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1963-03-19 第43回国会 参議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十九日(火曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木村禧八郎君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            徳永 正利君            武内 五郎君    委員            熊谷太三郎君            黒川 武雄君            田中 清一君            増原 恵吉君            三木與吉郎君            瀬谷 英行君            田中  一君            中尾 辰義君            田上 松衞君   国務大臣    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    首都圏整備委員    会事務局長   関盛 吉雄君    経済企画庁水資    源局長     崎谷 武男君    厚生政務次官  渡海元三郎君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    建設政務次官  松澤 雄藏君    建設省都市局長 谷藤 正三君    建設省河川局長 山内 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   参考人    水資源開発公団    副総裁     柴田 達夫君    東京都知事   東 龍太郎君    東京都副知事  太田 和男君    東京建設局長 加藤  清君    東京水道局長 小林 重一君    東京下水道局    長       亨   仁君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (東京都の上下水道に関する件)  (東京海岸堤防に関する件)  (利根川利水に関する件)   —————————————
  2. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査議題といたします。  御承知のように、最近東京都の交通難あるいはスモッグ、ごみ、屎尿処理の問題、水飢饉問題等、いわゆる公害問題は深刻化し、一日も放置することができない重大な社会問題に発展しております。したがいまして本日は、東京都の上下水道に関する件、東京都の海岸堤防に関する件及び利根川利水に関する件について質疑を行ないます。  参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ、当委員会のため御出席下さいまして、まことにありがとうございます。  では、本日の議題に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 田中一

    田中一君 最初に伺いたいのは、三月十二日の朝、江東区の大島地区で、水の逆流の問題でありますが、大体今までわれわれが新聞その他の情報によって知り得たところは、原因不明であるという結論であります。海岸堤防の急速な建設については、その地区の実態から見てゆるがせにできないために、河野建設大臣就任以来、非常に大きな行動力をもって早期完成指令をしておる現状でありますが、第一に、なぜ、河野建設大臣就任して以来、工事進捗等もはかられているというが、原因はどこにあるのか、おそらく原因というのは、東京都はかねて東知事就任以来、東京都の町づくりの問題については、あらゆる公共事業を通じて相当計画をもって実施しつつあったはずであります。今回のこの大島地区の水の逆流と申しますか、この事態は、工事を促進したために、不用意な基礎的な調査が徹底しないで起こったのがその原因ではなかろうかという推測も立つわけであります。少なくとも築堤の場合には、どっちみち東京湾というものは、御承知のように、かつての利根川土砂が堆積されてできた土地であります。したがって、地盤がそれぞれ異なっている状態にあるということは、これは容易にわれわれ知っているはずであります。その調査が不十分であったためにこのような事態が起きたんではなかろうかという点も考えられますが、その点について東知事、御承知範囲答弁願います。
  4. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 大島町の浸水事件につきましては、ただいまお話のとおり、いまだ原因の本体は、ただいまの段階においては不明ということでございますが、もちろん直ちに特別調査委員会を設置いたしまして、事故発生原因を究明いたしつつある段階でございます。したがって、その結果を見ませんと何とも申し上げかねるのでございますが、そのような事故が発生いたしましたのでございますから、必ずや旧来の工事の上において何らかの欠陥がそこにあったには相違ございません。ただ、その欠陥が今お話のような点にございますか、あるいはその他の点にございますか、調査会の結果を待つほかに何とも申し上げかねるのでございます。
  5. 田中一

    田中一君 事故が起こった直後には、当然水どめの作業が行なわれるわけであります。これが原因を追及しないで、ただ単に水どめをするだけでは、また、その事故現場というものが解明されずに、そのままに付されてしまうということは当然でありますが、この原因を確かめるために、どういう方法でもって将来の事故に備えるような調査をしているか、調査状況についてお話し願いたいと思います。ただ単に、そこに土砂なり何なりをぶち込んで一時とめた、とめた結果そのままであって、漏水がないからとまったんだということで終えたんでは、原因の追及にはならぬわけです。それはどういうことを考えているのですか。
  6. 加藤清

    参考人加藤清君) ただいまの御質問につきまして私からお答えをいたしたいと思います。御指摘のように、特にこの江東方面におけるいわゆる低地帯につきましては、非常に地盤沈下関係もあり、その他一般的に……。
  7. 田中一

    田中一君 ちょっと動議を申し上げますが……。
  8. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 動議ですからお待ち下さい。
  9. 田中一

    田中一君 私の質問に答えていただきたい。われわれ当建設委員会は、十分に東京都の現状地域現状を知っております。したがって、答弁者からるるそういう状況を伺う必要はございません。よく知っております。したがって、私の質問に答えるように参考人にお伝え願いたいと思います。
  10. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 委員長から一言申し上げますが、時間の制約もございますので、参考人の方は、質問に対しまして端的に御答弁願いたいと思います。
  11. 加藤清

    参考人加藤清君) それでは端的にお答えいたします。  ただいまの御質問の点につきましては、実はこの危険を予想される個所につきましては、毎年度水防計画一環といたしまして、事前にいろいろの調査もし、かつまた危険を予想される個所につきましては、事前防災措置を講じておるわけであります。今度の事件につきましては、おそらく、たまたま当該個所におきまして雨水吐けのための下水道工事を実施しておりましたので、その工事と今度の事故とどういう関係にあったか、もともとその工事がなくてもどういう状況にあったのかというふうなことにつきまして、調査会を通じて詳細に調査をいたしたい。全般的には大体危険を予想される個所予定されておりますので、それについて毎年度、先ほど申し上げましたように、水防計画一環として、さらには、毎年度防災事業といたしまして相当額予算を計上いたしまして、危険個所に対する手当を実施しておる、こういう実情であります。
  12. 田中一

    田中一君 調査を実施しておるのはわかっておりますから、どういう方法調査をするかということを伺っておるのです。ことに今回の浸水個所調査はどういう方法でやるかということを伺つておるわけであります。
  13. 亨仁

    参考人亨仁君) どういう方法調査をするかという御質問でございますが、いろいろな実は角度が考えられると思っております。調査をいたす人々といたしましては、私ども下水道工事に携わる者、また、河川管理者としての建設当局、また、現実工事を執行いたしましたその執行工事担当者、それから地元の区の土木担当者というような者をいろいろ加えまして調査をいたしております。そこで、調査の主眼と申しますか、着目点でございますが、問題は、水が浸入してくるのはどういうことにあったのであろうか。実はシートパイルを一部打ち込んでおりまして、夜明けの三時半ごろシートパイルの最後の一本を打ち込んだあと、八時五十分ごろ浸水をいたしております。そういうシートパイルの打ち込みと、その浸水関係があったかどうか、それからまた、グラウトを施して水の浸入を防いでおりまするが、そういうグラウト工法について、もっと研究を要するかどうか、それからまた、お話のように、地盤沈下が年々起こっておる地域でございまするから、その地盤沈下が、どういう影響をこれに持ったであろうか、その事故現場の川底には、直径一メートル五十センチに及ぶ大穴があいておりまして、その穴が、護岸の下をくりぬきまして、地上に漏水をしておった、護岸そのものには、何らこわれた個所はございません。そういうことからいたしまして、長い期間に地盤に何らか変化が起きておったのではないだろうか、あるいはまた干満に応じて、水の流れと地盤との相関した関係において、そういう穴ができたのではないだろうか、いろいろな観点から調査をしなければならないと思います。そういう調査の結果に基づいて、しからば、将来の工法はいかにあるべきであるかということを、あわせて研究をいたしておるような状態でございます。
  14. 田中一

    田中一君 護岸を作るときに、その全域ボーリングはしたのでしょうね。あるいは、かさ上げをする場合に、もう一度、全区域地盤調査はしておるわけですね。
  15. 加藤清

    参考人加藤清君) ただいまの御質問でありますが、あの護岸は、たしか、戦前昭和十四、五年ごろ築造いたしまして、その後、地盤沈下がありますので、随時、必要に応じましてかさ上げをしておる、こういう実情であります。おそらく、昭和十四、五年ごろ、護岸を築造するときにおきまして、相当ボーリングその他の地質調査をした上で、護岸を築造したと、かように考えております。
  16. 田中一

    田中一君 あまり質問の時間がありませんから、それじゃ、今の地盤沈下に伴う堤防かさ上げ、この工事ができてから四年になりますか、この間に、かさ上げ区域ボーリングをしたという、それを資料としてお出し願いたいと思うのです。全部の、各地点のものですね。  それから今の下水工事ポンプ場でしたかね、下水排水場でしたかね、これの今説明があったような、事故に対する対策としていろいろありますということじゃ困るのであって、まず当面、これをする、その次には、この調査をしてみるというような、調査の具体的な方法を、むろん、いわゆる年次よりも時間的な経過を含めながら、資料を当委員会にお出し願いたいと思います。  とにかく、この地区住民は夜も眠れぬくらいに恐怖におびえているのは、これは知事も御承知のとおりであります。ある理事者は、またそこに高層建築を建てる、そうしていつでも避難できる避難所を作るのだと言っているようなことが新聞にも出ていました。一体そういう地盤の悪い所に高層住宅を作ったところで、建築費が幾らかかるかということは、専門家ならわかるはずです。また、そこに住もうという意欲を持つ者がいるかいないかの問題も、これはおのずからわかるわけです。ことに、東京都がこの事故の後に調査をした住民に対するアンケート、これによれば、大半のものは他に移住したいという希望を持っているというように報告されております。したがって、一日も早くそうした不安を除去するのが、当然な知事としての義務であります。ところが、当委員会に各局長ともおいで願っての答弁というものは、非常に抽象的な答弁であって、何ら具体的な施策を、あるいは研究なり検討なりを具体的に進めておらないというような印象を私は受けるわけです。これじゃ困ります。したがって、地盤沈下地区堤防というものの延長は、相当な距離であります。これを全部一応——戦前における築堤というものならば、なおさらのことであります。地盤の変動が起こったり、また地盤沈下という現象が起きているのでありますから、全域に対する調査は当然すべきであります。したがって、三十八年度から仕事をするのでしょうが、これに対する予算裏づけ計画等が、おそらくもうできているはずであります。それを急速に当委員会に提出願えるように、委員長から要求していただきたいと思います。
  17. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 参考人の方に申し上げますが、ただいま田中委員の要求の資料につきましては、御提出願えますか。
  18. 田中一

    田中一君 いつごろ。
  19. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) いつごろまでに御提出願えるのか、御答弁願いたいと思います。
  20. 田中一

