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1963-03-19 第43回国会 衆議院 法務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十九日(火曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 高橋英吉君    理事 唐澤 俊樹君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 林   博君    理事 牧野 寛索君 理事 坪野 米男君       上村千一郎君    小川 半次君       小金 義照君    竹山祐太郎君       千葉 三郎君    松本 一郎君       猪俣 浩三君    田中幾三郎君       志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中垣 國男君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備局         長)      三輪 良雄君         法務政務次官  野本 品吉君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 津田  實君         検     事         (民事局長)  平賀 健太君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         公安調査庁長官 齋藤 三郎君  委員外出席者         最高裁判所事務         総長      下村 三郎君         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      桑原 正憲君         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局第         一課長)    長井  澄君         判     事         (最高裁判所事         務総局民事局         長)      仁分百合人君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 三月十五日  商業登記法案内閣提出第一四六号)(予) 同月十八日  裁判制度の改善及び裁判力強化に関する請願(  井出一太郎君紹介)(第二五二五号)は本委員  会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  商法改正法律施行法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二一号)(参議院送付)  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二二号)  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第一四三号)  (予)  商業登記法案内閣提出第一四六号)(予)  裁判所司法行政に関する件  検察行政に関する件      ————◇—————
  2. 高橋英吉

    高橋委員長 これより会議を開きます。  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案及び商業登記法案一括議題とし、順次提案理由説明を聴取することにいたします。野本政務次官
  3. 野本品吉

    野本政府委員 下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨説明いたします。  この法律案は、最近における市町村廃置分合等に伴い、簡易裁判所名称及び管轄区域変更する等下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律に所要の改正を行なおうとするものでありまして、以下今回の改正要点を申し上げます。  第一は、簡易裁判所名称変更であります。すなわち、簡易裁判所名称は、その所在地市町村名称を冠するのを原則としておりますので、山梨県東山梨日下部町ほか六町村を廃し、その区域をもって山梨市を置く処分に伴い、日下部簡易裁判所名称山梨簡易裁判所に、富山県西礪波郡石動町ほか一町を廃し、その区域をもって小矢部市を置く処分に伴い、石動簡易裁判所名称小矢部簡易裁判所変更しようとするものでありまして、いずれも地元住民希望を考慮したものであります。  第二は、簡易裁判所管轄区域変更であります。すなわち、土地の状況、交通の利便等にかんがみ、春日井簡易裁判所管轄に属する名古屋市守山区の区域名古屋簡易裁判所管轄区域とするほか、四簡易裁判所管轄区域変更しようとするものでありまして、これらの管轄区域変更は、いずれも地元住民希望を考慮するとともに、関係機関の意見をも十分参酌したものであります。  第三は、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律別表整理でありまして、市町村廃置分合名称変更等に伴い、同法の別表第四表及び第五表について当然必要とされる整理を行なおうとするものであります。  以上が下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。  次に、商業登記法案につきまして、提案理由説明いたします。  この法律案は、商業登記制度の運用の実際にかんがみ、登記申請人利便をはかるとともに商業登記事務簡素化に資するため、商業登記手続を合理化し、あわせて現行規定の不備を補うため、商業登記に関する規定を非訟事件手続法から分離し、独立の法律として規定を整備しようとするものであります。  次に、この法律案において、現行規定を改めることとした主要点を申し上げます。  第一に、一般的な事項として、受附帳、申請書等の受領証及び登記順序に関する規定を設け、登記申請却下事由を個別的に列挙して、手続を明確にし、また、登記事項につき無効または取り消しの原因がある場合でも、これを争うことができなくなったときは、登記をすることができるものとして、実体関係と合致する登記ができるようにいたしました。  第二に、商号登記について、登記事項を法定し、その変更等の場合における手続規定を設けて、手続を明確にし、また、営業の譲受人譲渡人の債務について責に任じない旨の登記申請人譲受人として、手続簡素化し、さらに、会社本店を移転しようとする場合における商号の仮登記制度を設けて、本店移転登記円滑化をはかることといたしました。  第三に、未成年者登記及び後見人の登記について、登記事項を法定し、その変更等の場合における手続規定を設けるとともに、申請書添付書面に関する規定を整備して、手続明確化をはかることといたしました。  第四に、支配人登記について、登記事項を法定し、その変更等の場合における手続規定を設けるとともに、申請書添付書面に関する規定を整備して、手続を明確にし、また、会社支配人登記は、会社登記簿にするものとして、一般閲覧者の便宜をはかることといたしました。  第五に、会社登記について、会社登記申請は、原則として会社代表者がするものとし、会社支店所在地においてする登記申請については、当事者の出頭及び印鑑の提出を要しないものとして、それぞれ手続簡素化し、また、会社本店を移転した場合において新所在地においてする登記は、旧所在地管轄する登記所を経由し、旧所在地においてする登記と同時に申請するものとし、会社合併した場合における消滅会社本店所在地においてする合併による解散登記は、存続会社または新設会社本店所在地管轄する登記所を経由し、合併による変更または設立登記と同時に申請するものとし、さらに会社組織変更による設立登記解散登記も、これと同時に申請するものとして、これらの登記手続を合理化し、なお、会社変更登記及び外国会社登記申請書添付書面に関する規定を整備して、手続明確化をはかることといたしました。  第六に、登記抹消について、登記抹消事由を個別的に列挙して、手続明確化をはかることといたしました。  以上がこの法律案において現行規定を改めることとした主要な点でありますが、その他の点におきましては、おおむね現行制度をそのまま踏襲いたしております。何とぞ慎重審議の上、すみやかに可決されますようお願いいたします。
  4. 高橋英吉

    高橋委員長 以上で両案に対する提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑次会に行なうことといたします。      ————◇—————
  5. 高橋英吉

    高橋委員長 次に、商法改正法律施行法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑通告がありますので、これを許します。上村千一郎
  6. 上村千一郎

    上村委員 この法案につきまして、要点の二、三についてお尋ねを申し上げたいと思います。  まず第一に、北九州市の誕生は二月十日に門司若松小倉八幡戸畑の五市が合併されてでき上がった。なお指定都市になったのが本年の四月一日からというふうに承っておいていいか、冒頭においてお尋ねをしておきたいと思います。
  7. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せ通りでございます。
  8. 上村千一郎

    上村委員 それではそれを前提としてお尋ねいたします。そういたしますと、指定都市に関連する政令というものは公布されておるのかどうか、もし公布されておるとすれば、それはいつ公布されておるのか。なお、区を設置する条例はどういうふうになっているか、その点を一お尋ねいたします。
  9. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せ政令は本年一月二十八日政令第十号をもちまして、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市指定に関する政令の一部を改正する政令ということで公布されておりまして、その施行は付則でもって昭和三十八年四月一日から施行するということに相なっております。  それからこの北九州市の中に区を設けることにつきましては、これは北九州市の条例をもって定めることになっておりますが、その条例が制定されたことは私どもまだ承知いたしておりませんが、これは地方自治法規定によりまして、今月じゅうに必ず条例が制定されることと期待いたしております。
  10. 上村千一郎

    上村委員 ただいま御説明のように、地方自治法の二百五十二条の二十で区を設置する条例を設けるということに相なっておるかと思うのであります。そういたしますと、北九州市の条例の制定と本案の成立とよく連絡をつけて、時間的な配慮というものがなされておらないとまちまちになるわけでございますので、この点十分な配慮をされておるのかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  11. 平賀健太

    平賀政府委員 この点につきましては、地方自治法の第二百五十二条の十九に基づきます指定が本年の四月一日から効力を生ずることに相なっているわけでございますので、それまでに区を定める条例が制定され、それから区長の任命も必ずあると思うわけでございます。ただいま御審議を願っておりますこの法律も、四月一日から施行するということに相なっておりますので、その点につきましては支障を生することはないと考えております。
  12. 上村千一郎

    上村委員 次に、北九州市が二月十日から発足をいたしておるということになりますと、新しい商業登記というものは、もうその日以後、法務局支局あるいは出張所申請をされておられるだろうと思います。この際、本案が成立するというのは、もはや二月十日よりもずっとおくれておることは物理的に明白でございます。そういたしますと、同一商号などの申請受理という問題について市内の登記所間でどういう配慮をされているか、これは商法第十九条の規定などともにらみ合わせまして、現実にいろいろと問題を将来に残していくわけです。だから、この間どういう行政指導をしておられるのか、この点についてお尋ねしておきかいと思います。
  13. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せ通りに、二月十日に五市の合併が成立いかしまして、区政施行されますのは四月一日でございますので、約五十日間北九州市という膨大な市ができて、その中に区がないという状態が出てくるわけでございます。そういう関係で、たとえば商法の第十九条の適用の関係におきましては、北九州市全体を単位にしまして、同一または類似商号の届け出ができないという解釈に当然なってくるわけであります。他方登記所管轄を申し上げますと、小倉には福岡法務局小倉支局がありまして、他の四市にはそれぞれ出張所が分かれておるわけでありますが、商号関係におきましては、この支局それから四出張所相互連絡いたしまして、類似商号登記がされることのないように配慮しなければならぬわけでございます。そういう関係で、私どもの方におきましては、商号登記が問題となる事件が生じました場合におきましては、相互連絡をして同一または類似商号登記については登記されることのないように注意するようにということを現地には言っておきまして、大体それで支障なくいっておると考えておるような次第であります。
  14. 上村千一郎

    上村委員 そういたしますと、結局、この法案を早く成立させるということは、現実においていろいろな問題の混乱を防ぐ意味においてもぜひ必要だ、こういうことに相なるわけですね。
  15. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せ通りでございまして、四月一日までに法律になりませんでこれがもしおくれるというようようなことがありますと、今の非常な変則と申しますか、不便な状態が続くということになりまして、私ども希望といたしましては、四月一日までにぜひ間に合うようにということをお願いいたしたいのであります。
  16. 上村千一郎

    上村委員 最後に一点だけお尋ねしておきます。  北九州市には現在登記所といたしましては、小倉支局、それから門司若松八幡戸畑の各出張所があるというふうに存じておりますが、これは今後統廃合するとか、あるいは現状のままどうするかというような当面のお考えがおありかどうか、最後質問しておきます。
  17. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せ支局出張所につきましては、統廃合というようなことは考えておりません。
  18. 上村千一郎

    上村委員 以上をもって私の質問を終わります。
  19. 高橋英吉

    高橋委員長 本案に対する質疑はこれで終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  21. 高橋英吉

    高橋委員長 これより討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もございませんので直ちに採決いたします。  これより商法改正法律施行法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  22. 高橋英吉

    高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、ただいま可決いたしました本案委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  24. 高橋英吉

    高橋委員長 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑通告がありますのでこれを許します。上村千一郎君。
  25. 上村千一郎

    上村委員 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、いろいろと問題点もあるかと存じますので、その要点につきましてお尋ねを申し上げたいと思います。  この今回の改正案は、一昨年の昭和三十六年五月の第三十八通常国会におきまして、証人の日当増額を内容といたしまするところの臨時措置法改正が当委員会審議されました際に、執行吏制度並びにその待遇についてすみやかなる改定をなされたいという附帯決議委員会でなされました。そして全会一致で可決を見たことは明白の事実でございます。政府はその後いかなる処置を講じられておるのか、冒頭においてお尋ねをいたします。
  26. 津田實

    津田政府委員 ただいまお尋ね附帯決議が当委員会において行なわれましたことは重々承知いたしております。その後、この執行吏制度改革の問題と執行吏待遇の問題につきましては、政府特に法務省におきましては、最高裁判所ともいろいろ連絡協議を続けておるわけでございます。しかしながら、執行吏制度改正の問題は、かねがね問題になっておりまして、法制審議会における強制執行部会におきまして、ずっと審議をされておるわけでございまして、すでに第二次の準備会昭和三十四年四月に設けられましてから後現在まで約百六十回の会議を経ておるわけであります。しかしながら、いまだ最終的に結論と申しますか、具体案というものを確定する段階には至っておりません。執行吏制度の問題は非常に問題が多いわけでございますので、前回附帯決議の御趣旨を体しまして、鋭意この問題はやはり根本問題として検討すべきだということで、それより以前から続けておりますところの法制審議会部会準備会を継続して参っておるわけでございます。それが現在におきまして百六十回の論議を経ておりますが、まだ確定案というものは決定するに至っておりませんが、この問題はもはや何らかの断を下すべき時期に到達していることと私ども考えておりますし、前回もさように申し上げたと思うのであります。そういう意味におきまして、昨年秋に一応私とも法務省部内におきまして、継続して、俗に申します泊まり込みの作業というものをいたしまして、ある程度要綱案のようなものを一応つくったわけであります。その要綱案につきまして、法制審議会審議をどういうふうに展開すべきかということを今検討している段階になっておるわけでございます。と同時に、この問題につきましては、大体において執行吏執行官というふうに改めるかどうかという問題が問題の中心になるわけでございまして、方向といたしましては、現在の執行吏制度改革いたしまして、執行官にするのがよろしいのではないかという方向にほぼ方針が向かいつつあるわけでございます。従いまして、現在の執行吏をどうするかという問題は、その執行官にいかにして乗り移るかという問題に帰着するわけでございます。さらにこの執行官に乗り移るまでの執行吏待遇をいかにすべきかということがやはり問題になるわけでございます。  そこで、この執行吏制度の問題は、その根本改革にゆだねることといたしまして、当面の執行吏待遇をいかにすべきかということを別途——これは法制審議会の線ではなくて、別途法務省部内の線において検討をいたしたわけでございます。その結果、今度御審議をいただいておりますところの法案を作成したわけでございます。ただ、ここにお断わり申し上げなければならぬのは、執行吏手数料に関するこの改正案が必ずしも万全のものでないということは、立案いたしました当局としては、これを認めざるを得ないと思うのであります。しかしながら、その理由に至りましては、いろいろございますが、何と申しましても、現在執行吏実態につきましては、はなはだ不明確な要素が多いわけでございます。従いまして、個々手数料の額の当否につきまして検討するに十分な資料は全然ございません。従いまして、執行吏手数料を一々検討して、明治以来行なわれてきました手数料のバランスを考えるというような資料は、少なくとも政府の手元にはないわけであります。この点につきましては、最高裁判所ともいろいろ協議をいたしたのでございますが、御承知のように、執行吏最高裁判所管下職員でございますので、法務省独自にこれを調査するということは非常に困難でございます。しかしながら、最高裁判所の方におきましても、私どもが満足する程度資料は用意され得ないというふうな実情考えられますので、少なくとも個々手数料に触れての改正ということはできないという結果を来たしたわけでございます。従いまして、ここの理由にもございますように、消費者物価等考えまして、一律引き上げという態度をとらざるを得なかったというわけでございまして、以上のような状況で今回の法律案を御提案申し上げておるわけでございますので、あの前回附帯決議の御趣旨は十分考えた上、しかもでき得る限りの限界に従ってこの法案をつくった、こういう状況でございます。
  27. 上村千一郎

