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1963-03-07 第43回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月七日(木曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————   委員異動  三月七日   辞任      補欠選任    高橋進太郎君  徳永 正利君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木村禧八郎君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            徳永 正利君            武内 五郎君    委員            岩沢 忠恭君            熊谷太三郎君            黒川 武雄君            小山邦太郎君            田中 清一君            増原 恵吉君            三木與吉郎君            村上 春藏君            瀬谷 英行君            田中  一君            中尾 辰義君            田上 松衞君   政府委員    建設政務次官  松澤 雄藏君    建設省都市局長 谷藤 正三君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○屋外広告物法の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  本日、高橋進太郎君が辞任せられ、徳永正利君が選任せられました。   —————————————
  3. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、理事補欠互選についてお諮りいたします。  先月十九日の委員異動に伴いまして、理事に欠員が生じましたので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選方法は、手続を省略して、便宜委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 御異議ないと認めます。それでは、徳永正利君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、屋外広告物法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を願います。松澤政務次官
  6. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) ただいま議題となりました屋外広告物法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  国土の美観風致を維持するための屋外広告物の取り締まりは、都道府県事務として条例の定めるところにより着々その成果を上げつつあるところでありますが、最近の市街地を主とするいわゆるビラポスター等条例違反したもののはんらん美観風致をそこなうこと著しいものがあります。これらの違反張り紙について、違反現状等を勘案し、行政代執行法手続によらないでこれをすみやかに除却できるように改め、市街地等美観風致の維持を確保できることとするよう、この法律案を提出することといたしました。  次に、この法律案要旨を申し上げます。  屋外広告物法に基づく条例違反して張られた張り紙除却は、都道府県知事みずから、またはその命じた者もしくは委任した者が直ちに行なうことができることといたしました。ただし、この処分一般行政処分と異なり、処分に対する不服の審査等手続をとることが不可能であることにかんがみ、違反の事実が明らかなものに限って適用することとし、国民権利保護に遺憾のないよう規定いたしました。  なお、この法律案施行期日につきましては、条例改正等必要な準備のため、公布の日から九十日を経過した日から施行するものといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、本案補足説明をお願いします。谷藤都市局長
  8. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 屋外広告物法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。  第四条第二項  第四条第二項は、都道府県橋梁街路樹、銅像その他一定物件について、屋外広告物を表示すること等を禁止し、または制限することができる旨の規定でありますが、この禁止または制限は、その性質上、条例で定めるところにより行なうべきものと解せられます。しかしながら、現行の本項では、条例で定めるところにより行なう旨が明文で規定されておりませんので、このことを規定したのであります。  第七条第三項の追加  屋外広告物法に基づく条例違反して表示された屋外広告物については、現行の第七条第一項により都道府県知事が、違反者に対し、その除却その他必要な措置を命ずることができるものと定められております。違反者がこの命令により課せられた義務を履行しない場合には、行政代執行法の定めるところにより、一定手続を経て、都道府県知事みずから除却その他の処分、すなわち代執行を行なうことになっております。  しかしながら、張り紙のような軽易な広告物についてもこのような手続をとることは、その保護される法益に比してその手続が過重に過ぎ、違反張り紙一件々々について行政代執法に定める手続を行なうことは、とうてい現在の都道府県行政能力でできることではなく、そのため町に違反張り紙はんらんし、美観風致を著しくそこなう結果となっております。さらにまた、ある違反者を相手として行政代執行法に定める手続を開始した後、その違反張り紙の上に他の違反張り紙が張られて、前の違反状態はわからなくなり、新たな違反が生じ、このような繰り返しによって結局代執行の目的が達せられなくなるという特殊な事情があります。  このような事情にかんがみ、張り紙については、明らかに条例違反したものを、都道府県知事またはその命じ、もしくは委任した者が直ちに除却できることとするよう改めるものであります。  なお、ただし書きは、この除却が予告的な手続なく即時に行なわれるため、行政不服審査法の対象とならないと考えられますので、誤って適法な張り紙除却して国民権利を不当に侵害することのないよう、違反の事実の明白なものに限って適用すべきことを定めたのであります。  附則  この改正により新たに定められた張り紙除去方法を実施するにあたっては、都道府県条例改正して違反の事実が一見して明白となるような措置をとる等の準備が必要と考えられ、かつ、新しい除却方法国民に広く周知させるためある程度の期間を置くことが適当と考えられますので、施行公布の日から九十日を経過した日とするよう定めたものであります。
  9. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) これより本案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 田中一

    田中一君 違反でない、正規なものであるということを確認するまでの手続ですね、これはどういう方法を今とっておるのですか。
  11. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 現在のところ、各都道府県県条例を設けておりまして、現地条例のないところは三県ございますが、それ以外の県は条例を持っておりますので、正当な手続許可を得るように定められております。
  12. 田中一

    田中一君 許可基準というものがあると思うのですが、それはどういう形のものか、もしサンプルがあったらひとつ見せて下さい。それと、それからこれによって条例を必ず作るのだという条例の例示もひとつあわせて出していただきたい。今言うとおり、選挙等ビラは、単なる商業的なビラと異なって政治的な問題がたくさん介在するものですから、各都道府県市町村等がまちまちな解釈で正、不正というものを認定したんでは混乱がある。まあ、この法律改正によっては九十日でありますから、選挙が済んだ後になるから問題はなかろうと思うけれども、しかし、この法の精神というものは、明らかに現在でも条例によって施行されておるのだから、正、不正の問題が。どういう形のものが現在行なわれておるか、正しいもの正しくないものというものを例示していただきたい。実はビラ許可証とかなんとかいろいろあるでしょうから、そういう資料を出してもらえば一番いいんです。あなたから口で聞いたって、ほんとうに各都道府県市町村なりがそのとおりやっているかわからぬ、通牒等でその精神はうたってあろうけれども、実際に行なわれているものがまちまちでは困るから、かなえられる範囲の資料をおそらくあなたのほうでは持っていると思うから、それをここで出してもらいたい。もし数がなければ回覧でもいいから……。
  13. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 最初条例の例でございますが、ただいま東京都の分しか持っておりませんので、ほかの県の内容につきましては、あらためてあと文書で提出させていただきたいと思います。東京都の例で申し上げますと、条例許可を必要とする区域を定めまして、その中では禁止区域、あるいはまた、その他の物件適用物件について広告を張っていいか張って悪いかというふうなことをきめております。そのほか適用除外といたしまして、一般音楽会とか、あるいはまた同窓会というような、そういうふうな特殊なある期間に限られましたものについて、公益上特にやむを得ないというふうに考えられるものに対しては、こういう物件について適用除外にするというふうなことをきめております。  それから審議会がございまして、広告審議会で、実際の風致美観上どういう影響があるかというふうな、立看板その他の広告の大きさの問題あるいは高さの問題、配置というふうなものを全部広告審議会審査の上で決定する、こういうふうになっております。  それから、ただいまの選挙ビラの問題でございますが、これにつきましては、公職選挙法で定められたところによってやっておりますので、この屋外広告物法適用にはなりません。その点でははっきりと分離しております。
  14. 田中一

    田中一君 今の答弁では不十分ですから、おもなる市町村それから都道府県のものを例示してもらいたい。今政府としての意図は明らかになりましたし、東京都はそれを守ってやっているというのなら、ほかの道府県、市町村……。
  15. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 個々の内容につきましては、ただいま県の条例文書を全部持ってきておりませんので、あと文書で提出さしていただきたいと思います。
  16. 田中一

    田中一君 人口五千人以上の町村ということを最低制限としてきめてありますけれども、なぜ五千人以上のものに対しては及ばないということにしたのですか。これは、この法律改正の問題よりも、本法の問題ですが、五千人以下の町村というのは野放しでいいんだということになるのです。法というものは、そういうものじゃないと思うのです。五千人以下の人口のところにも、美観地区指定はしないけれども、美観をそこなうものもある、その地区神社仏閣もあるかもわからぬ。神社仏閣があるということは、観光地であるということですね。その場合には、どうべたべた張ってもいいんだということになるのは、ちょっとおかしいと思うのです。
  17. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 五千人以上という、本法の第三条にございますのは、一般的な市街地を構成しておる区域ということで、五千人というふうに定めておりますが、第四条におきまして、「都道府県は、条例で定めるところにより、美覧風致を維持するために必要があると認めるときは、左の各号に掲げる地域又は場所について、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。」とございまして、都市計画法で定められた風致地区、それから建築基準法における美観地区文化財保護法における指定された、あるいはまた、かりに指定された地域森林法における保安林道路鉄道、軌道、索道またはこれに接続する地域で、美観風致を維持するために必要と認めて、都道府県指定したもの、公園、緑地、古墳または墓地、その他の特に指定する地域について、この五千人以上というものに、制限なしに、この広告物法適用されることになっておりますので、その点については支障はないと思います。
  18. 田中一

    田中一君 それほどまでに、行政権の発動で整理できるのなら、五千人以上という指定をやめたらいいじゃないですか。五千人以上とあらためていっているのは、五千人以下は野放しだということですね、通常は。それ以外に、これこれの場合はいかぬということになっているので、これをやめたらいいじゃないですか。
  19. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) この広告物法が二十四年にできましたときの最初問題点は、市街地におけるビラはんらんという実情があまりにはなはだしいために、これを押えたいという意図から最初生まれたために、市街地というものを主として見たということから、この三条が生まれて参りましたのですが、実際には、現在のいろいろな国立公園その他の美観風致地域に対する問題もありますので、第四条で、ほかの点はすると、こういうふうないきさつになっております。
  20. 田中一

