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1963-06-13 第43回国会 衆議院 法務委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十三日(木曜日)    午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 高橋 英吉君    理事 上村千一郎君 理事 唐澤 俊樹君    理事 小島 徹三君 理事 田中伊三次君    理事 林   博君 理事 猪俣 浩三君    理事 坂本 泰良君 理事 坪野 米男君       岸本 義廣君    馬場 元治君       早川  崇君    松本 一郎君       田中織之進君    田中幾三郎君       志賀 義雄君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     後藤田正晴君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      宮地 直邦君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         法務事務官         (人権擁護局         長)      稻川 龍雄君         公安調査庁長官 齋藤 三郎君         厚生事務官         (援護局長)  山本淺太郎君  委員外出席者         検     事         (刑事局参事         官)      長島  敦君         検    事         (入国管理局次         長)      富田 正典君         専  門  員 櫻井 芳一君     ————————————— 六月十二日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  松井政吉君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員松井政吉君及び片山哲辞任につき、その  補欠として田中織之進君及び田中幾三郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  片山哲君が議長指名委員に選任された。 同日  理事松本一郎君同日理事辞任につき、その補欠  として田中伊三次君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  法務行政に関する件      ————◇—————
  2. 高橋英吉

    高橋委員長 これより会議を開きます。  理事辞任及び補欠選任についておはかりいたします。  理事松本一郎君より理事辞任申し出がございます。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認め、同君の辞任を許可いたします。  つきましては理事補欠選任を行なわなければなりませんが、これは先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認め、田中伊三次君を理事に御指名いたします。      ————◇—————
  5. 高橋英吉

    高橋委員長 法務行政及び裁判所司法行政に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。猪俣浩三君。
  6. 猪俣浩三

    猪俣委員 入管当局にお尋ねいたします。実は韓国政治亡命者の件につきまして、たびたび入管とは折衝もしておりますし、当衆議院法務委員会、あるいは参議院法務委員会におきましても質疑が行なわれておるのでありますが、まだ明確なる線が打ち出されておらぬのでありまして、実は私どものところへ相当心配をいたしまして陳情に来る者が非常に多いわけであります。ことに先般仮釈放になっておりました孫君が、毎月一回の切りかえのときに出ましたところが、そのまま逮捕されて抑留されてしまったということから非常な恐慌を来たしまして、一カ月ごとの滞留の切りかえにも本人自身は行かぬで代理人をやるというように警戒をするようにまで相なってまいりました。相当ノイローゼぎみになっておる者が多数あるわけであります。これらの人物相当の教養があり、また、それがゆえに現朴政権等世界観を異にし、民主政治理解を異にしているために、帰りますると、韓国におきまする幾多のいろいろな法律にひっかかる連中が多いわけであります。そこで何らかの保護を求めてきているわけでございますが、そのうちにも代表的な者は李栄根、これはもう相当人物でありまして、一方の旗頭の人物であります。それから金仲泰、それから朴徳万、この三人は詳細な上申書をいろいろ証拠をつけて入管には提出してあるはずであります。そこで、この李栄根あるいは金仲泰、それから朴徳万上申書政治亡命明書というようなものが出されているはずでありますが、入管当局は、これを審査なさっておるかどうか、これをお尋ねいたしたい。
  7. 富田正典

    富田説明員 李栄根金仲泰朴徳万の三名から出されております疎明書につきましては、慎重に検討しております。  なお、先般の参議院法務委員会におきましても、亀田委員から、政府政治亡命に対する態度をはっきりしてはどうかという御質問もございまして、鋭意われわれといたしましてこの問題を検討しておるのでございますが、この問題に対する現在の考え方というものを、委員長のお許しを受けて申し上げまして、その考え方に基づいて孫性祖並びに李栄根らの処遇が現在まだ結論が出されていない理由にもかえたいと存じますので、一般的な考え方をこの機会に述べさしていただきたいと思います。  政治亡命定義につきましては、これはだんだんと固まってきつつあるようではありますが、それでもなお政治亡命あるいは政治犯罪というものに対する定義というものは必ずしも確定してはおらない状況にございます。たとえば政治犯罪定義にいたしましても、行為の客観的な外形のみによって決するのか、あるいは主観的な要素も判断するのかという点につきまして、必ずしも学説も一致しておりません。殺人罪を犯して逃げてきた者、それが政治目的殺人罪を犯したという場合に、これを政治犯と見るのか、あるいはやったことが自然犯であるから政治犯とは見ないかというような非常にこれはむずかしい問題もあるわけでございます。  またそういう定義の問題にも関連いたしまして、たとえば最初単純不法入国、出かせぎのために不法入国をしてきたというような者、あるいは日本勉学をしたいというために密入国してまいりまして、勉学期間中だけ特に一生懸命に勉強するということで在留を許可した者、そういう者は本来学業を修了いたしますと、これはもう帰らなければならない状態になるわけでありますが、その後におきまして、出かせぎ目的で入国してまいりました後におきまして、その政治行動が本国の忌諱に触れるということを承知しながらその運動に飛び込んだというような場合に、一体この処理をポリティカル・レヒュージーと認めていいのかどうかということをなお検討しなければならないむずかしい問題もあるわけでございます。また政治亡命者については、これは保護するのであるというはっきりした原則を打ち立てますと、おぼれる者はわらをもつかむと申しますか、何か特別在留理由になりそうなものならば何でもそれに飛びつきたいという心理もございまして、実際の政治的な亡命者と一そうでないそれに名をかりる者とか、便乗する者とかというものの区別をどうするか、これは認定の問題になりますけれども、実際問題としては、非常に現実認定の場合には困難な問題が伴うわけでございます。  また、世界的に亡命者を出した国と申しますか、亡命者所属国が、逃げて行った先の国において与えられる仕事というものを尊重すると申しますか、それを理由として非友好的な行為をしたといってその国を非難するということがないようになることが望ましいことでありますが、世界現実からいきまして、まだはたしてそこまでいっておるかどうか。実際問題といたしまして、そういう亡命者保護したということのために経済的な報復なり、その他いろいろなリアクションということが現実に考え得るわけでございます。  こういった現実の問題あるいは定義の困難の問題、それから実際の亡命者とそうでない者との振り分けの問題、いろいろ困難な問題でございますので、現在それらの問題を慎重に検討しているわけでございます。特に韓国だけではなくて、ほかの国にもいろいろ同じような問題があるわけでございますので、そういうものもあわせてこの際態度をきめていかなければならぬ、そういうような観点で慎重に検討しておるわけでございます。また在留を与えます場合にも、保護を求めてくるものでありますから、たとえばふところに飛び込んだ者が、その逃げてきた先に対して、飛び込んだふところの中からいろいろその国のことに対して舌を出すと申しますか、誹謗するというようなこともひとつ慎んでもらわなければならないのではないかどうか、そういうような点もいろいろ考慮しなければならない問題があると存じます。そういうようなわけでございまして、ただいま孫性租李栄根、そのほかの者たちにつきまして、いろいろ諸般の事情を検討した上で、適切な処遇を検討しておる状況でございます。
  8. 猪俣浩三

    猪俣委員 これらは彼らの政治亡命明書と申しますか、こういうものをよく読んでみますると、実に明白だと思うのでありまして、一般的ルール、基準を打ち立てなさるのにはやはり相当考慮の必要はあると思いますけれども、こういう明白になっておる者だけについて特別な、個別な取り扱いができないもの歩あろうかどうか。毎月一回ずつ必ず手続をさせられておる、事実いまどうしても帰ることができないという実情にあるのであります。いまやはり同じ運命にある者が東京地方裁判所へ訴訟を起こしておりますが、もしどうしても入管でこれが決定できないとなると、一々裁判所の訴訟問題にするよりしかたがないような情勢であります。こういう三人についても至急何か特別なる御処置をいただきたいと思いますが、一体そういう彼らの上申に対します結論を急いでお出しになるつもりがあるのかないのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 富田正典

