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1963-02-12 第43回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十二日(火曜日)    午後一時四十分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     赤間 文三君    理事            岸田 幸雄君            近藤 信一君            向井 長年君    委員            上原 正吉君            川上 為治君            古池 信三君            豊田 雅孝君            前田 久吉君            阿部 竹松君            久保  等君            椿  繁夫君            松澤 兼人君            二宮 文造君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業省企業    局長      佐橋  滋君    通商産業省重工    業局長     島田 喜仁君    通商産業省繊維    局長      磯野 太郎君    通商産業省公益    事業局長    塚本 敏夫君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省企業    局商務課長   森口 八郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○中小企業信用保険公庫法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査  (昭和三十八年度通商産業省施策  に関する件)   ―――――――――――――
  2. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議いたしました事項について報告をいたします。  本日の委員会は、まず、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案提案理由説明を聞いた後に、昭和三十八年度通商産業省施策に関する大臣に対する質疑を行なうことになりましたから御了承願います。
  3. 赤間文三

    委員長赤間文三君) それではこれから議事に入ります。昨日予備審査のため、本委員会に付託になりました中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取いたします。
  4. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま提案になりました中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業信用保険公庫は、中小企業信用保険業務と各地の信用保証協会に対する融資業務を行なうことにより、信用力の薄弱な中小企業者信用、補完に寄与してきているのでありますが、現状においては、中小企業者信用保証協会に寄せる期待はますます大なるものがありまして、政府としても、当公庫を通じ信用保証協会保証機能を一そう拡充・強化する必要があると考えられるのであります。かような趣旨に基づきまして、今回、中小企業信用保険公庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は、次のとおりであります。  すなわち、中小企業信用保険公庫に対する政府出資昭和三十八年度において三十億円増加し、これを当公庫融資基金に充てることにより、信用保証協会に対する融資業務を拡充し、その保証機能強化をはかろうとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重ご審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  5. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 以上で提案理由説明を終了しました。自後の審査は、これを後日に譲ることといたします。
  6. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査議題といたします。  昭和三十八年度通商産業省施策に関する件の調査を進めます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 近藤信一

    近藤信一君 アメリカ綿製品輸入制限問題が新聞でも盛んにやかましく言われておりますので、大臣にきょうはこの点を二、三御質問いたします。その他、若干雪害の問題、スモッグの問題について簡単に質問をいたします。  通産大臣所信表明を拝見しますと、輸出を通じて経済の発展へと、こういう方向を経済運営の基本とするとのことであります。まことにごもっともなことと思いますが、しかし輸出には相手方がありまして、その相手方輸入しないというのでは、せっかくの方針も実現できないわけであります。この問題は中共やソ連に対する輸出にまで関連する重大な問題でありますが、ここでは差しあたりアメリカがきわめて最近に日本からの綿製品輸出について制限したいとの申し入れが来ていることだけお伺いいたします。アメリカ日本に対して非常に多くを輸出しております。これに比べると日本からの輸入は少ない。ときには日本への輸出の半分も輸入していない。こういう貿易関係の国ですから、何ゆえに日本からの輸入をおさえようとするのか、まことに理解しにくいのであります。しかし、ケネディ政権アメリカ繊維業者からの陳情に押されて、繊維業者を保護するために外国品制限しようとやっきになっているようでもあります。日米間の綿製品問題は、先年賦課金網問題も落着し、今年一月から、まあ、綿製品長期国際協定によって行なわれることになったのであります。元来この長期取りきめは、綿製品国際取引には問題が多いというので、一昨年の秋に締結されたもので、日本関係業者はこの取りきめを綿製品輸出に関するめどとして、すなわち頼みの綱としていたと聞いております。それというのは今まで毎年日米両国政府がきめるこまかい品目別ワクに縛られていたが、今年からは、この長期協定でもって日本が秩序ある輸出をすれば、米国も輸入自由化し、輸入量をだんだんとましてくれるものと期待していたわけであります。そのかわり、もしも日本で無秩序に輸出して、輸出を急に多くしたり、それから安売りしたり、アメリカ産業にひどい打撃を与えるときは、アメリカ日本に対してその市場混乱を除くための協議申し入れることができるという、こういうことが協定の第三条にあったわけです。ところが、日本がまだ自由に輸出をしないうちに、早くもこの第三条によって、あたかも日本アメリカに対し乱売しているかのように輸入制限について協議を申し込んできたということは、まことに理解に苦しむところであります。日本では、やむを得ずこの申し込みに応じてワシントンで目下交渉しているとのことでありますが、日本は今まで日米両国の決定したワクの中で輸出していたので、決してアメリカ市場を撹乱するようなことはなかった、自主的調整は比較的にうまくいっていた、こう信じていた私どもといたしましては、今回の綿製品交渉については実に理解しがたい点が多いのであります。  それらについて疑問とする点を一応列挙してみますと、第一に、日本自主的輸出調整を行なっていたので市場撹乱の事実はなかったと思うが、どうしてアメリカ側ではそれを了解しないのか。アメリカでは輸出綿製品の九三%にあたる三十六品目規制を要求しているとのことだが、これに対して日本側言い分は、三十六品目中ギンガム、別珍、これらの四品目については、あるいは若干問題があるかもしれないが、二十二品目は全く規制の必要がない。自由品目についてはアメリカ市場への影響は微弱だということのようでありますが、アメリカではどんな市場撹乱の実績があったと主張しているのか。またそういう事実の見方の食い違いについて大臣はどういうふうに考えておられるのか、この点ひとつお教え願いたいのであります。
  8. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。日米間の貿易でございますが、大体片貿易になっておりまして、日本のほうがよけい輸入をしておるという事実は仰せのとおり網でございます。ただ、まあ昨年は大分輸出が伸びまして、ほとんど今年度は同じ程度にまでいくのではないかという予測も一部では立っておるところでございますが、いずれにしても、アメリカからの輸入のほうが多いのでありますが、その原因は、一つは鉄鋼とか綿花とか、原料をよけい輸入をしておりますので、製品関係においての輸出入を考えてみますと、必ずしも片貿易になっておるとは言えないかもしれませんが、いずれにしても、日本がよけい輸入しているということでありますから、そういう意味で言えば確かに日本のほうがアメリカにとってはお得意さんであるべきはずだ。にもかかわらず、アメリカ日本貿易について非常にかたい態度でのぞむのはおかしいじゃないかという御質問であり、また特に今回の綿製品の問題についてアメリカが言ってきているのは非常に理不尽ではないかというお話しであります。私たちもその綿製品問題につきましては、アメリカの言っているところは納得いたしかねますので、今厳重にこれは抗議をいたしておるところであります。で、アメリカが言うておりますことは、結局六二年度におきましては、御承知のように、二億七千五百万ヤールを実はわれわれは輸出をいたしておるのですが、六一年度には一億五千九百万ヤール輸出をいたしておるわけであります。ところが向こうが指摘しております三十六品目について見ますというと、約二〇%の輸出が伸びております。三十六年度に伸びておるということでございまして、このような形でいきますというと、相当また伸びがあるのじゃないか。日本輸出が伸びるのじゃないか。しかも日本のものは非常にアメリカ生産品に比べて安いということを理由にして、こういうことを言ってきておるのでありますが、われわれとしては、そうは言うけれども、アメリカ製品のうちの、わずか三十六品目のうちの二十四品目であります。これはわずか三%、向こうの最も力を入れているものが三%、アメリカ生産品の三%にしか当たらないものが二割くらい伸びたからといって、あるいは少し品が安いからといって、そんなに市場撹乱という名目に当たるかどうか、われわれとしては疑いを持つものである。だからひとつこれは考え直してもらいたいということを実は厳重に申し入れておるというのが実情であります。したがいまして、きょうあたりおそらく交渉向こうで行なわれておると思うのでありますが、最初は四日か五日ごろに向こうから返事が来るはずだったと思いますが、一週間くらい延びておるという実情でありますが、どういう返事が来ますか、返事を見て対処しなければならないのでありますが、御承知のように、貿易というのは、これは商化でございますから、向こうが買わないというやつを何としても買えと言って買わせる、食べたくないのに無理に口の中に入れてしまうというようなわけにもいかないところに商売のむずかしさがあります。そういうことでありますから、あまり強引なことも言えないのですが、しかし今度の場合は、どうもアメリカの言っておることはわれわれ納得ができませんので、最後までこれはひとつ強くわれわれの主張アメリカに対して主張をする、こういう心がまえでいるわけであります。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 第二の問題については、この協議の期限は六十日でございまして、三月一日までに協議がまとまらないと、アメリカは一方的にこれの輸入制限ができる、こういうことだそうですが、そうなると、アメリカはどのくらいの輸入制限を実施できることになるのであるか。それはおそらく現状よりも増加させない方針のものと思われます。それは日本綿業界にとっても、また日米貿易上からもきわめて重大な問題であると思われます。ことに日本綿業はもはや後進国への輸出がだんだんと少なくなってきている、先進国への高級綿布、それから二次製品輸出しなければならぬという段階にきているようであります。アメリカ市場では、将来性を約束されぬことは大きな痛手になるのでありますが、アメリカが一方的に輸入制限をしたいという意向らしいのは、どのくらいに輸入制限をすることを希望しているのか。さらに、数量明示していないということでも明らかなようでありますが、そこでまとまらない場合にはどうなるか。日本綿業の将来には、どんな影響を与えるか、その点はいかがですか。
  10. 福田一

    国務大臣福田一君) もし応諾しなければ、三月一日から一方的にアメリカ規制をするというようなことを言うておりますが、これについては、われわれは、それはもう非常におかしいじゃないかと言って、強くこれを抗議をいたしまして、その結果、三月一日からはやりませんということを言ってきている。われわれは少なくとも一月は延ばせと、話し合いがつくまでは延ばせとこう言っているのですが、それについては、三月一日からはやりませんということを言ってきて、何日延ばすということはまだ言ってきておりません。しかしながら、三月一日からやるということはあり得ないと思うのであります。  それからどの程度ということになりますと、それはまだ向こうがはっきり言っておりませんから、ここで申し上げるわけにはいかないが、あるいは昨年と同程度くらいに抑えてもらいたいという感触を持っているのじゃないかというような、ばく然とした感じはあるのでありますが、これはしかし、きょうか、あすあたりには明らかにされるのじゃないかと思いますが、向こう申し入れを待ってやったほうが誤りがないのじゃないかと考えるわけであります。
  11. 近藤信一

    近藤信一君 第三点は、政府は、場合によってその取りきめの機関であるガット綿製品委員会、これへ提訴も考えているとのことでありますが、この委員会拘束力はどのようなものであるかという点を伺いたいのでありますが、ガット日本に同情的な見解が示されれば、アメリカではこの協議申し入れを引き下げるのかどうか、この点を伺いたい。
  12. 福田一

    国務大臣福田一君) いわゆる申し合わせを、そういう場合に日本の言うのはもっともだという申し合わせをいたしましても、それは拘束力を持っておりません。したがってアメリカがそう言ったからといって、おれはいやだと言えば、どうもこれを強制して買わせるというわけにはいかないと思いますけれども、しかしそうは言っても、やはり国際信義といいますか、いろいろのこともありますから、みんなが反対するのにアメリカだけが自分の主張を言うというのはどういうものであろうか。しかし拘束力、法律的な意味における拘束力ということになりますというと、今申し上げた程度以上には出られないと思います。
  13. 近藤信一

    近藤信一君 次に、日米間の貿易はますます緊密の度を加えているというふうに思われるのに、このようなことでアメリカとしては日本品にかなりの制限をしようとしているのじゃないか。制限は何も今度の綿製品に限ったわけじゃないのです。さきにも陶磁器、それから金属の洋食器、さらにベニヤ板など、数え上げますとだいぶんこれはあるわけなんでありますが、アメリカは元来日本貿易自由化を強く要望していたのであります。それが日本品の締め出しにやっきとなっているのでは、若干これは筋が違うのじゃないか。そこでこれに対して何かの日本政府としては報復的な手段というものはないかどうか。少なくともアメリカを反省させる方法はないかということでありますが、アメリカの反省なくしては通産大臣の言うところの輸出の振興もかけ声だけに終わると思うので、私は非常にこの点が心配になるので、大臣からこの点をはっきりとお答え願いたいと思うのであります。
  14. 福田一

    国務大臣福田一君) 御承知のように、貿易というものは商売でございまして、相手方があることでありますから、相手方が買わないというのに、買わせるという手は、これはないというわけであります。したがって全体として仲よくしながら、なるべくこちらのものを買ってもらう、またこっちがほしい原料も売ってもらう、こういうふうにするよりほかに、強権をもって臨むということは、これはなかなかむずかしいと思うのであります。しかしながらアメリカ日本に対してある程度自主規制、何らかの形で制限を受けている品目のパーセンテージは、かれこれ四〇%くらいになると思います。そのことはこの間の日米経済閣僚会議へ行きますときに、通産省としては全部資料をそろえまして、この品目幾ら、この品目幾らという数字を全部持って行って、そうして向こうの全閣僚に渡して、こういう実情である、こういう実情であるのだから、ひとつもう少し考えてもらわなければいかぬということをはっきり私は主張をいたして参りました。しかし、そういうことにしておりますけれども、やはりアメリカにはアメリカ事情があるのだろうと思います。これは一国にはみなそれぞれ事情があります。日本でもよくバイアメリカンはけしからんというけれども、日本だってバイ・ジャパンというものをやっておる。日本が物を売るときには、日本のものを買わなければ買ってやらないとか何とかいう条件をつけて、何かアメリカのやっていることは全部悪くて、日本のやっていることは全部いいというわけにいかない。これはやはり相互的に認め合わなければならぬという面もあります。そういうようなことから考えてみますと、アメリカはこういうふうに自主規制をやる以上は、今後自由化をやる場合に、たとえば、ガットの八条の問題におきましても、IMFの関係で八条国に移行という問題が起きたときでも、これは今度は日本としてはアメリカに、日本の品物を自由化するときに、ひとつあなたのほうも自主規制をしてもらいたいということを私は当然言っていいのじゃないかと思うのでありまして、実は品目、その他についても調査をさせておる段階でございますが、これはお互い商売ですから、私は言ったからといって、そう文句を言われる筋はないと思っております。しかし今綿製品の問題について、アメリカがどういう態度に出てくるか知りませんが、綿製品の問題でこういうふうに出てきた、それに対して何らかの実効ある報復措置あるいは何らかのいわゆる実効ある措置がとれるかということになりますと、これはなかなかむずかしかろうかと思う、というのは商売だからでございます。商売というのは向うが買いましょう、売りましょうという段階で、買わないというやつを無理にどうしても買えというわけにいかない。もっとも日本のほうだって、向うから原料を買わなければいいじゃないかと言われたって、買いたい、買ったほうが得だから買っておるので、これはあなたなんかよくおわかりだと思う。特に綿なんか買うほうが金融上その他の面でも得なものがあるものですから、買わざるを得ないという面がある、ここに非常にむずかしいといいますか、理屈だけではいかない、また力ではいかない問題が商売の間には存在する。そこで商売というものは、やはりお互い仲よくしてなるべく相手立場を尊重し、相手の気持をそらさないようにして、おせじの一つも言いながらよけい売ろうかというのが商売でありますから、そこで四股を踏んでいばってみるというのが商売というわけにもいかないというようなところに、私はむずかしさがあると思っておるわけでありますが、しかしながら私は日米関係全体の立場からみて、アメリカとしても、日本の言っておることもよほど無理からぬことがあるということがわかってもらって、そうして日本言い分をできるだけ尊重してもらうように処置をしてもらいたい、こういう期待を持っておるわけであります。
  15. 近藤信一