    田中一君 だから、たとえば農村でも、市街地としての形態をなしておる部落があるわけです。五千人というのは相当大きなものです。あるいは四千九百九十九人という人口部落は相当大きなものなんです。いいですか、それはいいんだということじゃ困ると、やはり市街地だからいけないとか、農村だからいいとかいうものじゃないです。それによって国民が受ける被害というものは同じなんですよ。この規定を取ってしまったらいいじゃないですか。
  21. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) その点につきましては、検討さしていただきたいと思います。
  22. 田中一

    田中一君 検討すると言うけれども、一緒にここにお出しなさい。それじゃ、修正してもいいのですか。  実際には、常に国民生活環境というものは、侵されたり侵したりというような形の、後手々々に回る行政が多いわけなんですよ。今四千九百九十九名の人口町村というものは除外されるという根拠が明らかじゃないのですよ。私の伺っているのは、なぜいわゆる四千九百九十九名以下の人口を持つ市街地というものは除外されるかということなんです。指定すれば何でもできるのだということならば、初めから除外したっていいわけです。そういうものは除外しておいたほうがいいのです。そういう規定をなくしたほうがいいのです。その根拠説明できれば納得しますが、なぜ四千九百九十九名以下の市街地には適用しないのかということがどうも明確じゃないじゃありませんか。
  23. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 前の広告物法は、本文に明記されておりますように、行政代執行便宜都道府県から美化を行なうということになりまして、行政上の手続が非常に複雑であります。その関係もありまして、大体五千人以下の市町村というと、市街地といいましても、そう大きな市街地構成と申しますまでになっていないのじゃないかというふうに考えているわけでございますが、五千人が明確に理論的に説明できるかということになりますと、その点は、一般的な、今現在ございます五百八十六という都市の中で、五千人以下の都市につきまして、相当大きな市街地で、美観風致上の問題は、そこまで掘り下げて徹底的にやるということも、あの当時はないじゃないかということもございまして、五千人というところでしぼってございますが、今後そういう問題が、またビラはんらんということが、そういうところまでひどくなるということがありますれば、また検討して、その点は修正いたさなければならないのじゃないかと思います。
  24. 田中一

    田中一君 後手に回らないで、法律というものは、原則をきめておいて、あと行政権の中で、国民生活を豊かにするための政治を行なうのが建前なんですよ。あるものに対しては、こまかくまるで重箱のすみを突っつくような法律を作って、鬼面人をおどろかし、あるものに対しては、野放しにしておくということだから、いろいろな意味の脱法行為、いろいろ合法合法のすれすれの問題が起こるから困るわけなんです。勝手に自分のへいなんかに張り紙されちゃ困るという感情は、みな同じなんです。私は、昨年の七月の参議院の選挙の際にも、はっきり違犯とわかっている交番の前の橋梁ですら、愛国党とかなんとかいうものは、明らかに日の丸の旗をべたべた張っているんです。それすら、今度の法の改正によって、そういうことが防げるということを言っているけれども、防げていないのですよ。張ったものは、今の接着剤というものは非常に強力なものがございます、強いもので石べいなんかにべたべた張ったものをはがすには、代執行という形ではがすために、これは相当な費用と労力がかかるのです。私が言っているのは、法というものは、守るように作るのが法なんです。守れないような法を作って、あとでもってそれをどうしろこうしろということは、後手々々の政治なんです。それは間違いじゃないかと言うのです。ここまではいいのだ、ここからいけないのだという制限よりは、そういうことがいけないのだ、しかしながら、かくかくの場合にはいいのだということを言ったほうがいいと思うのですよ。今度の法律改正する趣旨の精神というものはそこにあると思うのですよ。国民が、まぎらわしいような、一々ビラ一つ張るにも行政管理庁に相談に行ってものをきめるよりも簡単ですよ。たとえば補習教育をいたします、と、ビラがどこにでも受験前になりますと張られるものなんですよ。また、新しい店を開店するために、いつ幾日開店でございますというものを、資金その他でもって精一ぱい、悪いのじゃないかと思いながらも、電柱等にも張るわけなんですよ。だから、そういうことがまずいけないのだと、一々許可を受けるのだというような前提から、判断しやすいような形に持っていくのが一番いいと思うのです。後手に回っちゃ何もならぬということなんですよ。法は知らしむべしです。法というものは、国民生活の中に溶け込ますような行政上の努力をして、そうして、しかしながらこういう場合には認めるぞということのほうがよい行政だと思うのです。今言う除外例を作っておいてものを言ったのではだめだというのですよ。ことに、まあここでこんなことを言っちゃおかしいけれども、権力を持っている、その中におるところの人たち平気でやっている。暴力を持っている、力を持っている者に対しては、それを平気でやっていても阻止もできない。弱い者だけが同じビラ張り行為一つにすら圧迫されているのですよ。どれもみなだめなのだということから出発したほうがいいと思うのです。今日の社会環境というものはだいぶ変わっております。人口もふえております。農村におきましても、テレビ等の発達によって文化程度というもの、生活水準というものが上がっております。東龍太郎氏の立看板でもビラでもそれは非常に合法、違法すれすれのところで上手に立っている。ほかのものは、ほかの違った形の、野党というか、が、立看板をやった場合には猛烈なる干渉を受ける。こういうことは枚挙にいとまないのです。われわれは身をもって体験しているのです。これはもう選挙じゃない、事前の問題ですからね、はんらんするのは事前運動の場合に起こるのです。だから、そういうものはいけないのだという前提から、かくかくの場合によろしいということになったほうがいいと思う。だから、すべて屋外広告物法にしてもだ、根本的に考え方というものを変えてかかっていいと思うのです。今度の法律改正というものは、代執行権というものを、裁判所の認定を受けないでも自由にやれるようにするのだということになってくる。そして、違法と合法国民はわからないですよ。東龍太郎氏のやっているものだったらこれは合法的であろうと、阪本勝の場合にはこれは非合法的であろうと思うのです。これは権力に対して恐怖感を持っているという、これは伝統的な封建制がまだ国民の中にあるわけなんですよ。そういう点が明確になっておらないですよ。選挙の問題は選挙法規定しておりますと言うけれども、事前運動は一番激しい選挙じゃございませんか。谷藤君はまだ選挙に出たことないだろうけれども、われわれはみんな選挙に出ている。その間隙を縫って、いかにして田中一というものを知らしめようかと努力しているのです。だから、その点はいけないのだという前提から、かくかくはいいのだということを言ったほうがいいと思うのだ。今言ったとおり、四千九百九十九名の人口を持つ市街地はよろしいんだということになってくるのです。どっちみち条例でそれを規制していこうというならば、初めからいけないんだということをきめておけばいいんですよ。それは決して非民主的なものではございません。何といっても国民生活する市街地なんです、その環境なんです。決して特別な金持ちや総理大臣が住むばかりの町じゃございません。民主主義のはき違えですよ。だからもう一ぺん、あなた方の答弁を引き出す前に申し上げますと、今まであった事例——もうほんとうにたまらない事例があるんです。交番の目の前にどういう感興をもって張ったか知らぬけれども、愛国党日の丸の、赤い紙に日の丸、赤い日の丸だったか、それがまるで欄干から橋げたから一切べたべたに強力な接着剤で張りつけてある。これをはがすという費用はどれくらいかかるか、また、そういう場合の費用というものはどこから出てくるのか。大体において都知事選挙なんという場合には、現職知事反対党ビラのほうが一番窮屈な思いをするわけです。まあ現職知事や市長の場合にはお目こぼしにあずかるのがあたりまえ、人情なんです。そういう場合の費用等はどうなるのか、それはちゃんと予算が組んであるのか。東京都は——あなたが東京都の例を言うから、東京都は昨年の七月選挙を中心にして、以前のそうしたビラを撤去するために代執行裁判所からその権利をもらって、それを清掃したという例、それから選挙後の跡始末を同じように裁判所から代執行の認可か許可か、何か決定を受けて行なったかという例、それをひとつ明らかにして下さい。これは局長が話してもだめ、ちゃんと東京都からさっそくそれらの書類を持ち出してきて、ここでわれわれに見せて下さい。法を作っても、それが行なわれなければ何にもならないんです。従来そういうことをしたかどうかということを事例をもって示していただきたい。
  25. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 法の精神につきましては、先生のおっしゃるようなことがまことにごもっともなことと存じますが、実は屋外広告物法適用をいたしましたのは昭和二十四年でございますが、その後非常に低調な状態でございまして、いろいろ行政指導をいたしましたが、なかなか県のほうでは条例も作っていただけませんで、昭和三十四年ごろになりましてやっと条例がぼつぼつできるというふうな状態になりました。その後三十五年、三十六年、三十七年というのは、最近の観光その他の関係がありまして、鉄道沿線道路沿線等屋外立看板、あれを主体にして行政指導をいたして参りましたので、大体最近は、去年あたりからだいぶきれいになって参ったはずでございますが、そういうような状態もございまして、順々に広告物法精神を地方に徹底させるようにいたしておりまして、現在まだ条例のできておりませんのは香川、山口それから佐賀と三県だけがまだ条例ができていないような状態でございます。で、この点につきましては、先ほどの五千人という問題につきましても、県の今までの法の取り扱い方からいきますというと、非常な手数がかかりますのと、行政代執行という方法でやりますというと、大体一枚はぎますにも三回、最初から代執行方法といたしまして、いろいろな期限付除却命令を出しまして、そうしてそれでとらなければ戒告を出す、それでまだわからなければ、初めて代執行というものが行なわれるというふうになりまして、最小限度一カ月の日数がかかりますのと、その郵便代だけでも、三回だけでも三十円かかるのと、そのほかの手数を入れますと、八十円ないし百円というものが一枚についてかかるということになりまして、これを全県下の市町村にまで及ぼすということになりますと、手数その他の費用の問題でとうてい不可能に近いという現実の問題を考えまして、一応五千人ということで押えておったわけであります。それを今度の新しく改正いたす法が適用されることになりますれば、大体一枚はぎますのに、大体十円くらいでできる予定でございます。それでその他の問題の、橋梁その他のいろいろ交番の前にもどんどん張られているああいう違反ビラに対しましては、今度の条例におきまして、禁止区域とか許可区域というものをもっと厳重な方法制限いたしたいというふうに考えております。それでそれによりまして、ああいうふうな違反のものがだんだん少なくなってくるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。  なお、現在までに代執行で行なっておりました例は、全国で三十三年に一件、昭和三十四年に四件、三十五年に四件、三十六年に十一件、三十七年に五件でございまして、わずかにこの程度のものが代執行という方法除却されている程度でございますが、実際の違反ビラの枚数は、全国で大体概数三百万枚というふうに私たちのほうには集計が来ております。東京都だけにつきましても、約百五十万枚というような膨大な数字になっております関係上、そういうもののもっと簡易な方法で、美観風致の維持に努めたい、こういうふうな考え方で今度の法案を出した次第でございます。
  26. 田中一