    田中一君 それに対する予算も出してほしい。
  21. 加藤清

    参考人加藤清君) 数日中にお届けいたします。
  22. 田中一

    田中一君 昨日の夕刊には、もはや各水源地においては、もう水の絶対量が足りないために、発電を中止したというような記事も出ております。そこで、私ども都民の一人として、この飲料水の不足に対しましては、深刻な関心を持っているものです。昨年の水の貯留の状態を調べてみますと、一昨年、三十六年の十月の二十日に第一次の給水制限を行ないました。大体、東京都民が使用するところの水は、毎日百三十万程度だと思います。三十七年の七月の十五日まで、二〇%の節水を行なっている。第二次としては、四月十六日から五月六日まで三〇%、大体八十八万五千トンまで給水制限した。第三次としては、五月七日から三五%の制限をした。いわゆる八十五万七千トンという数に節水をしているわけであります。ところが当時は、第三次の貯水量状態というものは、五千万トンを割っておったという現実の前に、八十五万七千トンの節水まで行なったということになっておりますけれども、現在の羽村水系、いわゆる小河内村山、山口貯水池のこの三つの現時点の水の量というものは四千五百万トンを欠いているのではないかというように推定され、また、都政並びにこれに関心を持つところの人たちの間にも言われております。ところが、現在四千五百万トンを割っているにかかわらず、まだ何ら節水指令がない。水道法四十条の一項によりますと、都知事は、いつでも節水指令できるようになっておる。それがいまだに行なわれていない。また一方、新聞には、江戸川水系から九万五千トンの水の供給が、東京都の水不足に対して行なわれるということを書いておる、これは東京都の発表でありましょうけれども。ところがこの水は、少なくとも現在の水不足で悩んでおる各家庭主婦等地域給水さるべきものでなくして、金町浄水場に送られておるという現状から見ると、私ども、一体何をしてるのかという点について非常に不安を感ずるんです。したがって、九万五千トンの水というものは、確かに金町浄水場に送られて、この給水地域というものが、現在深刻な水不足に悩んでおる地域でないというように私どもは理解しておるんですが、その点は東さん、どうでありますか。
  23. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 江戸川系拡張事業完成によりまして、三月末、まあ四月一日からは、今おっしゃった九万五千トンが金町水系に加わるわけでございます。したがって、現在も金町水系から貯水池水系のほうに救援をいたしております。したがって、それだけ加わればそれだけの分をよけいに救援に回しますから、やはり現在水に困っているほうの貯水池系にそれが加わるという結果になるのでございます。
  24. 田中一

    田中一君 水道局が三十七年度水道局事業概要としてわれわれに提示されておる資料を拝見いたしますと、金町の水は現在、羽村水系、いわゆる小河内村山山口水系給水網には接続しておらないように理解しておるんですが、その点は、今、東さんがおっしゃるように、深刻な水不足に悩んでおる地域にどこからか流動されているわけなんですか。
  25. 小林重一

    参考人小林重一君) 金町の水を貯水池系統へ補給するために、今度の九万五千トンの通水と同時に、配水管及び増圧ポンプの増強をいたしました。具体的に申し上げますと、寺島に大きな増圧ポンプ場がございますが、この増圧ポンプ場ポンプを大きくいたしまして、それによって金町浄水場の水を貯水池系統へ押し込めるようなことを考えたわけでございまして、金町系統貯水池系統との大幹線の連絡はまだございませんが、五百ミリから八百ミリの本管数本によって連絡がされておりますので、九万五千トンの水は貯水池系統のほうへ補給できるようになっております。
  26. 田中一

    田中一君 これは河川局長に聞いたらいいのか知らぬが、技術上の問題になるのかもしれませんけれども、小さな管でプレッシャーをかけておそらく送っているんだと思いますが、そういうことは可能ですか。これは専門家に聞かなければわからぬことですから伺っているんですけれども委員会で御答弁願うのですから、技術的にそれが正しくないと、私どもはまたそれを追及しなければならなくなりますから、これは政治的な発言じゃなくて、ぜひ技術的発言をしていただきたい。現在東京都は、何ミリの鉄管をどの個所に接続して、プレッシャーならプレッシャーをかけて、それを補っているという具体的な答弁をひとつしてほしいのです。今の水道局長答弁裏づけをするような技術的証明がほしいのです。
  27. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 厚生省所管でございますので、厚生省から見えているようでありますから、厚生省からお願いしたいと思います。
  28. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 金町浄水場系統に入ります九万五千トンを羽村の系統に補給することにつきましては、私ども技術的に聞いております範囲では、可能であるというふうに承知いたしております。なお、その具体的な細目につきまして御説明の御要望があれば、所管水道課長がただいま参ると思いますので、そちらからまた追加して御説明させていただきたいと思います。
  29. 田中一

    田中一君 それでは、どの地点で結んで、何ミリの管を用いて、どういう圧力をかけて給水して、この技術的な作業がどういう実効を生んでいるか、こういう点を説明願いたいと思います。
  30. 小林重一

    参考人小林重一君) 現在、金町系統と、それから貯水池系統との連絡には、先ほど申し上げました配水本管、これは五百ミリから八百ミリまででございますが、これは詳しいのは今申し上げますけれども、大体数本ございます。大体いわゆる隅田川の大川筋の橋梁には、そういう管がみな通っておりまして、ちょうど両方の連絡をなしておりますから、その管を通じまして貯水池系統のほうへ送るわけでございます。今までは、圧が少ないために、貯水池系統のほうへ入らなかったわけでございますが、これを寺島増圧ポンプを、揚程十五メートルのものを三十メートルに上げまして、圧力をかけて貯水池系統のほうへ入れる設備をしているわけでございます。御承知かと思いますが、ちょうど十六日の晩の十時から十八日の午前六時までの間、いわゆる大きな断水作業をやったのでございますが、これが、この寺島ポンプ場の大きなポンプとの取りかえのための断水取りつけ作業でございまして、したがって、これができますと同時に、寺島ポンプ場まで持ってくる千五百ミリの配水本管は、この九万五千トンの拡張事業で布設しております。これが結ばりまして、それから先、圧力によって貯水池系統のほうへ応援できる態勢を立てたわけでございます。
  31. 田中一

    田中一君 その結果、今日ではもう給水はしているんですか。
  32. 小林重一

    参考人小林重一君) これは三月三十日に通水式を行なう予定になっておりまして、現在まだ行なっておりません。
  33. 田中一

    田中一君 そこで、羽村水系給水されているところの中央線の沿線の十七区六十万世帯というものに対しては、この九万五千トンの水を送ることによってどのくらい緩和されますか、現在行なっておりますところの節水状態から見ましてですね。
  34. 小林重一

    参考人小林重一君) 金町浄水場から九万五千トンの水が貯水池系統に入りますと、貯水池系統給水量を九万五千トン減らすことになります。したがって、事情はよくなるわけじゃございません。
  35. 田中一

    田中一君 東京配区域で、いわゆる都営水道というのですか、都営水道給水のない地域は、どのくらいになっておりますか。
  36. 小林重一

    参考人小林重一君) 現在都水道局所管しているものは、区部全域でございます。いわゆる区の存する区域全域でございまして、郡部給水地域の中には入ってございません。
  37. 田中一

    田中一君 都政というものは郡部にいっていないわけなんですか。上水行政というものはいっていないということは、今明らかになりましたけれども、その点はどうなんです。
  38. 小林重一

    参考人小林重一君) 水道建前は、公共団体がやるというのが大体建前になっておりますので、東京都の水道は、区部だけを給水しておりまして各市町村市町村で別個の水道を持っております。
  39. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ちょっと、先ほどのあなたの江戸川の引水の問題につきましての御質問に対する御答弁について、委員長から簡単に、ちょっと不審な点がありますので確かめておきたいと思うのです。  三月十六日の毎日新聞報道によりますと、先ほど水道局長の言われましたように、三十日から、つまりとれまでの「予定より二日早い三十日から一日約十万トンの応援給水が行なわれる。しかしこの程度ではとても「焼石に水」——水不足は好転しそうもないという。」、なぜならば、これからの水の使用量うなぎ上りにふえるので、あまり期待できないということが報道されているのです。先ほどのお話ですと、給水制限をしなくても十分にこれで間に合うというような御答弁でございましたけれども、こういう報道もあるわけです。この点について御答弁を願いたいと思います。
  40. 小林重一

    参考人小林重一君) この制限給水は、現在の二五%節減を目標とする制限給水を続けていくということは、今の配水計画でそのとおり続けているわけでございます。ただ、それ以上に強化することはなくて過ごせるのではないかという見通しを持っているわけでございます。
  41. 田中一

    田中一君 そこで、私不審に思っておるのは、東京都の区部以外の市町村の行なっている簡易水道が、私は詳しくは存じませんけれども、これらの水に対しては、都としては、どういう補助をしておるのですか。
  42. 小林重一

    参考人小林重一君) 各市町村で行なっておる水道に対しては、別に補助はございませんです。ただ現在各市町村水道は、水源難で困っておるわけでございます。したがって、これらの将来増大していきます水道の需要に対する水量の確保につきましては、これは都一本で確保いたしまして、これを区部市町村に分けていくという計画を現在検討中でございます。
  43. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 田中君に申し上げますが、なるべく知事に多く御質問いただきたいと思います。
  44. 田中一

    田中一君 都税というのは、区部市町村部、どのくらい違いがありますか。都税の、全体の都民に対する税金というものは、これは知事から伺ってもけっこうですから、何か郡部区部とは、おのずから負担する税率というものは異なっておるのですか。
  45. 太田和男

    参考人太田和男君) ただいまの田中委員の御質問に対しましては、後刻資料を取り寄せまして正確に御報告いたしたいと思います。
  46. 田中一

    田中一君 大体、きょうは上水の問題に関連する質問をするという通告は都には出しておらないのですか、委員長のほうからは。
  47. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 出してございます。
  48. 田中一

    田中一君 非常に知事も忙しいと思うのだが、前もって質疑の内容というものは通告してあるはずなんです。それで、私はそう違いはないのではないかと思うのです。都議会議員をやったことはないものですから、詳しい都の財政はわかりませんけれども、大体同じだと思うのです、徴税率というものは。ただ、この税金の中から、都税の中から、三十七年度には都営水道に対しては、一億三千万の補助を出しております。今出ている三十八年度予算の中にも、四千万円の都営水道に対する補助金が組まれております。一方郡部の自治体の水道に対しては、何らの補助をしておらない。そうすると特別に区部に対する都営水道にだけそういう補助金をやるということが、これはおかしいではないか。この違いだけが、区部に住むところの都民が余分な税金を払っているのかというようなことを感じたものですから伺っているわけなんですけれども、将来水源に対しては、都営水道も、各自治体の水道も、同じような水源の確保をしたいということを言っているが、これは希望にすぎません。したいということすらが、東京都政というものは、水に対する関心がなかったということなんです。この点については、まああとで出すというからもらいますけれども、どこまでも公共企業というものは特別会計で行なわれるのは、これは全部当然でありますけれども、なぜ一般会計から都営水道に対して東京都はこれだけの補助をしているかという点が、はなはだ不可解に思うわけであります。政治というものは、国民に対して均一でなければならぬのです。厚薄があってはならないのです。これは後ほど資料を出すというから、後ほどの資料を拝見してまたの機会に伺いますが、なるべく早く出していただきたいと思います。  そこで前に戻るのですが……。
  49. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ちょっと田中君、前に戻る前に、先ほど水道局長が、給水制限を強化しなくてもいいというお話でしたが、これはいつまでのことなんですか。ずっと制限強化しなくてよろしいのかどうか。巷間伝えられるところによると、いろいろな、新聞なんか見ますると、この選挙が済んだら急に制限強化されるのではないかという主婦の投書があるのであります。ですから、その点ですね、これは読売新聞三月十二日のここに、大田区の主婦からその投書がちゃんとあるのであります。その点、いつまでのことを言われているのか、御答弁願いたい。
  50. 小林重一

