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1963-06-06 第43回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年六月六日(木曜日) 午後一時二十七分開会
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
青柳
秀夫
君 理事
成瀬
幡治
君 中尾 辰義君
委員
石原幹市郎
君 後藤 義隆君 郡 祐一君
西郷吉之助
君 斎藤 昇君 長谷川 仁君 増原
恵吉
君 吉江 勝保君
秋山
長造
君
小酒井義男
君 市川 房枝君
国務大臣
自 治 大 臣
篠田
弘作
君
政府委員
警察庁刑事局長
宮地
直邦君
法務省刑事局長
竹内
寿平
君
自治省選挙局長
松村
清之
君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
公職選挙法改正
に関する
調査
(
昭和
三十八年四月に行なわれた
地方公共
団体
の
議会
の
議員
及び長の
選挙
の執
行状況等
に関する件)
—————————————
青柳秀夫
1
○
委員長
(
青柳秀夫
君) これより
公職選挙法改正
に関する
特別委員会
を開会いたします。
公職選挙法改正
に関する
調査
を議題といたします。
昭和
三十八年四月に行なわれました
地方公共団体
の
議会
の
議員
及び長の
選挙
の
執行状況等
に関する件について
調査
を行ないます。 まず、
当局
の
説明
を求めます。
自治省選挙局長松村清之
君。
松村清之
2
○
政府委員
(
松村清之
君) 去る四月に行なわれました
統一地方選挙
の概要について御
説明
申し上げます。 お
手元
に厚い
プリント
と薄い
プリント
とお配り申してございますが、薄いほうの分を参照しながら簡単に御
説明
いたしたいと存じます。 今度の
統一地方選挙
は、昨年一二月の
臨時国会
で成立いたしました
選挙期日等
の
臨時特例法
に基づく
選挙
でございまして、第五回目の
統一選挙
でございます。 その
選挙
の
執行件数
につきましては、お
手元
の表の一ページの上欄にございますように、
全国
の
都道府県議会議員
、二十
都道府県知事
を含めまして、
全国
で三千二百十三件の
件数
でございました。これは、全部の
地方選挙
から申しまして、四六%に当たる
件数
でございます。その選ばれた人数も、下の欄にございますように、四万七千人に及んだのでございます。 次に、今度の
統一地方選挙
は、昨年
選挙
の
公明化
をはかりますために大幅に
改正
をせられました
選挙法
に基づいて行なわれました初めての
統一地方選挙
であったのでございます。また、今度の
統一地方選挙
に際しましては、
公明選挙
への
機運
というものが
全国
的に盛り上がっておりまして、
公明選挙
の
宣言
を行ないました
地方団体
も、高知、岐阜、福島の三県を含めまして
全国
で百九十九
地方団体
が
公明選挙
の
宣言
をいたしております。また、
宣言
まで至らない、
公明選挙
の決議が
議会
で行なわれました
地方団体
もそのほかに多数に上っております。また、昨年十二月には、国でも、
地方選挙
としては例のない
予備費
の支出を
選挙
の
公明化
のために行なったのでございます。このような
公明選挙
への気運、各方面の
公明選挙
への
努力
にもかかわりませず、後ほど
警察
のほうからお述べになると思いますが、たくさんの
違反事件
が起きましたことは、まことに遺憾に存ずるところでございます。 次に、ページの下の欄にございます
競争率
の問題でございますが、これは、この表で
ごらん
のように、
知事選挙
につきましては、
前回
の三十四年に比べまして、
競争率
が少し高くなっておりますが、他の
選挙
はおしなべて若干下回っておるのでございます。 この
競争率
に関連しまして、今度の
選挙
の
一つ
の
特徴
は、無
投票
の
当選
が非常に多かったことでございます。二ページの上欄に数字が上がっておりますが、
都道府県議会議員
について九%、
知事
につきましては二十人のうち四人が、それから
市長
は二一%、
町村長
に至っては、四一%が無
投票当選
ということであったのでございます。 次に、
投票率
の問題でございますが、二ページの下欄にありますが、これにつきましては、
ごらん
のように、特別市の
選挙
につきましては
前回
より少し上回っておりますが、その他につきましては、若干
前回
より下回っております。これは推測でございますけれ
ども
、無
投票当選者
が多かったように、一部では非常に激しかったかと思いますけれ
ども
、
競争
がそれほど激しくなかった所が多かったよではなかろうか。そういうことが
投票率
が下回ったということの
一つ
の
原因
ではなかろうかと、こういうふうに考えられるのでございます。その他にも
原因
があるかと思いますが、そういうふうに考えられます。
投票率
につきまして今度の
選挙
で注目すべきことは、この表で
ごらん
になればおわかりのことと存じますが、
婦人
の
投票率
が男子の
投票
をすべての
選挙
を通じて上回ったということでございます。
都道府県議会議員
と
知事
の
選挙
につきましては、今度初めてそういうことになったのでございます。その他の
選挙
につきましても、
前回
の
婦人
の
投票率
は上回っておりましたが、その傾向を今回は強めておるようにうかがわれます。これは、
一つ
の今度の
統一地方選挙
の
特徴
であろうかと思います。 それから、次の三ページの表でございますが、この表から、
無所属
の
当選者
ということが一応注目されるのでございますが、今度の
選挙
は、
政党化
ということが非常に議論されたわけでございます。何をもって
政党化
というかということについては、いろいろ見る基準がございましょうが、
当選者
の
政党所属
の
状況
ということもその
一つ
ではなかろうかと思います。その
意味
でこの
無所属
の
状況
をながめてみますといずれの
選挙
におきましても、
前回
に比べまして、
無所属
の全体を占める
パーセント
というものが減っております。それは、とりもなおさず、いずれかの
政党
へ所属しておる
当選
がふえたということでございますが、しかし、
無所属
の
パーセント
が減ったと申しましても、これを詳細に見てみますると、
知事選挙
と
一般
の市、東京都の区の
議会議員
を除きましては、せいぜい一%ないし三%
程度
の減少でございます。そうしてみると、それほど
無所属
が減ったというわけにも参らないのではないかと思われます。また、
無所属
の
パーセント
を見ましても、
都道府県議会議員
と特別市の
議会議員
は、一〇%
程度
が
無所属
で、その他九〇%近い人がいずれかの
政党
に属しているわけでございますが、その他の
当選者
について見ますというと、半分以上が
無所属
である。特に
町村
に至っては、九五%以上の者が
無所属当選
である、こういう
状況
が現われています。これから見ましても、
無所属
から見た
政党化
ということにつきましては、さほど問題があるとも見えないように考えられるのでございます。 それから次は、
最後
の四ページの「
新人
の
状況
」という表がございますが、
選挙
では
現職者
が非常に強い。特に今度の
知事選挙
におきましては、二十
都道府県
のうち十八人が
現職
として立候補したのでございますが、全部
当選
して、新しい人は
知事
としては二人であった、こういうことでございますが、これは、必ずしも
現職者
が
当選
の結果非常に出ておるというわけでもないのでございます。すでに事前に
現職
で退いた
人等
もありまして、
選挙
に出れば
現職者
というものは強いのでございますけれ
ども
、
新人
も
現職者
と
交代
を相当しておるのでございます。その表が四ページでございますが、
都道府県議
につきましては、これは
新人
と元とをひっくるめて、広い
意味
の
新人
として全体に占める
パーセント
として申し上げますと、三五%
現職
と入れかわっておるのでございます。それから、特別市の
議会議員
も三一%入れかわっておる。それから、
一般
の
市議会議員
、
区議会議員
を合わせたものを見ますと、四二%
現職者
と新しい人が入れかわっておる。それから、
市長
につきましては三九%入れかわっておる。それから、
町村議会議員
につきましては四八%、
町村長
については四四%、こういうふうに、相当新しい人と
現職者
というものの
交代
が見られるのでございます。 以上、大体表について申し上げたのでございますが、
最後
に、
選挙
の
管理
、
執行
の面におきましては、昨年の
選挙法
の
改正
によりまして、若干
改正
の面もあったのでございますが、ほとんど
全国
的には、
管理
、
執行
に関する限りは、問題らしい問題というものは起きていないのでございます。特に新しい
制度
である
市町村長
あるいは
知事
について、
記号式投票
という
制度
が
採用
された所が相当多数に上っておるのでございますが、いずれも、新しい
制度
でありましたけれ
ども
、
予期どおり
の非常な成果をあげて、
記号式投票
というものへの自信というものを深めておるような
状況
でございます。 大体以上が今回の
統一地方選挙
のあらましでございます。
青柳秀夫
3
○
委員長
(
青柳秀夫
君) それでは次に、
警察庁刑事局長宮地直邦
君より
説明
を求めます。
宮地直邦
4
○
政府委員
(
宮地直邦
君)
昭和
三十八年四月に行なわれました
統一地方選挙違反
の概況につきまして、お
手元
のほうに一枚の印刷物を差し上げておるわけであります。それについて概略申し上げますというと、五月二十日現在におきまして
検挙
いたしました
件数
は二万三千三百二十三件でございます。
人員
は四万四千八百三十八名でございます。これを
前回
の三十四年の
地方選挙
と
比較
いたしますということは、
期日
の
関係
、これが
中間報告
であります
関係
で、厳格な
意味
においてはできないのでございますが、大体見ましたところ、
検挙件数
におきまして約一・二倍、
人員
におきまして約一・二五倍に当たっておるのでございます。この
検挙件数
におきましては、総数のうちにおきまして、
買収
、
利害誘導等
が総
検挙件数
の八四%を占めております。
人員
におきまして、
買収
、
利害誘導等
は八八%でございまして、従来の
選挙
と現在の時点において
比較
いたしましたときに、
比較
的
買収
、
利害誘導
というものが多く
検挙
されておる。したがって、他の
罪種
につきましてはあまり変化がないというふうに現在考えておる次第でございます。
青柳秀夫
5
○
委員長
(
青柳秀夫
君) 御質疑のある方は、順次御発言願います。
成瀬幡治
6
○
成瀬幡治
君 今
説明
を承ったわけですが、
記号式
の
採用等
をやったと、そういうところには問題がなかった、相当数あったが問題がなかったと、こうおっしゃいましたが、もう少しその点について御
説明
願えますか。
松村清之
7
○
政府委員
(
松村清之
君) 私は、この
管理
、
執行
の面について
全国
的に問題らしい問題はなかったと、こういうことを申し上げましたのは、たとえば、前同等におきましては、
投票用紙
を
選挙
当日紛失して非常に困ったとか、あるいは
選挙公報
の配付を間違えたとか、そういう
事件
が三十四年のころには若干あったわけですが、そういう
事件
らしい
事件
が今回は、それは、小さいことを申し上げれば、ないこともありませんが、ほとんど問題らしい問題はなかったと、こういう
意味
で申し上げたのでございます。
成瀬幡治
8
○
成瀬幡治
君 それから、
選挙違反
の
件数等
はわかりましたが、現在
係争
中になっておる
件数
ですね。たとえば、四年前に
地方議会統一選挙
が行なわれて、そうしてまだ
結論
が出ずに、
係争
中になっておる
事件
は、
件数
はどのくらいあるか、わかりませんか。
宮地直邦
9
○
政府委員
(
宮地直邦
君)
警察
では、これはちょっと判明いたしかねるわけですが……。
青柳秀夫
10
○
委員長
(
青柳秀夫
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
青柳秀夫
11
○
委員長
(
青柳秀夫
君)
速記
をつけて。
秋山長造
12
○
秋山長造
君 さっきの
成瀬
さんの御質問の
記号式投票
ですが、これはどれくらい
件数
があったか、わかりますか。それから、
ついで
にお尋ねしますが、非常に好成績をおさめたという
お話
ですけれ
ども
、私らが聞いているところでは、それはよかったところもあるだろうが、同時に、やはり
記号式
の場合、印刷の
順序
なんかによってやはり非常に有利不利の差が出てくるのじゃないかというような批判も聞くのですがね。そういうことは別にないですか。
松村清之
13
○
政府委員
(
松村清之
君)
記号式投票
を
選挙
前の
予定数
では百六十数
団体
