運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-03-05 第43回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月五日(火曜日)    午前十時四十分開会   —————————————   委員異動  二月十九日   辞任      補欠選任    三木與吉郎君  前田佳都男君    徳永 正利君  高橋進太郎君  二月二十六日   辞任      補欠選任    前田佳都男君  三木與吉郎君  二月二十七日   辞任      補欠選任    中尾 辰義君  鬼木 勝利君  二月二十八日   辞任      補欠選任    鬼木 勝利君  中尾 辰義君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木村禧八郎君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            武内 五郎君    委員            岩沢 忠恭君            熊谷太三郎君            黒川 武雄君            田中 清一君            増原 恵吉君            村上 春藏君            瀬谷 英行君            田中  一君            中尾 辰義君            田上 松衞君   国務大臣    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    経済企画庁総合    計画局長    向坂 正男君    経済企画庁総合    開発局長    大来佐武郎君    建設政務次官  松澤 雄藏君    建設大臣官房長 山本 幸雄君    建設省計画局長 町田  充君    建設省都市局長 谷藤 正三君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 平井  学君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (建設行政基本政策に関する件)   —————————————
  2. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  先月十九日、徳永正利君、三木與吉郎君が辞任せられ、高橋進太郎君、前田佳都男君が選任せられました。二十六日、前田佳都男君が辞任せられ、三木與吉郎君が選任せられました。また、二十七日、中尾辰義君が辞任せられ、鬼木勝利君が選任せられました。二十八日、鬼木勝利君が辞任せられ、中尾辰義君が選任せられました。   —————————————
  3. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、本日の議事に入る前に御報告申し上げたいことがございます。  本委員会委員であります村上義一君は、黄だんのため、国立第一病院に先月二十一日より入院されておりますので、二十六日、委員会の一同を代表するという意味で、不肖私と武井調査室長並びに委員部渡辺参事とともにお見舞に参りました。さよう御承知を願いたいと思います。  病状の程度は、本月中旬くらいで退院されるようなお話でございましたので、たいして心配するような状態ではないようにお見受けいたしました。  右御報告申し上げます。
  4. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それでは、本日の議事に入ります。  建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたし、建設行政基本政策一般について質疑を行ないます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) では速記をつけて下さい。  それでは、建設行政基本政策一般について、とりあえず私から質問いたします。  当建設委員会は、今後予定されている約十三件の建設関係法案の審議に入るわけでありますが、それに先だって建設行政全般基本となる若干の問題を明らかにしておく必要があると考えられますので、その点につきまして、きょうは河野建設大臣宮澤企画庁長官に質問をいたしたいと思うのであります。時間の関係もありますので、焦点を三つにしぼって質問いたします。  第一は、行政投資所得倍増計画、特にその中心となっている高度経済成長政策との関係であります。第二は、行政投資効率的使用、特にその節減、改善の問題であります。第三は、地域格差の是正、縮小と地域開発の問題であります。この三点にしぼって質問いたしたいと思います。  まず第一の、行政投資所得倍増計画との関連、特に高度経済成長政策との関連でございますが、河野建設大臣に質問いたしますが、行政投資については、建設省関係が非常に大きいわけであります。経済基盤強化、民生安定のための生活環境改善ということ、あるいはまた国土保全、その有効利用等建設省関係が非常に大きいのでありますが、この行政投資所得倍増計画とは密接な関係があるわけでありまして、建設省行政投資をやる場合、所得倍増計画との関係をどういうふうにお考えになっているか。所得倍増計画については、特に行政投資については具体的に規定してあるわけであります。計数的にわたって所得倍増計画とこの行政投資について詳しく述べてあるわけです。したがいまして、建設省としては、建設行政を行なう場合、所得倍増計画との関連において、まあそれとの位置づけを明らかにしながら建設行政をやる必要があるわけです。倍増計画が狂ってくれば建設行政も狂ってくるわけです。行政投資も狂ってくるわけです。最近、御承知のように所得倍増計画は非常な大きな狂いを示しておるわけです。そこで、所得倍増計画行政投資との関係について、建設省はどういうふうにこれをお考えになって建設行政をお進めになっているか、まず、この点について建設大臣にお伺いしたい。
  6. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまお尋ねの点は、所得倍増計画作成する際に、その所得倍増の結果としての財政計画ができております。その財政計画の中で、公共投資に入れるものをおのずから定めて案を作っております。ところが、第一の点として考えられますことは、最初策定した所得倍増計画が、大幅に急上昇したということは御承知のとおりであります。したがって私としては、当初考えておりました七・何%の上昇率でいきますれば、今、上へ上がり過ぎておるのですから、行き過ぎたものを押えるということでございますから、基本的な数字としてはそんなに狂いはないということも、一つ考えられるんじゃないかと思うのです。  それから第二の点として私が申し上げたいことは、所得倍増計画の面から計数的に財政的に申せば、今のようなことになりましょうけれども、公共投資公共投資として、財源があればなるべくしたほうがよろしい、そしていわゆる財源関係でときにおくれる場合もありましょうけれども、財源があればあるだけこれをふやすという場合も考えていいんじゃないか、あるいは特に景気を刺激する場合等については、別途外資の導入等もはかってやることもいいんじゃないかというような面がありますから、多少そとに融通性を持って考えたほうがいいんじゃないか。したがって、当初所得倍増計画に伴うところの財政計画を立てました当時の数字を、そのままいつまでもその数字にとらわれて、そのらち外に出ていかぬということはないんじゃないかというふうに考えております。
  7. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 倍増計画で予定した公共投資ですか、その数字はあまり動かないのではないかということと、それからそんなに非弾力的に、所得倍増計画公共投資を大体まあ数字的にはじいておりますが、それにそんなにとらわれる必要もないんじゃないか、もっと弾力的に考えていいんじゃないかというお話ですが、それはごもっともですが、しかし程度の問題ですよね。
  8. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それはそのとおりです。