    参考人小林重一君) 現在の配水計画は、過去の水源地における雨量あるいは流量というものを考えまして、過去四十年間の統計から、多いものの順番に七つのグループに分けまして、その少ないほうから二番目のものを一応対象にして給水計画を立てております。しかも、給水計画は、現在の二五%節減を続けていくものという前提がございますし、また、季節的の配水量の増加も一応考えてございますが、そういうことで立てて参りますと、現在の貯水量は、四月末四千万トン、五月末には、金町の九万五千トンが入りますが、三千万トンに減るだろう。六月からは一応雨季に入るわけでございまして、雨季に入れば何とか立ち直るのではなかろうかということで、一応五月までは現在の計画で進められるわけでございまして、六月以降においては、六、七、八、九という月は、この季節におきましては、今までの統計から申し上げますと、必ず貯水池が回復している時期でございますので、大体回復に向かうということが申し上げられるわけであります。
  51. 田中一

    田中一君 今、小河内貯水量の問題を言ったが、これはあとでもって詳しく、私は自分で調べている資料がありますから、これによってお伺いしますから、ちょっとその点は待っていただきたいのです。  それから、上水道の収入の点を伺っておきたい。私の調べた、あなたのほうの広報といいますか、東京都で出しているものでは、これは東さん、ひとつお聞き願いたいのですが、三十八年度には、百二十六億収入が見込まれた。三十七年度には百十六億、そのうち償還金として三十二億、利子が二十七億、新しく普及するための資金としては、百八億の起債を見込んでおるということになっておりますけれども、私は、東京都の水不足を解消するためには、この程度のものじゃ全然解決されないということを考えております。他の自治体のものと比較してみると、これは明らかなんです。こういう点については、水道局長が言われているように、他力本願、いわゆる天候に待つというような考え方は、これは政治じゃないと思う。私はいつも河野さんをほめるのですが、河野建設大臣は、国土の経営というものは防衛から来るのだということを常に考えている。高潮が来てそれからかさ上げしたのじゃ間に合わない、前もってやろう、これは政治家としてりっぱなものでございます。災害復旧費国庫負担法という法律も、原形復旧ということが原則になっているから、改良はこれは加味されない。しかし河野さんは、よしそれ、災害に対して守るのが政治だと言っておりますが、私はいつもほめるのです。そのほめ方がひどいと言っている人がおりますが、真剣にそう思っている。東京都がこの程度計画で他力本願——天候に待つということになると、これは東京都民は東都政に水の問題はおまかせできないということになる。現に今の水道局長説明でも、現時点で四千五百万トンしかない、昨年は五千万トン切ったときに大騒ぎをいたしました。それで昨年の降雨量というものはどのくらいになっておるかと申しますと、昨年は、三月に四十六・六ミリ、四月には八十九ミリ、そして三月一日に、気象庁はこういう長期予報をやっております。これはもう東さん御承知と思いますが、三月一日から六月一日までの四カ月間は、ことしは、春から夏にかけての平均降雨量は少ないであろうということを予報されているわけですね。河野さんなら、おそらくこういう予報があれば、それに事前に打つ手を打つだろうと思うのであります。それで、結局、こういう専門家の予報というものがはずれてくれば、はなはだ望ましいところなんですが、しかし、気象はよくはずれるはずれると言われますが、はずれるにははずれるだけの条件があってはずれるので、都民の父としての知事は、当然これに対処すべき計画を立てなければならない。これは知事に聞いてもおわかりにならぬと思うから水道局長に聞きますが、大体小河内の水の貯水の何といいますか、しみ水ですね、送水できない水の限度というものはどのくらいに考えていますか。
  52. 小林重一

    参考人小林重一君) 現在申し上げております貯水量四千五百万トン残っている中には、しみ水は入っておりません。
  53. 田中一

    田中一君 どのくらいがしみ水ですか。
  54. 小林重一

    参考人小林重一君) 結局、取水できない水でございます。
  55. 田中一

    田中一君 それはどのくらいですか、小河内の場合には。
  56. 小林重一

    参考人小林重一君) 小河内の場合には、約三百万トン足らずでございます。
  57. 田中一

    田中一君 知事は、今までに水のために各水系の関係自治体に対して、送水あるいは分水の話し合いをしたことがありますか。
  58. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) こちらから現地へ出向いていって、私からお話し合いをしたということはございません。しかし、始終知事会等では、関係知事にお目にかかりますので、そういうときには、私からもお願いいたしております。それ以前に、副知事あるいは水道局長が参り、いろいろ事務的な話をしておりますから、私から、そういうふうにお願いはいたしております。
  59. 田中一

    田中一君 あなたは、知事は昨年ですか、一昨年でしたか、オリンピック招致のための海外旅行に何回おいでになりましたか。今回オリンピックを招致するための、あなたが執行委員といいますか、何委員といいますか、委員として海外に旅行したことは何回ほどありますか。
  60. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 今のお話で、招致するためのということでございますと、これは一回で、そうして招致いたしましたから、それからあと、そういうふうなオリンピック委員会に何回出たかというお話でございますれば、年に一度総会がございますから、一度ずつは参っております。
  61. 田中一

    田中一君 そうすると、任期中五回ということですね。そのうち前回の理事会にはおいでにならなかったのですね。
  62. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) ええ。
  63. 田中一

    田中一君 例のインドネシアを首にしようという重大な、オリンピック精神に背反するような事態が起きたときには行かなかった。そうすると、五回ですか。
  64. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 正確に回数を勘定いたしますと、これは、国際オリンピック委員会委員として、同時に理事でもございますが、昨年は一回でございます。一昨年も一回、毎年一回ずつでございます。前回の理事会には参りませんでした。
  65. 田中一

    田中一君 大体、都民の水の水源というものは、やはり埼玉なり千葉なり神奈川なり、あるいは群馬、栃木という所にもございます。知事は、むろん外国好きでいらっしゃるし、そういう経験も豊富なために、千葉県に行くよりも海外に行ったほうが早いから、東京都の交通はよくないです、どうしても飛行機で、ぽっと行っちゃうほうが好きなんでございましょうけれども、今日のこの深刻な水飢饉といわれておるような現状に対して、やはり、それこそ、三顧の礼どころじゃございません。都民の父として、あらゆる努力を傾けて、すわり込みをしてでも都民の窮状を訴えて、分水してもらうのが知事の責任であろうと思うのです。それを怠っておるということは、私は、都知事として、われわれの父じゃないと思うのです。ことに、これは、河野建設大臣も聞いて下さい。江戸川水系からの水は、現在、関係府県と四十万五千トンの協定を結んで、分水してもらっておるのです。河野さん、お聞き願いたいですよ。それが現在、東京都は七十万トン、いわゆる三十万トンをオーバーして、盗んでおります。盗むという言葉が悪かったら、だまってちょうだいしておるという言葉でもけっこうです。三十万トン余分に江戸川の水を取っております。それから相模水系からの、神奈川県川崎市との協定によるところの分水では、二十三万トンもらうという文書の交換がございます。にもかかわらず、三十三万トン流しております。河野建設大臣が、河川法を変えようという気持も、こういう事態によると、ほぼわかるような気もするのです。非常事態に対して、人の池の水を汲み上げて隣家の火事を防ぐということもあり得ます。当然すべき施策を都知事が怠って、江戸川から、協定以上の、三十万トンという水をちょうだいする、相模水系からは、十万トンを、協定を犯してちょうだいしておるという現状は、私ども都民は、盗んだ水で生かされておったということも、ある部分はいえないこともないと思うのです。河野さん、これをどうお考えになります。今、河野さんは、河川法を抜本的な改正をして、そうした利権的な、地方自治体にあるところの利権的な、そうした悪い現象というものを、何とかしてなくしていこうというような、崇高な意欲があって、河川法の改正にぶつかられたと思うのですが、この事実というものを、私、これを東知事から答弁をいただいて、それから河野建設大臣の御意見を伺いたいと思うのですが、この事実は真実でございますか。私が間違って理解しておる点でございますか。
  66. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 相模川の水を二十三万トン・プラス十万トンいただいていること、これは事実でございます。それから江戸川の水を三十万トンよけいに盗んでいるというお言葉でございますが、いずれにいたしましても、これは盗んでいるというお言葉は、私は少しこれは過ぎると思うのでありまして、決して向こうの知らぬ間にそれだけを取っているわけではございませんで、ことに相模川の十万トンにつきましては、毎回当方から正式に要請をいたしまして、そうして期限付でいつまでそれじゃ上げましょうということでいただいているのでございまして、最近も副知事が神奈川県に参りまして、当分の間十万トンは上げましようということになっているようなわけでございます。私は盗んでいるとは考えておりません。
  67. 田中一

    田中一君 盗んでいるという言葉が激しければだまってちょうだいしているということを言ったのです。そこで、江戸川の水はどうなんです、三十万トンは。
  68. 亨仁

    参考人亨仁君) 現在江戸川の取水権としましては、約五十万トンでございますが、現在七十万トン取っているということは、給水事情からどうしても水が必要であり、それを取ることによって、下流に実害を及ぼしていないわけでございますので、ちょうだいしているわけでございます。ただ取水権と申しますのは、渇水を標準として考えられておりますので、常時それ以上の水があるわけでございますので、このような措置をしているわけでございます。
  69. 田中一

    田中一君 そうしますと、だまって三十万トンちょうだいしているということは事実だということですね。
  70. 亨仁

    参考人亨仁君) これは、下流において実害もないので、まあ千葉県……。
  71. 田中一

    田中一君 そういうことを聞いているのじゃないのです。結論を伺っているのです。先ほどから委員長に申し上げているように、るると弁解は弁解として伺います。質問に答えるようにひとつ措置願いたいと思います。
  72. 亨仁

    参考人亨仁君) 大体黙認の御配慮を得ているわけでございます。
  73. 田中一

    田中一君 私ども明治生まれでありまして、渇しても盗泉の水を飲まずということを教えられたものでございます。しかし、東京都民は、現在盗泉の水を飲んでいるようなことは悪い都政でございます。そういうことがあっちゃならないのです。都知事は、盗んだということはちょっと言葉が行き過ぎじゃないか、そのとおり私も訂正することは差しつかえございませんが、どうも私、明治生れなものでございますから、頭にこびりついている。そこで、もしも必要なら必要のように、協定を変えるべきであると思うのです。そうして東京都営水道のみならず、関係市町村の単独の簡易水道なり、その他の水道がありましょう、公営水道もございます。のめのめとこれらの水系を合わせて、東京都民全体のために水道行政を完成するように、計画しているのだという計画は、絵にかいたもちでございます。食えません。この事実を河野建設大臣はどうお考えになりますか。
  74. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) だんだんお話を承っておりまして、御承知のとおり、東京都民が毎年三十万以上人口の増加があり、一方においては、水のことでございますから、なかなかこれは処置の困難な事情がございますために、便宜今のような工合に相なっている、これは私は正しい、りっぱであるとは思えない。なるべく早く田中委員御指摘のように、両者の間に円満な妥結を得て、合理的に水を使用されることが適当であると考えます。
  75. 田中一

