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1963-05-21 第43回国会 参議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月二十一日(火曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は次の通り。    委員長     木村禧八郎君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            武内 五郎君    委員            岩沢 忠恭君            熊谷太三郎君            田中 清一君            三木與吉郎君            村上 春藏君            瀬谷 英行君            田中  一君            藤田  進君            中尾 辰義君            田上 松衞君   政府委員    建設政務次官  松澤 雄藏君    建設省都市局長 谷藤 正三君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    消防庁予防課長 雨倉正太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設基準法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○連合審査会開会に関する件   —————————————
  2. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいまから建設委員会開会いたします。  まず、建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。  出席者は、松澤政務次官前田住宅局長雨倉消防庁予防課長大塚都市局参事官が出席しております。
  3. 石井桂

    石井桂君 私は、今回提案されました建築基準法の一部を改正する法律案改正につきまして、基本的な事項について政府にお尋ねしたいと存じます。御承知のように、建築基準法は、昭和二十五年施行でございまして、すでに十三年を経ておるのであります。しかも、その法律案の前身である市街地建築物法は、大正八年以来四十五年——それから数えると四十五年になります。そこで、建築基準法は新憲法時代にできたものでございますが、この基準法と唇歯輔車の関係にあるべき姉妹法ともいうべき都市計画法大正八年、明治憲法時代にできたものであります。今回の建築基準法改正は、画期的なものといわれておる容積地区制度採用することになっておりまして、その容積地区制度は、都市計画施設として設定することに規定がされております。私が考えますのに、この容積地区のもとであるところの都市計画法が旧憲法時代のものであるということに、いささか疑義を抱くものでございますが、これらについてお考えになって今回の案を提出されたかどうかということを、まずお尋ねしたいと存じます。
  4. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) 今御質問の内容で、都市計画法と今回提出した法案とができ上がった時代柄からして、その基本となるべき都市計画法が、まだまだ前にできておったものがそのままに据え置かれたような格好で、これだけがあとからできた、いわば昭和三十五年にできた法案が今回改正されるという段階で、どうもちぐはぐなような気持がするが、その関連性から考えてどう考えておるかといったような質問ではなかろうか、あとの語尾のほうがわかりにくかったものですから、そういうふうに感じたのですが、それでよろしゅうございますか。
  5. 石井桂

    石井桂君 それでけっこうです。
  6. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) 御質問の点に対しましては、確かにごもっともだと思います。特に石井先生はそのほうの専門家の方でございますから、言われるまでもなく、建築基準法改正するという段階になれば、当然に都市計画というものが基本になって、それにふさわしい建物といったものが考えられていく、それにのっとっての建築基準法というものが生まれてくる、こういうふうに考えるのが順当だろうと思います。したがって、建設省といたしましても、この古いような形になっておる都市計画法というものの隘路のような点も多々最近見受けられるような段階でございますから、現在いろいろと検討を加えまして、そうして、この建築基準法のみならず、御承知のように、市街地の街区の設定部面法律もすでに通りましたし、そういうものとからみ合わせまして、できるならば早目隘路の点を打開するような方法をとって、そして法の改正へ持っていきたい、こういうわけで現在検討を加えておるような段階でございます。
  7. 石井桂

    石井桂君 大体それで私の考えと一致するわけなんですが、お聞きしたいことは、今度の基準法改正法案は、容積地区制という画期的なものを採用するわけです。その容積地区を指定するのは、都市計画法施設として指定することになるわけなんです。法律によると。その都市計画法を見てみると、大正八年なんですね、旧憲法時代。しかも、容積地区制というものは、国民権利に非常に重大な関係がある。できれば新憲法によるところの法律に基づいてやるべきが私は筋だと思うのです。そこで建築基準法などは、新憲法時代にこうあらためて切りかえて、全部民主的な運営ができるような法律にされたわけですよ。ところが、都庁計画法はもう大正八年からですから四十五年になりますが、それからちょいちょい改正はしているけれども、明治憲法の所産なんですね。国民権利を抑制したりなんかする重大な法律を、そういうものに基づいてやることについて、この場合にどういうふうにお考えになったかということですね。今、松澤政務次官お話で、改正する用意があるというのだから、それでけっこうなんですがね。けっこうなんだけれども、用意があるので、その用意が何年かたってしまうと困ると思うのだから、具体的には、実際都市計画法が新憲法に基づいて考えられて、次の国会かその次の国会に出ることの成案が今あるとかなんとか、具体的に言って下さらぬと困ると思うのですがね。
  8. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) ただいまの御質問ですが、実は昨年の十一月にも省内でも問題になりまして、都市計画施行するにしても、現段階部面では、先ほど申し上げたように相当な隘路が多くなってきておる、そういうようなことで直ちにやはり改正に入るべきではなかろうかという議論が起きたことは事実でございます。これは御承知のとおりです。たまたま実際的な具体的な部面等に入っていきまして、御承知のように、街区の設定とか、あるいはまた、ときによっては住宅の建て方といったようなことが先に話が進んでしまいまして、とりあえず、急速を要するといった部面から取りかかる以外に方法はなかろう、まあこういうふうなことと同時に、また予算関係等が伴いまして思うようにならなかったということが、正直に申し上げて実態がそのとおりでございます。しかし、このままにしてはおけないというふうなことで、現在鋭意努力はしておりますが、今国会には残念にも間に合いわねるようでございますが、何とかして最小限度次通常国会には間に合わせまして、そして新しい立場に立っての都市計画というものを考えていかなくちゃいかぬじゃないか、こういうふうなことで現在検討しております。したがって、次の通常国会には、十分という言葉は使い得ないにいたしましても、必ず出したいと、こういうわけで、検討を加えておるということでございます。
  9. 石井桂