    富田説明員 御指摘のとおり相当長くなってもおりますし、中にはかなりはっきりした疎明資料もある者もございますので、早急に結論を出したいと考えまして、現在鋭意検討中でございます。
  10. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは将来長く日本朝鮮との関係を考えますと、これみな前途有為な青年でありますので、日本政府が特別なる人道主義に立脚して御協力していただいて、彼らの毎日毎日の不安を除去しいただいて、十分勉強なりあるいはその道の活動なりができるように、ぜひ御努力いただきたいということを再度お題い申し上げます。私は入管に対しましては質問はそれだけにいたします。  次に、警察に対して二つ問題があるわけですが、一つは最近発生いたしました在日朝鮮人学生日本学生の間に殺傷事件が起こっておる。それに対する取り締まり当局態度についてのお尋ねが一つあるわけです。これはしかし法務省とも関係いたしておりますので、法務省関係の方がお見えになりませんからあと回しにいたしまして、いま一つ刑事警察あり方につきまして御質問したいと思います。  それは刑事警察充実相当世論となりまして、警察におきましても基本方針ができたらしいのでありますが、何といたしましても刑事待遇というものが非常に悪いこと、これまた万人認めるところであります。やはりその待遇を厚うしてやりませんと十分なる活動ができがたい。これは市民の生命、財産、身体の直接保護の任に当たるのが刑事警察でありまして、刑事に十分なる活動をさしてやるということが何としても根本だと思うわけです。ところが、先般私が衆議院の本会議警察あり方について質問をいたしましてから、私のところに電話なり投書なりが参っております。いつも十一時近くに警察からという電話が参ります。私は、自分の子供が自動車事故で夜中に即死しましたときに警察から電話がありまして以来、警察から夜電話というとどきっとするわけです。たびたびそれをやられる。しかし、この訴え相当切実なものでありまして、私はどうしても理解ができないのであります。それは本庁及び警察署刑事から電話だというので——電話でありますから真偽はわかりません。わかりませんが、夜おそくかかってくると、名前を聞かぬでもらいたいということ、それから文書に書いてぼくあてによこしてくれと言っても、そこはやはり刑事ですから、手紙から足がついてはというような心配もあるようにあります。そういう点から見て、どうもこれは本物の刑事電話じゃないのじゃなかろうか、こう私はいま思っているわけでありますが、その点を実は確かめたいと思うわけであります。  どういう電話であるかと申しますと、どういう理由か知らないが、上司の人が、何々警察署という出先の警察署には刑事課長と称する職があるそうですが、その刑事課長刑事に対し、たとえば一千円の金をだれだれに払ったという受け取りをもらって出してくれろ、こう言うのだそうです。そこで何か知り合いの店や知り合いの人に頼んで一千円の受け取りを、自分から受け取ったという受け取りを書いてくれ、こう言って頼むけれども、どうも金額がつじつまが合わぬという場合には、デパートの下を見て歩くと伝票が落ちている。それを拾って歩くと相当金額になる。そしてデパートから物を買ったということで出す。こういうことをやっていると月五千円くらいになる。おそらくこれはわれわれに支給さるべき手当を何かほかのほうに流用するためにこういうことをやっておると思われる。それが何々警察署というところからと、警視庁本庁だという両方から電話が実は入っているわけであります。私ども刑事に対して特別の手当を出さなければならぬと思っておるやさきに、すでに出ているものを何らかの形で上の者が巻き上げるというようなことがあるとするならば、これは許すべからざることだと考えているわけでありますが、何かの都合でそういうことをやるのであるか。その訴えてきた人は、われわれがもらうべきものをほうに流用する、ほかの入用な予算がどうも取れないために、われわれが受け取ったような形にして実はほかのほうへ回すためだというふうに言っておるわけです。みんな一様に同じ受け取りではぐあいが悪いから、場合によってはノートの端を引っ裂いて受け取りを出したり、けい紙で出したり、いろんなもので出せ、こういうこまかい注意まであった、こういうわけであります。さようなことがあるのかどうか、それを承りたい。  いま一つは、これは投書でありまして、手紙できているわけであります。これはどういうことかと申しますと、刑事用のいい車が、新車を買い入れてもみんな上役がそれをとって乗り回していて、自分たち犯罪捜査には古ぼけた機動力の劣っているものをあてがっていて、そうして機動力のあるいい車は上司が乗り回すという投書がきているわけであります。さような刑事警察充実の際に、最も機動力のある優秀な車を捜査第一線で活躍する者にあてがうべきものを、上の者が車が新しいというので取り上げて乗って歩くというようなこと、これもまた事実とすればはなはだけしからぬことだと思います。これは投書であります。かようなことが訴えられてきておりまするので、それに対する当局の御答弁をいただきたいと思います。  この二点についてお尋ねいたします。
  11. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 お答え申し上げます。実は前々回に領収書の問題について、猪俣先生からそういうお話があるということを刑事局長から聞きまして、私、長年予算会計仕事をやっておりますが、どうもこれはふに落ちないと私自身は思っておったのですが、お話の御趣旨はきわめて重要な問題でございますので、警視庁について私といたしましてできる限りの調査をいたしました。その結果は、実はさような事実はございません。ただ事実がないと申しましてもおわかりにくいかと思いますが、これには経費の使用のしかたを説明申し上げれば御理解が願えるのではないかと思います。領収書デパート等で拾ってでも持ってこい、こういうことでございますが、その場合、会計法上考えられますことは、一つ物件費の問題、一つ捜査費の問題、この二つがあろうと思います。ところが、物件費のほうにつきましては一これは幾ら領収書がありましても、物品受け入れの事実がなければ、これはどうしても検査院証明はできないわけでありますので、そういうことはまず考えられない。  いま一つ捜査費の問題でございますが、捜査費物品捜査費によって買うことがございます。捜査費は御承知のように刑事捜査活動に必要な諸費に充てるということでございますので、部内でも物によってやる場合もあるし、ほかの方にも場合によって物によって差し上げるということもありますので、そういうように物品で買うことがあります。ところが捜査費につきましては、これまた先生御存じのとおり簡易証明規則というものが会計検査院規則で出ております。その簡易証明規則によりまして、特殊な経費につきましては、会計検査院の承認のもとに簡易な証明でよろしい、こうなっております。捜査費はまさにその経費一つであります。簡易証明規則は、もともと本来的に言いますければ、国なり地方団体、いずれも同じでありますが、債権者に対してでなければ小切手の振り出しはできない、これは大原則でございますが、それに対して簡易証明の対象になる経費は、特定の部局長債権者と見なして小切手が振り出せる。そうして当該部局長から、その下の捜査課長なりあるいは第一線警察署長なりに必要に応じて金を渡して、当該受け取った警察署長なり捜査課長なりは、それを必要のつど捜査本部用なり、あるいは捜査員に交付をすることができる。そうして末端最終領収書、これにつきましては、できるものは領収書をとります。しかし領収書をとりがたいものはとらなくてもいいことに実はなっております。その場合には上司証明書をもって領収書にかえることができる。そうしてそれらの末端最終から受け取った領収書であればその領収書、その証明をしてこれにかえたもの、こういうことになって、検査院実地検査の際に検査を受ける、こういうことに実はなっておるのが簡易証明の規定でございます。これらのことを考えますと、御質問のような場合は、ちょっと私は考えられない金を渡して、それが領収証がとりにくいという場合であれば、必ずしも取らなくても、ただいま申したような証明によってかえることができる、これが実態なんでございます。そういうことを考えますと、私自身も、どうも経理の実態からみてちょっと考えられない、こう思ったわけでございますが、現実に事実もさようなことがない、これが実情でございます。  それから第二点の車の問題でございますが、これは、実は警察の車といいますのは、活動用の車はすべて国費支弁に相なっております。いわゆる上級の職員事務用に使うあるいは往復等に使っておる場合がございますが、それらのいわゆる庁用自動車全額地方費負担、こういうことで、負担区分が違っております。刑事の車は、ただいま申したうちの国費支弁活動用の車であります。そこで私どもといたしまては、いつもただいま御質問のような話を間々聞くのでございます。そこでそういうことが実はあってはならぬ、ことに小さい組織の警察であれば、そういうことは一目りよう然ですけれども警視庁のような大きいところになると、なかなか実態がわかりにくいといったようなこともございまして、警視庁等に対しましては、私、しばしばそういう事実があってはならぬということで、やかましく注意もし、また、警視庁としても、そういった車につきましては、総務部装備課というものがございますが、ここで統制運用をして、そういう間違いのないようにいたしておるというのが実情でございます。以上で御了承賜わりたいと思います。
  12. 猪俣浩三

    猪俣委員 どうせ諸君はそういう答弁をなさると思うわけです。そこで私は警察署刑事と思われる者からの電話の際に、一体、君の言うようなことを、どこで調べればはっきりするかと言ったら、警察署刑事課長というものがおる、これがみんな取るんだから、これの帳面にわれわれの出した受け取りを根拠として、どこそこへ幾ら払ったという記帳があるはずだ、それを実際そこへその金がいっているかどうかを調べればすぐわかる、こういう答弁なんです。それをお調べになったことはないと思うのだが、初めからそういうことはあり得ないとかなんとかいうようなあなたの態度だとすれば、調べることもないことになりますが、とにかく部内と思われる人からこういう、どう調べればわかるかと私に言われて、ここを調べてくださればすぐわかる、刑事課長ノートを調べて、そこへ載っておるその先へ、その金がいっておるのかどうか調べてくれればすぐわかるはずだ、こういうふうに言っておりまするから、頭からそういうことがあり得ないとおっしゃらず、私は調べていただきたいと思う。この前から予告しておいたわけです。こういう投書がきているから調べておいてくれということを予告しているわけです。ところがいまの御答弁だと、そういうことはないのだ、初めからないのだというお考えでやられていたのでは話にならぬと思う。  なおこれは、もちろんこういうことを私のところへ電話してきた人物が、これは何らか警察を困らせようと思ったにせ電話かもわかりません。私は、声だけでありますから責任を負えないのであります。しかし、どうも前後の事情からほんとう刑事らしく思える。それで、万一そういうようなことがあってはいけないし、またあるように刑事が思っておるとすると、これまた非常にぼくはいけないことであると思いますから、ないならないように、さようなことはあり得ないことを十分第一線に働く刑事さんあたり納得させていただかないといかぬと思うのです。自分たちのもらえる金を取り上げているような考え方を、第一線刑事が持っておったといたしますと、これは非常な問題だと思うのであります。現に数人からそういう電話がかかってきておる。そしてどこを調べればわかるまで言うてきておるのです。それですから、これはなお御調査願いたい。御調査の上、なおお尋ねしたいと思うのです。  それからいま自動車の問題は、これは投書がきているわけです。これを読みますと、「私は最近警察を定年退職した者ですが」こう書いてある。「今国会で問題になっている刑事警察充実についてお願いします」と書いてある。「警察では捜査仕事が苦労に比例して報いられるところが少なく人材面でおとっています。」私ども指摘したことが書いてある。「又機動力が薄弱な事は御承知とおもいますが、捜査用の名目で国費により購入した自動車署長課長」として、これは「(本部)」と書いてあります。警視庁本部のことじゃないかと思うのです。「課長本部)が専用し、捜査に使用する車は古いジープを使っています。これは予算の面でも同じことが言えます。実際に一線に出て仕事をする者が仕事のしやすい様されるべきと思います。調査の上追求して下さい。」こういう投書です。名前も何も実は書いてない。これは衆議院社会党議員クラブなんという名前で、私の名前できてここへ届いたわけです。これもどうもいいかげんのいやがらせの手紙だとは私は思えない切実な訴えが、この短い文句の中に書いてあるような気がするのです。ほんとう刑事さん上がりの方じゃないかとぼくには思われる。だから、そういうことがないならけっこうなことでありますが、もしそれならそのように、間違わぬように刑事によくやはり皆さんが指導しないというと、こういう妙な不平を持っておりますと、捜査活動にも関係する、これはどうです。実態はありませんか。
  13. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 事実の問題につきましては先ほどお答えをいたしたとおりでございます。ただ、さような疑いが一部職員にあること自身警察の運営上非常に重要な問題だと、御説のとおり思います。したがって私どもとしては、そういった点の監督なり指導なりは十分いたしたい、こういうように考えております。
  14. 猪俣浩三