    田中一君 今度は河川法の改正が近々出ようとしておりますが、水は、水そのものの物質については、だれが所有者かわからぬのが通例であります。それを利用する利用権のみが、コップの水を一ぱい飲んだ場合には、そのコップの一ぱい飲んだ水が私のものであって、水の所有権というものは、これは限界があるということを申し上げねばならない。しかも、水の価値ということになりますと、利用の点において、それこそ砂漠における水道の一ぱいの水というものは、人間の生命をもささえる重大な問題であります。汚水処理場で今日工業用水を再生しているなんということも、これはもう非常にけっこうなことです。しかしながら、そうした今までの伝統的な都政の中に、あるいは都民の必要の中に、東さん、一体何をしていたのですか。あなた、水に対してはそんなに関心がなかったのか。都知事が行くとか水道局長が行くとかいう問題ではないのです。今、建設大臣も、不十分だと言っております。こういう点から見ても、私はもう一つ伺っておきたいのです。  配水の問題で伺っておきたいのです。それは、現在の千代田区、中央区です。この千代田区、中央区は、地域的に全給水区域の二%です。全給水範囲、いわゆる二十三区の中の二%を占めておるのが千代田区と中央区なんです。そうしてこの水の使用量が二〇%なんです。これは、あなたのほうから出している資料で明らかなんです。都にも正直な地方公務員がおりまして、正直にこれを発表しておるのが、区域と水の使用量との差です。まあ数字で言って十倍ですね。二%の給水区域で水の使用量は二〇%。そうして、これによって、平和な家庭と平和な生存を考えておるところの家庭の主婦は、そのしわ寄せを全部食っているという事実を東さん御存じでございますか。現に、なるほど昨年は第三次節水まで行なわれました。ことしは第二次の節水で九十九万トン余水を出しております。先ほど木村委員長が言っているように、これでは、現時点で四千五百万トンの貯水量しかないものに加えて、九万五千トンが、かりに江東地区並びにそれらのうちから幾ら十七区六十万世帯に水が供給されるかは存じません、これはまだ三十一日に通水するそうですから、このデータはいずれちょうだいしたいと思いますけれども、やはりこうしたアンバランス。かつて、渇水期にあたっての火事があった場合に、消防活動に差しつかえがないかという質問に答えて、水道局長は、人手がないからできないといった答弁をしている。これは新聞にも出ていますよ。新聞に出ているのですよ、こいつは。いいですか。水行政に対して、水行政というか、都民の生活と喫緊な、なくちゃならぬという水に対して、人手がないから消防活動というものは差しつかえてもしょうがありませんという答弁です、裏返せば。水道局長においてすら、火事があったらそれは消防本部でやったらいいじゃないかという気持にすぎない。東さん、どうお考えになりますか。こういう工業用というか、何といいますか、家庭用の水よりも、こういう言葉は当たるかどうかしらぬけれども、ある権力ある地域に優先して水を使っているということは、もしもバルブの操作によってこれができるなら、中央区、千代田区のこうした大きなビルや何かに対する水の規制を、個々について行なったほうが妥当な都政とは思いませんか。したがって、水の用途別制限というものをお考えになるつもりはありませんか。お考えになるつもりはないから今までこうしているのだと思うのです。都民東知事を恨んでおります。家庭の主婦は恨んでおります。この現実が明らかになれば、おそらく家庭の主婦たちはあなたに反撥を感ずるでしょう。上水道の用途別制限というものを考えるつもりはありませんか。
  76. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 現在、私は用途別制限のことは考えておりません。ただ、それとは別個のことになるかもしれませんが、水の使用料金についての合理化をやるために、目下委員会検討いたしておりますが、今おっしゃるような制限をやるということは、私は考えておりません。
  77. 田中一

    田中一君 そうすると、これから暑くなりますと、最近の中央区、千代田区等に港区も入っておりますが乱立しておるところの高層建築には、九九%以上冷房の設備を持っているのです。昨年当委員会でも審議いたしまして、地下水制限はしております。しかし、上水道の利用については、これは別になっております。野放しです。同時にまた、地下水を汲み上げないために、循環する水の設備の融資の措置も法律でこれを通しております。成立しております。その中で、冷房の設備のある建築物は、なかなかこれがなかったらたいへんでございます。しかし一般の家庭の主婦たちは、冷房どころじゃございません。節水によって、不用意に、その時間給水を忘れた場合には、食事もできないということにならざるを得ないわけなんです。あなたが今そうした用途別に制限をしないということは、だれに向かってそれをしないということを言っておるか。おそらくこれは、今日の時点におきますところの貯水墨から見まして、先ほど木村委員長が言っているように、重大な危機がわれわれの身辺に忍び寄っているということを、私は今感ずるわけなんです。一方、大下水の普及率を高めて水洗便所をやっている。水洗便所に使うから水が不足するのだなんということを言っておるあなた方の部下もいます。そんなものじゃないのです。憲法で保障されておるわれわれの生活というものは、せめて糞尿処理とか、ことに水の問題だけは、諸外国と比して水源があり余るから、あり余るというのは、割合に多いから軽く水の問題は扱っておるけれども、これは、あなた自身がヨーロッパ等にも始終行かれて、諸外国と日本との水のありがたさというものを痛切に感じないですか。あなたがこれ以上、気象庁の発表等によって、水の資源が不足した場合に、それもしないということを、私は、よく東都政の一つの意思として伺っておきます。  そこで、料金の問題を言っておきますが、現在料金は、基本料金、定額料金、百四十円ということがきまっておりますが、これをどう変えようというためのどういう意思で委員会を設けて検討しているのですか。これは安くしようという——、東さんのことだから、安くしようという意思だと思うのです。どういう方法で、どういう方途に向かって改正しようという意思を理事者側として持っておられますか、東さんに伺います。
  78. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) ただいまの御質問にお答えをいたす前に、先ほどの業種別の制限をという御質問に、そういうことを考えておりませんと申し上げましたのは、全般的な原則として、業種別の制限を設けるということは考えておりませんが、しかし、昨年第三次制限までやりましたような一種の非常事態におきましては、今のような冷房用の水道水の使用あるいはプール、それから自動車の洗浄水というようなものについての規制はいたしました。そういう場合には、今のような大量に上水を使いますようなものに対しては規制をいたします。  料金につきましては、副知事からお答えいたします。
  79. 太田和男

    参考人太田和男君) 私がただいま田中委員から御指摘の水道料金の調査委員会の会長をいたしておりますので、便宜私からお答えを申し上げたいと思います。この料金問題を取り上げましたのは、実は、従来は御案内のように、一般の家庭料金と営業用というものとの差がございますので、一昨年に水道料金を改正いたしました際に、都議会でこの問題が議論の中心になりまして、こういうふうな水道というものの料金を、業種によって差をつけることは理由がないではないか、あくまでもコストを基礎にとりまして、公平に使わせるべきで、現在のような制度のあり方は検討を要するという御発議がございまして、都条例に基づき調査委員会を作りまして、目下、その御検討をわずらわしているところでございます。したがいまして、従来のように、営業用というものに差を残すかどうか、残す場合には、どういうふうな根拠と理由によって、どの程度のものをつけることがよろしいか、最後の段階におきましては、これがもっぱら議論になると存じます。まだ、この問題については結論が出ておりませんので、そういうことを最後的には御答申を願うことにいたしまして、審議をいたしているのが現状でございます。
  80. 田中一

    田中一君 定額制の基本料金は上げようというつもりですか、下げようというつもりですか。
  81. 太田和男

    参考人太田和男君) これも、やはりこの審議会の結論になると思いますが、ただお答え申し上げたいと思いますことは、先ほども田中委員御指摘あったように、将来、東京都の上水を十分確保いたしますためには、相当大きな建設投資をしなければなりません。したがって、この水道料金に、将来十年、十五年なり先に至って効用を発揮するような大きな施設を作る場合に、巨大な投資というものを現時点の使用料に加味していいかどうかということが、根本に一つ議論がございます。それから、それを加える場合も、はたして国費等の補助が、現在先ほど御指摘のようにございませんけれども、こういうようにあくまでも市町村自体の責任で、市町村の財政だけによってこれをまかなうかどうか、そうした場合に、非常に高いコストになるわけでございますが、そういう点も考えながら、まず、最低の各家庭の消費量、それの使用料金を原価で押えるべきか、それにある程度、今、申し上げたような諸般の公共投資等を考えまして、これをある程度政策的に下げてきめるべきかというようなことも、あわせて審議を願うことにいたしております。
  82. 田中一

    田中一君 それは審議会にかかっておるんなら、何ともここで私は批判しませんが、少なくとも東京都の行政というものが、金さえあれば何でもできるのだというものではないということは、当委員会河野建設大臣は、はっきり指摘しているんですよ。東京都の行政というものは、わけがわかりません、東京都のあらゆる施策というものは金さえあればできるものではございませんということを。河野さんのりっぱな発言です。こういうことをはっきり言っておる、当委員会で。なんだったら私は議事録を差し上げますから見てごらんなさい。それは当然一つの仕事をするんですから、明らかに資金が要ります。それが直ちに都民の負担であるという前提でもってやるのは政治じゃないですよ。政治というものは、より豊かな国民生活を行なわすことを主眼とすることが政治なんです。どうも今まで時間もだいぶたちましたけれども、東さんの考えておられる水に対する考え方というものは、都民のための考えじゃないということを私は言う。  それからこの渇水状態、四千五百万トンを割ろうといっておるこの時点におきますところの施策が、ただ単に、江戸川の水を九万五千トン持ってくれば足りるというものではないのは明らかです。それだけではない。あとは何も打つ手がございません。これが現状だと思う。そうして昨年五千万トンを割ったときには、第三次規制をやっておるんです。先ほどのやつは四千五百万トンですよ。現在第三次節水の規制をするつもりですか、つもりでございませんか、東さんに伺います。
  83. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) これは、先ほど水道局長もお答えいたしましたが、現在水道局において作成いたしております今後の水量の変化、減少のカーブが現在の予定どおりに動いて参ります限り、第三次制限には入らぬつもりでございます。
  84. 田中一

    田中一君 そこまで東知事は自信がおありだから、ひとつ数字で明らかにして下さい。私が申し上げておるのは、第二次の節水は、六月十六日に二五%の節水をしておる。しかし、これには金町の九万五千トンは除外しております。そこで金町の九万五千トンという水が、どういう形で実際に渇水区域に流れ込んでくるかというデータを、これは三十一日の数字ですから今から求めませんけれども計画はどうなっておりますか。三月三十一日通水した場合に、どのくらい投げ込むというような計画ですか。
  85. 小林重一