    上村委員 いろいろと御苦心の実情はよくわかりますが、あとから私が比較的詳細に御質問を申し上げますが、きわめて不完全なものだと思うのです。そして今いろいろるる御説明しなければならぬような状態に相なっておるのであろうと思います。これは要は、一昨年、三十六年の五月に当委員会附帯決議をした。それは執行吏制度並びにその待遇ということです。だから執行吏制度そのものにつきまして相当突っ込んだ結論を出していかなければ、待遇の問題につきましても明確な線が出てこない。およそ普通一般の方々にとっては、執行吏の身分上の性格というものにつきましては、ほとんどわからないというきわめてあいまいな状態であります。だから、そういう特殊な立場執行吏の方が立たれるのだから、その点にはっきりしたメスが入ってこない限り、はなはだはっきりした待遇処置というものはできないであろう。こういうふうに考えておればこそ一昨年の三十八通常国会附帯決議がなされた。だから、こういう点につきまして、できるだけ早い時期に、しかもこの趣旨に沿うような結論を出して、そして何らかこの問題の解決と前進に資する意思があるのかどうか。この点法務大臣お尋ねしておきたい。
  28. 中垣國男

    中垣国務大臣 執行吏性格並びに処遇等につきまして、目下法務省といたしましては検討中であるという津田部長からのお答えがあったわけでありますが、法務大臣といたしましても、それらの結論ができるだけ早く出ますように努力をいたします。
  29. 上村千一郎

    上村委員 次に、本案につきましての具体的な質問を申し上げたいと思うのでございますが、執行吏裁判所職員である。そして普通の公務員といたしますれば、これが給与を基本にいたしまして、その生活全体を支えていくという態度に相なっております。しかるに執行吏の場合は、その手数料がいわゆる収入の大きな基本になっておる。そして現在の消費物価その他から考えてみますれば、きわめて低い程度のラインのもとに国家補助がなされておる。だから国家補助金といたしましても、年額わずかに十五万六千円、これが全国執行吏に対するものです。これが現在の日本の経済の実情と社会の実情から考えてみますれば、はなはだ理解に苦しむ点である。しかもそれが昭和三十年の九月一日以降すでに七年余そのままになっておる。司法の、いわば考えによっては重要な、あるいは最重要な状態を担当する機関だと思われます。民事の関係刑事関係の送達、その他におきましても、そういうことに事欠ければ、いかなる名判決であっても、これが生活実態の中に入るというわけにいかない。しかも、その中には危険を伴い、また世間からいい職業であるというふうに思われる度合いが少ない。しかも重要な立場にある。こういう特殊な機関でありますにかかわらず、一般公務員に対しましては危険手当とか、寒冷地手当扶養手当通勤手当、あるいは期末手当勤勉手当退職手当休職手当等支給がなされておるにかかわらず、執行吏に対しましてはこれの支給がない。なお、公務員共済組合とか健康保険にも加入ができないという実情になっております。  そういう際において、今度の手数料その他につきましては、その増加の比率が二五%でございますか、そういうふうに相なっておる。この程度で十分と思われるのか。いかなる点からこの二割五分という増加率をお出しになられたのか、その根拠につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
  30. 津田實

    津田政府委員 二五%を上回るものもございますが、これは数字の関係からでありまして、大体において二五%に中心を置いて、今回の手数料額増額を立案したわけでございます。これは先ほども若干申し上げました点でございますが、個々手数料当否については、これを検討する資料に欠いておるわけでありますが、全般的に考えまして、御指摘のように昭和三十年以来据え置きになっておるということは、もちろん適当でないということが考えられますので、そこで何を根拠にして増額をはかるかということになったわけでございますが、これは結局、提案趣旨説明にもございますように、昭和三十年の消費者物価昭和三十七年の消費者物価とを比べますと、昭和三十年が全国都市平均を一〇〇といたしますと、昭和三十七年は一二一・四ということになっております。これはお手元に差し上げてございます資料にも出ておりますが、東京におきましては、昭和三十年を一〇〇といたしますと、昭和三十七年は一二三・七ということになっております。それを考えまして、一応二割五分という線を出したわけであります。もっとも国家公務員の給与ベースにつきましては、御承知のように昭和二十九年一月一日以降と、昭和三十七年十月、つまり昨年の十月、今回の当国会におきます改定等を比較いたしますると、昭和三十年当時、つまり二十九年の分は三十年当時以降になっておったわけでございますが、三十年当時を一〇〇といたしますると、昭和三十七年十月一日のベースは一八六ということになっておるわけでございます。ところが、執行吏手数料収入につきましては、これは単にこの額の比率だけではきめられないわけでございまして、事件の増減、あるいは算定の基準となる債権額の増加等によりまして、収入が次第にふえて参っておるわけでありまして、そういう点を考えなければならないわけでございます。ことに債権額の増加は、何ら執行吏の手数をわずらわさずして収入がふえるわけでございます。そういう点も加味せざるを得ないということになるわけであります。  そこで昭和三十年の執行吏の収入の全国平均一人当たりは七十八万五千七百七十九円ということになっております。ところが、これは一昨年までの統計し九ございませんが、昭和三十六年につきましては百九万七千八十三円ということになっております。これを昭和三十年を一〇〇といたしますると、昭和三十六年は一四〇ということになるわけでございます。一〇〇対一四〇でございますが、これに今回の二五%の改定を加味いたしますると、今回の改正後は一〇〇対一七五ということになるわけでございます。すなわち、昭和三十年を一〇〇といたしますると、執行吏の収入は昭和三十八年、つまりこの改定が成立をいたしました暁におきましては一七五ということになるわけでございます。ところが、それは昭和三十七年及び昭和三十八年の事件増あるいは債権額増というものを加味してございませんので、結局、今回の国家公務員の一八六と、昭和三十六年の限界において一七五、むしろ三十六年を比較いたしますると、国家公務員につきましては一七三、それに対しまして執行吏につきましては一七五というようなことになるわけで、ほぼ公務員のベースアップに見合っておるということになるわけであります。そういう点を考え合わせまして、平均二割五分の増という結論を出したわけでございます。
  31. 上村千一郎

    上村委員 これが今論議されるもとになると思うのです。要は公務員の給与の比率、そして執行吏が要するに債権額がふえてくるから自然と手数料がふえてくるだろう、その比率だけを見ますと、公務員のベースはお話のように昭和三十年を基準といたしますと、昭和三十八年には一八六という比率になっている。その率を上がるじゃないかと言われるが、先ほど申し上げましたように、公務員でありながら、いろいろな公務員としての待遇ができていない部面がたくさんある。ここに非常に現実に不自然な問題を来たしておる。数理的に言いますれば、その立場からいえば同じような率で上がっているじゃないかと言われるが、その内容自体が非常に変わってきておる。だから、執行吏の方の制度というものについて相当の改正その他明確化をしないと、どうしてもそこの妥当な処置ができないだろうというふうな感じを持つ一人でございます。それで、執行吏は現在日本に何人くらいおられるかお調べでありますか、しかもその執行吏は、執行史一人で仕事ができるわけじゃない。執行吏代理あるいは事務員というものを置いている。しかもそれは執行吏が自分の費用、収入の中から出さなければ仕事ができない。ですから今言ったように、形式的には債権の額が上がりまして、その比率によって手数料の収入が上がるとしましても、使っておるところの代理だとか事務員というもののベースアップは非常な速力をもって要求され、しかもその仕事があまり好まない仕事でございますので、より一そうの優遇処置を講じなければその事務所へ来ないという実情なんです。しかも、それは執行吏の収入の中からまかなわれなければならない。こういう意味において、一般公務員立場とは多少違うのじゃないか。だから今のようなベースアップの所得の増加率というものだけで論ずるわけにいかないであろうというふうに考えるのが私の質問をいたす基本的な考え方でございます。  それで、一体全国執行吏はどれだけいるか。その執行吏は事務員を通常どういうふうな数において雇っておるのか、代理はどういうふうになっておるのか、この実態について御調査されておればお聞かせ賜りたいと思います。
  32. 津田實

    津田政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、お手元に差し上げておりますところの法律案参考資料のうちに、第八表に一応の数字が載っておるわけでございますが、全国におきまして現在執行吏は三百四十三人でございまして、このうち九人は休職者でございます。執行吏代理の数は二百九十四人でありまして、そのうち二人が休職者でございます。こういうことになっております。
  33. 上村千一郎

    上村委員 それ以外に事務員やなんかを置いていかなければやれない。しかも最近の執行状態というものは、債権額は増大するということももちろん時代の趨勢でございましょうけれども、それに対しまして執行の内容が、たとえば自動車などについての差し押えあるいは強制処置というようなことにつきましても、通常の、いなかでは日中ではなかなかやりにくい。車が動いて行ってしまいますから、これはうんと早朝とか夜間執行——もちろん執行裁判所の許可を得てでございましょうけれども、そういうときにやらなければならない。だから金額がふえればふえるだけ相手方の抵抗というものも増大するわけです。そうすればそこに危険が生じ、あるいは脅迫などを受ける事案も少なくないと存ずるのであります。また、ふえればふえるだけ事務は煩瑣になりますので、事務員も置かなければならないという処置になるかと思います。そして各執行吏役場におきましては、事務員はどんなふうに雇われておるのか、もしお調べができておりますればお聞かせ賜りたいと思います。
  34. 仁分百合人

    仁分最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねは事務員だけの関係かと存じますが、全国執行吏役場の事務員の総数は三百十八名でございます。うち女子が二百十三名でございます。
  35. 上村千一郎

    上村委員 実は問題点を少しく申し上げるわけですが、昭和三十年以降今回まで七年余にわたりまして、執行吏手数料その他のものについては据え置きということでありますが、その間に、いわばその性質は違いますけれども、一つの大きい意味におきましてこれと関係を持ちますところの司法書士というものの書記料は戦後どういうふうに増加されているか、あるいは公証人の手数料増額はその間にどうなっておるか、またこれの増額処置が講じられた際におきまして執行吏手数料はどうしてそのままになされているか、この点についてお伺いいたします。
  36. 津田實

    津田政府委員 司法書士並びに公証人の手数料につきましては、増額をされていることは事実でございますが、その比率等につきましては私、ただいま手元に資料がございませんので、これは主として民事局の所管のことでございますので、直ちにお答え申し上げることはできないわけでございますが、ただ私どもがその問題を公証人と比較して考えるべきかどうかということについての考え方だけは一応御説明を申し上げたいと思うのであります。  御承知のように、この執行吏裁判所職員でございまして、国家公務員でございますが、司法書士並びに公証人——公証人は公務員かどうかという議論が今もございますけれども、これは一応形としては自由的職業、ことに司法書士の場合はそういうことになっておりまして、一般の国民は、これを利用するといなとはみずからの必要性に基づいてきめられる性質のものである。ところが、執行吏の場合は、その執行については必ず執行吏を利用しなければならないという性質のものでありまして、いわば公共料金の一つになるわけであります。そういう意味におきまして執行吏手数料考えなければならないという問題と、それから執行吏はそういう性質でやはり国家公務員でございますけれども、一般の国家公務員のように勤務時間がその給与の基礎になるというようなことはなく、執行吏自体は自由に勤務をきめられる。仕事がないときは勤務についていなくてもいいわけであります。そういうような事柄、あるいは執行吏自体は国家公務員でありながら他の公務員として得られた恩給々そのままの形で受けられるというようなこと、執行吏自体々勤務した場合に執行吏としての恩給は共済の年金でなくして官吏恩給が適用されるというような別途のいわば優遇的措置もあるわけであります。そういうもの全体をミックスいたしまして比較をしなければならないわけでございまして、単なる手数料が幾ら上がったかということと、その手数料の公共性と申すようなものとかいうものを考えるだけでは、どうも執行吏手数料をきめがたいようなむずかしい問題があるのであります。従いまして今回の執行吏制度改正につきましては、こういう趣旨執行吏手数料あるいは身分というものは非常に問題が多いというような結論にほぼなりつつあるわけであります。そういうような点を考えまして今回のいわば暫定的の手数料増額考えた次第でございますので、他の同種の、ということがはたして言い得るかという点については私どもとしては非常に消極的な考えを持っておるわけであります。
  37. 上村千一郎

