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1963-05-14 第43回国会 参議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十四日(火曜日)    午前十時二十人分開会   —————————————   出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            長谷川 仁君            森 元治郎君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            杉原 荒太君            山本 利壽君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            佐藤 尚武君            曾祢  益君            野坂 参三君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君    国 務 大 臣 志賀健次郎君   政府委員    防衛庁防衛局長 海原  治君    外務政務次官  飯塚 定輔君    外務大臣官房長 湯川 盛夫君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    外務省条約局長 中川  融君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国アメリカ合衆国との間の領  事条約締結について承認を求める  の件(内閣提出) ○国際情勢等に関する調査国際情勢  に関する件)   —————————————
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  3. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記つけて。  まず、日本国アメリカ合衆国との間の領事条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本日は、提案理由説明を聴取いたしたいと思います。外務政務次官飯塚定輔君。
  4. 飯塚定輔

    政府委員飯塚定輔君) ただいま議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の領事条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明申し上げます。  わが国は、アメリカ合衆国との間に領事に関する事項規定するための領事条約締結につき、かねて交渉を行なって参りましたが、先般最終的に妥結を見、昭和三十八年三月二十二日、東京において大卒外務大臣とライシャワー・アメリカ大使との間でこの条約の署名が行なわれた次第であります。  この条約は、本文二十七個条からなり、これに条約と不可分の議定書が付属しております。その内容は、派遣国接受国において領事財産について享有する特権免除領事官接受国内で享有する特権免除領事館において事務的または技術的職務を行なら領事館職員特権免除接受国国民である領事官及び領事館職員特権免除等についての規定のほか、領事館の設置、領事官の任命及びその職務範囲認可状交付等に関する事項についての規定を設けております。  わが国アメリカ合衆国との間の経済的、文化的及び人的な交流はきわめて盛んであり、その領事関係も複雑かつ多岐にわたっていることを考慮いたしますと、領事官職務特権等について、単に一般の国際法国際慣行のみによって律することとせずに、両国において具体的に取りきめておくことが相互に利益となるものと考えられます。  よって、ここに、この条納締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  5. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 以上で提案理由説明は終わりました。   —————————————
  6. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に、国際情勢に関する調査議題といたします。大卒外務大臣が間もなくお見えになります。なお志賀防衛庁長官も十一時ごろ見える予定でございます。速記をとめて。   〔速記中止
  7. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて。  ただいま大卒外務大臣が見えましたので、森委員から質疑の通告がございますので、これを許可いたします。
  8. 森元治郎

    森元治郎君 きょうはF105ジェット爆撃機日本配備に関連して質問するわけですが、たいへん各方面に反響があるのですが、その中で、特に現地の福岡では、市長さんや県知事が政府あて、あるいはアメリカ軍あてにいろいろな陳情をしておるわけです。これは外務大臣のお手元にも、総理大臣のお手元にも着いておることと思うのですが、どういう措置をきれたか。内容新聞によりますと、市民全部が納得できない限り配備にはあくまで反対だ、そして配属計画実施をやめてくれ、そして両国間でもって十分話し合ってくれというような趣旨陳情だと思うのです。政府は当然これにお答えになったのか、これからお答えするのか、答えるとすればこういう点にどういう趣旨の返事をなされるおつもりなのか。
  9. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 関係地方当局から、今お申し出のような政府に対する要請があることは承知いたしておりますが、私は直接まだキャッチいたしておりません。御案内のように、今度のF105のF105との更新の問題は、米国本土ばかりでなく、欧州におきましても、また極東方面におきましても、老朽化いたしました100をF105に更新していく近代化計画米軍のほらで進めておるその一環でございます。したがって、このF105の導入がございますために滑走路を特に延長するとかいら計画はないということ、それから、今政府のほうではっきりつかんでおりませんのは音響の問題でございまして、どの程度音響を招来するものかという点は、現地に入ってみまして、よく測定をいたしまして、それに対応した措置を講じなければならぬという問題があるわけでございまして、私どもといたしましては、これらの点をよく御説明申し上げ御理解を得るとともに、この機種が入って参りましてどういう影響をもたらすかというような点につきまして詳細に取り調べて、それぞれそれに即応した措置をとって参るというようにいたしたいと思っておるわけでございまして、そういう措置を通じまして、みんなに御理解を得るように努めたいと考えています。
  10. 森元治郎

    森元治郎君 大臣はお読みになったのですね、その地元からの要請申し入れを。
  11. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 今、外務省には、私のところにも、局長のところにも、まだ参っておりませんで、新聞紙上を通じてそういう要請があるということを伺っております。直接参っておりません。
  12. 森元治郎

    森元治郎君 それでは仕方がないけれども申し入れのほうの内容として新聞に伝えられるうちの小さいほうをお答えになったんですね、一つのほうは。一番大事な二つの大きいほらはお答えにならぬから、それを伺います。  新聞では、一番心配している核兵器持ち込みは絶対にしないと言うが、その証拠、証明となるものは何でしょうかというのが第一点。  第二点は、こんなにたくさん——七十五機ということですが、多数が配備されるのは一体どんな必要からでしょうかというのが大きい二点ですね。そのために本委員会がきょうの主題として持ち出しているわけです。  最近アメリカを見ると、原子力潜水艦の寄港問題にしても、こういう新しい原水爆の、いわゆる核兵器飛行機が入ってきたり、従前と違って積極的な様相が見えるんですが、防衛庁長官専門でありますが、外務大臣安保条約の施行の責任者として、大平さんは大平さんなりにとくと情勢をつかんでいると思うので、この二点を大きくひとつ政治家外務大臣としてお答え願いたい。
  13. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一点の、核兵器持ち込みは認めないということは、国会を通じまして政府がしばしば明瞭に申し上げておるところでございまして、たとえ事前協議がございましても、日本政府としては同意をする意向はないということはアメリカ政府にも申し入れアメリカもよくそれを承知しておるということは、たびたび申し上げておるとおりでございます。  しからば、その両国了解というものを実地に具体的にこれを保証する措置があるのかということでございますが、これはたびたび私からも申し上げておりますとおり、これは日米間の信頼でございまして、アメリカといたしまして、日本政府に対して毛頭持ち込む意図はないということを言っておりまするし、今日までの安保条約の運営の経過を見てみましても、そういう懸念というものは私どもは持っておりません。条約を運営する場合には、あくまでもこれは両国の深い信頼に立たなければならぬことでございまして、無数の飛行機、艦船が入っておる状況におきまして、一々日本が検証していくというようなことはすべきじゃないし、私どもはそういう意図も持っておりません。あくまでも深い信頼に立ってやっておるわけでございます。今回の場合もその例外ではございません。そのように考えております。  それから第二点としては、先ほど私もお答え申し上げましたとおり、アメリカ意図が、105の導入を通じて非常に積極的になってきておるというように森先生御発言でございましたが、先ほど申し上げましたとおり、私どもは、これはアメリカ軍全体の近代化計画という毛のが時代の進運に即して行なわれておるその一環であるということでございまして、兵器近代化という趨勢に沿ったものである。このことがあるために、このことが国際緊張を激化するというように私ども考えていないということは、たびたび本委員会でも私申し上げたのでございまして、そのことについて関係地域の方々に十分御理解をいただくように努力をしたいと存じておる次第でございます。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと委員長、関連。  ただいま外務大臣は、アメリカ軍が最近兵器近代化を、自国のみならず、世界中に配置されておるアメリカ軍兵器近代化を進めておるのだ、こういうふうに言われておるわけです。その一環としてこれは受け入れざるを得ないので受け入れたというふうなお考えのようですが、一体その兵器近代化ということはどういうことなんですか。私どもは、どうも最近の兵器近代化ということはだんだんに核装備に行っておるのだ、こういうふうに考えております。戦略的な核装備はもちろんでありますけれども、さらにそれが戦術的なものにまでずっと及んできておる、こういう段階だと思うのです。そういたしますと、兵器近代化が行なわれておるとそれを是認して、日本アメリカが新しい兵器を持ち込むというときに、そういうものが必ずくっついてくるのです。それでも核装備は認めないのだ、持ち込ませないのだ、その点はアメリカの良識に待つのだというふうにお考えなんですか。たとえば、F105は、これは水爆を運んでくることもできわけです。こういうことは政府のほうで認めておられるのです。そのことはすでに水爆日本に持ってこられる前提になるのじゃないですか。だから、兵器近代化ということは認めていいのだということになってくるというと、あなたの言葉をそのまま進めていけば、核装備もそのまま認めていいということになる。その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  15. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それはたびたび申し上げておるように、核兵器持ち込みは認めないということは不動方針として内外申し入れて、しかも、その了承を得ておるわけでございます。私の言う近代化計画というものは、通常兵器領域におきましても日進月歩でございますので、日本の場合だけは、通常兵器領域におきましても老朽化したものでやってくれというようなことは、私は常識に合わぬと思うわけでございます。核兵器持ち込みを許さないということは不動方針として確立しておるわけでございまするし、たびたび申し上げるように、先方もそれをよく了承いたしておるわけでございます。したがって、その範囲にわたらない程度通常兵器近代化ということは、日本の場合だけはごめんだということは、いかにもこれは不自然でもあるし、非常識でもあると思います。
  16. 森元治郎

    森元治郎君 それから大臣核兵器持ち込みについて、事前協議との関係で二点伺いたいと思いますが、事前協議主題とするとなっていますね、交換公文は、核兵器の場合。この場合に、あの交換公文では、同意とか合意とかいう——この前の安保条約審議のときに問題になった同意とか合意とかいう字をとうとう取りつけられなくて終わってしまって、単に事前協議主題とすると交換公文にはなっておりますが、事前協議に入った場合、協議は、アメリカはぜひ持ち込みたいと言っても、どんなことがあっても核兵器反対である、使わせない、持ち込ませないということを主張し、それがために協議がととのわなくてもおやりになると明言できますか、それが一点。  それから第二点は、今まで核兵器というと、ともすると常識的に、広島にB29が運んできたような形の大きなもの、そういうのがこれまでの観念であったが、近代化によって小さいものになり、飛行機で使うもの、あるいは戦車で撃ち出すもの、あるいはミサイル地上から地対空飛行機をやるもの、海軍、空軍、陸軍によっていろんな形、いろんな小さいものもできてきたのでありまするが、持ち込み反対ということには、完成品、でき上がった完成品持ち込み反対するのか、あるいは持ち込んでも、ばらばらになっている、これをつなぎ合わせて初めて一つ爆弾となるのでありますが、不完全な品物、完成品は持ち込んでいけないが、ばらばらならいいのか。それからもう一つは、完成品はいけないとするならば、ばらばらで持ち込んでくるが装備してはいかん、装着してはいかん、飛行機タンク等装着ですね。飛行機原水爆を運べるような装着をしていかん。装着に関連していろいろ問題が出てくるのです、最近事情が変わってきましたから。もう一ぺん伺います。事前協議協議がととのわなくても、アメリカが何と言おうとも、ぶちこわして毛核兵器反対すると、この際明言できるかどうか。それから持ち込み拒否といいますか、完成品持ち込みを拒否するのか、完成品でなくばらばらであれば、まだ核兵器としての力を発揮できませんですからそれはかまわないが、ただ装着するのはいけないというのか。こういう点について伺います。
  17. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一の点につきましては、森先生が御懸念のような事態にならぬのでございます。すなわち、核兵器持ち込みということは、安保条約から申しますと事前協議の対象になるわけでございますが、これはたとえ事前協議がございましても認める意図がない、しかも日本反対を押し切ってまで持ち込む意図はないということは、両政府の間で了解があるわけでございますので、私の理解では、先方からそういう事前協議に持ち込むことはない、したがって、今事前協議が現実に行なわれてこちらが拒否するというような場面考えられない、それが第一点。  それから第二点につきましては、ここ数年来政府国会で申し上げておりますのは、核の分裂あるいは核の融合反応というものを破壊力または殺傷力として用いるものを核兵器と言うのだということを終始一貫申し上げておるわけでございます。で、今御指摘のように、核兵器の部門におきましてもだんだんと兵器科学が発達して参るわけでございますが、私どもは、今申しました政府基本方針に照らして、兵器科学専門家が検証、判断いたしまして、今政府が申しました方針に沿っていないようなもの、そういうものは大原則で持ち込みは認めないということになっておるわけでございますから、私は兵器科学専門家ではございませんので、一々具体的なケースケースについて判断する能力を持っておりませんが、専門家政府方針に沿っての具体的な判断というものを信頼して参りたいと思っております。
  18. 森元治郎

