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1963-06-24 第43回国会 参議院 国際労働条約第87号等特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十四日(月曜日)    午後一時四十九分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            斎藤  昇君            徳永 正利君            永岡 光治君    委員            加藤 武徳君            亀井  光君            鈴木 恭一君            増原 恵吉君            三木與吉郎君            吉江 勝保君            小林  武君            鶴園 哲夫君            野々山一三君            小平 芳平君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君    労 働 大 臣 大橋 武夫君    自 治 大 臣 篠田 弘作君   政府委員    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正弘君    外務政務次官  飯塚 定輔君    外務省国際連合    局長      高橋  覚君    労働省労政局長 堀  秀夫君    自治省行政局長 佐久間 彊君    事務局側常任委    員会専門員   伊藤  清君    常任委員会専門    員       鈴木  武君    常任委員会専門    員       結城司郎次君    常任委員会専門    員       増本 甲吉君     —————————————   本日の会議に付した案件結社の自由及び団結権保護に関す  る条約(第八十七号)の締結につい  て  承認を求めるの件(内閣提出予備  審査) ○公共企業体等労働関係法の一部を改  正する法律案内閣提出予備審  査) ○地方公営企業労働関係法の一部を改  正する法律案内閣提出予備審  査) ○国家公務員法の一部を改正する法律  案(内閣提出予備審査) ○地方公務員法の一部を改正する法律  案(内閣提出予備審査)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから国際労働条約第八十七号等特別委員会を開会いたします。  それでは、結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案国家公務員法の一部を改正する法律案地方公務員法の一部を改正する法律案、以上、予備審査の五案件を便宜一括して議題とし、関係政府当局より、順次提案理由の説明を聴取いたします。  まず、結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件について御説明願います。大平外務大臣
  3. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ただいま議題となりました結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  結社の自由及び団結権保護に関する条約は、一九四八年七月九日に、国際労働機関の総会の第三十一回会期においてサン・フランシスコで採択されたものであります。  この条約は、その前文にもありますとおり、国際労働機関憲章が、結社の自由の原則労働条件改善、平和の確立等の手段であるとしていることにかんがみ、この原則国際的規制のもとに確保することを目的として作成されたものであり、条約規定された内容は、団体設立及び加入の自由、団体自主運営団体の停止及び解散に対する保障連合及び国際的団体設立及び加入の自由、法人格の取得に対する保障等労働者及び使用者結社の自由を保障し、その団結権保護することについての一般的な原則を定めたものであります。  わが国におきましては、憲法、労働組合法公共企業体等労働関係法地方公営企業労働関係法国家公務員法地方公務員法等によって、条約規定する保障はおおむねこれを確保しているのでありますが、代表者選出自由等については、これを本条約規定に適合させるため、現在国会に関係法律改正法律案提案しているところでありまして、これらの成立につき御承認を得た暁には、この条約規定わが国において完全に実現されることとなりますので、このことを条約の批准によって世界に示し、国際的な規制のもとに右の諸原則実施を確保いたしますことは、わが国労使関係における正常な労働慣行確立する上からも、また、労働問題の分野におけるわが国国際的地位を高める上からも、きわめて有意義であると信じます。  よってここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、両案につき御説明願います。大橋労働大臣