やる
予定
になっておりましたが、先ほど申しましたように、無
投票地区
が相当出ておりますので、
現実
に幾らやったかということは今
調査
中でございます。しかし、
予定
は百六十数
団体
ございました。 それから、今
お話
の
順序
というものが問題だということ、確かに日本の
現状
では、そういうこともあるいはあろうかと思いますけれ
ども
、まあ私は、それに関連して、そういう人は、普通の
自書式投票
でも、やはりいいかげんなという言葉は適当でありませんが、いいかげんな
投票
をする人じゃなかろうか、そういうふうに考えておりまして、そう大した差異というものは、確かに
現状
ではあると思いますが。それほど大勢から見て問題視するようなことはないのじゃなかろうか、こういうふうに考えてすります。
秋山長造
14
○
秋山長造
君
候補者
が非常に少ない場合、
候補者
が二人とか三人とかいうような場合には、それはおっしゃるとおりだと思うのです、おそらく。しかし、たとえば
都知事選挙
に十何人も出ると、同じような名前を計画的に出したりするような場合は、不用意に
採用
すると、またその面から非常な問題が起こってくるようなことも予想されるのですが、あなた方としては、
記号式
というものは今後大いに奨励されるのですか。それとも、ただそういう
記号式
もやれるという道を法律で開いておく
程度
で終わるのですか、どちらなんですか。
松村清之
15
○
政府委員
(
松村清之
君) この
記号式
につきましては、ずっと以前から、
選挙関係者
の間で、今のような
自書式
でございますと、開票の際に
疑問票
がたくさん出まして、非常に決定に手間取り、決定した後も争訟になる。そういうことで、外国のような
記号式
の
採用
ということを非常に熱望してきておったわけでございます。しかし、これをすべての
選挙
に実施するということにも問題があるというふうに考えましたので、第一回の
選挙制度審議会
でもいろいろ御
調査
、審議されて、まず
候補者数
の
比較
的少ない
知事
、
市町村長
、これに実施する。しかも、それは
地方団体
で、やってもやらなくてもいい、任意でやってみて、そうしてそういう
制度
に
国民
がだんだんなれていく。そういうことから、将来その他の
選挙
にもできるだけこれを及ぼしていきたい、こういうようなことで、昨年の
選挙法
の
改正
で道を開いたのでございます。
小酒井義男
16
○
小酒井義男
君 今の続きですが、
候補者
のポスターを張ったり、あるいは
氏名
を出す場合には、
投票
区によって違う場合がありますね。違いますね、
順序
は。この
記号
の場合には、
知事
の
選挙
をやるという場合ですね。これは全県的に同じような
順序
でやっておるわけですか。
松村清之
17
○
政府委員
(
松村清之
君) ちょっと今の御
趣旨
、よく理解できませんので、私の答えが間違っていたらあとで……。 今のは
記号式
の場合におきましては、
投票用紙
の
氏名
の
順序
は、これはくじで……
知事
は岩手県だけでございましたが、
市町村長
も、すべてその
選挙
区全部同じでございます。
成瀬幡治
18
○
成瀬幡治
君
法務省
の
刑事局長
にちょっとお尋ねしたいのですけれ
ども
、四年前の
地方統一選挙
のとき
違反
がありましたけれ
ども
、現在
系争中
になっておる
件数
というのは、どういう分け方がいいのか、ちょっと私にもわかりませんけれ
ども
、
警察
のほうでは、五つほどに区分して
報告
を出しておるようですが、内訳がありましたら、それも
ついで
にお答え願いたいと思います。
竹内寿平
19
○
政府委員
(
竹内寿平
君) 四年前の
統一地方選挙
につきましては、調べておる
統計
がございませんので、お答えができないわけでございますが、
国会
の
選挙
のほうは、すべて
統計
ができておりますのですが……。
成瀬幡治
20
○
成瀬幡治
君 それじゃ
国会
のほうを……。
竹内寿平
21
○
政府委員
(
竹内寿平
君) 三十四年六月
施行
の
参議院議員通常選挙
におきましては、
検察庁
の
処理
は全部済んでおりますが、第一番の
判決言い渡し
になりましたものが約八三%の三千百六十四人でございます。それから、
上訴
中のものが百六十六人で、現在
未済
になっておりますのが六百六十七人で、全体の一七%のものが
未済
でございます。それから、
昭和
三十五年十一月
施行
の
衆議院議員
総
選挙
につきましてこれを見ますると、起訴しましたのが一万五千二百五十五人でございますが、そのうちで第一審の
判決言い渡し
のあったのが一万一千四十九人、これは七二%に当たります。それから、
上訴
中の者が八百七十三でございまして、現在
未済
となって残っておりますのが四千二百六人、全体の二八%に相当するものが
未済
でございます。
成瀬幡治
22
○
成瀬幡治
君 実は、私がお尋ねする
趣旨
は、起訴されて
系争中
になって、そして
裁判
が長引くわけですが、今まで長引いたもので、レコードと言ってはちょっとおかしいですが、普通何年くらいかかって
結論
が出てくるのでしょうか。
竹内寿平
23
○
政府委員
(
竹内寿平
君) どうもはっきり申し上げかねるのでございますが、
被告人
が非常に多い
事件
になりますと、一審の
裁判
だけで二年くらいかかっているのが相当ある、その
程度
かかるのはどうも常態のように思われるのでございます。もちろん、
被告人
の数が少ないケースでございますと、一年未満で片づいておるのでございます。それから、
控訴審
、
上告審
と参りますわけですが、
上告審
で割合長くかかっております。
上告審
の
処理
が非常におくれておるように思うのでございますが、一審の
判決
だけを見ましても、二年ぐらいかかるのもあります。
成瀬幡治
24
○
成瀬幡治
君 これは、私は今どうこう言うわけではございませんが、この
国会
中くらいの間に、もしできたら
資料
として、一体一審で何年ぐらいかかるか、長いのはどうなっているのか。それから、今の御
説明
を承りましても、
未済
になっておるのが大体四年たつわけですね。この間の
参議院選挙
から約四年近くなっているわけですが、それにしても、一審の
結論
が出ないのが一七%ある。それから、
衆議院
のほうでは二八%ある。三年くらいたっておるのに、まだこういう
進捗率
です。
裁判
は、
選挙違反
の問題については早くやるのだということを私たちもたびたび承っておるわけですが、こういうふうに
結論
が出ないということが、逆にいえば、
選挙違反
というものとやり得にしておるというふうな、悪循環の大きな
原因
じゃないかと思っているわけです。ですから、
そうい立場
に立って実はお聞きしているのですから、もしこの
国会
中にでもけっこうでございますから、まとまれば、そういう
資料
をひとつお出し願えれば非常にいいと思うのですが、そういうことはなかなかあなた方としてはとることは困難でしょうか。
資料
を集めることは困難でしょうか。
竹内寿平
25
○
政府委員
(
竹内寿平
君) ただいまお尋ねのような点は、私
ども
としても
資料
を作らなければならぬと思っておるのでございますが、非常に
統計
をとっておきませんとできないわけでございますけれ
ども
、一審、二審、三審という
裁判所側
の
統計
でございますので、私
ども
の
法務省側
ではこれはとれませんので、私
ども
は、「
司法統計
」という
裁判所
で発行しております
統計資料
をもとにしているのでございます。ところが、「
司法統計
」では、従来からずっと
統計
のとり方がきまっておりまして、三カ月以内が何人、六カ月以内が何人、一年以内が何人、一年を超えるものが何人、こういうような
統計
の出し方でございます。そこで、具体的な
事件
で、どの
事件
はどういう
状況
かということは、私のほうの
検察庁
でわかるわけでございますが、全般的に長いものはどういうものがあるだろうかということを調べますのには、
検察庁側
で全部の
事件
に当たってみて調べるほかはないわけでございまして、これは非常に困難ではないかというふうに思うわけでございます。できるだけのことをして、わかることができるかどうか、研究さしていただきたいと思いますが、ただいまの御希望に十分沿えるような
資料
は、ちょっとむずかしいのではないかという予想がいたしております。
成瀬幡治
26
○
成瀬幡治
君
選挙局長
のほうはどうなっているんですか。こういうことについては、いろいろなデータをお集めになっていますか。
松村清之
27
○
政府委員
(
松村清之
君) これは、やはり私のほうも、
裁判所
あるいは
法務省
のほうからの
資料
をいただいているという
状況
になっております。
成瀬幡治
28
○
成瀬幡治
君 いや、
選挙局長
、いただいているというのじゃなくて、
裁判
が非常に長引くということは、何としてもよくないことなんです。ですから、こういうふうに長くなっているから、これは困るとかいうようなことは、たとえば
選挙制度審議会
のときや何かでも、私は絶えず議論されていると思う。したがって、そういうような
資料
をお持ちになっていないか、こういうことなんです。
松村清之
29
○
政府委員
(
松村清之
君) 私のほうも持っておらないわけなんです。
成瀬幡治
30
○
成瀬幡治
君 それじゃ今
法務省
の
竹内
さんから
お話
のあったような方法で、ひとつできるだけのことをしていただきたい。 それから、続いてお尋ねしたいんですが、今承りましたように、
所得倍増
というが、
選挙違反
も
倍増
になってしまったんですが、
お話
を承れば、
公明選挙等
の予算として、
前回
と比べて画期的に使ったというような御
説明
の中で、私らからいえば、こういうふうに
件数
が多くなってしまったんですが、そのよってくるところは、
競争率
も案外少なくなっているのに、非常に
悪質犯
といわれるものがふえてしまったわけですが、そういうことに対して、どこからそういうことになっているのかというようなことについての
原因
と申しましようか、よってくるもとは何であろうかというようなことについて、
大臣
あるいは
選挙局長等
から、どういうことだと判断されているのか、あるいは検討をされているのか、承りたいと思います。
松村清之
31
○
政府委員
(
松村清之
君) 私は、まず
選挙違反
が、先ほどの
説明
では、
倍増
とおっしゃったかどうか知りませんが、ふえているとおっしゃいましたか、これは実は、最終的に締め切ってみなければ厳密な
比較
はできないと思うのであります。実は、まだ何回の、三十四年の
締め切り
の
件数
から比べれば、これは非常に下回っているわけでございまして、その辺は、締め切って初めて
比較
ができるわけでございまして、おそらく先ほどの
説明
では、大体同じ時期に比べてふえているというような
意味
ではなかろうかと思いますが、これも、
検挙
のスピードアップということであれば、同じ時期にふえているのが当然でございまして、これは必ずしも最終的にいってみなければ、その判断はつきかねると私は思いますが、しかし、このような
状況
で推移しますと、おそらく
前回
を上回るようにも推測されます。先ほど申しましたように、今度は、確かに
公明選挙
への
国民
の間の
機運
というものは、私は、従来に見られないほど盛り上がっておったことは、これは否定できないのじゃないかと思いますけれ
ども
、しかし、
現実
の
選挙
が一部地域では非常に苛烈であった。
選挙
となれば、どうしても勝たなければならない。こういうことで、やはり
候補者
の陣営において非常に無理ないろいろな
選挙運動
をおやりになったのではなかろうか。こういうことと、それからなお、現在
地方
では、
飲み食い
というようなことが
平素
の
慣習
として行なわれております。そういった
飲み食い
ということが
平素
の
生活環境
で行なわれておるわけですが、それが
選挙
に際してもそういう
慣習
が持ち込まれておる、そういうことも私は非常な
原因
になっておるのじゃなかろうかというふうにも考えております。
篠田弘作
32
○
国務大臣
(
篠田弘作
君)
公明選挙
の
標語等
を作り、またこれを非常にうたいまして、
自治省当局
といたしましても、各選管といたしましても、
公明選挙
のために
努力
をし、また識者の協力を得たわけでありますけれ
ども
、ただいま
選挙局長
が申しました、
最後
の
締め切り
を待たなければわからないということも事実でございますが、しかし、現在の段階におきまして、
検挙
の数が非常に多く、また、その内容というまのも従来と違った、従来想像のできなかったような、にせ証紙といったような悪質なものも出ております。この
原因
は一体何であるかということにつきましては、私も
自治大臣
として、
自分自身
でもいろいろ考えているし、研究もし、いろいろしてみておるのでありますが、今
選挙局長
がら申しました、
検挙
のスピード・アップというような問題も、それは一因であるということは、これは否定できないと思います。それからまた、暮れから正月に引き続いて行なわれた四月
選挙
ということも、もたどこまでが正月で、どこまでが