    田中一君 私は、いたずらに罪人を作り、また罰則を適用するということが主眼じゃないわけなんですけれども、しかし、そのような膨大な違反が黙認されているということは、今度の法改正によってこれが違反がなくなるというような方向に向かわないと思うのです。私はそう思うのです。  もう一つ聞いておきますが、昨年度一ぱいで屋外広告物法違反事件として起訴され、科料なり罰金なり取られたという件数はどのくらいありますか。
  27. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 現在手持ちの資料がございませんので、一度調査させていただきます。
  28. 田中一

    田中一君 感じ方としては、今度のこの法律改正というものの考え方はわかります。私はしませんけれども、私の一生懸命運動するものが違反すれすれまでの行為をしていることを聞いておるからわかるわけです。しかし、実態としてどのくらいの違反者があり、また推定の何十万とか何百万とか言ったり、あるいはそれが一人も摘発されないでいるなんていうことの数字が——いるかいないかの数字をあなたが持たないで法律改正をするなんていうことは冒険ですよ。ほんとうにそういう事実が確認され、清掃のために一枚十円とかなんとか言うけれども、一枚十円なんていう金はたいへんなものですよ。ことに、最近のように接着剤が非常に優秀なものができるとはがれませんよ。ナイフを持っていって石をごしごしと削り取らなければはがれるものじゃありませんよ。そうした事実というものは統計的にも集約されて、それでこうするのだというならばわかるけれども、その資料すら持ち寄せていないというようなことは、政治的な改正ということに言わなければならないと思うのです。もう少し行政をつかさどるものは、国民生活にどういう影響があるかという点を実体論として究明し分析し検討し、そうして一つの改正案を出すべきものであって、感じや、それから美観地区のなんのということの前に、国民生活の問題なんですよ。おそらくオリンピックが今度催される。日本の都市にそうしたものがはんらんしたんじゃ国際的にみっともない。それでこの際これでもってやろうじゃないかというような非常に安易な考え方に立っておるんじゃないかと思うのです。どこまでも法は知らしむべしなんです。あいまいな法律改正したからといって、行政権というものは、不十分な政治をやっておるんではだめです。もう少し真剣に一つの問題に取り組んで、外国人の問題じゃございませんよ。日本人のわれわれ国民の公徳心というか、それこそ人づくりの方法というか、社会人としての訓練が持たれるような政治と並行してこういうものは完成するんであって、一つの条文を変えたからといってあなたの考えておるようなものは得られるものではないのです。権力と暴力によって負けておるじゃないですか。こうしたビラ張りという行為が生活の中に飛び込んできておるんですよ。条例内容はどういう形のものが許可する条件かということをひとつ各市町村等にもこれから指示するんでしょうから、案文を示していただきたいと思うのです。まちまちじゃ困ります。今のところ香川、山口、佐賀はやってないという。ほかの四十三都道府県、これらはどんな条例をもって行なっておるか。その条例は解釈、実施等も一つも法律によるところの精神を誤解していないか、行き過ぎがないか、という点を検討した資料があるはずであります。それも出していただきたい。それから今後、その内容がいいか悪いか、そういう点も検討して、これからこの法律改正によって指導しようという市町村までのそれぞれのものを全部、ひとつ政府の考え方で条例の例を例示をしていただきたいと思う。
  29. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 違反代執行を実施した例をあげろという先ほどの御質問に対しましては、実際の現在の都道府県につきましては、先ほど申し上げましたように、三十七年度にたった五件といったような状態でございまして、現実に行政指導で強力に指導いたしておりますけれども、県の現在の職員の状態その他の関係上、経費の問題もございまして、ほとんどやってくれないということは現実にございますので、この際の改正によって、少しでもやりやすいような形にいたしたいというふうに考えたわけでございまして、その内容許可条件につきましては、条例で、先ほど東京都の例の内容だけ簡単に申し上げましたが、その許可条件の内容許可料につきましては、一枚につきたった一円でございますので、その程度のものでしたら普通の中小企業、あるいはまた個人の経営によりますいろいろな店の宣伝その他のことになりましても、ほとんど経費的には大した金でなしにできるということもございますので、できるだけ許可条件によって、許可をもらって張っていただくと、で、許可条件に違反したものに対しましては、どんどん非常に少ない経費で現在の都道府県の職員をしてはがすことができるようにさせたい、こういうことの精神でございまして、決して違法のものを、あるいはまた、ある条件のものについては黙認するというようなことは、私たちは考えておりませんし、各県の条例をきめます場合にも、あらかじめ建設省と打ち合わせをいたしまして、ほとんど同じような形で同じような内容で、また、精神におきましても同様な精神で指導いたしておりますので、その各県ごとに適当な判断をし、適当な方法でやっているというふうには私たちは考えておらないわけでございます。
  30. 田中一

    田中一君 考えていなければ、それを次の委員会でもいいですから例示して下さい、持ってきて下さい、いいですか。
  31. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) その点につきましては、あと資料をととのえまして、お届けいたします。
  32. 田中一

    田中一君 結局この罰則というものは行為に課せられる罰則なわけなんです。田中一が百万枚のビラを印刷物として持っている、だれかが張りにいってつかまった場合に罰則を適用されるわけであって、私がビラを作ることは、違法も合法もございません。そして私の商売繁盛のために張ったビラといっても、私は罰則の適用を受けるわけのものじゃないのですよ。張り屋さんに合法的な張り方をして張ってくれといって頼む、ところが、張り屋さんが非合法なことをやる、私はちっとも罰則の適用を受けないのですね。張った行為を違反の行為というのは、禁止区域に張った行為を罰するのでしょう。その場合に、何か印刷をしたり、あるいは合法的に張ってこいと命令した者に対して罰則を加えるという条文ないでしょう、ありますか。どういう解釈をしているのです。
  33. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) お答えいたします。その内容につきまして、明らかにある特定の商店なり、ある特定の個人が、そのビラ精神が、宣伝あるいはまたその他のことで正当なる許可を得ないでやった場合には、その目的物を作らした者が責任者となります。
  34. 田中一

    田中一君 合法的に張ってこいと言ったものでもこれは罪になるのですか、そんなばかな話はないですよ。
  35. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 責任者が合法的に張ってこいといって出したものが、使用許可許可料を払わずに、ある命じられた者がやったにしましても、責任者はあくまでもそのビラを作らした者でございますので、責任者のほうへ回ってくる。
  36. 田中一

    田中一君 ビラを印刷するのに、それの制限を受けるということはありようがないと思う。もしも局長が言っているような判断ができるなら、裁判所の判例を持ってきて下さい。これは次回に裁判所の判例を持ってきて下さい。ビラを作った者、印刷した者あるいは合法的に張ってこい——合法的に張ってこいと言ったんじゃございませんよ、合法的に許される範囲で張ってこいと言った者は、それも違反に問われるというなら、おそらく裁判できまったんでしょうから、その判例をひとつ資料としてお出しをいただきたい、いいですか。
  37. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 調べてお届けいたします。
  38. 田中一