  9. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) これは全体のバランス考えませんと。行政投資は、まあ大体その投資の方向は三つに方向づけられておりますね。一つは、いわゆる産業基盤強化です、第二は生活基盤強化、第三が国土保全。そしてこの歳出予算の中でも、その行政投資と今度は一般社会保障費とかその他の全体の歳出とのやはりバランス考えなければならぬわけですね。ですから、日本のこの経済高度成長を期待するために、そのうちで特に政府が行なうべき役割としまして、行政投資役割は非常に大きいわけですが、それは大きいことは、特に高度成長政策の過程においては、民間設備投資が非常に大きくなれば、いわゆる社会資本の立ちおくれがひどくなるわけですから、しかも、日本の現状では幾ら拡大しても足りないという状態ですね、民間設備投資が非常に大き過ぎますから。日本行政投資を見ますと、世界各国に比べて非常にGNPに占める比率も、予算に占める比率も非常に大きい、諸外国の三倍くらいの大きさでありますけれども、それでも追いつかないという状態です。ですから、大きくなることは、それで日本の実情からいってやむを得ないとしましても、やはりバランス考えなければならぬと思うのですね。ところで、所得倍増計画が非常に狂ってきてしまっているものですから、バランスが非常に不合理になっているのではないかと思うのです。所得倍増計画では、大臣も御承知だと思うのですが、昭和三十六年から四十五年までの十年間の計画期間中の行政投資額は、十六兆一千三百億と予定されているのです。そうして十六兆一千三百億のうち、道路港湾農林水産、そういうものに六兆四千三百億、それから住宅環境衛生厚生福祉ですか、これが二兆二千七百億、治山治水災害復旧に一兆六千五百億、文教その他に五兆二千八百億、その他に調整財源五千億円、こういうふうに一応投資配分が予定されているわけです。ところが、御承知のように所得倍増計画というのは、全く当初の予想と狂ってしまっているわけですね。所得倍増計画は、計画最終年度昭和四十五年度に、国民総生産は二十六兆、もちろんこれは三十三年の物価の計算からです。ところが、三十八年度は二十兆三千九百億になっているのですね。まず、総生産においても非常に狂いが出ちゃっているわけですね、昭和三十三年から昭和四十五年に。これは、卸売物価で計算すればあまり変わらないでしょう。ですから、大体金額については価格補正をしなくてもいいと思いますが、四十五年に二十六兆になるという前提で、今お話しした十六兆一千三百億の公共投資を予定し、そうして十六兆一千三百億を産業基盤の育成とか、あるいは国土保全あるいは生活環境改善のほうに振り向けるという、こういう配分をしているわけですよ。そういうバランスで進んでいるわけですね。ところが、総生産自体がもう昭和三十八年度二十兆三千九百億で、四十五年に予定した二十六兆にもやがて追いつくというような状態です。それから民間設備投資は、所得倍増計画では、昭和四十五年三兆六十億ぐらい予定したのですよ。ところが、昭和三十六年では四兆円をこえておる。三十七年が三兆六千億、三十八年は大体三兆五千億でしょう。そうすると、もう公共投資——道路とか港湾とか、あるいは土地造成等は、民間設備投資とこれは大体比率を持っているのです、三対一とか。最初は三対一を予定しておりましたが、この目標では、しまいには二対一にするということが、倍増計画では書かれているわけですよ。ですから、民間設備投資行政投資というものが、大体において比率を持ってバランスを保っていなければならないし、機械的にきちっとそうでなければならないということじゃありませんけれども。ところが、四十五年に三兆六千億予定しておった設備投資が、それがもう三十六年ではそれをこえちゃっている、四兆円こえている。三十八年でも三兆五千億——少しは減りましても三兆五千億、大体四十五年の目標とあまり変わらないんですよ。しかも、行政投資は十六兆一千三百億ですから、これは一年間に平均すれば一兆六千億くらいでしょうが、三十八年度の行政投資は一兆七千三百億くらいですね。これは平均をこえているんですね。こういう状態なんですが、そこでやはり建設省は、道路とか治山治水等産業基盤強化、あるいは生活基盤強化等考えれば、民間設備投資との関連において考えなきゃならぬと思うのです。ところが、これが全く当初倍増計画考えたときと、その点がもう全くくずれちゃっているのですね。そこで、三十八年度の行政投資をお考えになるときに、倍増計画との関係、特に民間設備投資との関係について、どうお考えになって——この行政投資の額ですね、大体一兆七千三百六十一億になりますが、その中で建設省公共事業費だけで五千四百億くらいだと思いますが、建設省関係がその中で五割以上、六割近いものがあると思うのですが、そこで、どうしても建設行政を行なう場合には、所得倍増計画との関連、特に民間設備投資との関係考えながらやらなければならぬと思うのです。そういう点をどういうふうにお考えになって、三十八年度のこの行政投資ですね、特に建設省関係予算をお組みになっているか、その点を伺いたいのです。
  10. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今お話のように、所得倍増計画作成の当初におきまして、民間設備投資が非常に過熱的に膨張いたしましたことは御承知のとおりであります。そのために、一方予定の線を進んで参りました公共投資との間に非常に差ができました。このアンバランス一般国民所得もしくは産業界に非常に迷惑をかけておる、道路交通等に混乱が起きておるというようなことも考えりれますので、一応民間投資が幾らか平常化して参りましたので、特に公共投資の方面はこの際できるだけスピードを上げるという意味合いにおいて、三十八年度の予算を編成いたしておるわけであります、実は、当初所得倍増計画に伴うて作りました十カ年計画、五カ年計画と申しますか、道路河川計画もあったのでございますが、これが必ずしも適当でございませんで、明年度から新五カ年計画作成に入ろうかと考えまして、もう少し基礎を十分に固めて、そうして現実に即しつつ将来の見通しを立てて計画を練り直そうという意味で、実は明年度、三十九年度予算におきまして、三十九年度を初年度とするところの道路河川等の新五カ年計画を作って、そうして今までにアンバランスが生まれておりますもの、もしくは将来の所得関係等を勘案しつつ新しいものを作ろう、こういうつもりで目下検討を進めておる、こういうわけであります。
  11. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) ただいま建設大臣の御所見伺いますと、民間設備投資が非常に急ピッチで行なわれて、最近やや政府が押えている関係もあって、前よりは多少設備投資は少々くなってはきておりますが、それでも水準はかなり高いですよね。そこで、いよいよ社会資本の立ちおくれを克服するために、建設大臣急ピッチ道路とか、その他治山治水河川ですか、そういうものの建設を急がれるというお話で、昭和三十九年からまた新しい道路計画をお考えになっている。新聞等の伝えるところによると、大体今後十八年計画で十六兆何千億くらいは金が必要であり、三十九年からの五カ年計画で三兆数千億、四兆円近い資金が必要であるように伝えられておりますが、そうしますと、当初の所得倍増計画によりますと、道路は、この計画期間中の投資額は四兆九千億なんですよね。そうすると、今、建設大臣の言われた昭和三十九年からの五カ年計画というものは、そうすると約四兆円近い毛の、四十五年に予定されたくらいの道路費というものは必要になってくる。それから治山治水等につきましても一兆一千二百億、倍増計画では予定されている。この倍くらいのやはり計画をお持ちのようですね。そうしますと、所得倍増計画行政投資との関係は非常に違ってくるのであって、もう所得倍増計画は、そういう行政投資との関係からいっても、根本的に倍増計画を変えなければ筋が通らぬですね。そこで、経済企画庁の方が来られていると思うのですがね、そういう関係所得倍増計画というものは、行政投資との関連からいっても、根本的に変えなければ全く意味がなくなっている。こういう所得倍増計画というものを政府が出しておって、それに基づいてこの線で行政投資をやるということは、計数的に明らかになっているのですよ。ところが、民間設備投資が急速に行き過ぎた、そこで、社会資本の立ちおくれを克服するために、建設大臣が言われましたように、もう道路費も、今までの計画ではとてもそれではだめだ、治山治水等についても、急ピッチにその隘路を克服するためには、大きな計画を立てなければならないでしょう。そうすると、かりに今までの倍増計画を変えないとして、道路費なりあるいは治山治水、そういうものの計画が、河野大臣が言われるように大きくなり、そうすると、ほかのほうの生活環境とか、そのほうを圧縮されるということになりますよ。あるいはまた、社会保障費のほうが非常に減ってくるということにもなりかねない。ですから、民間設備投資予想以上に大きくなった、そういう非常な大きな変更が生じたわけです。それに対応した倍増計画というものを立て直さなければ意味をなさなくなっている、こういうものを作文を出されて、そういうものによって倍増計画行政投資関係建設行政との関係を、大体筋道立ててわれわれ判断しているのに、これなんか全く意味がなくなってしまうのですよ。
