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1963-06-26 第43回国会 参議院 災害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十六日(水曜日)    午前十一時五十分開会   —————————————   委員の異動 六月二十六日   辞任      補欠選任    坪山 徳弥君  館  哲二君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     辻  武寿君    理事            藤野 繁雄君            米田 正文君            吉田忠三郎君            村尾 重雄君    委員            井川 伊平君            稲浦 鹿藏君            小柳 牧衞君            館  哲二君            林田 正治君            森部 隆輔君            矢山 有作君            小林 篤一君            岩間 正男君   国務大臣    農 林 大 臣 重政 誠之君   政府委員    大蔵政務次官  池田 清志君    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林省大臣官房    長       桧垣徳太郎君    建設政務次官  松沢 雄藏君    建設省道路局長 平井  学君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (長雨等災害対策に関する件) ○積雪寒冷特別地域における道路交通  の確保に関する特別措置法の一部を  改正する法律案内閣提出予備審  査) ○天災による被害農林漁業者等に対す  る資金の融通に関する暫定措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、  予備審査)   —————————————
  2. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 災害対策樹立に関する調査として、長雨等災害対策に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は御発言願います。
  3. 矢山有作

    矢山有作君 大臣、すわったままやりますから、どうぞすわったままでお答え下さい。  きょうは、実はこの間、檜垣官房長に来ていただいて、今度の長雨災害対策に関する問題でお聞きをしたわけです。ところが、その中で明瞭にされてない問題がありますし、もっとも政府ですでにこれまで明示されたものもありますが、それらを除いて、不明確な点についてお尋ねをしたいと思うのです。と同時に、きょう私どものほうで大蔵大臣出席を求めましたのは、農林大臣は非常に農業理解があって、農民立場で一生懸命やっていただいておるのだろうと思うのですが、ともすれば、大蔵省がなかなか財布の紐を締めて、十分の対策が打ち出せない面があるのじゃないか、こういうふうに考えましたので、来ていただいて、この委員会における論議も聞いていただき、さらに大蔵省考え方もあわせて伺いたい、こういう立場で出ていただいたわけです。今私どもも、大臣がお見えになっておれば、陳情もお聞きになれたと思いますが、まあ、何も今聞かぬでも、平素どんどん災害地帯からの陳情は受けておいでになると思う。われわれもそういう陳情を数多く受けておりますし、またこの間、私も党のほうから中国地方の災害の実地を視察して参りましたので、そういうところからきょうは質問をさせていただきたい、このように思っております。  質問に入ります前に、御承知のように、政府のほうでは、三十六年に農業基本法という法律を制定されたわけです。私は、今の農政というのは、その農業基本法というものを踏まえて打ち出されてきておるのだというふうに解釈をしております。ただ、その施策が十分であるかどうかという点については、われわれとしては非常に不十分な点が多々あるということを申し上げなければならぬのが実は残念なんですが、いずれにしても、農業基本法を踏まえての対策だと思うのですが、そうした場合に、農業基本法一つの大きな中心のねらいになっておるのは、農業の自然的経済的な、さらに社会的な不備を補正して、生産性の格差を是正する。そして農業従事者所得の町上をはかっていくのだ、そして他産業従事者との均衡をした生活ができるようにする、こういうことが中心目標になっておると思うのです。そうすると、そのことを踏まえて、今度の災害実情というものを認識して具体的な対策が出てこなければならぬはずだと私ども考えております。政府のほうでは、農業基本法を、私が今言いましたように、十分に御理解になって対策を立てられておるのかどうか、そういうことで、まず、各個の問題に入っていく前に、前提として、そうした大筋の問題についてお考えをひとつ聞かしていただきたい。こういうふうに思うわけです。それに基づいて、具体的な質問に二、三入らしていただきたいと思います。
  4. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 農業基本法は、御承知のとおりに、農政の向かうべき方向を定めたものでありまして、私どもは、この農業基本法の示すところに従って具体的に方策を立て、あるいは財政措置をやり、あるいは法令を制定いたしまして、その農業基本法の目的とするところを実現いたすために努力をいたしておる次第であります。
  5. 矢山有作

    矢山有作君 今見ると、今度のここに提案になっておるものに、それぞれ今度の災害対策に関連して、天災融資法の一部改正等の問題も出ておるようですが、この内容は、私今もらったばかりでまだ検討しておりませんので、だからそのことを前置きにして具体的な質問に入ります。  今おっしゃったような農業基本法に対する御理解をお持ちになり、それを踏まえて今次の災害対策をやられるということになると、基本法で見ると、第十条に「農業災害に関する施策」というものが出ておるわけですね。それを見ると、政府のほうは、「国は、災害によって農業の再生産が阻害されることを防止する」、さらに、「農業経営の安定を図る」、このことを目標にして「災害による損失の合理的な補てん等必要な施策を講ずる」、こうなっておるわけです。  そうすると、農業基本法の基本的な精神からいけば、この第十条の規定というものを十分に満足させるような施策が今度の災害に対してはほしいわけです。災害規模等については、先般農林省のほうから、六月十日の調査で補正した資料をいただきました。総額七百二十六億であります。こういうことになっておるようですが、しかし、災害実態というのは、私どもが現地で見た状態のもとでは、そういうふうなワク内にとてもとどまらない。しかも、現在の災害の数字はそういうふうに集計されておるけれども、今度の災害によって、今後に及ぼしてくる影響まで考えた場合には、これは全くとてつもない被害実態になるのじゃないか、まさに、大臣も今言われたように、未曽有災害なんですね。そうすると、未曽有災害に対する対策というものをお考えになる場合に、とかく、お役人の方の場合だったら、既往法律がこうで既往制度がこうだ、だから現在の法律制度のもとではこれはできないのだ、こういうことが往々にして答弁の中に出てくるわけです。私どもは、そういう話なら、きょう何も大臣に来ていただいて御意見をお伺いする必要はないのであって、私は、今次の災害実態に照らして、既往法律制度にとらわれないような、まさに基本法趣旨を生かすような抜本的な施策がほしいわけです。  そういうところから、まずお伺いしたいのは、天災融資法適用の問題について、先般の本会議あるいは委員会等を通じて、大まかな点はお示しになりました。ところが、具体的にその適用にあたって、どういうふうに適用していこうとしておるのか、さらに今度改正考えておられる場合には、具体的な改正内容というのはどういうふうになっておるのか、この点をひとつ。先ほど言いましたように、今資料が出てきたばかりで、見ておりませんので、ここでひとつ、決定したことをお示し願いたいし、さらに、改正をされようとしておることを御説明を願いたいと思います。
  6. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 天災融資法は、御承知のとおりに、これを適用することは、すでに政令を制定いたしまして、決定をいたしておりますが、その激甚災害地区も、これはまだ指定をいたしておりませんが、中央防災会議の議を経て指定をいたすことになっておりますが、激甚災害指定を受けますと、償還期間が二年延びるとか、あるいは融資の限度が大きくなる、こういうことはありますが、三分五厘の低利資金融資するには、さらに農家所得のたしか五〇%以上の災害がある農家についてのみ三分五厘の低利融資ができる、こういうことに法律がなっておると思うのであります。  そこで、今回の災害の状況が、先ほどお述べになりましたように、これはもう非常に広範にわたりまして、しかも史上まれにみる大災害でありますので、しかも、全国平均に申しますというと、麦による生産高というものは、農業生産高に対して五%であります。むろん、これは県によって違いますが、平均的に見ますと、麦が全部だめになっても、これは五%ということになって、多くは、今回の災害激甚災害を受けた農家として三分五厘の融資を受けるものはないだろう、ほとんどないだろう、こういうことが想像できますので、それでは、今回の災害重大性にかんがみて、どうもうまくない。であるから、民生を安定せしめる、こういろ意味において、それの特別を設ける、こういうことにいたしたの例、ただいまお話しになりました特例法であります。これは一両日中にも提案をいたしたいと考えておるわけであります。  そこで、その内容を申し上げますと、第一点は、災害が八割以上あるということ、それから災害が、農家農業年間収入の一割——現行法におきましては、農家農業年間収入の二分の一の災害がある場合に、三分五厘が適用になる、それを一割、農業年間収入の一割以上の災害がその農家にあった、しかもそれは八〇%以上の災害である、被害である、という場合に、この三分五厘の適用をしよう、それからもう一点は、据置期間をおくほうが実態に即するということで、据置期間を一年おくことにしよう、これが今回のこの特例法の骨子になっておるわけであります。こういうことにいたしますというと、三分五厘の低利融資を受けることができることになる農家が相当程度出てくるというふうに見込んでおるわけであります。
  7. 矢山有作

