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1963-03-22 第43回国会 衆議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十二日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十六号   昭和三十八年三月二十二日    午後二時開議  第一 関税及び貿易に関する一般協定に附属す   る第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲   許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合   衆国等との交渉の結果に関する諸文書締結   について承認を求めるの件  第二 千九百六十年の海上における人命安全   のための国際条約締結について承認を求め   るの件  第三 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する   法律案内閣提出)  第四 商法改正法律施行法の一部を改正する   法律案内閣提出参議院送付)  第五 船舶職員法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第六 日本航空株式会社法の一部を改正する法   律案内閣提出)  第七 外務省設置法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  第八 在外公館名称及び位置を定める法律及   び在外公館に勤務する外務公務員給与に関   する法律の一部を改正する法律案内閣提   出)  第九 文部省設置法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  第十 電信電話債券に係る需給調整資金設置   に関する臨時措置法案内閣提出)  第十一 電話加入権質に関する臨時特例法の一   部を改正する法律案内閣提出参議院送   付)  第十二 私的独占禁止及び公正取引の確保に   関する法律の一部を改正する法律案内閣提   出)  第十三 住宅金融公庫法及び日本住宅公団法の   一部を改正する法律案内閣提出)  第十四 オリンピック東京大会準備等のため   に必要な特別措置に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)  第十五 オリンピック東京大会準備等に必要   な資金に充てるための寄附金付き製造たばこ   の販売に関する法律案内閣提出参議院送   付)  第十六 日本学校給食会法の一部を改正する法   律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  頻発する自衛隊機墜落事故に関する緊急質問   (兒玉末男提出)  日程第一 関税及び貿易に関する一般協定に附   属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げ   る譲許を修正し、又は撤回するためのアメリ   カ合衆国等との交渉の結果に関する諸文書の   締結について承認を求めるの件  日程第二 千九百六十年の海上における人命の   安全のための国際条約締結について承認を   求めるの件  国際連合特権及び免除に関する条約締結に   ついて承認を求めるの件(参議院送付)  専門機関特権及び免除に関する条約締結に   ついて承認を求めるの件(参議院送付)  国際原子力機関特権及び免除に関する協定の   締結について承認を求めるの件(参議院送   付)  国際地震工学研修所を設立するための国際連合   特別基金援助に関する日本国政府特別基   金との間の協定締結について承認を求める   の件(参議院送付)  日程第三 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正   する法律案内閣提出)  日程第四 商法改正法律施行法の一部を改正   する法律案内閣提出参議院送付)  日程第五 船舶職員法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第六 日本航空株式会社法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第七 外務省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第八 在外公館名称及び位置を定める法   律及び在外公館に勤務する外務公務員給与   に関する法律の一部を改正する法律案内閣   提出)  日程第九 文部省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第十 電信電話債券に係る需給調整資金の   設置に関する臨時措置法案内閣提出)  日程第十一 電話加入権質に関する臨時特例法   の一部を改正する法律案内閣提出参議院   送付)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十二 私的独占禁止及び公正取引の確   保に関する法律の一部を改正する法律案(内   閣提出)  中小企業振興資金等助成法の一部を改正する法   律案内閣提出)  中小企業近代化促進法案内閣提出)  日程第十三 住宅金融公庫法及び日本住宅公団   法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十四 オリンピック東京大会準備等の   ために必要な特別措置に関する法律の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第十五 オリンピック東京大会準備等に   必要な資金に充てるための寄附金付き製造た   ばこの販売に関する法律案内閣提出、参議   院送付)  日程第十六 日本学校給食会法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣   提出)  国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律   等の一部を改正する法律案議院運営委員長   提出)  衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規   程案(議院運営委員長提出)  衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規   程案(議院運営委員長提出)    午後二時十一分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  頻発する自衛隊機墜落事故に関   する緊急質問兒玉末男提出
  3. 草野一郎平

    草野一郎平君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  この際、兒玉末男提出、頻発する自衛隊機墜落事故に関する緊急質問許可されんことを望みます。
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  頻発する自衛隊機墜落事故に関する緊急質問、これを許します。兒玉末男君。   〔兒玉末男登壇
  6. 兒玉末男