    上村委員 もちろん同種というわけでなくて、そんなことはわかっておることなんです。ただ手数料とか、そういうような収入源に生活の基礎を置いている点が共通ではなかろうか。しかもそれが裁判関係その他司法関係に関連があるものであろうという類似点を主張しておるのであります。それが同一でないことは明白なことであります。ただ手数料とか、そういうような一般の国家公務員生活基準というものとは違った、要するに給与の体系からはずれておる、そういう一つの身分を持っておるものである。そういたしますと、結局手数料とかいうようなものに依存度が強いという意味で、公証人とか司法書士とかいうものと同じに考えられるのは、先ほど言ったように、一般公務員よりも有利な待遇はあると思いまするけれども、私ども実は在野法曹に長くおりましたが、この執行吏の方を置くために非常に苦労したことがございます。また、執行吏がおらなくなったら、これはまた実際上裁判の有終の美を発揮することができない、きわめて重要な問題です。もしこの待遇などが万全を期されておるというなら、みな喜んでこれをやる。ところが、末端の実情から言いますれば、執行吏の方を、しかも優秀な執行吏の方をお迎えするということに非常な苦心が存するのは那辺にあるかということを考えなければならぬ。そういう意味から言いますれば、執行吏制度というものをこの際根本的に検討していく必要があるであろう、こういうふうに思い、それが昭和三十六年の附帯決議に相なったかと思いますし、当時私も質問に立ったかと思いますので、この点を申し上げるわけでございます。  司法書士の方の報酬、それから公証人の方の手数料増額というものについては、いつどういうふうに上がったかということの資料はお手元には今ないわけですか。その点を伺います。
  38. 津田實

    津田政府委員 公証人につきましては若干資料がございますが、これは必ずしも執行吏と対比して考えられないのですけれども昭和二十六年を一〇〇といたしました場合に、現在におきましては大体一八九ということになっております。
  39. 上村千一郎

    上村委員 そこの部分は大体その程度におさめておきまして、刑事の送達件数というものが最近著しく増大いたしておるだろうと思うのです。と申しますのは、刑事事件の件数はずっと増大しておる。これの送達手数料というものは執行吏には払われない。これはサービスということになります。この点については当局としては何かお考えになっておられますか。要するに刑事の送達件数というものは著しく増大しておるが、それはただになる。手数料は無料で執行吏にこれを担当させておる。これについては今後検討する意図があるかどうかお尋ねしたい。
  40. 津田實

    津田政府委員 ただいま御指摘のように、昭和三十六年現在刑事の送達件数は全国で六十九万九千七百二件ということになっております。これは昭和三十年当時の四十五万四千三百二十五件に比べまして、約五割くらいは増加しておるわけであります。この刑事の送達手数料につきましては、ただいま仰せ通り手数料は支払われない。これは執達吏が裁判所職員であるということから、裁判所の命令によるものについては手数料は取らないという執達吏規則の規定からきておるものであります。しかしながら、ただいま御指摘のありましたように、この面につきましては私どももかなり問題があるというふうに考えておりますが、来年度の問題につきましては、これは予算の問題がありますので、今即座にというわけには参らないのでありますけれども、次の機会には少なくともその問題は考慮を要する問題である。つまり刑事の送達につきましても何らかの手数料とかあるいはそれに近いようなものを支給する方がいいのではないかというような考え方を現在持っておりますので、そういう方向検討いたしたいと思うのでございます。
  41. 上村千一郎

    上村委員 執行吏の旅費の問題でございますけれども、結局債権額が上がってくるということは確かに趨勢になっておるかと思います。また執行がいろいろ複雑化してくる、また複雑な事件が多くなってきている、これも社会が複雑化して参りますれば当然随伴してくる現象でございましょう。また昼間執行だけでは事足りないような案件がずっとふえてくる、これも社会の変化に基づきまして当然の現象かと思うわけであります。それと同時に、この出張の実費という問題につきましてもいろいろと検討されなければならない問題が生ずるかと思いまするが、執行吏の旅費の関係につきましてはいかなる検討がなされておるか、お尋ねしておきます。
  42. 津田實

    津田政府委員 執行吏の旅費につきましては、国家公務員の旅費を基準にして考えざるを得ないというふうに思うわけでございます。ただ、ここに執行吏の旅費について問題がございますのは、たとえば送達につきましては一件ごとに旅費を取る、あるいはほかの事件につきましても一件ごとに旅費を委任を受ける際取るわけでありますが、しかしながら、数個の事件を固めて同時に行なう、同一方向は同時に行なうというような点がございまして、旅費がダブるというようなことがある。その分につきましては実質的に手数料と同じ性格になっておるわけであります。そういう面もありますので、一律にどういうふうにすることがいいかということは非常に困難であります。しかしながら、もちろん地方に参りますれば、単独出張というのはしばしばあるわけでありまして、そういう面を考えなければならぬので、そういう全体をにらみ合わせて旅費額を考えなければならぬと思うわけであります。宿泊料につきましては、これは非常にケースが少ないのでございまして、大して問題ないと思いますが、宿泊料でない旅費についてはそういう問題点があるということは頭に置いて検討をいたしておるわけであります。
  43. 上村千一郎

    上村委員 今おっしゃられた実情ばよくわかるのです。あるいは旅費がダブる現象もありゃしないか、これもあえて私は否定しません。ただここで問題なのは、国家公務員が、ただ旅費がダブるであろうということを前提として、収支がある程度まかなわれておるであろうという想定のもとに、かかる重要な制度が、検討は十分されておりますが、結論がおくれて参りますと、一つの不自然な状態のもとに、国家公務員としていわば旅費の二重取りであったということになったら、これまた問題でありましょう。だから現実にそういう状態で、ある程度のかまえがあるかもしらぬという想定のもとにこれを看過することはいかがかと思われるわけであります。いろいろと考えさせられる点でございますので、十分御検討を賜わりたいと思います。  それから執行吏に対する国庫補助基準額でございますが、これは政令で定められる基準額は一般公務員の行政職(一)の俸給表の八等級の六号俸に格付され、年額十七万三千円と聞いております。だからこそ国家補助金が年額わずかに十五万六千円ということに相なるかと思います。この執行吏に対する国庫補助基準額を改定する御意図があるかどうか、この点をお尋ねしておきたい。
  44. 津田實

    津田政府委員 執行吏国庫補助基準額令によりますと、本年の三月十四日、政令四十一号をもって改正をいたしたのであります。現在は十七万四千円ということになります。これが昭和三十七年十月一日から適用されることになっております。それでこの基準額令の基準額の考え方の問題についても、これはやはりいろいろ問題があるわけで、一つの考え方といたしましては、この基準額を相当上げるという考え方、基準額を上げるかわりに、非常にたくさん手数料を取っておる執行吏については何らかの措置を考えるというようなことも一つの方法ではないかということが考えられます。この基準額については、御指摘のように行政職(一)の八等級の六号並みということになっておって非常に低いということが考えられるわけでございます。これは実態から申しますと、非常に活動していない執行吏ということになるわけで、いわば勤務していない日数が非常に多いという結果を来たします。それかといって執行吏がいないわけにはいかないということにおそらくなるだろうと思いますが、そういう意味執行吏というものは自由職業的な性格が起きておるので、ただ何かあるときには執行吏としての役目を果たさなければならぬという意味で最低の額が保障されておるというような趣旨に見得る性質のものだと思うのです。八等級の六号というのは、現在の考え方では配偶者と子供一人というような基準で出ておるわけでございます。従って、年令層等からいって必ずしも執行吏に合わないということがあるわけです。基準額を上げて、さらに別途の措置を考えるか、基準額令はこのままにしておくか——このままというのは、自然に増加していく場合は別です。というようなことについても検討しておりますが、ただ基準額の予算の基礎になる内容は、これは最高裁判所が大蔵省に概算要求してきめることになるのであって、その意味において法務省としては、最高裁判所がきめる予算の内容に従って基準額令を考えるという以外にはないわけです。
  45. 上村千一郎

    上村委員 実は当局も十分お察しだと思いますが、裁判が、判決が確定するということになって、通常の場合は大体執行の段階にいかずに解決していくのが多いのであります。執行に入るというのは非常にごたごたするわけでございます。こういう意味から、いわば執行吏公務員の身分として、しかも手数料というものを主要財源として生活している。しかも仕事が社会的に冷遇視されている。また執行が、最近の情勢によりましては次第に困難性を帯び、場合によれば身体の危険すら感ずる実情になっております。しかも御答弁の中にも十分ございましたように重要な地位を持つものでございます。また、従来から刑事の送達関係については、いわば無料サービスということに相なっておる。こういう点において、何らか執行吏制度というものについて、すっきりした検討が行なわれ、改正結論を出していくということが、いわば焦眉の急ではなかろうかと思うのであります。もしこれに対する処置が十分でございませんと、いかに裁判におきますところの名判決、その他において適正妥当でありましても、またこれが審理促進をされまして早く確定をいたしましたとしても、最終段階というものはまたそこで延びてしまうということにも相なるし、また、最も優秀な質のきわめていい多くの執行吏の方をお迎えするという意味から言いましても、何らかこれに対する待遇ということについては抜本的な対策が必要であろう、こういうふうに思うのでございます。もしそれが成り行きまかせにいたしておきますと、何かそこで事が解決されておるように見えましても、ほかの方法で解決されておる。執行吏という国家制度を通じて法を最終的に実現するという以外に、場合によれば、暴力その他町の事件によって事件がすべて最終的には解決されるというような、ほかの方へ流れていくおそれがある。こういう意味で特に現在の状態を心配しておるあまりに、多少言葉づかいその他においてきつい御質問を申し上げたかと思いまするが、しかし本案は前向きの改正でございまして、当委員といたしましても、これがきはめて前向きの改正であるということについては、心から替意を表するわけでございます。  ただ結論的に申し上げますならば、一々の部面につきましては多少変わりますが、おしなべて二割五分の増額ということでは、諸般の問題としては解決されていないし、またその他につきましても検討する余地はたくさんある。こういうふうに考えますので、何とか三十六年の国会において附帯決議されました趣旨を早急に結論をお出し賜わって、これが対処をお願いしたい、こういう熱意にほかなりません。なお、執行吏に対する国庫補助基準額というものについてもきわめて低きに失すると思うのであります。一つ最高裁判所政府協議の上で何とか来年度予算においてこれが増額について御努力を賜わり、今後これに適切な処置を早急になされることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 高橋英吉

    高橋委員長 坪野米男君。
  47. 坪野米男

    ○坪野委員 執行吏手数料増額のこの法案について、今上村委員から相当詳しく御質問があったようでありますから、なるべく重複を避けて二、三お尋ねをしておきたいと思います。  最初にお尋ねしたいのは、執行吏のほかに執行吏代理という制度がありますね。それから執行吏職務代行者ですか、そういうものもありますが、この執行吏代理というのはどういう制度で、どういう根拠で置かれておるものか。そしてその執行吏代理というものの身分、それを最初にちょっと伺っておきたいと思います。
  48. 仁分百合人

    仁分最高裁判所長官代理者 執行吏代理は、執行吏が自分の責任において選任するという形になっております。ただ、適否について地方裁判所の認定を受けなければならない、もし認定が取り消されるようなことになれば解任しなければならない、こういう形になっております。執達吏規則の十一条にありますが、条文の形として、「執達吏ハ特別ノ命令若クハ委任ヲ受ケタル場合ノ外自己ノ責任ヲ以テ左ニ掲クル者ニ臨時其職務ノ執行ヲ委任スルコトヲ得」こういうことになっております。これはかなり継続して執行吏代理の職務に従事しておる者があるわけです。執行の代理、それから主として送達の代理をやっておるわけです。
  49. 坪野米男

    ○坪野委員 法務省からもらった参考資料の八表ですか、ここに全国地方裁判所管内の執行吏の人員、それから執行吏代理数というのがありまして、執行吏の合計は全国で三百四十三名、大体毎年三百五十名くらいのもののようですが、執行吏代理も二百九十四名、三百名足らずということで、執行吏とほぼ同数の執行吏代理が執行吏の責任で——もちろん裁判所の認可か許可が要るのでしょうけれども執行吏代理が職務を行なっておるということであります。そういたしますと、この執行吏代理は、執行吏の責任で選任をやるのですから、執行吏の得た手数料の一部は、この執行吏代理に人件費として、固定給かあるいは歩合給か知りませんが、さかれておる、こういうように理解してよろしゅうございますか。その点、ちょっとお伺いしたいと思います。
  50. 仁分百合人

    仁分最高裁判所長官代理者 これも執達吏規則に規定がございまして、手数料の十分の三以上を支給しなければならない、こういうことになっておるわけでございます。
  51. 坪野米男

    ○坪野委員 そういたしますと、執行吏手数料の中から三割以上が執行吏代理にさかれておるというように理解できるわけであります。そこでお尋ねしたいのは、これはおそらく上村委員からも質問がなされておったと思うのでありますが、執行吏の収入額、参考資料の七表にありますが、最後昭和三十六年度の収入額で、執行吏数が三百四十九名、手数料が——カッコの中は一人の平均額だろうと思いますが、年収五十七万二千三百八円というのは三百四十九名の平均手数料の収入額、こういうように理解できるかと思いますが、今の三割程度執行吏代理の人件費もこの中から支給されておる、もちろんあとの立替金もありますが、そういうようにこの表を理解していいのかどうか、ちょっとお尋ねしておきます。
  52. 仁分百合人

