○奥むめお君 この
法案は、読みました限りでは、大ぶろしきを広げているというふうな
感じで、幾多の不安を持ちますし、また、不満足な点もございますけれ
ども、ともかく、
中小企業行政としては一歩前進したものであるし、これを足がかりにして、
中小企業が
体質を
改善し、
経営を
改善し、ひいては消費者に利益を与えて、
国民経済全体が正しく前進するように願うことで、私は賛成したいと思います。
ただし、この際、特に次の諸点を強く要望して、この
法律並びに
関連法律の運用にあたっては十分に留意されたいということがございます。
その第一は、過度の競争を理由とする
中小企業のカルテル行為が従来不当に行なわれて、消費者物価値上がりの原因となっていることが多いので、このような行為を慎しみ、またやめさせ、企業
努力を中心にするよう行政
指導していかなければならぬ、これが一つ。
二つには、商工組合等がやたらにアウトサイダーを圧迫し、良心的に適正な価格で消費者のために物を作り、または売ってサービスをしているものに、値段を組合がきめて、そして無理に値段を引き上げさせたりする事例が従来非常に多かったのですが、これを改める。
第三に、生協、農協、漁協等非営利的な消費者組織は、
中小企業者がややもすれば矛盾を小売価格の値上げによって消費者に転嫁しようとしてきたのに対しまして、消費者が自衛的な防御
措置としてこの道を選んでいるのでございまして、またこれは自覚したる消費者の一つの組織でございますので、
商業者が消費者とともに正しく
発展をするためにも、むしろ刺激になると、私はこのように見、ておりますので、そういう理解のしでこの
法案を運用してもらいたい。これが、私
どもの生協その他の非営利組織を行政上規制しないようにということが願われるわけでございます。
また第四に、
中小企業者は、一般に上部の
関係大企業に対しては弱いけれ
ども、消費者に対しては、うまくごまかして高い値段を押しつけてきました。これからは、あくまで、大企業に対しては、その過剰利益を吐き出させるように、強い圧力をかける力を持ってもらいたい。そのような御
指導を願いたい。また、そのことによって、消費者価格価下げの機運を作っていかなければなるまい、こう思うのでございます。そうでないと、購買力は枯れてしまい、
国民経済は回転していかなくなるであろうし、
政府におかれましても、重大な場面に立ち至るのではないかと非常に案じるのでございます。
第五には、
中小企業に働く従業員の人々の賃金、労働時間、福利厚生施設を
改善することは非常に大切なことでございます。
中小企業庁は、その
内容の今後の動きを正しく把握して、教えていってほしい。ただし、問題なのは、賃金を大して上げてもいないのに、賃金上昇を理由にして、不当に価格をつり上げて企業利潤をむさぼっている
企業者が従来多かったことを認識してもらいたい。その対策、
指導の面でも、あるいは実際の面でも工夫してもらいたい。
それから、
政府が各企業ごとに平均標準原価計算を明らかに示して、逸脱しないように厳重に
指導されたいということ。
第五には、みなさんがしばしば指摘されていられたように、
小規模事業者、ことに高齢者、未亡人、その他生業的
事業をしている人々は、おそらく今後大企業や
中小企業との間に
格差がますますつけられてきて、あるいは切り捨てられるのではないかという不安を持つのも、これは無理からぬことだと思うのでございます。これに対しても、融資等で救えるとおっしゃいますが、やはりこれらの人々には社会保障を拡充して、無理して零細な
事業をしなくてもすむ道を講ずるのが先決でございましょう。
中小企業の問題で、一番不安を持ち、一番見通しを持ってないで苦労しているのは、これらの零細な企業の、生業的な企業を行なっているものでございますから、特にこの点で十分
配慮すべきものと
考えるのでございます。
なお、関連しました四
法案に対しましては、
中小企業に対すると同様の立場から、私は賛成を表明いたします。