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1963-03-19 第43回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十九日(火曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            徳永 正利君            大矢  正君    委員            川上 為治君            亀井  光君            岸田 幸雄君            二木 謙吾君            松野 孝一君            吉武 恵市君            阿具根 登君            阿部 竹松君            大河原一次君            小柳  勇君            森 元治郎君            柳岡 秋夫君            田畑 金光君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    北海道開発政務    次官      小西 英雄君    通商産業省石炭    局長      中野 正一君    通商産業省鉱山    保安局長    八谷 芳裕君    通商産業省公益    事業局長    塚本 敏夫君    労働省職業安定    局長      三治 重信君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省重工    業局次長    熊谷 典文君    資源技術試験所    長       馬場 有政君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○産炭地域振興事業団法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案閣法第一一号)、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案閣法第一二号)、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。  御質疑のおありのお方は、順次御発言を願います。
  3. 阿部竹松

    阿部竹松君 これから私のお尋ねすることは、きわめて小さい諸問題についてお尋ねするわけですから、大臣以外の局長さんの御答弁でもけっこうなところがたくさんありますから、局長さんから御答弁いただくことにいたしまして、特に衆議院段階で、需要と供給についての五千五百万トン、六千万トンの大きな問題等が相当一論議されて、私も速記録で拝見いたしておるので、微細の点についてこれからお尋ねいたします。  そこで、劈頭に、これは大臣にお尋ねするわけですが、俗に言う、昨年の暮れの臨時国会等において問題になった三項目の自社両党の確認事項、つまり一項目は五千五百万トン云々、二項目増強維持、あるいはボーダーライン山等に対する処遇の問題、三項目地域性経済性を十分配慮して休廃山等にあたっては処置すべきことと、こういう三項目確認事項が去年の暮れの国会から問題になりまして、本国会の当初にそれぞれ関係大臣から御答弁をいただいておるわけですが、この三項目をどのような形で政策に盛り込んでいき、どのような形で実施されるのかという、三つの点について具体的に御説明をいただきたい。
  4. 福田一

    国務大臣福田一君) 三項目の問題につきましては、過般、衆議院予算委員会におきまして、総理大臣大蔵大臣、それから私から一応御答弁申し上げておるところでございます。その具体的方法ということになりますと、御承知のように、五千五百万トン、六千万トンを努力する、こういう五千五百万トンを確保することも困難であるけれども、六千万トンを努力する、こういうような表現でございます。私は、この五千五百万トンという数字も、現段階、特にことしあたり需要がそれまでついておりません。来年もなかなかつかないであろうという見通しのようでありますが、しかし、この五千五百万トンというのは、私は、政治的責任として、どうしてもそれだけ出炭があった場合は、これは認めていく、そして何らかの措置をとるということは、これはいたす方針であり、また、そのことはしばしば私は申し上げておるところであります。しかし、実需がそれについておらないのを六千万トン努力するというのはどういうことになるかと言えば、やはり用途の開拓需要開拓ということになるだろうと思います。需要開拓方法には、まだいろいろの道がある。たとえば今のところは、電力なら電力なら電力に対して、一定の国としての仕事、何らかその損害を国のほうでめんどうを見ようということの形において三十八年度はああいうふうなやり方になっていますが、しかし、こういうような場合においても、これは考え方の問題でありますが、政策的に考えてみれば、損する分は全部国で負担したらいいじゃないか、そしてもっと火力発電をやらせろ、こういうことも考え方としては一つ考え方になるだろうと思う。しかし、この有沢調査団考えで定められたものは、いわゆる国際収支の問題も考えてみたり、エネルギーの安全性というようなものも考えてみたりした上で、やはり五千五百万トンぐらいが妥当であろう、こういうような結論を出されておるのでありまして、その結論をくつがえした方法需要確保ができないかということになれば、できないことはありません。しかし、今のところ、われわれとしては、そういうことをやるということについては考えておらないのでありまして、同時に、また、五千五百万トンにならない分については、これは政治的に考えていこうという、こういう感じで問題の処理に当たっている。そうならば、どういうことをこの問題について具体的にやったらいいかということになれば、私は、これを石炭原料にでも使うというようないわゆる研究をひとつこの間やってみてはどうかというふうに考えておるわけでありますが、こういうようなのも一つ方法でございましょう。いずれにしても、何らかのうまい方法があって、そして六千万トン需要がついてくるというようなことであれば、これは非常に喜ばしい方向である。ただ、何らかの方法という意味は、自然的にこれ以上需要が伸びてくるということを私は申し上げておるのでありまして、人為的に何らか政策的にこれ以上の何かをしてというようなことは、今のところわれわれとしては申し上げておるつもりはないわけであります。したがって、第一項については、これ以上のことを申し上げることは困難かと存じます。  それから、第二項のボーダーラインの問題につきましては、ボーダーラインの上にある炭鉱であって、実際に資金が不足したような場合においては市中銀行から融資してもらいたいとか何とかいっても、なかなかそれに合う法律がないから非常に困難であろう、したがって、これは特別な制度を作ってはどうかというような御質問があって、これに対して大蔵大臣は、そういうような制度をひとつ作るということを言われておったと私は了解いたしております。で、これは作るということになれば、法律改正というような問題まで発展するのじゃないかと思うのでありますが、私はその後どういうふうにこの問題が解決されておるのか、たとえば合理化事業団の金の中からそういうものを出せるという法律改正をするというような問題がここに一つ残っておるわけであります。そのことについては、今後われわれとしても大蔵省と調整をはかっていかなければならないと考えております。それから、第三項におきましては、経済的、地域的問題を考慮するということでございますが、これは今度の石炭産業の問題というのは、経済性の問題から常に出発しておることは皆さん御承知のとおりでありまして、幾ら掘っても、それを使う人がないというのに、五千五百万トンをこえてどんどん掘るというわけにはいかないと思うのであります。そういうことになりますというと、やはり経済性ということを考えながらスクラップ・アンド・ビルドするのだということはお認め願わなければならないと思います。しかし、それをやる場合において地域に非常な影響があるという場合には、産炭地振興その他の方途によって、ひとつ問題はできるだけその地域影響が少ないようにしていくようにしょう、こういう意味で御答弁いたしておるのでありまして、その産炭地振興問題等につきましては、目下いろいろ各省との間で、工場の設置とか、あるいは政府工場を作る問題、あるいはまたそこに何らかの事業を起こした場合に融資をするというような、いろいろな方途によりまして、振興事業団等が受け付けをして、その認定をしておるというような段階であります。私は、何かほかにいい方法があれば、できるだけそういうような意味産炭地振興のためには努力申し上げなければならない、こういうように考えておるわけであります。
  5. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産大臣、たいへん恐縮なことを申し上げるようですが、衆議院でやったようなお話を私はむし返そうとは思っておりません。私のお尋ねの内容が御理解いかなかったかもしれませんけれども、私のお尋ねせんとするところは、たとえば石炭調査団が、調査過程において、電気業者、あるいはまた鉄鋼業者ガス会社等経営者を呼んで、君のところは三千万トンである、君のところは千四百五十万トンであるというように、それぞれの会社と交渉した結果の集計が五千五百万トン、こういう結論が出たやに承っておるのであります。そうしますると、五千五百万トン以上努力する、こうおっしゃるわけですが、大臣みずからおやりになったか、石炭局長中心となっておやりになったかは別問題ですが、そういうような具体的な方法で五千五百万トンから幾らオーバーするかわかりませんけれども、第一点の場合には、そういうような意味政策的にやっておられるかどうか、こういう現実の問題をお尋ねしておるわけです。
  6. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、六千万トン確保ということは、三十八年度という年度、三十九年度というのではなく、私の了解するところでは四十二年度を大体予定しておる、表には出せないのですが、私の了解するところでは、すぐ三十八年度でやるとか九年度でやるとかいう年度は指定していない、将来とにかく伸ばせたら伸ばそうという意味に了解しておるわけであります。したがって、具体的にそれじゃ五千五百万トン以上をどこにどう割り当てるか、そういうような考えで処置はいたしておりません。現在のところ、そういうことはいたしておりません。
  7. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいま大臣のおっしゃったとおり、調査団結論というものは、今年度から来年度からと規定しているわけではない。しかし、最終年度においていきなりベースを上げて、そして消費量を上げるといっても、そのときになってはおそいわけです。したがって、今から今後いかなる努力をするか、計画を立てていかなければならないわけですが、その点の計画はどうなんでしょうかということを尋ねているわけです。ゼロならゼロでもよろしいわけです。
  8. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今、大臣の御答弁のとおりでございますが、われわれ事務当局といたしましては、具体的な需要確保のために最大限の努力を傾注しているつもりでございます。その結果、それが五千五百万トン以上幾らになるのか、特に来年度あたり五千五百万トンまでいくのか、それはわれわれの努力の結果でそれが出てくるというようにわれわれは判断してやっておるわけでありますが、第一に、電力用炭につきましては、閣議決定、すなわち調査団の提出した数字のとおり、二千五十万トンというものを、これは先ほど先生調査団段階業界話し合いをしてきめたのじゃないかと言われたのですが、そうじゃなくて、調査団業界の意向なんかも聞きましたが、調査団としての数字を掲げたのであって、数字そのもの業界のほうは了解しているわけじゃございません。そういうことで、これは十一月二十九日に電力用炭については閣議決定になったわけであります。その線で通産省として、これは大臣も御出馬願ってやって、ようやく電力業界も三十八年度、四十二年度、四十五年度数字についても、将来はできるだけこれは引き取るように努力するということでございます。明年度の問題については、予定よりも二百五十万トンよけい引き取るという約束をはっきりしたわけであります。ただ、その裏づけの対策としては、御承知のように、現在輸入関税を二%上げまして、そのうちの一割を還付するということでおのみになったわけであります。これはもちろん電力業界石炭予定引き取りについてのいわゆる負担増を全部カバーするわけじゃございませんが、これで政策に協力しようということになったのであります。原料炭については、これも出銑計画によりまして左右されることになることはやむを得ないのでありますが、極力国内産の弱粘結炭を優先的に使用させる方針で、今省内と業界折衝を続けておるわけでありまして、製鉄所原料炭については、調査団は約八百十万トンという数字を掲げておりますが、この当時に調査したベース出銑量が大きくふえまして、御承知のような景気調整の非常な影響を受けまして、鉄は非常な減産をしております。今数字を直ちに詰めますと、やはり先行き悲観的な見方が鉄鋼業界に非常に強いわけでありまして、これは私の考えですが、もう少し時間をかけて景気上昇の兆候を見ながら、四月に入れば早々きめまして、そして四月の中旬に予定されております石炭鉱業審議会で最終的にきめていただいたらどうかというふうに考えて、今折衝を続けておるわけであります。しかし、これは閣議決定の趣旨に従って、できるだけ国内炭を使っていただくということでやっています。  それから、その次にセメント用炭需要計画をどうしてはかるか、これも強力な行政指導をやるということになっておりますが、一時はこれは相当今セメント用キルン重油転換しております。これは揚地等が多いのですが、これは行政的にひとつ押え込んだらどうかということでだいぶやったのですが、これは実際問題としてできないということになりまして、今度は産炭地にできるだけ石炭専焼キルンを作る、それによって全体のセメント用石炭需要の低下を防止しようということになりまして、産炭地域にできる石炭専焼キルンに優先的に財政資金をつける、そしてそういうところへ重油専焼のやつもできたことがありますが、そういうものには金をつけないようにしたこともありますが、業界との話し合いで、できるだけセメント・キルン重油転換を先に延ばしてもらうというような指導はなお続けていきたいというふうに考えております。  それから、国鉄火力の建設につきましては、その早期実現方運輸省並び国鉄当局に強く要請をいたしておりますが、これは国鉄としては、やはりあまり安くできないというようなこともありまして、十分検討はするが、いつの時期にできるかというところまではまだいっておりません。折衝は続けております。そういうようなことでやっておりまして、特に来年度につきましては、一部では五千三百万トンせいぜいじゃないか、五千二百万トンぐらいしか需要がないんじゃないかというような悲観論もありまして、というのは、本年度が大体五千三百万トンでありましたが、ただ、これも相当やはり石炭から重油への転換が行なわれたということもございましたが、やはり一つには景気調整のあふりを食って、石炭をたいておるかまを先に落とすというような影響も相当現われておるんじゃないかというふうに考えております。したがって、景気調整にもよることでございますが、できるだけしかし政府としては需要確保のためにいろいろな措置をとっていきたい。それから、重油ボイラー規制法につきましては、大臣が何度も言明をされておりますように、再延長の方針で今検討いたしておるところでございます。
  9. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次に、第二項目増強維持ボーダーライン、この点についてお尋ねしますが、これも石炭調査団は、千二百万トンの山を整理して、そのかわり千二百万トンの、まあ原料炭中心だとおっしゃっておるようですが、山を振興開発化、近代化してほかに求めていくということなんですが、調査団は、御承知のとおり、どことどこがスクラップ山で、どことどこの山がこれはビルド山で、どこがボーダーラインであると、これは調査団として出したのか、調査団員個人として出したのかわかりませんけれども、相当新聞その他によって喧伝されているわけですね。通産省は、その千二百万トンのスクラップ、千二百万トンの増強を認めているようですが、通産当局のしからばその千二百万トンに該当する山——スクラップビルド、こういう点については、おそらく調査団通産省資料によって判断したと考えるわけですから、通産省のお考えの点を御明示願いたいわけです。
  10. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今、先生が御指摘になりましたように、調査団において調査する段階において、通産省としていろいろな観点から資料を提出したわけでありまして、その提出した資料に基づき、また、現地にも調査団先生方が行かれまして、それぞれまた十分検討を加えられた結果、ああいう調査団答申が出たわけであります。したがって、過程においていろいろ資料を作成して通産省として出したことは事実でございます。しかし、具体的にどの山をスクラップし、どの山をビルドするということを調査団として結論を出しておるわけではございません。これはやはり毎年の計画として石炭鉱業審議会でそれはやるべきであるという結論になっておるわけであります。ただ、三十七年度から四十二年度にかけて約千二百万トン程度スクラップはやる、同時に、それにかわるビルドもやらなきゃならぬじゃないかということは、基本線としてこれは一番大事な点でございまするので、どうしてもそういうことをやらないというと、石炭産業は四十二年度に自立と安定は期せられないぞという調査団答申をしていた、たいておるわけであります。したがって、具体的に山がどうということは、いろいろな資料は出して御検討は願ったのでありますが、結論を出し、また、それを公表するというような性格のものではないというふうに調査団先生方も言っておられます。ただ、先生の御指摘のうちで、千二百万トンのうちには原料炭の量はあまり入ってない、おもに一般炭スクラップと、大部分がそういうことに調査団段階では御検討願っておることは事実でございます。
  11. 阿部竹松