    石井桂君 その点は了承いたしました。  次にお伺いしたいのは、現在まだ改正されてない現在の建築基準法の中で、用途地域制関連せしめていわゆる建蔽率と高さの規定があることは御承知のとおりでございます。これをまあ詳しく言うことは避けますが、とにかく、この用途地域制関連せしめた高さや建蔽率規定というものは、とりもなおさず容積地区あるいは容積地域制に似ておる、同じ効果を来たしておる、もたらしておると私は存じます。一種形態地域制であると私は考えておるのですが、そうすると、今回の容積地区制を御採用になったのは、主としてどういう目的で御採用になったかどうか、この点は住宅局長でけっこうですから。
  10. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいまお話のとおり、現行法建築基準法におきましても、用途地域別建築物の高さとか、あるいは道路幅員による斜線制限建蔽率等制度がございまして、実質上ある程度容積規制が行なわれております。しかしながら、最近特に大都市におきましては人口が非常に集中いたしましてこれに基づくところの交通施設不足とか、あるいは上下水道等公共施設不足とか、こういう点につきまして、さらに、この都市のあり方を、その都市地区の性格に応じまして明確に規制をして、建築をそれに沿って行なわせるということが都市発展上最も大切かと考えます。こういたしますと、現在の用途地域制に基づくところの一種容積規制と申しますか、あるいは形態規制というものは、実情に沿いがたい面もございますので、ここに新たに別途の制度容積地区を設けまして、これを従来の地域の上にかぶせることによりまして、より具体的によりきちんとした容積規制ができる、これによってよい都市が、機能バランスのとれた公共施設建物容積バランスのとれた町ができる、こういうことから容積地区をこの際新たに設けたわけでございます。
  11. 石井桂

    石井桂君 ただいまの御答弁の中で、実情に沿いがたい点もあるというような御説明がありましたが、具体的に言うとどういうことですか。
  12. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) たとえば、現在の制度におきましては、高さの制限がございまして、この高さの制限によって実質上その地区における建築物容積規制されておりますが、都市の最近の状況は、一定の空地を設けますならば、高さそのものはもっと高くてもいい、現在三十一メートルあるいは二十メートルのような高さを制限しないで、容積そのもの一定で押えましても、高さの規定をはずすということが、これは都市構成上いいということも考えられます。こういう地区をやはり大都市中心等におきましては設ける必要がございますので、そういう面から申しましても、従来の制度では不十分である、こう考えまして容積地区制度をとったのでございます。
  13. 石井桂

    石井桂君 ただいまの御答弁でややわかりましたが、不十分であるという御説明がございましたが、そうすると、これは従来の用途地域制関連せしめての高さと建蔽率制度、すなわち一種形態地区形態地域、これと併用して今度の容積地区制度採用するものでありますか、それとも併用というほど大規模でなくて、小規模にやるものであるか、あるいは半々くらいにやるものであるか、従来の制度重点を置いておるのか、今度の制度重点を置いておるのか、あるいは単にアクセサリーくらいに考えておるのか、その程度のことをちょっとお漏らし下されば非常にけっこうです。
  14. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) この容積制度を設けまして、しかしながら、一面従来の用途地域制に基づくところの形態規制を残しておりますので、その意味におきましては両方併用されております。日本の現在の都市状況、あるいは都市建築状況から考えまして、一挙に全都市につきまして容積規制に置きかえるということは困難でございますし、あるいは実態に沿わない点もございますが、将来の発展方向から見ますと、大都市等におきましては、努めてこの容積地区制度採用をしていただく、しかしながら、中小都市等におきましては、まだそこまで規制する必要がございません場合も考えられますので、できれば大都市等におきましては、積極的にこの容積規制を活用していただきまして、機能バランスのとれた都市を作っていただきたいと思いますが、まだそこまでいっていない都市もある、こういうことから両方併用いたしまして、その都市実態に応じた運用をしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  15. 石井桂

    石井桂君 私は、容積地区という言葉にこだわるわけではないのですが、容積地区という用語を用いての規制である以上は、容積地域という用語と非常に違うと思うのです。御参考に申し上げますが、あれは大正十四年くらいだったと思いますが、防火地区というものが東京に初めて生まれた、そのときには、こんな広いところに少しの部分防火地区になっておった。ところが、年がたつにつれてもう四十年になる。東京都の地図を見ますと、ほとんど防火地域、準防火地域のみで満たされておる。そういう感じになれば地域になると思うのです。ですけれども、スポットのようにぽつぽつと指定されるのは地区だろうと思うのです。私は、容積地区という言葉採用した以上は、非常に特徴のある場所を吟味して指定する意図がここにあるのじゃないかという気がいたします。ところが、御説明ではその点がはっきりせなかった。それはどうでございましょうか、重むてお伺いいたします。
  16. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいま先生御指摘のとおり、現行建築基準法におきましては、地域という言葉地区という言葉を使い分けいたしておりまして、地域という言葉を使う場合、たとえば、用途地域という住居地域とか、あるいは商業地域という場合には、都市の全域にわたって地域を指定して運用していく。これに反しまして、地区の場合には、特定の個所につきまして、局部的に運用されております。今回設けました容積地区制度も、目下とのころ、都市の全部とはなかなかいきかねますので、そのある部分につきまして、土地の利用状況なり、あるいは交通施設なり、土地状況を見まして区域を指定して実施をするというように運用すべきであろうという考えから地区という名称を使っておるわけでございます。当分の間は、こういう運用によりましていくのが、日本の今の現状から見て妥当だと、こう考えます。しかしながら、先ほど申しましたように、都市の最終的な形、理想的な都市を作るためには、やはり全市にわたってその市の建物容積規制するということも理想として考えられます。で、その段階におきましては、あるいは、ただいまお話のような防火地域のように、地区として出発したものもあるいは地域にかえるということも考えられますが、目下のところ、地区制度運用によりまして、大都市の中で特定部分から始めていくのが、日本都市実態に合っているのじゃないかと考えまして地区制度にしたのであります。
  17. 石井桂

    石井桂君 もう一度だめ押しに伺ってみます。容積地区制が従来の制度よりもひいでておるといたしますれば、考え方によると、容積地区制を全面的に採用されたらどうかという議論も出ていいのじゃないかと思います。で、そういうものに対するお考えはどうですか、今は併用されているということですが。もう少し研究して全面的にこれを容積地区制に切りかえてやろうというお考えはあるのですか、ないのですか。
  18. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 現在の土地の利用の状況なり、あるいは建築状況から考えて、直ちに全部容積地区制に切りかえるということは実態に合わないだろう、また残念ながら日本土地建築状況を見ますと、現行法容積地区に基づくところの形態制限で一応足るのじゃないかというようなことを考えられますので、両方制度を併存いたしまして、都市実態に即した運用に待とうと考えておりますので、将来におきましては、あるいは全面的に切りかえていくべきかと思いますが、現状においては、こういうような併存によりまして必要な都市から実施していくというのが最も適当であろうと考えまして、両方併用制度にいたしたわけであります。
  19. 石井桂

