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1963-02-28 第43回国会 衆議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十八日(木曜日)    午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君    理事 赤澤 正道君 理事 安藤  覺君    理事 野田 卯一君 理事 川俣 清音君    理事 楯 兼次郎君 理事 辻原 弘市君       相川 勝六君    井出一太郎君       井村 重雄君    今松 治郎君       宇野 宗佑君    植木庚子郎君       尾関 義一君    仮谷 忠男君       北澤 直吉君    小坂善太郎君       櫻内 義雄君    正示啓次郎君       周東 英雄君    田中伊三次君       中村三之丞君    灘尾 弘吉君       西村 直己君    船田  中君       保科善四郎君    細田 吉藏君       前田 義雄君    松野 頼三君       松本 俊一君    山口 好一君       山本 猛夫君    淡谷 悠藏君       石田 宥全君    岡田 春夫君       加藤 清二君    勝澤 芳雄君       川村 継義君    木原津與志君       小松  幹君    堂森 芳夫君       野原  覺君    山花 秀雄君       山口丈太郎君    横路 節雄君       佐々木良作君    田中幾三郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中垣 國男君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         厚 生 大 臣 西村 英一君         農 林 大 臣 重政 誠之君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         建 設 大 臣 河野 一郎君         自 治 大 臣 篠田 弘作君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 志賀健次郎君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口 一夫君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  山口  酉君         防衛施設庁長官 林  一夫君         外務事務官         (アジア局長) 後宮 虎郎君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         大蔵事務官         (主計局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (理財局長)  稻益  繁君         大蔵事務官         (管財局長)  白石 正雄君         大蔵事務官         (為替局長)  村上  一君         社会保険庁長官 高田 浩運君         農 林 技 官         (農地局長)  任田 新治君         食糧庁長官   大澤  融君         林野庁長官   吉村 清英君         通商産業事務官         (通商局長)  松村 敬一君         通商産業事務官         (重工業局長) 島田 喜仁君         通商産業事務官         (軽工業局長) 倉八  正君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君  委員外出席者         会計検査院院長 芥川  治君         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 二月二十八日  委員稻葉修君、羽田武嗣郎君、山手滿男君、石  田宥全君渡辺惣蔵君及び田中幾三郎辞任に  つき、その補欠として宇野宗佑君、前田義雄君、  細田吉藏君、勝澤芳雄君、岡田春夫君及び門司  亮君が議長指名委員に選任された。 同日  委員宇野宗佑君、細田吉藏君、前田義雄君、岡  田春夫君、勝澤芳雄君及び門司亮辞任につき、  その補欠として稻葉修君、松浦周太郎君、羽田  武嗣郎君、渡辺惣蔵君、石田宥全君及び田中幾  三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計予算  昭和三十八年度特別会計予算  昭和三十八年度政府関係機関予算  昭和三十七年度一般会計補正予算(第3号)昭  和三十七年度特別会計補正予算(特第3号)及  び昭和三十七年度政府関係機関補正予算(機第  3号)の提出を求める動議      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度一般会計予算昭和三十八年度特別会計予算昭和三十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今日までの予算委員会は国の重要施策政策論議が重点に行なわれて参りましたので、私は、きょうは見方を変えて、決算審議を通じまして指摘された諸点が予算編成にどのように考慮されたかという点につきまして、関係大臣お尋ねをいたしたいと存じます。  まず、総括的に大蔵大臣に御質問いたしますが、国家予算は、年々増加をしています。本年度一般会計におきましても二兆四百億をこえ、特別会計を加えますと膨大な金額になっておるわけでありまして、この予算がはたして国会議決の趣旨によって支出されているかどうか。年々会計検査院批難事項によって、これを見てもおわかりになりますように、不当件数というものは増加をし、金額同様増加をいたしております。ことに前年度、昭和三十六年決算報告書会計検査院より提出されておりますが、この報告によりますと、不当事項が五百七十九件、批難金額にして十八億八千五百万円の税金のむだづかいが指摘をされておるわけでありまして、これを三十五年度に比較をいたしますと、件数で一・七倍、批難金額で二倍にもなっておるわけであります。しかも、会計検査院は、毎年国の全経理のほぼ一割ぐらいしか検査していない。その上、各省に遠慮をしながら指摘をしておる。その内目の一部分のものであるわけでありまして、もし検査院によって遠慮なく検査が行なわれるといたしたなら、私は、まことに驚くべき不正と税金のむだづかいが行なわれておるというふうに思うわけでございます。しかも、これが違法であるとかあるいは不正不当事項として、数年間指摘をされておるにかかわらず、何らの反省も改善もなされておらないものがあるわけでありまして、ましてや責任者の処分はおざなりで、大臣は半年か一年たらい回し会計検査院から指摘をされたときは、もう関係者はそこにはいない。むしろ栄転をしておる行すらあるわけでありまして、まさに無責任時代における不正者の天国だと私は言わざるを得ません。国民の一人として激しい憤りを感ずるわけでございます。このことは、国の決算が、国会議決案件として提案をされずに、ただ単なる報告事項として取り扱われておるため、決算制度重要性が軽視をされて、その場限りの形式的なものになっておるわけでありまして、大臣諸公予算をとるときには一生懸命になって奮闘するが、これが予算執行決算のときにはまさに無関心で、各省はむだな費用でも使わなければ損だということで使ってしまう。国会でも、予算についてはやかましく論議をされるけれども、これが執行や、ことに経済効果の点についてはあまり論議はされていないように思います。予算委員会や他の常任委員会には出席をする大臣も、決算委員会にはなかなか出てこない。まさか逃げておるわけではないわけでありますけれども、これでは役人の取り締まりはできないと私は思う。政党政治ではなくて、まさに官僚政治になっておる。ここに私は、決算制度のあり方について、やはり総理に別の機会にお尋ねいたすといたしまして、大蔵大臣お尋ねしたいのは、予算編成の上で一つの大事なことは、従来の実績である決算参考として予算編成が行なわれるということであるわけでありまして、予算執行上の不当事項、あるいは不正問題、あるいは予算の経済的、効果的使用などについて、決算審議を通じて指摘された事項がどのように予算に考慮されておるのかという点を、まずお尋ねいたしたいと存じます。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘通り決算予算と同様に重要なものであることは、政府もその通り考えております。特に財政当局といたしましては、会計検査院から指摘せられる批難事項等に対しては、つぶさにこれを参考にいたしまして、補助金整理調査会等の御意見も聞きながら、予算の適正な執行がはかられることを前提として、予算編成に当たっておるわけでございますが、しかし、制度上等も多年議論せられてきた問題でございますが、これらの問題について、御指摘通り、不正、不当事項が跡を絶たないということに対しては、はなはだ遺憾でありまして、財政当局としては、予算編成にあたって、各省庁の主管者に対して特にこのことを強く申し上げて、これが正しい予算執行に対しては、適正合理的な執行が行なわれるよう、特に注意を喚起いたしておるわけでございます。   〔委員長退席愛知委員長代理着   席〕  なお、会計検査院法の問題、会計制度の問題、国会に対する議案の提出の問題、これが議決案件ではなく、案件であるというような問題に対しては、多年決算委員会でも議論をせられておる問題であり、政府も、財政法その他の問題と同時に、将来どうあるべきかという問題に対して検討いたしておる段階でございます。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大蔵大臣の御答弁としては、具体的な問題はないわけでありますから、そこで、私は、具体的な問題につきまして、一つ関係大臣から答弁を聞きまして、そのあとで締めくくりで、もう一度大蔵大臣お尋ねいたしたいと存じます。  そこで、時間の関係もありますので、最初防衛庁長官お尋ねいたします。  具体的な問題といたしまして、海上自衛隊の、千葉県東葛飾郡の沼南、それから鎌ケ谷にある白井飛行場新設工事が三十六年の九月行なわれたわけであります。総工費が八億四千九百万で、会計検査院の積算によりましても、約七百八十万の過大な見積もりだと指摘をされておりまして、防衛庁もこれを認めております。しかし、この工事は、私は重大な疑問があるわけでありまして、一括した工事としてやるならば約八百万から一千万の節約ができる。それにもかかわらず、防衛庁では、世界でも例がないといわれ、また防衛庁でも初めてだといわれておりますように、誘導路滑走路縦割りにしないで、わざわざ横割りにして、わざわざ二つ会社に、金額も同じように、四億二千八百五十万と四億二千五十万の注文をし、しかも、形式的には指名競争契約が行なわれておりますが、この入札経過を見てみますと、四回にわたって行なわれ、しかも、この経過は明らかに随意契約と同じで、もう入札するときには業者がきまっておったというような節が見られるわけであります。しかもこの工事のちょっと前の三十六年の六月には、防衛庁施設課長がこの会社の重役として、まだ会社ができていないにかかわらず、子会社をつくってそこに入った。おみやげ予算だといわれておるわけでありまして、このことはむろん大臣も知っておられると思うわけであります。日本の大手会社で、十分一つ会社でできる、それにもかかわらず、世界でも例がない、防衛庁としても初めてだ、ほかの日本国じゅう工事を見てもこんな例がない、誘導路滑走路横割りにした。一体いかなる理由でこういう工事が行なわれたのかという点について、まずお答え願いたいと存じます。
  6. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま御指摘になりました飛行場建設工事の問題につきましては、就任間もなく報告を受けたのでございますが、この飛行場の完成が非常に急がなければならぬ情勢下にございまして、従って器材とかあるいは材料との関係等もございまして、これを二つ会社に分割して競争入札さして工事を進めた、非常に工事を急いでおった、その関係で分割して入札に付したという経過に相なっておるのであります。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 防衛庁長官、まあ公式な委員会の席上ですから、その程度答弁しか困難であろうと思うのです。しかし大臣、かりにもこういう例がないわけです。現地を見ればおわかりになろうと思うのです。そういうことがただこの場だけの御答弁で終わっておったならば、同じことが何回も起きるわけであります。しかも、防衛庁は、かつて中古エンジン以来、物品の調達あるいは管理、こういうようなものは少しはよくなったけれども、まだまだたくさんなむだづかいが行なわれておるわけでありまして、一つ大臣、この辺でしっかりしてもらいたいと思うのです。答弁はそれで仕方がありません。しかし、やはりそういうものを徹底的に究明する中で、初めて、官僚に振り回されておる政治から、せめて政党政治として綱紀の粛正が行なわれると思うわけでありますが、大臣答弁はこれ以上私は追及いたしません。  次に、私は、総理府長官の方に一つお尋ねいたしたいと存じます。  旧軍人遺族等恩給費が、三十五年度で三十四億九千四百五十四万円、三十六年度で五十三億三千四百六十六万円、これは不用額となって決算されておるわけでありまして、この不用額を生じた理由は、裁定事項が、請求書提出遅延等によって当初の予定を下回ったためだと説明はされております。結局、簡単に言いますと、三十五年、三十六年とも二万二千件進達する計画が実際には七千件しかできなかったということであります。現在まで旧軍人遺族恩給事務は百七十三万件あった。そのうち、百六十七万件完了して、残りが三十四年末でまだ六万件ある。しかも、残されているのはまことにめんどうなものばかりであって、三十五年から年七千件しかやっていない。そうしますと、あと残っているのを終わるにはまだまだ十年かかるわけであります。これではまことに遺家族にとっては重大な問題であるわけでありまして、現に本人から申請をされて三年もかかった、五年もかかったという事例があるわけで、現在の援護局のわずかな人員では、とうていこれが解決につきましては困難だと思うわけでありまして、やはりこの際、軍人遺家族等恩給の問題については、相当事務能率を上げて、期待にこたえるような結論を早く出さなければならぬ、こう思うわけでありますが、今度の予算を見てみましても、どうも何らそれについての対策がなされていないように思うのです。その点についていかがですか。
  8. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお尋ねの件でございますが、最初予算を組みましたときに、厚生省進達見込み数というものをちょうだいしまして、それによって恩給局の方で件数金額を見積もって予算に計上したわけでございますが、過去のことを調べてみますと、厚生省から参りました予算措置をとった件数裁定実績に非常に大きな隔たりがございますが、これはもちろん裁定に対する請求進達が非常に少なかったということもございましょうし、それから総数におきましては大体そう大きな見当違いはないようでありますけれども、結局申し出の件数予定数に達しなかったということを申しておるようでございます。しかし、かようなことでは相ならぬと考えまして、繰り越し繰り越しではいけないという考え方から、昨年来厚生省恩給局と相談いたしまして、敏速にこれを解決するように各県知事にも督励をいたしまして、各省でも骨を折って、一生懸命で早く解決しようということで努力しておりますが、しかし、いずれにいたしましても、まだ前年度の繰り越しもあるように考えられますので、こうした多額の金額を後年度に繰り越しますような措置は適当でございませんから、昭和三十八年度には大体当初予算におきまして二千件に見積もりまして、そして前年度からの繰り越し等はこの際一掃してしまいたい、かように考えております。  なお、残っておりますものがどれくらいあるかという問題でございますが、これは想定でございますけれども、大体未帰還者の分が六千人、それから復員されて後になくなられたものが一万、こういう程度のものがまだ未整理のままであろうと考えますので、これらは先ほど申し上げましたように、各県にも注意をし、また私どもの内部人員等も整備いたしまして、できるだけ三十八年、九年には全部一掃できるような努力を払いたい、かように考えておる次第であります。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その答弁も、長官、あまり実情には合っていないと私は思うのです。その通りにはならないことになっているわけです。ですから、もう一回私の質問をよく読んでいただきまして、そして今のあなたの答弁のようになるかならぬかというのを検討していただきたいと思うのです。そうしなければ、私の言うようにまだ十年かかる。  それでは、次に、私は厚生大臣お尋ねいたします。  健康保険厚生年金あるいは船員保険保険料の未徴収が、まだ推定で十億ぐらいあるようです。それはなぜかといいますと、全国健康保険とか厚生年金事業所が約四十万ある。そして被保険者が一千万人ある。このうち、三十六年度で、六千八十二の事業所実地検査で、五七%の三千四百八十七の事業所が約八千九百万円徴収不足があった。三十七年度で、六千二百十九の事業所検査の結果、五四%の三千四百二事業所の八千四百九十万円の徴収不足があった。この問題は、かつて行政管理庁からも指摘をされて、そしてその指摘によって、調査員制度というものができて、全国で四百五十名増員をされました。しかし、一事業所で二、三名しか配置されていないわけでありまして、それですら、年間約七億から八億徴収不足を回収したということもいわれておるわけであります。かくのごとく、まだ五割というものは法律通りにやられていないわけでありまして、かりに全事業所を行なったら、推定をして十億の保険料徴収がある。これは関係者が言っておるわけであります。船員保険状態はどうかといいますと、船舶保有者は一万、被保険者が二十三万人ある。三十七年度で三百四十一の船舶所有者調査の結果、四六%、百五十八の船舶所有者徴収不足があって、千七百万円を徴収したといわれております。これを労働省の関係労災保険あるいは失業保険徴収不足状態を見ますと、労災保険で二・九%、失業保険で六・一%になっておるわけでありまして、このように厚生省所管保険徴収不足があるのは、全国四十万の事業所のうち、八五%が三十人未満の事業所であるのに、労災保険失業保険に比べて、まず手続が複雑でめんどうだ、第二に、年百万人ずつ増加しているのに、業務量増加に見合う人員の配置がされていない、こういうことにあるわけでありまして、十億も保険料徴収不足があるということから考えるならば、この際、やはり抜本的な対策を早急に立てて、そして届出手続の問題、あるいは事務処理合理化の問題、あるいは増員、人をふやすというようなことについて行なうべきであると思うわけでありますが、これについての具体的な対策はどうなっておりますか。   〔愛知委員長代理退席委員長着   席〕
  10. 西村英一

    西村国務大臣 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、健康保険厚生年金船員保険等保険料徴収不足でございまするが、先般も、三十五年度の決算につきまして、会計検査院から約八千八百万円ほどの徴収不足指摘を受けました。しこうして、これが年々徴収不足指摘されておるのになかなか改まらないのは、まことに遺憾とするところでございます。私の方といたしましては、こういうような第一線で働く職員の方々を督励することはもちろんでございまするが、昨年七月には、本省におきましても社会保険庁をつくりまして、ただいま届出手続簡素化あるいは第一線で働く職員増員、その他業務簡素化等につきまして鋭意研究をいたしておるのでございます。年々保険者も約一割くらいふえております。被保険者及び事業主が一割くらいふえておるのでございまして、それに対応いたしましても職員増員等は考えなければなりませんので、三十七年度におきましては三百五十人、明年度におきましては約二百五十人くらい増員をする計画をいたしておりまするとともに、本省におきましては、事務簡素化のために機械化をはかりまして、一部それを実行に移しております。  なお、そういうような徴収不足が起こる原因といたしましては、事業主に対するPRをしなければならぬと思います。届出を知らなくてやる場合、あるいは故意に不正の届出をするというようなことも起こりまするから、これは事業主に対するPRをやりますとともに、十分調査員を使って監察を強化いたしまして、御指摘がありますようなことにつきまして十分注意をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 実情については、厚生大臣もよくおわかりになっているわけでありますが、年間十億も徴収漏れがあるというようなことについては、あまり感心したことじゃないと私は思う。これもまた数年来の懸案なんです。懸案ですけれども、なかなか解決ができない。解決しようと思う時分には、もう大臣交代になってしまう、局長や下の方も交代になってしまうということで、ほったらかしになっておるわけでありますから、一つ十分御検討願いたいと思います。  次に、国有財産管理状態について、私は、大蔵大臣、それから農林大臣建設大臣お尋ねをいたしたいと存じますが、最初大蔵大臣お尋ね  いたします。  国有財産の中で、普通財産について、三十二年以降実態調査が行なわれましたが、その結果、土地で六万二千件、建物で六千件、計六万八千件についての調査が完了いたしました。その結果、未利用のものが千九百八十九万三千坪、使用されていたものが六百三十五万二千坪、無断使用されておったものが五百四十七万八千坪、実在しない財産が、調査終了時の財産数量の、土地が二一%、建物が四九%あったといわれております。その上、財産処理の結果、国の収入が三十八億もあった。そのうち、弁済金だけでも一億もある。三十七年末実態不明財産はまだ十三万五千二百七十七件ある。三十八年計画で一万八千件やると言っておるが、こんな調査状態ですと、まだこれらの財産がわかってくるのは七、八年もかかるわけであります。国の財産がかくのごとく不良に無法に放棄されておるということは、まことに許されない状態であるわけでありまして、この中にはいろいろと指摘をされておる事項がありまして、それらの問題につきましてはまた別に大臣に見ていただくといたしまして、これはやはり早急に健全な管理を行なうべきであると考えるわけでありますが、その対策についてまずお尋ねいたします。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えをいたします。  ただいま御指摘を受けました通り、三十九年一ぱいくらいまでは年度計画を立てまして、国有財産台帳整理及び国有財産実態調査を行なっております。残余のものは十三万五千件ということでございますが、御承知の通り、東京、大阪等の大きな都市をまず手始めに、三十二年当時から始めまして、現在は主要都市内部及び周辺に及んでおる国有財産調査を行なっております。三十九年度以降における約十三万五千件くらい残るものにつきましては、御指摘通り、七、八年くらいでやれるという見通しでございますが、これは非常に零細なもの、小規模のものが多いということでございます。一体なぜ、何でも知っておる、何でも整備しておると思う大蔵省においてもそうかという御質問が出ると思いまして、私も、この問題に対しては十分検討いたしたのでございますが、これは、軍の引き継ぎ財産及び物納財産等、戦後の混乱期にとられた措置が非常に雑多なものであり、多数のものでありますので、これらのものの処理が、当時の人手不足、それから軍等の書類の移管が一括行なわれておりますために、台帳整理等に非常にむずかしい状態であったということは、御理解賜われると思います。しかし、これらの問題は、このまま放置すべきものではございませんので、できるだけ国有財産の適正な台帳整理及び管理、運営を行なうべきことは当然でございます。私も就任後、行政管理庁等の御意見も聞きながら、国有財産管理、運営という面に対して、現在のように国有財産に関しては管財局だけでもってやっておる制度がいいのか、また各省各庁、政府関係機関等に法律の定めによって委譲せられるようなことが一体いいのか、国有財産でありながら、普通財産であり、行政財産であり、いろいろな区分があるために、国が公共用の道路、敷地等に使用しようとしても、これがなかなか障害になっておるという例もございますし、国有財産の総合的な運用という面に対しては、新しい角度と視野に立って検討すべき段階にきておると考えております。このためには、国有財産庁のごときものを設置して合理的なものを行なうべきか、また諸外国でやっておりますように、物品購入等も含めた調達庁のような組織、法令が必要なのか、これらの問題に対しては、現在十分検討いたしております。しかも、検討しておるというだけではなく、何らかの処置をできるだけ早い機会にとりたい、こういう考え方に立って、積極的な意味で検討を行なっておるのでございます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 検討されておる、なるべく早く結論を出したい、大へんけっこうなことなんです。そう言われるならば、これがまだ戦争直後の状態国有財産管理としてはなっておるわけでありますから、大臣も大へん実力がある一人者の方ですから、一つこういうものは検討されているうちに解決せぬと、またごちゃごちゃあちらからこちらから出て、そしてにっちもさっちもいかなくなって二、三年延びるという状態で、あちらでもうまいことやっている、こちらでもうまいことやっているという事実が出てくるわけでありますから、ぜひ一つなるべく早くやっていただきたいと思います。  では次に、農林大臣の管轄であります。財産管理で、特に最近問題になっております自作農創設特別措置特別会計に属する財産管理の現況であります。これはまことに私は驚くべき状態だと思うのです。大臣も私が質問するというのを聞いて、そいつを読んでみて驚いたのじゃないだろうかと思うのです。その程度のことしかどうも大臣は認識されていないのじゃないだろうかと思うのです、いつのときの大臣も。これは私が質問をするということで、皆さんに、おれのところもこんなのがあったのかなと認識してもらうだけでも、私は大へんいいことだと思うのです。特に三十五年度の会計検査院調査によりますと、所在の不明が三千三百九十二町歩、無断使用が九百七十七町歩、それから三年以上目的以外に使用さしているものが八百六十二町歩、それから農耕不適が八千五百二十町歩、不明が二十三万町歩、まさに財産管理の現状はわからないというのが実情だそうです。国の財産が不明確に放置されているというのが実情であるわけでありまして、これは三十六年度の会計検査院の実地調査、それから三十七年度の実地調査調査をした結果は、未墾地、既墾地の約半分は管理が不適当だ、こう言われておるわけであります。無断で転用されている、あるいは使用されているものが数年前より判明しているが、何らの処置が行なわれていない。弁償金すらとっていない。その土地に学校の校舎が建ったり、あるいは工場が建ったり、あるいは住宅や事務所が建ったり、運動場や公園になっている状態だ。しかも、この問題は数年来にわたって指摘をされている。そして三十三年には決算報告書で正式に注意されているのに、今もって放任をされて、三十五年の決算報告でも指摘をされた。まことに私は業務の怠慢だと言わざるを得ないわけであります。かつて、先ごろの国会決算委員会でこれが問題になりました。それは東大の運動場の問題です。いろいろ調査して驚いたのです。数年前より、会計検査院も、それから大蔵省からも、あるいは行政管理庁からも、文部省からも注意をされておったが、それがもう何ら反省が行なわれずに是正されていなかった。いろいろ調べてみたら、東大の運動場はいつの間にかゴルフ場になって、そうしてゴルフ場をつくるために選択科目をつくって、そして十一名の生徒がこれを使うことになっている。調べてみると、東大出身者は特別会員で、安い会費でこれが利用されておった。決算委員会出席をした監督官庁である文部省のある関係者も東大の出身だと、こう言われておる。まさにこれは幾ら指摘されても、幾ら注意をされても直らなかった理由がわかるわけでありまして、農林省所管のこの自作農創設の特別会計財産管理状態も、まさにこのような状態になっておると思う。何年も注意されておってもやらないわけであります。実情につきましては、三十七年の二月、それから三十七年の六月にわたりまして、会計検査院から具体的な個所について指摘が行なわれておりますから、その指摘を見れば驚くと思うのです。これを整理するについても、いろいろ込み入っておって大へんだと思うわけでありますけれども、これは、国の財産がこのような状態に放置されておるのは大へん遺憾であるわけでありまして、農林大臣としてのこの対策についてお尋ねいたしたいと思います。
  14. 重政誠之