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今お話の中の最初にお述べになりました十何兆という数字は、これは実は、欧米並み日本道路を改修するとすればそういう数字になるということを一応そろばんを入れた数字でございまして、それは、建設省としてすぐ何年間でやるとか——こうありたいものだということの数字でございまして、それは別に行政上の根拠のある数字でないということは御了解願いたいと思います。  なお、しかし、お話になりましたように、その第二次の五カ年計画を立てるとすれば、今お話のように四兆程度道路をやらなければいかぬとか、河川治山治水のほうにしても、今までの数字の倍ぐらいのものは要るというような点は、これはたとえて申しますと、一番値上がりのしておりますものは、用地費等において非常な値上がりをしております。そういう関係で、工事量におきましては、飛躍的に大きなものでなくても相当の値上がりをいたしておりまする関係、もしくは一般産業が急激に上昇いたしました関係から、それに対応するために急速に所期の計画を達成しなければいかぬという要請等にこたえていたさなければなるまいと私は考えております。さればといって、その二兆、三兆のズレが倍増計画全体にどういうふうなことになるかということになりますと、私の立場をして言わしていただきますならば、道路とか治山治水というものは何年間にやるかということであって、十年にやるものを五年間でやって、一ぺんやればむろんあとからこわれるものもありますし、修理も要りますけれども、たいてい一ぺんやりましたらあとはたいして要りません。したがって、今まで十年間でやろうとしたものを繰り上げてやってしまえばということもありますから、そこで、場合によれば建設公債というようなものも、そのときの客観情勢によって考えていい場合もあろうじゃなかろうか、私は、やるというわけじゃございませんけれども、そういったような諸般財政経済情勢を勘案して、そして所得倍増計画とあわせつつ持っていくということは可能じゃないだろうかというような意味合いにおいて考えておるのでございまして、所得倍増計画を根本から直さなければ数字が合わぬ、それは数字だけごらんになれば、今のお話のとおりでございますけれども、これを財源の求め方、もしくはこれを長期に見た場合において、必ずしも非常に大きな矛盾があるということじゃなかろうというふうに考えて、私は一応明年を、三十九年を初年度とするところの新五カ年計画を今想定して考えておる、こういうことでございます。したがって、今の私の考えに基づいて、直ちに所得倍増計画全体の編成がえを内閣へ要求するのだということになりますと、それは私は、そういう考えのもとに内閣もしくは企画庁に向かって、もしくは大蔵当局に向かって要請をいたし、あとはそちらのほうでつじつまを合わすように、ひとつ計画が合うようにしてもらいたい、ただし、それがすぐに私のほうで道路もしくは河川、砂防に金を食いますから、その公共投資の金を非常に増大するから、社会事業費のほうを圧縮するというようなことになると、私のとらざるところで、そういうことはすべきものじゃない。したがって、長期にわたってやるものを短期に縮めるとか、明年度のものを前年度に繰り上げてやるとかというようなことで、もしくは最小のものを公債発行等でやるとかというような、諸般のいろいろ財政考えられる点をひとつ考慮に入れてやっていくことができぬだろうかどうだろうかということを研究してもらいたい、こう思っております。
  13. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) この倍増計画行政投資ですが、特に建設財政密接不可分関係にあるわけです。その金額の全体の総生産に占める比率あるいは歳出に占める比率から見ても非常に大きい。特に最近大きくなっておりますし、きっき言ったように、諸外国に比べても非常にウエートが大きいんですから、その場合、私は建設大臣として、政府所得倍増計画に対して御意見を持たなければならぬはずだと思うんです。今までの所得倍増計画は、私は失敗だと思うのです。ことに民間設備投資がどんどん行き過ぎてしまった、確かに行き過ぎている。三十六年度四兆円、行き過ぎてしまって、そのためにいろいろな経済反動が生じておるわけです。それから物価も、倍増計画を実施して、昭和三十六年から最近まで、とにかく一五、六%上がっておりますよ。倍増計画ではせいぜい二、三%ぐらいの物価騰貴を予定したと思うんです。それが倍増計画へ入って二カ年で一五、六%も物価が上がって、これは根本的に計画はくずれてしまいますよ。それから民間投資行き過ぎは、それとの三対一なり二対一という形で行政投資比率がきまってくるのでありますから、非常に狂ってくる。そういう場合に建設大臣として、民間設備投資とか、その他の所得倍増政策に対して、何か御意見があり、発言がなければならないはずだと思う。そっちのほうはおれは関係ないんだと、野放しにしておいて、そうして社会資本の立ちおくれがどんどん生じてくる、建設省には関係なく民間設備投資がどんどんものすごいスピードで独走してしまう。建設行政は追っかけているんでしょう。これでいいかと言うんですよ。追っかけるだけでいいのか。どうも今までの建設行政を見ますと、河野大臣も昨年の八月、所信表明で述べておられますが、その中で、「最近におけるわが国経済成長は著しく、生活水準の向上もまた見るべきものがありますが、これに対し、道路等公共施設あるいは住宅及び生活環境施設等社会資本の充実が大きく立ちおくれ、これが今日の交通難住宅難、水不足あるいは水害等国力成長のひずみとも言える現象となって現われて」おると。そこで、建設省は追っかけておる、一生懸命。それを追っかけていって、それで理想的なバランスがとれるかというとバランスはとれない。たとえば民間設備投資は、三十年から三十八年までに一カ年平均二三・六%も伸びておる。これに対して行政投資は一九・五%伸びておる。これは行政投資伸びもものすごいものです、世界各国に比べまして。こんなにたくさん伸びても、なおかつ民間設備投資伸びに追っつかない。そこで河野大臣が言われますように、設備投資は非常に大きくなり、成長率は大きくなったけれども、社会資本の立ちおくれがある。それで建設行政を担当される大臣とされては、建設行政立場行政投資立場から、全体の民間設備投資行き過ぎなり何なりについて、つまり所得倍増計画全体につきまして御意見がなければならぬと思う。私はこれまで、非常に実力がある河野大臣——建設行政については、道路とか港湾方々視察に行く、豪雪に際しても方々視察に行かれて、敬意を表しておる。敬意を表しておるけれども、河野大臣が一生懸命努力していることは、一生懸命追っかけているんです、跡始末ですよね。民間設備投資行き過ぎ跡始末のために、精一ぱい非常に誠実にエネルギーを消耗して追っかけていっているんですけれども、ほんとうにそれが全体の役に立っているかどうかは私は疑問で、そのときに、その建設行政立場から、今度はそっちのほうの行き過ぎを是正するというほうに対して御意見がなければならぬはずだと思うんですよ。経済成長はどんどん成長率が大きくなる。大きいほうがいいが建設行政がこれを追っかけたって追っかけ切れない、日本の場合は。ですから、そういう点について、私は建設大臣所得倍増政策についての御意見を承っているんです。何か一言なかるべからず、河野大臣立場としては当然なければならぬものだと。それで非常に世間では河野大臣が誠実にやっておることを評価しております。評価もいいのでありますけれども、そのこと自体は、大局から見ますとその跡始末のために追っかけていっている気がするんです。ですから、もっと河野大臣の御努力を前向きの姿勢で積極的な効果をあらしめるためには、やはり倍増政策について、ひとつの御意見を持たなければいけないのじゃないか、こう考えて御質問したわけです。その点について。
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御趣旨は私も全く同感でございます。がしかし、内閣制度でもございますし、そういう点は企画庁長官が全般にわたって十分勘案して検討されておるわけでございます。今私が申しましたのは、建設省立場から今のまま進むならば、こういうふうな数字になるということを政府のほうに要請するわけでございますから、そこで、政府がその数字を認める、認めないという場合に、当然これは、民間投資公共投資関係はどうあるべきかというようなことが問題になってくるわけであります。当初、所得倍増計画を作りました当時は、もうちょっと民間政府の出しました計画書に協力が願えるものという想定があったのじゃなかろうかと思うのです。私が申し上げるのは恐縮でございますが、企画庁長官をしておりましたときに、最初七・三%という数字を立てまして、そうして一年間を指導いたしました当時には、極力低目に押えていけと言って参りましたが、それでもなかなかいきにくいものでございましたが、現在の段階で、一ぺん経験をいたしておりますから、ここで私は三十九年度の予算の編成にあたっては、どうしても今お話のとおりに、公共投資が少なくとも民間投資と並行してはどうしてもいかぬ、たとえば宅地団地ができてからあとから住宅が立つ、工場団地の造成をしてから工場ができてくるということにあるべきものだという希望を持ちつつ実は考えておるわけでございますが、なかなかそういきかねておりますが、ぜひそこまではいかせたいという強い意欲を持ちまして、そうして埋め立て等につきましても、従来と違って無制限に見てもやれない、計画的に埋め立てをやる、それらについても、建設大臣において地方長官と協議してやっていく、そういうふうに持っていきたいというような点、いろいろな角度から規制すべきものは規制するような方向にいくのがいいのではないかということを考えておりますけれども、今の建設省立場であまり行き過ぎますことはどうかと思いますし、そこらで、お話の点はよく私も了解できますけれども、そう一ぺんに事実上飛躍できませんから、その点で御了承願いたいと思います。