    兒玉末男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、去る三月二日早朝発生しました航空自衛隊第五航空団所属ジェット戦闘機墜落事故、並びに三月十六日香川県下において発生しましたヘリコプター墜落事故等、最近頻発する自衛隊機墜落事故に関しまして、総理大臣並びに関係各大臣に対しまして質問を行なわんとするものであります。(拍手)  ジェット機事故は、去る三月二日午前八時四十分ころ、航空自衛隊新田原基地宮崎県新富町の第五航空団所属のF86Fジェット戦闘機が、日向灘沖での射撃訓練目的で離陸、寝崎市の上空で大爆音とともに火を吹いて空中分解搭乗員一名が即死し、墜落機の火が付近の雑木林に燃え移りまして、約十ヘクタールを焼き、三百万円の損害を与えたという事故であります。  特にこの事故で注目しなければいけない点は、基地を飛び立って四分後、水平飛行に移ったやさきに発生したもので、事故原因にありがちな、気象急変とかあるいはパイロット操縦上の誤り、あるいはエンジンの故障などではなく、ごく平常の状態において飛行中に突然翼がもぎ取れて墜落したという点であります。このようないつ落ちるかわからない、危険きわまりない飛行機がわれわれの頭上を飛び回っていることを考えると、国民は安心して生活をすることができません。この事故によって殉職されました浜田三等空尉に対しては、心から哀悼の意を表するものでありますが、同君はいわば軍の命令によって、生きながら空飛ぶひつぎに乗せられたともいうべきで、人命軽視もはなはだしい行為といわざるを得ないのであります。(拍手)  さらに、三月十六日のヘリコプター事故は、この新田原事故あとを追いまして、同日午前十一時半ごろ香川県三豊郡の三崎山山中に、航空自衛隊第九航空救難群芦屋分遣隊所属のH21B型ヘリコプター墜落、炎上し、十名が死亡しております。  この最近の二つの事故に限らず、近来自衛隊航空機事故が相次いで発生しておりますが、一体どこにその原因があるのか、その原因は克服できる性格のものであるかなど、多くの疑問を国民が抱いているのであります。  まず、防衛庁長官にお尋ねをいたします。  自衛隊機事故は、三十七年度一ヵ年を見ましても十九件を数え、損失機数は二十二機、死亡人員は四十五名の多きに上っております。本年一月以降三月十六日の事故発生まで七十五日間においてさえ、件数五、損失機数五機、死亡者十九名を数えております。常識的に考えますならば、科学の進歩機械類の改良、整備、点検の厳正とあわせまして、操縦技術進歩によって、年一年事故は減少すべきでありますが、それにもかかわらず事故が頻発しているのはどこにその原因があるか。私の手元にある資料によりますれば、三十七年度一カ年間の十九件の事故のうち、十一件が操縦過誤器材欠陥が三件、現在調査中四件、不明一件となっておりますが、F86Fに限って見ましても、事故発生件数五件、そのうち二件は明らかに器材欠陥と見られます。今次のF86Fジェット機事故発生によって、新三菱重工小牧工場製作の同型百機に対しましては、点検の終わるまで飛行を停止するように聞き及んでおりますが、以前にも器材欠陥による事故が起きていることから考えましても、飛行禁止措置をとる時期的判断が全く誤っていたことを指摘したいのであります。陸海空三幕僚長星数やあるいは儀礼刀帯用などの外面的な問題にはきわめて熱心な御様子の防衛庁長官は、これら人命に関する事故原因をどう考え、どのような処置をされてきたかを、ます第一に伺いたいのであります。  第二点といたしましては、現在航空自衛隊に所属する戦闘機では、現有機数から見ましても、F86F、F86Dがその主力になるものと見られますが、本年二月二十八日現在、F86Fに至っては、現有機数三百三十八機のうち飛べる状態にあるものはわずかに二百四十二機しかありません。その中で飛行禁止指示の出された新三菱重工小牧工場製作の百機が含まれておるとするならば、一体F86Fの現有機数の何割が飛べるのか。加えてこのF86Fは、昭和二十七年三月十九日にアメリカで初飛行を行なった老兵器であります。このようなジェット機航空自衛隊主力戦闘機であるとすれば何をかいわんやであります。かつてマッカーサーは、老兵は死なず、ただ消え去るのみと言いましたが、この老兵器は落ちて兵を殺します。このように問題の多いF86Fジェット戦闘機を今後もなおかつ防衛庁主力戦闘機として使用される所存でおられるのかどうか、お伺いしたいのであります。  第三点としては、今次の事故は、不掌中の幸いとでもいいますか、宮崎市内とはいえ山間の山頂付近墜落し、山林を若干焼失したにとどまりましたが、ここは直線距離におきまして宮崎市の中心地よりわずかに五、六キロの地点であります。ジェット機におきましては瞬時に到達する地点であり、これが一歩間違いまして、かりに宮崎市街地墜落したといたしますならば、実に大きな人的、物的被害が出ていることは火を見るよりも明らかであります。F86Fはサイドワインダー二基を装備することができますが、これが墜落時に暴発することでもあれば、その害ははかり知れないものがあります。事故を起こしたあとで陳謝しても、補償しても、被害を受けた人も物も、もとには返りません。まず事故を起こさないことが先決でございますが、現在自衛隊戦闘機市街地上空飛行禁止すべきであると考えます。これについて長官はどのような措置をとっておるか、お伺いしたい。  第四点としては、航行についての指示指導について伺います。先般の香川におけるヘリコプター事故機長岩井二尉は、飛行時間四千時間をこえ、全天候飛行のできるグリーン・バッジのベテラン・パイロットであり、操縦未熟とは考えられません。さらに事故発生地点は昔から航空の難所といわれ、戦前にも海軍機二機の空中衝突事故があり、戦後も米軍機墜落したところであります。このことから考えて、当然航空機航行に関する指示指導の中に危険個所としてこれを避けて飛ぶ措置がなされなければならぬにもかかわらず、同じ場所で事故が発生したことは、納得のできないものがあります。香川事故指導部の怠慢と、指示指導欠除によるものと考えますが、防衛庁長官の明確なる御答弁を承りたいのであります。  第五点としまして、私の手元資料によりますと、墜落事故原因として、操縦過誤によるものが、三十七年度一ヵ年間で十一件に上っております。F86Fはデー・ファイター、すなわち昼間戦闘機でありますが、このような昼間戦闘機ですら、操縦過誤墜落している現状で、高度な技術を要求されますF10Jという音速の二・五倍というスピードのあるジェット機を、はたして完全に乗りこなせるかどうかは、きわめて大きな疑問があります。血税であがなわれたジェット機を、操縦過誤で次々となくされてはたまりません。それこそ国税のいたずらな乱費であります。防衛庁長官は、F104Jの安全飛行について、絶対の自信と責任を持つことができるかどうか、お答えをいただきたいのであります。  次に、通商産業大臣にお尋ねいたします。  三月二日のこのF86Fの墜落事故は、平常の飛行中に突然片翼がもぎ取れたという、構造上重大な欠陥を暴露した事故でありますが、あなたは、航空機製造に関する最高の責任者として、航空機製造事業法に基づいた的確な指導管理をなされたかどうかという点であります。  まず第一に、同法第二条第五項に、航空機製造事業許可基準規定されておりますが、墜落機と同機種のものを百機も作成しました新三菱電工小牧工場は、はたしてその基準に合致していたかどうかであります。もちろん、すでに製造を完了し、納入を終わった工場でありますけれども、航空機、特に高速飛行を行なうジェット機の機体に使用する金属のメタル・コンストラクチュア、すなわち金属加工の過程で欠陥があったのではないかとも考えられるし、今後の調査でそれ以上の不適格性も表面化する可能性もあると思いますが、このような重大な欠陥を持つ工場を、基準に合致したと認定した根拠は、一体どこにあったのか、また、今次の事故に関し、同工場にいかなる措置をとったかをお示し願いたいのであります。  第二に、同法第十五条には、航空機工場検査官規定がなされ、第二項によって、同法の規定による各種検査、並びに製造方法認可等を行なうように定められておりますが、新三菱重工小牧工場において作成された同機種百機の製造方法、並びに検査については、万々遺漏はなかったか、その検査報告書は、同機について完全であると認めたかどうかを伺いたいのであります。  第三点は、日本第一線機として働いているF86F戦闘機は、前にも述べましたように、アメリカにおいては、一九五二年三月十九日に初飛行を行なって日本に移籍し、すでに十一年のキャリアを持つ老巧選手と言えましょうが、何といっても、今ではガタのきた野球選手と同じように、故障の続出であります。これを数字で見ますと、F86Fの現有機数三百一一千八機のうち、可動機数は二百四十二機しかなく、外注修理並びに定期検査部隊修理、その他の非可動機数が九十六機もあります。これは現有機数の三割近い、二八・四%が飛べない飛行機であるということになります。そこで、このような飛べない飛行機をつくった新三菱重工小牧工場、その他のF86F生産工場に対して、いま一段のきびしい監督指導が必要だと習えますが、事故責任を問い、今後のこの種事故を防止する意味から、再度航費機製造事業法に基づく工場の査定を行なうべきであると考えます。その結果が判明するまでは、航空機製造並びに修理許可を取り消すべきであると考えますが、通産大臣はいかなる処置をとられる所存か伺いたいのであります。  第四点としては、F86Fは昭和三十年以来、五十件、六十一機の墜落事故を起こしております。このうち、最近三年間の事故原因を見ますと、器材欠陥と明らかに認定されるものが三件あります。とのような状況で、現在、人間の乗る最後戦闘機一般的にいわれているF104Jの製造を開始しておりますが、一足先飛行を開始しました西ドイツにおきましては、F104G四十機のうち、すでに十七機が墜落しているという事実がございます。このように工業水準においては日本より高いといわれる西ドイツにおいてすら、F104の製造は完全とは言えない状態であるが、通産大臣は、現在製造を急いでいるF104Jについて、構造安全性を完全に保証できるのかどうか、できないとすれば、F104Jの製造を即刻中止すべきであると考えますが、大臣の明確な答弁をいただきたいのであります。  最後に、相次ぐ航空自衛隊機事故に対し、総理は一国の責任者として、また、国防会議議長として、事故の根絶をどのようにして実現される所存であるか、お伺いをしたいのであります。  年間二千五十八億もの巨費を費やしてなお国民から歓迎されない自衛隊で置くよりは、わが党の主張通り平和憲法に基づいた積極中立政策をとって、人を殺傷することを目的とする武器は、すべてこれを放棄し、平和と国土建設目的とする国土建設隊に改編すべきであると考えます。そして、おくれている日本の道路、住宅建設災害防除を含む国土建設に大規模な機械力を持って当たるときに、初めて国民から愛されることができると確信をいたします。総理が、真に平和と国土を愛されるならば、当然その方向を指向されるべきであると考えますが、総理の方針をお伺いしたいのであります。  以上の各点につきまして、それぞれ明確な御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣志賀健次郎登壇
  7. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) 最近、自衛隊航空事故が頻発いたしておりますことは、ただいまの御指摘の通りでございまして、まことに遺憾にたえぬところであり、私は、この際、衷心より国民に対しておわびを申し上げる次第でございます。  自衛隊航空機事故原因を探求いたしてみますると、大よそ次のようなものに相なるのであります。第一の原因は、操縦士過誤、第二番目は、器材欠陥、第三は、指導監督上の不十分、さらにまた気象急変等が考えられるのであります。  ただいまお話しに相なりました宮崎上空におきまして、F86ジェット戦闘機の右の翼がちぎれ落ちた事故でございますが、これは現在推定せられておるところは、器材欠陥によるのではなかろうかということで、鋭意その原因を追及いたしておる最中でございます。さらにまた、お話しになりました香川県の沖合いでヘリコプター遭難事故を出したこの原因は、気象急変によるものと推定せられておるのでありまして、それぞれその真相を、われわれは目下把握中でございます。  F86戦闘機について、いろいろ御議論がございましたが、現在、F86戦闘機を使用いたしております国々は非常に膨大でございます。ヨーロッパ初め、自由国家の大部分が、今日でもF86戦闘機主力戦闘機、あるいは補助戦闘機に使用いたしておるのでありまして、わが航空自衛隊におけるF86Fの可動率は、ただいま兒玉先生お話し通り、七〇%でございます。これは普通以上の成績でございます。今日、戦闘機可動率七〇%以上というものは、これは普通の概念でございまして、ただいまお話しになったようなことは当たらないと思うのでありまして、しかも、F86ジェット戦闘機は、有効な防空、要撃用として今後も引き続きわが航空自衛隊においてこれを主力に使用して参る所存でございます。  なお、事故対策につきましては、そのつど原因を究明いたしまして、適切なる手を打っておるのでございますが、何といたしましても、民間飛行機戦闘機軍用機の差はきわめて著しいのでございまして、今日、わが航空自衛隊が発足いたしましてから満十年になんなんとするのでありますが、十年以上前の輸送機には一回の事故もございません。戦闘機輸送機一般航空機の差が非常にあるのでございまして、特にわが航空自衛隊パイロットは非常に年の若い者が多くとれに従事いたしておりますので、その練度問題等も十分に対策を講じて、航空自衛隊の目標であります事故絶滅を期して参りたいと思うのでございます。きのうからきょうにかけましてヘリコプターの全日本におきます責任者を全部集めまして、二日間にわたって事故絶滅を期する対策を講じつつあるのでございまして、航空機損失はもとより、とうとい人命を喪失しますことは、防衛庁の仕事を預かっておる私としまして、非常に痛心事でございまして、今後全力をあげて事故対策を講じて、国民に御安心を願うように努力して参りたいと思うのでございます。(拍手)   〔国務大臣福田一登壇
  8. 福田一