    ○重政国務大臣 まさに御指摘通りのようなことがあるわけであります。これはすみやかにそれぞれ処置をいたさなければならぬと考えております。三十八年度におきましても、わずかではありますが、四千万円の予算を計上いたしまして、これらの整理をやっていこうということになっておるわけであります。できるだけすみやかに財産管理について適正な方法でやるようにいたしたい、こう考えるわけであります。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 過去のことを幾ら言っても仕方がありませんから、これからすみやかな解決をお願いいたしまして、財産管理状態でまだ建設大臣についての質問がありますが、見えていませんから、次の問題で、農林省で今出されている問題にどれほど問題があるかという点を、少しく具体的な問題を述べてみたいと思いますが、土地改良の埋め立ての問題です。  これは御承知のように、東京農地事務局が、千葉県で三十六年の三月、時価一億五千七百万円もする七万一千百九十六坪の土地を十七万九千円で東亜港湾等に売ったという事件であります。これは法律上間違いがないと農地局は言っておるわけでありますが、農地にするつもりで買った土地が農地にしないことになったら、元の地主に買収したときの値段で返すことになっている。しかも、この干拓地埋め立てに使われた土地は、四千八百四十一万円使われておるわけでありますが、これは国が回収することができないわけであります。できないと、こう言われておるわけであります。時価が一億五千七百万円もする七万坪の土地が十七万九千円で売られた。農林省はここに四千八百四十一万も金をかけたというのですから、これは私は幾ら説明を聞いてもよくわからない。大臣はむろん説明を聞いておわかりになったでしょうから、一つ私にもわかるような御答弁を願いたいと思う。
  16. 重政誠之

    ○重政国務大臣 御指摘のように、これは決算委員会でも問題になったわけでありますが、まさに御指摘のように、どうも常識的に考えますと、私自身もなかなかはっきりわからないわけでありますが、いろいろ説明を聞きますと、農地法第八十条第二項にその規定がありまして、強制買収をしたものは、それを農地の用に供しないで他の目的に供せざるを得ぬような場合には、その強制買収をした土地に加えた経費のうちで、一定の経費を原価に加算して元の地主に売却しなければならぬという規定があるわけなんです。ここで、その価値が上がったのだから、その価値が上がるために加えた有益費はすべて原価に加えるということになっておればいいのでありますが、その有益費は一定のもの以外は加えてはならぬということになっておる。そこで、どうも法律上は何ともしょうがない、だからこれは法律の改正をやるよりほかはない、こういうことに研究の結果結論がなったわけであります。さてしからば、その法律の改正をやるかどうかということについては、またいろいろ法律上どういうふうにやるかということについての問題がありますので、今検討いたしておりますが、運用としましては強制買収をしないという行き方で事業費で買収をする、こういう行き方にしておれば、加えました有益費の全部をそういうような場合においても原価に加えることができるわけでありますから、運用上そういう方法でやろうというので、運用面においてはそういう方向でやっておる次第であります。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣、これを指摘されましたのは二年前にあった事件なんです。二年前にあったけれども、今もってまだ検討している。この間、あなたのかわりの局長答弁を聞いてみると、実はまだ何年たって法律上の検討が終わるかわからないのです。わからない時分に、局長もかわり大臣もかわるのです。だから一億五千七百万円もするような七万坪の土地が十七万円で売られて、そして国がかけた四千八百四十一万円も回収されてないのです。まさに農林省は、指定をしてはそんなに金をかけて元の値段で売ってやる。それで法律上間違いがないのだということで大臣がだまされて、そしてそうかなと言っている時分に選手交代だ、こういうことになるわけであります。これだけなら私はそう文句は言わない。この次の問題を見なさい。また同じようなことが行なわれているじゃありませんか。  たとえば岡山の農地事務局が倉敷で公有水面を農地にする予定で、一億八千百三十二万四千三百八十六円で二十四万三千六百坪を埋め立てた。そしてその農地の配分を受けた六十四名の農民は、三十四年三月に配分通知をもらった。そして三十六年十月に所有権をもらったが、その以前の三十六年三月に、岡山県の開発公社に六億一千万円で売り渡しの予約をしている。しかもこの土地を三十六年五月に岡山県の開発公社を通じて日本鋼管、川崎化成、積水化学から農地転用の事前審査の申し出があった。そして三十六年九月に岡山の農地事務局長が転用やむを得ないと回答している。農地局は、せっかく埋め立てした農地を工場に払い下げるための手伝いをしていると言われても過言でないわけであります。農民はただで六億一千万円、一人当たり九百五十万円をもらったことになるわけでありまして、国は一億八千万の事業費を使ったが、その事業費に対して国が農民から徴収する金はたった二千万円しか徴収しないのです。一億八千万かけて国は農地をつくったわけです。そして農民に売る金は二千万円で売るわけです。その二千万円の金は、これから十五年間年賦でとるというのです。いいですか大臣、一億八千万円かけて埋め立てした。——今ごろ説明聞くなんて何ですか。こういう質問をするというのは聞いているでしょう。一億八千万円かけて埋め立てしたのです。そしてまだ個人のものにならないうちに、六億一千万円で岡山県の開発公社がこれを買ったことにして、日本鋼管、川崎化成、積水化学に売り渡している。まだ農民の所有になっていない。その間に農地局は、転用がやむを得ないといって事前の認可を与えているのですよ。しかもこの総額六億一千万円で売られる土地が、農民から取り立てる金がたった二千万円です。その二千万円をこれから十五年間でとるというのです。こんなばかばかしいことがやられているのです。大臣、どうでしょうか。
  18. 重政誠之

    ○重政国務大臣 ただいまのお話は昭和二十六年のあれだと思うのでありますが、そうして、今お話のものは、干拓地に入植した者がそれを他に転用した、こういうことの事件のようであります。それで法律の改正の問題は、私も常識に合うように法律の改正をしなければいかぬじゃないかと言っておるのですが、なかなかこれもいろいろむずかしい問題があるようであります。しかし、先ほど申しました通り昭和三十二年からは強制買収をしない、これは事業費で買収をするということにしますと、農地法の規定の適用というような制限がなくして、事業費の有益費を全部そういうような場合においては加えて買い入れ、買却することになる。こういうので、そういう方針で今日はやっておる次第であります。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣、あなたも答弁していて、自分でわからないでしょう。これはだれが常識で考えてもわからないのですよ。何もないところを埋め立てしたのです。埋め立てしたから農民に分けようというので農民を募集したのです。そうして分けたのです。配分通知をやったら、その配分通知でもう売買されているのです。まだ移転登記も何もされていないのです。配分通知で売買をされて、そうしてそれを買った岡山の開発公社はもう三つの会社に売っているわけです。ですから三つの会社が金を出すわけです。ですから何もないところに一億八千万円も農林省が金をかけて埋め立てをして、そうして配分通知をもらっただけでそれが六億一千万円に売られて、そうして国が回収する金は幾らかというと、二千万円だというのです。大蔵大臣、驚くでしょう。それから配分通知を受けて金をもらった農民はやめているのです。その二千万円をこれから十五年かかってとるのだというのです。こんなばかなことが行なわれているのです。それで大臣、今のような答弁なんです。これでは大へんなことだと思うのです。  それからその次のやつをもう一つやりましょう。まだまだたくさんありますけれども、そうやっても時間がありませんから……。  今度は岡山の農地事務局は児島の公有水面十九万六千七百三十二坪を一億六千六百二十二万七千三百六十二円で土地造成をした。これも公有水面を農林省がやったわけです。倉敷と同じようなやり方で、これは県の開発公社が三十六年の四月農地転用の許可をもらって四億八千万円で買う約束をしているのです。ですから農林省が公有水面を一億六千万円で埋め立てたその土地を、岡山県は四億八千万円で買うことにしているのです。そうして国はこの一億六千六百万円の事業費を使いながら、売り渡し費として徴収する金は、農民から三百二十万しかとらないというのです。農民は初めから自分の土地なら別なんですよ。あなたのところで造成をして分けてやって配分通知をする、その配分通知に基づいて片方公社が買って会社に売ってそうしてその会社の方は農地局に農地転用の申請を出して、まだその金が支払われていないうちにかかわらず、農地転用はやむを得ないだろうと許可を与えて、農林省の許可が与えられると、今度はそこで金での売買がやられるのですよ。そうしてその土地改良事業、公有水面埋め立てのあり方、あるいは投下した資本が回収されていない不合理というものは、ここ二、三年前から言われておるのです。言われておっても、局長がかわり、大臣がかわって、検討する、検討する、——行政管理庁が言おうが、会計検査院が言おうが、どこが言おうが、そのまま知らなく通っておって、ようやく質問をするという段階になってから回答書を読んで、これは驚いた、これは困ったものだ。そのうち、あなたがもうちょっとやってもらえばいいですけれども、おかわりになったら、またこれでもとのもくあみになるわけであります。どうでしょうか。
  20. 重政誠之

    ○重政国務大臣 これも会計検査院から指摘を受けて決算委員会でも問題にせられた件であります。そういうようなことは極力これを回避——法律の改正も改正でございますが、突貫的にこれを回避をするために、買い戻し等についてのいろいろの条件を付することができるかどうかというようなことを検討しておるわけでありまして、できるだけそういうことが実行上不適当なことが行なわれないような方向でまずもってやっていきたい、こう考えておるわけであります。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 考えておるうちに私は三つあげたわけです。初めから強制買収をした土地で、返すときには、一番最初質問したやつです。これは一億五千万円もするようなやつが十七万円で売られたというのです。国がかけた四千八百万というものは何も回収されない。これが一番最初。二番目のやつは、農林省が埋め立てをしたのです。そして一億何千万も金をかけたんです。そして農民に配分をして、農民が百姓をやるだろうと思ったら、この土地が配分通知が行なわれただけで売られて、そして売られたところが開発公社を通って、それから県の方で会社に割当をして、会社の方が六億一千万という金額をきめて、そして農地転用ができますかというのは、農地局がちゃんと事前に許可をして、それからやられた。そして農民から取り立てる金が二千万円で、それを十五年間で取る。ですから、明らかに造成をしておいて、事前に転用の許可というものは、これは問題だと思うのです。ですから、これは法律上の問題かどうかというのは、常識の問題ですよ、大臣。大体法律だって常識通りにできているのです。常識になっていないわけですよ。農林省はこれだけではない。各省にまたがって問題があると思う。  時間がありませんから次の問題にいきますと、今度は食糧庁です。食糧庁は、条件付で売り渡した原麦が、条件が違反するにかかわらずそのまま放擲されておって、会計検査院から指摘されて初めて違約金を五千万円も取った。十五の食糧事務所の調査をしたら十五とも同じような事件があった。一例をあげますと、特別麦を、ぬかに加工する条件で売り渡したのを、ぬかにしないで精麦に生産をしてもうけておった。検査がなければほおかぶり、違約金を取っただけで終わった。食糧事務所で条件をつけて売り渡しをしていながら、その条件が守られておらないにかかわらず、ほったらかしになっている。調べてみればみんなそうだ。会計検査院調査して初めてわかって、五千万円も取ったというわけでありますから、これで一体いいでしょうか。
  22. 重政誠之

    ○重政国務大臣 この問題はえさの麦のふすまをこしらえるために普通の精麦用に売るのより安く払い下げたので、それで歩どまりの率をえさ用の分を下げるという、こういうことで払い下げをいたしたのが、それが食糧の方と混淆せられて歩どまり率が若干上がったということであります。これは、まあ別々に検査されると全くそういうことになるわけでありますが、どうも同じ麦を、えさにやるのと食糧にやるのとで別々に値段をして、そうしてそれを別々にやらすというところに多少精麦をやる上においてむずかしいところがあったのじゃないかと思うのでありますが、今後におきましては、そういうことがないように厳重に監督をいたしておるわけであります。  なお詳細は、まあ大体御存じなんでしょうが、御必要があれば食糧庁長官から事情を一つ説明をさせます。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣より私の方が詳しいわけでありますから、おざなりの答弁をされてもそれは問題にならないと思う。とにかくやられた食糧事務所が調べてみたらみんなあった。あなたは今いろいろ言いわけをしましたけれども、あなたは言いわけで終わっていれば、いつまでたったってこれは直らないわけです。  食糧庁が終わりましたから今度は林野庁に参りましょう。青森営林局の金木の営林署で三十五年十一月から三十六年一月の間に、被害木が三千六百八十六木、三千八百六立米を一千三百万円で売り渡した。三千六百八十六本売り渡したにかかわらず、三千三百五本余分に切られておる。約千七百三十九万円不法伐採されたと指摘をされて、ようやくその金が取られているわけであります。大体私は林野庁長官がどうやって全国区へ出ると当選するのだろうといろいろ調べてみると、材木を売るときに刻印を打つそうです。一本といってこうやって、これで一本になる。一本で二本、こういう押し方をするんだそうです。これ調べてみるとたまたまうまく当てはまるやつが出て参ります。  それと、林野庁をやりましたからついでに言いますと、三十七年に検査院から指摘をされた三十四の営林署のうち二百八十五の土地の貸付料を調べたら、七十三の個所で貸付料が安過ぎたと指摘をされている。ですから、これは材木と土地の貸付料で全国区に当選するのかなと、こう思ったわけでありますけれども、これは私のひが目でしょうけれども、林野庁にもこういう事実があるわけです。大臣、いかがでしょうか。
  24. 重政誠之

    ○重政国務大臣 御質問の第一の盗伐の問題でありますが、これは昭和三十五年に林野庁においてそういう事実があったのですが、昭和三十五年の十一月から三十六年の四月まで、ちょうど雪の間にこれは行なわれたようであります。これは林野庁において発見をいたしまして、それぞれ刑事事件にいたしまして、現在では判決のあったものもあり、あるいはまだ係争中のものもあるようでありますが、大体現在までのところでは、農林省といたしましては、その部内についても責任者はそれぞれ行政処分に付しております。こういう事件が発生しないように厳重に指令をいたしておるわけであります。それから盗伐せられたものの損害賠償として総額約一千万円を請求いたしまして、現在までにその大部分は回収をいたしております。残りは十五万円ほどが残っておるわけであります。これは目下督促をいたしております。いずれにいたしましても、こういう不祥事件が起こらないように十分に厳重に監督をいたさなければならぬ、こう考えてやっておるわけであります。  それからなお貸付料につきましては、御指摘のような点もあるわけであります。これらにつきましては、適正な貸付料にこれを改めるべく努力をいたしておるわけであります。まことにこういうことは相済まないわけでありまして、そういうことのできる、だけ起こらないようにいたしたいと考えます。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは次に水産庁に参りましょう。水産庁につきましては、特に国庫補助金が効率的に使用されているかどうか、こういう立場で聞くわけでありますが、せっかく使った金が効果を表わさなければいかぬ。私は、特に極端な例を一つ申し上げますが、これは漁港の修築工事でまさに税金を捨てているじゃないかと思うのです。たとえば北海道の登別漁港は全額国庫負担で昭和二十五年に着工して全体の計画が四億四千万、今まで十二年かかって一億二千三百万円かけた。年間一千万円ずつかけておりますから、まだこの港は三十年かかるわけでありまして、着工から完成まで四十年かかる。これが登別の漁港です。それから昆布森の漁港が二十七年に着工して全体の計画が二億七千四百万円で、毎年五百六十万円ずつかけておる、今後四十年かかる。結局、これは五十年たたなければ完成ができない。建設大臣の地元の小田原の漁港も半額国庫負担で二十五年に着工して八億九千八百万円、毎年四千三百万円かけておるけれども、今後の見通しとしてまだ十年かかる。三十六年末で五億二千八百万円かけたけれども、波の高いときにははしけを使っておる。海が荒れたときにはこの小田原港は使えずに真鶴港を使われている。工事の手戻りとか、あるいは漁船や漁家が減って漁港の必要がなくなっているのに工事をやっておる。これはまことに驚くべき国費の乱費だ。大臣、この実情はおわかりになっておりますか。おわかりになっておったら、着工して十年たってまだ完成していない、まだ三十年かかる、四十年かかる。そのうちには一体港の必要性があるんですか、こういう点についてのお考えを伺いたい。
  26. 重政誠之

