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1963-03-05 第43回国会 衆議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月五日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 片島  港君 理事 東海林 稔君       安倍晋太郎君    大野 市郎君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    倉成  正君       谷垣 專一君    寺島隆太郎君       野原 正勝君    松浦 東介君       松本 一郎君    米山 恒治君       角屋堅次郎君    湯山  勇君  出席政府委員         農林政務次官  津島 文治君         水産庁長官   庄野一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局参事         官)      近藤 武夫君         運 輸 技 官         (港湾局技術参         事官)     宮崎 茂一君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (国土地理院         長)      今沢 豊正君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 二月二十八日  委員湯山勇辞任につき、その補欠として八百  板正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員八百板正辞任につき、その補欠として湯  山勇君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月四日  農薬取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三〇号) 同日  農業災害補償制度改正に関する請願外一件(  秋山利恭紹介)(第一七二七号)  同(寺島隆太郎紹介)(第一七五七号)  同(八木徹雄紹介)(第一七五八号)  同(黒金泰美紹介)(第一八八二号)  同(愛知揆一君紹介)(第一八八三号)  同(赤城宗徳紹介)(第一八八四号)  同外一件(石田博英紹介)(第一八八五号)  同(大野市郎紹介)(第一八八六号)  同外十件(小山長規紹介)(第一八八七号)  同(齋藤憲三紹介)(第一八八八号)  同(高橋等紹介)(第一八八九号)  同(南條徳男紹介)(第一八九〇号)  同外一件(柳谷清三郎紹介)(第一八九一  号)  同外一件(池田正之輔君紹介)(第一八九二  号)  同外八件(相川勝六紹介)(第一九五一号)  同外三十五件(大野市郎紹介)(第一九五二  号)  同外五件(坊秀男紹介)(第一九五三号)  同(山口好一紹介)(第一九五四号)  同(内海清紹介)(第一九五五号)  同(砂原格紹介)(第二〇二三号)  同外二十五件(田中彰治紹介)(第二〇二四  号)  同(永田亮一紹介)(第二〇二五号)  同(松田鐵藏紹介)(第二〇二六号)  同(森下國雄紹介)(第二〇二七号)  バナナ自由化に対する合理化資金の融資に関す  る請願安倍晋太郎紹介)(第一七二八号)  農業災害補償制度改正促進に関する請願外十件  (池田正之輔君紹介)(第一八九三号)  国有林野開放に関する請願伊藤幟紹介)(  第一八九四号)  鹿児島県内之浦町辺塚、大浦部落間の国有林道  開設に関する請願二階堂進紹介)(第二〇  三一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第三  六号)  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画変更について承認を求めるの件(内閣  提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 これより会議を開きます。  漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件を一括して議題となし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 過般来、ただいま御提示になりました漁港法の一部改正法案並びに第三次漁港整備計画国会承認の件について同僚委員からいろいろ質疑がなされてきたわけですが、この際海岸法関係からいけば、農林省以外に建設省関係、さらに運輸省関係、こういうものもそれぞれ関連が深いのでありますので、きょうはそれらの方々の御出席も求めて、総合的な立場から数点御質問を申し上げたいと思います。  最初に、経済企画庁からおいでになっておると思うのでありますが、池田内閣できめられました所得倍増計画におきまして、漁港港湾あるいは海岸保全施設、こういうものの公共投資において当初見込んだ予算総額は、各費目別にどういうふうに見込まれておったのか。さらに、これと今回の第三次漁港整備計画でいけば修築事業に対する一千億あるいは改修事業に対する二百五十億等の問題との予算関係というようなものの対比、あるいは港湾では、御承知通り港湾整備特別会計等も設けられておるわけでありますが、そういう今日の計画との予算対比、こういうものについてまず御説明を願いたいと思います。
  4. 近藤武夫

    近藤説明員 所得倍増計画におきましては、行政投資計画期間総額十六兆一千三百億というふうに計上しておりまして、まず漁港関係につきましては、農林水産業ということで、農業基盤草地改良林道造林等とともに一括いたしまして一兆円というふうに計上いたしております。それから港湾につきましては、計画期間中の総投資額五千三百億ということになっております。それから海岸保全につきましては特に特掲いたしておりませんので、「その他」というところで、その他の総額は五兆二千八百億でございますが、その中に含まれておるということに相なっております。  それで倍増計画の趣旨が自由経済下計画でございまして、いわば国民経済全体を巨視的にとらえまして、全体の望ましい姿を描きまして、それに伴ってとるべき政府の政策を首尾一貫的なものにする、こういうような建前でございますので、細部につきましては計画自体ではきめておらないわけでございます。それぞれの担当各省におきまして具体的な計画を立てて実行していただくというふうになっております。計画できめておりますことは以上のような程度のことでございまして、実際の運用はそれに即して行なわれるということになっております。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 この機会に、港湾局関係からは、港湾整備長期計画における予算プラン、さらに建設省河川局関係からは、海岸保全での長期計画における予算的なプランについて、所得倍増計画との関連において御説明を願いたいと思います。
  6. 宮崎茂一

    宮崎説明員 所得倍増計画港湾長期計画の問題でございますが、私どもただいま企画庁からお話のございましたように十カ年間五千三百億というふうになっております。これはどういう考え方かと申しますと、十カ年間におきますところの国民総生産が倍になる、そういう経済指標と港の扱い量という関連をとらえまして、港湾の貨物をどのくらい扱うのかという、目標年次におきましての扱い量というものを出しまして、それとこの港湾投資額を積み上げた試算というか、そういったものとの過去の関連がございますので、そういった関連から巨視的に出した数字を参照にいたしまして積み上げたものでございまして、その五千三百億の中で三十六年からの前期五カ年計画というものは二千五百億円というふうになっております。この二千五百億円のペースを今実行いたしておりまして、今年度の予算が成立いたしますそれまでに大体五十七、八%くらいの進捗率になる、こういった状況でございます。  なお、今申し上げましたのは港湾改修とか整備、いわゆる積極的な港湾整備の方でありまして、海岸防災事業と申しますか、こういう消極的な事業、ちょっと言葉はおかしいですけれども、防災事業につきましては、そういう五カ年計画というのは別ワクでございます。このほかで毎年々々大蔵省と御相談申し上げて重点的に必要な個所から予算要求をして実施に移していく、こういったようなことになっておるわけであります。  一応港湾局関係説明を終わります。
  7. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 河川局関係の問題につきまして、ただいまお尋ねになりました点について申し上げます。  御承知のように治山治水投資額につきましては、治山治水緊急措置法に基づく治山治水事業の十カ年計画に基づいて計画を進めておるわけでございますが、この治山治水十カ年計画に基づく事業費総額は、府県などで行ないます単独事業それから治山事業等も含めまして総額が九千二百億になっておるわけでありますが、合計では一兆五百億円になっておるわけでございます。この金額は所得倍増計画におきます治山治水投資額と比較して考えますと、所得倍増計画におきましては昭和三十六年度から四十五年度に至る投資額を一兆一千二百億と見込んでおるわけでありまして、治山治水計画昭和三十五年度から四十四年度に至る投資額といたしまして一兆五百億円が見込んであるわけでございますが、内容的には、時間のずれがございますが、一致いたしておるわけでございます。  次に、ただいまお尋ね海岸事業についての問題でございますが、海岸事業につきましては海岸保全の面からいろいろの関係各省にまたがっておる部門でございますが、これにつきましては長期計画がまだ策定されていないわけでありまして、所得倍増計画が策定されます際にはまだ独立部門として投資額を定める段階に至っていなかったわけでございます。従いまして、現在所得倍増計画におきまして、先ほど経済企画庁から御説明がございましたように、道路、港湾、あるいは治山治水以外の問題を一括して考えておられます「その他」の投資額五兆二千八百億円の中に含まれておるわけであります。この中に含まれておりますが、今後海岸保全施設長期計画につきましては、昭和三十六年度から関係各省が各部門につきまして内容を調査実施中でございますので、この調査が完了いたしましたならば長期計画を策定いたしまして、海岸事業につきましても——所得倍増計画なとにおきましても独立ワクを設けたらどうか、こういう点につきましてもただいま検討中でございます。
  8. 角屋堅次郎