    国務大臣福田一君) F86に関しまして、新三菱重工小牧工場の設備、技術等につきましては、航空機製造事業法許可基準に従いまして、これを許可いたしておるのでございまして、その点においては誤りはなかったわけであります。なお、F86製造の場合におきます検査につきましても、その後取り調べておりますが、いまだかつて間違いはない、遺漏なき処置をいたしておるわけでございます。いかなる原因であるかということにつきまして、今調査中でございまして、原因判明いたしました場合において、またこの問題を究明いたすつもりでございますが、われわれは今のところ処置において誤りがないと考えております。  なお、F104号についてどうするかというようなお話でございますが、私たちは、この104号につきましても、今の段階において製造を中止すべき理由は何ら認めておらない次第であります。(拍手)      ————◇—————  日程第一 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との交渉の結果に関する諸文書締結について承認を求めるの件  日程第二 千九百六十年の海上における人命安全のための国際条約締結について承認を求めるの件  国際連合特権及び免除に関する条約締結について承認を求めるの件(参議院送付)  専門機関特権及び免除に関する条約締結について承認を求めるの件(参議院送付)  国際原子力機関特権及び免除に関する協定締結について承認を求めるの件(参議院送付)  国際地震工学研修所を設立するための国際連合特別基金援助に関する日本国政府特別基金との間の協定締結について承認を求めるの件(参議院送付
  9. 草野一郎平

    草野一郎平君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  この際、日程第一及び第二とともに、参議院送付国際連合特権及び免除に関する条約締結について承認を求めるの件、専門機関特権及び免除に関する条約締結について承認を求めるの件、国際原子力機関特権及び免除に関する協定締結について承認を求めるの件、国際地震工学研修所を設立するための国際連合特別基金援助に関する日本国政府特別基金との間の協定締結について承認を求めるの件を追加して六件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  10. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第一、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との交渉の結果に関する諸文書締結について承認を求めるの件、日程第二、千九百六十年の海上における人命安全のための国際条約締結について承認を求めるの件、なお、緊急上程になりました国際連合特権及び免除に関する条約締結について承認を求めるの件、専門機関特権及び免除に関する条約締結について承認を求めるの件、国際原子力機関特権及び免除に関する協定締結について承認を求めるの件、国際地震工学研修所を設立するための国際連合特別基金援助に関する日本国政府特別基金との間の協定締結について承認を求めるの件、以上六件を一括して議題といたします。     —————————————  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との交渉の結果に関する諸文書締結について承認を求めるの件  千九百六十年の海上における人命安全のための国際条約締結について承認を求めるの件  国際連合特権及び免除に関する条約締結について承認を求めるの件  専門機関特権及び免除に関する条約締結について承認を求めるの件  国際原子力機関特権及び免除に関する協定締結について承認を求めるの件  国際地震工学研修所を設立するための国際連合特別基金援助に関する日本国政府特別基金との間の協定締結について承認を求めるの件   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  12. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長報告を求めます。外務委員会理事古川丈吉君。     —————————————   〔古川丈吉君登壇
  13. 古川丈吉

    ○古川丈吉君 ただいま議題となりました六案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、ガットの諸文書について申し上げます。  わが国の貿易自由化の進展に対応して、国内産業保護の見地から、わが国のガット譲許の一部を修正または撤回する必要が生じましたので、政府は昨年五月からアメリカ合衆国等六ヵ国とガット第二十八条に基づく関税交渉を行なっておりましたが、これが妥結を見ましたので、右交渉の結果に関する文書にそれぞれ署名いたしました。本文書によってわが国が修正または撤回する譲許は十五品目、その代償として提供する譲許は二十四品目であります。  次に、海上における人命安全のための条約について申し上げます。  本条約は、一九四八年の同名の条約改正してこれにかえるため、政府間海事協議機関の招請により一九六〇年四月からロンドンで開催された国際会議で作成され、わが国は同年六月十七日に署名を了しておるものであります。  そのおもな改正点は、効力発生の条件が百万総トン以上の船腹を有する七カ国を含む十五カ国以上の国の受諾が寄託された日の後十二ヵ月で効力を生ずること、貨物船について、各種の安全証書の制度と各種設備の基準が新たに設けられたこと及び原子力船について新たに規制が行なわれたこと等でありまして、その趣旨において一九四八年条約と同一のものであります。  次に、特権及び免除に関する三案件について申し上げます。  わが国は、国際連合への加盟に先だち、一九五二年に国際連合及びその職員等に対し特権及び免除を与えるため、国際連合との間にこれに関する協定締結いたしております。しかしながら、わが国が一九五六年に国際連合に加盟いたしましてから、国内で国際連合及び各専門機関が主催する会議が多くなり、これらの会議に参加のため来日する加盟国の代表者等に特権及び免除を与える必要がありますが、一九五二年の協定にはその規定がなく、そのつど便法を講じておりましたので、このたびこの二条約及び一協定締結することといたしたのであります。  この三案件は、いずれも条約及び協定の当事国が、その領域内において国際連合専門機関及び原子力機関の財産、基金及び資産、その職員及び専門家並びに加盟国の代表者に対して与える特権及び免除について規定いたしております。  次に、国際地震工学研修所の設立について申し上げます。  本協定は、国際連合特別基金援助のもとに国際地震工学研修所をわが国に設立しようとするものでありまして、昨年十月三十一日にニューヨークにおいて署名されております。  そのおもな内容は、特別基金は実行計画に定められる金額を提供し、政府も国内法令と予算の範囲内で寄与を行ない、物資、役務、土地建物等を提供するほか、現地便益を負担し、また、基金、ユネスコの職員並びに財産に対し所定の特権免除を与えること等を約しております。  ガットの諸文書は二月二十六日、海上における人命安全のための条約は三月四日本委員会に付託され、特権及び免除の三案件及び国際地震研修所の設立の協定は三月十一日参議院において承認され、同日本委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承願います。  かくて、ガットの諸文書及び海上における人命安全のための条約は三月十五日、特権及び免除の三案件及び国際地震研修所設立の協定は三月二十二日、討論を省略して採決を行ないましたところ、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  14. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  六件は委員長報告通り承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、六件は委員長報告通り承認するに決しました。      ————◇—————  日程第三 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 商法改正法律施行法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  16. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第三、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案日程第四、商法改正法律施行法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  17. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長報告を求めます。法務委員会理事林博君。   〔林博君登壇
  18. 林博

    ○林博君 ただいま議題となりました両法案につきまして、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、裁判所職員である執行吏の手数料及び立てかえ金の額が昭和三十年九月以来据え置かれ、現在の経済事情にかんがみるとき、低きに失するうらみがありますので、今回、消費者物価その他諸般の事情を参酌して、おおむね二割五分程度の増額を行なおうとするものであります。  さて、法務委員会におきましては、去る二月二十五日本案が付託せられてより、各委員より熱心な質疑がありました。執行吏の身分、職務の特殊性にかんがみるとき、今回の増額はなお不十分ではないか、また、政府は最高裁判所と協議して、執行吏制度についてすみやかに抜本的な改正をなすべきである等の意見がありました。これら審議の詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて、三月十九日、質疑を終了し、討論なく、採決いたしましたところ、本案は多数をもって政府原案通り可決すべきものと決しました。  次に、商法改正法律施行法の一部を改正する法律案について申し上げます。  御承知の通り、現行商法においては、隅一市町村内における同一商号の登記を禁止するなどの規定を設けているが、従来、東京都内の各区、京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市の各区は、それらの規定の適用について、市とみなされているのであります。本案は、本年四月一日から指定都市となる北九州市についても、その各区を市とみなそうとするものであります。  法務委員会においては、本案が三月十一日参議院より送付せられて後、慎重審議を重ねましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて、三月十九日、質疑を終了し、討論なく、採決の結果、全会一致をもって政府原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  19. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第五 船舶職員法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第六 日本航空株式会社法の   一部を改正する法律案内閣提   出)
  21. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第五、船舶職員法の一部を改正する法律案、 手第六、日本航空株式会社法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  22. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長報告を求めます。運輸委員長木村俊夫君。   〔木村俊夫君登壇
  23. 木村俊夫