    近藤信一君 大臣も言われておりますように、綿製品の問題はきょうあすのうちに何か解決するのじゃないか、こういうお話でございます。そこでやはり今大臣も言っておられるように、やはり貿易というものは、それは商売以上の商取引関係があるから、何も向こうが買わぬというものをこちらが無理に買え買えというわけにはいかぬだろうということは事実であろうと思うのでございますけれども、しかし貿易というものは商売上であるけれども、やはり国と国とのこれは大きな生存上の問題にもなってくるし、特に日本における綿製品の問題は戦後これが平和産業ということで、盛んに綿製品産業を発展させたことは、これは事実でありまして、日本の復興のために大きな私は寄与をしていると思うのです。それが今の段階で、それは商売上であろうとも、アメリカ側から毎年々々こういうようにいろいろと制約を加えられる、こういうことでは、将来の見通しの上に立って綿業者というものが非常に困るのじゃないか、やはりその点は、政府が当然やっておられるけれども、アメリカとの強い貿易交渉というものを私はやっていただかなければならぬじゃないか、こういうふうに考えるのです。  そこで今度は綿製品のみでなくして、新聞にもちらほら出ておりますように、アメリカではやはり毛織物輸入についても制限をしようとしておるようであります。これは一月三十一日にプライス商務次官補記者会見で、毛織物について綿製品と同様大幅な輸入制限強化方針を言明したと、日本の各新聞がこれを伝えております。わが国から毛織物輸出するようになったのは、比較的新しいことで、輸入品を押えて国内では国産品が使われるようになった、輸出も可能になったのでありますが、それがアメリカ輸入制限を受けるとすれば、これも大問題になってくると思うのです。聞くところによりますと、毛織物については、昨年十二月ロンドンで開かれた国際羊毛研究会で、アメリカ国際協定を結びたいと提案した、それが各国の反対で否決されたばかりとのことでありますが、それだからといって、一方的に輸入制限をするというのでは、日本を初めイギリスやイタリアの輸出国が黙っているはずはないと思うのでありますが、政府はこれに対してどういう情報を持っておられるのか、またどういう対策を講じようとしておられるのか、この点お教え願いたいと思っております。
  16. 福田一

    国務大臣福田一君) 御説のとおり、プライス氏が発言したことは事実でございます。われわれとしても、その点は非常に心配をしておるのでありますが、そこで日本政府としましては、直ちに駐米大使の朝海氏を通じて、向こうボール国務次官に対しまして、プライス氏がこういう発言をしておるけれども、これは事実かどうか非常に困るじゃないかという実は抗議をいたしまして、そのときにボール氏からは、長期取りきめのようなことは今のところ考えておらないという答えがございまして、われわれとしても、その言葉を信用しておるという段階でございます。
  17. 近藤信一

    近藤信一君 毛織物についてもう一つの問題は、イギリス製毛織物輸入についてでありますか、昨年の十一月に日英通商航海条約が調印されまして、この調印に際して、日英貿易取りきめの改定も同時に行なわれたのでありますが、その結果として日本側では毛織物等輸入ワクの増大を約束した、すなわち英国製毛織物輸入量が一九六二年の、いわゆる昨年ですが、一九六二年三百五十万ポンドから、本年の六三年には一躍二倍の七百万ポンドに増加することを約束してきた。これは日本毛織物業界とその他関係業者にとっては大打撃であると思われるわけであります。イギリスからは毎年大量の羊毛類を購入している上に、こうした製品までも多量に買い入れねばならないというのはどうも不合理で、これではせっかく日本毛織業が伸びてきたのに水を吹っかけるようなことになりはしないかと私はおそれるのであります。これに対して衆議院の予算委員会池田総理は、これは一つの事例で越え得べき、越えなければならないものだと、こう言っておられる。また大蔵大臣は、国内産業対策として対処し、合理化をする上に必要な資金あるいは滞価に対する措置を講ずると言っております。しかしその具体的な方策は何ら示されていない。しかし毛織物業者としては、イギリスから入ってくる毛織物に対してどういうふうにこれから対処したらよいのか迷っているのじゃないかと思う。そういうときでございますので、政府方針がきまっていなければ、この際これを明らかにしなければならないのじゃないかと思うのですが、大臣はその点いかがですか。
  18. 福田一

    国務大臣福田一君) これはもう近藤さんのほうがむしろよく御存じだと思うのであります。今度確かに七百万ポンド輸入を認めましたが、これは日本の全生産量に対しまして一・五%でございます。さっき出ました、アメリカ日本輸出するほうは三%輸出するというので向こうは騒いでいるのですが、アメリカが三%で騒いでいるのに日本が一・五%輸入するからといって騒ぐのもある意味ではおかしな理屈に相なってくると思うのであります。まあ私は、それだからといって、これは主として柄物でありまして、高級品ということになっておるのでありますが、まあこういうものが入ってきたからといって、それほど業界に大きな影響があるとも思わぬ、またそういうものが入ってくることによって日本のやはりその業界がもっとりっぱないい品物を作ることに協力してもらえるのじゃないか、一種の刺激を与えるのじゃないか、総理が何か試練であるという言葉で表現されたそうでありますが、私はそのときは聞いておりませんけれども、しかし百のものに対して一・五%のものが入ってきたから、さもたいへんだというよりは、そんなものが入ってこないように業界がもう少しふんばってもらわなければならぬのじゃないかという感じもするわけでありまして、もちろんそのふんばりについては、金融面でこういうものが足りない、機械でこういうものをしなければならぬということであれば、これを調達すること等については、政府としても十分協力をする考え方を持っておるわけでございまして、今仰せになったことは必ずしもいいこととも言えません。もちろんその入るのをなるべく少なくしてそうして輸出するものはなるべく多くするということは、これはいいことには違いございませんけれども、しかし特にそういうようなものが入ってきたからといって、それほど大きな影響があるとも考えておらないわけであります。ただ輸入をいたします場合に、それが今まで買ってないところへどかっと入ってくるということになったりなんかいたしますと、非常に秩序を乱すということになりますので、今までの業界、それを扱っていたものをだいぶふやしまして、たしか八十幾つあったのを七十ぐらいふやして百五十前後にしたかと思うのであります。その場合今まで扱っていた八十の人たちにはかれこれ七、八〇%のものを割り当てて、そうして残りの二五%を新しく今度取り扱うことにした人に割り当てる、こういうことにいたしまして輸入による秩序の撹乱をなくすということについても配慮をいたしておるわけでありまして、もちろん影響がないとは申しませんが、それほど大きな影響があるとも考えておりません、ということは、日本のいわゆる消費水準がだんだん上がってきて消費のパーセンテージは御承知のようにどんどん上がっております。そうしてやはり衣料、特に洋服類に対する需要というものがどんどん伸びてきておりますので、ここで一・五%、前に三百五十万ポンドだったのを今度七百万ポンドにしたから、それで急に大きな業者に痛手を与えるというふうにも考えておりません。同時にまた、こういうものが入ってくることによって、いわゆる消費者に、日本の消費者だけで独占しておりますというと、とかくやはり品物をつり上げたりします。外国からそういう安い品が入ることによって消費者の利益も一部では守り得るのじゃないか、こういう考え方も持っております。
  19. 近藤信一

    近藤信一君 御承知のように、私の郷里の愛知県は非常に毛織物が多いのであります。先日も私がずっと毛織物の、いわゆる小機業ですね。小機業のところをずっと回って参りますると、非常に困ったと、ここのところすっかりだめだと、こういうような話も私聞いたのです。今大臣言われましたように、品質の改良、これはまあ大きな渡玉毛織だとか、大きな日本毛織だとか、こういうところでは非常に近年よくなって参りまして、英国品と変わらないじゃないかとじまんするわけですが、ところがやはりそういう大きな会社も今度の問題については非常に私困っておると思うのです。特に中小機業でも、これはもうわれわれは死活の問題だなということをこの間言っておりましたが、新聞によりますると、日本毛織工業協会の渡辺さんは、いわゆるこの事態では困ると、イギリス、フランス、イタリアと共同戦線を張って、この問題では反対しなけりゃならぬと、それにはまず国内の業者の統一をして、大いに反対運動をやって、今度のアメリカの毛織の問題については、これはどんどん政府を督励しなきゃならぬと、こういうふうに言っておられるわけなんです。それで、私ども非常にこのごろ毛織物はよくなったという話はしばしば聞くのです。よくなったといっても、やはり日本人の感覚からいうと、やはりどうも外国――英国のものがいいと、こういう観念が相当強いのじゃないかと思うのです。そこで業界としては非常にそれだと国内的な関係でもまたいろいろと競争しなきゃならぬと、こういう段階であると私は思うのです。  それからアメリカ綿製品に次ぐ毛織、こういうものについては政府としてももう少し前向きのうんと強い考えがあってもいいと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  20. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおり毛織物の問題についてまたせっかく日本がとても輸出なんていうことも考えてもいられなかったのが、どうやら最近はイギリス品に十分対抗できるものができてきたということは、これはあなたが御承知のとおりでありまして、イギリス自身がそれを認めておる、商売がたきのイギリス人がそれを認めているくらいでございます。それだからこそアメリカへも輸出ができるようになった。その輸出ができるようになったのがチェックされるということじゃこれは困ることでございますから、仰せのように、われわれとしては十分前向きの形でなりゆきを注視をいたしまして適宜の処置をとるようにいたしたいと思います。その意味アメリカ大使館等にも、またあるいはまた日本駐米大使に対しましても、特にそういうことは外務省からも訓令を出しておるというような実情でございますが、今後とも仰せの御趣旨に従って善処をいたして参りたいと考える次第であります。
  21. 近藤信一

    近藤信一君 それじゃ他の人の質問もございまするから次に移っていきます。  今回の北陸地方の豪雪は国民の生活及び経済に深刻な影響を与えておりまして、本院におきましても先日の本会議で各派共同提案による豪雪対策の確立に関する決議、こういうものを行なったのでありますが、御承知のとおり北陸三県は繊維工業の盛んなところでありまして、特に絹それから人絹織物業者は全国の二割弱だ、生産額では約六割を占めております。これらの業者は原料糸の入手難や、それから製品の出荷難に見舞われて操業度の低下に悩んでおるようでもあります。繊維局長は雪害状況調査のために先週来福井県下を視察されたようでありますが、この際その状況並びに当面の緊急対策としてどのような手を打たれていかれるお考えか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  22. 磯野太郎

