運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-05-23 第43回国会 参議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月二十三日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     赤間 文三君    理事            川上 為治君            岸田 幸雄君            近藤 信一君            向井 長年君    委員            上原 正吉君            剱木 亨弘君            豊田 雅孝君            武藤 常介君            吉武 恵市君            中田 吉雄君            二宮 文造君   衆議院議員    発議者     田中 武夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 西村 英一君    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    厚生政務次官  渡海元三郎君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    通商産業政務次    官       上林 忠次君    通商産業大臣官    房長      渡辺弥栄司君    通商産業省企業    局長      佐橋  滋君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定産業振興臨時措置法案(内閣送  付、予備審査) ○市場支配的事業者経済力濫用の防  止に関する法律案衆議院送付、予  備審査) ○ばい煙排出規制等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議車項について御報告をいたします。  本日の委員会議事は、特定産業振興臨時措置法案市場支配的事業者経済力濫用防止に関する法律案、以上両案の提案理由説明を聴取する。それからばい煙排出規制等に関する法律の一部を改正する法律案について、質疑の後討論採決を行なうことになりましたから、あらかじめ御了承をお願い申し上げます。   —————————————
  3. 赤間文三

    委員長赤間文三君) それではこれから議事に入ります。  昨日予備審査のため本委員会に付託をせられました特定産業振興臨時措置法案及び市場支配的事業者経済力濫用防止に関する法律案を一括して議題といたします。政府及び発議者から順次提案理由説明を聴取いたします。福田通産大臣
  4. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま上程されました特定産業振興臨時措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、わが国は、国際経済の一翼を担うものといたしまして、貿易・為替の自由化を順調に推進し、さらに関税の一括引き下げの動きに対しても、原則としてこれを受け入れていく方針を固めております。  このような国際経済環境の変化に対処しつつ、国民経済の健全な発展を確保していくためには、申すまでもなく、かかる情勢に敏速に適応しうるよう国内体制を十分整備しておくことが必要であります。ひるがえってわが国産業の実情を眺めますと、過小な規模企業が多数乱立し、そのため規模利益の追求が徹底せず、それと裏腹をなしてとかく過当競争の弊に陥りやすいという事情があり、国内産業体制は遺憾ながらいまだ十分整備されているとは申しがたいのであります。したがいまして政府といたしましては、自由化までに残された短い期間中に、時機を失しないよう早急に企業規模適正化を通じ産業活動効率化をはかっていくことが必要であると考えます。  わが国産業の包蔵するこのような欠陥を是正し、産業活動効率化するための努力は、まず産業界において行なわれるべきことは当然でありますが、わが国産業資金調達の方式をも考えますと、その努力を実効あらしめるためには、産業界と密接な関係をもつ金融界からも協力を得る必要があり、さらに国民経済の健全な発展を確保し、国民の福祉の向上に努めるという見地から政府も民間における努力を助長する必要があると考えられます。  そこで、政府といたしましては、企業自主性をあくまでも尊重しつつ、企業規模適正化を通じ産業活動効率化するための助成を行なうことにより、特定産業振興をはかることとし、その法的裏付けといたしまして、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案主要点について、御説明申し上げます。  第一は、この法律適用を受ける特定産業の選定に関することであります。特定産業の指定は、あくまでも産業界自主性を尊重してその申し出を受け、審議会意見を聞いて行なうことといたしております。  