    ○重政国務大臣 投下資本を効率的に使用するということは、農林省関係の土木事業におきましても当然のことであります。これは、既着工地区についてはできるだけ早く完成をするように実はやっておるわけであります。ところが、今御指摘になりましたような漁港についてなぜそういうふうにおくれておるかというと、やはりそれ相当の理由があるわけでありまして、それは地形が非常に悪い、そして波が荒いとか、あるいは気象の状況が普通と違う。そこで年間に仕事のできる期間というものが非常に短い。非常に難工事の個所だというようなことでそういうふうにおくれたわけであります。小田原の漁港も、雑工事のところは大体もうでき上がったわけでありまして、あと三割余りのことでありますから、これからはそんな割合で年限がかかるわけではございません。これはすみやかに竣工せしめる。北海道等におきましても同様な事情がございますので、これは一律におしかりをいただいても、そういう特殊の地形及び地質の悪いとかいうようなところ、あるいは気象条件というようなものに工事を左右をせられますので、その点は一つ御了承を願いたいと思うのであります。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣、小田原でも十三年かかったのですよ。十三年かかって、今でも波が高ければ真鶴港でなければ使えないというのです。まだこれからかかるわけです。それから、まだこれから三十年、四十年かかる港はたくさんあるわけです。ですから気象条件とか、そういうことじゃないのです。ものの考え方を変えてもらわなければいかぬわけです。やはり国の金の効率的な運用という立場から検討していただかなければならぬと思う。  その次の問題です。国営農業水利事業、この付帯事業でございますが、これは国の方は完成している、県の方は五割だ、団体の方はゼロだというのがあるわけであります。ですから、国とあるいは県、団体、これがうまく調和ができていませんから、国の方は完成したけれども、県の方はまだ三割しかいっていない、いや、団体の方はゼロだ、こういう状態です。国が全部完成したけれども県もあるいは団体もゼロだ、これじゃつくられても何にも使われていないわけです。効果が上がっていないわけです。こういう金の使い方はやめなければいけない。総花的にやるのもけっこうです。しかし、ちゃんと見通しは立ててやらなければならぬと思うのです。時間がありませんから、これは申し上げておくだけにしましょう。  今度は国庫の補助金や負担金の問題であります。三十七年の検査で、農林省の公共事業の国庫補助金、全国で五万四千六百十四カ所の工事のうち、五・五%、三千十七カ所の検査で、二百二十九工事、約一億二千万円、国庫補助金から除外しなければならぬと判明した。三十六年の検査報告より百二十五の工事で六千三百万円増加しておる。まさにこれは補助金の不正が倍増しておるという結果なんです。その中身は工事費の出来高不足、あるいはコンクリート配合のごまかし、あるいは事業主体が自己負担をせず、補助金だけででたらめな工事をやっておる。全国の推計をしたら二十億程度の不正工事がある。このような不正工事を解消するためには思い切った対策をすべきだと思う。これは農林大臣より専門の建設大臣見えましたから、あわせて建設大臣の方で一括御答弁願えばいいのですが、たとえば、厚生省関係でも、国庫補助金の簡易水道事業では、配水池のコンクリートの配合が悪いので、完成しても水漏れがある。これは地元負担をせずに補助金だけでやったから出来高不足になっておる。あるいは運輸省の公共事業に対する国庫負担金でも、港湾事業の出来高不足や、国市負担金を減額して回収したものもある。建設省でも、公共事業の国庫負担金の中に相変わらず出来高の不足、あるいは不良工事が絶えていないわけでありまして、しかも三十六年度は三十五年度の倍になっている。これは私はいろいろ原因があると思うのです。現場の指導監督体制の強化とか、あるいは工事施行業者の能力の判定の問題、あるいは年度末に工事が集中をする、あるいは悪質な不正業者に対する厳重な取り締まりなどというものが不十分だ、こういうようなことがあるわけでありまして、これはやはり専門家の建設大臣に——こういうものはやはり各省にまたがってあるわけであります。特にこの補助金が多いわけでありますから、一つこういう点について対策をお伺いしたいと思います。
  28. 重政誠之

    ○重政国務大臣 確かに御指摘のようなところが過去においてはあったわけであります。これは主として災害復旧に関して御指摘のようなことが多く起こったのでありますが、これは今もお述べになりましたように、施工者の選定を誤るとか、それからまた早々のことでありますので、設計がどうも完璧でなかったとか、いろいろな理由によるものであったのでありまして、それらにつきましては、不良な工事をやったものは追加工事や改良工事をやらしめるとか、それからまた悪質なものは補助金の返還を命ずるとかいうようなことで、それぞれ厳重な措置をいたしておる次第でございます。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 国庫の補助金がどれほどむだづかいされているかということは大臣もよく存じているわけであります。たとえばここに今度の雪害報告で三倍以上の水増しをしたというのが出ております。そして県の総務部長は、水増しであったことは認める、しかしおれのところだけじゃない、よそもやっているじゃないか、こう言われた。自治省の幹部でさえも、「陳情行政の問題点をさらけ出したものだ。地方の現状は自己財源ではほとんど何もできないのだから、どうしても過大な陳情をして国にすがろうという気持になる。この水ましもそのためだろう。それにしてもあまりに実情と違うのは困ったものだ」、こう言われておる。ですから「台風騒動記」、台風が来たらこの橋はこわそう、そして災害復旧で直してもらおう、この校舎も直そうというような、昔映画がありましたけれども、それと同じようなことが今もって続けられていると思うのです。   〔委員長退席、青木委員長代理着   席〕 それもありますし、またこのごろのように、工事量が多くなりますと、監督という問題があるわけでありまして、この点について建設大臣お尋ねしたいのですが、特に小さな事業主体、町村なんかでは監督する能力がないと思うのです。どうしても業者にまかせ切りなんです。そうすると、県や市はどうかというと、県や市でも自分のところだけで仕事が一ぱいなんです。だから何とかしてやらなければならぬ。いい業者ならいいですけれども、どうしたってもうけようとすれば何か考えるわけでありますから、あとで水が漏るとか、出来高不足があるわけであります。ですから、こういうことについては、何か公共的なこういう監督をする機関と言いますか、こういうようなものについて何か考えてやらなければ、これはいつまでたっても解決しないのじゃないかと思いますが、この点についての何か構想がありましたら、お尋ねしたい。
  30. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私もそういう気持を強く持っておりましたので、建設大臣に就任いたしましてから、まず第一に民間の諸君をわずらわしまして、全国的に民間査察、抜き取り検査をやりました。しかし、むろん十分なわけには参りませんので、引き続きこの制度を活用する気持でおりますと同時に、今国会に建設省設置法の改正をお願いいたしまして、これによりまして、今、本省に重点を置いて建設指導行政をやっておりますものを、地方建設局に本省の人間をなるべく多数出しまして、そして地方建設局を重点に市町村、県等の事業を指導、協力して参るという体制に切りかえようといたしております。私は、これが決定を見るに至りますれば、従来いわゆる地方建設局は、国道もしくは直轄河川の工事を直営することを仕事にいたしておりましたものを切りかえまして、自分で仕事はなるべくやらないで、みずからは指導監督の方面に重点を置いてやって参る。ことにただいまも御指摘になりました災害等のときには、それぞれの地区に建設局を常置いたしますから、これらのものはそれぞれの市町村等の実情についても相当よくわかる者がおることになりまするので、これらを通じて御指摘のような点のないように鋭意努力いたしたいと考えておる次第であります。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 また別の機会に、これはあなたと変わった私の構想を一つ申し上げて、検討していただこうと思っております。  時間がありませんから、次に、国の補助金が終わりましたから、今度は国から出ている補助団体、特に外郭団体の問題について大蔵大臣お尋ねをいたしたいと存じます。  特に補助金、委託費、そして補助団体、こういうものにつきましてはいろいろと指摘をされております。しかし、なかなかこれが解決されておりません。いつ聞きましても、補助金等合理化審議会にかけておって今検討中だ、これではいつまでたっても検討中で終わると思うのです。しかし、御承知のように昭和三十四年が補助金は二千七百五十三億であったのが、この三十七年度には四千億になっておるわけでありまして、委託費の方はどうかといいますと、三十四年に八十一億であったのが、三十七年度は百十一億になっておる。そして補助を受けておる団体の数は一万以上になっておる。幾つあるかというのも大臣の中でおわかりにならない方が多いのじゃないかと思うのです。この補助金が有効に使われておるなら私は大へんけっこうだと思うのです。先ほどから私が指摘しておりますように、農林省におきまして、あるいは建設省、運輸省、厚生省各省におきまして、たくさんのむだづかいがある。また団体においても、補助金をもらうために団体をつくったり、あるいはなわ張り争いで重複に補助金が出たりしておる状態があるわけであります。たとえば通産省の外郭団体の財団法人アジア経済研究所がある。今はこれは特殊法人になっておりますが、国の補助金が三十五年度で一億五千万円出ている。ほかに機械工業振興会、いわゆるこれは競輪から上げてきた金でありますが、これが三十三年度に九百九十二万円、三十四年度は二千万円も補助金を取っておる。外務省の外郭団体に社団法人アジア協会というのがある。これが補助金を三十五年度で四千万円、委託費が四億二千三百万円もらっている。アジア経済研究所とアジア協会の事業内容は全く同じなんです。片方は通産省であり、片方は外務省だ。しかも会長はだれかといえば、両方とも小林中さんなんです。アジア経済研究所の所長は東畑さんがなっている。アジア協会の常任理事もやっている。こういうように重複しているわけであります。あるいは内閣官房の情報調査委託費、三十三年に十二カ所だった、一億五百九十四万円、三十八年度になったら四億千六百万円、そうしてどんなものをやっているのかと調べてみると、新聞の切り抜きをやっている。そこに委託費を出している。委託費をくれるために団体をつくったというのが、予算の上から、決算の上から見ると明確に出ているわけです。これは私はほんの一例だと思うのです。補助金あるいは委託費というものをこの際やはり徹底的に洗って、そうしてやはり三十九年度の予算ぐらいのときにはもう少し整理をしなければいけない。こう思うわけでありますが、その点についていかがですか。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 国費の効率的な活用については常に意を用いておるところでございまして、補助金についても、これが教育的、社会的、公共専業等の面に対して、必要度の商いものに順次補助金を出しておるということでありますから、補助金の制度そのものに対してはこれを否定するわけには参りませんが、御指摘通り、年々これが倍増していくという状態でございます。政府もっとにこの問題に対しては着目をし、特に国会の御審議の過程においても御指摘をせられておりますので、またそれに加え、大蔵省当局といたしましても、財政運用上当然これが効率的な運用に重点的に意を用うべきでありますので、これは合理化審議会等の議を経て、なるべく整理をいたしたいということで、その方向に対して強力に進めておるわけでございます。でございますが、民主政治は陳情政治とも言われておる面もありまして、予算編成のときには削ることが非常にむずかしい。またふえることは、新しい事態に対処して補助金というものはだんだんとふえていくということで、われわれが考えておるような方向、またあなたが御指摘になっておるような方向になかなか進まないということは、財政当局としても非常に遺憾であるというふうに考えておるわけでございます。私も就任以来補助金の適正化——いわゆる適正に使われるもの、当然出すべきものに対しては、必要なものを出して倍増していかなければならないし、またすでにその補助金を出さないでいいもの、出してすでに効果が上がっておるもの、それからただいま指摘せられましたように重複して出ておるもの、乱に流れておるもの、こういうものは当然重点的に整理をしなければならないということは言うを待たないわけでございます。前に御承知の通り、行政監察特別委員会などの制度が国会に設けられましたが、その後の事情、これは政治的なものにだけ使われるというような考え方、いろいろなことで行政監察特別委員会の制度はなくなりましたが、私はやはり補助金審議会というようなところで、補助金整理ということは表面的にはうまくいくと思いますし、理論的にはなかなかうまくいくというような傾向でありながら、実際は整理をされるよりも倍増していく。これは会計検査院指摘事項批難事項等がありまして、また当然考えても、国民の前の明るいところで堂々と議論をした場合、補助金の必要性は認めるけれども、よりこの方に重点的にいくべきである、こういう問題を比較検討せらるべきでありますから、この問題はもっと期日を切って、予算編成の何カ月前、六十日、九十日前というような時点において、少なくとも来年度の補助金に対しては、これらのものは整理せらるべきだとか、また会計検査院指摘をされた場合には、それだけのものは減額をするとか、何か適切な相当手きびしい制度がとられないと、適宜処置します、慎重に検討いたします、前向きでやりますという答弁はいつでもできますが、これが実効を上げるには、より積極的な具体的なことと取り組みましてやらないと実効が上がらないのではないかと、私自身も今その問題に対して苦慮いたしておるのでございます。国会によってどういうような制度をつくっていただくか、また政府の中でどういう制度をつくるか、大蔵省の中でどういう制度をつくれば一体合理化ができるのか、こういう問題に対してはより積極的な検討を続け、少なくとも昭和三十九年度の予算編成に関しては、財源不足ともいわれておりますので、こういう問題も私の立場においてはできるだけやりたい、こういうことでございます、先ほどからあなたが言われておるものが全部姿勢が正され、これが効率的な運営をせられるならば、相当程度の財政収入もはかれるわけでございますので、その意味においても積極的に一つ御意見に沿いたい、こう考えております。   〔青木委員長代理退席、委員長着   席〕
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 だから大蔵大臣決算についてはやはりこれは国会の承認事項にしなければいかぬ。それからそれができないならば、せめて与野党一致した意見書ぐらいは予算委員会に事前に出すから、決算委員長をここに出してきて、そして決算委員長ぐらいの話を聞いたらどうだというのを、私たちの方で決算で中心になってやっておりました小川代議士がよく主張をしてそのつど総理に言っておるわけであります。しかし残念ながら、決算委員会の方ではこの点は与野党一致になるわけでありますけれども、こちらへ来ると、大蔵大臣が別に拒否するわけじゃないけれども、どうもうまくいかぬ。今大臣が言われましたように、せめて三十九年度に——私が今すっと各省ごとに言って参りましたが、もう一回検討されてみて、やはりむだな金を使わない、効率的な運用ということで再検討していただきたいと思うのです。またあらためた機会に私もそれについての意見を申し上げますので、検討していただきたいと思います。  そこで時間もあれですから、今度は最近問題になっております審議会、委員会制度の問題につきまして川島長官お尋ねをしたいのですが、これはまた午後から決算委員会でもあるそうでありますから、簡単にやりますが、ことにこの審議会、委員会制度というものがつくられて、そうして整理せねばならないということが言われておりますけれども、なかなかこれが整理がされない。一体どこにその原因があるのかという点などにつきましても、今いろいろとやっておるようでありますけれども、やはり、これは政府の方で十分考えてもらわなければならぬと思うのです。特にこの委員の中でも、名前を申し上げるわけに参りませんけれども、一人で十八も委員をやっているのがある。選挙制度調査会、中央災害救助対策協議会、あるいは観光事業審議会、あるいは人口問題審議会、あるいは河川審議会、国有鉄道幹線調査会、あるいは産業合理化審議会、工業所有権制度改正審議会等々です。これは一人で十八もできるだろうかと驚くようなことなんです。それだけじゃないわけです。今度は政府側の方でもそうなんです。大蔵事務次官ですか、まさにたくさんなところへ入っている。これではやはり幾らたってもできるわけがないわけです。都合のいい審議会は開くけれども、都合の悪い審議会はさっぱり開かない。一年に一回も開かないという審議会が幾つもあるわけであります。これはたくさん資料が出されている。それで聞きますけれども、池田総理も長官も、これは臨時行政調査会をやっているから待っているのだということですが、行政管理庁には千三百人も人がある。そうして優秀なメンバーがおるわけであります。ましてや官僚政治じゃない、政党政治でありますから、閣議できまればできるわけでありますから、これらについてやはりこの際究明をして、必要なものは残し、必要でないものは整理をする。そうしてこんなにたくさん委員を兼任している者については、実情に即して出られるようにする、こういうように私はしなければならぬと思うのです。その点いかがですか。
  34. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 御質問に全く同意見でございます。私も行政管理庁長官になりまして以来、閣議におきまして二回ほど発言いたしまして、審議会、調査会の整理を各大臣に要求いたしておるのでありますが、まだその実が上がりません。上がりませんけれども、実情を調べまして、不要不急になりましたものはぜひこれを近いうちに整理したい、かように考えております。また委員の任命につきましては、これはそれぞれの担当大臣の責任においてやるのでありますが、一人の人があまりたくさんの委員をやることは弊害が起こりますから、これも適当に是正するようにこれから考慮いたしたい、かように考えております。
  35. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 結局、委員にさせられた人も大へん迷惑しているわけです。みな民間の大物ですから、なかなか出れないのです。しかし、頼まれればいやというわけにいかない。結局出ない。政府側はどうかといえば、それは次官は出れないわけでありますから、結局自分たちの都合のいいときに開く。開けばなかなか集まらないから、結局事務局がつくったものがそのまま通る。まさにこれは隠れみのになっておって、真に本来の民意を代表した審議会、委員会になっていないと私は思うのです。ですから、この点は人事の面につきまして、せめてその所属している委員会なんかに聞いて——民意を代表するといえばこれは与野党がありますから、これは政府の任命によるかもしれませんけれども、政府がきめても、また有名無実な人しかきめないわけでありまして、これではだめでありますから、せめてわれわれの意見も聞きながら、この点についてはもっと本来の目的に沿った者が出てくるようにしていただきたいと思うのです。  これはまたあとで午後質問いたしますので、これで終わりますが、その次に、国の全体的な金の問題について質問いたしまして、そうしてその中から抜き出して各省を聞いた。それから国の補助金を聞き、それについての補助団体、委託費の関係を聞いたわけであります。審議会、委員会、今度は戻ってくるのが今一番問題になっております公社、公団、公庫、それから事業団、特殊会社、この乱立と人事運営についての政府の監督の問題です。これは戦後の政府が、政府機関を分離して公社や公団、公庫、事業団あるいは国策会社等を設立した趣旨は私は理解するわけでありますけれども、しかし、最近の傾向は乱立をしておる気味があると思うのです。ましてや、人事の運営が独善化している状態、三十七年度末でも公社、公団、公庫、事業団、国策会社の数は五十、私はもっとあると思うのです。この中に必要性がどうも、これはどうだろうかと思うのがあるのです。これは私が考えてみますと、たとえば公営企業金融公庫は、地方の公営企業に国の資金を融資する目的で設立されたものですが、独立的な権限があるかというと、そうではない。融資対象になる企業や金融はすべて大蔵省と自治省の両省できめて、公庫は金を出すだけです。金の貸付、回収は一般の金融機関に委託してあるから、公庫は単に判こを押すだけで、職員は三十名、今はちょっとふえたそうですが、役員が六人おる。総裁の給与が二十六万円で、全部が役人出身だ。三十人で役員が六人おるわけです。月給が二十六万円。東北開発株式会社は、経営の失敗と汚職で、総裁以下理事数名が目下裁判をやられておりますが、役員は総改選されて、中にはやめた人もあるし、栄転した者があります。結局これは二億円余の赤字を出しておるわけです。二億円の赤字を出しながら、月給はよそ並みにもらって、退職金は間違いなくもらえる。しかも二億の赤字を出しておるにかかわらず、五千万円も役員に対する退職金を払わなければならぬということであります。帝都高速度交通営団は営業キロが現在まあ五十キロぐらいでしょう。役員が十七人。十七人というとこれは国鉄と同じなのです、しかも総裁の給与は最近問題になって五十二万円だという、内閣総理大臣より月給が多いわけです。その上、退職金は一期五年間勤めると一千五十三万円、やめた前総裁は三期やりましたから三千百五十万円もらったわけです。大蔵省の説明を聞きますと、公社や公団等の総裁は民間の大物で高給でなければ来てくれないといって、うまい理屈をつけておりますが、実際の人事はどうなっておるか、これはお調べになるとわかると思う。長官がお答えになるよりも一つ局長でけっこうですから、かつて事務次官をやられた方で総裁、副総裁あるいは理事長とか副理事長、こういうのをやられているお名前がわかっておったら一つ御発表願いたい。
  36. 山口酉

    山口(酉)政府委員 公社、公団等の総裁、副総裁で、かつて次官をやられた方は、公社では三公社で一名、九公団で二名、公庫で四名、事業団で理事長、副理事長の中で四名、こういう状況でございます。
  37. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 具体的には、私のところに名前が今上がっていますから、ここでは申し上げるのをやめておきますけれども、結局各省の次官をやめて、次官をやめた人が副総裁になる、局長クラスは理事になるというふうに相場がきまっているわけです。月給は大体次官は十二万円くらいですか、そうしてやめて理事になると最低十八万、副総裁になれば二十万以上になる。一期で四年やれば総裁が八百万から一千万、理事が五百万から八百万。ですから、次官をやめて副総裁を四年やって、次に総裁を四年やれば、月給は総理大臣以上で、ボーナスは二倍で、退職金は八年で二千万円、その上恩給もこれはむろんもらっておるわけです。仕事は一体何があるか、まさに高級官僚のはけ口にしかなっていない。川島さん、あなたはもう十一回当選をされている、国会議員の最高名誉である永年勤続の表彰もされた。昔かたぎの井戸べいの政治家家業で、まあそれは比較されるのもなんでしょうけれども、このごろ国会議員の歳費が何かちょっと十八万に上げるとかいうので外の方では大騒ぎをしている。代議士の方は財布の方を気にしながらびくびくしているようであります。これは、私はまことにおもしろい現象だと思う。  しかも、これが監督機関は一体どうなっているのでしょうか。監事は理事よりも給料が低い、そして理事の後輩なのです。取り締まらなければならぬ監事は後輩なんです。各省で監理しておる監理官は、その監事の後輩なんです。そして、しかも主管大臣が、その監督しなければならぬ公社や公団や事業団の総裁の後輩だった、部下だったら、これじゃ十分な監督できないのはあたりまえでしょう。私は、ここにやはり公社や公団、公庫、事業団、国策会社等の設立についての考え方というものを十分検討すべきだと思うのです。  それから経営のあり方、赤字を毎年つくっておる。東北開発だけじゃない。北海道地下資源がそうでしょう、あるいは帝都高速度交通営団をほんとうに決算をしてみなさい、おわかりになると思うのです。しかも天下り人事、そうして給与の問題、第四にそれを監督をする監理官、特に監事と監督官庁のあり方、こういうものについてはやはり根本的に——これは国会にまかせるなんということよりも、政府としてもやはり検討しなければならぬ。そして今ほど世論が公社、公団、公庫等の乱立の問題、審議会、委員会の問題、補助金あるいは委託費の問題、こういう問題について目を向けておるときはないわけでありますから、この際私は、実力のある川島さんなり大蔵大臣がおるわけでありますから、この辺でやはり早急な解決をすべきだと思うのですが、どうでしょう。
  38. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 公社、公団、事業団などの政府機関に対しましては、直接関係のある公務員の天下り人事は、これをしないことに先般閣議で決定をいたしました。今後はそういう措置はとりません。もっとも技術者等で余人をもってかえがたい少数の人は、あるいはやむを得ないかもしれませんが、原則としては天下りはやらぬということにはっきり決定をいたしております。  それから、そうした団体の監事のあり方でありますが、従来は監事の職務権限がはっきりいたしておりませんが、今度の国会に出します新たにつくる公団、事業団等に対しましては、監事の職務権限をはっきりさせるように条文を直しております。同時に監事の地位も上げまして、理事と同格にするというふうないろいろ配慮をいたしまして、監事が十分に能力を発揮して適正な運営ができるように仕向けたい、こう考えております。
  39. 塚原俊郎