    石井桂君 私も大体それで了承するのですが、建築行政なり都市計画というものは、これは私の持論ですが、指導性がなければ存在意義がないと思います。今、局長から御説明言葉じりをとらえるわけじゃないが、実態にうまく合うようなという、即したというような御説明があったのですが、私は、それよりも数歩前進したところを目標にして、いつも指導性を持たなければ、都市計画なり行政が進まないことになる、いつもごみの掃除のようなことになる。私は、それも含めてひとつ今後の建築行政指導とか都市計画のほうの心がまえを、私が言うのは非常に僭越ですが、そういうふうに感じているのです。そこで局長はどういりように感じられますか。
  20. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) お話のとおり、よき都市を作るためには、関係の者が一つの将来の形を、一種のビジョンを持ちまして、それに基づいて都市が形成されるように努力すべきは当然でございまして、われわれ関係者といたしましては、そういうふうな気持でできるだけよい都市を作るようなことを検討し、積極的に努力すべきものと考えております。
  21. 石井桂

    石井桂君 その問題は私は了承いたしました。  問題を変えまして次のことをお伺いしたいと存じます。建築基準法は、施行以来すでに数回の改正を加えまして改善の実をおげられておりますが、これと軌を同じくくして昭和二十五年に施行になった建築士法との関連において、建築行政はどういうふうに指導していったらいいのかということをお考えになったことがあるかどうか。もっと具体的にいいますと、今日建築基準法は微に入り細をうがって規定いたしております。しかし、これを守る側からいいますと、なかなか順法することが困難なことは、おびただしい数の違反方々に発見することができます。違反が発見せられてこれを是正するまでの日数が非常にかかることから、むしろ正直者はばかを見るような取り締まりの結果だとされております。これは原因が、これの確認事務を扱う建築主事あるいは補助員が非常に少ないからだといわれておりますが、法律がどんなによくとも、ほとんど守れない法律というのは、私は存在意義がないと思う。そこで、幸いに建築士制度採用されて十三年にもなる今日、建築基準法規制の中で都市計画的な要望による集団規定と、それから個々の建築物を作るに必要な防火とか衛生とか耐震とかという面を考えている建築物を作る上の規定、すなわす、単体規定とわれわれは言っておりますが、その単体規定と二つに分かれる。そのうちの単体規定のほうの仕事を建築士にさせて、そうして、耐震上この建物建築士が大丈夫だと思われるようなものに対しては無条件でもう許可も必要としないようにする、そういう事務について。つまり都市計画的な集団的な規定についてのみ建築行政は扱うようになさいますれば、私は、実際の効力も上がる。それから、そう違反も出ないで済むのではないか。現在、あまり法律がりっぱであっても、違反が多いということに対して、建築士制度を十分活用する意思があるかどうか。この点は、前々回に田中委員からも要望があったようです。これを重ねてこの機会にお伺いしたいと思います。
  22. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) ただいまの、建築士立場を尊重もし、また、その技術を信頼し、または指導的な立場考えてというふうな面が裏に含まれていると思うのですが、私、過般大阪にも参りましたし、その後も建築士方々にもお会いいたしまして、非常にわれわれの人格を尊重してほしいというような希望が多うございました。ごもっともだと私は思います。特にわれわれの住まいとする衣食住の最も大切な住を扱う立場における技術者の各位でございますが、それが今日、決して職業に貴賤はありませんけれども、はり、きゅう、あんま師と同じように、一種サービス業にすぎないといったような扱いをいまだに受けざるを得ない。また、士は同じ士でもいろいろと種類があるが、今、申し上げましたような方面の師にとられておるということは残念しごくといったようなお気持の表現もまたございました。帰りまして大臣にも相談し、また、局の方々とも話し合ったり、省内でもこの問題を取り上げまして、今日のような基準法を新たに改正し、やっていかなければならぬ段階においては、幸いにして中央建築士審議会いとうようなものができておる現段階であるし、そういうふうな方面を十分に活用すると同時に、その技術者諸君の取り扱いといいますか、あるいは立場といいましょうか、自主的な点を活用して、そうしてわれわれの手不足なるところをこの方々によって補ってもらうのだというふうな考え方はとれないものか。こういうような点を考慮して、諮問するような点があったら直ちに検討して諮問して、そうして、できるならばそれらを取り上げて、法文化すべきものは法文化するし、また、ときによって、省令なり政令でできるものであればそういうふうな部面で取り上げることができないものか。自来今日まで検討を加えておる段階でございますが、気持としては、今の御質問の要旨に合うような方向で、かつ、重点をあくまでも指導的立場に立つという政府立場に一そうの援助を与えてもらうのだという考え方重点にして検討してみたらどうか、こうやって検討中であることを一応お答えいたしておきたいと思います。
  23. 石井桂

    石井桂君 ただいまの御答弁を承りまして、まことに温情のある、しかも、適切な私は措置だと存じまして、非常に感謝をいたしたいと存じます。そういうようなもしお考えがありますれば、実は、私はあとから考えたことなんですが、こういう画期的な法律改正のときにもう一勉強なさってそうして間に合わしていただければ、どれほど国民違反がなくて済むかというので非常にうれしいと存じましたが、そういうもしお見込みとすれば、先ほどの都市計画改正のように、いつごろになりますか、ざっとしたお見込みでけっこうなんですが……。
  24. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) 現在中央建築士審議会にも、ただいま申し上げたような趣旨のもとに建設省としては諮問をいたしております。で、その審議会のほうでも鋭意検討を加えていただいておるようでありますから、その答申を待ちまして、もしもわれわれのほうにおいて、もっともであるといったような答申が生まれてくるならば、最も早い機会にやらねばならないことですから、最も早い機会にこれを国会なり、あるいはまた、先ほど申し上げたような、その必要がないとすれば、政令なり、何らかの形において裏づけになるような方向のものとして持っていきたい、こういうように考えております。ですから、法文化するというふうなことでありますれば、何とかして次の通常国会までには間に合わしたいものだ、また、そのようにいい答申の出てくることを実は期待しておる、かような現段階でございます。
  25. 石井桂