    阿部竹松君 石炭局長、誤解せぬで下さい。私、石炭調査団答申の御説明をお尋ねしているわけじゃない。調査団がこう言っておるんだが、しかし、石炭局みずからの案があるでしょう。千二百万トンはスクラップにする、千二百万トンはビルドだということをあなたもここで再三言明しておられるんですから、通産大臣もね。そうすると、それに基づいてそれぞれの資料があるはずなんだ。千二百万トンをスクラップビルドときめておいて、山も考慮しない、地域も考慮しない、石炭の種類も考慮しないで、千二百万トンだめで千二百万トンよろしいということじゃなかろうと思うんですよ。能率の上がらぬ低品位の石炭、あるいは運賃のかかる所はスクラップをやる、炭量のない所もスクラップをやる、そのかわりこういう所はビルドだというようなことで、千二百万トンという結論を出すからには、調査団と同じように案があるはずでしょう。案がなくて、ただ単に千二百万トンスクラップで、千二百万トンはビルドだという、総出炭量は同じだというような結論はないはずです。ですから、スクラップにしろビルドにしろ、プラス・マイナスが同じですから、そうしてそれに基づいて当てはまる炭鉱炭田、これが必ずある、こういうふうに考えるわけですが、ただうのみに千二百万トンずつこう並べた、そういうことですか。そうじゃないでしょう。
  12. 中野正一

    政府委員中野正一君) 先ほど来御説明いたしておりますように、通産省としては、調査団の御要望に従っていろいろな資料を作り、コストから見たらどうだ、能率から見たらどうだ、地域流通経費の問題から見たらどうだ、いろいろな観点から検討した資料を出しているわけであります。それに基づいて、調査団としては、四十二年度までに千二百万トン程度の、これも相当なスクラップ化するのでございますから、その大きな方針を出し一それから能率等につきましても、調査団としてはいろいろ検討した結果、四十二年度には全国平均で三十トン弱というところぐらいまでいけるというようなことを出しているわけでありまして、しかし、通産省としてこの山はやめるべきである、この山はビルドすべきであるということは、これは決定しておりません。これはあくまで地域別炭田別にはもちろんいろいろ検討した結果は審議会に出しますが、これは毎年やる。そうして、その計画のもとに労使が話し合って、各企業責任で、スクラップなり合理化計画を実施しなさいというのが答申案でございまして、これは先生も言われるように、調査団でも、むしろこの際これだけの大手術をするのなら、いわゆる生産指定制、もうビルドする山を指定して、それに集中的に金をつける、あるいはいろいろな対策をやる、こういうことをやったほうがいいのじゃないかというような議論も最初のころは一時はございましたが、しかし、いろいろ議論をした結果、そういうことは適切でないということで、調査団としても、いろいろ検討をしたスクラップ・アンド・ビルドの個々の山の検討の材料はそれには出さない。それはあくまで調査団検討したということで、むしろこれは毎年開かれる審議会で全体の問題としてやるべきであるということになったわけであります。それぐらいでありますから、通産省のほうで、ましてやおまえはやめろ、おまえは生き残れというような指定なり、そういうものを表に出してやることは、これはできない。しかし、これは具体的に各山が、たとえばスクラップするというような段階には、地域経済にも、先ほど来のお話のように、影響も大きいわけですから、これは当然経営者のほうも通産省相談にきますし、それから組合のほうも、当然そういうことはわれわれの仕事でございますから、役所としては当然相談を受けていろいろの対策は講じなければいけませんですけれども、役所のほうから、おまえのところはだめだ、おまえのところはビルドだということを指定したり公表したりするということはいたさないことにしております。
  13. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあいずれの山が該当するかということについては案がございません、それは審議会がおやりになることで、役所としては指定いたしません、まあこういうことなんですが、どうも千二百万トンというスクラップビルド両方に答えを出しているんですから、どういう山がこれに該当するか、ただ全然案がないということは不思議なんですが、しかし、そればかり論議しておっても時間がかかりますから、次に移ります。  その千二百万トンをスクラップする場合とビルドする場合に、これは四十二年までにおやりになるわけですが、相当金額がかかるわけです。もちろんこれは政府が全部持ち出してやるというようなことはとうていできないことであって、私企業ですから、企業みずからが努力することは当然のことですが、しかし、政府も、国の政策の一環としておやりになるわけですから、大体国の予算として、数年先のことは明確にわからぬでしょうけれども、大体どのくらい政府てこ入れに金を出すものかということを、大ざっぱに昭和四十二年までを——さしあたり三十八年度は大体どのくらい融資あるいはその他のてこ入れ政府のお金をお使いになるか、これは大ざっぱな御答弁しかいただけぬと思うわけですが、それでけっこうですから、お知らせ願いたいと思うわけです。
  14. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今、先生から御指摘のあったとおりでございまして、三十七年度から四十二年度にかけてそれだけの大規模のスクラップ化をやると同時に、ビルドをやる、こういこうとでございますから、相当金もかかりますし、その金は、もちろん企業が自分で調達し、あるいは市中金融機関にも期待をしなければいけませんが、しかし、相当これの調達が困難であるという意味合いから、この所要資金については、政府が大いに努力をして、その確保に万全を期するべきであるということがこの答申案にもあるわけでありまして、答申案数字で申し上げますと、まずビルドのほうでありますが、設備資金としては三十七年度から四十二年度までに約千七百億、これは大手が約千四百億で、中小が約三百億、合わせて千七百億ということを一応見込んでおります。このうちのどれだけが政府かということは、これは調査団段階でも、いろいろのことも資料を出して検討していただいたのでありますが、結局調査団としては、数字はやはり出さないほうがいい、できるだけ政府がこれは努力しない、それから、企業も自分でも努力しなさいということになっております。それから、整備資金のほうでございますが、いわゆる合理化、あるいは閉山に伴う退職金金融でございますが、これが三十七年度から四十二年度までに約八百億、大手が約六百八十億、中小が約百二十億ということになっております。これもなかなか調達が困難であるので、これは整備資金融資ワクの拡大と、それから償還期限も三年据置の五年均当償還、金利も六・五%に下げなさいと、こういう答申をいただきまして、今の据置期間、あるいは償還期間の延長と、それから、整備資金の金利の引き下げについては、すでに実施をいたしました。それから、資金確保につきましても、今努力をいたしておりまして、たとえば三十七年度で申しまするというと、設備資金のほうは、開発銀行が百二十億、それ以外に近代化資金が約三十億でございますから、約百五十億ほど設備資金政府から政府資金として出す。それから、整備資金のほうについては、三十七年度が百億円追加予算を入れまして出しておるわけであります。来年度につきましても、開銀資金が百十億円、それから、近代化資金が四十数億円ございますので、約百五十億円くらい出す。それから、整備資金については、六十億円の整備資金を出す。この整備資金は、われわれ通産省としては、これは不足するということで、ぜひ百億近いものがほしいということで最後まで折衝を続けたのでありますが、いろいろの関係で六十億ということになっております。設備資金、整備資金についてはそういうふうなことで、今予算のほうの御審議を願っておるわけであります。
  15. 阿部竹松

    阿部竹松君 次に、第三点目についてお尋ねいたしますが、つまりその地域経済影響する部分、こういうことですが、まあ炭鉱は集団にそれぞれの各企業があるものですから、これは九州から北海道、常磐、山口、どういう地域でもこれは影響するわけですが、一例をあげてみますと、北海道の美唄がいい例ですが、三井美唄炭鉱、御承知のあの山がもし閉山ということになれば、その辺の町、中小企業はもちろんのこと、学校、郵便局、まあ巡査の派出所まで必要なくなる。これは地域経済に及ぼすところがもう重大な問題なんですが、こういうものに対して手当はどのようにやっていただけるものか、その点をお尋ねいたします。
  16. 福田一

    国務大臣福田一君) まあ閉山をした場合に地域にどういう影響があるかということになれば、これは影響のない閉山ということはほとんど考えられないと思うのであります。そこに大小の問題が出てくる。そこで、いずれにいたしましても、まあ第一にそういう場合において、炭鉱に働いておる人の収入が少なくなる、あるいはなくなる、一部なくなる、そうすると、今度はそれに関連して、商売をしている人の売り上げが減る、あるいは炭鉱自体に貸しがあるのにその金が取れない、数え上げてみればいろいろの問題があると思います。そこで、離職をされる人に対しては、これはもう御承知のとおり、失業手当というものが出て、そのあとすぐ仕事があれば別ですが、なければそういうものが出る、その後またいわゆる促進手当というようなものも出るというようなことは、ある意味地域経済の面から見れば、いささかその点を緩和しておる。しかし、そういうことですべてが解決しておるのではない。そこで、今度は商売屋はどうなるか。商売屋の場合には、売掛金の問題等があるから、これについて、御承知のように、個人百万円、法人三百万円までの分は何らかめんどうをみようという措置をとったわけであります。しかし、なおそのほかにたくさん持っている人はどうなるかということで、これは目下各方面で研究されておりまして、これについてわれわれも研究いたしておりますが、何らかの措置がとられるのではないかというふうにわれわれは見ておるわけであります。それから、今度は自治体はどうなるか。自治体は今度は税金が入ってこない。非常に今度は要援護者がふえるということがあるので、これに対してはどうか。これについては、御承知のように、特別交付金の問題等で相当程度は手厚くみていこうと、こういうことで今やっております。まあこういうようなことをする。それから、今度は、そういう産炭地に対しては、先ほども申し上げましたが、工場誘致の問題とか、事業をほかに起こすとかいうようなことも考える。もちろん閉山する山の経営者は、六割ぐらいの限度においてほかに仕事を見つけて、これにいわゆる就職をさせる努力をする。しかし、そこで就職させなければ、うんとその地域は悪くなるわけでありますから、そういう問題は山によっておのおの違ってくると思いますが、いずれにしても一、こういうことについては、われわれとしてはできるだけひとつそういう影響が少なくなるような工夫を積極的にやろうというわけで、今いろいろと各方面と連絡をとっておるという段階でございます。
  17. 阿部竹松