第二は、政府産業界及び金融界は、企業規模適正化を通じ産業活動効率化して特定廃業振興をはかるための基準について討議し、政府及び産業界の合意に基づいて基準を決定することであります。  この振興基準では、規格の整備、生産専門化設備適正化事業共同化合併等に関する特定産業ごとの一般的な方針が定められ、企業自己責任に基づいて行動するときの好ましい判断材料を提供しようとするものであります。  第三は、特定産業を営む者、政府関係金融機関及び銀行が産業活動効率化するために努力ないし留意すべきことを明らかにしていることであります。  第四は、政府助成に関することであります。  振興基準は、政府も参加して作成されたものである以上、その円滑な実施をはかることは、国策にも適合することでありますから、振興基準で定められた方針に従って産業活動効率化するため必要と認められるときは、政府は、資金の確保に努めるとともに、法人税または登録税軽減措置を講ずることといたしております。  第五は、合理化のための共同行為の特例に関することであります。  合理化のためにする一定共同行為が、あくまでも振興基準で定められた方針に従って産業活動効率化のために行なわれる限り、これを許容してゆくことが必要と考えられますので、公正取引委員会の認可を要件として、ここに独占禁止法との調整をはかることとした次第であります。  第六は、合併に関する判断基準を公表することであります。これは、企業合併しようとするときに、独占禁止法に抵触するかどうかを自主的に判断することを可能ならしめることによって、企業合併を円滑ならしめようとする趣旨に基づくものであります。  その他、振興基準内容を常に公正かつ適切たらしめるために、その作成にあたっては十分関係者意見を聞くこととしたほか、政府産業界及び金融界から振興基準を変更すべきことを請求しうる規定を設けるなど所要の規定を整備いたしております。  なお、本法案は五年間の限時法といたしております。これは、貿易自由化等により経済事情が著しく変動しつつある期間について、産業活動効率化を有効に促進するため、本法案規定するような措置を講ずることが適当であるという趣旨に出るものであります。  以上、本法案趣旨の概略を御説明申し上げましたが、要は自由化後のわが国経済成長のにない手たるべき産業確立発展をはかるため、競争力培養に向かっておのずから努力する産業界に対し、政府はもとより、金融界からもまた応分の協力を期待し、激動しつつある国際経済環境の中で日本経済の占めるべき名誉ある地歩をすみやかに築いて参ろうとするものであります。  何とぞ慎重にご審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。   —————————————
  5. 赤間文三

  6. 田中武夫

    衆議院議員田中武夫君) 日本社会党提出市場支配的事業者経済力濫用防止に関する法律案につきまして、提案者を代表し、その提案理由および要旨をご説明申しあげます。  御承知のように、日本経済の最も特徴的な現象は、高度経済成長政策によって、産業構造重化学工業化が進み、大資本中心として、資本生産の集中、系列化がきわめて強化されてきた、ということであります。言葉をかえて申しますと、今日の日本経済は、すでに独占資本の支配する体制が確立されているということができるのであります。  もちろん、過小な規模企業が多数乱立し、過当競争弊害も一部に見られるところでありますが、これらの現象は、主として中小企業の側面について言えることであって、資本面でも、生産面でも、独占的な大資本成長は著しく、中小企業との格差をますます拡大しているのが、今日の偽わりのない経済情勢であります。  しかしながら、このように独占資本が支配するわが国経済は、高度成長政策を破綻させてきたばかりでなく、物価問題、労働問題、中小企業問題、農業問題等々に、多くの矛盾を現出しているのでありますが、その矛盾の根源が実に独占問題にあることは、今さら申し上げるまでもないと思うのであります。  第二次大戦後、世界各国は、この独占弊害を解決するために意を用い、その有効な方策として独占禁止法を制定して参りました。そして、この独占禁止法の精神は、さらに強く現在の経済活動の上に反映されているのが世界的趨勢であります。ところがわが国におきましては、戦後の一連の経済民主化政策も、次々と剥奪され、独占禁止政策は一貫して大幅に緩和もしくは廃止されるという逆の努力が続けられていることは、きわめて遺憾であると言わざるを得ないのであります。  ただいま政府から提案されました特定産業振興臨時措置法案も、こうした逆コースに拍車をかけ、たくみに独禁法の骨抜きをはかって、さらに、独占寡占体制を確立し、独占資本利益を一そう高めることをねらったものであります。この法案政府独占的大企業との結合を明文をもって宣言し、政府は税制、金融その他あらゆる面での援助を公約し、カルテルを認め、合併を奨励し、独占禁止法適用を除外することとしており、この結果、中小企業には企業整理を、農民には高い農業資材を、一般消費者には物価値上げを、労働者には首切り合理化をもたらそうとしているのであります。  