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1963-05-07 第43回国会 参議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月七日(火曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————    委員の異動  三月二十八日   辞任      補欠選任    草葉 隆圓君  青木 一男君  三月二十九日   辞任      補欠選任    青木 一男君  草葉 隆圓君    石田 次男君  辻  武寿君  四月一日   辞任      補欠選任    辻  武寿君  石田 次男君  四月八日   辞任      補欠選任    沢田 一精君  重政 庸徳君    熊谷太三郎君  重宗 雄三君    井川 伊平君  近藤 鶴代君  四月九日   辞任      補欠選任    重政 庸徳君 大野木秀次郎君    近藤 鶴代君  青柳 秀夫君  四月十日   辞任      補欠選任    重宗 雄三君  野村吉三郎君   —————————————  出席者は左の通り。    理事            井上 清一君            草葉 隆圓君            長谷川 仁君            森 元治郎君    委員            木内 四郎君            杉原 荒太君            山本 利壽君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            佐藤 尚武君            野坂 参三君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君   政府委員    外務政務次官  飯塚 定輔君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    外務省条約局長 中川  融君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)   —————————————   〔理事井上清一委員長席に着く〕
  2. 井上清一

    理事井上清一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず理事補欠互選を行ないます。  去る三月二十八日草葉隆圓君が一時委員辞任されましたため理事に欠員を生じておりますので、この際、その補欠互選いたしたいと存じます。  互選の方法は、慣例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上清一

    理事井上清一君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より草葉隆圓君を理事に指名いたします。   —————————————
  4. 井上清一

    理事井上清一君) 本日は、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  ただいま大平外務大臣が御出席になっておりますので、当面の国際諸問題について質疑を行ないたいと存じます。御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  5. 森元治郎

    森元治郎君 選挙中の四月に、例のアメリカ原子力潜水艦スレッシャー号ボストン沖沈没した。これはたいへんな問題だと思います。政府はかねがね、国民感情考えて、アメリカ原子力潜水艦日本寄港申し入れの取扱いについて配慮しておったようでありますが、われわれ国民の不安にぴったりするような事件が起きたので、政府としては、この際アメリカ申し入れを拒否する——拒否するという言葉が強ければ、申し入れの自発的撤回なり、あるいはこの問題を閉鎖してしまうということが可能な条件ができたと思うのですが、政府はどういう方針で臨まれるのか。依然として受け入れだというような方針でいかれるのかどうか、方向を伺いたい。
  6. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) スレッシャー号の不幸な沈没事故がありましたことに対して、私どもも深甚な関心を持ちまして、その事故原因並びに結果が、どういうものであったかということを承知いたしたい気持でおるわけでございますが、この問題につきましては、アメリカ側で権威のある調査委員会を設けられて、調査が続けられておるやに拝承いたしております。しかし、まだその調査の結果が出ておりませんので、今、その調査状況を持っておるわけでございます。ただ、ただいままで、アメリカ当局発表されたことによりますと、これは通常船舶事故であって、原子炉自体には何ら問題がない、あるいはそこに散逸されておりました器材等それからちょっとまだその周辺の海水等の放射能の汚染の事実は認められないというように言われております。しかし、いずれにいたしましても、私どもとしてはこの調査の結果に関心を持っていることに変わりはございません。ただ問題は、この問題と寄港問題というものの連関でございますが、ただいままでのところ、私どもは、寄港問題とスレッシャー号沈没事故とは牽連性を持ったものとは考えていないわけでございまして、従来政府が本委員会におきましても申し上げておりますように、原子力に対する特別な感情を持っておる日本でございますから、十分、可能な限り、安全性の問題、補償の問題等につきまして、ただすべきものはただしまして、国民理解を増進いたしまして、それが相当徹底して参るという段階におきまして、政治的な決意をいたしたいと思っておるわけでございます。態度は、ただいままでのところ、この事件があったために変えたというものではございません。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまのお話ですと、スレッシャー号沈没原因が明らかにならないの問題と寄港を認める問題とは別問題である、関連がない、こういうふうに言われた。そういたしますと、このスレッシャー号沈没原因が明らかにならないうちに、この寄港について、よろしいという返事をする可能性が出てくるわけでございますけれども大平外務大臣は、この寄港について、調査の結果が明らかにならないうちにも承諾の返事を出されるつもりで今のような発言があったのかどうか、それをお伺いしたい。