    角屋委員 海岸法によって、日本海岸のいわば各省別の分け方としては、建設省関係あるいは運輸省関係農林省関係に、海岸保全施設にしてもそれぞれ分かれていくわけですけれども、この際、北海道、内地を含めて、日本海岸線は、いわゆる建設省関係では何%、運輸省関係では大体何%、さらに農林省関係では大体何%というアウトライン、海岸線漁港港湾あるいは海岸保全施設各省別比率についてお調べを願うように言っておきましたが、どなたからでもけっこうですから、その概況を一つ説明願いたいと思います。
  9. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいま御質問がございました件につきまして、各省それぞれの関係もございますが、建設省の方で取りまとめて御説明申し上げます。  わが国の海岸線の総延長は約二万六千キロメートルに及んでおるわけでございますが、昭和三十七年三月末におきます調査結果によって申し上げますと、このうち、さしあたって海岸保全区域の指定を要します延長キロ数は約一万一千七百二十五キロメートルになっておりまして、先ほど申しました海岸線の総延長に対しまして約四四%に当たっているわけでございます。このうち運輸省関係が二千九百十八キロメートル、農林省農地局関係が千五百八十四キロメートル、農林省水産庁関係が二千二百七十五キロメートル、建設省関係が四千九百四十八キロメートルでございまして、合計いたしますと一万一千七百二十五キロメートルでございます。
  10. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいまの説明で、各省間の大体の比率承知したわけです。これは特に伊勢湾台風災害等の際に出てきた問題ですけれども、日本海岸線相当長いわけですが、その所管各省にそれぞれまたがっておる、しかも工事実態等各省間によって構築の強さに相当段差がある、あるいは各省間の海岸保全施設等が入り乱れておって、それがはたして合理的であるのかどうか、そういう点は根本的に検討しなければならぬじゃないかという議論もしたわけですけれども、きょうはその問題はこれ以上触れることは避けます。  建設省国土地理院の方がおいでになっていると思うのでありますが、漁港整備を考える場合でもあるいは港湾の場合でも、建設省関係海岸保全施設を考える場合でも同様でありますが、日本の場合には地盤沈下という問題がこの種の問題の整備計画関連して重要に考えなければならぬ問題の一つだと思うのです。建設省運輸省関係予算を見て参りますと、たとえば東海南海地震地盤沈下対策に対する新年度の予算等もある程度組まれており、あるいは新潟市の地盤沈下に対する予算がある程度組まれているというふうなことが予算上出て参っておりますけれども、国土地理院として日本地盤沈下実態調査海岸線について科学的にどういうふうにやっておられるのか、あるいは日本海岸地帯における地盤沈下現状はどういう姿になっておるのか、その点についてまず御説明を願いたいと思います。
  11. 今沢豊正

    今沢説明員 地盤沈下に関しまして、建設省国土地理院調査をいたしております状況につきまして、概略御説明を申し上げます。  大まかに分けまして、全国的な水準測量を行なっておるということがまず第一でございます。第二番目といたしまして、特に地盤沈下の問題が注目されておる地帯につきまして別途にこまかくやっているというふうに、大体二つに分けられるのでございます。  第一番目の全国的な水準測量でございますが、これはもただいま全国にわたりまして一等水準路線を約二万キロメートル張りめぐらしておるわけでありまして、これを逐次測量いたしておるようなわけでございますが、この方は、予算並びに人員の関係がございまして、一度測量いたしましたものをまたその次に測量するという間に時間が非常に開いております。たとえて申しますと、最初に現在の水準路線が設定されましたのが明治十六年でございまして、大正二年までかかりまして、三十年以上でございますが、一応終わっておるというような状況でございます。その後関東震災を契機といたしまして、さらに今度もう一回はかり直しに着手したような状況でございます。その後、関東震災に続きまして、南海地震であるとか非常な大地震があった際にその地帯をあちらこちらはかっておるといったような状況でございまして、昭和三十六年に至ってはかり直しが大体済んだというような姿でございます。現在、昭和三十七年からまた新しい長期計画に従いましてはかり直しを始めておるというようなことでございます。ただいま九州の方から、毎年千キロメートル程度作業規模でございますが、逐次その程度のことでやっておりますので、全国的な水準測量につきましてはそういったような調査が間延びをいたしておりますような状況でありまして、国土地盤変動状況をつかむには必ずしも適切ではないのでございます。これにつきましては、今後もう少し周期を詰めまして、もっとよいデータをとるように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。  もう一つは、非常に地盤沈下の問題になっておる特定地域につきまして測量いたしておるのでございますが、これにつきましては、どういう地域対象となっておるかと申しますと、一つ東京中心とした地帯でございます。東京都はもちろんでございますが、それに川崎市、横浜市、埼玉県の南部、千葉県といったような地帯がこれの対象として含まれております。それから名古屋中心とした伊勢湾地帯大阪尼崎といったよう阪神方面。さらに北九州、これは八幡の周辺でございます。それから最近非常に問題になっております新潟県の付近でございます。これらはおおむね一年周期ということで毎年はかり直しをやっておりますので、こういう特定地域につきましての地盤沈下はかなりこまかくつかめておるということが言えるかと存じます。新潟県の方は沈下の速度が非常に早いというふうに感ぜられますので、これについては六カ月、従いまして、年に二回はかるというくらいの周期でもってこれを行なっておるような次第でございます。そういう工合にして調べました結果でございますけれども、これは非常に膨大な資料でございますので、これを一言にまとめて申すのは非常に困難でございますが、東京周辺で申しますと、大体この地帯を通観いたしまして、平均的な沈下量は年におよそ十センチ程度あるのじゃなかろうか、大きいところで年に二十センチ程度動いておるというようなところもございます。それから大阪あたりにつきましても、大体そのようなことでございまして、平均的には十センチ、それから大阪市の臨港地帯におきましては十九センチ、尼崎市におきましては十五センチといったようた数字が出ておるわけでございます。新潟につきましては、一時非常に沈下が目立ったのでございますが、最近の傾向といたしまして、かなりそれが鈍ってきておるという結果が出ております。それでも最大の沈下量二十三センチといったような値を示しておるようなところがあるわけでございます。このほか南海地震であるとか、あるいは昭和十九年、二十年にございました名古屋東海方面地震等著名な地震がございました。これに伴ったいろいろ変動データもあるのでございますけれども、一応簡単にこの程度にしておきたいと思います。
  12. 角屋堅次郎