現在、従業員千人以上の大規模事業所は、事業所数で全製造業事業所数の〇・三%を占めているのにすぎないのに、収益では全体の三二%を占めているのであります。また、最大五社で市場の五〇%以上を占めている業種は、バター、チーズ、ビール等の食品、ナイロン、テトロン、ビニロン等合成繊維、硫安、尿素等の肥料、銑鉄、粗銅、各種鉄鋼製品、アルミ、セメントをはじめ軽三輪、乗用車、トラック、造船、重電機等わが国主要産業のほとんどにわたっているのであります。現行独禁法のもとにおいてさえ、このように大資本中心とした寡占体制が確立され、中小企業者農林漁業者労働者一般消費者に重大な影響を与えているのであり、とくにこれら大資本の行動は、物価高騰の大きな要因となっているのであります。  今日、政治の立場にある者として、最も大切なことは、さらに独占寡占体制を強めることに努力することではなくて、独占寡占のもたらす弊害を除去することに意を注ぐべきであると思うのであります。本法案を提出した理由も実はここにあるのでありまして、独占寡占弊害、危険に対して、公正取引委員会の機能を強化し、独占禁止法運用を適正にすることを念願としたものであります。  市場支配的事業者経済力乱用防止に関しましては、すでにイギリス、西ドイツ、ノルウェー、オランダ、ベルギー等においても存在しているところであります。わが国独占禁止法もその一部については規制しておりますが、きわめて不十分でありますので、少なくともこの程度の規制は必要であるとして、独占禁止法を補完する意味で提案した次第であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、この法案では、公正取引委員会が商品または役務の供給量設備規模資本額等がその取引分野における支配的事業能力を有する事業者市場支配的事業者として指定し、これらの支配的事業者が、取引上優越した地位を不当に利用して行なう行為につきましては、現行独占禁止法違反行為とみなして規制するほか、積極的に価格引下げ等措置をもとらせるようにいたしました。  第二に、国内会社であって、その総資産が百億円をこえるもの、または、外国会社であって、公正取引委員会が指定する基準に該当するものは、毎事業年度の業務の状況その他必要な事項に関する報告書を提出させ、公正取引委員会は、市場支配的大企業者活動状況を調査し、それを一般に公表することといたしました。市場支配的大企業が、その言うごとく公益に合致した活動をしているならば、これは何ら拒否する理由はないと思うのであります。  第三に、公正取引委員会に、市場支配審議会を置き、この法律の施行に関する重要事項について調査審議し、公正取引委員会に建議することができるようにいたしました。  最後に公正取引委員会は、この法律運用状況及びこの法律目的達成上必要な意見を国会に報告することとし、これによって、市場支配的事業者規制について万全の対策を期すこととしたのであります。  以上、本法案趣旨を簡単に御説明申し上げましたが、要は、すでに今日、独占寡占体制を確立している市場支配的事業者に対して、その経済力乱用防止することにより、常にその犠牲となっている中小企業一般消費者利益を保護し、もって国民経済の健全な発達をはかりたいと念願した次第であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  7. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 以上で提案理由説明は終了をいたしました。  自後の審査はいずれも後日に譲ることといたします。   —————————————
  8. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 次に、ばい煙排出規制等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  9. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記を起こして。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 ばい煙排出規制法に関連して、ちょっと水質保全の問題について御質問をいたします。  昨日、調布東京重機工業会社メッキ工場から毒性の強い青化ソーダ青化銅液が大量に多摩川に流れ込んだ事故がございまして、給水を一時中止したり、それから井戸の使用を禁止した事件が発生しておりますが、このことについて十分な調査をされましたか、また聞いておられますか、この点お尋ねいたします。
