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1963-02-27 第43回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十七日(水曜日)    午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 竹下  登君 理事 長谷川 峻君    理事 八木 徹雄君 理事 小林 信一君    理事 村山 喜一君 理事 山中 吾郎君       伊藤 郷一君    濱地 文平君       松永  東君    松山千惠子君       南  好雄君    米田 吉盛君       杉山元治郎君    高津 正道君       三木 喜夫君    谷口善太郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君  出席政府委員         文部政務次官  田中 啓一君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      小林 行雄君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君  委員外出席者         議     員 村山 喜一君         専  門  員 丸山  稲君     ————————————— 二月二十六日  委員松山千惠子君及び柳田秀一辞任につき、  その補欠として中村梅吉君及び渡辺惣蔵君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員中村梅吉君及び渡辺惣蔵辞任につき、そ  の補欠として松山千惠子君及び柳田秀一君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  日本学校給食会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六〇号)  私立学校振興会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六六号)  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第七五号)  国立大学総長任免給与等特例に関する法  律案内閣提出第八六号)  公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の一部を改正する法律案  (村山喜一君外八名提出衆法第一九号)      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  国立大学総長任免給与等特例に関する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。田中文部政務次官
  3. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 このたび、政府から提出いたしました国立大学総長任免給与等特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  政府といたしましては、国づくりの根幹は人つくりであるとの基本的な考え方に立ちまして、文教の振興のために各種の施策を講じて参っておるのでありますが、なかんずく人つくりの直接のにない手である教育者地位向上は、特に緊要なものであると考えるものであります。このたび、政府がこの法律案提出いたしましたのも、本質的にはこの点に由来するものであります。  しかして、国立大学は、国の高等教育機関として、また高度の研究機関として、きわめて重大な使命をになうものであり、最近における科学技術の進歩、産業経済発展並びに国民一般における教育水準向上などに伴い、これに対する国家的、社会的要請はますます増大して参っております。このような国立大学のうちでも、北海道大学、東北大学東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学および九州大学の七国立大学は、人文、社会、自然の各科学の全分野にわたる学部を有する大規模な総合大学であり、かつ、その各学部の上には博士課程大学院を有するものとされ、また伝統も古く、これら七国立大学学長職務責任はきわめて重要であります。  よって、このたび、これら七国立大学学長認証官とし、その国家的社会的な地位を高からしめますとともに、その待遇の改善をはかることとしたのであります。このことは、これら七国立大学学長職務責任重要性に基づくものではありますが、ひいては大学教育職員、さらには教育者全体の地位を高め、もって我が国教育振興に資するものといたしたいと考えたからであります。  次にこの法律案概要について御説明いたします。  第一は、これら七国立大学学長認証官とすることに伴い、官職名をそれぞれの大学総長と改めることとしたことであります。しかし、これら国立大学総長学長として置かれるものでありますので、学校教育法その他の法令の適用については、他の国立大学学長と全く同様な地位に立つものであります。  第二は、国立大学総長任命権を、文部大臣から内閣に移すこととし、その任免については天皇が認証することとしたことであります。任命権者内閣といたしましたことは、他の認証官一般の例に従ったものでありますが、その任免大学管理機関申し出に基づいて行なうという教育公務員特例法の建前には何らの変更をいたしておりません。なお、国立大学総長任免に関する内閣に対する大学管理機関申し出については、文部大臣がこれを内閣に進達するものとしましたのは、文部大臣大学を所轄していることによるものであります。  第三は、国立大学総長の受ける給与俸給及び期末手当とすることとしたことであります。これは、他の認証官の例にならって、特別職職員給与の例による趣旨に基づくものであります。国立大学総長俸給月額についても、他の認証官との権衡を勘案して、東京大学総長及び京都大学総長にあっては十八万円、その他の国立大学総長にあっては十六万円とすることといたしたのであります。  第四は、附則経過措置を定めたことでありまして、これら七国立大学学長現職者については、この法律施行の日にそれぞれ国立大学総長に任命することについての進達があったものとみなすことなど、新制度への移行を円滑にする措置を講じております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。     —————————————
  4. 床次徳二

    床次委員長 次に、公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、提出者より提案理由説明を聴取いたします。村山喜一君。
  5. 村山喜一

    村山議員 ただいま議題となりました公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  今日後期中等教育拡充発展は世界の趨勢であり、今や完全なる中等教育を目ざして質的充実段階に入っております。  しかるに、日本の現状を見ますと、教育条件の整備は決して十分といえず、すし詰め学級全面的増大教職員定数の不足は生徒指導を困難ならしめ、施設、設備の貧困と相待って高校教育質的内容を低下させております。  加えて、今年より始まる、いわゆる高校生徒急増は、これらの劣悪な状態に一層拍車をかけようとしております。  すなわち、学級編制を五十人及び四十人と規定しておきながら、この急増期間中には一割の水増しを強制していることは教職員をなお一層の労働過重に追い込み、高校教育実情を全く無視しているものといわなければなりません。  昭和三十六年に制定された公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律は、高等学校設置基準よりはるかに下回るものであり、現行法律昭和三十八年三月三十一日をもって完全実施段階となる機会に、欠陥を除き、適正化をはかるため、所要改正を加え、もって高校教育充実発展を期することはきわめて適切な処置と考える次第であります。  以下改正案内容について説明申し上げます。  第一は、現行法附則第五項及び附則第六項を削除することにより一割の水増しを廃し、一学級生徒数を五十名及び四十名とし、教育効果を高めようとするものであります。  第二は、教職員定数高等学校設置基準昭和二十三年一月二十七日文部省令第一号)に準拠し、教諭養護教諭実習助手及び事務職員を合わせて約一万七千名の増員をはかり、教職員労働条件改善するとともに、教育効果を高めようとするものであります。  なお、この改正にあたって増加する人員については、教員養成機関における養成可能人員及び採用可能人員を考慮したことは申すまでもありません。  最後に、学校司書教諭学校司書については学校図書館法改正をもって定数化することとし、また学校用務員については将来において、これを定数化するため所要改正を行なおうとするものであります。  さらに、高校生徒急増が終了する段階においては、この法律抜本的改正を行わねばならぬことを申し添えておきます。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
  6. 床次徳二

    床次委員長 右両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  7. 床次徳二

    床次委員長 日本学校給食会法の一部を改正する法律案私立学校振興会法の一部を改正する法律案及び国立学校設置法の一部を改正する法律案、以上各案を一括議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。松山千惠子君。
  8. 松山千惠子

    松山委員 ただいま議題となりました日本学校給食会法の一部を改正する法律案について、二、三簡単に質問をいたしたいと存じます。  学校給食の問題は、戦後再開されてから十七年間、その内部に幾つかの問題点あるいは矛盾を包含しながらも、逐次発展して今日に至っております。しかも昨年度は、大蔵省内示によれば、小麦粉一円の補助さえ打ち切られる状況にあったのに対し、本年度は、ともあれ物資三十四億円、設備費六億円、計四十億円の予算を政府の原案に組み込みましたことは、完全給食にはほど遠いとはいえ、文部省がこの問題になみなみならぬ熱意をお持ちのことが容易に想像され、その意味においてはまことに喜びにたえないところでございます。しかしながら、弱小小中学校、特に給食を必要とされる学校では、設備上の問題、運営費問題等で実現がなかなかむずかしく、必要とされる層に及ぼされないきらいが多分にあるのでありまして、運営費はともかく、設備費国庫全額負担くらいの心組みがぜひとも必要だと思うのでございます。それはともかくといたしまして、あらためて今回のミルク給食目的は何でございましょうかしら。また、その効果は何か、私どもにもある程度はわかっているのでございますが、ここであらためて御当局にお聞きいたしたいと存じます。
  9. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 義務教育生徒でありますから、六才から十五才に至る生徒でございまして、発育盛り児童生徒は年齢が若ければ若いほど動物性蛋白、ことに良質なる牛乳から得られました蛋白を供給するということは、これはもう心身の発育上にも、またひいては、やがて大きくなって国民体位向上となる点からいいましても、最も必要なことであると考えておったのであります。従って、御指摘のように一挙に完全給食までいけないのは残念でありますけれども、まずこの点を全国のすべての義務教育生徒に適用しますことは、学校給食上最も緊急を要することだ、こう考えまして、右のような見地から、このような方法をとった次第でございます。
  10. 松山千惠子

    松山委員 でき得れば、完全給食も十年先のことが七年になり、あるいは五年に短縮されて実施されることを希望する次第でございます。  では、このミルク補助の四十億円の内容はどんなふうになっておりますか。この点を詳細に御説明いただきたいと思います。
  11. 前田充明

    前田(充)政府委員 四十億円の内容につきましては、三十四億円がミルク購入費でございます。なお残りの六億が設備費ということになっておるわけでございますが、もう少しこまかく申し上げますと、購入費補助金が三十四億一千四百八十八万円、ミルクの総トン数が八万五千三百七十二トンということになっております。それから設備費は五億八千二百五十四万円となっております。それで大体四十億円でございますが、その対象人員は、三十八年度の全小学校児童中学校の全生徒でございまして、小学校が一千四十八万九千人になっております。中学校が六百九十七万人、合計いたしまして一千七百四十六万人を対象といたしております。そのうち、現在すでに完全給食をやっております学校につきましては、四月から直ちにこの補助ミルクを飲んでもらう。さらにまた、完全に実施をいたしておらない、完全給食をしておらない学校につきましては、四月から設備費補助をいたしますわけでございますので、直ちに四月一日から給食実施するということはいささか困難があるのではないか、特に地方の山間の土地になりますと、設備を送りますのにも相当の時間がかかりますので、おおむね、平均いたしまして六月から実施をいたしたい。かように考えております。しかし、早くやれるような学校はできるだけ早くやってもらう、こういうような考えでおります。  なお、補助内容につきましては、国の補助は百グラムについて四円ということでいたしますわけでございますが、現在小学校では二十六グラムを毎日飲んでおります。中学校では三十五グラム飲んでおります。そういたしますと、二十六グラムの小学校では一円四銭の補助ということになります。また中学校は三十五グラムで一円四十銭の補助と相なるわけでございます。  大体、以上のような積算でございます。
  12. 松山千惠子

    松山委員 一般の場合は、こうした場合には府県別にあるいは市町村に地方交付金という形で補助していくようなことになっていると承知しておりますけれども学校給食の場合、日本学校給食会という法人補助をしているという形でございますが、それは特別な理由がおありなんでございましょうか。
  13. 前田充明

    前田(充)政府委員 日本学校給食会は、本来学校給食用脱脂粉乳を一括いたしましてこれを取り扱って、そして北海道から鹿児島まで各県一応同じ価格で供給するようなことを従来いたしておるわけでございます。かような意味から申しまして、今回の脱脂粉乳につきましても、補助金学校給食会補助いたしまして、従来のような方法で扱わせるのが最も適当ではないかというように考えまして、学校給食会にこの三十四億円の補助をいたす、そういう方式でやりたいと思っております。
  14. 松山千惠子

    松山委員 法律によって設立された日本学校給食会補助するには、少なくとも文部省に適当な監督権があり、疑惑を招くようなことはまずないと思いますけれども府県段階すなわち府県給食会には文部省監督権はないようにお聞きいたしております。この点はたして間違いないでしょうか。間違いないと保障でき得るでございましょうか、まずその点を一つはっきりお聞きしておきたいと思います。
  15. 前田充明

    前田(充)政府委員 府県学校給食会は、御承知のように、各府県の認可の財団法人で設立されておりまして、各県教育委員会がこれを認可いたしましてつくっておる団体でございます。そこで、ミルクを今後日本学校給食会から県学校給食会に売るわけでございますが、その場合に文部省といたしまして、文部大臣指定をいたすことになっておるのでございます。従って、その指定条件として、不当なやり方をやったとかあるいは不正があったとかいうような場合には取り消すような考え方で進みたいと思っております。  なお、文部省といたしましては、直接はそういうことでございますし、さらに文部省業務処理基準というものを、現在ございますのですが、この業務処理基準をつくりまして都道府県教育委員会に対して示しまして、都道府県教育委員会がこの財団法人である府県学校給食会をその方式によって指導するようにいたしまして、間違いのないようにさせたい、かように考えております。  現在までのところ、特別これでは監督上非常に困るとか指導上困ってしまうというようなことはあまりないように私ども感じております。従いまして、従来とも、ただいま申しましたように業務処理基準によって処理し、そして不正というようなことがあれば、文部大臣指定を取り消すことによってその団体がやれないことになるわけでありますので、一応監督指導はそういう点においてできるのじゃないか。さらに今後とも都道府県教育委員会指導を十分にいたしたい、かように考えております。
  16. 松山千惠子

    松山委員 これら脱脂粉乳学校給食会売り渡し価格は、どういうことになっておりますのか、またその積算の根拠はどうでございましょうか、お伺いいたしたいと思います。
  17. 前田充明

    前田(充)政府委員 現在の学校給食会法の二十条に、学校給食会学校給食用物資を売り渡す場合の売り渡し価格につきましては、学校給食用物資、すなわちミルクの買い入れ、輸送、保管、加工、そういうようなことに要する経費の原価、それに学校給食会の適正な事務費を含めまして、その額で学校給食会がこれ以上もうかる、あるいは損するということのない値段を文部大臣がきめまして、そうしてそれによって価格を決定をいたしておる次第でございます。
  18. 松山千惠子

    松山委員 次に、日本学校給食会あるいは府県学校給食会が、不当に脱脂粉乳を横流しと言いますか、用途外使用したときには、どういう措置をなさるおつもりですか。おそらく適宜監督しておられるならば、こういう間違いはないと思いますが、もしあった場合は、それについて特別の罰則がありますのでしょうか、お伺いいたします。
  19. 前田充明