    矢山有作君 今、農業収入の一割の被害があり、しかもそれは八〇%以上の災害とおっしゃったのですが、そこのところをもうちょっと説明して下さい。ちょっと十分わからなかったのですが。
  8. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 大臣がお話し申し上げたとおりでございますが、御承知のように、現行天災融資法では、天災融資法適用を受ける、いわゆる被害農家定義を、農作物等によって受けた被害金額当該農家年間農業収入の一割——百分の十をこえる場合には被害農業者となり得るということになって、被害農業者定義がはっきりいたしておるわけであります。それで、これに対しまして、三分五厘の低金利融資を受け得る資格者は、年間収入の百分の五十以上被害を受けた場合に限るということになっておるわけですが、その条件を緩和いたしまして、被害農業者であって、麦、菜種等裏作物の総被害額当該作物の平年収入額の八〇%以上の壊滅的な被害を受けた農家については、それ以上の条件を付さないで三分五厘の適用農家となし得るという改正を現在検討中なわけでございます。
  9. 矢山有作

    矢山有作君 わかりました。それで、その場合に、これは大臣にお伺いしたいのですが、問題になるのは、今御説明になったような激しい災害を受けた農家に対して、なるほど適用基準は引き下げられて、金利等も安くなるということは、これは事実です。しかし、災害を受けて、収入に対して非常に激減をし、あるいは収入皆無というような状態も起こっておるところに対して、金を貸してやるのだ——これは、借りた金は必ず返さにゃならぬ。しかも、それに対しては、利子はなるほど下がっておりますが、利子を取るのだ、こういうことで、ほんとうに再生産確保し、他産業従事者との所得均衡確保するような災害対策と言えるのかどうか。私どもは、そこに大きな問題があると思う。やはり、このような異常災害に対しては、農業の再生産と、さらに所得の向上をはかっていくためには、むしろ利子をとるということに対して問題があるのじゃないか。私どもは、この際、農業基本法趣旨を生かしていただくためにも、無利息融資考えられないのかということを強く主張しておるわけです。その点はやはりよくお考えをいただかぬと、基本法趣旨というものは踏みにじられてくると思うのですがね。
  10. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは、非常に今の矢山さんの御意見は、根本的な、重大な私は御意見であると思うのであります。矢山さんのような御意見に従うというと、いやしくも災害があった場合には、全部無利子な金を貸せということに、私は究極はなると思うのです。現在のところは、御承知のとおり、天災融資法というものがありまして、災害救済及び農作物の再生産確保ということを目標にして、ああいう法律ができておるわけであります。私どもは、やはりその制度の最も有利な条件を、今回の災害については、民生安定のために適用しようと、こういう考えで今度の特例法を作っておるわけであります。根本的に災害政府が補償すべしという根本理念に立っておられる矢山さんとしては、当然のそれは御意見であろうと思いますが、私どもはそう考えておらない。災害はすべて政府が補償するというふうには考えておらないわけであります。これはあくまでも、農業一つ企業でありますから、損得は常にある。あるいは災害もある。けれども、それがために、その企業が壊滅的の打撃を受けるというような場合には、これは政府としてもできるだけの救済をする、こういう立場に立ってやっておるわけであります。
  11. 矢山有作

    矢山有作君 それは、なるほど根本的な理念の相違です。私どものほうも、何も、ちょっと災害があったから、それはすぐ全部国家で補償せいと言うておるのじゃないのでして、このような大災害に対して、再生産確保しよとういうのなら、もっと思い切った施策が必要じゃないかということを言っておるわけです。このことであなたと幾ら議論してみたところで、これは立っておる基本的な理念が違うわけですから、これはもう水かけ論に終わると思うのです。  ここで私はお伺いしたいのは、このような措置に対して、大蔵省はどういうふうに考えておらるれのか。おそらく、農林省からこういう改正案が提示されて、大蔵省にも御相談があったことと思うので、これは全面的に受け入れて、それだけの予算措置はとられるのだと思いますけれども、どういうふうにお考えになっておりますか。大蔵省のほうの御意見をひとつ承っておきたいと思うのです。
  12. 池田清志

    政府委員池田清志君) 今回の長雨によりまする被害が甚大でありますことは、お示しのとおりでございます。先ほど来、農林大臣がお答えを申し上げておりますように、集計をいたしました当時の時点としては、七百二十六億円の被害というものをもちまして、これについての救済と申しましょうか、対策を講じておるわけです。これにつきましては、まず政府がやりますことは、既存の法制においてできることはそれでやっていく。早く迅速にやる、こういうことでございます。なおそれでやることのできないことについては、新しく法制をお願いをいたしまして進めていくというのでありますが、それが、つまり、天災融資法特別措置というようなことも、その一つの現れでございます。その内容につきましては、農林大臣からなる御説明がありましたわけで、これは制度として進めて参るのでありまするから、大蔵省といたしましては、この方針に従って進めていくつもりでございます。
  13. 矢山有作

    矢山有作君 それで、もう一つ問題になりますのは、一応お示しいただいたように、農業収入の一割、しかもそれが、その農作物の八〇%以上の被害があった場合に、いわゆる三分五厘の利率適用する、こういう改正趣旨だと承ったのですが、往々、実際にこれを適用していく場合に、きびしくワクを締め上げて適用していくということが従来見られてきたのです。今度の災害というのは、やはり実態を的確に把握されて、特に今農林省でつかんでおられる災害実態よりも、今後ますますその被害が拡大するということは、おそらくあなた方も予想されておるだろうと思う。私どももそういう予想に立っておるのです。したがって、こういう基準をきびしく適用された場合には、しかも現在の調査時点に立って適用する場合には、この改正をやられても、ほんとうの効果が上がってこないと思うのですが、その点について、今後の運用を、もし改正案が成立した場合に運用を、その点を十分に配慮していただきたいと思うのですが、それに対するお考え方を承りたい。
  14. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは、十分に今回の災害についての認識を深めるように、政府機関関係金融機関のほうにも申し入れをいたしておる。昨日も農林漁業金融公庫総裁を呼びまして、これは他の問題でありますが、自創資金融資についての条件緩和問題等、いろいろ私と話しをしておりますが、すでにもう総裁としての考え方で、おおむね私と意見が一致しておりますが、それらはすでに末端までその体制を整えておるようであります。したがって、ただいまのお示しのようなことも、私は心配はないと思っておるんですが、さらにこれは十分に示達をいたしまして、ことさらにきびしくなるというようなことのないように、合理的に運用をするように重ねて注意をいたします。
  15. 矢山有作