    仁分最高裁判所長官代理者 お説の通りでございます。
  53. 坪野米男

    ○坪野委員 そういたしますと、三十六年度三百四十九名の一人当たりの手数料が五十七万二千三百円というと、相当な収入のように見えますけれども、その中に半数近い執行吏代理が入っている。しかもその執行吏代理に対しては三割以上の人件費が支給されているということになると、執行吏手数料の年収はそう大きなものでないということが、この表だけで一見してわかると思うのです。戦後のある時期において、あるいは戦前において、執行吏は非常にぼろいものであると、何と言いますか、非常に人のいやがる執行業務をやるものですから、手数料収入で相当ゆっくりしているというのが常識であったようであります。また、私たち弁護士も、あまり執行業務に関係ありませんので、執行吏はぼろいものだという認識を常識的に持っておったのですが、この国会審議で初めてこの表を見て、この程度の年収——やみでわいろを取っているということは論外であります。そういうことは制度上認められないわけであります。また、帳簿をごまかすということもできないわけで、やはりすべて書面で処理されるわけですから、ここに出ておる手数料収入、これは全国平均でありますけれども、から見ると、相当低いと考えられるのですが、その点どういうようにお考えになっておりますか。
  54. 津田實

    津田政府委員 お手元のただいま御指摘の表でございますが、これは全部執行吏代理に仕事をまかした場合に三割以上を当該代理に渡すということがあり得るわけです。この手数料の総額について、全部三割出しているわけではございません。執行吏が直接やる分が相当多数あるわけでございます。ことに地方の執行吏は代理を置いておらない場合が非常に多いわけでございます。そういう意味におきまして、この五十七万の三割が代理にいくというふうな数字には私はならないと思うのです。しかしながら、やはり相当程度代理に給与を渡さなければならないということはもちろん事実でございます。それから、先ほど申し上げましたように立替金の中でも旅費、ことに執行吏代理は送達をやる場合が多いわけですが、その送達旅費につきましては、先ほど上村委員に申し上げましたように、ダブる旅費がたくさんあるわけであります。ことに大都市にはそういう面もございますから、代理そのものの給与については、もう少し実態を究明しないと、内容がわからないというようなことになっておるわけです。
  55. 坪野米男

    ○坪野委員 今言われた通りです。しかし、第八表を見ると、全国執行吏数が三百四十三名で、代理数が二百九十四名、執行吏と同数近くおるわけです。もちろん、これが執行吏と同じだけの収入を得ているということにはなりませんけれども、まるまる委任した場合には三割と言われますけれども、また、忙しい執行吏の場合にはほとんど専従的に執行吏代理を置いて、固定給なりそれにプラス歩合給を払っているということが考えられますから、執行吏とほぼ同数の代理者がおるということ。先ほどの立替金の中に収入と見るべきものがあるということはわかります。しかし、収入と全部見て年額が一人平均百十万円足らずかせいでいるように見えますけれども、半数近い執行吏代理がおるということ。また、旅費、宿泊費の中には必ずしも収入と見られない経費的部分もありましようし、ということから考えると、今の執行吏の平均収入は、われわれがぼろいけっこうな商売だなんというように認識しておったのとはおよそ縁遠い収入だ。しかも、先ほど上村委員からもおそらく質問があったと思いますが、一般公務員の社会保障とか、給与体系全体から見て、執行吏はこの手数料以外何も得るところがないわけです。先ほどの国庫補助基準額、ああいう保障があっても、それは十五万六千円に満たない人にその差額を保障するというだけであって、この平均五十七万円をかせいでいる人たちは、平均以上ある人は、あるいは十六万以上ある人は一銭も基準額の保障を受けられないわけなんでしよう。とすると、その国家の給与保障というものは、ほとんどいなかで事件をやっておらないとか、あるいは病気で休んでおるとか、そういった執行吏が月にして一万円ちょっぴりの生活保障的なものを受けているにすぎないので、大多数の執行吏は国から一銭も金をもらっていないと断定して差しつかえないような状態で、しかも手数料収入その他からはかって、執行吏代理だけでなしに、忙しい執行吏は事務員も使っていろいろしていましようから、相当な必要経費も使っているということからすると、ぼろい商売だと私たち見ておったけれども実態はそうじゃない。特に三十年から据え置かれておる今日では、こういういやな仕事をさせられておる執行吏立場から、どちらかというと一般公務員より待遇が相当悪いということが言えるのじゃないかというように考えるのですが、その点に対する御意見を一つお聞かせいただきたいと思います。
  56. 津田實

    津田政府委員 確かに御指摘のような面は十分ございますので、この手数料その他の立替金収入の点から申しますれば、必ずしも待遇は十分でないということは明らかだと思われます。ただ、この点につきましては、大都市と中都市あるいは地方と、かなりの差があるように見受けられるのでございまして、たとえば一例を申し上げますと、昭和三十五年の東京におきまする執行吏の一人平均の手数料、書記料収入は九十七万九千百十四円でございます。それに立替金収入、これは主として旅費でございますが、宿泊料は一銭もございません。旅費で百六十九万五千七百四十八円ということになります。そういたしますと、合計いたしますと二百六十万以上の収入が一応あるわけです。もちろん役場その他のあれはございます。ところがその支出の実態は、手数料の面では赤字になるが旅費で黒字になるというような収支計算が一応出ておるわけであります。この収支計算につきましては、私どもは相当の疑問点もあるわけでございますけれども、これは究明する手段がないわけでございます。そういうような面があるわけでございまして、大都市の執行吏の場合は必ずしもそう給与が悪いということにはならないのではないかという感じがいたすわけでございます。しかしながら、地方においてはそれの逆の面は非常に出ておると思います。
  57. 坪野米男

    ○坪野委員 その通りでありまして、東京、大阪というような大都市では、それは相当な収入を得ているかもしれません。大体公証人だってそうです。私たちが弁護士をやっている以上にぼろいということも、いろいろ実態を聞いております。それは大都市の特殊性でもありましょう。しかし、全国でわずか三百四十人くらいしかおらない、しかも必置の国家機関だという場合に、いなかの執行吏というものは、本職としてこれだけで飯が食えるかといえば、食えないような状態の場合もおそらくあるのじゃないか。最低を私は聞いておりませんけれども、平均的にとってみて、私、今の東京の場合だって、そんなにこれでけっこうだというほどでもなかろうと思いますが、まあまあ東京の場合をとれば、幾らかこれで生活はできるという程度でありましょうけれども、全体的に低いということは、これはもう執行吏の職務の性質上、一般公務員以上の給与があっていいと考えられるのに、むしろ一般公務員よりきわめて劣悪な状況に置かれておるということは言い切れると思うわけで、その点、政府においてもう少し実態調査から抜本的な手数料の改定を一つ早急に考えていただきたいと思うわけです。  そこでもう一点だけ、今度の改正案の中で、どうしてもこれはアンバランス、不合理だと思う点を私は指摘して御見解を伺いたいと思うのですが、六条、七条の動産、不動産引渡し等の手数料、ここで動産の引き渡し等の手数料を二百円から二百五十円に増額するということですが、これと不動産との比較で、動産は二時間の執務時間が一単位になっており、不動産執行の場合は三時間が一単位だ。不動産の方が一時間あたりの手数料の単価は低いということは、不動産執行の方が動産執行よりもたやすい、軽微な労働だというような考え方に立っているのじゃないかと思うのですが、ちょっと私は実情に合わないと思う。むしろ動産執行よりも、今日の不動産執行、特に家屋の明け渡しというような執行の方が困難性を伴っているのじゃないかということから考えると、動産執行は二時間で二百五十円もらえる、不動産執行は三時間かかって二百五十円で、あとは一時間ごとに五十円、この二時間、三時間の差別はむしろ逆ではないか、少なくとも同額で同じ単位時間、二時間で幾らというのが合理的じゃないかと思う。何か不動産執行というのは、昔は執行吏が立っていておいと一言声をかければ、ふるえ上がって路頭に放り出されたというような時代があったかどうか知りませんよ。しかし、今日私が弁護士になって戦後の不動産執行というのは、そうおとなしく出る人ばかりではないので、むしろ動産執行よりも困難性を伴っているのが常識ではないかと思うのですが、どうして明治二十三年以来動産執行の場合は二時間、不動産執行の場合は三時間を一単位としておられるのか。これは予算法案じゃないですからね。直接予算を伴うわけじゃない。それを何ら改正されないで、どうしてこれがそのままになされておるか、その点御意見を一つ承りたい。
  58. 津田實

    津田政府委員 この点につきましては、御指摘のような疑問は私どもも重々あるわけでございます。ただ今回の改正は、提案趣旨説明にもございますように、一律引き上げということになっておるわけです。その一律引き上げをやらざるを得ない理由につきましては、先ほど上村委員の御質問にお答え申し上げましたわけでございますが、要しまするに執行吏の収支計算というものは、現在私どもが満足すべき資料はほとんどないと言っていいと思う。執務の実態並びにその収支というものは、少なくとも政府の側にはわからない。ところが、これは裁判所管下の職員でございますので、直接政府がこれを取り調べるということが非常に困難な事態になっている。そういう意味におきまして、私どもといたしましては、手数料並びにその収支の実態が明らかになれば、さらにこの内容にわたって当然ここに検討し得ると思うのでありまするけれども、現在ではそれができない状態でございますので、やむを得ず消費者物価指数等を考えまして一律引き上げをいたしたわけでございます。そこで御指摘のような不合理と申していいのかわかりませんが、明治以来こういう考え方できておるものを、この部分だけを今取り上げて内容を改正するということがはたしてできるものか、全体のバランスがこの上に立って数十年出ておるわけでございますので、そういう意味におきまして、この際はやはり遠慮するのが相当であるというふうに考えた次第でございます。
  59. 坪野米男

    ○坪野委員 私は、そういう考え方はどうかと思うのです。というのは、大体執行吏、言葉は悪いけれども不浄役人のやることで相当もうかっておるだろうという頭から、執行吏制度なりあるいはその手数料の合理性ということについて、政府は今まであまり真剣に検討されたことはないのじゃないか、われわれも不勉強で今まで考えたことはなかったのです。ただ問題を指摘されて初めてこの手数料なるものを読んでみて——私も執行吏に事件を頼んだことが少しはありますけれども、あまり関心はなかった。しかし、よく検討してみて、こういう不合理がたくさん出ておるわけで、今言った動産引き渡しの手数料二時間と不動産引き渡しの手数料三時間というのは、おそらくこんなのはだれが考えたって不合理だということは一目瞭然だろうと思うのですが、そういったことについて、他とのバランスとか、あるいは明治以来行なわれてきているからということだけではなく、今回せっかく改正されるんだから、少なくとも動産引き渡しと同じに二時間単位にするぐらいの改正は何でもないことだと思うのです。予算がどうこうというわけでもないわけでありますから、私はこういった改正は、本来ならばこの国会ででも、あるいは議員修正ででも、これは不合理であるということをお認めになれば改正すべきだと思うのです。しかし、十分研究したいということであれば、この次の機会までに……。私はこれは不合理だと思う。実情に即してないと思う。むしろ動産執行よりも不動産執行の方が困難だということが通常の場合考えられる。もちろん動産だっていろいろありますよ。固定した機械などもありましょうけれども、通常不動産執行の方が困難だということはわかる。  それからもう一つ、第三条の通常の金銭債権の差し押え、仮差し押えの手数料とのバランスで、差し押えの手数料は十万円をこえるものは現行五百円を六百円に上げる、これを倍率だけで政府はごまかそうとしている。二〇%の倍率の増額だと言われるけれども、今日金銭債権の差し押えで十万円以下の執行というものがそう多くあるとは考えられないと思うのです。五千円以内の差し押えをするというようなこと、一万円の差し押え、五万円の差し押えをするというようなことは、今日の実情からいうとそう多くないのではないか。今日の経済情勢からすれば大体十万円くらい以上の差し押えが通常行なわれているのじゃなかろうか。私は統計をとってみたことはございませんけれども、おそらく執行吏の諸君について調べてみても、今日の経済情勢からいえば十万以上の債権に対する差し押えが通常行なわれているのじゃなかろうか。その差し押えの手数料が今度改正されて六百円。御承知のように金銭債権の差し押えなんというものは、債務者の家に臨んで目ぼしいものに封印もしなくていい、書き上げていって、最後に差し押えの封印をする、比較的私は簡単な執行だと思うのです。それと比べて、動産の引き渡し、不動産の引き渡しの二時間なり三時間の単位当たりの手数料が二百五十円、一方、おそらくもう今日では十万以上の事件ばかりだろうと思う。それが六百円であって、一方は二百五十円。この間のアンバランスもちょっと非常識だと思う。私は、全般を改正するということは一朝一夕にしてはなかなかいかぬにしても、六条、七条の不動産引き渡しの手数料が、今の債権額十万をこえる場合の六百円とのバランスで、少なくとも六百円なり八百円の基本手数料というものが考えられても、そうおかしくないと思うのです。その点についても、ただ従来明治二十三年以来の固定した比率をそのまま踏襲して、倍率を平均二五%にしたというだけのことなんですかどうか、その点一つお答え願いたい。
  60. 津田實