    前田(充)政府委員 従来は小麦を国から補助をいたしておりましたので、学校給食法の方にこれと同じような規定があるのでございますが、今回は学校給食会法の一部改正の中で、用途外使用禁止規定を設けたいと思うのでございます。この学校給食会法に三十二条の二を入れまして、御承知のような用途外禁止をいたすような規定を設けておるわけでございます。これはおおむね小麦の場合と同様でございます。  そこで問題は、今お話しのように、もし不正をした場合にはどうことかというお尋ねでございますが、小麦の場合と同様に、これを扱いますのは、学校へ参りましてから扱われるのは、教職員が扱いはいたすのであります。学校教職員でございますので、その良識を信頼いたしまして、特に罰則を設けないで、ただ禁止規定をいたしただけでございますが、ただいまも申しましたように、都道府県教育委員会指導を十分に行ないまして、教育委員会から学校での取り扱い方においても十分な注意をし、指導をいたしましてやりたい、かように考えております。  なおこのミルク輸入物資でございまして、関税暫定措置法によるわけでございますが、その関税措置法によりまして用途外使用をいたした場合には、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金という規定も設けられておりますので、そういう点でもいわゆる罰則としてできないことはないかと思うのでございまして、ただ私ども学校給食物資として取り扱います場合、最初に申しましたように、教職員良識を信頼いたしまして、特に罰則を設けない考えを持っておる次第でございます。
  20. 松山千惠子

    松山委員 次に、ミルク給食を行なった場合にこれに伴う人件費はどういうふうに措置をなさるか。父兄負担軽減か、直接には、今度はPTAの方にひっかかっていくようなことにはならないでしょうか、お尋ねいたします。
  21. 前田充明

    前田(充)政府委員 人件費につきましては、三十八年度地方交付税財源措置を行なっておりますが、その内容は、小学校につきましては、九百人の規模学校で三・五人、それから中学校については、七百五十人規模学校に対して一人の職員設置いたすように算定をいたしております。なお栄養職員についても非常にわずかでございますが、措置をいたした次第でございます。
  22. 松山千惠子

    松山委員 それから今まで脱脂粉乳は非常に味が悪いので、せっかく子供たちに飲ませようとしても捨ててしまうとか、あるいはそのまま何かの入れものに入れて家庭へ持って帰るとかいうようなことがよくあるように聞いておりますけれど、今度そういうことについて何か改善策考えておられますでしょうか。
  23. 前田充明

    前田(充)政府委員 特別な改善という意味では考えているわけではございませんが、問題はミルクの溶き方ということが相当大きい問題ではないか、そういうふうに考えます。そういうことは、結局調理師なりあるいは学校に置かれた栄養士なりにミルクの溶き方を十分指導することが必要ではないかというふうに考えております。かような意味から申しまして、私どもそれぞれ講習会を行ないましたり、あるいはパンフレット等でそのミルクの溶き方、そういうことについての指導をいたして参りたい、かように考えております。
  24. 松山千惠子

    松山委員 この脱脂粉乳もそうでございますし、また小麦粉パンの問題でございますけれども、今一般家庭でもパン食をだいぶもう常用しておりますので、子供たち学校パンの配給を受けましても、まん中だけをちょっと食べて、あとは捨ててしまうとか、あるいはそのまま家へ持って帰るとかいうことで、結局お昼にパンを支給されても、それを食べずに帰ってしまうのでは、一食抜くことになってしまいまして、子供たち体位向上とか、そういう目的からも非常に遠ざかった、意味をなさないようなことになっている場所もあるように聞いております。ちょっと例を申し上げますと、私のおります埼玉県の川越でございますが、ここのある小学校のデータをとってみますと、子供たちの七〇%は、パンをお昼に学校でもらっても食べずに帰るというような実情でございますが、そういう点で一つ政務次官に御見解を伺いたいのでございます。
  25. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 実は学校給食には、たくさんの問題があるのでございます。今度はとにかく義務教育学校に、せめて脱脂ミルクでも全部に行き渡らせたいということで、急速に準備をしたわけでございますが、今お話しのような粉乳にしろ、あるいは完全給食にしろ、あるいはミルクパンだけの場合でも、どうも子供が食べないというような問題、結局はうまくないから食べないということだろうと思うのであります。この問題は、今後あらゆる面から私は実際に適するように、そして完全給食目的を達するように一つ努力しなければならぬ——これはなかなか中央だけからそうすべきだそうすべきだと幾ら言うておってもいかぬのであります。要は実行でありますから、よくいろいろ学校父兄方意見だとか先生の意見だとかを給食会でまとめて改善に努める、そしてまた文部省としましても改善に努力する、こういうことで目的を達したい。問題は実にたくさんにあるというように思っております。
  26. 松山千惠子

    松山委員 ついでにもう一つ、今の問題、やはりたくさんいろいろな問題がございますので、その中の一つに入るわけでございますが、農村ではことに給食が必要ではないかと思うのでございますが、家庭ではおいしいものを、なかなか子供たち栄養価の高いものをつくってやれないわけでございまして、いろいろ栄養価を考慮した食事を子供たちにぜひやりたいわけでございますが、実際問題といたしまして設備もできませんし、そしてまたパン工場などが非常に遠いところにありますので、それを取りに行くのに父兄がみんな出て労力奉仕をしているわけでございますが、忙しいときにはそれができません。結局幾らか金銭を負担して補って、労力を農業の方に振り向けなければならないわけでございます。そういうことになりますとやはり農家の経済的な負担にもなって参るわけでございますし、そういうところもぜひ、いろいろ都市農村と事情が違って参りますし、よく御勘案下さいまして、給食が全般的に行きわたって、子供たちがしあわせに体力を増進していけるようにお願いいたしたいと思います。  これで質問を終わります。
  27. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 まことにごもっともの御指摘、御注意でございまして、実はこの給食というものの初めと申しますか、食糧が農村地方にあって都市中央になかった時代から始まって、そのないところの給食の普及が急務であったわけであります。ところがもう今やだんだん都市方面は食糧は豊富になってくる、かえって栄養の見地から見ますると農村の食糧が悪い。従って学童も栄養的に見ると非常に欠陥のある食べ物で養われる、こういう時代でございますから、特に私は完全給食農村あるいは地方に向かって、一つできるだけ早く普及していきたい。そういう場合に、いろいろ経費の問題やら、いろいろ出てくると思います。そういうものも一つ実情に適した解決をしながら、まず義務教育児童生徒完全給食を全国的に実施したい、それに向かって邁進いたしたいと思います。
  28. 前田充明

    前田(充)政府委員 ただいま作業員の問題がちょっとお話に出たのでございますが、従来PTA負担の作業員というものが、三十四年くらいまでは実は相当数ございました。しかしその後これは公費で負担するようにということで指導し、先ほど申しましたように調理員について、交付税等についても来年度から中学校まで及ぼすようにいたした次第でございまして、現在では非常にわずかな数になって参っております。従来から比べれば三十四年度の三分の一以下になっておるような実情でございます。かような意味で、私どもとしてはできるだけ御趣旨に沿うような趣旨から申しまして、公費で従事員のものは負担するようにいたしたいと存じております。
  29. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 一言だけ関連してお聞きしたいと思うのです。また日を改めまして全般的な問題につきましてはお聞きしたいと思います。  ただいまの質疑の山で問題になりましたのは、パンを食べない子供が七〇%あるということ、それから粉乳を政府の大英断によって全児童生徒に飲ます、こういうことをやって政府の方では非常に大きく取り上げておられますが、これも実情としてはまずくて飲まない、こういうことが、今松山さんの方から明らかにされたのであります。私も現実に、この状態を見て参りまして、どのようにしたら脱脂粉乳給食子供たちが喜んで飲むか、またパンを捨てるような子供をどのようにしたら捨てないようになるか、また学校給食の作法の上からも、あるいは給食によって子供たちの品位を高めるというような問題についても、パンを窓の外へ捨てたりあるいは流し場に捨てたりすることは、まことにゆゆしい問題だと思う。従ってそのことにつきましては現実に非常に苦心をしたものです。そこで今政府の答弁を聞いてみますと、いろいろ問題があるが、これを急速に推進していきたい、学校給食をこのような親心でやっておるからして、問題点を解決して進めていきたいという答弁があったのですが、食べないもの、飲まないもの、いわゆるまずいものを押しつけてどのようにして推進されるのか、それを具体的に示してもらわないと、そういう抽象的な、上から物事をあてておるというような答弁では、国民も納得しませんし、現場の教師もこれは実際困っておるのです。それはどういう工合にお思いになり、どういう工合に推進されるか、もっと具体的に示してもらいたい。今松山さんのは適切な、一番学校給食問題点に触れたことでありましたので、それがすっと上をなでるような説明で、私たちは納得がいかない。この点だけ説明していただきたい。
  30. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 御鞭撻の御質問と存じまして、ありがたく存ずる次第でありますが、なかなか文部省で机の上でこれが名案というものは実はないわけであります。あればもちろんもう実行を進めるわけであります。と申しますのは、一例をあげますと脱脂ミルクでありますが、とにかく脂肪を抜いておりますからまず味ないのです。われわれ飲みましても味ない。栄養は大いにある、大いに飲むとよろしいものであるに違いありませんが、実はそういうことでありまして、私の子供も初めのうちは目を白黒して飲んで、往生したというようなことをしょっちゅう言っておりましたが、今ではなれて何とか飲むようになったということでありますが、これは方法としましては、バターを入れるということも、味つけのみでない、さらに栄養を完全にするということで一つ方法だと思っております。砂糖を入れるのも、おそらく普通に行なわれておりましょう。それからもう一つは、ビタミンが欠乏いたしておりますから、多量の動物蛋白を一気に飲むという慣習になっておらぬと思いますから、ビタミンB、C等を何らかの方法でこれに入れるというようなことも考えられると思っております。  そこでいろいろ思いつきはあるわけでございますが、いずれも金がかかることで、それじゃ砂糖はどれだけ給与するとか、あるいはバターはどれだけ給与するとか、こういうふうには実はいっておりませんので、完全給食の場合であれば、何もかも通じてどれだけ補助するということになろうかと思うのでありますけれども、そういうことで、いずれもやはり経費の問題と相談になるわけであります。そこで私先ほど申し上げましたように、これはなかなか中央で机の上だけでは改善の実行はむずかしい、それよりも実際直接当たっておられる方々とよく御相談しつつ進めていきたい、こういうことを申し上げたわけであります。上っつらをなでるようなとおっしゃいましたが、実は答弁があまり長々しくてはいかぬだろうと思って差し控えておったのでございまして、学校給食法をつくるときには、私は直接文部省にはおりませんでしたけれども、非常に熱心な推進者で、もう学校給食と心中してもいいくらいのつもりでおったような人間でありますから、今後とも、文部省におっても、おらぬでも、熱意を持ってやりたい、文部省はもちろんやってくれると思っておるわけでございます。
  31. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 今非常に熱意を持って、学校給食と心中してもよい、こういうお考えに対しましては、敬意を表しますし、また学校給食重要性について私たちは今さらちょうちょうを要せず、これを推進いただきたいことには間違いないのです。しかしながら、今お尋ねしておるのは、食べないもの、飲まないものをどうして飲ますかという問題です。あなたの御答弁は長くなるからということで、今答弁を聞いたところでは、全く焦点がはずれてしまっておる。あの脱脂粉乳というものは、それ自体かさかさしていて、全然まずくて飲めないのです。現場では脂肪も入れております。また甘味料も考えて入れております。それでも飲まないから、添加物までつけてやっております。あなたはバターを入れるなんて言われておりましたが、そういうぜいたくなことはできないのです。そこで現場と相談してやるということでしたが、現場はありとあらゆる苦労をしてきておるのですよ。それでも子供は先がたおっしゃったように、目を白黒させていたけれども、現在では飲むようになったということですが、白黒させておるようなもの、あのかさかさしたものでは飲まない。そうしてひそかに捨ててしまう。容器に一ぱい余ってしまうような組ができるのです。ありとあらゆる苦労をしておる。だから文部省当局もこれについて交渉をいろいろしておられるが、今聞きますと、どうも攪拌がよくいかない、ミルク攪拌機を買って、これについての調合といいますか、そういうことをもう少しやるならばおいしい——これもやっております。現場では数万円の攪拌機を買って、分子をこまかくすれば飲めるだろう、かおりをよくすれば飲めるだろう、香料を入れて脂肪を入れれば栄養にいいだろう、こういうありとあらゆることをやっておる現場の上に立って、国費の四十億を支出するということを考えてもらわなかったら、支出だけ先にいってしまって、それの対象になるところの子供は全然飲まない。こういうことに力を入れて一体何になりますか。その根本的な問題を現地を踏まえて——現場の先生と話し合うと言っておられますが、現場の先生とほんとうに話し合うというゆとりがあったのですか。こういう問題を考え合わせたときに、政府のこの方法については、まことに靴を隔ててかゆきをかくような、仏つくって魂が入っていない、こういう感じがする。こういう根本的な問題については後ほど別の機会にお聞きしたいのですが、その今飲まないものを、食わないものを、あなた方はそれを飲んでみたり、食べてみたりされましたか、そこからお聞きしたい。
  32. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 私は飲んでみたから、実は先ほど味ないと申し上げたわけです。ただ牛乳のにおいというものは私はきらいではない。むしろ好きですから、そこが少し違うのでありますが、あのにおいのいやな者はたくさんおります。なま牛乳でも初めはなかなか飲めない者がずいぶんいる。実は私の経験では、ビタミンがからだに不足していると、必ず牛乳のあのにおいがいやになりますね。従って、先ほどちらっとビタミンの話を申し上げたのは、そういうことなのであります。とにかく飲まぬ者を無理に口を割って飲ませてはいけませんから、これはどうしても飲めるようにするということでありますから、もう御説の通り、これは現場的に実際児童に飲ませてみながらやっていかなければ改善できませんから、そういう方向で文部省としては努力したいというふうに思っているわけであります。
  33. 床次徳二