    猪俣委員 次に、これも私はしばしば陳情を受けておるわけでありますが、近来朝鮮の中高級学校の生徒に対して、日本のやはり中高等学校の生徒が乱暴をするという幾多の事例がここに上申されているわけであります。最もはなはだしいのは、これは昨年でありますか、法政の第二高等学校、ここに何かの文化祭があって、朝鮮高校に招待がきたので、その招待に応じて行っておりました辛英哲という朝鮮高校の生徒が、どういうはずみか、法政第二高校の生徒に、文化祭の校内に陳列してありました銃の銃床でもって頭をたたかれて、三時間後即死してしもうたという事件が起こった。問題は、これがどう扱われたかと申しますと、この加害者藤田という人間は、一応法政第二高等学校は退学したそうでありますが、現在日本大学に入学しておる。   〔委員長退席、林委員長代理着席〕 これは一体一人を殺しておる事件であるのに、どういうふうになったのであろうか、こういう疑問があるわけであります。ちょうど沖繩の住民がアメリカの兵隊にトラックで過失致死されたのに、そのアメリカの兵隊が無罪になったということで沖繩の住民がいま激高しているというような心理が朝鮮の人にもあると思うのであります。そこで、これは警視庁でお取り扱いになったと思うが、どういうふうな取り調べをし、どういうふうにこれがなったのであるか。これは南朝鮮側のただ訴えたままのことであって、事実こうであるかどうかははっきりいたしませんが、このことは御存じだろうと思いますが、ちょっと経過を御説明いただきたい。
  15. 大津英男

    ○大津政府委員 ただいま猪俣先生から御質問のありました法政二高の関係の事件、これは神奈川県の事件でございます。発生いたしましたのが昨年の十一月三日の午後三時二十分ころでございまして、場所は川崎市の法政第二高等学校の教室でございます。加害者は、いまお話がございましたが、法政二高の当時三年生の某という少年でございまして、被害者はいまお話のありました少年でございます。事案はちょうど十一月二日から三日にわたりまして法政二高の文化祭が行なわれておりましたが、その際、辛少年がまいっておりまして、法政二高の二年生のある少年に、金を貸せというようなことで恐喝を行なっているところをこの某という少年が発見をいたしまして、一度は教室の外へ追ったのでございますが、再び教室に入って、今度は某少年にいろいろまた因縁をつけておどしにがかったというようなことから、この某少年が、展示してありましたエアライフル銃の柄で相手の少年を二回頭を殴打した。このため東横病院に収容されましたが、十一月四日の八時ごろ死亡したという事件でございます。この少年につきましては、傷害致死事件といたしまして捜査の上十一月十五日に書類を送致しておりまして、家庭裁判所におきましては刑事相当処分といたしまして横浜地検に逆送をしてきておる、こういう状況でございます。
  16. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、検察庁がいなければわかりませんが、地検ではどうなったか御存じないですか。
  17. 長島敦

    ○長島説明員 ただいまのは、私どものほうで調査いたしましたところによりますと、少し食い違っておるわけでございますが、ただいま御指摘の事件は昨年の十一月二十七日に横浜地検で受理いたしまして、いろいろと参考人等を多数取り調べました結果、十二月二十一日に刑事処分相当という意見をつけまして横浜の家庭裁判所へ送致いたしたわけでございますが、横浜の家庭裁判所は、ことしの二月十二日になりまして東京の家庭裁判所へ事件を移送しておりまして、現在事件は東京の家庭裁判所で審理中であるというふうに聞いておる次第でございます。したがいまして、現在事件は東京家裁に係属中であるということでございます。
  18. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、その加害者は釈放せられて、いま言ったように日本大学に入学しておるそうでありますが、釈放せられているわけですか。
  19. 長島敦

    ○長島説明員 検察庁が受理いたしました当時には、すでに身柄が釈放されておったというふうに聞いております。
  20. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは殺人事件でありまして、一人死んでおるわけでありますが、家庭裁判所の裁判がどうなっておるかわかりませんが、朝鮮側としては、日本当局朝鮮人に対する暴行の加害者に対してどうも寛大である。それから続々不祥事が起こるのだという考えを持っておるわけですが、しかし検察庁としては家庭裁判所に送ったというのですが、家庭裁判所に送る事件と検察庁の刑事事件として審理する事件とがあるわけですが、これはやはり家庭裁判所へ送ることが適当な事件と認定されたのですか。
  21. 長島敦

    ○長島説明員 御承知のように、この被疑者は少年でございますので、犯罪の嫌疑がございます場合には、すべて家庭裁判所へ送るというふうになっておりますので、検察官といたしましては、事案が重大でございますので、刑事処分が相当であるということで、検察官に事件を逆送してくれるようにという意見をつけて横浜の家裁へ送っておるわけでございます。
  22. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、それがまだ逆送されてこないわけですね。
  23. 長島敦

    ○長島説明員 先ほど申し上げましたように、横浜家裁でも、本人の住居地が東京であるという関係で、事件を東京家裁に移送いたしまして、現在東京家裁で審理中でございますので、まだ逆送決定はございません。
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、本年の五月十七日に小金井駅におきまして朝鮮学生が一人瀕死の重傷を日本学生によって与えられておるわけであります。これは五月十七日午後七時四十分ごろの事件である。このいきさつについて、警察は、どういう経過で、どういう処置をせられたか、お聞かせ願いたいと思います。
  25. 大津英男

    ○大津政府委員 ただいま御指摘の小金井の関係の事件でございますが、事件の当事者は、いまお話のありましたような朝鮮高校側と日本の高校側の問題でございますが、ちょうど先ほどお話のありました五月十七日の午後八時ごろでございますが、国電の武蔵小金井駅の上り線ホームに、今申しました時間のころに、日本側の少年二名がおりまして、また朝鮮高校の少年が、被害者外二名が下り線のホームでそれぞれ電車を待っていたのでございますが、両方の視線が合ったということから、朝鮮高校生がガンをつけたというような誤解をしたことに端を発しておりまして、そういういきさつで、朝鮮高校のある少年が跨線橋を渡りましてこちらの少年のいる上り線ホームに来まして、それからその少年たちを駅長室のそばの人けのないところに連れてまいりまして、いろいろ因縁をつけたということでございまして、そのうちの一人が、やにわに加害者であります日本の少年の顔面を殴打した。そこでその少年が逃げようとしたところが、おまえは友だちを置いて逃げるのかということを言われたために踏みとどまりまして、ポケットに入れておりました鉛筆削り用の折りたたみのナイフを取り出してかまえたときに、朝鮮高校の少年がちょうどその少年に向かって頭突きの形でぶつかってきた。そのためにナイフがその少年の腹部に突き刺さった。その少年は刺されたことに気がつかずに、少年が線路に飛びおりたのを追って走っていったとたんに、腹部が痛むために、やられたと叫んでそこにうずくまった。それを聞きつけまして、駅員が他の少年たちを駅長室に連れてまいりまして、また被害少年を救護いたし、交番のほうに急報があったのでございまして、その間他の朝鮮高校の少年が日本側の少年をまたぶっておるというようなことが駅長室においても行なわれておったのでありますが、このために被害者である少年は、腹部に肝臓に刺さるというような傷害を受けまして、現在入院加療中でございます。また日本側の少年の一人はやはり下のくちびるの部分に五日程度の傷害を受けた。またもう一人の少年もやはり上くちびるのほうに五日程度の傷害を受けておるというようなことがあったわけであります。小金井警察署におきましては、現場でその加害少年を傷害の現行犯として逮捕いたしまして、他の五人の少年に対しましては、それぞれ任意取り調べを行なっておったのでございますが、その加害少年につきましては、事件の原因が相手方にもあるというようなことで、五月の十九日に一たん身柄を釈放いたしまして、他の被疑者五名とともに傷害事件の被疑者として書類送致の手続をするということで進んでおるわけでございますが、なお被害少年が入院中でございますために、調書がまだ取れておらないというようなことで、まだ送致が行なわれておらないという事情でございますが、とりあえず早く事件の送致をし、それからさらに入院中の少年につきましても、調書が取れましたならば、追送するのもいいんじゃないかということで、いまそのように指示をしておるというような状態でございます。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 この刺した学生はどこの学生ですか。
  27. 大津英男

    ○大津政府委員 拓大高校でございます。
  28. 猪俣浩三

    猪俣委員 拓殖大学の高等学校ですね。  それからやはり本年の五月二日、渋谷駅頭におきまして、朝鮮高校の学生四名が国士館の高等学校生徒に集団暴行を受けておるという事件がある。そういうふうな事件がまだたくさんあるのでありますが、ここに詳しく各事件ごとに書いた私どもへの陳情書がありますので、これをあなたにお渡しいたしますから、もう少しよく研究して答弁していただきたいのですが、いずれも警察の処置に対して非常に不満があるわけです。何かどうも向こうからやられたのにけんかだというふうにとったり、向こうがやってきたのをこちらからけんかを売りにいったようにとる。そうしてたとえば小金井の場合なんかは、相手は四人であり、こちらは三人なのに、わざわざ向こうも三人、こっちも三人というふうにして、ちょうどけんか相手にいいように警察はしておる。日本学生が四人いたことは、駅の勤務者その他にたくさん証人があるにかかわらず、こちらがどこまでもそれを主張するにかかわらず、警察一つもそういうことを調べておらない。どこまでも三対三というように持っていっておる。これはけんかということにしてやろうという魂胆からきておる。こういうふうにとられておるわけであります。  その他ここに書いてありますことは、朝鮮高校に対して放火が行なわれておる。これもそのままわけがわからない。あるいは朝鮮高校に集団的に脅迫に乗り込んできているのもある。これもさっぱりそのままである。そうしてこの相手がみんな拓殖大学の高校、国士館大学の高校あるいはその他の特色ある学校の高校、その相手は朝鮮高校ということで、これまた最も特色ある学校となっております。どうもここに思想的な対立があるように考えられますが、これはたいへんな問題だと思うのであります。  そこで、この朝鮮高校の教育方面を担当しておる方が見えて、警視総監によく話をして、災いを未然に防ぎたいというので面会を申し込んでおりますが、まだ総監はお目にかからない、そういうことでわれわれに陳情に参っておるわけであります。これは何とかしかるべく警視庁で考えていただかないと、ちょうど沖繩における沖繩人に対するアメリカの兵隊の犯罪行為についての沖繩人民の不満と同じものが、やはり日本政府に対して朝鮮の若い学生の不満となって、あるいは学生の父兄の不満となってくることは、日鮮融和のためにはなはだ困ったことだと私は思うのであります。  ところが、最近池袋の警察署警視庁が共同で、都下の私立学校九十校の校長を集めて、そうして朝鮮学生に乱暴された者を全部説明してくれということで調査をされたという情報が実は入っておるのであります。これは最近のことです。私どもがこういう朝鮮学生に対する日本人の学生の乱暴問題を警視庁質問したあとなんです。それから日本の私立学校九十校の校長を集めて、みんなの学生の中で朝鮮人の学生に乱暴された者を全部調査して出してくれ、こういうふうなことを話されたというのでありますが、さようなことがあるかないか、あったとすれば、いかなる目的でやられたのであるか。
  29. 大津英男