    石井桂君 その問題は、私はそれで満足いたします。  もう一つ、これは最後でございますが、今回の容積地区制採用に伴って、従来の建築物の高さに対する制限の違った点を簡単にひとつ御説明願えませんでしょうか。
  26. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 図面によりまして御説明申し上げます。容積制度を簡単に申し上げますと、敷地建築物延べ床面積合計関係規定いたします。この図面は、この法律の別表の第五種と、その地域においては、建築物敷地面積延べ面積合計の十分の五十というふうな比率地区の一応簡単な表でございます。もし、建築物敷地一ぱいに建てますと、その敷地面積の五倍の建築物面積、すなわち、五階までの建築が一応できる、こういう形でございますが、これはしかし建築上あまり好ましくありませんので、もしかりにこれを敷地の半分だけ使う。そういたしますと、半分の敷地が残る。敷地面積は、この図面でございますれば、建築面積延べ面積は、やはり同じだけの分量でございますから、階数にしますと十階までいけるというわけでございます。同じように、敷地面積を相当残しまして、四分の三程度に残しますと、二十階までいける。この場合に、従来の規定でございますと、高さの制限が三十一メートルでございましたので、こういうことはできませんでしたが、今回は敷地面積建築延べ面積比率さえ規制しておけば、ここから出る交通量なり、の分量規定できる、都市計画上支障がない、だから、もう三十一メートルの制限をはずしてしまって、高くすることを認めよう、これが容積地区基本的な考えでございます。  それからその次、新たに設けましたのは、現在の法律におきましても、道路建物との関係につきまして、御承知のように、道路幅の一・五倍の高さでなきゃならぬという規定は、これは道路が狭い場合に、高い建物ができますと非常に困りますので、こういう点の制限は同じように置くつもりでございます。しかしながら、現在道路が一・五倍あった場合に、それに八メートルを足した高さで現在切られております。この規定は、これは容積地区を置くことによりまして、必要がないと考えられますので、これははずします。でございますから、一・五プラス八という制限をはずして、一・五あれば、こういうふうになって高くなっても、この範囲内である限り高くしてよい、この辺で切ったプラス八メートルという制限は排除しようということであります。  もうひとつ設けましたのは、隣地との境界につきまして、現在は三十一メートルしか建物ができませんからこの辺で切ります。ところが、高さの制限がなくなりますれば、高くなりますと、隣地との関係で、これがあまり高くなり過ぎますと非常に谷間が深くなり過ぎまして、これに対する採光なり通風が悪くなりますので、一定の率を設けまして、三十一メートルより上に出る部分につきましては、一対二・五という数字を設けまして、こういうふうな角度においてひとつの線を設けまして、この線の中で押えるようにする。そうすると、高くすることはしましても、隣地との関係が少し幅が出てくるというので、この附近に対する採光ができるので、こういう線の隣地との関係において制限を設ける、こういうふうにいたしまして、高くすることによって、隣の建物に対する悪い影響を排除しよう、こういうふうにいたしたことでございます。これが今回の高さの制限改正関連して設けました規定でございます。
  27. 石井桂

    石井桂君 ただいまの説明でよくわかりましたが、従来なかった隣地境界線からの斜線制限制度を設けました理由は、今ちょっと御説明がございましたが、たとえば、丸ビルの附近のビル街等においては、採光、換気なんというものは、従来のとおりでいいのじゃないか、こう思うのですが、どういうふうなお考えでおりましょうか、そういう地区の取り扱いについては。
  28. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいま御説明いたしましたように、隣地からある程度距離を離さないと高くできないという規定を設けましたのは、やはり隣地の建物に対する採光を主として考えております。そういう関係で、ただいま先生お話のように、特にそういう採光なり通風なり隣地との関係において考慮する必要のない場所につきましては、そうしなくともいいようなことをする必要があります。たとえば隣地が公園であるとか広場であるとか、こういうふうな場合には、こういう制限は要りませんので、その場合には政令で特別の緩和措置を考えております。ただいま先生の御指摘の事務地区等で一般的にそれほど採光を必要としない、こういうふうな場所につきましても、同じような特例を設ける必要があると考えまして、目下そういうことにつきましての案を検討いたしておる次第でございます。
  29. 田中一

    田中一君 関連して。地下室の容積についての関係をお尋ねしたいのですが。
  30. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 地下室もやはり交通の需要の発生源でもあり、同時にまた、そこに人が居住するとか、あるいは使用いたしますので、公共施設も必要と考えますので、今回の容積地区別の算定におきましては、地下室も容積の中に算入しようというふうに考えております。
  31. 田中一

    田中一君 そうなると、現在でも四階五階の地下室があるわけです。これはやはり経済性からくるものであって、今度の改正によって地上はまあ三十一メーターでよろしい、地下はどうしても同じように、岩盤まで二十メーター、あるいは四十メーター掘るのだという場合の容積については制限を受けるようになるでしょう。その点の関係はどうなんでしょうか。
  32. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) その点も考慮いたしまして実は率を考えまして、一定の場所におきましては、十分の百まで制限というふうなことにいたしましたり、それから地下室におきましては、その地下室は一応原則として入れますけれども、あるいは自動車の車庫の一定のものとか、あるいは機械室等で、特に床面積に対して相当な機械室の分量を占める場合という場合におきましては一定の例外を設けたい、こう考えております。運用におきましては、相当程度の地下建築物ができましても、この運用によりまして、建築にそれほどの支障はない、むしろ合理的な運用ができるというふうに考えているのでございます。
  33. 田中一