    床次委員長 小林信一君。
  34. 小林信一

    小林(信)委員 今給食の問題で、次官の熱意の表明を聞きながら、話がだいぶ進行しているわけですが、今お話になっているような問題につきましても、この前の委員会あたりで大臣が、やはりアメリカの余り物で、かすみたいな物だと言っております。政府が非常に自信を持って給食をやるというのに、まことにふさわしくない発言があり、また今次官からもまことにこれは不十分な物であるというような言明があったのですが、こういう点につきましても今後この委員会で相当考えていかなければならぬ問題だと思います。  それからこれを支給する場合に、現場の問題あるいは学校給食会の問題というふうに相当研究をしていかなければならぬ問題だと思いますが、私はきょうはこの法律を出すについて最も重大な問題だと考えた点を一つ申し上げたいと思うのです。  それはこの給食会法の一部改正を見ましても、この中には脱脂ミルクをくれるとかあるいはこのために四十億の金を出すとかというふうなことはない。ただ今後学校給食会学校給食用物資に要する経費を補助するということがこの法案の重点であり、これを実施するためにほかの条項を修正するという形になっているわけですが、ここでこういう法律改正がなされるとすると、ここには脱脂ミルクということを限定もしておりませんので、今後文部省としては、今まで次官からもお話がありましたし、またこういうような、文部省の体育局から出されておる「学校給食完全実施へ」というふうな中にも年次計画も出されておるようなところを見ますと、今後相当希望を持てるような条項にも考えられるわけなんです。従って単に脱脂ミルクだけでなくて、今後今の次官のような心がまえでおられれば、いろいろの物が、この学校給食会を通じて物資の供給がなされるというふうに考えられるわけなんですが、この点で何か御抱負、計画がありましたらお聞きしておきたいと思うのです。
  35. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 実は小麦粉とそれから脱脂ミルクというものの配給に日本給食会が当たるような仕組みになっておるわけであります。ところが学校給食をだんだん完全に持っていきますれば、それぞれ学校にあります郷土食というような問題が当然出て参りましょうし、それから生鮮食料品その他というものは、もちろん今でもそうでありますが、もっと計画的な地方生産によっていくというようなことも出てくると思います。そうすればまたこのミルクにつきましても、できれば何とか早く実際しぼり立てのなま牛乳を飲ますようにいたしたいということは、おそらく常識であろうと私は思うのであります。そうなれば、脱脂ミルクの配給はいつの日かにはなくなる、こういうことも考えられるわけであります。  それからまた小麦粉にしましても、郷土食ということを考え、また日本在来の食糧ということを考えますと、何でもかでも小麦パンの形で食わせなければならぬのか、そういうこともないと思う。やはり米も出てき、麦というものも出てくるものと思っております。いささか個人の見解にわたるわけでございますけれども、そうなってきますれば給食会というものは必ずしも学校給食の主たる物資の配給機関ということではなくなっていくことになる、こう私は思うのであります。だいぶ長く日子を要することだと思います。たとえばもし学校給食になま牛乳一合飲ますとすれば、現在の日本の乳の生産の全量の大半は学校給食に使うということになるのでありまして、なかなかそこまでは急にはいきがたいと思いますけれども、しかし一方農業の方の発達と相待って、私はいつの日かはそうなるべきものだ、こう実は思うのであります。そんなふうに、大体将来の学校給食会というものはどうなっていくのだということについては考えておるような次第でございまして、そこらまで考えますと、学校給食には実にいろんな改善をしていかなければならない問題がたくさんにある。先ほど申したのはそういうことでございます。
  36. 小林信一

    小林(信)委員 大へんに問題が発展しそうになってきたわけです。というのは、この学校給食会法の中に今度政府の方から必要な物資の供給に要する経費を補助するという建前をとって、脂脱ミルクとうたわずにこういうふうな抽象的な言葉でもって出してきたから、今後脱脂ミルクだけではなくていろいろなものも学校給食会を利用して補助するという建前をとっておるのかどうか、こういうふうな質問をしたのですが、かえって次官からは、そうなってくると、将来のことを考えてくれば学校給食会なんということは問題でなくなるということになってしまって、焦点がはずれちゃったのです。  そこでこの際次官がおいでですからお聞きいたしますが、確かに脱脂ミルクなんかに満足しているような文部省であってはならないと思うのです。なるべくなま牛乳を飲ませるというような方向に、ミルクだけの問題でも考えていかなければならぬと思うのですが、そうなってくればいろいろな問題が出てくるとおっしゃっておりますが、これが私はこの給食会法を通して政府にお聞きいたしたいところなんですが、きょうは次官だけにお伺いしておきます。学校給食というふうなものは、単に子供対象にして何をくれるということでなく、日本の酪農振興いわゆる生産面を学校給食という問題とあわせて考えていかなければならぬと思うのです。そうしなければ酪農振興の問題もあるいは学校給食の問題も、依然として、先ほどお話がありましたように、脱脂ミルクを飲まないとか味が悪いとか、どうしたら味をよくするとかいうことで終始していかなければならぬ問題だと思うのですが、そういう大きな計画を持って臨んでいかなければならぬ、今次官のおっしゃったいろいろな問題も起きてくるということだと思うのですよ。そこで次官は非常に豊富なものをお持ちになっておられるので、そういう生産面と、消費量から考えれば非常に大きな消費量なんです、これと考え文部省としてはどんな計画をなさっておるのか、この前ちょっと大臣にも聞いたのですが、大臣の答えはばく然としておって非常に不十分だったので、この際次官にお聞きしておきたいと思います。
  37. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 実はまだそこまでの計画は文部省にはできておりません。私は将来その方向へいくべきだということを半ば田中個人の意見でありますが申し上げた程度でありまして、今後私は食糧生産を所管しております農林省、それからまた国民の栄養という見地から行政をやっておる厚生省等と相談をいたしまして、これはどうしても牛乳一つとりましても国の生産計画、自由主義経済でありますから、厳重な計画にはもちろんなりますまいが、計画的なものを立てるにしましても、そのようなところで相談をして大体の方針を立てていくということになろうかと思っておりまして、今後そういう向きで鋭意計画化していくことをいたしたいというのが現在の文部省の心境でございます。
  38. 小林信一

    小林(信)委員 文部省考える問題ではないと思います。これはやはり政府全体で、ことに生産面としては農林省というところで考えていく問題ですが、とにかくそういう総合的な政策の中で学校給食という問題を考えていかなければいけない。一方においては日本の生産力を高める。農村の問題としては、貿易の自由化というような問題で非常な恐慌を来たしておるわけなんです。今のところ農産物の問題は多少押えられているような形ですが、一面からは関税なしでもって外国農産物が入ってきているというようなことは、その面から考えれば農村に対しては非常に恐慌を感じさせるわけですよ。一面においては農村の酪農振興、畜産奨励ということがなされているわけです。非常に矛盾した政策になってきているわけです。その面から私は学校給食の問題は、もっと根本的な問題を、文部省だけでなく、もっと政策の総合された中でしっかり考えていかなければ発展はない。こういう点を、せっかくこれと取り組んで命がけでやりたいというふうな次官の御抱負でございますので、そういうところまで考えて、この法案があがるときには、相当私たちに将来性のあるものを聞かしていただきたい、こう思うわけなんです。  私は、もとへ返りまして、この法律のつくられ方についてお尋ねして参りますが、学校給食法の方を見ますと、学校給食によって、国が経費を負担をする面というものが規定されているわけなんですね。第六条で、「学校給食実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、義務教育学校設置者の負担とする。」国の方の負担と、それから設置者の負担というものがはっきりしているわけです。そして、その二項に、「前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費」、これがいわゆる食べる者の経費なんですが、これは父兄負担をするんだ。もし国が負担をするような場合には、いわゆる生活保護法を適用されておるような児童に対しては補助するというふうに規定をされているわけなんです。そういう親の法律があって、ここに学校給食会法というものが出ているわけなんですが、四十億の金を学校給食会補助して、そして給食補助をするというふうな場合には、やはりこの学校給食法の中で、実際給食の面においても国が補助するというふうな、そういう規定をしなければいけないのじゃないか、こう考えるのです。これは法律論ですが、政府の方ではどういうふうにお考えになって御処理されているのか。
  39. 前田充明

    前田(充)政府委員 お尋ねの問題につきまして、この学校給食会法でいくのか、あるいは学校給食法でいくのかという点についても、部内におきまして相当論議もいたしたのでございますが、学校給食会法でいくということになりましたのは、従来学校給食会脱脂ミルクを取り扱っておったわけでございまして、そういう物資の取り扱い方については、学校給食会法の方に書いてあるわけでございます。そこで、これについても、取り扱いそのものについては学校給食会で取り扱うのが最も適切であると思うわけでございます。従って、学校給食会法で取り扱いはやるから、この補助についても学校給食会法で書けば差しつかえはないじゃないか、こういう結論になったわけでございます。そこで、三十二条に給食会事務費について補助をすることが書いてございます。それにつけ加えまして、さらに義務教育学校学校給食用物資すなわちミルクでございますが、これに要する経費を補助するということで、学校給食用ミルク補助するということは、法律こそ違いますが、はっきりと補助するということが書かれるわけでございますので、この給食法の方の保護者の負担とするというのに対応した点は、明らかに法律の上でなってくるから差しつかえないのではないか、こういうような考え方学校給食会法の中に入れた次第でございます。
  40. 小林信一

    小林(信)委員 どうもそこが今の御説明では納得できません。脱脂ミルクを扱っておるからとか、学校給食会を通して脱脂ミルクの配給をするのが都合がいいからとか、あるいは三十二条に、今まで事務に要する経費を補助するということが出ておるから、従って給食に必要な補助をすることは差しつかえないというような点から、給食会法だけで間に合わせておるというのですが、やはりこれは学校給食法という親の法律に、厳として国が施設だけでなくて給食そのものにも予算の範囲内で補助をするというような条項を盛った方がもっと権威のあるものになるのです。それが私、建前じゃないかと思う。さらに、その学校給食法という基本法律に盛っておかないと、今度政府の都合でこれを廃止しようじゃないかというふうなときには、これを削ればいいという形になって、今政府が行ないますことが国民にとって非常に将来に希望を与えているわけなんですが、その希望をなくすようなおそれもあるわけです。責任を持つというなら、私はやはり学校給食法に厳として給食にも補助をするということをうたうことが当然だと思うのですが、もう一ぺんそこを納得のいくように御説明願いたい。
  41. 前田充明

    前田(充)政府委員 私、ただいま申し上げましたのは、扱いとしては学校給食会が扱う、こういうことは建前上から申しまして当然だと思うのでございます。従ってその扱いそのものは学校給食会法改正によって扱いをいたすのはこれは順当だと思うのでございます。そこで今度は、補助ということだけの問題でございますが、補助という立場から申しますと、ただいま権威というお言葉がございましたが、学校給食法に盛ったから権威がある、学校給食会法に盛ったから権威がないというのもどうか。私ども内部で論議をいたしました際もそうなんでございますが、権威ということであれば同じことではないか。ただ、学校給食法の方には建前として、施設設備とその開設に必要な費用は公の負担とし、食べものの費用は保護者の負担とするという建前に一応なっておるわけでございますので、むしろ給食会法の方ではっきり補助するというものを書いておいて差しつかえないのじゃないか。この根本をくずすということになりますと重大な問題でございますので、建前をくずすこと自体は考えなくてはならぬわけでございますが、給食法の方で建前としてはこういうものがあり、そしてそれを補助するということであるから、給食会法でいって差しつかえないのじゃないか、こういうような考え方を持っております。  それから、給食会法で書いた程度では、何か途中でやめてしまいはしないかというおそれがあるようなお話がちょっとございましたが、決して私ども、この給食会法に入れたから補助を途中で打ち切ってしまう、あるいはいいかげんにしてしまうというような考えは毛頭ございませんで、この補助は、私ども少なくとも相当続いて行なわれるものと信じ、かような提案をしたわけでございます。決して権威のないような考え方は私ども持っておりませんので、御了解いただきたいと思います。
  42. 小林信一

    小林(信)委員 私にはまだ納得いかないのですが、権威とかなんとかということは抜きにしても、学校給食法の建前は、施設に対しては国が補助します。それから設置者が責任を持つのだ、給食の面では父兄負担をするのだ、こういうふうな建前は厳としてこれは残っておるわけなのです。やはり四十億という大枚な金を出して学校給食に、実際給食の面も補助しようとするなら、事実そういうことがなされるわけなんですから、だから父兄負担とするという条項は、これは必ずしも役をしないようになるわけです。従ってこれに対しても国が補助することがある、補助することができるというふうに直したって私は差しつかえないと思う。そういうふうにして出発していけば、法律が非常に整ってくると思うのです。  大臣が来たから、大臣にもう一ぺん御説明しますと、この学校給食会法というものが改正になる一番の重点というのは、三十二条の義務教育学校学校給食用物資の供給に要する経費を補助する、これが一番の重点だと思うのです。これをするために、そのほかのところも多少の修正があるのですが、これは学校給食法という親法律から考えれば、施設に対しては国が補助し、施設の責任は、これは設置者が責任を負うのだから、給食という、食べる、あるいは飲むということについては父兄負担をするというのが、学校給食法の建前になっておる。ところが、実際四十億という金を出して、給食の面にも国が補助しようとするならば、父兄負担とするのではなくて、それに対しても国が補助をするという法律改正をここからして、そして学校給食会法を修正するということが私は建前じゃないか、なぜそれを文部省はしないか、こういうふうに今質問をして参りましたら、学校給食会法の修正で間に合うのだというような建前で、別に給食法を直す必要はない、こういう御答弁なのです。それだったら直してもいいじゃないか、なぜ直さないのか、こういうふうにお伺いしているわけです。
  43. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 大体政府委員から答弁しました趣旨と同様でございますが、学校給食の建前としましては、現行法の建前で参りまして、給食会を通じてその手はずの遺憾なきを期するという方法の点に重点があると考えられますので、学校給食会法の一部改正ということで間に合うという言い方も適切かどうかわかりませんが、その方が妥当である、こう考えまして御提案申したわけであります。
  44. 小林信一