  11. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) 昨日、今御指摘のございました事件がございまして、私らのほうといたしましても、向こうの報告等も承っておりますので、詳細、当局のほうから御報告いたします。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 新聞の記事から拝見いたしますると、工場設備が不完全といいますか、ホースタンクロに接続していた止め金が腐食しておって、それからホースがはずれて、何か毒性物が流出したと、こういうふうにあるわけなんですが、こういう工場の危険な設備に対して十分な監督というものが私はなされていなかったんじゃないかと、こういうふうにも思われるわけなんですが、この点はどうですか。
  13. 福田一

    国務大臣福田一君) 実は、私、はなはだあれですが、けさ新聞事情承知いたしまして、ただいま事務に取り調べをさせておる、現実どういうことであったかという事態を明らかにさしておるというところでございますので、このこと自体についてはまだ申し上げる段階に来ておりませんが、しかし、こういうことははなはだ遺憾で、われわれとして非常に遺憾に存じております。したがいまして、この種のいわゆる工場、特に毒性反応を呈するようなものを使用しておる工場の管理については、一そう厳重な取り締まりをいたしまして、今後この種の問題が絶対に起きないようにひとつ措置をさせて参りたい、かように考えておるわけでございます。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 また、保健所で言っておる言葉によりますると、流出した劇薬は、万一、〇・一または〇・二グラムを飲んだだけでも強い中毒症状を起こしたり、また窒息死をするというふうな危険な毒性がある、こういうふうに出ておるわけなんです。そういう人命に関するようなこういう重大な問題に対して、やはりもう少し工場設備なり、また保健当局としても監督をもっと十分にする必要があるんじゃないかというふうに私は思うんです。そうすれば、こういう危険な事態というものは未然に私は防げたものであると、こういうふうに思うんですが、この点はどうですか。
  15. 福田一

    国務大臣福田一君) この種の工場施設をするときには、当局としても、事務としても、相当やはり注意をして今までにも私は作らしておると思います。全然野放しでどんな薬品を使ってもいい、どういうことをしてもいいということはいたしておらないと思うんでありますが、今度の場合、新聞等によってみますというと、何か施設の一部がこわれて、その結果毒水が流れ出したんだということに相なっておりますが、いずれにしても、万に一つの事態であっても、人命影響を及ぼす問題でございますから、これは特にひとつ厳重に取り締まりをする必要があるし、またこういう工業をやらせる場合については、通産省としても十分もっと厳重な監督をしていく必要がある、こう考えておる次第でございまして、何らかの方法があったではないかという御質問かと思うんでございますが、確かに非常に気をつけておれば、こういうことなしにあるいは済んだのかもしれません。一応われわれといたしましては、施設を許可した以上は、それが正常に運転されておるということで考えておるわけでございますので、はたして——通産省立場から、これはセクトイズムで申し上げておるんじゃございませんが、われわれの立場から言えば、その工場施設をやるときに、いわゆるこういうような事件が起きないようなふうに十分注意しておったかどうか。そしてまた、それに基づいて施設が工作建設されておったかどうかというところまでがわれわれとしてどうしても責任を持たなければならぬ点であると思うのであります。ところが、今回の事件は、その一部がこわれて流れ出たということでありますから、これはわれわれにもやはり一種の監督責任がないとはいえないわけであります。今まではこういうことはほとんどなかったのでありますが、今後こういうことのないようにひとつ特に特段の注意を払って参るようにいたしたいと考えております。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 調布保健所で、野川に流出した毒物に対してこれを中和するためにさらし粉を千二百キロ流して、そして処置をとっておる。これはこの川の流速はこの新聞によると時速六キロの速さと、こういうふうにいって、さらにそれが多摩川に流れていく、こういう野川というのが多摩川に合流する上流のほうだと、こういうふうに書いてある。保健所では中和して未然措置をとったので、これは多分影響はないだろうと、こういうふうなことを言っておるわけです。ところが過日のコレラ事件のときも大丈夫と言っておったが、あとから大あわてするというふうなこともあるので、この点ははたして調布保健所で言っておるように、あと全然これは問題はないのだと、こういうふうなことで私は了解できないと思うのですが、この点はどうですか。