    津田政府委員 ただいまのお説まことにごもっともだと思う点も多々あるわけでございますが、要しまするに執行吏手数料と申しまするものは、先ほども申し上げましたように公共料金に準ずるものでございます。従いまして、当該執行吏の手数がかかったからということで、それに対して多く報いるという性質で必ずしもこれはできていないと言わざるを得ません。と申しまするのは、競売の場合もそうでありますが、競売金額がふえれば、だんだんふえていくわけであります。そのことは、競売金額がふえれば債権者に負担力があるという意味においてふえることであって、具体的に手数料が何倍にもなっていくというものではないわけでございます。そういう面のことを考え手数料はきめてある。いわば債権者の負担能力という点も考え手数料はきめてあるという前提に立ちますと、執達吏手数料つまり六条、七条の動産の引き渡し、不動産の引き渡しの手数料も、そういうバランスの上に立って考えているのじゃないだろうかというふうに考えざるを得ないわけでございます。従いまして、これに基づく個別の事件の難易その他について相当の検討をしてその資料を得た上でないと、全体のバランスをくずすことはいかがであろうかということを考えまして、先ほど申し上げました一律二五%、まあ数字を若干まとめるということはいたしておりますが、一律二五%という態度を今回はとったわけでございます。
  61. 坪野米男

    ○坪野委員 全体のバランスと言われるけれども、全体がアンバランスになっているのです。あなたは実態研究が従来非常に不十分だったということをお認めのようですし、早急に実態調査をされて、次の機会にもう一度抜本的な合理的な改正をぜひお願いしたいと思うわけです。  そこで今津田部長が、執行吏手数料は公共料金的な性質のものだから政府が勝手に上げられないんだと言ったが、一応ごもっともな御意見であります。おそらくそういうことから遠慮して二五%程度増額で押えておるのだろうと思うのです。一般の物価値上げの風潮に対する気がねから遠慮しておられるのだと思うのです。しかしながら私は、一般の訴訟費用が他の公共料金、他の物価と比べてむしろ低きに失する、あるいは弁護士に支払う報酬その他の全体の訴訟費用からして、裁判費用いわゆる訴訟費用というものは低きに失しておる。それだけわれわれ国家の一般財源から多く持ち出しているわけですが、一般の訴訟費用の場合は、訴訟費用を低く押えたからといっても、国家の一般財源からの持ち出しが多くなるだけであって、裁判所書記官の給与がそれで低く抑えられるという性質のものではないわけであります。裁判官の給与がそのために上がるというものでもないわけであります。ですから一般の訴訟費用の場合にはそれは低きに越したことはない。しかし、また他の物価とのバランス、一般の国民の全体の訴訟費用の負担能力という点を考えて若干の適正な増額なら私は必ずしも反対ではないわけです。この執行吏の場合は、なるほど公共料金的性格のものでありますけれども、公共料金的性格から低く押えて、それによって執行吏の、これは国家公務員ですから、公務員の給与が国家の別の施策で保護されるということであればともかくでありますけれども、ただ手数料を押えて、他で執行吏生活安定と給与の改善が講ぜられておらないというところが私は問題だと思うのです。  そこでもう一つお考えいただきたいのは、大体執行吏に委任をして強制執行をやるということは、普通の国民は一生に一度あるかないかなんだ。相互銀行とか金貸しとか、公正証書に基づいて執行専門にやっているような債権者で、こういう人たちの手数料が少々上がろうと、弁護士に払う費用、公証人に払う費用、そういった全体の訴訟費用の中から、執行吏に払われておる費用は微々たるもので、極端にいえばただみたいに安いのです。私は、家屋の強制執行は一ぺんやったことがありますけれども、これだって執行吏に払った費用は今言った通り、自分で払ったことがないからわかりませんが、わずかなもので、家一軒でも、悪い債務者に対して、暴力団が入っているのをほり出そうと思えば、十人二十人の人夫を連れて行って私が陣頭指揮しなければ出せない。そして何万と金がかかっているわけですね。その中で執行吏に払っている費用は、二百円か三百円か知らぬけれども、ただのようなものなんです。ですから、執行専門にやっている高利貸しとかあるいは相互銀行とか、負担能力がある人たちが払っている執行吏手数料というのは微々たるものだと思う。一般の国民大衆が裁判をやって、三年、五年かかってやっと勝った。そうして執行吏に払う費用も、弁護士に払った報酬、手数料その他の費用から比べると、私は問題にならぬほど低いと思う。大体執行吏に払う費用というものは、たとえば葬式の費用と同じで、裁判に勝って最後の仕上げに払うのに、まあお祝儀をつけたいというくらいの気持で、いつまでもこういう不愉快な争いをしたくないという終止符を打つことですから、私はこれの手数料の現在の額がかりに倍の一〇〇%増額になったからといって不当に高いというような、あるいは国民はそう裁判をしょっちゅうやっているわけじゃないのですから、執行を委任する国民大衆の中の債権者というものはごく限られた、しかも、それも一生に一度あるか二度あるかという程度の費用で、しかも全体の訴訟費用の中で占めるウェート、またその性質から考えますと、公共料金的性格だから、そして執行吏公務員の端くれだから公務員を泣かしておいたという考えは、私はちょっとかわいそうな気がするのです。むしろ、一般の国民は逆に執行吏に、適正な手数料であれば少々の手数料を払っても早く執行してほしい、公正な、適正な執行をしてほしいということを願っているわけです。むしろ、今のように手数料が安いから、頼んでも、それこそ一週間も十日もほっておかれる。そうして数件固まってから一ぺんに一緒に執行に行ってもらうというようなことで、一般の債権者も必ずしも満足しておらないと思うのです。ですから、公共料金的性格から、一足飛びに二五%から一〇〇%にというのはちょっと一般の世論がどうかというお考えもあろうかと思いますけれども、予算が伴うわけでなく、これは大衆負担になりますが、今言いましたように、精神的にもあるいは物質的にもそれほど大きな負担を感ぜずに済むのじゃないか。そういう意味で、今の執行吏の身分、義務は公務員でありながら、手数料の点以外に何ら特権らしい特権がない。社会保障制度もない。税法も勤労所得税の適用を受けてないのです。一般の事業所得税を払っておるということでして、私は、こういういやな、しかもぜひ必要な国家機関に働かす執行吏手数料について、予算云々の問題じゃございません、また弁護士会の意見も一般の世論も聞いていただいてけっこうです。ですから十分実情に即した改正案を、私、先ほど指摘した不動産執行などのごときと単なる金銭債権の差し押えとの手数料のバランスという点も十分御検討願って、次の国会にぜひ検討された結果を具体的にお示しを願いたいということを強く要望いたします。  ほかのお尋ねしたいこまかい点がございますけれども、時間の関係、また上村委員がおそらく相当詳細に質問されたことだろうと推察しますので、この程度にとどめますが、一つ大臣もお見えのようですし。こういう日の当たらない非常に下級の公務員の、身分もきわめて不安定なこういった執行吏という特殊な公務員の給与の改善について、法務当局、裁判所当局だけでなしに、大臣も政治家としてこういう分野についても思いをぜひいたしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  62. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 関連して一点。執行吏待遇向上については私どもも異論はありません。先ほど上村委員からもお話がありましたが、執行吏制度の根本的な改善とでも言いますか、これはぜひ必要だと私は思うのです。と申しますのは、執行吏は、公務員であっても独立の事務所を持って、そこで独立の執行行為をやっている。ちょっと中性的な感のする職務でありますが、まかり間違えば執行の公正を欠くことが多いのです。先般もあるところで不動産の競売をやったのですけれども、時間が来たから競売をやったのでしょうが、来るとすぐに事件屋と組んで不動産の競落を実施した。債権者なり債務者なりが買い戻しをしたいがために自分で競落する気持で行ったところが、すでに事件屋の手に渡っておった。これを買い戻すために幾らかかったかといえば、三十万円金を出さなければどうしても買い戻しができない。これは執行吏が執行に当たって事件屋と組んで金もうけのためにそういう執行をやったのであると思うのです。法律的に違法であるかどうかということは別問題として、しかしあとで三十万円、五十万円持ってこいと要求する以上は、やはり執行吏との間に何らかの密約があってやったのではなかろうか。私は執行吏待遇改善については大賛成ですけれども執行吏の執行行為のやり方について一体どういう監督が行なわれているのか。非常にむずかしいと思うのですが、公務員である以上は、やはり具体的な執務について、監督者としてはある程度の監督をしないと、そういうことが各地にあるだろう。これがひいて執行吏の不信となり、あるいは裁判所の信用を失う、あるいは判決の効力を失うというようなことになりかねないと思うのです。それでこの執行吏に対する上司の監督は一体どういうふうに行なわれているか、その点を含めて執行吏制度というものの根本的な改正が必要ではないか、かように思うのですが、御意見はいかがですか。
  63. 仁分百合人

    仁分最高裁判所長官代理者 執行吏の監督の問題でございますが、これは地方裁判所に置かれている裁判所職員ということになっております関係で、第一次的には地方裁判所、それから裁判所法八十条におきまして高等裁判所最高裁判所いずれもこれが監督機関ということに法律的にはなっております。ただ地方裁判所に置かれております関係で、昭和二十九年にできました監督規程によるのでございますが、裁判官会議を構成する裁判官が査察官に毎年任命されるわけでございます。その査察官が定期に、一年に二回以上執行吏役場へ臨みまして記録とか書類それから保管の金品などの検査をいたします。そしてそれは最高裁判所の方にも報告が参るわけであります。そのほかに執行の現場に臨みまして職務の執行を監察することができるということになっておるわけでございます。しかし、執行吏の職務の執行というものが裁判所の外で行なわれておるという関係から、現場に臨んで職務の執行を監察するということは事実上非常に困難であるということで、しかも執行吏が直接当事者から依頼を受けまして手数料を受領して、しかも独立の権限に基づいて執行するという現行の建前からは、監察にもおのずから限界が出てくると考えるのであります。そこで根本的にはやはり執行吏制度というものを改めていただかなければならないのではなかろうかと考えているわけでございます。現在法制審議会におきましても執行官制度というものが検討されている段階でございます。
  64. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 これは執行吏の教養と言いますか、そういう点にも大いに関係があると思うのです。ですから、やはり検事の会同のように執行吏の会同などを催して訓示するとか執行方法の公正なやり方について指示するような制度をつくる必要があると思います。そういう点に力点を置いて将来は執行吏制度の根本的なあり方というものについて御検討を願いたい、こういうことをお願いしておきます。  それからもう一点、先ほど商法改正法律施行法の一部改正について、六大都市のほかに北九州市を入れたわけですね。ところが、これと同じような規定訴訟費用等臨時措置法の第三条に、京都、大阪、名古屋、神戸、横浜、こう書いてございますが、商法改正のうちには今度の北九州市を挿入する改正をやる。これと同じようなことですが、入っておりませんが、これは裁判所の管内は一つだから省いたのだろうと思うのですけれども、これはやはり検討なさって必要はないということでやったのですか、どうですか。ちょっと疑問ができたものですから……。
  65. 津田實

    津田政府委員 ただいま御指摘の訴訟費用等臨時措置法の第三条で、六大都市につきまして旅費が定められておる。こういう点について北九州市を入れるかどうかという問題でございますが、これにつきましては一般旅費との関係もにらみ合わせて考えなければならぬ問題でございます。ただいまのところは、これを六大都市並みにするのが適当か、その他と同様に考えるのが適当かという点については、まだ確たる結論が出ておりませんし、ことに北九州市は難足した当初でございますので、その実情を見た上で考えたいというふうに考えて、今回は見送っておるわけです。
  66. 坪野米男

    ○坪野委員 先ほど、執行吏手数料の合理的な改正という点について私の意見を申し上げ、また法務大臣に要望しておいたわけでございますが、この際一つ法務大臣に、執行吏手数料の抜本的な改正ということについて法務当局なりあるいは裁判所協議されて、できるだけ近い次の機会までに十分な検討を加える御用意があるかどうかということについて所信をお伺いしておきます。
  67. 中垣國男

    中垣国務大臣 お答えいたします。先ほどから各委員の方からいろいろ御指摘いただきまして、まことにもっともであると思う点が多いのでございまして、執行吏の重要な職務は、申すまでもなく裁判の結果についての実行をするわけでありますから、実行が終了してこそ裁判の判決の結果になるわけであります。そういう大事な仕事をしておるのに、執行吏の大体の収入が手数料であるというような制度並びに執行吏に対する監督上の制度、そういったようなものにつきましても、もう少し検討をいたしまして、できるだけ早い機会に十分整備した制度提案をいたしまして、御審議をいただきたい、かように考えております。
  68. 高橋英吉

    高橋委員長 本案に対する質疑はこれで終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  70. 高橋英吉

    高橋委員長 これより討論に入る順序でございますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  71. 高橋英吉

    高橋委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、ただいま可決いたしました本案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  73. 高橋英吉

    高橋委員長 次に、裁判所司法行政に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますのでこれを許します。猪俣浩三君。
  74. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 法務大臣お尋ねいたします。最高裁判所の人事につきまして二、三お尋ねしたいと思いますが、最高裁判所の判事の任命につきまして、法務大臣はどういう職責を持っておられるか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
  75. 中垣國男