    田中一君 私はこの法律改正に何も反対するものじゃないんです。一歩でも都市美あるいは生活環境をよくするということに対しては賛成です。しかし、これを立案し、これを改正しようという政府の考え方が足りないと言うんです、不十分だと言うのです。だれのためにわれわれの生活環境を守るかということになりますと、これはわれわれ民族のためなんです。行政権者のためじゃないんです。最近のいろいろな意味の立法あるいは法律改正等が、権力主義に陥ろうとする傾向が顕著に見える。いわゆる国民を罪人として、罪を犯す者としてこれを罰しようというような傾向が見える。これは、今の政府に使われている国家公務員なり地方公務員なりの諸君が、そうすれば現在の政府には歓迎されるんだというような間違いを犯していないかと思うんです。むろん、これはすべての法律というものは、ときの政府の責任において提案されるものであります。しかし、事務的には十分検討し尽くしておりません。今言っておるようなあらゆる現象から、われわれの生活環境が著しくゆがめられ、あるいは圧迫されるというところに、そうしたデータの積み重ねによって法の改正はすべきであって、思いつきや、だれかの意見、評論家の意見等で左右さるべきものじゃないんです。先ほども委員長に、もうきょうは質疑は終了しようじゃないかということを僕は提案したんですが、それはもう撤回します。的確に、なぜしなければならぬかという今の要求した資料を全部そろえていただきたい。その上でもう一度私は質疑をいたしますから、きょうはこの辺にしておきます。
  39. 田上松衞

    ○田上松衞君 大体、田中委員が私どもの考えているようなことを相当言っておられるわけですが、あえて蛇足みたいな感もしますけれども、これは重大な問題だと考えるために若干質問をしておきたいんです。  その質疑に入る前に、私の考えていることの方向を初め説明しておかないと誤解を受ける点がありますから——田中委員も指摘されたように、われわれはこの法の改正を必要とすると考えているわけです。しかし、提案されたこの改正案はこれは不十分だ、不十分だというよりか私は主客転倒だとまで実は思っているわけです。十何年前に作られたところの法律であろうと何であろうと、一体この法の目的は何かということなんですよ、問題は。このことから非常にそれてしまっているということなんです、言うまでもなく、第一条ではっきりしているわけですね。「この法律は、美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するために、」こうするんだとしているんです。われわれが望む点は、この第二段の問題なんです。田中委員は、これを国民のいわゆる生活環境を守るためだという言葉で言われた。私はもっと、生活環境を守るというばく然たる言葉でなくして、お互いの危害を防止してもらうという点にこの重点がなければならないんだと思うのです。ところが、今度出されているのを見ますと、どこの文句を拾ってみても一向そういう点がないわけなんです、理由としてあっても。市街地等美観風致を維持するため、こうこうこういうことをやって、そうして条例違反して張られた張り紙行政庁がみずから除却することができるようにする、この必要があるのだというところに重点を置いてあるわけですね。言いかえるならば、どうも、やれ全国に三百万枚違反のポスターがあるとか、あるいは東京だけで百五十万枚あるとかいうようなことで、この費用に耐えられないというようなところに重点が置かれているような感じがしてしようがないのです。もしそうだとすれば、たいへんな間違いだと思うのです。ナンセンスだと私は思うのです。田中委員もさっきいろいろ指摘された、私の言った立法の目的の後段の問題、この点から考えてみると、たとえば愛国党が、いろいろな危険なものを出しておるのです。それはまだ国民の頭には新ただと思うのですが、浅沼を倒せと張ったじゃないか。岸を倒せ、池田内閣を倒せ、堂々とこれが張ってあるのですね。こういうようなことが、法治国家の中において一体許さるべきことだろうか。こういうことも、いろいろな面から考えて、法治国家の国民の、いわゆるわが国民衆の危害を防止するという行き方の一つとして、こんなことが考えられて作られたはずだと私は理解するわけなんです。だけれども、これについては、今度の案では全然触れてないのですよ。これは言うならば、繰り返すようですが、費用がかかってしようがないから、こんなものはすぐはぐようにしたいというような……。さらにあとになって、拾ってみますると、今度は、制限する内容についても、実にこっけい千万なことが内容になってしまっておるわけですね。広告物及びこれを掲出する物件の形であるとか、面積であるとか、色彩であるとか、意匠その他表示の方法について禁止し、あるいは制限するなんというようなところにおいて、そういうところで制限するならば、法の目的が何か達成されるかのようなふうに——これは第五条にありますね。こういうふうなことをうたってある。まさにナンセンスだ、これは。こういうところで言ってみると、冒頭申し上げましたように、これでは不十分であるというよりか、国民がこいねがうところの大きな要点についてそれてしまっているのじゃないだろうかということなんです。  そこで、一つずつ若干、私の考えが違うか、そういう工合にこれを見る目が違うかどうかということを確かめるために、私はお聞きしたいのですが、一体、国会で改正前の法自体の目的というものを正しくどう認識しておられるか、ここからお聞きしたい。
  40. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 屋外広告物法におきますところの目的でございますが、屋外広告物というのは、屋外で大衆に向かって表示されたもの、定義上そういうことになりまして、ここでいう公衆に対する危害の防止というのは、立て看板が倒れてきたとか、その他ああいう広告物として認められているところのものが落ちてきたり、倒れてきたり、そういうことによって公衆に危害を与えるというような物理的な危害でございまして、決してその広告物というものが、移動あるいはその他の行為によって危害を大衆に与えるという意味の危害ではございませんで、この広告物法の危害というものは、それ自身が倒れたり、落ちたり、そういうことによる危害でございますので、こういうふうに私どもでは解釈いたしております。
  41. 田上松衞

    ○田上松衞君 おそらくそういう答弁をするだろうと思っておったのです。それが私どもは不服なんです。法は一体何のためにあるのですか。使うものか、使われるものかということ。あなたのその考えでいけば、明らかに法に使われちゃっておるわけなんです。屋外広告物法というもののこの場合における目的は、そうしたぶっ倒れるだろう、こわれるだろう、散らばるだろう、吹き飛ばすだろう、そういうときについての公衆の危害を防止しなければならぬというその範囲だとあなたは解釈されている、これは明らかですね。間違いなかったら、これこそ明らかに法律に使われているだけのことだ。そうじゃなしに、私は、今までまじめに考えていくならば、こういうところを、改正する要点をもっと本物に向かって改正する必要がないかどうかというところに頭を使ってもらいたい。法は使うものだ、使えるようにすべきものであるというところに主眼を置かれたらどうか、こう思うのですが、その考えについてはどうですか。
  42. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 先生のおっしゃっている精神的な、あるいはまた、その他の教育上の危害というものまで、この危害の防止というものに入るとするならば、そのような問題につきましては、たとえば、いかがわしい看板が出ているから、それがどういうふうな精神的影響を与え、教育上の危害を与えるというところまで、広告物法に入るかということになると、私どもは、そういうほうにまで解釈しておりませんので、それにつきましては、軽犯罪法あるいは刑法上の問題になります。たとえば、先ほど田中先生のお話しになりましたように、選挙法上のいろいろな問題になりますれば、公職選挙法という別の法律によって制限されておりますので、この広告物法というものにつきましては、屋外広告物として認められたものについての物理的な問題だけを扱うというように解釈しております。
  43. 田上松衞

    ○田上松衞君 どうもあなたの言っていることは、私が質問することをほんとうに耳につけて下さったかどうか疑わしくなってくるのですが、私が申し上げておることは、ただ、今の範囲の法をいじるということであれば、一応は理解できないことはないのです、この法に対して条文だけの問題ならば……。そうじゃなくして、この法が作られたというのは、十数年以前のことなんです。ところが、浅沼が殺されたとか、岸さんが刺されたとか、あるいは、いろいろその他たくさんの事件があったわけですが、それは、そういう古い話じゃなくして、その後に起こったことであって、しかも、そうした結果を生んでしまったということは、多く、この場合にいう、張り紙等をもってなすところの……、こういうところから影響を受けておるというところに気がつかなければならぬはずだ。したがって、こういうものを改正しようという場合に、そういうところへ突っ込んでみてやるという気慨が出てこないか、私はこう言っておるのです。あなたが説明されるまでもなく、いろいろな軽犯罪行為等に対する別個の手があるかどうか、こんなことは子供だってわかっている理屈でありまして、そうじゃなくて、私は、この屋外広告物というものが、どのように社会的に利するか、あるいは害を及ぼすかという点を真剣に考えて、その上から、そういう気持の上から改正に踏み出すということが必要な段階ではないかと私は思っております。
  44. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 屋外広告物全般につきまして、立て看板その他のいろんな種類がございますので、その全体につきまして検討いたしまして、それをなるべく簡易な方法違反のものは取りはずしたい、こういうふうに考えてみましたが、実際に立て看板その他の形が整っておるところのものにつきましては、一応それを持っている人の財産、個人的に申し上げますというと、その人の所有に属する財産でございますので、個人の私有権を持っておる財産を、簡単な方法で、代執行手続でなしに、違反だから取りはずすというようなことは適当でないというふうに考えまして、これは、そういう問題につきましては、行政代執行という本来の手続を踏みまして、一カ月かかりましてもやむを得ませんから、この方法をもって処理する。で、張り紙のような簡易なものにつきましては、違反枚数も非常に多いことですし、先ほど申し上げましたように、ばく大な費用も要しますので、こういう問題につきましては、やむを得ないから、代執行方法をはずしまして簡易に処理いたしたい、こういうのがこの法の改正の目的でございまして、違反のものに対して、いろんな危害を与えるいろんなものについて、全部ほかのものは無視しながら、張り紙だけを扱うのは妥当でないという見解につきましては、私のほうといたしましても、それを放置する意思は全然ございませんので、ただ財産というものの意味から、やむを得ずに代執行という正当な手続を踏んでいきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  45. 田上松衞