    政府委員(磯野太郎君) 今お話がございましたように、四日から八日まで、石川、福井のほうを見て回って帰りました。  結論的に申し上げますと、第一は私が東京で予想しておったよりももっとひどい、予想よりもひどいということが一つでございます。  第二番目といたしまして、今のところ除雪作業等に非常に手を奪われておりますが、手形の問題とか、金融の問題だとか、そういう点にからみまして、むしろ問題は今後出てくるというのが第二点の印象でございます。  それから、第三番目といたしましては、そういうことでございますから、これは繊維工業だけでございますけれども、豪雪による麻痺あるいは不完全操業が正常操業に回復するまでには相当の期間がかかるという印象でございまして、その点は、大体場所によっても違いますけれども、早いところで四月ぐらい、おそいところで五月ぐらいになるのではないか、こういうふうな感じでございます。  実情を申し上げますと、これはもう新聞にもいろいろ出ておりますし、御承知のとおりでございますが、たとえば福井具におきましては、福井市から相当離れました機業中心の都市におきましての豪雪の降雪量は約十メートル、九メートル四十センチというふうに、これは私の参りましたときに記録されておりまして、大体百年ぶりというふうな記録でございます。雪として固まりました根雪の積雪量が約三メーターというふうなことでございまして、これをおわかりいただけるように申し上げますと、二階建の屋根の三、四尺上に雪の道があって、その三、四尺高い雪の道を電線をまたいで歩いておるというのが私の見ました二月六日ごろの状況でございます。したがいまして、こういうふうなことでございますから、幹線道路の輸送の関係は自衛隊等によりまして比較的早く通じたわけでございますけれども、そういうふうな小さな町の積雪を全部回収しますためには約二週間かかるそうでございまして、したがって、幹線は通じたけれども、都市の中における工場から工場への輸送あるいは工員の通勤というものは非常に回復するのに時間がかかるところが出てきております。したがって今御指摘がございましたように、原糸が足らない、それから製品の出荷がたまっている。それから工員などにつきましても、それぞれ自分の家の除雪をやらなければなりませんので、なかなか工場に通ってこないというようなことでございます。それからもちろん燃料が、石油、石炭が入らない、こういうような状況でございまして、大体一番ひどい一月の末から二月の二、三日ころまではそういうふうな関係で、全休に近い工場がだいぶあったようでございますが、七、八日ごろからそういう点、ぼつぼつ動きかけたというような状況でございます。  そういうような状況でございまして、第二番目に、対策と申し上げますか、あるいは問題点を申し上げますと、以上申し上げましたように、まず第一に輸送の確保が、これは絶対に必要なことでございまして、特に今申し上げたように幹線道路とともに、その幹線につながる側道の除雪、輸送の確保ということが大切であると、こういうようなことかと思います。  それから第二番目に原糸の不足と製品の出荷難でございますが、これにつきましては、たとえばあの地区に原糸を供給しております原糸の生産メーカーにおきましても非常に協力的でございまして、それぞれ非常な困難を宿して原糸の輸送をやっております。もちろん満足のできるような状況ではございませんが、そういう点で非常にお互いに協力をしてやっておるという状況でございます。  それから第三番目に、これは相当陳情があったわけでございますけれども、御承知のとおり輸出のクレームの可能性があるわけでございますが、これは日本人絹織物工業連合会で二月早々に調べましたところでは、北陸三具につきまして、これは御承知のとおり大体月末に出荷いたします。そういう関係で月末から雲が降りましたので、一月の契約の納期までに納められないものが、金額にいたしまして一月は十三万ドル、それから二月は二十一万ドル、一月、二月を通じまして、約三十四万ドル程度の品物が契約をかわしました輸出の時期に船積みができないというような状況でございます。この対策につきましては、御承知かと思いますけれども、豪雪による輸出遅延証明書を、各通産局及びあそこには繊維製品の国営検査所がございますので、その国営検査所で輸出遅延証明書を出しております。これはすでに相当出しました。それからこれも御承知かと思いますけれども、外務省を通じまして、外務省のほうから出先の大使館に打電をいたしまして、関係政府機関及び関係の買手の業界にPRをいたしております。そういうようなことで、ただいまのところクレームがついたところはございませんが、これは将来必ずしもないという保証はできないものだと考えております。  それから第四番目に、今、金の話でございますけれども、福井、石川、富山を通じまして、私が参りましたときには、たとえば福井県下は、これは繊維だけでございますけれども、四十七、八億、それから石川県は四十五、六億、嵐山のほうは多少少なさそうでございますが、四、五億というふうに、大体三県を通じまして、繊維工業だけで約百億の被害がある。こういうふうな数字がそれぞれ関係の県から報告がございました。この金額につきましては、工場がいたんだような直接損害と、それから今申し上げました、製品の出荷難によるところの操短による被害が入っております。それから、また除雪費等が入っておりますから、必ずしもこの全部の、約百億を、いわゆる豪雪の被害と見るかどうか、その点はいろいろ議論、意見があると思いますけれども、ただ私の聞きました範囲、あるいは調べましたところでは、御承知のとおり、一月の生産と出荷が大体予定の半分くらいでございますので、そういう点から、一月の企業収入が約半減いたしますので、二月、三月にその資金繰りの悪化が出てくるというふうになろうかと思います。豪雪に対する被害の金融の応急対策といたしましては、政府関係金融機関を通じまして、今のところ、百二十億を豪雪による被害に優先するというようなことに相なっております。たとえば、福井県におきましては、一月の終わりに、すでに商工中金におきまして相当の貸し出しが出ておりまして、そういう点でも、関係の県、あるいは政府金融機関としては非常な協力体制をとっている。こういうふうな印象を持って帰ったわけでございます。大体そういうことでございますが、今申し上げましたように、まあ二月はそういうような関係で、大体五〇%程度の操短、それから三月、四月とそれが回復いたしまして、まあ早いところで四月、非常にへんぴなところは今の側道等いろいろな状況がございますので、五月ごろからでなければ、完全な、とても、正常操業には返れないのじゃないかというようでございます。
  23. 近藤信一

    近藤信一君 今局長が御報告されたとおり、いわゆる雪害の甚大さということはよくわかっておりますが、そこで今度の雪害で今局長の言われましたように、原料の問題、輸送の問題、こういう問題が非常に、重大なことは事実でございますが、特にこの交通難ということが操業できない一つの大きな原因でもあろうかと思います。しかしこれは経営者だけが困るのじゃなくて、なかんずく労働君のほうも非常に困る、労働者が操業できなければ、これは困ることは当然でございますが、この労働者が操業できないで減収になる、こういう面も出てくると思うのですが、これに対するところの対策はどうきまっておるのか、  それから、今局長がいわれましたように、輸送がまだ完全でないから、輸出品などを扱っておりますると、これは納期が非常におくれてしまう。そうすると、国際的な信用を落とす、こういう危険も出てくるわけなんです。特に福井、金沢のほうは繊維品をおもに扱っておりますし、それから新潟の燕市におきましては、洋食器輸出品をだいぶ扱っておると思います。こういう問題がありますが、この問題に対する対策はできておるのか、この輸出品に対する対策。  それから、今金融の面では一応お話がございましたが、特に売掛金の回収もできない状況にあるわけなんです。そうすると、借入金の返済や利子の支払いが要求されることになるわけなんですが、こういう点、政府は、中小企業金融公庫、また国民金融公庫からただ貸すだけということでなくして、何かほかの援助の方法でも講じておるかどうか、こういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  24. 磯野太郎

    政府委員(磯野太郎君) まあ前半の問題を私お答えする資格しかございませんけれども、まず第一に、輸送の確保の点でございますが、これは通産局、それから現地の県が輸送につきままての緊急順位を作りまして、民生物資でございますとか、生必物資でございますとか、それから今の欠くべからざる原材料について緊急輸送証明を出しております。  それから現地の鉄道管理局とよく連絡をとりまして、この際でございますから十分とはいえませんけれども、次第に回復をいたしておる状況でございまして、それは御承知と思いますけれども、あの三県を管轄しております金沢の鉄道管理局といたしましては、大体八日以降貨物につきましては、正常時の六〇%を確保した、こういうことに相なっております。逐次そういうことで回復してきておるというふうに考えております。  輸出の点につきましては、今申し上げたように、証明書を出しておりますが、今後もしクレーム等の発生がございますれば、これは困難な状況が起きないように極力努力したいと思います。  それから今の工員の賃金等のお尋ねがございましたが、これは概括的に申しますと、よく御承知のように、最近の繊維産業一つの特徴といたしまして、特にこれは織布の段階でもそういう現象が出ておりますが、なかなか思ったように工員が集まらない、これは普通の場合でございます。あるいは工員の補充がつかないというような状況が最近は出かかっておりまして、各企業の経営者は工員の確保にはできるだけのことをいたしております。質金の問題につきましても、先ほど申しました約百億円滞貨金融の要請の中には、賃金の支出としてこれだけ、要るんだという一応の数字が出ておりますが、そういうようなことで、今度の豪雪によって、特に労働の面、あるいはそういう面では問題は、私が見て参りました範囲では出ておちない、こういうようなことではないかと思います。  それから、今のそのほかの施策でございますが、これは御承知のとおり、たとえば中小企業金融公庫におきましては、従来の貸し出しにつきまして返済期がきましたものを六カ月延長する、返済を猶予するというようなそういう措置をすでにとっております。  それからまた関係の県といたしましては、たとえば福井県等におきましては、信用保証協会の保証額を今度豪雪の関係でだいぶふやしております。それから保証料につきましても、これは福井県の例でございますけれども、四分五原の保証料のうち一分五厘を県が立てかえるというような措置をすでに講じております。それからまたこの豪雪と同時に、福井県におきましても、これは約六千万円ではなかったかと思いますが、石川は八千万円程度だったと思いますが、おのおの一億に近い県費を、これは金融機関に預託いたしまして、これは無利子で預託をいたしまして、そうしてその金を必要な方面に流しておるというような措置をとっておる次第でございます。
  25. 近藤信一

    近藤信一君 私はこの際政府に要望しておきますが、こういう自然の災害に対しましては、非常にその被害者は天災でこういう大きな被害を受けるわけなんだから、政府はでき得る限り、今いろいろとこの対策について御説明願ったわけでございますが、政府はもう万全の対策を立ててできるだけこの被害地においては救済の手を差し伸べてやっていただきたい。特にこういう被害が起こると経済的な撹乱というものが起こることは事実です。これは新聞でも見ましたが、何か雪害地においてはどんどんと物価が高くなった、こういうようなことも報道されておるわけでございまするから、災害が起こると経済撹乱ということがこれはついてる、こういうこともあるわけでございまするから、この点にも大いにひとつ留意していただきたい、この点を要望しておきます。  次に、時間がございませんから、急いでいきますが、スモッグの問題について若干質問したいと思います。今年の冬、東京において大きな話題の一つとなったものにはスモッグがあります。このスモッグによる被害が実際にどのくらいで、あるかについては、まだ正確な結果が出ていない、新聞でもそういうふうに盛んに報道しておる。ほとんどすべての都民が実感としてその被害を感じていることは間違いありません。このスモッグによる被害がヨーロッパ――特にイギリスにおいては重大な結果をもたらしておりまして、多くの死者まで出した、こういうことも周知の事実であります。英国労働党のゲイッケル党主の死もスモッグに起因するのではないか、こういうこともいわれておるわけなんだが、池山総理はよく西欧並みの賃金水準というようなことをいわれますけれども、このスモッグの問題ではやはりこれは西欧並みに東京もなってきたのではないか、こういうことで非常におそれる次第です。ところで、このようなスモッグ、さらに広く煤煙による被害の防止、すなわち大気汚染防止について国会としては何らの手を尽さなかったわけではありません。それは去る四十国会、すなわち昨年の四月に、われわれは煤煙の排出の規制等に関する法律、これを成立さしたのであります。その内容について、われわれは必ずしも満足しているものではなかった。その点はあとで問題にすることにして、まず、その法律がどのように施行されているかについて伺いたいのであります。法律は公布の日から六カ月以内に施行されなくてはならないことになっているので、政府は昨年の十二月一日にようやく施行令を制定したのだが、そこでは、法律の二条でいわれている特定有害物質と煤煙発生施設を具体的に指定しただけであって、肝心の指定地域や、それから排出基準については何ら触れていないのです。これではたとえ法律を施行したといっても、何ら実効がないわけでございまして、いまだ法律は空文に過ぎない、こういう結果にもなるわけなんです。そこで大気汚染が最も問題になる冬が早くも過ぎ去ろうとしている今日において、なお法律が動き出していないというのはきわめて遺憾でございます。指定地域や排出基準、こういったものはいつきめられるのでございますか、そしてその大体の内容はどういうものとされるのか、まずこの点についてお答え願います。
  26. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 今の御指摘の、地域指定及び排出基準の設定につきましては、三月中に具体的な政令を出そう、こういうふうに考えております。
  27. 近藤信一

    近藤信一君 決行は、今のところ事実上施行されていないも同然なのですが、それにもかかわらず、その内容がなまぬるいというふうな批判の声があるわけなんです。その第一は、規制の対象の問題であります。言うまでもございませんが、煤煙排出規制法は、実際上工場の煤煙だけを規制の対象としておりますことは御承知のとおりだと思うのです。すべての煤煙排出者は、排出基準を守らなければならない、こういう規定があるわけなんです。それは単なる宣伝的な規定にしか過ぎない。ところが実際に、東京などで生じているスモッグの最も大きい原因になっておりますのは、自動車の排気ガス、これだと言われておるようなこともあるのです。都内だけでも八十万台も自動車がありまして、その発生する排気ガスのために慢性の気管支炎、こういうふうなんがふえてきておる、交通巡査の身心の障害が出たり、また京浜国近沿いに肺ガンがふえてきた、こういうふうなことも言われておりますし、被害がだんだんと大きくなるばかりじゃない、こういうふうにも考えられる、自動車の排気ガスを除くには技術的には非常にむずかしい、こうは思いまするけれども、やはり当面何らかの対策を講じなければならぬのではないかと思うのです。西村厚生大臣は、昨年十三月の二十七日の記者会見で、排気ガスの規制を法的に取り上げて、抜本的な措置を講じたい、こういうふうなことも言っておられるわけですが、政府として一体どういう対策を考えておられるのか、これは大臣から承るといいんですが、大臣がいないようですから、局長からひとつ、通産省として厚生省やそれから運輸省と何らかの折衝を行なっておるかどうか、この点お聞かせ願いたいと思います。
  28. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 煤煙ばかりでなくて、ただいま御指摘のように、自動車の排気ガス等も相当大きな影響があるということもわれわれは承知しておりますが、自動車の排気ガスの防止といいますか、というのは、非常に技術的にも困難な状況でございまして、現在アメリカあたりでもいろいろ検討しておるようですが、まだ確たる、何といいますか、結論が出ておらないのが実情であります。当方といたしましても、大気汚染の一つの大きな原因であります煤煙等については、先般国会で規制をすることになったわけでありますが、自動車の排気ガス等の問題につきましては、今後技術的な検討を重ねた上で対処をいたしたい、こう考えておるわけであります。
  29. 近藤信一

    近藤信一君 もう一つの問題点は、この法律と煤煙防止のために幾つかの地方公共団体で行なっている地方条例というものがありますね。この法律が実際に施行されると、それと趣旨を同じくする地方条例は当然効力を失うことになるのじゃないかと思うのです。そのことによって煤煙排出の規制程度は、実際上強まるのではなくて、かえって弱くなるのではないか、こういうふうな意見さえ耳にするわけですが、たとえば東京都の煤煙防止条例などは、工場から発生する煤煙のほか、汽車自動車の煤煙も規制することができ、それから場合によっては、知事が使用の停止という行政処分も行ない得るようになっているわけであります。その点では、条例のほうが法律よりも強い規制力を持っているとも言えるわけでありますが、こういう点も考えますと、先に制定いたしました煤煙排出規制法はなおぬるい、こういうふうにも思われるわけです。政府としては、この点をどういうふうに考えておられるのか、なお、それとともに、この法律の「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金」、こういう罰則規定は、煤煙処理施設の価額と比べると軽過ぎるという声もありますが、その点についてはどう思いますか。
  30. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) この法律と同じような地方の団体で条例を設定しているところがありますが、同じ目的で行ないます、いわゆる法域が同じであります場合に、本法が施行された場合には、条例に優先しまして、条例は失効すると考えておりますが、いわゆる法域を異にした場合には、この条例が存続し得る余地があるのではないかということで、現在法制局と検討を加えている最中でございますが、現在部条例では、ただいま先生の御指摘のような、いわゆる動くもの、自動車だとかあるいは汽車だとかというものについては、条例は及んでおらないわけで、ただ現在の都条例等は非常に低いといいますか、伝熱面積五平方米以上を一応規制の対象にしておりますが、本法は三十平方米以上というふうに、取り締まり対象が大きなものに主力を置いております点で、先生の御指摘のようにゆるくなるのではないかという御懸念もあると思いますが、現在実際の運用では、ほとんど大きなものには手がついていないというのが七情でございまして、小さいボイラー等には、いろいろの注文がついているのが実情でありまして、この法律を通しますときにも一応説明したかと思いますが、いわゆる石炭燃料消費の大都分――九〇%以上というものは、そういった大きなボイラーでたかれているのでありまして、それをまず規制して、様子を見るというのが順序ではないか、こういうふうに考えておりますが、現在都条例とのいわゆるつき合わせにつきましては、東京都、厚生省、通産省の三者でいろいろ話し合いをやっている最中でございます。  ただいまの刑罰の関係でございますが、最近いわゆる企業が、自分の私的に存在するということでなしに、いわゆる社会的な環境と調和するという点については企業のほうも十分に目ざめて参っておりますので、いわゆる施設費との関係で、刑罰あるいは罰金を重くするという必要は私はないのではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  31. 近藤信一