    阿部竹松君 どうも私の聞き違いか、理解力が足りないかわかりませんけれども、大臣の御答弁を承っていると、その山がもうつぶれてしまったということを前提条件にして対策をお考えになっているようですが、そうでないように三項目の条文は解釈ができるわけです。しかし、その解釈の右せんか左にせんか別として、炭鉱をやめていった人に四百五十円ずつ三年間お払いになるという法ができ上がっているわけですが、炭鉱をやめていって四百五十円では食っていけぬわけですから、三年も金をもらっているような人間は一人もないでしょう。しかし、いずれにしても、一年なり一年半四百五十円ずつ金を出すのですから、それを企業に投資してやればコストの安い石炭が出るのじゃありませんか。あるいは中小企業に対する三百万円云々融資すると言っても、今の売掛代金は取れるかもしれぬけれども、そこに人がおらぬければ、それは中小企業は成り立っていきませんよ。ですから、四百五十円金を出して、こっちは労働省の関係で、通産省のほうは、石炭コストが安くなって人員整理をすればいい、省が違うからということになれば、これは別ですけれども、日本政府はたった一つなんですから、労働省で使う金を通産省でお使いになって、安いコストの石炭を出す方法をお考えになるわけにはいかぬですか。どうもお答弁を承っていると、私はあげ足をとるために発言しているのではないのですが、その対策は、やめるということを前提条件としてのお答弁のように聞きとれる。こういうことじゃなしに、それだけの労働省で使う分の金があれば、それを通産当局でお使いになって、労働省のお世話にはならぬというような方向は政策的に無理でしょうか。
  18. 福田一

    国務大臣福田一君) 御承知のように、石炭の問題は、まず経済性というものを考え、そしてスクラップ・アンド・ビルドをするわけであります。その場合に、スクラップする山はどういう山、地域、われわれとしては地域を指定する、炭田を指定する、こういうことでやりますが、その場合に、あなたのおっしゃるのは、四百五十円出すが、そんなものを出すならば、その金をつぎ込めばもっと安い石炭が出てきやしないか、こうおっしゃるのだと思いますけれども、そうしたら三年たった後にどうなるか、こういうまず一つ疑点が起きると思います。三年たった後にも、はたしてそれでは四百五十円どんどん出せるか、そうはいかない。それから、また、スクラップする山、ビルドする山、スクラップ・アンド・ビルドというのですから、そういうふうに四百五十円出して、その山はそのまま残しておくということになれば、ヒルドの速度はうんと落ちるいわゆるスロー・ダウンという問題も起きてくるでありましょう。こういうことがはたして本来のいわゆるスクラップ・アンド・ビルドをして石炭企業合理化し、そして石炭企業を将来独立して経営がやっていけるようにするのだという方針とどういうふうな関係に立つかというようなことを考えてみますというと、今あなたのおっしゃったように、四百五十円労働省で出すやつを、今度は経営者のほうに、あるいは経営自体につぎ込んだらいいのじゃないかというのは、少しむずかしいのじゃないかと、こう考えております。
  19. 阿部竹松

    阿部竹松君 その単に四百五十円ばかりじゃないですね。労働省もえらい苦労なさるでしょうし、今度はあっせん人か紹介人かわかりませんけれども、何十人か何百人か使って、そういう経費もかかるでしょうし、あらゆる面でかかる。しかし、今コストが安くなれば、三年後でも安くなるわけです。今コストが安くなって三年後急に高くなるということはないです。したがって、石油がどんどん日本の国から出るのだったら、これは問題ないでしょう。しかし、国内にある資源を使わぬで、外国からドルを使って油を入れてくるのですから、もう少し国内産業、あるいは基幹産業が国内の資源を使うというのが政治の根本問題だと思うんです。ですから、今安くなれば、これは自動的に三年後あるいは四年後にだんだんよくなりますよ、能率も上がってくるのですから。ですから、やめていった人を保護してあげるのはけっこうだが、その金をもう少し生きたところに使うことができませんか、こういうことを僕は言っておるのです。どうですか。
  20. 福田一

    国務大臣福田一君) まあその国内資源を愛用するということは、これはわれわれも大いに賛成であります。もっとも、国内資源愛用というので、これは話がそれるかもしれませんけれども、それなら掘らないで残しておいたほうがいいと、石油なんかの場合にはそういう意見も出てきておることは御承知のとおりであります。しかし、まあこれは余儀にわたりますから、石炭の問題につきまして、どういうわけでそういうことを考えたかということになれば、要するにエネルギーを安く供給することによって、できるだけやはり輸出振興をしていかねばならない、これが大きな国策になっておる。安いエネルギーということになった場合には、やはり油というものが前面に浮かび出てくる。しかし、前面に浮かび出てくるけれども、といって、今度は一方においてはやはり国際収支の問題ということも非常に大きなウエートがある。これらを勘案して、両方そういうことも考え合わせた上で五千五百万トンが適当であろうというのが調査団結論、いわゆる公平な第三人者が考え一つ結論である。で、政府としては、大体その結論を了承して、そうしてこの線に沿ってこの問題を解決していこう、こういうわけであります。しかも、その五千五百万トンというのは、順次スクラップ・アンド・ビルドをして、合理化された山にして、独立採算ができる山にしていくのだ、こういう考え方でこの調査団の報告ができておるのであり、また、われわれもそういう考え方政策を立案をいたしておるのであります。そのときに、まあ労働省が失業をされた場合に出す金をその山へつぎ込んで、そうしてあなたのおっしゃるのは、おそらく合理化をしたほうがいいというお考えのように承っておりますが、はたしてそういうことで合理化ができるか、また、それをやったその合理化、今までずいぶんたくさんの金をつぎ込んでやったその能率がどの程度上がっておるかというようなことを見ると、私は、はたしてそれがいわゆる合理化になって、うまく将来そういうような安い石炭が出せるかどうかということになりますと、これは非常にむずかしい。一方、そういうふうにいたしますと、今度はスクラップする山が減りますから、ビルドする山のほうはスロー・ダウンする、ビルドする山のほうもうまくいかない、それからスクラップすべきはずのものをスクラップしないでおいた山もまたうまくいかないというようなことになることは、はたして石炭産業を自立さしていくのだという根本方針といわゆる相背馳しないかどうか、いわゆるその方針にのっとっておるかどうかということを考えてみますというと、どうもわれわれとしては、やはりそういうようなやり方が正しい。いわゆる四百五十円出すようなそういう金、あるいはほかに出しておるような金をつぎ込んでいけば、それで絶対にもう石炭産業が安く、しかも、合理化されて供給されるのだという結論は、調査団でも出しておらないし、われわれの今の考え方でも出てこない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  21. 阿部竹松

    阿部竹松君 石炭を使わぬで石油を使ってはどうか、国内資源は残しておけと、こう言う人もおるというのですが、まあその人は、確かに石炭は鮮魚と違って、腐りませんから、これは残しておいても地下資源として残っておるわけですが、日本にわずかな量しかない地下資源を将来の子孫のために残しておけという愛国心からそういう発言をなさっておるものか、それとも、逆に、油をどんどん入れて利潤をあげようというためにおっしゃっているのか、これはわかりませんけれども、それに関連して、工業技術院の資源技術試験所長がおいでになっておると思いますが、石炭の化学の利用についてひとつお伺いをしたいわけですが、現在国でやっているのはあなたのほうであります。あと北炭とか、三井、三菱と、規模の大小はあっても、各会社でも研究なさっていると思うのですが、あなたのところでは、国のたった一つの試験所として、石炭の化学利用について研究なさっているやに承っておる。たとえば染料とか、あるいはナイロンとか、あるいは舗装にも利用されるわけですね。今日肥料にも使う、こういう話なんですが、全貌をちょっとお聞かせ願いたいと思うわけです。
  22. 馬場有政

    説明員(馬場有政君) 化学方面に利用することについてのことでございますけれども、私どもで従来やりましたのは、これは古い方法といたしましては、御承知のとおり、染料その他は石炭から作られ、現在でもまだ作られておりますが、次第にその方面の用途のほうは、いわゆる石油化学のほうに食われてきておる。で、これはひとえにコストの問題からでございまして、そのほか、たとえば肥料方面、これは現在北炭で開発されておることは、ただいま御指摘のとおりでございますが、これはかつて私どものほうで、石炭に硝酸を作用させまして、そうして肥料と申しましても、肥料の何と申しますか、効果を増進する、それから土の性質を改良する、いわゆる土壌調整剤と申しておりますが、そういったものの基礎研究をやりまして、これが北炭で現在開発されて、開発段階にあるわけでございます。それから、道路の舗装剤でございますが、これは石炭から作りましたコールタールと、それから石炭を反応させまして、いわゆる膨潤炭と称しておりますが、アスファルトに類似した性質のもの、性質といたしましてはアスファルトよりもよろしゅうございますが、こういうものをたとえば水道管のパイプその他のさびどめの塗料、あるいは一部道路とかその他の舗装いたしましたところの目地剤、そういった方面に現在実用化されております。こういったところが現在までの段階でございます。これは過去のことでございますが、現在私どもといたしましては、さらに新しい用途を開拓しようというわけで、たとえば石炭の中の主成分といたしますのは炭素でございます。この炭素を有効に利用するというようなこと、つまり石炭原料にいたしまして、直接炭素剤と申しておりますけれども、カーボンとかいろいろな材料を作る、こういったことを現在やっております。
  23. 阿部竹松

    阿部竹松君 将来その石炭を化学に使う見通しについて、もう少し詳しくお尋ねしたいのですが、大体その商品価値があるかないかということ、これはコスト、経済、これに関係するでしょうが、それから、大体商品価値があるとすればどのようなもので、石炭はどのくらい使われるかということをお尋ねしたいのです。それから、鉄鋼に使っている粘結炭、これはアメリカからも入ってきますね。しかし、日本ので間に合わぬかどうか、石炭が外国から入らぬで、日本ので間に合うかどうかということをお尋ねしたい。あなたのほうで研究なさっておるでしょう。
  24. 馬場有政