    塚原委員長 勝津君に申し上げますが、申し合わせの時間が経過いたしましたので、結論をお急ぎ願いたいと思います。
  40. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで私はこの辺で、今計画をされておる移住事業団ですか、あるいは鉄道公団ですか、あるいはそのほかにもあるようですが、これらの問題はやはりこの際もう一回再検討すべきだ。このくらいのことをやらなければ、あとのおさまりがつかないと思う。そういう点につきましてはどうでしょうか。
  41. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 今度の国会へ提案いたしますそれぞれの事業団は、主管大臣において必要と認めて提案したのだろうと思うのでありますが、実はこれは一般官庁と違いまして、行政管理庁長官の容喙する範囲外なのであります。新たに法律をなにしまして、今後そういった政府機関をつくる場合には行政管理庁長官の同意を得なければならぬ、こういうふうにいたしたいので、今法案を立案いたしておる最中であります。
  42. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 こういう問題は、みな実力がある大臣ですけれども、その中でも最も実力のある人たちが解決しておかなければ、いつまでたっても同じことが繰り返されると思う。ですから、ぜひこの際もう一回私は再検討してもらいたいと思う。  時間がないようでありますから、会計検査院長にお尋ねしたいのですが、三十六年度の会計検査報告によりますと、会計検査院法の三十四条あるいは三十六条の改善意見あるいは改善要求が六件出されております。この内容を見てみますと、一体今まで会計検査院は何をやっておったのだ、もっと早く出せば是正されておったのがたくさんあるにかかわらず、今まではまことに消極的であって、私は大へん残念だと思うのです。そこで、その理由と今後についての決意を一つお聞きしたいと思うのです。
  43. 芥川治

    ○芥川会計検査院長 ただいま御指摘の点でございますが、かねてより改善措置要求、改善意見の表示は、検査報告に掲記すべく努力はして参ったのであります。過去においては数件出ております。最近におきまして三十四条、三十六条の掲記がありませんでしたので、ただいまのような御指摘を得たことと思うのです。私、院長になりましてから特に努力をいたしまして、三十六年度の決算検査報告には三十四条、三十六条の適用を掲記いたしまして、お手元にお届けしたわけでございます。今後とも、十分前向きに努力して参りたいと存じておる次第であります。
  44. 塚原俊郎

    塚原委員長 再度御注意いたします。時間が経過いたしましたから……。
  45. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最近の検査報告を見てみますと、税金徴収とか、あるいはわずかな補助金の使途、あるいは少数の不当事項で、件数だけがふえているけれども、どうも遠慮しておるように私は思うのです。特に東北開発株式会社の売上金がキャバレーに流れておったり、あるいはまた国鉄新幹線の用地買収で、某銀行からの貸付資金やあるいは路線の秘密が漏洩されておる、あるいは国有地が勝手な処分をされて、軍用土地建物の払い下げによる就職があったり、こういうたくさんの不正事件が行なわれておるにかかわらず、ほんのわずかなことだけがどうもやられておるように思うのです。国費の乱費の番人である会計検査院がこういう居眠りをしておっては、私は困ると思うのです。ここで検査院長の決意を一つ……。
  46. 芥川治

    ○芥川会計検査院長 お答えいたします。  先ほど来、検査院は遠慮しておるのではないかというようなお言葉もありましたが、そういうことは絶対ないことをここで言明いたします。  なお、検査報告に掲記する事項等につきまして、検査会議においていろいろと検討いたしまして、今までは国会と密接な連携をとっていくという運用の面におきまして、若干遺憾の点があったのではないかと思いますので、最近におきましては、特に国会との連携を密にいたしまして、国会の御審議に十分参考になるように、検査報告の掲記等につきましても、特に詳しく載せる方向に参っておるわけであります。ただ、急激に人員予算の増強等も十分に参りません点もありますので、三十八年度以降努力をいたしまして、さらに三十九年度には人員予算等も大いに強調いたしまして、検査能力の増強もはかって、前向きに進んで、御期待に沿うように努力して参りたいと存じます。
  47. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私、これで最後ですが、大蔵大臣に……。  先ほどから私いろいろと申し上げましたが、これは会計検査院がやったごく小部分のを取り上げただけなんです。それからまた、いろいろと私が調査した問題で出したわけでありますが、会計検査院でも、全国約三万四千六百カ所を調査するものを、実際には二千七百カ所、約七・八%のところしか実地調査をしていないわけです。それだけで国費の不正使用が三十六年度で約十八億八千五百万というのが指摘をされておる。これをやはり詳細に検討されたら、何百億になるか、おそるべき金額だと思う。しかも、今回会計検査院法三十四条、三十六条に基づいて指摘されておる改善の意見や改善要求事項は、予算の効率的使用と行政運営に貴重な資料だと私は思うのです。会計検査院は、確かに役所にとっては目の上のこぶかもしれません。しかし、国民の財産管理する良心だと思います。国の予算は年々ふえておる。行政事務はますます複雑になっておる。しかし、会計検査院の定員は現在千百九十二人で、昭和三十年から十四人ふえただけです。検査のための旅費は要求予算が削られて、活動がやはり狭められておるわけです。もしかりに検査院職員が、局長や課長等の幹部のポストが少ない、あるいは各省のように外郭団体もない、あるいは出世の道もないといって、有能な人材が長くいないとか、あるいは誘惑に負けてごちそうになったり、旅館代を払ってもらったり、汽車の切符を買ってもらったりするようなことがあっては、まことに憂うべきことになろうと思う。幸いに検査院職員の中にはかかる事例を聞いておりませんが、この際、やはり検査院の機構の拡充、それから職員が安心して能力を発揮できる待遇、それから自由な活動ができる予算的な裏づけを考慮すべきであると思うわけです。特に会計検査院法の第一条によれば、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と定められておるわけであります。しかし、財政的には活動の自由は握られておるわけであります。行政機関の一部ではあるわけでありますけれども、これは他とは違った独立の立場をとっておるところであるわけでありますから、定員や予算について、今後は特別な考慮が払わるべきであって、財政的な面から活動が押えられるようなことは厳に慎まなければならぬと思うのですが、これについての大蔵大臣の最後の締めくくりを一つお願いしたいと思います。
  48. 田中角榮

    田中国務大臣 会計検査院につきまして、機構の拡充及び予算上の措置を拡充しなければならないということは、大蔵省自体も十分考えております。  なお、将来の問題についても、十分配慮して参るつもりでございます。これは今締めくくりの政府側の答弁ということでございますから、私の考えも明らかにいたしておきますが、旧憲法から新憲法に移りますときに一番大きな問題になって、当時の占領軍といえどもこの問題に対しては結論を出せなかったというのは、この会計検査院法でございます。三権の中にあって、会計検査院の制度がどうなければならないかということで、新憲法に移りながら、旧憲法思想をそのまま踏襲して中途半端になっているのが現在の会計検査院法でございまして、私たちも国会議員として、過去十数年間にわたって、会計検査院法というものの改正はどうあるべきかという問題を与野党一致して検討して参ったこともございます。それで、会計検査院というものは、御承知の通り、いわゆる検察庁や裁判所に手数をかけない前の段階までは会計検査院が批難をし、指摘するわけでございます。ところが、もうすでに決算というもので確定をしてしまったものについて、国会報告すべき義務を持っているということでございまして、行政管理庁が行なっているもの、また各省各庁が自分の中で監査局、監理局その他をもって行なっている業務会計検査院に一本にした方がいいのではないか、そして違法行為、非違行為だけを指摘するということではなくて、常時行なわれている予算の適正執行という面を担当することがどうかという問題が、長い間の議論でありまして、政府部内においてもこの問題については慎重に検討しております。これは制度の問題、憲法上の問題、会計検査院法そのものの問題等がございまして、もうすでに確定したものについて批難をする、また非違事項指摘する、指摘しても、これは将来の予算編成に対して相当重視しなければならないということであるが、指摘をした事項そのものが、また国損がそのまま返ってくるということにならないから、議決案件ではなくて、報告案件でいいのだという議論が長いこと行なわれているわけでありますが、行政機構の整理改廃というような問題を真剣に検討しますときには、政府部内、行政部内において、自分が自分でもって監督をしておる、いわゆる先ほどあなたが言われた政府関係機関、公社、公団その他においても、いわゆる監事の地位を高めるというようなことよりも、会計検査院法そのものを改正して、いわゆる三権の中にあって、予算執行という面に対してより適正を期し得るためには、そういう方法がいいのではないかという議論もあるわけでございます。まあこれは、あなたが今言われた通り、内々反対論もございますが、大蔵省に半年間おってみまして、無制限に補助金がふえていく、なかなかこれをやめる、整理をするということはできない。一体どういうことがあるのか。国から補助金をもらう団体・個人はその使用区分と使用実績について公表するというような制度は、これはでき得ればうるさいから補助金をもらうのはやめようという議論も起こるだろうというようなことも、真剣に議論されております。でありますが、そうでなくても、今、大蔵省がうるさいことを言い過ぎるので、会計検査院がうるさいことを言い過ぎるので応急な災害復旧などはうまくいかない、こういう問題もうらはらにあるわけでありまして、私たちも、こういう問題に対してはほんとうに真剣に考えなければいかぬ。ただ、予算や、ここにもございますが、三十七年度に比べて、検査旅費、庁舎の施設費、庁費その他増してございます。去年度に比べて、検査旅費において約二百万円どうしたなどという数字を申し上げたところで、ここで解決する問題ではありません。こういう問題に対して、国会の行政監察、それからいわゆる法律、憲法に基づいて予算を組み、組まなければならない大蔵省の権限、大蔵大臣の権限、それから会計検査院法に基づく会計検査院の権限、こういうものの調和点をどこに見出すかということは、積極的に考えないと壁にぶつかるということ、毎年毎年同じ議論を指摘をせられて、いや一生懸命やります、悪いことはいたしません、直しますということを繰り返していくような気がいたしますので、私は、財政審議会等に対して、財政法、会計の制度、その他に対しても諮問をいたしておりますが、あわせて、決算、それから適正執行という面に対してどういうふうな具体策が一体とり得るのかという問題に対しては、真剣に検討いたしておりますし、また検討いたします。
  49. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 終わります。
  50. 塚原俊郎

    塚原委員長 午後は一時十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ————◇—————    午後一時三十四分開議
  51. 塚原俊郎

    塚原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十八年度総予算に対する質疑を続行いたします。  岡田春夫君。
  52. 岡田春夫

    岡田(春)委員 最初委員長にお伺いをいたしたいと思います。  委員長も御存じのように、前回の衆議院本会議におきまして、私は緊急質問をやりました。これに対する答弁のほとんど大半は池田総理であったわけであります。従いまして、私は、その本会議におきましてもはっきりと申し上げておきましたように、総理大臣の御出席を求めて、この事態を明らかにして参りたい、かように私は申したわけであります。われわれが国会審議を進めて参ります場合においては、総理大臣を初めとして、関係の各大臣が、われわれの国政審議のために懇切丁寧に御出席を願いまして御答弁を願うのが私は当然であると思います。それにもかかわらず、きょうは総理大臣が御出席されないわけでございますが、この点、委員長としてはどのような御努力をされたのであるか。総理大臣の御出席されなかった理由について、委員長からまず最初にその経緯を承りたいと思います。
  53. 塚原俊郎

    塚原委員長 委員長に対する御質問でありまするから、お答え申し上げます。  昨日、委員会が終了しましたあと、理事会を開きまして、社会党の理事から、本日の岡田君の一般質疑に対しまして、総理大臣出席要求がございました。理事の間に熱心な論議が戦わされましたが、結論におきましては、一般質問には総理が出ないという御意見が多数でありましたので、委員長は、その間の空気を察知いたしまして、総理大臣出席をお断わりしたような次第でございます。
  54. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう一度委員長にお伺いいたしておきますが、これはあなたの立場としていかがでございますか。私は、池田総理の御答弁に対して質問したい。そういう質問を、いない人の前でどういうようにして私は質問したらいいのですか。だれか総理大臣にかわるべき人が御答弁になるのでございますか、どうなんでございますか。
  55. 塚原俊郎

    塚原委員長 予算委員会の運営は、すべて理事会によってこれは運営いたしております。一般質疑の場合には、総理大臣出席しなくてもよろしいという決定がございます。でありまするから、今あなたがどなたに対して御質問していいかという疑問をお持ちになることは、それは私もわかりますけれども、一般質問の際に、総理大臣出席は、委員長としては認めるわけには参りません。
  56. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは、私、これ以上あまり申し上げませんけれども、しかし、あなたがお考えいただいても、総理大臣に対する質問を、だれが政府を代表して答弁をされる、こういう人が特にきょうはきめられてあるのかどうか。  それからもう一つは、申し合わせによりましてというのは、これは申し合わせでありますから、そのときの申し合わせによってどうにでも変えられるわけであります。問題が重要であるとするならば、理事会に諮らなくても、委員長の職権においてそれはできるはずである。この点を、なぜおとりにならなかったか、そうして、もしきょう総理大臣がいないためにその点の発言ができない場合においては、われわれ国会議員の発言権を、あなたはその発言することについての余地をどういう形でお考えになっているか、その点についてもう一点だけ伺っておきたいと思います。
  57. 塚原俊郎

    塚原委員長 委員会の運営は、先ほど申しましたようなルールに従って委員長はやっております。これは、どの委員会においても同じであろうと思います。あなたの総理大臣に対する云々という問題は、再質問の形で御登壇なすってあなたが発言なさったから、そういうことをおっしゃっているのじゃなかろうかと私は考えておりますが、従って、あくまでも委員会のルールに従って、一般質問の際には総理大臣出席は願わなくてもよろしいという私の考え方には変わりはございません。きょうのあなたの御質問は、おそらくあの本会議から考えまして日韓問題でありまするので、担当の外務大臣もおられることですから、そちらに十分御質疑になったらけっこうだと私は考えております。
  58. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ただいまの委員長の御発言は、私は了解いたしません。しかし、この点は留保いたしておきます。  続いて日韓問題の質問に入りますが、この間本会議質問で私がいたしましたのに対して、総理並びに大平外務大臣の御答弁はきわめて不十分でありました。国民に対してあのような答弁をされるのは不親切だと思う。私は、だから、あの問題を中心にもう少し質問を続けて参りたいと思います。  第一点は、この間も質問をいたしましたが、韓国の経済情勢は戦後最悪と言われております。この点について、外務省は、当然外交の衝に当たっているわけですから、そうして日韓交渉をやっているわけですから、韓国の経済情勢がどのような状態になっているか、外務省が入手された情報をまず伺いたいと思います。
  59. 大平正芳

    ○大平国務大臣 韓国の経済状況でございますが、独立後の困難な諸条件のもとにおきまして、その経済の成長率が思わしくないということは、御案内の通りでございます。加うるに、農作物の不作等も災いいたしまして、最近の状況は相当困難であると考えております。失業者等も相当の数に上っているように伺っておるわけでございまして、今日の事態は、韓国にとりまして相当困難な状況にあるという判断に立っております。
  60. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その点に関連して一点だけ伺っておきますが、外貨の保有高は現在どういうようになっておりますか。この点は大臣ではあれならば、関係局長でもけっこうであります。
  61. 後宮虎郎

    ○後宮政府委員 お答え申し上げます。  一月三十日の韓国銀行の統計によりますと、一月十七日現在の外貨保有総額は一億五千六百四十万ドルとなっております。
  62. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今、一月末は一億五千万ドル。ところが実際にそれのうち使える外貨はどれくらいありますか。たとえば焦げつきの問題その他がございますが……。
  63. 後宮虎郎

    ○後宮政府委員 このうちで、大体支払い可能額は二千万ドル強というふうに発表になっております。
  64. 岡田春夫

    岡田(春)委員 二千万ドル強、これもこの前私が委員会質問をした通りであります。全く国としては体をなさないほどの外貨しかなくなっている。このような外貨の問題その他経済情勢——大平外務大臣が言われましたような状態は、一体どういう原因でこういうようになってきたのか。朴軍事政権の政治が悪かったためにこうなったんだと思うが、この点はいかがですか、外務大臣
  65. 大平正芳

    ○大平国務大臣 経済の順便な成長を逐げるには各般の条件が整っておらねばなりませんが、御案内のように、独立当初でございますし、韓国の経済の成長を促す諸条件が十分でないと思います。今御指摘のように、韓国の政情がただいまの経済の困難な状況に影響があることは、私もその通り率直に認めるわけです。
  66. 岡田春夫

    岡田(春)委員 政治の状況が、このような戦後最悪の事態を招いた。とするならば、朴軍事政権というものは政策において完全に失敗をした、こういう点はお認めになるんだろうと思いますが、いかがですか。
  67. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私が、私の立場で他国の経済政策の評価をいたしますことは適当でないと思うのでございますけれども、先方の首班が率直に失敗であったということを認めておるという事実は、私どもも率直な発言として聞いております。
  68. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それからもう一つ、黒い疑惑といわれているものについても、朴正照いわゆる大統預がこれを言っておりますが、これは九項目の声明文の中に、朴正煕は、政府が疑惑を受けている問題について徹底的に調査、真相を究明し、責任の所在を明らかにするとともに、国民に内容を知らせることを明らかにする、とはっきり言っている。それからまた、二十二日の新しい情報部長の声明によると、この疑惑とは証券波動、ブルーバード国産化に伴うセナラの自動車問題、ウォーカー・ヒルの建設、日本のパチンコ輸出問題を徹底的に調査し、階級のいかんを問わず責任を追及する。このほかにも国民の疑惑を受けているが、これは現在のところ公表できない、と言っている。この点についても、おそらく外務省は情報を入手していると思うが、これらのことは、私は事実だと思うが、この点はいかがですか。
  69. 大平正芳

    ○大平国務大臣 韓国の問題でございまして、私がとやかく申し上ぐべき性質のものでないと思います。
  70. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは、外務省は日韓交渉をやっているのでしょう。日韓交渉をやっていて、政府が、正式に韓国の政府が発表したものをおっしゃれない、こうお話しなんですか、あるいはそういう情報は持っていないというお話ですか、どっちなんです。
  71. 大平正芳

    ○大平国務大臣 今御指摘のようなことは伺っておりますけれども、日本政府としてコメントすべき性質のものじゃないと思います。
  72. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、伺っているというのは、向こうから情報は入っている、しかしこれに対して論評は自分は加えない、こういう意味ですね。
  73. 大平正芳

    ○大平国務大臣 論評すべき立場にないと思います。
  74. 岡田春夫

    岡田(春)委員 こういう政権が安定政権とあなたお考えになりますか。
  75. 大平正芳

    ○大平国務大臣 政治は、一般的に申しましてどういう状態を安定と言うかということになりますると、これはいろいろ論点があろうと私は思います。私がいつも申し上げておりますのは、新興国家がその建設の途上におきましていろいろ苦悶している姿は、決して安定した姿とは思いません。しかしながら、そういうことはいずれの新興国家もその当初において経験しておりまするし、今日の先進国家といえども、その建国の当初におきましてはいろいろな問題があったと思うのでございまして、今日の韓国の状態は、その一つの絵であるというように考えております。
  76. 岡田春夫