    ○木村俊夫君 ただいま議題となりました両法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、船舶職員法の一部を改正する法律案は、わが国海運企業の現状にかんがみまして、船舶通信士の法定乗組員数を諸外国並みに改めようとするものでありまして、改正の第一点は、旅客船を除き、船舶通信士の法定乗組員数を一名とすること、ただし、現在船については、諸般の事情を考慮し、本法施行の日から三ヵ年間経過措置を設けようとするものであります。第二点は、現在乙種及び丙種船舶通信士の免許年令満二十才以上を、当分の間満十八才以上に改めようとするものであります。  本案は、一月三十一日当委員会に付託、二月八日政府より提案理由の説明を聴取、同月二十日及び三月十九日質疑が行なわれましたが、その内容は会議録により御承知願います。  かくて、同十九日、自由民主党細田吉藏君より、経過措置の適用期間を四年とすること、並びに新造船についても経過措置を適用する趣旨の修正案が提出され、直ちに採決の結果、本案は起立多数をもって修正議決すべきものと決しました。  次に、日本航空株式会社法の一部を改正する法律案は、国際航空の現況にかんがみまして、日本航空株式会社の業務遂行の体制を強化するため、新たに会長制を設けるとともに、取締役の定員十五名を十八名に増員しようとするものであります。  本案は、嘉月十六日当委員会に付託、同月十九日政府より提案理由の説明聴取、翌二十日質疑を行ないましたが、その内容は会議録により御承知願います。  かくて、同日、討論を省略し、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決しました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  24. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決に入りますが、両案のうち、まず、日程第五、すなわち、船舶職員法の一部を改正する法律案について採決いたします  本案の委員長報告は修正であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  25. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告通り決しました。  次に、日程第六、すなわち、日本航空株式会社法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御典儀なしと認めます。よって、本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第七 外務省設置法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第八 在外公館名称及び位   置を定める法律及び在外公館に   勤務する外務公務員給与に関   する法律の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第九 文部省設置法の一部を   改正する法律案内閣提出
  27. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第七、外務省設置法の一部を改正する法律案日程第八、在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案日程第九、文部省設置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
  28. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長報告を求めます。内閣委員会理事藤原節夫君。   〔藤原節夫君登壇
  29. 藤原節夫

    ○藤原節夫君 ただいま議題となりました三法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。詳細は会議録によって御承知を願うこととし、以下、簡潔に要点を申し上げます。  まず、各法案の要旨を申し上げますと、  外務省設置法の一部を改正する法律案は、最近の国際情勢を的確に把握するため、大臣官房に国際資料部を新設するほか、在外公館の増強等に伴い、特別職二人、一般職六十四人を増員することであります。  次に、在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案は、外交権能を充実するため、アルジェリア、ジャマイカ等六ヵ国に大使館を、また、台北、ミラノに総領事館をそれぞれ新設するとともに、既設のアイルランド等三公使館及び二領事館をそれぞれ大使館及び総領事館に昇格すること並びにこれら在外公館に勤務する外務公務員の在勤俸の額を定めることであります。  次に、文部省設置法の一部を改正する法律案は、第一に、国立中央青年の家を国立青年の家に改め、その設置規定を整備すること、第二に、管理局の所掌事務に関する規定を整備すること、第三に、定員を三千三百六人増員することであります。  以上三法案は、いずれも一月三十一日当委員会に付託され、二月二十六日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、三月十九日質疑を終了、翌二十日、討論もなく、採決いたしましたところ、三法案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  30. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 三案を一括して採決いたします。  三案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第十 電信電話債券に係る需   給調整資金設置に関する臨時   措置法案(内閣提出)  日程第十一 電話加入権質に関す   る臨時特例法の一部を改正する   法律案内閣提出参議院送付)  電波法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  32. 草野一郎平

    草野一郎平君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  この際、日程第十及び第十一とともに、内閣提出電波法の一部を改正する法律案を追加して主案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  33. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第十、電信電話債券に係る需給調整資金設置に関する臨時措置法案日程第十一、電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案電波法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
  35. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長報告を求めます。逓信委員長本名武君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔本名武君登壇
  36. 本名武

    ○本名武君 ただいま議題となりました三案に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告申し上げます。  まず、電信電話債券に係る需給調整資金設置に関する臨時措置法案について申し上げます。  この法律案は、去る二月十一日内閣から本院に提出されたものでありまして、電話加入者等の引き受けにかかる電信電話債券の需給調整と価格安定に資するため、当分の間日本電信電話公社の会計に需給調整資金設置し、公社がこの資金を債券の売買に運用することによって債券引受者の保護をはかろうとするものでありますが、その要点は、一、公社は、必要とする金額を、予算で定めるところにより需給調整資金に繰り入れ、または繰り戻すことができることとする、二、公社は、この資金を加入者等の引き受けにかかる電信電話債券の売買に運用するものとする、三、売買は、債券の引き受けの事情、債券の市場価格がその引受者に及ぼす影響等を勘案して一定の売買基準を定め、これに従って行なうものとし、その基準は郵政大臣が大蔵大臣に協議して認可するものとする、四、売買の事務及びこれに付帯する事務の一部を証券業務を営む者に委託することができるというのであります。  逓信委員会においては、去る二月十一日本案の付託を受け、慎重審査の後、三月二十日の会議において、討論採決の結果、多数をもつて本案を可決いたしました。  次に、電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。  この法律案は、去る二月十三日内閣より参議院提出、三月十一日当院に送付されたものでありますが、まず、その要旨について御説明いたしますと、電話加入権質に関する臨時特例法により、電話加入権に質権を設定することができる期限は、昭和三十八年三月三十一日までとされておりますが、この改正案は、最近における質権制度の利用状況や、将来にわたる電話需給の見通し等から見て、なお当分の間この制度の存続をはかることが必要であるとし、質権設定の許容期限を昭和四十八年三月三十一日まで延長しようというものであります。  逓信委員会においては、去る三月十一日送付案の付託を受け、慎重審査の後、三月二十日の会議において、採決の結果、全会一致をもって本案を可決いたしましたが、採決の後、委員会は、電話加入申し込み積滞解消策の積極化などの二項を内容とする附帯決議をこれまた全会一致をもって可決した次第であります。  次に、電波法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、去る一月二十八日内閣から本院に提出されたものでありますが、その要旨は、海運企業の改善に資する等のため、船舶無線電信局の運用義務時間等の基準となる船舶局の種別分類を改め、運用、聴守義務等を軽減しようとするものでありまして、この改定に伴う所属局級の変更によって、現在常時運用となっている大型船の局の大部分が十六時間または八時間運用となるほか、大多数の船舶局がそれぞれ運用時間を短縮され、通信士の配置が合理化できることとなります。なお、現存船舶の局については、三年間の経過措置を定め、漸進的な移行をはかることとしており、また、施行期日については、公布の日から四ヵ月以内において政令で定める日といたしております。  逓信委員会においては、一月三十一日本案付託以来、数次の会議を開き、政府当局に対し質疑を行なったほか、特に参考人を招致して意見を徴する等、慎重な審査を重ねた後、三月二十二日の会議において、質疑を終了、自由民主党大高康君より、船舶無線電信局の通信長の資格要件の整備、経過措置の対象拡大と期間延長などを内容とする修正案が提出され、続いて、修正案並びに修正部分を除く原案につき、討論採決を行なった結果、いずれも多数をもって可決、本法律案は修正議決すべきものと決した次第であります。  以上をもって御報告を終わります。(拍手
  37. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) とれより採決に入ります。  まず、日程第十につき採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  38. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 建立多数。よって、本案は委員長報告通り可決いたしました。  次に、日程第十一につき採決いたします。  本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告通り可決いたしました。  次に、電波法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案の委員長報告は修正であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  40. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告通り決しました。      ————◇—————  日程第十二 私的独占禁止及び   公正取引の確保に関する法律の   一部を改正する法律案内閣提   出)  中小企業振興資金等助成法の一部   を改正する法律案内閣提出)  中小企業近代化促進法案内閣提   出)
  41. 草野一郎平

    草野一郎平君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  この際、日程第十二とともに、内閣提出中小企業振興資金等助成法の一部を改正する法律案中小企業近代化促進法案を追加して三案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  42. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第十二、私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案中小企業振興資金等助成法の一部を改正する法律案中小企業近代化促進法案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————   私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案  右  国会に提出する。   昭和三十八年二月一日     内閣総理大臣 池田 勇人     —————————————   中小企業振興資金等助成法の一部を改正する法律案  右  国会に提出する。   昭和三十八年二月十一日     内閣総理大臣 池田 勇人     —————————————
  44. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 委員長報告を求めます。商工委員長逢澤寛君。   〔逢澤寛君登壇
  45. 逢澤寛