    説明員(馬場有政君) まず、鉄鋼関係のコークスの関係から申し上げたいと思いますが、鉄鋼関係のコークスは、御承知のとおり、いわゆる強粘結炭を必要といたします。その他種々の性質といいますかを要求しております。現在は、御承知のとおり、外国の強粘結炭、あるいは国内に産出いたします弱粘結炭、その他外国の弱粘結炭も入っておりますが、そういったものを混合いたしまして原料としていることは御承知のとおりでございます。そこで、われわれといたしましては、現在コークスの原料炭に使われていない種類の石炭、たとえば非粘結炭、あるいは粘結性の弱い石炭、不十分の石炭、こういったものをできるだけ多く使ってコークスを作るという研究をしておるわけでございます。それに現在日本は、コークスの製造技術に関しましては世界的にすぐれております。これは原料が性質、量ともに不十分であったということのためだと思いますが、現在そういう非粘結炭をただ単に十分に混合いたしまして原料にする、こういうやり方でございますと、大体一〇%程度はそういう方法で使うことは可能でございます。  それから、第二に、そういった石炭を予備処理をいたします。これは予熱処理をいたすわけでございますが、予熱処理をいたしまして混合することによりまして、大体まあ三〇%、これは混合いたします石炭の種類によって変わりますが、およそ三〇%くらいまでいけるわけでございます。それから、さらにそういう粘結性の不十分な石炭をまぜまして、あらかじめ押しつけましてやりますと、かたいコークスができるわけでございますが、これでございますと、さらに多くのそういうふうなコークス原料炭に従来使われていない石炭を混合することができるわけでございます。しかし、ただいま申しました順番に処理費がかかるわけでございます。最後に申しましたようなものでございますと、一番たくさんまぜることができますが、ただし、そういう圧搾成型の費用が、現在のところでは一トンに対しまして千円以上の処理費がかかるわけでございます。こういたしますと、原料炭がそれだけ上がるという格好になるわけでございます。ただいまのところは、今申しましたような方法をいかにして経済的に行なうかという研究に努力をしている最中でございます。それから、そのほかの用途でございますが、たとえば先ほど申しましたニトロフミンサン、これは先ほどの肥料の促進剤とか、あるいは土壊調整剤に使われるようなもの、これは現在のところ規模も小そうございますし、生産の規模も小さいところもございますが、どうもやはりトン当たりにいたしますと、現在七、八万程度の生産コストがかかるわけでございまして、こういったものを一般の農家が使うというには少し高過ぎるという現状でございます。これにはいろいろな問題点がございますのですが、そういう問題点をどうして克服するか、たとえばその一番の大きなコストの中に占めているものは硝酸でございますが、硝酸の消費量をいかにして少なくするか、たとえば空気その他で処理をいたしまして、その後に反応させることによって硝酸の消費量を下げる、こういったことに努力をしているのでございます。
  25. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産大臣、今お話を承ると、コストが千円も高い、こうおっしゃるのですから、おそらく八幡にしても富士鉄にしても、そういうような方法でやっておらぬでしょうね。ドイツでは、私より大臣のほうが詳しいでしょうが、デュッセルドルフに六百万マルクで中央試験所というのがあって、数千名の所員を置いて、石炭をどう化学その他に利用しようかという、こういう大規模な試験所があるんです。今試験所長さんの説明を承ったが日本は大体予算をどれだけやっているのですか。向こうは六百万マルク、一マルク八十四円ですか、今約五億ですね、日本金に換算して。この石炭の試験所に一体どれだけ金を使っているんですか。予算通産省はどれだけお認めになっているんですか。
  26. 中野正一

    政府委員中野正一君) これはあとで数字を調べて申し上げますが、石炭局プロパーの試験研究費というのは、本年度で一億数百万円でございまして、それでも三十七年度よりは約倍近くやっております。この金を、今石炭技術研究所というのを各会社で金を出し合ってやっておりますが、そこへ補助金としてやって、今、所長が申されたように、基礎的な研究は技術試験所でやりまして、その基礎的な研究を受けて、今度は中間的な試験研究ですね、これを今の石炭技術研究所でやらせる、こういうことにいたしております。その中の一つの大きな研究題目に、今言われた一般炭をコークスの原料として使うということで、今、所長がおっしゃったような研究をしている。これは二番目に言われました予熱処理の方法ですね、一般炭を一定の温度で予熱いたしまして、それからコークスにする。そして輸入の強粘結炭の割合を減らして、一般炭をよけい使って、そして弱粘もよけい使うということによって輸入炭の需要を減らすことができるということで、これは試験的には相当成功いたしました。しかし、さらにかまを一基ふやして、三十八年度は、コークスの関係だけですが、七千万円の予算で、その半額をやはり政府が補助するという形で続けたい。これは三十六年度から研究を続けております。そういうことでやっておるわけでございまして、これの全体の規模は二億数千万円で、まだ非常に規模が小さいのですが、今先生もおっしゃったように、石炭関係の、特に利用方面の開発技術というものを、石炭需要拡大のためには、研究をやはりうんと広げていかなければならぬということで、このたび石炭鉱業審議会に技術部会というものを作りまして、先般、今月の十五日に第一回の部会を開いていただきまして、そこに技術開発関係の分科会を置いて、専門の方々に集まっていただいて、大学の研究、それから各民間の会社の研究、それから国の試験所の研究、それから今言った石炭技術試験所の研究、そういうものを横に連絡を十分とりながら、しかも、また、これは相当この研究に力を入れるということになれば、国の研究体制と、それに対する政府の応援体制というものまで十分ひとつディスカッションしていただいて、これを国の政策に反映したいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 阿部竹松

    阿部竹松君 通産省は、大ざっぱに言うと、許可するとか承認するとか検査するという、判を押す仕事ばかりで、石炭でも通産省から取ってしまうと、通産省のお仕事がもう半分もなくなってしまう。その重要なウエートを占める石炭部門の研究所の金が一億数千万円といったら、北炭という炭礦汽船株式会社の一社でやる試験研究の金より国でやる試験所の金が少ないと、こういうことになるんですが、別に毒舌を吐くわけじゃございませんけれども、いかに熱を入れておらぬかということを言いたいわけなんですがね。それから、各社がてんでんばらばらにやっておるのを統合して、大試験場を作るというようなことはできないんですか。
  28. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今申し上げました予算は、これは私は先生と同じ考えで、非常に少ないので、もう少しふやそうと思って、今言ったようなことをいろいろ考えておるのですが、ただ、これは民間のそういう研究所に対する補助金の額を申し上げたわけであります。それ以外の、工業技術院のきょうお見えになっております資源技術試験所、ここの人員が三十七年度で三百九十二人、これは人件費も入っておりますが、三億四千八百万円、それから、同じく工業技術院の地質調査所で、やはり石炭調査研究、あるいは炭田ガスの調査研究というようなことをやっておりますが、これは人員が四百九十九名で、金額五億七千万円、それから、北海道の工業開発試験所、これはまだ発足したばかりでございますが、これは人員が約百名で、二億八千三百万円、これも道炭の利用、合理化等の研究を中心に始めておるわけであります。国のほうの試験所の試験費はこういうふうになっておるわけでございます。
  29. 阿部竹松

    阿部竹松君 小西政務次官は時間がないそうですから、途中でお尋ねして恐縮ですが、実はあなたのほうの北海道開発庁のほうで炭鉱離職者を使っていただいておるそうですが、どのくらい使っていただいておるのですか。
  30. 小西英雄

    政府委員(小西英雄君) お答えいたします。今までの場合は自然発生と申しますか、今年度われわれ役職についたわけでありますが、それまでの人員はどれくらいついておるかということをこまかく調査いたしておりませんが、まあ土建業者で個々に大体使っておるものが今まで三千名ぐらいと推定されております。そして今後使う問題ですが、私ども、石炭合理化のために犠牲になられた、あるいは職を失う人が相当多く出るという見込みのもとに、北海道の組合側の要望もありまして、政府としては、開発途上にあるので、なるべく多くの人に北海道に来ていただきたい、そういうふうな意図もあるし、いろいろと住みついた郷里をあとに、失業してから遠い知らぬ本州のほうに行くということにはたえないという要望もありましたので、昨年十一月の一日、開発庁のもとでやった際にも、いろいろ私がお約束をいたして参りました関係上、今年は大体通産省のほうから資料が出たのが、六、七千人ぐらいが本年度内に出るのじゃないかということにつきまして、われわれ公共事業費で、なるべく北海道の現地において、社宅も住みなれた社宅で、それくらいな人なら北海道のうちで職を得て長く住めるようにという配慮から、いろいろ考えて準備いたしたわけでありますが、その際に、大手八社と申しますか、九社といいますか、そういうほうから、今年大体開発庁は公共事業費としてある程度のワクを考えておるということを通達いたしました結果、道、あるいは出先の通産局、労働省の出先機関並びに各所から話し合いができまして、一体通産省の調べによると、まず七、八千人出るのだが、公共事業というのはおおかた土建事業で、それにもう石炭で長い間生活をしてきた連中になると、そういう商売もしたくない、あるいはほかに職を求める人等もありまして、今年度開発庁でそういうふうな場合に使ってほしいという申し出の人が、ホワイト・カラーが二百名、そして一般現場についておる人が二千人、この二千二百人程度の人は開発庁が公共事業に就職させてもらいたいというふうな意向がありまして、われわれも、まあ考えておるほどの人でもなかったので、何とかひとつ開発局に命じまして、これらの受け入れ態勢を考えたわけでありまして、それらの大体の申し出の人は、私が強く開発局に要請いたしまして、全部を受け入れるようにするということで、現在その具体的な場所をどこにするか、なるべく現地の近いところで、家から仕事のでき得るように準備をいたしておるような現状でございます。
  31. 阿部竹松

    阿部竹松君 開発庁は、直営と国営と両方で工事をなさっているわけですか。
  32. 小西英雄

    政府委員(小西英雄君) 開発庁は、もう大体建設省と同じで、開発庁は、建設省の一部と運輸省の一部、農林省の一部の出先で作業しておるわけでありまして、大体直営でやる仕事というのはほとんど現在ありませんので、ほとんど各業者に請け負わしておるのが現状でございます。
  33. 阿部竹松

    阿部竹松君 石炭局長、今、北海道開発庁の小西次官から御答弁を承ったわけですが、北海道は六千人か七千名ですか。
  34. 中野正一

    政府委員中野正一君) この数字は、今、来年度の問題をいろいろ検討いたしておりまして、まだ最終的には数字は出しておりませんが、とりあえず、少なくともそれくらいは出る見込みであるから、もう北海道開発庁のほうで、今、政務次官からおっしゃったように、公共事業のプラス・アルファ一分で、できるだけこれを吸収したいという、これは閣議でも話が出たことでございます。その方針でわれわれはできるだけやっていただくように、いろいろ資料を出してお願いをいたしているわけであります。その結果、今、政務次官が御答弁なさいましたように、二千二百人程度そちらのほうで吸収したい、こういうことになっているわけであります。
  35. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは組にやらせているということになると、下のほうのことですから、次官は御承知ないかもしれませんが、大体金額はどのくらい払っているのですか、組に。
  36. 小西英雄

    政府委員(小西英雄君) これは地下で働いている場合と地上で働く場合とは、具体的には相当開きがあるようでございますので、そういう点について、いろいろ近いように、たとえば開発局の隧道だとか、あるいは土等をいじるような仕事について、大体口数の調べ方としては、地下の人より安くても、安定して働けるわけでありますし、あるいは将来さらに漸次なれてくればある程度の給与を出しておりますので、初年度は相当苦しいかもわからぬが、ただ炭鉱にいて、いつ閉山するかわからぬところより、まだ将来を考え直して、いろいろな機械産業をやる人等については、ある程度金額を増す方法もありますので、その点で多少苦慮もし、また、われわれ北九州等で昨年出た際にいろいろトラブルがあったことも聞いておりますので、なるべくそういうことがないように、われわれの行政的にできる限りの範囲でひとつ優遇して、現地でそれらの人を働かすようにという考え方でやって、そこで、その差は何ぼかというと、たとえば地下で働いている者は千五百円に対して、地上で働いている人が千円以下の場合があるわけでありますが、そこらの点について、これは政府としてやる範囲はある程度きめられておりまするが、仕事の作業場が遠くないとか、あるいは飯場等を作るのに現在の所を使わせてもらうとか、そういうような便利な所であれば、ある程度縮まるんじゃないかということで、今いろいろ配慮しているのが現状で、ございます。
  37. 阿部竹松

    阿部竹松君 二千二百人でもありがたいわけですが、実際問題として北海道で、これは委員長もよく御承知ですが、組夫に使っているだけで、冬がきたら仕事がストップだということで、三カ月や四カ月の季節労働者になってしまうんですね。これではもう二千二百人の炭鉱離職者対策でも何でもなくて、暫定措置の暫定ですよ。これは労働省の担当になるかもしれませんけれども、通産省がそういうことをお考えになっているということは、僕はとても了承できないのですが、そういうことについては、行政担当の川島さんにきょうお伺いしたかったのですが、川島さんがきょうはオリンピック委員会で出られぬということですから、これ以上北海道関係はお尋ねいたしませんけれども、とにかく北海道に行って雪が降って、二カ月、三カ月、長くて五カ月もあれば精一ばい、そこに二千二百人使っていただけるのはけっこうですが、秋になったらお払い箱になって、そして来年は組がやるかどうかわからぬ、これは入札でやるのでしょうから、組がやるかどうかわからぬ、こういうことになって、ほんとうのニコヨン労働者にひとしい労働者を作るにすぎない、こういうことになりますから、私は、小西政務次官に文句を言うわけじゃありませんけれども、そういう点をひとつ頭の中に入れていただきたい。  その次に、流通機構の面についてお尋ねいたしますが、これは石炭局長、東京で石炭は今一万一千五、六百円より安い石炭はありませんよ。しかし、九州へ行っても北海道へ行っても、三千円の石炭がたくさんある。東京では一万一千六百円より安い石炭はない。最低の石炭が一かます五百五十円、二十かますで一トンですから、一万一千何百円になる。これが東京にくるときには、少なくとも三倍以上です。私は、一人の人が七千円もうけているとはいいませんが、とにかくそういう差がある。流通機構の改革とか、石炭コストの値下げとかいっても、どこに矛盾があるかということをお調べになったことがありますか。これは決して私の誇大な話でも何でもございませんよ。五千カロリーで一万一千円以下の石炭はない。ところが、九州へ行ってごらんなさい。二千五百円、三千円という石炭がたくさんあります。まるでむちゃくちゃです。流通機構の一元化——船をつくる、汽車をつくるというけれども、船をつくっても、コストを下げるのは百五十円か二百円、そんなものでしょう。ですから、そこらあたり通産当局石炭局がメスを入れていただきたいと思うんですが、この点はいかがですか。
  38. 中野正一