選挙
かというようなことによりましてう区別のできないというようなこともまた
一つ
の
原因
であろうと思っております。しかし、
候補者
自身に
関係
なく、私は、運動員がそういう悪質
違反
を犯しているという事例を非常に多く見るのであります。私自身は、この前も、市川房枝先生の、さっぱり公明運動というものは役に立たぬじゃないかという御質問に対しまして、参議院予算
委員
会において、そういうことをわれわれは言うべきことではなくて、
努力
をしなければならないということを申し上げたのでありますが、しかし、最近私のいろいろ考えておることは、いわゆる
候補者
個人の言論というもの以外の、文書であるとか、はがきであるとか、演説会場の設置であるといったようなものが、個人の運動員やあるいは
候補者
の自由に放任されておる、
候補者
がやらなくてもいい分まで
候補者
の自由にされておるというところに私は
原因
があるのじゃないか。こういうような問題をおもに言論と文書が
選挙
の中心となるわけでありますが、言論は、かわりの者がやるというわけにはもちろんいかないわけでございます。本人が個人演説なり立会演説なりあるいは街頭演説をやるということが建前でございますが、その他の問題につきましてあまりに各自まちまちになっておることが、たとえばポスターの問題でも、ポスターの印刷から張り出しまで全部各自にまかしておるというようなことが、一枚でもよけい張りたい、あるいはまた、にせ証紙を作るとか、そういうような、はがきであれば、立候補するだけで、
自分自身
で
当選
する意思がないのに、それをもらって売るとか、そういう手に、
制度
上の問題として、やりたくてもやれないようにするということが私は必要じゃないか。それには、やはりそういったような面はでき得る限り公営をやるというふうな方向で研究していかなければならない。たとえば、泡沫候補というものが一体どうして出るかということを考えてみますと、やはり五万円か十万円かの供託金さえ出せば、あとはもらったはがきを売ってももうかるというようなところから出ているのじゃないか。そうすると、はがきを売ってもうからないようないわゆる供託
制度
を考えて、しかも、その供託金そのものを値上げすると同時に、公営の部分というものを非常にふやして、
候補者
には損害をかけない、しかし、泡沫候補には、そんなはがきを売ったくらいのことでは供託金は弁償ができないのだというような、そういう方法を考え出すことによってこの
原因
というものは減っていくのじゃないか、私、現在までのところ、そういうふうに考えております。
成瀬幡治
33
○
成瀬幡治
君
大臣
の
お話
を承っておりますと、ひとつ公営をうんと広げていったらどうだ、こういうようなお考えのように承るのですが、そういうようなお考えがあるとするならば、たとえば、
選挙
制度
調査
審
議会
と申しましょうか、そういうものに対して自治省のほうから積極的に働きかけられる、そういう御用意があるという決意なんですか。ただ単に考えておるというだけの
お話
なんでしょうか。
篠田弘作
34
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) この
選挙
の公営をやります場合に、一番の障害は何であるかと申しますと、結局、
選挙
費用の問題でございます。これも、私まだ計算をしておりませんが、おそらく何百億、普通の
衆議院
、参議院の場合でも相当、数百億以上の金はかかるだろう、そういうふうに私考えるわけであります。この予算措置というものを一体どういうふうな形でするか。もちろん、今申しましたように、私の試案でございますが、法定
選挙
費用というものがあります。そうしますと、法定
選挙
費用までお使いになる。お使いにならない方もまれにはあると思います。しかし、大部分の人は法定
選挙
費用まで使っておるし、また中には、それをオーバーしている人もあるだろう、これは想像にかたくない。そこで、法定
選挙
費用の五割なら五割、六割なら六割は供託金に出す、そうして公営の費用をそれによって補う、そうして今のようなルーズな、ルーズなと言ってはたいへん失言でございますけれ
ども
、やり方ではなしに、もっと厳重な方法で、たとえば次点なら次点から、
候補者
の数によりますが、三番目までは
選挙
費用は没収しない。しかし、四番目になったら没収してしまうというような方法を考えますと、もう初めから四番目になっている人は、たとえば
選挙
費用が三百万円のところだったら百五十万くらい納めなくちゃならぬ、中には二百万円も納めなくちゃならぬ、そういうものが全部取られてしまうということになりますと、これは私は本人がしないのじゃないかということが
一つ
。あるいはまた、その費用を、これは全く私の考えでありますが、立候補と同時に
政党
に責任を持たせる、公認候補については、中立候補は別でありますが、各
政党
が届出と同時に、そういうものは個人ではなかなかすぐには出せないでありましようが、責任を持つということになれば、
政党
自身が泡沫候補を立てない、言いかえれば、派閥によって落選することがわかっている者を立てるということはなくなるのではなかろうか、こういう考えが
一つ
あります。 そこで、今いきなり
選挙制度審議会
にそれを——
選挙制度審議会
はまだいろいろな面において、定員であるとかアンバランスであるとか、地区の問題でやっておられますから、今突如として私がそれに諮問をするという段階ではございませんが、むしろ私は、政府の内部においてそういう詩想を実現するという
自治大臣
の考え並びに熱意があった場合に、政府においては予算措置をどういうふうに考えるかという問題を政府部内の問題として検討をしてみたい。政府部内におきまして一公営の費用というものが何ぼかかっても、民主主義基盤の確立のための
選挙
公明化
の手段としての公営でありますから、やろうという熱意をまず持てば、私は
選挙制度審議会
にいつでも諮問をいたしまして、そういう方法をひとつ検討して参りたい。しかしながらまた、公営化というものは、あまりにも強くやり過ぎますと個人の人権を侵害する問題もあるいは出てくる場合もあるかもしれません。そういう問題も含めまして、
選挙制度審議会
に私は研究をしてもらいたい。すなわち、
選挙制度審議会
の議題として私のほうからお願いをしてみたい、まあそこまで考えております。
秋山長造
35
○
秋山長造
君
松村
局長のさっきの御答弁で、
公明選挙
運動は非常に盛り上がったという点を強調しておられるのですが、
大臣
のおっしゃるとおり私は無
意味
だとか、もうやめてしまえとかとかいうことを決して申しません。それはもう、
公明選挙
運動は根気強くやってもらわなけたばいかぬと思います。思いますが、ただ、今の実態から言うとこの
公明選挙
運動というその運動は盛り上がったかもしれぬ。だけれ
ども
、本来の目標である
選挙運動
そのものの
公明化
というものは、これとはまた別な方向へ行っておるわけですね。むしろ、今の
検挙件数
なんかに端的に現われておるところを見れば、まるで逆な方向へ行っておるわけですね。そこらに、
公明選挙
運動は
公明選挙
運動自体としては盛り上がっておるが、
現実
の
選挙運動
にどれだけそれが響いておるか、プラスの影響を与えておるかということになると、少なくともこの数字から端的に考えれば、やはりまた論者の言うように
公明選挙
運動は何ら
意味
がないじゃないか。何も植えかかってないじゃないかという言い方もむげに否定できぬ面もあると思うのです。実は、あなたも聞かれたと思うのですけれ
ども
、せんだっての
選挙制度審議会
でも、ある
委員
から、どうも
選挙
の実態を見ておると、
選挙制度審議会
なんかで
選挙法
がどうだこうだということを目くじら立てて議論するのはばかばかしい。無味じゃないかという感じさえするというような述懐があったでしょう。私らは無
意味
だとは思いません。私は無
意味
だと思わぬが、ただ、先般の
地方選挙
なんかの実態をはだ身で感ずるところと、それから今、局長が空前の盛り上がりを見せたと言って、大いに自画自賛しているところとは何か別なことを言い合っておるような気がして、ちっとも表裏一体になっておらぬような気がするのです。それは、やはりものさしではかったような
説明
はできぬけれ
ども
、少なくもわれわれがはだ身に感じた実感から言うと、
選挙
のたびに
選挙
が悪くなってきておる。その結果がやはり
買収
、供応が
倍増
したというところに現われてきておると思うのですがね。これはやはり
大臣
のおっしゃるように、公営が不徹底のための
制度
上の欠陥ということもあるでしょう。それからまた、
候補者
は善意でやっておるのに運動員が、
候補者
の親心子知らず、勝手なことをやって、こういうつまらぬ
事件
にひっかかっているという事例もある。ないとは言いません。言いませんけれ
ども
、やはり
買収
、供応なんかというような
悪質犯
になると、
候補者
あるいは
候補者
の取り巻き参謀連中という者のものの考え方、
選挙
の取り組み方というところからそもそも出発している面が大きいのじゃないかと思うのですがね。どうもこの
公明選挙
運動という名のつく運動は盛り上がっておるかもしれぬけれ
ども
、しかし、それが
現実
の
選挙運動
にどれだけ響いておるかということになると、結果的にはむしろ逆行しておるような面が、
公明選挙
運動は
公明選挙
運動で大いにおやりなさい、熱を入れておやりなさい、
選挙
は
選挙
だ、こういうことで、全く平行線でちっともこれは表裏一体になっておらぬという面があるのじゃないか。そういう面については、やはり
公明選挙
運動のやり方ならやり方というものについても、ではどういうようにしたらいいかというと、私もよくわからぬですけれ
ども
、まああなた方はその推進をやる責任者として、もう少し考える余地はないか。たとえば、
公明選挙
都市
宣言
をやった松山なんか、新聞に大きく出ておりましたが、まっ先に
公明選挙
運動をやった所で一番大きな
選挙違反
を出して新聞で騒がれるというようなことになっている皮肉な例が多々あると思うのですが、そこらはどういうようにお考えになっておりますか。
篠田弘作
36
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) ただいま
秋山
さんがおっしゃったように、確かに
選挙
公明運動は、
公明化
の運動そのものは盛り上がりましたし、また空前といわれるほどの
公明選挙
の都市
宣言
といったようなものがありしたが、実際の
選挙
において、この
公明化
の盛り上がりを裏切るような
事件
が非常に多くて、表裏一体をなしておらない。このお説は、私は同感でございます。また、
現実
にこれを直視していくならば、だれもこれを否定することはできません。
選挙局長
の申しましたのは
公明化
運動のほうでございまして、
選挙局長
は大体
選挙
を
執行
する側に立っておるのであって、
選挙
の取り締まりであるとか、あるいは犯罪の
統計
であるとかいうようなことは、次の
選挙
の
執行
の準備として、もちろんそういう研究をしなければならないことでございますけれ
ども
、とりあえずの仕事というものは、
選挙局長
の仕事は、
選挙
の
公明化
であり、
選挙
の
執行
でございますから、自分のほうの田に水を引きましておそらくそういう発言があったものと私は考えます。それほどの認識の相違もあるわけではないと私は思います。そこで、それならば、一体予算を取って
公明化
運動を続けても、日本の
選挙
をこのままの状態に置いている限り公明運動というものは役に立たないんじゃないかという
結論
を出してしまえば、もうあとこれは絶望と言ってもいいぐらいになりまして、そういう
結論
を出すということは、少なくとも民主主義を守ろうとする、あるいは
選挙
の
公明化
を至上の命令としてやろうとするものの立場からはやはり出せないんじゃないか。まあ私は、たとえ今無人島に漂流しても、
最後
の生きる希望というものをやはり持って、その生きる方法を考え、あるいはまた、やがて来るであろうそういう救いの手というものに希望をかけるということが生きている人間の務めでありますから、私自身は、このうらはらなる公明運動とその
選挙
実態というものとを非常に残念にい、心痛思はいたしますけれ
ども
、そうかといって、ここでノー・ホープというような考え方は持っておりません。しかし、そうかといって、やはり
国民
の税金というものを使っての公明運動でございますから、効果のないものにいつまでもつぎ込むわけにもいかない。そこでお互いに、
秋山
さんが今、
自分自身
にもあまりいい考えが浮がばないとおっしゃいましたが、これは人間というものは同じでありまして、私らもちっともいい考えは浮かびません。そういうことでございますから、そこでお互いが、そんなにいい知恵はないけれ
ども
、集まって相談をすれば、三人寄れば文殊の知恵というものもあるわけでありまして、この間脳は別に
政党
政派の問題でもないし、ほんとうに日本の民主化の達成のための
選挙
の浄化でございますから、ひとつ
政党
政派を離れまして、お互いに知恵を持ち出して、何とかしてその
原因
