかで調和させにゃならぬのですが、何か方法はありませんか。それほど相手に遠慮気がねをせぬでも、監査職員になったら、監査の建前でやることはびしびしやるというその保障というものは、何らかの保障というものは考えられぬですか。  たとえば、これは運用上の問題になりますけれども監査職員をやった人間は、今度知事部局なり市長の部局にかえすときには、必ず栄転をさせるとか——まずい言葉でいえば栄転をさせるとか、あるいは監査職員には若干——憎まれ役ですから、まあ憎まれ料に若干俸給を上げてやる。で、今度理事者側に帰るときにも、その上がった順で、もう一つ上がったところへかえすとか、何かそういう、まあ法律規定はできぬまでも、行政指導か何かでそういう建前というものを、ある程度確立することによって実質的に監査職員身分の保障ということを貫けるという方法は考えられんですか。
  117. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘の点は、私ども運用上の一つ問題点だと考えておるわけでございます。おっしゃいましたように、監査委員事務局にはなるべく優秀な者を送って、そしてそこである期間勤務をして成績を上げた者については、必ず帰ってきたならばいいポストへつけてやる、そういうような人事の運用が、実情からいいますと、一番監査職員職務執行について保障するゆえんのように私どもとしては感じております。これらは監査委員の全国的な連合組織の会合などもありますので、そういった席におきましてはいろいろ話題にもなっておりますし、私どもとしてもそういう心がまえでひとつ指導をして参りたいと思っております。
  118. 秋山長造

    ○秋山長造君 どうせこういう大きな改正なんか行なわれれば、地方の総務部長会議とか知事会議とか、いろいろなことをやってこの趣旨を伝えられる説明会なんかがやられるわけでしょうから、特に総務部長なんかは人事をやっておるのですから、総務部長会議なんかでそういうこまかい点まで配慮をして注意を喚起してもらわなければならぬと思うのです。そういう注意でもせんことには、これはなかなか監査は充実強化と言っても、その人をふやした程度に終わってしまって、ほんとうに実質的な強化にならんですよ。やはりあとで役人としては出世したいのはだれだって十人が十人そうですよ。ところが監査をやったばかりに妙な因縁をつけられて、監査でうらみをかって、うだつがあがらんということになれば、だれも本気で監査をやる者はないですよ。だからその点を、優秀な人間を連れてきて、役人としての登龍門だと、監査を通ることが——というぐらいに運用でもって、持っていってもらいたいと思うのです。そうしないと、きちっと監査できないと思うのです。その点はぜひお願いいたします。  それからもう一、二点できょうはやめますが、監査請求で今の監査と理事者側とがなれ合いになるということは、監査が理事者側の擁護の立場に回わってしまって、くさいものにはふたをするような役目に回わってしまって、せっかく住民がなけなしの金をかけて、また手間ひまかけて監査請求をやったにもかかわらず、結局はうやむやに握りつぶされてしまうという例が、いなかになると、ほとんどじゃないかと思うのです。そういう場合に気に入らなければ裁判所へ持ち出したらいいじゃないかということだけでは済まぬと思うのですが、何かそういう場合に救済の道というものはないのですか。裁判といったら実にたいへんなことですから。それは明らかにただ主観的に監査がけしからんというのじゃなしに、明らかに公平に見て、監査が明らかにくさいものにはふたをして、いいかげんなほおかむりで滑っていこうとしているという場合に、何かほかにいい方法はないのですか、地方住民が簡単にやれることは……。
  119. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 制度的には、この監査請求で所期の目的を達しなかった場合に何かほかの制度ということは、これに結びついた制度はございませんが、たとえば先ほどの議会監査請求を活用いたしまして、議会に陳情をする、そして議会のほうから長に報告を求めるというようなことも一つの方法ではなかろうかと思います。
  120. 市川房枝