    ○逢澤寛君 ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに緊急上程となりました中小企業振興資金等助成法の一部を改正する法律案中小企業近代化促進法案、以上三案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  最初に、独占禁止改正案について申し上げます。  本案は、第四十回国会の不当景品類及び不当表示防止法に対する当委員会の附帯決議を尊重するとともに、消費者物価対策の一環としての違法は価格協定の取り締まりを強化するため、公正取引委員会事務局の定員を現行より六名増加し、二百五十一名とするものであります。  本案は、二月一日当委員会に付託され、二月五日徳安総務長官より提案理由の説明を聴取した後、慎重審議を行ない、三月二十日の委員会において、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、公正取引委員会の機構は必ずしも十分とはいえないので、その人員、機構等を拡充強化するよう早急に検討すべき旨の附帯決議を付することに決しました。  次に、中小企業振興資金等助成法改正案並びに中小命業近代化促進法案について申し上げます。  申すまでもなく、わが国の中小企業は、あらゆる分野における国民経済の発展にきわめて重要な地位を占めるものであり、従来、各般の中小企業対策が実施されて来たのでありまするが、わが国経済が今後一そう健全な発展を遂げるためには、大企業との生産性の格差を是正するため、中小企業対策のさらに一段の拡充強化が必要とされております。かような要請にかんがみ、中小企業の近代化を促進するため、中小企業近代化基本計画の策定等を定め、また、中小企業近代化資金の貸付事業の助成を拡充強化しようとするのが、両案提出の趣旨であります。  まず、中小企業振興資金等助成法改正案の要旨について申し上げます。  第一に、本法の題名を「中小企業近代化資金助成法」に改め、本法における中小企業者の範囲を拡大したことであります。  第二に、事業の共同化等、中小企業構造の高度化に必要な資金の貸付を行なう都道府県に対する国の助成方法を、補助金の交付から貸付金に改めるとともに、都道府県から中小企業者等に貸し付ける近代化資金の貸付対象を拡大したこと等であります。  次に、中小企業近代化促進法案について申し上げます。  第一に、指定業種について、中小企業近代化基本計画、中小企業近代化実施計画を定めることであります。  第二に、基本計画に定める事業の共同化、競争の正常化等の事項について、必要がある場合は、中小企業者またはその団体あるいは中小企業の関連事業者またはその団体に対し、必要な勧告をすることができることであります。  第三に、一定の合併等の場合、法人税等を軽減し、また、指定業種につい  固定資産の特別償却を認めることなどであります。  第四に、事業転換の指導、中小企業近代化審議会を設置すること等であります。  両案は、二月十一日当委員会に付託され、同月二十六日福田通商産業大臣より提案理由の説明を聴取した後、慎重審議を行ない、本日の委員会において、質疑を終了いたしましたところ、両案に対し、三党共同提出にかかる修正案が提案されました。  修正案の要旨は、中小企業者の定義を改め、政令によるものとし、政令の内容は、国の中小企業施策について基本となるべき方策を定める法律が制定実施されるまでの間の暫定措置として定められたものとすることであります。  かくて、採決いたしましたところ、両案とも全会一致をもって修正案の通り修正議決すべきものと決した次第で・あります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  46. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 三案を一括して採決いたします。  三案中、日程第十二の委員長報告は可決、他の二案の委員長報告はいずれも修正であります。三案は委員長報告通り決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告通り決しました。      ————◇—————  日程第十三 住宅金融公庫法及び   日本住宅公団法の一部を改正す   る法律案内閣提出
  48. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 次に、日程第十三、住宅金融公庫法及び日本住宅公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————  住宅金融公庫法及び日本住宅公団法の一部を改正する法律案  右  国会に提出する。   昭和三十八年二月五日     内閣総理大臣 池田 勇人     —————————————
  49. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 委員長報告を求めます。建設委員会理事加藤高藏君。   〔加藤高藏君登壇
  50. 加藤高藏

    ○加藤高藏君 ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び日本住宅公団法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、主として農山漁村住宅の質の向上をはかるため、住宅金融公庫が住宅の改修に必要な資金の貸付を行なうことができるものとすること、及び最近における宅地価格の高騰、入手難に対処するために、住宅金融公庫及び日本住宅公団が宅地債券を発行することができるものとし、その債券を引き受けたものに対し、宅地の譲受人の選定に際し、特別の取り扱いをする等を目的とするもので、おもな内容は次の通りであります。  第一に、住宅金融公庫は、住宅の改修を行なう君に対し、その改修に必要な資金を貸し付けることができるものとし、貸付金の利率は年六分、子、の償還期間は十年以内としたこと、第二、住宅金融公庫または日本住宅公団は、主務大臣の認可を受けてそれぞれ宅地債券を発行することができるものとし、かつ、当該債券を引き受けた者に対し、宅地譲受人の選定の際に特別の取り扱いをすることができるものとしたことであります。  本案は、去る二月五日本委員会に付託され、その間慎重審議いたしましたが、その詳細につきましては会議録に譲ることにいたします。  かくて、三月二十日、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  51. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告通り決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第十四 オリンピック東京大   会の準備等のために必要な特別   措置に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)  日程第十五 オリンピック東京大   会の準備等に必要な資金に充て   るための寄附金付費製造たばこ   の販売に関する法律案内閣提   出、参議院送付
  53. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 日程第十四、オリンピック東京大会準備等のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案日程第十五、オリンピック東京大会準備等に必要な資金に充てるための寄附金付き製造たばこ販売に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  オリンピック東京大会準備等のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  右  国会に提出する   昭和三十八年三月五日     内閣総理大臣 池田 勇人     —————————————
  54. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 委員長報告を求めます。オリンピック東京大会準備促進特別委員長島村一郎君。   〔島村一郎君登壇
  55. 島村一郎

    ○島村一郎君 ただいま議題となりました両案につきまして、オリンピック東京大会準備促進特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、両案の趣旨について申し上げます。  オリンピック東京大会準備等のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、オリンピック東京大会の円滑な準備及び運営等に資するため、第三十八回国会において本法が制定せられたのでありますが、オリンピック東京大会を明年に控え、この際、オリンピック実施の衝に当たるオリンピック東京大会組織委員会を一そう充実強化する必要がありますので、組織委員会が地方公共団体の諸機関から適任者を採用する場合、その人事交流が円滑に行なわれるようにするため、地方公務員の退職年金等共済組合の長期給付について、国家公務員と同様特別の措置を講じようとするものであります。  すなわち、地方公務員が、任命権者の要請に応じ、引き続き組織委員会の職員となり、再び地方公務員に復帰する場合、本人の希望により、地方公務員共済組合法に規定する公庫等の職員とみなし、組織委員会の職員の在職期間を、退職年金等共済組合の長期給付の期間の計算上、公務員の在職期間に通算する措置をとるようにするものであります。  また、現に組織委員会に勤務する職員のうち、地方公務員から採用された者についても、均衡上必要な措置を講ずることとするものであります。  次に、オリンピック東京大会準備等に必要な資金に充てるための寄附金付き製造たばこ販売に関する法律案についてでありますが、本案は、参議院から送付されたものでありまして、第三十八回国会において制定されましたオリンピック東京大会準備等のために必要な特別措置に関する法律に基づき、日本専売公社は、オリンピック東京大会準備等に必要な資金の調達に関し、東京オリンピック資金財団に対し従来から協力がなされているのでありますが、このたび、さらにその資金調達の確保をはかるため、日本専売公社が寄附金付き製造たばこ販売することができることとするとともに、その製造たばこの名称、種類及び最高価格、寄附金の額及び送付手続、その他所要の事項を定めようとするものであります。  すなわち、第一に、日本専売公社は、この法律施行の日からオリンピック東京大会の終了の日の属する月の末日までの間に限り、東京オリンピック資金財団が調達する大会の準備等に必要な資金に充てることを寄附目的とする寄附金をつけた製造たばこを販売することができることとするものであります。  第二に、寄付金付き製造たばこの名称を「オリンピアス」とするほか、その小売定価の最高価格は、十本当たり五十円、寄附金の額は、十本当たり十円とする等、「オリンピアス」について所要の事項を定めようとするものであります。  第三に、「オリンピアス」を購入した者は、その購入のときにおいて、この法律案において定める寄附金を東京オリンピック資金財団に寄附したものとするほか、寄附金の送付手続について定めるとともに、製造たばこの小売人等において、寄附金の送付等のため特に要する費用は、東京オリンピック資金財団が負担することとするものであります。  両案につきましては、それぞれ政府から提案理由の説明を聴取し、三月二十日、両案に対する質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって両案はいずれも原案の通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  56. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告通り決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第十六 日本学校給食会法の   一部を改正する法律案内閣提   出)
  58. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 日程第十六、日本学校給食会法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————  日本学校給食会法の一部を改正する法律案  右  国会に提出する。   昭和三十八年二月四日     内閣総理大臣 池田 勇人
  59. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 委員長報告を求めます。文教委員長床次徳二君。   〔床次徳二君登壇
  60. 床次徳二

    ○床次徳二君 ただいま議題となりました日本学校給食会法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審議の経過とその結果を御報告申し上げます。  本案は、義務教育諸学校の児童、生徒に対し、国の責任において脱脂粉乳を供給すること等に関し、現行法に所要の改正を加えようとするもので、その要点の第一は、日本学校給食会に対して、国が新たに義務教育諸学校の学校給食用脱脂粉乳の供給に要する経費を補助することができること、第二点は、日本学校給食会が義務教育諸学校に学校給食用脱脂粉乳を供給する場合には、国庫補助に相当する金額を控除してその価格を算定すること、最後に、国庫補助を受けた学校給食用脱脂粉乳の用途外使用を禁止するとともに、この法律は本年四月一日から施行することとしております。  さて、本案は、去る二月八日当委員会に付託となり、二月十三日文部大臣から提案理由の説明を聴取して以来、三月十四日には農林委員会と連合審査会を開くなど、慎重に審議されたのでありますが、これらの詳細については会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、三月二十日、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、起立多数をもって原案の通り可決いたしました。  次いで、自由民主党、日本社会党両党を代表して、小林信一君から、本案に対し、政府は完全給食を全面的に推進するとともに、国内産の牛乳、乳製品の利用を計画的に進めるよう万全の対策を講ずべき旨の附帯決議案が提出され、採決の結果、本決議案は起立総員をもって原案の通り可決いたしました。  これについて、文部大臣から、その趣旨を尊重して対策の樹立に努力したい旨の発言がありました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  61. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告通り決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  所得税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  法人税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  租税特別措置法の一部を改正する   法律案内閣提出
  63. 草野一郎平