  17. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) 中和剤をまいてそれで安全だという処置ではたして十分であったかどうかという点につきましては、私たちは危険なときの水を、取り入れ口まで、今言われました時速で流れて飲料水取り入れ口へきますまでに検査いたしまして、危険のおそれあるときは取り入れないように措置し、その水は別途の方法で相模川、横浜のほうの、神奈川のほうから取り入れて給水する、断水することなしに処置をしたという報告を聞いておりますので、この点につきましての詳細は局長から答弁させますが今コレラのときのことのお話がございましたのですが、あの際も普通のコレラでございましたら、廃棄物そのもの便そのものの中で顕微鏡で見ましたら技術的に直ちに発見できるような菌が出ておるというのがコレラの普通の状態でございましたが、予防接種をやっておられた関係か、あるいは抗生物質を飲んでおられた関係か、そういう状態でなかった。また検査液によりますところの検査をやりましても出ず、ただ寒天ですか、寒天培養による中で広げましたときに一点だけ疑問な点が出まして、大部分はマイナスに出たというそのありのままの姿を報告したのが、発表の仕方が不備だったからああいう状態になりました。その寒天の分をさらに詳細にやりましたところ、真性であるということがわかりましたが、発表仕方等につきまして、そのとき現実の姿そのままを発表しましたものでございますから、ああいった方面で誤解を招いたというような姿になっておるのであります。私たちといたしましても、発表の仕方について十分検討、反省をし、今後発表の仕方について考えておるような次第でございます。今回の場合は今のようなこともございますので、それ以外にも処置をとらしていただいておりますので、その点当局から具体的にお答えいたします。
  18. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) ただいま御質問になりました青酸化物の上水の水源に混入いたしました問題につきましての保健衛生上の諸対策の点でございますが、御承知ように、水道法には水質基準がきめられておりまして、青酸化物等は、これを一定方法検査しまして、それが検出された場合には、その水は浄水としては使えないという建前になっておるわけでございます。したがいまして、昨日のお昼にこの事故が起きまして、連絡を受けまして以来、さっそくに保健所あるいは水道局等がそれぞれその対策に乗り出したわけでございますが、問題はこの毒物の入っております水が野川を通りまして、多摩川に流れ込み、多摩川浄水場に入って参りまして、先ほど流速数字をおあげになっての御質問がございましたが、それらの点も勘案いたしまして、直ちに検査車等によりまして、この毒物の混入あるいはその濃度検査を始めたわけでございます。その結果、きわめて常識的でございますが、工場の近くではかなり強い濃度のものが発見されております。それから合流地点並びに多摩川浄水場取り入れ口におきまして、三十分ごと検査を続けて参りましたわけでございますが、合流地点におきましては、午後八時ごろになりまして擬陽性、どうも陽性らしいというような様子が現われて参り、それから取り入れ口におきましても、十時半ごろにわずかにプラスであるかマイナスであるかというような状態になりましたので、そこで十時半からこの多摩川浄水場取り入れ口を閉鎖いたしまして、この毒物が混入しているものと思われる水を源水として使用することを禁止いたしたわけでございます。したがいまして、その水はその後三十分ごと検査いたしておりますが、この水の流れによりまして、ある検体ではプラスになり、ある検体ではマイナスになるというようなカーブを描いて消長いたしておりますが、けさ六時半の取り入れ口数字では、プラスになったりマイナスになったりしてきておりますが、六時半で〇・二PPMというような数字も出ております。したがいまして、東京都の水道局並びに衛生局と連絡をして、ただいまこの対策をさらに促進しておるわけでございますが、ただいまの見通しといたしましては、この毒物の検出が恒常的にマイナスになるという時期を見きわめまして、その時期に多摩川取り入れ口を開く、それまでは一切この水は海に流しまして、そのかわりその水源は、先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように、神奈川県から今お借りしております十万トンの水を回しまして、これに充てるということで処理いたしておりますので、保健衛生上の問題といたしましては、水道に関しては現在のところ心配する点はなかろうかと、かように存じておる次第でございます。
  19. 近藤信一

    近藤信一君 今の御説明でよくわかりましたが、この野川付近では特た農家の人が野菜を洗ったりなんかすることもある。そういう関係で非常に危険だということも指摘されておりますし、それから井戸が浅いから、井戸の使用を禁止した、こういうことなんですが、井戸の使用禁止は一体幾日ごろまでこれを禁止すれば、以前のようにこれは使用ができるかどうか、その見通しについてお答え願いたい。