    政府委員中野正一君) 流通機構の整備につきましては、今言われました石炭専用船の問題であるとか、あるいは荷役の合理化、そういう点もいろいろ一生懸命やっております。これはある程度予算をとりまして、それから今言われたのは、主として家庭用に使う暖厨房用炭の話でございまして、これは現地の値段もそれほど安くないと思いますが、しかし、いずれにしても、東京へ持ってくれば一万一千円以上、これは先生指摘のとおりでございます。これは相当流通機構が複雑になっておりまして、そういうところに一因があるわけでありまして、その点については、有沢調査団も、ぜひともこれは流通の合理化をして、家庭用炭をもう少し下げるべきであるという答申が出ておりまして、その答申の線に沿いまして、今回も合理化事業団に、そういう流通機構の整備のための援助金を出せるような仕組みにしておりまして、そういう点から今、業界のほうと話し合いを続けております。ぜひとも通産省としては、流通機構の簡素化、整備を実施いたしたいと思って、真剣に取り組むつもりでございます。
  39. 阿部竹松

    阿部竹松君 石炭局長、現地はそう安くないとおっしゃっても、現実に安いのですよ。石炭局の課長さんか係の人がいるでしょう。二千六、七百円という石炭がざらにある。自民党の幹事長さんである吉武さんがそこにおられるが、吉武さんに聞いてもらっても、三千円の石炭がありますよ、こうおっしゃるに違いない。それは御承知おきないということであればやむを得ませんが、それが現状なんです。ですから、私は、一人の人が七千円もうけたとは言わぬけれども、何手々々も手を経て、そういう中間層が、炭鉱がつぶれていくというのに利潤をむさぼっているやつがあるのですから、それを何とか措置できぬものかということを言っている。ここに一つの学校があって、その学校の隣に炭鉱がある。そうすると、炭鉱で生産した二千五百円、三千円の石炭が、学校へ入るときには六千円ぐらいになっている。こういうのを通産行政の中で何とか措置できぬものか、こういうことを僕は言っているのです。
  40. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今申し上げましたように、家庭用炭の流通機構というのは相当複雑になっておりまして、そういうところにも暖厨房用炭の値段の高い原因もあると考えますので、そういうことについて、本年度はまず東京からぜひ着手したいということで、今真剣に取り組んでおります。話し合いをしているわけでございます。ただ、私が先ほど申し上げましたのは、やはり一万一千円とか二千円とかの値段と比べるのは北海道における小売りの暖厨房用炭でありまして、この値段の表は、手元に担当課長持っておりませんので、調べてから申し上げます。
  41. 小西英雄

    政府委員(小西英雄君) ただいま熱心な阿部君のいろいろな質問があったわけでありますが、われわれここで対決すると、社会党であり、自民党という考え方政府対社会党という考え方でやると、いろいろわれわれが一生懸命やった対策についても、これはそういうことになるのでありますが、われわれ北海道に関係がありまして、特に石炭の問題については、同僚議員ともいろいろ話をして、われわれ過去において、日本が苦難のときに相当寄与した石炭に対する問題等もありまして、ほんとうに美唄等に参りまして、もう目に熱いものが浮かぶような状態で見て参った建前上、これはただ簡単に政府が糊塗的にやるのだという考え方でなくして、われわれ開発庁は、決してこういう使命がもともと何もあるわけではありませんが、いろいろ組合員の心情を聞き、何とか徴力な開発庁でも意に沿えるのじゃないかという考え方から心配いたしまして、たとえば五千人の人がもしここで職を失うとあれば、一人百万程度事業、一人あてにすれば五十万の給料と五十万の道具資材ということに大体事業はなるわけで、さような意味合いから非常に政府折衝して予算を拡大し、そうして今、阿部君が言われたように、賃金格差についても何かの配慮をして、二、三ヵ月じゃなく、これは今後日本の国土に二十年間に相当な土木費用を入れて、今までの土建業者というものは、過去の土建業者にない非常に安定した職場に作り上げる基礎を作ることがわれわれの使命と考えまして、これは十分阿部君や皆さんにお答えしても満足が与えられませんが、われわれは力一ぱい、現地におられて前の給料に近いように、仕事が安定するようにという考え方から、別に全国的にやったわけじゃないので、開発庁が特に配慮いたしてやったわけでありまして、この際、建設的な考え方で、これは阿部あたりは、もう石炭の美唄の量がどのくらいあって、ここで伸ばしてもこうなると、将来のこともよくわかっていただいておると思うのでありますが、なかなかそれを具体的にこうするということが、政府といたしましてもわれわれ十分にあるわけじゃないので、それはあるということは、一応われわれ、特にこの革命的なエネルギー資源をどうすることもできないという建前もよく私ども知っておるわけであります。そういう点から、特に日本セメントのごときは、重油の産地にあって石炭を使うようなことをしておるというようなことを強く行政指導をいたして、石炭需要確保するようにいろいろわれわれ行政的に強く指導して、一人でも現在の職場にとどまれるようにという考え方でやっておるわけでありまして、そういう点については、先輩である通産大臣も相当配慮いたしておるわけでありますが、なかなかそれに対する満足なあれができておりませんが、今後ともわれわれ、党の立場を離れて、国民という立場から、十分石炭問題と取り組で善処いたしたい考え方を披瀝いたしまして、一言私の御答弁にかえる次第であります。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 小西次官が言いっ放しで逃げてしまったのですが、私はできないことをやれと言っているのじゃないのです。今も石炭局長お話をしたように、べらぼうに生産者と消費者、生産する販売価格と消費するコストが違うから、これは何とかなるのではないかと、いうことで申し上げているのであって、これは通産省の役人が北海道の札幌の通産局にたくさんおるのですから、そうすると、この人たちは一トンどれだけのコストの石炭を使っているか。これはべらぼうに高い。ですから、結局晩は早く寝なければならぬ。朝は主人が役所にかけ込む時間を見計らって石炭をたき始める、これが実態です。これは局長も北海道にもしおられたことがあったとすれば、経験しておられるでしょうが、ですから、その間の中間マージンを、幾つかの手を経るのを何とか排除できぬものか。一例をあげると、米のように、一括電気に納入するとか、あるいは鉄鋼に納入する分はいいわけです、そういう石炭だけでも三百万トンも四百トンもあるのですから。それを一手に買い取る機関を作って買う、そうして安く販売してあげるということにすれば、同じ六千円の金額を使っても、一トンたけるところが二トンたけるわけです。こういうことですから、そういう方法を講ずることができるものかできぬものか。  それと、今東京をやるというお話でしたが、どういう方法でやって、どれくらいのコストでやられるわけですか。
  43. 中野正一

    政府委員中野正一君) 流通の面の合理化については、いろいろな対策考えられるわけでありますが、今、先生の言われた暖厨房用炭についての一手買い取り機関というようなものは、現在通産省としては考えておりません。そうでなくて、配給業者の共同化というような線で、一種の配給基地というようなものを東京方面に数カ所作る、業者共同してそういうものを作るということをする際に、それに対して近代化資金を貸し付けるというようなことを今考えておりまして、業界と今話し合いを続けておるわけであります。できるだけ中間段階を少なくするということはどうしても必要じゃないかというように考えております。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 ところが、やらないというほうをやっていただきたいと思うのであります。やらないというほうが弱い業者で、そのコストの差がつく石炭を売っているわけです。ですから、やりやすいほうから漸次やっていかれるという政策もけっこうでしょうが、一番やってほしいという問題点に触れられないということがきわめて遺憾なんですが、その逆にいきませんか。
  45. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今私が申し上げましたように、一手買い取り機関を作るというようなことは、今通産省としては考えておりません。また、そういう予算も要求しておるわけではございません。ただ、先ほど申し上げましたように、配給業者が共同化する場合に、それを援助するという形で応援をしたい、しかし、それにしましても、そういう体制が業界にできないと工合が悪いのですから、ほうっておいてもできませんから、役所が今中に入って指導を続けておる段階でございます。
  46. 阿部竹松

    阿部竹松君 ですから、その業者が共同化する場合に、行政指導、あるいはてこ入れをするという場合に、おそらく大手業者や何か一括してやられると思うのです。しかし、その他漏れてくるようなところをあなたのほうで指導して何とかならぬものですか、こういうことを要請しているわけです。
  47. 中野正一

    政府委員中野正一君) 御要望の点はよくわかりますので、そういう点も十分気をつけて処理をいたしたいと思います。
  48. 阿部竹松

    阿部竹松君 次に、現在の貯炭について承りますが、貯炭について、今原因はいろいろあろうかと思いますが、鉄鋼業界の不振が一番影響しておると思うのですが、この鉄鋼業界の不況、生産規制等は、これからだいぶ続くわけですが、重工業局次長さんがおいでになっておるというお話しでしたが、鉄鋼業界の現在とその見通しについて若干承りたいと思います。
  49. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 御指摘のように、最近の鉄鋼業界の実情というものは非常に悪うございます。これが今後どういう見通しになるかの問題でございますが、先のことでございますので、的確な判断はなかなかむつかしゅうございますが、最近の情勢は少し明るくなって参りました。ただ、私どもの感じといたしましては、この六月ごろまではそう急速に回復するのはむつかしいのじゃないかと、かように考えております。六月以降になりますと、多少下期にかけて回復してくるのではなかろうか、かような感じを持っているわけです。
  50. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういうばく然たる御答弁でなくして、次長さん、現在数百万トン貯炭があるわけでしょう、原料炭でね。どのくらい貯炭があって、六月ごろ明るい見通しがあれば今の貯炭が消化されるわけですか。
  51. 中野正一

    政府委員中野正一君) ちょっと今鉄鋼用の原料炭が幾らあるかという数字は、私のところに資料として持ち合わせがございませんので、今聞きましたところ、製鉄会社のほうには、それほど貯炭はないのじゃないか、むしろ山元のほうで相当貯炭はしておることは事実でございます。全体の数字は私は持っておりますが、ちょっと原料炭についてだけの数字は持ち合わせておりませんので、後ほど調査してお答え申し上げます。
  52. 阿部竹松