    近藤信一君 最後にもう一つお尋ねしますが、法律や判別によって煤煙を強力に取り締まる、こういうことだけが産業政策の本質ではないと思うのです。だからこそ法律の三十条には煤煙処理施設の整備の促進のために、国が資金のあっせんや技術的な助言を行なうと、こういう規定があるわけなんです。特に中小企業に対しましては、例の設備近代化資金の中から煤煙処理施設に対して都道府県を通じて、これは無利子で融資する、こういうことになっていると思うのですが、三十八年度における融資ワクとしてはどの程度を見込んでおられるのか。また煤煙防止関係の試験研究はどういうふうに行なわれておられるのか、この点をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  32. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 助成施設につきましては、法律でうたっておりますことは、先生の御指摘のとおりでありまして、税につきましては、固定資産税の免税ということが自治省との間に話がつきまして、現在、どの範囲にするかという範囲の点で折衝中でございます。それから処理施設につきましての特別償却は、これは大蔵省との間で法定耐用年数の短縮ということでけりをつけるということで現在折衝中でございます。いわゆる資金の融通という点につきましては、御指摘のように中小企業の設備近代化資金で無利子の金あるいは中小企業金融公庫からの融資ということで、中小企業庁との間で話がついておりますが、今幾らの金額かということにつきましては、まだ数億という程度でございまして、はっきり計算をいたしておりません。それから大企業についての分は、開銀のその他ワクで見ることで、これも話がついておりますが、その他ワクの中で、この関係幾らであるという最終的な数字がまだ集まっていないのが現状でございます。
  33. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私は鉄鋼産業その他について四、五点お伺いしたいわけですが、お尋ねする前に、当委員会から、二週間ほど以前に深川の東京ガス爆発現場を視察したわけです。当時、まだ委員会からおじゃましたときは、原因というのが明確になっておらなかった。警視庁の科学的調査とか消防署の科学的調査とか、いろいろ案件があったようで、明確に原因をつかむことができなかったわけですが、すでに二十日間近くにもなりますので一切明白になっており、かつ自後どういう対策を立てられておるかということも決定しておられると思いますので、その点についてお尋ねいたします。
  34. 福田一

    国務大臣福田一君) 実はその問題は非常に重要な問題でございますので、さっそくこの原因の究明をいたさせておったのでありますが、原因はやはり継ぎ手のどうも手落ちであるということが大体明らかになってきたようでございます。しからば、なぜそういうことが起きたかということにつきまして、また、現在そういう継ぎ手の仕方がずっと続いているのですから……。しかし、よそで起きないでああいうところで起きたのはどういうことかということになりますというと、陥没のためだとかあるいは自動車が上を通って振動したためだとか、いろいろのことがあるようでありますが、そこまではまだ究明しておりませんが、私としては、適当な時期に全部その継ぎ手を、危険なところから、方法を変えてもいわゆる継ぎかえをさせるようにしたらどうかということを公益事業局長に言っております。そのことを措置しましたが、御承知のように国会が非常に忙しいので聞いておりませんが……。一週間ぐらい前にそういう措置をいたしております。それからこの対策といたしましては、さっそく関係者を害せまして審議会を作って、そして原因並びに対策の究明を根本的に行なう、こういうことにいたしておるようでございます。詳しいことは、そういう御質問があるということをよく前もって知らなかったものですから局長を呼んでおりませんが、もし詳しいことをお要り用ならば、今、政府委員を呼んで御報告さしてもけっこうだと思います。――今、来ました。
  35. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 深川のガス火災事故につきまして、ただいま大臣からお答えいたしたと思いますが、溶接部分が亀裂を生じておりまして、その溶接がどういう原因で亀裂を生じたか、これは目下警視庁の鑑識課でいろいろ検討いたしております。で、その後対策につきましていろいろ検討を進めておりますが、溶接部分でありますので、御承知かと思いますが、高圧パイプが一本六メートルのものをずっと溶接でつなぎ合わして地中に埋めておるわけであります。三十二年ごろに作りましたものでありまして、大体四、五本ずつ地上で溶接をいたしまして、その四、五本長くしたものをさらに地下で溶接をするというような作業を進めたのでありますので、その地下で溶接した個所が今度の事故の亀裂の個所になっております、そういう関係で、その当時におきましては――今でありますとそういう個所は必ずレントゲン検査をやるわけでありますが、その当時はまだそういう制度がありませんためにレントゲン検査もやっておらなかったのでありまして、そういう関係で、そういう地下で溶接をした個所につきましては、全部もう一回掘りましてレントゲン検査をする。それからなお、名営業所に百三十名ぐらい作業員を動員いたしまして、都内に大体十三カ所ぐらいありますが、毎日臭気検査を行なう、こういう方法によりまして、その後の同じような事故発生を未然に防ぎたい、かように考えて実行中であります。  なお、今後の恒久的な対策につきましては、大臣からも申し上げましたように、事故対策委員会を作りまして慎重に目下検討いたしているのであります。
  36. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 京葉局長がお見えになる前のお尋ねですから、お尋ね申し上げている点がよくわからなかったと思います。私は、さいぜん申し上げましたとおり、現場を見せていただいて説明を聞いてきた。その鉄管であるとか、どういう方法でどうやっているかということは十分承知しております。しかし、当時原因は何であるかということについて、警視庁前並びに消防署で、十分科学的に精密検査をやってお知らせします、こういうことだった。ですから原因は何か。そのままそっくり残っておるのですからね。なくなって、焼けたお宅はもう全然空中分解してわかりませんでしたが、そのガスのふいた部分は、そのまま原形で残っているわけです。ですから何のためにそういう事態が起きたかということは明確にわかるわけです。原因は何か、これをお尋ねしているわけです。
  37. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ただいまもちょっと触れましたが、直接の原因は、この八気圧の高圧のパイプの溶接の継ぎ目が裂けたために、これから高圧のガスがふき出した、そのガスが、たまたまその下に下水道管がありまして、この下水道管がこわれていた。その下水道符を伝わって家庭に入り込んだ。しかも、たまたまその家庭内に下水のバルブがあったところで、高圧のガスがバルブを押し上げて入り込んだたために、たまたまそこに火気がありまして、火を呼んで爆発した、こういうふうに考えております。ただ普通でありますれば、御承知のように溶接個所というのは丈夫なわけでありまして、ほかのところよりも丈夫なわけでありますが、これが溶接個所が亀裂を来たしておる、その亀裂はどういう原因で裂けたか、これにつきましては、現在警視庁で調べております。ただこれはいろいろな原因がありまして、もちろん溶接の技術の不備、あるいはまた、異常な寒冷、温度の低くなったこと、あるいは地盤沈下、あるいは路面のいろいろの重量物の通過、こういったいろんな原因が重なって起こったであろうとは推定されるわけであります。その亀裂の直接の原因につきましては、先ほど申しましたように、現在警視庁におきまして科学的に検討をされておる、こういう段階であります。
  38. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 土管を伝わってガスが流れたためということも承知しておりますし、その土管は鋼鉄製じゃないのですから、亀裂を生ずる場合に影響がなかったということは、これも局長承知だと思う。しかし警視庁が二十日間たっても結論が出ておらぬということ、これは事実ですか。私仄聞するところによれば、警視庁の結論が出ておるやに承っておりますが。
  39. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 亀裂の直接の原因につきましては、まだ警視庁の結論が出ておりません。いろいろ溶接の技術の面、それからパイプのねじれ工合、あるいは圧力のかかり工合、地盤沈下による圧力のかかり工合等、いろいろ検討いたしておりますが、まだ結論は出ておりません。
  40. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 結論が出ておらないというのでお尋ねするわけにいきませんから、この次の委員会まで連絡をとって、ひとつお知らせ願いたいと思うのです。  次に御答弁の中にございましたレントゲン検査ですね。これは抽出して検査するという話でしたが、そうすると、たまたま抽出しない個所に弱い部分が当たるということも考えられるわけですね。レントゲン検査というのは全体にわたってやるものか、今までやってきたとおり抽出検査でやるものか。それから最前、大臣は審議会、局長委員会とおっしゃったのですが、これはどういう構成なのですか、その点をお尋ねいたします。
  41. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) レントゲン検査は、これはさっきも申しましたように、地上でやった個所、これは相当完全な溶接ができておるわけでありますが、地下でやりますと、どうしましても、作業の困難性あるいは水分等のために溶接が不完全になりがちであります。そういう個所につきましては、この際全部同じような状態であろうということの推定のもとにレントゲン検査をやりたい、これはやはり一回路面をその部分だけ掘りまして、それでレントゲンを待ち込みまして検査をしなければならない。大体、五本に一本ずつくらい検査しなければならんということになります。そういうような検査をやらせることにいたしております。  それから、委員会、これは大臣は審議会と申されたかと思いますが、通称いわゆる審議会あるいは委員会、これは御承知のように、役所で審議会、委員会を作りますには、法律あるいは政令によりまして行政管理庁の承認を受けなければならんものであります。そういう関係で、法律上の、いろいろな法制上の手続も間に合いませんので、いわゆる、私的な委員会、俗称の委員会であります。検討会と名づけております。名前は検討会でありますが、そういった意味の審議会あるいは委員会のようなものを作って八日から始めております。これは東大の先生、その他一般の学識経験者、それから婦人団体の代表の方、それからガス会社の技術者、そういった方を委員にしまして現在やっております。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その委員会の設置にあたって、時間的に間に合いませんから、八日から発足をするために法的根拠はありません、こういうことですが、裏を返せば、まだ国会は二カ月も三カ月もあることですから、暫定措置として今答弁のような委員会なり審議会を発足さしておいて、今会期中に通商産業省設置法の一部改正でもやって、正式な法できめたところの審議会にするものかどうかということが一点と、それから次に、それに関連して、電気ガス税、これを何とかして撤廃してくれんかという声がきわめて強い.これは地方税とも関係があるわけですから、こういう点についての処置と、それから、これは最後ですが、もし、私の考え方が誤まりであれば反駁していただきたいのですが、しろうと考えですからね、私は。あの東京都の環状線ですね、ガス管の環状線は何キロあるかわかりません。かりに三十キロと仮定いたしましょう。しかし、これは端がなくて円形なんですから、とにかく、絶対のびないわけです。ところが、海抜ゼロのところもあれば、海抜何メートル、地下にもぐっているところもあれば、上もあるわけです。総体的に地盤沈下すればこれは何ともないけれども、全然沈下せぬところと沈下したところがあれば、必ず円陣を描いてガス管がのびなければならんことになるわけです。平均に一メートル下がるとか、平均一メートル上がればけっこうでありますが、下がったところ、上がったところができてくれば、必ずのびなければならんわけです。一メートル下がったら一メートルのびなければならんという理屈にはならんと思うが、しかし、一メートル下がることによって総体的にのびなければならん。しかし、鉄管が非常に大きくなって強靭になればなかなかのびないから、どこか弱い部分に地盤沈下によってしわ寄せがくる、このように考えるわけです。それが現実の問題として起きてくれば、それに対する設備なり処置なり今から予防方法をとっておかなければならんと思うのです。こういう点の心配はないかどうか。私の言うのは杞憂であり、誤まりであれば、これは反論していただきたいわけです。
  43. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま作っております委員会を法制上の審議会あるいは委員会にするかというお話でございますが、大体、今の構成メンバーをもって研究をしてもらえば、それでいいので、特に恒久的な審議会にする必要はないのじゃないか、こう考えております。  それから、電気ガス税の減免の問題でございますが、これは、なるべく減免したほうがいいと思っておりますが、地方財政の問題等もございまして、今回は一%減ということにきまったわけであります。しかし、将来におきましては、これは減免する方向で処置をいたして参りたいと考えております。
  44. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) それから伸縮の問題でありますが、これは御心配のようにそういう懸念があるわけであります。そのために一定区間ごとに、そういったいわゆる緩衝地帯、パイプをまっすぐ引っぱって参りまして、まるく彎曲をさせまして、局所ごとにそういった彎曲個所を作りまして、そういった伸縮に応ずるような処置がございます。
  45. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最前の大臣の答弁の八%限度ということは、八%と心得てもいいわけですか。どうもその限度というと、ちょっと……。
  46. 福田一

    国務大臣福田一君) 九%を八%にした、一%減らした。
  47. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 下げる場合に限度ということはそのようになるということですか、まだ余裕があるわけですか、これから折衝すると。
  48. 福田一