  8. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 問題の核心は、原子炉安全性ということでございまして、そういう角度から見まして、安心ができるという状況になれば、措置をいたして差しつかえないと考えているわけでございます。今岡田さんのお尋ねの、スレッシャー号事故原因というものが判明しない段階において、政府措置をするということはいかがなものかという御質問でございますが、先ほど申しましたように、ただいままでのところ、アメリカ政府発表では、原子炉自体の問題ではないということを言われておりますが、それだけで直ちにそうきめてかかるわけにも参らないと思いまして、先方調査委員会調査進捗工合を見まして、安全性の問題につきまして、懸念されるような問題がないということでございますれば、その点において措置いたして差しつかえないと考えております。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のお話ですとね、このスレッシャー号沈没原子炉のためじゃない、こういうアメリカ側発表があった、こら言われているのですが、何か多少の浮遊物があったという程度で、一体どこで沈んだのか、それさえまだ探しておってわからない状態で、アメリカ調査委員会ができましても、どこで沈んだのかもわからないものが、この原子炉の故障で沈んだんじゃないとか、あるいは沈んでから原子炉が危険な状態にならない、そういうことはまだわからないと思うのです。そういうきわめてあいまいな推測を、アメリカのほらで日本のほうに気休めのために何か言ってきたとしても、そんなことは私ども信じるわけにいかぬと思うのですが、ただいまの外相の御答弁ですと、どうもそれはもっともらしく聞いておられるような印象を受けたのですがね。外務大臣は、アメリカ側の今の段階におけるそういう言明を、それも相当信用されているのでございますか。
  10. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は、アメリカばかりじゃなく、他の国々でも、政府言明ということは信頼いたします。ただ、御指摘の、この事故原因というものの調査究明が始まったばかりでございまして、先ほど申しましたように、問題の核心原子炉安全性の問題でございますから、そういう視点から見まして、この調査を進めまして、これは原子炉のあれにからまる事故じゃないというようなことがはっきりいたしますれば、私どもといたしまして、この事故原因全体の調査が完結するという時期まで別に待つ必要はなかろう、そう考えております。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく、今のスレッシャー号沈没原因なり、あるいはそれに基づく原子炉安全性の問題なり、あるいは、また今後ノーテラス型にしろ、あるいはポラリス型にしろ、潜水艦についてそういうような事故が起こる可能性もある。そういう問題について、アメリカ側のほうで安全だということが、単にアメリカ国民のみならず、日本国民も納得するような調査結果が出るまでは回答をなされない、こういうことでございますか。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) これはあくまでも政府の政治的な判断政府責任においていたす判断でございまして、私どもがたびたび申し上げておりますとおり、日本国民がこの安全性について一応心配がないという御認識をいただくまでは軽率なことはいたしたくないということで、鋭意照会中であるわけでございます。
  13. 森元治郎

    森元治郎君 スレッシャー号事件が起きてから、さらに安全性の問題について往復の文書にも相当質問もあったと思うのですが、どうですか。
  14. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) その後第三回目の照会をいたしておりますが、このほうはまだ回答を受けておりません。今それを待っておる状態です。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 時間もないようですから……。今外務大臣が言われた政府判断一体判断というのは何を基礎判断されるのか。国民心配をなくするために大平さんと池田さんが幾ら集まっても、数字のことはわかるかもしれぬが、事原子力では一番弱いんじゃないかと思うのです。その人が閣議などを開いてやってもどうにもこれは信用できないとすれば、だれの原子力関係の知識を基礎安全性の問題について折衝しているか。学者連中を見れば、もうたくさんの学者——三月の二十五日には湯川さんとか、檜山さんとか、あるいは二十七日には中村誠太郎、それから武谷三男とか坂田昌一などの百五十四名の連名による反対の声明があり、スレッシャー号事件が起きてからは、日本学術会議もあるし、それから茅東大総長などの平和七人委員会があって、みなこれは反対すべきものであると、表現は違いまするが言っておる。これだけのたくさんの専門家が、安全については十分検討するよう、ことに学術会議は、アメリカの反省と熟慮を求めるべきだ、ただし日米友好関係に立つという意見でありますが、そこまで、やわらかい表現だけれども政府専門家がみなこぞって学術会議は満場一致で反対の意思を表明した。政府はこれに対して、お前ら行政機関のくせに政府意向にまつ正面から反対するようなことを言うのはいかぬ、けしからぬ。行政関係のほうは別として、問題は科学上の問題であるから、科学的に証明すればどんぴしゃりわかることなんで、一体基礎をどこに置いておくのか。原子力委員会意見だけで政府は頭を作るのか。それがもう日本の学問の全部を代表するものとして、安全性の問題に関する対米折衝をしているのか。一体何によって政府判断をしているのか。何によって対米折衝をしているのかの根拠を伺いたい。