    草野一郎平君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  この際、内閣提出所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  64. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————
  66. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 委員長報告を求めます。大蔵委員長臼井莊一君。   〔報告書は会議録追録に掲載〕
  67. 臼井莊一

    ○臼井莊一君 ただいま議題となりました三法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案のおもなる内容は次の通りであります。  まず第一に、所得税の負担の軽減をはかるため、各種の所得控除額を引き上げることといたしております。すなわち、基礎控除を一万円引き上げて、現在の十万円から十一万円にするとともに、配偶者控除を現在の十万円から十万五千円に、さらに、十五才未満の扶養控除額を、現在の三万円から三万五千円に、それぞれ五千円ずつ引き上げることといたしております。また、これらの諾控除の引き上げに関連して、専従者控除につきましても、現行より五千円引き上げることといたしております。  第二に、現行の国民貯蓄組合制度にかえて、新たに少額貯蓄免税制度を創設し、一人一種類、かつ、一店舗に限り、元本五十万円までの預貯金等について、その利子所得に対する所得税を免除することといたしております。  第三に、外国税額控除制度を改善することといたしております。すなわち、この制度は、外国に源泉のある所得に対しまして、外国でわが国の所得税に相当する税を課せられた場合には、一定の限度内でその外国税額を日本の所得税額から控除できるという制度でありますが、現行では、控除限度額の計算等が複雑で実務上の困難がありますので、これを簡素化いたしますとともに、限度額を超過した外国税額についても、五年間にわたって繰り越しまたは繰り戻し控除ができるように改めることといたしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして、そのおもなる内容を申し上げます。  まず、現在、税法上いわゆる同族会社が毎事業年度の所得を留保した場合におきましては、その留保した所得金額から、その事業年度の課税所得の一〇%相当額または年五十万円の、いずれか多い方の金額を控除した残額に対しまして一定の累進税率による課税が行なわれておりますが、今回、その留保所得から控除する金額を、課税所得の一五%相当額または百万円の、いずれか多い方の金額に引き上げることといたしております。また、法人の外国税額控除制度につきましても、さきの所得税法の一部を改正する法律案において申し上げましたと同様に、その簡素、合理化をはかることといたしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案のおもな内容は次の諸点であります。  まず第一点は、利子所得に対する分離課税の特例、並びに配当所得に対する源泉徴収の特例をなお二年間継続するとともに、その税率につきましても、現行の一〇%をそれぞれ五%に引き下げることといたしております。  次に、公共事業の一そうの促進に資するため、本年から四十年までの三年間に限り、公共用地の取得に関する特別措置法の規定による特定公共事業の遂行のため、事業の施行者が買い取り等を申し出た日から一年以内に土地等を譲渡した個人または法人につきましては、その譲渡所得のうち、年七百万円以下の部分に対する免税措置を講ずることといたしております。  次に、工場の郊外移紙等の促進に資するため、興業用の土地、建物及び機械設備等の譲渡に伴い、これらの代替資産を取得した場合におきましては、本年から向こう三年間に限り、圧縮記帳による譲渡所得の課税の特例を認めることといたしております。  次に、個人の居住用財産の賢いかえの特例は、現行法では譲渡する資産が居住用財産の場合に限られておりますが、これを単に土地または家屋であれば足りるものとして、その適用範囲を拡張することといたしております。  次に、農業経営の近代化に資するため、本年から向こう三年間に限り、農業生産法人に対して農地等の現物出資をした個人につきましては、その譲渡所得税の納期限の延長を認めることといたしております。  次に、別途提案されております中小企業近代化促進法に基づいて、中小企業者が夢業の共同化のために一定期間に現物を出資した場合において、その出資により取得した株式につきましては、圧縮記帳による課税の繰り延べを認めることといたしております。  また、ただいま申し上げました中小企業近代化促進法及び別途提案されております森林組合合併助成法に基づいて、中小企業者及び森林組合が合併した場合におきましては、その清算所得のうち、評価益からなる部分について課税の繰り延べ措置を講ずることといたしております。  次に、相続人が相続財産のうちから、相続税の申告期限までに国または地方公共団体、試験研究法人及び学校法人等に対して行なわれた寄付金等につきましては、相続税を免除することといたしております。  次に、さきに述べました中小企業近代化促進法によって指定される特定の事業を営む中小企業者が有する機械設備等につきましては、指定後五年間を限り、その償却範囲を三分の一増額することを認めることといたしております。  次に、登録税関係の特例でございますが、別途提案されております海運業の再建整備に関する臨時措置法、中小企業近代化促進法または森林組合合併助成法による法人等の設立あるいは合併登記、防火地域内等に新築した耐火構造住宅の保存登記及び農業生産法人の現物出資にかかる農地等の取得登記等について、登録税を減免することといたしております。  これらのほか、本年度末に期限の到来する特例のうち、新技術企業化用機械設備等の特別償却並びに航空機の燃料用の揮発油に対する揮発油税及び地方道路税の免除措置については、いずれも三年間、重要外国技術使用料に対する課税の特例については二年間、輸出に関する割増し償却及び所得基準による輸出所得控除額の計算の特例については一年間、それぞれその適用期限を延長することなど、所要の改正を行なうことといたしております。  以上の冬法律案につきましては、本委員会に付託されて以来、参考人の意見を聴取する等、慎重審議を行なったのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  次いで、本二十二日、有馬輝武君外十一名より、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されました。  修正案の内容は、利子所得に対する分離課税及び配当所得に対する源泉徴収税率の特例を廃止しようとするものであります。  以上の各法律案並びに修正案につきましては、本二十二日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して坪野米男君は、修正案に賛成、原案に反対の旨を、自由民主党を代表して毛利松平君は、修正案に反対、原案に賛成の旨を、それぞれ述べられました。  次いで、採決に入り、まず、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の両案について採決を行ないましたところ、いずれも起立多数をもって原案の通り可決となりました。  次いで、租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに有馬輝武君外十一名提出の修正案について採決を行ないましたところ、修正案は起立少数をもって否決され、同法律案は起立多数をもって原案の通り可決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  68. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 三案につき、討論の通告があります。順次これを許します。武藤山治君。   〔武藤山治君登壇
  69. 武藤山治