    国務大臣福田一君) いやもうないです。
  49. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それでは本来の問題の鉄鋼産業のことについてお尋ねしたいわけですが、御承知のとおり私ども現地に参っても、新聞でも経済雑誌でも鉄鋼産業のことがきわめて不況であって、成り行き心配されるような記事を常に現地で見たり、記事で見たりするわけです。時間があまりありませんので、スピードをかけてお尋ねをいたしますから、概要でけっこうですから、スピードをかけて御答弁を願いたいと思うわけです。たとえば粗鋼がどうなっているか、中型形鋼の現在はどうであるとか、厚板がどうであるとか、小さい部分については申し上げませんけれども、ストックとか、現在のコストとか、あるいはインドに販売するとかしないとか、いろいろの話を承っているわけです、ですから総括的に現状ですね、今申し上げました大きい製品、こういうものから御答弁をいただきたいわけです。
  50. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) あらかじめ御質問を存じ上げなかったので、等を持って参りませんのではなはだ恐縮でございますが、概略だけ現段階における鉄鋼の状況を御説明いたします。  御承知のように、昨年の秋ごろから設備投資の調整をいたしまして、また景気調整等が政府の政策としてとられました結果、需要の関係と供給の関係のアンバランスが出て参りまして、鉄鋼の価格は非常に急激にダウンをいたしました。一応公販制度というものを設けまして、行政指導によりまして公販基準価格というものをきめておりますが、これを相当下回る状況に実はなっておったわけであります。その後不況の状況にかんがみまして減産をいたしました。大体二〇%から三〇%の粗鋼の減産を行政指導によりましていたしました。なお、公販品種につきましては、それぞれ一昨年の十二月を基準といたしまして、たとえば中型形鋼、それから厚板等につきましてやはり減産をいたしました。その後昨年の暮からことしにかけまして、景気調整の緩和措置をとりました関係から、それと減産の効果もありまして、逐次市況は回復に向かいつつありますが、依然としてまだ正常な状態には戻っておりません。鉄鋼業は相当赤字の状況をたどっております。しかし今後の情勢によりまして次第に正常の方向に戻っていくものと予想しております。  なお、輸出関係でございますが、国内の状況等もあわせ考えまして、鉄鋼業界といたしましては輸出振興に努力をいたしました結果、輸出は予想外に実は伸びております。伸びております関係もありまして、先ほど申し上げました市況は多少回復の方向に向かっておるわけです。  なお、インド等につきましての御質問がございましたが、インドに関しましては、業界から鉄鋼について延べ払いの要望が実はございます。またインドとは円クレジットの協定ができておりますので、円クレジットの中に一つ鉄鋼を入れてくれという実は要望がございますが、昨年円クレジットの総ワクがきまりました関係もありますし、大体円クレジットの中には付加価値の高い機械数を織り込んでおります関係から、ワク関係もあって、ただいま直ちに円クレの中に入れるわけには参りません。  なお延べ払いについては、インド側が相当長期の延べ払いを要求しておりますが、鉄鋼製品については、まだそういう長期の延べ払いという形では輸出をいたしておりませんので、目下それにつきましては検討中でございます。  以上で簡単ながらちょっと御報告さしていただきます。
  51. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 二〇%から三〇%近い生産制限をやっておるということはおだやかならぬ話です。これは池田さんの所得倍増論で、景気がよくなるというのでどんどん鉄を作って、世界で五番目の製鉄国家だったのが、四番になり三番近くになったのが、余剰生産をやったものが、原因は一体重工業局長何ですか、これはもちろん鉄鋼会社も困るでしょう。しかし北九州に行っても、北海道室蘭、川崎に行っても、本家本元である富士鉄にしても、八幡にしても、日本鋼管、川鉄にしても困りますが、そのためにそれに関連した中小企業、この中小企業はどれだけ影響しているかということは御承知と思います。ひとつ原因を明らかに明示して下さい。何でこういうふうな状態になったか。
  52. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 今二〇%から三〇%と申し上げましたが、ただ輸出がふえておりますので、今申し上げました内需の減産というのは、輸出は入っておりませんので、輸出を含めますと、輸出はふえておりますので、大体一六、七%になると思います。減産の数字は一六、七%、内需につきまして減産の指示をいたしております。輸出関係輸出振興上大いに輸出をしなければなりませんので、その点は減配と無関係でございます。ただ二八、七%と申し上げます減産も、設備が非常に大きくなっておりますので、確かに阿部先生のおっしゃられるような意味合いもございますが、ただ鉄鋼につきまして御判断をいただきたい点は、相当高炉の能力、あるいは平炉の技術改良という点もございまして、能力的に見ますと相当幅がございます。予定以上に能力が出てくるという面が非常に鉄鋼についてはあるわけでございます。それから諸外国の例に見ましても、ほとんどフル生産という形はとっておりません。ある程度まで操業率が、日本以上にもっとアメリカ等は低いわけでございまして、その点を前提にいたしまして考えますと、操短の関係もあり、今お話のあったような感じから申しますと、多少そこは考える余地があると思います。ただ問題は、今もお話しのように、設備の拡充が相当高度に行なわれて参りまして、国際収支の関係等もありまして、需給のアンバランスが生じたことは確かでありまして、やはり景気変動によって、今ちょうどその底の状況だと、こういうことが言えると思います。ただ御承知のように、経済の活動は必ずしも予想どおりに参りません。なるべく予想したとおりに連行されるのが理想でございますけれども、そこに多少変動がある。その変動の幅が確かに大きかったとは言えるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、逐次、昨年から本年に入りまして需要もふえて参りましたし、価格も安定の方向に向かいつつありますので、これらにつきましては、やはり今申し上げましたような対策を講じながら、できるだけ需給のバランスがとれるような方向に業界も考え、私どももそういう方向で努力をしたい、こういうふうに思っております。
  53. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 ちょっと通産大臣にお尋ねしますが、池田さんは国際収支は、アンバランスというのがおかしいので、何ともないとおっしゃっている。しかし通産省の局長さんが国際収支のアンバランス等の関係もあって、という御答弁は、これは池田さんとは違うようですが、しかし言葉じりをとらえてお尋ねしようとは思いませんが、どうも納得がいきません。  そこで、もう一つお尋ねしたいのは、八幡その他の鉄鋼会社が、一例をあげますと、大分県の鶴崎とかあるいは宮崎県の細島ですか、そういう埋立地に工場を持っていきますというふうに約束して現地を喜ばしておいて、現地ではその受け入れ態勢を作って、八幡さんが来てくれるならわれわれのほうではこれこれこういう受け入れ態勢を作りますよ、というので受け入れ態勢を作っている。にもかかわらず、現在ですら生産制限をやっているのですから、生産制限のために、これから地方に出店を作るどころではない。本家のほうが火がついているのだから。だから約束はしたのだが現地へ持ってはいかない。現地では迷惑千万ということで困惑しておる。この処置は何とか政策的にとる方法がないものでしょうか。
  54. 福田一

    国務大臣福田一君) まず第一の御質問でございますが、昨年は例の景気調整をいたしますといいますか、そういうことをいたした結果が、ある程度大きく製鉄業界に影響をいたしておるということは事実でございます。  それから、もう一つは製鉄業自体が非常に大きな拡張をいたしておる。その拡張工事が一応一段落ついたという段階にも来ているわけでございます。ところが、その工事のうちで、よそへ持っていって拡張工事をする。たとえば八幡が三重のほうへ富士が大阪近辺に出る予定であった等々の問題があります。こういうものはいずれも計画を二、三年スローダウンしていることは事実でございます。そういったようなことが、そういう計画をされるということを聞いて喜んでおった地元民にショックを与え、あるいは非常に不満を与えておることも事実でありますが、しかし、そういう会社が仕事をいたしておるのを一々政府のほうとして金を出してやって、必要が今のところは、まあそこまでやらぬでもいいというのをぜひやれと、こういうふうに持っていくわけにも私はいかないのではないかと思うのでありまして、やはり景気全体の動き、それから輸出の状況を見くらべ、よく勘案した上で、まあ各製鉄会社がその計画を進めていく、あるいは今までスローダウンしたけれども、だいぶん需要がふえてきたからもう一ぺん、三年延ばしたのが二年でやめる、あるいは一年に短縮して完成させるというような実質的な方法でやっていく以外にはちょっと方法がないのではないか、こう考えているわけであります。
  55. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 なるほど福田さんのおっしゃるとおりですね、会社が勝手に企業の拡張をやって、不況になったからと言って政府がしりぬぐいをしてやるというのが穏当でないのは、おっしゃるとおりです。しかし、だれがそういうことをさせたのかという原因はあるはずです。とにかく原因はある。政府は全然そういう点について責任がないのか。あなたたちも行政指導の一環として、将来の日本経済界はこうなります。生産はこうこうで消費はこうなるという、一つ日本の全体を眺めての計画を立てて、その計画に基づいて政府の政策を信頼してやっているわけでしょう。全然無計画にやっているとは私は考えられない。ですから、あなたの答弁は俗に言う冷酷無比だ、そういうことになるので、そういう点については今後十分行政指等の面でやっていただきたいわけですが、コストは大体一昨年と比較してどのくらい安くなっていますか。コストは安くなっておりませんか。中型形鋼、今いろいろ論議している品種について…。
  56. 福田一

    国務大臣福田一君) 今冷酷無比だということで、これはちょっと一言申し上げておきたいと思います。私は経済に関する計画というものは、だれが立ててもそう一分一厘もたがわない計画というものは、いまだ立てた人もなければ今後立て得る人もないと私は思っております。そういう意味から言って、大体の方向を指し示すということはできるであろうけれども、計画を一分一厘もたがえないということは、これは人力をもってしてはなかなかできない。それは経済が生きものだからであります。そういう意味から言いまして、所得倍増計画というものを池田内閣が立てた、ところがその所得倍増計画に従って伸びていくということになると、毎年七%とか八%とか九%とか、数字は私ここではっきりいたしませんが、たとえばそういうような数字で大体伸びていくだろうと思っていたのが、急にそんなに伸びるならここらで早くシェアをとっておかなければいかぬというので各会社が設備を拡大したということになっているのが私は実態だと思う。また一方において、そういうような伸びがあるということなら、ほかの工業界におきましても早く自由化に対処しなければいけないとか、いろいろな理由があってどんどん設備を拡大していく。その設備を拡大するには鉄が非常によけい要る。で、鉄鋼がどんどん値が上がってくるということもあるし、それからまた一方においては建築ブームというもの、これは鉄鋼を使用する二割を占めているのですが、これがあそこでもここでもビルディングを立てる、むちゃくちゃにビルディングを立てるというので鉄鋼、鉄筋をくれということで一時に需要が増大したというわけです。これに応ずるためにかなり鉄鋼業界といいますか、八幡とか富士とかいうものも無理をして拡充をしたことも事実であります。でありますから、全然政府関係がないとは私申しませんけれども、しかしわれわれが考えている以上にやはり必要なんだという意味で拡張しておったことも私は事実だと思うのであります。責任の全部を政府にかけて冷酷むざんというわけにも私はいかぬじゃないか。そこらは私は少なくとも半々ぐらいのところにあるのじゃないかと思います。
  57. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 なるほど冷酷無比という表現は、考えてみるとまずい言葉であって、よく考えると、八幡製鉄の例をとっても、通産省の高級官僚が大分お世話になっているから、逆にかえってあたたかい施策を請じてやっておるかもしれぬというように判断するわけですね。通産大臣は、たまたま大臣になってから通産省にひょっこり入ってこられたので、おやめになると通産省とは縁もゆかりもない。局長以下は八幡の大幹部ときわめて関係があるので、冷酷無比は大臣のほうなので、局長以下は実に血のつながりがあるので、私の言ったことは表現として誤っているかもしれません。  そこで、これはその程度にしておいて、お尋ねしたいのは、外国から入って参ります鉱石ですね、これは鉄鋼業界の現状とにらみ合わせて鉄鉱石の輸入状態はどうですか。
  58. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 実は資料を何にも持ち合わせておりませんので、その状況は後刻ひとつ数字とか資料を整えまして御返答させていただきたいと思います。
  59. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 資料をお持ちになっておらぬというのでちょっとあれですが、それではその次に防御産業のことについて若干お尋ねしたいのですが、昭和三十六年の七月ですか、第二次国防計画をおきめになったときのことから始まるわけですが、防衛問題については内閣委員会でやられるわけですから、特別その関係のある通産省で担当しておる生産の面についてのみをお尋ねいたします。そのうちの五カ年計画の金額の内容は一兆一千五百億くらいだと思うわけです。五カ年で一兆一千五百億を使うと、こういうことに、大体詳細な数字はわかりませんけれども、記憶しておるわけであります。すでに二カ年たっておりますから、大体どのくらい消化しておるか、あなたのほうで生産されるそれ、どのくらい消化されておるかということです。
  60. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 一兆一千五百億といたしますと、まだ一割くらいしか消化がされておらないと思います。
  61. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると約一千一百億くらいということですか。
  62. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 失礼いたしました。先ほど約一割ぐらいと申しましたのは、艦艇を含めてでありまして、当省所管物資のみでは大体八百億円ぐらいだと思います。
  63. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 あなたのほうで金額を払うのは、これは当然防衛庁の予算から出てくるわけですから、一切のことについては関知なかろうと思うのですが、しかし大体護衛艦とか掃海艇とかはこれは海上のほうですね。これは運輸省の管轄ですか、あなたのほうの管轄ですか。
  64. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 運輸省のほうであります。
  65. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、戦車とかたまですね。それから無反動砲、こういうのを作っておる五つか六つのく会社でございますね。これは全部あなたのほうで掌握なさっておられますか、生産の場合に。
  66. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) さようでございます。
  67. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、今申し上げました特車とかあるいは陸上自衛隊の使う部分について、ちょっとその数字をあらましでけっこうですから明示して下さい。
  68. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 概略を申し上げますと、六一式牧草百両、六〇式装甲車百五十両、機関銃九百挺、一〇六ミリ無反動砲四百二十門、八一ミリ迫撃砲百五十門、以上であります。
  69. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その他の問題はあなたのほうでおわかりにならぬわけですか。今報告のあった以外は。
  70. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 一応主要なる武器としては今申し上げた程度でございましてもっと広義における電気関係あるいは通信関係等はあるかと思いますが、今その点は詳細勉強しておりません。
  71. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 五カ年計画に基づいて出発して、三十六年の七月決定して、今日まで二カ年有半にわたって、なおかつその一割も使っておらぬという、これもおかしい。あとの半分で九〇%を使うということは、われわれの常識であり得ないわけです。おそらくそういうことでなかろうと思うので、ひとつもう一度お調べになって、後刻お知らせ願いたい。  こういうことでこれを打ち切りまして、ただ、通産大臣にお尋ねしておきますが、あなたも国防会議のメンバーでしょう、メンバーじゃないんですか、メンバーでしょう。
  72. 福田一

    国務大臣福田一君) 国防会議のメンバーではありませんが、関係国務大臣として常時出席しております。
  73. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで大臣にお尋ねしたいわけですが、陸上、海上、空と、それぞれに分かれて、人員から装備の計画を立てているわけですが、人員と装備のほうがてんでアンバランス、それから計画に基づいて全然スムーズにいっておらぬ。特車ができても、その中身がないというのが実態だというように承っているわけです。しかしそういう点について、私は、それを担当するのが内閣委員会ですから、内閣委員会でお尋ねしようと思っているわけですが、もう少しあなたのほうの担当している部分、その産業のほうはあなたのほうですから、もう少し十分お調べになって、ひとつこの次の委員会にお示し順いたいと思うわけです。  これで終わりますが最後に、時間がございませんから、ソ連の油の点についてお尋ねいたしますが、ソ連の話をすると、大臣、あなたも池田さんと同じで、すぐいやな顔をしますが、安い油をヨーロッパに売り出すということでソ連がやっているようでありますが、日本にもそういう問題が、正面切って油を持ってくるということが、正式に爼上に上った場合どうしますか。今日まで石炭なり、油なり、いろいろ問題が出ております。あるいはその他の問題について、これは当初質問を衆議院なり、参議院なりでやりましたから申し上げませんが、油の問題がヨーロッパ並みに日本に出てきた場合どうなさいますか。たとえば中近東、あるいは東南アジア、アフリカから持ってくる場合よりも二割安い。二割安い油を福田さん買ってくれませんか、こう言った場合、あなたはどうしますか。
  74. 福田一