    参考人小林重一君) これは九万五千トンを流し込む計画でございます。
  86. 田中一

    田中一君 これでも足りない。そうすると、東さんは第三次の規制はしないとおっしゃるのですね。そうして、まあもっとも二十三日から選挙が始まりますから、第三次の制限なんということは、都民のごうごうたる非難を受けるかもわからぬという配慮はよくわかります、私も政治家のはしくれとして。しかし、先ほど木村委員長も言っておるように、その後に来るものがおそろしいのです。私は、東さんが誠心誠意清廉な都知事で政治家であるならば、率直にこの実情を訴えて、かくかくであるということのほうが、都民は歓迎するであろうということを申し上げます。そして、それには裏づくべきあらゆる技術的、場合によれば政治的配慮、現在でも江戸川の水を三十万トンも——あなたは盗んだと言っちゃいかぬと言うから、どういう表現をしたら——適当な表現あれば使うのであなたに伺いたいと思うのですが、それまで取り、川崎との間には十万トン契約外の話し合いでもらっておる。九万五千トンだけは東京金町から、江戸川の水系から入るであろうけれども水不足に悩む羽村水系の十七区六十万世帯というものに対しては、九万五千トンは焼石に水です。火災もどうやら最近になってから減って参っております。あなたもここでもって第三次制限はしないと言っているのだから、これはあなたの都長官としての権限、水道法第十五条によるところのあなたの権限の行使という形でもって、われわれは納得せざるを得ないけれども、この点については十分に考慮してもらわなければならぬと思うのです。あなた、きょう一時半から向こうへ行くそうですから、これ以上しませんが、何か委員長から質問があれば、委員長から……。
  87. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 水道局長さんは、二月二十八日の都議会で、五月に入って三千万トンを割ったら急ぎ制限するということを御答弁された、これは事実でございますか。
  88. 小林重一

    参考人小林重一君) 先ほど御説明申し上げましたように、現在の給水計画で参りますと、五月末三千万トンになります。それからは降雨期に入るわけでございますので、大体乗り切れるという予想はしておりますけれども、その時点においては、もう一回——もう一回といいますか、これはしょっちゅうでございますが、五月末三千万トンの時点において、事後の気象状況その他の状況を勘案して給水計画検討いたしますということを御答弁申し上げております。やるということは申し上げていないわけでございます。
  89. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうしますと、先ほどのお話にもございましたが、ひとえに六月の雨季に期待をかけておるということになるのであって、現在のところはまことに心細い、端的に言って。六月になれば雨が降るだろうということになってくると思うのですけれども、雨がもし思うように降らなかったらお手あげだということであって、もうひたすら六月の降雨季に期待をかけているのだということに、一言にして言えば尽きるわけですが。
  90. 小林重一

    参考人小林重一君) 五月末におきまして三千万トンになって、さらに六月に入りましてから、つゆになった場合には、七月末貯水量は千六百万トンに低下をするという予想でございます。しかし、六、七、八、九という季節を通算して考えてみますと、その期間の間には、今までの統計から参りますと、必ず貯水池は回復しているということがいえるわけでございます。したがって、五月末三千万トンに達したその時点においては、自後の気象状況なり、いろいろな条件を入れまして、給水計画検討をしなければならないということでございます。
  91. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 都知事に、もうだいぶ時間がないようでございますから、簡単に一言だけ御質問いたします。それは、東京都の長期計画について簡単に伺います。この長期計画は、政府の所得倍増計画に見合ってお立てになったということを聞いておりますが、そのとおりでございますか。
  92. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 計画の立案にあたりましては、所得倍増計画に見合うというのですか、それを勘定に入れまして立てたつもりでございます。
  93. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に伺いますが、政府の所得倍増計画は、第一年目におきまして非常に実績と計画が狂っておるわけです。現在ではこの計画は再検討しなければならぬ段階に来ております。たとえば設備投資につきましては、昭和三十六年は四兆五百四十億にもなり、政府の計画では、昭和四十五年三兆六千億くらいを予定したんですけれども、すでに第一年目で、もう非常な大きな狂いを生じております。また、建設計画につきましても、道路計画、治水計画についても、政府の計画は、所得倍増計画を上回る大きな計画を今構想しているようであります。したがって、政府の所得倍増計画はもう再検討しなければならぬ段階に来ておる。したがって、この長期計画は当初の政府の所得倍増計画を基礎におやりになったのでは、非常にこれは計画がそごを来たすとお考えでございますかどうか。
  94. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) あの長期計画の策定にいろいろ前提条件としてあげておりますが、今おっしゃるように、その立案にあたりまして、その重要な要素になっております今の計画が、計画と違った実情になってくれば当然それに応じたように長期計画も改変しなければならぬことは申すまでもございません。したがいまして、今所得倍増計画がもし改定されるというようなことになりますれば、こちらのほうも、それに準じて変えなければならぬと思うのでございます。  なお、それだけではございませんで、その他いろいろな条件が、現在の社会情勢、経済情勢に著しい変動のない限りというふうな条件もつけておりますので、あの長期計画は、それぞれの時点で最も適切なようにこれを改めて参ることは用意いたしております。
  95. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) そうしますと、きょうの毎日新聞に、東都知事が公約を発表しておられます。それによりますと「東京は人口一千万を越え、無限のエネルギーに満ちているが、無秩序とアンバランスで機能をマヒさせている。これを調整するには「東京都長期計画」以外にはない。」と言われているわけです。そしてこの長期計画というものを、この政策の公約として非常に重点を置いて書かれております。すでにこれは発表せられております。都民にもこれは配布され、私も都民ですから配布されております。それは、これまでの所得倍増計画に基づいた長期計画であります。したがって、今都民に配布されている長期計画は、今、東さんが言われましたいろいろな事情によって改変せられるものとは違うのであります。すでに政府の倍増計画に変化が生ずれば、これが改定されれば改定すると言われますけれども、もうすでに事実が、政府の倍増計画計画と実態とは非常に大きなズレがあるんです。そのズレのある政府の倍増計画に基づいて立てた東京都の長期計画は実態が合わないのであります。  それともう一つ、これは三月十五日の毎日新聞であります。東京都が三月末までに終わる予定だった五十四の都市計画事業が期限内に完成できない、そうして「その期限を三年から五年間延長した。」そういうことが報道されております。そうしてこの報道によれば、「都が昭和四十五年度には「住宅難も、交通マヒもスモッグ禍も解消し、都民の生活はうすバラ色に包まれる」としたご自慢の長期計画も一年目でつまずいては、空証文で終わることにもなりかねない。」、こう報道されております。これに対して、都の首都整備局の話として談話を発表しております。「計画予定どおりできないで困った。用地を買収できなかったため遅れたものもあるが、なんといっても財源難が原因だ。」、そうして補助金の少ないこと、オリンピック事業のしわ寄せなどが理由にあげられておるというふうに報道されておるのであります。そうしますと、もう第一年目において、都の都市計画は、いわゆる長期計画なるものは、非常なズレを生じ破綻を生じている。ですから、ここでこれまでの長期計画は根本的に変えなければならない。三年−五年ですよ。五十四の都市計画事業が、三年−五年期間を延長したということが報道されておる。この点については、どういうふうにお考えになっておられますか。
  96. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) ただいまのは区画整理の事業かと思いますが、また、首都整備局の談話が、どういう工合に出ておるか存じませんが、私は、まだこの長期計画が、第一年目で破綻を来たしたというふうには考えておりません。また、この策定にあたりまして、所得倍増計画を十分参酌したと申しておりますが、しかし、この案ができましたのは、昨年の夏でございますから、三十五年のいわゆる所得倍増計画の当初から、約一年半以上の経過を経ておりますので、その間の変化等をももちろん頭に入れて作っておるつもりでございまして、まあ批判はいろいろございましょうが、一年目で破綻を来たしたというふうに、私はそう考えておりませんし、この線に沿って三十八年度予算等も編成いたしたわけでございます。
  97. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 五十四の都市計画事業が、期限内に完成できないということは、これは事実なんでございますか。
  98. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 私は、その五十四の一々具体的の内容は、承知いたしておりません。
  99. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それは十四日、東京丸ノ内日本倶楽部で開かれた都市計画地方審議会、会長さんは知事さんであります。そこでその期限を三年から五年間延長したということが報道されているわけです。これについてお伺いしているわけです。
  100. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 私は、その結果の答申と申しますか、そういうようなものは、まだいただいておりません。
  101. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それでは、十四日、この都市計画地方審議会が開かれた事実はないのでございますか。
  102. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) いや、開かれたことは事実でございましょう。私は出席いたしておりません。
  103. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) しかし、そこで、あなたが会長さんですよ、あなたが会長さんである。それで、その期限を三年から五年延長したということなんです。
  104. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) その都市計画審議会は、私のほうの鈴木副知事が毎回出ておりまして、私はその会議には出ておりません。
  105. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) しかし、こんな非常に重要な問題について、知事さんは御出席されなくても、副知事さんからちゃんと——三年——五年延長するのでありますから、これは重大な計画のそごを来たすわけであります。それについて御存じないのですか。
  106. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 先ほど申しましたように、私はその会議の公式の報告を受けておりません。
  107. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それじゃ、副知事さん、この点について御存じですか。
  108. 太田和男

    参考人太田和男君) 私も都市計画地方審議会の委員でございますので、提出いたします議案につきましては、承知いたしております。
  109. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) で、この三年——五年延長することになったというのは、これは事実でございますか。
  110. 太田和男

    参考人太田和男君) 先ほど知事が申し上げたように、これは区画整理を中心にいたしました事業の関係を延ばしておるのでございますが、従来から、この区画整理の事業は、いろいろな問題がございまして、計画どおり参っておりません。したがって、その計画も逐次縮小して参りまして、現在きめておりまする計画を最終計画といたしましてこれを実施することにいたしておりますけれども、何と申しましても、一番これがおくれる事業でございますので、やむを得ずそういうふうな措置をとっておるのでございますが、ただ、この長期計画計画年次の間におきましては、これはぜひやり遂げる、こういう計画のもとにさようなやむを得ざる変更措置をとったわけでございます。
  111. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいまの御説明では、一般の都民が納得できないと思うのですが、時間がございませんからこの程度にしておきますが、田上委員から、竪川堤防漏水についての御質問がございますから、質問を許します。
  112. 田上松衞