    角屋委員 今、国土地理院の力から全国的な地盤沈下調査状況、あるいは現実特定地域における地盤沈下実態というものについて、ある程度お話願ったわけですが、私どもの地元の三重の関係では、南海とか東海とかいう地震による地盤沈下の実際の状況というものに直面をしておるわけですけれども、さらに第二室戸台風のときにおいては、大阪湾地盤沈下実態というものが非常に当時問題視されまして、こうなってくると、やはり漁港整備を考える場合にも、あるいは港湾整備を考える場合にも、海岸保全施設施設整備をやる場合でも、こういう地盤沈下の問題というものと無関係に考えるわけにいかない、当然そういう問題の対策も十分配慮しながら漁港整備をやる、あるいは港湾整備をやるということに相なるわけですけれども、この問題についてはやるということで、さらに触れることはこの機会には避けたいと思う。いずれにしても地盤沈下対策というものと関連して、整備計画を配慮しなければならぬということは当然だと思いますし、また現状国土地理院で行なっておる地盤沈下の全国的な調査というものが、十分な予算的な裏づけ、あるいは人的な裏づけを持ってなされておるかということになると、これはやはりさらに真剣に考えなければならぬ問題を含んでいるのじゃないかと思います。  そこで海岸法関係で、御承知海岸法施行規則第八条には、海岸保全区域台帳の問題について書いてありますが、これは「高さ及び潮位は、すベて東京湾中等潮位又は基本水準面基準」として海岸保全区域台帳整備するようになっておるわけですけれども、これは現実各省担当の方でこういう海岸保全区域台帳というものが、今言ったような地盤関係等変動がありますと、当然東京湾中等潮位ないしは基本水準面基準にして考える場合には変動が起こってくるということになるのでしょうが、そういう面も十分手直しされて逐年整備されておるのか。あるいは一度海岸保全区域台帳というものができるというと、それらの問題の整備というものは、必ずしも十分なされておらぬのか。その辺は、運輸省あるいは水産庁関係等から、海岸保全区域台帳整備実態について一つ説明を願いたい。
  13. 宮崎茂一

    宮崎説明員 御承知のように、保全区域相当に広範にわたります。従いましてその台帳整備ということは困難なことでございますが、港湾局としましては、一応台帳は全部でき上がっております。しかし今お話しのように、やはり地盤変動による修正というものもございますので、目下そういう点を改良するように測量をいたしましたり、そういったことに努力して修正しておる最中でございます。以上お答えいたします。
  14. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先ほどから御説明申し上げましたように、海岸保全区域につきましては、農林省農地局担当水産庁担当所管の分がございます。水産庁所管いたします海岸保全区域は、御承知のように漁港法漁港区域の中におきまする、海岸保全事業でございます。それにつきましては、海岸法の二十四条の規定に基づきまして、その担当海岸保全担当いたしております管理者でございます都道府県知事または市町村でございますが、この台帳を調製して保管する、こういうことになっておるわけでございます。海岸保全区域台帳の調製につきましては、従来関係各省、これは農林建設、運輸、こういったところで共同いたしまして、その整備促進をはかってきておるわけでございますが、先ほど港湾局の方からもお答えがありましたように、その整備状況は進んでおると思います。当然その海岸保全漁港関係担当者でございます知事あるいは市町村においてそれを調製し促進をはかっておるわけでございます。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 港湾関係は、試験研究機関として、港湾技術研究所というものが従来からいろいろ港湾関係技術研究をやっておるわけですし、また建設省関係では、土木研究所の方でこういう問題に対するいろいろな研究をやっておるわけですが、従来漁港を取り扱っておる水産庁関係では、こういう港湾技術研究所あるいは土木研究所対比すべき研究機関というものが必ずしも整備されておらなかった。しかし現実相当な経費をかけて漁港整備をやるという場合には、やはり設計の構造基準をどうするか、あるいは施工をどうするかというような問題については科学的な研究というものがなされなければならぬことは当然でありまして、そういう点では必ずしも従来十分でなかったので、今回の農林者設置法の一部改正でもって、いわば農地局関係農業土木試験場の中で、水産関係土木工事研究も新しく一つ加えてやらせようという、便宜的といいますか、とりあえずそういう方法をとっておるわけですけれども、これからの漁港整備というものを本格的にやっていこうという段階ではきわめて不十分ではないのかということを率直に感ずるわけです。この点、新しく農林省設置法の一部改正で、農業土木試験場の中で、農地局関係農業土木試験場以外に、その施設を活用して水産関係土木試験もやろうということなんですけれども、これらの考え方について、一つ水産庁長官から今後の方針等もあれば承りたいと思う。
  16. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘のように、漁港に関します土木につきまして、農林省直接の研究機関は、従来持っておりませんでした。漁港部におきましてそういった技術面研究なり調査をいたしておりますし、また府県におきましては、単独漁港課とかがありますところは、そこが中心になりまして、技術面調査研究ということをやっております。また実施面におきましては、府県におきます土木部の中におきまして、港湾あるいは河川等関連におきまして、そういった実施面におきます研究調査、こういうことは実施して万全を期してきた次第でございますが、今回三十八年度から、農林省水産庁といたしましても、こういった漁港関係土木事業並びに今後漁場改善改良をやっていきます場合におきまする土木事業、こういった面が非常に重要になって参りますし、また仕事のウエートも非常に高くなってくる。特に漁場改良あるいは港湾等につきましても、沿岸の構造改善対策との関連においても、やはり水産業として独特の土木関係調査研究をする必要がある、こういうことで今回設置法で御審議を願っております分は、農業土木試験場の中の一部といたしまして、水産土木研究部を三十八年度から設置いたしまして、第一研究課と第二研究課ということで、二つの分野に分かれまして、第一の方で漁港関係土木、第二の方で魚礁とか漁場改良、養殖関係土木関係、こういうものを実施したいと考えております。これにつきましては、御承知のように農業土木試験場におきましては、海岸あるいは干拓等で非常に施設を持っておるわけでございまして、こういった施設あるいは研究等が、やはり漁港の方の防波堤あるいは岸壁といったものと非常に共通する面があるわけでございますし、また研究施設等もこれを利用する可能性があるわけでございまして、発足といたしまして農業土木の中の一研究部、こういうことで発足いたしておりますが、今後さらにこれを拡充して参りたい、こういうふうに考えております。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 同じ海岸地帯のいろんな築造をやる場合でも、漁港の場合は漁港で、これから農業土木試験場研究したところの成果に基づいて、あるいは港湾の場合は港湾技術研究所でいろいろ研究し、建設省関係では土木研究所研究をしというふうに、各省別にそれぞれ研究機関を持っておりますけれども、問題は港湾といい、漁港といい、海岸施設といい、これはわれわれ人為的に分けておるのであって、自然の台風その他の地盤沈下等に対する対策としては、やはり共通したものを持っているということに相なろうかと思うわけであります。従って、従来からもこういう各省間の試験研究機関研究交流あるいは相互の連携というものが十分密接になされておるのかどうかということが、検討すべき問題になるわけです。これらの点について、従来から具体的にどういうふうな形で各省間の相互連携あるいは研究の交流というものをやってきておるのか、あるいは今後農業土木試験場水産関係のそういうものを設ける場合に、さらに緊密にどういうふうに連携をしていこうというのか、これらの点についてそれぞれ各省担当関係から、代表してもけっこうですから、お答えを願いたいと思います。
  18. 宮崎茂一