    国務大臣福田一君) エネルギーの問題は阿部さんもよく御承知のように、安いことと、それから常に安定して入ってくること、この二つが非常に大きな要素になると思うのであります。安いだけでは、一ぺんこっきり安いものを買ったからといって、また買えるからといって、それですぐそれに飛びつく、あるいはまたそれに重点を置くということにはなりません。しかしスポット買いをするような会社があったとした場合に、それを全然禁止することができるかということになると、それはまあこれは民間貿易の形において話が進んでいけば、全然禁止するというわけにはいかないでしょう。しかしながら大きな意味で、たとえば日本は今、油を四千五百万トンなら四千五百万トン使うとした場合に、そのうちの五%やそこらくらいまでならば、安い油もちょっとスポット買いして見るのもいいが、そのうちの二割も三割も買っておく。今度それじゃソ連からそういう油を買って、今後ずっともらえるかというと、なかなか今までの経験ではそうはいっておりません。案外高かったり、安かったりというような段階でございます。一方、そういうようなやり方をすることによって、既設の、今までのいわゆる英米系の油、石油がどういうような態度を示すかというようなこともやはり考えて見なければいけないのでありまして、要はやはり安定ということも十分考慮に入れた上で対処をしていきたい、こう考えるわけであります。
  75. 向井長年

    ○向井長年君 まず、石炭対策の問題について、これはエネルギー特別委員会でやる問題ですが、さきの国会でも問題になり、あるいは今国会で終結をつけなければならぬというような問題でございますが、これについて石炭需要の立場から、三十八年度は電気においては千八百万トン、それにプラス二百五十万トンを各社の社長は了解した、こういうことを聞いておるのです。もちろんこれは条件付きであるということを聞いておるが、これは事実であるかどうか。
  76. 福田一

    国務大臣福田一君) 仰せのとおりでございます。
  77. 向井長年

    ○向井長年君 それからガスとかあるいは鉄鋼等では割当総額について、非常に難色を示しておる、こういうことをこれまた聞くわけですが、これは事実であるかどうか。
  78. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほど来もるるお話がありましたとおり、鉄鋼業界はただいま不況でございますので、予定しておる八百十万トンを引き受けるということは、ちょっとむずかしいということを言うておる状況であります。
  79. 向井長年

    ○向井長年君 この二百五十万トン、プラスして一応了解したというのは、条件付きだということをいっておるのですが、この条件というのはいろいろあると思うのです。したがってコストのいわゆる値上がりに対する補償であるとか、こういう立場からいっておると思うのですが、政府としてはこれに対する補償をどういう形でその条件を受けようとしておるのか、この点を明確にお聞きをしたい。
  80. 福田一

    国務大臣福田一君) 原油に対しまする関税を賦課しておりますが、その六%を賦課しておるうちの四%を割り返す、戻すという形において、さらにあとは今度の賦課します二%、合せて六%を戻すということで了承いたしておるわけであります。
  81. 向井長年

    ○向井長年君 石油関税率の引き戻しという形で、一応四%ですか、約十億程度ですか、これは。
  82. 福田一

    国務大臣福田一君) 大体そのように了承いたしております。
  83. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、その引き戻しの補償といわゆるコストの差額で、その他の補償という問題については条件付いていないですか。付いているのですか。
  84. 福田一

    国務大臣福田一君) その他のことについては条件は付いておりません。大体それだけでひとつ来年は二百五十万トンよけいに引き取ってもらう、こういうわけであります。
  85. 向井長年

    ○向井長年君 明確に今言った関税率の引き戻しによって大体二百五十万トン、三十八年度は引き受けることが一応了解されたわけですね。
  86. 福田一

    国務大臣福田一君) 了解であります。
  87. 向井長年

    ○向井長年君 次に、電力炭の清算株式会社ですか、電力用の清算株式会社、これを作っておりますね、これはこういう事態に備えた過渡的ないわゆる会社であるのか、恒久的なものであるのか、この点どうかということと、それからこの電力だけになぜ作ったか、全部の石炭清算会社を作って供給するということが望ましいのじゃないか、電気だけ作った理由、そしてまたこれは恒久的であるか、今いう措置であるか、この問題を明確にお聞きをしたい。
  88. 福田一

    国務大臣福田一君) 四十六年までの時限立法の予定でございます。そこでなぜ全部を買い取って、いわゆる一手買い取り会社を作らなかったかというお話でありますが、石炭産業は私たちとしてはやはり私企業として、しかも採算の成り立つような、いわゆるも産業として育成をしていくというのが基本の考え方でございます。その場合に一手買い取り機関を作って、これを何年間かでやっていくということになりますと、これは一種の完全な統制に相移っていくというような形になると思うのでございまして、かえってそれは趣旨と相反していく、こういうことも考えまして、なおまた、五千五百万トンのうちで、石炭は御承知のように三十八年度二千五十万トンですが、将来は三千万トンまで消費させる、そうすると六割近く電力で吸うわけでございます。しかし現在の今日の状態で見ますと、やはり石炭の値段の中心をなしておるのは、やはり電力業界の炭価が一応市価の決定の基準になっておるような状態でございますので、そういうこともいろいろ勘案をいたしまして、一応今度は電力会社で使う石炭についてのみ、これを取り扱わせる石炭清算株式会社というものを作らせる、こういうことにいたしておるのであります。
  89. 向井長年

    ○向井長年君 もちろんそうだと思うのですが、しかしこういう時限立法でしかも過渡的な問題ですから、石炭全般についてのこういう供給の清算会社をなぜしちゃ支障になるのか、一応六〇%以上が電力にされるということで電力向けの清算会社を作ったと今言われたように思うのですが、これは一本でいいと思うのですが、一本はどういう支障になるか、この点をお聞きしたい。
  90. 福田一

    国務大臣福田一君) 今度の会社におきましては、いわゆる石炭を納めたものはその会社から代金をもらう。片一方電力会社のほうは、この会社に代金を支払うこういう形にしておるわけであります。ところがほかの石炭全般ということになりますと、市販をいたしてありますものから、 セメントから鉄鋼からという非常な数になりまして、事務自体も大へんな煩鎖なものであるし、はたしてそれまでやるならば、一手買い取り一手一販売するという機関になれば完全統制ということに相なってくると思うのでありまして、そういうことは、本来私たちが今度の、石炭問題を取り扱う態度と相反します。というて、一定のやはり値段、基準価格というものを設けるわけでございますが、そういう値段を作っておかないと、ますます値引きされてしまうということになれば、せっかく合理化しようと思っても、合理化もできなくなるというおそれもあるけわであります、山が立ちいかぬという場合に。そこで、いちばんこの値を中心にきめておる電力というもので、その値動きがどうなっておるか、ちゃんと押えておけば、大体そのほかのものもそれに従って流通されるのではないか、こういう観点から、一応電力用炭にのみ限ってこういう会社を作っておるのであります。できるならば、そういうものもなくて済ましたほうがいいと思うのです。やはりそういうものを何か作っておかないと建値をはっきりさせることができないのじゃないかということから、今のようなものを作っておこうということにいたしたわけでございます。
  91. 向井長年

    ○向井長年君 大体その点はそのくらいにいたしまして、特に時間もないようでございますので、簡単にその他の点で質問いたしたいと思いますが、さきの国会で通産省の設置法案によって電気事業審議会が設立されて、その後各委員が選ばれていろいろと、審議過程にあると思うのです。これはもちろん電気事業法制定という問題の大きな任務を持っておりますけれども、電気事業全般についてのいろいろな審議をやる形をとっておられるようですね。したがって、こういう意味から非常にこれはけっこうだと思います。特にこれが国民の世論が反映されて、国民大衆の理解を深め、そういう中からりっぱな一つの結論の出ることを望んでおるわけなんです。そういう立場でお聞きするのですが、現在までこの審議会のいわゆる進行状況はどうなっておるか、それからこれは二年の期限だと思いますが、いつごろこれが完成されるのか、結論が出るのか。  それからもう一点これは前にもちょっとお伺いしたのですが、非常に大きな問題で、現在電力事業全般、そして料金問題、金利、その他開発、すべての問題からくるいわゆる再編成問題、再々編成問題がとやかく言われておる。したがって、こういう大きな諸問題も、そういう再編成の諸問題も、この審議会で審議される予定と聞いておりますけれども、大体大臣はそういうことをいつこれに付記されたのか、またそれはそういうところでやらないのか、この点をお聞きしたい。
  92. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 電気事業審議会は昨年の五月十六日に第一回を開きまして、その後毎月審議会、各部会――事業部会、それから技術部会、これを毎月二回ずつぐらいずっと続けてやってきております。二年間の時限立法でありまして、大体ことしの八月ぐらいまでに結論を出したいというめどを持ちまして審議をお願いいたしておるわけでございます。なお、審議する事項でありますが、初めに大臣から諮問をいたしました事項としましては、地域独占と供給義務あるいは電源開発と企業体制、電源開発資金の調達の問題、電気料金とサービス、電気施設の保安体制その他いろいろの諮問をいたしておるわけでありますが、今お尋ねの再々編成問題、これはもちろん今申しました審議事項の中へ当然入るわけでありまして、特に企業体制の問題、これも議題になっておりますので当然入るわけでありますが、特に昨年東北の料金値上げの際にいろいろ問題も出ましたので、そういう面におきまして、特に大臣から審議会に対しましてそういった希望を申し述べたわけでありまして、有沢会長も、委員発言よりしまして当然そういった問題も審議しようということを言われておる次第でありまして、これにつきましても大体ことしの八月ぐらいまでに結論を出したい、かように考えております。
  93. 向井長年

    ○向井長年君 その体系全般について再々編成したらそうなるわけでありますが、こういう重大な問題を、そういう東北電力の料金値上げからそういうことも検討しようじゃないかというようなことに今聞いたのですが、正式にそういう問題も政府から、いわゆる通産大臣から、十分この審議会で検討をしてくれと、こういうことを言われたのか、言われないのか、あるいは言われたとすればいつであるのか、この点明確にお聞きしたいと思います。
  94. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これはさっきも大臣から審議事項として当初にお示ししました中に、企業体制ということで示してありますので、当然再々編成問題もその中に審議されることでありますが、たまたまそういった東北の料金に対しましてそういった問題がありましたので、さらに念を入れましてそういった問題にも突っ込っでもらいたいということを申しただけでありまして、企業体制ということは当初から審議事項に入っております。
  95. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、大体大臣も現在の企業形態では、これはもちろん電発を含めました十企業形態では非常に無理である、いろいろそういう状況からやはり再々編成をしなきゃならぬという立場に立って判断されておるのか、あるいは料金問題を中心としてそういうことが各所で言われると、したがって一応その審議会の場で検討してもらったらいいだろう、こういう軽い気持であるのか、この点ひとつ大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
  96. 福田一

    国務大臣福田一君) 軽い気持、重い気持ということになりますと、これは語弊を生ずるおそれがあると思いますが、私の考えとしては、広域運営が十分目的を達することができるならば、現体制において一応やっていけるのではないかという考え方を持っております。
  97. 向井長年

    ○向井長年君 これは八月の二十四日の閣議で福田通産大臣は「石炭をはじめ電力や石油の問題もあり、この際エネルギー対策を根本的に再検討したい。」、これは対策になっているのですが、こういうことを閣議で発言されておりますが、これは今言った企業形態の問題も含めての問題として言われたのであるのか、ただそういう石油、石炭あるいは電気という事業、供給とか、あるいはそういう問題だけであるのか、この点どうでしょうか。
  98. 福田一

    国務大臣福田一君) 今仰せになりました三つのエネルギーの相関関係を主として考えておったわけでございます。
  99. 向井長年

    ○向井長年君 そういう日本のエネルギーといえば三つが中心であるかもしらぬが、その大半はやはり電力なんです、今の状態の中から。そういう中で、先ほど審議会に付託されたような問題は、やはり根本的に考えなければならぬ時期がきているのじゃないかと私は思うのですが、こういう点について特にこの閣議において篠田自治相は「電力会社が九つに分れているのは占領時代のなごりであり非能率的だ。石炭の地域別需給状況と電力需給状況のアンバランスもあり、電力会社の整理統合をはかる必要がある。」、こういうことを自治大臣が言っているのです。それから、河野建設大臣も「新産業都市指定に関連して、基本的なエネルギー対策を確立するとともに、電力を広域的に利用するために九電力会社と電発を含めた電力再々編成を行うべきだ。」、こういうことを建設大臣は言っております。あるいは宮沢企画庁長官は先般も言ったように東北の料金値上げに基づいての東京との合併論をこのとき言っておられた。こういうように現在の閣僚の中でこういうことを閣議でいろいろ発言されておる。そういうほかの担当大臣もこういうことを言われておる状態の中で、所管の通産大臣がこれに対して根本的にどうあらねばならぬか、また直ちにどうするということは別として、やはり再々編成の方向を考えなければならぬと、こういう立場に立って、先ほど言われたいわゆる付託されておるのか。その点が、非常に通産大臣態度が、あまりこの点は明確に今まで言っておらないのでわからないのですが、これ明確にひとつお聞きしたいと思う。
  100. 福田一