  20. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 御指摘のように、この事故報告されました直後に、その濃厚に流れ込んだと思われる野川付近では、水遊びをしては困るとか、あるいはそこに浮き上がった魚を食用に供しては困るとか、広報車を通じて、できるだけの衛生的な協力を一般に呼びかけたわけでございます。  井戸水につきましても、これを東京都の手で検体をとりまして検査をしております。その検査の結果、使用が差しつかえないという成績が出ますれば、これを解除する予定でございますが、ただいまのところ対策に忙殺されておりまして、一々正確な報告を受けておりませんので、いつごろに解除になるかということをただいま申し上げる準備がないわけでございますが、安全が確保され次第、その解除の方法をとりたい、このように考えております。
  21. 近藤信一

    近藤信一君 これは私は単なる水質の保全ということでなくして、やはりこれは一つ間違えば人命に関する問題であるから、やはりこういう問題については、今後私は慎重に当局としても監督をし、そうして施設に対するところの指導等も十分にやらなければならぬのじゃないかと思うのであります。特にこのごろは化学肥料が発展して参りまして、農薬の問題なんかでも下流におけるところの被害というものがよく方々で起こって、問題を起こしている。そういう点から考えましても、農薬の問題もそうでありますが、廃液等、さらに今度のような不祥事、こういう問題について、今後慎重に私はやっていただきたい、かように希望をいたしまして、本論に入りたいと思います。
  22. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ちょっと速記を中止して下さい。   〔速記中止
  23. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記始めて。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 過日の本委員会で、ばい煙排出規制法に対して若干の質問をいたしましたが、最後に、私は大臣に一言質問して、所信を伺っておきたい、かように思うわけでございます。  内容については、もうすでに過日の委員会質問をいたしましたが、今問題になっておりまするところのばい煙の公害をいかに防ぐかということですが、これは過日も答弁の中でいろいろ言われたわけです。しかし、産業公害はばい煙だけではないのでありまして、汚水はもちろんのこと、それから悪臭や粉塵、さらに排気ガスなど、実に公害は非常に多いわけなんで、経済成長とともにますます今後こうした公害というものは多くなるのではなかろうかというふうにも思うわけでございます。さらに、騒音や震動なども、地域的には何とかしてもらいたいところがたくさんあるわけなんでございますが、しかし、これに対するところの対策というものが、ほとんどこれはお手上げの状態のようで、過般も排気ガスの問題については、非常に鋭い質問が同僚からなされたわけですが、自動車の排気ガスについては、今のところちょっと手の打ちようがないというふうにも、この間、厚生大臣からもお話があったのです。排気ガスによる空気のよごれ工合を調査することにするというふうな、こんな程度では私は実際の政策というものにはならぬと思う。この対策をどうしたらよいかということが現在の一番大きな問題じゃないかと思うのです。ところが、なかなか排気ガスの問題には手がつけられないというふうな状態なので、これは日本だけではなくて、国際的にもこの排気ガスの問題は、今非常に大きな問題になっておるということですが、こういうこともいわれておるわけなんです。各種の産業公害に対して緊急に対策を講じてもらいたいというのが、私は国民の現在の念願でもあろうかと思うのです。そこで私は、できますればひとつ閣議ででも決定して、そして各省の協力を求めて、そうしていろいろな万全な対策というものを講じてもらいたいと思うのですが、この点大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  25. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま近藤委員から御質問のございました産業公害の問題は、お説のとおり、これから新しい産業、新しい科学等々が興きて参りますというと、これに伴ってその種のものがますますふえてくるということが予想されるところでございます。特に現在あるところの問題につきましても、スモッグの問題でも、自動車の排気ガス等の問題につきましても、これはいろいろ害のほうはもうすでに十分認識されておりながら、その対策が具体化しておらないということはお説のとおりでございます。したがって、こういう問題をどういうふうにしたらいいかということになれば、通産省としては、実は排気ガスなどは非常に大事でございますので、何とか排気ガスをうまく処理する具体的な方法がないかということを、今、うちの機関で研究をさせておるのであります。これができませんと、排気されてしまったものを何とかやっていくということは、これは非常に広範な地域において処理をしていかなければなりません。もし、その出るところでとめてしまう工夫があれば、これが一番いいのです。