  15. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) その点は、私は建設行政の根本の問題だと思うのです。今の日本の現状を見ますと、実際に社会資本は立ちおくれておりますよ。産業基盤の育成のほうも立ちおくれておりますし、道路とか港湾とか、工業用地、工業用水、それとまた生活環境のほうも多少おくれておる、両方とも。これがみんな悪循環になっております。資金の量は一定で無制限にありませんから、一定の資金量において社会資本の立ちおくれのほうを直そうとして金を使おうとすると、生活環境のほうにしわ寄せが来るとか、社会保障のほうにしわ寄せが来るとか、いろいろ来るわけです。実際問題として、建設大臣よく御存じだと思うのですが、建設行政としては、幾ら金があっても足らない状態だと思う、成長率に対して。とても行政投資の増加率は追いついておりませんし、世界まれに見る大きな増加率を示しているわけですが追いつかない。そこで、どうしても絶対的バランスの調整を考えなければならぬので、民間設備投資のほうをむやみに行き過ぎさせておいて、あとで追いかけるということは何とかして直さなければいけないのじゃないか。そこに着眼を求めないと、幾ら金を使っても、建設省はずいぶん努力しておりますが、それがほんとうに実らないということ、追いかけて跡始末という形では前向きではないと思いますが、特に河野大臣は実力者といわれる方ですから、閣議でも相当発言力もおありになることだと思う。私は決して冗談に言っているのでもなく、皮肉でもない。そういう当面しておる建設行政立場から、全体の倍増計画なり総合的な計画に対して強力な発言をされないと私は直らないと思う。しかし、ほかの各省はおれのなわ張りではないし、大臣関係がないと言われておったのでは、河野建設大臣は総理大臣になられる場合もあると思う。そういう場合もやはりお考えになって、総合的にやはり強力な発言をされなければいけないと思う。そうしないと、 いつまでたっても悪循環は直らないと思う。私は建設行政行政投資を調べてみましたが、なるほど、ものすごくこのごろ大きくなっておるが、それでも足りない、追いつかない、世界まれに見る大きな比率で、公共投資比率を調べてみますと、社会保障費のほうがはるかに大きい、世界各国では。日本は反対、それにもかかわらず追っつかない、社会資本の立ちおくれが直らない、それは片方の民間設備投資を野放しにしておくからいけないのであって、そちらのほんとのバランスをとることをやはりしなければいけないのじゃないか、そう思いますが、建設大臣はそう飛躍もできないとおっしゃっておる。ここでやはり思い切ってそういうところヘメスを入れなければならないのじゃないかと思います。重ねて御意見を承りたい。
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御趣旨全く私もごもっともと思います。十分勉強いたしまして御趣旨に沿うように努力いたします。
  17. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 建設省の方も、全体としてそういう点をやはり考えていただきたい。不断皆さん方非常に努力していることはわかるのです。社会資本の立ちおくれに追いつこうとして、それでもそれが徒労に終わっている。全体のバランスが総合的にとれていない。企画庁のほうは、今の点についてどういうふうにお考えか。やはり倍増計画は、もう今までの倍増計画は二カ年間に十何%も物価が上がるような倍増計画というのはナンセンスですよ。それから、四十五年に予定した設備投資は、もうすでにそれをこえてしまっているというような倍増計画。だからこれは根本的に、これは倍増計画というものは目標計画ですから、社会主義における計画とは違うのですけれども、目標計画にしても、あまりにもかけ離れてしまって、こんな倍増計画をもとにして建設行政なり行政投資考える、そのための一般的な予算をこれに基づいて考えるなんといっても、全くナンセンスです。ですから、これは根本的に新情勢にマッチしたように改定する必要があるのだし、そういう作業をやっているか、やらぬとしたら怠慢でおかしいと思う。こんなものを残しておいたらおかしいと思う。むしろ、こんなものはなくしてやったほうが実情に合うぐらいだと思います。その点と、それから民間投資行政投資との関係、この調整、これをどういうふうに考えられておるか。
  18. 向坂正男

    政府委員(向坂正男君) お答えいたします。倍増計画につきましては、私どもとしては、基本的には弾力的な態度といいますか、そういうことであれしているわけでございます。計画の内容として政策的な構想といいますか、そういう面と、それから数字の面と両方あろうと思いますが、もちろんそれはうらはらになっていると思いますが、全体的な倍増計画考えた大きな構想というものは別にくずれているわけではない、その構想は堅持していくことができるというふうに思っております。実績が計画といろいろ狂っているということを御指摘になりましたが、確かに経済の発展が幾つかの面でアンバランスを生じているということは事実でございますが、それは現在いろいろ景気の調整政策をとってそのアンバランスを是正するように努力しているわけでありますし、それから構造的な問題についても、いろいろの政策を強化しようということをやっているわけでございます。たとえば産業設備投資の問題等にいたしましても、三十六年まで非常に増加しましたけれども、三十七年、八年と、ある程度減少するという見込みでございますし、また、それと公共投資関係にしましても、確かに三十六年までは計画——構想していた方向と少し違っております、アンバランスになりましたけれども、その後の調整によって、公共行政投資と企業設備投資とのバランスは幾らか回復の方向に向かいつつあるわけでございます。そのほか、物価問題その他いろいろ問題がございますが、私どもとしましては、今までなぜ経済行き過ぎたか、設備投資行き過ぎた勢、それがまた物価問題をいろいろ起こしていますが、そういったことについて十分、なぜそういう事態が起こったのかということを検討する仕事を始めたいというように考えております。
  19. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連して。今、委員長が質問された内容について経済企画庁からのお答えですが、弾力的な態度というのは結局、物価値上がりのパーセンテージについては、ある程度これは狂いがあるかもしれないというふうにあらかじめ思っていたのか。それから、特に公共投資民間設備投資とのバランスの乱れですね、これはもうあらかじめ経済企画庁として計算をされていたものかどうか、あるいは計算以外の現象になったものかどうか。回復の方向に向かいつつあるというふうに今言われておりますけれども、木村委員長の質問の内容は、かなりこれはバランスがくずれておるということを強調されておるわけです、数字をあげてね。そうすると、回復の方向に向かいつつあるということになると、まあそう心配したこともないようになっておるというふうにも聞き取れるんですけれども、その回復の方向に向かいつつあるという程度がどの程度のものであるかということもあわせて御答弁願いたいと思うんです。
  20. 向坂正男

    政府委員(向坂正男君) お答えいたしますが、物価問題につきましては、所得倍増計画では特に消費者物価の問題を取り上げまして、物価の動きの中では、下がるものと、あるいは構造的な理由で上がるものもあるかもしれない。しかし、それを極力上がらないようにするという政策態度でいくべきだということを書いているわけでございます。で、まあこの二年ほどのような大きな物価騰貴はもちろん予想してはおりませんでしたけれども、ある程度そこには、政策的にかなり考えていかないと物価の問題に逢着しかねないというような含みがあったと思います。  それから、行政投資と産業投資につきましては、バランスが回復しているという意味は、年々の産業投資額行政投資額については、ある程度バランスが回復しつつあるということを申し上げたわけです。で、これは倍増計画では、厳密に言いますと行政投資と企業設備投資ということに分けておりまして、行政投資には国鉄、電電のような政府企業投資は含んでおらず、これは企業設備投資のほうに含んでおります。そういった数字で申し上げて、三十六年までは行政投資と企業設備投資バランスは開きましたけれども、七年以降、行政投資の増大と、それから企業設備投資の、特に産業設備投資の減少によって、その間のバランスは幾分ずつ回復しつつあるというわけでございます。