  16. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 原子力につきましては特別の心配を持っておる国民でございますし、その点は政府もよく了解をいたしております。したがいまして、政府部内の科学的な頭脳を動員いたしまして、安全性等につきまして照会すべきものは照会をいたしておるわけでございます。ただいままでの全部の回答をまだ得ておりませんけれども、ただいままで私どもが入手いたしました回答ないしはアメリカ政府言明、あるいはアメリカ国会における記録、審議の記録等、あらゆる材料を検討いたしておるわけでございますが、ただいままでの経過から見まして、日本側はいろいろ質問をいたしておるわけでございますけれども安全性を立証するために、自然これは軍事機密に触れて参るところが出るわけでございまして、軍事機密は、ただいままでの国際慣行上これは尊重するということになっておりまするし、日本以外の他の国で軍事機密までの開示を求めた国はどこにもございません。したがって、軍事機密に属することにつきましては、私どもとしては、アメリカの全体の科学水準というもの、それからアメリカ政府並びに軍の安全保障措置、それからただいままでのいろいろ運行、実験等々を信頼申し上げるよりほかに道はないと思っておりますが、軍事機密に属しない面におきましては、可能な限り詳細に先方の説明を求めておるわけでございます。  今科学者の団体の方々が御意見を出されておりますが、これは私どもが承知いたしておるところでは、自主的に安全性を検証しなければ安心ができないという御意見でございまして、科学者科学的な良心から出た御意見として当然だと思うのでございます。そこで私どもは、それが可能であればそのようにいたしたいわけでございますが、今申し上げました軍事機密に触れる資料までも調査しなければ安全性が確保されないのだということでございますれば、学術会議等の御満足をいただくということは、国際的に不可能だと思うのでございまして、軍事機密に属する面につきましては、先ほど申しましたように、アメリカ側を信頼するというよりほかに私は道がないだろうと思っております。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 ただいまのお話も一応はわかる面もありまするけれども、大きな政治問題として、軍機というような小さいものにはめないで、大きい観点からいけば、これは当然遠慮してもらって差しつかえない。自民党の言う日米友好にも決して差しつかえないものだと私は思うのです、もっと高い判断で。何となれば、一昨年小坂外務大臣は、池田さんとくっついてアメリカに行ったときに、ラスク長官との話のおりに、原子力潜水艦寄港の話が出たそうであります。その際に、国民感情、その他どういう理由をあげたか詳しいことは知りませんが、時期ではないというようなことで、この話は立ち消えになったように聞いておるのです。同じ自民党の内閣で、軍機を含めて安保条約アメリカの軍隊の一部であると政府の言うその原子力潜水艦寄港を、ちょっと待ってくれ、今まだその時期じゃないと言って押えておるのです。大平さんになってから、今度これを入れる。押えたこともあるのですね。ですから、今度のような——百回寄港しても事故がなかったからと言ったって、一ぺん起こればそれっきりですからね。何回安全でも、過去の安全は何にもならないのです。とてもあぶない。ですから、これは寄港は見合わしてくれと言うことは、これは決して条約上の違反でもないと思うのですが、この小坂さんの私の申し上げた点、一向に条約違反のそしりを受けないでやれるのだというような点については、どういうように大臣はお考えですか。
  18. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 一昨年秋の小坂ラスク会談で、先方からお話があったということは承りました。しかし、小坂大臣といたしましては、この話はなかったことにしてもらいたいというようなことで、断わったとか云々というようなことにしないで、話はなかったことにしようではないかというようなことであったと承っております。私どもはその後一年半経過いたしまして、原子力潜水艦の運航、寄港の実績がだんだん出て参りましたし、原子力平和利用というものがずいぶん進んで参りましたし、同時に軍事利用も進んできておると思うのでございますが、こういう時間の経過を見まして、原子力というものを破壊力あるいは殺傷力として使うということになりますると、これはたびたび私どもが申し上げますとおり、私ども反対でございますし、私ども反対であるということをアメリカ側は了承いたしておるところでございますが、これを推進力として使うということにつきましては、原子力推進力としてこれほどポピュラーになってきた段階におきましては、原子力推進力として使う潜水艦日本寄港いたしましても、別に差しつかえはなかろうというように判断をしておるわけでございます。