    岡田(春)委員 安定政権というのは、私が言ったのではないのですよ。あなたの方が安定政権と言ったのです。しかも、安定政権であると言ったあなたが、先ほど、韓国の経済は戦後最悪であり、しかもその政治は、朴正煕の政治によってその最悪の事態が招かれた、しかも汚職がある。こういう事実が安定政権であるのかと聞いている。あなたの方は安定政権であるとおっしゃるなら、その根拠を示してもらいたいと私は言っている。どこが安定政権なんですか。それはいろいろな経過はあるでしょう。しかし、戦後最悪のこのような経済情勢になってもなおかつ安定政権だとあなたはおっしゃるのですか。つぶれるまで安定政権ですか。一体どういうことが安定政権という意味なんですか。
  77. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもが他国とおつき合いをする場合に、その相手国に対しまして礼譲の態度をもって臨まなければいかぬと思うのでありまして、どの政権に対しましても、それを不安定政権であるというようなことを、日本政府の立場で申し上げるべき筋合いではないと思います。
  78. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは日本の国を考えているのですか、韓国の方を考えているのですか、どっちを考えているのですか。日本の国の立場に立ってならば、相手が不安定で困るというなら、日本のためにやめるのがあたりまえじゃありませんか。交渉するという前提に立ってあなたが話をするから、仕方がないから、不安定なものであっても安定だと言わざるを得ない。それはあなたが今言った。ところが、これについてあなたの見通しはどうですか。こういうようになるという見通しは、誤っておらないというあなたの御答弁ですが、いずれは朴正煕はこういう状態になるというお見通しに立って交渉をされたのですか。これはどうです。
  79. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私は、不敏にいたしまして、将来を的確に予言ができる予言者でございません。従って、将来の状況につきまして、確たる自信のある見通しを申し上げるということは差し控えますけれども、私が今日まで申し上げておりますのは、私どもが国と国とのおつき合いをする場合に、先方が、岡田さんの言われる意味で、安定政権でないからそれは相手にしないのだというような態度は、私はとるべきでないと思うのでございまして、特に日韓の間におきましては、そういうようにかりにいたしましても、日韓の間に現実に処理しなければならぬ懸案があるわけでございますので、そういう懸案を究明いたしまして、日韓の間の正常化をいかにして来たすかということにつきまして誠心誠意努力するのが私の立場だと思っております。
  80. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたはこの前外務委員会答弁においても、日中貿易について、まあ正確ではないにしても、あなたの方の見解を述べられた。中国との貿易は、中国の経済状態が非常に悪いから、日本のためにあまりやらない方がいいという意味のことを言っているじゃありませんか。貿易だけにしてもそういうことまで言っている政府が、日韓会談で相手がこのような事態になっているのに、しかも日韓交渉を続けなければならないという理由は私にはわからない。  そこで、私は続いて伺いますが、それでは民政移管前に妥結の見通しがあるとあなたははっきりお考えになっているのですか、どうなんですか。
  81. 大平正芳

    ○大平国務大臣 問題は、先ほど申しましたように、もろもろの懸案がある。それは容易ならぬ懸案でございまして、私どもの今の仕事は、これをいかにして消化して正常化への道を打開するかということに全努力を集中いたしておるわけでございます。妥結という時点を予定いたしまして、そして非合理的な解決をはかるなんという意図は毛頭ございませんで、私どもは、誠心誠意懸案の打開に努めまして、そして、それが国民の納得するようなリーズナブルなものになれば、そこで先方との間に妥結の取りきめを結びたいと考えておるわけでございまして、いついつまでと予定して、現在の懸案の打開を時間ぎめでやろうというような無理なことは考えてもおりませんし、今日までもやっていないわけでございます。
  82. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いつまでにやるとかやらないとかということは考えておらないというならば、ことしだけではなくて、来年になるかもしれないし、再来年になるかもしれない。そういうこともあるわけですね。そうすれば、今相手の政府がこんな状態のときに交渉をするよりも、今やめて、もっと事情が変わってきたら考えるとか、こういうことをやった方がむしろ日本の国の将来のためにはいいんじゃありませんか。民政移管前にやろうというようなことを、前から金鍾泌とあなたは非公式ながら話し合っていたじゃないですか。こういう見通しの問題、あるいは今日の事態についてあなたはどういうようにお考えになりますか。金鍾泌と非公式に話し合った点と違うじゃありませんか。
  83. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いついつまでに妥結に持っていきたいというような約束をした覚えはございません。先ほど申しましたように、私どもは、今私どもの眼前にございまするもろもろの懸案の合理的な解決、納得の行く解決の道を発見すべく努力いたしておるわけでございます。
  84. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今の一々の御答弁は、私はどれも満足できません。しかし時間がないから、私はあまり突き進んで伺えないのですが、ただ一点だけ伺っておきます。野党の私があらためてここで質問をするのは、確認をするという意味でも質問するのですが、日韓交渉の今後において、たとえば民政移管後において新しい政府ができて、その新しい政府が漁業問題でどうしても日本と話がつかない、そのために日韓交渉が全面的に決裂をする。そういうようになってきた場合、向こうがイニシアチブをとって決裂するという場合に、当然外務大臣は責任を負われるのでしょうね。今でも続けると言っておりながら、そのときになって、相手にけられましたから仕方がございませんなんて言って、顔を洗ったような顔をしておられたって困りますよ。責任ははっきり負ってもらわなければならぬ。この点は、私は野党としてはっきり言うのですから、あなたの決意のほどを明らかにして下さい。
  85. 大平正芳

    ○大平国務大臣 岡田さんが重々御承知のように、あらゆる外交は二国間外交と多数国との間の外交があるわけでございまして、日韓の間は二国間の外交でございます。従いまして、これは双方の理解に根ざして解決しなければなりませんので、私は、そういう事態は希望いたしませんけれども、相手国が私どものリーズナブルであるという解決のめどにどうしてもこられないというような事情があっても、妥結にどうしても持ち込もうというような意図はございません。そういうことは、私どもは基本の方針といたしまして、納得の行く諸懸案解決を同時にやりたいということを把持いたしまして交渉に当たっておるわけでございます。そういう基本方針に照らして大平のやることがいけないということでありますならば、私は責任を感ずるにやぶさかではございません。
  86. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その御答弁では私は了解できませんが、時間がないので次に進みます。  国際法について二、三の点を伺いたいと思います。最初に二、三の点、確認をしておきたいと思いますが、この間の予算委員会において、春日君の質問に対する答弁、それから去年の八月の二十九日の外務委員会における私の質問に対する答弁、この池田総理の答弁は一貫している。それはどういうことかというと、北朝鮮には、四条の、八項目に基づく双方の請求権が残っているということをはっきり言っています。必要があれば速記録をごらんいただいてもけっこうです。これは間違いございませんか、これはどうですか。  それから第二の点は、それならば日韓交渉でやっている場合、請求権は三十八度線以南の問題だけが解決されることになる。これは当然そうだと思うのだが、そのことの根拠としては、韓国の現実に支配している地域は三十八度線以南であるから、従って三十八度線以南の請求権が解決されることになるのだ、この点も答弁されている。この二つの点は間違いないと思うが、どうでございますか。
  87. 大平正芳

    ○大平国務大臣 仰せの通りに心得ております。
  88. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう一つ伺いたいが、サンフランシスコ条約四条(a)項の当局は、韓国だけに限る、こう言っておられますが、そうでございますか。
  89. 大平正芳

    ○大平国務大臣 さようです。
  90. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その理由はどういうわけですか。
  91. 大平正芳

    ○大平国務大臣 平和条約を作案いたしました連合国の解釈、それからその平和条約に参加した国々が、国連の大韓民国政府を唯一合法の政権とみなすという決議に同調し、かつ今日韓国を承認し、国交を結んでおるというような事実に支えられまして、私どもそういう考えをとっておるわけでございます。
  92. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは伺いますが、今の理由について、第一点は、サンフランシスコ条約に加盟した国の問題、これは何も加盟国が承認をしたからといって、絶対的な、日本の当局がそういうようにしなければならないという義務はない。従って北朝鮮を当局として認めないという義務もない。この点はもう理由にならないと思います。もう一つ幾らか理由として考えられるのは、国連の決議において、合法政府であるといっていることだ、こういうことだろうと思うのですが、唯一合法の政府という地域はどこまでですか、国連の決議で。——中川さん、お答えになってもけっこうです。
  93. 中川融

    ○中川政府委員 国連の決議そのものに、要するに三十八度線以南を有効に支配している合法政府ができたということを言っておりますので、われわれも三十八度線以南を支配する政府であると考えております。
  94. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは中川さん、唯一合法の政府というのは、全朝鮮における唯一合法の政府ではありませんね。三十八度線以南の唯一合法の政府という意味ですね。この点ははっきりして下さい。
  95. 中川融

    ○中川政府委員 これは国連決議によりますと、三十八度線以南を支配しており、かつその地域で国連の監視員が監視することができた選挙で自由に政府を選んだ、そういう一つの合法政府ができた、こういうふうに規定しておるのでございまして、それ以外に朝鮮に合法政府がないのだとまでは、国連決議ではいっていない、その部分はいっていないわけでございます。
  96. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私が伺っているのは、それ以外にあるかどうかという問題は一応別として、国連の決議は、三十八度線以南における監察、ここを監察して、そこで合法の政府であるということを認めた、こういっておるのですよ。韓国というのは、あなたがこの前から言ったように、三十八度線以南しか現実に支配しておらない、支配が及ばない。ですから三十八度線以南において合法の政府なんだ、北の方でも合法の政府とはだれもいっていないのです。外務大臣、これはどうなんですか。
  97. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ですから、私もたびたび委員会を通じて申し上げておる通り、北鮮との関係におきましては白紙でございますと言っておるわけです。
  98. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんなことを私聞いておるのじゃないですよ。唯一合法の政府というのは、あなたもさっきお認めの通り、北朝鮮には請求権があるという池田総理の答弁をお認めになった。だから、あなたは白紙であるということを言っておるので、それはいいのですよ。私の言っているのは、今までどうも政府はこういうごまかしをしている。国連の決議によって韓国の政府というものが全朝鮮の唯一合法の政府であるかのごときごまかしをしている。そうじゃないのだ。国連の決議は、三十八度線から南だけの合法の政府ということを言っているのだ、北の方については触れてないんだ、こういうことを言っているんだというのですが、これ確認されますか。
  99. 大平正芳

    ○大平国務大臣 韓国が現に支配する地域に有効に支配を及ぼしているという事実を念頭に置いてやるということは、たびたび申し上げておる通りでございまして、三十八度線以南を有効に支配しておる合法政府であるという前提に立っておることは御案内の通りです。
  100. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、あなた、北朝鮮の当局を認めないということはどういうことになりますか。北朝鮮の請求権は残るわけでしょう。韓国は三十八度線以南なんでしょう。北の方の請求権が残るのに、当局は認めないというのは一体どういうわけですか。われわれはこれがどうしてもわからない。これについてはっきり御答弁を願いたい。
  101. 大平正芳

    ○大平国務大臣 岡田さんのおっしゃるようなことで、北鮮の当局を認めるということは、朝鮮半島に二つ政府を認めるということになるのでございまして、国連の決議もそういう趣旨でございませんし、またそれは、韓国民の意思でもないと思うのでございます。
  102. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そういうことではないのです。あなたの論理で言えばどうですか。三十八度線から南しか現実に韓国政府は支配しておらない。それから当局は、四条によって韓国だけしか認めない。そうしたら、第二条に書いてある、日本が権利、権原を放棄した朝鮮というのはどこを言うのですか、あなた。南朝鮮の地域だけを放棄したのですか、北朝鮮はまだ放棄してないのですか、どうなんですか。国際法上こういう点はどういうように解釈されますか。放棄してないことになるじゃありませんか。支配が及んでおらないのじゃないですか。どうなんです。
  103. 大平正芳

    ○大平国務大臣 北朝鮮の地域に現実に韓国が支配を及ぼしていないということは、御指摘通りでございます。北朝鮮と日本との関係におきましては、これは白紙でございますと申し上げておるわけでございまして、私ども北朝鮮当局と交渉する立場をとっていないということでございます。
  104. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の伺っているのはそうじゃないのです。それじゃ、あなたの第二条の解釈はどうなんですか。第二条において、日本が放棄するものは、朝鮮を放棄して朝鮮独立を認めると書いてありますね、そうでしょう。そうすると、第四条の規定によって、あなたは第四条の当局というのは韓国である、とこういうのでしょう。北朝鮮は当局とは認めない、こういうのでしょう。ところが韓国の場合には、三十八度線の南しか支配が及んでないでしょう。そうしたら二条と四条の関係でいったら、三十八度線から北の部分は一体これは放棄したんですか、どうしたんですか。これは一体どうなんですか。白紙とはいえないですよ。白紙というのは放棄もしないということなんです。どうなんですか。
  105. 大平正芳

    ○大平国務大臣 わが国が領土として朝鮮半島を放棄したことを言っているわけでございまして、あなたの言われる前段の方は、全朝鮮、こういう意味でございます。ただ、しかし、北朝鮮の部分につきましては、私どもは白紙でおるということを申し上げておるだけです。
  106. 岡田春夫

    岡田(春)委員 白紙でいるというのは、あなた、これは請求権のことをおっしゃっているのでしょう。あそこはオーソリティのあるということは認められるのでしょう。どうなんです。
  107. 大平正芳

    ○大平国務大臣 事実上のオーソリティがあることは認めますけれども、そのオーソリティを相手にいたしまして私どもは交渉する立場をとっていないということでございます。
  108. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それではオーソリティがあるということは認める。しかし、請求権の問題その他においては、これを現実に対象とすることはできない。どういう場合に対象になるのですか。どういうようにしたら北の方が解決できるのですか。
  109. 大平正芳

    ○大平国務大臣 その問題を日本が交渉できる立場になれば考えるわけでございますが、ただいま日本政府としては、北朝鮮のオーソリティと交渉する立場にもないし、そういう意思も持っていないわけです。
  110. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたが意思を持っていないということですよね。これは、請求権解決の道は、白紙でなくて解決できるのですよ。北朝鮮の当局を請求権の対象として政府が認めれば交渉できるのです。だからこそ、われわれは言っているのですよ。あなたの方の論理で進めるならば、現在北の方は未解決だ、だから南北統一するまでは解決できない、こういうのでしょう。だから、われわれは前から南北統一してから話をしなさい、南の方だけと話をしていたのでは話ができませんよ。これはうるさい人もいるから、あとでもっと詳しく言いますけれども、こういう点については、南北統一してからでなければ解決ができないのですよ。しかも、現在どうしても交渉するというならば、北朝鮮の当局を四条の当局であるとはっきり認めるか、そのどちらかしかないのです。ですから、この点については、あなたの現在の答弁では非常に不十分ですし、あとで私が伺っていく点で矛盾が生まれて参ります。  次の質問をいたしますが、日韓交渉の今までの交渉の過程の中で、請求権が及んでいる地域、範囲、これはどういうことになっていますか。
  111. 中川融

    ○中川政府委員 これは先ほど第四条の解釈で申しました通り、三十八度線以南を有効に支配しておる韓国政府と交渉しておりますので、その内容は、その地域についての請求権を解決するということであると考えております。
  112. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは日本の態度としては、三十八度線以南のものについて請求権を交渉しておる。ところが、韓国の方は三十八度線以南の交渉であるということを了解しておりますか。大平さん、どうですか。
  113. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもは、現に支配する地域という前提で韓国政府と交渉をいたしておるわけでございまして、先方もそういう私どもの立場につきましては理解を持っておるものと思います。
  114. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは、いいかげんなことを言ってはいけませんよ。ここに私、崔外務大臣の声明を持っています。崔外務大臣はこう言っております。今月の二十一日です。読んでみます。要旨だけですが、請求権問題で池田勇人首相が、請求権は韓国側だけに適用するから、北朝鮮との請求権問題は未解決だと発言したことは、共産側に不利だという印象を与えるという意味できわめて遺憾である。日韓問題の諸懸案は、韓国だけでなくて、北朝鮮を含めて全体の問題として請求権を考えるべきである、こう言っております。これは了解していないでしょうが。日本側としては三十八度線以南と言っておるが、向こうの方は三十八度線以南でいいということを言ったことがございますか。あなた、ありますか。あるならはっきり言って下さい。何月何日、三十八度線以南でいいということを言った事実があるなら言ってください。そんなことは言っていないはずです。
  115. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもは、韓国が現に有効に支配を及ぼしている地域の請求権であるという前提に立ちまして交渉を進めておるわけでございます。韓国側でそういう御発言があるようでございますが、これはいずれ幸いに懸案が妥結になりまして、協定を結ぶ段階におきまして、どのような表現にするかということに帰するのではないかと思っております。
  116. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いや、するのではないかでなく、あなたは交渉の当事者ですからね。そこの点は明快にするのだというなら明快にしていただきたいのです。それは明快にしてもらわなければ困るのですよ。三十八度線以南の交渉をしておるのに、北の分もやりますなんということでは交渉にならないでしょうが。あなたはそんなことできないでしょう。(「そんなこと言っていないよ」と呼ぶ者あり)いや言っていますよ。韓国の外務大臣が言っているから、言っているのですよ。その点をはっきりして下さいと言っている。日本の外務大臣はその点についてどうするんですかということを聞いているのです。   〔発言する者あり〕
  117. 塚原俊郎

    塚原委員長 御静粛に願います。
  118. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大平外務大臣は、韓国が全部でなければいけないと言う場合にどうするんですかということを聞いている。その場合に合意ができますかと言っているのです。合意できますか。全朝鮮でいいんですか。そこの点、はっきりして下さい。それはどうなんですか。
  119. 大平正芳

    ○大平国務大臣 二国間の交渉でございまして、二国間の意思が合わなければいけないわけでございまして、私どもは平和条約の四条に残された請求権問題の解決、取りきめということも今度の交渉の一つのアイテムとして取り上げておるわけでございます。平和条約の解釈につきましては、るるやりとりがございまして、私どもは、四条の(6)項にいうものは、現に支配しておる韓国の領域を問題にしておるんだということは、たびたび申し上げた通りでございます。
  120. 岡田春夫

    岡田(春)委員 どうも今の御答弁はちょっとあいまいですね。問題は、三十八度線の北に及ぶ請求権はどうなるのか。韓国の側としては北に及んでいるものもすべてを含むと言っている、そのこと自体不当ではないかということなんですよ。そうでしょう。あなたどうですか。日本が逆の場合で考えてごらんなさいよ。日本がどこかと交渉した、その請求権を放棄する、その場合に、現在日本にあらざる台湾とか小笠原諸島とか——小笠原諸島は別だ、台湾とかそれらの地域の請求権も放棄しますなんということをあなた言えますか。言えないじゃありませんか。だれが考えたって常識じゃありませんか。国連ではっきり三十八度線以南にしか支配が及んでおらない、それの唯一合法の政府であると言っているなら、北の地域についての請求権があるということを言うのはおかしいではないか、これは不法ではないかということを、日本の態度としてはっきりすることができるのかどうかということなんです。この点はどうなんですか。
  121. 大平正芳

    ○大平国務大臣 わが国は、先ほど申しましたような立場をとっておるわけでございまして、韓国の方々がどう言われたかということを一々論評はできませんが、最終的に幸いに妥結になりましていく場合には、私どもがとっておる立場というものを貫いてやるべきだと思います。
  122. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この点については、両国間の合意済みの問題ですか、どうですか。合意されていますか、どうなんですか。
  123. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもは、現に韓国が支配する領域の主権政府という立場である韓国と交渉しておるということは、先方も御理解いただけておるものと思います。
  124. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の聞いているのは、あなたは、それじゃ韓国が全朝鮮であるということを聞いて、それを理解しております、両方お互いに理解し合っているだけ、そういうことなんですよ。合意しているというわけじゃないでしょう。
  125. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私が申し上げたようなことを前提にして交渉を進めておるわけであります。
  126. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この前あなたの方で提出されました資料がある。二月二日に「韓国側の対日請求権要綱」こういうものがございますが、これが請求権交渉の一つの土台になっているわけでございますね。
  127. 大平正芳

    ○大平国務大臣 それは八項目の……。
  128. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そうです。
  129. 大平正芳

    ○大平国務大臣 それが先方から提示されまして、私どもといたしましてもそれを討議いたしたわけでございます。
  130. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この請求権の中には、当然北の分も含んでいるわけですね、八項目の中には。そうじゃございませんか。
  131. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私が先ほど申しましたように、私ども交渉の前提として、韓国が現に支配する地域という限定の上に立ちまして、御指摘の八項目の検討を進めた事実はございます。
  132. 岡田春夫

    岡田(春)委員 八項目の中に北の分も含んでいるんですねと聞いているのです。
  133. 大平正芳

    ○大平国務大臣 交渉の前提が、私が今申し上げたような前提に立ってやっておるわけでございまして、先方がどういう意図で出されたか、それはつまびらかにいたしておりませんけれども、私ども討議の過程におきまして、私どもが立っておる前提に立ってお互いの意見をかわしたという事実はございます。
  134. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この八項目の中には北は入っているのですか、入っていないのですか、それはどっちなんですか。それをはっきりして下さい。
  135. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先方がどういう意図でおられるかは私はわかりませんけれども、少なくとも日韓の間の交渉の前提といたしまして、私どもが先ほど申しましたような前提に立っておるということで討議が進められておるわけでございます。
  136. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私がさっきから伺っているのは、先方が出したものの中に、北のものも含んでいるじゃありませんかということを聞いているのですよ、時間がかかるから簡単に言いましょうよ、あなた、こんな点は。はっきりしているじゃありませんか。入っていないというのですか。おわかりにならないのですか。
  137. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先方の意図を確かめて、これがどういうものであるかというようなことは確かめておりません。
  138. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これはきわめて重大です。あなたは横路君の質問に対して、南北の推定その他につきまして一致いたしませんので云々と言って、交渉しているじゃないですか。あなた今、交渉しないし、わからないと言った。南北の推定ということを横路君の質問のときにはっきり言っているじゃありませんか。八項目の中に南北の推定をやったんじゃありませんか、日本の外務省は。さっきの答弁をお取り消しになりますか。聞いてないとおっしゃる。聞いてないのに交渉しているじゃないですか。一体どうなんですか。交渉しているというのは、横路君のときはっきり言っているし、それ以外にもはっきり言っていますよ。この点はどっちなんですか。
  139. 大平正芳