    ○田上松衞君 まだどうも私が申し上げることとあなたの考えとがピントが合わないので困るわけなんだが、逆に、それでは大きな問題は抜きにして、あなたのほうで改正されようとする内部についてやってみましょう。第五条の場合における、さっきも申し上げましたが、物件の形だとか面積、色彩、意匠、こういうようなものは、いわゆる張り紙等の範囲のことを言っておるわけですね。これについてさっき指摘しましたような公衆に対する危害を防止するという意味からいって、せめてこの範囲だけでもその内容について、書かれる内容について禁止ないしは制限を加えるというような意図はどうですか。
  46. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) その内容のいろいろな問題につきましては、いろいろな各府県の条例によりまして、広告審議会というものを作りまして、その広告審議会の中で審査をしていただくというふうにいたしておりますので、個々の問題につきましては、建設省から、こういうものというふうなこまかい指示はいたしておりませんので、その点は、県ごとによりまして多少のニュアンスが違うのではないかと考えております。
  47. 田上松衞

    ○田上松衞君 今私が言うようなことを、あなたは都道府県条例でもってどうだこうだ、何の審議会で何だとかいうようなことを——どういうものが飛び出すかわからぬのですよ。まごまごしておったら今度、天皇を倒せというようなものが張られるかもわからぬのだ。私が言うのは、おのずからそういう広告を撤去せしめる、あるいは張らせないと、この行為においては、それはそれなりにあなた方のほうで制限を加える面があるんじゃないかと、こんなものは張らせないのだと、張ったらすぐはぐのだというような、この問題について、ここではさっき指摘しましたように、色だとか意匠だとか面積だとか形だとか、そんなことだけについて加えようとするが、その内容についてはどうなんだということなんです。それを聞いておるわけですよ。あなた考えてごらんなさい。何を張り出すかわからぬのですよ。逆戻りして申し上げないけれども、あなたが言われるような看板がぶっ倒れて、それが吹き飛ばされて人に当たってけがをさせるとか、そういう方面の危険でなくして、そうでない、もっとそこから与える精神的な影響におけるそういうような危険を考えて、いやしくも屋外広告物法内容を変えてみようじゃないかというならば、そういうところに踏み込めないはずはないじゃないかということです。私は、要点はそこを言っておるのですよ。もう一ぺん……。
  48. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 先ほど田中先生に申し上げましたように、実は広告物法適用しましてから十年という日数がたっておりますが、なかなか適用がうまくいきませんで、最近三十六、七年ごろになりましてから、道路とか鉄道とか沿線の立て看板を制限するというところまでやっと追いついたような次第でございまして、この広告物法適用につきましては、まだ不十分なところがございますので、先生がおっしゃったこういう内容につきましても、今後逐次検討いたしまして、条例の指導と法の内容につきまして検討さしていただきたいと思っております。
  49. 田上松衞

    ○田上松衞君 今私は、これをどういう工合にわれわれのほうで審議していくかということになりますと、非常に厄介な問題、こんな未熟な中途半端なものを、枝葉末節なと言いたいような、こんなものでは困ると思っているのですけれども、まあ参考までに田中委員の言われたことを繰り返すようですが、人口五千人以上の市街地市町村区域だけに限るということなんですが、極端に言うならば、東京都を取り巻くところの、この付近の五千人以下の自治体のところへ持ってきてじゃんじゃん何をやらかされてもこれはどうにもできないというようなおかしな問題が起こることは、さっきも申し上げましたように、愛国党なり、あるいは危険な団体、共産党だってどんなものを張るかわからない。赤化運動——世の中がこうなってしまうぞと、そんなものを加えてですが、私はやはりお互いが一つ一つの問題をつかんで、日本の国土というものを守る、日本の国民の安全を期するという方面に法を作っていけばいいじゃないか、根本的なものはそこなんです。だれかがまだ未熟な間に行き当たりばったりで作ったようなものに役人が支配されて、これ以上にはどうにもできないと、たまたま改正を加えようと思えば、これに非常に費用がかかってしようがない、予算がどうだ、こうだと、——それであっちに文句を言われ、こっちに文句を言われて、仕方なく、ついこのところに手をつけてやるというようなにおいのあるような行き方は、これは全くなっていない、こういう感じを持つのです。そこで、さっき申し上げるような周辺のところのあれでやられるならば、ただ一つの美観風致という点だけに限ってみても、実はこっけい千万なものである。人口五千人以下のところは野放しというようなことでは、なっていないと思うのですよ。ことに最近になってきますと、どんどんいろいろな方面で、あるいは観光地帯であるとか、温泉地帯とかで、いろいろなことを、お互いがみずからの生活を守るために、その地方々々でやっていくわけですが、そういうところを汚される美観風致、そしてつけ加えるならば、いろいろな危険思想、破壊的な行為を思想とするようなそういうものが、じゃんじゃん張られていっても、これはこの法ではどうにもできないということであっては、全くなっていない。これに対しては、田中委員答弁された範囲では、なお、とてもじゃないが、了解できないので、もう一ぺんそういう点について、どうお考えになっているかお聞かせ願いたい。
  50. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 何分いろいろ問題がたくさんございますので、条例の細部のことを相談してきめまして指導いたしますが、あと内容のことにつきましては、各府県における広告審議会で適当に、適当といいますか、条例に従いまして判定していただくというふうな方針をとって参りましたものですから、個々の問題についても私たちの検討の不十分な点もたくさんあると思いますので、なお一そうこの問題につきましては、現在の各府県の状況を全部調査いたしまして、その上で検討させていただきまして、なお、この改正に向かって万全の改正をいたしたいと思っております。
  51. 田上松衞

    ○田上松衞君 言葉でどうだこうだと言ってもしようがない。今の事態は、個々の問題は抜きにいたしまして、人口五千人以下のものに対しては考えていないのかということです。人口五千人以上の問題については、あなたはどこまでも、どうにもできないと言っておられるというふうに受け取れるから、それでは無意味だということです。人口五千人以下という問題について改正を加えてみようという気持はないかというのです。
  52. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 五千人以下の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、第四条におきます各法の定めるところにおける地区につきましては、必然的にきまるように、制限されるようにいたしておりますので、五千人以下という数字につきましては、これが妥当かどうかという点につきましては、今後検討させていただきたいと思っております。
  53. 田上松衞

    ○田上松衞君 この際議論してもしようがないから、もっと検討していただくために希望しておきます。私は、人口でもってこういうものをこう区別するということがおかしいと基本的には考えるわけであります。必要な場合もあれば、二千人、三千人のところでもこういうものが必要だと。さっき申し上げましたように、新しいところの観光客がどんどん行かなければならぬ場所があるでしょう。あるいは近くくるところのオリンピック等の問題を考えてみる、外国の人々もじゃんじゃんやって来ますわ。その人々があっちこっちを見に歩くのに、あなた方に見せるところは人口五千人以上のところだけですよと、そんなべらぼうなこともできないですよ。風致と国の体面の上からもなんというようなことも若干考えているようですが、そういうところを人口でもって区別するというような考えは、もう間違っておると。まあしいて言うならば、質でもってするならばまだだ。全面的にできぬとするならば、そういうようなこともあろうじゃないかということ。これは参考までに申し上げておいてひとつ検討をわずらわしたいと思います。  それからもう一つお聞きしておきますが、小っちゃな問題のようではあるけれども、使ってある言葉では、とにかく、はり紙、はり紙という言葉をずっといっていますわね。要綱の中でも説明の中でも理由の中でもみんな「はり紙」「はり紙」、はり紙とは、紙とは一体どの程度をいうのですか。
  54. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 法律に「はり紙」と申し上げておりますのは、通称ビラと称するものでございます。
  55. 田上松衞

    ○田上松衞君 最近、だんだんだんだん科学が進歩して参りますと、今まで考えておった紙なんというようなものの観念が思いも寄らぬところから出てくるのですよ。石から紙ができるのですよ、ビニールみたいなものが。その他のたくさんな化繊品があって、そういう石であってもそれは紙というのか、はり紙というのか。それはどうです。
  56. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) お答えいたします。ビニールでできましてもポリエチレンでできましても、普通のつまり紙状の形態をとっておりますのは一応紙と称しております。
  57. 田上松衞

    ○田上松衞君 どうもおかしいのだ。あなたは、説明聞くと、「カミ」といえば神様もあるだろうし、おかみさんもあるだろうし、一応、どれでもとればいいじゃないかというけれども、国民が紙と考えるものは、普通、この、こうした紙のふうに考えておるのですよ。言葉で言って、はり紙を、はり紙をというと、これははり紙でありませんと、こんなものはガラスですと言う場合もあろうじゃないですか。ガラスに書いてあるようなものも、やっぱりいろいろ書くことがたくさん出てきますから、そういうものを全部含んではり紙とあんたのほうじゃ言うことになるのですか、もう一ぺん確認したいために。
  58. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 普通のはり紙と称しておりますのは、板とか鉄板とか、そういうものに文字を書きました、あるいは絵をかきましたことによる広告については、はり紙と称しておりませんが、任意の形に変えられましてそうして張られるようなものにつきましては、形状の変えられるものにつきまして、ビニールの場合でも、普通ペーパーという言葉を英語で言いますと使っておりますので、はり紙という言葉で代表させているわけでございます。
  59. 田上松衞