したがって、こういうことを実はいろいろ研究をいたさせておる次第であります。  なお、スモッグの発生原因その他について、自動車の排気ガスの場合、その他の原因もあるやに聞いているのでございますが、この種のことにつきましても、技術的あるいは科学的に十分調査して、そうしてどうしたらいいかという具体方法を考える、いわゆる研究のほうが私は一番大事な問題ではないかと考えるのでございまして、お説のように、閣議等でこういう問題を取り上げてやっていくというのも一つの考え方と思いますが、しかし、これは厚生省にしても通産省にしても、実は非常に心配して、今具体的にどうして防げるかという、いわゆる現実問題の解明にむしろ力を入れているという段階でございます。これをもっと積極的にやるようにしようということについては、お説のとおりけっこうなことでもございますので、そういう意味で閣議等でも発言して、各省の協力をもっと一そう進めていくということは、一つの考え方であると考えておりますので、十分ひとつ考えてさせていただきたい。また、これは厚生大臣ともよく一ぺん相談もさしてもらいたい、こう考えている次第であります。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 第二の点は、法律が幾らできても、実際運用がはなはだまずいということで、そのいい例といたしまして、ばい煙規制法が公布されて一年たっているのだが、実際には施行されないと同じような状態であるというのは非常に情ないと思うのです。私どもは、この法律が施行されて、すぐまたその次に改正案が出る、こういうような例は今までもいろいろと体験してきているわけなんですが、これは私は各省の、こういうことについては、やはり今大臣がいわれましたように、各省が協力しなければできない問題だと思うのです。過日も私が指摘いたしまして、各省がなわ張り的な根性が非常に強いから、なかなかこういう点もうまくいかないのじゃないかということをいったわけですが、どうしてもこれは各省の協力を得られないということに私は問題があろうかと思うのであります。また、その対策が部分的で実効があがらないというふうなことになってくるわけであります。そこで、法律できめられたぐらいはせめて忠実にこれを実効のあがるようにしてほしい、こういうふうに私は思うのですが、大臣この点はどうですか。
  27. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおり、法律ができましても、法律をうまく運用しなければあってなきがごときものでございまして、作りました以上は、また、皆さんの御協賛を得てそうして法律ができました以上は、これを正しく運営するのは行政の責任でございますから、ひとつ御趣旨に沿って今後努力させていただきたいと思います。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 次に、今までの御答弁を拝聴しておりますると、中小企者の排出するばい煙については、施設に非常に金をかけなくてはいけない、金をかけなくてもこれは何とかなるというのは、技術指導とか燃料の選択、こういうこともあるわけなんですが、そういうことで技術指導がうまくいけば煙害を少なくすることができるというふうにも考えられる、何かこういううまい方法があったらこれを実行、実施していくようにしたいと思うのであります。私の知っている例では、自動車のクラクション、いわゆる警笛、これの騒音がとかくやかましくいわれまして、これは条例で自粛させたのか、何で取り締まったのか、これはちょっとわかりませんが、とにかく国民的な世論として非常にあの騒音問題がやかましく叫ばれました以後というのは、案外スムーズに騒音防止の問題が今日まで、自動車のクラクションなんかではうまくきている。しかし、その割に事故なんかはあまり発生していないのじゃないかというふうにも思うと、これはうまくいっているのじゃないかと、こういうふうに思うのです。そこで法律を作ることばかりが何も対策ではなく、やはりこういうふうな実例もあるわけなんで、やはりひどい排気ガスが出ないような設備というのか、先ほど大臣もいっておられましたように、出てからではしょうがないから、出る前に何とかうまくされるような方法、また川にごみを捨てないようにして水質を保全するとか、いろいろな公害防止対策については手近な方法が私はあろうかと思うのです。それを実施していくことも大切かと思いまするが、やはり指導面ということが、私は法律の実施ということも考えられますけれども、やはり技術指導によって何とかうまくいく方法というものを考えていかなければならぬではないかというふうに思うのですが、この点はどうですか。