    中垣国務大臣 最高裁判所の裁判官の任命につきましては、法務大臣が候補者を選考いたしまして、これを内閣に推薦をいたしまして、内閣がこれを任命するということになっておりますので、法務大臣といたしましては、あらゆる点から十分裁判官としての人格識見を持たれた方を御推薦申し上げる、そういう重要な職務があるわけでございます。
  76. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 最高裁判所の判事の任命は、裁判所法三十九条によって内閣が任命することになっておりまして、法務大臣が推薦しなければならぬというようなことは規定には見えないようでありますが、法務大臣は閣僚の一員として、当然の職責としてやられることだと思うわけであります。そこで、その推薦をなさるについて従来の慣行もあるわけです。たとえば最高裁判所等と、あるいは日本弁護士会等とよく話し合いをされて推薦されるのかどうか。これは法的根拠を聞いておるのではございません。従来の慣行をお尋ねしておるわけです。
  77. 中垣國男

    中垣国務大臣 最高裁判所の判事につきましては、最高裁判所の発足当時から、判事の非常に重大な任務にかんがみまして、大体選出の母体というようなものを三つの母体に限っておるのでございまして、その一つは、判事の経験のある判事出身の方、それから在野法曹の弁護士の経験のある弁護士出身の方、それから一般の学識経験者の、それぞれ専門的な法曹経験あるいは各法律に対する学問の権威者、そういう者の中から選ぶということで、大体三つの母体々選出の基準にしておるのであります。任期が完了いたしますと欠員ができるわけでありますが、その後任を内閣が任命いたしますにつきましては、判事が五、弁護士が五、学識経験者が五といったような大体の標準と言いますか、原則というものを尊重いたしまして、そういう建前から選出をいたしておるのでありまして、もちろん弁護士会から出る場合には日本弁護士会の意見を十分に聞きますし、また判事から出られる場合には裁判所の御推薦を承り、一般の学識経験者の場合には法務大臣は慎重にこれを検討いたしまして内閣に推薦をする、こういう形を従来とっておるのでございます。
  78. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そこで一体こういう五、五、五の十五人の比率が現在の最高裁判所関係においてどうなっているかお尋ねしたかったのですが、今事務総長がお出かけだそうですからこれは事務総長にお尋ねすることにいたします。  法務大臣がとにかく裁判所、弁護士会の推薦を待って内閣に推薦なさるということを承ったわけですが、先般の新聞紙に、この三月十四日ですか定年になられました高木常七判事の補充といたしまして名古屋高裁長官の近藤さんが各新聞に一斉に報道せられたわけであります。ところが、その後それは違うのだとか取り消しだとかいうような新聞報道もあったようであります。何か不明朗な巷説が行なわれているわけであります。このいきさつについての御説明をいただきたい。
  79. 中垣國男

    中垣国務大臣 人事のことでございますので、あまりここで詳細に御報告申し上げることは差し控えたいと思うのでありますが、先般の新聞に、中垣法務大臣が弁護士会の推薦によって現職の名古屋高等裁判所長官々最高裁の判事として推薦する決定を見たというような報道がなされたのでありますが、あれは全く事実無根と申しますか、まだ何ら決定をしていなかったにもかかわらず、かような報道がなされたのであります。そこでその新聞報道に対しましていろいろ意見等がございましたので、まだ白紙である、ただいま弁護士会や裁判所側とも意見の交換中であるからというようなことで、一応私の考え方を白紙であるという立場から述べたわけで、そのことが新聞の報道になったかと思うのでありますが、そういう特定の人の名前をあげてどうこうということは、ここで議論するだけでもどうかと思うのでありますけれども、あの当時そういう段階では全然なかったのでございます。
  80. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 各新聞紙がほとんど全部報道せられたのでありまして、こういうことは常識上、法務省側から発表されなければ全国の各新聞が一斉に報道するなんということはあり得ない。これは一、二の新聞記者が特種として報道するような場合においては、往々出し抜こうということから、まだ固まらないようなものを発表するきらいなきにしもあらずでありますが、こういうことを東京の大新聞その他全部一斉に報道するということは、何らかのさような権威ある機関から発表された、こう思うわけでありますが、今それを私どもかれこれ言うわけではありません。ただ近藤さんについては非常に気の毒で、人権問題にたることでもあります。そこで今真意のあるところをお尋ねしたわけでありまして、もちろん近藤さんは実に最適任の人だと思いますけれども、ただ、これを報道せられてそのまま立ち消えになったような形になっているのははなはだ遺憾であると思うのであります。  そこで、なおその新聞の報道するところによると、この名古屋高等裁判所の長官近藤さんを日本弁護士連合会が法務大臣に推薦をしたというふうに報道されておりますが、そういう事実はあるのですか。
  81. 中垣國男

    中垣国務大臣 日本弁護士会に私が諮問をいたしまして、今度は弁護士の方から最高裁の判事々補充しなければならないと思うので、適当な人があったら御推薦をいただきたいということを正式に申し入れをしたのでありますが、そのときに、その後になりまして三名の方の名簿を持ってこられたわけでありまして、それにつきましては日本弁護士会からはいろいろ要望等が加わっておるのであります。その第一は年令というものにこだわらずに、りっぱな人であったらぜひともわれわれの推薦した中から採用していただきたいというようなこと、それから法務大臣は五、五、五の比率を尊重していただきたい、これを軽視、無視されることでは因るから、といったようなことの申し入れもあったのであります。それから、先ほど申し上げましたように人事のことでありますからちょっと的確に言いにくいのでありますが、ある人につきまして、この三人の中で二人が適当でないというようなことにもしなったならば、弁護士会には人がないから、そういう場合には、弁護士出身でなくてもこういう人は非常にりっぱな人と思うので、一つ最高裁の判事にぜひとも御推薦をいただきたい、こういうようなことがございまして、そのことを最高裁の方にもお伝えをいたしまして、そうして慎重に——人事でありますから、先ほど猪俣さんからも御指摘がございましたように、これは非常に迷惑をかけるようなこと等にもなるような結果にならぬとも限りませんので、非常に慎重に取り扱っておったわけでありますが、先ほど猪俣さんは、おそらく法務省の権威のあるところから出たニュースではないかという御指摘でありますが、さようなことは今度は断じてございません。法務省では、この問題は私と事務次官だけが知っておったのでありまして、新聞に報道された当時は、内閣はおろか、まだ法務省の金庫の中にその名簿が入っておりまして、だれも知る機会はなかったのでありますが、まあ、ああいう結果になったことはまことに遺憾であると思います。そういうことでございますので、現職の高等裁判所の長官という地位に対しましても、一そう私は注意深く用意周到にあちらこちらのいろいろの意見を聞いておった途中であった、そういうときに発表された、こういうことがあのときの真相であります。
  82. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この最高裁判所の判事は、三権分立の見地から見ましても重要な職責だと思いますので、慎重に御推薦をし、なお閣議においても法務大臣から慎重なる御発言をいただきたいと思います。  実はこの法曹一元の問題が、御存じのように司法制度調査会の重要なる調査題目となっております。現在法曹一元の精神がある程度貫かれておりますのが、最高裁判所司法修習制度であります。つまり判検事、弁護士の卵の養成と、それからその最高の上り切ったところとが、ある程度法曹一元になっておるわけです。これを今度は全部に及ぼすというのが大体の方向のわけでありますが、その際ですから、最高裁判所においても、この五・五・五の比率についてはよほど注意してやっていただきたいと思うのです。そこで、裁判官を五にする、弁護士出身を五にする、学識経験者を五にする、というのですが、そうすると、一体裁判官五という裁判官は、現在裁判官になっている者をいうのか、あるいは弁護士の五というのは、現在弁護士、任命の直前弁護士であるという意味なのか。それから学識経験者ということになっておりますが、検事はこの中に入るのかどうか。そういう五・五・五の比率を守るにつきまして、何が裁判官の五に当たり、何が弁護士としての五になり、何が学識経験者として五になるかというようなことは、別に法令的な規定はありませんので、相当問題があると思う。ただし、これはなかなか簡単な問題のようであって重要な問題でありまして、この五・五・五の比率というものを保つということが、法曹一元をいわれている現在においては非常に大切なことでありますので、そこでこの定義も非常に大切なことになるかと思うわけであります。そこで、これは最高裁判所の事務総長によく聞きたいと思いますが、法務省あたりで御理解になっておる裁判官出身君名にするという裁判官というのは、どういうふうな定義のもとにおきめになるか、それを一つ承りたい。それから弁護士とは、どういう定義のものを弁護士出身五名とするのであるか。学識経験者といえば、これはもうわかるわけでありますが、その中に検事出身が含まれるかどうか。検事出身が含まれるとすれば、学識経験者の中に何人くらいを検事から充てるような内規でもあるのかないのか、その点のことをお尋ねしたいと思うのです。
  83. 中垣國男

    中垣国務大臣 別にその問題につきましては、日本弁護士会並びに裁判所側、法務省側におきまして、申し合わせであるとか、あるいは内規であるとか、そういうことは別にないのでございまして、常識をもちまして、判事というのは、やはり判事出身の現職の判事というものが一番適格な判事だろうと思いますし、弁護士は、やはり在野法曹ということでありますから、弁護士の登録を受けておられ、弁護士として活動しておられる、そういう人を言うのだろうと思います。それから学識経験者というのは、やはり法律を学問的に検討される力のある、たとえば現横田長官のようなああいう経歴の方、あるいはまた立法作業並びに諸制度等に対しての、そういう法制上の非常に豊かな経験のある者、それからたとえば検事のような、そういう検察行政等につきましても経験のある者、そういうものを学識経験者と言うのでありますが、学識経験者の中に、たとえば学者を何名とるとか、あるいは法制局長官並びに法制上の経験のあるたんのうな方を何名とるとか、検事を何名とるとか、そういうことは、法務省にある記録によりますと、別に定めてはないようでございます。努めてバランスのとれた人事と申しますか、片寄らない配置をしていくということが一番ほんとうであり、良識的なやり方ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  84. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 最高裁判所の事務総長がおいでになったようでございますので、お尋ねいたしたいと思います。この三十八年度と申しますか、今年から来年の一月ごろまでにかけて、最高裁の判事にして定年に達する人の人名及びその定年の時期、それを御説明いただきたいのです。
  85. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 実はよんどころない事情がございまして遅参いたしまして、おわび申し上げます。  お尋ねの、今年から来年の初めにかけまして定年退職される最高裁の裁判官を申し上げます。一番近いところでは、本年の五月二十二日に池田克裁判官が定年退官されます。それから本年の六月一日に河村大助裁判官、本年の十一月十四日に垂水克己裁判官、本年の十二月三十一日に河村又介裁判官が、それぞれ定年退官されます。本年中はそれだけでありまして、来年の初めになりますと、一月二十八日、下飯坂潤夫裁判官が定年退官されます。
  86. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると五人でございますね。
  87. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 そういうことになります。
  88. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、今法務大臣に聞いておりますが、最高裁判所の判事は、慣行として、裁判官出身、弁護士出身及び学識経験者、いずれも五・五・五の比率で任命するようになっておるわけですが、この五人の方々のこういう意味の色分けはどういうことになりますか。池田克さんは裁判官ですか、弁護士ですか、学識経験者ですか。
  89. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 私の方では、学識経験者から任命されたものと考えております。それから河村大助裁判官は弁護士から任命されたものと考えております。それから十一月の垂水裁判官、これは裁判官から任命されたものと考えております。十二月三十一日の河村又介裁判官は学識経験者から任命されたものと考えております。一月二十八日定年の下飯坂裁判官は裁判官から任命されたものと考えております。
  90. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、三十八年度の定年になられる方は、弁護士から出られた、弁護士会で推さねばならぬ者が一人、それから学識経験者としてとられた者が二人、それから裁判官としてとられたものが二人ということになりますが、池田さんは検事上がりだと思いますが、検事出身者は学識経験者の中に入ることになっておりますか。
  91. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 このスペースと申しますか、色合いは、私の方では、実を申し上げますと、内閣で任命されますのではっきりしたことを申し上げられないのでございますが、池田裁判官は、長い間検察官をやっておいでになって、それから弁護士を数年やられてから裁判官になられたのですが、私どもとしては学識経験者の中から任命されたと考えておるわけでございます。
  92. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そこで、あまりそういうことをやかましく言うのも非常識かもしれませんが、なかなか五・五・五の比率を、何が裁判官で何が弁護士で何が学識経験者かということに実は問題があるわけでありまして、現在任命の直前に弁護士だった者が弁護士ということになるのか、今あなたの説明でいうと、池田克さんは五月に定年になられる。この方は弁護士をやられておる。それが学識経験者として入っておられる。なお、もし過去の経歴を言うなら、この人は検事なんですね。また就任直前をいうならば弁護士だ。それから今の高木常七さんがおやめになった。これは一体弁護士としての比率の中に入っているか、あるいは裁判官か学識経験者か、どちらなんですか。
  93. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 高木裁判官は相当期間弁護士をやっておいでになって、終戦後裁判所に入られまして、それから十何年かやられましてから六十五才で定年退官になられまして、それで弁護士を登録されまして、それから三カ月ぐらいたってから弁護士会の方の推薦で最高裁判所の裁判官に任命されたというふうに私は聞いております。従って、私の方では弁護士から任命された方であると考えております。
  94. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうしますと、今度はその後任として出る方は、やはり弁護士会の推薦ということが原則だということになるわけですが、これは法務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  95. 中垣國男