    矢山有作君 その点で、私も十分の措置をとっていただきたいと思いますが、とかく末端にいきますと、被災農民立場をそのまま反映しないような査定が行なわれることがありますので、そういうことのないように、十分な配慮を願いたいと思います。と同時に、私は先ほど、特に無利息融資考えるべきじゃないかと言いましたのは、この天災融資法の三分五厘の利率適用融資をやっても、なおかつ救済のできないような被害者が、調査された場合には出てくると思うのです。そういう者は、三分五厘の利子を払って金は借りられないのだから仕方がありませんという態度をとられるのか。何かそういうものに対する救済措置というものを考えておられるのか。私どもは、そういうような経営農家にしても、やはり農家として再生産だけは確保してやらなければならぬわけですから、それに対する対策を具体的にどう展開するかということが問題だと思うのです。大体金を借りるということすら、そのような被災農民にとっては非常な負担になるわけですから、まして三分五厘にしろ、利子を払うという力はない。そういう非常な激しい、天災融資法救済されない農民に対する対策というものを、ひとつ私どもは、あるならば聞かしていただきたいと思うわけです。
  16. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私は、やりり天災融資法だけではございませんが、自作農創設資金融資でありますとか、あるいは種苗についての政府の助成の問題でありますとか、あるいは共済金の仮払いをやる、さらに加えて、三十八年産米概算払いをやる、あらゆる手段をとってやるわけでありますが、それでどうも救済ができないというようなことには、私は大体ならぬと思うのですが、しかし、たくさんの農家の中でありますから、どういう状態のものでどうしてもいかぬというようなものができるかもしれません。しかし、これはもはや、農業政策救済をするという線からはずれたものだろうと思うのでありまして、そういうものは、別途これは社会施設その他によって救済するよりほかはない、こういうふうに私は考えております。
  17. 矢山有作

    矢山有作君 なるほどおっしゃったように、自創資金もあります。それから共済金の支払いということもあるでしょう。あるいは三十八年産米概算払いということもあります。それらによって救済できないものは農業政策上の救済対象にならぬとおっしゃるわけですが、しかし、それならば、今次の災害に対して、政府としてそれらの救済対策をどう考えるのかということは、これは農林省の所管ではないにしても、農民という立場考えたならば、農林大臣が積極的にその意思を持って、これはやはり政府として方針を出さなければならぬ問題だと思うのです。そういうことで突っ放されたのでは、そういうような零細な農民というのは、これは浮かばれてこない。しかも、今度の災害実態から見て、共済金等対象救済される農民がどれだけあるかということを考えた場合に、私はこれは非常に疑問だと思う。この問題はまたあとから触れますけれども、たとえば、簡単に申し上げましても、麦の共済の加入の状態をお考えになってもわかると思う。果樹やその他の蔬菜については、何らの共済措置がないわけです。そうするならば、そういう大臣の御答弁のようなことで突っ放されたのでは、私は今度の災害対策ではきわめて不十分になると思うのですがね。
  18. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私は、矢山さんの言われるような場合が絶無とは申しかねるわけでありますけれども、先ほど申しましたとおりに、ほとんど大部分のものは、これで救済できると私は思っておる。自創資金のごときものを活用いたしますれば、野菜を栽培しておるものであろうと、果樹をやっておるものであろうと、自創資金によってはすべてその対象になり得るのでありますから、私は、矢山さんが言われるようなことは、きわめてレアケースであろうと思うのでありますが、それについて何らの手を打たないのかと言われるわけでありますが、具体的にそういうものが出ますれば、現行社会保障制度等によってなお不十分であるという、そうしてまた、それ以上にやらなければならぬというようなケースが出てきますれば、これは考えなければならぬと思うのでありますが、私は大体これでいけるんじゃないかと思っておるのですがね。
  19. 矢山有作

    矢山有作君 まあ農林大臣農民実情というものをどれだけ知っておいでになるかならぬか、おそらく私は十分に把握なさっておらぬからそういう気楽なことがおっしゃれると思うのです。私は、実は個人的な話をして申しわけないのですが、昭和二十年のあの大災害のときに——大洪水のときですね、あのときに、私はちょうど復員をしてきたのです。ところが、私のところの地区というのは、川岸に大体田畑が十八町歩ほどある。ところが、堤防が切れて、そこに幾ら少なくても一尺ひどいところは一丈からの土砂が積もった。私は、もうここの農家は壊滅だ、とてもじゃないが、こんなものが復旧できるわけがないと考えていた。ところが、私自身も、おやじに言われて、牛の尻にそりをくっつけて、そうして土砂の運び出しを半年ほどやりました。それを農民は、驚くなかれ三カ年間続けたのです。そうして、その田畑は復旧しております。ところが、その間における農民の苦しみというものは、どれだけ生活状態を切り下げているか。これは、実際被災農民でなければ私はわからぬと思う。そういう実態農民の現在の実態であるということを私は十分御認識願わなければならぬと思う。と同時に、そういうような農業状態に追い込んだというのは、やはり今の日本の政治のあり方に問題があるんですからね。そうすれば、やはり救済対策にしたところで、今私が例示しましたような天災融資法救済できないようなもの、あるいは自創資金共済金や、あるいは米の概算払い救済できないものはきわめてレアだなどとは言っておれないのです。現在の農民が再生産確保しておるというのは、いわゆる飢餓状態を続けながらの再生産、と極端に言えば言えないことはない。自分の生活状態を切り下げておる再生産である。これは、正常な意味での再生産確保じゃないんです。この点を御認識願って、今後の災害対策というものを総合的に考えていただきたいと思うのです。  ここで、じゃすぐこの災害に対して、私どもが今言いましたようなケースに対しては、無利息ぐらいな融資に踏み切ってもらいたいと思いますが、それだけでなしに、今御説明したような実態を踏まえて今後の総合的な災害対策というのが政府に立てられてこなければ、そのときそのときの災害に対処して場当たり的な政策をとっておったのでは、いわゆる正常な形での再生産確保はできないし、所得の格差の是正にはなりません。このことを私ははっきり申し上げたいと思うのです。今後の展望として、政府で今までどおりに、依然としてこのような場当たり的な災害対策で切り抜けていこうとせられるのか。あるいは明治以来だといわれるような大災害に会ったこの時点を踏まえて、総合的な災害対策というものを考えてみようという御意思があるのか、この点をひとつ今後の問題の一つとしてはお伺いしておきたいと思うのです。
  20. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 御承知のとおりに、災害救済制度といたしましては、先般も御協賛を得ました農業災害共済制度というものを、拡充、充実をしていくのが第一であると思うのであります。それから第二は、ただいま問題にもなっておりますようなこの天災融資法激甚災害措置というようなものによって、制度的にこれを救済をしていくという行き方でいくのがいいと思うのであります。なお、大災害の場合におきましては、今次のような、種苗についてどうするとか、食糧をどうするとか、あるいは飼料についてどうするというようなこの問題を、災害の程度に応じまして、緊急迅速に措置をしていくということでいかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  21. 矢山有作