ただ問題は、日本が特有な国情にございますので、できる限り、可能な限り安全性を立証すべく最大限努力政府はいたして、国民理解を深めて参るというような手順をとった上で手続をいたしたいと考えておるわけでございます。小坂さんと私と考えが違うのではなく、その間に時間的経過があった。原子力の普及というものが急速に進んで参りました。なお、将来を展望いたしますと、艦船の推進力というものが全部原子力になってしまうというようなことも考えられないわけではないのでございまして、それをいつまでたっても拒否するというようなことは、歴史の進行に逆行するということになりはしないかとさえ思われるのでございます。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 小坂さんだって、ラスク長官との間に、ないことにしようというのは、ラスクのほうから持ち出してないことにしようと言ったのか、どっちが言い出したのか、とにかくおかしな話だが、とにかくないことになった。今度はいよいよ現物が沈んで見えないから、これはもうないことにする絶好のチャンスです、ないことにする。非常にいいことを大臣は言ったと思うが、アメリカの立場は救えると思うんですね、これは。ですから、ないことにしようということをおっしゃる気持がないかどうか。私はやるべきだと思う。  それからもう一つは、大臣は紙に書いてきて用意しているが、可能な限り国民疑問解消措置を講じた上で受け入れていこう。これはいつもあなたは同じことを言うのだが、三月十五日の衆議院外務委員会でもそういうことを言っておるが、政府解明できないのです、学者全部が反対ですから。つかめるのはアメリカの情報あるいはアメリカ発表くらいで、日本は全部反対です。一人も賛成していない。原子力潜水艦の問題については近く結論を出すでしょうが、いずれにせよ、みんなが反対、われわれも反対しておる。賛成しているのは何もない。ほとんど全部の専門家反対です。解明できないでしょう。国民の納得ができないとすればやめるほかないと思う。大臣議会答弁から見れば、この解明をする措置を講じた上でこの受け入れ措置を講じたい、解明できないとすればだめだ、この二点をひとつ大臣からお伺いしたい。
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 小坂さんの時代はそこまで時期が熟しなかったといいますか、持ち出した、断わったというようなことのないようにしようということにしたように承っておるわけでございます。しかし、森先生の言われるように、今回はスレッシャ一号の事故があったから、これはないことにしようということを持ち出す意図はあるかどうかという第一の御質問に対しましては、私はそう考えておりません。  それから第二点といたしまして、安全性の立証の問題でございますが、先ほどからるる御説明申し上げましたように、軍事機密に属しない範囲におきましては、私ども最大限努力をいたしまして究明すべきものは究明して参る、その措置を講じつつございます。軍事機密に属することは、これは科学的な良心から申しますと、自主的にみずから検証いたしたいという気持は私どもも百パーセントよくわかるのでございますけれども、これは国際的に軍事機密を尊重する建前になっておりまするし、ただいままで百回以上も寄港いたしましたその寄港地国々から、アメリカにもそういう照会を一切いたした先例もございませんし、したがって、これは先ほど申しましたように、アメリカ科学水準、それからアメリカの軍並びに政府がとっておる措置、そういうものを信頼するということより道はない。そしてそのことにつきまして日本国民の大方の了承を私はいただけるのではないかと判断いたしておるわけでございまして、先生がおっしゃいましたように、全部が反対だという無条件、絶対の反対というように私は受け取っていないわけでございます。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 今のに関連して、政府は絶対反対でないというふうにこれの判断を受け取っておられるのだが、政府はこれらの人々と腹を割ってお話しする機会を持つつもりがあるかどうか、それが一つ。それから原子力委員会という委員会がありますが、これによって政府政府判断を立てておるのか、国内の判断を立てておるのか、原子力委員会にたよっておるのか、あるいは第一点の、皆と話し合っていくかどうか。もう一つ軍機ということで逃げられた場合には、国民の疑問を解明できないから、遺憾ながらそれでは寄港問題についてはないことにしてもらうほかないということも言い得るのじゃないか。国民解明ができないのだから、政府として責任を持って、国民、ことに専門家のほとんど全部が反対意向のようであって、これでは政府として責任ある政治をとっていけない。軍の機密にさわることができないという以上お断りするほかないと御了承願いたいと言って一向差しつかえないと思うが、この三点をひとつ。
  22. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 先ほど申しましたように、政府部内の科学的な頭脳を動員いたしまして、問題点原子力委員会を中心にいたしまして御相談いたしておりますし、その方々と御相談の上、逐次質問書を出しておりますし、その回答も検討いたしておるわけでございます。今後もそれを紡げて参るつもりでございます。  それから、原子力委員会以外の科学者たち政府が腹を割って話する機会を持つかどうかということでございますが、ただいままで政府部内で御相談をいたしておりますので、政府部外についてどのような御相談機会を持つべきかどらかということにつきましては、ただいま私結論を持っておりませんけれども、その問題につきましては、とくと考慮してみたいと思っております。  