    ○武藤山治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました税法三法に対し討論を試み、政府・自民党に反省を求むるものであります。(拍手)  今回の税制改正の内容は、所得税初年度二百七十七億、法人税十九億、租税特別措置の新たな拡大により二百四十六億円の減税をしようとするものであります。その二百四十六億の租税特別措置のうち、二百一億円を利子配当の追加減税にしようというのであって、私どもは、かかる不公平な減税のやり方に対しては断固反対をするものであります。(拍手)特に、昭和三十八年度に予想される三千百三十億円の自然増収のうち、所得税はわずか二百七十七億円しか減税をしないのにかかわらず、利子配当課税については税率一〇%を五%に改め、分離課税等の従来の措置をそのまま存続をして、あわせて三十八年度だけでも五百十一億円の利子配当の減税をするのであります。かかる税制改正は、国民大衆を忘れ、一部少数の者に奉仕をする減税と断ぜざるを得ません。(拍手)  今回の減税に対する私どもの不満の点をあげますならば、第一は、税制調査会の答申を全く無視し、党利党略による減税であるという点であります。第二は、高度経済成長政策による失敗は、物価の高騰をもたらしたことは自民党の諸君といえども否定することはできないのであります。この物価騰貴に対する実質減税を行なわずして、逆に二百七十七億の減税では、実質増税を意味するということであります。第三は、今回の改正は、担税力ある高額所得者に優遇であって、租税公平の原則をまことに紊乱しておるという点であります。第四には、低所得者に対する思いやりのない課税最低限度——世界各国との比較の上から見ましても、まことに課税最低限度が日本の場合には低過ぎて、大衆負担をますます重加するという減税の中身であります。第五は、租税特別措置の拡大によって、金融資本、証券会社等に特別優遇措置を与える大資本擁護の減税と断ぜざるを得ない点であります。第六は、予算委員会を通じ、あるいは大蔵委員会を通じて明らかになりましたることは、今回の減税を行なう論拠が明らかでありません。私どもは、この利子配当の大減税を行なう裏に、昨年一ヵ年間政党に献金をされた厖大な金額というものを勘案する際に、これらの献金に対する見返り減税であると思われる節があるのであります。(拍手)  以下、これらの六点について、政府の施策を批判いたし、政府・自民党の猛省を促すものであります。  自民党・政府は、さきに農地被買収者問題調査会の答申を踏みにじり、あるいは選挙制度調査会の答申も踏みにじり、今回またまた税制調査会の答申を踏みにじり、中立的な科学的根拠に立って答申をされる機関をことごとく無視するに至りましては、まさに党利党略の政治と断ぜざるを得ません。(拍手)しかも、税制調査会は、非常に科学的な、しかも、世界的な各国の例を統計的に明示し、今日利子配当の一〇%から五%への減税などということは、調査会の答申の中からは全く引き出すことができないのであります。かかる税制調査会の案を無視するに至りましては、日本の政治がせっかく予算をかけてつくった機関を無視するものでありまして、政治の姿勢を乱すものであると私は断ぜざるを得ないのであって、かかる点が、まず第一に本案に反対をする理由であります。(発言する者あり)  諸君、議会は言論の府であるから、ヤジることは大いにけっこうであるけれども、今日の税制の内容を真剣に国民の立場に立って検討する責任があるとわれわれは思うので、少しく腹が立つかもしれませんけれども、私は論旨を進めざるを得ません。  第二の点は、税制調査会の中山会長あるいは税制調査会委員みずからが、今回の所得税の減税は、実質所得にこれを計算してみるならば増税になると申しておる。納税者の中で約三十七万人程度は実質的な増税になるということを税制調査会の会長は大蔵委員会で答弁いたしておるのであります。田中大蔵大臣は、税制調査会の意見を十分尊重した、十分物価騰貴に対して調整を行なっておると再三陳弁これ努めたのでありますが、税制調査会の権威ある資料によっても、答弁によっても、大臣答弁はまことに事実を偽っておるといわなければなりません。私たちは、かかる所得税の実質増税を行なった自民党池田内閣に対し、国民の立場から鋭く批判をしなければならぬと思うのであります。(拍手)  第三は、租税公平の原則に反するという点であります。御承知のように、近代国家における租税制度は、国民への所得の再配分をも意味し、担税力ある者から税を徴収して、社会の正義のために、秩序の前進のためにこれを使おうという建前に立っておることは、私が申し上げるまでもありません。しかるに、今回の租税特別措置は、担税力ある利子配当の高額所得者に対して特別の恩恵を与える減税であって、これは利子並びに配当所得の納税者の数を見ましても明らかであります。税制調査会の資料によりましても、利子所得者でどのくらいの人数がおるかと申すならば、全所得税納税者のわずか一・三%、有業人口に対して〇・三%しか利子所得税の納税者はおらないのであります。さらに、配当所得者にいたしましても、年間五百万円以上の所得者が全配当の八割二分を占めておるというこの数字を見ましても、利子配当の所得を大減税するということは、いかに高額所得者に有利な減税であるかは火を見るよりも明らかであります。(拍手)他方、国民大部分の大衆に対しては、二百七十七億の、ちょっぴりスズメの涙の減税、他方、一握りの高額所得者に対しては、五百十一億円の大減税を惜しみなく行なうという池田内閣の性格は、一体何と批評したらよろしゅうございますか。私は、国民大衆には地獄、大金持ちには天国の減税が今回の減税であると断ぜざるを得ません。(拍手)  しかも、今日の租税特別措置法の中身を見ますると、大蔵省の発表だけでも、利子所得の分離課税及び税率の軽減によって三十八年度は三百六十億円、配当所得に対する源泉徴収税率の軽減二百十一億円、有価証券譲渡所得の非課税によって七十億円、これらの租税特別措置法によって、年間二百万円以上の所得者は非常な恩恵を受けるのであります。かりに、今、年間五百万円の所得の人を例にとって申し上げるならば、給与所得の場合は、総合所得で百九十三万四千九百四十二円の税金をとられる。利子所得の場合には二十五万七百円で済みます。配当所得の場合はややそれより多く、百万四千円の税負担と相なっておるのであります。これらの事実を見ても、いかに勤労所得あるいは事業所得というものが高い総合課税になり、高い税率であるかということがうかがえる。もしこれが当然であるというならば、利子配当の税率があまりにも安過ぎるということも言えるのであります。いずれに原因があるにせよ、こんな片ちんばな、アンバランスな税法が常々と大手を振って多数決で通るという今日の日本の政治を、私は国民の立場からまことに憂えてやまないのであります。(拍手)  第五に、大衆負担が非常に重いということであります。課税最低限度を先進資本主義国家と比較するならば、池田さんは口を開けば、日本は今や大国になった、先進資本主義国家の仲間入りができた、こういう答弁を再々いたしておりますが、税金の面で一体先進国並みになりつつありますか。大衆負担の面で、これらの一等国の仲間入りができるような状態に、今日の税制は改革をされておりますか。アメリカは年給与所得百二十万円まではかかりません。イギリスは七十三万円、西ドイツは八十三万一千円であります。(「税体系が違う」と呼ぶ者あり)税体系が違うと言うけれども、税制調査会においては、間接税、直接税の比較をして、同じ種類の税率の比較をいたしておることは明らかであります。そういう負け惜しみを言っても、学者や専門家が研究をした数字が明らかにこれを物語っておるのであります。しかるに、日本は、三十八年度において四十三万八千円、平年度においても四十四万五千円が標準世帯の課税最低限度ということになっております。すなわち、先進資本主義国家と比較して、倍も日本の大衆の税金は高いということが明らかであります。(拍手)特に日本の税のとり方を見ますると、地方税が、国民健康保険税その他固定資産税、それ以外に税外負担としてPTAや多くの寄付をとられておる。これらのことを勘案いたしますると、年間百万円以下の所得者に対しては非常な過重な税負担がかかっておることは明らかであります。  わが党は、かかる今日の税制を改正して、年所得、当面六十万円までの所得に対しては税金をかけないという税制改革案を世に問うておるのであります。これを言うならば、あるいは財源がない、仕事はどんどんふえる一方で、財政需要は拡大の一途をたどるから、案はよろしいけれども減税はできないと言って政府は逃げるでありましょう。しかしながら、今日の租税特別措置法を見ましても、国税で一千九百九十八億円の減税、地方税で一千百四億円の租税特別措置による減収であります。あわせて三千百億円という租税特別措置による減収があります。これらの中で、そもそものできましたときは、特別措置として発生をしておるのであるから、これを恒久化せずして不合理なものは廃し、すでに緊急必要でないものはやめて、これを大衆減税に回せというわが党の主張が、一体なぜ自民党政府に耳を傾けて聞いてもらえないのでありましょうか。すなわち、政府・自民党は、大資本の声を代弁し、独占資本にストレートに有利な税制を、多数決によって無理やりに通しておるというのが今日の日本の政治の姿であります。予算委員会において、あるいは大蔵委員会において質問をいたしますると、国際競争力強化のために、資本調達のために利子配当の減税をいたしましたと答弁をしておる。ところが、利子配当の減税をいたしました結果、貯蓄は一体幾ら伸びるのでありましょう。貯蓄性向というものを調べてみましても、利子配当の減税によって貯蓄はふえていないのです。貯蓄性向は、日本は世界一であります。では、貯蓄をふやして、日本の資本量をふやすためには何が先決であるかというならば、可処分所得の増大が最も貯蓄増強にストレートに相関関係を持っておるということは明らかであります。その可処分所得を増大させる道は、単なる利子配当の減税ではなくて、一般国民への減税を大幅に行なうことが貯蓄をふやす道であることをわれわれは強く主張するのであります。(拍手)  かく、われわれが批判をして参りましたときに、かように筋の通らない減税をなぜやったのでありましょう。私は自治省に正式に申告をされておる政治献金を調査してみますると、昨年一ヵ年間だけで、日本の証券会社からの自由民主党並びに自由民主党の派閥に対する政治献金は一億円であります。証券会社が何ゆえに政府・自民党に一億円の政治献金をやるのでしょうか。何かその見返りがなければ、ただで一億の金を出すはずはありません。この証券会社からの献金の見返りが今回の利子配当の筋の通らない大減税であると私は考えます。(拍手)  かような、政治が一部少数の者に利用され、国民にはちゅうをなめさせて、上の方では特級酒を飲むというがごとき今日の不公平な日本の政治は、国民の前に徹底的に明らかにして、われわれは世論を通じて政府に猛省を促してやまないものであります。  私の討論を終わります。(拍手
  70. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 田澤吉郎君。   〔田澤吉郎君登壇
  71. 田澤吉郎