    矢山有作君 大臣、非常に共済制度の拡充強化ということに大きな期待を持っておられるようですけれどもね。この間、共済法の一部改正案が出た審議の状態なり、あるいは一部改正の中身を見たときに、しかも将来の共済制度の拡充強化に関する政府の展望についての考え方をお伺いしたときに、私どもは、御答弁の中でおっしゃっているように、共済制度に期待をしてこういう災害対策の確立をはかっていくということは、これはもうおそらくできないのじゃないかという失望を感じているのです。特に今度の災害の場合には、共済対象になっている麦だけじゃないのです。果樹もあれば、野菜もある。菜種、除虫菊、その他の工芸作物全般にわたっておるわけですね。ところが、これに対して、じゃ共済対象になっているか——なっちゃおらぬ。なるほど、果樹共済については、今試験段階だといわれる。ところが、それじゃ試験段階が経過した後に、いつごろ果樹共済をやる見込みがあるのかということをお尋ねしたときに、その目安は立たぬとおっしゃった。そういう状態の中で、災害対策として共済制度を大きくクローズ・アップされてみたところで、それはただ政府の今次の災害に対する言い抜けだけであって、私はそれは実がならぬと思います。もし、それをそこまでお考えになるなら、真剣に災害対策をお考えになるなら、真剣に将来の共済制度に対する抜本的な改正というものを考えなければならぬ。私どもがこの間共済法に反対をしたときに、与党の代表の方が、災害に対する国家補償を考えるのは、それは土地国有を考え、あるいは共有を考え、強制労働まで考えられる人たちの言い分だと、こういうことをおっしゃった。そういう感覚であられたのでは、共済制度に対する抜本的な改正はわれわれは期待することはできないのです。私どもは、なぜ災害に対して抜本的な共済制度を作れということを言っておるかといいますと、私もこの間調べてみたのですが、三十四年の十一月に、全国の農協大会というものがあったわけです。あるいは三十五年の二月に全国の都道府県の農協中央会会長の会議があった。ここらの会議の状況を見ておると、現在の農済制度に対しては期待できないということで、どういうことを言っておるかというと、こういうことを言っておるのです。今のような共済保険方式を廃止してしまえ、むしろ災害に対しては国家補償方式を確立すべきだということを打ち出してきておるのです。これはもう農民の声なんです、このことが。また農民は、今まで自分の農業経営の中の実態、体験の中から、もう災害に対する自分たちの立ち上がりは国家補償しかないのだということを肌で感じておるのです。そのことを私は新しい農政を展開されようとする政府に期待せざるを得ないのですが、そういう点で、この間の農済法の審議の経過、さらに今後の共済制度のあり方等について、どういうふうにお考えになりますか。
  22. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私は、根本的に、やはり先ほども申し上げましたとおり、矢山さんと思想を異にしておる、その点は。でありますから、これは幾ら申し上げても御了解を得ることはできないと思いますが、私は、共済制度というものは、現在の共済制度は、ただいま申されたとおりに、あるいは菜種とか、あるいは野菜とかそういうものはその対象になっておらぬ。だから、将来共済制度というものはだめなんだというふうに言われることは、私は当たらないと思うのです。私は、拡充充実を将来して、この共済制度によって農家災害救済するという建前であくまでもいかなければならぬ、そうしなければ、農業災害というものに対しては、まるで政府がみんなしりをぬぐうのだというようなことでは、これは農業経営の自立というものは私はないと思う。そういう考え方は私はとらない。あくまでも、この制度の充実をする、拡充をしていく、こういう建前でいくのが私は筋道であろうと考えておるのです。
  23. 矢山有作