    田中一君 地下をかりに一階、地上十二階というようなことを考えた場合には、容積比から見て地下室が二階ができなくなるか、あるいは三階ができなくなるというようなことになるのじゃないかと思うのです。容積からはじき出すところの有効面積というものを見ると、現行法よりもものによっては容積制限されるということになるのじゃないか、そういう点はどうですか。
  34. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) これは地区の指定にかかるわけでございますが、どの場所をこれに指定するかによって、あるいは特定の場所においては、従来の三十一メーター、およびそれに関連した建蔽率というもので認められたところの容積よりは、あるいは多少制限は強くなる場所があるかもしれません。しかし、それは地下の必要な建築物ができるということを前提として地区を指定していきますので、その指定の運用にあたりましては、十分そういう点も考慮すべきだと考えております。
  35. 石井桂

    石井桂君 先ほどの隣地境界線までの距離による斜線制限については、局長の御答弁によりますと、ビル街で住宅などがほとんどないような所は緩和の道があるというお話ですが、具体的にはどんなことでしょうか、そのことだけはっきり御答弁願えますれば。
  36. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律改正法の五十九条のこの六項に「建築物敷地が公園、広場、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物敷地と隣地との高低の差が著しい場合との他隣地に関し特別の事情がある場合における当該隣地との関係についての前項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。」「前項の規定と申しますのは、先ほど申しましたように、隣地に対する境界線からの距離に関連しての高さの制限でございますので、その規定の緩和をこの政令によりまして、たとえばその隣地が事務地区であって特定の場合には緩和できるということを政令で規定できる、こう考えておりますので、この規定運用によって、ただいまお話のような場合には、実態に即するようにすることが可能であるというふうに考えております。
  37. 石井桂

    石井桂君 もう一つだめ押ししておきますが、そうすると、政令が出まして、そしてそういうビルばかり指定する場所は、何々地区とかいう具体的なその地区の指定でもやって緩和する意図なんでございましょうか。
  38. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) やはり法規でございますので、個々にきめていくということよりも、一定の条件に合致しておればそこの地域全体に及ぼすべきであるということも考えられますので、たとえば、現行法にありますような、用途地域のうちの特別用途地区のうちの事務地区というふうなものなどは、こういうふうな緩和規定を設けていいのじゃないかと、こう考えておりますので、そういう運用を今、目下検討しておるところでございます。
  39. 田中一

    田中一君 最初に要求しておきたいのは、今話にあった五ページの容積地区の五十九条の二の6の政令の案、それから、五十九条の二の「都市計画法の定める手続によって」云々という、この容積地区の指定の問題ですね、この都市計画法に基づいて都市計画審議会に諮った場合に、各都市ともこの指定の考え方が、全体の都市の指定のうちで食い違いがあってはならぬということなんですよ。都市計画法の指定区域内における指定というものが、その地区都市計画審議会答申というものがばらばらであってはならぬということなんですね。大体そういうことは、建設省のほうで許可するときに意見を言って手直しさせると思うけれども、それをひとつどういう基準でやるかということを案を出してみて下さい。  それから、あなたのほうの逐条説明の中で施行期日に関する問題で、「容積地区制度の一般への周知及び防火関係の政令改正」、この防火関係の政令改正はどんな案を持っているか、その案を出して下さい。これをまず最初に要求しておきます。委員長、要求して下さい。
  40. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいまの田中委員の要求に対しまして、政令ですか、の内容案を御提出願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  41. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいまの御要望の資料のうち、防火関係の政令は、現在学会に諮問して検討中でございますので、非常に粗略で失礼でございますが、問題点がわかる程度の資料でよろしゅうございますか。
  42. 田中一

    田中一君 そうすると、学会に諮問してあるということですね。
  43. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 案自体の作成も、実は一緒に共同作業をお願いしておるわけでございます。
  44. 田中一

    田中一君 けっこうです。  そこで消防庁がおりますから、消防庁に伺っておきます。今、住宅局長から説明があったのですが、この容積地区指定による防火関係の政令というものの内容については、消防庁も参画しておるのか。今聞いてみると、建築学会と共同作業でやっておるのだから、素案というものもないのだということを言っておりましたけれども、これに対しては消防庁が自分の意見を十分に申し入れてあるのかどうか。
  45. 雨倉正太郎

    説明員雨倉正太郎君) 今の防火関係につきます規制の案につきましては、その法律案につきまして建設省から御協議のございましたときに、その内容については、私どものほうも十分意見を申し上げ、また、よく御相談を申し上げて、完全なものを作りたいということで意見が完全に一致しておりますので、私どものほうといたしましても、寄り寄り検討中ではございます。それで建設省のほうで今学会に御諮問になりまして御検討を願っておりますので、その案がある程度のところまで参りました段階で私どものほうと十分また御相談申し上げるということになっております。
  46. 田中一

    田中一君 今度の法律案改正によって、消防予算あるいは消防の機械器具等が相当大幅に設備改善というか、改善されなければならぬと思うのですよ。そういうものの予算の措置は、三十八年にはむろんないと思うけれども、少なくともそれに見合うような施設を、設備といいますか、それを行なうつもりでいるのかどうかですね。それから現在持っているところの防火、消防機械等は、これらのものに対応するようにどの程度まで作られておるか、伺っておきます。
  47. 雨倉正太郎

    説明員雨倉正太郎君) お話の消防活動用の機械器具施設でございますが、お話のように確かに、たとえばはしごなどにいたしますと、超高層の場合には届きませんし、また、それを今後改善するといたしましても限度がございます。それで、そういたしますと、外からの消火活動ということにかえて建物の内部から消火活動をしなければならないという、消防戦術を切りかえなければならない面がだいぶ出て参ります。それで、そういう点も含めまして今検討しておる段階でございます。予算等につきましては、まだ具体的には考えておりません。もっとも予算につきましては、御承知のとおり、市町村の予算でございますが、補助金についてまた問題が起こる可能性があるわけでございます。まだそこまで至っておりません。
  48. 田中一

    田中一君 そうすると、たとえば、ある一定限度以上の階層にはスプリンクラーを必ず設備するとか、それから部分的な消防施設というものをこの建築物の設備の必須条件にしようという考え方に立っておるのですか。
  49. 雨倉正太郎

    説明員雨倉正太郎君) 消火活動の面で申しますと、スプリンクラー、その他の固定的な消火設備の問題、改善の問題が出て参ります。それから、それに要します水を送ります送水施設の問題が新たに出て参ります。そのために予備電源を必ず用意しなければならないという問題が出て参ります。そういうような問題、それからそのほかにもいろいろ避難について、従来は避難階段とそれから救助袋でやっておったわけでございますが、救助袋というものがどの程度の高さまで使えるものかという問題もあるわけでございましてさその点につきまして総合的に再検討をいたさなければならないわけでございます。そういう点も含めているわけであります。
  50. 田中一