    ○大平国務大臣 たびたび申し上げますように交渉の前提として、韓国は現に支配している地域というものを有効に支配する政権として相手にいたしております、こういうことはたびたび申し上げているわけでございます。今、横路さんの御質問に、南北の振り合い等云々ということを私が申し上げておる意味は、その要請された項目で全朝鮮というものをかりにとってみますと、一応こういう数字が出る。その場合に、南北を分けるとすればどういう推定方法を講ずるかということは論議になったことは事実でございます。それも私どもが立っておる前提に立つ限り、そういう思考の過程があったことは当然だと思います。
  140. 岡田春夫

    岡田(春)委員 では、あなたさっき、向こうの方はどういうように考えているか、私話していないから知りませんと言いましたね。それはどうなんですか。
  141. 大平正芳

    ○大平国務大臣 外交交渉におきまして、私どもといたしましてはこういう前提に立ってやるんだということを明瞭にいたしておるわけでございます。先方に対しまして、私どもが一々、これはどういう前提で組まれたものでございますかというようなことをお聞きするのも非礼だと思いまして、そういうことはやっておりません。しかし、私どもが立っておる前提は、こういう前提に立ってやるのであるという点に御信頼を置いていただきたいと思います。
  142. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、向こうに対してこの点は聞いてないんですね。
  143. 大平正芳

    ○大平国務大臣 今も申し上げましたように、かりに全朝鮮をとってみればこうなる、そのうち三十八度線以南を推定する場合にはこういう推定の方法もある、こういう推定の方法もある、そしてその両者の間に意見が必ずしも一致しないという事実があったことを御指摘申し上げます。
  144. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほどの答弁とだいぶ違うじゃありませんか。あなたは、その八項目の中には北が入っているか入っていないかということは聞いてないとお話しになったでしょう。聞いているのですか、聞いてないのですか、どっちなんです。さっきは聞いてないという御答弁でしたね。これはどっちなんですか。これははっきりして下さいよ。聞いているのですか、聞いてないのですか。この点をはっきり言って下さい。
  145. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもが立っておる前提は先方も御理解いただけると思いまするが、これはどういう根拠で全朝鮮を対象にいたしました請求項目であるかどうかというような点につきましては、先方の意向をお聞きするというようなことは差し控えております。
  146. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ、先方の意向は聞いてない。聞いてないのに、ここで横路君に対する二月七日の答弁で大平国務大臣がこのように言っている。「これはなかなか事実の立証がむずかしい問題でございまして、南北の推定、あるいは日本人、韓国人の間の区分等々につきまして両方の見解が一致いたしませんので、どのような金額になったかということは、両方で見解が一致いたしておる事実はございません。」、南北の見解は一致していないと言っているじゃないですか。交渉しなければ、向こうの相手がわからなければ、あなた、一致しているとか一致しないとか言えるわけはないじゃありませんか。これは一体どういうわけなんです。これははっきり言いなさいよ。こんな問題で実際私時間をかけたくありませんよ。この問題ははっきりして下さいよ。あなたの答弁ははっきり食い違っているじゃありませんか。さっきは、確かめてないから知らないと言った。今度は、見解の一致をしていないと言う。確かめなければ、見解が一致しているかしないかわからないじゃありませんか。この点は一体どうなんです。さっきの答弁はちょっと言い違えたのなら、言い違えたとおっしゃったらいいですよ。もっと大きな問題で私もっと聞きますから、何もこんな点で一々あなたこだわる必要はないですよ。はっきりおっしゃいよ。だめですよ、こんなことじゃ。
  147. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私ども、韓国が有効に支配する地域に対する分は全鮮を相手にした場合の数字の中でどれだけの部分を占めるかというような点について、双方で意見の交換をしたことはある、ただ、その推定方法の上で両者の意見が必ずしも一致しないということを申し上げたわけです。
  148. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それはあなた交渉したということじゃないですか。方法まで行ったのなら、交渉したのはあたりまえじゃないですか。あなたは交渉しないと言ったじゃないか。話したことはないと言ったじゃないですか。相手の方がわからない、話をしないからわからないと言ったじゃないですか。そこまで、方法まで相談したというのは、あなた、交渉した証拠じゃありませんか。理事の諸君、一つはっきりして下さいよ。取り消してもらわなければだめですよ。いいですか、方法の点では意見が一致しなかったということは、すでに交渉したから方法の点までは意見が一致しなかったということを言っているのじゃないですか。さっきあなたは、交渉はしてないと言ったじゃないの。だめですよ。そんなこと、つまらないですよ。そんなこと、だめですよ。
  149. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私が申し上げました事実は、われわれの立っておる前提によって交渉が進んでおることを示す証左であろうと思うのでございます。   〔「何言っているのだかわからない」と呼び、その他発言する者多し〕
  150. 塚原俊郎

    塚原委員長 お静かに願います。
  151. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ、外務大臣、もう一度伺います。私も外務委員ですし、あなたは外務大臣ですから、あんまりこんなことで一々言わないから、もう一度あなたが言葉を訂正する機会を与えますから。八項目の請求権の中に韓国が北を含めておるではありませんかと私が聞いたわけだ。そうしたら、あなたは、交渉したことがないから知らないと言ったね。ところが、横路君の場合には、見解の一致をしていませんと言っている。見解が一致をしていませんというのは、交渉していないならわからないですね。向こうがどんなものかわからないですものね。ところが、その点はどうなんだと聞いたら、いろいろそういう点はあったけれども方法が違うという点では意見が一致しなかったと言う。方法が違うというところまで来たということは、交渉したということではありませんか。交渉しないで方法が違うということがわかるのですか。相手の事情がわかるのですか。わからないでしょう。相手については八項目の中に北をも含んでおりますということをあなたは確かめておるから、そう言っておるのではありませんか。韓国がこれに北の方を含めておらなければ、あなた、見解の相違なんかあるわけないじゃありませんか。そうでしょう。この点、あなたは、あまりにもはっきりした、子供でもわかるようなことをあんまりこだわらぬ方がいいですよ。そこの点は、あとまだまだあるのですから、私も時間がもったいないのですから、こういう点はっきりおっしゃって下さい。
  152. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私が申し上げたのはこうなんです。私ども、交渉の大前提として、韓国というものが現に有効に支配している地域の合法政権という前提に立っております。従って、日韓交渉というものはそういう大前提に立って進めておるということは御理解いただけると思うのでございます。そうして、問題は、それでは八項目の要求なるものは韓国は全朝鮮を対象としたものとして出したか、あるいは三十八度線以南を対象として出したか、それを確かめたかどうかということは、私どもはそういうことは確かめてございませんということ。そして、第三点として、しからば、横路さんの御質問にお答えしたときの推定方法の相違というのは、つまり、一つの請求権項目を、現に韓国が有効に支配している地域にはどれだけの請求権があるかということを計算する場合に、一応全朝鮮の資料を踏まえてみて、そして南北の区分を考えなければならぬ、南北の区分を考える場合に、これをたとえば七、三と見るか、四、六と見るかとか、あるいは人口割りによるとかなんとかいう推定の方法におきまして、日韓の間に意見の一致を見なかったということを私は申し上げたわけでございまして、このことは、少なくとも私どもが立っている前提を暗黙の前提として交渉が進められている証左にほかならぬではないか、こういうことをあなたに申し上げたわけです。
  153. 岡田春夫

    岡田(春)委員 全然明快でないです。あなたは、この前、あなたの方の委員の井出君の質問に対して、八項目その他の法的根拠のあるものを一生懸命交渉いたしました、ところが、その交渉についてはいろいろわからない点があります、計算の仕方においても違う方法があります、こう言っている。それは当然南北の問題を含めておるわけでしょう。含めなければわかりませんね。  もっと伺いますが、あなたはあとでこの国会で約束をした請求権に関する試算方式についても数字を出すのでしょう。その場合においても、南北の関係についてはどういう計算をしたかという根拠がなければならぬでしょう。これについて交渉は全然していないのですか。どうなんです。あなたのそれだけでは私は納得できませんよ。そんな答弁では納得なんかできないですよ。相手がどうだかわからないけれども、交渉してみたら意見が一致しない、これはどういうことですか。私にはそういう意味がどうもわからない。相手の方がどうであるかわからないのに、交渉をしても意見が一致しないというのは、私にはわからぬですよ。
  154. 大平正芳

    ○大平国務大臣 岡田さんの言われる、——ちょっと私と認識が違ったところがあるのです。それは何かと申しますと、つまり、韓国が現に支配する領域の請求権というものの実体はどういうものであるかということを計算する、してみる努力をしたわけでございまして、ところが、その材料として三十八年度線以南の統計というものはあるものではございませんで、従って、全朝鮮という数字を一応とって、そして韓国が現に支配している地域の分はどれだけかといろ推定の方法をいろいろ工夫をいたしたわけでございますが、これは必ずしも意見の一致を見なかったということでございまして、韓国が北朝鮮を含めて全半島の請求権を前提にして一歩も譲らないというお立場ではなくて、南朝鮮の分をどうして推定するかということの方法論上の意見の相違があったということを申し上げておるわけでございまするから、私どもが日韓交渉の前提にとっておることは先方も暗黙の了解としてとられておるのではなかろうかと、私はそう思うということを申し上げたのです。
  155. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今の答弁では了解いたしません。しかし、私は、時間がないから、あとは外務委員会その他でこれはやります。外務委員会ではっきりやります。  続いて、請求権については、井出君並びにそのあとの勝間田君、これらの人々の質問に答えて、あなたは、法律関係・事実関係が不明確であるから新しい方式によったのだ、こういうことを言われましたね。それはそれでいいすね。
  156. 大平正芳

    ○大平国務大臣 法律的論拠において両者の見解は一致しないし、事実の立証もむずかしいということでございますので、別な方式によって解決するということを考えたわけでございます。
  157. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは伺いますが、もう一点、そういう形で新構想に基づいて払われるべき方式というのは、経済協力というのですか、そういう経済協力方式というようなものは、ここへ提出された資料、二月二日に出された外務省の一月三十日付の「日韓予備交渉において両首席代表間に現在までに大綱につき意見一致をみた請求権問題の解決方式」、これでございますね。そうすると、これであると、無償供与三億ドルと、それから有償供与二億ドルと、そのほかに民間借款と、三つをあわせて請求権の見合いとしてこの協力方式をとると、こういうわけですか。
  158. 大平正芳

    ○大平国務大臣 見合いという概念をどうとるかは別といたしまして、経済協力といたしましては有償・無償の協力を考えるということでございまして、そのほかに民間の通常の私的な経済協力というものは当然あり得るわけでございます。
  159. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その点が重要なんです。民間借款なり民間協力というものは、請求権処理の見合いとして、これが政府が負わなければならないものですかどうなんですかと聞いている。これは参考に書いてあるのですから、条約上そうなるのですかどうなんですかと聞いている。
  160. 大平正芳

    ○大平国務大臣 政府が責任を負うべき性質のものではございません。
  161. 岡田春夫

    岡田(春)委員 しかし、政府自身が出すのではないが、協定上政府がこれに対し世話をするということになるのではありませんか。
  162. 大平正芳

    ○大平国務大臣 現在の経済協力の機構から申しますと、たとえば、純然たる民間の物の売買、プラントの輸出、企業の進出等につきまして、御案内のように、政府機関として輸出入銀行等がございまして、これは輸出金融等の面について政府機関を経由してやるということにおいて関係はあると思います。どの地域に対する経済協力もあり得るわけでございまして、韓国もその例外ではないと私は思います。
  163. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは大平・金合意文書では一億ドル以上になっているでしょう。従って、無償供与三億、有償供与二億、民間供与一億以上、五億ではなくて六億以上ということですね。これが請求権の見合いとして日本の方で世話しなければならない、あるいは払わなければならない、こういうものだということになるわけですが、その点はあなたが合意されたのだからその通りだと思いますけれども、少なくとも今までわれわれが理解しておる五億ドルではないのですよ。六億ドル以上というものなんですよ。それが請求権の見合いとして処理される金額である、こういうことになりましょう。
  164. 大平正芳

    ○大平国務大臣 請求権の取りきめというのは、政府政府との間の取りきめでございますので、有償・無償の経済協力とあなたの言われる三億、二億というものは、政府が責任を持たなければならぬものでございます。それから、民間の経済協力というのは、これは政府が責任を持つ筋合いのものではございませんが、日本の民間と韓国の民間におきまして将来いろいろの経済協力はあり得ると思うのでございまして、それを一億ドル以上あると見るか、五億ドル以上あると見るか、それは判断する人の主観でございまして、今度私どもの協定上そういう責任を持っておるものではございません。
  165. 岡田春夫

    岡田(春)委員 次に進めますが、今の点ではまだ伺いたい点は外務委員会で伺って参りますが、そうすると、請求権処理の問題について算定方式が変わった、新しい方式になった、こういうことですね。そうすると、請求権問題の処理としては、今のお話では、政府が責任を負うべきものは、四条(a)項に基づく請求権というものは五億ドルであった、こういうことになりますね。請求権というものは五億ドルに評価しなければならなくなる、そういうことでしょう。全部それで消えるわけでしょう。
  166. 大平正芳

    ○大平国務大臣 これはたびたび御説明申し上げておるわけでございまして、請求権とそれから経済協力とは全然無関係でございます。経済協力で幾ら幾らきめたからこれが請求権でございますというように私どもは考えていないわけでございます。平和条約の四条にいう請求権は両国で取りきめをするという建前になっておりまして、私どもの期待といたしましては、この請求権は、先方が主張しないというか、先方がなくなったと認める、両国の間で相互にこの問題はなくなったということを確認し合おうじゃないか、こういうことでございまして、岡田さんのおっしゃるように五億ドル即請求権であるというようなことは毛頭考えておりません。
  167. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大平さん、請求権の算定方式が変わったのでしょう。あなたは、算定方式が変わったのだ、新方式をとった、そう言ったじゃないですか。新しい方式をとったんだが、金額は五億ドルなんでしょう。それによって請求権が全部落ちるのでしょう。そうしたら、請求権のお金というものは五億ドルであったということになるじゃありませんか。違うのなら、どういうわけで違うか、請求権いわゆる経済協力についてはこういう根拠がありまして五億ドルは払います、請求権は五億ドル以下でございますがこれだけでございました、こういうことをあなたは言わなければ、これは請求権イコール五億ドルになるのはあたりまえじゃありませんか。だれが考えたってわかるじゃありませんか。違いますか、それ。算定方式が違うと言っただけじゃないですか。
  168. 大平正芳

    ○大平国務大臣 処理の方式を変えたということでございます。言いかえれば、請求権を通じて解決する、つまり、法律的根拠を明徴にし、事実関係を明確にいたしまして、しかもその双方につきまして両方が合意いたしまして、それで解決するということが可能であれば、これはベストな方法だと思うのでございまして、私どもも、そういう方法が可能であれば、それによりたいわけでございますが、たびたび申し上げておりますように、戦後二十年近くたっておりますし、その後いろいろな事変もありまして、事実関係を立証する材料に乏しいということ、それから、ことに根本的には法律的根拠について両者の見解が合わないという事態に逢着したものでございまするから、そういう方法によっては請求権は片づかない、がしかし、請求権は片づかぬでいいからほうっておいたらよかろうということになりますると、私どもが希求いたしておりまする国交の正常化ということはならないわけでございますので、何かそこに工夫がないかということで、平和条約の四条に関する限りは請求権はなくなったということを確認し合おうじゃないか、しかし、現在の世界は相互に協力し合いながら互恵をはかっていこうじゃないかという経済協力時代でございまするし、わが国といたましても、こういう請求権問題があるなしにかかわらず、日韓の間には経済協力というのは原理的に考えられる性質のものでございますので、私どもは経済協力ということを考える、そういう友情を先方に示そうじゃないかということでございます。それの反射的な結果といたしまして請求権というものはなくなるのだということを確認し合うということでございます。入り組んでおるようでございますが、だれが考えてもこういう方式以外に割り切る方法がないのじゃないか、もし非常にいい方法があれば教えていただきたいわけでございますけれども、そういうことは幾ら考えてみても解決の目安が出てこないというので、そのように考えたわけでございます。
  169. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは私の質問に答えてないですよ。請求権がこれで落ちるのならば五億ドルになる。違うとおっしゃるならば、請求権はこれこれであります、金額が違うんです、こういうことを言わなければ、われわれは了解できない。  それについて、あなたは、この間横路君の質問に答えて、資料は出てますと言ったですね。資料を出してもらわなければわれわれはこの点ははっきりわかりませんよ。同じであるかどうであるか、この点ははっきりしてもらいたい。さっきの答弁の中でも、南北の問題だってわれわれ了解できないのは、この資料がないからですよ。資料をはっきり出してもらえば、南北に関係があるかないかわかる。なるべく早く出しますということを言っているのだが、これはいつお出しになるのですか。
  170. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもの考えている方式から申しますと、請求権はゼロになるわけでございまして、経済協力は全然別個の経済協力であって、この二つを混淆する考え方には立っていないわけでございます。しかしながら、なぜこういう新しい方式を考えなければならなかったかということは、これは国会並びに国民にはっきり御理解をいただかなければいけませんから、請求権問題を請求権を通じて解決することでこのように努力してみました、しかし、それはこうこうこういうわけでむずかしいことがわかったということは、少なくとも御理解をいただくことが必要だと思いますので、私どもといたしましては、これは時期を見て御提出申し上げたいと思います。  そして、提出の時期でございまするけれども、こういう交渉過程の問題を明確にいたしまして、両者の考え方がこのように違っておったのだということを今の段階でお示しするということは、双方の感情を刺激しはしないかということを心配いたしておりますので、この間本委員会にもお願いいたしまして、なるべく叩く拠出することにいたしまするが、しばらく時間を御猶予いただいておるわけでございます。
  171. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほどからあなたにうるさく言っておりますが、南北の区分の問題にしても、今の問題にしても、請求権に対する資料がない限りは、これはわれわれはわからないわけです。それならば、この点については、この前からあなたがお約束をされておられるように、この予算委員会が終わるまでに出すということについて、あなたにはっきり言明してもらわなければならない。これを出してもらわない限り、予算の進行についてもあなたに責任を負ってもらわなければならない。予算委員会の最中に出していただきたいと思う。出してくれますか。どうなんですか。この予算委員会の間に出してくれるかどうか、これははっきりして下さい。
  172. 大平正芳

    ○大平国務大臣 本委員会の御要請がございますので、なるたけ早く出すようにいたします。
  173. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この委員会の要請でございますから、この予算委員会の新年度予算審議の終わるまでに、少なくともこの数日中に出されるというように今の御答弁は理解してもよろしゅうございますか、どうですか。
  174. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先ほど申しましたように、今折衝中でございますので、なるべく早く出すようにいたしますが、本予算委員会の御終了までに出すということを直ちに約束するわけには参りません。
  175. 岡田春夫

    岡田(春)委員 だめです、それは。その約束はどうなっているのですか、理事さんの間で。この予算委員会の中で出すという約束をしてもらいたい。予算零歳に非常に関係がある。この予算委員会の中において出してもらいたい。重ねてわれわれは要求します。この点はどうですか。出せますか、出せませんか。この点は出してもらわなければ困る。この前から、早く出すようにいたしますということで、横路君のときの話し合いは、理事会でもそれで話がまとまったのじゃありませんか。その前に勝間田君の質問のときにも、あなたはこれについて、いずれは出しますと言っているじゃありませんか。なぜこれを出さないのですか。出したらいいじゃありませんか。予算委員会の最中に出してもらいたい。出せますか、出せませんか。どちらなんです。
  176. 大平正芳

    ○大平国務大臣 なるべく早く出すようにいたします。
  177. 岡田春夫

    岡田(春)委員 だめです。委員会の間に出してもらいたい。それでなければだめです。私はやりません。なるべくじゃ話になりません。
  178. 辻原弘市

    ○辻原委員 委員長
  179. 塚原俊郎

    塚原委員長 関連ですか。——辻原弘市君。
  180. 辻原弘市

    ○辻原委員 ただいま岡田委員から要求をいたしましたこの問題は、先般の横路委員質問のときにも私が議事進行を申し上げたのでありますが、委員会が開会されました当初から、七千万ドルないしその他の数字をもって法的根拠あるものとして、従来これが外務省からも公にせられておる、従って、重大な請求権交渉の中で法的根拠を持つものが幾らあるかということが明確にならなければ、予算委員会審議としてわれわれは応ずるわけにはいかない、また、これは重大な関連を持っておるものだから、事後の質問に差しつかえるということをしばしば指摘をいたしまして、横路委員質問のおりには理事会の問題にこれを移して取りきめをいたしました。その取りきめというのは、こういう形になっていることは委員長も御承知の通りだと思う。大平外務大臣から積極的に発言があって、なるべくすみやかな機会に御要求の資料を提出いたします、その前段として、調印のめどがつきそうになった場合はもちろんのこと、それ以外でもなるべくすみやかに当委員会提出するということになっている。その通りなんです。私は速記録を見て読んだのでありますから。そういうことになっておる関係から申せば、予算委員会審議もいよいよ大詰めになっております。委員会提出を願うということになりますと、あと時間的に考えても余裕はないわけであります。従って、今岡旧委員が、出すという約束をしたのを、もう今日この段階になったのだから、当然その約束に従って出してもらいたいと言うのは、あたりまえのことなんだ。従って、なるべくすみやかにという大平外務大臣答弁が今ありましたが、それはこの前の話なんです。この前の段階においてもそのことは言っておる。今日、予算審議がこのようになっておる状態の中で、あらためて委員会に間に合うように出してくれ、この要求が出たのでありますから、この点については、いま一度私は委員長において政府に対して強く要求をしていただきたいと思うし、また、その取り扱いについては、必要があらば理事会を開いて取り扱いをきめていただきたい、私はかように議事進行として要求をいたしたいと思います。
  181. 塚原俊郎

