○
野溝勝君 お
考えの点はよくわかりましたが、確かに総裁の言われるとおり、
日本の公社債
市場も非常に弱いのでございます。これを
育成するといってみたところで、なかなかそう簡単に
育成のできるものじゃない。結局、
産業界の
金融ということになれば、そうするよりやむを得ないというような処置をとったというのですが、その点も今度明らかにして、オーバー・ローンをなるべく防いでいく、こういう御
意見。
私は、日東化学にしても、丸善石油の問題にしても、単なる資本家とか経営者が倒れたということではない。それが労働者にも
影響してくるのでございますから、これはやはり資本家とか経営者の問題だけじゃない。また、経営者が倒れればいいやというような
考えを持っておるならば、とれまた労働者もおかしい。ですから、やはりそういう点は私どもも非常に心配をしておるのです。特にこうしたことは、一つのオーバー・ローン、オーバー・ボローイング、こういう点に問題があると思う。今後こういうことが、単に丸善とか、日東化学だけでなく、現われてくる心配がある。こういう
傾向にあるのが、私の調査で知った範囲にも三、四あるわけですね。ですから、私はその点を当局並びに総裁のほうにもひとつ御留意願いたい。
きょう、お聞きしておきたいことが多いのですが、次に私がお伺いしておきたいことは国際収支との
関係ですが、これは
大蔵大臣が来たときにお伺いいたしますけれども、送金の
制限廃止の問題やユーロダラーの問題ですね。大体、短期資金の形であったやつを、送金を自由にすれば、それが長期的になるというのですけれども、私はそんな簡単なものじゃないと思うのですがね。昨日図書館へ行って、一日かかって欧州の
金融状態を私なりに検討してみたが、なかなかそんなものじゃないのですな、われわれしろうとから見ても。ですから、特に国際収支の状態は、
自由化の中では国の経済状態のバロメーターになる。国民生活の安定にピンと響いてくる。
国民生活の安定の問題だが、俗に
政府は景気というが、景気という言葉はあまり適当ではないと思うのです。私は国民生活の安定ということにねらいを置かなければならぬと思う。あの景気という言葉を使っちゃいかぬと思う。あれは景気がよくなったって、労働者のほうは鼻くそほどしか回ってこない。ですから、国民生活の安定のためには、何としても貿易の好転といいますか、成果をあげること、次には物価を安定せしむること、それからいま一つは
生産力を拡充することです。私個人なりでの
考えとしては。今の経済評論家はそう書いてないですが、私はそう
考えておる。
そこで、最近の国際収支を見ると、経常収支も赤字だ。特に一番大事な貿易収支の点について赤字ということで、今後の動向が心配されます。国際収支、ドル準備について楽観する向きも多いが、私はなかなかそう楽観できる状態でないと思う。特に総裁も常に御心配をされておるように、今次日米綿製品交渉で見るように、わが国輸出の主柱の一つである綿製品でさえも、ああいう不当な扱いを受けるんです。私は想像して余りあるものがあると思うんです。ですから、一人の憂国の志士として私は
質問している。私が特に総裁をお招きしたのも、
政府のほうからだと腹からのことも言えないようなこともあるので、あなたならば、腹全部を打ち明けるわけじゃないかもしれないが、相当の御
意見を出されると思うので、
お答え願っている。
そこで、国際収支ですが、三十八年の一月が八千六百万ドルの赤字、三十八年の二月が九千五百万ドルの赤字です。こういう状態なんですね。これには資本収支で、ユーロダラーの流入とか外銀への支払い等があるが、これでは先々が思いやられる。こういう情勢の中で、
政府はさらにああいう手を打ったんですから、これは一応
日本の国際収支並びに
金融、
産業全般に対して少しくエネルギーを入れようという
考えでやられたと思うんです。私は悪いとは申しませんが、あまりいいとも申されぬ。ほかに何か打つべき手はないかと、私はこう思っている。ほかに打つべき手というのは、一応この際思い切って、
計画経済と言ってはまた言い過ぎるかしれませんが、私は過剰の設備に対して、まだ何とかそれをゆるめるような印象を与えるということは非常に危険だと思うのでございます。こういう点では、ただ、その特殊な業種が貿易上におけるところの
収入といいますか、そういう情勢の見通しも立たないうちに、去年やったからことしまたその継続の設備はやらなければならぬというようなことだけやられては、非常に不安が伴うと思うのでございます。こういう点をひとつ含んで、お答を願いたいと思うのです。