    小林(信)委員 妥当というところに私たちは不安を感ずるわけなのです。基本法の改正をしておかなくて、依然として父兄負担とするというふうにしておけば、そこの予算も国の都合でもって——あるいは脱脂ミルクがどうも評判がよくなかった、しかしこれにかわるべきものを見つけるにはちょっと値が張るというふうなことになると、やめなければならぬような場合が出てくる。そういう場合には一番都合のいいのは、学校給食会法の方を直しておけば、この方の改廃は簡単なんだ。基本法を改正するということはなかなかむずかしいから、やはり基本法は原則的に父兄負担として、給食問題は考えさしておく。便宜的なものとして給食会法の方でやっていく。従ってこれはいつ廃止になるか、いつまた影をなくすかわからぬというような、そういう不安を持ってくるわけです。政府がそれだけの意図を持っておったら、度胸よく基本法で、父兄負担だけではなく、国の予算の範囲内で補助するということを言明することの方が、学校給食法は、脱脂ミルクだけでなく、将来もっと発展をする意図のもとに今度法律改正をしておるんだということになると思う。そういう意味で、文部省のこういう方法で出てきたことを疑い、そうして希望するところは、基本法からまず積極的に、父兄負担だけでなく国が補助するというように出てもらいたい、こういうことを要望しておるわけです。
  45. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御要望として、御意見としては私もわかります。行く行くはそういうことにたどりつくべきものと、むろん思いますけれども小林さんも御承知の通り、給食そのものが、食糧難の時期に、占領されておる期間中に発足をいたしまして、今日、学校給食についてわれわれが理解しております意味とはいささか趣きを異にしておることは、申し上げるまでもなく御承知でございますが、そういう経過をたどってようやくこの段階にまで参ったのが、現実でございます。従って完全給食を少なくとも義務教育学校には、全国的に、全面的に実施したいという希望は、文部当局としてもむろん持っておりますけれども、まだそこまで完全な姿として、おっしゃるような基本法的な意味があります学校給食法それ自体を確立する段階に至らないというのが、正直なことであります。従いまして、いずれかの時期におっしゃるようなことが起こり得るとは、むろん思いますが、当面学校給食会法を通じて実施するというところに重点を置きまして、御審議を願っておるような次第であります。さりとて、この学校給食のことは国民的な関心事となっておりますし、学校給食を通じての児童生徒体位向上、健康保持の両面から見ましても、すでに客観的に是認されておる、動かすべからざる前向きの方向をたどって、今日及び将来に向かっておると思います。このことを、そのときどきの財政事情によって後退させるなどということはあり得ない、あらしめてはならないという課題だと存ずるのであります。そういうことで、給食会法だから安易に扱われる、根本法だからがっちりといく——そう言えないこともございませんが、具体的な施策の遂行上は、法律の名前がいずれでありましょうとも、今申し上げましたような受け取り方をしていく限りにおいては、後退することはあり得ない、絶対に後退させないという決意で臨んでおることを申し添えさしていただきます。
  46. 床次徳二

    床次委員長 関連しての申し出がありますから、これを許します。高津君。
  47. 高津正道

    ○高津委員 今大臣の御答弁を聞きましたが、その前に田中政務次官から、学校給食会の将来の私の考え方は、地方色をそれぞれ取り入れ、いろいろ進んでいくのだから、食糧問題そのものは将来は問題にならなくなる、だんだん少なくなるという意見を、われわれはこの耳で拝聴したばかりであります。ところが大臣の御答弁を聞けば、学校給食はだんだん充実し、広げていくので、これはますます発展させるべきものである、こういう御答弁があったので、政府の見解は統一していない、意見の不一致がある、それじゃわれわれ了承できない、こう考えるのであります。御答弁をいただきたい。
  48. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 おそらく政務次官が申しましたことは——予算委員会でも論議の的となりました脱脂粉乳、ことに輸入脱脂粉乳義務教育学校ミルク給食をやるというやり方、それは適当じゃないじゃないか、国産の脱脂粉乳、要すれば国産のなま牛乳というやり方でやってしかるべしという御意向も添えての御質問があったわけでありまして、それに対して私は、国内のなま牛乳ないしは脱脂粉乳の生産が軌道に乗って、量、質、価格ともに安定した姿になりますれば、脱脂粉乳の輸入量がそれに応じてスライドしながら漸減していくという方向をたどるべきことは当然のことだと考えますとお答えをしました。そういう脱脂粉乳に関しての内容が国内製品か輸入品かということに関連した気持を述べられたんじゃないかと想像をいたしますが、想像だけではむろんすべてを尽くしませんけれども、根本的な考え方としましては、先ほどお答えしましたように、食糧難の時代の応急的な措置としての学校給食の性格から、学校給食によってカロリーを考え発育盛り子供を食べ物の点でも管理するような気持で給食を行なう、すなわち体位向上と健康増進に資するという今までの成果は顕著なものがあると思われます。そのことが今後も充実されねばならないという課題が間違いでない限り、前進し充実されていくことは国民全体の希望ではなかろうかと私は思います。また学校教育の効果考える上におきましても、文部省としてもそういう意味で受け取り、充実する努力をしていくべき課題であることは間違いないと存じております。まだ完成の域に至りませんけれども、前進の過程において、せめてミルク給食だけでも一日も早く実施しまして、今までの成果をさらに充実していきたいというのが御審議を願っておるゆえんでございます。
  49. 高津正道

    ○高津委員 関連質問ですから、きわめて短かく申しますが、私は今のお答えと田中政務次官のお話とは食い違うと思います。脱脂粉乳だけ、あるいは牛乳だけの点で言われたのではありません。それでこの際大臣にお伺いをいたしておきます。将来は国産の牛乳をだんだん広げていくのだ、こういうお考えに受け取れましたが、それならば、日本の四大乳業会社が去年の十二月十一日に一升当たり五十二円の現在の乳価を二円ないし三円安くせよということを通告して、そうしてこれに憤慨する酪農をやっておる農民は、公正取引委員会に現在これを訴えておるのであります。この三月の末には畜産物価審議会が開かれるので、それに対して全国大運動をして——農業基本法に基づいて酪農が四二%以上農業改善事業で申し出があった、そういう大へんなパーセンテージを占めておるのですよ。そんなに向くことを農林省は許しておるわけです。しかし乳価の四十億円全部がアメリカに渡るわけではないが、アメリカの余剰農産物は、とうふ屋がとうふをこしらえた豆のしぼりかすみたいな非常に値段の安いものですね。アメリカの対日輸出がふえるのですから、アメリカの喜ぶことは非常によくわかるけれども、これは供給増加になるわけですから、従って牛乳の値段を低下させる作用を持っておる。この事実をお認めでしょうかどうですか。必ず日本の畜産に対する妨害になる要素だ。供給が多くなるのですから日本の牛乳の価格を下げる作用を持っておる。これを一つ聞くのです。それからもう一つ、国産を奨励する意味ならば、量がないでしょうから全国一斉にできないとしても、それをある県に限り、ある県から始めて、だんだんそれを多くするような考えはないのですか。おやりになるつもりかどうか。その二点をお伺いします。
  50. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘の通りある程度はそういう作用がないとは言えないと思います。アメリカは輸出する国ですから、日本が輸入してくれれば喜ぶでございましょう。同時に、日本でも先ほど申し上げたような意味において、児童生徒体位向上し健康が増進されると喜びを感じます。ですから願わしい姿は、先ほども触れましたように、国産のなま牛乳もしくは国産の脱脂粉乳給食ができるようになることであると私も思います。しかし現実は、国産の脱脂粉乳は、小中学校学校給食に使うとすれば、全生産量をもってしても二日分ぐらいしかまかなえない実情にあると私は承知しております。なま牛乳にしても、現在の国内生産量の五割以上を注入するのでなければ給食できないという分量の窮屈さがございます。価格においてははるかに父兄負担なり国庫負担が多からざるを得ない。そういう現実の不可能に近い窮屈さがございますので、国産材料で給食が行なわれる姿がむろん文部省としても望ましいと思いますけれども、一面、一日も早く学校給食実施することが日本児童生徒のために必要だ、教育効果を上げる上においても焦眉の急だと考えられますから、将来の望ましい姿は、並行的に農業政策として農林省が所管省として担当して考えていく、あるいは努力していくことは当然といたしまして、その成果が安定した姿に定着するに応じて、先ほど申しました脱脂粉乳の輸入量が減っていくというような構想があってしかるべきだと思います。現実にはそれは有機的な関係に立っておりません。農林省と相談するということに相なっておるわけでありますが、ただ不安定な状態、言いかえれば夏場はアイスクリームが売れればなま牛乳は学校給食には提供しないというような、生産者側もしくは加工業者側の便宜をまず考えなければならない今の国内の実情からいたしますと、給食は春夏秋冬安定して供給されなければ学校給食になりませんので、制度的には取り入れるわけにいかない。そこで、酪農振興の面からの農林省の助成金によって、余剰なま牛乳がありますときには、季節的、地域的、部分的にはそれが活用されることをむろん拒むものではない。それが実施されつつ今日に至っていることは、高津さんも御承知のところでございます。と申しますことは、価格も低廉であり、供給量も豊富であり、しかもそれが必ず学校給食に確保できるという安定性、それが保障されないことには、国内産の材料でもって学校給食を続けていくという制度上の課題は解決できない。その悩みのことを申し上げておるのでありまして、方向として望ましい姿は先刻申し上げた通りです。しからば直ちにやれとおっしゃいましても、そういう実行段階に入る条件が整っていない、こういうことでございます。
  51. 小林信一

    小林(信)委員 大臣にお聞きして、文部省の腹というものも多少わかったのです。というのは、局長の方からの答弁では、差しつかえないというだけのことで、基本的な給食法の改正をする必要はないのだ、三十二条に給食会の事務に要する経費を補助するということをうたってあるから、四十億の費用を補助するということも問題ないのだ、こういうお考えで、あくまでも基本法の改正は必要ないというお話だったので、私は納得できないというところを大臣にお伺いしたわけです。大臣は、そこまでいきたいけれども、今の段階ではいけない諸条件があるというような、納得はできないのですが、原則としてはそういうふうにしていきたいのだというような御意見を漏らしたので、初めて多少わかりかけてきたのです。  今大臣は最後に、後退するようなことはないというふうにおっしゃっておりますが、それならなおさら、大臣だって長く大臣やっているわけではないのですから、従ってこの際給食法の方を度胸よく改正して、国が給食そのものにも補助をするというふうにしていった方が、私は国民が安心する、希望を持つという面からもお願いしたいし、法律制定の問題からしても、先ほど局長の方からの御答弁では、三十二条で事務費補助をしておるから差しつかえないのだというようなお話ですが、事務費のわずか三千万か何ぼなんです。そして今計上する四十億、しかも画期的なこの予算計上に対して、そういうような共通面でここに載っけるということは、私は法律体制からして非常に矛盾があるのじゃないかと思う。実は私たちもこの法案につきましては、原則的には賛成なんです。賛成ですが、この法律作成の上で含みがありやしないかという疑念を持っているわけなんです。もし政府の方でそういうことをあくまでも固執するならば、われわれの方で法案修正を出して、基本法の方の修正もしてこの法案に賛成していくというふうな態度もとらなければならぬかもしれないというところで、実はお伺いしているわけなんですが、どうもまだ政府の方は、いつ何どきこの四十億が削られるような事態がこないとも限らぬ、従って基本法に盛っておくことは心配だというふうなところから逃げておるような気がするのです。後退するという考えが全然ないというなら、父兄負担だけでなく、国もこれに補助をするということをうたっていくことが私は至当だと思う。  もう一つ法律制定の問題として、こういう形でいっていいかどうか、ここをまず最初に明白にしておいて、この法案審議に入っていきたい、こういうように考えているわけです。もう一ぺんお伺いして、私はきょうはこの程度で終わりたいと考えております。
  52. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 給食法でありましょうとも、給食会法でありましょうとも、国民の意思を最終的に決定していただく法律という意味においては同じでありまして、どのような法律規定されておるから不安定だなどという問題では当然にはないと私は思います。ただ問題は、さっきも申し上げましたように、おっしゃることはわからないではございませんが、給食制度それ自体の見通しというものが——見通しというのは後退する、しないという見通しではなくて、一面農業政策にも関連を持たざるを得ないわけですが、米麦中心の今までの農業が、農業基本法の趣旨徹底、運用に伴いまして変わっていくにいたしましても、米麦の生産というものはなくなるわけではない。それとの関連においてどういうふうに、ミルクは一応別といたしまして、給食として粉やパンに今依存しておるわけですが、米食もあわせ考えるべしというのは昨年の調査会の答申でもございます。それを考え合わせて最終的な日本学校給食内容的なあり方がどうだということはまだ確立されていないと申し上げてもやむを得ない段階だと思います。給食のなすべきこと、実施さるべきことは給食法で方向づけは命令されております。その内容、やり方等は現実に給食会法によって、国会の意思に従って実施されておるという今の段階におきましては、今まで養護、準養護についてミルク給食をやっておりましたのを、全般的に今度は伸ばそうということまではたどりつきましたものの、最終的な落ちつく先を見きわめていないときに、根本法とおっしゃる給食法に盛り込みようがない。相当具体性を持って盛り込まなければ意味をなさぬと思いますが、私は概念論としてはよくわかりますけれども、時期尚早だと思います。今としてはこの給食会法の一部改正をもって定めておいていただいた方が適切であるというふうに考えるのであります。またこの所管大臣がだれであるということによってぐらつくなどという問題ではむろんないので、あくまでも法律できめていただくことが最大限の学校給食を後退させない保証だと思います。
  53. 小林信一

    小林(信)委員 なおこれは議論をあとへ続けていただきまして、きょうはこの程度に終わりたいと思うのですが、どうも大臣のお話を聞いておっても、今おっしゃるようにまだ見通しがつかない。何か給食ということについて文部省の計画というものが確立されておらないというような点から、学校給食法の方にこれを規定することは今尚早だというお話がありましたが、自信がない、こういうふうに受け取れるわけですが、そこに私たちは今度の給食会法というものが、いい方向はたどっておりますけれども、大臣が提案説明でもおっしゃっておるように、政府としてはかねてその普及、奨励に努めてきた、今度はさらに一歩を進めて、とこうおっしゃっておるけれども、やはり完全給食をするものがある限度へきている、これをほんとうに全国あまねく実施するようにするためには、この残された地域は給食というものには理解を持っておるけれども、財政上の問題、いろいろな点から、もう一歩これを踏み切って全国的に完全実施をするという情勢にならない、そこでこういうふうに政府給食そのものにも補助をするというふうな体制をとれば、さらにこの問題が打開できるじゃないかということが、私は今度の大臣の趣旨だろうと思うのです。この法案にかけた大臣の期待だろうと思うのです。そういう意味からすれば、今の時期尚早とか何か将来に対してまだ不安があるというふうなものを一掃されて、基本法にはっきり補助をするというものを織り込んでいかなければいけないのじゃか。私たちの方では、そういうふうにしてこの法案を完全なものにしていきたい、こういう考えでおるわけですが、なお、これは法律論の上からも、私たちはまだ納得できない点がありますので、研究して参りたいと思いますが、政府の方でも、今のような大臣の、自信がない、将来に対して不安があるというふうなことだけでなく、法律論からしても御検討をしていただいて、次回の審議のときにまた十分なお答えを願いたいと思うわけです。  そして、関連しましてこの「給食会概要」というものを先日渡されましたが、この中で政府の方でもって、これから審議に際しまして、われわれがすぐ内容が承れるように調べていただきたい点、用意していただきたい点ですが、この給食会法の修正によりまして、学校給食会というものはこの体制でいいのかどうか。相当これは人員等がふえてくるのではないかと思うのですが、これと同時に、各府県の体制も変わってこなければならぬと思う。それからこれを見ましても、三十七年度物資経理として三十二億三千四百万というふうな多額な金が使われておりますが、こういう金は一体どこから出しておるのか、今度は各府県ではどういうふうにしてこの金を出していかなければならぬか、人件費あるいは事務費というものは、これは今まで国の方から補助されておったわけですが、この会にこういうものを取り扱う金というものが必要であるのかないのか、こういうふうなこまかい点をできたら事前に御報告願って審議の弁をはかっていただきたいと思います。  以上です。
  54. 床次徳二