    ○田上松衞君 薄い鉄板はどうですか、きわめて薄い金属。
  60. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 鉄板の形になりますというと、それははり紙ではございません。
  61. 田上松衞

    ○田上松衞君 どんなに薄くても。
  62. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 薄くても。
  63. 田上松衞

    ○田上松衞君 鉄板とは限らない、金属のようなもの。
  64. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) はい。
  65. 田上松衞

    ○田上松衞君 こうしたばかくさいことを申し上げておるのは、どうも、今度の改正のいろいろな説明ないし要綱であるとか、あるいは理由の書いてあるその中にいろいろ使われておる文句等を見ておりますと、さっき申し上げたように、ただ一つの屋外広告物法という法と首っ引きをして、ここをこうすればこの点にというような程度だけで考えていって、そうして大事な、大きなにらむところをにらみそこなっておるような気がしますので、まあひとつ今みたいなものも——こんなことをしましても、国民が受ける感じは一体どうなるのだろうと、いよいよそこに妙な、ただでさえも、特に政治関係するような連中は法の盲点をくぐろうと一生懸命になっておるのですよ。これはどろぼうが警察庁の上を越していくよりか、選挙等の連中はこれはもうもっとすごくやっている。そういう場合にもっと骨のある、どこからでもこれはにらみのきけるような法案を作ってもらわないと、きけ目がないのじゃないかというようなことを考えるわけです。特にさっきの、これは田中委員が言われたことで繰り返す必要もないのですけれども、一番今この種の問題であなた方がねらっておられる経費等の問題、撤去する費用をあっちになすりつける、こっちになすりつけられると、これをおそれておるのだけれども、その中で一番こわいのは選挙関係、これは選挙関係のものは別個の機関でもっていろいろ規制をしていくのだというような感じのようですけれども、そうじゃなくして、事前運動、一番こわい問題はこれなんですよ。今はんらんしているのはそれなんです。選挙用という、普通にいいますところの公職選挙法に基づくやつは、はんらんするにもしないにも、これこそ多くの場合、枚数に制限があるのですから、張り方にも制限があるのですから、こういうものについては、はんらんするなんというようなばがげたことは当てはまらないですよ。これは事前運動、いわゆる一般通常におけるところの屋外広告物広告等でこれの一番主たるものだということになるわけなんでして、これについて十分認識を持たれてやっていく行き方をされなけりゃいかぬじゃないか。そういうこと議論しておった日には、これは初めからしまいまでやって、何日かかったってとまらぬ。食い違ってしまいますからよしますけれども、こういう点について十分ぴたっとはだ身につけて、そうしてあっさり、なるほど不十分な点があると、あるいは的はずれの点があるというならば、的確に的をつかみ、足りないところを補いして、あっさり、今からでもおそくないわけですから……。ただあれに、一たん出したものをというような、これはまあ次官にも申し上げておきたいと思うのですが、そういうけちな考えじゃなくして、もう一ぺん考え直したっていいわけなんですよ。こんなものは納得しさえすればすぐ通る、国民が納得するのですよ、喜こんで歓迎するのですよ。これは必要性はだれだって考えておるのですよ。ですから、そういう点についてもう少し練り直しておやりになったらどうかと思うのですが、どうでしょう。この場合は政務次官にお聞きしましょう。あなたの所信をひとつお聞かせ願います。これで不十分だと思うのですから。
  66. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) いろいろ御質問等ございましたが、基本的には、現在の市街地等における屋外広告物があまりにもみだりにはんらんをしておるというふうな点は、どなたでも私は見受けるところだと思います。そういうふうなところにだって、従来の長年使ってきたこの屋外広告物法だけではどうも芳しくないと、そういうふうなところから、御質問等の趣旨によると、徹底しない向きがあると、こういうふうな御質問等ございますが、私といたしましては、一応この段階的な面で、この程度のものでひとつやってみたらどうかというふうなところから提出いたしたわけでありますが、ただいまのいろいろな御質問等から考えてみましても、検討しなくちゃならぬ点は多々あると存じます。ただいまのはり紙等の問題も、非常に小ちゃいように見えますけれども、ときによっては、これが法のすれすれだといったような先ほどのお話等から、おそらく速記等にとどめていただいて、そうして法のすれすれ的な面の脱法的な行為が生まれてこないようにという御注意の御質問であろう、私はこういうふうにも考えております。したがって、普通にこれをわれわれがビラとかいったような点は、よくいうところの屋外に張るポスター的な面、通俗的しかも常識的に考えられるものを一応われわれはそういうふうに取り扱っておるわけであります。したがって、それがどんな性質のもので、科学的に分析してどうだというふうなかたい趣旨のもとにおいてこれは考えておるものじゃなくて、あくまでも風致美観というふうなものがそこなわれる環境をよくしよう、こういうふうな目的で出しておるわけでありまして、したがって、ただいまのいろいろな資料の提出等がございましたが、これらの面は十分に検討して提出さしていただきたい、かように存じますが、目的は、今申し上げたように、そういうふうな目的のために提出していきたい。もちろん法の中には「危害」云々というような文面もありますが、これは当初の法的な部面の解釈によるわけでございまして、できまするならばそういうふうな方面まで考えていきたいという気持はおありでございましょうけれども、しかも、法のそれ自体の趣旨が、あくまでも屋外広告物をいかに法的に取り締まっていくか、また国民の協力を得ていこうかという趣旨でございますので、したがって、広告内容それ自体に対しては、これは法律で取り締まるというふうなことは、私は非常に困難じゃないか、また、なすべきものでないのではないかとすら考えるわけで断ります。したがって、それらの面は他の法律等において、さっき局長から申し上げましたように、いわば風俗取り締まりとかあるいはまた軽犯罪的な取り締まりというような面で、私たちは政府部内で横の連絡を十分にとって、今の御趣旨のほうに持っていくような方向に努力したい、かように考えますが、これは広告物法それ自体というものは、現に申し上げたような趣旨のもとに少しでもよくしたいという建前のもとに提出した、こういうのが私たちの考えであり、今後もその趣旨のもとにいきたい、かように考えて  おります。
  67. 田上松衞

    ○田上松衞君 もう一言。大体話の半分はわれわれが望むところと同じようなことでいく、ただ、そのやり方について違っておるのだということなんです。私は最後に、非常におそれる点は、特に近年複雑な世相、これは国際的に、国内的にいろいろあれがあった場合に、こういう機会について、しかも臨時国会じゃなくて通常国会です、国民の目から見れば本式の国会、こういう中で加えられた一部改正、それは国民に与える印象というものは、これは万全なものになったのだろうということを受けてしまうのです。そうするとこれに規制されない問題、禁止ないしは制限がない範囲は、従来のとおりでいいのだと確認されたのだということになれば、さっき申し上げましたように、私は、特に政治に携わる人々の悪口を言ってしまったのですけれども、それじゃなしに、別の方面のことについては、これに触れないことであるならば何をやってもいいのだというようなことであれば、今の政務次官のお話の、一歩でもよくしたいという考えが、逆に大きな面についてはびこらしてしまうという危険があるから、せっかくのお言葉ではありますが、さらに一そう、何かこの機会に加えなければという点がありまするならばお考えになってされてもいいじゃないか、こう考えるので、その点についてさらに十分ひとつ御検討を願いたい。その要望を申し上げておいて、この際はこれでやめておきます。
  68. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 二点についてちょっと御質問したいのですけれども、この法律案理由とするところは、市街地等美観風致を維持するためとなっておりますけれども、内容は、制限とか禁止とかいうことに限定されているようです。そこで、こういう禁止制限だけを法律化していろいろやるということもいいかもしれませんけれども、それだけではたして市街地等美観風致広告等の面で維持できるかどうか、私疑問の点があると思うのです。それは俗な例を申し上げると、立ち小便しちゃいかぬといっても、公衆便所がないというと、なかなかそれは禁止できないということがあるし、紙くず散らしちゃいかぬといっても、紙くずかごがないと、なかなか思うようにいかぬという面もあるわけです。だから広告物にしても、ここに張っちゃいけない、こういうのがいけないという禁止規定だけを設けてみたところで、その法網をくぐってやろうとする者が出てくるかもしれないし、やたらと制限されると、かえって混乱をしてしまうということもあるのじゃないかという気がいたします。そこで、指導の方法として、禁止制限だけではなくて、たとえばこういう方法でもって広告あるいはビラは張れといったような指導を行なって、この法の目的とするところに近づけるようなことはできないものかどうか。これは、外国でも広告物というのはやたらとあるのですけれども、どうも日本のほうがセンスがないせいかどうかしらぬけれども、日本のビラ広告の類はとかく見苦しくなって、どうも芳しくないということが多いわけです。外国のほうがその点は整然としておって、芸術的でもあるというふうに感じられるわけです、残念ながら。これらの点は、やはり指導といいますか、法律で単に禁止するということだけじゃなくして、こういうふうにしろといったような指導によってある程度できるのじゃないかという気がするのですが、この法案をもし検討していくならば、そういう積極的な面を今後打ち出していく必要があるのじゃないかと思うのですけれども、その点についてのお考えを一つと、それから第二点については、これは条文の内容なんですけれども、一番最後の第七条、改正案の内容をちょっと見てみたのですけれども、どなたが起草しかしりませんけれども、文章がどうもよくないと思うのです。これらの法律規定というのは一読してすぐわかるようになっていなければいかぬと思う。ところが、第七条の三項、最初の四行目まではわかりますけれども、ただし書きからあとになると、「ただし、そのはり紙が、条例で定める適用除外例に明らかに該当しないと認められるにかかわらず、はることを禁止された場所にはられているとき、」、こうなっている。非常に長たらしくて、一ぺんでわからぬ。よほど頭のいい人はどうかわからぬけれども、その次だって、「条例で定める行政庁の許可を受けるべき場合に明らかに該当すると認められるにかかわらず、その許可を受けないではられているとき、」、こうなっている。これがずっとくっついて、区切りがなくそのまま最後までつながっている。まさにこれは悪文のサンプルだと思うのです。その内容も、よくよく検討してみると、いささかこれは蛇足というふうに思われる節がある。だから条文を作る場合は、もう少し悪文でなくして、起草者には悪いけれども、読んでみてすぐわからぬようなのは悪文だと思う。もう少しさっぱりした文章で、私にやれと言われればもっとりっぱな文章を書きますよ。しかし、こういうような悪文でなく、もう少しちゃんとした、もう少しセンスのある文章にできないものか。これは見苦しい広告と同じようにセンスのない条文だというふうに私は思う。  以上の二点についてお伺いしたいと思います。
  69. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 指導の方法につきましては、県の条例におきましていろいろな基準を設けておりまして、その基準に従っていろいろ広告物の場所のいろいろな指導、あるいは積極的なことを一緒に指導いたしておりますが、何分にも、先ほど申し上げましたように、内容が大衆に非常に行き渡っておらないという点もございますので、この点については、なお一そう指導の方針を明らかにいたしまして、積極的にやりたいと思っております。  第二点の第七条の三項の内容につきましては、まことに回りくどい言葉を使っておりますが、いろいろ禁止の条件、違反の条件につきまして問題点を明らかにするという意味で、非常にくどくなりましたが、繰り返したような形で書いたために、非常にこういうふうなくどい言葉になったわけでございます。
  70. 松澤雄藏