    塚原委員長 関連ですか、議事進行ですか。  外務大臣答弁ありますか。
  182. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先般私から発言申し上げました今辻原理事からお読み上げになりましたような趣旨で政府は普処いたします。
  183. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいまの辻原君の発言は関連質問と認めましたので、大卒外務大臣答弁を求めたのでありますが、ただいま理事諸君のお集まりによりまして、これは動議ととっていただきたいということでございますので、委員長としては次のように取り計らいたいと思います。  この問題につきましては、過般理事会においてもお話し合いの上きまったものでありますが、再度の御要求でありますので、当委員会終了後理事会を開きますので、その際、お申し出の点について協議いたしたいと考えております。  質問を続行願います。岡田春夫君。
  184. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、問題を次に進めて参りますが、最初にお伺いしたいのは、この間本会議でも私伺っておきましたけれども、それからまた先ほど外務大臣からも答弁を伺ったのでありますが、韓国の政府を中心に暗い疑惑の問題が今起こっておる、この暗い疑惑の問題については日本にも関係があるということを私は申し上げた。日本にも関係があるという場合には、これは黙ってほうっておくわけにはいくまいと思う。この間の法務委員会でわれわれ同僚の猪俣浩三君から質問があって、法務大臣がお答えになったはずだ。日本に関係のある疑惑の問題ならば、法務省としてはほうっておくわけにいきません、これを徹底的に調査するつもりでございますという意味の御答弁があったはずだ。この点を再度確認いたしたいと思うのですが、いかがですか。
  185. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 お答えいたします。  韓国に汚職問題が起きておるということにつきましては、正式には何らの資料も入手いたしておりません。従いまして、検察行政の中でそういうものを調査中であるとか、あるいは何らかの形でそれに着手しておるといったような事実はないのであります。先回私が法務委員会答弁いたしましたのは、韓国側の汚職に対しまして、日本政府としては何ら干渉したりなんかすることはできないわけでありますが、もし日本人が何らかの形で関係をしておる、そのことが日本の国内法にもし触れるということであれば、そのときには厳重に措置する、こういうことを申し上げたのでありまして、今もその通りに考えております。
  186. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう一つ法務大臣に伺いますが、そういう場合、在日朝鮮人がそのような問題を起こしている場合にはどうなりますか。
  187. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 在日朝鮮人がそれに関係しておるというもし事実がありましたならば、そのときに十分検討いたしましてきめたいと思います。
  188. 岡田春夫

    岡田(春)委員 法務大臣、日本の国内法の適用はございますか、どうですか。
  189. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 在日朝鮮人に対しましては、もちろん日本の国内法を適用いたします。
  190. 岡田春夫

    岡田(春)委員 わかりました。そういう事実がありました場合には当然お調べになる。日本人の場合にもお調べになる。この点ははっきり伺いましたので、あとで具体的な点をある程度出していきたいと思います。  そこで、最近の疑惑というものは、日本の日韓交渉の請求権に関連しておるものが、請求権を予測して、そうして請求権に結びついた形でそういう疑惑が起こりつつあるように私は見受ける。   〔委員長退席、青木委員長代理着   席〕 そういう意味では幾つかの問題がございますが、たとえば、新聞の例をここで読んでみましょう。幾つかの新聞がありますけれども、時間がありませんから簡単にいたしますが、たとえば、朝日新聞の一月二十八日では、韓国は日本から持ち込む施設・材料の代金を支払う能力がないので、日本から無為替輸出あるいは延べ払いをしてあとで決済をすることを希望している、この分は将来請求権が解決したときに経済協力の部分に織り込まれるように考えている、こういう記事がある。あるいはまた毎日新聞の場合にも同様のあれが書いてございますが、全体として、今の場合、無為林輸出、延べ払い、これらの形を通じて一応品物を現実に向こうに送ってしまって、そうして、請求権が解決をした場合に、たとえば無位供与というものが三億ドル、有償供与二億ドル、こういうもので、韓国の政府においてすでに入った品物に対してこれは請求権の中に入れますということであとに解決をするという形をとりつつある。ここに実は問題があるわけです。これは、日韓会談は妥結しないどころか、今中止せざるを得ない状態になっておるのに、実際には請求権問題に関する限りはどんどん進行しておるのが今日の状態なんです。品物は醜美に効いて、あとで解決をするという形で進められつつある。こういう不実が現実に進んでいるということは、通産大臣も事実問題としておわかりでございましょう。そういうような形で品物がどんどん動かされているというこの事実はお認めになるだろうと思いますが、いかがでございますか。
  191. 福田一

    ○福田国務大臣 私の今了解しておりますところでは、そのようなものがあるとは承知いたしておりません。
  192. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今了解しているところはないかもしれませんが、あとでまた私がどんどん出していって伺って参ります。  それに関連して、クレジットの供与の問題についてすでに話し合いができているはずだ。民間クレジットの供与、いわゆる経済協力のプロジェクトに対してクレジットの供与を日本の政府として与える、そういう了解がついているはずだ。それは、昨年の二月、名前を言うのははばかりますが、大臣をした自民党のある代議士が政府と党との了解を設けて、大体二億五千万ドルのクレジットを政府として与える、そういう了解を与えたというようにわれわれ開いている。こういう事実はございませんか。
  193. 福田一

    ○福田国務大臣 そのような事実は了承いたしておりません。
  194. 岡田春夫

    岡田(春)委員 通産大臣はそのころ大臣でなかったと思うので、あるいはおわかりにならないかもしれないが、それは、韓国に対して輸出をする場合には特段に二億五千万ドルのクレジットを与えるという政府の了解があると伝えられているわけです。こういう点はあなた御存じなければ、それでも一応進めましょう。  それから、今延べ払いの問題がだいぶ出ているようですが、先ほども外務大臣あるいは外務省の当局が答えましたように、外貨の危機で、もうわずかに二千万ドルくらいしか外貨がない。その状態の場合に、韓国に対して延べ払いを認めるというのはいかにも危険だと思うが、通産大臣、いかがですか。
  195. 福田一

    ○福田国務大臣 私は、これは具体的な個々の問題として申し上げるように  いたしたいと思います。    〔青木委員長代理退席、委員長着    席〕
  196. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、延べ払いが相当の額になっているはずですが、延べ払いの累計はどのくらいになっているか、通産省の方でおわかりのはずですが、どうですか。まあ大臣はあれでしょうが、当局はわかっているはずです。
  197. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 お答えいたします。  現在のところ、韓国に対する延べ払いはございません。
  198. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ございませんとおっしゃるが、これはどうなんですか。ソウルの上水道施設改修工下用プラント約、五十万ドル、それから、問題の日産セナラの操業開始に基づくもの約五百万ドル、そういうものがあるはずだ。これはどうなんですか。
  199. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 お答えいたします。  今の御指摘のようなものはございません。たとえば日産自動車の技術援助契約、これは技術援助契約でございまして、延べ払いではございません。
  200. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ソウルの上水道は。
  201. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 お答えします。  ただいま申し上げました日産自動車のものは、技術援助でございまして、延べ払いでございませんし、上水道というお話でございますが、そういうものについても延べ払いはございません。
  202. 岡田春夫

    岡田(春)委員 延べ払いの認可の初めてのケース、いいですか局長、延べ払いの認可の初めてのケースとしては、近畿車輌、新潟鉄工の両社が韓国交通部から発注を受けたディーゼルカー五十二両、三百五十万ドルの契約に一年半の延べ払いを要求して、この契約はなっている。延べ払いの期限は、三十八年七月に三〇%、来年の二月に三〇%、第三回は四十年の四月に全部、こういうようになっているじゃないですか。ないというのはどういうのですか。
  203. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 ただいまお話しのような交渉を民間の会社がそれぞれやっておるということはあるかと存じますが、政府の方で延べ払いを認可したようなものは一件もございません。
  204. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは民間がやったのであって政府関係がないと、こういうお話ですか。
  205. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 延べ払いの場合には、民間の会社では輸出入銀行の資金を使って延べ払いするのが普通でございまして、その場合には政府の認可を必要とするわけでございます。政府において認可したものはございません。
  206. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこに問題があるわけなんです。政府が知らないで、延べ払いをやってどんどん品物を送っている。そうして、請求権がきまったときに請求権から落とすのです。こういう形をとっているのです。通産省は知らないのです。ここにもぐりの請求権が処理されている形が進んでいるのです。これが事実ではないとおっしゃるのか、今の事実は事実でないのかあるのか。この点について、事実でないとあなたがおっしゃるならば、事実でないと、それもそれでけっこうですが、ほんとうにこれは事実じゃないですね。これは認可したことがないですね。
  207. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 繰り返して申し上げますが、政府が認可した事実はございません。
  208. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ですから問題なんです。認可をしてないで品物が行っているところに問題がある。こういう点について、大蔵大臣の方では、この延べ払いの問題、為替の問題としてはどうなんですか。
  209. 田中角榮

    田中国務大臣 通商産業省から要求もなく、こちらも認可をしておらないのでございますから、現在政府としては責任もございません。しかし、これを無断で持ち出しておるということであれば、為替管理法の違反その他の問題があると思いますが、これらの事実の問題については政府委員をして答弁せしめます。
  210. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今田中大蔵大臣が言われたように、政府の許可なくして出ているとすれば明らかに為替管理法違反です。そういう事実が現実にもう相当出ておるというのは、これは皆さんお聞き願いたいのだが、請求権が妥結した十一月以降急速にLCの開設が減っていっているのです。そういうことを言うと、通産省は言うでしょう、向こうの外貨が少なくなっているからLCの開設ができないと。それでは商売が減っているかというと、そうじゃない。商売をやっているのです。ごらんのように、お正月になっても京城に対してどんどんどんどんそういう業者が行っているのです。(発言する者あり)全うしろで言われているように、請求権を見返りにして商売をやっているのです。だから、今大平外務大臣は日韓交渉をやめると言えないのです、言いたくても言えない。業者がどんどん進めている。請求権の五億ドルはやめますとは言えないのです。こういう事実を一つ大蔵大臣は徹底的にお調べ願いたい。為替管理法違反の関係ならば大蔵大臣関係である。この点について明らかにしてもらいたい。
  211. 田中角榮

    田中国務大臣 為替管理法違反の事実があれば取り調べます。それから密貿易であれば警察その他が取り調べることでございます。そういう事情は政府に分担機構がございますから、万遺憾なきように措置をいたします。
  212. 塚原俊郎

    塚原委員長 岡田春夫君に申し上げますが、申し合わせの時間が経過いたしましたので、結論をお急ぎ願いたいと思います。
  213. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほどの問題もあるから……。
  214. 塚原俊郎

    塚原委員長 それを十分加味いたして委員長は発言をいたしております。
  215. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そこで私具体的に伺って参りますが、日産セナラの設立に際して技術提携をやった、そういう経過を御存じのはずだが、これは通商局長、さっきちょっと言いましたね。その経過をちょっと御説明願います。
  216. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 ただいまお話の日産自動車の技術援助の件でございますが、これは私たちが聞きましたところによりますと、昭和三十七年に、韓国における乗用車及びトラックの組み立て製造を可能ならしめるための、必要な技術援助契約、技術援助を行なうことを目的といたしまして、日産自動車と韓国法人でございますセナラ日勤車工業との間に技術援助契約ができたよしでございます。この技術援助契約は、政府の認可を必要といたしませんので、そういう援助契約ができたということを聞いておるわけでございます。その契約に従いまして、日産自動車が自動車及び自動車部品、自動車をつくりますノック・ダウンの部品、そういうものを輸出をいたしたわけでございます。
  217. 岡田春夫

    岡田(春)委員 技術提携に基づいて、向こうの組み立て機械は日産から送っているでしょう。それもあなたの方の認可、LCを取っていないのですか。機械を送っているはずですよ。
  218. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 自動車のノック・ダウン並びに組み立て用の設備も出しておりますが、これも決済方法は一覧払いの手形でございますので、政府の承認を必要といたしません。
  219. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それからまた伺って参ります。あなたの方でだいぶお調べになっているようですが、日産からセナラに人事の派遣がございましたか。
  220. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 その点は承知いたしておりません。
  221. 岡田春夫

    岡田(春)委員 このセナラの会長は、きのうの夕刊の共同通信の記事にもありますが、取締役会長が在日朝鮮人の朴魯偵という人だということが書いてあります。この人について法務省の関係では、在日朝鮮人の関係ですが、経歴その他御存じでありますか。(「品が悪い」と呼ぶ者あり)
  222. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 ただいま手元に材料を持っておりません。
  223. 岡田春夫

    岡田(春)委員 御存じなければお教えいたしますけれども、これは在日韓国人商工会連合会から出ている紳士録、この中に朴魯偵さん、四十八才、東京都渋谷区の穏田で、事業はニュー・ギンザビルディングの中に安田商事、安田地所、安田産業、安田建設、有限会社ローヤル、株式会社ニュー・シブヤ、安田観光、ホテル八丁園、セナラ自動車工業株式会社、これらが書いてあります。この朴魯偵さんという人については、いろいろうわさがあるようですが御存じですか。
  224. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 何も聞いておりません。
  225. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは伝えられている事実を申し上げます。この朴魯偵さんが去年の十一月のころ、十一月です。五千万円の手形を四枚、ある人の手を通じてある航空会社で割ったといわれる。それが日本の人に関係がある。日本の人に対するリベートに関係がある。そういう関係があるのです。その時日は十一月の——十一月と私はことさら言ったのですが、十一月のころには、日韓の請求権の合意の問題、あるいはその他の問題が非常に効きを示したときです。自民党の代表団も行っておるはずだ。そういう関係を私は先ほどからいろいろ言っておりますが、事実を知っております。しかし先ほどから品が悪いとか何とか言うから、名前をあえて言いません。しかしこういう事実があるのです。これは、そういう事実のある航空会社ですから、その点も一つお調べを願いたいと思う。
  226. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 どうも、具体的な事実につきまして法務省としましては的確に入手いたしませんと、具体的な明確なお答えはできかねますので、差し控えたいと思います。
  227. 岡田春夫

    岡田(春)委員 法務大臣、あなたは知らない、知らないとおっしゃるけれども、朴魯偵さんというのは有名な人ですよ。ここに韓国の韓国写真ニュースというものがあるのですが、これには朴正熈と一緒に写真をとっています、感謝状をもらってね。これはセナラの自動車をつくったことによる感謝状です。これですよ。こういう点からいっても——私はこれ以上言うことを差し控えますが、いろいろ実は問題がある。そればかりでなく、この朴さんという人は、ある面で気のぢ毒な面もある。去年セナラの自動車工場の建設で、さっきの通商局長の、この交渉のときに朴魯偵という人は京城に行った。京城に行って帰りがけに京城金甫飛行場で、今の金鍾泌の子分に脅迫された。脅迫されて判こを取り上げられた。そしてこの人はほんとうに困り果てて、香港に脱走するように逃げたと伝えられている。それに関連する事件もあるのですよ。(笑声)あんた方笑うけれども、私は言わないですよ。金鍾泌はそのこと以来朴魯偵に対して、いろいろな形で手に入れたといわれておる。こういう問題が実はあるのです。詳細についてはきょう池田総理がいないから私はやりません。池田総理がいるならはっきりやります。池田総理がいるならはっきりやりますけれども、あなた方委員会に総理大臣を出さないでは、この程度しか私は言いません。こういう点についても十分お調べになることを一つ希望いたします。  そこでその次に運輸大臣に伺っておきます。通産大臣にもなると思いますが、日本航空の飛行機を大韓航空に売るといってLC問題でごたごたして、日本航空の飛行機が売れなくて、今チャーターで行っておるでしょう。飛行機の名前は三笠号という。これはDC4、DC4の飛行機が去年の十一月にすでに日本航空から向こうに渡されておるはずだ。それはなぜかというと、今度ジェットに全部切りかえたから、残った古型のやつを全部大韓航空に売ろうとしておる。売るために、LCの開設問題でごたごたしたために、仕方がなくて日本航空はチャーターの名目でやっておるはずだ。これについては運輸大臣、日本から操縦士も行ってチャーターしていますか、どうでございますか。もう大韓航空では就航しているはずですよ。
  228. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 お答えいたします。大韓航空へ日本航空の古飛行機をチャーターいたしておるのは、卒業でございます。全日空からも一機貸しております。それは今チャーター料も正確に入っておりますし、機種はDC4で一機日航、それから全日空はDC3型一機、そうして賃貸料はDC4型機が月二千ドルです。それから全日空のDC3型は月千七百ドルで、いずれも正確に毎月使用料が入っております。それから操縦士は日本人じゃなくて、韓国人が操縦しております。
  229. 塚原俊郎

    塚原委員長 岡田君、再度御注意申し上げますが、だいぶ時間が経過いたしましたから、結論をお急ぎ願います。
  230. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大臣、これはチャーターする場合には、その国の操縦士が大体乗るのが常識なんです。それはアメリカが日本にチャーターした場合でも、アメリカ人が乗るのです。これはあたりまえなんですよ。消耗品ですから、あぶないですから、いつ落ちるかわからないのだから。だからその機械を操縦する者は、その会社が当然責任を負うのです。今度の場合には、操縦士が行っていないのです。そこに問題がある。なぜ問題があるか。これは事実上向こうから見れば、借りもらいになると考えておる。  これは、もう一点別な面から伺いましょう。韓国と日本の間の航空協定が七月にできるでしょう。どうですか、日本航空との間に。——できないのですか。
  231. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 お答えいたします。さようなことはありません。
  232. 岡田春夫

    岡田(春)委員 航空局長、そういうことはないといっても、あなたは七月十五日から再開したらどうしますか。日韓会談がつぶれたらできないかもしれないけれども、今、日本航空が向こうに行って、七月十五日に再開するように、交渉しているでしょう。そのための材料として三笠号という飛行機は出しておるでしょう。これはいずれ経済協力、無償供与、この中から差し引く品物になる予定のはずですよ。こういう形になっていって、請求権はこういう一部の利権的なものに結びついていっている。こういうのが日韓交渉の、実態なんです。日韓交渉の実態はこれなんですよ。こういう点については——私まだこっちにも材料があります。そういう点はどうですか。七月十五日からやるはずですよ。
  233. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 日航と韓国航空公社とのなには、すべて民間ベースでやっておりまして、私どもといたしましては、その報告を受ける程度で、詳細をつまびらかにいたしておりません。
  234. 岡田春夫

    岡田(春)委員 航空協定で乗り入れの場合には、運輸省に承認を求めてくるでしょう。当然そうですね。
  235. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 先ほどの御質問に対する答弁もあわせてお答えいたしたいと思います。チャーターの場合に、自国の操縦士が必ず乗らなければならぬという規定はございませんので、チャーターの場合、裸でチャーターする場合と、それから操縦士付でチャーターする場合と二つございます。で、日航のDC4を持っていきます際には、空輸は、日本航空の操縦士が京城までやりました。で、向こうに引き渡しました。以後は、大韓航空公社が自社の操縦士をもって、現在ソウルと釜山を定期で運航いたしておるはずでございます。これは両方ございます。  それからただいま日韓航空交渉の問題がございましたが、私どもとしては、韓国と東京との間、あるいはまた韓国と大阪との間の路線というものは、われわれが最も待望しておる近距離国際線でございます。現在ノースウエストとキャットが——他国のキャリアーが韓国と東京との間を運航いたしておりまして、韓国航空も日本航空も全然これに関与できないという状態でございます。従いまして、私どもは、国交正常化によりまして、でき得る限り早い機会に行政取りきめなり、あるいは協定なりによって交渉を開始したい、かように考えております。日航も同様にやはりこの路線は非常に希望しております。従って、これと直接の関連ではございませんが、韓国の航空とは、できるだけ仲よくしていきたいというベースでおるわけでございます。現在、先ほど申し上げましたように、これはチャーターという形でいっておりますが、一かも二月も正規にきめられたチャーター料がきちっと韓国から入っております。
  236. 塚原俊郎