    ○大津政府委員 いろいろお話があったのでございますが、私どものほうにもやはり先生のお持ちになっておられます抗議文書が参っておりますので、警視庁のほうにも回しましていろいろ調査をいたしておるわけであります。先ほどお話がございましたが、私どもが調べておる範囲におきましては、いろいろ見方はあるかと存じますが、最近における少年非行の状況が非常に集団化してきておる。それからまた中学生や高校生の間における学校間の対立、抗争というような傾向も顕著に出てきておるというようなことから、少年警察の運用上の大きな問題といたしまして、警察庁としても全国的にこういう点についていろいろ適切な補導措置をとっていく必要がある、かように考えまして、そのような方向に向かっていろいろ措置を進めておるわけでございます。  なお、先ほど朝鮮人学校の火災事件のお話がございましたが、これは三月七日にそういう仮校舎八坪、物置き十六・五坪か焼けました火災事案が発生いたしましたけれども、これにつきましては所轄の王子警察署捜査をいたしまして、用務員のストーブの取り扱い不注意による出火と判明いたしました。すでに五月十三日に地検に書類を送付しておるというのでございまして、その点につきましては御了承いただきたいと存じます。  また、いま池袋と警視庁でいろいろ学校について、朝鮮高校の生徒によるところの被害がなかったかということで調査をしておるんじゃないかというお話でございますが、警視庁といたしましても、東京都の教育庁あるいは私学協会とかいろいろなところとよく連絡協議をいたしまして、警察だけでこういう事故が防げるものではないという考え方で適切な補導措置をしてまいりたい、こういう趣旨でいろいろ会合を持っておる。その結果そういうふうな調査をすることもあると思うわけでございますが、池袋でどうしたかという具体的なことは私存じませんけれども、実際にある学校で、いやもうこちらも確かにそういうことでやっておるけれども、ずいぶんうちの生徒にも被害がかかっておるんですという意味の話もあるというようなことでございまして、少年同士のあっちにもあった、こっちにもあったというような状況ではないだろうかというようなことでございまして、そういうことと関連をいたしましてやっておるかもしれないと思うのでございますが、そういうことでございますので、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  30. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 関連質問。ただいまのお話によりますと、一般的な少年の非行の問題に解消されておりますが、事実は昨年の暮れからことしにかけて事件が頻発しておるのであります。ちょうど日韓会談の問題が非常に大きく取り上げられてきた時期と同じことになっているのでありますが、いまのお話だと、一般の少年非行であっちにもこっちにも学校間の対立があった、それのあらわれにすぎないということです。しかしながら朝鮮高校の、いま猪俣委員から質問があった場合に理由をお調べになりましたか。どういうことが理由でこういう殺人が起こり傷害が起こっているのか、その理由をお調べになったか。私どもの調べたところでは理由が全然ないのです。明らかに朝鮮高校かと言ってすぐこういう犯行が起こっているのです。この点についてひとつ御答弁願いたい。  それからもう一つお聞きしたいのは、先ほどの神奈川県朝鮮中・高級学校生徒辛英哲君が法政大学第二高等学校二高祭、文化祭に招待されたとき、三年生にライフル銃で後頭部を強打されて頭蓋骨折になってついに死んだことがありますが、そのときの被害者対策委員会の調査したところによりますと、「警察当局は死体解剖のさい検事の許可が必要だとの理由で親権者や教員の立会いを拒否、親権者になんの連絡もなしに解剖した。」こういうこにとなっております。しかし刑事訴訟規則第百一条によりますと、検証をする場合について「検証をするについて、死体を解剖し、又は墳墓を発堀する場合には、礼を失わないように注意し、配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹があるときは、これに通知しなければならない。」こうなっている。ところが警察当局は、この委員会の発表によりますと、「死体解剖のさい検事の許可が必要だとの理由で親権者や教員の立会いを拒否、親権者になんの連絡もなしに解剖した。」となっておる。こういう事実があるとすると、いまの刑事訴訟規則に照らし合わせまして重大なことになりますが、この間においてどういう措置がとられているのか。警察でおわかりならばはっきりしていただきたい。どういう事実があったか、これを関連して質問します。
  31. 大津英男

    ○大津政府委員 先ほど、いろいろ少年非行の一般的な問題の中に問題を解消してしまうのではないかというようなお話がございましたが、具体的にそれぞれの警察捜査をいたしましたときに出てきておりますることは、やはり先ほど申し上げましたが、国士館高校の場合におきましても、前日に国士館高校のある少年が帰宅の途中渋谷の駅付近で朝鮮高校生に殴打された、これを翌日学校へ行ってそういう話をしたために、その学校の生徒たちが、そういうことがあるなら何とかしなければならぬのじゃないかということで、この事件になったというようなことも出ておりまするし、先ほどの法政の問題につきましても、他の少年にいろいろ言いがかりをつけておったというようなことから、その少年がそういう行動に出てしまった。そのほかお互いの間に平素いろいろあったということから、やはりこういう問題に発展してきたのではないか、私どもはそう考えます。決して民族的ないろいろな関係でそういうことになったものではない、かように考えておる次第でございます。  それからいまの死体解剖の問題につきましては、これは鑑定の許可状を得まして警察医が警察医の宅におきまして死体解剖をいたしております。なお、その際いろいろ朝鮮の高校の関係者その他の方がこられたのでございますが、一連の抗議というふうに認めましたために立ち会いを拒否しておったというようなことを申しておる次第でございます。
  32. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 私の質問に答えてない。遺族の人あるいは親権者に通知をしたかどうかということです。鑑定の問題ではない。検証の問題で私は聞いている。あなたの答弁は見当違いじゃないですか。刑事訴訟規則第百一条を見て下さい。検証のことで私は聞いている。遺族、親権者に知らせたかどうかという問題を私は聞いている。そういうことはちゃんと書類が残っているはずです。
  33. 大津英男

    ○大津政府委員 私の手元にその点の調査は参っておりませんが、なお調査いたしましてお答えいたします。
  34. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それごらん、肝心のことを調査せずにおいて、自分はこう思う、警察はこう思う、それで実態の真相がつかめますか。もう一回調べ直して下さい。
  35. 猪俣浩三

    猪俣委員 学校の校長を九十人集めて報告しろと言ったことに対して、答弁をやったのかやらないのか。
  36. 大津英男

    ○大津政府委員 いま申し上げたとおりでございますが、少年の非行問題の一環といたしまして、いろいろ補導対策上考えなければならないことがあるという意味で、警視庁におきましても、都庁あるいは私学協会、いろいろな方面と連絡をとりまして、その面につきまして適切な補導措置がとれるように協議会を催しております。その際には、日本の少年についてもいろいろな被害を受けておるという状況があるというような話も出ておりますために、その関係からそういう調査が行なわれたということであろうと思うのでございます。
  37. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 私は、ただいま質問いたしましたが、満足な御答弁がいただけませんし、刑事訴訟規則第百一条に基づく、検証の問題で、「配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹があるときは、これに通知しなければならない。」こういうことをしたかどうかわからないということでございますが、これは必ずすべきものであります。書類が残っているはずでございます。それの写しでもよろしゅうございますから、提示方を委員長のほうから重ねて関係当局のほうへ言っていただきたい。その上でまた質問いたしたいと思います。
  38. 猪俣浩三

    猪俣委員 最後にちょっと。いま法務省が見えられましたから、竹内局長にちょっと。これは大臣に申し上げたいと思いましたが、大臣はいませんし、私はちょっと時間があって行かなければなりませんから。と申しますのは、いま午前中警察当局質問いたしておりましたが、警視庁本庁並びに出先の警察署管内から、私のところに再三の電話刑事と思われるような者からありました。自分たちに渡される金額を何か上司がほかの方面に流用しておると思われる節がある。それは自分が払ったこともないところにこういう金を払ったという受け取りを持ってこいというて月五千円ぐらいになる、こういうのです。そしてそれをとっておる。何のためにとるのかわからぬ。おそらくそれは使いもせぬところに支払ったようにしておいて、その金をよそに回すんじゃなかろうか、こういうふうなことを、警視庁本庁刑事と思われる人間及び出先の警察署のまた刑事と思われる人間から深夜私のところに電話がかかってくるわけです。この件について質問いたしましたところ、さようなことはないという答弁であるが、各警察署刑事課長なるものがそれをやっているそうでありまするから、その刑事課長の帳簿を調べれば直ちにそれがわかる、そう言っているわけです。これは法務省としてもやはり特別に、警察庁は警察仲間であるいは十分なる捜査ができないかもしれませんから、法務省が検察庁は相談をして、これはやはり捜査していただきたいということを要望いたします。それに対するあなたの所見を承りたい。
  39. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 ただいまのお話は、この前の委員会でもちょっと伺ったわけでございますが、そのときも感じたことでございますが、これは刑事上の問題であるのか、経理上の予算執行の問題であるのかどうか、そこのところがもちろんわかりませんが、もし予算執行の当不当の問題でございますと、これは会計検査院関係でございますし、法務省を通じて検察庁から取り調べるようにという御要望でございますけれども、犯罪ということでございませんと、検察庁としては動き得ないわけでございまして、もしそれが犯罪であるということでありますれば、これはもちろん検察庁は当然調べる筋合いでございますが、はたしてそれが犯罪であるのか経理上の当不当の問題であるのか、その辺がはっきりいたしませんと何とも引き受けかねるわけでございます。
  40. 猪俣浩三