    森元治郎君 さっき大臣は、アメリカのほうから核兵器の問題について日本申し入れをすることはないとおっしゃいましたが、この安保条約第六条の実施に関する交換公文によりますと、こういう話を持ち出すのはむしろアメリカ政府義務とさえ受け取れるのです、義務とさえ。義務とはっきりと申せるかどうかは疑義がありますが、それは「合衆国軍隊」——「合衆国軍隊」というのがサブジェクトになるわけです。——合衆国軍隊日本国への配置における重要な変更配置変更とか装備変更は、「日本国政府との事前協議主題とする。」、そういう文書になっておるわけです。ですから、平等じゃないんです。アメリカのほうがむしろ拘束されているのが交換公文なんです。この点ちょっと大臣の御理解と違うように思うんですが、どうなんですか。向こう主題とすべきなんです。
  19. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど申し上げましたように、日本政府としては核兵器持ち込みは認めないということを、事前にもうアメリカに申し上げてあるわけでございまして、アメリカ日本意向に反してそういうことを要請するつもりはないという約束になっておりますので、核兵器持ち込みについての事前協議という場面が物理的に出てこないという仕組みになっておるわけでございます。
  20. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ただいま志賀防衛庁長官が見えましたから、長官に対する質問がありましたら、あわせてひとつ。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 防衛庁長官に伺いますが、このF105サンダーチーフ戦闘爆撃機、これはもちろん従来のF105と変わった——どこが変わったかといえば、スピードとか、操縦性とか、航続力とか、いろいろな性能の変化もありますが、何といっても、原水爆核兵器を積んで、しかも、それだけの優秀な性能を発揮できるところにある。その一番優秀な期待される性能、それが乗っからないF105というものは、きばのないトラみたいになっちゃう。そんなものにわざわざ金をかけても、外務大臣の言う近代化計画一環としてということにはならないと思う。アメリカさんのほうでは、大平さんの言葉をかりると、大体物理的に申し込んでこないんだと、まことにけっこうな話ですが、一体戦争道具——戦争は相手があって戦う、これに対して勝ちたいというときに、せっかく近代化してきたものを、核兵器を積んであの性能で、スピードで走れるものが、核兵器はおろしていくんだと、簡単な普通の弾道のミサイルぐらいを吹っ飛ばしても、これ何の意味もないんですね。あなたは国防大臣としてどう考えますか。必ず向こうはこれは持ち込んでくる。大平さんがそうがんばれば、頼むと言ってくるかもしらぬ。これは当然だと思う。そういう事態は想像されると思いますが、防衛庁長官……。
  22. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 105の性能についてただいまお話がございました。私どもの承知いたしておりまする限りにおきましては、水暴を搭載するための専用の飛行機ではないんでございまして、万能飛行機でございます。水暴も積め、あらゆる場合にこれは使い得る飛行機でございまして、どうも頭からF105は水素爆弾を積み込むために、またそれを目的として生産されたという御議論には賛成しかねるのでございます。あらゆる場合に最も有効な力を発揮する飛行機であるとわれわれは考えておるのでありまして、現に板付にときどき参りまするF102にいたしましても、いつでも核爆弾装着できるようになっておるのでありまして、あらゆる飛行機が、少なくともジェット戦闘機核爆弾装着でき得るようになっている。ただしないだけでございまして、したがって、だんだんに核爆弾をも装着した飛行機を受け入れるであろうというようなことは御想像でございまして、私どもは、断じて排除することは既定方針であり、またしばしば国会を通じて内外に宣明いたしておるところでございます。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 大臣原水爆を乗っけられる飛行機はあに105のみならんやで、102でも新しいものは乗っかるんだと、そういうものを装着すればできる戦闘機なり、戦闘爆撃機なり、あるいは爆撃機なり、そういうものの数は、大臣御存じならばおっしゃって下さい。乗っけられるのは一体どのくらいですか、日本で現在。
  24. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 技術的な問題でございますから、防衛局長説明いたさせます。
  25. 海原治

    政府委員海原治君) 多少細部にわたりますが、御説明申し上げますと、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、F105と申しますのは、多目的、いわゆる万能機でございます。最近各国で開発しております戦闘機、あるいは戦闘爆撃機というのは、いろいろな武装ができることになっております。このF100というものも一応戦闘爆撃機ということになっておりますが、F100というものはマッハ一・二クラスの戦闘爆撃機F105Dとなりますとマッハ二・二クラスの戦闘爆撃機、こういうふうにスピードが違います。武装について申し上げてみますと、F105は二十ミリの機関砲空対空ミサイル・サイドワインダー、二・七五インチのロケット、そのほかに空対地ミサイルブルパップナパーム爆弾及び他の核爆弾も搭載できる、こういうことになっております。この冒頭に申しました三種類の機関砲とかサイドワインダー、二・七五インチロケット、これは空対空戦闘に使うものであります。こういうものは全部同時に装備いたすのではございません。そのときの情勢に従いまして所要装備を持って出かけていく、こういうのが現在の新しい戦闘機使用方法でございます。その点から申しますというと、大臣が御説明申しましたように、現在日本に来ておりますところのF100にいたしましても、あるいはF102にいたしましても、ないしは104、これは日本のはもっぱら要撃でございますが、ヨーロッパで使っておりますのは、これに地上戦闘地上爆撃能力を加えたものでありますが、このものにつきましては、核爆弾装着しようと思えば技術的にはできるものであります。
  26. 森元治郎

    森元治郎君 だから、そうやって技術的に装着できるものは幾つくらいきょう現在あるのか。たとえばF100はまだ引き揚げないんですから、七十五機は日本にあるわけだ。そこでこの間新しいのが一スクォードロン来たから二十五ある。そうすると合わせて百機ある。そういうものは、一体乗っけられるものは幾つきょう現在あるのかと聞いているのです。
  27. 海原治

    政府委員海原治君) 先生のおっしゃっております乗っけられると申しますものは、技術的にそういう装置をつければということでございますか。
  28. 森元治郎

    森元治郎君 そうそう。
  29. 海原治

    政府委員海原治君) 現在日本におりますものにつきましては、現在そういう装置はついていない、このように承知いたしております。
  30. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、現在あるのは、この間来たばかりのF105だけですか。
  31. 海原治

    政府委員海原治君) F105につきましても、水爆あるいは原爆を搭載しますときには、それの必要な技術的な若干の装置をつける必要がある、このように承知いたしております。現在持っておりますものにつきましてはそういう装置はない、こういうふうに承知いたしております。
  32. 森元治郎

    森元治郎君 海原さん、あんまり防戦しなくてもいいんで、そういう装置をつければ乗っかるものは幾つぐらいあるんだと聞いているわけです。
  33. 海原治

    政府委員海原治君) 在日米軍の現在数を申し上げることは、これは差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、現在日本におりますものは、三十九師団三沢におりますが、その隷下にはF100とF102とでございます。この両方ともに、核爆弾を搭載しようと思って所要装置をつければ、できるものであります。F100は三スクオードロン。四十一師団横田にはB57、F102、KB50、こういうものがおりますが、このうち102は三沢のものと同様でございますので、これも原爆を搭載しようと思えばできるものであります。横田には102は一スクオードロンございます。板付には第五空軍直轄部隊といたしまして第八戦術戦闘航空団がございますが、これはF100で編成されておりまして、これが三スクオードロン。それからそのほかに第六十八要撃戦闘飛行隊、これも第五空軍直轄でございますが、これはF102をもって編成いたしております。F102はやはり一スクオードロン。以上が現在日本におりますものの100と102につきましての編成の状況でございます。
  34. 森元治郎

    森元治郎君 それプラスこの間到着した二十五機ですか。そういう計算になってよろしいのですね。
  35. 海原治

    政府委員海原治君) F105はF100に逐次置きかわるものでございます。到着しましたものは十数機と聞き及んでおりますが、それに従いまして、板付F100の三スクオードロンの中のどの程度のものが撤収したか。それにつきましては私ども承知いたしておりません。
  36. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、局長のお話では、きょう現在のところ、八スクオードロン足す十数機と言われる数日前に来たF105、これが原水爆の乗っけられるかなりの数になりますね。一スクオードロン二十五機として計算するにしても、相当な数になる。そうすれば、衆議院でもって外務大臣も、防衛庁長官も、これは単なる機種の変更だ、楢崎君が質問したような装備変更じゃない。外務大臣は、新聞記事によれば、それほど深刻な問題じゃございません、こうおっしゃっておるのですが、これは私はやはり単なる機種の変更ではないと思う。その理由をひとつ申し上げまするが、長くなりますから一つ一つ項目的に言えば、そもそも作戦目的が違ってきたんじゃないか。従来の日本にある航空機を見ますと、もっぱら防衛の空軍である。インターセプターが多かった。来たものは迎撃する。ところが今度のF105を見ると、戦術空軍——TAC、要するに優速を利して、しかも水爆でも積んでウラジオでも北朝鮮でも自由に攻撃し、地上の軍隊と協力する、直協の行動がとれる空軍である。ですから、空軍の作戦目的が防衛から戦術空軍に変わった、積極性を持ったということが一つ。その証拠に林統幕議長は、このアメリカ軍の105戦闘機の来日によって日本の防衛力は増強されるものと期待される。増強ということは大きな言葉であります、増強するという言葉は。わずか来たばかり、あるいはわずか年末まで七十五機と言われておる。七十五機。昔の観念でいけば少しばかりでありますが、水爆原爆を積む飛行機が七十五機来ることは増強になるのだということを統幕議長が言っていることが一つ。  それから、核戦力をここに持ち込んだということは、今までにない大きな変化であります。装備変更ということではないと言っておりますが、防衛庁の装備局類別管理官というのがおりますが、類別管理官あたりが、この防衛年鑑の中で、装備という項目について書いている。装備とは船舶であり、車両であり、航空機であると、これはわかり切ったことでありますが、装備として航空機は当然入ってくる。それから、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法、あの中にも装備品の定義が書いてあります。「この法律において「装備品等」とは、船舶、航空機、武器、弾薬」など、これは当然装備なんですね。質的に変わり、目標が変わり、しかも、戦力——ポテンシャルが、水爆は乗っけてないけれども、いつでも乗せて走れるというポテンシャルを持っているもの、これは単なる機種の変更ではないと思うのですがどうですか。これは外務大臣防衛庁長官にお伺いいたします。
  37. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 兵器の問題になりますから、専門家にお願いいたします。
  38. 森元治郎