を突きとめ、病根を正すという方向にひとつ持っていっていただきたいと思うのであります。私はたいていのことで今まで驚いたことはありませけれ
ども
今度の
選挙違反
は、全く私はがっかりしているんです。そういうことでございますから、ひとつ御協力を願いまして、ぜひその病根を突きとめ、また最善の活療方法を考えていきたい、こういうようにお願いをするわけであります。
小酒井義男
37
○
小酒井義男
君
大臣
は、何とかいい方法はないだろうかという発言なんですが、最近私も、政府で配布している
資料
、「国際情勢
資料
」というのを読んでみまして、日本の
選挙
について、「エコノミスト」がよごれた
選挙
だという記事をこちらに転載しているのを見たのですが、日本の
選挙
というのは国際的に有名になったですね。こういう点から考えると、どんな運動をやっても、法律を作っても、守らなければいかんわけなんですから、
選挙
をやる
候補者
と同時に、
政党
が真剣になって、
選挙
の浄化、きれいな
選挙
をやるということを考えなければ、法律を作っても、それが破られて、次々に無視されたのじゃ問題にならぬですから、
政党
がもう少し、公認なり推薦をする
候補者
に対する責任を持つようなことを考えなければいかんのじゃないかと、これは、悪意で、相手方の
候補者
を落選させるというような目的で、
候補者
の意に反した行為がやられるようなことがあれば、これはまた問題でしようけれ
ども
、そうでない、党の公認
候補者
に党の役員が
違反
になるようなことを犯した場合には、これに、何か関連を持たせるようなことを考えなければ、これは好ましいことではないですが、現段階では、そういうことも必要じゃないかという気もするのですがね。
篠田弘作
38
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 「エコノミスト」が日本の
選挙
はけがれた
選挙
だと書いたということは、「エコノミスト」はイギリスの雑誌でございますから、当然、イギリスの現在の
選挙
の実態というものから見ていけば、そういうふうに考えたことはもっともであろうと、私もそう考えます。
政党
が
候補者
を出しておりまして、
政党
が
選挙
をやっておらないのが今の実態ではないか。
候補者
の推薦あるいは公認はするけれ
ども
、しかし、
選挙
そのものは個人がやっておる。
政党
からは、連絡係とか何とか、そういうものは出ておりますけれ
ども
、それも
選挙
事務所の中に入って、渾然一体とした、いわゆる参謀格でやる
選挙
じゃなくて、
政党
から出している連絡係は、
選挙
事務の外側にいて、むしろアウト・サイダーとしての連絡あるいは情報の収集というようなものをやっておるというのが現在の
選挙
の実態でございます。でありますから、将来は、やはり
政党
公認の者については、必ず
政党
の幹部が事務長を引き受けるというような原則でもできてくれば、これは重大な問題でございますから一また、
政党
の相当の幹部であれば、そういう軽率なこともないであろうと思いますから、そういう今のようなことは起こらないのじゃないか。いろいろ研究すべき問題はありますが、それを一切含めまして、ひとつ
選挙
浄化のために研究して、御意見を伺っていきたい。これは、このままにしておきますと、与党とか野党とか、自民党とか社会党とかいう問題じゃなくて、
政党
そのものに対する不信が起こって参ります。多かれ少なかれ、どちらの
政党
にも
選挙違反
というものは皆無ではございませんので、そういう問題が起こってくると私は考えますから、この際はどうしても、今申し上げたような、今おっしゃったようなことを含めまして研究したい、こう考えるわけであります。
秋山長造
39
○
秋山長造
君 その点は、もう自民党とか社会党とかいうことじゃなしに、およそ政治に携わるものみんなが、これは気持を一にして、衆知を集めて考えなければならぬような点は、私らも全然同感なんです。同感だけれ
ども
、ただしかし、たまたま大きな問題、たとえばにせ証紙のこの間の問題のような中でも特筆すべき大きな問題が起こって、しかも、それが直接にか間接にか、自民党に
関係
があるということは、これはもう否定できないのですからね。だから、そういう場合には、もうあまり四の五の言うて、言を左右にしないで、率直に、それは悪かった、遺憾だったというくらいのことを
国民
の前に、政治家がやはりわびるべきことは率直にわびるというようなところを示すようなことをきっかけにしてやはり改めていかなければ、それをあなた、池田さんがおられぬから、言うてもしようがないけれ
ども
、頭から突っぱねて、何ら反省とか、
国民
に対してわびるとか何とかいう、そういう態度は全然見えない。ああいう態度は、やはり
政党
の指導者として、特にこの
公明選挙
を推進していく、
選挙
を浄化していくという立場から言うと、これは私はとるべき態度じゃないかというようにも思うのですけれ
ども
ね。
篠田弘作
40
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) これは
選挙
でありますから、総裁としての立場であろうと思いますが、池田総裁自身も、そういう問題が起こっているということについては、非常に遺憾の意を表し、また将来に向って、いろいろこの問題については、研究もしなければならぬということは考えてもおりますし、また
国会
の
速記
録にも、まことに遺憾でありますというこを言っております。ただしかし、
事件
がまだ捜査中であり、そうしてまた、にせ証紙
事件
におきましても、逮捕されたものが十七名で、起訴されたものがまだ八名であります。したがいまして、にせ証紙
事件
も、まだ
裁判所
まで行っているわけではありませんし、起訴されたのも、また逮捕されたものが全部起訴されているわけではないわけであります。
事件
は言いかえれば捜査中、係属中の問題でありますから、池田総理
大臣
——政府のいわゆる総理としては、捜査中の問題について、すべて既成事実として謝罪するというようなことはやはり行き過ぎである、そういう
意味
におきまして一こういう
事件
が起こっているということについては、まことに遺憾であるけれ
ども
、
事件
は捜査中であるから、その結果を待ちたいということを言っているので、総理
大臣
としては、その態度のほうが正しい、そういうふうに私は解釈します。ただ、同じ遺憾であると言いましても、人によりましては、ほんとうに腹から遺憾だと言いましても、そう取られない人も中にはいるわけだ。私なんかも、どっちかといいますと、そういうふうでありまして、ほんとうに腹の中でもって申しわけないと思って、夜中に目をさましても、
選挙違反
の問題はどうすればいいかと考えるくらいでありますけれ
ども
、
国会
に参りますと、どうもそういうふうな腹の中はなかなか表現できない。そういうことから、池田総裁も、遺憾である遺憾であるということは言っているけれ
ども
、何か口先だけの遺憾ではないかというふうに解釈されているかもしれませんけれ
ども
、僕らが見たところでは、池田総裁もわれわれも大体同じような性格の人間でありますが、そこまでやはり頭を下げるということは、相当遺憾であると思っているからだ、こういうふうに考えます。
秋山長造
41
○
秋山長造
君 いや、そういうふうに言われてしまうとどうも、それをまた反発するのもおとなげないようになってしまって何だけれ
ども
、実際笑い話じゃなしに、それだけ腹の中で遺憾に思っておられる、また、
自治大臣
にしても、夜も寝られんくらいその心を悩ましておられるなら、本会議の答弁なんかでも、私はもう少しやはりそれは
大臣
の性格も私はよく知ってるんですよ。またよく理解しているだから、必ずしも
大臣
の本心だとは、そのまま本心と逆なことが現われたとも思いませんそれはその場の行き違いということもありますけれ
ども
ね。ただ、たとえばこれは
選挙局長
にも、ちょっと法律解釈の問題として、参考に聞いておきたいのですがね。
選挙
ポスターの掲示責任者というものを書かなければならぬことになっておりますね。あの掲示責任者という
意味
は、私の解釈では、およそ公衆の面に掲示されたそのポスターについては、何の何がしが一切責任を負うという
意味
で、掲示責任者何の何がしという名前が入っておるのだろうと思う。その点は、あとから正確な解釈を教えていただきたい。そういうことになると、それは掲示責任者として名前を出す、その掲示責任者は一々自分でポスターを張ってないことはわかり切ったことです。これは、大ぜいの人が張るにきまっておるのだけれ
ども
、だからそんなことは知ったことじゃないと言われたのでは、掲示責任者を法律で規定した
意味
がない。だから、やはり自分が張ったのであろうと人が張ったのであろうと、いやしくも公衆の面前へ
選挙
ポスターとして張られて、その責任者として名前が書かれている以上は、およそそのポスターについて問題が起こった場合は、掲示責任者が一切責任を負うのだという
意味
で名前が出ていると思う。だから僕は、そのいう
意味
で、本会議でも
自治大臣
に、掲示責任者として大野伴睦という名前が出ておるのに、その大野さんについては何も問題がないというのは納得できぬじゃないかということを聞いたにすぎぬのです。それに対して
篠田
さんは、こんなものをにせと知って張るばかがおるかと言わぬばかりの答弁をなさったのですが、まあ腹は、今の御発言でよくわかりました。腹は、夜も寝られぬぐらいに心配しておられるということで、それは了承しますが、ただこれは、今後も問題になり得ることなんですよ。掲示責任者というものは一体どの
程度
の責任があるのかということなんです。それをひとつ正確な解釈を教えていただきたい。
松村清之
42
○
政府委員
(
松村清之
君) およそ犯罪には、故意過失ということを要件とするのが普通でございます。したがって、ポスターについていろいろ刑事上の責任を問う場合には、やはりそれについて故意過失のあったものが責任を問われることは当然でございます。
選挙法
で掲示責任者あるいは印刷者の
氏名
、住所を記載することになっておりますのは、たとえば違法なポスターが張られておる、その場合に、撤去させることを命じなければならぬ、こういうような場合の連絡先の必要から、そういうものを記載さしておるのでございまして、まあ刑法上の犯罪になるかどうかということは、それとは別個の行為について責任のあるものが罪に問われる、こういうふうに解するのは当然のことだろうと思います。
秋山長造
43
○
秋山長造
君 それは、刑法上の問題が起こった場合に、必ずしも掲示責任者そのものずばりで罪に問われないという場合があることは、これはわかります。わかりますけれ
ども
、今
選挙局長
のおっしゃるように、あの掲示責任者というのは、ただ何かあったときに連絡先をはっきりしておいてもらわなければ困るからという
程度
の気休めのものですか、あれは。どうですか。
松村清之
44
○
政府委員
(
松村清之
君) 法律の
趣旨
は、あくまでもそのとおりでございます。
秋山長造
45
○
秋山長造
君 では、あれは連絡先だけのことですか。その点をはっきりしておいて下さい。
松村清之
46
○
政府委員
(
松村清之
君) ざっくばらんに言えば、連絡先という言葉が妥当かどうか知りませんが、ともかくいろいろポスターについて注意をしたり警告をしたり、その他連絡のために、書くことを要請しておるわけであります。
秋山長造
47
○
秋山長造
君 では、あってもなくてもいいようなものですね。何も個人でなくても、会社の名前でも
政党
の名前でも何でも、突貫的にはかまわぬわけですね。
篠田弘作
48
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) それは、今
秋山
さんの言われたとおり、ここにありますけれ
ども
、法人でもいい。「第一項のポスターには、その表面に掲示責任者及び印刷者の
氏名
(法人にあっては名称)及び住所を記載しなければならない。」と、会社の名前でもいいし、
政党
の名前でもいいということになっております。
秋山長造
49
○
秋山長造
君 それは何ですか。掲示責任者が会社の名前でもいいのですか。
松村清之
50
○
政府委員
(
松村清之
君) 法人でもいい。
秋山長造
51
○
秋山長造
君 法人でいいというのは、印刷所のほうではないのですか。
篠田弘作
52
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 印刷者です。
松村清之
53
○
政府委員
(
松村清之
君) とにかく連絡先という
意味
でございます。
秋山長造
54
○
秋山長造
君 厳密に解釈すればそういうことになるのならば、それでいいです。そのつもりでおりますけれ
ども
、ただしかし、それにしても、広い
意味
で、やはり掲示責任者何の何がしという以上は、連絡先であろうと何であろうが、とにかくそのポスターについて問題が起こった場合に、一番先に浮かび上がってくるのは掲示責任者の名前でしょう。それは間違いないと思う。掲示責任者の名前がなければ、にせ証紙を張っておるポスターを見つけたときに、それはだれが張ったかということを探すには、手間ひまがかかって仕方がない。やはりずばりでその掲示責任者に連絡して、掲示責任者に尋ね、そうしてそのことを