    床次委員長 竹下登君。
  55. 竹下登

    ○竹下委員 私は、私立学校振興会法改正について若干の質疑を行ないたいと思います。  さきに上村千一郎委員から御質問がございました。また本日は、高橋英吉委員がわが党を代表して質問することになっておりましたが、都合によりまして、私がかわって行なうことといたします。なお、上村委員質問と重複する点が多少ございますが、その点はお許しをいただきたいと思います。大よそ二つの点について、方向を二つに分けてお尋ねいたしたいと思います。  まず第一番目は、法そのものについて、それから第二番目は私学振興自体とこの法との関係について、この二つの観点から質疑を行ないたいと思います。  今回の改正は、いわゆる財投受け入れというのがその動機になっておりまして、三十四条、「振興会は、文部大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は私学振興債券を発行することができる。」こういう規定がなされております。さらにこの関係法自体を考えてみますと、資金運用部資金法の七条に、「資金運用部資金は、左に掲げるものに運用することができる。」「七特別の法律により設立された法人で国、第三号に規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行し得るものの発行する債券」こういう規定がありますが、今次の二十億円の財投そのものの性格は長期借入金、こういうふうな考え方でいいかどうか、まずこれをお聞きしたいと思います。
  56. 杉江清

    ○杉江政府委員 振興会の原資として従来は一般会計からの出資を用いておったわけでございます。ここにいいます長期借り入れまたは短期借り入れということは、そういった出資によってまかなえない場合、たとえば私学共済から従来も長期の借り入れをいたしております。そういうふうな場合を長期借り入れと考え、またそのほか短期借り入れ、これは年度内の資金繰りのために行なわれるものでありますが、そういったものに依存する、これが従来の建前であったわけです。基本は一般会計からの出資、それで足りない分については長期借り入れもしくは短期借り入れという形で行なう。しかし、今までの振興会の資金は、その需要に比べますと著しく少ない。そこでこの原資を大幅にふやさなければならぬ、そのときに従来のような建前でいって、はたして国家予算がとれるかという現実問題があるわけであります。また性格として考えましても、これはいわゆる使ってしまう金ではなくて貸す金でございます。そういうふうな基本的な性格からも、原資を借りて貸すということでも、その振興会の事業の目的が達成できるわけでございます。そこでそのときに、それでは従来のような長期借り入れが期待できるかというと、これは多くは期待できない。のみならず、それをもししいてやろうとすればこれは非常な高利な利率を支払わなければならない。そこでこの長期借り入れといいましても、そういった私学振興会とか一般の銀行から借りるのじゃなくて、安い利率のものを借りる必要がある。すなわち、安い利率といいますのは、やはり政府資金、財政資金、具体的には資金運用部からの長期借り入れが必要になって参るわけであります。ところで従来は、その借り入れを受けたいのでありますけれども、それにはやはり資金運用部資金法の建前がありまして、特別な法的な規制を必要とする。具体的には債券発行能力を付与する必要がある、こういう建前になっておりますので、このような改正をいたして、その資金運用部資金からの長期借り入れを得たいというのが今回の改正の趣旨でございます。具体的に債券発行をしてそこから資金を得るということは現在のところ考えておりません。
  57. 竹下登

    ○竹下委員 私のお尋ねしたい要点は、財投の、今度の資金運用部からの資金自体がいわゆる長期借入金である。その性格づけをいたしますならばそうであるということが明瞭になったわけでありまして、さらに私がその質問をいたしましたこと自体は、資金運用部資金法からしますと、ただいまの答弁にもございましたるごとく、債券発行能力を持たすということになる。そこで私は重ねて今の質問をしようと思っておりましたが、ただいまの答弁の中でそれも明らかにされたのでありますけれども、債券発行は今のところ、すなわち三十八年度においてはしない。だからその金自体はあくまでも資金運用部からの長期借入金であって、債券発行というものの考え方はないということでございますが、この債券発行自体は将来ともしないお考えであるかどうか。
  58. 杉江清

    ○杉江政府委員 私は将来ともしないということは必ずしも言えない。資金需要は今後相当多くなる見通しもありますので、債券発行を必要とするような事情も起こる可能性はあると思います。ただ、そのことが振興会の原資を得る方法として適当であるかどうかといいますと、私はそれはやむを得ない場合の措置である、こう考えるわけであります。やむを得ないといいますのは、振興会の資金調達の方法という見地からはやむを得ない方法として、ほかで十分な資金が得られなければやはり債券発行ということも考えざるを得ない時期があり得るとは考えます。しかし債券発行については、御承知のように相当めんどうな手続を伴います。それからまた利率も高くなります。そういう見地から、やはり当面少なくとも当分の間は長期借り入れで資金を調達する、こういう建前でいくべきものだと私は考えます。
  59. 竹下登

    ○竹下委員 基本的に考え方は私と一致いたしております。ただ次善の策として考えた場合に、将来債券発行をすることがあると仮定した場合、たとえば銀行委託方式とかあるいは日銀に背負い込ますとか、いろいろな手はあるであろうと思うのでありますが、そういう場合、私ども考えるところ、いわゆる私学振興のための資金であるだけに、公募債である場合においては、その引責受けんとする債券自体の性格について金融機関その他がいろいろな観点から選択するであろうと思うのでありますが、そういう場合に政府保証というようなものをする考え方、今のところ当分の間債券発行ということはできるだけやらないようにしたいという考え方のときに、債券発行がもしあり得るとしたらという前提で御質問すること自体に私もいささか当を得ない点もあろうかと思いますけれども、発行した場合には政府保証等を行なえばこの債券自体が消化できる何がしかプラスの要素になりはしないかというふうに考える。そこで、その政府保証というようなものができる可能性等について承りたい。
  60. 杉江清

    ○杉江政府委員 実際債券を発行するとすれば、政府保証がないことには実際上できないと思います。ところで、今回の改正にあたって政府保証の規定を設けるということについては、私どももその方がむしろベターではないかという考え方で大蔵省等とも折衝いたしたのでありますけれども、大蔵省の最近のこの種の規定の取り扱いとしては、現実に債券を発行するときにその問題は考えてほしい、そういうふうな必要が起こればその規定を挿入することは何らやぶさかではないが、現実にその計画がないときに政府保証の規定を入れるということは、一般的な扱いとしてしないようにしているから、そういうことで一つ了承してくれ、こういう意向の表明があったわけでございます。そこで私どもも、当面は、この債券発行を避けて資金運用部資金からの借り入れ、最も望ましいのは一般会計からの出資の増額でございますが、そういう方法に依存いたしたいと考えておりますので、そのような大蔵省の意向をも了承して、このような改正をお願いしておる次第でございます。
  61. 竹下登

    ○竹下委員 筋の通った話はよくわかるのであります。そこで政府保証の条項を織り込むのはそのときに考える、そうしてそういう方向で仕事自体を進めていく場合には、それに対して大蔵当局等の強い抵抗はないという感じで、私、答弁を承ったのでありますが、私の議論自体が債券発行という一つの仮定の事実に基づいておるところに問題点がありますけれども、これは債券発行はしないという考え方であれば、その点についてのこの私立学校振興会法改正は、今回しなくてもよかったのではないか、こういうことについてお考えを承りたい。
  62. 杉江清

    ○杉江政府委員 債券発行能力をも付与する必要はないではないか、こういうお考えですか。——その点については、先ほど申し上げましたが、今資金運用部資金法の建前としても、債券発行能力を付与することが資金運用部からの借り入れの条件になっておるし、現実に資金運用部から借りておる団体には、すべてこの種の規定がございます。例外はございません。そういう点からこの改正をお願いしておる次第であります。
  63. 竹下登

    ○竹下委員 そうすると、資金運用部資金法に基づく債券発行能力がないものに対しては、資金運用部資金の長期貸付はできないという建前でございますか。——わかりました。  さてそこで今回の二十億円の問題でありますが、貸す対象というものは、もちろん私学振興会が貸すものでありますけれども、主として大学というものを対象にするのか、高校というものを対象とするのか。
  64. 杉江清

    ○杉江政府委員 これは幼稚園から大学までの資金需要に応ずるわけでございます。
  65. 竹下登

    ○竹下委員 そこでいわゆる二十億円というものは、私学振興会という一つの袋の中でそれだけ原資がふえるという意味であって、この財投、資金運用部資金そのものは、特に大学振興とか、特に高校の急増とか、特に科学技術振興とか、そういうような指導は伴わない、ただ原資自体をふやして、そうしておっしゃった通り、幼稚園から上までの貸付需要に応じさせる、こういうように理解をしていいかどうか。
  66. 杉江清

    ○杉江政府委員 その点は実はそうなっておらないのであります。実はこの資金運用部資金からの融資をすることについては、財務当局にかなりの抵抗があったわけであります。いわゆる財政投融資は、一般に臨時的な経費、しかも多くの場合は収益性の高いもの、そういうものについて貸すのを建前としておる、ところで一体私学のこういった貸付の一般の状況は、ほとんど恒久性を持ってその必要が起こってくるのではないか、そういうものについてはむしろ一般会計からの出資の方が筋が通るのではないか、こういう意見があったわけなんです。財政投融資は収益の伴う臨時的な大規模な経費の充足に充てるということは、一般論としてはある程度はそうも言えるかと思いますけれども、しかし私どもは、いろいろな例外がたくさんあるので、ことに公共投資というのを考えると、必ずしもその範疇では律し切れないものがある、そういう点を強調して、ぜひ財政投融資からも一つ貸してくれということを言ったのですが、しかし、向こうはやはり恒久的な資金の調達には適しないから、この私立学校の需要する経費のうち、臨時的性格の強いものにとにかく増そう、こういうことになったわけであります。そこで、文部省としては、一応この二十億の資金は高校急増対策に回すということになっておるわけでございます。
  67. 竹下登

    ○竹下委員 そうすると、私もいささかこの資金運用部資金の性格等々についてのことを了知いたしておりますが、そこで、いわゆる原資の中へ無条件政府資金を、長期借り入れ金なるものをぶち込むということではなく、やはり高校急増ということがその中に浮きぼりされておるとするならば、それ自体四十一年度以降の生徒漸減のときに、こげつくおそれというものはないかどうか。
  68. 杉江清

    ○杉江政府委員 財務当局はそういうふうな言い方をして、これを減らそうと一応言うと思います。しかし、臨時的な経費は、このほかにも、たとえば科学技術者養成のための経費は、臨時的な性格を明らかに持っております。それからまた、一般の施設整備も、これを早急に基準まで高めて整備する、こういう意味合いの経費が非常に多くを占めております。そういう意味からいたしますならば、臨時的な経費が大部分を占めておるということが私どもは言えると思う。そういう見地から、今後この金額をふやすように努力したいと思います。もちろん、一般会計から多額の出資があれば、それに越したことはないわけであります。だから一般会計からうんとやるからこっちを減らせというならば、私どもは喜んでそのようにいたしたいと思いますが、そのことがなかなか期待できない。しかも依然として多額の資金需要が続くという限りにおいては、今後とも財政投融資のワクはふやしていくべきものと考えております。
  69. 竹下登

    ○竹下委員 今いわゆる財投の受け入れ自体は第二次的なものであって、政府出資そのものがベターというよりもベストであるということを、答弁の中に四回おっしゃいました。私はそれもその通りだと思っております。ただこれが次善の策として、今後ともこのことが要求される際の、財務当局との議論等について、一通り、ここで裏打ちをしておきたいと思って、あえて御質問を申し上げた次第であります。  最後に、この法律の問題でもう一つだけ。三十九条の二の「文部大臣は、次の場合には、あらかじめ大蔵大臣と協議しなければならない。」この財投受け入れの必要条件として大蔵大臣との協議が必要であるかどうか。
  70. 杉江清

    ○杉江政府委員 その通りでございます。
  71. 竹下登

    ○竹下委員 三十九条の二の「文部大臣は、次の場合には、あらかじめ大蔵大臣と協議しなければならない。」「一、第五条第四項、第二十二条第二項、第二十四条第一項、第二十七条、第二十八条第一項、第三十条、第三十三条第一項、」その次の「第三十四条第一項」というのが、長短期借入金、私学振興債券を規定したものであるという理解でよろしいか。
  72. 杉江清

    ○杉江政府委員 その通りでございます。
  73. 竹下登

    ○竹下委員 それでは今度は私学振興の問題自体についての関連性で、ごく短期間質問をして終わりにしたいと思いますが、局長の答弁の中においても、四回明らかにされたごとく、振興会の政府出資というものがベストであるということは、私もその通りに思います。そこで年々わずかながら増額されてはおりますけれども、今後の私学の需要がますます増大されてくるものと思われる今日、今のような形でごく少しずつ少しずつ上がっていったのでは、一方またこれでは不足だから財投をということになると、両天びんにかけられていく可能性というものが、今後あるのじゃないかということを懸念いたすものでございます。そこで、さはさりながら、財政当局に対してこれが要求を行なうに際しては、私学振興の長期計画というものがあってしかるべきであり、またその長期計画に基づいての政府出資、それが場合によっては長期借入金に肩がわりされる場合があっても、そういう要求をしてこそ迫力を伴うわけでありますが、その長期計画自体について、簡単に御説明をいただきたい。
  74. 杉江清