    国務大臣福田一君) 閣議の発言の内容につきましては、いささかあなたのおっしゃったのと違っておる面もあるように私は了解しておりますけれども、大体方向としてはそういう発言があったことは認めております。その後、東北電力の料金の値上げを決定するにあたりまして、私は発言をいたしておる。それはそこに出ておらないと思いますが、私はやはり今のところは広域運営が十分にできるという非常なりっぱな機械ができまして、そうして、それによって広域運営が相当効果をあげ得る、広域運営で電力融通の問題その他については、水力、火力の使用の関係、その他についていわゆる電子計算機的な機械ができてきまして、そうして、一瞬にして日本の電力を、火力並びに水力をどういうふうにして使ったらいいかという数字が出てくる。またそれをすぐ指令できると、こういう機械ができてくるということに相なったら、今もうじきそれは日本へ着くはずで、まだ着かない、いつごろ着くのかしりませんが、それができるようになっております。そういう段階でございますので、それならば一番大事なことは、電力を再々編成しろ、あるいは統一しろというのは、電力融通がうまくいかないからむだがあるじゃないか、ロスがあるじゃないかということが一番大きいと私は考えておったのであります。そういう意味ならば、私はそういうものができるならば、それまでの必要がないじゃないかということでそういう話もいたしました。閣僚会議の席上におきまして私はそういう発言もいたしておるのであります。そうして一応今度は東北電力の場合には、東京電力との間にも融通をうまくやり、また電発との間にも融通をうまくやることによって、一つはそういうようないわゆる電力の有効利用ということを十分に実現できるということも考えた上で、ああいうふうに電力料金の値上げもきめたようなわけでございまして、考え方といたしましては先ほど御答弁申し上げたとおりであります。しかしながら、私も決して神さまでもなければ仏さまでもありませんから、もっとりっぱなお考えの上に立って、そうしてこの電力再々編成というものが必要だというお考えが審議会から出てくるかもしれません。私はそのどういうのが出てくるか知りませんけれども、もしあれば、その場合に私としても虚心たんかいにまたその問題を見て処理をいたして参りたい、こういう考え方でございます。
  101. 向井長年

    ○向井長年君 通産大臣の考え方は、先ほど言ったように非常に消極的な、いわゆる再々編成に対する考え方のようにとれるわけですが、しかし根本的に問題はただロスだけの問題じゃないと思うのですよ。そういう各社のロスが融通の中でこのままではだめだと、広域運営をもっと強化していけば、この点については消化できるのじゃないか、こういうような非常に軽いような考え方を持っておられるのです。そうじゃなくて、料金、コストの値上げという問題は、先般来も東北なりその他九州、東北で起きてきたわけなんですが、こういう原因はどこにあるかといえば、これは何といっても金利や燃料費ですよ。金利、燃料費の中からこういう問題が出てきておると思うのです。したがって開発とサービス部門、こういう中でどうマッチさせていくかというのが今後の課題だと思うのです。そういう点において今通産大臣が言われたことは、ただ現在の形を認めて、そしてそれが融通等の問題で、いわゆる円滑にいけば、これは事足りるんじゃないか、こういうものの考え方は根本論に触れていないと思うのです、私から言えば。  そういう点で、特に私はお聞きしたいのですが、電力会社がよって今日にきたったるこの歴史ですね、これはどういう状態をたどってきたか。御承知かと思いますが、年度別に私から言うならば、こういうことだと思うのですよ。明治四十四年に電気事業法が制定せられて、それから昭和六年にこれが改正せられた。十三年には電力管理法が制定せられ、十四年には日本発送電株式会社が設立せられて開発をやり出した。それから十七年には国家総動員法に基づいて配電統制令が出、それから旧電力会社のいわゆる設立になったわけなんですね。そして二十三年には、これは終戦後ですが、過度経済集中排除法によってこれはだめだと、マッカーサー書簡、ポツダム政令によって電気事業の再編成をしなければならぬ、こういうところから、御承知のごとく九電力会社の設立が行なわれ、その後二十七年に電源開発促進法が制定せられて、そして元日発であったやつが、これは解体されておりますけれども、電源開発会社というような、いわゆる半官半民的な政府資金を中心にした会社ができたと思うのですよ。これは現在までの歴史ですが、その後九電力においてはいわゆる開発を独立採算の中でどんどんやってきておる等の中で、やはり融通等の問題もありましょうから、広域運営というものはやむなく生まれてきた問題であって、根本は何といっても、これは先ほどから言われるように、いわゆる電気事業の現状というものが九電力と電発という十社、この地域において十年余り経過してきたけれども、いわゆる需要の急激な増大、特に開発等が、年間どうですか、三千億から四千億じゃないですか、これだけの資金が必要だといっても、その資金はほとんどが、六三%程度が外部借り入れである。そういう中でやはりコストというものがどんどん上がってきておる。したがって、配当あるいは減価償却とか公租公課とか、こういう問題から考えて、電気を開発して作って売れば損をするのだという状況が今生まれてきておるのですよ。九つともそういう状況の中で、やはりわれわれが日本の今後の産業なり、あるいはまた公益、公共、私企業、こういう三つの立場において、各大臣から再々、編成をしなければならぬという意見が出てくるのは当然だと思うのです、これは。そこで大臣が今言うように現状維持、広域運営方式でやっていかれるのだというようなものの考え方は、また再び料金の値上げ問題なり資金の問題なり、いろいろな問題が沸騰してくるので、この点について私は所管大臣に、こういう内部矛盾をこれはどう打開しようとしておるのか、これは明確にお聞きしたい。
  102. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は閣内においては一応意見の一致を見ておるものとは考えております。しかし実を言いますれば、私よりあなたのほうがこの問題については専門家でいられるから、私がこういうことを申し上げては、かえって失礼にあたると思いますけれども、そもそも日発を解体するときに私は解体に反対した論者なんです。それはなぜかといえば、一社で融通をうまくやったほうがいいのだ、電力のロスをなくしたほうがいいのだという意味で私はまっこうから反対した。ところがあれはポツダム政令によってとうとうああいうふうな事態になりました。そこで電力の需用というものが日本産業の復興にはどうしても必要であると考えましたから、電源開発株式会社というのを作ることを私が主張いたしまして、参議院にも御厄介になってああいう法案ができたことはあなたも御承知のとおりであります。しかしながら私がなぜそういう今言ったようなことを言っておるかというと、日発解体のときに電力融通ということが無視されるというところに私は非常な不満を覚えたから反対をしたのであります。GHQに対してまっこうから反対をいたしました。まかり間違えば追放になるかもしれなかったことは御承知のとおりであります。私はそこまでやったつもりであります。しかし今日はどうかということになりますと、十に分かれておるわけであります。しかし、今言ったように、電力融通という面がうまくいくならば、それをまあそれほどほかの面は大きく取り上げなくてもいいんじゃないかというのが私の一応の考え方であります。だからといって、このままの状態でいいとは決して思っておりませんけれども、しかし今度は、あなたの言うような一社化するということは……。
  103. 向井長年

    ○向井長年君 一社化とは言っていませんよ。
  104. 福田一

    国務大臣福田一君) 一社化でなくても、二社化でも三社化でもよろしい。そういうふうなことにしていくということが、今度はまたどういう影響をもたらすかというと、またその地域においていろいろな問題を起こします。たとえば、今例になった東北と東京の問題を例にして取り上げてみても、なぜそういうことにすぐ賛成しておらないかというと、もし電気料金が一緒ならばよろしい、全部値段が一緒ならよろしい。ところが今一緒でない、今東北のほうが少し安い、この安いのを一緒にした場合、東京のほうにさや寄せしたら、東北の人は何と言いますか、まっこうから反対するでしょう。もし東北の電力にさや寄せしたならば、東京の人はなるほど安くなると言って喜ぶかもしれませんけれども、会社の経営はどうなるでしょうか。こういう問題があるのであります。そういう経済に与える実際の影響ということを考えますと、それをやるときには一ぺんに荒療治をする必要が起きることもあるけれども、今日一応経済がこういう形で動いておって、電力の融通ができるならば、今言ったような、非常な困難な問題、たとえば北陸と中部が一緒になるといったら、これは大問題が起きます。また北陸と関西を一緒にするといったら大問題が起きます。私は効果がある面と、それから弊害がある面と両方見比べまして物事を検討していかなければならぬということになると、私は弊害の面が今出てきたらなかなか収拾つかない、実際問題としてできなくなるおそれがあると思います。あなたがおっしゃるとおり、地域というのは、みなそれぞれの立場主張するのでありまして、電気料金は安くなるというなら大いに賛成するでしょう、高くなるといったらそれはだれでも絶対反対で、むしろ旗を掲げて来るような騒ぎが起きるにきまっている。電気料金が平均化してきたときには一社化するということもまあ割合にできると思いますが、そういうことも、しかし将来に大きな目標としてはあるいは考えられるかもしれません。今当面私が少なくとも通産大臣をしているくらいの間に、そういう問題をやるということは私はこれはむずかしい。しかし将来のことは考えなければいかぬと思っておりますから、きょうも閣議で発言しましたが、青函連絡をやるという場合には、青函連絡の送電線の問題も考えてもらいたいということを私も言っております。これは電気の融通の問題から考えをいたしておるのでございまして、あなたの考え方が間違っているということで申し上げているのではない。現実、今それをやろうとした場合に、それは考えられないということを申し上げているわけであります。
  105. 向井長年

    ○向井長年君 時間もございませんので、ちょっと所管大臣にただしたいのですが、そういう私は一社化とか、自分たちとして合併とか、そういう個々の問題を私は論じているのじゃない。なおまた、もう一点は、通産大臣は、いわゆる融通さえうまくいけばいけるのだという考えを持っておられるけれども、融通前の、電力を製造するという、作るというところに問題があるのですよ。したがって私たちの再々編成という問題については、そういうようないわゆる合併論を、会社々々の合併論をさして言うのじゃなくて、先ほども言われたように、電気料金が各社まちまち、これはおかしいと思うのですね。今から考えれば、電気のいわゆる家庭の必需という問題については、これは電気税の問題でもたびたび言ったように、どこに住んでも同じ値段で住めるのがあたりまえです。少なくとも生活必需品として考えれば……。そうすると、根本的にそういう電気料金という面は一つでなければならぬ、北海道から九州まで。しかしながら、用エネルギーという問題は、これは若干やはり自己のコマーシャルベースがあると思いますから、これは別だと思います。しかしながら、いわゆる家庭用電気というようなものは一本であってしかるべきだ。しかし、今格差はついている。こういう点の矛盾はかえって通産大臣が考えるべきだ。現状に格差があるから合併できないという、そういう問題ではなくて、その根本問題をたださなければならぬ。そうすれば、どこから出てきているかといえば、先ほどから私がいっているように、開発にあまり資金が投入されるから、あるいは金利があまり高いから、あるいはまたそれに対するところの保証があるから、結局それが全部コストにかかってきて、原価主義からくるところの料金にはね返ってくるというならば、今の料金制度を考えるならば、今の大企業とか、そういう動力でエネルギーを使っているものは、いわゆる一般の家庭用のあれを、極端にいえば、食いものにしているというのですよ。だから、もっと家庭用を下げて全国一律にする、そういう形が最も望ましい形じゃないか。そのためには現在の形態なりでは無理である。そういう立場から再々編成という問題が出てくるならば、これはどこどこを合併するという問題でなくて、開発をどうするかという問題、あるいは資金繰りをどうするか、資金繰りとなるところの金利をどうするか、こういう問題から考えてくるならば、必ずしも過去の電発なり、日発なりがいいとはいいませんけれども、それから開発部門とサービス部門とはおのずから分かれてこなければならぬのじゃないか、こういう立場からのものの考え方であって、ただ融通だけいっているからこれでもういいんだということでは、これではいつになったって電気料金の問題が出てきますよ。この根本問題を通産大臣はどう処理されようとしているのか。たまたま再々編成が付託されたから、通産大臣はある程度の構想を持っておられるのでしょう。先ほど計画というお話が出ましたが、どういう計画でいかれるのか、この点を明確にお聞きしたい。
  106. 福田一

    国務大臣福田一君) 広域運営といううちには、電力融通の問題もありますが、開発の問題も含まれておるということはあなたのほうがよくおわかりだと思うのであります。そういう意味で、開発の問題を含めて私は申し上げておったつもりであります。もし言葉が足りなければここで訂正をさしていただきたいと思います。そういうわけでありますから、今家庭用電気料金を全部一本化してはどうかというお話でありますが、これは一本化するということになれば、一番安いほうにさや寄せするというならばできるのでありますが、高いほうにさや寄せするということになったら大へんな紛争が起きるだろうと思います。それからまた電気料金全般について各社全部あらい直してみるとか、いろいろな問題が起きてくると思います。その家庭用料金と、大会社が使う料金との問題、昔は非常に格差がありました。格差が非常にあったというのは、水力が中心になっていた時代に、水というものは夜でも昼でも流れておりますから、流れておる夜の分を使ってやれば安い電気が供給できたというところに、いわゆる非常に安い電気を大企業にやることができたということになりますから、今日になってみると、そういうわけには参りません。だんだん発電地点がそういいのがなくなってきた。そうして、もう一方においては、むしろ油のほうが安い。火力になりますと、夜も昼もありません。一定のあれで発電するということになりますから、安い電力を特に大企業に渡たすというわけにもいかないということになっておるので――これは釈迦に説法しておるようですから、私はあなたにこういう議論というか、お話をするというのはどうかと思いますが、あなたのいわれる家庭電灯料というものは日本一本にするのが筋じゃないかというお考えには私は決して反対はいたしません。これは一種の米みたいなものですから、米が一升一定の値段ならば、電気も一定にしたらばいいんじゃないかというお考えの方向に反対はしておりません。しかし、それをやる時期等はよほど慎重にやりませんと、今いったようにいろいろな波紋を起こすおそれがある。そのことがプラスになるかどうかということはいろいろ考えて、政治は現実ですから、理想だけを追うわけにはいかないから、現実の姿の中からみて、それが適当であるかどうかということを考えてみてやらなければならないでしょう。こういうことを考えておるわけであります。
  107. 向井長年

    ○向井長年君 時間がございませんから、もうこれ以上いいませんが、しかしそういう重大な大きな問題を付託されたということならば、現在の審議会の委員、あるいは構成――いろいろな階層の代表的な性格を持っておりますね。会社の社長とか、企業の代表とか出ておりますが、こういう根本論を審議する場合においては、そういう人たちが審議することが望ましいのかどうか、かえって逆に――これは今までやったものはいいですよ、いろいろな観点から見るためにはいいけれども、そういう形態まで一応付託してやらそうとするならば、こういう委員の人たちには利害得失、いろいろ相反する問題があると思うのですよ。そういうところでこういうことを付託してまとまるかという問題、そういう立場から考えて、こういう重大な問題については少なくともそう簡単にできる問題じゃないし、先ほど局長は八月にはこの問題も含めて成案を得て答申したいのだとこういっておるけれども、こんなものは私は八月までにできないと思っておるのですよ、こういう問題を付託された場合にはね。したがって、大臣はそういう根本的な再々編成まで付託されるのならば、そういう委員会でなくて、もっと高度な、あるいはもっと学識経験、あるいは日本産業、電力、エネルギー、経済情勢を勘案した中で、あるいは外国の実情もありましょうが、そういう中で検討しなければ、ちょっと無理じゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。それと同時に、八月までにという答弁がありましたけれども、事実そういう問題を含めて八月までにできますか、この点だけはっきりしていただきたい。
  108. 福田一