    矢山有作君 これは、口でおっしゃるのは、そういうふうにおっしゃるのです。ところが、共済制度の拡充充実の問題一つを取り上げてみても、この前の共済制度の協議会があって、各党からそれぞれ参加もし、また農業関係の団体も参加をして、あれだけの時間と労力を費やして、かなり抜本的な前向きの改正案ができたのです。ところが、その改正案すらほとんど取り上げられてないじゃないですか。なるほど一部採用になっております。しかし、あの採用の状態では、大臣大臣という立場を離れて、あなたが一個の個人となって、あの共済制度がなるほど協議会の答申のように充実されて、大いに前進する展望ができたのだということは、私はおっしゃれないと思うのです。あなたは大臣をしておられるから、あれで抜本改正なんだと、あれを足がかりにして強化充実なんだと、こうおっしゃる。ところが、それじゃ強化充実するために、たとえば、ただいま言いましたような、果樹共済に対してだって、どうするのですか、いつを目安にしてやるのですか、と言ったら、目安は立たぬとおっしゃるのでしょう。そういうようなことではだめだというのです。  それからなお、災害に対する国家補償ということが思想の違いだとおっしゃったが、これは思想の違いじゃない。われわれは社会党です。しかしながら、社会党だからといって、思想の立場から言ってない。ということは、農協の大会が、災害に対しては国家補償という措置が出てこなければ、あなたが今おっしゃった農業経営の自立はできないのだということを言っておるのです。あなたのほろは、災害国家補償なんていうことを言うと農業経営の自立はできないとおっしゃる。これは、農民並びに農民の団体とあなたとの間に根本的な開きがある。私どもの社会党との思想の開きじゃないのです。農民農民団体と今の政府とのものの考え方に根本的な相違がある。この点を十分認識されないといけませんよ。
  24. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 社会党であるから根本的に思想が違うということを言っておるのじゃないのです。それからまた、農業団体がそうだとおっしゃるが、これは一体ほんとうにそうであるかどうかということも十分に私は検討してみなければならぬと思うのでありますが、要するに、多くは、農家というのは、災害があったときは全部政府でしりをぬぐってくれれば、これは一番楽なので、そういうふうな考え方の傾向があるということは私もよく承知しております。しかし、大体みんな他力本願でやっているからいけないのであって、やっぱり自主的に自分の力でやっていくということが私は必要であろう、こういうふうに考えておるわけです。  それから、果樹については、いろいろ、いつできるかわからぬというようなことを言ったと言われるが、私はそういうことは言っておらぬですよ、そういうことは。私は、これはできるだけ早い機会にやるつもりでおる。私は、そんなものはいつやれるかわからぬというような、そういうことは言った覚えないですよ。
  25. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、私は質疑の中で言葉じりをとらえて議論をしようとは思いませんが、しかし、ただ単なる国会の通り一ぺんの質疑で終わるということじゃ、これは前向きの姿勢は出てこないと思う。したがって、ある程度失礼だと思いますが、議論をするような形になりますけれども、今おっしゃったような共済に対する考え方災害に対する補償の考え方というのは、それは思想の相違じゃないのです。これは考え方の相違なんです。思想という言葉は、そういうところにはつきません、これは。それが一つ。  それからもう一つおっしゃった中で、私は大臣がお取り消しになったほうがいいじゃないかと思いますのは、少なくとも、全国の農協大会なり、各都道府県の農協中央会長の会議で正式に決定を見ておるのです。これを御存じないはずはない。それは、農協陣営の考え方、しかもそれは農民を代表しておるのですが、その正式の会合で決定された決議がほんとうかどうか検討してみなければわからぬ、こうおっしゃったのは、これは大臣、お取り消しになったほうが、私はあなたのためだと思う。それからあなたは、農民なり、農民の代表である農業団体を御信頼ならぬのですか。私は、農民なり農業団体というものを信頼するのです。その点が二番目。  それからもう一つは、農民は他力にたよってやろうなんて考えておりませんよ。私自身の体験を今申し上げましたが、農民は、自分の食べる飯を減らしてでも、自分のほしいものを買わないででも、何とかして、国の措置が不十分だから、自分の力で立ち上がろうと思って今日までやってきておるのじゃないですか。やってきておるから、これだけ、何と申しますか、他の産業に比べて激しい格差をつけられながら、なおかつ農業生産を維持しておるのです。こういう点について、これは根本的にあなたの認識が間違っておりますよ。ということは、ひとりあなただけでなしに、政府の認識が間違っておりますよ。この点は、はっきり釈明なさっておいたほうが、私は今後の政府のためではないかと思う。さらに、行き過ぎた御答弁はお取り消しになっておいたほうが、私は政府のためじゃないかと思うので、御忠告を申し上げますが、どうですか。
  26. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 農協の大会の決議というのは、私はまだ見ておらぬのです。見ておりませんから、そういう決議があったなら、農協としてはそういう考えなんでしょう、それは。しかし、農業団体、農家全般の考え方というのは、農協の決議が全部を代表しているわけでもないのですから、だから、これは農家諸君全体としての考え方というのは、これは検討をしてみる私は必要がある、こういう意味で申し上げたわけであります。  それから他力本願ということを私は申し上げましたが、これは、矢山さんのような、非常にまじめにおやりになっておる方々も多数おられることは、もちろん私も承知しておるわけでありますが、しかし、農業一つ企業であると考えた場合には、やはり自主的にものごとを片づけていくと、そうして政府はわき役で、できるだけの援助、指導をしていくということが私は筋道であると考えておるのであります。そういう意味において、災害があったら何でも政府が全部しりをぬぐうんだという考えで国家補償というようなことを考えられるならば、私は筋道が違いやしないか、こういうことを私は申し上げたわけであります。
  27. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、議論ばかりしても仕方がありませんので、最後に一つだけ申し上げて、この議論は打ち切って、また後日議論をしたいと思うのですがね。  農協の決議があったことを知らぬとおっしゃるのは、これは知らないほうが悪いのです。少なくとも、大臣農政の専門家なんですから、おそらく農業団体との関係は非常に密接だと私は考えるのです。だから、これは御存じになっておるのが当然であるし、さらにまた、農協の全国大会できめたことが農民の意思を代表するものかどうかわからぬとおっしゃるけれども、そういうことをおっしゃるなら、一体、どういう機関で、どう出てきた考え方を信頼されるのか、私は、実にこれはとんでもないお考え方だと思う。ことほどさように、農民と農協を信頼しないで、農政は私は展開できぬと思います。だから、もしあなたが、今おっしゃったように、農民と農協に対しての不信感を持っておられるんなら、この不信感は絶対に払拭していただかなきゃいかぬ。そうしなかったら、施策の遂行ということは不可能になります。このことを一つ御忠告しておきたい。  さらにもう一つは、農業企業だ、こうおっしゃるんです。だからなるべく自主的に考えていけ、国にたよるな、こうおっしゃる。しかしながら、現在政府自身がとっておいでになる経済政策全般を考えながら、私は農林大臣にこのことを言っておきたいのです。なるほど、農業企業的な形をとっておるとは言えるでしょう。しかしながら、その企業的な形をとっておる農業が、今日の窮境に追い込まれておるということは、これは農民の責任じゃないですよ。先ほど来私が申し上げておるように、農民は、自分の生活を維持するということ、自分が生きていくためなんですから、自分が生きていくためにぐらい人間は真剣になるものはないのです。したがって、農民は真剣に企業経営をやっておる。ところが、幾ら真剣になって、生きんがために企業経営をやっても、農業経営をやっても、なおかつ成り立たないというのが現状なんですよ。このことをお考えにならなきゃいけない。しかも、政府が大企業に対してどういう政策を展開されておるか、このことを、あなたがもう少し閣僚会議その他で十分研究され、勉強されたら、所管の農林大臣として、農政に対する政府の手当がいかに薄いかということを私は実感をせられると思う。そういう真剣な検討をされておらないから、今のような御答弁が私は出てくると思うのです。だから、この点もひとつ、農民実情というものをもっと御理解なさるように、真剣な態度で、国の経済政策全般とにらみあわせて、いかに農業政策が貧困であるかということを、私は、あなたに勉強をしていただいて、農政の専門家の名に恥じないような農業政策を展開をしてほしいし、今次の災害対策を立ててほしい、このことを申し上げておきたいと思います。この問題については、それを申し上げて、もう議論はこれでやめます。  なお、具体的な問題で、この間官房長にお尋ねをして結論の出ておらない問題がもうほかに一、二あるんですが、時間が来ておりますので、簡単に申し上げますから、それに対して端的にお答えをいただきたいと思うのです。  一つは、非常に強い要望になって出ておる現在の麦作の現状から考えて、等外下麦はとにかく政府で責任をもって買ってくれ、こういうことを言っているわけですね。これは確かに、私は一つの激しい災害に遭遇した農民所得を、何とかして少しでも減少するのを防ごうとする切実な声だと思うのですが、これに対して、今まで御答弁の中で明らかになっておりますのは、等外上は、これは買い上げにきまっている。等外下のものについては、仕分けして、えさになるものは、農協系統にあっせんして買わせましょう、えさにならぬものは、これは共済の損害評価に入れましょう、こうおっしゃっている。ところが、それでは私は、今度の災害対策としては、災害実情からして、どうしても不十分だと思うのです。それは、先ほども言いましたように、麦の共済加入状況や、さらに災害の現実は、赤枯病が蔓延して、えさになるものはほとんどない、こう言われている。だから、今の政府方針救済することは不可能ですよ。だから、等外下については、この際私は、やはり思い切って全量買い上げの措置をやっていただきたい。食糧の買い入れは食管でなければやれないと、こうおっしゃるでしょう。さらにまた、えさで買い上げしようにも、飼料需給安定法の適用もできない、買い上げもできない、こうおっしゃる。なるほど、現行法律制度はそのとおりです。私は先ほども言いましたが、現行法律制度ワクをはみ出して措置していただきたいということを前提に申し上げているのです。この等外下の全量買い入れの措置がとられるのかどうか、ぜひそれをとっていただきたいということをお願いしたいと思う。
  28. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) お答えする前に、先ほどのお話について誤解があるといけませんので、ちょっと申し上げておきますが、私は、決して農協系統機関を信用していないのではないことは、これは申すまでもないことでありますが、こういう災害等につきましては、農協もさることながら、そのほかにも共済協会というような全国的な組織もあるのでありますから、それらの意見も参考にするのは当然のことであろう、こう考えて申し上げたわけであります。  それから、他のいろいろ産業政策、経済政策を考えて、農業に対してもう少し手厚く施策を講ずべきではないかという御意見でありますが、これはそのとおりであります。私も、そういう考えのもとに、たとえば、この災害につきましても、農業災害共済制度におきましても、できるだけ政府が掛金負担をするというような行き方をやっているのも、その一つの現われでありますから、ひとつ御了承を賜わりたいと思います。  それから、ただいまの等外下麦の買い入れの問題でございますが、食糧にもならぬ、えさにもならぬ、ほかに使い道のないものを買え、こうおっしゃるのは、これは買うのではなく、それだけのものをやれということなのです、意味は。それは、冒頭からお話が出ておりますように、政府が全部補償するという建前はとらない、こういう考え方でありますから、それによって御了承願いたいと思うのであります。全部政府が負担するというので、それに対してそれと同等の価値のものを、政府が、どういう名称ですか、見舞金とか何とかというようなもので交付するというわけには参らない。でありますから、それはあくまでも一つ制度対象として、これを全損と見て共済金をできるだけ多く交付ができるようなことを一面において考えましょう、こういうことを申し上げておるわけであります。
  29. 矢山有作