  5. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  政府としましては、自由にして民主的な労働組合の発展を期するという労働政策の基本的な立場から、結社の自由及び団結権保護に関する条約を批准する方針を決定したのでありますが、これに伴い、公共企業体等労働関係法及び地方公営企業労働関係法中、職員でなければ組合組合員または役員になることができない規定その他団結権に関する規定改正する必要があるのであります。また、これらの規定改正するにあたって、これに関連して公共企業体等及び地方公営企業体等業務の正常な運営を確保するため公労法及び地公労法関係規定について所要整備を行なうことといたし、本法律案提案することといたした次第であります。  以下、両法律案概要について御説明申し上げます。  先ず第一に、現行公労法第四条第三項及び地公労法第五条第三項は、職員でなければ、組合組合員またはその役員となることができない旨を定めておりますが、これらの規定は、結社の自由及び団結権保護に関する条約第二条に定める労働者団体に対する無差別加入原則並びに第三条の代表者の自由な選出についての規定に抵触いたしますので、これらの規定を削除することといたしております。  第二に、公労法第四条第一項ただし書き及び地公労法第五条第一項ただし書きに、管理監督地位にある者及び機密事務を取り扱う者は、労働組合を結成し、またはこれに加入することができない旨の規定がありますが、この規定も、この際、条約第二条の趣旨にかんがみ削除することといたしております。  第三に、前に述べました公労法第四条第三項、地公労法第五条第三項を削除することに関連して、争議行為を共謀、教唆、扇動することを禁止される者の範囲に職員以外の組合員及び役員を加えることとするとともに、公労法第十七条及び地公労法第十一条において争議行為等を禁止されていることからいたしまして、このような禁止された行為を行なうことを内容とする労働組合の決定または指令は、関係労働組合並びにその組合員及び役員を拘束しないものと条理上解されるのでありますが、この際その旨を明らかにすることといたしております。  第四に、現行公労法及び地公労法におきましては、職員でなければ組合役員となることができないこととされていることに関連して、当局は、職員職員としての身分を持ちながら、労働組合役員としてもっぱら組合事務に従事することを認めることができる旨の規定が設けられておりますが、本改正案におきまして右の制限規定を削除することといたしておりますことに対応し、これらの職員が、本来、職務に専念する義務を保有するものであることにかんがみ、いわゆる在籍専従制度を廃止することといたしております。しかしながら、この点については、別途附則において、法律施行の日から三年間は、なお従来どおり在籍専従を認めることができることといたしております。  以上が公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案提案するに至った理由及びその概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、国家公務員法の一部を改正する法律案につき御説明願います。大橋国務大臣
  7. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この改正案は、結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)を批准することとするに際しまして、国家公務員団結権に関する規定改正いたしますとともに、これに関連して所要規定整備を行ない、あわせて国家公務員人事管理に関する責任体制確立するため、総理府総務長官国務大臣をもって充てることとし、総理府に内局として人事局を設ける等所要改正を行なおうとするものであります。  現行国家公務員法のもとにおきましては、職員団体役員は、すべて職員の中から選任すべきものとされ、職員でない者が職員団体代表者となることが認められず、また消防庁職員は、警察職員等と同様その団結が禁止されているのでありますが、これらの点は、職員の自由な団結及びその代表者自由選出等条約保障しようとする団結権原則に沿わないものと認められますので、この際、条約趣旨に適合するように現行制度改正するとともに、これに関連して職員団体に関する所要規定整備することといたしました。また今後における当局職員団体との間に正常な労働関係を維持確立するためには、職員団体について期待される自主性責任性確立と対応して、当局側についても、その人事管理に関する責任体制整備する必要があるのにかんがみ、この際、従来から責任関係に明確を欠くきらいのありました中央人事行政機構を改編整備することといたした次第であります。  以下、改正案の主要な点についてその概要を簡単に御説明いたします。  まず、職員団体に関する一節を第九節として新たに設け、職員団体に関する事項で現在国家公務員法服務事項として規定されているもの及び人事院規則規定されているもの等をまとめてこの節に法定することといたしました。第一に、職員団体の定義を設け、その目的及び性格を明確に規定し、第二に、職員団結権について規定いたしました。ここで従来と異なります点は、条約趣旨にかんがみ、警察職員等団結を禁止される職員のうちから消防庁職員を除くこと、及び管理もしくは監督地位にある職員または機密事務を取り扱う職員はこれらの職員以外の職員が組織する職員団体加入することができないこととするほか、次に述べる登録制度との関係において、その身分について係争中の離職者等職員団体加入及び職員でない者の職員団体役員就任が否定されることのないように改めることであります。第三に、職員団体登録制度及び職員団体交渉につきまして、その手続及び要件等必要な事項を法定することといたしました。新たに法定されることとなるものの内容は、現在人事院規則で定められております事項とおおむね同様でございます。第四に、代表者自由選出原則を取り入れることと対応いたしまして、公務員は、全体の奉仕者として公共利益のため、本来その職務に専念すべき義務を有している基本的性格にかんがみ、職員が、職員団体業務にもっぱら従事することを認めるいわゆる在籍専従制度は、この際これを廃止することといたしまた。