    ○杉江政府委員 私学振興会からの貸付の対象は、大きく分けて一般施設費と、理工系学生増募、高校急増対策、この三つになるわけであります。このうち理工系学生の増募につきましては、いわゆる私学だけでなくして、全体のいわゆる科学技術者養成計画の線に載せて、私学で担当する部分に対する貸付でございます。従ってその計画は今のところ四十一年度までの四カ年計画になっておるわけであります。それから高校急増対策は、御存じの通り四十年度をもって一応終わる三カ年計画になっております。そしてこの二つにつきましては、他の計画の上に載せて私学でそれに応じた措置をするのにはどうしたらよいかということで、その資金需要も計算され、また振興会からの融資額も計算されておるわけであります。この振興会からの貸付の特殊なもの、また最も本質的といいますか、そういうものとしては、いわゆる私学の施設一般を基準まで充足する、こういう経費でございます。これは私学の現状は、著しく国公立に比べて不備な状態でありますので、これをどうしても充実していかなくてはならぬ。これについては前から私どもは計画を持っております。具体的に言いますと、三十五年から十カ年計画で、これを充足したいという計画を持っておるわけですけれども、現在のような予算獲得状況では、この計画は大幅に延びざるを得ないということでございます。  そこで、それでは一体、全体でどれくらいの資金需要があるのかということですが、この計算を一応、予算査定の基礎数字を基礎にいたしまして、多少はっきりしないところは私ども考え方によってこれを計算いたしますと、最低所要経費は六百五十億円、そしてその中で貸付対象はさらに制限されるので、今までの率でその貸付予定額を計算いたしまして、所要額は三百十三億になるわけです。このような状況になりますが、しかし今申し上げた数字には、たとえば危険改築の経費が入っていないとか、屋体とか講堂の経費が入っていないとか、それから病院とか寄宿舎、研究所等の経費も含まれていないとか、いろいろ対象が制限されております。だからそういう対象は、私は今後は当然入れるべきだと思いますけれども、そういうものを入れますと、この所要経費はおおよその計算でありますけれども、やはり一千億にはなると思います。しかしそういうことでなくして、当面一応事務的に今までのベースで考えた数字として、たとえば一般施設費は貸付所要額として二百二十億円必要という計算が出るのでありますが、これを先ほどの計画でいいますと、あと七カ年間でやる必要があるわけなんです。そういたしますと、一年の所要額は三十一億円になるわけです。ところが今年度の振興会貸付計画は、このうち十四億しか見ておりません。それだけこの十カ年計画というのはぐっと先へ延びるということになるわけであります。  十分でなかったかと思いますが、これで一つ……。
  75. 竹下登

    ○竹下委員 御説の通りでありまして、三十一億円の半分にも満たないわけであります。このペースでいっても十カ年計画が二十カ年で完成されるというような情ない状態であります。そこであるいは他の建設省の道路計画でありますとか、そうしたものと同じように、私学の理工系増募、高校急増は別といたしまして、一般施設費の点について、基準に達するまでの年次計画そのものを財政当局に初めからのまして、そして予算の都合によって、ことしは何ぼついたから、これは十カ年計画が十二年に延びたとかいうようなことが、ちゃんと文教行政の体系の中において説明されるまでの基礎ができておることが私は好ましいのでございます。その基礎自体が、国立大学等においてはやはりできておるというふうに私は思っておりますが、私立大学についてはそういう基礎自体がまだできていない。そこに私学振興自体の問題点があると思うのであります。  そこでこの問題については、そういう政府出資とかね合いで、また財投自体を考えていく、これも予算上の方法としてはあるべきことであり、かつ財投自体が頭出しをしたということは、これは荒木文政の一大躍進の一つであるとは思いますけれども、さらにこの私学振興、そして基準整備の計画自体というものを政府部内の統一した一つの見解としてのみ込ませることによって、予算の範囲内で、それが延びるなら一年延びる、二年延びるということが一々確定できるような体制で、私学振興自体に当たっていただきたいと思うのであります。この私学振興自体に対する文部省の基本的態度について、荒木文部大臣にお尋ねしたいと思います。
  76. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいまの御意見には、私も全面的に賛成でございます。今までそういう角度からの努力が、必ずしも十分でなかったことを考えさせられます。全努力を傾けたいと思います。同時にまた資金面におきましても、個人、法人からの浄財が集まりやすくするための税法上の措置等、今後に残された課題があろうかと思います。それも含めて文部省としては努力すべきものと思います。
  77. 竹下登

    ○竹下委員 私も税法上の問題についてもお尋ねしたかったのでありますが、大臣からの御答弁でそういう心組みが示されましたので、これについては触れないことといたします。  そこで最後に一つ振興会は学校に対する資金の貸付ということはもとよりでありますが、そのほかいま一つ目的でありますところの助成という重要な任務がございます。現在私立学校教職員共済組合と私学研修福祉会に対しての助成を行なっておるのでありますが、この助成財源を確保することは非常に大切なことであります。そこで政府出資額、たまたま二十億なら二十億の財投が、かりにもし政府出資額であるといたしますならば、それだけ剰余金自体も多くなってくるわけであります。そこで一面それによって、たまたま財投自体、政府出資が財投に肩がわりしたとそれ自体考えたときの剰余金の減少分、すなわち利ざや等々につきまして利子補給等も考えられるわけでありますけれども、それらがことごとく研修助成という方向へ向けられるものと判断しますならば、ここで新たに別途な方法で私学研修福祉会とか、あるいは教職員共済組合というようなところへ研修助成という形を、文部省自体でやる考えはあるのかないのかということを承りたいと思います。
  78. 杉江清

    ○杉江政府委員 私学振興会の大きな任務として貸付と助成とがあるわけですが、この助成はやはり私学振興会の一つの基本的な業務として重要な意味を持っておることは御指摘の通りであります。そこで今回の措置、すなわち資金運用部資金からの借り入れのことが、その基本的な性格に影響を及ぼしはしないかということが前から心配されたわけでありますけれども、これは私どもは影響さすべきではない。今後ともいわゆる助成金を出すということは必要であるし、これは伸ばしていかなければならない。さように考えて、その点を財政当局にも認めさせておるのであります。従って、そういうふうな基本的性格が変わりませんので、今後ともこの助成をふやしていく方向をとるべきだと考えております。  では具体的にそれが可能かということになりますが、それは現在のところ可能であります。将来この一般会計からの出資が、ほとんどなくなって、財政投融資だけになってくる。しかもその金額が相当大幅になりますと、今申されたような逆ざやで、こういう助成を圧迫するということが起こりますけれども、現在の情勢ではそういうことはございません。三十八年度におきましても、若干ではありますけれども、この助成をふやす措置を現に考えております。今後もそのような方向で考えていきたいと思っております。
  79. 竹下登

    ○竹下委員 大臣の御決意の表明とでも申しますか、基本的な考え、すなわち税法上の問題等考えて、省内において今後とも検討していきたい、私はこの問題につきましては、せっかくの御努力によって財投というものが確保せられた今日、これを合理的な裏づけをするためにも、明年度予算編成までにはそうした私学自体の年次計画というものを確立されることが好ましいと思って、そのことをさらに強く要望しますとともに、ただいまの助成の問題でありますが、これはこまかな話ではございますけれども、この助成自体、いわゆる研究団体助成、その研究団体の中へこれらが入り得る可能性があるならば、それらの袋の中に入れてもらって、別途振興会からの助成はもとよりでありますけれども、国自体からの助成の方法考えられることが好ましいという意見を申し述べまして、私の質疑を終わります。
  80. 床次徳二

    床次委員長 これに関連して質問がありますので、これを許します。山中吾郎君。
  81. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 今提案になっておる法案及び竹下委員質問に関連して大臣にお聞きをしたいと思いますが、私学計画の必要を今竹下委員からも要望されたのでありますけれども、これは深刻に考えてもらわなければならぬ問題があると思うのです。現在高校急増が全国のPTAの問題になって、大きい問題になっておるわけですが、三年後になると高校卒業者が急増して、卒業するときにまた大学入学問題が出てくる。そのときに、高等学校から大学に押し寄せていくときに浪人をつくる。これはまたそういう青年の優越感、劣等感の中に入っていく青年がどういう方向にいくか、社会問題だと私は思うのであります。従って、三年後のこの大学に関する入学難、試験地獄の問題を深刻に考えて、今から文部省でそういう入学難解消の計画の一環として、私学計画を立てなければならない。その点大臣は、その場その場限りの文教政策でなしに、そういうことを見通して計画を立てる必要があると思うので、その点、大臣の、現在から見た三年後の計画をどうするかということについての御意見を聞いておきたいと思います。
  82. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お説の通り、前向きに検討を加えまして、この課題に取っ組むべきものと存じております。
  83. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 その中に私学問題が重要な計画になってくるので、国立、公立大学の学生と私学の学生の比率は大体六対四、あるいは七〇%近いのが私学の学生である。そこで現在有名校に集中する。あるいは施設、設備というものがないのに定員を倍加する。あらゆる問題はここに出てきておるのであって、施設、設備のいわゆる平均化ということを頭に置いた私学充実計画というものを立ててやらなければならぬ。そこでこういう財政投融資を振興会にもっと増額をし、あるいは一般の助成についてはどうするかということを具体的に立てるべきである。前向きという言葉はそういう意味ですか。ただ抽象的にそうおっしゃっているけれども内容がわからぬから、もう一度お答え下さい。
  84. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 国立大学に対します考え方と、私学につきましても前向きの対策を立てねばならない。そのいわば突破口の一つとして財政投融資の道を開くということも、まさに前向きの初年度であります。そういう方向でもって充実していく努力を次の年度にはさらに加えていかねばならない。先刻竹下さんにもお答え申しました税法上の問題等考えまして、民間の浄財が入りやすくする努力もあわせ行なわねばならない。六対四の比率は文科系においてそうだと思いますが、理工系については逆に四対六というふうな比率になっているようであります。一面また学科の新設、定員増につきましては、単に届出をもって足るという法律そのままで今運営しておりますことも、あわせ考えますときに、なかなか把握しにくい面もございますが、そういうもろもろの要素を考え合わせながら、数年後に控えておる大学入学の問題に取っ組むべきものと考え、検討をし始めておるわけであります。
  85. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 三年後、四年後に高等学校の卒業者が何名ふえるのか、今までの実績において大学希望者は何割か、それに基づいて日本全体の大学教育計画はどうなければならぬかということをやるべきであろう。従って三カ年計画あるいは四カ年計画で今から着手すべきであると思うので、その点具体的にそういう資料を出していただきたい。この国会中でけっこうです。どのくらい高等学校の卒業生がふえて、どういうカーブを描くか、そういうことを出さないと場当たりになる。なぜ申し上げるかというと、今問題になっている高校急増の問題も、終戦直後の年に満州、中国その他の方におった者が全部帰ってきて、そうして久しぶりで奥さんと会って生まれた子供が今ここに現われてきているわけなのです。そのときに文部省は、十何年後にはこれだけふえるということはもうちゃんとわかっていたはずだ。そこで計画を立てていくことが、いわゆる教育白書の中にあるところの長期計画が必要だと力説しておることなので、それを観念的に言わないで、そういうことを見通して立てるのが私は文部大臣責任だと思う。高校急増の問題についても、そういうふうに久しぶりで帰還をした御主人と会って生まれてきたその子供のことの中からすでに計画を立てれば、こんなに大騒ぎをする必要はないのであって、同じくまた大学問題は三年、四年後に出てくるわけですから、その点ももっと科学的に考えて計画を立てる。その中に私は官公私立を含んだ総合的な日本大学教育計画が立つと思うのであります。科学技術の問題にしても、現在いわゆる大学希望者が理科の方は非常に多い、理工科、工学部も多い、どちらが多いというその入学難のパーセンテージの中に、文部省としてはこの学部はこれだけふやして解決するというふうな科学的計画も出てくるはずであります。その資料をずっとお調べになって出していただきたい。局長、出せますか。
  86. 小林行雄