    矢山有作君 今おっしょったことは、今まですでに触れてきたことも関係があります。で、今の大臣のおっしゃられたことを了承せよとおっしゃてっも、私どもは了承できない。それと、もし一歩譲って考えた場合に、じゃ、えさに向くものを農協にあっせんするんだ、こうおっしゃるのですが、私は、現地に出た場合に、農協の方たちと会って話してみますと、農協では、そういうものは買えぬと言っております。そんなものを買っても、これはどうにもならなくなるだろう、こう言っておるのです。だから、えさに向くものくらいは政府でお買い上げになったらどうですか。
  30. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは、現実にこういう災害のありました場合に、やはり政府が中に入ってあっせんをして、農協と話し合いをして、えさに回して現在きておるわけでありますから、私といたしましては、それでひとつ十分農協のほうとも話し合いをして、そういうふうないき方でいきたい、こう考えておるわけであります。
  31. 矢山有作

    矢山有作君 農協と話し合いをなさるのはいいでしょうが、農協自体は、今そんなものは買わぬ、買ってもどう処理できるか、その保証もないんだから、こう言っておるわけなんで、まあ政府で今後圧力をかけて買わせればともかくとして、私はそんなことをしてもらっちゃ困ると思うのです。と同時に、農協を通じて買うもよろしい。よろしいが、その買い上げに対して、政府で何とか保証する方法はありませんか。この前このことをちょっと官房長に申し上げたら、何か、農協は民間団体だから、政府がそんなものを保証することはできぬといって突っぱねられたんですがね。それはそのとおりだと思います。しかし、実際問題として、買い上げの効果の上がらぬことをしろしろと言って見ても、これは実際災害対策にならぬのですね。だから、実際の買い上げ効果が上がっていくような方策を講じなければならぬわけです。だから、政府で何らかの形で研究されて、責任を持たれるのか。そこまでいかぬと、この買い上げは順調にいかぬということを私は申し上げておきたいと思うのですがね。
  32. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは具体的な問題になって参ると思うのであります。値段の問題もありましょうし、あるいはこの赤カビの含有率の問題もあるであろうと思うのでありますが、下麦を全部農協で買わすようにという考え方でいけば、これは農協も困ると思うのですが、ほんとうに飼料になる、いわゆる赤カビ病が一割、一〇%以内のようなもので、実際にえさになるものは、農協だって、これは農民の団体でありますから、農民がみんな困っておられるのに、農協はそういうめんどうなことはやらぬというようなことは、私はいけないと思うのです。現に、今日までそういう処置を講じてきておりますが、そういうふうなことで、農協はあくまでもそろばん勘定だけでやるのだというようなことは、現実には言われておらないのです。でありますから、これはひとつ力を合わせてやってみたいと思っております。
  33. 矢山有作

    矢山有作君 こう言えばああで、いろいろとおっしゃるのですがね、しかし、実際にえさに向くものを農協に買わせるということだけをとらえてみましても、えさになるものなんかがどれだけあるかということ自体が、すでに疑問なような状況なんですね、状況は。けさ朝日新聞を読んでおりましたら、天声人語というのがある。それに書いてあるのに、たんぼに立て札をして、「この麦をのけてくれた方には二千円さしあげますと書いてあるそうです。こういうことが所々方々で見られるのですよ。これは極端な例だと思います。しかし、事ほどさように、今度の災害というのはひどいのですね。この商業新聞で、実際が、今次の災害対策というのは農家生活につながる問題だ、農家が命がけで作った麦を売ることができぬような惨状なんだから、これに対する施策というのはよほど根本的に考えなければならぬということを書いておるのですね。そういう実態を認識していただいて、麦の買い入れの問題も処理していただきたいと思うのです。そうせぬと、御答弁でおっしゃったような調子では、麦一つを取り上げても、解決しませんよ、問題は。ましていわんや、麦以外の果樹、野菜やその他の工芸作物に対して、非常に広範に被害が及んでいるのに対して、この被害救済するような対策がない。だから、私ども農民立場に立って、このことをあなた方に御要求申し上げている。そのことを頭に入れておいていただきたい。通り一ぺんの災害対策では困りますよ。  この問題は、まだ災害に関する一部改正案等も出ておるのですから、そういう段階で、もっともっと私どものほうでは強く要求して参りたいと思いますが、もう何しろ私の時間がせっぱ詰まって参りましたので、もう一点お伺いしたいのです。  ただいまの陳情を聞きましても、種子の確保ということは非常に重大な問題になっているようです。種子確保対策が問題であると同時に、これに対する種子の購入費だとか、あるいは輸送費に対する補助をどうするかという問題も一つの焦点になっておるのです。ところが、これについては、この間の官房長の御答弁では、何とかして助長措置をとりたということで大蔵省と折衝しているのだ、こういう御答弁だったと思うのですが、その具体的な内容がおきまりになったのかどうか、おきまりになっておらないとすれば、どういうふうな具体的な話し合いをやっておられるのか、聞かしていただければ、おっしゃっていただきたいと思います。
  34. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 官房長が申しましたとおりに、私といたしましては、種子代なり、あるいはその運賃なり、そういうものについて助成をいたしたい、こう考えておるのであります。まだはっきりはきまっておらない。大蔵省のほうとの話が詰まっておらぬと思いますが、これはできるだけひとつ努力をして、そういうふうにいたしたい、こう考ております。
  35. 矢山有作

    矢山有作君 それに関連があるので、ついでにお尋ねしたいのですが、今度の災害というのは非常に広範な病虫害も引き起こしておるわけです。その病虫害というのは、今後のさらに稲作その他万般の農作物に対して大きな影響を持つということがいわれておるわけです。そうすれば、この病虫害対策の確立ということが必要なことは当然なことだと思う。すでに自治体では、それぞれ対策を立てて活動を開始しているようです。そうすれば、これに対して相当の経費を食うということも明らかだし、また農民の側にすれば、農薬購入費などで、例年にないこれは出費がかさむということも想像されるのです。そうすれば、先ほどの種子の問題とあわせて、これに対する対策をどういうふうに考えておられるのか。今後の生産に大きな影響を持つことだけに、ひとつお伺いをしておきたいと思うのです。
  36. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 農薬について助成をすることになるかどうかは、ちょっとにわかに私も言えませんが、私はやりたいと思っておるのですが、大蔵省のほうの意見もありまして、そうなるかどうかはわかりませんが、ただいまお話になりましたように、農薬を含めて、病害虫の駆除、予防について、何らかの助成をいたしたい、こういうふうに私は考えておる。まだそれは大蔵省との話が詰まっておりませんのが現在の段階です。
  37. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、大蔵省のほうから、これに対してどういう御見解を持っておられるのか、今までの農林大臣とのやりとりの中で、私ども考え方なり、災害実態というものは御了承いただけたと思いますので、今農林省と折衝しておいでになるこれらの問題、さらには、その他金融の問題等について、具体的なお考えがあるならば聞かせていただきたいし、それからもし、その考え方が煮詰まっておらないならば、私は、農林省からの要求がどの程度出されておるのかということについてはまだお伺いしておりませんけれども農林省から出された要求を十分尊重して御決定をいただきたいと思うのですが、この辺についてのお考えをひとつ承っておきたいと思います。
  38. 池田清志