    政府委員松澤雄藏君) 前半はとにかくといたしまして、後段の御質問ですが、これは建設大臣みずからもそうでありますが、私は、特に現在におけるあらゆる法というものが、国内に住居をかまえ、その適用を受けるところの全国民にわかりやすく徹底するような法律の文章に変えるべきだということを終始一貫唱えてきております。だが不幸にして微力でありまして、与党内においても、いまだにこの点は完備されておりません。どうか皆さん方のお力も貸していただきまして、できるだけ国民を対象とする法でなくちゃならぬはずです。にもかかわらず、法律には法律用語というふうなもの、あるいは文章的なものというふうなもので、今日両院においても法制局がございまして、また政府にも法制局がございまして、それらの面を通過いたしまして、そして皆さん方のお手元に提出しなければならぬという建前になっております。そんな関係上もございまして、ときによっては今のような御指摘の点は、私は、多々今後とも生まれてくるんじゃなかろうか、しかしながら、御趣旨ごもっともでございますので、努めて国民にわかりやすいものにしなくちゃならぬじゃないか、全部は役人さんのように、諸君のように高等文官試験を通過した連中ばかりじゃないのです、そういうふうな意味からいたしまして、今の御趣旨、非常に私は貴重なものと考えまして、今後とも努力さしていただきたい、かように考えております。
  71. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 条文の点については、次官の御答弁のようにひとつ今後お願いしたいと思います。  それから、先ほどももちょっと申し上げましたけれども、指導の点について、たとえば基準を設けるということがありますけれども、これは法律の文章だけではなかなか私はうまくいかないと思う。投げやりになって、これだけやらなければ、こういうことに違反しなければいいということだけでは、実際問題として市街地美観風致を維持する、オリンピックまでに外国人に見せても恥ずかしくないような町にするということはむずかしいと思う。だから、やはりひとつモデル地域でも設けて、そこでもって広告ビラのあり方等についても、りっぱなものをやってみせる、外国に行けばいい例があるけれども、日本にはどこへ行ったっていい例がないというのじゃ恥ずかしいと思う。だからモデル地区等を、これは一つの例でありますけれども、設けて、そこにビラのあり方、広告方法等について、りっぱなものをひとつやってみる、そしてよその地域人たちに、これは県会議員でも市会議員でも見学をさせて、よそに逐次まねをさせる、こういった方法も、法律案だけではなくて一つの方法としてはいいんじゃないかというふうに考えられますので、こういった方法等が検討される用意があるかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  72. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 先生の御意見非常にごもっともだと思います。ただいま市として重点を置いておりますのは京都の場合でございますが、京都の場合は非常に積極的な指導をしてきておりますが、なお一そう御趣旨に沿いますように、もう一度東京付近でもまた検討いたしまして、モデル地区を作って積極的に指導するということは、非常に大衆に対する指導上もけっこうなことだと思いますので、できるだけ早く、そういう地区を設定いたしまして積極的にやりたいと思っております。
  73. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ほかの方になければ、委員長から若干簡単に御質問いたします。  第一は、今まで行政代執行をやっておったが、今度は知事が直接やる場合の費用はどういうふうになるのですか、費用負担は。
  74. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 費用は自分の費用でやることになります。
  75. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 知事の費用負担になりますか。
  76. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 要するに、公共団体が自己の費用においてはぐのです。それは実際には、今まで代執行手続をとりますというと、三回の通知を出すだけで三十円切手代がかかりますけれども、封筒その他の手数料がかかりますが、はぐだけですから八円足らずの——八円から十円というふうに今のところ考えておりますが、その程度になりますので、積極的にやりましても、今までの方法で、正当な方法代執行でやるよりははるかに安くできるということになりますので、みずからの費用においてやらせる、こういうふうに考えております。
  77. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) そうしますと、行政代執行の場合よりは、それは経済的にいえば、知事が直接やったほうが安くなるかもしれません。しかし、今度はやった人に対する一種のペナルティ的なものがあるわけですよ。これは費用といいますけれども、国税徴収法によって徴収するわけですから、一種の罰金みたいなものです。一種のペナルティみたいなものです。そういうことがなくなりますというと、今度は知事が負担するのだということで、自分が経済負担がないということで逆効果が生ずるかどうかということが一つ問題があると思いますが、その点はどうですか。
  78. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 第九条に罰則がございまして、罰金の規定を設けるようになっておりますので、条例のほうで罰金を定めますと、それによって所要の費用の徴収ができるようになっております。
  79. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それだけやっぱり知事の府県の負担はふえるということですね。しかし、それは代執行をやる場合よりは軽減するのだと、こういうことなんですか。
  80. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 代執行という方法でやりますと、費用の点においては完全にカバーできますけれども、実質的には、先ほどから申し上げておりますように、手数その他の関係上、ほとんど不可能に近いという現実がございますので、今度は罰金によりまして、罰金は取りますけれども、所要の諸経費は、知事みずからがこれを行なうことになりますと、その分の費用はかかりますけれども、この点につきましては、仕事が簡単にできるようになりまして、美観風致の上から、非常に積極的な方法が出せると考えております。
  81. 田中一

    田中一君 おかしいよ、そういう答弁をしちゃだめだよ、谷藤君。
  82. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 従来の罰金はあるわけでしょう。
  83. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 今までのは、間接的には全部かからなくなって参ります。
  84. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 従来の罰金はあるわけでしょう。
  85. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) ございます。
  86. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 従来の罰金以外に費用を弁済させられるわけでしょう。
  87. 田中一