    ○田上松衞君 今、盛んに論議されていた水の問題のことについて、お伺いしたい点がたくさんあったわけですけれども、いろいろ時間的な関係があるようですし、特にあなたのほうでも何かすこぶる迫っておるような状態でありますから、それらの点はこの際全部捨てまして、一点、初めの竪川堤防漏水に関する問題に限ってお伺いしておきたいと思います。  全国の若人たちが、まさにそのあこがれの地としている、政治、経済、文化の中心でありまする首都東京に対しまして、これが近年に至っては交通麻痺あるいは今論議されておる水不足等々のために、大きく足踏みをしてきたこの事実は、何人でも否定できないことなんです。皮肉を言うわけではありませんが、このことが万一、東京の一千万の人口を地方に分散さしてしまいたい、そういうような深い配慮から、計画的に、あるいは故意になされたり、ないしは放置されたりするということであるならば、それはおのずから問題は別になっていくわけですけれども、交通地獄にせよ、あるいは水飢饉にせよ、特に今申し上げたい竪川の堤防漏水等に至っては、これはいよいよもって、東京都民は言うまでもなく、全国民をして、大きくいうならば不安と戦慄の中にたたき込んでしまったといって決して過言でないと私は思うわけであります。それだけでなくして、この事柄は、特にオリンピック等を控えた端的な関係から考えてみても、日本の科学技術等を含めまして、これは大きな恥をさらすことである、まことに残念なことだと、心ある者、ない者の区別なく、この事柄に対する国民の憤激というものは、はかり知れないものがあるだろうと、わずかな時間に申し上げることですから、言葉の上に若干の誤解は生まれるかもしらぬけれども、この気持については、私はだれだって同じはずだとこう思うのです。そういう立場から、あえて申し上げるわけですが、先刻東京都当局の答弁で明らかにされた点は、竪川堤防漏水事故原因が、事故が発生してからすでに一週間を経過しておる今日、まだその原因がわからないということ、これだけははっきりした事実なんです。おかしなことだと思うのです。私があえて言った、科学技術を含めて日本の大きな恥辱であるというのは、そういうところから出てくるわけなんです。普通にこれは考えられない、こんなばかげたことが、一体まともに受け取れるかということなんです。まあ、いやな言葉のようですけれども、とにかく腹が痛くて困っておる、それをやぶ医者に行って何とか薬をぶち当ててしまえ——あなたがやったところの応急処置、しかつめらしくこう言っておりますけれども、こんなことは、何の誇りでもない、ただこうしましたというくらいであって、これがなかったらどうするか。これは、いわゆる応急処置、これが悪かったとは決して言いませんけれども、同時に、その原因がどこにあるかということだけは、腹の痛い原因は、一体何だろう、ガンだろうか、単なるはれものだろうか、食あたりだろうか、それをわからずして、一体病気をなおせるかということですね。非常に俗な言葉で申し上げますけれども、私はこのことも不思議でしかたがない。今これについて、まあ特別機動捜査隊ではない、特別調査隊ですか、調査委員会ですか、こういうものを設けて目下調査中だということに終わってしまっているわけですが、私は、まあ一つ々々の問題は、時間の関係から申しませんが、ぜひお聞きしておかなければならぬことは、それほど無能な東京都の当局であるならば、少なくとも建設省のたとえば、河川局あたり、その他の面もたくさんあるのですけれども、それらとの間にこうした具体的な非常に不安になっている、前から低地で、低地防災対策なんというものはあったはずですが、その中の、問題になっている竪川防堤等の問題について、お互いに知恵を借りたり連絡し合ったり指導を受けたりするようなことはなかったのかどうかということですね。これは、あとで建設省に聞けばいいんですけれども、それよりも逆に東京都のほうに聞きたいのです。何かそこに国の機関と東京都との中に一つの侵すべからざるものが横たわって、不満足であることは承知しつつも、そういうものに対する研究等が、対策等が立てられていなかったのかどうか。この点については、知事のほうから明確にひとつ御答弁願いたい。
  113. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) ただいまの御質問の中にございましたように、建設省とは絶えず連絡をとり、また、その指導等も受けて参っております。
  114. 田上松衞

    ○田上松衞君 絶えず連絡、指導等を受けているにかかわらず、結局お手あげになってしまったということなんですか。ろくな指導もされなかった、ろくな援助も、ろくな連絡もなかったので、結果的に変になってしまったということなんですか、どうなんですか。
  115. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) 指導も受け、当方としてやるべきこともやっておりましたが、にもかかわらず、起こったような不時の災いでございましたので、したがいまして、何ゆえにそういうことになったかという原因につきましては、これを慎重に、同時にまた的確に突きとめなければなりませんので、今申し上げましたような調査委員会を設けてそれを究明してもらう、その手段を講じているわけでございます。
  116. 田上松衞

    ○田上松衞君 そういう指導を受けておったにかかわらず、不幸にしてこういうふうな思いがけないことだというお言葉のようですが、思いがけないことであってならぬはずなんですね、こんなことをして。日本にかつて起こってこないところの、たとえば先般あったような雪は、東北方面、北陸方面、北海道に限ったものだと思っておったところが、鹿児島まで一メートル以上の雪を降らせてしまったということ、これは何十年ぶりかに降るとの事柄は、今の程度の知識といたしまするならば、あるいは思わざるものだったというかもしれません。ないしは、大きな地震であるとか、予期せざるところの方面から押しかけてくる大津波であるとかというような問題のことならば、あるいは三宅島が噴火してしまったというような問題、こんなことならば、そういうことでも納得できないこともないですけれども、この程度のこと、堤防が不完全な竪川の堤防、しかも、低地である、不安な問題、特に最近においては、いやしくも政治を語る者が水の問題をとらえるときに必ずそこから起こる問題は、地盤沈下等の問題、だれだって怒っている問題、こういうまん中にさらされたこの地帯において、こうしたできごとが予想できなかったなんということは、これはおかしな話だ。どうもその点について納得できないので、くどいようですけれども、率直に政府、建設省等の力添えが足りなかったんだ、教えてくれなかったんだ、東京都の当局はどうもしろうとぞろいだったということが言えないかどうか。もう一ぺんくどいようですが、的確に納得できるような御答弁をいただきたい。
  117. 東龍太郎

    参考人東龍太郎君) ただいまの御質問のようなことであると私は思っておりません。建設省の指導が足りなかったから、あるいは東京都がしろうとばかりだったからというのではなく、これは、先ほど申し上げましたように、全くこれははからざるといいますか、予測できなかったことでございまして、今のようなことの結果起こったものとは私は思っておりません。
  118. 田上松衞

    ○田上松衞君 全国知事会議か何かで、ほとんど東知事が時間的にどうにもできない状態のようであります。よくわかるんです。前から私は聞きたいと思っておったんですけれども、お断わりしたように、もっとこの問題から進めた深刻な水資源、東京の本体であるような問題について聞きたかったんですが、それすら遠慮して質問しておる。よくわかるんですけれども、これ以上言ってはどうかと思うので、知事に対しましての私の質疑は、まあそのために前段でくどく気持を申し上げておるので、賢明でもしあられるならば、もうおわかりのはずだと思うのです。今後十分ひとつ早急にこの原因を突きとめましてやってもらいたい。でなければ、さっきから申し上げたように、これでは大きなガンであると考えざるを得ない。徹底的な仕事をしない限りにおいては、だめだという結論を持ちつつ申し上げておるわけですが、まだ何にもわかっていない。田中委員がさっき要求したあれについては、どの方法研究したかという資料を、一週間くらいの間に作りましょうということだけであって、何にもここに原因を必ず突きとめてみせるというような自信を持っての当局の御答弁だったとは私聞いていないわけなんです。これでやりましたというふうな言いわけの程度、そんなものに期待しておってはいけない。私は東京都民ではありません、横浜の市民ですけれども、しかしさっき断わったように、これは全国民が非常な不安を持っておることなんです。いやしくも首都東京をこんな姿にしておくことは、まじめな気持において残念でならない。この切望をまじめな立場においてわれわれは考えておるんだというところをひとつくみ取って下さって、早くこの原因を突きとめ、そうして的確な処置をしてもらう。再びこういうような不安がないように、何かしら、そこの住民をよそに移すということを早くやっていくということでなく、そんなことじゃなしに、安心しておる、おのずからさっき申し上げましたように、一千万人の人口をどうするかということだけは別問題としてお考えになってもらえばいいのであって、やはり現実の問題、不安、戦慄のない東京都にしてもらわなければ困る。このことをひとつ、釈迦に説法みたいなきらいがありますけれども、国民の声として御承知の上対処されたい、こう申し上げ知事に対する質問はこれで打ち切っておきたいと思うわけです。
  119. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 知事さん、どうも御苦労様でございました。  知事以外の参考人の方がまだお見えでございますから、知事以外の皆さん方に御質疑がございましたら御発言を願います。
  120. 田上松衞

    ○田上松衞君 それでは、知事を除く東京都の建設局なり、あるいは下水道局なり、東京都に関しては、水の問題からきまするところの幾多の問題がたくさんあるわけなんです。いわゆる下水の問題、これは大きな問題だといつも感ずることですけれども、一番身近かにある問題は、露骨に申し上げまして、これは人類に限らず生物全体が、特にこうした都市生活をなしまする住民が一番身近な問題として考えなければならない問題は、糞尿をどうするかという問題ですね、これは厚生省の指導を中心とした社会の大きな問題であると思うのですが、その事柄について、この水の関係がこれは大きく影響するわけですが、これに対して、まあ非常な不安をわれわれは外部から見て持っておるわけですが、さっき申し上げましたように、この問題を通じてやっていくべきものは、それはもう泥がどうの、水がどうの、浸水がどうのということでなくして、糞尿の中にたたき込まれた姿だということをテレビを通じ、新聞を通じて見ているわけですが、この事柄は、大きくあとの衛生等に、これはむしろ人間の、大きな社会生活者に対する大きな問題になってきておるのでありまして、これに対して、東京都は今飲む水、工場の水等に一生懸命心配しておられるようだが、これらの問題について、どういうような自信をお持ちになっているか。ちょっとどっちからお聞きすればいいのかな。
  121. 太田和男

    参考人太田和男君) 私からお答え申し上げたいと思います。この環境衛生の問題でございますが、御指摘のように、屎尿の処理につきましては、厚生省御当局の御計画とあわせまして、大体昭和四十五年までに、区部地域の八〇%の区域下水道を完備いたしまして、下水道が完備しますれば、当然屎尿の処理は、下水道によって処理できるのでありますから、そういう措置を考えております。  それからなお、四十八年までには、下水道整備を区部全域にいたしたい、かように考えて、これは先ほど話が出ました長期計画に盛っておる一応の計画でございます。したがいまして、御指摘のように、今度計画が出て参りますれば、これに伴う水の問題を付随して当然考えて参らなければならないわけでございます。したがって、やはりこの長期計画に盛っております、昭和四十五年度一日推計四百六万立方メートルの水の需用量を想定しておりますが、都民の生活水準の向上に伴います水の消費量の増加に見合いまして、各年度年度の使用の上水の量というものを算出いたしまして、これに伴う水源の確保対策を出した結果が、昭和四十五年に大体想定で四百六万トンというものが必要になる、これに見合う上水の施設を完備していくことが、やはり長期計画に盛っておるのでありまして、その線に沿うて計画をいたしておる次第でございます。
  122. 田上松衞

    ○田上松衞君 さっき田中委員のほうから指摘され、当局もそれを認めたわけですけれども相当の盗み水か、黙ってちょうだいする水か知りませんけれども、それは別といたしまして、こんなことをされながら、神奈川県民であります私どもは、これも承知の上で、しかも、これは一千万の人口を擁する東京都の環境衛生のためにも、生きることのためにもということで、みずからは、神奈川県では、まだいろいろの工場誘致等が要望されているにかかわらず、とにかくお隣の東京都を死なしちゃいかぬという気持から見のがしておるのが実情なんですよ。そういう中でやっておるのを見ると、これはどうもきわめて小っちゃな問題だと言ってもいいのですが、われわれがずっと東京駅からやってきますと、宮城前から来ますと、日比谷公園のあの辺ずっと行ってみますと、道路を水で洗っておるのですね、一体これはどういうことであろう。使い切れないで使い残しているのだろうか。神奈川県民は、今申し上げたような気持でやっておるにかかわらず、あの状態を見て何と思うか。道路を洗っておるじゃないか、何かこれが危険があってするのだったらわかるけれども、ほこりが立つ、雨のあとであれば泥がたまる、そういうこともあろうと思う。しかし、そういうことのあれでもないのに、何かしらんふんだんに洗っている。こういう実態を見せつけられて、これは困ったものだ、いつか機会があったらこれをお聞きしないと、これはたいへんな問題を招いてしまうぞと心配をしておるのですが、その実情はどうなっておるのですか、正直にひとつ言って下さい。何のために洗うのか、そうしてその量はどれくらいなのかということについてお聞かせを願いたい。
  123. 太田和男