調査
するのが一番早い。そうですね。だから、そのために掲示責任者というものが住所、
氏名
を書いておると思うが、だから、政府がそういう解釈をしているのは、政府の解釈のような掲示責任者というものの性格であるにしても、やはり大野伴睦という名前がそこに出ておれば、それはやはり大好さんに一音先に連絡するなり尋ねるなりなんかされるのは、当然常識として考えられるわけです。だから、私はごく常識的なお尋ねをしているにすぎない。だから、やはりああいう場合に、
大臣
は本心を言ってもらいたい。夜も寝られないという本心を披瀝してもらわなければ
国民
は納得できません、どこが悪いのだと言わぬばかりの言い方では。
篠田弘作
55
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 以後注意します。
成瀬幡治
56
○
成瀬幡治
君
大臣
が、がっかりしたとか、夜も寝られないとかこれくらいにがにがしく思ったことはないと、こうおっしゃる。そのことは私は、にせ証紙の問題あるいははがきの横流し等のことをさしておいでになると思う。確かに法律的な問題については、おっしゃるように、まだ起訴されるのかどうか、あるいはどこまでくるかということはわかりませんが、私は特筆大書すべき
選挙違反
だと思うわけです。
大臣
が寝れなかったはずだと思う。そういうことに対して、法律的責任をどうこうということよりも、道義的な責任というものをどういうふうにこれからやっていくかということが、私は
公明選挙
を推進していく上において一番大切だと思う。それは
候補者
自身であり、あるいは
政党
の総裁であり、いろいろな者だと思う。そういうことに対して、道義的な責任を一切ほおかむりでおっていいか悪いかという点については、どういうふうにお考えになるのですか。
篠田弘作
57
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 私は、道義的な責任も、もちろんこれは個人——道義的と申しますと、これは法律上の責任でございませんから、
制度
上の責任でございませんから、個人の要するに感覚なり認識なり、そういうものに待たなければならないと思います。そこで、私自身は政治家としての、
自治大臣
というものの責任を非常に痛感しているわけです。そこで、参議院の
委員
会におきまして、責任はだれにあるかというで、これは
選挙
の問題ではなかったのでありますが、吉展ちゃん
事件
と善枝さん殺しの
事件
でございますが、国家公安
委員長
として私は責任を感ずる。その場合、私が申し上げました
意味
は、もちろん責任を感ずると、口先で感ずるだけではございません。私自身に責任があるとすれば、
大臣
の出所進退を含めて一切の責任を感ずると、こういう
意味
で申し上げました。ところが、
衆議院
の本会議におきまして、社会党の猪俣浩三代議士が、一体お前の責任がどこにあるのかお前は一体規則を読んだことがあるのか、法律を知っておるのか、
警察
の第一線の責任というものは、本部長並びに警視総監にある。第二の責任は
警察
庁長官にある。第三の責任は公安
委員
会にある。第四の責任は総理
大臣
にある。どこを読んでも、お前の責任は出てきやせぬじゃないか、お前は、公安
委員
会の会議というものを主査する責任と、会議の結果を総理
大臣
に伝える連絡係、メッセンジャー・ボーイでしかない、それをお前、偉そうな顔をして、参議院の法務
委員
会において責任を感ずるなんということはおかしい、そういう
意味
のことを言われた。そこで私は、それほど責任のない公安
委員長
なら、国権の最高機関である衆参両院の本会議に呼ばれて追及されるのはおかしいじゃないかということを本会議で私話しましたが、そういう場合、私自身は、むしろ政治家としての道義的ないろいろな責任を感じております。しかし、
国会
におけるいろいろな責任というものは、私自身が感じておる道義的な責任でなくて、むしろ
制度
上、法律的な責任を追及されていると私は思いますので、そういう問題について、法律上、
制度
上の責任というものに重点を置いて答弁をされる閣僚等におきましては、あるいは何にも道義的な責任を感じていないのじゃないかというふうに取られる場合もありますし、道義的な責任にあまりに中心を置き過ぎて、私のようなことを言いますと、今度は
衆議院
本会議等において、お前のようなメッセンジャー・ボーイが何で責任を感ずるんだということで、反論も出てくるわけでございまして、
国会
の答弁というのは非常にむずかしいということでございます。
成瀬幡治
58
○
成瀬幡治
君 いや
大臣
、わかりますがね。私は、
国会
答弁のテクニックを伺っているのでなくて一
公明選挙
をやっていく上において、どういう法律を作り、どういう規則を作るということよりも、一番道義的な責任が大切だということを主張するわけです。この点、
大臣
同感だと思うわけです。そこで、今申しましたように、空前絶後のような東京都
知事
選でそのことが行なわれた。私は、束さんは
関係
あるとは思いません。ないだろうと思う。しかし、そういうことに対して道義的な責任を感ぜられるということがいいか悪いか、感じてもらいたいと思う。あるいは一党の総裁が、自民党が推薦してみごと
当選
されたとするならば、総裁として、進んで道義的な責任というものを感じてもらいたい。それをどういうふうに表現するか。単に言葉の上で遺憾でございました、あやまりますということだけではしかぬと思う。身をもって示すということが、私は
公明選挙
を推進していく上において一番大切な点だと思いますが、
大臣
はどういうふうにお考えになりますか。
篠田弘作
59
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 私は、総理
大臣
も、東さんも
候補者
でありますし、総理
大臣
自身は政府の最も最高の立場におる方でありますので、言うまでもなく道義的な責任を感じておられると思います。ただ、この道義的な責任というものをどういうふうにして表現するかということになれば、これは私自身の認識の問題をおしゃべりするわけでありますけれ
ども
、
選挙違反
を起こした者はなるほど悪質ではございますけれ
ども
、
投票
いたしました約三百万という数からいいますと非常に少ない。そこで、責任をとってやめろというような説もありますが、三百万の
投票
者がほんとうに東を支持し、そう一して
投票
をしておる。そういうときに、不心得者が少数おって、それが悪質
違反
を起こして、そうしてその東さんというものが、その道義的な責任をとってやめろというような、そういうことになれば、数名の人間の不心得者のために、数百万の人間の政治に対する熱望というものを踏みにじってしまう。そこで私は、やはり少数の不心得者に対しては法律のさばきにまかせる、
裁判所
の公明な
裁判
にまかせることにいたしまして、総理
大臣
、あるいはまた、特に東
知事
という立場から言うならば、数百万の熱情に報いるために、それこそ齋戒沐浴、献身いたしまして、東京都政というものをりっぱな都政にしていくということが道義的責任に報いるゆえんだと、こう私は考えます。
成瀬幡治
60
○
成瀬幡治
君 私は、とにかく日本の歴史と申しましょうか、おそらくこういう
選挙違反
というものは、今後行なわれてはたいへんだと思う。一番汚ない
選挙
だと思う。それで、あなたがおっしゃるように、三百万の人が
投票
したかもしれません。しかし、にせ証紙のために
投票
をした者が何人であるか、あるいははがきのために何人であるかというような問題は、やはりそれは作られたものだと思う。したがって、あなたがおっしゃるように、
選挙違反
のほうは刑事的な責任のほうでやってもらいたいのだ、
当選
した以上は、一生懸命
努力
すれば、それで道義的な責任は立ったのだから、これで今後も
公明選挙
というものが推進されるのだということは、少し独善じゃないか。あるいはロジックが違ってくるのじゃないか。それよりも、やはり出所進退を明らかにしてほしい。こういう気持が
大臣
のどこかにあなたはございませんか、心の中で。
国会
では、それは言いにくいかもしれませんが、どっかにあなたはございませんか。
篠田弘作
61
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 実は具体的な例を申し上げると、また問題になるかもしれませんが、遠慮して、目くそ鼻くそを笑うものではありませんが、私の性分に似合わず、だまっていたのですが、このにせ証紙
事件
というものは、実は自民党の専売特許でないのでありまして、社会党からも出ていることは御承知のとおりであります。社会党のほうもすでに
検挙
されておりますから、これは明らかでございます。そういうような場合におきまして、それでは、このにせ証紙というものが、かりに
警察
の調べによりますと千六百枚だそうでございますが、千六百枚のにせ証紙を張ったポスターによって東候補の票というものがはたして稼がれているかどうか。それほど東候補というものは無名であるかどうかということは、やはり私は、事実の判断の上に立って見ることが必要じゃないか、おそらく七十万開いた東の
当選
というものは、にせ証紙の千枚や千五百枚によって左右されておらないということは言い得るのではないか。そういうことから見ますと、にせ証紙というものが中央におきまして、あるいはまた
知事選挙
において、特に福岡のような非常な激甚な
選挙
において現われたということは、これはもう自民党にとっても非常に大きな問題でございますし、ただいまおっしゃるように、ほんとうに反省をし、それが現在自民党の幹部の息のかかった者ではもちろんないと信じますが、そういうものが自民党のたとえば職員の中から出たということは、これは大問題であると思います。しかし、それによって東さんが、先ほど申しましたように、やめなければならないということならば、やはり同じ論法をもっていけば、そういうものが現に出て
当選
されたような北九州の
市長
のような場合も、やめなければならないということになるわけであります。そういうことからいいますと、私は、にせ証紙そのものは、ほんとうにわれわれは、よくもよくもこんな知恵が出るものだというような悪いことでございますけれ
ども
、しかし、そういうことによって、第三者がそういうことをやった、それをにくむあまり、今度は、その実態というものを全体的に把握しないで、そのために三百万の
選挙
民の応援を受けた
候補者
もやめなければいけない、新しい時代の要請によってできた五大都市の
市長
もまたやめなければならぬというような実態の悪例を残すというようなことのほかが、民主主義のいわゆる建設の上において、もっと角をためて牛を殺すというような結果になるのではないか。角をためるのはいいが、牛を殺さぬようにしなければいかぬというのが私の考えです。
成瀬幡治
62
○
成瀬幡治
君
大臣
は、にせ証紙は千六百枚だというようなことの話ですが、私は、東京都
知事
の
選挙
において、立会演説がどういうようなことで行なわれたが、あるいは御指摘になりました泡沫候補がどうかというふうに出てきたか、あるいははがきがどうだというようなことで、総会的に私は東京都の
知事
選ぐらいきたない
選挙
はなかったと思う。だから
大臣
は寝れなかったし、がっかりされたと思う。だから、そういうことに対して、これもやはり個人的な意見になるわけですけれ
ども
、少なくとも道義的な責任というものをやはり明らかにすることが、私は
公明選挙
を今後やっていく上において非常にプラスになる。日本の民主主義を守っていく上において非常にプラスになる。あるいは、
選挙
がよごれたために、日本の
政党
がその権威を失墜して何になってきたかというようなことは、過去の歴史で
大臣
等がわれわれよりもよく御承知になり、にがい私は経験をなめてお見えになると思うわけですよ。したがって私は、大所高所から、そういう道義的な責任についての御意見が実は承りたいと思っておったんです。それなのに、今承りますと、何かこう
一つ
のテクニック的な、棒引きのような話で実は終わっているわけですが、私はちょっとがっかりしているわけですよ、そういう
意味
で。
篠田弘作
63
○
国務大臣
(
篠田弘作
君)
成瀬
さんの非常な真摯な御質問に対して、私の言ったことが、何かがっかりした印象を与えたということであれば申しわけないことでありますけれ
ども
、私自身もがっかりしております、実を言うと。その点はまあ同じなんです。あなたのお考えになっておるようなことは、私自身も考えています。全くその、フェア・プレーでいくべきだ。だから、個人の見解からいえば、そういうきたない
選挙
が与党といわず野党といわず行なわれた場合に、ほんとうに今検査役のようなものがいて、取り直しでもさせるという
制度
があれば、これはまあ当然取り直しさしたほうがいいと私は思うのですよ。だけれ
ども
、そういう
制度
は心ありません。そうである以上は、現在の選考法というものにのっとって、すなわち、
一つ