    田中一君 そうではないだろう、結局、都道府県指定地域違反で、行政権者に費用は当然かかるわけです。従来ともに代執行を申請して権利を取って、そうしてはがしたという例はないのですよ。だから、そういう点は今、谷藤君は自分で地方の実情はわからない、今のところはわからないのだから——東京都だけはわかっているだろうけれども、そういう答弁をしないで、資料を調べて答弁することにして、今まで裁判で、罰金だって裁判になりますよ、大きければ。これは正式裁判を仰げば費用もかかるわけですよ。そんなことでビラ一枚のために、全国で百何十万というなら百何十万回の裁判を起こすというようなことは不可能なんだよ。だから不可能ということはないということなんだよ、罰金を取ったという例は少ないということ、まれにはあるかもしれない、一件あると言ったね、君。だから今、木村委員長のように質問されたら、ちょっと的確に答弁ができないじゃないかというのだ。理屈としては、なるほど罰金を取っても、罰金は国庫に入るのだ、決して都道府県には入りはしませんよ。都道府県費用は余分にかかってくるのだ、一枚八円八円と言うけれども、さっき言っているように、僕が質問しておるように、接着剤の強いやつだったら八円や十円、二十円でははげませんよ、一時間も二時間もはぐにはかかるのですよ。これはわれわれは選挙でうんとやっているからわかっているけれども、君らは選挙をやらないからわからないのだ。だからそういうことを言わないで、大体そういうふうなことを想定してますということでもってお茶を濁しておかぬと、君、だんだん答弁ができなくなってくる。これはひとつ君が答弁しないで松澤政務次官にやってもらうことだな。松澤政務次官のほうがそういう事情を知っているのです。都道府県費用がふえるということは事実です。これをやったならふえるのです。それをカバーする何ものもないのだ。したがって、それが全国的に膨大なら、知事会なり市町村会でもって、地方交付金を増してくれということになる。罰金というものは都道府県が取るのじゃない、国が取るのです。それも一々百八十万の違反に対して一枚々々の一々正式裁判を仰いだら、これは君、とんでもない国費の浪費です。だから結局、木村委員長の言っているのも、一体どうなるのか、実行ができないと僕は見ている。これはこの次の委員会でいいけれども、ただそれにはやはりそうした教育というか、市民の社会教育というものを徹底させる以外にないのです。池田さんの言っている人づくりは、池田さんの考えているようなものじゃなくて、こういうものが人づくりのもとですよ。社会人としての意識を高めるということしかないんだよ。今、木村委員長の質向に答えて、君、あまり的確に答弁しないでおきたまえ。松澤君にやってもらえよ。困るよ、実際それが記録に残るのは。
  88. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 時間がありませんから簡単にやりますが、実際問題として、行政代行でやった場合、今まできちんと費用を徴収しているかどうか。それで今度はそれができない。その上に知事が今度は直接やることになれば、それだけ費用がかかるし、県財政に負担がかかってくる、そういうことを考えたから質問したわけですが、罰金があるといいますけれども、罰金だって従来もあるわけです。従来の罰金プラス費用の弁償、今度は費用の弁償が少なくなるということになれば、違反したことに対して、ペナルティ的なものが軽くなる。その点は疑いない。この点はもう疑いない。ですから、その点も実際問題として、ただ理屈じゃなく、実際問題として、府県の費用がこれについて大体見積もれると思うのです。各府県いろいろ聞いて、これやったらどのくらいの負担になるだろうくらいのことは見当つけてやりませんと、やはり地方財政との関連もあるわけです。そういうことも勘案されなければなりませんし、今度はさっきのお話のように、交付税云々ということも問題になるでしょう。その点はあとでまた十分検討されて、この次に答弁されてもけっこうですから。  第二は、香川、山口、佐賀は条例がないというのですが、この法律条例を作らなくてもいいということになっているのですか。それで、今度の改正では第四条の二項については、条例で定めるということが特に文字として書いてない。しかし、実際には条例によってやることと解釈されるけれども、文字がない、規定がないので、これは入れることになるのですが、条例を定めてもよろしいのか。どうも定めなくても定めなくてもよろしいように解釈されます。香川、山口、佐賀はやってないというのです。それは今度の改正によって、こういうところもやらせられるのか。「条例で定めるところにより」というのを四条二項へ今度は入れる、入れることによって、もう香川、山口、佐賀なんかは条例を作って、そうしてやらなきゃならないのかどうか。これは義務規定なのか。法律上は「できる」ということになっているのですけれども、みな勝手に府県が条例を作らなくてもよろしいのか、いやならば。その点はどうもはっきりしないですよ。
  89. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 第四条の中で、最初の第一項につきましては、「条例で定めるところにより」としまして、第二項の橋梁街路樹及び路傍樹、銅像及び記念碑、その他の特に指定する物件というところの項に対しまして、「条例の定めるところにより」という言葉が入っておりませんので、これを入れたい、こういう内容でございまして、四条そのものの第一項につきましては、「条例で定めるところにより」と書いてあります。この法律そのものからいいますというと、必ずしも作らなければならないという義務づけはございませんけれども、いろいろ細部のこまかいところまでは法律上きめることはできませんので、それは条例によって細部をきめていただくというふうに指導いたしているわけでございます。現在、先ほど申し上げました三県につきましては、まだ条例はできておりませんが、実際の内容は、条文は大体できておりますので、いろいろ指導いたしておりますけれども、条例としてまだ公布されていない、こういう意味でございます。
  90. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 四条二項に「条例の定めるところにより」というのが、今まで入っていないために、どういう実害があるのですか、また実害があったのですか。
  91. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 別に実害というものはございませんでした。ございませんが、ただ文章を合わせる意味におきまして、四条一項と二項と両方に入るようにいたしたわけでございます。
  92. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 卒然として今になってそういうものを入れるというのは、何かこれには、これを作るときに、四条二項の特に橋梁とかその他については、条例によるというのを規定しなかった理由があったのじゃないですか。積極的な理由があったのじゃないですか。ないのか、あるいはうっかりこの二項については、「条例で定めるところにより」というのを落としてしまって、一項のほうのあるいは文化財その他ですね、そういうものには大体あるのですけれども、ただ不用意に条文整理ができてなかったということにすぎないのですか。
  93. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) その点につきましては、いろいろ前の試案書のほうも調べて見ましたが、特別にこれを条例によりというものを入れないことによって意味を持たしているということはなかったようでございます。それで逆に申しますと、第一項と第二項と歩調をそろえたつもりで——四条の第一項のほうに条例によりという言葉を入れて、第二項は亡失したような形になっておりますので、歩調をそろえて一緒に合わせたい、こういうふうに考えたわけでございます。
  94. 田中一

    田中一君 それはおかしいじゃないか。文化財とかいうのは法律禁止しているのだよ。条例を作ろうが作るまいが、禁止しているわけだ。ただ地域関係については、これは条例でそれぞれきめろといっているので、それそのものはずばりと禁止になっているのだよ。よく読んでごらんなさいよ、禁止になっているのだよ。法律禁止しているのだよ。
  95. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) この中で第一項の第一の都市計画法指定された風致地区とか、その他の美観地区、その他の問題につきましては、森林法における保安林、こういうふうなものは、必ずしも内容のこまかいことが規定されておりませんので、その点につきまして全体を合わせまして「条例で定めるところにより」という言葉によりまして、こまかく規定してあるわけでございます。
  96. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) この規定は、この屋外広告物法は、ただ強制的でないので、あなたがさっきおっしゃった、府県で条例を作らなければ作らなくてもいい、こういうことになっているのですね。それで条例を作らなければやらなくてもよろしい、そんな法律なんですか。
  97. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) やらなくてもいいということではございませんので、広告物法によって全体の法を定めておりますが、その細部の問題につきましては、各県の特性もございますので、その特性に応じましていろいろ条例によって細則をきめまして、これによって指導していただく、こういうふうに考えているわけでございまして、これによって、広告物法条例を作らなければやらなくてもいい、こういう法の精神ではございません。
  98. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それじゃ、その香川、山口、佐賀、ここは条例を作らないでいて、今度「条例で定めるところにより」というのをわざわざ入れるわけなんでしょう。ところが、香川、山口、佐賀は条例を作っていないのです。任意で、作らなければ条例を作らなくていいならば、当然やらなくてもいいということになるじゃありませんか。そこがどうもはっきりしないのですね。
  99. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 細部の問題につきまして、条例によって個々の内容を定めていく法律でございまして、広告物法精神そのものは、条例の個々の問題とはまた違って参ります。適用外にどういうものをするか、どういう地区を定めるか、そういうふうな禁止区域をどうするかというふうな、いろんな問題を個々に定めていく内容でございまして、各県それぞれの特性もございますし、いろんな条件がございますので、積極的に条例を作ることを今まで指導して参りましたけれども、なかなか力の及ばないところで山口、佐賀、香川という三県はまだ条例として出ていない状態でございましたけれども、間もなくできると思っております。
  100. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 最後に一つだけ……。さっき瀬谷君が非常にいい御質問をしたと思うのですが、現在各県に広告審議会というのがあるそうですね、広告審議会のメンバーというのはどういう人がメンバーなんですか。できるならば、瀬谷君が言ったようなあれを生かすなら、広告審議会のメンバーに文化人をもっと入れるとか、そしてそういう美観風致、そういうものに対して理解のある人とか、そういう人を加えてもらったらどうかということがあるのですね、地方の場合に。審議会というのはどういうようなメンバーで、どういうことをやっているのですか、実際。さっきちょっと広告内容について、審議会が何か広告をきめる権限があるようなお話、ちょっと御答弁されたように思うのですが、内容について、これは審議会でこれをきめるということは非常に問題が起こると思うのです。
  101. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 個々の県によって多少の違いはありますが、大体東京都の例で申し上げますと、審議会は、委員は二十名以内でございまして、学識経験者が十二名、広告主及び広告業の代表が三名、東京都の職員が五名というふうになっております。奈良のような場合におきますと、大体奈良大学の先生なんかが入っておるようでございまして、大体、文化人と称する方々がだいぶ入っておるように聞いております。
  102. 田中一

    田中一君 審議会がきめるのじゃないだろう、審議会が答申するのだろう。
  103. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) そのとおりでございます。
  104. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) さっき審議会広告物内容について何かきめることができるような御答弁がありましたからね、そうなると非常に問題になってくるのですね。その内容についてこれがいいとか悪いとかということになってくると、これは憲法上の問題になってくる。表現の自由とか、そういう問題とも関連してきますから、そういうあれはないのでしょう。
  105. 谷藤正三

    政府委員谷藤正三君) 先ほど内容と申し上げましたのは、立て看板あるいはまた下げております看板なんかの大きさの問題、それから地上からの高さの位置、その内容の、個々の精神的ないろいろな内容のことまでは考えておりませんが、そういうふうな物理的な、大部分が物理的で美観風致上から見ましたときの形のほうでございます。
  106. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 別に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめ散会いたします。    午後零時二十三分散会