    市川房枝君 さっき大臣がおいでになりませんでしたが、今おいでになりましたからちょっと一言簡単ですが……。先ほど私は、監査委員の問題あるいは納税者の訴訟の問題で、今度の改正案について少し詳しく伺ったのですが、今度の改正で幾らかよくなったといいますか、整備されたとは思うのですけれども、しかし今秋山さんからいろいろなお話もあり、私も一般の納税者の立場に立って考えてみますと、自分たちの納めた税金が、ほんとう住民の利益のためにむだなく使われているかどうかということに対しては、みんな心配をしているわけです。国の場合は、先ほど私申し上げたのですけれども、会計検査院というものがあって、政府の行政機関からある程度独立して、そして国会に対して不正不当事項を報告をし、それが一般に公表されて、そして検討されるということになっておるのですが、この自治体になると辛うじてこの監査制度があって、そしてそこで監査をするということになっておるのですが、結局、長の任命による学識経験者、それから議会の議員で監査することになると、事務局も、今度はまあ府県には必ず置くということになって、ある程度整備はされても、やはり長から任命されておるのであるから、長のごきげんをとって、そしてほんとう監査を行なっていないというか、まあ住民の側から言えば、言葉は悪いですけれども、同じ穴のムジナなんだ、だからどうせこちらで、ことに納税者から監査請求をかりにしても、これをもみ消す側に回る。あるいは正当なる監査が行なわれていないというふうな印象を与えられ、実際そういう不正もあるわけです。だから、今のような制度でなく、私、さっき監査委員というものを公選にしていただけばある程度安心である。あるいは会計検査院とまではいかなくても、ある程度独立した組織、独立した職員といいますか——という制度になれば、ある程度安心ができるかと思うのですが、東京都の場合において私一番感ずるのです。これだけ膨大な予算、それが正しく使われたかどうかということに対する監査制度というものは、こまかいことまで私は知りませんけれども、どうも安心ができないという感じを持つのです。だから何か地方自治体においての監査制度といいますか、住民の税金が正しく使われているという安心を持たせるような制度を考えてもらいたいと思うのですが、大臣の御意見をちょっと伺いたいと思います。
  121. 篠田弘作

    国務大臣篠田弘作君) 国の場合は会計検査院というものがある。こういうお話で、会計検査院は検査官並びに院長ともこれは政府の任命なわけです。国の場合は、政府の任命したものは信用できるけれども地方の場合は、自治体の長が任命したものじゃ信用ができないという、そういう理論は成り立たない、私はそう思います。ただし実際問題として、地方公共団体の場合は非常に場面も狭いわけでありますから、どうも今先生がおっしゃったようになれ合いでもってやるのじゃないか、そういうような心配というか、印象というものは、これは全然ないというわけにはいきません。それは、ことに不正ありとして監査請求や訴訟をやった者の側からいえば、そういうことは言えると思います。しかし、一般の常識としまして、不正があるから監査を要求されたという場合に、その監査委員に選ばれた。これが自分の市なり、あるいは町なりの町民のたくさん見ている前で、なれ合いをするというふうには、疑えば切りのないことでありますけれども、そういう一つの具体的な事態が起こった前でなれ合いをするということは、これはできないのじゃないか。ことにまた、警察もあり、検察庁もあり、成り行きというものは、そういう問題になればいなかほどそれが問題になってきますから、町民も興味と好奇心をもって見るというときに、それほど心配することはないのじゃないかと私は考えます。ただ、これを公選にしなければならぬということになりますと、おそらく非常な政争というものが激しくなりまして、監査委員というものの公選のために、今の町長選挙よりもっと激しいいわゆる選挙違反が起きたり、そういう心配があるのじゃないか。また、その監査委員を握ることによって、握ったほうの立場にある者が年中いやがらせをやって、そうして地方の自治体の撹乱をやるというようなことも考えられる。だから国が任命による会計検査院長でもってやっているならば、地方も長の任命による監査委員長でいいんじゃないか。それが具体的に非常な弊害が各所に起こるという場合にはやはり研究をして、その弊害をどうして除去するかということは考えなきゃいけないけれども、ただ現在少し疑わしいとか、なれ合いだとか、八百長だとかいうことの理由で公選にするというのは、現実の状態から見て、かえって私は政争を激しくし、自治体の平和を乱すおそれがあるというふうに私は私なりの解釈を今いたしております。
  122. 市川房枝

    市川房枝君 お話のように、国の会計検査院は政府が任命をしているわけです。自治体の監査委員も長が任命しているということでは同じなんですけれども、実際の運営の状態から見ますと、私まあ決算委員をちょっとやったことがあるんですが、会計検査院だって必ずしも全部信用はできないのかもしれないけれども、しかし、あそこのやっていることはある程度信用できると思うのですが、ただ地方自治体がそうなると有権者が選んだ長であり、議員であり、そういう人たちを信用しないということになるのですけれども、実態から言えば、やはり今の各自治体の監査委員が非常に公平というか、公正に、独立してやっていて下さる方もあるかもしれないけれども、どうもそうでない印象が強いのです。だからそういう現実論から私は申し上げているわけですが、今大臣のおっしゃったように、今の制度でうまくいけばいいんだけれども、どうもまだ、そこまで私は納得できないというか、まあこれは自治体そのものの全体の運営の仕方といいますか、ずいぶんこのごろむだ使いが多いといいますか、あるいは納税者の立場に立ってほんとうにやってくれぬというふうな印象を、相当数の人たちがそういうふうな印象を持っておるのです。だからこれは、まあ自治体そのものの政治のやり方が、もっと住民の支持を得るようになれば、これはいいですけれども——まあ今のところ選挙のあり方も、この間の選挙みたいな状態であり、どうも信頼が薄いといいますか、そういうことを私は心配をして、そう言うわけなんです。
  123. 篠田弘作