    中垣国務大臣 できるだけ弁護士会が推薦した方からとっていきたい、こういうことでございます。
  96. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それからいま一点聞きますことは、現在裁判官であられても、その過去の経験が弁護士として相当長い経験を持たれ、それから裁判官になられた、そういう現在裁判官であっても過去において非常に長い間弁護士をやっておられたというような立場の方、これが日本弁護士連合会から五・五・五の弁護士の比率として推薦されたという場合には、これは裁判所側はどうお考えになりますか。現在は裁判官だ、しかし過去に長い弁護士の経験があられる方で、しかも日本弁護士連合会が推薦したというのは、弁護士の株——株というのも妙ですが、弁護士の株として採用されるか、裁判官として採用されるか。この五・五・五の比率を守る上におきまして、これは相当デリケートな問題だと思いますが、これは裁判所側はどうお考えになりますか。
  97. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 経歴につきましては、それぞれの方に当たってみますと、弁護士をやられたり、裁判官をやられたり、検察官をやられたり、いろいろになっておりますので、これをかっきりと定義づけることはなかなか困難でありますが、今お話しのように弁護士を相当長くやられまして、それから法曹一元というようなことでできるだけ弁護士としての経験を裁判所の中に入れるという意味で裁判官になられ、裁判官になられてからも相当たたれました方は、私の方は弁護士出身の裁判官と考える。従って、もしその方が最高裁判所の裁判官に任命され、日本弁護士連合会の推薦があるということでありますれば、これは弁護士出身の方が任命されたというふうに考えておるわけであります。
  98. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、現在裁判官であるといたしましても、過去において長い弁護士の経験があり、かつ日本弁護士連合会が弁護士側の推薦として推薦してきたときには、裁判所側は弁護士の五の比率として採用して差しつかえない、こういう御意見でありますね。
  99. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 おっしゃる通りでございます。
  100. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なぜこんなに念を入れて質問をするかというと、巷間だいぶ最高裁判所態度について疑問を持つ人がありますので御質問したのです。具体的の人名をあげての質問は差し控えますが、ただそのお考えさえ聞いておけばいいわけであります。  そうすると、五・五・五の比率の、裁判官とは何ぞや、弁護士とは何ぞや、学識経験者とは何ぞやというような問題につきましては、現在裁判官である者は全部裁判官の五の比率の中として採用するということでなしに、なおその人の前歴によって、しかも弁護士会の推薦というようなことで考慮してしかるべしというふうに御答弁になっております。それに間違いありませんね。
  101. 下村三郎

    ○下村最高裁判所長官代理者 その通り私の方では考えております。ただ一言つけ加えさしていただきますと、弁護士から最高裁判所に入られる方のうちで、直接最高裁判所に弁護士から入られる方もございますし、弁護士からある期間下級裁判所の裁判官として勤務されまして、それから今度は最高裁判所に入られる方もあるわけでございます。私の方としては、そういうことにはあまり差等をつけないで考えたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  102. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 法務大臣に今と同じ質問を伺いたいと思います。
  103. 中垣國男

    中垣国務大臣 現職の認証官である判事を弁護士として認めなければならない場合があり得ると私は思うのです。というのは、非常に適当な人がないという場合に、解釈を拡大いたしまして、かつて弁護士であったというような考え方でそういうことをする場合があるかと思うのでありますが、原則といたしましては、やはり判事五というのは、現職の判事が弁護士出身であろうが、検事出身であろうが、あるいは学者の出身であろうが、やはり法曹一元化の建前から言えば、むしろ現職の判事は判事として、裁高裁の判事に登用して任命されることが私は正しいと思うのです。しかしながら、たとえば今度の場合は、弁護士会が推薦したのではないのでありますけれども、弁護士会がはっきりと弁護士で推薦した中に現職の裁判官があった場合に、他に適当な人がないというような場合には、当然私は弁護士として任命されてもよいのではないか、こういうふうに考えております。  それから先ほど私にお尋ねになったことで、少し説明が足りなかったと思うのでありますが、弁護士につきましても同じことが言えると思うのでありまして、やはり在野法曹で二十年、三十年の純粋の弁護士としてこられた方を、弁護士のワクの中で最高裁の判事に任命をする、これがやはり原則だろうと思います。ところが純粋の弁護士としてこられた人の中にどうも適当な人がない。それよりもかつては判事であった、かつては検事であった、もしそういう人があれば、そのとき弁護士をしておられて推薦された場合は、やはり弁護士として認めていかなければならぬだろう。はたしていずれが適任者であるかといったような問題について慎重に考えなければならないような段階に至りましたときには、そういう少し幅を広げた考え方をする場合もあろうかと思いますが、どこまでも原則として法務大臣としましては判事五、弁護士五、学識経験者五と、人事の機構上の問題に何らかの変革がない限り、これはやはり守っていきたい、かように考えております。しかし、決してそれにとらわれてしまって、それから一歩も融通がきかぬというのではないのでありまして、やはりことしのようにたくさんの最高裁判所の裁判官の人事が行なわれます場合には、まず判事のワクの中からとるときには、ほんとうの判事であるかどうかということが一番先だろうと思うのです。弁護士の場合には、やはり純粋の弁護士であるかどうか、学識経験者が真の意味の学識経験者であるかどうかということだけは、法労大臣はそういう推薦の職務がありますから、選考の心がまえといたしまして、そういうことを守っていきたい、かように考えております。
  104. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 終わります。
  105. 高橋英吉

    高橋委員長 法務大臣の名答弁で、猪俣さんが得心されたようですから以上で終ります。      ————◇—————
  106. 高橋英吉

    高橋委員長 次に、検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますのでこれを許します。志賀義雄君。
  107. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先日来問題になっておる石黒義成を利用した監禁事件の真相、特にその背後関係について明らかにいたしたいと思いますので、法務、警察両当局より率直に答弁をお願いする次第でございます。  まず三輪警備局長に伺いますが、この前石黒が東京、大阪、間に石川をおいてのでっち上げ構想があったということを本人が言っておったということは御答弁になったのでありますが、局長は、これを万惣の支配人が石黒から聞いたというふうに御答弁でございますが、私どもの方で万惣の支配人に聞きましたところ、警察にそんな答弁をしたことはない、それを公表されてもよろしい、こういうふうに言っておるのでございますが、そこはどうでしょうか。
  108. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 警察で本人に聞きました通りこの前お答えいたしたのでございまして、そのお答えを変えるつもりはございません。
  109. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ところが、在庁略式裁判で罰金二万円が確定した、係検事は片倉検事であった、こういう御答弁が法務省刑事局長からございましたが、本人よりか、だれから送ってきたものかわからないとこの前おっしゃったのですが、罰金はどこのだれから送ったのでございますか、受け取りがございますか、返ってきたのか、その点御答弁願いたい。
  110. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 この前も申し上げましたように、判決確定後昨年の十二月十一日に、横浜市磯子区磯子町百六十七、石黒義成という名義の現金書留が地検に送られて参りまして、これを収納したわけでございます。ところで、収納いたしました場合には、罰金納付者に対しまして領収証が検察庁から渡されるわけでありまして、ただいま申しました住所地あて領収証が発送されたのでございますけれども、あて名人が見つからないという理由で、その領収証は東京地検に返戻されております。従いまして、送り主が本人であると推定するほかないのでありまして、本人であるか、また第三者がかわって送金したかというふうなことは、領収証の返戻されたというその事実だけからは推定できないわけであります。
  111. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 私ども、先日申し上げましたが横浜市磯子区磯子町百六十七、石黒義成という人物はおりません。いないとすると領収証は返ってくるでしょう。そうしますと、これはしごくあいまいな人間を釈放した、こういうことになりますね。第一身元引受人がわからない、だれがつき添ってきたのか、こういうことがはっきりしない。率直に申しますが、検察庁、少し警察庁にいたされましたね。はなはだ妙な事件じゃございませんか。今までそんな例がございますか。罰金を納付して領収証を送ったところがそれがつかない、こういう事例が今まで日本の検察史上ございますが。
  112. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 これは遺憾なことでございますが、間々あるということを申し上げざるを得ないのでございます。これはどういうわけかと申しますと、いわゆる領収証が葉書の形をとっておりますこの形式に欠陥があるかとも思いますが、とにかく罰金の領収証のようなものを郵便物で受け取るということは、みえから申しましても、他人に対する関係から申しましても、あるいは恥ずかしいと考える向きもあるかと思いますけれども、実際に郵便で罰金を納めてくる場合には、相当数の者が虚偽の住所を使ったりなどして送ってくるようでございまして、そのあて先に送りましても届かないで戻ってくる例が相当数あるということが実情のようでございます。
  113. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 このことはもう少しあとで伺いましょう。  次に、警察庁では、前回私が質問した石黒がいた荒川荘の場所を問い合わせてこられました。私の方で教えましたが、石黒の所在はその後わかっておりますかどうか、それを伺いたいと思います。
  114. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 この前のお尋ねでお伺いいたしました荒川区の荒川荘というところでございますが、ここを調査いたしましたところが、去る二月二十二日、二十四日、三月四日、七日及び八日に大高光一という名前で同旅館に宿泊した人物があるそうでございます。これが本人であろうということを管理人が言っておりました。なぜこれが本人であるかということを押して聞きますと、三月八日に本人が外出先から帰って参りました。夜中のようでございますが、すぐ続けて二人が入ってこられまして、今入った石黒に会わせてくれということを言ったそうでございます。いや、あれは大高という人だということを申しましたところが、あれは石黒に違いないということで何かメモを渡して、これを渡してくれということであったそうでございます。そういたしますと、その石黒という人物と一緒に泊っておりました木村博という、左官屋だそうでございますが、これが出て参りまして、石黒という人物ではないということで、その問答も詳しいことはもちろん覚えていないようでございますが、会わずに帰ったということを言っておりますので、この大高という人物が石黒という人であろうか、こういうことを言っておられたそうでございます。しかし、現在はそこにおりませんわけでございます。
  115. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どこにおるかおわかりになりませんか。
  116. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 現在の所在は私どもわかっておりません。
  117. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ところで三月十五日のことでございますが、岩間正男参議院議員が竹内刑事局長に、大塚上町二十八番地五十嵐繁三郎所有のアパートにいる、法務省勤務と称している坂井七郎なる人物について調査を依頼いたしました。法務省は警察庁にも連絡されて調査されたようでありますが、その結果はいかがであったのですか、どういう人物であったのでしょうか。
  118. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 そのとき岩間さんからお尋ねがありました坂井七郎という人は、何か法務局に勤務しているというようなことを言っておるので、法務局にそのような名前の人がいるかどうかということを調べてもらえないかということでございまして、よその局の職員でございますので、その局を通じて、いるかどうかを調べましたところ、そういう名前の方は法務局には在勤していないということでございました。それからなお警察庁にも、五十嵐繁三郎方に住んでおるということでございましたので、そういうところに坂井という人が住んでいるかどうかということを警察庁から所轄の警察の方を通じてお調べになったと思いますが、調べていただきましたところ、坂井という人は昭和三十六年十一月から五十嵐繁三郎の経常するアパートに住んでおるのでありますが、現在ではいないということでございました。
  119. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 私がここで質問したのは、去る三月十四日でございました。三月十四日に、その坂井七郎というのは五十嵐アパートの自分の表札をめくってどこかへ行ってしまいました。私が質問した直後です。これが五十嵐アパートにいた坂井七郎という男でございます。   〔写真を示す〕 これはアカハタにも出ました。昨年十一月十日のこの法務委員会で、渡辺道夫という人物について私がお尋ねしたときに示した写真であります。そのときにそういう人物は知らないというお答えでございました。この坂井七郎という者の本名は鈴木英夫で、神奈川県警警備部公安課鈴木英夫警部補であります。その人物が目をつぶっておりますからわかりませんが、写真をとるときはそういうふうに目をつぶるものですから……。これは別のところで私が、目をあけているところをとった写真です。   〔写真を示す〕 これが鈴木英夫警部補です。これが坂井七郎という名前を使ってここに住んでいたのであります。その鈴木英夫警部補の住所は、横浜市中区本郷町三丁目二百二十二番地に奥さんと子供さんと一緒に住んでおります。しかもこの五十嵐アパートに別の婦人と同居しておりました。三月十四日私が質問したその日に消えてなくなりました。つまりアパートの部屋に郵便受けがあって、そこに張ってあった名刺をはがして行ったのであります。それで、ここでは法務省の役人だと言っておりました。法務大臣しっかりして下さいよ。法務省の役人と言っていた。その人物がそこにいたことはみな人が確認しております。これは何か神奈川県で特別に捜査本部を設けたり、その他どうしても東京のこういうアパートに住んで捜査をしなければならないようなことがあって警察庁なり警視庁なりが同意してこちらに住んでいるのでございましょうか。向こうにはちゃんと奥さんと子供さんがいる。そうしてここにいる。これは御存でしょうか。
  120. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 大へん重大なことを断定なさいましたので、これは私も責任を持って調べるつもりでございます。今のお言葉は、横浜に妻子のいる警部補が、三十六年十一月から別の婦人とこのアパートにおったということをおっしゃいました。この断定をされた事実について、私どもは警察の責任において調べてみます。しかし、私は存じませんのでここで断定的なお答えはできませんけれども、神奈川県の警察が三十六年十一月からここにずっと住んで東京で仕事をしなければならないという捜査本部の事件もございませんし、またそういう事柄でもございません。事柄によりましては、県境を出まして関係のある事件の捜査をすること、これはございますけれども、しかし三十六年十一月からと申しますと実に一年有余でございますが、そこに住んで東京で仕事をするというようなことはございません。これは一般的なことでございます。ただ、今断定なさいました非常に重要な事柄につきましては、責任を持って調査をいたします。
  121. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 近所の人たちのお話で、婦人と同居しておった。これはどういう関係にあるか私はまだわかりませんよ。それを調べていただきたい。  ところで、その坂井七郎という人物は架空の人物ではないのです。実在の人物です。東京都文京区長井形卓三発行の住民票の謄本がここにございます。これによりますと、坂井七郎なる人物は、新潟県中蒲原郡亀田町大字亀田千四百五十四番地にありました。そこから三十六年四月二十日、五十嵐アパートへ住民票を移しております。住民登録を変えております。こういう人物であります。ちゃんと区役所に登録してありますから、これは間違いのないことでしょう。そこで、その坂井七郎というのはどういう人かというと、その写真と違う。この人が本物の坂井七郎であります。   〔写真を示す〕 違うでしょう。そうして、その坂井七郎という人は、新潟県にいたときにはどこに勤めていたかというと、新潟地方公安調査局に事務官として勤めておりました。ここにその坂井七郎という名前がちゃんと名簿に出ております。   〔写真を示す〕 名簿の写真でございます。坂井七郎。そうして、これが今の大塚の五十嵐アパートの写真でございます。   〔写真を示す〕 法務大臣、この人は今関東公安調査局に勤めているそうでございます。法務大臣に伺いますが、この住民票によりますと、三十七年八月十二日にまたもとの新潟県の方に住民登録が切りかえられております。そうして、この三月十四日まで、その坂井七郎、という名義のところに今の鈴木警部補がいたということになります。一体こういうことがあるものでしょうか。法務大臣、公安調査庁の役人が、警察の人と、この住居についてこういうことをするいとうことは、あり得ることでしょうか。こういうことを一々法務大臣に申し上げるのは少し殺生かもしれませんけれども、世の中にこういうことが事実あるが、それは法務大臣として、こういうことはお許しになれることでしょうか、どうでしょうか。
  122. 中垣國男