    猪俣委員 ですから、それがわれわれもわからぬわけです。犯罪になるのかならぬのかわからない、われわれ捜査権がないですから。そういう内部からは訴えがあるわけですから不審の嫌疑があると見なければならぬから、やはり警察とよく御相談の上それを明らかにしていただきたい。どうしても私は内部の声だと思うのです。  それから最後に一点お尋ねいたしますが、この産経新聞に東知事が当選したときの写真が出ているわけです。この東のすぐわきに東を抱きかかえるようにして当選祝賀のあいさつに顔を出しているこの人物の顔、名前を御存じでありますか。    〔写真を示す〕
  41. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 いまお示しの写真を私はよく存じませんので、調べたいと思います。
  42. 猪俣浩三

    猪俣委員 それでは名前を申しますと、これは小林正男という人物です。これは警視庁のお世話及び検察庁のお世話になったことがあるはずです。それでどういう人物であるか思い出しませんか。
  43. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 存じません。
  44. 猪俣浩三

    猪俣委員 過ぐる参議院選挙、この前の前になりますが、鮎川義介の選挙に関しまして、及び小西英雄氏の選挙に関しまして、総参謀みたいなことをやって、多額の金をばらまいて、この人物から金をもらったということで十数人の人が検挙せられた。この人物も検挙せられた。その十数人は全部刑に服しておるのに、この人物だけいま控訴している。第一審はもちろん有罪であります。公民権の停止である。そして控訴している人物であります。これが東が当選のあいさつをするときにすぐそのわきについておる。東氏を抱きかかえるようにして新聞に写っているわけです。これは大野伴睦の秘書と称している。これは警察が御存じないならば、一体この小林正男という人間が、はたしてそういう選挙違反をやっていま公民権停止中で控訴中の人物であるかどうかということを、これは法務省でお調べいただきたい。局長は小林正男という名前を聞いただけでわからないかな。
  45. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 いま御指摘の名前は私も聞いております。顔は、お目にかかったことはありませんので、写真を見ただけではわかりかねます。
  46. 猪俣浩三

    猪俣委員 名前を聞いておりますか。
  47. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 はい。事件関係調査いたしまして存じております。
  48. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはどういうことをやった人物ですか。その内容を知っておりますか。
  49. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 内容につきまして、私は詳しいことはわかっておりませんですが、いま御指摘の名前を聞かれると、聞いた名前だなという感じがいたします。
  50. 猪俣浩三

    猪俣委員 ああそうですか。まあ、あなたの耳にまで入るのだから相当人物だろうと思う。これの犯罪行為及び訴訟の進行状態について、次会までにお調べいただきたい、私ども警察にもそれを要望します。この人物が、東さんと川島さんと、それから池田総理と、都内を三回自動車に乗って街頭遊説をやられたそうですが、そのときの指導隊長はこの人物です。そういう事実があるわけです。私どもはこれが東さんにぴったりくっついているところに問題があると思って、この写真をお見せしたのですが、警察及び検察庁においても、こういう今度の日本始まって以来の最醜の選挙であったと言われる東京都知事選挙に対しまして、私はやはり神経過敏になって捜査していただきたい。その参考として、この写真を持ってきたのです。これは週刊サンケイにはもっと大きく出ている。週刊サンケイをちょうどきょうは持ってきませんが、これは内部から出た問題であります。東選挙を一生懸命やっている人間から、何としても私どもも国の前を考えて、これはがまんができないからといって訴えてまいっている。きょうは私はこの写真だけをお見せして、詳しいことは次のときにお尋ねしたいと思います。私たちは相当わかっていますが、ただ捜査中でもありますから、私は委員会であまりやらぬわけでありますが、これは法務省としても警察としても徹底的に捜査していただいて、あらゆるうみを出していただかぬと、日本民主政治などは破壊されます。これは強く要望いたしておきます。その所信のほどをちょっと言ってください。
  51. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 この決意につきましては、大臣も公の席でしばしば言明をされておりますとおり、厳正な態度捜査を徹底し、真相を明らかにしたい、これは私ども法務省態度はもちろん、警察当局も同じような考えで、ただいま捜査陣容もかなり大きなものにいたしまして、鋭意捜査をいたしております。いずれ真相が明らかになることと確信いたしております。
  52. 林博

    ○林委員長代理 田中織之進君。
  53. 田中織之進

    ○田中(織)委員 警察及び法務省刑事行政の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  問題は、きょう二回目の拘置期限が切れる狭山の女高生殺し事件の問題を主にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、前もって私の質問の立場を申し上げたいのでありますけれども、吉展ちゃんの誘拐事件といい、また狭山の善枝さん殺し事件といい、現在捜査がまだ低迷をしておるということについては、この事件の犯人が早くあがるということについては一億国民がひとしく願っておることでございまして、私もその一人にほかならないのであります。しかもこの両事件ともに、犯人検挙の端緒というものを警察当局は握っておりながら、それを逃がしたというところに、今日迷宮入りをしておる根本原因があるのでありまして、この問題はすでに先ほども猪俣委員からも指摘がありましたし、本会議、衆参両院を通じて問題になったことでございまして、捜査当局の手落ちの問題については、警察担当の国務大臣篠田君から十分遺憾の意も表明せられておるわけでありますが、しかし、いまだに犯人があがり真相が明確にならないという点は、私はやはり国会のそういう答弁によって責任が解除されるものではないという考え方の上に立っておるわけでございます。この点については冒頭に私の要望を申し上げますけれども捜査のいろいろな問題について、特に検察、警察の双方が謙虚な反省をした上に立って、あるいは国際刑事機構に対する協力を求める、特に吉展ちゃんの誘拐事件については、そういう異例のことも始められたようでありますけれども、そういうことも必要でありますけれども、私はやはり根本的にあなた方が、従来のどこに欠陥があったということの反省の上に立って真実を追及するという態度をとらない限り、国民の疑惑は一向除かれないし、その意味から見れば、警察及び検察当局に対する不信の念というものはますます加わるばかりだと思うので、その点の努力をまず冒頭に要請しておきたいと思います。  そこで、具体的な狭山の女高生殺しの事件の捜査の問題についてでございますが、きょうは二回目の拘置期間が過ぎるわけでありますが、この事件についてきのうは浦和地検から担当者が出てまいりまして高検とも打ち合わせをしたということがきょうの新聞に出されておるのでありますが、特に検察当局にも関係を持ちますけれども、現在容疑者として石川一雄について何らかの刑事上の処置がとられる、あるいはとり得る段階であるかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。
  54. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 石川容疑者に対しましての勾留期間が本日をもって満了する予定になっております。昨日来関係機関の間で協議が進められておるようでございますが、ただいまの時点で申し上げますと、まだ検察当局はその処分について最終的な結論を出していないようでございまして、どういうふうに処置をいたしますかはいまここで申し上げることができないわけでございます。この問題を考えます場合に、やはり厳密に証拠を検討して処置をすべきでございまして、訴訟法の線を逸脱しないように、検察官としては冷静に事案を見ていかなければならぬ、こういう考え方にいささかも変わりはないわけでございます。
  55. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これは十二日の毎日新聞の朝刊の十四面でございますが、ここに「浦和地松、最終態度を協議」という記事の終わりごろに石川について三つの場合、恐喝未遂で起訴する場合、窃盗、暴行で起訴する場合、それから釈放する場合の三つのケースを予定して、それぞれ記事が書いてあるのでありますが、恐喝未遂で起訴する場合におきましても、公訴の維持が困難であるということが書かれております。それから窃盗、暴行で起訴することは、本人の自供していることでありますしいたしますので、起訴は可能であろうと思うのであります。しかしながら、その場合には、現在明白になっている窃盗、暴行の容疑事件だけでは、すでに二十日間にわたって勾留をいたしたのでありますから、関係の弁護人から保釈の要請があればそれをこばむ理由はないだろう。こういうことで、この事件の捜査一つの大きな問題が出るのではないかということが書かれておる。それから釈放の場合のケースもあり得るということで、「恐喝未遂もダメ、窃盗暴行も起訴するには足りないとすれば石川は処分保留のまま釈放ということになる。いくら殺しの犯人だと本部がいっても物的証拠がなければ仕方がない。しかし、狭山署捜査本部員の中には石川を白という者は一人もいない。」こういう記事が、これは天下の毎日新聞が、もちろん観測記事ではありますけれども書いておるのであります。多くのマスコミの報道というものも、当初事件が起こって石川が逮捕された当時と違って、捜査が進むにつれて、だんだん石川には黒だというきめ手がないのではないかという報道が連日のようになされておるのでありますが、そういう関係から見て、まだきょうは最終日でありますので、検察庁の処分決定というものが慎重に考慮せられておる段階でありますが、捜査の現状から見ますならば、こういう新聞の報道せられるような状況にあるのかどうか、そういうことであるならば、早く石川の問題についての処置を検察当局がきめることによって、かりに釈放ということになりますならば、石川以外に真犯人があるのではないかという観点に立って、捜査を振り出しに戻すということも捜査当局がやらなければ、吉展ちゃん事件と同じような形で、じんぜん日を経過することになるのではないか。しかも、私はしろうとではありますけれども、単なる暴行と窃盗の容疑で逮捕いたした者につきまして、二回にわたって勾留期間を延長いたしました。それで最終段階でも、まだ多くの新聞が、処分保留のまま釈放せざるを得ないのではないか、物的証拠がつかまれない、こういう段階であるということになれば、この問題についての捜査方針というものを切りかえて、真犯人を求めるという方向に向いての警察当局、検察当局の努力というものが、ひとしく問題の早期解明を希望する国民の立場から言われておることではないかと思うのでありますが、その点についての御見解はいかがでありますか。
  56. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 石川一雄を逮捕いたしました理由は、いま申された以外は恐喝未遂を含んでおるのであります。そういう容疑をもって捜査いたしております。現在は検事勾留の期間中でございます。もちろん警察もこの捜査を継続しておりますから、現在の捜査段階の内容を申し上げることは不適当だと思うのであります。新聞等に書いてありますことに対して私がいまここで申しますことは、論評になるので差し控えさしていただきたいと思います。
  57. 田中織之進