  21. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 要するに、伺いたいことは、所得倍増計画ね、いろいろまあ建設大臣に御質問したのですが、その質問したこと等を通じて根本的に、もう目標自体が二十六兆なんというのはナンセンスじゃないのですか。その目標の弾力的というけれども、それは程度の問題ですよね。何も私は、こういう計画を立てたからきちんといかないからけしからぬ、そんなことを言っているのじゃないのです。とにかく目標にも値しなくなっちゃっているんです。ですから、もう三十八年度で、三年たって二十兆こえているんですから、十年計画でしょう、二十六兆六千億でしょう。目標だって大体変えなければなりませんし、それから、それと関連して賃金も上がり物価も上がり、いろいろしているんですから、いろいろな行政投資も、今、向坂さんの言われたように、政府企業に関連するものを除いた、政府投資の中のそれを除いた政府投資を私も言っているわけですから、それにしても、十六兆一千幾らですか、一千三百億、これも非常に狂ってくるんですし、その間の配分も狂ってくるんです。物価の変動、賃金の変動も、いろいろその内容は違ってきますからね。ですから、根本的にやはり改定をきれる、面子なんかにとらわれないで、日本経済をどうしてよくするかという立場から考えるべきで、とらわれる必要はない。今まで自民党はこれを出したんだから、改定すれば政治的にマイナスになるとか、選挙に触れるとか、そんなことでなく、私は、事務当局の方はもっと良心的に考えるべきじゃないか。こんな目標を一応これは改定する必要はないとか、大体にこれでよろしいんだとか、そんなことではなくて、もっと良心的に考えるべきだ。ですから新聞によると、経済審議会にまた諮問されるようなことも新聞にちょっと出ておりましたが、それは、今何か根本的に再検討する作業をおやりになっているんですか。
  22. 向坂正男

    政府委員(向坂正男君) 先ほど弾力性、弾力的であるという意味は、一〇には、目標の年次の二十六兆円という数字も、十年以内に達成するというような表現もなされておりますし、その意味での弾力性はあるということで今申し上げました。それから計画の改定の問題について経済審議会に諮問を出すというようなお話がありましたけれども、それは、そういう事実はございません。そういう予定をしているわけではございません。経済審議会の中に総合部会を設けまして、その総合部会で倍増計画と実績がどう食い違っているのか、なぜ食い違ったのか、そういう点を十分に究明するという仕事をやるということがきまったわけでございます。
  23. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) もう一度伺いますが、それでは弾力的ということは、目標年次内に当初設定した目標を達成し得る、大体いつごろということになるのですか。昭和四十五年が四十一年か二年ぐらいに達成されちゃうということなんですか。
  24. 向坂正男

    政府委員(向坂正男君) そういう見通しは別に今持っておりませんが、計画そのものは、十年、当初の三年間九%の成長で十年以内に達成するというふうな表現になっております。別に何年早めて達成し得るかということを計画できめたわけではございません。
  25. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それで、経済企画庁ではこれまで倍増計画でどういう点が間違っていて、どういう点が改善しなければならぬと考えておられますか。こまかいことは必要ないのですけれども、二、三、重点的に。
  26. 向坂正男

    政府委員(向坂正男君) その点は、総合部会で委員の方々に十分意見を伺ってきめるわけでございます。事務局としては、たとえば産業設備投資の問題であるとか、あるいは社会資本の問題であるとか、あるいは物価と賃金の問題であるとか、そういった問題が大きな問題になるかと考えております。
  27. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ついでですけれども、総合部会というのは、たとえばいつごろまでに結論を出し、その部会の運営なり機構なり組織なりというものがきまっておって、ある程度もう目標もはっきり、たとえば計画あるいは結論なんというのはさまっておりますか。
  28. 向坂正男

    政府委員(向坂正男君) この前の経済審議会で総合部会を設けてアフター・ケアをやることがきめられただけでございまして、その後総合部会の心委員については、経済審議会で任命し、その任命された委員によって、近く総合部会を開いて、アフター・ケアをどういうやり方でやるかということを審議してきめていただくという予定でございます。
  29. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 建設大臣にまた伺いたいのですが、先ほど建設大臣は、公共投資が多くなるために、社会保障あるいは生活環境の整備、そういう方面ですね、生活基盤強化、そっちのほうにしわ寄せが起こるということは努めて避けたいというお話であったのですが、ところが、大臣も御承知と思うのですが、諸外国日本の場合を比べますと、たとえばイギリスは、一九六二年から六三年の予算ですが、予算の中で占める社会保障費の割合は二〇・二%、約二〇%です。公共事業に対する比率は三・六%ですね。それから西ドイツは、社会保障費が全体の予算の一五・一%、公共事業費は六・八%です。それからフランスは、社会保障費が八・五%で公共事業費が三%。ところが、日本社会保障費は一二・九%で公共事業費は一八%ですね。それで公共事業費はものすごく大きいんです。これは社会資本の立ちおくれからそうなっているんですが、社会保障のほうは公共事業費以下なんですね。諸外国では、これが社会保障費が非常に大きいわけですね。こういう点も頭へ置いておいていただきたいと思うのです。しわ寄せしないというけれども、やはり私はしわ寄せが来ているように思うんです。  それと、それから三十八年度の予算で、全体の歳出の中で一番大きい比率を占めているのは交付税なんでず、地方交付税です。一八%くらいです。地方にこの交付税を交付する、あるいは交付税の役割が最近非常に変化して参りまして、ことに高度経済成長政策を強力に行なうようになってから産業基盤その他の方面に交付税が多くいくようになってきております。それは単位費用の計算とか、その他について、そちら側が有利になっております。それから補助金も、政府から大体七千億以上地方へいくわけですから、補助金七千億くらい、交付税が五千億以上ですね。一兆二千億くらい地方へいくわけですよ。その地方にいく分がどうも道路港湾とか、あるいは鉄道、工業用水の建設高度経済成長政策のための経済基盤強化のほうに非常に重点的にいっているんですね。そのために生活環境改善のほうにこれがしわ寄せが来ているという点が計数的にも非常にはっきりしているんですよ。この二つの点、社会資本の立ちおくれを克服するための行政投資公共事業費が多くなるということは、日本の現状としてはやむを得ない、私も否定するものではないのですが、そのためのしわ寄せとして社会保障費が総体的に低くなってきておるということと、同じ行政投資の中でも、生活環境改善のほうはやはりしわ寄せされておるんですよ。ですから、いわゆる経済基盤強化のほうに非常に重点が置かれておって、そっちが独走しておって、行政投資三つ役割ですね、経済基盤強化生活基盤強化国土保全と大体三つの方向に行政投資はなっているんですが、経済基盤強化に非常に重点が置かれ過ぎておる。そっちが独走しておるという状態だと思うのです。この点はやはり是正されなければならない。そこで、私は民間投資との関連について先ほど御質問したんですけれども、この点は建設大臣も御承知と思うのですが、やはり認識を深めておいていただきたいと思うのですが、御所見いかがですか。