    宮崎説明員 海岸とか、波とか、土質とか、そういった土木的な研究機関は、今のお話のように各省に分かれてはおりますけれども、私どもの方の港湾技術研究所の方は、一応研究成果というものをまとめまして、研究所の報告をしております。それでその本を読んでいただければよろしいということもございますが、また海岸工学会という学会がございます、それから土木学会という学会もございまして、これらはやはり年に二、三回会議を開いておりますので、そういったところに専門家が出てディスカッションをしておるようでございます。ですから、そういう面での交流というものもあるわけでございますが、役所の間では、たとえばこの前に伊勢湾台風が起きた場合にいたしましても、あるいは東京湾地盤沈下の問題にいたしましても、大阪湾地盤沈下の問題にいたしましても、各省を連れました協議会というものを設けまして、技術的な検討をいたしておりますし、その復旧工法その他についても協議会で何回もディスカッションしておりますので、大体仰せのような交流と申しますか、そういった趣旨には沿っておるのじゃないか。あるいはまた不十分な点があれば、今後そういう交流を密にして万全を期していきたい、私どもの方ではそういうふうに考えております
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 漁港にいたしましても、港湾海岸保全施設にいたしましても、その築造の基準というものは、これは海岸法の第十四条の法的根拠のある築造の基準というところに考え方を置いて、しかも試験研究機関のいろいろな研究の成果というものを反映しながらやる、こういう建前で各省もやっておられるわけですか、あるいは別の考え方でやっておられるわけですか。その点は各省ごとにお答えを願いたいと思う。
  20. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいまお話がございましたように、海岸保全施設につきましては、建設農林、運輸各省に分かれてやっておるわけでございます。従いまして築造いたします場合には、できるだけ各省が統一された基準に基づいてやることが必要になってくるわけでございまして、海岸法におきましても、その築造の基準についても明示いたしておるわけでございます。そこで、ただいままでは関係各省の間におきまして海岸保全施設の築造基準というものを定めまして、まず築造につきましての基本的な内容を統一いたしてやっておるわけでございます。なおそのほか、先ほどもちょっとお話がございましたように、伊勢湾高潮の際の築造の場合、またチリ地震の場合、また第二室戸台風による災害復旧等の場合におきましては、それぞれ関係各省密接な関係がございますので、各省で連絡会を設けまして、お互いにその築造の基準につきまして統一をはかりまして、遺憾ないようにいたして参っておるわけでございますが、さらに今後も関係各省の間の連携を一そう密にして、海岸の築造基準が統一的な基準で行なわれますように進めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 あとの関係はけっこうです。  結局この築造の基準というのは、海岸法の場合でいえば、十四条で法的に規制されておるわけですけれども、従来から災害等の場合に私どもも直面し、またよく聞く声は、同じ海岸であるけれども、たとえば建設省工事はがっちりした工事になっておる、あるいは運輸省関係もがっちりした工事になっておる、あるいは農林省関係では、漁港を見ても農地局の関係を見ても、少しそれから劣るのではないかというようなことがいろいろ議論としては出て参る。たとえば鍋田干拓の場合もそういう点で、農林省の行なったあの堤防についてはいろいろ議論が当時出た。あるいは私どもが災害調査に参りましても、海岸地帯をずっと参りますと、何となく漁港というのが災害では——ことに第一種なんという漁港に至ると、痛めつけられた姿というものにぶつかる。こういうことになって、同じ海岸の保全施設その他をやる場合でも若干各省別に——これは予算の制約その他があるかどうかという問題は別にして、共通の考え方でなさるべき問題が、必ずしも各省間でそういうふうになされずに、アンバラが出ておるような感じを、率直に言って持ってきたわけです。まあ今後漁港関係につきましても一つの試験研究部門というものが農業土木試験場の中につくられる。これは将来は独立の機関を持つというところまでいくことが望ましいのじゃないかと私は思いますが、いずれにしても港湾技術研究所あるいは土木研究所農業土木試験場における水産の方面の研究というものが三位一体になって、港湾にしろ、漁港にしろ、海岸保全にしろ、共通の研究成果というものをそれぞれの整備の中に生かしていくという形が今後積極的にとられなければならないという感じを持っておるわけです。  そこで本論に入りまして漁港法についての問題でありますが、これは昭和二十五年に議員立法として、当時の情勢から見て国会で非常に努力してつくられた法律でありまして、私どももその努力とその後この漁港法が果たしてきた役割というものを評価するのにやぶさかでありませんが、率直に言って、今日の時点になって現行漁港法というものを見る場合には、根本的にやはり再検討し、そしてまた今の時点に即応したように改正をしなければならぬ状況に相なってきているのじゃないかということを感じておるわけです。現実に今日まで漁港法の運営の中で仕事をやってこられた水産庁としてどういう御見解を持っておられるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  22. 庄野五一郎

    庄野政府委員 漁港法の制定の経過、運用の状態につきましては、御審議願った段階におきましていろいろ申し上げた次第でございますが、やはり漁港法の各条文につきまして、今後の水産業の発展の方向あるいはいろんな地域計画と即応して、漁港、特に沿岸の構造改善計画といったものの中核としての漁港整備、こういった点、計画的な面から見て漁港法の運営につきましても十分検討を要する面はあろうと存じます。われわれといたしましても今後漁港法の運営の現状あるいは水産業の発展の方向、そういう点を考えながら、漁港法の法制的な検討というものを十分続けて参りたい、こういうふうに考えております。
  23. 湯山勇

    湯山委員 ちょっと関連関係各省がお見えになっておられますから、この際関連してお尋ねいたしたいと思います。  それは、海岸法でそれぞれの所管区域がきめられておりますけれども、これは大へん不合理な点が多いのではないか。きめられた当時は、漁港ならば漁港中心としてコンパスで半円をかいて、この範囲が漁港の範囲だとか、そういうような荒っぽい作業もあったのじゃないかと思います。そういうことから関連を持って、現在漁港でありながら運輸省所管をしておるとか、あるいは運輸省所管港湾の中に漁港ができているとか、そういったような混乱が多少あるのじゃないかと思うのですが、そういう点は一体どうなっておるのでしょうか。あるいはそういうことについて関係各省間でどういう調整が行なわれておるか、これをまず——どこへお伺いをしていいのか、各省とも一つそういうことがあればお願いしたいと思います。
  24. 庄野五一郎

    庄野政府委員 海岸法に基づきまする各省所管でございますが、水産庁として申し上げますと、御承知のように、漁港漁港法に基づきまして漁港区域を指定して漁港を指定する、こういうことに相なっておるわけでございまして、漁港法に基づきまする指定漁港は全国でただいま二千七百五十一港ございますが、その場合に漁港区域というものをあわせて指定されるわけでございまして、その指定されました漁港区域内におきまする漁港施設並びに海岸保全に関しまする所管というものは水産庁所管する、こういうことに相なっておるわけでございます。今御指摘のように、一般の港湾漁港的に使われているというので漁港法水産庁と混乱があるのじゃないかというお話でございますが、そういう点は運輸省港湾漁港法港湾とは重複なりあるいは矛盾はない、これははっきりいたしておるわけでございます。ただ漁船の利用といたしまして、一般の港湾を漁船が利用するといった面もございます。これはやはり一般の港湾として運輸省所管されているところを水産業の事情によりまして漁船が利用する、こういった面はあるわけでございますが、工事面におけるそういったそごはないと存じます。
  25. 湯山勇

    湯山委員 運輸省の方へお尋ねいたしたいと思いますが、運輸省でたとえば漁港改修というか、あるいは土砂がたまっているものの浚渫というようなことをおやりになっておる例がございますか。
  26. 宮崎茂一