それから、断わって悪くないじゃないかということでございますが、私ども常識的に、原子力には、先生指摘のように全くしろうとなんでございますけれども、しかし、十数ヵ国寄港いたしておるその国々科学者から何らの反対も出ていない。(「おかしいね」と呼ぶ者あり)真理は一つだろうと思うのでございますが、日本科学者が特にそれを問題にされるという点が、私どもにとりましては、一体どこに問題があるのか了解に苦しむところでございますけれども、しかし、これは政府がたびたび申し上げておるように、特別な国民感情があるわけでございますから、先ほど申しましたように、可能な限り科学者の御要請にこたえて、照会すべきものは照会し、解明すべきものは解明していくという精力的な努力は、決して怠ってはならないと考えております。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 その軍機機密の問題ですが、今の外相のお答えですと、その問題に触れるわけにいかぬ、その他の点においてできるだけ向こうの回答を求めて、こちらも調査をして、それで回答するんだと、こういうお話でしたけれども、たとえば今度のスレッシャー号沈没に関してアメリカ調査委員会ができた。それはその調査結果が全部はっきりすればいいけれども、おそらくああいう原子力潜水艦のようなものが沈没したんですから、原因にその他がすっかり明らかになったにしても、あるいはその軍機機密という点から発表しない部分もあろうかと思うんです。そういう場合に、ただ発表された部分だけをそのままそれでよろしいと信じて、それに基づいて政府判断を下して回答されるということになると、国民内部に非常に疑惑が残るわけです。その点はどうお考えですか。軍機機密の点は触れるわけにはいかないから、もうその点は除いて、除いてと、そういうことでもって済まされる問題じゃないと思うんですが、そこの点を国民感情との関連においてどうお考えになりますか。
  24. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) スレッシャー号はいわゆる通常船舶事故でございまして、原子炉事故でないということは、(「それさえわからないんです」と呼ぶ者あり)少なくともそれはわからなけりゃならぬと考えておるわけでございます。で、ただいままでの科学的な検討を通じましても、原子炉には支障はないというように言われておりますけれども、せっかく調査会ができましてお調べになっておられるようでございまして、原子炉安全性の点だけは少なくとも解明していかなければならぬと私ども考えております。
  25. 羽生三七

    ○羽生三七君 私のは若干ちょっと意見にわたるんですが、先ほど森君からお話があった、小坂さんの答弁されたとき、そのときと今日までの時間的な経過というか。そういうことで、まあ時の流れが今の状態を招来したという、こういう御説明だと思いますが、それで政府は、今日の原子力の発達から原子力商船等が至るところ世界の港に寄港していくという、そういう状況の場合、その場合は純粋な安全性の問題だけが一つの問題になるわけですが、今のこのアメリカ日本への寄港という問題は、普通の商船と違って、たとえポラリスでないにしても、戦略上の意味を持っておることは当然であろうと思います。そういう点から判断すると、私は率直に申し上げまして、確かに今大臣からお話しのように、西欧諸国の学者が格別問題にしておらない。確かにNATOの加盟国が大多数ですから、それは特に問題はないと思います。それから日本でも、たしか日米安保条約を持っておりますから、政府の説明によれば、拒否する理由はない。しかし、根本的な問題は、急迫不正の外部からの攻撃が、近い将来日本にそういう攻撃が加わるということが予見し得るかといえば、私は近い将来日本が外部からの攻撃にさらされるという危険性は、永久不変ということは言いませんが、当面した、予見し得る将来においては、私はそういうことはあまり考えられないと思います。そういう状況の中で、しかも国民感情からいっても、また日本科学者等の意見からいっても、きびしい反対のある中に、あえて寄港アメリカがしいて求めなければならない理由もないだろうし、また、日本がこれを認めなければならない根拠にも乏しいと思います。ですから、そういう、もう国民の大多数から見て、これは日本の固有の自衛力ではどうにもならないから、アメリカのそういう原子力潜水艦寄港なんかも必要だという客観的な条件が起こってくれば別であります。しかし、そういう条件が、少なくとも私どもとしては、近い将来まずそういうことはない。そういうときに、あえてこれを好んでアメリカとしてもしいて要求する必要もなかろうし、また、日本としてもこれを積極的に認めなければならない事情はないと思います。ですから、私はこの際、やはりいろいろな事情はあっても、やはりしかるべき適当な方法でこれを断わるほらが日本の今の時点から見てためになるのではないか。これは安全性の問題という局面的な問題でなしに、大局的な判断から、私は前々からそういうことを考えているわけで、大臣としてのひとつ御見解を伺わせていただきます。