    森元治郎君 防衛庁長官ひとつ。
  39. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) ただいま林統幕議長の旅先における新聞談話を今お読みになったのでありますが、おそらく林君は結果論からそういう感想を漏らしたものと思いますが、われわれの考えでは、装備が充実いたしまして、しかもその内容近代化されますれば、結果的には防衛力が増強される、そういう意味で私は申したものと判断をいたしておるのであります。
  40. 森元治郎

    森元治郎君 それだけでは私の質問の答えにならないので、政府は、われわれの仲間の、同志の楢崎君の質問に、これは単なる新しい飛行機が来たのだよと、簡単に言えば。装備変更じゃない。そうじゃないのだ。やはり装備変更に入るのじゃないか。そういう意味で戦術目標が、在日空軍の作戦目標が防衛から積極的な戦術空軍に変わったのじゃないか。それも多目的飛行機であるといいながら核に大いに期待を持っている。それを持って多目的飛行機の力がいよいよ強くなる。こういうものが入ってきたならば、これは装備変更になる。装備変更になれば事前協議主題となるのじゃないか、こういうことを伺っている。
  41. 海原治

    政府委員海原治君) F100とF105の取りかえが装備変更か機種の変更かということの関連でございますが、私どもといたしましては、防衛的な立場で申し上げますというと、米空軍が言っておりますとおり、古いものに新しいものがとってかわる。したがいまして、それは機種の変更である、こういうふうに思うわけでございます。防衛庁といたしましてもF86FとかF86DにかえましてF104Jというものを作っておるわけでございまして、同じような置きかえだと思いますが、こんなところがいろいろ御意見の分かれる点であろうかと思いますが、少なくとも事前協議の対象である重要な装備変更というふうにはどうしてもなるものではない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  42. 森元治郎

    森元治郎君 その辺まで近寄ってくれば話はわかるのです。ですから、機種の変更ではなくて、装備変更に近いということをお認めになったと私は思うのです。これはあっさりとお認めになることが最も常識的だと思うが、海原局長はこの際、装備変更である、しかし事前協議にいうところの重要な変更であるとは思わない、こういうふうにお答えになってしかるべきだと思うのですが、どうですか。
  43. 海原治

    政府委員海原治君) たいへん微妙な点でございますが、私の申し上げました点は、私どもといたしましては、あくまでこれは機種の変更である、すなわち、装備変更ということではないというふうに解釈いたしておるわけでございますが、これはいろいろとお立場によりましてのお考えもあろうかと思います。その場合におきましても、重要な装備変更ということにはならない、こういうことを申し上げておるわけでございます。これはやはり私ども防衛という問題を担当いたします者の立場から申しますと、逐次飛行機が新しいものに取ってかわることは自然の理である。F100とF105の相違というものは、これは同じ戦闘爆撃機の範疇に属することは、これは通説の一致しているところでございます。それから、水爆という点につきましても、現在の兵器の進歩によりまして非常に型の小さなもの、かつ重量の軽いものに変わってきております。それで原爆水爆の差がどうだということになりますと、これは非常に問題がむずかしくなりますが、いろいろの点を考えまして、100を105に置きかえるということは、私どもといたしましては、機種の変更である、装備変更ではないと思う。しかし、かりにそれが装備変更というお立場になられましても、その上の重要な装備変更というふうにはならない、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  44. 森元治郎

    森元治郎君 要するに、装備変更とあっさりかぶとを脱がれたほうがよろしいと思う。そこで、重要ではない——「重要」という意味の翻訳がうまくないのです。メージャー・チェンジ——メーシャーというのは野球で御存じのように、メージャー・リーグ、マイナー・リーグの、対抗するメージャーであって、二つの中のいずれかという場合のメージャーであり、マイナーなんです。ですから、重要というと秘密みたいな感じがしますが、「大きい変化」というふうに解釈するのが当然だと思う。しかも、これは単なる装備変更だけではなくて、これが全国——板付三沢配置されますと、戦力が大きく上がります。先ほど申し上げた作戦目標も変わって参りますと、配備変更にもつながるものだと思う。ですから、「より大きな」という解釈をとるならば、今までよりは「より大きな変化」として、当然事前協議主題にすべきだと思うのですが、もう一ぺん伺います。
  45. 海原治

    政府委員海原治君) 105につきまして、現在板付に参りましたのが、「より大きな変化」であるかどうかにつきましては、先ほど来申し上げておりますが、105がヨーロッパに参りましたのは、一昨年の五月でございます。ヨーロッパに105が展開しましてから大体二年、三年目にこちらのほうの機種が変更になります。こういう経過をごらんになっていただきましても、古いものに新しいものが取ってかわるという自然の流れであって、それが「より大きな」というふうには私どもとしては解釈をいたさない次第でありますことをひとつ御了解願いたいと思います。
  46. 森元治郎

    森元治郎君 一体、こういうものを持ってこなければならんような大きな、この辺の、日本を取り囲む国際の平和と安全に何らかの心配事があるのかどうか。これは前提として防衛庁長官にお伺いします。
  47. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 極東をめぐる国際情勢につきましては、依然として東西対立の緊張が存在していることは事実であると思います。しかしながら、ラオス問題にいたしましても、一応停戦に相なっておる。現在のところ、極東の情勢に重大な変化があると、われわれは考えておらないのであります。したがってが、F105が板付に参りますことは、極東をめぐる国際情勢に何ら関係ないものとわれわれは考えているのであります。
  48. 森元治郎

    森元治郎君 関係のないものならば、銭使ってこうやって国会でわざわざ騒ぐ必要はないので、何らかの情勢の変化があるから、対応するように新しいものを持ってきているのだと思うのです。突っ込んでもそれ以上のお答えも出なさそうなので、あと一点だけお伺いします。  防衛庁の立場で、核兵器持ち込み反対という場合に、よく政府核兵器持ち込みであったならばお断わりすると言いますが、先ほど海原局長のお話しのように、最近はハンディな原水爆もできてきたようです。やがては手榴弾ぐらいできるでしょう。そうしますと、持ち込みも、大きな横浜の税関あたりで目につくようなものではなくなってくる。だから、完成品は入れないというのか、あるいはばらばらで、その部品を統合して、起爆装置と前のほうをくっつければドカンという、そういうものはいけないのだが、ばらばらはいいというのか。ばらばらで持ってきて毛、それを統一して爆弾にくっつけなければいいのかどうか。その辺、専門家の立場から伺いたいと思うのです。海原局長どうですか。
  49. 海原治

    政府委員海原治君) 私も核兵器の細部について知識を持ち合わしているわけではございませんが、ものの本によりましても、こちらに持ち込んできて組み立てるということはあり得ない。
  50. 森元治郎

    森元治郎君 完成品ですか。
  51. 海原治

    政府委員海原治君) 完成品でございます。最近は、先生おっしゃいますように、非常にハンディのものになってきております。ヨーロッパにはデビークロケットと申しまして、大体二百七十九ミリ、三十三サンチ砲でございますが、ジープに搭載して二人で操作できるものが展開しております。そういうものを出すことが、核拡散防止ということからいったらいいことか、悪いことかということが問題になりまして、ある新聞によりますと、このデビークロケットは米本土に引き揚げるのじゃないかということも考えられます。かりに小型になりましても、現在の政策でございますと、これはこちらの国に持ち込まれるということはまずあり得ないのではないか、このように観測いたしております。
  52. 森元治郎

    森元治郎君 防衛庁長官に伺いますが、核兵器と称するものは大小を問わず、陸上自衛隊が使うもの、あるいは最近の対空ミサイルなんかに使うもの、大きいものも小さいものも、いかなるものも入れないという方針であると思うのだがどうかということを大臣からひとつ。
  53. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 政府がしばしば言明しておるとおり、核兵器は一切自衛隊はこれを導入を許しません。
  54. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっと関連して。それで私非常に疑問に思うことは、その場合でも、この装備のできる状態ではあるが、それを実際上装備する場合には、核弾頭ですね、その場合には事前協議するのでしょう。そうすると、日本はいかなる場合でもアメリカ持ち込みも許さないし、また日本自身も持たない、これは政府の基本的な方針ですね。そうすると、一体アメリカがそういう、ただそういう装置をしようと思えばできる。それだけのものを持ち込んで、それに今度は実際は核弾頭をつけないで、ただそういう装備をしようと思えばできるという状態で日本へ持ち込んできてどういう利益があるのか。実際問題として、核弾頭をつける場合には事前協議をやるのでしょう。やるだけでなしに、私は事前協議をやった場合に、場合によっては承諾するとこがあるのかどうかということを、これは岸内閣のときにお尋ねしたことがあるのです。いかなる場合でも承諾しない、断わると言っておるのです。いかなる場合でも断わるのなら、事前協議も何もない。この前も私申し上げておるように、日本としては事前核兵器に関しては承諾をしないというのなら、これは公然と文書か何かで明らかにしておいたほうがいいということを前から言っておるのですが、これはきょうはこの点は触れませんけれども、いかなる場合も断わる、また持ち込みも認めない、そういう場合に日本自身が持つこともあり得ない、そうなれば事前協議なんかあり得ないでしょう、事前協議があれば必ず断わるのですから。そうなれば、アメリカが持ってきたってしょうがないですよ。どういうことですか。
  55. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これは、先ほど森委員の御質疑のときに申し上げたとおり、私は事前協議という場面が物理的に出てこぬと思うのです。羽生さんと同じ意見です。ただF105Dというものは、先ほど防衛庁側からも御説明がございましたとおり、多目的でございまして、速度も早くなっておりまするし、機種としての機能が充実しておるわけでございまして、核兵器を搭載しなくても、在来の戦闘爆撃機としての機能が高いわけでございますから、これが、いうところの兵器近代化の潮流に沿いまして今度こういう更新が行なわれる。それはまたそれなりの理由があると私ども考えております。
  56. 羽生三七