    参考人太田和男君) この道路を洗浄しております水の使用量につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、後刻差し上げることにいたしたいと思いますが、ただこれは、一つは道路にいろいろの、単にきれいにするというだけではございませんで、道路の維持そのものの面からも、やはり道路の上に非常に粘着物がつきますと、これは道路を結局こわす原因にもなりますので、清掃と道路の維持管理という両面から、やむを得ず最小限度の措置をとっておるはずでございます。また、東京都の現有しております道路の散水車も十台に達しないという記憶がございます。きわめて少ない台数でございますので、水量としては、そう多くの水量は使っておらない状態でございます。御指摘のように、一トンの水でも大切に使う場合に、そういうことはあと回しでもいいのではないかという御指摘でございますので、十分今後注意して参りたいと思っております。
  124. 田上松衞

    ○田上松衞君 ちょっと誤解があるといけませんが、私がお伺いするのに短い時間の中でやっているので、そうした誤解が起きやしないかと思って心配したのですが、お聞きしたいのは、水の量がどうであるとか、こうであるとか、量についてはあまりこだわらないのです、しかし、ああいう道路を洗う水なんかは、浄化された飲料水でなくして、別の廃水を活用していく、還元していくような方法等が、今日の科学技術の面から考えるならば、そういう研究が都によってなければならぬはずだと思う。そういうふうなこと等についても、国との間において、十分な連絡あるいは指導を受け、これは東京都の管理者であるというような顔をしないで、率直に、それらのいろいろの機関がございます、研究所、実験所等がありますから、そういうところに知恵を求めてやって、われわれ国民感情のほう、わけても神奈川県民感情の上に、悪いあれを及ぼさないように工夫をしてもらわないと困る、それをおそれておるから申し上げるのです。水をまくのはけっこうです。どこかの池の水ででもあれば、使うのはけっこうじゃないかと思う。あるいは一ぺん使った水でもいいじゃないか、道路の維持とか管理とかは、別の水を使ってもいいはずだということを、これは説明しなくてもわかっているわけですが、御自分のところにない水を、田中委員の言葉を使えば、渇しても盗泉の水を飲まずというような中において、だまってもらった水か、盗んだかどうか知らぬけれども、盗まれた、あるいは黙認している神奈川県民がどう思うかということですよ。ちゃんと浄化された飲み水を使ってそういうことをやっている。そういうところに対して、十分今後考えてもらいたい。さっきも御答弁の中にありました長期計画等の問題については、これは東京都の責任において、国も協力いたしましてしなければならぬことは三つ子だってわかることでございまして、私は、当面の問題は、日々目の前に繰り返されているこの姿を改善しないと、さっき申し上げたような国民の不安、戦慄というものが東京に集まってしまうというようなことであっては、これは国民の立場から残念なことだと思うので、特に申し上げたわけです。あと御答弁は要りません。私はこの程度にいって、十分ひとつ東京都は水の問題を中心に、あるいはこれらの低地帯に対する問題、きょうは別問題になりまするが、いろいろな水が影響いたしまするそれぞれの面について、きめこまかくひとつ気持を使われて、国民の、都民の信頼に沿うようにしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質疑はこれで終わっておきます。
  125. 田中一

    田中一君 結局東京都の水は、水資源公団にすべてを期待しておるということが実情であります。したがって、関連するたとえば二瀬、それから下久保等も含めた、それから矢木沢全体の計画について、ちょっと説明していただきたいのです。そうしてこれはもう事実、私なんか、水資源公団の本年度予算などは非常に低いということを、はっきりとこれは予算委員会の分科会で十分に追及しますけれども、現在の予算と事業の三十八年の進捗状態、それから将来、東京都に給水する水の資源としての時期などを説明してほしいと思います。
  126. 柴田達夫

    参考人(柴田達夫君) ただいま水資源開発公団の当面の事業内容等について説明をせよというお話でございますので、ごく概略を申し上げたいと思います。  水資源開発につきましては、水資源開発促進法に基づきまして、昨年来利根川水系と淀川水系が指定に相なっております。利根川の水系につきましては、昨年の八月に淀川水系とともども、まず第一の基本計画を政府におきまして御決定に相なりました。この開発基本計画によりますと、まず第一には、従来建設省当局においてすでに御実施になっておりました利根川水系におきましては、矢木沢ダム、下久保ダム、それから淀川水系においては、高山ダム、この三つの事業をすみやかに承継して公団が実施するようにということでございました。さらに淀川水系のほうに相なりますが、淀川の河口にございます長柄の可動堰のかさ上げの事業、この四つが御決定になりました。九月までに、それぞれの基本計画に基づきまして、政府のほうから実施方針を公団法に基づきましてちょうだいをいたしまして、公団といたしましては、その実施計画を立てまして、関係府県との協議をととのえまして、政府の認可を受けまして十月一日から、今申し上げました三つのダムを、公団において公団の事業として引き続き実施することといたしまして、目下やっておる次第でございます。  それからもう一つの、淀川の長柄可動堰につきましては、十二月に実施方針が公団に命令が出まして、実施計画の認可を受けまして、昨年の暮れから、直ちにこの長柄可動堰の工事に着手しておる次第でございます。  これは引き継ぎに関するようなことでございますが、矢木沢ダムにつきましては、すでに建設省の時代から、ある程度ダムの基本的な工事の基礎ができ上がっておりましたのを引き継ぎまして、いよいよ本格的な工事に、公団の手でこれを実施するということで、昨年引き継ぎました。昨年の冬を迎える時期から、ダム本体のコンクリート打設の段階に入っております。掘さく、コンクリート打設を今後本格的に実施をいたしまして、これは、基本計画に示されております四十一年度までに完成をするということを目途に鋭意努力をいたしております。  それからいま一つの下久保ダムと淀川の高山ダムにつきましては、引き継ぎを受けましたが、なお用地の問題が片づいておりませんので、目下、下久保ダムにつきましては、すでに補償対象物件等の調査は昨年終えておりまして、引き続き用地折衝の段階にございまして、今、最終的な用地の折衝を当該地元の対策委員会との間に進めております。淀川の高山ダムにつきましても、用地の折衝をただいま開始いたしつつあるわけでございまして、すみやかにこの用地の妥結を見まして、本来の工事に入りたいと、かように考えている次第でございます。  ただいま申し上げましたのは、引き継ぎないしすでに御計画がきまっておった事業についてのものでございますが、公団の新規事業といたしまして、今朝来いろいろお話が出ております利根川水系につきましての、利根導水路の問題が、かねてから、公団ができれば、早くこれを実施しなければならないという考えを持っていたわけでございますが、去る三月八日でございます、利根導水路についての政府部内におきますところの関係各省の調整が完全につきまして、閣議決定に相なりました。利根導水路を政府が基本計画として御決定になりまして、これは全体といたしましては、矢木沢、下久保のダムに貯留いたしますところの水を、つまり矢木沢につきましては、秒四トン、それから下久保につきましては、十六トンの水、合計いたしまして二十トンの水を導水路によりまして持ってくるという事業でございます。したがいまして、水の分量といたしましては、この二十トンの水を矢木沢、下久保が完成いたします——下久保は四十二年度完成という基本計画の工期になっておりますので、四十二年度までに、この二十トンの水を、利根導水路によりましてその二十トンのうちの十六・六トン、百二十万トンを日量と申しておりますが、これを東京都のほうに原水として導水をする、こういう計画に相なっているわけでございます。しかし同時に、今朝来お話がございましたように、利根導水路につきましては、東京が非常な水不足に見舞われておるような状況でございますので、ことしのうちには間に合いませんけれども、少しでも早くこの利根川の水を東京に導水をいたしまして、東京の水の状況を解決いたさなければならないという現実の、ただいまの情勢に基づきまして、その水利権としてのこの二十トンの導水は、四十二年——なるほどダムが貯留ができてからでなければ導水できないわけであるけれども、少しでも早く一部緊急に水が通ずるようにする、通水をするという措置をあわしてやるように、基本計画におきまして可及的すみやかに一部の通水ができるようにしようということがございまして、これにつきましては、公団といたしましては、四十二年度を待ちませんで、つまり具体的に申しますと、利根導水路の中流部から合口取水せきを設けましたり、あるいは下流の農業水利の安定のための連絡水路を設けますが、それらの本格的な事業は四十二年までかかりますけれども、とにかく途中から取水をいたしまして、利根川から荒川に水路を設けまして、水が荒川に参り、さらに荒川を三十キロばかり流下せしめまして、荒川から取水をいたしまして東京都の浄水場のほうに原水として導入をする、これにつきましては、三十九年中にこれができ上がるようにということを目途にいたしまして、突貫作業のような工事をいたしたいと、かように考えておるような次第でございます。利根導水路につきましては、今、基本計画が三月八日にきまりまして、それぞれの主務省におかれまして実施方針を公団にお示しになる準備を整えつつある段階でございまして、この実施方針をちょうだいいたしまして、公団が実施計画を立てて、直ちに御認可を得て、事業に着手をする。非常に政府部内におきましても、事柄の緊要性にかんがみお急ぎになっておりますから、もはや不日お示しいただけると思いまして、公団としては、すでに準備万端整えまして、計画の認可を受け次第、関係府県との協議が整い次第、直ちに実地の測量、設計、調査、これを急速にやりまして、本格的な工事に入るという準備を整えておる次第でございます。  それから、いま一つ、三月八日の閣議におきまして、利根川水系でございますが、印旛沼の開発事業が閣議決定になりました。これは、従来農林省が直轄事業として土地改良並びに干拓の事業をやっておられましたのに、最近の工業用水の状況にかんがみまして、工業用水を供給するという事業を加えまして、計画の改定をされましたわけでございます。その機会におきまして、これを公団に実施せしめることにする工業用水の事業と土地改良の事業は公団の事業として引き継ぐ、農林省が公団に引き継ぐ、干拓の事業は農林省が公団に委託をする、こういう閣議決定の内容でございまして、こうした三月八日の利根川の基本計画の改定追加がございまして、先ほど申しました利根導水路と印旛沼の開発事業が、実施方針がもう近日公団に示される。公団はそれを受けまして、計画の認可を受けて、できるだけ早く工事に着手するという段階を迎えておるわけでございます。水資源開発公団といたしましては、ただいまようやく、その引き継ぎ事業のほかに、大事なこういう緊急を要する新規事業なり、また新しい引き継ぎの事業を公団の仕事とされたわけでございまして、これに基づきまして、基本計画に示されたる趣旨に沿って鋭意最大の努力をいたしたいということで準備を整えておる次第でございます。  なお、三十八年度予算、事業等についてごく概略を御説明を申し上げます。  三十八年度の事業につきましては、大体内容的には今申し上げましたようなことで尽きておるわけでございますが、公団の事業費といたしまして約百九億−百十億くらいになりますが——の事業予算がきまりまして、これはなお、今回の予算に基づいて、その後の基本計画に基づいて、若干改定されて認可を受ける手続になると思いますが、予算できまりました数字について申し上げます。  先ほど申し上げましたダムにつきましては、矢木沢ダムが十六億、下久保ダムが三十八年度十三億、高山ダムが八億、合計三十七億六千万というダム建設費でございます。  それから、用水路関係といたしましては、先ほど申し上げました淀川の長柄可動ぜきが五億、それから利根導水路が四十五億、それから群馬用水が二億、印旛沼の開発費が十六億、そのほか業務外支出、予備費を入れまして、ただいま申し上げましたような約百九億になっておるわけでございます。  この事業費の中では、利根導水路につきまして、その後東京都のほうと、つまり政府部内におきまして関係各省の間で話がまとまりまして、公団の事業と東京都の事業区分が話が調整がつきましたので、若干この事業費について変更があると思います。しかし、これは総体の事業費が変わるわけではなくて、公団の事業と東京都の事業を足したものは変わりがないわけでございますが、その区分が変わるということでございます。  それから、群馬用水につきましては、先ほど御説明しておりませんが、まだ基本計画が決定いたしておりませんが、それは五月ごろには政府において御決定になると思います。これは矢木沢ダムから取水するところの十三・六トンの水を赤城、榛名山ろくに、農業用水に給水するということでございまして、不日基本計画が示されると思っております。  それから、資金の内容につきましては、ダムにつきましては、御承知の治水事業から建設省におきまして交付金が出ます。この交付金の合計は十八億、それから補助金といたしまして、土地改良事業の国庫補助金、これが一億八千万群馬用水と印旛沼につきまして出てくる。それから、借入金といたしましては、総計二十九億、この借入金の内容は、ダムにつきましては従来負担金がきまっております。矢木沢、下久保につきましては原則的に借入金の必要がございませんけれども、高山ダムはまだきまっておりませんので、これは借入金による。それから利根導水路につきまして、この上流部につきましては二十二億、それから下流部におきまして五億ということで、借入金をいたすことに相なっております。それからあとは、農業土地改良事業の地元負担金に当たる分の借入金がございまして、二十九億という内容になっておりますが、これまた、先ほどの事業費の変更に基づいて、今後若干の調整が行なわれると思います。それから、負担金といたしましては四十九億、これはダムの負担金、それから長柄可動ぜき、これは事業が三十八年度で終了いたしますので、これの負担金、それから利根導水路も下流についての負担金、それから印旛沼の負担金、千葉県の負担が九億六千万、こういうもので四十九億ということになっておりますが、これも先ほどの利根導水路の調整によりまして若干減額に相なる見込みでございます。  以上御説明申し上げましたような事業計画で、三十八年度からは公団としては本格的に事業を実施すべく、目下準備中の次第でございます。
  127. 田中一