    中垣国務大臣 資料も何にも持ってもおりませんけれども、また全くこれは初耳でございまして、私には真偽のほどもわからないのでありますが、一般的な問題といたしましては、さようなことがあってはならないと思います。
  123. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 警備局長に伺いますが、こういうふうに、いざという場合を考えてこういうことをなさることがあるのでしょうか。
  124. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 たびたび情報活動でほんとうでない名前で言うということが問題になりましたが、そういう権力を使わないで話を聞く場合に、いきなり警察官であるという名を名乗らない場合はあるかもしれません。しかしながら、今の御指摘のような実在する人物の住民票を使ってその人物になりすまして、そうしてそこに住んでおるというようなことはあり得べからざることでございますし、また警察もそんなことをやったことは絶対ないと私確信をいたします。
  125. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そういうふうに絶対確信と言われますと、昨年十一月十日のあなたと私との問答をここで読み上げてみましょう。渡辺道夫という男です。「共産党の中央委員会勤務の宇田慎一郎に対して、途中で」途中でというのは公安調査庁が関係してしくじったのですが、「途中で関東興信所渡辺道夫という人物が出ました。これは私どもの判断では、どうも公安調査庁の人間ではないのですね。どうでしょう、警察じゃありませんか。」と私が聞きましたのに対しまして、あなたは、「「アカハタ」を拝見しましたが、警察の者だという報告はどこからも聞いておりません。」そこで私が、「そうですが、報告がきませんか。  〔志賀(義)委員、三輪説明員に写真を示す〕 渡辺道夫というのは、写真をとるときに後日証拠が残っちゃいかぬというので目をつぶったのです。こういうようなことは、局長くらいになると一々覚えがないかもしれませんが、人相に覚えございませんか。」お答えとして、「ただいま御呈示になりました写真は、「アカハタ」にたしか載っておりましたけれども、私が見知る男ではございません。」私がさらに「警察にないというのは、お調べになった結果ないと言われるのか、まだ調べてないのか、調べたけれどもまだその調べが終わっていないのか、その三つのうちどれに当たりましょう。」それでお答えとして、「警察という御指摘でございますれば、私の方が積極的に調べるのでございますけれども、私の方で警察だと判断される材料も、こざいませんし、格別調査を命じてはおりません。」こういうことなんです。しかし、私どもの調べたところでは、ただいま申し上げた通り、神奈川県警の鈴木英夫警部補であります。こうなりますと、これはきわめて重大ですね。石黒の背後にこの人がおる。この人は関東興信所のこの事件もあります。まだそのほかにもこの人の関係したこともあるのでございます。私どもいろいろ調べておるのでございますが、鈴木英夫警部補の生年月日、本籍、現住所、家族、それから全部調べました。経歴も私ども調べました。現に神奈川県に籍を置いておると思われる人がこういうふうに東京におる。それで写真までも私は示しておる。そういう人物がいないと言われると、これはまた大へんなことになります。今申し上げた通り、少なくとも住民票でこういう人がおります。この人を調べてみて、この坂井七郎という実在の人物が、私はそんなこと見たことがない——そこでその写真を示したら、みんな確かにこの人だと確認する。その警部補がいた。これは一体どう解釈できますか。これは現代版の忍びの者ではありませんか。私は、決していつもここで架空なことを質問したことはございません。本人の写真は戸高公徳の場合もちゃんとお示しをしたのです。それを当時の警察庁長官は最後まで知らぬ存ぜぬ。警察庁にいますよ、警察大学校にいますよ、これでも調べられない。どうしてこういうことをなさるのか。そこで私は、法務省の方でこの坂井七郎という人物を至急に正確にお調べ願いたいと思います。  それで警察庁にお尋ねしますが、この三月十八日、と申しますと、きのうでございますが、あなたの部下がここをたずねているのです。何にも御存じないようなことをおっしゃるけれども、警察の方がこの大塚の五十嵐アパートに行っておられるのですよ。つまりあなたは、昨年十一月十日に私が法務委員会で言ったときに何にもお調べにならなかったが、少なくともここまでくれば、菅生事件といい、島根県警の文書といい、これは続出するスパイ事件の一つだと私は思う。共産党の歴史を見ますと、こういうふうにスパイ事件をやられるときには、とかく日本にとって不祥事件が起こります。大森で銀行ギャング事件が起こったときには、戦争へぐっと入っております。それから下山総裁が殺され、松川事件が起こったあとでは、朝鮮で戦争が起こっております。どちらも共産党の幹部が、また共産党がそれを理由に弾圧されております。私どもは、こういう経験がありますので、今度は事の起こらない前に法務大臣にお目にかかって申し上げ、また警察庁長官にもお話ししたのです。こういうことが今日までの経過です。そうしてこの坂井七郎こと鈴木警部補は、約一年にわたって今申した石黒義成を利用してスパイ活動をやらせ、そして今度は、先日申し上げたようなでっち上げ事件を行なっているのです。横浜市磯子区磯子町百六十七、ここからの送付とこの坂井七郎と関係はないのでしょうか、どうでしょうか。そういう点も一つお調べになる必要があろうと思うのであります。  事柄自体は不発に終わりましたから、あるいは大森銀行ギャング事件、あるいは下山総裁事件、松川事件のように、世間の耳目を聳動するに至らないでおさめることができました。いいですか、この石黒という男は、今度のでっち上げ事件の脚本百八十ページくらいのものを毎日暗記しておったのです。それでこの石黒という男は孤児であります。本人は孤児と申しております。もう少し詳しい事情もあるようでございますが、成長期を少年鑑別所、それから私立の矯正院などで過ごしたということであります。こういう青年の弱点を利用して、警察がこれをスパイに利用するなどということは、人間を悪い道から救って正しい道につかせるという警察法の本旨からいっても、絶対にしてはならないはずです。現に私どもの党員で、矯正院においてこの男を矯正するために全力をあげた者もいるのです。共産党がこの不幸な少年を助けようとするときに、警察が逆にこれをスパイに使う、何ということです。  もう少し申しましょう。今度の事件が奇想天外でないことは、石黒が石川県から母危篤の電報で呼び返され、途中で共産党に拉致されるというくだりで事が始まっているのでありますが、石黒は下谷北署から、きわめて計画的に、あれほどの凶器を持って忍び込んだ事件を在庁略式命令で罰金二万円で済まされ、その罰金はどこからきているのかわからぬ、こういう事件であります。それで母危篤の電報を打って——石川県羽咋市本町の板金水道工事の本多工務店というところにしばらく勤めておりました。これは今の鈴木警部補から行けと言われた、こういうこともいわれております。そうして母危篤の電報は、調べてみますと、一月九日にちゃんと打たれております。それで、あなたは今重大な事件とかなんとかいうことで開き直ったようなことをおっしゃったけれども、柴田正子、柴田勝代、傷害を受けた勝代さんとそのお姉さん、石黒が坂井こと鈴木警部補と関係を持っておったことは、この二人の女性もはっきり知っております。こういうことであります。  まだ幾らもあるのでございますが、この鈴木英夫警部補は、法務省の名をかたったり、興信所だというにせの看板を上げたり、偽名を使ったり、法務省の役人の名をかたるどころか、これはどういう関係にあるのかはっきりしませんけれども、こういう住民票、こういう記載のあるようなことまでする。あなたは先ほど神奈川県警が、東京に来てこういう活動をやることはないと言われました。現にこの前言われたから、もうちょっとあなたの方にセンスがあったら、渡辺道夫、鈴木英夫警部補を神奈川県警の方に帰すとか、どこか本職に帰すとかするのが常識でしょう、それをどうしてこりずにこんなものに使うのですか。日本の警察はそれほどまずいのですか。児戯に、類するというか、何ともはや粗雑なやり方ですね。  なお、大臣と刑事局長に申し上げておきますが、この坂井七郎なる人物の奥さんのトクさんという方、このトクさんというのは東京には転入しておりません。ずっと亀田町に住んでいるということも判明しておるのであります。  それでもう一度重ねて大臣に伺いますが、公安調査庁では、自分の氏名、官職を他の官庁、特に警察に使用させることがあるかどうか。先ほどあなたはないと言われたが、事実こういうことがあるのでありますから、これは一体どういうことか、これをよくお調べいただきたいと思うのであります。警察も公安調査庁も、とうてい常識では判断のできないことでございます。私ども努力しまして、事件は——どれほどいろいろな工作をやり、いろいろのことを計画しておったに違いありません。そのうちの児戯に類することを一つ未然に防いだからよろしいものの——法務大臣にお伺いしたいのでございますが、ここまで申し上げたら、一つ事態を徹底的に明らかにしていただけますかどうか。ことに警察庁の管轄の役人が、あなたの方の所管の人物の住民票その他のあるところで居住しておった。しかも、私が質問したその日に、坂井七郎という名刺をはがしてどこかへ行ってしまった。こういうことがあるのです。一つ十分お調べいただけますかどうか、お答え願いたいと存じます。
  126. 中垣國男

    中垣国務大臣 きょう初めて志賀さんからいろいろなことを聞かしていただいたわけでありますが、何ともかんともどうも申し上げようがないのでありまして、私の関係機関を通じまして十分調査をいたしてみたい。調査の上でいろいろなことをお答えさしていただきます。
  127. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 調査して、ただいま申し上げた通り、どうも違法行為も違法活動も何も問題にならないところでございますが、そういう点が明らかになりましたら一つ十分善処していただきたいと思うのでございます。法務大臣は初めてお聞きになった。これは事態がいろいろ複雑だが、私ども率直に申し上げるから、法務大臣はそのつもりでお聞き願いたい。これが今のようなことでございます。法務大臣は全く御存じない。おそらく刑事局長も意外のことでございましょう。こういうことが世の中にありますから、刑事局長も検察庁もうかうかしているとえらい目にあいますよ。在庁略式命令に片倉検事が出た。子供みたいに警察に扱われているじゃないですか。検察の威厳どうしますか。これはおそらく法務大臣のお考えとは全然別個にあるのです。こういうことをこのままにしておきますと、ますます悪い事態が起こります。まだきょうの段階では申し上げないで、今後の事態の動き、あなた方の対処なさるところを十分私ども見て、ことに今警察の方でどういうふうにやられるかを見た上でさらに進んでいきたいと思うのでございますが、公安調査庁にせよ、公安警備警察にせよ、これまで私はたびたび法務委員会でも問題にいたしました。こういうことがあるのです。結局、こういうことがあるから、権利を乱用することになるのでありまして、私どもは、こういうものはこの際廃止しなければならないというこれまでの主張をかたく繰り返すのでございます。きょうここで政治論に至ることは——もう少しあなた方の御調査を待っていたすことにいたします。  それで、ここに私は法務大臣に文書を差し上げます。これはこの事件に関する資料でございますから、よろしゅうございますか。
  128. 高橋英吉

    高橋委員長 どうぞ。   〔志賀(義)委員中垣国務大臣に文書を渡す〕
  129. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 これが資料で、これはきょう私が記者会見をした場合の談話の文書でございます。これについて十分御検討いただきたいと思います。  こういうことでございます。どうも長時間あれでございますけれども、一つ委員長にお願いしたいのは、世の中にはこういう奇々怪々のことがございますから、一つ十分……。刑事局長にもこれを差し上げておきます。
  130. 高橋英吉

    高橋委員長 大いに参考になったことでございましょう。      ————◇—————
  131. 高橋英吉

    高橋委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  理事会の申し合わせによりまして、再審制度について、アジア極東犯罪防止研修所教官安倍治夫君を参考人とし、その出頭を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  なお、参考人の意見聴取は、来たる二十二日再審制度調査小委員会において聴取することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会