    ○羽生三七君 もう一点だけ。この場合に、解釈によってそれは核兵器であるかないかというような違いが起こるような状態で何か持ち込まれるということはあり得ないのですか。われわれとしては、それは核兵器とみなす、あるいは政府としてはこれは事前協議の対象にはならぬ、核兵器とは思えぬというようなことで、そういう形のものとして持ち込まれるというようなことはあり得ないのでしょうかどうでしょうか。その辺を明確に、何か基準というものが、公然と何ぴとの解釈も統一されて、これはあいまいなものでないというものがあるのかどうか、その点はどうですか。
  57. 海原治

    政府委員海原治君) 実例で申し上げますというと、先般の予算委員会等におきましても、たとえば現在三沢におりますところのF102でございますが、これは空対空のミサイルとしてファルコンというものを装備するわけでございます。ファルコンには数種類ございます。その一つは核弾頭のものがございます。核弾頭のものと通常のものとは明瞭に形も大きさも色も違うのでございます。こういう102につきますところの核兵器三沢に来ておるのではないかという御質問がございました。絶対にそういうことはないということを申し上げたあとで、さらに調べてみましたら、そういう事実はございません。したがいまして、そういう兵器の中の一つのその部分だけを取りかえれば通常弾頭のものが核弾頭になるというものではございませんで、先ほど御質問ございましたように、完成品としてできておりますから、これは核弾頭であるか通常弾頭であるかということは、一見してわかるわけでございます。したがいまして、そういうような事情でございますので、日本の中で取りかえるとか、あるいは適当な部品だけを持ってきてこれを完成するということはあり得ないということを先ほど御説明した次第でございます。
  58. 森元治郎

    森元治郎君 それでは、大臣一つ局長一つ聞いて私は質問を終わります。防衛庁長官海原局長の話を聞くと、ものの本によればと、原子兵器のことについて触れておるのですが、持ち込み反対だの賛成だのということを議論をしていて、だれも見たことがないのか。およそ、あまり極秘じゃない程度のそういう原子兵器飛行機に積むもの、船に積むもの、おかで使うもの、そういうものは、一体人のものを見ようとしたことがないのか。これでは話にならないと思うのです。これをもって、コーヒーが入っている茶わんが原爆かもしれぬということは容易ならぬ。そんなことで一体防衛庁長官が勤まるか。  それから海務局長に、F105に乗っかる、積める水爆といわれるもの、これは詳しく知りませんが、それはいわゆる私たちがこういうコンベンショナルな意味のこういう爆弾なのか、あるいは空中から地上に向かってミサイルでぶち込む、その弾頭に水爆がついておるのか。こまかいのですが、その二点、大臣からお伺いしたい。
  59. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 私も爆弾の正体は見たことはないのでございまして、いろいろ研究をいたしまして、防衛局長からある程度お答えいたします。
  60. 海原治

    政府委員海原治君) 私自身も原子核兵器弾頭を見たことはございません。原子力潜水艦に乗ったことはございますが、御存じのように、核兵器というものはそれ自体が軍事機密でございますし、日本にはございませんし、今まで見たことはございません。  それから第二の問題でございますが、F105の水爆ということでございますが、これはジェーン年鑑によりますと、この爆弾倉の中に通常爆弾、それからニュークリアの爆弾、それからサーモ・ニュークリアの爆弾と書いてあります。このサーモ・ニュークリアというのは核融合反応のものでございますから、これは通常水爆というふうに考えるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、水爆そのものの大きさというものは非常に小さくなってきております。B52、これは超水爆といっております。これに積んでおるものが大体五トン程度の重さで、これが二十メガトンの威力を持っておるということは一般には認められておりますが、どの程度のものまで小さくなっておるかということは、実はわからないわけです。ポラリスとかミニットマンの弾頭は大体三百キロ前後といわれておりますが、この程度でTNTで五十万トンあるいは一メガトンに近いものと、こういわれております。おそらくこれは水爆的なものというふうに考えられますが、ICBMの弾頭と通常爆弾とは構造が違っております。したがって、現在水爆的な爆弾の一番小さいものはどの程度のものかということをいろいろ調べましたが、私どもでは承知いたしておりません。どういうふうに落とすかということでございますが、これは精密な照準器、いわゆる射撃管制装置爆弾投下装置がございますので、これによって照準して落とすというふうに承知いたしております。ブルパップにつきましては、現用のものは全部通常弾頭でございまして、現在核弾頭のものは研究開発中というふうに承知いたしております。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 私ども、これは勉強のために伺いたいのですが、最近核兵器の発達に伴ってアメリカの戦略に変化があります。私どももいろいろ本で多少は知っておるのでありますけれども、これはやはり日本の防衛ともたいへん関係があるわけです。防衛庁長官として最近のアメリカの新しい戦略、それから変化しつつあるこの新しい戦略、これをどういうふうにごらんになっておるか、ひとつそれを御説明願いたい。
  62. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 米国の、特に極東における核戦略体制と申しましょうか、これは沖繩を中心といたしまして、極東の諸島にありまする陸軍の基地、それから海上にあります第七艦隊と緊密な連絡をいたしまして、アメリカの持っておりまする核攻撃力を背景として、少なくとも極東において大規模な戦争を抑止するためにその役割を果たしておるものと考えておるのでありまして、私どもといたしましては、重大な変化をあらためて感じておらないのであります。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、アメリカの核戦略は、沖繩とそれから第七艦隊、それが主である、こういうふうに……、しかし、そういうようなものが主になっておる。そうしてまた、たとえばポラリス潜水艦が太平洋に配置されるようになってくるというと、かなり大きな変化がそこに見られてくるわけですが、そういうようなアメリカの戦略のだんだんの変化というか、強化というか、そういうような場合における日本におけるアメリカの軍事基地、それから日本におけるアメリカ軍の、何といいますか、地位というか、アメリカ軍の役割といいますか、それがどういうふうに変化をしてくるか、そこいらの点についてひとつお伺いしたい。詳しくはひとつ防衛局長のほうからお伺いしたいと思うが、まず防衛庁長官にお聞きします。
  64. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) よくアメリカが近き将来にポラリス原子力潜水艦を極東に配置するという話は間接に聞いておるのでありますが、公式には承知いたしておりません。そこで、よしんばただいまのお話のように、近き将来にアメリカがポラリス原子力潜水艦配置いたすにいたしましても、先刻来いろいろお話がありましたとおり、わがほうといたしましては、ポラリス原子力潜水艦日本におけるアメリカの基地は使用させない、また使用をいたさないのでございますから、したがって、日本におきまする米軍の基地の地位には、ただいま御指摘になったようないろいろな変化はないと、私ども考えておるのであります。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 第七艦隊は、日本の佐世保とそれから横須賀を基地としておるわけですが、この第七艦隊自身が核装備をしておることは隠れもない事実です。それが強化されてきて、そして第七艦隊が佐世保やあるいは横須賀を基地として活動する。その活動が強化されてくるということになれば、それだけでもすでに私は日本におけるアメリカの軍隊の役割というものは、それだけまた全体の変化とともに変化してくるものと思う。それからまた、空軍にいたしましてもそうであります。ほかのほうの空軍核装備を持ち、そうして行動半径をずっと拡大して攻撃力を貯えてきた場合に、日本空軍基地におるアメリカ空軍が、機種は新しいものに変わったけれども、それに相応する働きをしないとしたならば、これはアメリカの太平洋における戦略の上に欠陥が生ずることは明瞭であります。そうすれば、そうならないためには、日本におけるアメリカ空軍というものも、また他のところに配備されたものと同じような活動を始めるだろうということは、これは想像にかたくない。そういたしますと、従来のままの役割ということではなくなってくると思う。そこいらはどうお考えになりますか。それでもなおあなたは従来のままだ、こうおっしゃいますか。
  66. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) これも先刻来いろいろ議論のあったところでございまして、古い老朽化されつつある飛行機を新しいものに切りかえるということにわれわれは了解いたしておるのでありまして、たとえ空軍板付F105を配置したところで、それが直ちにアメリカの戦略体制に変化があるとは考えておらないのでございます。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 たいへんどうも私の質問に対しまして用心深いお答えをされておる。私は全般のアメリカの極東における核戦略の問題の中における日本アメリカの軍事基地の役割なり、日本配備されたアメリカ軍の役割なりについてお話を申し上げているのに、F105の問題にすり変えられまして、そうして先ほどのお答えと同じことを繰り返されておるのですが、私の質問は、そうではなくて、そのアメリカの全体としての核戦略の、極東における核戦略の上における日本の基地の役割なり、あるいはまたそこにおるアメリカ軍の役割なりというものについてお伺いをしているのです。これは日本の自衛隊も協力関係に立つことになっておるのですから、あなたがたのほうで承知しておらないはずはないわけで、その点をお伺いしたい。
  68. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 日本におきまする米軍の基地は、アメリカの核戦略とは関係ないのでございます。それを私が申し上げておるのであります。少なくともアメリカの核戦略体制では、日本が提供いたしております米軍の基地には関係がない、かように私は申し上げておるのであります。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 一体戦略上の目的がなしにどうしてアメリカ日本アメリカ軍を駐留させているのですか。核戦略と関係なしに、全体の極東におけるアメリカの戦略と関係なしに日本アメリカ軍が駐留しているなんと言っても、これは通りません。
  70. 海原治

    政府委員海原治君) アメリカ軍全般の戦略体制についてのお話でございますが、私どもといたしましては、今お言葉でございますけれども日本におります米軍がいわゆる核戦力的な意味においてその役割を果たしておると、こういうふうには考えていない次第でございます。御存じのように、先ほど来御説明しておりますところの在日米軍には一切これは核武装をいたしておりません。御存じのように、大規模な核の撃ち合いによる第三次大戦というものはおそらくは避けられるだろう。しかし、その反面、局地的な紛争というものはいろいろ生起の可能性もありますし、また現に起こっております。そういう局地的な、従来限定戦争とか言われておりますが、そういうコンベンショナルな兵器をもってする紛争というようなものに対する抑止力、これが私は本来の意味だろう、こういうふうに私どもとしては考えております。なお、アメリカの全般的な戦略体制の変化ということもよく言われておりますが、これはむしろそういう戦略——この場合はアメリカは自由世界の核報復力としての大きなにない手でございますが、その核報復力の内容の手段が変わってきている。具体的に申しますと、アトラス、タイタンのように、発射まで三十分かかるものから、一分以内に発射できるミニットマン、こういうふうに変わっていく。その陣地は地下に入れられまして、これを破壊するのは非常にむずかしい。こういうふうに、同じICBMでございましても、敵からの破壊は困難であり、かつ自分が使おうと思えば簡単に使える、より進歩した兵器に変わっていく。これは事実でございます。さらに米軍空軍でございますが、これも核報復力といたしましてはB52程度にとどめまして、あとは所在の判明しないところのポラリス潜水艦による報復力、こういうふうに置きかえていきまして、この場合には米空軍と米海軍の役割は変わってきている。こういうふうに三軍の中の役割の分担の変化、あるいは兵器の変化というものは当然考えられますが、全般的なアメリカの戦略構想それ自体は変化していない、こういうふうに私どもは判断いたしております。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のお話ですと、日本の軍事基地なりあるいは日本配備されたアメリカ軍というものは、この核戦略とあまり関係がないように受け取れるようなお答えでございましたけれども、これは私非常におかしいと思います。と申しますのは、一九六〇年の四月に、フエルト米太平洋軍司令官は、アメリカの下院においてはっきり証言しておるのです。太平洋軍に属するすべての部隊は全部核武装をしている、すなわち第五空軍、第十三空軍、第七艦隊がそれであると、はっきり言っておるのです。第七艦隊が日本に来ておるのです。そうして日本の佐世保とそれから横須賀を根拠地として活動しておる。第七艦隊に所属する重要な艦船が日本に、佐世保なりあるいは横須賀に入港する場合に、一々、たとえば核弾頭のついたものをおろして入りますか、そうじゃないと思うんです。ちゃんとそのまま持って入ってきておる。そしてこの前のラオスの内戦のあとの緊張のときのように、あの第七艦隊が出動する場合にはいつ戦争が始まるかわからない。その準備として出動しておるわけです。だから、戦闘体制に入った形で出ておる。しかも、横須賀、佐世保から出ておる。そうすれば、明らかにアメリカ日本の軍事基地を核戦略の基地として使っておることになるじゃありませんか。第七艦隊が日本に入港する場合に一切の核弾頭をはずして入ってきておる、そういうことを防衛長官は言明できますか。
  72. 海原治