    阿部竹松君 たとえば、鉄鋼会社によって違いますけれども、一八%から二一二%の生産規制をやっているわけでしょう。そうすると、結局それによって鉄鋼用の原料炭が消化されないわけですよ。今数百万トン貯炭になっておるということを、きょうは手元に資料がないというお話でしたが、石炭局長は田畑委員や大矢委員の質問に対して資料を出して、その資料説明の場合に、あの資料の中に入っておったやに承っております。まあ今そこになければけっこうですが、私の聞くのは、そういう一八%から二三%の生産規制によって原料炭が毎月々々貯炭増になって今日に至っているわけです。しかし、今あなたのお話を伺っていると、六月になって好転をいたすと、こうおっしゃるのですから、好転を来たすと今の貯炭が消化されるものかされないものか。六月になって好転しても在来どおりということになれば、現在の貯炭があくまで繰り越し繰り越しになっていくということですか。その点どうなんですか。
  53. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 御指摘のように、現在粗鉱ベースで三〇%の生産を行なっております。これはただ内需でございまして、輸出は別でございます。ところが、最近の鉄鋼の輸出は、量的には相当に伸びて参りました。実質上の減産率というのは一五%程度だと、かように考えております。しかし、一五%程度の減産をしておるので、石炭の在庫があるのではないかと、こういう御質問でございますが、鉄鋼業界といたしましては、過去に長期取引を約束をいたしましたので、できるだけその数量をとるべく努力しております。しかし、とりますと貯炭になりますのでそういう面は輸入炭の引き取りをできるだけ延ばすというような措置もとりましてやっておるわけでございます。したがいまして、現在鉄鋼業界でたくさんの貯炭があるというようには聞いておりません。したがいまして、六月以降貯炭がこなせるかどうかというのは、むしろ今年よりよけいに石炭が消費できるかという問題でございまして、貯炭の消化の問題はあまりないのではなかろうか、かように考えております。
  54. 阿部竹松

    阿部竹松君 鉄鋼業界に貯炭がなくて、石炭業者に貯炭があるということは、鉄鋼業界が、御承知のとおり、拒否権を発動しているからでしょう。そうでしょう。ですから、あなたのお話を承ると、その長期取引の約束に従って云々とおっしゃるけれども、その約束の全部ではないでしょうけれども、約束の何十%か協定を破っているから鉄鋼業界には確かに貯炭はないかもしれない。しかし、一方、長期約束に従って生産した会社は、これは膨大な貯炭をかかえて、金利だけでもたいへんなものです。
  55. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 鉄鋼業界の三十七年度の長期取引の数量は、御承知のとおり、六百六十万トンでございます。現在のところ、鉄鋼業界は輸入炭の引き取りをおくらせまして、それをとるべく努力しております。ほとんど私どもの今の推定では、六百五十万トン程度、あるいは六百六十万トンに近い数字が引き取れる、かように考えております。
  56. 阿部竹松

    阿部竹松君 それでは約束どおり引き取るということがはっきりしておるわけですね。
  57. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) さようでございます。
  58. 阿部竹松

    阿部竹松君 それではそれでよろしいわけです。しかし、私の聞いているのは、あなたの御答弁とだいぶ違う。ですから私が心配していたわけですが、次長さんが委員会でこう明快な答弁をされるのですから、それは信用します。それで外国炭の引き取りを延ばしておるという御答弁ですが、外国炭はどのくらい去年入ってきましたか。つまりまだ三十七年度分ですが、本年度幾らぐらい入ってきましたか。それから、引き延ばすということで外国炭の契約を拒否したのじゃなくて、引き取りを延期々々というように持ち込んでいるのでしょうが、このトン数はどのくらいですか。
  59. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 三十七年度の、これは多少見込みが入るわけでございますが、一応八十万トン程度輸入されるものと、かように考えております。それから、引き取りを延ばしたものが二十万トン程度でございます。
  60. 阿部竹松

    阿部竹松君 その延ばした二十万トンは永久に延ばせるものですか、それとも、これは暫定的に、暫定々々で延ばしていっておるのですか。  それから、もう一つ、日本炭と石炭の質が違うわけですから、全部入れぬというわけにはいかぬ場合もあり得ると思うのですが、日本の石炭で製鉄業は全部まかなうというわけにはいかぬのですか。さいぜんからのお話を次長さんも承っておったと思うのですが、ああいう話だと千円もコストが高いということですから、無理に日本の石炭を使えという一方的なこともできないと思いますが、その間はどういうことになっておりますか。
  61. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 引き取りを延ばしました二十万トンにつきましては、これは契約がはっきりいたしておりますので、これをキャンセルするわけには参らぬかと思います。したがいまして、三十八年度には引き取らざるを得ないと思います。  それから、もう一点の、将来外国炭を使わないようにしたらどうか、できないかという問題でございますが、御承知のように、鉄鋼用炭は強粘結炭と弱粘結炭と入れているわけでありますが、弱粘結炭につきましては、御承知のように、豪州から入れているわけであります。ところが、この豪州炭は三十六年ごろからでございましたが、当時弱粘結炭が不足でありましたので、業界といたしましては長期契約を相当している面があるわけであります。それに即応しまして、豪州のほうにおきましても、港湾を直すとか、あるいは炭鉱に金を出すとかいうような措置をそれに応じてとっておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、国内の石炭をできるだけ使う上におきまして、数量はできるだけ少なくしていくように指導はいたしたいと思いますが、全然これをなくするということはむずかしいと思います。そのほか弱粘が入って参りますのが樺太炭が入って参ります。この樺太炭につきましては、日ソ貿易交渉上、相当問題があったわけでありますが、当分入れないということで向こうの了解も得ているわけであります。これが約十五万トン弱でございますので、こういうものは当分の間入れなくて済む。ただ、豪州炭は、今申し上げましたように、向こうが相当投資をいたしておりますので、数量はできるだけ規制いたしたいと思いますが、全然なくするということはむずかしい、かように考えております。
  62. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは石炭局長さんの御答弁か次長さんの御答弁か、どちらになるかわかりませんが、大体あちらの石炭のコストは、現在ではどのくらいで入ってくるわけですか、十三ドルか十四ドルぐらいですか。
  63. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 大体五千円見当であります。それで、私どもが国内炭と輸入炭との計算をいたします場合に、その差額は大体八百円程度考えております。
  64. 阿部竹松

    阿部竹松君 五千円というと、船賃や何か入るのじゃないですか。石炭のコストが五千円しますか。
  65. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 五千円というのはCIF価格であります。輸入価格でございます。
  66. 阿部竹松

    阿部竹松君 その船賃も入るわけじゃないのですかと言っているのです。
  67. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 入っております。
  68. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、ソ連炭は当分取引停止と、こういうことになるのですね。
  69. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) さようでございます。
  70. 阿部竹松

    阿部竹松君 次にお尋ねしますが、特に鉄鋼で生産制限しているのは粗鉱とか厚板、中型型鋼、こういうのが対象になっているわけですね。それらも含めて、鉄鋼業界全般として、六月以降は漸次明るい見通しであると、こういうような御見解ですか。
  71. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 鉄鋼の生産制限は、極端に不況な品種につきましては個々の品種ことの、また、粗鉱といいますのは大もとでございまして、これで全体を制限する、こういう形材になっております。おっしゃいました点でございますが、六月以降につきましては、粗鉱につきまして明るい見通しが多少出てくるだろう、かように申し上げておりますので、全体的に明るくなる、かように考えます。
  72. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、全体的に明るくなるというわけですが、国の経済は、まあその道の学者にお尋ねしても、九月にならなければ一つの見通しが立たぬとおっしゃっておるわけです。ですから、私どもは経済に全然不得手ですからわかりませんが、その経済専門の今申し上げた学者各位にお尋ねしてみると、ことしの暮れですね、九月、そういう時期を皆さんしていなさるわけです。ですから、あなたのほうの六月説はどういうところに、簡単でけっこうですが、理由があるのですかね。
  73. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 程度の問題かと思いますが、私が申し上げましたのは、六月。ころまでは今の状況がそう急速に改善されると考えるのは行き過ぎではないか、六月以降になりますと、じわじわではございますが、明るくなってくる。その明るさがだんだん下期あるいは十二月程度になると増してくる、こういう意味で申し上げたわけでございます。六月から一気に段階的に明るくなる、こういうことを申し上げておるわけではございません。
  74. 阿部竹松

    阿部竹松君 どうも次長さんのお話を承っていると、六月説ですから、三カ月、経済界の見通しが明るくなるし、それから、私の聞いているのと違って、石炭業者との取引は、これは約束どおりやりますと、こういうことですから、あとであれは間違いでございましたと言わぬことにお願いしておきたいと思います。  その次に、さいぜん石炭局長の御答弁がございましたセメントですが、けさの新聞にも大々的に出ておりましたね。あれは石炭局長さんの発表か通産大臣の発表かわかりませんけれども、そこで、私の心配になるのは、先日もこの委員会で田畑委員の質問に局長が御答弁なさっておりましたが、現在現実の問題として石炭を掘っている石炭業者、つまり宇部興産ですね、これは吉武先生もよく御承知のとおり、石炭を掘っておる宇部興産がセメント工場を持っておって、セメント会社を経営するのに油でなくちゃならぬと、こう言っておる。ですから、ほかの業者は全部油にだんだん切りかえようと最大の努力をして、ほとんどの石炭と関係のない会社は切りかえが相当進んでおる。最後に残ったのは三菱だけ。三菱セメントは現在油も若干使っておりますが、ほとんどが石炭。ところが、この三菱ですら、油でなくちゃいけませんと、こういうことに今日なっておる。なるほどその石炭をセメント会社で使っていただくことは非常にありがたいわけですが、現実の問題として、あなたの御答弁のように、すらすらいくかどうか、きわめて不安を持っておるわけなんです。しかし、あなたのほうでは政策的にやらせると、こういうわけですから、融資もいたしましょう、あるいは土地も提供いたしましょうということになろうと思いますが、こういう点はいかがですか。   〔委員長退席、理事徳永正利君着席〕
  75. 中野正一

    政府委員中野正一君) セメント生産用の石炭需要確保については、方針は先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。現在で石炭重油との割合がどういう工合になっておるかというと、能力としまして、大体石炭を使っておるのが半分、重油専焼のものが半分ということになって、相当転換が行なわれてきたわけでございます。それで、政府としては、石炭需要確保の見地から、極力セメント用炭確保をはかる必要があるというので、先ほど申し上げましたように、比較的石炭と油とのコスト上の格差の少ない産炭地域では石炭専焼でやってほしいということで、資金の裏づけも行ないたいということで考えてあります。それから、なおお尋ねの、石炭会社でセメントを経営しておるものというのは麻生産業と宇部興産でございますが、これはいずれも石炭専焼、あるいは石炭の混焼でございまして、   〔理事徳永正利君退席、委員長着席〕 油に転換したといいましても、全部専焼に切りかえたわけでなくて、混焼でやっておる。したがって、半分は石炭を使っておる、こういうことでございます。それから、また、系列企業で三菱セメントがございますが、これも黒崎工場が主力工場でございまして、これは全部石炭でやっております。今度新しくたしか一基作った。これは東谷工場というのですが、これは専焼でございます。しかし、今後は、先ほど来申し上げておりますように、石炭系列の会社産炭地でセメント・キルンを新増設するという計画が現在上がっております。これは三井セメント、それから三菱、宇部興産、麻生産業等でございます。これらはいずれも石炭を処理する計画となっておるように承知をいたしております。
  76. 阿部竹松

    阿部竹松君 ところが、一々反駁してはいけませんけれども、私の聞いたところで、宇部興産、これは半々じゃない。石炭調査団も行って調べた。有沢さんも土屋さんもそうおっしゃっておる。それは石炭をたく石炭会社すら、今日油に切りかえようとして計画してやっておるのですよ。ですから、うまくいきませんという話を私どもは聞いておるわけです。あなたのおっしゃるように半々ではない。そういう事態ですから、なかなかたいへんでしょう。にもかかわらず、やるというのですから、これは国のやはり政策的な一つの規制がなければだめだ。たとえばセメント会社が使うキルン、あれなどはボイラー規制法にかからぬわけです。ですから、融資をする場合に行政措置をやられるものか、法律を作ってやられるものか、こういう場合に、今後建てるセメン工場石炭を使わなくてはいかぬということで規制するか、行政措置を強化する場合に規制でもすれば別問題ですけれども、それでなければとても局長、不可能だと思う。一例をあげれば北海道、藤山さんが行ってテンサイ工場を建てた。これはボイラー規制法にかかるにかかわらず、全部油で運転するという計画を立てて北海道で大問題を起こした、これが実態ですから、そう簡単にいかぬと思うのですが、きょうの新聞を見ても、これはいろいろ書いてあるのですが、外国輸出も考えておる。外国に輸出する場合に、油のほうがコストが安いのでございますからといって、油に切りかえられぬとも限らぬ。あなたのおっしゃるようにうまくいけばけっこうだが、なかなかそうはいかぬので、何か規制を設ける御計画があるかどうかということをお聞きしたい。
  77. 中野正一