    国務大臣福田一君) 委員の人選の問題につきましては、なかなかこれはむずかしい問題がいろいろあると思う。そういうものでまとまるかというお話でありますが、まとまらないというのも一つの結論であります。よくそういう審議会もたくさんあります。また、それが利害が対立しておる場合に、なかなかまとまらないという場合もあり得るのであります。それはまとまらないというところに、そこに一つの結論が出ておるわけであります。私は民主主義というものはそういうものだろうと思っておるわけであります。そういうものでありますが、しかし、この委員の人選が間違っておるかどうかということになりますと、いろいろ考え方もあろうと思います。われわれとしては、まあ一般の方も、労働組合の方も入っておりますし、それから婦人会の代表の方も入っておりますし、各層を網羅しておるつもりであります。  なお、今局長が八月を目途にしてそういう結論を出したい、出すように考えておる、こういう話でありましたが、それは一種の目途を示したというわけでありまして、それがはたして八月にきちんと出るものか、なかなか無理で、出ると断言するわけにいかないと思いますが、しかし、かといって、こういう問題をのんべんだらりんとほっておくわけにもいきません。また、時限立法で二年間となっておりますから、できるだけ早く出そうとするのは事務当局として当然であると思います。しかし、またそれは八月に間違いないかとこういわれたときに、まあそういうつもりでおりますと申し上げるよりほかないと思います。
  109. 向井長年

    ○向井長年君 いろいろお聞きしましたが、まだまだお聞きしたいことがたくさんあるのであります。しかし、先ほど言われたように、そういうことが閣僚の中からたびたび言われ、あるいは大臣もそういう考え方を持っておられるわけなので、日本の今後のエネルギー対策、あるいはまた産業構造の中において電気事業のやはり根本的ないわゆる検討というものは必要になると思う。したがって、大臣みずからそれこそ前向きの姿勢で徹底的に、現在の会社をおそれずに、そして日本の電気事業というものはどういうふうに今後立て直さなければいけないか、こういう問題について慎重に検討を願いたいと思います。また、いろいろと御意見をお聞きしますが、終わりたいと思います。
  110. 奥むめお

    ○奥むめお君 おそくなってお気の毒でございますが、私は国産品の品質そのものについて、今流通革命といわれておりますね。おそらく政府としては、外国からどんどん品物が入ってくることを案じていらっしゃると思う。国内品が売れなくなりはせぬか、とってかわりはせんか。外国品がどんどん売れるようになってくると、われわれからいえば、買物をする者がねらわれているということを痛感しておるのですよ。この際でございますね、この際に、日本の生活必需物資そのほかのものがほんとうにいいんだ、よくて安いのだといわれるようにするために、どういうことをしていらっしゃいますか、まずそこから伺いたい。
  111. 福田一

    国務大臣福田一君) それは、消費行政といいますか、消費者行政といいますか、その根幹は、一般の国民に安くてしかもよい品物を提供するというのが一番大きな問題だと思うのであります。その場合においては、やはり産業自体に力をつけて、大量生産の形でもって、安い、いい品物を作らせるというのも一つの方法でありましょう。それから流通機構が非常に円滑でございませんというと、そういう面で、作っておるところは安いが、遠く離れたところでは非常に高くなるというような問題も出てくるでしょう。あるいは流通の媒体が幾つもあって、三つも四つも五つも通ってくるということになると、これまた値段が非常に高くなるということがありますから、流通機構という問題は非常に大きな問題だと思っております。と同時に、またいかにしても日本ではできないものがあれば、場合によっては海外からそういう品物が入ってくるということも、これは消費者行政という立場から見れば、無視するわけにはいかないと思います。そういうような観点から、消費者に対する援護といいますか、いい品物を安く提供するという工夫をいたしているわけであります。
  112. 奥むめお

    ○奥むめお君 それだけでは、私まだ一つ大事なものが欠けていると思う。私はこの問題は特に考えていただきたいと思うのですけれども、それは買いものをする人の目を肥やすということ、いいものと悪いものを選別をするということに政府は力を落としていると思うのです。これは今でも、現にそう思うのですね。第一、今の三十八年度の予算を見ましても、通産行政の膨大な額から見れば、ほんとうにわずかな六千四百万円くらいのものですけれども、消費者教育と言われるものが入っております。これについても私はその感じを非常に深くするのですが、いかがでしょうか。
  113. 福田一

    国務大臣福田一君) 今仰せのとおりでございまして、その点は私申し述べることを落としておりました。確かにこれは大事な問題でございまして、三十七年度には御承知のように約五千六百六十五万円ほど予算をとりまして、そして家庭用品の品質の表示、それから電気用品の取り締まり、工業の標準化、それから消費者協会への補助、割賦販売の適正化と公正な量目の確保に関する経費等を見ておりますが、三十八年度にはこれを約二二%ほどふやしまして、六千七百九十八万五千円にふやして、こういう行政をもっといっそう強化するようにいたしているわけであります。もちろんこの金でわれわれ満足しておるものではございませけれども、まあ順次奥さんの仰せになるような、消費者擁護の立場における行政の推進をして参りたい、かように考えております。
  114. 奥むめお

    ○奥むめお君 ことしの予算に、三本柱が立ててありますね。その一つが、国産品普及事業費補助金と出ていますね。私、きょうは資料を忘れてきたんで、借りましたけれども、それから消費生活合理化対策費補助金、国産機械愛用促進費、その国産機械愛用促進費というのが、私は日本製品をよくして、大いに売るための予算だと解釈しております。国産品普及事業費補助金、消費生活合理化対策費補助金、国産機械愛用促進費の三つの項目になっておりますね。そうしますと、これは一体どこに使われているかということをまず伺ってみたい。国産品普及事業費補助金から伺います。
  115. 福田一

    国務大臣福田一君) 詳しくは係の者から説明させますが、総額は二千八百三十四万三千円でございます。
  116. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) 国産品普及事業費補助金の内容を御説明申し上げます。四項目ございます。第一の項目は、テレビ・スポット放送費でございます。これは国産品を愛用させるためにテレビを通じてスポット放送をするという費用でございます。第二に、国産品の愛用を促進いたしますために、テレビのみならず、ポスターあるいはパンフレット等によりまして普及促進をはかるというのが、第二の項目に該当いたします。第三の項目といたしましては、優秀国産品をおもなデパートに陳列、展示いたすというような項目がございます。最後に、内外消費財の比較性能テストを行ないまして、国産品の優秀なることを科学的に一般国民に理解させようというのが、第四項目でございます。これらの合計が、先ほど大臣から申し上げました二千八百二十四万三千円ということになっております。
  117. 奥むめお

    ○奥むめお君 次の四百五十五万一千円というのは、消費生活合理化対策費補助金と書いてありますが、これは何ですか。
  118. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) これは財団法人日本消費者協会に対する補助金でございます。
  119. 奥むめお

    ○奥むめお君 全額消費者協会にいくのですか。
  120. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) さようでございます。
  121. 奥むめお

    ○奥むめお君 三番目の国産機械愛用促進費、これは大体わかります。これはよろしいです。前の消費生活合理化対策費補助金の四百五十五万一千円というのは何に使われるのですか、御存じであったらお知らせ下さい。
  122. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) この四百五十五万一千円の内応は、一つは商品の性能を比較テストいたしまして、これを消費者に正しく知らしめるという内容がおもな内容でございますが、このほか消費者協会が消費者の商品に関するクレームの処理、その他、買物相談に応ずるために、末端のいろいろな地区に対する事務の補助金を含んでおります。
  123. 奥むめお

    ○奥むめお君 消費者協会だけがその予算をもらって、ほかのところにはいかないのですか。
  124. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) 来年度の予算では一応そういうような工合になっております。来年度の予算の予定としては一応そういうようなふうに相なっております。
  125. 奥むめお

    ○奥むめお君 大田に聞いてほしいのですけれども、この間消費君協会の会合で、あなたの下僚が外国品日本品と比べて品質の弱るものは検査しないようにとおっしゃったように聞いている。私ども消費者の立場から言えば、劣っているものならなおテストして、どこが劣っているか、もっとよくしなさい、どうしたらよくなるかということを指導すべきじゃないかと思う。いいものばっかりテストしたって、それは商売の足しにはなるかもしれないけれども、私はほんとうの消費者生活合理化じゃないと思うのです。いかがでございますか。
  126. 福田一

    国務大臣福田一君) 仰せのとおり国産品愛用の立場から見れば、それは不親切だと思います。
  127. 奥むめお

    ○奥むめお君 それから、私は別によその団体はどうという、ちっともそういうけちな根性で言うのじゃないけれども、前に商品検査したときに業界から横やりが入って、そうしてずっとあやまって歩いた。発表したことについて問題が出た。こういうことは、テストする人というのは独自の権威を持って、だれが何と言っても、正しいものは正しいのだという信念でしなければいけないと思うのですね。こういうことがやっぱりあったんですね。私どもそういうテストではちょっと信頼できない。消費者はもっと独自のテストを待たなければならない、こういう気持になるわけですね。それから日本の業者は非常に不道徳ですよ。この間もアメリカからコンシュマス・ユニオンの二人の調査口が来まして、私もその講義を聞きましたけれども、コンシュマス・ユニオンが広告に使うことならないという規則をちゃんと掲げながら、テストの結果を発表する、日本ではそれを利用して広告しているものが少なくない。こういう根性でいい品物をこしらえさせるという政府の親心がはたしてうまくいくかどうか、私はその根性を直せることが消費者の生活の合理化であり、業界の指導であると思うのです。そういうことが足りなくて、あなた方予算だけ組んで、そうして消費者行政ができてるいというふうな顔をするのではないかと、非常に私はその点で、日本自由化を控えて、大へん心配いたしますね。いかがですか、商務課長さん。
  128. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) 先ほど大臣が申されましたとおり、内外の商品の比較テストにおきましては、たとえば国内品の劣っているものでありましても、そういうものでありましても取り上げて、どんどん商品の比較テストを行なっていくべきであると私は思っております。それから御指摘のありましたように、確かに消費者協会は現存まだ微力でございまして、先ほどおっしゃいましたマットレスの試験などでも、つまらないミステークをやって、当時問題をかもしたわけでありますが、消費者協会も生れまして、いまや二年目になろうとしておりますので、だんだんそういう事務的な不都合さは今後是正されてゆくものと私どもは期待いたしております。まあ現在の消費者協会の行き方ないしは消費者行政につきましては、私どもこれで決して十分であるというように考えておるわけではございませんので、今後、御指摘のような点は大いに消費者協会その他の者も督励いたしますし、私どもも消費者のための消費者行政というような考え方をさらに徹底して行政を進めて参りたいというふうに思っております。
  129. 奥むめお

    ○奥むめお君 これも大臣に聞いてもらいたいのですけれども、国策として取り上げますと、いつでもみつにたかるアリのように要領のいい人がたかるのですよ。そうして国費が乱費されることになる。国民のために役に立たないことになる。私はそういうことがないように今のうちに……。国産愛用なんという言葉じゃ人はもうついてゆきません。いいものさえ作ればいいのですよ。いいものを作らせることに引っぱっていってもらいたい。いいものか悪いものかを判別させる力を作ってもらいたい。これが消費者行政だと思うのです。そうしますと、そういう買物をする側の立場に立った予算というものはお組みになる意思がないのか。そしてそのほうに、たとえば農林省は生活改良というものをどんどんやっていますわね。これは農村の生活指導。アメリカ製品が来ようと何が来ようとびくともしない消費者を作るということが商人――売る人と作る人とともにある仕事なんでして、この人たちに、日本の品物だけれどもこれは大丈夫だ、外国のものよりはこっちのほうが確かにいいものだと、こういう信念を植えつけさせる仕事が通産省の仕事、消費者行政だと思うのですよ。そのほうをしないでおいて予算だけとって、そして何にも家庭のほうには働きかけられない。こういうことでまた二年たちますね。これは何としてもこの方法を改めてもらいたいというのが私の念願です。この間もコンシュマス・ユニオンが来ましたときに、聴講券が千円以上ですよ。ですから会社の人ばかり来ている。政府の予算をとってやっているのですよ、消費者行政の。その入場料が千円以上ですよ。そんなもので消費者教育していると言えますか。これはアメリカの人も聞いていましたよ、どういう人が来ているかと。聞いてみると、あれは業界の人らしい。私どもには何にも呼びに来ないですね。そうしますと、業界の人相手だったら金が入る、金が入ればできる。私もそれだけの金を払って入りましたよ。そういうふうな消費者行政というものがあってはならんということを私はしっかり考えて、方針を改めてもらわないと、日本の消費者は何にも知らないです。いかがでしょうか、大臣。いろんな、そういうことなら私幾らでも持っています。
  130. 福田一

    国務大臣福田一君) 今お話を聞いて実は私その実情を明らかにしたわけなんでございます。どうもそういうような会合にそれほど多額の聴講料をとってやるということはあんまり賛成いたしかねます。
  131. 奥むめお

    ○奥むめお君 賛成しないどころじゃない……。大臣に聞いてもらいたいのは、その講義の内容といったら純然たる消費者向けの講義です。私、お隣の人にも前の人にも感想を聞きましたけれども、きょうは僕ら来る段じゃないですよと言っている。金もらうにはそういうところに持っていかなければしようがない。ですから通産省は知りながら、そういうことをさせるのだから、私は予算をめちゃめちゃに使うことは絶対ならんということをかたく言いたい。
  132. 福田一

    国務大臣福田一君) ちょっと速記をとめて。
  133. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  134. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記を始めて下さい。
  135. 奥むめお

    ○奥むめお君 私は同じような仕事をしておるし、私もそこの役員です。役員ですから、どんな立場でも仕事はあるほどいいという立場で入っております。しかし、そういうふうに通産省がなさると私は予算がもったいない、それを私は大臣にとくと申し上げておきたいと思います。予算をどうぞむだに使わないで、ほんとうに買い物をする消費者を教育するためには方法があるはずだということを申し上げておきたいのです。これで終わります。
  136. 福田一

    国務大臣福田一君) 御趣旨に従って十分指導をいたして参りたいと思っております。
  137. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ほかに御発言もなければ、本件に関する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会をいたします。    午後四時四十二分散会    ――――・――――