    政府委員海原治君) 冒頭、先生が御引用になりました言明といいますのは、当時問題になりまして、と申しますか、私どもが疑いを持ちまして調査いたしましたが、それは核武装の可能性があると、経過的に言ったものであって、現実に核武装しているものではないということが判明いたしております。さらには、その前提におきまして、第七艦隊が全部核弾頭を持って入っているじゃないかというお尋ねがございましたが、そういう事実はございません。従来もしばしば問題がございまして、入ってきましたときに検査に行っておりますけれども、これは持っていない、こういうことでございます。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど防衛局長のお話ですと、自分は見たこともない、一々検査するわけでもないのに、入ってくるのに持ってない、どうしてそういうことはっきり言えるのです。
  74. 海原治

    政府委員海原治君) 先ほどは、私は見たことないかというお尋ねでございますから、私は見たことがないと申し上げた。それから、入ってきた場合に問題になって、だれが見ているかということでございますが、これは新しい船が入って参りますというと、私どもの海上自衛隊の幹部は横須賀へ全部招待されまして、いろいろ兵器説明を聞いたりいたします。その際に、いまだかつて核兵器の搭載は見聞いたしておりません。したがいまして、先ほどのようなお答えをしたわけでございます。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえばこの前ラオスで非常な緊張があった。あの際に第七艦隊が横須賀やあるいは佐世保から出ていった。これは事実お認めになるでしょうね。そしてあの第七艦隊は核装備してなかったということを言明できますか。
  76. 海原治

    政府委員海原治君) 先般ラオス問題のときに第七艦隊が横須賀から動いたかということでございますが、その当時も同じような御質問がございまして、私の記憶いたしておりますところでは、その当時の第七艦隊の主要部分の行動はラオス問題と関係なしである、こういうふうに承知いたしております。これは毎日の第七艦隊その他の艦艇の入港の模様、あるいは行動の模様等が私ども手元には参ってきておりますので、それについてそのような御説明をした記憶がございます。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしますが、今度板付配置されるF105、あれの行動半径はどのくらいになっておりますか。
  78. 海原治

    政府委員海原治君) 一応航続距離は三千二百キロ以上ということになっております。行動半径ということになりますというと、そのときのいろいろな武装等によって違いますが、大体三千二百キロの半分前後であるということが常識的に考えられる次第でございます。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、平たく言うと、それはシベリアなり、あるいは中国なり、あるいはインドネシア半島のどの辺まで、たとえば板付からなにしてどの辺まで入りますか。
  80. 海原治

    政府委員海原治君) かりに板付を中心といたしまして約千五百キロの半径で円を描きますと、ハルピン、北京、それから武漢までは参りませんで、そのちょっと手前でございます。それから台湾の三分の二程度、それから北海道の半分くらい、この辺のところをカバーすることになります。
  81. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、これは単なる防御用ではなくて、多目的とは言えるけれども攻撃的に用いられ得るということは明瞭です。しかも、それが簡単ななにでもって水爆を積んでいける。しかも、小型のものを積んでいけるということになりますれば、これは単なる防御用のものでないということは、私は明瞭だろうと思う。しかも、そこまで入るということは、これは他に対しましても大きな脅威を与えるものであって、これはもう明らかにアメリカの戦術空軍、しかも攻撃用のものだということは明瞭であります。もし緊張が非常に激しくなって、そうして日本におけるアメリカ空軍が何か活動をしなければならぬような事態が起こった場合に、その板付にあるF105というものは、ただ多目的であるからというので、水爆も積まないでうろうろしているわけのものじゃないと思う。その際に必ず、今は板付水爆の弾頭を置いてないかもしれないけれども、そのF105Dが実際の戦闘的活動を必要とする場合に、アメリカ側は急遽ハワイなりグアムから日本に核弾頭を持ち込んでくることを日本側に通告し、事前協議を求める可能性が私は出てくると思うのですが、そういう可能性はないとお考えですか。これは防衛庁長官からお答え願いたい。
  82. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) そのような可能性はないと考えております。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 そのような可能性はないということは、どこから出てくるのですか。その理由をお伺いしたい。
  84. 海原治

    政府委員海原治君) ただいま問題になっておりますような想定のもとにお話し申し上げれば非常にまずいと思うのでございますけれども、この点は新聞で御存じでございましょうけれどもアメリカがそういう場合に爆撃機を使うか、それともICBMを使うかということになれば、文句なしにICBMを使うわけでございます。本来はF105は戦闘爆撃機でございますけれども戦闘爆撃機というものは、地上部隊に本来協力するために使うものでございます。そのための性能上のいろいろ要求がございますから、遠く海を越えて外国まで行って爆撃するということには、きわめて不適当のものでございます。アメリカはあらゆる種類の航空機なりミサイルを持っていますから、そういう場合には、このF105を使うよりは、むしろB52とか、あるいはB58であるとか、ないしはIRBM、ICBMないしはポラリスを使うことのほうがより合理的であり、経済的であるというふうに軍事的に考えられますので、F10をもって今おっしゃったような行動をとるということは、まずないのではないか、このように私どもは判断いたします。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、日本にはアメリカの陸軍、つまり地上部隊というものはない、それから日本からアメリカ地上部隊が出ていって活動するということもしたがってあり得ない。それなのになぜF105Dを配置するのか、私どもはどうも解しかねる。やはりこれは何か攻撃的目的を持つために、アメリカの最近の極東における戦略体制が、特にラオスの国際緊張のあと強化されてきた。それに対応するものとしか思われないのですが、その点について、そうではない、単なる機種の変化であるとあくまでも言い張られるのですか。
  86. 海原治

    政府委員海原治君) 私ども防衛庁におります、いろいろと日本の防衛問題というものを考えております立場で申し上げますというと、在日米軍は、私どもの立場で申し上げますと、あくまで日本の独立と安全のためにまず第一には大いに寄与してもらっていると思います。したがいまして、その意味で米空軍戦闘爆撃機というものが、日本の国内においてわが陸上自衛隊というものに協力して行動するということは十分にあり得るわけであります、その場合におきまして。こういうような立場でものを考えておりますので、ただいま先生のおっしゃいましたように、空米軍がもっぱら日本以外の土地において活動するものである、こういうふうには考えておりませんということをひとつ御了承願いたいと思います。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 もし日本以外で活動するものでないとするならば、とにかくハルピンから北京まで入るようなものを何も置かなくたって、もっと性能がよくて、しかもその防御的なものもあるわけなんで、アメリカはずいぶんいろいろな機種を持っておる。だから、私はF105を配置したというのは、どうもあなたの言われたのとは違った目的を持っておるように思うのですが、どうでしょう。
  88. 海原治

    政府委員海原治君) これは御意見でございますので、私どもといたしましてはそのように考えていないということを申し上げることでひとつ御了承願いたいと思います。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、例の原子力潜水艦の寄港問題なんですが、私どもは、前々から繰り返しておりますように、これはやはりアメリカの戦略が世界中においてポラリスに非常に重点が置かれてきた。もちろん今度日本へ寄港を求めておるものはポラリスではないけれども、しかしアメリカの潜水艦を強化して、アメリカの戦略を強化していくということの一部である、そういうふうに考えておる。今度日本に寄港を求めてきておる潜水艦は、これは第七艦隊を構成するものの一部になるのですか。
  90. 海原治

    政府委員海原治君) これはあるいは外務省のほうからお答えいたすべきかもしれませんが、第七艦隊所属の潜水艦とは限定されないと思います。と申しますことは、太平洋には現在アメリカ原子力潜水艦は七隻前後行動しておりますが、そのうち一隻ないし二隻が第七艦隊に配属されるわけでありますが、現実の問題といたしましては、おそらく第七艦隊の所属の原子力潜水艦の寄港であろうかと思いますが、それに限られるものではないというように私どもとしては承知いたしております。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本に寄港を求めてきておる潜水艦の種類ですが、ポラリス型でないということは盛んに言われておりますけれども、いかなる型の潜水艦を寄港させようということを目的としておりますか。
  92. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) 米側から話がございましたのは、核兵器を積んでいない、単に原子力を推進力とする通常の潜水艦の寄港についてでございます。
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは防衛局長にお伺いしたのですが、アメリカ原子力潜水艦ですね、ポラリス型を除いて、今一番多い種類は何ですか。
  94. 海原治

    政府委員海原治君) 米国の原子力潜水艦は、ポラリス型を除きますというと、いわゆる攻撃潜水艦として通常言われておりますものが十七隻、それから普通のミサイルを積んでおりますのが一隻、十八隻でございますが、それをいろいろ区分けいたしますと、大体ノーテラス、これは第一艦として作られたものでございますが、これは別といたしまして、次のレーダー哨戒用にはトライトンというのが五千九百トン、これが作られております。レーダー哨戒のものはこれだけでありまして、あとは対潜作戦用ということで大分類できるわけでございますが、その中で一番多いということになりますと、スキップジャック型これが現在六隻ございます。それからスレッシャ一型が現在三隻、こういうことになっております。
  95. 岡田宗司

    岡田宗司君 スレッシャーはこの前事故を起こしたのでたいへん有名になったのですが、アメリカ原子力潜水艦の開発状況を見ていると、ポラリス潜水艦と同時にスレッシャー型を作ることに非常に努力をしてきて、これがだんだんにふえてきておる。私どもは、このスレッシャー型がやはり第七艦隊なりあるいはハワイやグアムに一番多く配属されてくるのじゃないかと思うのですが、そうなってくると、スレッシャー型がかなり日本に入港してくる可能性がある。ところが、スレッシャー型は私はサブロックを積んでおると思うのです。どうでしょう。サブロックはアメリカのどの船に装備されていますか。
  96. 海原治