    政府委員池田清志君) 先ほど来の御設問のことにつきまして、具体的なことのきまっておりませんことは、農林大臣からお答えしておるとおりでございます。ただいまのところ、農林、大蔵両省の間で事務的に検討を進めております。両省の意見一致いたしました後におきまする助成措置につきましては、その決定いたしましたように大蔵省としては進めたいと思います。
  39. 矢山有作

    矢山有作君 とかく、大蔵省は財布を握っておられるだけに、財布のひもをゆるめたがらぬのです。できるだけ財布を締めよう締めようというのが大蔵省の正体なんです。ところが、こういう異常な災害に対処するいわゆる政策としては、今までの大蔵省のそろばんだけをもってつじつまを合わせるというような考え方では、とうてい私は事にならぬと思うのです。したがって、災害実態なり、あるいはいろいろな問題は今十分御理解いただいたと思いますので、そういう点は、今までのようなそろばん勘定だけで物事を処理していくんだということでなしに、政務次官おいでになっておられる、政務次官も政治家なんで、これは私は非常にりっぱな政治家だと思っております。政治家の本領を発揮して、大蔵省の役人に引きずり回されないように、十分の措置をとっていただきたいと思います。そのことをひとつお願いをしておきます。  と同時に、大蔵省の場合に問題になりますのは、今まで地方交付税や特別交付税の問題等については、大体方針が出されております。もう一つ問題は、やはり税の減免の問題なんです。ところが、この税の減免についても、それぞれの法規を適用して減免措置その他をやると、こういう御答弁があります。私どもは、ぜひやっていただきたいと思うのですが、しかし、従来の例を見ますと、災害が起こったときには割合そういうことを真剣にお考えいただいておいでになるようです。ところが、災害の起こったときと税の賦課徴収をやるときとが違いますので、賦課徴収をやる段階になりますと、災害のことなんか忘れてしまって、下部の税務署では、取るだけ税金を取れという態度になるのです。これが現実なんですから、その点は十分指導していただきたいし、今度の災害実態というものを認識されて、農民被害というものを、また農民被害申告というものを尊重されて処置されるかどうか、そのことをひとつお伺いしたいと思います。
  40. 池田清志

    政府委員池田清志君) 国税あるいはまた地方税を減免するということは、災害対策の一環といたしまして、政府が進めておることは御案内のとおりでございます。今回の長雨対策につきましても、この点に留意をいたしまして、所得税法、災害の減免法といったような根本法規に基づきまして、すでにそれぞれ措置をいたしております。申告期間の延長でありますとか、申告についての御相談でありますとか、あるいはまた納税の延期でありますとか、いろいろな手を尽くしてやっておるわけでございまして、なおこの点は、本省ばかりでなく、末端に対しましても、それぞれ機関を通じまして通達をいたしております。御趣旨に沿うように、なおさら努力をいたします。
  41. 矢山有作

    矢山有作君 私に与えられた時間はもう過ぎておりますので、私の質問はこれで終わらしていただいて、さらに災害対策の具体的な問題で論議をされる段階に譲りたいと思いますが、しかし、今まで御質問を申し上げた中で、まだまだ触れてない問題がたくさんあるわけです。それらも含め、さらに私どもが言いましたようなことは、ただ委員会だけで言っておるということではないので、これはやはり農民の声なんですから、そのことを十分御認識いただいて、災害対策に対しては、さらに前進した姿を打ち出していただく努力をしてほしいと思うのです。特に、担当の主管大臣である重政農林大臣には、この点は強く私ども要求したいと思いますので、どうか善処していただくようにお願いを申し上げまして、私の質問は、きょうは終わらしていただきます。
  42. 小林篤一

    ○小林篤一君 まだ、これまで質問もございません、また方針も承っておらない点が一つあるのでございまして、これをひとつお伺いしたいと思うのでありますが、今回の災害につきましては、政府のほうではたいへん意欲的にお考えをいただいておるのでありますから、当然何か考えておられるのであろうと思うのでありますけれども、先ほど申し上げたように、まだ御意見は承っておらないのでありますが、政府のほうで何か施策をやろうとされましても、農協というものがやはり相当これに対しては力を入れていくんでないと、ほんとうの成績が上がらぬと私は思うのです。ところが、この災害のために、農協も非常に大きな痛手を受けておると思うのですが、たとえば麦であるとか、菜種であるとかいうようなものの取り扱い減少によって手数料が減る、あるいは保管料が減るというようなこと、また貸付金の回収がうまくいかない、あるいは貯金の減少を来たすとか、あるいは購買品の取り扱いなども減るというようなために、組合が経営上なかなかなか難点ができてくると私は実は思っておるのです。そうなりますと、せっかく農協に働かせよう、先ほどお話しのように、等外下麦の飼料になるようなものは農協にその始末をさせようというようなお話でありますがこれをやろうとしましても、あるいは買い取りをするような場合は損すうこともあるかもしれませんし、また、えさにならなくて、損失を来たすというようなこともありましょう。しかし、農協も、そういうことは覚悟でやらなければならぬ場合も、それは多々起こると思いますが、それにしましても、農協の経営というものがたいへん弱体化してきておる。思い切ってやれないような状態ではないかというようなことが懸念されるのであります。そこで、まずひとつ、わかっておればお伺いいたしたいのですが、一番今大きい問題は、麦、菜種等の取り扱い減少による手数料とか、保管料というものはたいへん減る。そうすると、農協の経営に非常に支障が起こるのでありますが、これらについての何かお調べができておりましょうかどうか、まずこれをひとつお伺いいたしたい。
  43. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) その問題は、実は私もお話を聞きまして、気にはいたしております。そこで、とりあえず、系統金融によって農協の運営が困らないようにしてもらいたいということで、中金のほうにその話はして、系統金融で一応はやっておるわけでありますが、ただいまお述べになりましたように、保管料の収入が減少する、あるいは手数料の収入が減少する、これは事実だろうと思います。ただ、それによりまして、農協がどの程度その影響をこうむるか、いろいろ農協にも、難解——と言っちゃ語弊がありますが、非常に基礎の強力なものもあれば弱体のものもある、それらにどういうふうに影響を及ぼすかということは、実はまだ調べができておりません。とりあえず、これは農家の保護を先にやるという建前で、今はそちらに手をつけてやっておるわけであります。そちらのほうは、農協関係はとりあえず系統金融ということで今やっておるわけであります。いずれ、それは実態を明らかにいたしまして、何らか措置する必要があるものにつきましては十分考えたい、こういうふうに考えます。
  44. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  45. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 速記を起こして。
  46. 小林篤一

