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田中一君 いかに価格が上がるかということを説明しているけれども、上がっていい、それは当然なんです。ただ私の言っているのはね、なぜ新しく
宅地を
造成しなければならないかということに帰着するわけですよ。もしもほんとうに
国民が
要求する
宅地が少ないからやるのだというならば、別の
方法がありますよ。私が
委員長にも言っているように、この
法律案と、これから出そうとする
住宅地域かな、その
法律案、それから
住宅金融公庫法等の
改正案、これを一緒に審議してくれというのは、それなんです。同じ
思想なんですよ。
宅地を新しくどの地点に
造成しようというならば、国全体の
計画を考えているかどうかということなんです。その
地区々々の派生的な
要求に対して、一々認可するなんということじゃなくして、全体の
国土計画というものがありやいなやと言っているのです。それで、
国民が
宅地を
要求するからというなら、また
宅地が値上がりをするからというならば、
方法は幾らでもあるのです。幾らでも
方法はありますよ。まず、国が持っているところの
住宅金融に対する
条件としては、
宅地を持たなければ金を貸しませんよという
考え方があるのですね。だから、一面
住宅金融公庫に対する
融資の申請が、何十倍、何百倍ございますと言って誇っている。何十倍も何百倍もの人が
住宅地を求めて狂奔しているのですよ。資本主義
社会じゃ需要があれば
土地が上がってくるのですよ。一人にしか貸さないものを、十人、五十人の
人たちが、たくさん
宅地探しに歩くから当然
宅地は上がっていくのですよ。
政府の政策が
宅地を上げているのです。一方、こういうことは、何べんもくどく申し上げているように、昨年公団法の
改正もやり、また現在の
事業法上に許されている範囲の中高層あるいは屋根貸しの
住宅公団の家がたくさんできております
既成市街地における
住宅建設用地というものは、空間がたくさん残っているのですよ。水の問題その他の
条件によって、やむを得ずニュー・タウンを作るのだという
考え方は、ある部面については認めてもよろしいけれども、野放しで農地、山林、原野等をやたらに
宅地化するという
考え方があるから、これを
宅地化して、そうして
国民の需要にこたえるのだということは、一番拙劣な政策なんです。こういうことは、もはや常識なんですよ。私がこんなことを言うのがおかしなくらい常識なんです。徒歩二十分、三十分で
自分の職場に行けるような所には規制しないでおいて、
宅地に見合う空間がたくさん残されているのですよ。それらに採算のとれる
融資をすることのほうが早いのです。
国民生活もそのほうがいいのです。一時間、二時間と往復時間がかかるような所からすし詰めになって通勤するよりも、人間の生命力も延びるのです。駅におりて徒歩三十分、二十分という所が主としてあるのです。乗りものに乗れば金が余分にかかるのです。そんなに
日本の労働者は賃金をたくさんもらっていませんよ。自動車を持って通勤するような賃金はもらっておらないのですよ。だから僕が言っておるのは、
宅地造成というこの
事業を遂行するにあたっての
背景にある
思想は何かということを聞いているのですよ。
局長はとうてい、むろん
自分の与えられた
法律の範囲、行政の範囲しか
答弁しないと思うのです。私は今のこの
法律をさして言っているのではないのです。
政府が持っておる
宅地政策というものは、どこに根本の
思想があるかと聞いているのです。これらの諸君は、今るる
局長が説明しているように、善良なる諸君は、
利潤追求ということは度外視して
宅地を提供しようという気持の人があるかもしれません。この
人たちに対する無利子の
融資措置というものは、反対するものじゃないと前段に言っているのです。しかしながら、
利潤追求という
思想が、
政府にも行政部内にもあると同じように、
政府が見本を示している以上そうならざるを得ないと言っているのですよ。なぜ平塚工業団地の価格を、原価主義を切りかえて時価主義にしたのですか。それを撤回しなさい。その
政令を撤回しなさい。
政令の
改正を撤回しなさい。少なくとも
政府の政策の面において、時価主義というものが顔を出している以上、ましてや、
自分の
土地を
自分の
資金で
造成しようという
事業の
計画者は、飽くなき
利潤追求ということにならざるを得ないのですよ。それは
国民の
住宅要求度
——いわゆる
宅地の、
国民の
要求に対する
住宅がバランスがとれぬからくるのだというならば、第一に、
宅地造成というこの
考え方を
政府施策として持っておる
住宅金融公庫、
住宅公団のこの
事業の
形態を
一つにしなさい。
住宅公団、
住宅金融公庫が、国家機関が同じ
目的のために
予算を計上するなんていうことは間違いですよ。値上がりを促進するもとなんです。