  29. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおりでございまして、自動車のクラクションの場合は、確かにあれは効果があったわけですが、しかし、考えてみれば、あの場合はあまり金のかからない、みんなお互いに気をつければ済むのであって、みんながうるさいからやめようやというようなことで、ほんとうに経済的な問題はあまり出ていなかったわけであります。ただ、煙害なんかになりますというと、煙のあまり出ないばい煙のあまり出ない炭を使ったらいいではないかということになると、値段の高い燃料を入れなければならないということになります。お説のとおり、何かいい工夫がないかと思って考えておるわけでありまして、広く皆さんの御意見を聞かせていただいたり、知恵を拝借したらいいかと思うのです。近藤さんなども専門家だから、ひとついい知恵を出してもらえば、さっそく実現をいたしたいと思います。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 やはり何といいますか、日本人の個人主義というのか、そういう点もあろうかと思うのですが、過日も小学校の子供がある会でいろいろ言っておるのを聞くと、子供は正直なことを言っておる。おとなが川にごみを捨てるから川が汚れるとか、ごみを捨てていけないという所、広場に持ってきておとなが平気で腐敗したものをどんどん捨てて、そこはごみが山になって、町がきたなくなっておるとかということを盛んに子供は訴えておるわけですね。また、テレビなんか見ましても、日曜なんかに行楽で人がうんと出たあとに、立ち入り禁止の所に人が一ぱい入って、芝を踏み倒したり花を折ったりしておる。それが自分の家の庭に入って、他人にあんなことをなされてはその人は非常に怒って損害賠償を訴えるであろうと思うが、公共施設の場合には、そういう点を少しもおとなは自覚しないという点があるわけなんですね。やはりこういう点、私はもっと政府としても万全な措置を、といっても、今の政府をみんな信頼しておらないので、、国民は何を言っているかということになるかもしれませんが、何とかこういう点はどうも納得のいかない点がよけいあるのですが、こういう点についても、何か行政指導といいますか、そういうようなことは考えられないものでしょうか、どうでしょうか。
  31. 福田一

    国務大臣福田一君) そこまでいきますと、なかなか道徳の問題に入ってきますから、非常にむずかしいことだと思いますが、確かにおっしゃるように日本人には非常に個人主義的な考えがございまして、自分のところだと絶対にそういうことは許さない、公共のものだというと少しぐらいやってもいいじゃないかという感じがある。これは一つは道徳の問題ですから教育にも非常に大きな関係がある。それからおのおのの家庭の皆がそういうような、子供にそういうしつけをするように家庭でそういうことを気をつけるというようなことを考えるというようなことが一番大事でございまして、もちろん政府としても、そういうことを勧奨する方法を大いにやることはもう賛成でございますけれども、むしろこれはさっきお話があったような騒音防止のような国民的な感覚でこの問題を処理していくということであれば、実効を上げてくるかと思うので、今後もひとつ国家といいますか、政府とか民間とかいうことじゃなくて、お互いにひとつ御協力をしていただいて成果を上げさせていけば非常にありがたいと思います。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 最後に、通産大臣からこれは答弁を伺いますが、公害防止のための機械施設の問題ですね。これが安いものでございますると、これはだれでも取りつけるだろうと思うのですけれども、なかなか簡単に施設が安くできない、こういうことではなかなか施設、機械の施設については小さなところでは、ようこれを踏み切らない。だれでもこれは憎まれてもうもうと黒煙を出したくないことは、これは当然でございまして、その防止施設というものが安ければきっとこれはだれでも施設をやるだろうと思うのです。そういう機械、施設の研究、開発それから企業化、こういうものについてひとつ大いに奨励援助する、こういうふうなことをしたら、私は小さな企業、ふろ屋にいたしましても、ビルにいたしましても、またそば屋にいたしましても、それは簡単に施設をやるのじゃないかと思うのです。そういう奨励、援助するというふうなことでは大臣何かいい方法はないかどうか、この点最後にお尋ねして私の質問を終わります。
  33. 福田一

    国務大臣福田一君) 御趣旨には全く私賛成でございますので、ひとつそういう御趣旨に沿って何か工夫がないか研究をさせていただきたいと思います。
  34. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。ばい煙排出規制等に関する法律の一部を改正する法律案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  37. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書については慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午前十一時二十九分散会    —————・—————