    田中一君 私は、今度の案について全体を見て、国民経済の上からプラスかマイナスかという点が一番重要なポイントであると思うのですよ。現に現行建築基準法におきましても、高度地区の指定というものは、これはできるわけなんです。決してこれが不動のものではないわけなんです。そこで、こういう、ただ単に土地の利用という点から国民にアピールして、何か非常に土地の利用価値というものが特段にふえてくるのだという印象を与え、実質的には国民経済を脅かすというようなものであってはならないということの前提に立って論議をしたいと思うのです。したがって、いろいろな参考人を呼んでみましても、なかなか私が来てほしい参考人は、どうもこの木曜日には出席しないようでありますけれども、これでは不十分なんです。建築家は、建築技術家は、ただ単に建築物に対する、現行よりも、もう少し利用度の高いという前提に立つ、あるいは建築技術上の新しい分野を開拓したというような気持を持っておろうけれども、私は、これ自身の改正がいかに国民経済にプラスになるか、いかにまた都市交通なり、あるいは全体の環境がよくなるかということのほうが重大だと思うのです。こういう点についての検討はじっくりしなければいかぬと思うのです。これは住宅局あたりを相手にして質問はできません。こういう点を十分に考慮された案であるか、ただ単に、今日の制限されているところの三十一メートル、いわゆる百尺程度のものを、国民の希望が多いからこれをもっと伸ばそうじゃないか、伸ばすには現在の日本の気候、風土、立地条件からいって、今まで建築基準法が持っているところの一つの制約、これは国民社会の生活をよくしようという考え方に立っておるのだろうと思います。これを、制限を持ちながら、容積地区という形で高層建築を認めようということになっているのか。もう少し具体的に国民経済の利点、利害というものを考えたらどうか。私は、この法律案改正については、それが一番大きな重大なポイントなんです。たとえば今消防庁に聞いてみると、消防活動というものの一定の限界はむろんあります。それはニューヨーク等におきますところの高層建築に対する防火活動というものは、外部から今のようにホースを向けてやったところが、水圧の関係その他のことで不取能なことは明らかです。そうすると、何らかの形でしなければならぬ。その場合には、今ちょっと触れているように、スプリンクラーを各部屋に常置する、そうして一定の水圧というものを維持する、それを見る。しかし、この負担というものは、利用される容積と比較して、問題は国民経済にどういう影響を与えるかということです。日本はそんなに高層建築を求めているわけじゃないのです。ある場合のある地区に対しては、こうしなければならぬのです。こういう法律を作ってこれが負担の力というものが相当過大になればだれも建てる者がないのです。こういう点の検討が十分なされたかどうかという点を、これは政務次官に聞いても政務次官は適当に答えるから——私は真剣に聞いているのに適当に答えるに違いないと思うのだから聞きたくないけれども聞きましょう。
  51. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) 政務次官は適当に答えるというお話ですが、決して適当ではなくて、ものの考え方がおのおのによって違う場合があります。したがって、表現方法もおのおの違う場合があると思います。決してなおざりにお答えを申し上げるわけじゃなくして、そういうふうな意味でお聞き取りを願いたいと思います。ただいまの御質問の、国民経済にいかに影響を及ぼすか、国民の側に立ってのものの考え方に立って検討したのかという御質問でございますが、前提条件として、われわれが国民から政府をお預りしている限りは、国民の側に立って検討したことだけは絶対間違いございません。今のお話のように、一つの例をとって申し上げますならば、その土地面積というものを高度に活用するというふうな場合、その高度に活用する部面において、その面積というものを高度に活用するのと、それから建築に要したところの費用、あるいはまた、これに対するところの今のお話のように、消防設備を内部的にしなければならぬということと、お互いに建築なさんとする所有主それ自体が十分に考慮した上に立って、許可の申請なり、あるいはまた、当然にその要望というものをみずからが満たそうとしておるからには、決して政府容積を取り上げたからといって、それにただ利益があるものなりと仮定して、そして所有主なり、あるいは建築主が建てていくというふうなことは、私たちは考えられないと思います。単に国民が、政府の施策だけに便乗して、それによってのみ、何かおだてられるような格好で仕事をしていくというようなことは、私は、建てる主から見た場合は、今の説明をしておるこの容積関係からいったものに対しましては、ほとんどビル的建物が非常に多いのですから、そう軽々しく建築主の方も私は考えてないと思います。ただ私たちの考えるのは、やはり現在の過密地帯における都市市内において、このままの現況で三十一メータという限度をもって、そうしていったほうが一体いいのか、それとも諸外国においてすでに取り上げられているところのこの容積を基準としたものの考え方でいったほうがいいのが、この二つを取り上げて検討したことにおいては間違いございません。私は、当時これらに対してもいろいろと疑問もありましたし、現在の建蔽率的な面で、住宅街の場合は六割、あるいは商業都市の場合は七割、あるいは防火街の所には十分の十をしてもよろしいというような面とか、あるいは建物にいたしましても、三十一メーターを限度にするとかいうふうないろいろなものがありますが、今度はそれとこの容積関係との面が少しくどうも併用するという言葉があるだけに、国民がわからぬじゃないかというふうな点まで実は心配したのですが、とりあえず諸外国の例を見ましても、このように人口過密になってきて、しかも、土地の値上がりが膨大になってきたというようなときには、土地の活用ということも立体的に大いに考えなければならぬのではないかというふうなこととか、あるいは先ほど局長が申し上げたような部面等も考慮して、本法律案を提出したようなわけで、決して国民経済というふうなものを度外視して、自分たちだけがよかれと思って出したというふうな気持で出していないことだけは、これは事実でございます。
  52. 田中一