    政府委員海原治君) このサブロックにつきましては、従来しばしば御質問がございまして、一貫して、私どもはまだこれは研究開発中というお答えをしておりますが、現実に研究開発中でございます。まだ現実の兵器としては一隻もこれを搭載いたしておりません。
  97. 岡田宗司

    岡田宗司君 防衛年鑑には、一九六一年−六二年にこのサブロックは実用に供せられるというふうに記されておるのですね。これはあなたのほうに関係のあるなにですけれども、そうなってくると、開発中じゃないのじゃないですか。
  98. 海原治

    政府委員海原治君) 防衛年鑑は、防衛庁勤務者の中でこれの編集を手伝った者もいると思いますけれども、防衛庁として責任を負っているものではありません。それで、このサブロックにつきましては、ジェーン年鑑あるいはミサイルロケット誌等によりましても、昨年中に実用化される予定であったのでございます。しかし、これは先生も御承知のように、水の中から撃ち出しまして、空に上がってまた水に入って、しかも目標に当たるということで、その辺の技術がむずかしゅうございまして現在おくれておりまして、この点につきましては、ワシントンの防衛駐在官を通じまして米海軍省当局にも伺いましたが、まだサブロックにつきましては研究開発中の段階である、こういうことでございまして、この事実には間違いございません。
  99. 岡田宗司

    岡田宗司君 サブロックが研究開発中であって多少おくれたとしても、これはおそらくきわめて近いうちに完成されるだろうということも予想されるわけです。そうすると、これがポラリス型以外の潜水艦、特に攻撃用潜水艦と呼ばれるものに装備されるということになるだろうと思います。日本へ入ってくる第七艦隊所属艦、あるいは第七艦隊所属でないものでもそれを装備したものが入ってくるということになれば、これは明らかに核装備をしたものになると私は思うのですが、サブロックをもしこれらの潜水艦が装備をした場合には、日本はこの潜水艦の入港を拒否しますかどうか。それをあらかじめはっきりさしていただきたい。これは外務大臣防衛庁長官にお伺いしたい。
  100. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持ち込みは認めないという不動方針でおりますので、それから御理解いただきたいと思います。
  101. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) サブロックにつきましては、ただいま防衛局長から説明申し上げたのでございますが、もしもサブロックが完成せられて核弾頭を装着いたしておりますれば、当然入港を拒否することに相なるわけございます。
  102. 岡田宗司

    岡田宗司君 一昨日——五月十二日、ニュージーランドのオークランドでサイズ米太平洋艦隊司令官が、ここ二年以内にグアム島に基地を置くポラリス潜水艦が太平洋に配属されることになろうと、こう言っております。だから、おそらくポラリス潜水艦はきわめて近い将来太平洋にもその姿を現わしてくる、こういうふうに私どもは見ておる。この言明はまず誤りないと思うのであります。先ほどのF105の問題について、ヨーロッパに今から二年前にそれが配属されて、そうしてちょうど二年後に日本に配属される。ポラリスは今ヨーロッパのほうにも行っておりますが、そうすると今度二年後に太平洋にこれが配属される。そうすると、今日アメリカのほうが日本に対しましてとにかく潜水艦の寄港ということを求めてきておる。これと関連して考えてみますと、今度はスレッシャー型かトライトン型か何か知りませんけれども、今入港を求めてきておるものにかえて、これが新しい——その同じような新しい種類のものだからというので、ポラリス型の潜水艦の寄港を求めてこないとも限らないし、おそらくそういうふうになった場合に、またあなた方かあるいはあなた方の次に出る自民党の政府かが、いや、これはどうもただ機種を変えるのと同じようなものでということで認めやしないかということをおそれるのですが、そういうことは考えておいでになりませんか。
  103. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 今後も、原子力を推進力とする潜水艦の寄港問題とポラリスの潜水艦の寄港とは、全然別問題と考えております。毛頭そういうことは考えておりません。
  104. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど防衛局長は第七艦隊が日本に入ってくる。第七艦隊は核装備しているということは天下周知の事実です。日本に入ってくるものは持ってないのだ。これはもう防衛局長は入っていないとことを確かめてあるんだ、こういうことを言われた。アメリカ側で今度ポラリス潜水艦が第七艦隊か何かに配属されて、そうして同じようにこれは核装備をしているけれども、いや、今日は核弾頭をつけた魚雷をはずしてくるんだから入ってもかまわないじゃないか、それじゃあよろしいということになりそうな気がするのですが、第七艦隊の日本寄港の問題と関連して、どうもそういう気がするのだけれども、そういうことはありませんか。
  105. 海原治

    政府委員海原治君) 私が申し上げたことに関連してのお尋ねでございますから私がお答えいたしますが、私どもといたしましては、ポラリス潜水艦というものは、根拠地である母港を出ましてから、通常三カ月、この間はどこにおるのかわからない形において行動するということがその本来の意味でございます。したがいまして、特別に求められて、あるいはぜひこれを見たいからというようなことで、どこかに寄るということはあるかも知れませんけれども、通常の場合、ポラリス潜水艦というものはどこどこに寄るという、形を現わさないで行動をするというのが本来のものでございますので、日本に寄港するということはまずない、このように私どもは判断いたしております。
  106. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし、ほかの潜水艦、これはあるいはポラリスと違いますけれども、おそらく潜水艦対潜水艦の戦争というかな、これが今後の考えられる戦争の形だとすると、このポラリス型の潜水艦とともに行動をする潜水艦、これがサブロックを持つことになるとすると、それが日本に寄るということになれば、これはやはり日本アメリカの核戦略の基地として有効に使われることになると私は思う。今度の潜水艦寄港の問題は、どうも乗組員の休養だけの問題じゃない、こう思うのですが、どうでしょう。純粋に休養の問題ですか。これは防衛局長専門的な立場からお答え願いたいと思います。
  107. 海原治

    政府委員海原治君) ポラリス型の潜水艦がかりに太平洋に配属になりましても、第七艦隊と完全に別行動をとると思います。今回の潜水艦の寄港問題は純粋に休養のためのものである、このように私ども了解いたしております。
  108. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度は休養の問題についてお伺いするのですが、横須賀なり佐世保なりにはアメリカの海軍のいろいろな施設がありますから、休養するのに持ってこいだと思うのです。けれども日本では今日アメリカ原子力潜水艦が立ち寄るのは非常に強い反対がある。これを押してまでも一体アメリカ日本で潜水艦の乗務員を休養させなければならぬ必要があるのかどうか。たとえばアメリカは韓国と相互防衛条約を結んでいる。あるいはタイとも結んで、ざらにフィリピンとも結んで、そういう国に入る場合には問題がないと思う、日本のような反対運動がないのですから。それからグアムに帰ったって、それからハワイに帰ったって、あの速力を持っている潜水艦なら、二十時間や三十時間延びたって、それほど休養には差しつかえない話だと思うのですがね。そうすると、休養の問題からいっても、どうも日本に無理に潜水艦を寄港させるほどの必要はないように思う。どうでしょう。
  109. 海原治

    政府委員海原治君) これは事実でもって申し上げますと、先生御存じと思いますけれども、韓国は京城のそばにウォーカー・ヒルというのを作りまして、日本に休暇に来る米軍を引きとめようというのでたいへんな金を使ったわけです。ところが、現実にあれを作りましても、さっぱり寄りつかない。やっぱり兵隊は休養に日本の東京銀座が恋しい。(笑声)こういうことが最近ニューズ・ウィークにも出ております。やはり休養するには日本の土地へ来たいというのが第七艦隊の兵隊の率直なところである、このように了解しております。
  110. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは何ですか、たいへんどうもあなた方は同情を示されているような口ぶりですが、とにかく日本では国民の相当の部分が警戒をし、いやがっている。それを単に休養だけの問題でもってアメリカが押して来るというのは、どうも私どもは受け取れない問題です。どうもそのうしろに何かあるのじゃないか、こう考えざるを得ないのです。勘ぐると言われても勘ぐらざるを得ないわけです。というのは、グアムに帰ればアメリカ自身がりっぱな施設を持っている。ハワイへ帰ったって持っている。また、太平洋岸のサンディエゴーに帰ったってりっぱな施設はあるのです。なぜ日本に特別に休養を求める必要があるのか、なかなか理解できないのですがね。
  111. 海原治

    政府委員海原治君) これはまあアメリカの立場でひとつお考えいただきたいと思いますが、第七艦隊所属の潜水艦は第七艦隊と一緒に行動している。日本近海でかりに演習をやりまして日本へ入ってくる潜水艦の乗組員を、お前だけ来ちゃいかぬというのでストップを食ってほかへ持っていかれるということは、乗組員の立場と申しますか、点を考えましても、私が先ほど申しましたように、やはり日本の横須賀あるいは佐世保、銀座であるとかいうものは、この付近では非常に休養になるところである、こういうようになっておることは事実でございます。その辺でひとつ御了解願いたいと思います。(笑声)
  112. 羽生三七