    ○小林篤一君 ただいまお話しのとおり、まだお調べがついておらなければ、対策ができないことは断然でありますけれども、おそらく相当大きな減収になると思うのです。私のほうで、実は、農業団体について調べた数字−は、麦と菜種だけの取り扱い手数料と保管料を合わした収入減というものは、十三億六千万円になるという数字を持っておるのでございます。これは正確であるかどうか、私はわかりませんが、このぐらいの減収になるというと、金融だけでは思い切った対策が農協として立たないのではないか。非常に弱体化する農協ができはせぬかということをば私は心配しておるのです。そこで、農協を大いに活躍をさせたいというお考えだとすると、こういうことについても、金融だけでなしに、何かひとつ農協が大いに働けるようなふうなことをお考えを願いたいと、こういうことを御希望を申し上げておきたいのであります。
  47. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それは、むろん考えておりますが、先ほど申しましたように、実情の把握がまだできておりませんから、的確にどういうふうにしたらいいということは、今申し上げかねますけれども、十分ひとつこれは検討いたしまして、できるだけのことはいたしたいと考えます。
  48. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 農林大臣、この委員会には大臣出席するということは、そうあまりないのです。きょうは、幸い大臣出席しておりますから、こういう機会に、私は、農協ではなくて、災害対策というものについての基本をただしておきたいと思っておったわけですけれども、きょうは、たまたま時間も、当委員会の運営上、このあとに、たいへん今度の長雨災害をこうむった農村、あるいは農業団体の人々が期待をして、そして要望をいたしております法律提案がありますから、きょうはいたしませんけれども、今申し上げましたように、これから提案をされます天災法の一部改正趣旨を見ますと、果樹であるとか、お茶であるとか、あるいは桑、こういうものに対象中心として置かれておるように見受けられるわけなのです。  そこで先ほど来、かなり多岐にわたって、同僚議員の矢山君が、やや基本に触れる点について質問したり、意見を述べられて、答弁がありましたけれども、こういう問題は、冒頭に申し上げたように、まだまだ政府のこの対策については不十分な点がある。非常に言葉は悪いけれども、今の政府対策というものは、災害対策ではなくして、場当たり的な、つまり被害に対する応急対策にのみとどまっていると私は見るのです。ですから、こういう基本の議論はあとでやりますが、せっかく今、多少なりとも、現行法で適用できない、適用困難であるということで、少しでも前に向けて物事の解決をしようということの法律が出てきたので、この際、この点を一つだけ聞いておきたいと思います。  農林大臣も御承知のように、北海道では、五月の下旬から、まれに見る旱魃、強風の災害が全道的に発生したわけです。その中でも、特に、地名を申し上げますと、網走、十勝の地方管内では非常にその被害が多い。御承知のように、この地方は畑作農業中心であります。しかも、作柄が今非常に問題になっております。この甘味資源、つまりテンサイ、この被害が非常に多いのであります。北海道庁の調査資料を見ますと、被害面積は約五方ヘクタールぐらいになっております。金額は、今度の長雨から比較しますと、微々たるものだと思いますけれども、二十億程度になっておる、こう調査の結果が出ている。しかも、テンサイ関係については約五千ヘクタールくらい被害をこうむっている。こういう問題が新たに発生をしてきたわけです。  これを、今度しからば現行法でどう救済あるいは助成するかというふうにながめて見ますると、激甚法の中でも、私はなかなかこれは当てはまらないのではないかというような気がするし、それから天災法はもとよりであります。それから、今政府が一部改正しようとする法律案の中でも見つけることができないのですが、こういった特殊な災害について、一体農林大臣は、天災融資法による災害資金の融通をどうするか、これが一つ。それから二つ目には、自作農の維持資金融資についてどう考えているか。これは、ある意味においては大蔵省にも関係があります。こういう関係。それからもう一つは、テンサイ関係については、もはや再播をしなければならないものだと私は思うのです。こういう場合に、種子代に対する助成にどの法律運用適用していくかということは、やはり問題になろうとか思うのですが、この機会に農林大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。
  49. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは、群馬、埼玉、栃木の降ひょう害、突風の災害と一緒に扱うことに大体考えております。したがって、天災融資法適用はいたすことになると思うのであります。大体そういうつもりで、今政府部内で関係方面と折衝をいたしております。大体そういうことになろうと思います。  それから自作農資金融資の方法でありますが、これは、先ほど申し上げましたとおりに、公庫の総裁を招致いたしまして、条件緩和等につきまして私から話をいたしまして、そういうふうに考えますということになっておりますから、自作農の資金の融通につきましては、できるだけ実情に合わして融資をするようになると思うのであります。それからワクの問題でありますが、これはまだきめておりませんが、大体これは長雨も含めての話でありますが、不足のないようにワクは増ワクをいたしたい、こう考えております。  それから再播の種子の問題でありますが、これは、その種子を補助するといたしますれば、これは予算の問題になるわけでありまして、法令の問題ではございません。これは、そういうことでありますれば、ひとつ何らかの方法によって検討をしたいと、こう考えております。
  50. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これは、大臣から好意ある御答がありまして、それでけっこうだと思いますけれども、ぜひ、こういう特殊な——大臣が申されたように、埼玉県あるいは栃木県で起きたような問題は特殊な問題なんですね。ですから、それだけに、一般のたとえば今次の長雨であるとか、あるいは台風の災害であるとか、等々の災害とやはり同列に扱っていくということに特に配慮をしていただきたいということを申し上げ、私の質問を終わっておきたいと思います。
  51. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  52. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 次に、積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。松沢建設政務次官
  53. 松澤雄藏

    政府委員(松沢雄藏君) ただいま議題となりました積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  北海道、東北、北陸等積雪寒冷特別地域における産業の振興と民生の安定に寄与するため、その基本的対策一つとして、昭和三十一年四月、積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法が制定され、自来、同法に基づいて、積雪寒冷特別地域における道路交通確保を特に必要とする主要道路について、除雪、防雪及び凍雪害の防止に関する事業が実施されて参ったのであります。  今日まで約七年に及ぶこれら事業の実績は、相当の効果を上げ、これら地域住民の福祉に貢献していることはもちろんでありますが、昭和三十八年一月豪雪による災害実態にかんがみて、これら事業をより一そう推進する必要があると考えるものであります。これに関連して、この際、指定区間内の一級国道における直轄事業に要する費用にかかる国の負担割合について道路法の特例を定め、地方負担の軽減をはかる必要があると考え、この法律案を提出した次第であります。  その要旨ほ、建設大臣道路交通確保五カ年計画に基づいて実施する指定区間内の一級国道についての除雪、防雪または凍雪害の防止の事業に要する費用にかかる国の負担割合を三分の二とすることとしたものであります。  以上が、この法律案提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  54. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。   —————————————
  55. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 次に、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。大谷農林政務次官
  56. 大谷贇雄

    政府委員(大谷贇雄君) ただいま提案になりました天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、本年一月から二月までの降雪及び低温により、果樹等の永年性植物の折損、落葉等による樹体被害が相当広範囲に発生したことにかんがみ、現行天災融資法によっては、このような態様の被害を受けた農業者に対して十分な経営資金の融通措置を講じがたいので、天災融資法の一部を改正して、果樹等の樹体被害天災融資法上の損失額として取り扱うことができるよう措置するために提出いたすものであります。  改正点の第一は、天災による果樹、茶樹または桑樹の損傷等による損失額が、その栽培する果樹、茶樹または桑樹の被害時における価額の百分の三十以上である旨の市町村長の認定を受けた農業者を、天災融資法に基づく国の助成を受けて貸し付けられる経営資金を借り入れることができる被害農業者とすることであります。  第二は、天災によるこれらの永年性植物の樹体被害率が百分の五十(開拓者の場合は百分の四十)以上である旨の市町村長の認定を受けた農業者を特別被害農業者とし、天災融資法による経営資金のうち利率が特に年三分五厘以内と定められているものを借り入れることができるようにすることであります。  以上が、この法律案提案いたす理由及びその内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  57. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十五分散会