    ○田中(織)委員 恐喝未遂の容疑が逮捕の理由になっておるということでありますが、新聞の報道というものは、やはり連日東京及び地方紙等の記者が何十人というほど狭山に詰めかけておるのであります。私は、きょうは捜査段階の問題についても重大な問題があるので質問をしておるのでありますが、やはり新聞の報道は、捜査当局からそういうことが出なければ、新聞記者が全く自分の憶測で記事をつくるわけにまいらないのであります。捜査本部のそのつど、そのつどの発表——ここに一番新しい週刊現代、これは六月二十日号を手元に持っておりますが、ここに引用しておるのも捜査本部のそのつどの発表なんです。ところがその発表が、次の発表の段階で前の発表がくずれていく、こういう経過をたどっておるのであります。私はやはり概括的にいって、捜査の段階だからそのことについてのなにが言えない、こういうことですが、問題は万一石川が白だというようなことになった場合には、あらためて捜査の線はやはり振り出しに戻ってやらなければならぬということになるのであります。また一つは、警察当局捜査には一つの予断を持ってやっておるという具体的な事実が出てまいりました。この点は先ほど猪俣委員が取り上げました朝鮮高校の生徒に対する計画的な暴行が行なわれておる。そういうことについて、むしろその対抗条件というような形で、警視庁と池袋署とが一緒になって、都下九十校の私立学校の校長先生を集めて、朝鮮高校の生徒が日本人の子供に暴行を加えたという事実がないかということの調査のために特別の集会を持っておるというようなことも、私はやはり朝鮮人の子弟と日本人の子弟との間に起こるこういう非行事件の問題について、警察当局一つの予断を持ってかかっておるという具体的なあらわれだというような感じを実は持つので、先ほどの質疑応答を注目をしておったのであります。残念ながら、大津保安局長の答弁では、その真相に触れられない。今度の捜査の問題につきましても、これは刑事局長法務省の竹内さん、両方からお答えいただきたいと思いますが、犯人の石川、それからその後になって逮捕されました東島、それから石田——もと働いておったという雇い主の石田、この三人はどういう立場の人であるかということをあなたたちは御存じですか。
  58. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 法務省の立場からお答えを申し上げますが、私はこの事件につきまして具体的な捜査の経過を、まだ結論を得ていないせいもありますが、何ら現地から報告をいただいておりませんので、私も非常に関心を持っておりますけれども、ここで責任を持ってお答えするような資料は何にも私は持っておらないのでございます。しかしながら、抽象的に申し上げるならば、この種の捜査というものは、私も経験がございますが、非常にむずかしいのでございまして、証拠の採否等につきましてはあくまで法律家として冷静な立場でやらなければならぬというふうに私自身考えておるのでございます。もちろん検察当局におきましても冷静にこの問題の真相をきわめるように努力をしておると思います。本日は最終日でございますので、いずれ結論が出れば私のほうにも正式に報告があると思います。私の考えを申し上げますと一そういう考えであります。
  59. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでは、私、手元に持ってきていないのですが、五月二十六日の埼玉新聞をごらんになったことがありますか。本件記事は、これは別に問題になっておる記事であります。警察庁の刑事局長、いかがですか。
  60. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 私は見ておりません。
  61. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この五月二十六日の埼玉新聞、地元の一番大きな新聞でありますが、石川らの——そのときはまだ石川だけでありますけれども、二十五、二十六と二日間にわたっておるようでありますが、石川の住んでおる地区はいわゆる特殊地帯だ、そこでは近親結婚が多いし、いわゆる問題児も非常に多いところだ、そういう立場で相当の紙面をさいて、よってもって石川は犯人だときめてかかっておる。それはそういう環境からきておるんだ、こういう記事を書いておるのであります。あなたたちは狭山署の捜査本部から何かこの捜査範囲の問題等について、特定のそういう地域を限って捜査するというようなことについての一つの方針を打ち立てられているやに私どもは見受けるのでありまするが、そういう事実はございませんか。
  62. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 われわれはあくまでも証拠に基づいて捜査をいたしているのでございます。何も偏見、予断を持って捜査をしていることはございません。
  63. 田中織之進

    ○田中(織)委員 残念ながら、この石川君はいわゆる未解放部落の出身なんです。もとは菅原町といって百戸ばかりの未解放部落だったのです。現在は入間川町四丁目ということになって、戸数は四百五十戸ばかりになって、いわゆる未解放部落以外の人たちも駅に近い関係もありまして入り込んできているのです。ところがたまたま二十五日、二十六日の埼玉新聞には、もうすでにいわゆる特殊部落、別名菅原町という問題の記事が出てきている。そして昨日部落解放同盟の地方委員会の決定に基づきまして狭山署にも抗議に行っております。同時に埼玉新聞にも抗議に行っておるのでありますが、埼玉新聞のほうでは、その記事は共同通信社から送ってもらった。しかも共同通信の記者は、警察からとにかくここは特殊な地域だということを聞いた、こういうことになっておるのです。おそらく入間川町四丁目に住んでいる人たちも、現在住みつくまではそういう地区だというようなこと、かって菅原町といわれたというようなことを知らない人がおるにもかかわらず、警察官がだれであるかということは私どもはいま調べておりますけれども、やはりここはこういう地区だ、こういうことであなたたちが調べておる、こういう疑いがきわめて濃厚なんです。  さらに石川の友人であるという東島が石川から二週間も経過して逮捕せられておるのでありますが、石川を逮捕に踏み切るまでには石川の住んでおる柏原という地区を約一週間にわたって警察が包囲をしておる。それに報道班が入ってほとんど外界との交通が遮断されたような形で、これはもちろん聞き込みだとかそういうことでありますけれども、あなたたちがやられているという事実があるのですが、そういうことについてはお聞きになっていませんか。
  64. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 昨日狭山署にいま申されたようなお話があったことは承知いたしております。しかしながら、われわれはそういう問題を前提として捜査をしているのではなくて、あくまでも事実に基づいて捜査をしておりますので、その趣旨を御回答申し上げたということであります。  それから新聞報道につきまして、もちろん新聞の報道の内容には捜査本部の発表もあることは当然であります。しかしながら、すべて警察の発表の記事のみではございませんので、われわれはそれらのものについて論評を差し控えたい、こう存ずるのであります。警察はあらゆる捜査をいたしておりますが、そういう報道関係の報道については、私どもは目下捜査中でもあり具体的に承知いたしておりませんのでお答えいたしかねます。
  65. 田中織之進

    ○田中(織)委員 東島については、友人関係があるので任意でいろいろな事情を聞きたい、しかし、なかなか任意出頭して話をしてもらうことができないので、これを逮捕に踏み切ったということについては、強引だということをやはり警察当局自体が言っておるきらいがないでもないというようなことも言っておるのであります。この週刊現代によりますると、友人が逮捕されたということになれば石川に動揺を与えるだろう、こういう心理的な効果もねらってやったんだというような記事も書かれておるのでありますが、たとえば単独犯行であるか、共犯であるかというようなことも捜査の秘密に属する問題だと思うのでございますけれども、やはり単なる石川が自供しておる盗みや暴行の問題の容疑だけではないように新聞報道等があるにはある。恐喝未遂事件については東島についてもあなたたちはその容疑をもって逮捕しておる、こういうことが言われるのでありますか。
  66. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 本件につきましては、各新聞とも埼玉県警本部長の談話を出しておりまます。その談話は大体本部長の趣旨を伝えておるところと思います。それは捜査の過程におきまして、ある程度の犯罪事実をつかまえ、警察側が承知し、なお石川の糾明に必要ありと思って逮捕いたしたのであります。捜査の過程において、現在どういうものがあるかということは、現在差し控えさせていただきたいと思います。
  67. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでは特に石川について、あと重要な二、三点聞きたいと思うのでありますが、石川を教えた学校の先生方は、石川は問題児だ、極端なことばで言えば、精薄児とまでいかないまでも、ややそれに近いところの子供であったということを言っておるのでありますが、あなたたちはそのことを念頭に入れて取り調べに当たっておりますか。
  68. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 直接犯罪に関係のない、つまり状況証拠等も私どもはいろいろ捜査の段階における基礎資料として調べております。しかしながら、だれがどう言ったということを申しますことは、捜査の問題であると同時に、これはやはり本人の名誉の問題があるかと思いますので、これもまたしばらくそういう重要な問題につきましては、いま答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  69. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それぞれ週刊誌等には具体的に名前が出ておるのです。「週刊現代」によると、小学校六年時代の石川を担任した高田和子先生、現在兵庫県の芦屋市打出親王塚におられるようですが、問題児であると言っておる。それから別の報道によりますと、やはり精薄児に近いということが言われておるのです。これはやはりあなたたちがこの事実を、学校の先生たちのことばをお聞きになって、取り調べに当たって、私は考えなければならない重要な問題だと思うのですが、石川が黒だということの一つの動かしがたい証拠として、あなたたちが筆跡をあげておる。ところが、小学校の六年生程度の知能であって漢字は知らない。そこで石川が逮捕される前日、前々日に、名前もわかっておりまするが、狭山署の今泉という刑事が石川の家へたずねてまいりまして、どういう意図かわかりませんが、ビニールの袋に筆跡を見るために字を書かせた。犯罪の証拠にあがっている脅迫状というものは横書きです。これはじょうずな字を書く者がわざとへたな字を書いたというようなこともえ考られますので、いろいろな形で字を書かした。これは逮捕されてからあとであなたたちがやられるということでありますなら、これは捜査上の許されたことだと思うのです。逮捕される前に、二十一日、二十二日の二日間、今泉刑事なる者が来まして、これにビニールの袋に字を書かして、これはこういうふうに書いてみないかというような形で、いわば証拠になるような形の筆跡についてのあらゆる角度からのものを書かせたということを家人が申しておる。私は、そういう点からみると、この場合の、いわゆる脅迫状に出ている「刑札」なんというものは、全く当て字なんですね。それだからやはり取り調べにあたっては、本人が任意で書くものの中から、証拠になっているものとの間の筆跡の対照をやるというようなことをやらなければ、警察官が自宅へ参って、もちろん家人が知っておるくらいでありまするから、しかもビニール封筒というようなものに字を書かせるというような形ものは、あなたたちはそれ以外の聞き込みなり状況捜査で、これは犯人だという一つのねらいをつけて、逮捕までの間にできる最大限度のことをやったんだと思うのですが、そういうことをやったということは、上には上がってきていませんか、いかがですか。
  70. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 任意捜査の段階におきまして、石川の筆跡等を集めたことは承知いたしておりますが、あくまでもこれは具体的にわれわれのところに、いつどこでというような報告は上がっておりません。ただ、あくまでも任意捜査の手段として筆跡を集めたことは、私ども承知いたしております。
  71. 田中織之進