の国の行事としてそれをやっていく以上は、自分たちの気持だけでもって取り直しをさせるということを、法律上の裏づけもないのにさせたほうがいいなんという、そういうできないことをただここでしゃべっても
意味
がないわけです。そこで、あなたと私は心持ちは同じですけれ
ども
、そういうことの
制度
もありませんし、同時にまた、これだけ大きな
選挙
というものを、
選挙違反
というものは現在の状態でなしに行なわれるというふうには考えられないですね。そうしますと、今度は取り直しをやったときにまた
選挙違反
、また取り直す、また何ぼやっても、これはそういう
選挙違反
のあるたんびに取り直しをやったんじゃ際限もないという現在の実情であります。そこで私は、
自治大臣
としては、むしろそういうことを考えられても、考えたってできないのですから、できることを考える。先ほど申し上げたような、
選挙
公営というような面をうんとふやしていくというような面で私は
努力
をしたいということを考えておるのでありまして、何も責任のがれのことを言って、あなたをがっかりさしているわけではないということを御了承願いたいと思います。
成瀬幡治
64
○
成瀬幡治
君 実は
大臣
が、
一つ
の私案として、公営をふやしながら
選挙
をフェアに持っていきたい。もう
一つ
は、やはり
選挙
に対するお互いの道義的な責任を明確にして、この二本の上じゃないと、なかなか容易じゃないと私は思う。法律はどれだけ作ってみても、ちょうどどろぼうが絶えないと同じようなことであって、無
意味
で、やはり道義心の高揚と申しましょうか、
選挙
の
公明化
に対する心がまえが必要だと思うのです。そういうときに、一番いいことは何かというと、公営にしていくという
一つ
の法律の
改正
も非常に必要であろうけれ
ども
、この際、まことに済まなかったと、これは、やめたんだというようなもし意思表示があって、いや、そうせんでもいいというような、とめたということになってもいいと思う。何らかの形で少なくともそういうようなことが行なわれたら、どんなにか私は今後いい影響が出たんであろうかと、実は災いを福に転ずるというのはそういうことだと思うのですよ。ここで、いやいそうじゃない、お前一生懸命やるほうがむしろいいのだという、そういう見解と私は逆な見解を実は持っておるわけですがね。
篠田弘作
65
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) もちろん、いろいろな考え方がございまして、
成瀬
さんのような考え方もあります。私たちも、どっちかというと、そういう考え方に近いところの考え方でございます。しかし、そういういろいろな複雑な問題を明快に解釈して、そうしてこのむずかしい
選挙
というものを遂行していくための
選挙法
でございますから、それは、多くの人間の知恵を集め、時間をかけ、そうしてこの
選挙法
というものは、法律上
国会
の承認を受けてできておる、
選挙
に関する
一つ
の憲法といってもいいようなものであろう。でありますから、いろいろな考え方はございましょうが、最終的に責任の問題ということになれば、やはり
選挙法
上の責任の問題がきまらないうちに、ただ自分の陣営から不心得者が出たからといって、何百万という人間の信頼を無にいたしまして、
候補者
がやめるという意思表示を単独でする。
候補者
自身もまた、
候補者
の好き勝手に出ておるものではありません。
政党
の公認なり、あるいはまたそれを取り巻く後援会なり、あるいはまた労働組合なり、いろいろな多くの
団体
の推薦を受けて出ておるのでありますから、そういう
団体
の意思あるいはまた法律というものを無視して、ただ自分一人が気持いいからこれでやめるのだ、そういうことは、私は公人としては許されないのじゃないかと思う。たとえ東さん自身が非常にもう迷惑である。別に自分は東京都
知事
になりたいわけでもないのだ。しいてやりたいわけでもない。ただきれいな、要望によってやれというならやるけれ
ども
、そうでないと考えましても、やはり公人という立場は私情を殺さなけりゃならぬという場合もありまして、必ずしもあなたのおっしゃるような政治行動に出るということだけがこれは責任を感ずる問題ではない。これは、あなた方も私
ども
もそういう立場に立ったならば、おそらく自分の意思と違ったまた行動をしなけりゃならぬ場合もあると思う。そういうことで大体御了解願いたいと思います。
成瀬幡治
66
○
成瀬幡治
君 まあ私も与党内のプライベートな話をされたときの、向こうの本心はしばしば出ておりますし、またあなたも、いろいろな個人的なプライベートな御意見等は伺っておられると思うのです。要は、国づくり、人づくりとか、いろいろなことを申しますが、法治国だとか申しますが、道義はやはり先行するということについては間違いのない話であるし、私は一番正しいことだと思う。間違いのない真理だと思う。したがって、道義に基づいての出所進退を明らかにするということが一番大切だと思いますけれ
ども
、今申しましたように、いろいろな取り巻きがあったり、いろいろなことがあるから、これ以上のことは云々とおっしゃいますから、私もこれ以上の議論を実はしようとは思いません。しかし、今申しましたように、本人がどうこうすることもございましょうし、それを推薦した有力
団体
の方々たちがどういう勧告をするというようなことがございまして、私は、こういうよごれた
選挙
というものに対して、二度とそういうことが繰り返されないように、あるいはこれが
一つ
のきっかけになって、
公明選挙
が今後行なわれるというようないい
意味
の出発点にしてもらうことを期待をしまして、この議論をひとつやめたいと思います。 次に、ちょっと伺いたいのですが、
警察
関係
のほうに伺いたい。一体にせ札が出て参りますね。そうすると、にせ札だと一こう言ってきたものに対して、これはにせ札であるという認定をする上において、時間はどのくらいかかりますか。
宮地直邦
67
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 従来出ておりますものにつきましては、割合に短時間で断定を下しております。しかし、新
記号
が出た場合においては、一応現地におきまして、にせ札であるというふうな疑いをもって捜査はいたしますけれ
ども
、
最後
の断定につきましては、
警察
庁のほうにおいて断定を下すということになっております。
成瀬幡治
68
○
成瀬幡治
君 短時間とおっしゃいましたが、どのくらいでしょうか。
宮地直邦
69
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 従来出て参りました、たとえばWRというようなものでございますというと、すべての
特徴
点は第一線に行っておりますから少なくとも署あるいは県本部で十分わかります。ところが、最近出ました静岡県のごとき場合におきましては、一応
特徴
点におきましてにせ札の疑いをもって活動いたしますが一これを新種の
記号
と決定いたしますのには、やはり一日以上かかっておると存じております。
成瀬幡治
70
○
成瀬幡治
君 そうすると、従来出ておるものは、どこがにせであるかということが第一線に行っておるわけですね。したがって、出てきたものに対して、それがにせものであると断定をすることはどうやって断定するんです。たとえば拡大するとか、虫めがねで見るとかいうようなことをすればすぐわかるんですか。そういう
意味
ですか、短時間というのは。
宮地直邦
71
○政地
委員
(
宮地直邦
君) 従来出ております点につきましては、
特徴
点その他につきまして、鑑識上、透視拡大をすれば割合容易にわかるようになっております。しかしながら、今申しました新しいものにつきましては、データがございませんで、
警察
庁の研究所まで持ってくるようになっております。
成瀬幡治
72
○
成瀬幡治
君 そうすると、
警察
の第一線には、今申しましたように透視ですね、そういうものがありますから、持っていくだけの時間であって、それにかければ、ここがにものだということはすぐわかるということですから、まあ持っていっただけの話であって、そこにかけるだけの時間を十分か十五分見ておけばいいわけで、それですぐにせということはわかるんですか。
宮地直邦
73
○
政府委員
(
宮地直邦
君) そのとおりでございます。
成瀬幡治
74
○
成瀬幡治
君 東京都の今度の
選挙
のにせ証紙ですね。これは一体どこがにせだったんですか。
宮地直邦
75
○
政府委員
(
宮地直邦
君) にせの
特徴
点で一番わかりますのは、T、Sという隠し文字が印刷の場合逆であった。その他印刷——上下の平行線が確実でなかった。その他総合的に鑑定いたしまして、にせと断定したのでございます。
成瀬幡治
76
○
成瀬幡治
君 そのTとSがさかさまになっておると、そういうことで、それだけでもにせだということはわかりますか。
宮地直邦
77
○
政府委員
(
宮地直邦
君) わかりませんでございます。
成瀬幡治
78
○
成瀬幡治
君 わからない。TとSがさかさまだけではわからない。なぜですか、それは。
宮地直邦
79
○
政府委員
(
宮地直邦
君) これは印刷技術の問題でございますが、これは二度刷りになっております。で、T、Sの文字は紋様に入っております。東京都選管という文字は二回目の印刷、その文字に対して相対的に反対になっているということは、印刷過程においてもあり得るということなんであります。
成瀬幡治
80
○
成瀬幡治
君 今ちょっとこちらで話がございましたから聞き漏らしたんですが、TとSが動いて反対になることがあり得るわけですか、印刷の上において。
宮地直邦
81
○
政府委員
(
宮地直邦
君) さようでございます。
成瀬幡治
82
○
成瀬幡治
君 それは、あなたが調べられたらそうなったわけですか。これは第一版で、あれは三色刷りなんですね。東京都選管がやったのは三色刷りなんですね。その第一色で、第一版で刷るときに、もうTとSが動いていることがあるわけですか。
宮地直邦
83
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 今申しましたのは、これを作りました凸版印刷でそう申しておるのでございます。
成瀬幡治
84
○
成瀬幡治
君 私は、東京都選管が作ったその文字ですね。その文字版は、初めの地紋は、あれは三色刷りでやったことは承知しておるんです。あなたもお聞きになっておると思う。そのときにTとSが動くことがあり得るんですか。
宮地直邦
85
○
政府委員
(
宮地直邦
君) T、Sという文字がさかさまになっておるということは、東京都選管という文字に対してさかさまになっておるということです。そういうことでございますから、そうしてT、Sというのは地紋に入っておる。したがって、そういうことが印刷過程においてはあり得るということでございます。
成瀬幡治
86
○
成瀬幡治
君 あり得るということとやったこととまた別なんですが、実は、東京都選管も、隠し文字を作っておることは一番大切な点ですから、十分東京都選管でも注意をしておやりになっているはずだったと私は思うんです。もちろん、印刷所に対して連絡等も行なって、厳重におやりになった。少なくとも六カ月も先から事前に準備をされておやりになっていることなんです。で、私が聞きたいのは、まあ大体あなたも気づいてお見えになると思いますが、なぜ発見がおくれたかという点を私はお聞きしようと思っているわけです。したがって、もうここがにせじゃないか、ここがにせだ、こう指摘をされて、なおかつ
調査
をするのに三日間も日にちをかけておいでになるが、これは私は、慈恵があって、十分意図を持っておやりになったというほかに言いようはないと思うんですよ。それを、いいえ、そうじゃございません。さかさまになることもあるんだから、それで発見がおくれましたという話で事は済むんですか。
宮地直邦
87
○
政府委員
(
宮地直邦
君) これはにせの証紙であるか、本物であるかということにつきまして、
警察
が判定するにつきましては、これは慎重でなければならぬ。
警察
におきましても、提出せられました、またわれわれのほうで発見いたしましたいわゆるにせと思われますものはさかさまになっている。したがって、警視庁におきましても、一たんは、このさかさまということにおいて、にせなりや本物なりやということを判定いたしたいと思いまして、これは凸版印刷に照会いたしましたら、単にT、Sの文字の東京都選管という文字に対する相対的位置のみによってこれを判定することは早計である、断定できないという回答がありましたので、警視庁におきましては、さらに、ただいま申し上げましたように、総合的に検査をいたしまして、そうしてにせというものの
特徴
点を出したわけでございます。
成瀬幡治
88
○
成瀬幡治
君 まあ私は、
警察
がいろいろなことにおいて科学的捜査ということを最近やかましくお言いになり、相当スピードをあげておやりになっている、これは、犯罪捜査の上においてきめ手になると思うんです。ところが、にせ証紙かどうかというのを判定するのに三日もかかるような
警察