  30. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 確かに生活環境改善のための社会政策的投資が、道路港湾等の伸びほど伸びていないことは事実です。だけれども、今年度の予算伸びからすれば、決して軽視し、もしくは、われわれのほうからそのほうにしわ寄せをしているという事実はないじゃないか。ただ必要性が、非常に社会的に道路交通難の緩和とか、それから産業基盤強化とかというようなものが、貿易の自由化その他の圧迫から緊急度が非常に違うというような意味合いから、予算伸びが、そのように比較的ウェートが高くなっておりますけれども、さればといって一方、押えてそちらに回っておるという事実はないのではないかと思うのです。しかし、できるだけひとつ並行していかなければならぬことは、お話のとおりでございますが、何分日本の過去が、両者とも非常におくれておりますから、それらを伸ばす意味において、所得倍増計画計画数字よりも今申しました社会政策的な諸施策は決しておくれていない、それを上回る数字予算に計上されておるというふうに考えております。決して軽視するという気持を毛頭持っていないのでございます。
  31. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) いや、結果として。建設大臣は何もしわ寄せしょうという御意思を持たなくても、客観的にそういうふうになってくるわけですね。そこで伺いたいんですが、これは倍増計画の小委員会ですね、社会保障の委員会でも、今井一男氏の発言にあったんですが、この道路とか港湾とか、そういう経済産業基盤強化をする場合の建設費について、やはり会社にある程度まで負担させる必要があるのではないか、全部負担させるのは無理かもしれないが、というのは、道路港湾とか、たとえば千葉県なら川崎製鉄が大きな建設をする場合、港湾の改修とか道路建設をやりますが、しかしその場合、一般民間でも、ほかの人も全部利用するんですから、全部川鉄に負担させるということは無理かもしれませんが、国民の税金でやるんですから、ある程度まで受益者負担というんですか、それはきせる必要があるのではないか。そうすればかなりの予算の節約がそこに残って、それは社会保障費のほうに回すことができるのではないかと思うのですが、この点について。
  32. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) その点は、私も検討を十分しなければいかぬと考えまして、今御指摘のように、道路ができ交通がよくなりますと、最近特に顕著に例を見られますのは、たとえば東京、宇都宮、福島青梅に伸びております道路、との周辺の工場地帯の開発等が非常な勢いで伸びております。これらは、まさに私は道路に対する公共投資の影響であると思うのです。これをこのままにしておいていいかどうかということは、今お話のとおり、非常に私は疑問だと思う。そこで、戦前にありました受益者負担というようなことが、そのままに今実行されておりません。何らかの形でこれを考慮する必要があるだろうというので、今せっかく建設省内に調査研究を命じまして、しかるべき委員会を作ってそれに御議論を願いますか、いずれかの方法によりまして、最も公共投資によって受益をする者に一部を負担してもらおうということを考えていきたい、早急に何らかの措置をとりたいと考えております。
  33. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 次に、第二の問題として伺いたいのは、行政投資効率的使用、その節減、改善の問題ですが、もう御承知のように行政投資の額は非常に大きい額ですね。三十八年度一兆七千三百億をこえております。ところが、建設省関係予算だけでも非常に大きな金額になっておるが、これはみんな国民の税金でございますから、これをいかに効率的に使用するかということは非常に重要な問題だと思うわけです。たとえば公共事業費一割を節減しても、かりに五百億ぐらいの節約ができる。行政投資は一兆七千億ですから、一割節減できても千七百億を節約できるわけです、まあそう機械的にいかないかもしれないけれども。ですから、効率的使用ということは非常に重要だと思うのです。これから行政投資は多くなる一方ですし、建設省関係予算もふくらむ一方だと思います。それだけに効率的使用というのは非常に重要だと思います。所得倍増計画におきましても、その点についてかなり詳しく触れているのです。それを誠実にやっているかどうかが私は問題だと思うのです。それで、この所得倍増計画投資配分委員会の報告というのがありますが、その中で、社会資本投資の効率的な実施の重要性、その制度的検討という項目で、この点強調しているわけです。それでこの効率的使用の問題として、まず第一は、公共投資の各部門間のバランス、第二は、部門内の具体的実施計画建設の場所、時期、他の計画との関連等、第三に、事業の時行の各段階において、限られた資金量をいかに有効に活用するかの関係者並びに実施担当者の努力にかかっていると、こういうふうに述べておりまして、かなり具体的に効率的な使用の問題をここに指摘しているわけです。  そこでこの点について、これまで建設省としてはどういう努力をしてきておるか。前に建設大臣とあそこの道路開通式に行きましたときに、建設大臣はあの開通式で、自動車でごらんになってすぐに、どうもこれにまだむだな点があるのではないか、もう少しむだな点を省いて節約できるのではないかということをちょっと漏らされた。そういう目に見えたところでもそういう問題があるわけでして、この全体について、予算は非常に大きいのでございますから、これについての効率的使用というものは非常に重大な問題で、何も建設行政だけではないけれども、特に建設行政については重要だと思いますので、この点についての御所見を承りたいと思います。
  34. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も全く同感でございまして、就任以来鋭意その点に努力を実は傾けておるわけでございます。ところが、実際は改善を要すべき点が実は非常に私は多いように見受けるのでございます。ことに他の官庁、一般の官庁の何といいますか、習性といいますか、たとえて申しますと、投資効率を上げるために一番簡単なことでいいますれば、短期竣工、金を入れたらなるべく早くそれが利用できるようにやるということが第一だと思うのですが、必ずしも工事の請負日数、施工期間等については非常にルーズであるというふうに見受けられます。それから第二には設計でございます。御承知のとおり、終戦後官庁が、ことに建設省がじかに工事をやりますのを避けまして、道路公団なり住宅公団なり、公団公社形式によっております部面が多ございます。ところが、これらのものが民間の会社経営と違いまして、公団の利点を生かすことよりもむしろ欠陥が助長される形になりまして、逆に直接の監督が、たとえば国会に対する責任におきましても、建設省を通じての責任があるということになり、さればといって、建設省はこれを監督指導する面において法律がどうなっておるかと申しますと、非常に結びつきが薄くなっている。課長クラスの人が監督に行っているという程度でございまして、日常の監督などほとんど不可能に近い状態になっております。それ以上の点につきましては、具体的なものをまあ見受けられないということでございますために、まま独走する傾向がある。そこで最近、特にその点について建設省内にも緊急調査をいたさせまして、自今、公団公社等のやる設計については、必ず設計の段階において建設省と合議をする、そしてなるべく設計の合理化を厳にさせていくことにしたい。それから施工期日等についてもむろん相談をする、監督についても、常時それぞれ所在の建設省の監督官をしてこれの監督に立ち会わせるというようなことにして参りたいというふうに、実はあらゆる角度から公団公社に対して、今申し上げたのはその一例でございますが、十分再検討して公団公社をしてあやまちのない、今お話のように予算を効率使用するように、ひとつ指導して参りたいという点は、私としては真剣に取り組んでいきたいと考えておるのであります。  それからなお、直接建設省として地方の府県に委託いたして補助して工事を施行させておりますものにつきましても、今申し上げました点を十分に生かしまして、そして今国会に提案いたしておりまする建設省の一部を直して、つまり地方建設局を強化いたしまして、地方建設局をして府県の工事を指導監督せしめるということにかえたい。従来、みずから一級国道等の工事をいたしておりましたものを、みずからの工事量をなるべく減らしまして、そして指導監督の立場建設省の職員を差し向けたいというふうにいたしまして、極力設計もしくは施工の上において遺憾なきを期していくようにいたしたい。これによって今お話のとおり、何がしかの効率が上がってくるのではないかと思うのであります。従来はまあ間違いがなければよろしい、期限内にできればよろしいというだけでございましたけれども、今お話のありましたような方向に指導したいと考えております。