    国務大臣篠田弘作君) 諸先生はみずから自治体の長となられ、あるいは監査委員の経験があるということを今ここで聞いているわけです。私は自治体の長をやった経験もないし、監査委員をやったこともちっともありませんから、ほんとうは実情は私はわからないわけです。だけども同じ自治体におきまして、多数によって選んだ長は信用できないけれども、多数によって選んだ監査委員長は、あるいは監査委員は信用できるというのは、これは理論的に間違っていると私ははっきり申し上げておきます。同じ選挙でもって公選で選んでおいて、一方は自治体の長なるがゆえに信用できない、一方は監査委員なるがゆえに信用できるという理論は、私は承服するわけには参らないのでありまして、結局理論的に申しますと、長がこれを任命いたしましても、公選をいたしましても、結果的にはやはりその村における多数の信用を得た者がなるわけであります。そうしますと結局今申しましたように、結果的に非常に違った選挙というものが行なわれるわけはないだろうし、また非常に違った選挙を行なおうとするならば非常に激しい政争をそこでしなきゃいけないということが一つ、それからまた激しい選挙を行なえば、そこにまた醜い選挙違反というようなことも起きてくるであろうと思います。そこで元来議会というものが、私はその任に当たるべきものである、しかも野党も与党もそこに集まりまして、公平な立場においてそういう問題は扱うべきものであるが、近来特にそういう要求があるためにこういう制度を作った——作るということになると思いますから、今の公選だから間違いのない、りっぱな人が出てくるというならば、何も公選で選んだ長を信用していればいいんであって、そういう理論には私は——まあ私はしろうとですから、はっきり断わっておきますけれども、もうそういうふうに考えるのかもしれませんが、私はそういうふうに考えるわけです。
  124. 市川房枝

    市川房枝君 私もしろうとでよくわからないのですが、いわんや私は、長にも監査委員にもなったことはない。ただ私は、むしろ住民として監査要求をし、訴訟をやった立場なのです。そういう立場から申し上げているわけです。それからやはり長の任命ということになりますと、ごきげんをとる、あまりきびしくやると、この次、首になる。そういう意味で、自分はしたいのだができない。これは何も監査委員ばかりでありません。あるいは教育委員だってそうだし、あるいはまた、ほかのいわゆる行政委員ども同じような関係にあるので、やはり自分の進退といいますか、その首の関係がなければ、ある程度公平にできるという立場から申し上げたのであります。これはいろいろ問題があることは承知しております。
  125. 篠田弘作

    国務大臣篠田弘作君) それは人間の、その人の持ち味とか考えとか人生観とか、いろいろあります。私ならば町民から監査委員に選ばれまして、そしてほんとうに町民のために不正があるかないか調べて、現実の不正があったらあったという報告をして、長から私がいじめられれば、私は監査委員として抵抗し、それを材料として相手の長をたたき伏せる、そのくらいの私は考えを持っております。やはり民主主義の時代ですから、そういう不正な者をただ権力だけでもって生かして置く、こういうことは多数の町民はやはり許さないと思う。だから、たとえば私が役場の吏員であって、幸いにして町民の与望を得て監査委員になり、調べたところ不正があった。その不正を公表したことによって町長にいじめられる。そんな不正な町長を残して置くということは、これはやはり自治体はよくなりません。これはあくまでもたたき伏せるほかない。
  126. 鈴木壽