  26. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 原子力推進力とする潜水艦寄港という問題の評価でございますが、羽生先生と私とはちょっと評価が違うのでございます。というのは、この寄港を媒介として国際情勢が緊迫化していくというような御認識であるとすれば、私は、普通の軍艦の寄港なんでございまして、特別こういうことがあったから国際情勢が緊迫するというようには考えていないのでございまして、単なる軍艦の寄港ということにすぎないというふうに考えておるわけでございます。ただ、先ほど森先生からの御指摘がありましたように、国民感情は特異なものを持っておるということはよく承知をしておりますので、可能な限り手順を尽しまして、まあ安定性の問題の解明については努力しているという段階なんでございまして、特にもしその寄港というものの評価の問題でなくて、日本の現在は特別に急迫した攻撃にさらされておるようには思えない、何を好んでというお話でございましたが、やはり私どもといたしましては、戦争というような事態を考えるのでなくて、平和を維持するということが一番大事なことだと思うのでございまして、日本はみずからの平和と安全を守るために、今、現在の安保体制というものができ上がっておるわけでございまして、私どもは、この体制に忠実であるのが政府としての立場であると思うわけでございまして、これは紙に書いた安保条約というだけでなくて、日米間の深い、広範な信頼、協力の関係というものが裏づけになっておると思うのでございまして、そういう点に私ども考えの基調を置きまして、判断しつつ、日本の特殊の事情に応じて、可能な限りの手順を尽していこうということを、きわめて常識的なことをやっておるにすぎないと思っております。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカからの電報で・まあ新聞に出たのですが、国務省方面で、どうも日本スレッシャー号事件が起きてからあと、潜水艦寄港問題について反対が激しい・そこで潜水艦寄港の問題はこれはやめたほうがいいのじゃないか、こういうようなことが電報として伝えられておるのですが、それは何かそういうふうなことが確認されておるのかどうか。それから、先ほど大平外務大臣は、アメリカ潜水艦が各地へ寄港するのに、どこの原子力科学者反対していないということを言われておりますけれども、イギリスなんかでは、だいぶ反対運動も強いのです。それはそれといたしまして、スレッシャー号沈没以降に、アメリカなりあるいは各国なりにいろいろな反響が現われています。それはおそらく外務省のほうでも集めておられると思うのですが、それらについて資料を提供していただきたい。
  28. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 新聞に、アメリカのほうに慎重論が出ておるというふうなことを書いた新聞がありましたけれども、これは単なる新聞の情報でございまして、私どものほうでは、そういうことは一切アメリカ政府との間にそういうお話はございません。  それから、スレッシャ一号の事故のあとの各国の反響でございますが、格別な反響を私は伺っておりませんけれども、もしありましたら、事務当局のほうから説明させます。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはちゃんとありますから、それをひとつ聞かしていただきたい。
  30. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは、インドネシアの情勢について少し承りたいのでございます。  それは、最近、劉少奇あるいはマリノフスキー共産圏の巨頭の訪問、あるいはアメリカのまた要人の訪問等がございまして、いろいろそれによって大きく外交的な立場が動いているのじゃないかと思うのでございます。で、その情勢を日本外務大臣としてどういうふうに御認識なさっていらっしゃるか。そういう点を承りたいと思います。
  31. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) マリノフスキー国防相あるいは劉少奇主席等のインドネシアの御訪問と、今日ただいまの国際情勢というものとの連関性を考える場合に、これは非常に外交技術的な問題でございますけれども、こういう要人の訪問はずっと前から計画されておったわけでございまして、今日突如として起こった訪問ではないと思うのでございます。したがって、ただいまの国際情勢と直接の関連があるとは私どもは見ておらないのでございます。  それからインドネシアの現在の状況をどう見ておるかということでございますが、西イリアンの問題が片づきまして、内政面の充実を指向されておると伺っておるわけでございますが、私といたしましては、このインドネシアの国是がどちらの陣営に傾いていくかというような憶測、そういう点につきましては、そういうものの見方に対して必ずしも賛成していないのです。なぜならば、つまり資本主義があるところにまあ社会主義が起こるといいますか、そういう対立観念から見まして、先方外務大臣とも会談いたした際に、私のほらには資本主義もございませんし社会主義もない。つまり、それ以前の段階だというわけでございます。したがって、この場合、こう進んだ概念構成で東南アジア——インドネシアばかりでなく、東南アジアの情勢を近代的に理論的武器でいろいろまあ判断することがはたして正しいかどうかという点につきまして若干疑問を私ども持っておるわけでございます。問題は、内政面の充実において私ども先方がはっきりさせたことは、まず急速な工業化なんということは指向していない。自分たちは第一次産品——農業、漁業、林業とマイニングというような方面を充実さしていきたい。そのためには、あそこは例の、たとえばインドやパキスタンがコンソーシアムで債権国団から借款を受けておるというようなことはいたさないのだと、あくまでバイラテラルな二国間の経済協力というものはできるだけ受けて、戦後の復興充実に資して参りたいのだと、特に日本に対していろいろ期待を持っておるのだということを言われておりました。お気持はそのとおりだろうと思うのでございまして、そういう国柄でございまして、そういう特定の政治的なひものつかない純然たる経済借款というものを、東西いずれの陣営からでもかまわないので、それを受けて、そうして内政面の充実をはかろうということを国是としておるというように私どもは承知いたしておるわけでございまして、したがって、各国の要人の来訪というものが特に政治的にひもがついたものであるとかというようには見ていないわけでございまして、親善の旅行であるというふうに観察しておる状況です。