    宮崎説明員 運輸省漁港の船だまりを浚渫するということは全然ございません。運輸省では運輸省所管港湾だけの工事担当しておりまして、漁港の方は全部農林大臣でございます。それからまた、先ほどお話もございましたように、二重指定の港もございます。一部商港でございまして、中に一部漁港があるということもございますし、最近はまたある港で、漁港であったのですけれども商港的に発展してきたというので、これは宮城県の気仙沼でございますか、一部材木を取り扱う区域を商港に指定したという例もございます。その区域ははっきりしておりますので、工事は、運輸省区域運輸省の方でやる、漁港区域は全部水産庁の方でおやりいただく、この点ははっきりしております。
  27. 湯山勇

    湯山委員 実はこういうケースなんです。従来漁港がありまして、指定漁港というのはその漁港のあったところじゃない別な運輸省所管港湾地域が新しく漁港になった。そうするともとあったところ、古い漁港というものは実際はもう要らなくなるわけです。ところが要らなくなっていない。使用しなくなるというわけじゃなくて、漁港として小型の漁船はやはりそこを使っている。そういうところの浚渫は、水産庁の方は今新しいのができましたからそちらについては何にもしない。その海岸区域運輸省の方に入るわけです。そうなったときに、その漁港の今のような浚渫とか簡単な工事は一体どこが所管になるか。それからそういう場合はどういう処理をしておられるか。というのは、今おっしゃったように漁港の方でもずいぶん変わってくるし、商港もだんだん性格が変わってくるという場合がありますから、そういう場合は一体どうなるか、お伺いしたいと思うわけです。
  28. 庄野五一郎

    庄野政府委員 漁港区域変更いたした場合と存じます。そういう場合には関係の省とよく事前に協議いたしまして、これは漁港法にもございますが、運輸省港湾局と相談するということになりまして、相談いたしまして新しい漁港区域を指定いたしております。そういう場合に古い漁港区域を廃止いたしますればこれは一般の港湾の方に入りますし、それを漁港区域に含めて新しい漁港として拡充すれば水産庁所管ということで工事いたすことになっております。
  29. 湯山勇

    湯山委員 その場合、古い漁港の方は水産庁の方の手から離れる、しかし漁港としては使いたい、そういう場合にその海岸運輸省所管になっているという場合の工事ですね。小さい港ですけれども、とにかく船が何十隻か入る、そこの浚渫工事というようなものはどこがやることになるのですか。運輸省としてはそういうことはやらない、それから農林省の方もそれは所管外だからやらないんだということになると、そういう場合は結局地元民がやるしかないわけですか。
  30. 庄野五一郎

    庄野政府委員 従来の古い漁港でやはり沿岸の小型漁船等が利用している、こういった場合はおそらくははずしてないと思うのでございますが、それがもしはずれている、廃止している、こういうことになりますと、その地区が港湾区域に入っておりますれば港湾局工事ということになりましょうし、港湾区域に入ってない場合は一般の海岸保全、こういうことで建設か、あるいは農地局所管か、こういうことになろうかと存じます。
  31. 角屋堅次郎

    角屋委員 この漁港法を見る場合、たとえば漁港の種類の第六条の関係の問題で、御承知の通り一種から四種まで、それに特定第三種を含めて五段階に今日分かれておるわけです。問題は、こういう五段階に分かれておる漁港の種類というものが、今日これほど細分化することが必要かどうかということが一つの検討問題だと思うわけです。ことに一種、二種なんというものを分けておるという必要があるのかどうかという問題もありますし、ことにまた一種、二種というのが漁港整備の中でもきわめて冷遇されるわけですし、また補助率も一番低位に置かれているというところにも問題があるわけですが、私は考え方としては、基幹になるべき漁港、通常の一般の漁港というふうに、二つくらいに大別して物事を考えていくというふうに今後再検討すべきものでないのかというふうに思うわけです。この点、水産庁としてはどういうふうに考えておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  32. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘のように漁港の種類は、漁港法の第六条で第一種から第四種までと、そのほかに特定の第三種漁港、こういうことで五種類に相なっております。この種類の分け方は、第四種を除きまして、利用の範囲といったような点に重点を置きまして四種類に分かれておるわけでございます。第四種の漁港は、漁場の開発のための前進根拠地あるいは漁港の避難港、こういった機能もあるわけでございますが、一種から第三種、特定第三種といったものにつきましては、水産の上におきまする利用の大きさ、こういったものが中心になっておるかと思います。これにつきましては御承知のように、漁業問題の基本問題調査会におきましてもよく検討されまして、今御指摘になりましたように基幹となるような漁港、あるいは一種、二種のような沿岸漁業の根拠地として沿岸振興に役立つような中小漁港、こういったふうに再検討すべきじゃないか、こういう意見の具申もあったわけでございまして、われわれといたしましてはそういう点を十分に考えながら、先ほど申し上げましたように漁港法の中におきまするいろいろな問題を、当然こういうものが中核になろうかと思いますが、再検討して、水産業の発展に即応するように、これは簡素化すべきものは簡素化していったらどうか、こういうような考えを持って検討いたしております。
  33. 角屋堅次郎

    角屋委員 この機会運輸省港湾局関係にお伺いしたいのですが、港湾の場合はランクの問題とか、あるいは港湾の全国的な総体数とかいうふうな問題、さらにそれらと関連をした補助等の基準の問題等について若干御説明を願いたい。
  34. 宮崎茂一

    宮崎説明員 港湾の場合も避難港というものがございます。これは水陸の貨物の揚げおろしをしない、おもに船舶の避難のための港、こういう意味で避難港というものを別にしております。それからその他の全体の港湾につきましては、重要港湾というものを考えております。そのほかは全部地方港湾でございます。ですから非常に平たく申しますと、避難港というのが別にございまして、重要港湾というものはある程度の大きな港、これは大体いろいろ基準がございます。外貿で二十万トン以上扱うとか、あるいは国内輸送で百万トンくらい以上とか、どのくらいの施設を持っているとか、こういった基準が比較的大きな港でございます。そういう三種類でございます。それからまた特に、この重要港湾の中で、外国貿易上国家的に非常に必要な港というものを特定重要港湾といっておりまして、そういうのが数カ所ございます。その港の数でございますが、今申し上げました特定重要港湾というものが十三港ございます。それから特定重要港湾を除きました重要港湾が七十二港ございます。そのほかの地方港湾というのは千十三港、計千九十八港でございます。なお避難港は三十五港、これは地方港湾の中に一応数字的には含めましたけれども、三十五港ございます。ですから大体そういう港の数と分類になっております。
  35. 角屋堅次郎