一つにしなさい、窓口を
一つに。そうして
住宅金融公庫の
資金によって
住宅を建てている、あるいは店舗等を建てているという各種団体の
宅地造成に対する権限を一手に国の
関係機関が握ることが望ましいのです。
住宅公団と
住宅金融公庫、
住宅金融公庫の出先機関であるところの各種団体が、同じ
土地を競合して買おうとしている。上がるのはあたりまえですよ。上げているのですよ。私は、この
土地区画整理法の審議というものは、やはりそれぞれの
関係する
法律が出ておるし、また出ようとしている、それらが全部
一つになって
宅地の問題を審議しなければ、
——この
法律案を審議しなければ結論は出ないと言ったのはそれなんです。むろん
都市局長は、
自分の与えられた範囲のことしか言わないでしょうけれども、国会はそんなものではない、全体のものです。それは
谷藤君、幾ら説明しても僕は納得できない。明解に
政府の
土地政策が表明されておらない。間違いなら間違いでもいい、何でもいい、
一つの
思想というものが
背景になくちゃならないと言っている。困ったことを、これもする、あれもする、それが
既成市街地に対する
土地区画整理事業の
精神です。よい
環境、そのために
既成市街地におけるところの
土地区画
事業を行なうのは当然です。これには一応安定した地価というものが存在しているのです。しかし、今度考えているのはそうではない。新しく農地、山林、原野等を開拓して
宅地を作るべきだという
考え方、どうも私にはこれは
谷藤君から聞こうとするのは無理かもしれないが、それが明らかにならなければ、ほかの
法律案に対しても同じことを言わなければならないから、めんどうくさく言っている。新
市街地の問題も、新
住宅地域の問題ですか、あれも、
住宅関係二法案の例の公団、公社の問題も、みんな関連しているから言うのです。問題は
土地区画整理事業、この種の
事業に対して、六億無利子の
融資をするということに対して反対しないことは、先ほど言ったとおりです。政策として何を考えて、どういう方向に行こう、あるいは
日本の
国土問題というものが抽象的な問題でなくして、あるいは私権の制限をしている、現在建築基準法において相当大きな私権の制限をしている。
都市計画にしたって、それこそ大きな私権に対する制限をしている。だから
国土全体に対する問題も、
自分の所有しているものを勝手に何をしてもいいという
考え方でなく、先ほど言ったように、
農道にしても、自動車の入れないようなものでも、それを勝手気ままに
宅地にすることは困る、そういうことをするならば、それらのものに対して明らかに
都市計画法なり、あるいは建築基準法なりで、一応かりに制限することは、
国民全体の
社会、
国土からいって許されるはずだと思う。そういう問題は全部野放しにして力づくでもってやっている。
自分の
土地を自由に
住宅地化し、将来の
都市としての機能を失わしめるよう行為は、これを阻止する方途をとるのは可能だと思う。また、近代
社会においては当然の
措置として
国民も納得するだろうと思う。
——行政権の貧困からくるのですよ。行政上の力のなさ、政治の貧困からくるのです。これは
委員長、私は今のような
答弁では満足しませんから、ひとつ
建設大臣に、この
質問の要旨を十分
局長から伝えてもらって、
建設大臣から
宅地造成に対する
考え方を打ち出していただきたい。そうしてこれがほんとうに善良な
土地区画整理組合を運営しようとしている
人たちに対しては、三億や六億でなく、当然国がすべきものであるけれども、政治の貧困からしないのです。もっと大幅に無利子の金をお出しなさい。そうしてあらゆる面で
国民に提供しようという、その最良な
環境の
宅地というものを価値づける
事業を行なうものに対して、損をかけないというような方途をお示しなさい。たかが三億
程度のものを無利子で貸したからといって、どれだけ解決になりますか。できるならば公共
施行としておやりなさい。場合によれば国が直接おやりなさい。窓口がたくさんあるから地価が上がる。なるほど所有者が、所有権者が集まって
組合を作ってやれば地価は上がりません。しかし、
保留地なり、あるいはそれを
自分の持ち分として得られたところの
土地を取れるだけたくさん高い金で売りたいというのは人情ですよ、今日
社会の。
政府でもやっているじゃないですか。
住宅公団を通じてやっているじゃないか。これはひとつ
委員長からも、これは私これ以上しませんから、
局長によく言ってですね、
建設大臣のこれらに対する
答弁を
要求します。
委員長からも、なおひとつ通じておいていただきたいと思うのです。こまかい問題につきましては、その問題が解明されてから
質問をいたしますが、大体において、私どもとしては、善良な所有者が
宅地造成をしようという
考え方については、もっと大幅な助成
方法を考えるべきだという
考え方に立っております。
あとの
質問は保留して、一応終わります。