    ○羽生三七君 これは本来総理にお尋ねすべき性質のものだと思うけれども外務大臣にお尋ねしますが、私はこの質問は過去何回もやっておる同じことをまた申し上げるのですが、そのつど、たとえば日本自身は核兵器を持つ意思はない、アメリカも持ち込むことを認めない、それから最近の戦略体制の変化があってもポラリス潜水艦の寄港を認めない、いかなる形でも原子力、核兵器に関することは日本は認めないという立場をとっておる。ところが、非常にそこがあいまいなので、一応日本政府としては言っておるけれども、あいまいなので、飛行機の場合でも、潜水艦の場合でも、そのつど問題が起こるわけです。おそらく今後も続くでしょう。いつもこういう状態で、日本政府の意思は変わりありません、どらだと、こういう弁解をやり、それからわれわれのほうもその疑問をただすためにいつも質問をやり、いつまでも繰り返しておる。それよりも、もう核兵器あるいはそれに類する一切のものは認めないということを、単に声明だけでなしに、何らか明文化して、日米間の単なる信頼感とかそういうことでなしに、何かもら明白にこれを規制する方法を講ぜられたらどうでしょう。そうでなかったら、いつまでもこういう状態が続いて、国民も納得しない、また不安である。政府だってしょっちゅう弁解しておらぬならぬ。非常にむだじゃないですか。何か、これはそれほど明白なものを持っておるなら、日本政府の意思が確固たるものがあるならば、単に日米間の信頼というだけでなしに、よりさらに前進させた形で、形はどういう形にしろ、明らかにする処置を講ずれば、国民も納得するし、政府もそのつど煩瑣なことを繰り返す必要はないのじゃないか。これは私もう同じことを過去何回も申し上げておるつもりですが、もう一度この機会にお答えを願いたいと思います。
  113. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 政府を御信頼いただけば、今羽生きんが指摘された問題はないわけでありまして、私どももたびたび申し上げているのでございまして、それを素直におとりいただきたいものだと思います。
  114. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの防衛局長のお話は、いよいよアメリカの潜水艦の乗組員に同情的なような話ですけれども、国民とすれば、どうも乗組員の乗っている船そのものに非常に危険を感じ、そうして非常に警戒の念を持っているわけです。私どももあとにつながるものを考えるというと、何かこう、そういうものは寄ってもらわないほうがいいという考え方を持っているのですね。で、休養だけの問題でしたら、これはアメリカ側としても、日本国民の強い反対を押してまで、そうして日米関係を、日本の国民のこの潜水艦に対する心理状態を考えたら、アメリカ側はこういうことは撤回したほうがいい、こういう寄港を申し入れるなんということは撤回したほうが私はいいと思う。そこはひとつ外務大臣の働きで、アメリカの寄港問題はたいへんうるさくなったのだから、まあこういう話はなかったことにするということでもってアメリカ側に話されたらどんなものでしょうか。前に小坂外務大臣は、アメリカに行ったときに、ラスク国務長官からそういう話があったときに、そういう話はなかったことにしていただきたいということを言われたそうですが、私はたいへん賢明だと思います。ひとつここまで問題が来たら、これは同情を示されるのはけっこうだけれども日本の国民にしてみれば、アメリカ軍にあなた方が同情を示されていることによって起こるいろいろな不安とか警戒の念とか、そういう心理状態を考えるときに、これはぜひ大臣として国民の意向考えて、アメリカ側に、そういう話はなかったことにしてくれというふうに話されたらどうでしょう。これはひとつ大平外務大臣にお伺いしたい。
  115. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 今、岡田先生が指摘されたように、こういう話はなかったことにしようじゃないかという判断をいたした段階もあったわけでございます。しかし、その後時間の経過を見まして、この前も本委員会で申し上げましたとおり、原子力の推進力としての利用というものがだんだん普及して参りましたし、これを推進力とする潜水艦も、アメリカばかりでなく、十三国に寄港の事実がございます。したがって、このように時代が進んで参っておりますので、わが国に原子力についての特異な感情が国民の間にあるということは、十分政府も承知いたしているわけでございますが、そろそろこういう段階で国民の理解が得られてこれを受け入れるという方向に踏み切っていい段階じゃないかというふうに私ども考えているのでございます。最も高度の政治的な了解といたしまして、核兵器持ち込みは認めないということは、双方固く約束をいたしておりますので、こういう核兵器持ち込みというようなことになりますると、政府としてはこれを大小にかかわらずお断わり申し上げるという態度を終始いたしておりますが、そういうことにかかわりのない範囲内におきまして、この時代の進運に応じましてこれを受け入れる方向に措置するのが自然であり、当然なことではなかろうかというように判断いたしております。
  116. 岡田宗司

    岡田宗司君 私どもは、原子力商船が日本に入るとか、あるいは日本で建造するとかという問題と、この問題とをごっちゃにしていないのです。これはやはりアメリカの戦略体制の強化といいますか、そういうものとの関連があるから申し上げているのです。一番の問題は、そこにあるわけです。ところで、今のお話ですと、世界の各国で——十三カ国と言われましたか、国が原子力潜水艦の寄港を認めておる、こういうふうに言われておりますけれども、それはどこですか、ちょっとだれかお示しを願いたい。
  117. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) 大西洋方面におきましては九ヵ国でございます。英国、フランス、西独、オランダ、ベルギー、イタリア、ノルウェー、ギリシャ、スペインでございます。太平洋方面におきましては四カ国で、フィリピン、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、以上十三国でございます。
  118. 岡田宗司

    岡田宗司君 大体まあNATOに参加しておる諸国、それからスペインとアメリカとは特別にやはり軍事提携をしておる。それから太平洋岸の寄港先の国々も、これは相互防衛条約を結んでおる。まあオーストラリアの場合はアンザスの一部である。こういうふうないわゆる完全な軍事条約を結んでおる国です。日本の場合には、日米安全保障条約という、やはりアメリカとの間の軍事的の提携の条約がありますけれども、相当性質を異にしておる。そういうふうな状況にあるわけです。だから、私は、その国々にアメリカの潜水艦が寄ったからといって、日本で、この日本の国民の心理状態を考えずに、政府が、もうそろそろ寄港を許してもいいだろうというふうに考えられることは大きな間違いである。私どもは、やはり今までの日米安全保障条約の制定、特にそれの改訂の際における国民の心理状態等から考えて、NATOの国やあるいはSEATOに属する国やあるいはアンザスに属する国と同じようにこの問題を取り扱ってもらいたくない、こういうふうに思うんですがね、どうでしょうか。
  119. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 同じように取り扱っていないわけでございまして、申し出がありましてすでに五カ月たっておりまするが、私ども国民の疑点とするところを最大限度に解明いたしまして、御理解を得た上でやろうということでございます。
  120. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  121. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記を始めて。
  122. 曾禰益

    ○曾祢益君 最近の原子力潜水艦日本寄港問題でも、今度のF105D戦闘爆撃機の問題でも、なぜこういうふうに世論が騒いでいるかということを考えますと、やはり今羽生君が言われたような、一つ日米間の相互信頼というものが必ずしもはっきりしてない。確立していない。それからもう一つは、国民と政府との間のはっきりした信頼感というものがぐらついているのではないか、こういうことに関係していると思うのです。ですから、大体アメリカとの防衛協力が絶対いけないという立場からの議論もありましょうけれども、そうでなくて、国民の立場からいって、やはり核兵器持ち込みになりはせぬか。現在の何か政府のやっていることが、そのつどそのつど逃げ回ったというか、何か弁明ばかりしていて、小出しにやっている。したがって、その先の先が心配だと、こういう議論に発展している場合が多い。たとえば原子力潜水艦の問題でも、大体原子力兵器の定義からしてごちゃごちゃの議論をしてみたりする一方、今度はまた防衛庁のあるお役人さんが、これはまあ一つ日本の将来の戦術論を論じたある種の講演の速記録によると、確かにこれからの核戦略というものはいわゆるインヴァルネラブルなもの、核兵力を持たなければならない、つまり攻撃にたえて、脆弱性のない、非脆弱的な核兵力を日本考えておる。つまり、ポラリスの寄港どころではなく、ポラリスという非常にインヴァルネラブルな、そういうものの日本はむしろ基地を設けてもいいのではないか。これは個人的意見でしょうが、そういう議論もある。ですから、やはり政府は国民感情を云々して核兵器についてはお断わりしますと言いながら、一つ一つは何か忍び寄るあれで、一つ一つはあしたに一城、夕べに一郭という感じを与えているのではないか。このことがアメリカとの協力そのものに反対の人になおさら大きな力をかしておるきらいがないか、こういうことを私は考える。それは非常に重大な問題で、政府もほんとうに、そのつどの逃げ口上ではなく、日本が防衛上アメリカと協力するのは、これは当たりまえだというか、人によっては現状においてはやむを得ないと言う人もある。しかし、実際それがどんな小さなものでも核兵器日本は持たないし、持ち込ませないということについては、ただ安保条約事前協議でそのつど断わるからいいというようなことではなく、何らかほんとうに、ハイ・レベルの政治的立場で、一点の疑いのないような、何らかの政治的約束なりをかわしたほうが、一切のもやもやしたものを払拭するために非常にいいのではないか、こういうふうに考えられるわけです。ですから、確かに核兵器のそれ自身の開発の進め方から見れば、けさの新聞にも出ておったように、遠からず小銃弾にまで小型化する核兵器ができるのではないか、これはまじめに論じられておるのです。F105に例をとってみても、105からは絶対にいけない、102まではいいかというと、そうではなく、これはすべての用途と目的によると思うのです。だから、かりに機種の変化とか近代化というだけではなく、つまり、ともかく水爆まで積めるための設計をしておる。そういう多目的の兵器であるということと、足が相当長いということ、ときたまたま中共のみずからの核武装化といいますか、核爆弾実験をやるというふうなことと相待って、何らかの日本におけるアメリカの基地の性質が違ってくるのではないか。少くとも日本に基地をおいて核爆弾を持ったいわゆる通常戦闘爆撃機日本に常駐するというようなことは、そういう印象がはたしてプラスかどうか、そういう政治的な考慮を加えての議論を私はすべきである。単に機種が違ったからいいのではない。そういう小出しの議論では片づかない。もう一つの政治的要請があることを知りつつ何か逃げ回っておるという感じを与えているのではないか。これは私は非常にまずいと思う。ですから、あらためてこういう際に、たとえば今のポラリスのことなんかあってはならないと思うのですけれども、そういう戦略論もあるこういう際に、やはり日本の防衛のはっきりした方針アメリカとの協力についてはいろいろ政治的責任があるのですから、アメリカとの協力を肯定する立場、あるいは最小限の自衛力を肯定する立場に立っても、なおかつ日本の防衛については核武装は絶対やらないということについては、むしろこの際アメリカとの間にもっとハイ・レベルな約束を遂げるというような大きな手を打つほうが私は非常に政治的にも望ましいのではないか、こういうふうに考えます。その点を両大臣から御所見を伺いたい。
  123. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私どもは、今曽祢さんが御指摘されたような問題の受け取り方をしているわけでございまして、何も逃げ口上というようなつもりはないのでございます。御承知の原子力潜水艦の寄港問題につきましても、政治的考慮から国民感情上の問題がございますので、これをできるだけ最大限にひとつ解明しておかなければ相済まぬということで、今やっている最中であるようなわけでございます。したがって、この解明が終わりますれば、私どもといたしまして、政府の見解をちゃんと申し上げるつもりでございます。  それからまた、核兵器持ち込みは認めないということについて高度の了解をちゃんと遂げろということでございますけれども、これは私どもは高度の了解を遂げておると思っているわけでございます。したがって、それはたびたび国会を通じて申し上げておるとおりでございますが、なお、それをはっきりと鮮明にせよという御要請でございますので、私どもとしても配慮しなければならぬ問題だと思っております。基本的には、アメリカの戦略の問題がいろいろ論議されまするけれどもアメリカとしては終始自由世界の防衛ということを念願といたしておるということは、アメリカ政府当局もたびたび宣明いたしておるとおりでございます。事実、歴史的な事実といたしましても、終戦後十数年たちましたが、寸土といえどもアメリカとして攻略しているところはございません。自由世界の防衛ということが最大至高の目的であるというように私ども了解いたしております。ただ、との防衛力の場合に、兵器の発達からいたしまして、兵器の部面にいろいろ進歩が見られることも事実でございまして、それに即応して防衛力の近代化をやっているというように私ども理解いたしておるわけでございまして、その限りにおきまして、日本核兵器ならざる通常兵器の部面において更新、近代化が行なわれていくということも、また時代の当然の趨勢であるというように考えておるわけでございまして、こういった点については、曽祢委員が御指摘のように、十分国民に御理解いただくように最善の努力をいたして参っておりまするし、今後もいたして参るつもりでございます。
  124. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 日本の防衛を今後万全を期して進めて参りますためにも、ただいま曽祢さんの御意見を十分拝聴いたした次第でございます。
  125. 野坂參三