    小林政府委員 大学教育の計画につきましては、実は私どもも事務的な検討はだんだんいたしておりますけれども、ただこれからの経済情勢、その他社会情勢の変動というものがどういうふうになるかということが非常に大きなファクターになるわけでございます。外国の大学教育の事例等も参照はいたしておりますけれども、検討すべき問題がきわめて多いので、たとえばただいま山中先生のおっしゃったように、この国会中に出せとおっしゃられても、実は非常にラフなものにしかならぬのじゃなかろうか、私は事務的にそう思います。さらに十分検討の必要があるのじゃなかろうかと思っております。
  87. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 私の言うのは、経済の状況に関係しておるのじゃないのです。今までの大学の各学部、学科に対する入学希望者と定員との関係で、どのくらいの率であるという実績がある。経済の事情によってある程度の変動があっても、大体の実績がありますよ。理科というのは非常に競争率が多いのだ、理科で工学部は多いのだ、そういう中で大体の見通しをお立てになることはできるんじゃないですか。そうでないと、毎年のように不景気になる、景気になるというふうなことで動くから間違いがあるので、入学をしたときに景気がよくても、四年後には不景気になるのじゃないですか。だから、そういう経済的なことによって左右されるから、教育計画が逆に立たなくなる。父兄の方も、今電気の方が景気がいいからといって入れる、四年後には電気の方が余ってしまう、こういうことになるのですね。それが教育投資の弊害なんです。子供にこれだけの投資をしたら卒業したときに有利になるという計算をして、たいてい入学するときには現在景気のいいところへみな殺到する。卒業する時分にはみな変わってしまっておる。だから、やはり人間形成という自主的立場において教育計画は立てなければならぬ。その実績によって立てられると思うのです。だから、それは欠陥があっても、少なくとも本年じゅうに立てるという決心をしないと、同じことを繰り返すと思うのです。そしてこの入学難、試験地獄で、子供は家出をする、自殺をする、親はノイローゼになる。そして私学においても、入学金を無理しても入らざるを得ない、こういう社会問題が出る。あらゆるものが出る。学校教育法目的がみんなはずれて、全部予備校になってしまう。そして全部日本の文教行政がひずみを来たす、重大な問題であると私は思う。簡単にお考えになるべき問題ではないと思う。それはラフでもいいから立てて下さい。真剣に考えなければいかぬですよ。  私はこの高等学校の中における問題を一つまた大臣にお伺いしますけれども、この間も、九六%は全部入ることになっておるという数字の魔術で問題の分析が終わりになってしまって、まことに遺憾なのですが、そうでなくて、設備のいい優秀校に集まる、そういうことがこの問題ですから、それで現在産業教育振興法、あるいは定時制についての振興法、理科教育振興法、そして設備基準がある。設備基準を百パーセントにずっと計画的に立ててそろえていけば、各高等学校の格差がなくなってきて、いわゆる入学難を実質的に解決できる。だから、せっかく法律にそういう基準があるのですから、この基準完成年次計画を立てるということは、私はこの問題の根本的解決であると思う。幾ら学校をある程度ふやしても、そういう優秀な学校と非常に設備の悪い学校との格差を置いておる限りは解決しないので、九六%は大対入っている、そういうことをおっしゃって文教政策は解決するものではない。その点をもっと具体的にお立てになる必要がある。その点、そういう具体的な計画を各事務当局に命じてやらすということを大臣は明言をされるだけの責任は、私はお持ちになってしかるべきではないかと思う。いかがですか。
  88. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 責任を持ってやらねばならぬと思います。有名校というお話が出ましたが、日本全国にあります、たとえば高等学校でも、すべて有名校にしたいものだ、こういうふうに思います。施設、設備はもちろんのこと、学校の先生も、東京の先生が勉強してりっぱであるならば、いなかの高等学校の先生も東京の先生に負けないように勉強してやっていただく。そうして全部が有名校になりますれば、特定の学校に殺到するような、試験地獄だ何だという騒ぎはもうほとんど解消できるのではないか。そういうこともあわせて考えながら責任を持ってやらねばならぬと思っております。
  89. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 大臣が久しぶりで責任のある答弁をされたので、きょうはこれで終わります。具体的に法律設備基準があるのですから。ところが、いなかに行きますと、理科設備にしても何にしても、東京とか、そういうところだけが進んでおるので、非常に格差がある。格差は経済だけではないのです。文教関係の施設が、大都市といなかの学校とどんどん格差があるので、その格差を解消する計画をお立て願いたい。責任を持って考えるということですから、私はこれで終わります。  次に、簡単にお聞きしますが、国立学校一つの問題として、工業教員養成所のことでお聞きしておきます。簡潔に質問しますから、時間がないから、簡潔にずばりとお答え下さい。  この工業教員養成所を設置するときに、われわれは四年制にして、三年制の速成教育、インスタント教育をして理科関係の教員を出すということはいろいろの弊害があるということで、反対をしたのでありますが、そのときにいろいろの矛盾を残して実行がされておる。その後、大学に付設をしておるところの施設であるから、学部に施設を全部使われて、教員養成所は差別待遇を受けて、なかなか施設を使うことができないという不平が学生から出た。それから、教授、助教授の欠講が多くて、一週間に二日も遊ぶというようなことがある。たった三カ年の間においてそういう状態であっては、自信を持って教壇に立てない、何とかしてほしいという要望、それから卒業後の待遇が不安定であるけれどもどうなるのかという、切なる学生の要望があった。聞くところによると、まだ待遇が人事院との関係においても未解決だ。そうした不安のままに、あの教員養成所が、最初の設立当時の矛盾を含みながら今まで来ておるということを聞いておるわけです。こういう国会の中で明確に答弁をされて、学生に安心をさして、希望を持って勉学するようにお答え願う責任があると思う。おそらく、これは局長でないと詳しいことは言えないと思いますから、まず局長からお答え下さい。
  90. 小林行雄

    小林政府委員 工業教員養成所は、御承知のように三十六年度にスタートをしたわけでございますが、設置早々の三十六年度におきましては、ただいまお話のございましたように、施設設備におきましても、また教官の組織等におきましても、確かに整備が十分でなかったところがございます。しかしその後三十七年、並びに三十八年の予算で、かなり物的、人的な整備が行なわれたものもあり、また行なわれる予定でございます。たとえば、先ほどお尋ねのございました建物につきましては、これは当初からの計画でございますが、三十六年並びに三十七年で予定の坪数がすべて建築が完了することになっておりますので、この新しい施設で規定の授業が支障なく行なわれる見込みでございます。  それから教官につきましても、確かに昨年の四月当初等におきましては、定員に対してかなりの欠員がございましたが、本年度と申しますか、本年の一月現在では、かなり充足されてきております。もちろん多少の欠員はございますが、これも個々の付置される大学で非常に努力をしてもらっております。なお、定員につきましても、明年度の予算では五十七人の教官の定員を増してもらうということが認められております。  それから、卒業後の待遇でございますが、これにつきましては、まだ今後一年間の余裕があるわけでございますが、これについて文部省としてはすでに大体の目安を定めて人事院と折衝中でございます。要するに工業教員養成所の卒業生が大学の卒業生と初任給に格差ができないような何らかの措置を講じたい。もちろん四年制の大学と三年制の工業教員養成所でございますから、期間の差はございますが、就職の一年後における給与で格差を生じないように初任給の措置を講じたいと思っております。またいわゆる初任給調整手当等につきましても差等の生じないように人事院と十分折衝したいと思っております。
  91. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 給与の関係は、だんだん卒業が近づいてきておるわけですから早く明示をしてやるべきだ。やはり大学卒業並みのことをしてやらないと、設立当時の趣旨で、国の要請で三年にして工業教員を充実するのだということなのですから、そこに入れた学生を差別待遇するというのは国の責任だと思うのです。ちゃんとしてやらないと……。それは明確にしてあげていただきたいと思います。  それからこういう短期の養成所の教育は、学校の中で教壇に立っておる間にだんだんと仲間同士で一つの心理的な劣等感、優越感あるいはお互いに心理的なみぞができるということは、戦前の臨時教員養成所の卒業生とその他の卒業生の関係で教師間にわだかまりができたことは、もう歴史的に証明済みの問題であるので、さらに勉強したいという卒業生には大学学部に進学できる、そうして希望を持たせてやるということが何としても必要である。そういう点は大いに考慮するということを、この法案をつくるときに文部大臣が言われたはずなんですが、そういうふうな方向に検討されておるかどうか。今ここで学生が希望を持てるように答えられることを希望して、文部大臣からお答えを願いたいと思います。
  92. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいま山中さんの御指摘の点は、仰せの通り法案審議の際に論議せられたことであり、御要望もあったことでありまして、その当時検討したい、善処したいという趣旨のことをお答えしたと記憶いたします。そのお答えしましたことは誠実に実行に移して参ります。
  93. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 きょうは文部大臣は久しぶりに誠実に責任を持って、今までで一番率直に言われたので、質問はこれで終わりますが、ぜひそういう方向で一つ御努力願いたいと思います。  なお関連して三木、村山委員質問があるそうですから、私はこれで終わります。
  94. 床次徳二

    床次委員長 大へんおそくなりましたけれども、関連質問申し出がありますので、しばらくごしんぼうを願いたいと思います。  三木喜夫君。
  95. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いろいろお聞きしたいわけなのですが、時間もありませんし、すでにお昼も過ぎておりますので、一つだけお聞きしたいと思います。  それは去る二月二十日に予算委員会第二分科会で滝井分科員の方から質問されました入学金の問題です。また当委員会で同僚の村山委員からこの問題が提起されております。それにつきまして入学金の問題は何とか早急に考えなければいけないということを文部大臣の方から答弁されておりますが、考えておるうちに入学金の問題はいろいろ論議を呼んで参りましたし、措置がとられて参りました。この機会に一体具体的にどのような措置をとってこの問題を解決されようとしておるかということが私の質問の要点でございます。  まず、村山さんの聞かれた、入学しない場合でも納入する例が多い、それはもうけ主義で道義的に許せない、それに対して文部大臣は、傍観できないので早急に検討する、このように言われておりますが、その間におきまして種々論議が出て参りましたことを私たちがつぶさに検討いたしてみますと、これは借家の契約で言うと権利金と同じだというような意見も出ておりますし、また汽車に乗る場合に切符を予約する、その切符代であるというような意見も私学側から出されておるわけでございますが、これに対して反対する側としましては、切符ならばキャンセルすることができるというような工合で、いろいろこの間で意見が戦わされて現在まで進んで参りました。今現実問題としては、これを没収することは違法であって、これを訴訟するというような段階にきておりますが、この問題について私学側からそうした論議が出、そして父兄が非常に問題にしておる中で、入学金は返さない、法律的に問題でないということで、日本私立中学高等学校連合会の久保金三郎事務局長は、二十日、入学金は授業料とともに私学のおもな財源であるので、返還要求があっても返さないことを申し合わせた。申し合わせただけならいいのですが、加盟千百私立高校長あてに通達をする、こういうように事態が発展して参っております。入学金の性格というようなものもいろいろあると思いますけれども、これは明らかに世論に対するところの私学側の一つの反発である。それからその中に、入学金をとやかく言う人は学校のあり方を知らない人たちだ、国立は文部省令、公立は地方自治体の条例できめられ、また私立はそれぞれの学則によっている、こういうようなことをいっている。こうなってくると、私学の入学金問題をめぐって、父兄そして私学側、いわゆる入学金問題を否とする者の側と是とする者の側において感情的に対立する事態に至ることを私は非常に心配するわけであります。これが大臣が早急に解決をしなければならないと言われておる間に進行しておる問題であって、入学金の問題は単に訴訟するとか訴訟しないとかいうような問題でなくて、文部省父兄側、そうして私学側も前向きになって解決をしなければならぬ問題ではないか、こう思うのです。私学の助成金と言いますか、財投から私学協会に融資するところの問題について竹下さんの方から質問があり、私学側に対しての問題として非常に文部省考えておられる点を聞いたわけですが、幸いそういうことになっておる。私学側といたしましても、科学技術者養成とかあるいは高校急増に対してはそれぞれ使命を果たして、国の文教政策に対しまして、国是に対しまして協力しておるのです。そこに、こういう問題が軽々にほっておかれるというところに問題があると思います。一体これに対して早急にどのように解決をつけようというような考えに立っておられるか、またどういうように解決をつけるように進めておられるか、これをお聞きしたい。
  96. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お話しの通り早急に検討いたしたいと申しましたし、今もそう考え、事務当局でも検討を始めております。しかしことしの間には合いません、という意味は、そのときも申し添えたと存じております。御指摘の通り新聞記事を通じて見ましても、それぞれ言い分が出ておるようであります。ラジオを聞いておりましても、いろいろとそういうことに関連しての論議がかわされておることも、私も承知いたします。事柄それ自体は、さかのぼれば戦前からあったことでもあり、戦後今日に至りますまで、ある程度慣行されてきておる。今まではそれが大して問題にならなかった。高校急増というのが実際以上に喧伝されておる傾向もなきにしもあらずと思いますが、そういうことから特にこの問題がマスコミ上の話題となったというところに、お話の出るゆえんもあろうかと思います。訴訟を起こすことは自由ですから、それをどうするわけに参りません。起こされたらば裁判所の判決に従わざるを得ない。文部省でどうするというわけのものじゃないと思います。ただ私だけの私見ですけれども、一種の手付であるとするならば、法律論としては解約したらば手付損になることは当然だ。寄付金の性質を持つものがあるならば、児童生徒の保護者としてどこかに入れたいという熱望を持っておるという状況にいわば便乗して、良識を持って判断されて妥当だと思われる以上のものが課せられておるかどうかという課題もございましょう。それを、全国たくさんの対象校があり、問題の所在がたくさんありますときに、文部省みずからの手でことしの問題をどうするという具体策はございません。そこで来年度以降に対してこういう騒ぎが起こらないように、たとえば私学側の一般的な自粛、再検討ということも必要でございましょうし、また父兄側にも考えるべき点もなしとはしない。そういう課題と取っ組みまして、文部省が行政指導的に何がなし得るか、いかなることをなせばよろしいかは、そう簡単に結論は出ない課題であることは、本来の性格からしましてやむを得ないことと思います。検討はむろんせねばならぬし、し始めておりますけれども、ことしの間には合わない。残念ですけれども、率直に申せばそういうことだと存じます。今後に向かってこういう騒ぎが起きないようにいかにすべきかを検討したいと思います。
  97. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 前の予算委員会で、何らか平和的に事がおさまることは当然ですが、そういうことも事務当局を督励いたしまして相談もし、対策が立つものなら考えてみたい、そう思っています。だから対策が立たなかった、こういうことになるわけでありますね。そこで山中さんの質問には、私の聞き違いかもしれませんが、早急に何とか考えなければならぬと言っておる。ことしの間に合わないなら早急ということには当てはまらぬわけですが、私はこの問題についてはやはりある程度前向きで解決をつけるところの方途はあると思うのです。それはすでに父兄側では、先がた私も触れましたように、私学側と話し合う、あるいは文部省もこれについては仲介の労をとる、私学側を呼んでこういうことについての意見もお互い聞いていくということも、一つ方法だろうと思うのです。  ここにもう一つ具体的な例を申し上げたいと思います。西宮市の報徳学園という私立学校がございますが、これは合格の可能性がない場合には同校の受験を控えさせる、一般から二百人募集するのですが、千人以上の志願者があるので、各学校と話し合ってこの問題については対処しておるというようなことで、村山さんの話の中で、高校急増に対してもうけ主義的な考え方については何とか考えてもらわなければいかぬということが提示されております。私は、一々検討は、府県教育委員会を通せばこれは可能だと思うのです。水増しをして募集しておったり、あるいは入学さしておったりというような、いかにも悪質であるというものは、私学の名誉にかけて、文部省がサゼスチョンしてこういう問題を取り消させなければ、父兄の信頼は、せっかく私学がこういう苦しい財政の中で財投融資まで受けて私学の振興をはかろうとしておる、この中において私はそういう良心的な考え方が水泡に帰すると思うのです。そこで方法は、現実にこういうようにやって、私立側が無理な受験をやらして中学生浪人を出すことを食いとめよう、このように考えて善意の措置をとっておるのであります。こういうことは可能だと思うのです。また話し合いも可能だと思うのです。私たちはこの訴訟ということが、これは本命的な問題ではないと思うのです。それよりもそういう問題が私学の間に解決ついて、私学も父兄も一緒になってこの問題を解決つけていくというところに、日本の文教行政なり文教の前進があると思うのです。その点についてもう手はない、これだけ論議を呼んで、新聞あるいはラジオ、テレビあたりで取り上げておる問題を拱手傍観する手は私はないと思う。どうですか、その点。
  98. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 元来、現在の私学のあり方は、今御指摘のような課題につきましても、文部省が当然に関与する建前にはなっていないことは、御案内のごとくであります。公立を受けても、私学の方に向く人もむろんございましょうが、概念的に申せば、公立を捨てて私学を選ぶ、その私学との間に一種の利用契約を結ぶというのが、入学願書を出して試験を受けて入るということでしょうが、その場合にいろいろ付帯しました入学金その他のことは、学校利用契約、一種の誘引文的な入学案内等には明記されておる。学校の校則も印刷されながら配付されておる。それを万事承知の前で利用契約を結ぶというのが、法律概念だろうと思います。これは学校一般に不特定多数の者を募集し、それに応じていく人との相互関係でございますから、法律的な制度的なことを申せば、それ自体文部省としてかれこれ申すべき筋合いのものじゃない課題だと思います。ただ今お話しの通り、社会的な問題ともなってきたじゃないか、あるいは集団的に訴訟まで起こすという気がまえのところもあるやに承知されるときに、傍観してよろしいかという、一種の行政指導的な課題としてお話しなさいますことはわかります。その意味において直ちに検討し始めなければ、来年の間にもむろん間に合いません。何とか手があるかないかも検討し始めることは当然のことであるという気持をくるめてお答えをしたと私は意識しておりますが、現実の問題となりますと、全国に散在しております高等学校に関連した問題を、ただ、たまたま知り得ただけのことについて行政指導的なことをやることもいかがであろうか。実態、真相を把握することそれ自体も、三木さんもおっしゃったように、都道府県教育委員会を通じてしかわかり得ない課題でございますから、現状把握だけでも容易ではございません。急場の間に合わない。ただし、私学協会等を通じて、当面の課題としても何とか話し合いで話がつくものならばつけたらというがごときやり方はあり得ますけれども、決定打でないことは当然でございます。そういう程度のことは事務当局が検討をいたし、接触もいたしておるわけでございますが、おしなべて申せば、ことしには間に合わない。根本的には竹下さんとの問答において御推察いただきますように、私学そのものが、いわば悪どいことがありとするならば、そういうことをしないでも済むような考え方はないものかという基本的な課題ともあわせ考えなければ、十分な措置というものは生まれ出ないものと存ずるのでありまして、そういう基本的なことは、年次を追って整理する以外はないわけですけれども、応急的な課題という取り上げ方にいたしましても、来年度以降について無用の摩擦、混乱が起きないようにどうすればいいかということを具体的に検討し始めて、来年の間にはむしろ間に合わせなければならぬという考え方に立っておるわけでございます。
  99. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 最後に、文部省の方は、たとえば文化財の問題につきまして偽作ができ、あるいは文化財がいろいろ焼けて問題が起こる、永仁の壺の問題が起こる。こういうことになりますと、文部省の所管でない、大臣としては知らない、こういうような逃げ方をされる。今なるほど私学の問題は、文部省の所管ではございません。しかしながら、私たちは私学問題についてこの際放置できないということを言っておるのです。高校急増問題にしましても、技術者の養成にしましても、それだけに、私学問題にこういう紛争が起こって参ったときには、行政指導として当然なすべきである。これを私たちは、文部省が援助して支配せず、こういう考えにはもちろん立ってもらいたいですけれども、それは私たちの関知する問題ではないというような言い方で、この問題は早急に解決がつかないからという理由で、やってもらうことはいささかどうかと思います。だから、行政指導として話し合う手はあろうと思うのです。父兄の声として、これは何新聞でしたか納入をもう少しおくらせてほしい、こういう要望も出ておるので、そういうもの等を勘案して、よく事務当局でも検討してもらいたい。これは事務当局からも後ほどこの問題の対処の仕方をお聞きしたいと思いますけれども、今の文部大臣の言い方には私は納得がいかない。  しかしあとの質問者もございますので、これで私の質問は一応おきまして、私学の入学金問題につきましては、また後の機会に事務当局からお聞きして検討したい。
  100. 床次徳二