    田中一君 この導水路の完成期日は、これで見ると、三十七年着工して、四十二年までに完成ということになっておりますが、早めるのは、どのくらい早めて、どのくらい出るのですか。
  128. 柴田達夫

    参考人(柴田達夫君) 三月八日に御決定になりました基本計画によりまして、利根導水路の工期は三十七年から四十二年まで、つまり一番おそくできる下久保ダムの水の貯留ができる時期をおさえているわけでございます。正式に、合口の取水せきを利根川中流部に設けまして、そうして農業水利の連絡水路を作りましてやって参るのには、四十二年までかかるわけでございます。しかし、同時に、この基本計画には、「可及的すみやかに」工事をやって、一部の通水ができるように実施するということがございますのは、まさに、先ほど来お話がございました、東京都の水事情のために緊急に通水をするという必要がございますので、基本計画には、「可及的すみやかに」ということで、期限を明示しておりませんけれども、公団といたしましては、三十九年度のとにかく渇水の時期にこれが役に立つということで、とにかく利根の水が通水ができるということを目標にいたしまして、突貫工事をいたして、この急場を、ことしは間に合いませんけれども、三十九年度には利根の水を応援させたい、こういう目標によりまして努力するつもりでおります。
  129. 田中一

    田中一君 そうすると、毎秒二十トンというのは、工業用水、上水道両方ですが、これはどのくらいの量になるのですか、実際は。
  130. 柴田達夫

    参考人(柴田達夫君) 基本計画で二十トンときめられておりますのは、貯留から申しますと、矢木沢で四トン、下久保で十六トン、合計二十トンの水を持って参りますが、そのうちの十六・六トンが東京都の上水道のための水ということに相なっております。残りの三・四トンは、埼玉の都市用水というふうに現在のところ考えております。この十六・六トンと申しますのは、秒でございます。日量にいたしますと百二十万トンで、東京都の水道計画のほうで、三十九年から以降四十数年までには百二十万トンという御計画がございます。それに当たるものでございます。
  131. 田中一

    田中一君 これは工業用水と上水道となっておりますが、合計が百二十万トンですか。
  132. 柴田達夫

    参考人(柴田達夫君) 埼玉側に上水道と工業用水があるわけでございます。埼玉側も最近の工業の発展で工業用水を必要といたしておりますし、県の南の方面に地盤沈下も起こしておるようなわけでありまして、今後相当に工業県に変わって参るということから、工業用水の需要もあるわけでございます。将来、この需要を全部まかなうわけではありませんが、とりあえず三・四トンは、そういう埼玉側の工業用水と、それからやはり埼玉の上水道用水、両方が入っているわけでございます。このアロケーションと申しますか、負担割合、そういう正確な関係はまだ決定いたしておりませんが、こういう決定がなくても、先行投資で、とにかく急ぐものは早くやっていこうということが公団の設立の趣旨であるということから、この分につきましては借入金が認められておりますので、とにかく借入金によりまして工事を先にするという考え方でおる次第でございます。
  133. 田中一

    田中一君 三十九年度に渇水期に流すのは、一日どのくらいなんですか。
  134. 柴田達夫

    参考人(柴田達夫君) これは少しでも多いほうがいいわけでございますけれども、やはり非灌漑期の水を利用しなければ——灌漑期の水を取るということでは、矢木沢、下久保で貯留ができまして、その水だけふえればいいわけでございますが、そういう状態でない、今までどおりの流量のところを利根川から取ろうということでございますので、非灌漑期を利用して水を取ってくる、つまりこの水を取ってくることによって、それを回しまして小河内の負担を軽くするというようなことになるわけでございますから、多々ますます弁ずるわけでございますが、何トンという目標をはっきりつけられませんので、これは十分調査いたしまして、利根川のそのときの状況、荒川の状況、こういうものに規制を受けると思いますが、一応東京都のほうのそれに対する御準備等は、私ども承っておりますのは、約三十万トンこれは秒にいたしますと約四トンぐらいになります。四トンぐらい取れたら渇水期に間に合わしたい、こういうことでございます。それは三十九年度の話でございます。
  135. 田中一

    田中一君 そうすると、そうなったときに、三十万トン導入するという手はずは、これは東京都の希望でございますね、東京都の希望水量だと見ていいですね。
  136. 柴田達夫

    参考人(柴田達夫君) 渇水期に一部通水する分量というものは、東京都の希望と申しますか、多いほどいいのですけれども工事をされるための目標としてそういうものをお立てになっているわけでございまして、われわれのほうもそれを受けまして、それだけ給水——原水として供給できればそれだけいたしたいし、それ以上取れればさらに取りたいというぐらいに思っているわけでございます。
  137. 田中一

    田中一君 首都圏整備委員会事務局長河野建設大臣首都圏整備委員長になってから今までの計画は変わりませんか。
  138. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 首都圏の委員会といたしましては、首都圏整備法によりまして、整備計画を既成市街地、市街地開発区域等につきまして定めておりますが、これにつきましては、既成市街地は四十一年まで、市街地開発区域につきましては、全体の重要な整備計画の内容事項がまだ定まっておりませんので、特に土地利用の一部と道路、街路というものだけに限られておりますので、それらを法律的な内容にマッチするようなものに作るようにいたしたい、その過程の目下作業を進めておる、こういうのが実情でございます。
  139. 田中一

    田中一君 そうすると、水の問題は変更はありませんか。従来どおりの計画の、四十一年度計画のものはきまっておる、そのきまっておるものは現在あるのだということですか。
  140. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 既成市街地、特に東京区部における上水道等の水の計画でございますが、これは、御存じのとおりに、四十一年までのものを整備計画としてきめておるわけでございます。その整備計画の内容は、区域なり、あるいは水源の関係なり、給水の施設の問題でございますが、その四十一年までの人口目標というものにつきましては、三十二年に定めました基本計画上の人口よりは相当に上回ったのが現実でございます。この人口目標は、昨年の十月に改定をいたしたのでございますが、その改定をいたしましたもののうちにおける四十一年までの整備計画は、本日の委員会において、各省、水公団を含めました御説明がございましたように、今の目標の整備計画は、その目標年次に向かって事業が実施できれば、当初一人当たり四百リッターという計算をしておったものの整備計画がまあ一応達成できる、ただし、今後の問題といたしましては、四十一年以降の問題が非常に重要な問題でございますので、これについて目下計画を準備をしておる、こういうのが現状でございます。
  141. 田中一

    田中一君 そうすると、今柴田水資源副総裁から説明があったように、導水路によって増加される三十九年度までの三十万トンという東京都の希望水量というものは、年次計画の中に織り込んであるのですか。
  142. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この水源関係につきましては、利根川水系を基礎にいたしまして整備計画ができておりまして、そのような緊急対策を含めましたただいまの措置、これが首都圏の整備計画の内容としての水道の整備計画である、こういうようにわれわれ関係各省にお願いをいたしまして今日まできておるというのが実情でございます。
  143. 田中一

    田中一君 だいぶ時間もたちましたから、この程度にしますが、委員長は、東京都のほうに先ほど要求した資料は急速にお出し願いたいということと、これによってもう一回この問題につきまして、その資料に基づいて東京都の各関係の人に来てもらうことを申し渡しておいていただきたい。私の質疑はこれで終わります。
  144. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいま田中委員から御要望がございましたので、東京都からお見えになった参考人の方、要求資料につきましてなるべくすみやかに提出していただきたいと思います。それからまた、別の機会にまたおいでを願うかもしれませんので、その点御了承願いたいと思います。別に御発言もなければ……。
  145. 太田和男

    参考人太田和男君) 資料につきましてちょっと田中先生にお聞きしておきたいことがあるのですが、田中委員御要求の資料のうち、三番目の資料についてちょっとお伺いして、間違いのないようにいたしたいと思います。三多摩の水道に関連しての資料は、三多摩から上がっておる都税と、これに対して三多摩に出しておる水道関係の都の支出でございますか、その数字でございますか。
  146. 田中一

    田中一君 三多摩の上水道に対しては、都は何らの補助もしていないということですね。これはしてありませんね、先ほど伺ったように。それから区部には、三十七年度、三十八年度ともに支出をし、また予算も計上しておる、補助金も。そこで、この事実を確認されれば、今度は都税というものは、区部住民と三多摩の住民とはどういう違いというか、相違があるのか、なければないでいい、それを伺いたいと思う。わかりますね。
  147. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 三多摩の人も税金を納めておるわけですね。そういうことだと思うのです。それで、一般会計から都の二十三区には支出して、三多摩にしないのは、相当問題があるのじゃないかという御意見の趣旨だと思います。御了承願います。  参考人の方に申し上げますが、お忙しいところ長時間にわたってありがとうございました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時三分散会    ————・————