    ○野坂参三君 時間もございませんけれども、重大な問題ですから、少し時間をいただきたいと思います。今までいろいろのことを申し上げましたので、二、三点だけに限りたいと思います。  それは、このF105の問題なり、あるいは原子力潜水艦の問題にしましても、根源はやはり社会党の諸君の指摘されたように、アメリカの世界戦略体制が日本でどういう影響を与えているかという問題、というのは、日本が御存じのように、安保条約及びアメリカが半ば日本を占領しているこの事実、それから、アメリカの全戦略に日本は従属しているという立場に置かれておるだけでなく、事実上そうなっておるのだということ、こうして見ますと、アメリカの最近の戦略がどういうふうに変わったかということは実際上私ども非常に重大な問題で、決してアメリカだけの問題ではないと思うのです。そうしますと、数年前、あるいは二、三年前ごろから、アメリカの、御存じのように、最高の軍事指導者はむろんのこと、あるいはたとえば防衛庁の筑土という方の訳されたモルゲンシュタインのあの書物などにも、原子力潜水艦を土台とした、超高空の飛行機を土台とした新しい戦略という意味のことを言っておりますし、これは事実だと思うのです。われわれしろうとが考えましても、たとえば、今までの社会主義国の防衛体制は陸上における軍事基地が主であったが、これは不安定になってきておる。したがって、今度は移動できる潜水艦が重要な武器になってくる。これは単なる量の変化ではなく、質の変化だと思う。この点私はやはり防衛庁長官においても、はっきりと認められる必要があると思います。これが重要な変更とか、重要でないとか、重要という言葉にこだわる必要はないし、事実上こういうふうに変わっていると思う。その変わった中に日本が置かれているということを考えたとき、今報告されましたように、NATO諸国やSEATO諸国は、もうポラリスの受け入れ態勢をずっと整えてきている。現にここにも、十二日にサイズ米太平洋艦隊司令長官が、中距離ミサイル・ポラリスを積載したアメリカ潜水艦を西太平洋側にずっと配備すると言って、いろいろなことを言われる中で、先ほど局長の言われたようないろいろなところを指摘された中で、もうすでに那覇、それから小笠原の父島、こういうところにはもうすでに配備されている、こういう意味のことも言われておりますし、また計画としては、横須賀、佐世保、呉、それから舞鶴、八戸、佐伯など、六カ所にこうした潜水艦が寄港できるような施設をやる、こういうことを責任のあるサイズ長官が発言されているんですね。こういう事実をまずお認めになるのかどうか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  126. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) ただいま原子力潜水艦寄港予定地をお話しになった……
  127. 野坂參三

    ○野坂参三君 その前に、戦略問題、アメリカの戦略問題。
  128. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 先ほど申し上げたとおり、極東におけるアメリカの核戦略は、極東に大規模な戦争を抑止するためにアメリカの持っている核攻撃力を背景といたしているのでございまして、極東におきましては、特に日本については重大な変化はないものと考えております。
  129. 野坂參三

    ○野坂参三君 それでは、今申しましたようなこういうふうなサイズ長官の発言は、防衛局長あるいはその他の方はこれはどういうふうにお考えになりますか。
  130. 海原治

    政府委員海原治君) サイズ大将が言われました、二年以内にポラリス潜水艦が配属になるであろうということにつきましては、私も新聞報道で承知いたしておりますが、あとの、日本国内の寄港につきましては、これは全然承知いたしておりません。先ほど、ほかの委員の方の御質問にお答えいたしましたように、原子力潜水艦——ポラリス潜水艦というものは、そういうところに寄港することなしに行動することが本来の目的でございますので、今お述べになりましたような六カ所、そういうところ、特に佐伯とか八戸等にああいう潜水艦が入ってくることはまず不可能じゃないか、このように考えております。で、後半の分につきましては、私どもは全然承知いたしておりません。
  131. 野坂參三

    ○野坂参三君 私のお聞きしたいのは、アメリカの世界戦略体制、ことにアジアにおける戦略体制の一部として日本を取り扱い、また認めている。そうした場合において、日本だけがこうした原子力潜水艦——ポラリス型とか、ああいうようなものを寄港させないというふうな戦略がアメリカにあるかどうかということは、ちょっとわれわれ考えることはできないと思うんですね。今度ノーテラス型と言っておりますが、もう一そう入れれば必ずあとにはどういう型の潜水艦がやってくるかわからない、こういうことはだれでも考え得ると思うんですね。こういう点についてはどうですか。
  132. 海原治

    政府委員海原治君) ただいまの点は、ポラリス潜水艦をどういうふうに使うかということのお考えが前提でございますが、私どもは、先ほどから申しましたように、ポラリス型潜水艦というものは、一たんアメリカの根拠地を出ますと、三カ月はその消息が不明である、どこにいるかわからない、こういう形において行動するものであるというふうに判断いたしておりますので、今おっしゃいましたような御意見には賛成いたしかねますことを御了解願いたいと思います。
  133. 野坂參三

    ○野坂参三君 私の言うのは、それで.はないんです。つまり、今皆さん方が言われているように、これは核武装していない潜水艦だ、これは平和親善の潜水艦みたいな印象を与えておられますけれども、これは一度入れればこれが既成事実になって、次はどういうものが来るかわからない。最後にはポラリスが必ず来るだろうという不安をわれわれみな持っているんです。この不安を払拭するような手を打ったらどうでしょうか。先ほど曽祢君や岡田君が申されたように、ほんとうに一切の核兵器日本に持ち込まないということを日本の国是にするということを、できたら自民党のほうから提案されて国会で決議したらいい。そのときは共産党は賛成しますよ。そういう手をなぜお打ちにならないのか。ただ国会の問答だけでお約束する、アメリカ信頼するだけでいっている。これでは国民の不安は払拭できないと思うのです。こういう点はどうでしょうか、外務大臣
  134. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど曽祢委員お答えしたとおりの心境でおります。
  135. 野坂參三

    ○野坂参三君 それでは結局、防衛庁長官に申し上げたいことは、あるいはお聞きしたいことは、つまり、日本のいわば戦略戦術と言っていいか、あるいは軍事体制そのものは独立したものではなくて、アメリカに従属したものである、こういうふうに、われわれ事実として認めなければならない、この点はどうでしょうか。
  136. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) その点は共産党とはっきり見解を異にしておるのでありまして、われわれは日米安保条約の精神の上に立ってわが国の安全保障を確立して参ろうとしておるのであります。
  137. 野坂參三

    ○野坂参三君 そうしますと、時間がありませんけれども、もう一言、私聞きながら、今言われた安保条約の問題に入りたいと思いますが、ひとつお聞きしたいのは、この前の衆議院の外務委員会で川上君が外務大臣にお聞きした、サーモという原子力潜水艦が一昨年四月に横須賀に入港した。この水兵がその事実を語っている。このことが「ラジオ技術」という雑誌にもちゃんと印刷されて写真まで出ているのです、その語った人の。外務大臣は初耳だという意味のことをおっしゃったということを聞きましたけれども、防衛庁の方は、これは御存じでしょう。
  138. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 全然承知いたしておりません。
  139. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 先ほど申し上げましたように、お二人とも時間でございますので、もし御質問があるようでしたら、要領よくひとつお願いいたします。
  140. 野坂參三

    ○野坂参三君 要領よくやりますから。  それじゃ、その点をひとつ、われわれは、この事実はちゃんとここにある。ですから、これは全然虚構のものなのか、うそのものか、それとも、こういう事実があるかどうか、調査していただきたいと思います。この点どうでしょうか。
  141. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) サーモ初め、いろいろな原子力潜水艦が入ったという事実はございません。  それから、何かこの前、川上先生が言っておられた、たまさかサーモに乗り組んでいた乗員が日本に来て遊んだということでございますが、この事実も私は承知いたしておりません。
  142. 野坂參三

    ○野坂参三君 それでは、その載った雑誌というのは、全然これは——朝日新聞の記者なんか入っておりますが、全然虚構のことを言ったとはわれわれはとれない。そうなんですか。
  143. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) 先ほども申しましたように、原子力潜水艦はいまだ入ってきたことはございません。ただ、先ほどもちょっと質問がございましたように、その潜水艦員がどういうところからか飛行機で来ることはあり得るであろうということは、この前、新聞社の皆さん方がグアムに行かれたときに、その原子力潜水艦の船員の中にも、現に飛行機日本に行ったことがある人があるというふうなことを言っておられるということを私は承知しております。
  144. 野坂參三

    ○野坂参三君 あとでまたわれわれのほうで調べてみます。  それから最後に一つお聞きしたいことは、先ほど曽祢君から申されましたように、日本の国民の前には、アメリカ原子力潜水艦寄港の問題とか、F105が板付に来たということ等々について非常に不安を持っております。なぜ、こういうような不安が高いときに、わざわざ横須賀に原子力潜水艦を持ってこなければならないかということなんですが、ただ一つだけお聞きしたいことは、これもすべて安保条約の結果である、こういうふうにわれわれは理解しますが、それはそうですが。
  145. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 日本の安全と平和をどう守るかということで、日本のただいま置かれた条件のもとにおいて、安保条約というものによって守っていくのが一番有効であり適切であるという選択によって今安保体制がしかれておりますことは御承知のとおりでございまして、この運用の一環であると申し上げて差しつかえないと思います。
  146. 野坂參三

    ○野坂参三君 そうしますと、私たちがあの安保条約が岸内閣のもとで提出され、論議され、また社会党その他相当国民の広範なものが反対したその主張は、あの安保条約を改訂するならば、日本は非常に危険な状態に置かれる、国際緊張も激化する方向へ行くだろう、この一翼を日本は負わされる、これでわれわれとしては非常な反対をしたと思うのです。そのわれわれの主張は今実証されたとしてわれわれは見ていると思います。この点どうでしょう。
  147. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 安保条約の改訂につきまして国内にいろいろな問題がありましたことは承知いたしておりますが、これは安保体制というものに対する御理解というものが十分でなかったのだと思うのでございまして、政府といたしましては、安保条約というものの防衛的な性格というものを十分国民に御納得いただくように努力いたしますれば、野坂先生のおっしゃるように、ただ不安というか誤解というか、そういうものは漸次解消に向かうものと思います。
  148. 野坂參三

    ○野坂参三君 これ以上申しませんけれども理解とか不安とか、そういう問題じゃないと思うのですね。現実の事実として板付にはこういうような攻撃的な飛行機が来ておるし、原子力潜水艦、これの危険なことは学者も証明しておると思うのです。こんなに日本国民の多くのものが反対しておるのにかかわらず、そういうものをどうしても許可しなければならない。これは結局安保条約の改訂の結果である、こう見れば、安保条約の結果こういうような危険、不安を国民に起こさしておることは、われわれは事実だと思うのです。誤解とか見解の相違じゃないと思うのです。これだけ申し上げて、時間が超過しましたので、これで終わって、またあと別の機会にいたします。
  149. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 本日は、これをもって散会いたします。    午前零時四十二分散会