しかしながら、この法律施行後なお三年間は、過渡的措置として従前の例により得ることといたしております。  次は、人事行政機構改正でありますが、現行制度におきましては、国家公務員人事行政のうち、一般職職員に関するものの大部分は、人事院中央人事行政機関としてその実施の衝に当たっておりますが、一部の事務は、特別職職員に関するものとともに、内閣総理大臣または大蔵大臣所掌とされております点を改め、国家公務員人事行政に関する実施部門を一元的に整理統合することといたしました。すなわち、国家公務員法中の職員に関する人事行政の公正の確保及び職員利益保護に関する事務職員給与その他の勤務条件改善及び人事行政改善に関する勧告、試験、苦情の処理等内閣から独立して職務を行なう中立的第三者機関が扱うことを適当とするものは、従来どおり人事院所掌とし、それ以外の事項は、すべて内閣総理大臣所掌事項に改めるとともに、現在人事院規則で定められている重要事項は、この際法定することといたしました。これに伴い、内閣総理大臣所掌事項についてこれを補佐する総理府総務長官国務大臣をもって充てることに改めるとともに、その事務を担当する部局として総理府人事局を設置し、これに、現在大蔵省主計局所掌している共済組合退職手当特別職職員給与制度に関する事項等をもあわせ所掌させることとして、関係法律改正することといたしたのであります。  なお、人事院につきましては、その内閣との関係人事官身分保障事務部局の組織に関する自主管理等現行建前をおおむね踏襲するほか、給与改善等に関する勧告制度は、その手続等すべて現行どおりこれを存置することとして、独立的機関としての機能の遂行に遺憾のないよう配慮を加えた次第であります。  この法律案は、以上の趣旨に基づきまして、国家国務員法及びその他の関係法律改正を行なうとともに、必要な経過措置規定いたしたものであります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  8. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、地方公務員法の一部を改正する法律案につき御説明願います。篠田自治大臣
  9. 篠田弘作

    国務大臣篠田弘作君) ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この改正案は、今回結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)を批准することとするに際しまして、同条約趣旨を実現するため、国家公務員職員団体に関する規定改正に準じて、地方公務貴職員団体に関する規定改正するとともに、これに関連して所要規定整備を行なおうとするものであります。  第一は、職員団体とは、職員が、その勤務条件維持改善をはかることを目的として組織する団体またはその連合体をいうものとし、その性格を明らかにいたしたのであります。また、第八十七号条約趣旨にかんがみ、職員団体がその目的を達成するために必要な要件である自主性を確保するため、管理もしくは監督地位にある職員または機密事務を取り扱う職員は、これらの職員以外の職員が組織する職員団体加入することができないものと  いたしました。  第二は、職員団体登録についての改正であります。職員団体が所定の要件に適合している場合には、一定の手続によって登録される現行法建前は変更いたしておりませんが、登録に関する事務は、中立第三者立場にある人事委員会または公平委員会が行なうことにいたしました。なお、第八十七号条約趣旨とする代表者自由選出原則に照らし、職員でない者の役員就任を認めている職員団体をそのゆえをもって登録要件に適合しないものと解してはならないことを明らかにいたしたのであります。  第三は、職員団体交渉についてであります。職員団体地方公共団体当局とが交渉を行なうに際し、交渉の対象とすることができない事項職員団体交渉することのできる当局を明確にいたしますとともに、交渉に当たる者及びその員数、議題、時間、場所その他交渉が正常に行なわれるために必要な手続及び条件規定し、交渉における秩序を確保し、よき労働慣行確立に資することとしたのであります。  第四は、職員団体のための職員行為制限に関する事項でありますが、職員職員団体業務にもっぱら従事することを認めるいわゆる在籍専従制度は、代表者自由選出原則を取り入れることと対応いたしまして、全体の奉仕者として公共利益のため、その職務に専念すべき義務を負う公務員の基本的な性格にかんがみ、この際、これを廃止することといたしたのであります。ただ、この法律施行後三年間は、任命権者は、公務に支障のない限り、在籍専従を許可することができる旨の経過措置を設けることといたしております。  第五は、職員給与支払いに関する事項であります。職員に対する給与支払いについては、労働基準法に定められておりますが、この改正案においては、国家公務員の場合と同様の建前で、給与支払いについての原則地方公務員法自体において規定することといたしたのであります。その他、地方公務員職員団体に関する規定改正に伴い所要規定整備をはかることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。
  10. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 自後の審査は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。    午後二時七分散会      ——————————