    角屋委員 港湾法の中では、今言った特定重要港湾あるいは重要港湾、地方港湾という分け方は、港湾法の中できちっと規制されておるのですか。
  36. 宮崎茂一

    宮崎説明員 これは港湾法の中で指定してございます。重要港湾特定重要港湾というものはございます。
  37. 角屋堅次郎

    角屋委員 そこで、漁港の問題については、種類の点は今申しましたように水産庁としても今後漁港法の再検討の問題と関連して、特に一種、二種等の問題についてこれをどうするかという点については考えたいということでありますので、漁港の種類の問題は、今日の時点ではこの程度にいたしたいと思います。  次に、第三章の審議会の関係の問題でありますが、これは当時の客観情勢から整備計画の国会の承認問題とか、あるいは審議会について両院の同意による総理大臣の任命とかいうふうに、非常に権威を与えられた形式をとっているわけですけれども、ただ農林省の場合に、たとえば農業基本法に基づく農政審議会、あるいは開拓営農振興臨時措置法に基づく開拓営農振興審議会とか、果樹農業振興特別措置法に基づくところの果樹農業振興審議会とか、たくさんのものを私調べ上げておりますが、それらを見てみた場合も、総理大臣任命という形式をとるのは比較的まれでありまして、いわゆる農政審議会の場合に総理任命、あるいは中央漁業調整審議会の場合に総理任命というふうなことがありまするけれども、大体大部分は農林大臣任命の形式をとっておるところが多いわけです。それと同時に、国会承認形式というふうなルールを踏んでおるのは他にほとんど例がないのでありまして、大半は農林大臣なり総理の任命形式でやっておるという形であります。しかも人数の問題については、たとえば果樹農業振興特別措置法の場合の審議会は十二人以内ということですが、農政審議会の場合は十五人以内、多いのになりますると、飼料需給安定審議会の場合は三十人以内ということで、九人というふうな形式の少人数でやるところは他にあまり例がなくて、最少十二人、大てい十四人、十五人、あるいは二十人、三十人と、たくさんの例を全部調べ上げておりますが、そういう形式に相なっておるわけであります。これから漁港整備の問題は、単に漁港整備するという、そういうプロバーの問題ではなくて、御承知の、政府におかれても沿岸漁業等振興法を出されておるわけですけれども、それに先行して沿岸漁業の構造改善というものがすでにすべり出しておるわけです。従って漁港整備も、こういう水産業の今後の発展、特に沿岸漁業の構造改善等とマッチさして漁港整備をするという政策的な面、これが今後重視されなければならぬ、こういうことになってくると、やはり今の人数についても、これに国会のメンバーを入れるかどうかという問題はさらに検討しなければならぬ問題を含んでおるかもしれませんが、いずれにしてもこれから本腰を入れてやろうとする沿岸漁業等の振興あるいは水産政策の発展という面から見て、漁港整備等についてもそういう政策とタイアップする審議会の運営という面から見れば、現行の九人——これは水産庁長官をはずしますけれども、一般の方でさらに一人追加になりますから、従って九名という定数には変わりはないわけですが、これはさらに増員をして、客観的、公正な運営形式にさらに充実していく必要があるのじゃないかということを感ずるわけですけれども、その点……。
  38. 庄野五一郎

    庄野政府委員 漁港審議会につきましては、漁港法によりまして御指摘のように内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する、こういうことになりまして、任命形式においては他の審議会あるいは委員会と違いました重きを置いてございます。そして任用資格といいますか、任用される学識経験の範囲につきましては、第九条に、漁港整備について十分な知識と経験を有する方、それから第二に漁港の修築に関する技術について十分な知識と経験を有する人、第二に漁港の運営について十分な知識と経験を有する人、第四点として漁業に関し十分な知識と経験を有する人、こういうことで漁港の技術あるいは運営についての専門家、それから一般の水産業それ自体につきましての専門的な知識と経験を有する者、こういう方の中から八名を選ぶ、それで水産庁長官が一人のメンバーとして、その水産庁長官の職にある者が入る、こういうことに相なったわけでございます。この権限につきましても、漁港の指定あるいは取り消し、廃止といったような点から漁港整備計画の樹立といった点の諮問機関といった点で、非常に任務としては広いわけでございます。そういう点から、先ほど申しましたような総理大臣の任命で両議院の御承認を得る、こういうような形をとったものと存ずるわけでございます。今回の改正におきましては従来の審議会の運営の実況等から、水産庁長官として委員として中に入って業務を尽くすという形よりは、水産庁長官は官庁として当然この審議会には出、また意見を述べる機会もあり、あるいは必要な調査も審議会の命を受けてやる、こういったような点十分な関係もございますし、従来の運営の経験から申しまして、諮問する側の者が水産庁の中の一員になっているということよりは、われわれとしまして外に出て十分審議会の運営に役立つように協力する、こういうような形に改めた方がいいのじゃないか、こういうことで水産庁長官を一人はずすということに御審議をお願いしておるわけでございまして、一名の部分につきましては、やはり水産業関係あるいは漁港関係の専門的知識を有する学識経験者、そういう方から選んでいきたい、どういうふうな考えでおります。
  39. 角屋堅次郎

    角屋委員 審議会の人員の増員問題については長官からは触れられなかったわけですけれども、これはやはりこれからの沿岸漁業等の振興と港漁整備のタイアップというような点からも十分考えてもらいたい問題の一つだと思うわけです。  次に、新年度から御承知漁港改修事業というものが新しく予算的にすべり出すわけですけれども、これは従来から第一次整備計画、第二次整備計画、今回第三次整備計画国会承認が求められておるわけですが、そういう修築事業中心にした整備計画という形で漁港整備をやる以外に、従来防災事業から発足をいたしました局部改良というのが法的根拠を持たずにありましたけれども、さらにそれに加えて八千万円以下二千万円までの分について漁港改修事業というものが新しく予算的にすべり出すということになっておるわけです。これは当局側の説明としては、いわゆる漁港修築整備事業実施すべき以外に、水産業の伸展と見合った弾力的運営という面から見て、改修事業が新しく必要になってきたんだという説明のようでありますけれども、しかし八千万円程度までの漁港の改築、修築あるいは新設等をやるというふうな形になって参りますと、これは法的根拠なしにそのまま予算的に済ませるということは立法機関としてはやはり問題になってくる。従ってやはり改修事業についての法的根拠というものを必要最小限与える必要がある。ことに補助率についても一応予算的には修築事業改修事業との間に差をつくらないのだと言っているけれども、これはやはり法的根拠の裏づけを持っておらない。こういう点にもやはり問題ができるわけでありて、従って私どもとしては、今回予算的にすべり出そうとしている改修事業については、必要最小限の法的根拠というものを、漁港法といろ単独立法が現実に存在しているわけですから、その中で明らかにするということは当然考えられなければならぬ、どういうふうに思うわけです。水産庁としてなぜ必要最小限の法的根拠を与えるということを避けて予算的にこれを済ましていこうというのか、その理由あるいは考え方についてお伺いいたしておきたいと思います。
  40. 庄野五一郎

