○野坂参三君
原子力潜水艦の問題についてすでにいろいろ御
質問があり、またお答えもあったので、私、二、三の問題だけについてお聞きしたいと思うんです。御存じと思うけれ
ども、一般の
国民の間にはこの問題について非常な不安と、あるいは脅威というふうな
感情が生まれてきておるように思うんです。けさの朝日新聞でも、特にこの問題を社説で取り扱っているし、また、その他の新聞にも投書の形でも出ておりますし、それから、いろんなこれに対する
科学者やあるいは一般の人の、これはどうしても
反対しなければならないだろうというふうな気分もだんだん出てきているように
考えています。この場合に二つ、危険とかあるいは脅威を感じているというふうにわれわれは
考えております。まず第一は、特にアジアにおける情勢の緊張を激しくしやしないかという場合、あるいはこれはすぐ目の前にどうという問題でないにしても、アジアの方面にどこか軍事行動でも起こされる。今ラオスやあるいは南ベトナムやあるいは朝鮮の三十八度線あるいは台湾海峡に何が起こるかわからないというふうなこともあるし、そういうことを
考えて
原子力潜水艦の
寄港とこれがやっぱり結びつくと思う。先ほど
外務大臣は、単なる
寄港の問題だと言われましたけれ
ども、これは詭弁だと思うんです。また、
外務大臣はおそらく腹の中ではそう
考えておられないと思う。これは御存じのように、
アメリカの新しい戦略体制で社会主義諸国に対する今までの包囲陣と、それからまあ陸上の基地でやっておったけれ
ども、今度は新しく
原子力潜水艦ミサイル
——移動する基地でやる。これを包囲して、御存じのように、もう西ヨーロッパでは一応そういう準備も終了して許可も与えておるし、あるいはイタリア
——地中海の方面でも、御存じのようにトルコでもそういう事態になっている。また一説では、インド洋でもこういう計画があるということも報道されております。その一環として私は
日本に
寄港の問題が出ているので、これは私はごまかしちゃいけないと思う。ここからわれわれとしては大きな不安を感じざるを得ないと思う。だから、その点私は深刻な問題で、これは今ここでどうこう
質問して、またお答え願おうと思っておりません。これは別の
機会に譲りたいと思うんですけれ
ども、第二の問題のつまり非常に不安を感じているというのは、目の前で、御存じのように大西洋であの
原子力潜水艦が沈んで、今日に至るまで
原因もわからぬし、
原因どころじゃない、どこにいるかわからないという事態、それと、御存じのように、ついこの間東京湾の入口で
日本の自衛艦が貨物船と衝突して、写真で見てびっくりしたんですけれ
ども、自衛艦が半分割れているんですね。あそこの入口には、御存じのように非常に難所があると言われている。こういうところの横須賀に、今度
寄港を許すということになれば、もうすぐだれでもぴんと来ると思うんです。その場合一体どういうことになるか、こういう不安があるし、これに対して
政府としては何らのはっきりした対策とか、
国民が納得するような解釈もやられていないと思うんです。結局、ごまかしごまかしそのうちに何とかなるだろう、そのうちに許可もおりる
——原則的には許可されたんですから。こういうことになってくることに対して非常に不安を持っていると思うんです。それできょうここでも
スレッシャー号の
事件と、それから
日本の
寄港の問題とは別個だと言われましたけれ
ども、ここに私は問題があるのではないかと思うのです。これは私はむろん物理的には別個であろうけれ
ども、いろいろな、ああいうふうな事態が起こっていることと同じようなことが、もし東京湾やあるいは佐世保などでそういうことが起こったら、一体
日本はどうなるか。これは
寄港の問題と緊密に結びついた問題だろうと思うのです。こういうような問題をどう思っているのか。別個だというようなことがどうして言えるのか。
アメリカに対する義務と
日本人民に対する義務と、これを見るのに一体どっちをどういうふうに
考えるのか。
日本の人民の持っている不安、あるいは
日本の国あるいは人民に対する危険、これを
考えるならば、無
関係というようなことは言えないはずだし、また、
アメリカに対する
安保条約上の義務だけを、その立場からだけでこの問題を処理されるようにしかわれわれは
考えられないと思いますがね。こういう問題について、私は
外務大臣の
一つの感想でもいいから答えていただいて、最後には、最初からのずっと
質問を聞きましても、一体許可されるのかされないのか、いつどういう条件が起これば許可するのかしないのか、きめられるのか、そういう点がどうも今までだってもまだ私には納得いかないのですが、どういう条件のもとでは
日本政府としてははっきりした態度をきめられるか、これを
結論としてお聞きしたい。