    政府委員中野正一君) なかなかそう簡単にうまくいかぬというのはおっしゃるとおりで、私も決して甘く考えておりません。それで非常にいろいろ苦労しておるわけですが、それから、お話にありました調査団で、会社の名前をあげてはいけませんから言いませんが、油に転換するのはおかしいじゃないかという話もございまして、大体混焼のところは現在は半々の使用ということになっております。これはたしか間違いないことだと思います。それから、そういう意味でいろいろ行政指導をやはりこれはやっていくべきであろう。それからセメント用石炭専焼キルンを作る場合には融資部門で融資をするということが一番いいのじゃないか。これを法律によって規制するというようなことは、とても当を得たものではないというふうに私は考えております。
  78. 阿部竹松

    阿部竹松君 あれはだれが申請しても融資するわけですか。セメント工場をここに建てたい、何十何億融資をしてくれませんか、手持ち資金はこのくらいある、したがって、政府融資はこれこれであるといった場合に、どなたでも政府が援助するわけですか。
  79. 中野正一

    政府委員中野正一君) もちろんこれはだれが申請をされても、産炭地でセメントを作るから、セメント専焼キルンを作る場合は、産炭地以外では、実際問題としてほとんどそういう傾向は出てこないと思います。今の石炭値段の差からいきますと、これはとても成り立ちません。したがって、産炭地で何も石炭会社がやる必要はないので、だれがやっても、政府は必要な援助をするというつもりでございます。
  80. 阿部竹松

    阿部竹松君 次にお尋ねするのは、千二百円のコスト・ダウンのことですが、今より三千前に千二百円コスト・ダウンしなければならぬということで、通産省行政指導で千二百円コスト・ダウンということをおきめになって実行しておる。ところが、その後運賃が上がる、あるいは資材代が上がる、こういうことで千二百円のコスト・ダウンが、今日では上昇の部分を含めれば三千円のコスト・ダウンになっている、こういうことなんですから、これを依然として千二百円コスト・ダウンだということで、三年前にきめたのをその方針のままやられるものか。  それから、もう一つ国鉄運賃を上げるというのは計画には入っておりませんでしたということで、あの当時の増加分の六十四円ですか六十三円ですかのトン当たりの全国平均国鉄運賃を現在運輸省でたな上げにしておるはずです。ですから、あの金は一体どう処置するものか。そういう点の御相談は、国鉄当局なり、あるいは運輸省とやるのか。私はその間の事情はわかりませんけれども、かつて昭和二十三年ごろだと思うんですが、石炭産業をまず盛り立てて日本の国の復興をしなければならぬというところでやって、当時通産省で家を建てるために炭住資金ということで資金を貸した。あわてた経営者、これは石炭々々といっているものだから、この金は払わぬでもよかろうなどということで金を借りて家を建てたところが、全部強引に回収をせしめられたことがあるわけです。あれと一緒で、国鉄運賃を上げた分は今たな上げになっているはずだが、あの処置はどうするのですか。また、ようやく苦労して立ち直ったころ、この運賃は払うべきものだとこれはいわれてもしようがありませんから、あの点についてどうなんですか。
  81. 中野正一

    政府委員中野正一君) 第一点の、千二百円引きの線をきめてから、資材その他輸送費、まあ賃金等も入ると思いますが、予想以上に値上がりをいたしまして、これが生産コストに与えた影響は、今の資材、輸送費、賃金等、全体で約四百円程度と思います。もちろんこれはその値上がり分を、能率の向上であるとか、原単位を引き下げるとかいうような形で相当吸収はしております。  それから、国鉄運賃の値上がりは、今のトン当たりの値段でございますが、約七十円程度でございます。このうちの半分が結局延納になっておるわけでございます。これをどうするかというのはなかなかむずかしい御質問で、今どうしても答えなければならぬということになれば、これは延納ですから、当然三十八年度一ぱいだと思いますが、延納分は、現在中小炭鉱については、御承知のとおり、合理化事業団が保証いたしまして延納さしておる。それから、大手については、大手各社がお互いに保証するということで、これはあくまで国鉄に対して半額の延納措置でございますから、延納の期間が過ぎたら返してもらわなければならぬということになっているわけでございます。
  82. 阿部竹松

    阿部竹松君 延納は知っておりますが、そうすると、それは三十八年度以降払うということですか。今日この時点ですら払えぬために延納措置を講じてもらっておる石炭業者が、三十八年までたまりにたまった額を、また早急に払えなどということになると、これがまたまた大問題になってくるように思うのですがね。そういうことにならぬですね。
  83. 中野正一

    政府委員中野正一君) 三十八年度一ぱい延期措置がございます。三十九年度からどうするかという問題になるので、今どうしても答えろと言われれば、延納ですから、延納は払わぬでいいということは言えませんから、払わせるということになるわけでございます。しかし、これは今御指摘になったような問題は確かにございますから、来年度以降の問題として、これと並行して通産省としてはこの対策十分検討していきます。
  84. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあそういう答弁をいただくと、延納だから、石炭局長が、それはまああとでなしくずしにくれますよと答弁できぬでしょうが、しかし、それにしても、前に一ぺんそういうことがあったものですから、きわめて不安です。今でさえ払えぬ石炭業界が、三十八年までに積もりに積もって、昨年の四月一日から実施したのですが、そういうわけで相当な金額になっているらしい。ですから、措置を講ずるのであれば、一日も早くやはり講じてもらわなければ、これはきわめて不安があるのですが、それはまだ一。へんも国鉄当局と話し合ったことはないわけですか。
  85. 中野正一

    政府委員中野正一君) まだ話し合っておりません。これは国鉄当局というよりも政府で、もちろん国鉄とも運輸省とも相談しなければいけませんが、もし方針をきめる場合は、政府としてどうするかということを十分研究してかからないと、早急に結論を出すわけには参らないと思います。
  86. 阿部竹松

    阿部竹松君 確かに閣議の決定だけれども、国鉄当局というものは、閣議の決定もなかなか言うこと聞かぬ国鉄一家ですから、今からやっぱり準備をして折衝してもらわなければ困ると思うわけです。  さて、その次にお尋ねしますが、火力電気ですね、公益事業局長からお答え願います。あれは国鉄の発電所を設けるべきであるというような調査団答申書の中にもございましたが、これはさいぜん石炭局長から承ったわけですが、今後の計画はどういうことになっておりますか。
  87. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 御承知のように、三十八年度二千五十万トン、四十二年度二千二百五十万トン、四十五年度三千万トン、こういうことで引き取りの約束をしておるわけであります。それに見合って、当然石炭の火力を増設しなければならぬわけであります。ただ、現状におきましては、三十八年度の二千五十万トンを各社別にどう分けるかということが、まだ各社内でいろいろ問題がありまして、割当がきまっておりません。でありますから、四十二年、四十五年、この辺の引き取りというものは、なかなか電力九社内で割当がきまりにくい状況にあるわけであります。ただ、さしあたって三十八年度、これにつきまして石炭火力をどうするかということで、引き取り数量とは別に・とにかく九社で計画を立ててもらうということで、現在当然これは関西と中部と関東と、これが大体受け持つことになるわけであります。そういうところに対しまして、少なくとも一つくらいだけは石炭専焼の火力を作ってくれということで現在勧奨いたしております。現在ほかの社で出てきておりますのは、北海道の電力会社の奈井江、それから中国電力の下関火力、これも下関火力とはっきりきまったわけでありませんが、一応会社から出てきております計画はそういった計画であります。将来におきまして三千万トンの引き取りに応ずるような石炭火力の建設につきましては、至急電力会社検討しまして計画を立てるように勧奨いたしたい、かように考えております。
  88. 阿部竹松

    阿部竹松君 各社の引き取りがきまらぬという御答弁ですが、東電と関電にきまったということじゃないのですか。それから、火力と水力とのコストの差ですね、一キロ当たりコストが一銭も差がないと、こういう話ですが、これはどうですか。
  89. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは東電と関電にきまったということでありませんで、われわれとしましては、東電と関電と中部電力、これに少なくとも一つずつくらいはさしあたり石炭火力を作ってもらいたいということを勧奨いたしておるわけであります。  それから、水力と火力との差でありますが、これはもちろん水力の役割から申しまして、御承知のように、ピーク調整用に作るわけでありまして、中には相当高いものもあります。平均いたしますと大体同じようなことになるかと思います。これは、火力は御承知のように、現在までの趨勢によりますと、特に重油専焼火力等につきましては新説火力になっておりまして、安くなっております。水力そのものは開発して参ります所がだんだん少なくなっておりますので、相当高くなっておるということは事実であります。
  90. 阿部竹松

    阿部竹松君 それから、今御計画になっておる火力発電所、まあはっきり固まっておらぬ所もあるでしょうけれども、九州であれば長崎のどことか、あるいは福岡のどことか、あるいは北海道のどことか、こういう所で火力発電所の計画のあるところを、もしお知らせできればお知らせ願いたいと思うのです。
  91. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) さっきも申し述べましたように、三十八年度の分を現在各社から計画をとっておるわけであります。その三十八年度につきましては、各社から出ております。石炭火力は、さっき申しましたように、北海道と中国、この二つになっております。三十九年度以降の、特に石炭火力の建設計画、これはこれから各社に命じて作らせるわけであります。これも、前提といたしましては三十九年、四十年、四十二年、四十五年、そういった将来におる石炭の引き取り量と関係してくるわけであります。これを早くきめまして、それを前提として各社で計画を作るわけであります。今のところ、まだそこまで、各社別にどういう石炭火力を作るかという計画はまだ具体的に出ておりません。出ましたらば資料としてお手元にお届けしたい、かように考えます。
  92. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、九州一カ所、北海道一カ所、三十八年度は。
  93. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 三十八年度、現在会社から出ておりますのは中国と北海道、そのほかに、われわれとしましては、これは御承知のように、火力を作りますには二年、点火しますまでに早くとも二年かかるわけであります。そういう点で、四十年、四十二年、ころの引き取り量に見合いますためには、早くから相当計画しなければならぬわけであります。また、重油専焼の建設をおくらして石炭を早く作るということも必要なわけであります。そういう関係で、現在各社に石炭の引き取り数量を早くきめるように勧奨いたしておるわけであります。
  94. 阿部竹松

    阿部竹松君 電源開発は水のみやっておるわけですが、通産大臣、電源開発で発電所を作るということはないわけですね。
  95. 福田一

    国務大臣福田一君) 御質問が水力発電を含めての意味であれば、これはもう問題はありませんけれども、火力発電を作っていけないということはもちろんございません。
  96. 阿部竹松

    阿部竹松君 今までは火力をあまりやっておらぬのですから、今度の場合ですね。
  97. 福田一

    国務大臣福田一君) 若松で今やっております。
  98. 阿部竹松

    阿部竹松君 いや、計画です。計画をお尋ねしておるのです。
  99. 福田一

    国務大臣福田一君) それは政府委員から。
  100. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 電発におきましては、今、大臣からお答えいたしましたように、若松で低品位炭の石炭火力をやっております。ただ、将来電発でさらにやるかどうかという問題でありますが、これは若松の増設につきまして、今後検討の必要があるかと思います。今のところ、御承知のように、九州における電力需用が相当減っておりますので、そういった電発の石炭火力を増設する必要があるかどうか、これは相当慎重に検討する必要があるかと思います。  なお、また、そのほかの地域について同じようなことが考えられるかどうかということでありますが、現状におきましては、大体九電で三千万トンに見合う引き取り態勢を作っておるわけでありまして、当然これは九電が三千万トンを引き取らぬということになりますれば、電発も考慮すべきかと思います。九電でやります限りにおきましては、当然九電においてやらす、こういうことで進みたいと、かように考えております。特に、また、低品位炭につきまして、そういった若松のような例が要るかどうか、これは慎重に検討する必要があります。かように考えております。
  101. 阿部竹松

    阿部竹松君 九州で電気の消費量が減っておるということは、石炭鉱山が休山、廃山、閉山になっていくために電気の使用量が減ってくる、こういうように聞いておるわけですが、どうですか。
  102. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 石炭電力消費量も減るわけでありますが、そのほかに、さっきもお話がありましたように、鉄鋼の需用が相当落ちておりまして、そういう関係で九州の電力消費量が、現在までのところ、相当落ちておる状況であります。
  103. 阿部竹松