    庄野政府委員 漁港整備につきましては、御承知のように漁港法に基づきまする整備計画によって従来これを遂行して参った次第でございますくその段階におきまして漁港整備計画は現行のものまでは第一次、第二次ということに相なっておりまして、今回変更整備計面を御承認をお願いしているのが第三次、こういうことに相なるわけでございますが、現行の漁港整備計画を遂行して参ります段階におきまして、やはりおおむね八年間ということで漁港名をあげ、そうしてその各漁港につきましての工事の主たる内容として外郭施設とか、あるいは泊地の施設とか、機能施設、こういうものを御承認願った次第でございますが、御承知のように日本水産業というものは戦後急速な発展をいたしておりますし、またその発展段階におきまして、この水産業の最も重要な生産基盤でございます漁港の利用状況あるいは機能等におきまして、八年間における水産業の発展にマッチしないような面も出てくるわけでございます。その点につきましては従来は整備計画による漁港修築事業、それから今御指摘になりました局部改良事業、こういった点で対応してきたわけでございますけれども、局部改良事業という事業につきましても、おのずからその局部的な改良あるいは補修といったような点で限界もあるわけでございまして、今回整備計画というものに取り上げます漁港につきましては、この水産業の将来八年間を見通しました発展に即応した最も重要な漁港についてこれを重点的に整備していこう、どういうような考えで整備計画を再検討いたして御承認願ったわけでございますが、そういう段階におきまして局部改良事業整備計画によりまする修築事業との間におきまして、今後の水産業の発展に即応するようた事業が各漁港ごとに必要になってくるわけでございますが、それを改修事業として取り上げて三十八年度から実施して、全体的な漁港整備をはかっていきたい。整備計画による修築事業と、改修事業による漁港工事と、局部改良工事による漁港の部分的な改善、補修、そういう三つのシステムによって漁港整備をはかっていきたい、こういうような考えで三十八年度からこういう工事を始める、こういうことに相なったわけでございます。  それで、ただいま申しましたように整備計画にありますものはもちろん重点的に取り上げていくわけでございますが、それに漏れた分は改修事業で取り上げて、その漁業事情あるいは地元の開発等に資するという観点から改修事業で取り上げていく、こういうことに相なるわけでございまして、何分三十八年度から新しく取り上げた事業でございまして、今後この方向も十分全国的な漁港の中から調査をし、整備して計画的にこれを持っていきたい、こういうことでございます。従来の第二次整備計画に入っておりまして、今後改修事業で取り上げていこう、こういうものにつきましては調査相当進んでおりますし、すぐ改修計画に乗り移れる、こういうことになるわけでございますが、その他の新しく改修事業で取り上げていこうというのは、今後やはり相当調査なりを十分やらなければならない、こういう考えを持っておるわけでございます。おおむねそういう考えで、改修事業については大体八年間に四百五十程度漁港対象にしたい、こういう考えでございますが、そういう点もございまして、これは漁港法で取り上げるということにつきまして、まだ十分検討の要があろうかと存じております。われわれといたしましては、三十八年度以降改修事業修築事業と並行して実施していきます段階におきまして、先生の御指摘の点等十分検討して取り上げていきたい、こういうふうに考えております。  なお、審議会の委員のメンバーにつきましては、従来の運営の経過等から見まして、九人で十分機能を果たしていると存じておりますが、御指摘のような点もございますので、また検討させていただきたいと存じます。
  41. 角屋堅次郎

    角屋委員 運輸省の方にお伺いしたいのですが、港湾法の第二条では港湾工事という形で法律的な定義がなされておりまして、「この法律で「港湾工事」とは、港湾施設建設し、改良し、維持し、又は復旧する工事をいう。」こういうことで港湾工事という表わし方をしておるわけですけれども、漁港法でいっておる修築、改修、局改、こういう法的裏づけのない改修が生まれて二つ局改とともに出てきているのですが、港湾の場合には漁港法でやっているような形のものが現実にあるのですか。そうでなくて、いわゆる法的には港湾工事という形で表わしておるわけですけれども、この中の仕分けというものは漁港法式のものがあるんですか。
  42. 宮崎茂一

    宮崎説明員 お答えいたします。  港湾工事というのは非常に幅が広いのでございまして、その中に外郭施設、係留施設、臨港交通施設、いろいろなものがございまして、それぞれによりまして法律で補助率を規定いたしております。それで局部改良という事業は私どもの中にもございます。これは一応予算措置で三分の一の補助を出しております。そのほかはおおむね法律によりまして、その工事の種類と申しますか、細分した種類で法律に基づいた補助率でやっております。
  43. 角屋堅次郎

    角屋委員 同じ海岸関係の問題でも、港湾関係あるいは漁港関係、種類の分け方あるいは工事の仕分けという点でも若干相違があるようですけれども、いずれにしてもこの改修事業というのを新しく始められたわけですが、これは水産庁の長官としては今後検討するということですけれども、立法機関としては相当規模の予算を伴う、こういう改修事業について、しかもこれは単に年々再々実施をしていくというのじゃなくて、整備計画と見合って長期的な予算裏づけも大蔵省と折衝をして了解を求め、そうして対象漁港についてもおおむね概定する、こういう形ですべり出すという性格になってくれば、やはり法的根拠を漁港法という中において与えるということは当然考えられなければならないと思います。  きょうは、後ほどの相談の問題もありまするから、問題指摘程度で終わりたいと思いますけれども、いずれにしてもこれは港湾法との対比の面から見ても考えていかなければならない。特に、私は率直に言って三〇%の補助率しか持っていない局部改良というものは、予算的にも法制的にもやめていく必要があるのじゃないかと思っているわけです。しいて分ければ、修築、改修ということで分ける必要があるかないかは別にして、それは今後の法改正のときに認めるとして、局部改良という補助率のきわめて低位なもの、これはむしろ改修事業の中に吸収し、全体的な補助率を高めるという方向でやはり積極的に考えなければならぬ問題だろう。そうでなければ沿岸漁業の振興というものは結局絵にかいたもちに終わる、そういう実態もあるわけでありまして、私の気持としては、局部改良というものは予算的にも法制的にもこれをやめて、分けるとすれば修築と改修程度に分ける、こういう考え方で、しかも法的裏づけを与えて考えていくということでなければならぬのじゃないかと思うわけです。  次に補助率の問題でありますけれども、ただいま申しましたように、局部改良というのは防災から発足して局部改良ということになって、今日一千万から一千五百万、さらに三十八年度では二千万程度までということであるわけですが、これが三〇%の補助率できわめて低い。これはすみやかな機会にやめていくということが必要だと思うわけです。ただ、これは次のような意見を言うと地域的に問題を提示されてくるかと思いますが、私は今日漁港法の補助率あたりを見ても、その他の法律でももちろんあるわけですが、北海道とその他の地域ということで補助率が分かれている。本法で北海道とその他の地域という場合に、たとえば第三種漁港で北海道が六〇%その他の地域が五〇%、第四種の場合は北海道八〇%その他の地域が六〇%ないし七五%、第一種の場合は北海道六〇%に対してその他の地域四〇%、第二種の場合は北海道六〇%に対してその他の地域四〇%ということで、しかもまた北海道については附則の第二項で特例があって、基本施設の中の外郭施設または水域施設については一〇〇%補助、あるいは建設事業の係留施設については七五%補助となっている。北海道における第三、第四については国の直轄事業であるために、全額国が負担する。こういうようなことで、北海道と内地の間に補助率で相当の懸隔がある。これは戦後日本が四つの島に閉じこもったあの当時、北海道が積極的に開発されなければならぬ条件としては、北海道に対する相当手厚い保護というものも必要であったということは言えるかもしれませんが、今日北海道と内地とで、これほど大きな補助率の差を漁港という舞台でつくらなければならぬのかどうかということは、私はむしろ率直に疑問に思うわけです。離島というのは一つの政策目的があり、また地理的自然的諸条件から見て、これはやはり離島振興法で特別に漁港等の整備についても手厚い保護を考えておる。これは考えられてしかるべき問題だと思いますが、北海道と内地ということで、しかも特例まで北海道に設けて相当な補助率を適用し、内地はそれから見るときわめて低位な補助率で済まされておるという条件が、漁港の場合に今日以降においてもこのままでいいのかどうか。むしろそういう点からいけば、北海道の補助率はそのまま認めていいわけだから、そこまでやはり内地の漁港の補助率を引き上げるのが当然ではないのか、こういうふうに思っておるわけでありまして、補助率の点についても、特に北海道ということを出すと、北海道の超党派的な議員からの意見が出るかと思いますが、そういうことでなくて、やはりなぜ北海道と内地の間にこれほどの補助率の開きを、漁港なら漁港の場合につくらなければならないのかという根本的な理由が、私は時代とともに再検討されなければならぬのじゃないかと思うわけですけれども、これは問題をかもしますから、今後補助率の改定等をやる場合に考えるべき内容問題としてお考え願いたいと思うわけです。  そこで現行の補助率というのは、今回の漁港法の一部改正を通じて、わが党としては積極的にやりたい、特に一種、二種等の漁港についての四〇%の問題については、少なくとも五〇%に引き上げたいというふうな強い気持を持っておるわけですが、予算等関係もあって、今すぐ実現できるかどうかという点でいろいろ考えておるわけです。問題はそういうことと関連をして、地方自治体の漁港に対する補助、助成の状況ですが、これは私がいただいておる全国漁港協会の三十七年十一月の「漁港関係参考資料」というのを見ますと、そこに一覧表で、各県の「漁港関係事業費負担率一覧表」ということで、いろいろ出ておるわけですが、これを見てくると、各県別に実にアンバラがあるわけです。非常に積極的に県等で考えておるところとそうでないところでは、地元負担というものに非常な差が出てくる。一体こういうものを水産庁として、これは各県のそれぞれの自主性でやっておるのだということで見過ごしておるのか、あるいは政策的な指導をもって各県に当たられておるのか、この辺のところが一つ問題だと思うわけです。過般農業の構造改善の問題を論じたときに、いわゆる交付税の関係で、特定のひもつきという性格のものはとれないけれども、しかし中身の考え方としては、府県段階で二割の上積みの助成ができるような配慮で交付税を考えるという議論をしたことがありますが、今後沿岸漁業の振興を考え、さらに漁港整備の緊急性から考えてみて、今までのような各府県別のばらばらの漁港整備に対する補助はこのままでいいのか、あるいはそうではなくて、国が予算的な裏づけも配慮しながら、県の最低限の補助というものについてのきっちりした指導性というものを発揮していく必要が今日出てきておるのではないかという感じが率直に言ってするのですが、この辺のところの現況と水産庁関係の従来の指導と今後の方針について承っておきたいと思うわけです。
  44. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘のように漁港につきましては、県営でやる分と市町村営でやる分とございます。県営でやる分につきましては、国の負担あるいは補助の残りは県が負担する、こういうことに相なっておりますが、町村営につきましては、これについて県が負担している面があるわけでございます。そういう面におきまして、県の持ち分が県ごとにいろいろ異なってきている面が出ておるわけでございます。これにつきまして、御指摘のようにやはり県の財政事情並びに水産業として県におきまする産業のウエート、そういった面でこういういろいろな差が出てきておるかと存ずる次第でございます。水産庁といたしましては、やはりひもつきというわけには参りませんが、できるだけ地元負担等につきましては県において負担できるように、こういったような指導なり要請を県にいたしておるわけでございまして、今後そういった努力は進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  45. 角屋堅次郎