    塚原委員長 岡田君、もうあと一問ですか。
  237. 岡田春夫

    岡田(春)委員 本会議の最後に質問をあれしておるものが残っておる。それだけ伺っておかなければ……。
  238. 塚原俊郎

    塚原委員長 約束の時間は守って下さい。
  239. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今の航空局長の御答弁では、行政取りきめその他を必要とする、これは国交回復ができなければできないですね。だから、日韓交渉ができなければまとまらないですよ。  それでは委員長から御注意がございますので、この一問だけで私終わりますが、最後に、この前の本会議質問をして御答弁がなかったのですけれども、通商局長、ブルーバード四百台を去年の四月送っておる。この事実はお調べだろうと思うが、これはその当時の価格として、一本では輸出価格は大体四十万ぐらいのものだ、ところが向こうで政府が買い入れた場合のは、日本の価格にして一台大体面三十万で買っておるはずだ。それが四百台です。それからもう一つは、これはLCの開設関係があったのかどうかよくわからないけれども、それと一緒に輸出したものにマイクロバスというのが百台出ておるはずだ。このマイクロバスが百台去年の暮れになってから入った形をとっておるはずだ。これの貿易は、あなたはどういう答弁をされるか知らないが、どういう形で出されているか。ここら辺についても詳細に御答弁を願って、私は委員長にできるだけ協力するようにしたいと思います。
  240. 島田喜仁

    ○島田政府委員 全部引金で受け取っております。
  241. 岡田春夫

    岡田(春)委員 事実ですか。
  242. 島田喜仁

    ○島田政府委員 事実です。  それから国内価格と比較いたしまして安くございません。
  243. 岡田春夫

    岡田(春)委員 今の答弁は、ちょっとわからないのです。ブルーバードもマイグロバスも全部入っておるということでしょう。それから安くございませんというのは、私の意見をお認めになったようでございますが、私はまだあなたに伺いたかったのですよ。この輸出は韓国へストレートでいっていないでしょう。香港経由のはずでしょう。そこまでわれわれ調べているのですよ。だけれども時間がないから、私これ以上やりませんが……。
  244. 島田喜仁

    ○島田政府委員 マイクロバスは、一台でございます。(岡田春夫君「それじゃわからない。」と呼ぶ)支払いは香港経由でございますが、車は直接韓国に行っております。
  245. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それはそうなんです。重工業局長、それは私も知っているのですよ。品物はわざわざ香港まで持っていかないのです、クッションですから。決済はそうい形で、香港輸出の形をとって神国に入れているのです。だからそこに問題があるのだ。だから先ほど、重工業局長が言ったように、値段も決して輸出価格より安くない、そこに問題がある。そういう点については私はまだまだやりますけれども、これは別の機会にしてもいいんですが、一つ十分これはお調べ願いたいと思います。四百台を韓国が買った場合には、その当時の金で四百万ウォンで買っているはずだ。日本の輸出価格ならば、それは百二十万ウォンくらいでいいはずのものが、四百万ウォンで買っている。三倍になっている。一台ですよ。それが四百台買うのですよ。そういう幾つかの問題があるのです。だからこういう問題について、もっとこれは関係委員会その他において、徹底的に明らかにして参りたいと思います。委員長に私もある意味で協力をいたしますが、これらの問題は、きょうは池田総理が来ないので、もっとはっきり名前をあげるつもりであったけれども、私はきょうはよしました。そういう点で私は一応質疑を終えておきます。
  246. 塚原俊郎

    塚原委員長 これにて一般質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  247. 塚原俊郎

    塚原委員長 この際、川俣清音君外十五名から、昭和三十七年度一般会計補正予算(第3号)、昭和三十七年度特別会計補正予算特(第3号)及び昭和三十七年度政府関係機関補正予算(機第3号)の提出を求める動議が提出されました。これより本動議を議題といたします。     —————————————     —————————————
  248. 塚原俊郎

    塚原委員長 まず本動議の趣旨について、提出者の趣旨弁明を求めます。  堂森芳夫君。
  249. 堂森芳夫

    堂森委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本委員会は、政府が、後に述べます項目につきまして、昭和三十七年度一般会計補正予算(第3号)、昭和三十七年度特別会計補正予算(特第3号)及び昭和三十七年度政府関係機関補正予算(機第3号)を編成し、すみやかに国会提出することを要求する動議を提出いたすものであります。  本年一月から二月にわたります未曽有の豪雪は、交通杜絶による被災地の孤立、なだれによる家屋の倒壊、人命の損失あるいは生業停止による生活の不安など、激甚なる被害をもたらしておるのであります。  今回の豪雪は、百年ぶりのものであることは確かでありますが、はたしてこれは天災とのみ簡単に片づけることが妥当でありましょうか、断じてそうではないと思うのであります。すなわち災害対策の基本法が成立いたしましたのは、昭和三十六年の十一月であります。この基本法に基づきまして、直ちに中央、地方に防災会議が設けられ、科学的に具体的に防災計画を樹立し、国土及び国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有し、組織及び機能のすべてをあげて、防災に関し万全の措置を講ずる責務を持っておるのであります。従って、常に災害に備えるべき責任、義務を政府が持っていることは、当然と申さねばなりません。なるほど政府は激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の成立がおくれましたことなどを理由といたしまして、その責任のがれの理由といたしておりますが、今回の豪雪に対して防災の計画を持たなかったことに対し、強くその責任を追及いたすものであります。  かかる意味から申しましても、当然被災地に対する政府のあたたかい保護救援と災害復旧の措置が講ぜられなければならないことは言うまでもございません。特に被災者に対する強力な生活援護の措置を講ずるとともに、交通の確保は国の責任で行ない、豪雪による堆雪の排除は、堆積土砂の排除と同様に、国の高率補助の対象とするなど、今次豪雪被害の特殊性にかんがみて、適切なる措置を講ずることが必要であり、このために必要予算を追加計上することが必要であります。  また、中学校卒業者の急激な増加と、高校進学率の上昇による高校施設の不足は、深刻なる受験地獄を招き、このままでは多数の中学浪人を生ずることは必然であり、青少年の家出や不良化など、青少年問題の原因となっておるのであります。これに対し高校施設の急増をはかることは当面の急務であり、このためにも必要予算の追加計上が必要であり、すみやかに昭和三十七年度第三次補正予算編成することが必要であると認め、本動議を提出した次第であります。  以下、その内容について申し上げるものであります。  第一に、豪雪対策につきましは、次の方針に基づく豪雪対策費を直ちに調査算定し、追加計上することといたすのであります。  一、道路除雪費は全額国庫負担とし、国費による除雪機械の設置及び鉄道、軌道の除雪に対する助成措置を講ずることとするものであります。  第二に、豪雪やなだれに基づく死亡、負傷、家屋の倒壊や損傷、著しい収入の減少などの個人災害に対し、罹災者援護法を立法化して、見舞金、弔慰金、医療費、生活扶助料の支給、生活資金の無利子貸付等の措置を講ずることとするものであります。  第三には、豪雪による堆雪については、堆積土砂と同様に扱い、激甚災害に対処するための特別の財政援助などに関する法律を適用するとともに、特に著しく費用を要し、生活に影響のある個人の除雪に対しても、同様の助成措置を講ずることとするものであります。  第四に、農林漁業、中小企業者などの民間災害復旧費に対し、十分な助成措置を講ずるとともに、救農救漁土木事業実施の措置を講ずることとするものであります。  第五に、融雪期に予想される溢水等の災害に対する緊急予防措置並びに融雪後の路面復旧費に対する大幅な国庫補助の措置を講ずることとするものであります。  第六には、豪雪により事業所が休業したため、もしくは交通不能のため就労し得なかった労務者に対しては、失業保険金を給付するよう特例措置を講ずることとするものであります。  次に、高校急増対策につきましては、高校進学希望者の全員入学を確保するため、公私立高校の建物設備費、校地費、産業教育振興などの助成費を大幅に追加計上することといたしておるのであります。  まず第一に、本年度中学を卒業する生徒は二百五十万人に達しております。これに対し、政府の高校進学対策は、進学率を六一・八%という低い計画を立て、公立高校全日制九十万人、定時制十七万人、合計百七万人、私立高校四十八万人、公立、私立合わせて百五十五万人を収容する。すなわち百六十二万人の進学希望に対し、その九五・七%、百五十五万人を収容するという計画であります。しかしながら、私どもの調査によりますれば、進学率は六八・三%に及ぶものと見られ、全日制公立収容者を百十八万人と計画いたしておりますので、政府計画と二十八万人の差が生じてくるわけであります。  第二の点は、建物、校地に関する点であります。政府は、坪当たり単価を鉄筋、鉄骨、木造、平均して一割増で考えておられるようでありまするが、これは二割増で考えないと実情に合わないものであります。また基準坪数につきましては、政府は一割減で見ておるが、われわれはこれを認めることができないのであります。さらに政府は、増加分を学校新設一、学級増設二と見ておるようでありますが、これは新設三、増設二の割合で見るべきと考えるものであります。  次に、国庫負担につきましては、政府は、工業高校のみを対象とし、三分の一の補助としておりますが、われわれは、すべての高校に対し、建物の二分の一、校地買収費三分の一の補助を行なうこととしております。さらに交付税率の引き上げと起債の拡大を期すべきであると考えておるのであります。  以上が本動議を提案いたします理由とその内容であります。私は、政府が直ちに以上の内容を盛り込みました昭和三十七年度第三次補正予算編成し、これを本院に提出されるよう要求するものであります。  さきに政府は、三十七年度予算の第二次補正を編成し、これを成立せしめたのであります。この第二次補正での中心内容は、三百五十億の産投会計への繰り入れでありまして、しかもそのうち二百五十七億円は実に昭和三十九年度以降の使用に充てるものであり、全く補正予算を組むべき緊急性が認められないものであります。そのような第二次補正を組んでおきながら、今この現実に緊急対策を必要としておる豪雪被害対策及び高校生急増対策に対して、もしも政府が第三次補正を組まないというならば、これこそまさに国民生活を無視する池田内閣の本質を暴露したものであり、われわれはこれに対し重大なる決意をせざるを得ないのであります。私は、ここに池田総理に対し若干の警告をまじえながら、第三次補正予算編成をすべきである、このようなわが党の動議の提案の趣旨説明を申し述べたわけであります。     —————————————  以上をもって終わります。(拍手)
  250. 塚原俊郎

    塚原委員長 討論の通告がありますので、順次これを許します。正示啓次郎君。
  251. 正示啓次郎

    ○正示委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま提出せられました昭和三十七年度一般会計補正予算(第3号)、昭和三十七年度特別会計補正予算(特第3号)及び昭和三十七年度政府関係機関補正予算(機第3号)の提出を求める動議に反対の意思を表明するものであります。  右動議において、ただいま提出者を代表しての説明によりますると、補正予算を必要とする理由といたしまして、第一に、北陸地方を中心とする豪雪対策及び第二に高校生急増対策をあげられたのでありまするが、いずれも補正予算提出の必要性及び妥当性を備えておるとは申しがたいのであります。すなわち、まず今回の裏日本一帯を初め全国各地を襲った豪雪被害対策につきましては、現在政府において被害の実情調査しておられる段階にありますが、その復旧につき国庫負担を必要といたしまするのは、公共土木施設等の施設被害に対するものでありますが、今日までの調査によれば、幸いにしてさほど大きいものではなく、また、これに対する措置は三十八年度に実施することとなるのであります。また、三十七年度中に措置することを要するものについては、防衛庁費等既定経費の活用、特別交付税の配分等、既定予算の範囲内で処理できるものが多いのでありまして、現に新潟、富山等十四府県に対しましては、すでに二十九億円の普通交付税の繰り上げ交付を行ないましたほか、道路、公共建物の除雪費、屎尿処理等、地方団体の特別の財政需要に応ずるため三十七億円の特別交付税が交付されることとなっております。また必要に応じまして予備費による措置もできるのでありまして、豪雪対策として特に補正予算編成する必要はないのであります。  なお、今後融雪時において被害が生ずることが予想されるのでありますが、政府においては、災害予防について万全のあたたかい措置を講ずるとともに、災害の復旧につきましては迅速果断、遺憾なきを期せられるよう強く要望するものであります。  次に、高校生急増対策でありますが、これにつきましては、政府においては、つとに、昨年一月高等学校生徒急増対策を閣議において決定し、鋭意その実施に努めておられたところでありますが、その後、地方団体側の計画の内容が明らかになるとともに、全国知事会等からも地方の実情について種種要請せられるところがありましたので、政府としても、これらについて慎重に検討いたしました結果、本年一月にさきの対策を改定し、より実情に即したものによって施策の推進をはかることとなったのであります。すなわち、高校生急増のピーク時である四十年度における公立高校の生徒見込み数を、前回の計画に対し十万人増の九十万人と改めるとともに、これに伴いまして高校新増築等の事業量の増大を見込み、同時に建築単価、構造比率等につきましても再検討して国の財源措置を強化することとし、三十六年度から四十年度までの全体事業費を五百五十三億円から約百三十億円増の六百八十二億円に増額したのであります。これに対する三十七年度の財源措置といたしましても、六十億円の追加起債措置を講じたのでありまして、政府としては万全の措置をとられたものと考えるのであります。  なお、特にこの高校生急増対策につきましては、補正予算について規定しておりまする財政法第二十九条、ちなみにこの条文は、野党の方々がしばしば問題とされたことは御記憶に新しいところだと存じます。この「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費」の要件に該当していないことはあまりにも明白であることを付言しておきます。  以上の理由により本動議に反対するものであります。(拍手)
  252. 塚原俊郎

  253. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十七年度一般会計補正予算外二件の補正予算編成して提出を求めるの動議に賛成の討論を行ないたいと存じます。  まず最初に、今冬北陸を初め本土日本海側各府県及び九州の一部を襲いました豪雪は、十数年あるいは数十年来の積雪であり、その被害の広範かつ甚大であることはすでに承知し尽くされているところであります。このたびの豪雪被害の特色は、交通機関の途絶による経済活動の麻痺による農工製品の搬出入の不能による被害、交通機関の除雪費や停止期間中の収入減、除雪後あるいは除雪中の作業や交通による施設の破損の被害、農業施設の倒壊や果樹園の降雪圧による果樹の折損、なだれによる流失などが特色のおもなるものであり、住家のなだれによる損壊及び人命の失われたものなど、まことに言語に絶するものがあると思うのでありまして、これらなくなられました方々に対しましては心から弔慰を申し上げる次第でございます。  政府は、ただいま正示委員からも申されましたように、三十七年度の予備金及び特別交付税交付金をもってこれに充て、また復旧費の融資についてもそれぞれ措置をしておられると聞きますが、その内容から見て、決して被害地住民の不安を取り除くことはできないものであると思うのであります。豪雪は豪雨とは異なり、降雪時はもちろん、融雪期に入り一そう被害を増大するものであります。連日のごとくなだれ警報が出され、いまだこの事態におびえている豪雪地帯の現状であります。しかし、政府はこの事態に対し、これら地域の不安を除くために抜本的確実な施策は樹立されず、単なる応急対策に終始しているにすぎないのでありまして、この点についてははなはだ遺憾に思うのであります。  交通関係について申しまするならば、国鉄関係におきましては、三十七年度は御承知の通り幸いにして降雨による被害がなかったのであります。従って、国鉄におきましては、この豪雪対策につきましては十分の経費があると聞いておるのであります。しかしながら、この特殊な事態の発生については、予備費等の充当によって予算の使途を明確にすることができない、また十分の裏づけをすることができないと思うのであります。交通機関のうち一般私企業の関係についてこれを申し上げますならば、交通機関はすべて除雪等は自己負担によって行ない、その除雪をしたところには一般の交通機関が殺到いたしまして、そのために多大の損害を与えておるのであります。しかも、これらの地域におきましては、経済基盤はきわめて薄いのでありまして、また企業も脆弱であるのでありまして、従って、これらの企業が受けました損害、経費の負担は実に重大な段階にきておるのであります。政府はこれに対して融資の措置をとられておるようでございますけれども、しかしながら、それは一般市銀等から融資せられておるものでございまして、従って、その返済並びに金利には耐えがたいものがあるのであります。政府は、重要な地方産業開発のために行なっておるこれら交通機関に対しては、たといそれが私企業でありましても、その企業が成り立つ措置を講じてやるために、低金利、長期融資を断行すべきものと思うのであります。しかるに今日融資されておるものは、いわゆる政府関係の資金によってこれがまかなわれてはいないのであります。また中小企業等につきましても、緊急融資はいたしましても、それが短期のものでありましては、せっかくの融資措置というものは生きてこないわけであります。従って、これらはやはり政府資金を放出するためには特別の措置を講ずる必要があり、当然予算措置を講ずべきであると思うのであります。  次に高校対策につきまして申し上げますと、まず第一に、私は、首相がこの国会の冒頭、いわゆる人つくり、国づくりを強く主張されたのでありますが、それに関連して申し上げたいと思うのであります。高等学校の急増を要することは、中学校卒業生が本年より急にふえ、そのために中学校卒業浪人の解消をせよという声は、社会的全般の世論となっているのであります。しかるに政府のこれらに対処する施設増強対策はきわめて微温的なものでありまして、そのため多数の中学浪人を出しつつあります。それはただいま提案者から具体的な説明がありましたから省くことといたしまして、申しましたように、首相は人つくりを強く主張されているが、この人つくりの面から考えても、学校不足のために入学希望者の入学が極度に制限され、その結果は成長期にある児童、生徒に強度の学習をしいることとなり、今日の中学教育は、ただ高等学校受験のための試験教育に没頭させられているありさまと言っても過言ではありません。首相の唱えられる人つくりとは、このようにして形式的にその場の試験に優秀な成績を上げた者のみが高等学校あるいは大学校に入学し、その学業課程をおさめたからといって、人つくりが万全とは言い得ないと思うのであります。むしろ晩年型の人間を教育し、優秀な人材をつくり出すことこそが首相の言う人づくりであると思うのであります。しかるに、入学希望行を入学させるにその施設がないため入学を制限する。その結果、将来性のある学徒を失望させ、はなはだしきは失望のあまり前途ある青年学徒を自殺に追い込む悲劇すら生じているのであります。かかる事態こそまさに悲劇以上の悲劇であると言わねばならないのであります。幼い子供を上級学校への入学のための勉学にかり立て、いえば人生の門出に到達する前にすでにその優勝劣敗の悲喜劇を味わわせる。これで明るい国づくり、人づくりとは断じて申し得ないと思います。  社会悪である暴力や青少年犯罪の防止についても、今日ほどやかましく叫ばれている時代はないのであります。これも深く探究すれば、教育施設の不足と、これに伴う教育内容の不徹底にあると言っても過言ではないと思うのであります。感受性の強い青春期の青少年に悲惨な試験をなし、優勝劣敗を、将来にかける青少年をして、すでにその門出にも行っていない青少年に与え、将来の希望を失わせるがごとき、はたして今日ある政府政治の責任が万全であるとは言い得ないと思うのであります。今日、将来への国づくり、人つくりの責任を果たさんとするならば、むしろ試験地獄から青少年を解放し、貧富の別なく、希望者に所定の教育場所を与えるべきであると思うのであります。  しかし、政府の高校入学対策は、本国会におきましてもその審議過程において明らかになったごとく、きわめて貧弱な対策であります。学校の増設にしても、その建築単価の実情を無視し、土地収用の対策に至っては、ほとんど地方自治体や有志の寄付にまかせている実態であります。このような結果は、教育に必要な社会環境にない不適地に学校建設を余儀なくされ、青少年の教育にきわめて悪影響を及ぼしていることは事実であります。  わが党は、急増している高校入学希望者を極力入学可能にし、青少年にまず前途に大きな希望を与えるため、さらに積極的な対策を講ずるため補正を強く要求して提案をいたしておるのであります。  以上申し上げました理由によりまして、この第三次補正予算政府がすみやかに編成をし、本国会提出されんことを強く要望いたしますとともに、これらの理由によりまして何とぞ委員各位の御賛成を得たいと存じます。(拍手)
  254. 塚原俊郎

  255. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 わが民主社会党は、せんだっての政府提出第二次補正予算案の審議に際しまして、第一、石炭対策費、第二、高校急増対策費、第三、中高年令教職員給与の不合理是正、第四、生活保護基準の引き上げ、第五、日雇い登録労務者の給与引き上げ、第六、雪害対策費のおのおのの増額及び第七番目に産投特別会計資金の繰り入れ減額を内容とするところの組みかえの要求をいたしました。遺憾ながらわが党の右の動議は、本委員会において否決されましたが、ただいま議題となっておりまする社会党提出の第三次補正、要求の動機は、高校急増対策費と雪害対策費の本年度経費の増額を求めるものでありまして、わが党の考え方とこの二項目においては大体において一致するものでございます。従いまして、その説明を省略いたしまして、私は、わが民主社会党を代表し、社会党の動議に賛成の意思を明らかにいたしまして、討論にかえます。(拍手)
  256. 塚原俊郎

    塚原委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより川俣清音君外十五名提出昭和三十七年度の補正予算提出を求める動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  257. 塚原俊郎

    塚原委員長 起立少数。よって、本動議は否決いたされました。  次会は明三月一日午前十時から開会し、締めくくりの総括質問を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会