    田中一君 それでは第一種から第十種までの一応想定される指定地域を、ほんとの青写真でも何でもない、想定される地域を指定して下さい。そうしてその指定地域において、一つの仮定の上に立ってかまいませんから、先ほどの道路関係、隣地の関係等を想定したバラエティに富んだその一つ一つの建設費の算定をして下さい。これを出して下さい。おそらく、そういう仮定の上に立ったところのこの地区指定という問題については、計算が出たはずでありますから、その計算をひとつ出していただきたい。委員長、これは要求して下さい。
  53. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 田中委員の要求に対してお答え願います。
  54. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) まず第一点の、地区の想定でございますが、今東京なり大阪のほうで調査をいたしておる段階でございまして、ちょっと図面にいたしますことは非常にむずかしいかろうと思いますすので、抽象的な考え方程度で御了承願えませんと、具体的になかなかきめにくいかと思いますが、そのように、その辺ひとつ御了承願いたいと思います。
  55. 田中一

    田中一君 それは困る。当然、今、政務次官の答弁があったように、それらの点は十分に考慮されて計算されての案だということは、今、松澤政務次官の言ったとおりだと思うのです。当然これを裏づけるものは、技術家としてのあなた方の役目なんだから、もし場合によれば、私が地区を指定いたします。私が地区を指定いたしますから、これに対する積算をしていただきたい。委員長、それは今の僕の発言どおり要求していただきたい。
  56. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) できるだけ勉強いたしまして、お気に召すようにできるかどうかちょっとわかりませんが……。
  57. 田中一

    田中一君 お気に召すとか召さぬとかの問題じゃない。これはそうした資料を提出するあなた方に義務があるのだよ。委員長、いつごろまでに出せるか、審議の進行状態もありますから、なるべく早く出れば、なるべく早く審議が終わるようにひとつ……。
  58. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) ただいま事務当局のほうからは、ごらんのように、あくまでも事務当局ですから固い考えのもとに答弁をいたしております。当然にそれくらいの比較検討がなければこのような法案は出し得ないものでございますから、全地区にわたって指定云々は、これから指定するのですから、したがって、当然に指定されるという地域の一部分について、それを例にとってただいまの御質問に答えるようにきわめて早目に提出いたしたいと、かように思います。
  59. 田中一

    田中一君 じゃ次に、特定行政庁、これ幾つありましたかね。今、全国で幾つありましたかな。特定行政庁のあるところはことごとく都市計画指定区域になっているはずだと思うんです。それ間違いないですね。
  60. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 現在特定行政庁として指定されておりますのは六十三ございます。これはいずれも都市計画法の適用をしている市でございます。
  61. 田中一

    田中一君 そこで、これらの特定行政庁がむろんその地区には、都市計画審議会を持っている。そうすると、都市計画審議会で審議をする審議の前提としての一つの基準というもの——審査の基準ですよ。というものが、おのずからなくてはならぬと思うんですよ。そこで、そういうものをやっぱり建設省のほうから指示するわけですか。この政令とこの法律でもってぽんと渡して、そこであとは民主的な都市計画審議会できめて持っていらっしゃいということになるのですか。
  62. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 法律運用でございますので、一応法律の解釈なり、あるいは運用につきましては、全国的に統一した運営をはかるべき点につきましては、指導的な通達を流しまして運用をいたしております。しかし同時に、都市実態に即して各都市の自主的な決定にまかすべき事項もございますので、そういう点は一定の幅を設けるなり、あるいは都市の自主的な意見に従う部面もあると思っております。現在の基準法なり都市計画法は、この両者によって運用をいたしております。
  63. 田中一

    田中一君 なかなかうまく逃げているけれども、そのとおりだと思うんです。しかし、前段に戻るのだけれども、一体どこがどういう意欲を持って、この基準に沿った高層建築をしょうかということになりますと、私はたいしたものじゃないんじゃないかという気がするのです。最近の例で、こんなことを言うと口はばったいから、言いたくないのだけれども、オランダに行ってみると——初めてオランダに行ったのですが、オランダでは、いまだに高度地区というものをきめて、ある一定規模以上の低さも認めなければ高さも認めないという地域が現存しているわけです。これは低さも高さも認めない。日本でいうところの建築協定というような本のが、これは法律でできているか——ちょうど土曜日だったために調べなかったのですが、できているのです。これなんかうらやましいと思った。そこで今度裏を返して一つ質問をします。高度指定地域の基準が法上あるのは五十九条でしたか——五十九条で高度地区として一定の指定がなされるという条文がございます。そこで、この二月ごろと思うけれども、東京都は都市計画審議会の議を経て、住宅地域におけるアパート、いわゆる住宅地区におきますそういう高層住宅建築というものを制限しておる。高さを制限しておる。これはむろん建設大臣が認可をしたから、それが条例として実施されておるものと思うのです。一体何を考えているかということなんです。何を考えているか。住宅行政建築行政というものは、一方においては相当の高層建築を認めようとする、一方においては制限しようとする、それも道路を中心にした基準の制限なんです。制限が基準となっているのです。道路幅を中心とした見方なんです。なるほど日本は春夏秋冬があり、かつまた湿度の高い国です。換気というものは相当重要な、国民生活の上に大きな条件になっております。しかしながら、今日の建築技術というものは、ただ単に立地条件だけに、そのまま唯々諾々とそれに縛られておるというようなものじゃないということです。もっと高度に住環境というものが改善されています。それはなるほど、数寄屋風の家を作って雨戸のない障子張りの家がかってはありました。そういう環境にある今日の住生活でないことは明らかなんです。物好きにやっている人もあるかもわかりません。また関西方面に行きますと、そういう家も一部残っております。雨戸もなければ障子の紙一つ住宅を持っている家もあります。しかし、われわれの少なくとも都市を中心としたところの住宅というものは、様式の上においても設備の上においても、相当大幅に改善されている、研究されて、この悪条件の中に、もう一つは、春夏秋冬といういい条件の中に適応したところの住生活が技術的に解決しているということです。にかかわらず、この高度地区という五十九条を僕に言わせれば悪用して、住宅地区における土地の高度利用をはばんでいるということは、これは法の解釈の間違いですと私は見ておるのです。この点については、住宅局としてはどういう考えを持ってこの条例を許可したか。私はただ単に、国民のあっちからどうもこういう反対がある、こっちから高層建築の要求があるというところに、一つの体系を持たない、信念を持たない、その場限りのいわゆる政治的な含みだけで建設行政というものを運用するのでは、これは間違いであるというように考えるわけなんです。一方においては高度制限をする。住宅地域に工場を持ってくるというのじゃございません。どこの国に行ったって、住宅地域における一定の高度というものは認めておりますよ。私、せんだってロンドンに行ってみれば、ロンドンでは相変らず日当たりに対する権利というものははっきり認めておって、これに対しては国家保証をしております。日本の場合には何も外国のまねをしろというのじゃないのです。日本日本の立地条件、住居の今までの伝統、気候、風土の条件等から勘案した、やはり、日本日本としての住宅というものが確立しなければならぬ時期だと思うのです。この基準法の五十九条でどうしてこうしたような逆行するような制限をしようとするのか。あるいは隣がまた、あそこが六階だったから自分も六階を建てようということになったほうが、土地の利用については望ましいことなんですよ。そういう点について、土地建築物に対する基本的な考え方をひとつ伺っておきます。
  64. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) ただいまお話のように、最近東京都の郊外の住居専用地区につきまして高度の制限をいたしまして、たしか原則として十メートル以下にしたわけでございますが、これは東京都の郊外の住居専用地区は、低層の住宅地域として発展すべきであるという観点から、そういう地区を特に選びまして、そこには現行法で、御承知のように、二十メートルという制限がございますが、それではその地区にふさわしくないと思いまして限度をつけたわけでございます。これは東京都の全体の都市考えました場合に、やはり住宅地域におきましても、都心部に近いところの住宅地区は、これはアパート住宅地帯として高層にする必要がある、こういう所は、ただいま御審議願っておりますところの容積地区によりまして、場合によっては相当高いアパートを建てる、あるいは都心部なり、あるいは副都心部というような所は相当高層な建築物を設ける。しかし、やはり人間の住む、しかも郊外の住宅地は、その地区の日照なりあるいは採光なりということを考えまして、低層の住宅地区を設けることも、これはまた都市の形態としてぜひ必要でございますので、そういう観点から東京都全体のあり方を考えまして、この郊外の住居専用地区に高度地区を設けまして制限をしたわけでございまして、一定都市計画的の配慮に基づきまして全体の構想の一環として指導したわけでございます。
  65. 田中一