    鈴木壽君 局長、さっきの秋山委員の質問に関連してですが、百九十六条の改正によって、議員から出る監査委員の場合、町村等で一人のときは、議員から選出された督査委員のみ、こういうことになりましたね。すると、答申と逆なことになってきたのですね。答申では、一人の場合は学識経験者のうちから出すべきだ、こういう答申ですが、複数の場合は議員からも出すことが、私も現実的な立場に立っていいと思うのですが、一人の場合、今言ったようなことでいいのかどうか、答申と食い違いますから伺います。
  127. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほど秋山委員にお答え申し上げましたように、答申とその点は違うわけでございます。ただ、違いました趣旨といたしましては、監査委員を今まで置いてないが、今度初めて置くというような小さな町村におきまして、実際上学識経験者の適任者が選ばれるということは、むずかしいであろうということと、それから議員選出の委員というものが、先ほど申し上げましたような趣旨から、監査委員に加わっているということが適当だという考え方からいたしますと、町村にもやはり議員選出の監査委員を置くことがいいじゃなかろうか、かねて考えますことは、議会というものは、本来執行機関の行政のやり方を批判する機能——広い意味監査機能を持っているわけでございますから、議会から出る議員が監査委員になるということのほうが、地方町村の実情に合っているのじゃなかろうか、そのような判断をいたしたわけであります。
  128. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間がないから、もう少し聞きたいと思いましたが……、ただ、議会人が実際監査に加わるということは、私がさっき言ったように、私自身としても、ただ複数の場合のことを前提にして考えているのです。一人の監査委員ということになりますと、ちょっとこれは違ってくるんじゃないかと思うのですが、いずれこれはあとで……。  それで実は、引き続いて資料の要求をしたいと思うのですが、それは、今度の法改正の中に指定金融機関の問題があるんですね、これは政令にゆだねておるわけなんでありますが、これまた、答申からしますと微妙な表現があるわけですね。答申の中では「都道府県及び指定都市の本金庫は、普通銀行のうちから指定するのを例とするものとする。」、こういう微妙な表現があるので、これを一体どう政令で書き表わすつもりなのか、ただ法律案だけではちょっと心配なところも私はあるのでございますので……。それから、今回の法改正の中にはたくさん政令にゆだねてある部分があるわけです。あなた方から親切な一覧表みたいなものをちょうだいいたしておりますが、相当の数になっておるのであります。これをずっと見ますと、はたして、こういうことまで、いわゆる政令できめなければならないものであるのか、というように私は思うのです。たとえば契約に関するようなこと、あるいはまた、他の部分において政令にゆだねると書いてありますが、そのものずばり法の中に書いてもよさそうに思うところもあるんです。そういう点から、ひとつめんどうなことをお願いするわけ女あるいはあなた方、何というか権限の中にあまり立ち入り過ぎるというようなこともあるかもわかりませんが、政令で今予定しておられます事柄について、これは文章としてはっきりまとまったものという意味でなくて、ごうごうという事項を並べるだけでもいいんですから、内容の具体的なものを、現在考えられておるものを、できればひとつ示していただきたいと、こういうふうに思うのですが、その点いかがですか。
  129. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お話のように、まだ政令は十分練っておりませんし、また国会の御審議の結果も十分考慮いたしました上で、政令案を作りたいと思っておるわけでございますので、ほんの現段階において考えております程度のことを御参考にという趣旨で作成をいたしてお手元に差し上げたいと思います。
  130. 鈴木壽

    鈴木壽君 おっしゃるとおりでいいのですから、これはいずれ法が通ったあとにはっきりしたものを作らなければならんと思いますから、今の段階で、こういうようなことを書こうと思っている、また、こういう事項はぜひ必要だというふうに考えておられることでいいのでありますから、そういう資料としてお出し願いたいと思います。ただ、この機会にちょっとお聞きしておきますが、さっき資料を求める一つ理由として申し上げた指定金融機関の問題ですね、これを今のところどういうふうにお考えになっておられますか。これは、いずれあとで資料をいただけるからよろしゅうございますが、一応考え方をちょっと聞いてみたいのです。
  131. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは政令ということになりますと、関係省とも相談をしなければならんわけでございますが、もちろん、それはまだいたしておりませんが、私ども考え方では、できるだけ答申趣旨をそのまま尊重して参りたいと思いますので、先ほど御指摘になりました点は、政令に一つの訓示規程として「普通銀行のうちから指定するのを例とする」というのを、そのまま書いたらどうだろうかというふうに思っております。
  132. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間もありませんから、あとで、できてきてからあるいはまた意見を申し上げ、お聞きすることになるかと思ますが、私はこの表現は、さっきも言ったようにちょっと微妙な、あまり、このままというと普通銀行ということになりますね、こういうものを「普通銀行のうちから指定するのを例とするものとする。」、政令はこのまま普通銀行のうちから指定するように書くわけですか。私、ここに何かニュアンスがあるのじゃないかと思うのですが、どうです、その点は。
  133. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 指定金融機関全体といたしましては格別制限をするつもりはございません。法律で認められました金融機関であれば何でも指定できるように考えております。ただ、都道府県と五大市につきましては、調査会でいろいろ御審議の結果、先ほどお話のありましたように、こういうものを例とするという答申が出ておりますので、その趣旨はなるべく尊重して参りたいと、かように考えておるわけでございます。
  134. 鈴木壽

    鈴木壽君 あとでまた、資料としてちょうだいしてから、お尋ねすることもあると思いますから、きょうはこれで……。
  135. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 本案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。次会は、五月二十一日(火曜日)午前十時に開会の予定でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十七分散会