    ○田中(織)委員 任意捜査の段階でありまするけれども、ビニールの封筒なんというものは、よほど達筆な者でもなかなか書きにくいものなんです。そういうようなことをやるというところに——私は、これは白黒の問題は捜査当局の判断にまつつもりでおります。一つは精薄児であるということ、筆跡を求めるという点についても、私は書道の相当な権威にももちろん新聞に出ている写真からの判定の問題でありまするけれども、これは石川の書いたものとは違うという結論も出てくる。あなたたちの筆跡鑑定のそういう権威づけというものも、警察部内だけで、まだ第三者の筆跡鑑定というようなものもないのであります。しかも任意捜査とは言いながら、ビニールの封筒に書かせるというような形、しかも本人の任意のものの中から真実を発見するということではなくて、こういうように書いてみろ、ああいうように書いてみろというような形を持っていって、これが筆跡に似ているというような、まさか警察の筆跡鑑定の人間を私はしろうと扱いはしませんけれども、あなたたちはやっているというような事実を家族から聞くところによるというと、新聞が書いているように、石川が白ではないかということを、少なくとも黒だということを言う者が捜査員の中にはおらないというまでの極端な毎日の報道がなされているという段階において、やはり捜査現実においてそういうことがやられているという点をあなたたちはお調べにならなければいかぬと思う。  もう一つの問題は、大きな証拠としてあがっているのは、いわゆる金を受け取りに来たときでありますか、脅迫文を届けに来たときでありますか、足跡なんですね。それは地下たびの足あとであって、たびは、最初の新聞の報道によると十一文だということが報道せられておるのでありまするが、一体その足跡の点については、現在の段階において、あなたたちは確証を持つ段階にまで進んできておるのか。なぜこれを聞くかというと、石川のうちから引きあげた地下たびというもの、これは小さい土建関係仕事をやっているわけでありますから、ことに石川君のおとうさんなりおにいさんというのは地下たびをはかれるから、その地下たびを引きあげられているのは、たしか九文七分だというふうに聞いている。これはおとうさんの足もにいさんの足もそうだ。本人は十文半なんですね。しかもその石川の性格、これは家人からの話でありますが、本人は地下たびをはいたことがないというのですね。長ぐつだ、こういう。石川のうちからあなた方が地下たびを証拠に類するものだということで引きあげられておるのでありまするが、それは石川の文数と違うということが、これもすでに今日までの過程で新聞等に出ておるのでありまするが、その点について、石川が地下たびをはいたことがないということは、おそらく警察でも申し立てておるのではないか。家人の言を信用いたしますならばそういうことになるのでありますが、一番有力な証拠だという地下たびの問題について、そういう問題があるということをお聞きになっていますか、どうですか。
  72. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 第一点の問題でございますが、警察官が指導して書面を書かしたといううわさは私のほうにも、これはうわさでございますが聞きましたので、その事実は確認しましたけれども、さようなことはないという回答を得ております。  第二点の足跡の問題でございますが、筆跡並びに足跡は、これは何と申しましても証拠でございます。また検察庁のほうにおきましても、いま申されましたように処分決定前におきまして、同じ捜査に当たっておりますわれわれから、その価値判断というものに触れる点を申し上げることは、あくまでもこれは不適当だと思います。お答えできないわけであります。
  73. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は冒頭にお断わりしているように、この善枝ちゃん事件の殺しの真犯人が一日も早くということを願う立場にあるので、捜査の機密については私も聞こうとはいたしません。しかし、私どもがキャッチしている関係から、一番有力な証拠だ、もちろん確かに証拠には違いないと思うのです  そういう点から見て、やはり最初の単独犯行ではない、共犯があるんじゃないか。第一石川の文数が合わぬ、こういうようなことから、あとの東島であるとか、あるいは石田であるとかいう者の逮捕に踏み切られたのではないかというようなことも、しろうとなりに判断ができるのでありまするけれども、その後やはり証拠と、引きあげられた石川のうちにあった地下たびとの間の問題においても、やはり食い違いがある。そういう点と、もう一つ伺いますけれども、ポリグラフでありますか、それは一回はかけてかなり白の心証を得るような結果が出ているというような概括的な発表ですが、二回目はかけたということはなかなか警察は発表にならなかったけれども、二回目をかけたのであります。二回目の関係のことについて、二回目がどうであったかということについては、警察は口を緘して語らない。また常識的に言うならば、私が最初に伺いました精薄児に近いような知能程度の関係であるというようなことになりますと、いわば俗に言ううそ発見器というものを二回もかけられても、また長期にわたる勾留の取り調べの中でも、本人が頑強に事実を述べないというような点から見て、一般にどうも石川が真犯人ではないのではないか、真犯人がこういうような関係で別におって、ひそかにやはり警察当局の不手ぎわをあざ笑っているのではないか、こういうように極論する者も、これは単にこの地域の人たちが関心を持っているだけの問題ではなくて、一般的にもやはりそういうことが言われるのではないか、こういう点があるのでありまするが、二回目にポリグラフをかけた結果が、それは内容については私は聞こうとは思いませんけれども、やはりポリグラフをかけるあなたたちの捜査上の目的に合致したものであるのかどうか、その点はいかがですか。
  74. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 これもやはり捜査の資料の問題でございますが、田中先生の申されるように、先生の御意図も捜査に御協力をいただくということでございますが、ポリグラフをかけましたことは事実でございますが、ポリグラフの解読の内容ということにつきましては、一回も正式に発表したことはございません。
  75. 田中織之進

    ○田中(織)委員 すべて捜査中だということでありますから、一日も早くあなたたちが現在拘束中の容疑者についての調べをはっきり結末をつける、そして身柄は同時に人権の問題にも響いてくるわけです。取り調べの内容は暴行、窃盗と恐喝未遂で調べているけれども、恐喝事件というものは同時に殺人事件に直結するものでありますから、その関係で殺人事件の調査に勢い入っておるという点はわからないではありませんけれども、すでに勾留だけでもきょうで二十日間という長期の勾留が切れるわけでありますから、この点については捜査当局なり検察当局が、最終日のきょう、あらゆるいままでの調べの結果を十分に検討してやらなければ、あと新しい人権問題として発展してくるということをあなたたちが考慮に置かなければならないのではないか。それと同時に、残念ながらこの三人の問題、ことに東島の逮捕に踏み切るまでの間に一週間にわたって部落の外界との交通が遮断されて、警察がほとんど軒並みに立ち並んで、それに報道班が入って、全く昔の未開地の首狩りのような形であなたたちがやっている。それは証拠があってあなたたちがねらいをつけておる問題でありますから、東島の問題については、その後の調べの状況というようなものも、もちろん石川が自共しておる窃盗事件等に対する共犯者であるというそれ以外のものは、もちろんマスコミの観測記事によりましても全然出てこないというところに、東島を逮捕したということについても、あなたたちの第一回の勾留の中にその後の処置をどうするか。それからもう一つは、石田は逮捕状の四十八時間で釈放するということで、釈放できるのではないかということを狭山の署長が発表いたした談話が新聞に報道されておりますが、それもやはり東島と同じように十間の拘置請求が認められて現在なにしている。石田の問題については、その点で石川君に対する容疑のようなものが、これは全然警察がそういうことを内報していないので新聞記者諸君が取材できないのだといえばそれまでかもしれませんけれども、そういうところにねらいをあなたたちがつけてあとから逮捕した。東島、石田いずれも未解放部落の出身者でありますけれども、そういうところにもたまたま埼玉新聞の記事と相まって、警察一つの予断をもって未解放部落は犯罪の温床である、こういうような考え方の上でやっている、こういう疑いを私らはきわめて濃厚に持っておるのであります。私らは私らの立場で調査を進めておりますが、最後にもう一点伺います。  この取り調べに清水という警部が参加しておりませんか。これは御承知だと思うのですが、本庄における二重逮捕事件、逮捕したあとで半年たって真犯人があらわれてきたという事件です。その意味から見れば腕ききかもしれませんけれども、かって国会でも問題になった本庄の二重逮捕事件の関係警察官であります。それがやはり今度の事件にも参画をしておる。こういうことから見て、やはりとかくの風評が流れておるのでありますが、その点はいかがですか。
  76. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 個々の捜査員がだれが当たっているかということは私存じませんけれども、本件事案はきわめて重大な事件でございますから、捜査本部を設けて中刑事部長が総括的な指揮に当たっておるというのが現状であります。したがって、その中の個々の構成員につきましては、私存じません。
  77. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この問題は、あなたは御存じないのは無理からぬと思うのであります。しかし、もし清水警部というのが参加しているということであれば、これはやはり本庄事件の二重逮捕でみそをつけた人であります。そういうような関係者はできるだけ参加させるべきではないということが一つ。それからもう一つの問題といたしましては、狭山署は、こういうような事件は今度が初めてでございましょう。県下各方面から応援にかけつけた人たち、捜査員についての休養交代の問題等についても配慮せられておるようでありますけれども、やはり県下から狭山の事情を知らない人たちが集まってきているという寄り合い世帯の捜査本部という点から見て、はたして真実をつかめるというような捜査ができるかどうかというようなこと、いわばあなたたちの内部の人たちからも、捜査本部捜査態勢というものについても考えなければならぬのではないかという意見が出てきておるのは、私どもの耳にも入っておるわけです。私は、そういう点も戒心されまして、特に容疑者がたまたまそういう気の毒な状態に置かれておる地域にあったという点は、非常に不幸なことであり残念なことだと思うのであります。私は何かそういうところに犯人がおるのではないかというような予断の問題、その後いろいろ出てまいりまする、たとえば善枝さんの教科書が一くわ一くわ麦畑を堀り返して探したのに、そのときには出てこなくて、四、五日後にやはり麦畑から出てきたというような事実の問題、あるいは当日どうも石川らしい者がもう一人の男と付近で立っていたことが一週間も十日もたってとにかくそれを証言する婦人があらわれた、あるいはきのう臨時ニュースか何かでやっておりましたけれども、善枝さんのねえさんが脅迫で金を受け取りに来て逃がしたときの声が石川君の声によく似ていると思うというようなこと、こういうようなことは、石川君が逮捕された直後からわかり切っている問題が、きよう最終日ということで本人の身柄がどうなるかという重大な段階に、これは警察関係から発表されたのか、その放送がそういうことで取り上げたのか——私は、こういうことはやはりいろいろな情報がなければなりません。実は吉展ちゃん事件のことついて、あのときの犯人の声が録音で放送されておるのを私の友人が聞きまして、それは、その私の友人の取引先の人間に非常によく似ているということで、やつがラジオにまで出るようになったかというようなことを言うから、何を言っているんだ、あれは吉展ちゃん事件のなにだ、こういうことでさっそく警視庁に連絡しました。ところが、何らお調べにならないので、それは刑事局長、あなた御自身私の秘書からの連絡で調べたら、その同一人に対しては別にそういう情報連絡がありまして、都内ではございませんが、あなたたちも出かけて調べたけれども、そうではありません何の気ねしにそのラジオの放送を聞いて、やつの声じゃないかという、私はこういう直観こそしろうと流に言えば信憑性が持てる。ところが、それを警視庁に連絡したけれども一日か二日連絡はなくて、重ねてそれはどうなったのかということであなたたちのほうがなにをやったというような事実もあるわけでありますから、私はそういう点については、この重大な段階にこれ以上の身柄拘束ということになりますると、起訴という処置がとられないままに拘束をされるということになれば、私は重大な人権問題に発展すると思います。この点については最初にも申し上げたように、いままでの捜査の過程でいろいろ出ておるものについて、冷静な形に立ちまして総合判断をされてこの問題からもし石川君でないという心証が得られれば、真犯人を求めるように捜査体制を切りかえるということに向いて進まない限りは、事件の真相というものは明確にならないようにしろうと的な判断をいたしますので、特にきょうこの問題を取り上げたわけでありますから、どうかひとつそういう観点に立って捜査を進めていただきたい。
  78. 林博