  35. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) この所得倍増計画投資配分委員会報告の中で、社会資本効率的使用について指摘している点は、一つは、建設業の機械化と近代化、これによって資金の効率的使用をする、第二は、事業ごとに末端機関の統一をはかる必要がある、末端機構の統一ということは、何か新しい公共投資の統一的管理機構を設置する必要があるのじゃないか、そういうことが提案されているのですが、第三は、土地の問題ですが、地価が非常に上がっている、これを何とか善処しなければならぬ、それから第四が公共投資部門間の振りかえなどによる抜本的な考慮が必要じゃないか、それから最後に、建設された資産の維持管理、これは消極的であるけれども、非常に重要なことである、こういう点が指摘されておりますが、今建設省としては、こういう点について具体的に、この指摘されたような点について実行されているのかどうか。
  36. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 機械化の問題につきましては、これはむしろ民間の業者が非常に大型の機械をたくさん持ちまして、これは世界の水準に近い程度に機械化されていると言われておりますので、私も日本工事量ならば、今の程度の機械化でまあまあじゃなかろうかと思っております。したがって、建設省自身が今までやっておりました直営工事を、順次これらの機械化された工事施行者にまかすほうが適当じゃなかろうかというふうに考えております。  第二の末端機関の統一、これは実は漁港は農林省、港湾は運輸省が所管しております。また一部建設省——ついそばまで建設省が防潮等をやっておるわけであります。こういうものを統一していくことがよろしいのでございまして、私大臣になりましてから、これらの大臣と話をして鋭意進めておりますけれども、長年にわたりますそれぞれの慣習もございまして、まだ結論に達するには参りません。なお引き続き努力をいたしたいと考えております。  それから三番目の地価の騰貴の問題でございますが、これは御承知のとおり、委員会等にもお話をし、地価抑制については、あらゆる民間の御協力においてやっておりますが、しかし実は、実際は現在の施策程度では思うにまかせません。さらによほど抜本的なものを何か考えなければいけないのじゃないかというふうにせっかく検討中でございます。  第四番目の維持管理でございますが、これは特に力を入れまして、道路等につきましては、維持管理が従来比較的手薄になっております。最近は特別に清掃、維持を、民間に単独の会社を作って維持管理を引き受けようというようなものが出てくる程度になっております。私のほうも実はそういった人が出てきて、そうしてある一定の予算道路等の維持管理を引き受けてくれる人があったらいいんじゃないかと思ってせっかくそういう方面とも話し合っておりますが、できるだけ維持管理は努力したい。道路の清掃等に特に力を入れてやっておるのは、そういう点でございます。
  37. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それからもう一つ予算の効率的な使用について、政府道路建設を行なうような場合、いろいろな資材を購入するわけですね、三十六年度に改定されました五カ年計画、二兆一千億ですか、この計画に必要な、たとえば鋼材は百六十四万トン必要であり、セメントは千二百三万トン、アスファルトが百六十万トン、木材は九百十六万トン、こういうふうにかなり多くの資材を購入するわけですから、そこで資材を購入する場合の価格ですね、これが物価政策と大きい関連があるのですが、そういうものについて、いわゆる公販価格とか独占価格が維持されている場合ですね、市中価格より政府がかなり高く買っているというような、そういうようなことはないのでありますか。資材の購入について、そういう節約的な努力を実際払っているのかどらか。
  38. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話のような例は聞いておりません。建設省がこれらの砂利、木材、セメントを買って——直轄事業としてやっておりますものは直接買いますが、これはわずかな量でございます。特別に高く買っているというようなことは聞いておりません。ただ、先般鉄材の暴落いたしました際に、ここらで買っておいたほうが鉄屋さんも喜ぶだろうし、建設省としてもいいだろうというわけで、年間使用量をまとめて一括鉄鋼連から買ったという例は一つだけございます。
  39. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それは市中価格で買ったのですか、公販価格で買ったのですか。
  40. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 市中価格でございます。
  41. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) これは物価政策全体と関連があるのですけれども、さっき企画庁の向坂君も言われましたけれども、物価の上がる物もあり、下がる物もあり、いろいろあると言われましたけれども、物価政策としては、経済が近代化されていけば料金類は上がっていく、こういうことは当然だと言われている。たとえばクリーニング代とか床屋の代金なんかは、経済が近代化してきたヨーロッパなんかは非常に高いのだから上がってくる。しかし、他方において大企業なんか、非常に生産性が上がっている、そういう物資については、むしろ値段は下げていいはずなんですよ。それを下げれば全体の物価水準としては上がらないのですよ。そういう努力をちっともしていないところに問題があるのですよ。特に建設省関係では、そういう資材関係が、政府が直接買う物もありましょうし、建設業者が買う物もあると思うのですが、建設関係の資材というものは非常に需要が大きいと思うのです。ですから、そういうものの価格の安定あるいは引き下げ努力というものは、行政投資をやっていく場合に非常に重要だと思うのですよ。これに対しては絶えずやはり関心を持たれてその価格の安定ないし引き下げについて、そういう点について、河野大臣あたりも絶えず——生鮮食料品も重要でありますけれども、そういう面もやはり重要だと思うのですよ、購入価格も……。
  42. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は建設資材の中で一番大きい砂利がございます。しかも、これは直轄河川から大部分は採取いたしております。そういう関係で、自分で管理している川から砂利を取ってくる、その砂利を買う場合に、これが非常に値段、品質等が自由に放擲されている、これは不合理じゃないかという意見もまま耳にいたします。それから、ことにこれから砕石砂利によっていかなければならぬ場合が相当多くなります。したがって、これも大規模なものを公団等に設営させまして、そうして砂利の価格等を安定さすようにしたらどうかというような意見もしばしば耳にいたします。今せっかくそういうことをやることがいいか悪いかということについて検討をしようということにいたしておるわけであります。これは公団公社等を一つまた新しく作ってという考えはございません、今ありますものにそういうものをやらせるのがいいか悪いかということを早急に検討してみたい、こういうように考えております。
  43. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) それから最後に、地域開発の問題と関連して、地域格差の是正、縮小、それから地域開発の問題ですが、私はこの点質問するのは、この間の豪雪に際しまして感じたのでありますが、いろいろ豪雪に関するラジオの放送あるいは新聞等を見たりしますと、あんなに雪が降ったんでは、ああいう地域に工場を持っていこうとしても、それはとても持っていけない、全然あの当時は経済機能、経済活動がとまっちゃうくらいですからね。資材の輸送にしましても、金融関係についても非常に問題が起きたのですね。そうしますと、今後ああいう後進地域の開発については、今までのような考え方ではいけないんではないかと思う。それで、このままほうっておいたんでは地域開発についても、企業が行くのは自由でありますからね、先行投資をやっても企業が行くか行かないかは企業の選択にあるのですから、今までのような状態ではいつまでたっても地域開発が進みませんし、格差は開いてしまうのじゃないか。そこで私は、今後の新産業都市建設につきましても、後進地域の開発につきましても、やはり何か新しいやり方が必要になってくるのではないかという点を私も感じたわけですが、その点では建設大臣、どういうようにお考えになりますか。