    阿部竹松君 鉄鋼については、さいぜんの答弁で、六月ごろからぼつぼつ明るい見通しがある、こういう御答弁をお聞きしておるんですが、そうすると、やはり急カーブを描いて消費量がふえるということはないでしょうけれども、しかし、相当消費量がふえるということは言えるんですね。
  104. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 私が今減っておると申しましたのは、当初これは御承知のように、電力につきましては、需用につきまして長期の見通しを立てるわけであります。建設の必要上、長期の需用見通しを立てるわけで、その需用見通しは、今年より来年が絶対数が減るということはないわけでございます。その需用見通しに対して相当落ちておる、こういう意味であります。鉄鋼につきましても、六月ごろからあるいは明るくなると申しましても、当初われわれが需用見通しを作りました量よりか、ある程度落ちておるわけです。そういった関係で、九州の需用も、当初のわれわれの需用見通しよりか落ちるんではないか、かように考えております。
  105. 阿部竹松

    阿部竹松君 次に、離職者の問題について若干お尋ねいたしますが、通産省関係の分ですね、ボタ山処理を今度やるわけですが、あれは事業団がやるということになっておるんですが、事業団がやるということは、事業団の直営でもできるし、どなたかほかの人を頼んでもできるというような解釈ができるわけです。あれはどういうような構想なんですか。
  106. 中野正一

    政府委員中野正一君) 産炭地域振興事業団の今法律改正をお願いしておりまして、これが通りますれば、さっそくボタ山処理事業をやらせるということで、今諸般の準備を進めております。今の御指摘の点は、請負でやらせるのか直営でやるのかという御質問だと思いますが、これは請負でやらせる。しかし、これは一般の競争入札といいますか、そういう形でやったのでは、結局離職者に安定職場を与えるという、こういう構想であればできておるわけでありますから、そういうことでなくて、指名入札という形で、どういう形の会社にしたらいいか、そういう点は十分事業団のほうで指導してやらしたいというふうに考えております。
  107. 阿部竹松

    阿部竹松君 事業団のほうでやられるんでしょうが、通産当局がこれはもう行政指導をやらなければなりませんから、あなたのところの考え方が相当左右すると思いますが、組でやらせるなどということになると、それは九州はくりからもんもんの勇ましいのが出てきたりして、これはたいへんな問題になると思う。これは直営でやらなければ絶対ならぬと思うが、この点はどうですか、局長
  108. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今通産省では、産炭地域振興事業団にいろいろ要綱を作らしておりますが、要するに、これは炭鉱離職者を常用の形で使うということを考えておりまして、それにはやはり請負でやらせまして、しかも、それを今言ったように指名入札、随意契約でやれるようにいたしたいということで、一般の要するに炭鉱離職者を常用の形で使うような会社以外のものには仕事を請負わせないという方針通産省で立てて、それに従って事業団にやらせる、こういうことにいたしたいと考えております。
  109. 阿部竹松

    阿部竹松君 そのボタ山整備ならボタ山整備事業をやる以外の仕事をやっておる人にはやらせないと、そういうことですか。
  110. 中野正一

    政府委員中野正一君) 要するに、そういうことじゃなくて、炭鉱離職者は、これは技能者なんかについては、やはりそうでない人も入ってくるのはやむを得ないかと思いますが、炭鉱離職者を安定した形の常用雇用の形で使っておる会社ということで、実際には新しい会社をやはり指導して作らせて、そして、それに仕事を請け負わせるということが原則になると考えております。まだ、そういう細目については決定をいたしておりませんが、できるだけそういう形にいたしたいというふうに考えております。
  111. 阿部竹松

    阿部竹松君 国会で論議しておるときと、きめてしまって行政府の手にわたってから、今度いよいよ仕事をなさる場合に、国会で論議してきめたときと違った方向に動く場合がある。ですから、そこらあたりを僕はよくお聞きしておきたいと思うのですが、そうすると、百人の事業体がありますね。その中には、ブルドーザーとかトラックは必要でしょうが、そういう特殊技能を持った者はやむを得ないとして、あとは全部炭鉱離職者である、こういう解釈になりますか。
  112. 中野正一

    政府委員中野正一君) そういう形の会社に請け負わせるというふうにいたしたいと思っております。  それから、国会で論議があったことと実際にやることと違うのじゃないかという、そういう例があったかどうか知りませんが、そういうことがないように私としては努めたいと思っております。
  113. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、結局炭鉱離職者が八割なり八割五分なり入る、こういうことになって、場所は何カ所も、九州でいうと、飯塚市もそうだ、山田市もそうだ、田川市もそうだと、何カ所も一つ一つに当てはめてやるわけですね。
  114. 中野正一

    政府委員中野正一君) 場所の選定につきましては、一応予算上は、二十三のボタ山の処理のできるという予算の積算になっておりまして、今いろいろ調査をやっておりますが、要するに、事業実施場所は、産炭地域のうちで、炭鉱離職者の多数発生している地域であって、しかも、処理を必要とするボタ山がたくさんある地域というようなことで選定をいたしたいというふうに考えております。
  115. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは北海道は入っておらぬのですね。
  116. 中野正一

    政府委員中野正一君) 二十三ボタ山というのは、九州と、それから常磐地区を一応考えております。
  117. 阿部竹松

    阿部竹松君 その山の名前はわかりますか、そこで。
  118. 中野正一

    政府委員中野正一君) これはまだ一応予算の積算の基礎としていろいろ考えておったので、今まだその具体的な名前は決定いたしておりません。
  119. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、二十三カ所ということになると、まあ筑豊がおもですが、二十三の会社を作るわけですか、事業体を。たとえば博多なら博多に本店があって、これは飯塚支店とか山田支店とかいうことになるのか、その点どうですか。
  120. 中野正一

    政府委員中野正一君) これは今言いました炭鉱離職者が多数発生している地域で、しかも、処理を要するボタ山がたくさんある地域ということで選定いたしたいと思います。地域の区切り方等は、なお研究を要すると思いますが、今一つ案が出てきているのは、長崎県では中小の炭鉱が多いので、これではなかなか会社を作るといってもうまくいかないので、むしろ県が主体になって公社的なものを作って、そこにやらしてくれという案もきております。それから、一地域会社に限定するかどうかこれはそれかといって、一つ地域にするというと、あまり多数の会社ができて、無用な競争をされても困りますから、そこらは適切な行政指導をやっていきたいとかように考えております。
  121. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっと関連して一つだけ聞いておきます。どうせまた二十二日にお聞きしますけれども、石炭の単価の問題で、これは石炭局長も認めておられるが、東京でトン当たり一万一千円以下の石炭はない、こういうことを言っておられた。そのとおりなんですね。ところが、政府計画は、もともとこれを立てられたのは、重油八千四百円に対して石炭のコストが高いから、だから千二百円コストを下げるのだと、こういうことでやられたわけです。そうして私どもがもらっている資料では、電力会社等には二千五百五十六円で引き取ってもらっているわけですね。そうすると、二千五百五十六円で大会社は引き取ってくれるけれども、一般市中の石炭を必要とする人たちは、それの五倍以上、六倍、七倍もの単価で引き取っている。そうすると、石炭は、使うものに対しても掘るものに対しても、相当な規制をされている。通産省が、一番犠牲になる一般の人に対してはどういう規制をとっているか、いわゆる七万人からも職場を追放されなければならないようになってきている今日、石炭は、依然として個々人が買っているのは一万数千円している。そうすると、中間の人は何も心配なくてどんどんもうけている。石炭業者は千二百円コストを下げるためにぎゅうぎゅうやられている。また、そのしわ寄せで七万人からの人が首を切られて、政府はたくさん金を出して、何とかこれを就職させなければならないという苦労をされているけれども、それは一体だれに均霑しているか。使っている一般個人にはちっとも均霑しておらない。ちっともよくなっておらない。そうして一番もうかっているのは、その中間でやっている人たちなんです。それならば、一体東京なんかの市場で、小売価格を幾らに目標を立てていて、幾らに下げるんだ、これはきぜんとしてあるべきなんです。それが出てきて、中間搾取はかくあるべきだということが出てこなければならない。だから、一体市場の単価を幾らに考えておられるか、そういう点をはっきりひとつお聞きしておきたいと思います。
  122. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今、先生のおっしゃったのは、暖厨房用炭の中塊炭のお話でありまして、これと大口需要電力とは、これは少し違うのでありまして、これはコスト的にも相当違いがあるわけであります。しかし、いずれにしましても、東京に持ってきて一万一千円、二千円というのはあまり高いじゃないか。また、家庭用炭以外のものについては、相当シビアに千二百円でいく線が、相手が大口の需要家でありますので、どうしても要請されるし、そういうことになっている。したがって、それは片手落ちじゃないかということも調査団指摘をされまして、その点、通産省としても、今度はどうしても家庭用炭についての流通機構の合理性ということを取り上げるということについて、一応今われわれの目標としては、さしあたり千円程度下げるべきじゃないかということで指導いたしたいというように考えます。ただ、問題は、これは最近でもハウス・コールについては、需要がそう減っていないわけですね。むしろ来年度あたりはハウス・コールはもうちょっとふえるのじゃないかという見通しで、これはもちろん今言った値段をもう少し適正にしてやるということもやらなければいかぬので、もう少し積極的にそういう流通機構を整理してふやしていこう。家庭用炭も、今まではだいぶ横ばいでございますし、したがって、今言われたように、需要がそれほど落ちないために、そこに安易な態度をとっているのじゃないかと業界が言うこともわれわれ考えておりまして、今せっかくそういう点を検討さしていただいております。
  123. 阿具根登

    ○阿具根登君 これでやめますが、たとえば北海道、あるいは九州から一般家庭用炭を持ってくるとしたならば、これは運賃で相当かかってくると思うのですが、一番近くにあります常磐等の石炭が何で三倍も四倍もしますか、何で千円ぐらい下げて事足りると思われるか、私はこういうところに非常に問題がひそんでいると思うのです。少なくとも、コストが三千四、五百円ということになるならば、今の半分くらいで売っても、私は決して損しないと思うのです。そうしたら、一般の暖厨房、あるいはふろたき、こういう人たちは私は喜んで石炭を使うと思うのです。だから、これは今までの惰性で、石炭が何人から何人の手に渡ってきて、そうして実際炭を命がけで掘っている人は首を切られておる、しかも、賃金は御承知のように高くない。ところが、その中間で手も汚さずにもうけておる人がたくさんいるのじゃないか。これを思い切ってやらなければだめだと私は思うのです。そういう点にもう少し力を入れてもらいたいということと、構想をできるだけ早く明らかにしてもらいたい。千円等の問題ではないと私は思います。  以上であります。
  124. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今の御趣旨の点は十分取り入れまして、早急に具体化をはかっていきたいというふうに思っております。
  125. 阿部竹松

    阿部竹松君 四時に大臣は退席されるそうですから、私はこれでやめますが、石炭局長、このボタ山の処理の二十三カ所に働いておる——二十三カ所になるかどうかわかりませんけれども、そこで仕事をする人は、これは私の考えなんですが、何人あるかわからぬけれども、四十五以上の人というように規制してもらいたい。若い人は、これはほかの仕事を見つけるか、まあ山に残って働く。やめられる四十五以上の人は、なかなかよそへ行っても仕事を見つけることができない。高等学校一年生か中学校三年生が二人か三人いて東京で二万五千円もらっても、家賃で一万円取られて、水道料、ガス料を取られたら生活ができない。ですから、われもわれもといってこれに行かれたのではとても収容しきれませんから、四十五以上ということにしていただくと、十年間あってもその人は五十五歳になれる、こういうことですから、これは質問でなくて、二十二日の委員会までに、ひとつ労働省なり、あるいは産炭地域振興事業団とも御相談なさって、大臣とも相談されて、四十五以上という線を引くことができるかどうかということをひとつ御相談していただくことを希望として、お願いしておきます。
  126. 堀末治

    委員長堀末治君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会