  101. 村山喜一

    村山委員 大臣に一言だけお尋ねし、大臣の決意のほどを伺いたい点が出て参りましたので、関連さして質問をさしていただくわけであります。  それはきのうの衆議院の地方行政委員会におきまして、山口鶴男君が自治大臣と奧野財政局長に対して、交付税の特例に関する法律案についての審議をいたしました。その中で大臣あるいは局長の方から答弁がなされた問題がございます。それは今年の高等学校急増計画の中で、御承知のように二百十二億円の財源的な措置がなされているわけでありますが、中に九十億の起債が入っている、その起債がどうしても足らない、その場合には一般会計予算の中の普通の建設事業債、これが今年八十五億計画をされているわけです。昨年は六十五億でありましたが、昨年もこの普通建設事業債の方から高等学校の分に回して、今年もそういうような、どうしても足らないようであればこちらの方から回したいということを表明いたしております。なお、土地の購入費についてもこれは縁故債で今年二十四億のワクを見積もっているけれども、希望によっては土地購入費についてはもっと増額をしてもよろしい。なお全体計画は、これが六一・八%という数字で抑えているけれども、どうしても必要によって修正をしなければならないとするならば、計画についてこれを修正をするのにやぶさかではない、その場合の財源措置としては起債による方法考えていく、こういうような地方財政をあずかる自治省の方からの答弁がなされたわけであります。これは今まで文部大臣もあるいは自治省大臣も、予算委員会あるいはこの文教委員会等において述べられた方向で正しいわけでありますが、こういうふうに、起債政策という点でありますけれども、財源的な措置を講じようという考え方を持っておられるわけでありますが、私がここで特に大臣に要望を申し上げたいのは、三十七年度の交付税の関係であります。  御承知のように特別交付税が百十五億きまる、そこで残りが、三十七年度分の交付税が本来ならば当然地方公共団体に還元しなければならないお金が百二十二億残っているわけであります。その百二十二億の財源のうち二十二億は雪害対策、今度の豪雪対策に使うということに相なっている。あと残りが百億あるわけでありますが、この百億の財源を三十八年度の交付税に繰り越すというのが、交付税の特例に関する法律案の財源的な内容であります。そこでこの分につきまして、御承知のように私立の高等学校急増対策のために昨年は六十億、今年は六十七億というような計画がなされております。昨年は地方交付税の中において十億円の財源措置がされておりましたが、この実績を文部省の方で調査をいたしますと、十七億三千万円という財源措置を都道府県はいたしているわけであります。といたしますと、私立学校自体において七億三千万円という交付税で措置された以外のものを都道府県が持ち出している、これは単に私立学校の計画だけではなくして、当然大臣がこの前の委員会で言われました応急的な措置というものを認める、こういうようなことになって参りますと、都道府県といたしましても、その節にも山口委員から指摘をされておりましたが、都道府県の計画が文部省の計画よりも五十億も上回って措置がされておる、こういうようなところから、当然必要な財源的な措置を講じていかなければ、こういうような全入の高等学校急増の問題に対しては十分に要望にこたえられない、このような事態が出てきているわけでございます。従いまして私は百億円ここに財源的に繰り越す分の中から、当然文部省関係の中で初め計画されました十億の地方交付税、私立の分の残額七億三千万円、そのほか緊急な措置を要した都道府県財源措置の分、これらの分は、翌年度に交付税を繰り越すよりも、本年度この問題について特別交付税の中で考えてやるという態度を、文部省としては、少なくとも文部大臣としては、閣議あたりにおいて主張をされるべきではないかと思うのでありますが、幸い二十二億は豪雪対策に使うんだということがきまっておりまして、そのほかはまだ財源的に幾ら繰り越すんだというところまでは確定をされていないやに聞いているのでありますが、その閣議の席において、大臣は特別交付税の配分をめぐりまして、そのような必要性を力説される御用意はないかということをお尋ねをしたいわけであります。
  102. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 気持はございますが、今お約束はできかねると思います。と申しますのは、六一・八%の合理性を御説明申し上げる角度で、今までお答えをいたしております。これは国の予算も同様、一たん組みまして国会の御審議を願う以上は、それが妥当であり、合理性を持っておることを御説明申すのは、これは当然のことであります。ところが、国の予算であれ何であれ、今度の高校急増対策にいたしましても、地方財政計画にいたしましても、最終的に締め切って現実に収容したのがどれだけだ、そのためにやむを得ず、今あなたもおっしゃった応急措置を講じた、また講じねばならないというために、六一・八%を基礎に計算しました財源措置では足りないということが、それぞれの都道府県で現実に即応して措置ざれた場合、国の予算でいうならば、補正予算を組まねばならない事態が起きた場合、それに対して無関心であってよろしいということを、従来申し上げておったわけではむろんないのであります。そういう応急措置がされまして、あるいはせねばならない事態になりまして、それに必要な資金というものは国の立場で考えて、協力すべきことは当然の課題だと思うのであります。当然の課題ではございますが、しからば、具体的に何百何十何億要るかということは、結果を押えぬことには具体策は立ち得ませんので、そういう結果がわかりまして、しかも教育的に見ましても、地方財政の判断からいたしましても、当然国として考えねばならない事態におきましては、当然に私どもの立場からも主張もし、対策も講じねばならない、かように思っております。
  103. 村山喜一

    村山委員 大臣のおっしゃることもわからないでもないのです。というのは、結果を見て措置をする。その結果を、やはり見通しを立てる場合において、当然私学の振興対策は、私学に負わせている急増計画の中では、交付税として十億円見ておった。ところが現実には、これが十七億三千万円各都道府県は出している。そうすると、財政計画上七億三千万円の狂いがあるということは、現実に文部省自体においても認めておいでになる。それは、なるほどほかの一般財源の方から交付税だから回したんだ、そういうのが地方団体の自主性なんだといえばそれまでのことでありますが、そういうような措置を講じて、なおかつやっておる。なお公立の場合においても、そのような前向きの姿勢でやらなければ、今度の四月一日から入学をする子供たちには間に合わない。だから、とりあえずの措置としては、ある程度無理はあっても入れておいて、あとの対策を講ずるという手も考えなくてはならない、こういうような考え方もとられるわけでありますが、私たちの見る見方では、当然自治省自体が起債政策においては、前向きの姿勢でこのように考えておりますということを、委員会を通じて国民の前に明らかにしている。それは主管省でないところの、いわゆる自治省においてさえもこういうように考えている。とするならば、当然その青少年の教育をあずかるところの文部省は、その起債政策よりももっと前向きの交付税政策においてこれを考えていくのだ、特別交付税の中で考えてもらいたい、こういうような線を主張されるのは、当然な大臣としてのあり方でなかろうかと私は思うのですが、大臣はその気持だけで、あとの行動には移らないつもりでございますか。どうですか。
  104. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 今は気持だけであります。行動に移る時期は、おのずからタイミングがあろうかと思います。私学を含めまして高等学校急増対策は、国と公共団体が協力して対処せねばならぬ課題であることは申し上げるまでもございません。国の立場では、月曜日の質疑応答でも申し上げたと思いますが、全国的な計画を立てて対処するのが当然のやり方でありますが、それについては、実情を十分把握してから全国的な計画を立てることが、これは物理的に不可能な意味もございます。従って、ある時期を押えて計画を立てざるを得ない。そのことが、何度も申し上げましたように、一番手近な根拠のある実績とするならば、三十五年度たらざるを得なかった。そこで六〇%の進学率で臨みましたが、その後前向きの、年次の進行に応じまして、だんだんと現実に近い考え方に立った。知事側の意見も出てきまして、自治省、文部省、知事側と、三者具体的な相談をいたしまして修正しましたのが六一・八%、それで今動いておるわけでございまして、これが先ほども申し上げた通り、最終的な現実面と合わせて見たところが、六一・八%では実は見込みが少なかったんだということになったとしまして、そのときに応じて国の立場で何をなすべきかが出てくる。しかし、それを待っておれないから、都道府県が応急措置を講ずるというのは、設置責任者の立場からいいまして、また自治体それ自体の立場からいいまして、当然の責務を果たした姿だと思います。その結果が国の立場で、先ほども申しましたように、補正予算を組むがごとき課題として、国の立場で何をなすべきかということが、その上に立って初めて出てくる課題だと思います。そういうことはあり得るという前提に立って、自治大臣なりあるいは自治省当局が、お話のようなことを発言してくれましたことは、文部省としてはむろんありがたいと思いますが、また一面当然でもあります。これは文部省だ、自治省だということでなしに、政府全体として、今申し上げた趣旨から、地方公共団体のその応急措置に何をもって臨むかという課題として取り上げねばならない、またそれ以外には取り上げ方がないという課題だと思いますから、今としては気持だけを申し上げるわけでありまして、実行に移らないということを申し上げるわけじゃございません。
  105. 村山喜一

    村山委員 私はぜひ実行に移っていただきたいと思います。というのは、六一・八%というのは、昨年の六四・八%に比べたら三%も下がっておるのですから、そんなに世の中の景気が悪くもならないし、高等学校の教育は受けたいというのが、国民の要求の声として上がってきていることは事実なんですから、そういうような点から、せっかくここまで持ってきていただいたのですから、起債よりも交付税で措置してもらった方が財源的には助かるわけですから、ぜひその方向で御努力を願いたいということを要望申し上げて終わりたいと思います。      ————◇—————
  106. 床次徳二

    床次委員長 この際連合審査会開会の件についてお諮りいたします。  ただいま、本委員会において審査中の日本学校給食会法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会より連合審査会を開会いたしたい旨申し入れがございました。つきましては、本申し入れの通り、農林水産委員会と連合審査会を開会するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、連合審査会の日時等につきしては、農林水産委員長と協議の上、公報をもってお知らせすることといたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる三月一日金曜日開会することとし、これにて散会いたします。    午後二時二十一分散会