なら、これは、犯罪人はつかまらぬはずだと思っております。これが意識的におやりになったというのなら別ですよ。そうでなければ、凶悪犯なんというものをやるなんということはむちゃな話であり、科学
警察
というものはなくてもいいものだと私は思います。虫めがねでわれわれが見ても、にせものであるということはすぐわかる。のりがどうであるかということでも、溶かしてみて化学分析をやったらすぐわかる。それを二日も三日もかかって、いや、にせものでしたというころには、どろぼうはとっくに逃げちゃっている。飛行機で外国へ飛んでいる。それほどのろまなものか。
宮地直邦
89
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 今申されるより時間がかかっていないのでございます。われわれのほうが現物を入手するにつきましても、
警察
は、任意提出以外におきましては、令状によって押収せざるを得ないのであります。私
ども
のほうが現物を押収いたしましてから、にせときまりましたのが、おそらく二十時間とはかかっていないと思います。そのくらいにすみやかに措置をいたしております。
成瀬幡治
90
○
成瀬幡治
君 あなたは二十時間かかっておらぬと言うが、いつ入手したのですか。それで、
結論
はいつ出したのですか。
宮地直邦
91
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 第一回ににせの疑いありとして通知を受けましたのは、四月十五日の六時四十分でございます。その証紙は直ちに任意提出を受けまして、東京都選管が、持っていっております。警視庁におきましては、これを放置したわけではございませんで、現物を翌朝東京都選管から警視庁に提出を受けまして、それを鑑識いたしました結果、真正の証紙と異なるという結果
報告
を受けましたのは、四月十六日の午後九時三十分でございます。
秋山長造
92
○
秋山長造
君 その点について、今
成瀬
委員
が非常な疑問を出しておられるんですが、これは私らは、もうその点は非常に疑問に思っているんです。局長がぬけぬけとうそを言っていると思いませんけれ
ども
、とにかく非常に疑問です、その点。 それから、先ほどの印刷の工合によっては、隠し文字がさかさまになることもあり得るということも、それはおそらく、
警察
で返答をしたという凸版印刷の専門家を呼んでみなければわからぬけれ
ども
、それは、多少印刷のズレということで、T、Sの位置が少しずれるということはあり得るという
意味
じゃないかと私は思う。あれの右と左とさかさになるということが、絶対そんなばかな証紙の印刷ということがあり得るのだろうかと思うのです。それから・今の時間のズレにしても、厳密な科学
調査
ということは別として、まず第一の見分けというのは、やはり、T、Sの位置が全然逆になっておるということで、まずこれはにせと九分九厘まで
警察
の常識としてにらむと思うのです。そうしたら、やはり
選挙
なんかの場合には、特に火急を要する場合でもあるし、短期決戦ですから、期限がきまっているから、だから、すぐやはり現物の押収なり何なり、捜査にすぐ着手するということが、これはやはり刑事
警察
として私は当然のことじゃないかと思うのですがね。そこらの点、ミッドウェー海戦は三分間のズレで勝つべきものを負けたいということになっているのだそうですが、これはもう
選挙
なんか、ミッドウェー海戦にまさるとも劣らぬくらい、一分一秒を争う、特に終盤になったら、これは大きいですよ。二十時間とか三十時間とかいうものは、ただの一時間でも大きい。あの佐野市で
昭和
二十八年の
選挙
のときに、
全国
区の平林さんの党名を、日本社会党を日本共産党と書き間違えて、五、六時間どこか
投票
所で掲示しておった。ただ五、六時間、一カ所で党名を間違えただけのものでも結局あれは
当選
無効になって、再
選挙
をやっている。そういうことから
比較
考量してみると、なかなかこの問題は、問題全体としても非常に重大だし、それから、今の
警察
の関与された面、数時間あるいは十数時間のズレだけでも、これは非常に大きいと思うのです。局長の御答弁がそんなにゆっくりしたものかという感じを受けるのです。
宮地直邦
93
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 印刷の技術の問題になるのでございますが、中に地紋を印刷しまして、そうして紙を添えるというような過程において、一枚さかさに整理した場合においてはそういうことが起こり得るので、一ぺんに印刷するのでないために、そういうようなことが起こり得る。そういう
意味
において凸版も回答しておるのだと思いますから、なお、警視庁におきましても、真偽不明であるけれ
ども
、そういうものが出たということにつきましては、もう最終決定以前に内部措置といたしまして、そういう種類のものがどういうふうに出ておるかということの
調査
につきましては、すでに決定以前に指示を出しておる。そういう疑いのあるものについての
調査
方は指示いたしております。
成瀬幡治
94
○
成瀬幡治
君 六時四十分ごろに、東京都選管から
警察
に連絡があった。そうして翌朝何時に科学捜査室へお届けになりましたですか。
宮地直邦
95
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 十七日の午前十時に、東京都選管から、偽造の疑いのある証紙のポスター一枚と
比較
対照のために、真正のものの提出を受けたわけでございます。
成瀬幡治
96
○
成瀬幡治
君 そうすると、いま一ぺんそこのところ、ちょっと話が違っておりますから、私のほうから確認の
意味
で申し上げますが、十五日の六時四十分東京都選管から連絡があったのは、こういうものがあるという口頭の連絡があっただけで、そうして現物をいろいろと添えられたのはその翌日の十時にあったと、こういうことですか。
宮地直邦
97
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 警視庁にまず第一ににせではないかというふうに通知を受けましたのは、四月十五日の午後六時四十分ごろ、そうして警視庁が東京都選管から任意に偽造の疑いある証紙及び真正な証紙の提出を受けましたのは、その翌日、十六日の午前十時でございます。
成瀬幡治
98
○
成瀬幡治
君 あなたのほうも立ち会って、これはにせのものじゃないかどうかということで二枚ほど押収されましたな。それは、選管の方が持っていっただけで、あなたのほうは全然
関係
なかったのですか。
宮地直邦
99
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 私のほうに
報告
を受けておりますのは、これは、場所は原宿駅の北口でございます。これにつきましては、東京都選管のほうに
候補者
の承諾を得て持ってきておるわけであります。
成瀬幡治
100
○
成瀬幡治
君 私は、
選挙局長
にちょっと聞きたいのですがね。選管の事務というのは、
選挙
期間中、大体日曜日は休みとか、あるいはまた夜も、時間が来たら、八時間勤務だから、五時になったらお帰りなさい、こういうような大体通牒を出しておられるのか。そうでなくて、
選挙
期間中は、午後十時ごろまで、
選挙運動
期間中くらいはおれという通達を出しておられるのか。各
都道府県
の選管については、何らかの指示をしておられますか。そういう勤務状態の何については、全然ノータッチなんですか。
松村清之
101
○
政府委員
(
松村清之
君)
選挙運動
期間中は、土曜、日曜にかかわりませず、午前八時半から午後五時まで、休みにかかわらず勤務することになっております。その間に
選挙
の事務がとれ得る態勢にしております。それから、あとの夜の問題は、これは選管自体の判断で、いろいろそのほかに問題があるとか、ありそうだというときに
交代
で残るということで、たいていは夜おそくまで何人かの人は残っておるのが普通の状態でございます。
成瀬幡治
102
○
成瀬幡治
君 ここで、にせ証紙で非常に問題になりますのは、発見が十四日の午後五時か五時半ごろだろうと思うのですが、そうして東京都選管から
警察
に連絡があったのは午後六時四十分ごろだ、こう言う。そうしますと、これは人がおらなかったとか、選管が、夜になりそうだったから次の日に持っていった、こういうことになると思うのだがね。それでいいのですかね。
松村清之
103
○
政府委員
(
松村清之
君) 私のほうが東京都の選管から聞いておりますところでは、四月十五日の午後六時ごろ、
選挙
人のどなたから、にせ証紙があるという申し出があった。それで、直ちに選管は職員を派遣して、現物を借り受けて、警視庁と凸版印刷に
調査
を依頼した、こういう
報告
になっております。
成瀬幡治
104
○
成瀬幡治
君 違うね。違うでしょう。局長、お聞きになっていても違うでしょう、直ちに連絡をしたというのと。
松村清之
105
○
政府委員
(
松村清之
君) まず
警察
のほう、これはちょっと私もはっきり確認できないんですが、午後六時ごろ、
選挙
人からにせ証紙の申し出があったので、選管の職員を派遣して、その現物を借りて、警視庁と凸版印刷に
調査
をしてくれと、こうそのときに依頼した。そこまでは、選管のほうでそういう事情になっておると聞いております。
成瀬幡治
106
○
成瀬幡治
君 依頼したということは、引物を、あるいはにせ物かどうかということの判断を仰がなくちゃなりませんから、あるいはそうした物的な証拠と申しましょうか、物を出したという
意味
じゃないでしょうかな。言葉だけですか。
松村清之
107
○
政府委員
(
松村清之
君) この
報告
の文面から見ますると、現物ですから、おそらくにせ証紙の張ったポスターを承諾を得て借りてきて、警視庁と凸版印刷に
調査
してくれと、こういうふうに依頼したというふうに受け取っております。
成瀬幡治
108
○
成瀬幡治
君 そうですね。
宮地
さん、十五日の原宿の何とかいう旅館ですが、名前まで出ておりますが、そこに四枚張ってあったということはわかります。そういうことは、
状況
等を私はこまかく言う必要はないと思いますが、そのときに
警察
官の方も立ち会ってお見えになりますね。そして四枚のうち二枚を持っていった。そしてすぐ、これはおかしいじゃないか、その場で虫めがねでもって見ると、TとSがさかさまになっておったということを指摘して、どうもおかしい、これじゃいかんじゃないかということがあって、そして東
選挙
事務所のほうにも連絡があったから、そこから来てもらって、そして四枚のうち二枚を預かるよと、ここまでいったことは、そういうことは御承知ですね。そして今度捜査に動き出されて、いろいろなことがあったということは、十時ににせ物と本物が東京都選管から出てきたから、そこで、
警察
の何とかという科学室へお持ちになったのは十一時だとか、あるいは十二時になるだろうと思いますが、そういう
順序
なんてすか。
宮地直邦
109
○
政府委員
(
宮地直邦
君) もう少し詳細に申しますというと、警視庁に連絡がありましたのは六時四十分でありまして、それは、今私のほうに対しましては、社会党の
選挙
対策本部の伊藤という方から電話があったわけです。これが六時四十分でございますが、すぐに原宿署に係官を派遣したのでございますが、原宿署員が参りましたときには、すでにそこには東京都選管の職員が来ておられたという
状況
でございます。そういう
状況
のもとに参った。そうして東候補の
選挙
事務所の了解を得て職員が持ち帰った、こういうふうに私のほうは了解いたしておりますが、ただ・そのままにしたのではなくて、こういうものがあったということによって、同種類のものの発見については、直ちに原宿署においてはいたしておるのでございます。
成瀬幡治
110
○
成瀬幡治
君 それからもう
一つ
。まああとで、時間がございませんから、私はこれについてのもっと総合的な
順序
立てたいろいろなことはまたお聞きしたいと思っておりますが、きょうは簡単なことをお聞きしたいのですが、あなたのほうが凸版印刷屋に問い合わされたのは、それはあなたのほうじゃなくて、東京都選管が問い合わせたのじゃないですか。あなたのほうもおやりになったんですか。もしおやりになったとすれば、それはいつで、どういうところの凸版で専門家にお尋ねになりましたか。会社、あるいは代表者、あるいは答えられた人ですね。
宮地直邦
111
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 東京都選管が凸版印刷に照会したかどうかということは、私
ども
は存じておりません。しかし、私のほうに、警視庁としても、今申しましたように、翌日、十六日になりまして凸版印刷に照会しております。しかし、今凸版印刷のだれに照会したという名前を持っておりません。
成瀬幡治
112
○
成瀬幡治
君 そうすると、あなたのほうは、凸版印刷に照会はする、あるいはどうもにせではないかといって、科学室というのですが、どこかにそういうにせ物と本物の見分けを依頼すると、そういうようなことをおやりになったんですか。
宮地直邦
113
○
政府委員
(
宮地直邦