  32. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 まあいろいろ憶測をする必要はないと大臣は申されましたけれども、やはり日本AAがグループの中に入って国連でもいろいろ活躍をしなければならない状態にあるわけでございますから、やはり今中共とソ連との関係がまあ非常に対立的になって、そこに両方の巨頭が相次いで訪問して、その歓迎ぶりがどうであったということは、ただこれはよその国のお祭りであったというように見過ごすべきでなくて、やはりどちらからどういうふうな影響を受けるような状態になっているかというようなことについては、相当やはり現実を深く観察して心得ている必要があると思うのでございますけれども、今大臣の御所見では、えらく楽観的にお答えになっていらっしゃるように思いますけれども、もう少し深刻に考える必要があるのじゃございませんでしょうか。また、現実を見てそれを分析しておく必要があるのじゃございませんでしょうか。
  33. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 御注意でございまして、常にまあ楽観的にものを見て済ましておるというわけには参らぬと思います。ただ、先ほど申しましたように、インドネシアの国是といたしまして、どちらの陣営にどう傾くとかというようなことでなくて、ひもつきでない援助は受けつつ、主体的にみずからの内政を充実さしていこう、そういう方向に政治は動いておるというように私は見ておる、こう申し上げているわけです。
  34. 野坂參三

    ○野坂参三君 原子力潜水艦の問題についてすでにいろいろ御質問があり、またお答えもあったので、私、二、三の問題だけについてお聞きしたいと思うんです。御存じと思うけれども、一般の国民の間にはこの問題について非常な不安と、あるいは脅威というふうな感情が生まれてきておるように思うんです。けさの朝日新聞でも、特にこの問題を社説で取り扱っているし、また、その他の新聞にも投書の形でも出ておりますし、それから、いろんなこれに対する科学者やあるいは一般の人の、これはどうしても反対しなければならないだろうというふうな気分もだんだん出てきているように考えています。この場合に二つ、危険とかあるいは脅威を感じているというふうにわれわれは考えております。まず第一は、特にアジアにおける情勢の緊張を激しくしやしないかという場合、あるいはこれはすぐ目の前にどうという問題でないにしても、アジアの方面にどこか軍事行動でも起こされる。今ラオスやあるいは南ベトナムやあるいは朝鮮の三十八度線あるいは台湾海峡に何が起こるかわからないというふうなこともあるし、そういうことを考え原子力潜水艦寄港とこれがやっぱり結びつくと思う。先ほど外務大臣は、単なる寄港の問題だと言われましたけれども、これは詭弁だと思うんです。また、外務大臣はおそらく腹の中ではそう考えておられないと思う。これは御存じのように、アメリカの新しい戦略体制で社会主義諸国に対する今までの包囲陣と、それからまあ陸上の基地でやっておったけれども、今度は新しく原子力潜水艦ミサイル——移動する基地でやる。これを包囲して、御存じのように、もう西ヨーロッパでは一応そういう準備も終了して許可も与えておるし、あるいはイタリア——地中海の方面でも、御存じのようにトルコでもそういう事態になっている。また一説では、インド洋でもこういう計画があるということも報道されております。その一環として私は日本寄港の問題が出ているので、これは私はごまかしちゃいけないと思う。ここからわれわれとしては大きな不安を感じざるを得ないと思う。だから、その点私は深刻な問題で、これは今ここでどうこう質問して、またお答え願おうと思っておりません。これは別の機会に譲りたいと思うんですけれども、第二の問題のつまり非常に不安を感じているというのは、目の前で、御存じのように大西洋であの原子力潜水艦が沈んで、今日に至るまで原因もわからぬし、原因どころじゃない、どこにいるかわからないという事態、それと、御存じのように、ついこの間東京湾の入口で日本の自衛艦が貨物船と衝突して、写真で見てびっくりしたんですけれども、自衛艦が半分割れているんですね。あそこの入口には、御存じのように非常に難所があると言われている。こういうところの横須賀に、今度寄港を許すということになれば、もうすぐだれでもぴんと来ると思うんです。その場合一体どういうことになるか、こういう不安があるし、これに対して政府としては何らのはっきりした対策とか、国民が納得するような解釈もやられていないと思うんです。結局、ごまかしごまかしそのうちに何とかなるだろう、そのうちに許可もおりる——原則的には許可されたんですから。こういうことになってくることに対して非常に不安を持っていると思うんです。それできょうここでもスレッシャー号事件と、それから日本寄港の問題とは別個だと言われましたけれども、ここに私は問題があるのではないかと思うのです。これは私はむろん物理的には別個であろうけれども、いろいろな、ああいうふうな事態が起こっていることと同じようなことが、もし東京湾やあるいは佐世保などでそういうことが起こったら、一体日本はどうなるか。これは寄港の問題と緊密に結びついた問題だろうと思うのです。こういうような問題をどう思っているのか。別個だというようなことがどうして言えるのか。アメリカに対する義務と日本人民に対する義務と、これを見るのに一体どっちをどういうふうに考えるのか。日本の人民の持っている不安、あるいは日本の国あるいは人民に対する危険、これを考えるならば、無関係というようなことは言えないはずだし、また、アメリカに対する安保条約上の義務だけを、その立場からだけでこの問題を処理されるようにしかわれわれは考えられないと思いますがね。こういう問題について、私は外務大臣一つの感想でもいいから答えていただいて、最後には、最初からのずっと質問を聞きましても、一体許可されるのかされないのか、いつどういう条件が起これば許可するのかしないのか、きめられるのか、そういう点がどうも今までだってもまだ私には納得いかないのですが、どういう条件のもとでは日本政府としてははっきりした態度をきめられるか、これを結論としてお聞きしたい。