    ○田澤吉郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました所得税法法人税法及び租税特別措置法のそれぞれの改正案に対し、賛成討論を行なわんとするものであります。(拍手)  以下、賛成の理由について申し上げますと、まず第一点としましては、昭和三十八年度の減税計画はわが国現下の財政事情に照らして、きわめて適切妥当であるということであります。  御承知の通り、三十八年度予算において、将来にわたるわが国力発展の基盤を充実するための重要施策として、社会保障や文教政策、あるいはまた公共事業の三つを取り上げておりまして、これらの経費は前年度予算に比べて、それぞれ二〇%ないし二二%増額されたのであります。これらの重点施策と並行して、減税計画は今日までのたびたびの減税に引き続いて、一般的減税と租税特別措置による減税を合わせて五百四十二億円の減税が実施されることに相なるわけであります。その結果、国民所得に対する国税の負担割合は、前年度に比べて〇・五%低くなったのであります。また、自然増収も増加財源も前年度に比べてかなり少なく、ために予算編成にあたってはきわめて困難な事情にあったにもかかわらず、政府は、予算編成にあたって重要経費を大幅に増額しつつ、しかもこのような減税計画を立てて国民負担の軽減をはかることができましたことに対して、私はその努力を大いに多とするものであります。(拍手)  第二の理由として、所得税の減税と同族会社の留保所得課税の軽減を行なうことによって、特に中小所得者並びに中小企業者の負担の軽減をはかったことは、はなはだ時宜に適したものであろう思うのであります。(拍手)すなわち、今回の税制改正では、所得税については御承知の通り基礎控除を一万円引き上げるとともに、配偶者控除、扶養控除及び専従者控除についても、それぞれ五千円ずつ引き上げ、その結果、給与所得者の標準世帯について見ますと、課税最低限は四十一万六千八百円から四十四万五千八百円になり、約三万円引き上げることと相なるわけであります。また、年間所得五十万円の者は約三五%の負担の軽減となるのであります。これがいかに中小所得者にとって福音となるかは、私からあえて申し上げるまでもないところであります。(拍手)  さらに、法人税については、同族会社の留保所得課税の場合の控除額を課税所得の一五%または百万円のいずれか大きい金額に引き上げておるのでありますから、これは中小企業者のかねてからのわが党に対する要望にこたえたものでありまして、中小企業者の資本蓄積に寄与するところ大きいものであろうと考える次第であります。(拍手)よって、予算委員会でもあるいはまた大蔵委員会においても、しばしば野党議員から、今回の改正は中小所得者及び中小企業者のための改正ではないという御議論が行なわれておりますが、およそ当たらない議論であろうと思うのであります。(拍手)  次に、賛成の第三の理由として、利子所得及び配当所得に対する課税の特例の強化でありますが、これはわが国内外の当面する経済事業に照らして、きわめて当を得たものであろうと思うのであります。顧みますれば、わが国経済は戦後の荒廃した焦土の中から再建が進められたのであります。しこうして、わが党歴代内閣の施策と国民の努力が実を結んで、今日アメリカ及び西ヨーロッパと並び称せられるほどの驚異的な発展を遂げたのであります。しかしながら、わが国経済はいまだに中進国的性格を脱するに至っておりません。去る十五日の朝日新聞の記者席欄の、評論家平沢和重氏と池田首相との対談の中で、平沢氏は「外国では、日本経済の力を張出大関ぐらいにみているのではないでしょうか」というお話に対して、池田さんは「いやいや、日本には十分な資本の蓄積がないから、せいぜい小結か前頭二、三枚目。しかし、これからは、大関級の立派な相撲になると外国では期待をしている」と答えております。これはもちろん日本の経済を相撲に見立てての対談の一こまでありますが、池田首相も率直に申し述べているように、わが国の資本の蓄積水準というものが低いということに帰着するわけであります。もっとも、わが国の資本蓄積水準が低いといっても、そのうち実物資本の蓄積には、ここ数年来の旺盛な設備投資の結果、かなり見るべきものがあります。しかるに、貨幣資本の蓄積は、実物資本の蓄積に比べて非常におくれております。すなわち、戦前を一〇〇として、今日個人の預貯金が一八〇であります。個人の株式払込金が六四にすぎないという、この事実によって明らかに証明されるわけでございます。このようにわが国戦後の資本蓄積は、実物資本と貨幣資本との間に著しいアンバランスを生じているのでありまして、この実物資本と貨幣資本との間のアンバランスは、また企業の資本構成の悪化となって現われております。従って、貨幣資本蓄積の強化、すなわち、貯蓄の増強こそはわが国経済発展にとって至上命令であるということであります。(拍手)  ところで、わが国経済は、世界経済の大勢に順応し、今まさにIMFの八条国移行体制をつくる重要課題に当面していることは、各位御承知の通りであります。よって、自由化も本格的に推進しなければならないでしょう。企業の国際競争力も強化しなければなりません。産業基盤の充実も、生活環境の整備もいたさなければなりません。また、中小企業や農業の近代化も促進して、所得格差や二重構造の是正も行なっていかなければならないのであります。特に金融の正常化については、大いに力を尽くして参らなければならないところであります。その他もろもろの問題解決のかぎは、一にかかって貨幣資本の蓄積、貯蓄の増強にあるのでありまして、このように見て参りますと、政府が今回貯蓄を奨励するため税制上これを優遇することは、きわめて当を得たものでありまして、私はこの点では全く賛意を表する次第であります。(拍手)  次に、第四の理由といたしましては、今回新たに特別措置として追加されました課税の諸特例でありますが、いずれも最近の経済情勢等に応ずるものとして、有効適切な措置であろうと思うのであります。すなわち、今回の租税特別措置法改正では、先ほど大蔵委員長の御報告にもありましたように、特定の公共事業の用地買収等の場合の課税の特例、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例、居住用財産の買いかえの場合の課税の特例、法人の合併等に伴う清算所得課税等の特例、試験研究法人等に対する寄付金等の相続税の特例等、社会資本の充実と産業設備の整備強化等に資するための臨時措置が講ぜられているのであります。これらの措置は、国民の各階各層の要諦に応ずるものと言えますが、なかんずく中小企業者や農家にとっては大きな福音となるものと確信するものでありますがゆえに、野党諸君の御心配には当たらないと思うのであります。(拍手)  最後に、少額貯蓄非課税制度の創設等その他の改正にちょっと触れて結論にいたしたいと思うのでありますが、これらの改正についても、おおむね妥当であるということであります。すなわち、従来国民貯蓄組合制度は、とかくその制度が乱用されるきらいがありましたので、これを廃止して、新しい観点に立って少額貯蓄非課税制度を創設したことは、税制の合理化のため、時宜に適した措置であろうと思う次第であります。  以上、はなはだ簡単でありますが、私の賛成討論を終わる次第であります。(拍手
  72. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。  三案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  73. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  国会議員の歳費、旅費及び手当等   に関する法律等の一部を改正す   る法律案議院運営委員長提出)  衆議院事務局職員定員規程の一部   を改正する規程案(議院運営委   員長提出)  衆議院法制局職員定員規程の一部   を改正する規程案(議院運営委   員長提出
  74. 草野一郎平

    草野一郎平君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、議院運営委員長提出国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等の一部を改正する法律案衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案、衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  75. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等の一部を改正する法律案衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案、衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————  国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等の一部を改正する法律案  右の議案を提出する。  昭和三十八年三月二十二日    提出者      議院運営      委員長  佐々木秀世   衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案  右の議案を提出する。  昭和三十八年三月二十二日   提出者      議院運営      委員長  佐々大秀世     —————————————   衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案  右の議案を提出する。   昭和三十八年三月二十二日    提出者       議院運営       委員長  佐々木秀世
  77. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長佐々木秀世君。   〔佐々木秀世君登壇
  78. 佐々木秀世

    ○佐々木秀世君 ただいま議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等の一部を改正する法律案外二件について、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等の一部を改正する法律案でありますが、この法律案は、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律、国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の審査雑費に関する法律、国会法及び国会議員の秘書の給料等に関する法律について所要の改正を行なおうとするものでありまして、その改正の要点を申し上げますと、  第一に、国会議員の歳費月額を十八万円に改め、委員の閉会中審査雑費の月額を四万五千円に増額することといたしました。  第二は、各議員に付する秘書を一人増員して二人とし、一人は給料月額三万五千九百円を受け、他の一人は給料月額一万八千百三十円を受けることとし、各秘書に対し、新たに月額六千七百五十円の閉会中雑費を支給することといたし、その他必要な調整規定を設けました。  なお、この法律案は本年四月一日から施行するものであります。  次に、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案は、衆議院事務局職員の定員を千五百五十六人から千六百八人に改めようとするものでありまして、七月一日から三人、十一月一日から四十九人を増員するものであります。  次に、衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案は、法制局職員の定員を昭和三十九年一月一日から一人増員し、七十一人から七十二人に改めようとするものであります。  これらの案は、いずれも議院運営委員会において起案、提出したものであります。何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  79. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) これより採決に入ります。  まず、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律等の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  80. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。  次に、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案及び衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案の両案を一括して採決いたします。  両案を可決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は可決いたしました。      ————◇—————
  82. 原健三郎

    ○副議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         法 務 大 臣 中垣 國男君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         郵 政 大 臣 小沢久太郎君         国 務 大 臣 志賀健次郎君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         外務政務次官  飯塚 定輔君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         建設政務次官  松澤 雄藏君      ————◇—————