  44. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 新産業都市の建設について、全国各地から非常に強い御要望がございます。こんなことを申し上げてどうかと思いますが、私はかつて北海道で仕事をしておりましたときに、函館ドックというと会社が——今もあまり成績はよくないですが——ございまして、これが寒さのために、北洋関係の船関係をいじるだけで、能率が非常に悪うございます。したがって、これが瀬戸内等のドック会社に比べて、どうしても同じ成績を上げることができません。これを地域格差の是正をするということでどういうふうに公共投資をいたしましても、この格差の是正はできぬのじゃなかろうかと思うのです。まさか冷暖房の部屋の中で造船をやるわけにも参りません。したがって、暖地寒地、もしくはそれぞれの地域差というもの、先天的な自然的な地域差というものをカバーするには限界がおのずからあると思います。そこで地域格差にも限界がある。したがって、新産業都市を選定いたします場合にも、国際経済力に耐えるという意味の、もしくは東京、大阪の過度に人口集中しておるものの産業の分布をする意味でなすべき新産業都市と、地域格差を是正するという意味で奨励するところの地方産業都市との間には、おのずから二つの違ったものがあるべきものであって、選考の際に全然違った方向でこれをやるべきものである。したがって今お話のような、たとえば豪雪地帯もしくは寒冷地帯、水資源の不足の地帯、もしくは山工場に属する地帯というものについては、特定の工場が想定ざれる場合、それを想定した上でいくべきものであって、ただこれを一般に総括的に総合的に産業都市の指定をして、そうしてすべてが公共投資あとからついてくるべきものという考え方は間違っているのじゃないかと私は考えつつ、新しい新産業都市の選定もしくは公共投資を進めていくべきだという所論でございます。
  45. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) その工場等の後進地域に対する誘致等も重要ですが、その住民の生活環境についてもずいぶん問題があると思いますね。この間私は三月二日のNHKの夜十時の「時の動き」を聞いておりましたが、北海道の僻地の雪がものすごく積もっておるところの小学校の学校の実況を放送しているのです。これは惨たんたるものです。学校の先生はほとんど行かない。それはもうわれわれ想像もつかないような環境で生活しているのですね。地域格差の是正とかいろいろ言っておりますけれども、ああいうことをわれわれ聞きますと、全く天地霄壌の差ですね。ああいう所に対して、どうしてもっと学校施設なんかも施設ができないのか、もうお話にならぬような状態。それで子供は危険を冒して行くのだそうですね。授業を休みますと上の学校へ行くのにおくれるというので、母親が子供を朝五時か六時に起こして出すのですが、少し暴風雨でも学校へ無理に行く。そうしないと勉強がおくれちゃうというのです。それでもう非常な危険を冒して学校へ行けば、ほとんど暖房がない、ガラスは破れている、それで寒くて勉強できない、そういう実況放送。これはそういう寒冷地帯にはたくさんある。ことに僻地においてはあると思うのですがね。格差是正とかなんとかいっている以上は、これはもっと積極的な施策を施さなければ、工場の問題も重要ですが、生活環境についても非常に立ちおくれていると思うのです。こういう点は建設大臣あたり、やはり十分に発言していただきたいと思うのですよ。どなたかお聞きになった人もあると思うのですが、建設大臣も、もし録音でもありましたらお聞きになっていただいて、こういう点についてひとつ関心を持っていただき、対策を至急講ずるように要望したいと思うのです。その点について御意見承りたいと思います。
  46. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話の点、よく注意いたしまして、できるだけ御期待に沿うように努力いたします。
  47. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 企業庁の方がせっかく来られたから大来さん、さっきの新産業都市の問題ですね、建設大臣からいろいろ御意見ありましたが、一律的に開発しては実情に合わぬというお話があったが、企画庁としてはどうなんですか。総合的な計画を進める場合ですね、このままで地域格差というものは是正、縮小されるのですか。今までのやり方では私は格差は開くばかりじゃないかと思うのです、実際において。今まではそうだったのです。逆に所得倍増計画というものは、地域格差というものを縮めるということが大きな目標になっているのですね。今、実情はどうなっているのですか。今後どういうふうにされるつもりですか。
  48. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 実は地域格差の問題は、はかり方が統計的にもいろいろございますが、一般にわかりやすいあれは、この県別の県民所得を出しまして、一番高い県、今、東京でございますが、それと一番低い県、大体鹿児島が低いのでございますが、その比率をとっていく、最大、最小の格差でございますが、これは実は昭和二十五、六年ごろは、大体五倍になっておりまして、それから二十七、八年ごろ、四倍になり、三十年以降、大体三倍で、ほぼ横ばいになっております。三十四年が三〇〇、三十五年が二九九、大体この辺で横ばいになっておるわけでございますが、三十六年、七年のデータは、まだまとまっておりません。ただ、私ども従来見て参りましたところでは、この地域格差が、一つは、産業別と生産性の格差に大きく依存しておるという点がございまして、所得の低いところは、あまり大企業はなくて、中小企業と農業が主になっておる、ところが、最近の労働省の統計から見ますと、規模別賃金格差が、昭和三十四年ごろから急激に縮まる傾向が出て参りまして、これは三十四年、たとえば五百人以上の事業所の賃金を一〇〇といたしますと、五人から二十九人という小企業の賃金が、三十二、四年ごろまでは、大体四三、四でございましたが、昨年、三十七年の速報によりますと、毎月勤労統計で見ましても、五七まで上がってきております。これはごく二、三年の新しい動きだと思うのでございます。で、そういうことが起こって参りますと、地方のいわゆる中小企業の賃金の水準も、相当に上がってきつつあるのじゃないか。この面から、むしろ従来の地域別と所得格差を縮める動きが、今後かなりあると見てよろしいのじゃないかと一応考えておるわけでございます。  それから公共事業的なものの格差では、私ども、やはり一つは、産業を持っていく、特に工業を持っていくことによって、地域格差を是正する面と、それからもう一つは、生活環境的な公共施設の地域差をできるだけ減らすというのと、二つの面がございます。ただいま建設大臣のちょっとおっしゃいましたことも、それに関係があるように思うのでございますが、つまり産業を持っていくということについては、やはりその産業が十分な採算性をもって成り立つということがありませんと、結局、投資のロスになる場合が出て参るかと思うのでございますが、一面におきまして、日本国民がどの地域に住んでいても、いわゆる生活環境的な公共施設、これは教育なども含めまして、これに大きな開きがあるのは、やはり望ましくないのではないか、このほうは、やはりできるだけ、政策としても地域格差は減らしていく、それから産業の面は、やはり産業の配置と同時に、労働力の移動、この両面から考えるべきことかと思うのでございますが、従来、所得の低い県から労働力の流出が相当ございますので、その面と工業の配置と、両方あわせて考えて参る必要があると思うのでございます。  新産業都市につきましては、まだ実は、現在各省の事務当局で、いろいろヒヤリングの段階でございまして、大体四月一ぱい各省のヒヤリングにかかるわけでございますが、その後にそういうデータやいろんな情勢で、これは七つの省が行政大臣になっておりますので、各省協議して方針をきめるという段階になっておるわけでございます。
  49. 木村禧八郎

    委員長木村禧八郎君) 私は、産業開発、新産業都市の建設につきましても、方針の改定につきましても、今の原則が、いろんな先行投資だけでいくか、いかないか、企業の自由ですから、そこにいろんな問題があると思うのですが、これは議論になりますから……。やはり、今の自由経済の中でも、新産業都市の開発とか建設とか、公共事業の開発とかいうものには限界があるのですね。これは今の限界があるということだけで……、ですからそのもとで、この地域格差の縮小とか、生活水準の、所得水準の格差を縮小するといったって、やはり限界があって、国民的にいえば、社会党の主張するような、かなり計画性を持った政策をやらなければだめじゃないかと思うのですが、しかしこれは議論ですから……。  時間がたちますから、私の質問は、この程度に終わります。  ほかに何か御発言ありませんでしたら、本日はこれをもって散会いたしたいと思います。  では、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十五分散会    ————————