君) これは、平行的に内部において、さかさまということはだれが見ても事実でございますから、すぐわかりますから、そういうことで、私のほうは、最初に、T、Sのさかさまだけということは認定いたしましたが、なお、ほんとうのものを作った所において、こういう鑑定を出してもいいかということについて照会をしたところ、これは困る、こういう回答を得たということで、広い
意味
におきましては、われわれの鑑定の内部の
一つ
の過程ということになると……。
成瀬幡治
114
○
成瀬幡治
君
選挙局長
ね。普通この証紙を作るのに、私らは、六カ月聞くらい準備されて、三色刷りにこうおやりになってさかしまに文学がなったり、いろいろなことになったらたいへんだろうと思うので、いろいろな点で留意するという、これについて御指導になっておると思うのですが、
松村清之
115
○
政府委員
(
松村清之
君) この証紙は、いきさつをちょっと申し上げますと、昨年の
選挙法
の
改正
で、従来のスタンプあるいは打ち抜きの検印にかえて、証紙
制度
を
採用
してもいいという法律ができたわけでございますが、これを実施するまでに、私
ども
はいろいろ研究するのに六カ月かかったわけです、去年の
参議院選挙
で
採用
するのに。これは非常にむずかしい、のりその他の点について非常にむずかしい問題がありますので、六カ月かかって、去年
参議院選挙
でやりましてからは、もう十分実績がありますので、東京都も、参議院の
地方
区でこの証紙
制度
を
採用
しておりますから、今度の
知事
選には、私はそう六カ月はかけていないと思います。一カ月くらいで私は刷り上げておるのではないかと思っております。
成瀬幡治
116
○
成瀬幡治
君 あなたは思っておるだけの話で、聞いてはおみえならぬわけですね。この次までに、どのくらい前に準備して、どういうところに選管が留意しておるかというような点について、ひとつお聞き願っておきたいと思います、私の聞いたのとちょっと違っておるようですから。
松村清之
117
○
政府委員
(
松村清之
君) 承知しました。
秋山長造
118
○
秋山長造
君
最後
に。今の
成瀬
さんの質問は、次回にさらに続けられるのだろうと思いますが、ちょっとただしておきたいのですがね。
警察
のほうで、
全国
的に五日三十一日付で
選挙
取締本部を解散されたですね。あの解散されたということは、もちろん今東京の問題とはこれは別個なことで、東京の問題はさらに引き続いてやられるのだろうと思うのですけれ
ども
ね。何か警視庁あたりが、片っ方では証紙の問題あるいははがきの横流しの問題なんかをとことんまで
違反
の捜査をやるということを声明しておられるのだが、片っ方では取締本部を三十一日限りで解散と、並んで新聞に出ると、
一般
に与える印象としては、ああ、もうこれもやはりうやむやだという印象を与えている面があると思う。その点は、やはり自明のことではあるが、念のためちょっと
刑事局長
の見解を聞いておきたいと思う。
宮地直邦
119
○
政府委員
(
宮地直邦
君)
秋山
委員
のお考えのとおりでございまして、
選挙違反
取り締まりというのは、同時多発しますために、ある一定期間につきまして捜査二課において手が足りませんので、ほかのところから手を借りてくる、こういう形をとっております。その捜査本部、取締本部を解散するということと
事件
捜査を打ち切るということは全く別のことでございます。
秋山長造
120
○
秋山長造
君 それから、
松村
局長にちょっと御意見を聞いておきたいのですが、立会演説なんかで妨害がひどいのに、選管が何らなすところなかったということが実態ですね。これについて
自治大臣
も、せんだっての
衆議院
の
特別委員会
で、
警察
のほうも、両方だけれ
ども
、どうもやり方が遺憾だった、選管のあり方あるいは
警察
のもう少しやりようがあったのではないかというような
お話
があったと思うのです。 それからさらに、幽霊候補の問題ですね。籍も何もない者が堂々と
最後
まで
候補者
としてまかり通っている問題。それから、公民権を停止されているのが堂々と受け付けられて、当日まで
選挙運動
をやっていますね。ああいう問題を考えると、やっぱり選管の
制度
そのものに欠陥があるのではないかということに私は
結論
はなるだろうと思うのですね。そういう面で、今後あってはならぬことだけれ
ども
、しかし、これはないとは保証できないことなんですね。もっと悪質なことがあり得る。そうなると、やっぱり今の選管の権限あるいは陣容、俗にいえば、選管の力ではちょっとこなし切れない事態が起こってくるということが予想されるのですね。そうすると、当然選管
制度
を何とかしなければならぬということになるのでしょうが、あの経験にかんがみて選管
制度
を
改正
するとか、強化するというか、何か考えておられますか。
松村清之
121
○
政府委員
(
松村清之
君) 選管がいろいろな面で非力であることは、私も痛感しておりますので、特に今後公営の問題等が取り上げられますと、これはまあ選管の能力というものが一指問題になるかと思いますが、これはなかなか、
選挙
という際には、この選管の仕事がどっときますけれ
ども
、平常時は
公明選挙
運動
程度
で、
程度
と言うと何ですが、事務がそうない。その繁閑がはなはだしいので、
平素
からしっかりした陣容を整えておくわけにいきませんので、いざ
選挙
というときに、非常に困難に遭遇するのが
現状
でございます。 そこで、さっきの具体的な問題で、立会演説会の秩序保持につきましては、これは
警察
でなくて、第一義的に選管に責任があるわけでございます。そこで、選管としても、今度はいろいろな事態をおもんぱかって、あらかじめ各立会演説会場には、いざというときに
警察
官の力を借りられるように、私服の
警察
官を場内に、警視庁と都の選管との話し合いで、十名
程度
待機していただいておったようでございます。しかし、立会演説会の性格から、
警察
力の応援を頼む時期というものは非常にむずかしいわけで、どうしてもできるだけ選管だけの力でやる、制止したい、場外等にも退去せしめたい、こういうように
努力
をしておったのが実情のようでございます。したがって、この立会演説会と
警察
力の行使というものとの関連問題になりますので、この点をどう考えるかということによって、
警察
の応援を
最後
に求めれば、秩序の保持という問題はある
程度
解決できるのではないかと思います。 それから第二の幽霊候補、公民権停止中の者の問題、これは、選管の能力というよりも、むしろ
選挙
制度
の問題で解決できるのではなかろうか。昨年の
国会
で、
選挙法
の
改正
が行なわれまして、犯罪等で公民権が停止されている者は立候補できないという、こういう明文ができましたために、公民権停止中の者の立候補を却下できることになりましたが、しかしこれも、立候補の届出がありました際に、はたしてその人が公民権停止中の者であるかどうかということは、本籍地等へ照会して、確実な
市町村長
の書面等によって判断しなければなりませんわけで、ですから、たとえば立候補の届出の際に、本籍の
市町村長
の犯罪があるかないかの証明書を必ずつけるというような
制度
にする、これは、ほかの
一般
の
候補者
にとっては手数がかかって迷惑かと思いますけれ
ども
、そういうことで、すぐにこれは公民権停止中だとかわかりますから、これを却下できますので、これは能力とは
関係
がないと思います。 それから、幽霊候補等の問題もそうでございまして、これは戸籍が間違っておって、
選挙
当日までに戸籍が訂正されて、これが実際の橋本勝何がしであるということになれば、これはやはり立候補させて、
選挙
もさせなければなりませんわけで。この点も、何か戸籍謄本上もうそういうふうに、死亡で抹消されている者は立候補できないと、こういうようなことでも考えれば、選管の能力とは別に私は解決できるものではないかと、そういうふうに考えております。
秋山長造
122
○
秋山長造
君 それは即席の御答弁ですがね。それで、そういう
改正
をやろうとなさっておるのですか。また解散も遠からずあるということですがね。
松村清之
123
○
政府委員
(
松村清之
君) これは実は、現在
選挙制度審議会
が開催されておりまして、今度の
地方選挙
の結果にかんがみての問題についても、一
委員
会で検討することになっておりますから、検討の対象になるかとは存じますけれ
ども
、まあ
結論
がどういうふうになりますかは、今のところ予想できないわけであります。
秋山長造
124
○
秋山長造
君 審
議会
のほうは審
議会
のほうとして、あなたのほうでもその研究ぐらいはしているのですか。何とかしなければならぬということは、もうこれははっきりしておるのですがね。
松村清之
125
○
政府委員
(
松村清之
君) 第一の立会演説会の問題につきましては、私、
警察
権の行使問題と立会演説会というものとの
関係
、これは判断の問題で、今どうという案もございませんけれ
ども
、今の第二、第三の問題につきましては、これはまあ
一般
の人の御意見を伺わないと
結論
つきかねるのですが、ほかの
候補者
、いわば善良なたくさんの
候補者
に多少御迷惑をかけても、ほんのわずかの人のそういったことを押えるということが御賛成得られれば、これはもうやったほうがいいのではないかと、こういうふうに考えております。
成瀬幡治
126
○
成瀬幡治
君
資料
要求ですが、これは捜査の上において、あるいはいろいろな上において迷惑だとおっしゃるのでしたら、にせ物と本物との拡大写真なんかがあるだろうと思いますが、これをひとつお出し願いたい。それから二つ目に、
選挙局長
にお願いしたいのは、東京都選管はここで、
選挙
が済んでから何回ぐらい
委員
会をやっておるならば、その議題は何だということ。もしやっておらぬとするならば、どうしてやらぬのか。 それから三つ目の
資料
は、今度、いわゆる本名はあって、それから別の名前で、通称何々というのが非常に多いと思うのです。本名と通称でやっておる人の一覧表ですね、東京都の
候補者
の。そんなのをもし東京都選管のほうからいただくことができるならば、ひとつ出していただきたいと思います。
松村清之
127
○
政府委員
(
松村清之
君) 承知いたしました。
宮地直邦
128
○
政府委員
(
宮地直邦
君) 検討いたします。
後藤義隆
129
○後藤義隆君 ちょっと伺います。日本人であることは間違いなくて、親が日本人であって、ところが出生届がしていない。そういうふうな者は
選挙
権があるのですか、ないのですか。
松村清之
130
○
政府委員
(
松村清之
君) これは、日本人であるということ、国籍法なり戸籍法なりでそういう手続がなされておられれば、これは差しつかえないわけですが、どういう……。
後藤義隆
131
○後藤義隆君 いや、親が日本人であることは間違いない。ほかの兄弟なんかはみんな届けをしてあるのだね。日本人で、それに生まれた子供だけれ
ども
、届けがしてなかった。
松村清之
132
○
政府委員
(
松村清之
君) 日本人である子供は日本人であることは間違いありません。それで問題は、戸籍がどういうふうになっているか。何も届けがしてないと……。
後藤義隆
133
○後藤義隆君 戸籍の届けがしてないわけです。いや、それはただ例としてお聞きするのですが、それは
選挙
権はあるのですかないですかと言うのです。ありますか、ないですか。戸籍の届けは、出生届をしてないが、日本人の子であることは間違いない。
松村清之
134
○
政府委員
(
松村清之
君) 日本人であれば
選挙
権はあるわけです。これは、年令要件を満たしておれば…。
後藤義隆
135
○後藤義隆君 そこでもって、戸籍謄本を提出さして、そして日本人であるかどうかというようなことを、それによって
選挙
権を認めるとか認めないとかいうこと自身が間違っているのですか、戸籍謄本を提出させるということが。戸籍になくても、日本人である以上は
選挙
権はあるのだから、戸籍謄本を出させるというようなことに将来
改正
するということ自身が、そういうお考えならば、間違っていないですかと、こうお聞きするわけです。
松村清之
136
○
政府委員
(
松村清之
君) これは法律の建て方で、一応原則をそういうふうにしておいて、何か反証か何かをあげさせることによって解決の道はあるのではないかと思いますが……。
郡祐一
137
○郡祐一君 戸籍法の適用を受ける者というやつはありますか。
松村清之
138
○
政府委員
(
松村清之
君) あります。
郡祐一
139
○郡祐一君 しかし日本人、戸籍法で適用を受ける者というとどうなんだ。戸籍に載っていない者というのはどうなんだ。これは、戸籍法の適用を受ける者というのは、法律の条文の読み方が……。
松村清之
140
○
政府委員
(
松村清之
君) これは、
選挙法
で戸籍法を適用するというのは、戸籍法という法律が適用される人であって、
現実
に戸籍に載っているかどうかというのは問わないわけなんです。
青柳秀夫
141
○
委員長
(
青柳秀夫
君) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十二分散会