    田中一君 そうすると、郊外々々といいますけれども、東京都の郊外というのはどこを指定するのですか。どの辺ですか、郊外というのは。例を言うと、環状線の中は郊外ですか。
  66. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) われわれは、今簡単に申し上げましたが、原則として環状線の外のほうを郊外と考えまして……。
  67. 田中一

    田中一君 ちょっと待って下さい。原則なんて言わないで、はっきりして下さいよ、例外があるのですか。
  68. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 大和郷という地区があります。そこが例外的に住居専用地区として中に入っておるわけでございますが、それ以外は環状線の外を郊外としております。
  69. 田中一

    田中一君 そうすると、郊外というのは大和郷という金持か政治家が住んでいる近所だけは、これは郊外という呼び方をして住居専用地区にしている、あとは環状線の外を言っているのだと、こういうわけですか。
  70. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 郊外という俗な言葉を使いましたが、都市の性格から考えまして、そこは低層の住宅地にしておくべきであるというふうに考えました地区でありまして、それは今の東京都の現状から申し上げますと、大ざっぱに言って環状線の外側にそういう地区を設けるのが妥当であるという考え方に基づいたものでございます。
  71. 田中一

    田中一君 日本の経済の成長は、常に低層住宅地というものを食い荒らしておるのです。そうして経済性の最も高い環境に高層アパートができつつあるのです。奨励しているじゃありませんか。大体、住宅公団にしても、あるいは住宅金融公庫から資金を供給されておる各協会、公社等はその方向に進んでおるのです。そうしてまた居住地域、居住地域と言うけれども、それは常にその方々がどこかに移ればそこは原っぱになっちゃう。それでもまだアパートを作ってはならぬというのですか。でありますから、全体的な——さっきも石井委員から質問しておるけれども、都市計画法というもの、それから想定される東京都というもの、想定される都市というもの、これは今の東京都を考えるのじゃなくて、都市考えるのじゃなくて、あすの都市考えるべきであるのです。そこにやはり建築基準法という、どうにでも動くという法律のもとに制約されるのじゃなくて、国民国民の収入、消費経済等から見たいい環境に住居地区というものは移っていくのです。生きものなんです。また行政というものも、よりいい環境の宅地を、あるいは住宅専用地域を提供する義務があるわけなんです。  そこで伺いたいのです。一体政府住宅政策として何を考えておるか。私は、かりに日本の経済状態が悪くなる、その場合に、二十階、三十階の上に住宅を持たないとは限らないのです。そこが住宅地区にならないとは限らないのです。住んでいいわけですよ。そんな制約は憲法上受けておりません。それこそ望ましい住環境じゃないかというのです。あらゆる科学を動員したところのりっぱな設備を持った所が都心にあれば、これまたいいものじゃないかと思うのです。だから、考え方がどこにあるのかというところを聞きたいのです。私は、あなたが言っておることに対して反駁するのにたくさんいろいろな材料を持っています。まず総理大臣をやった人の近所は大体制限されておりますね。何の区域内でも、環状線の内部でも。これは今提案されておる法律案との思想的な関連があるものだから伺っておるのですが、その点をひとつ東京都と打ち合わせて、これはどこですか、許可等は住宅局でしょう、都市局かな——これは今、前田君を責めたのは悪かった、こっちだった。そうすると、都市局長のほうにその明細を出していただきたいのです。今度の建築基準法による五十九条の適用によって制限したという地区を明細に出していただきたい。ちょうど十二時だから、きょうはこの辺でやめます。
  72. 谷藤正三

    政府委員(谷藤正三君) この点につきましては、よく調査して資料を整えまして提出いたします。
  73. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。
  74. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、連合審査に関する件についてお諮りいたします。  本院規則第三十六条に基づき、社会労働委員会に付託されております生活環境施設整備緊急措置法案及び予備付託されております労働災害の防止に関する法律案について、同委員会に対し、連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  委員長は、社会労働委員会に申し入れることにいたします。  本日はこれをもって散会をいたします。    午後零時一分散会    ————・————