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説明員(
須之部量三君) まず基本的にこの
協定が元来の
目的を達しておったかどうかという点でございますが、この点は、少なくとも今度の六二年の
協定ができました当時、その
国際会議があったわけでございますが、その
国際会議におきます
冒頭陳述におきまして、
各国の代表とも、現在の
ワクについてはうまく動いているので問題ないということを発言いたしました。したがいまして、この
ワクについては
各国とも異議がなかったわけでございます。それでただ従来の
——今まで四回ほどできておるわけでございますが、違いましたのは一九五九年からは
仕組みが多少変わったわけでございますが、その前は一応
義務買付量というのがきまっておりまして、
輸出国のほうは具体的にどれだけの量を
加盟輸出国から買うということが
義務になっておったわけでございます。それに対しまして
英国等は不満といたしまして、一九五九年までは入らなかったのでございますが、五九年の
協定から、そういう具体的な
数量の
規定ではなくて、
各国が
輸入する
数量の中の
一定比率は
加盟輸出国から買うという
仕組みに変わって参りました。それで
英国も実は入ってきたわけでございます。したがいまして、その
協定の
仕組みの
経過ということから申しますと、初めのうちはコール・システムでおりましたが、具体的に
輸入数量を
規定しておったのが、その後
輸入の
比率をきめるという形に変わってきたということでございます。
それから
小麦の一般的な
状況につきましては、御存じのとおり、戦後非常に
食糧不足ということで、むしろ
売手市場だったわけでございます。それがその後むしろ
買手市場のほうに変わってきておったわけでございます。で、今度の六二年の
協定を作ります際に一番問題になりました点は、いわば
二つあるわけでございまして、第一の点は先ほど
森先生のおっしゃいました
価格帯を
引き上げるという点だったわけでございます。この
価格帯を
引き上げる点につきまして、三つの
立場があったわけでございまして、
輸出国のほうは二十五セント
引き上げるということを主張したわけでございます。これは当時ちょうど一昨年から昨年にかけまして、
生産国のほうが、
アメリカ、
カナダ等が
不作でもありましたし、それから
需要のほうの要素といたしまして、
ヨーロッパ諸国、あるいは
中共等が大量に買い付けたというようなことから
価格がかなり上がって、もちろん
最高価格までは上がっておりませんでしたけれ
ども、かなり上がってきておったというような
事情を背景といたしまして、
輸出国は二十五セント
アップを主張したわけでございます。それから、それに対しまして
輸入国側は、当然のことでございますが、
価格の据え置き、つまり一時的に
市場価格は上がっているけれ
ども、まだまだ
過剰在庫等もかなりあるし、
値段を
引き上げるべきでないという
立場をとったわけでございます。それから第三の
立場といたしましては、これはむしろ
後進国のほうなんでございますが、経済的な
困難性もあるので
値段を引き下げてほしいという
立場と三つありまして、これが非常にもめたわけでございます。結局このために
会議が非常に難航いたしまして、もし
価格の
引き上げが行なわれなければ、
カナダとかオーストラリアはこの
協定に入らない。あるいは
アメリカでも国会の
承認を得ることは困難であろうというような議論が出まして行き悩んだわけでございますが、結局その
妥協といたしまして十二・五セントの
アップということで落ち着いたわけでございます。
それから六二年のこの
協定の
会議で問題になりました第二の点は、いわゆる
各国が買い付けます
小麦のどれだけの
比率を
加盟輸出国から買うかという、この
比率の点だったわけでございますが、この点につきましては、もちろん
輸出国側はなるべくその
比率を高くしてほしいと希望するわけでございまして、今回たまたま
ソ連も加入することになりまして、
世界の
輸出国のほとんど全部と言ってよろしいわけでございますが、その全部がこの
協定の
加盟輸出国になりましたので、これに見合って
輸入国側でもその
義務比率を
引き上げていいじゃないかということになりまして、五九年
協定当時は大体
平均七一%が
輸入国の
義務比率であったわけでございますが、それを八五%に
引き上げたわけでございます。これに伴いまして、
日本も五九年当時五〇%の
比率でありましたのを八五%に
引き上げたというようなことでございました。大体今までの
経過は今御
説明申し上げたような次第でございまして、今度の
会議におきましても、この
小麦協定がそれぞれの
目的を達成しているという大きな点については、
輸入国、
輸出国とも意見が一致しておったということは申せると思います。