    ○林委員長代理 志賀義雄君。
  79. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 委員長に伺いますが、法務大臣は出席できますか。
  80. 林博

    ○林委員長代理 内閣委員会に出席しておりまして、出席できないそうです。
  81. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 この前もそうですけれども、私が質問を出していたのがどうもできないので、はなはだ残念ですから、この次に、よく委員長は確認して、高橋委員長は少しのんきな方ですから、あなたからよく言っておいていただきたいと思います。  それでいまの関係で一点だけ伺います。田中委員も申しましたとおり、きょうが期限になっておりますから……。石川青年の弁護人である中田、橋本両弁護士が浦和地検並びに捜査当局に抗議した上で新聞記者会見をやっております。その項目の一つ、四項目の第三に、石川君を調べるにあたって、警察当局は、これは弁護士だと言って刑事部屋で二人だけを会わせたことがある。本人はその人を頼んだ覚えもない。はたしてこれが弁護士であるかどうか、ひとつお調べ願えますか。それともいままでお調べになったことがありますか。
  82. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 さようなことを申されたということを私は聞いておりますが、そういう事実が、いままでの報告におきましては、何の事実であるか見当がつかないというのが、われわれのほうにきておる報告でございます。
  83. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 本人がさように申しているというのです。ですから、これは特に法務委員会でも取り上げますから、ひとつ何の意味かわからないというのでなくて、本人にもそういう点をお聞きになっていただきたい、これを申しておきます。  それから先日、人権擁護局長が病気でお休みになったときに、法務大臣と刑事局長とにお願いしておきましたが、神戸の市バスの若林栄子という車掌の娘さんが五百円を持っておったというので、これは自分の金ですが、これを非常に疑われて、遺書を残して翌朝早く飛び込み自殺をしておるのですが、これについてお調べいただいただろうと思うけれども、本会議が始まりますから、ごく簡単に……。
  84. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 いまの志賀委員からの御質問の点ですが、まだ調査が全部完了しておりません。もう少しお待ち願いたいと思います。ですから、いままで私どものわかっておりますごく概略でありまして……。
  85. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それではよろしいです。はっきりしたところを……。
  86. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 それではもう少しお待ち願いたいと思います。
  87. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 一つの例をとってみますと、大阪市の経営するバスで、こういう金銭上の何かの間違いを、これをチャージと申すそうでありますが、これの起こるのが年々数千円程度だそうであります。ところが、これを検査する指導員という人、それからその設備、これは普通検査と特別検査があります。特別検査は赤玉というのだそうでありますが、これは裸にしてふろ場に入れて、その留守に持ちものを調べたりするのだそうであります。そういうことの施設にかかる費用が、何と数千円の一万倍だということが最近の新聞に出ておりました。私自身が一昨々日調べたところによりますと、大阪市交通労働組合のバス従業員のほうの調べでは、これが一億数千万円の設備及び人件費だそうであります。こういう不合理なことが行なわれておるのであります。それでいま団体交渉で、服装検査規程というものを当局は出してこようとしてきております。ところが、現金を取り扱う者は単にバスの車掌さんだけではありません。そのほかにもたくさんあります。俗にレジなんといわれておるデパートその他の売り場関係の者にもたくさんありますのに、なぜこんなに市バスなんかについてだけ、あるいは電車の車掌なんかについてだけ、特別にこういうことができる何か法的の根拠があるのですか。そういう点もあわせて調べていただかないと、調査が一般的なことに終わりまして要点にはまらないのですが、その点はいかがでございますか。
  88. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 実は、私のほうも過去に四回ほどそういう事例がございまして、そのつどやはり相当遺憾に思いましたので、われわれのほうでできる範囲の処置をしております。したがって、今度の神戸事件につきましても、私どもは強い関心を持っております。いま志賀委員からお話のありました法的根拠、それからかりに法的根拠がありましても、それが一体合法で行なわれることが妥当かどうか、それからかりに個人が承諾した場合でも、その承諾の限界というものがあるはずではないかというような点もあわせて目下検討中でございます。
  89. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 刑事訴訟規則におきましても、身体検査令状には検査要件その他のことまで出ておりまして非常に厳重に規定しております。今度の事件についても、飛び込み自殺をした現場に灘署の警察署長も参りまして、どうしてこういうことになったのかということで、そこで問題になったそうです。そのときに灘の警察署長が、法的には検査令状をもってやる場合人の身体を検査し得るが、そういうことに当たり得る警察官でさえ、それはむちゃということを四回繰り返して言ったそうであります。めちゃくちゃな捜査をやっておるのですね。御承知のとおり、身体検査令状というものは非常に厳重なものです。それをそういう治安関係の人でない者がこういう服装検査をやる、それから所持品の検査をやり、そして不法な取り調べをやり、四時間余りにわたって、朝九時に飯を食って、午後二時に上がって、これを飯を食わせないで午後七時半まで、女が一人男が三人、密室に入れて調べておるのであります。しかも同僚が見かねて立ち会いさせろと言ったときに、検査員の一人、指導員の一人が暴言を吐いているという、もう実にめちゃくちゃな事件であります。こういう点について、あなたはこの前欠席されましたので、法務大臣と刑事局長にはよくその間の事情を申しておりましたから、ただいまのようなことでございますから、お調べになると思いますが、この前お調べいただいたときも、結局実効がないような結果になっております。大阪市の巽営業所という市のバスの営業所の問題であります。こういう点で非常に大きい問題になっております。とにかくなぜ市バスとか電車の車掌なんかの現金を取り扱う者に限って、こんなめちゃくちゃな身体検査をやるのか。たかが五百円の金のことであたら一人の命を、しかも婚約者のある娘さんがはずかしめを受けて自殺しなければならない、こういうことになっております。そういう点であなたのほうでは一体向こうの調査をお待ちになっているのか、それとも、これまでも私から請求した場合にはわざわざこちらからお出かけになったこともたびたびございます。もっとも、この間問題になりました徳島のラジオ商殺しの場合は、残念ながら人権擁護局の本局から行った人と地元で調べた人が左遷されております。これは猪俣委員がやった事件であります。そういうこともありますが、そういうことにおそれずにこちらから調査官をお出しになりますかどうか、そのくらいの意気込みがおありかどうか、そこまで伺っておきたいと思います。
  90. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 実は四、五日前に調査課長が参りまして、現場で問題点を指示してまいってきております。  もう一つお願いしておきたいのですが、調査が完了して固まってしまうと、そのやり直しがなかなかむずかしい。したがって、もし志賀さんのほうにいい参考資料がございましたら、さっそくこの際お貸し願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  91. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ここに本人が同僚に出した書き置きその他がございます。そういうものをここで出したいと思いますが、よろしゅうございますか。——じゃ、その上で調査の結果を……。
  92. 稻川龍雄

    ○稻川政府委員 承知いたしました。
  93. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それではきょうはこれだけにしておきます。
  94. 林博

    ○林委員長代理 次会は明十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時四十三分散会