  35. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一の、国際的のアメリカの戦略体制の一環じゃないかという御判断でございますが、私どもはそう考えておりません。原子力を艦船の推進力として普及していくのだ。それを推進力に使っている軍艦の寄港である。これは緊張を倍加するものでない。遺憾ながら先生判断を異にいたします。  それから第二の問題でございますが、事故対策というようなものにつきましては、科学者のいろいろな御意見を聞いて照会をいたしているわけでございまして、私ども調査の全部が終了いたしているわけでないので、まだその過程にあるわけでございまして、全部の回答が集まりますと、それを整理いたしまして、国会はもとより、国民にできるだけ御理解いただけるような手順を講じたいと思っておるわけでございます。しかし、国会はそれほど寛容じゃございませんで、途中でございましても、いろいろこの問題について御質問になりますので、その経過を申し上げておるわけでございまして、今御指摘のような事故対策というようなものにつきましても、いろいろ照会をし、検討をいたしておりますので、それができ上がりましたら御報告申し上げたいと思っております。  それから許可をするかしないかということでございますが、これは安保条約上許可するとかしないということでないことは先生御存じのとおりでございます。しかし、先ほど私が申し上げたように、これは国民にできるだけ御理解をいただいて、大方の良識の受容するような段階まで最善の努力をした上で許可をする方向に考えておるということを申し上げるよりほかないと思います。
  36. 野坂參三

    ○野坂参三君 一言だけ。アメリカから全部の回答が出るまでと言われましたけれども、全部の回答の中には、スレッシャー号事故原因等が完全にわかるまでということを含めるのですか。
  37. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) あの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、事故原因全部の調査が完了してということ——これは相当長い時間がかかるだろうと思います。問題の核心原子炉安全性の問題と思うのでありまして、その点につきましては、少なくともはっきりしたければならぬと考えておるわけでございまして、全部の調査が完了して、しかる後というようには考えておりません。  それからなお、先ほどの御質問の中でありましたが、私どもあくまで日本中心に考えておるわけでございます。日本の平和と安全をどうして確保するかということを非常に——あなたの言われる日本人民のしあわせのために考えておるわけでございまして、決してアメリカの戦略体制を支持するというような、そういうような問題の考え方では毛頭ございません。
  38. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 ごく簡単に一点だけお尋ねいたします。四月の二十何日でしたか、フルシチョフが、党の書記または首相の地位の一つを辞するかもしれないという意思表示をしたということが伝えられております。そこで私のお尋ねしたい点は、そのフルシチョフの意思表示は、具体的にどういう事情のもとに、そしてまた正確にはどういう言い表わし方をしたのか、その点について外務省の得ておられる情報はどうか、それから、それに対する今度は外務省としての観測判断はどらか、この点をお聞きしたい。
  39. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいま杉原先生の御指摘の点につきましては、いろいろ情報がすでにあったわけでございますが、一番はっきり申しましたのは、フルシチョフ氏当人がクレムリンで行なわれました工業関係者の会合だったと思いますが、その席上で、いつまでも自分が責任の地位に未来永久についておれるものではないという趣旨のことを言ったのでございます。具体的のこの声明、そのときの演説の具体的の文字につきましては、あとで資料として差し上げたいと思いますが、そういう趣旨のことを申したのでございまして、それが従来から伝わりました。イギリスあるいはイタリア等の新聞に出ておりましたフルシチョフ氏が近く党の書記長かあるいは首相かどちらか、あるいはその双方かをやめるのじゃないかといううわさとちょうど同じ時期でございましたので、フルシチョフがほんとうにやめるのじゃなかろうか、近く行なわれる党の会議においてその趣旨のことを言うのじゃないかという推測が行なわれたのでございますが、しかし、今一般に判断されておりますところでは、フルシチョフは別に具体的にやめるつもりでそういうことを言ったのではないのであって、やはりむしろ一般論として、自分がいつまでも続けられるものじゃない、人間の体力には限度があるという趣旨のことを言ったのじゃなかろうかというのが今一番有力な判断のようでございます。それ以上のことはわれわれとしても判断の材料がないわけでございます。
  40. 井上清一

    理事井上清一君) ほかに御質疑がなければ、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後零時四分散会    ————————