    角屋委員 今お話しになりましたけれども、たとえば漁港修築事業を、直轄並びに離島関係を含まないということで、いろいろ資料が出ておりますが、第一種の場合、事業主体が県の場合に、国、県、市町村の負担の各都道府県別の実況を見てみますと、たとえば東京の場合には国が四〇%補助するに対して、東京都で六〇%補助し、市町村関係ゼロというふうな一覧表になっております。北海道で例をとれば、北海道の場合国が七五%、あと北海道の関係で一二・五%、市町村関係で一二・五%というデータもありますし、たとえば秋田の場合でいけば、国の四〇に対して県が二〇、市町村が四〇というような形で、各県別に非常にアンバラがあって、今長官は、県がやる場合においては、市町村の負担は全然ないのだという御説明ですけれども、少しこの資料と違うようですが、一種の例をとってみても、二種の場合もそうですが……。
  46. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先ほど申しました分につきまして、多少説明に不十分な点があろうかと存じます。県営につきましても、受益者負担といったような形で、県がその工事の一部を市町村に負担させておる、こういう例があるわけでございまして、その点今御指摘の通りでございます。そういった点等におきまして、やはり県ができるだけ持つようにという指導はいたしていきたい、こう思っております。なお地元負担等の地方交付税交付金につきましても、超過する部分についての上積み二五%、こういった措置は、漁港につきましても自治省とよく連絡を保ちながらそういった措置を講じて、地元負担の負担力増という点には配慮いたしておる次第でございます。
  47. 角屋堅次郎

    角屋委員 今説明がありましたけれども、いずれにしてもこの一覧表を見ると、各県間のアンバラというものが非常に目立っておるわけです。われわれの気持としては、要するに地元の関係漁民の負担というものを最小限にとどめるという前提に立って、国の補助率あるいは県、市町村の負担というものをそれぞれの力に見合ってやってもらう、こういう前提に立った補助率の再検討というものが速急になされなければならぬ。できれば今回の場合に、沿岸漁業等の振興と見合って、今漁業の種類できめられておる一種、二種というふうなところにおける低位補助率というものを一挙に引き上げたい、こういうところにあるわけでありまして、そういう点については、今後やはり前向きの姿勢で積極的に考えてもらいたいと思います。  第三次整備計画の中身というところに入って参りますれば、いろいろ議論があるわけでありまして、御承知の第一次漁港整備計画では四百五十港を対象にして昭和二十六年の五月に国会承認を経てすべり出し、これがその後昭和三十年に改定をされて第二次漁港整備計画、この場合には、第一次整備計画の未完成漁港の四百七港に新たに百九十七港を加えた六百四港について第二次漁港整備計画がすべり出し、これが本年の段階で七二%の進捗率ということで、第三次漁港整備計画に受け継がれた。第二次漁港整備計画の場合には、第一次漁港整備計画の未完成分を含めて新たに追加した分との間で六百四港についてなされたわけですけれども、今回の場合には、第二次漁港整備計画の中から相当程度のものをはずして、つまり既定の第二次整備計画のうちから引き継いだものは二百六十四港であって、新しく追加したものは百十六港、これを加えた三百八十港についてやる。そうしてここで落ちたものについては、先ほど来問題にしてきておる改修事業等で拾う、そういう形をとったわけですが、問題はそういうことと関連をして、先ほども申しましたような改修事業に対する法的根拠の問題もありますけれども、同時に対大蔵との関係、今後の長期的な予算の確保という面から見て、なぜその第二次計画にまで持ち越してきた、いわゆる整備計画に載ったもの、そうして未完成のものについては、引き続き次の整備計画の際にはおおむねそれを包含をして整備をやっていくという考え方をこの際に変えざるを得なかったのか、そういう点については必ずしも従来からの委員会質問の中では不十分でありますので、あらためて一つ説明を願いたいと思います。
  48. 庄野五一郎

    庄野政府委員 第二次の整備計画の遂行率は、御指摘のように約七一ないし七二%でございます。この第二次整備計画を遂行して参ります段階におきまして、漁業事情等が著しく変わったわけでございまして、そういう点を考えながら将来を見通して、第三次の整備計画を立てたわけでございますが、第三次の整備計画計画方針につきましては、先般御説明申し上げた通りでございます。  なお、われわれといたしまして第三次の整備計画におきましては、やはり全国的に見て最も重要な漁港を、総花式じゃなしに最重点的に取り上げていこうというような点から再検討いたしまして、今回三百八十港というものを第三次の整備計画修築事業対象港として御承認を願っている次第でございまして、そういった基準から考えて、従来第二次計画にありました分については、改修計画ということで整備計画と同じ補助率で引き続いてこれはやる、こういうような考えをいたしたわけでございます。第三次の整備計画中心は、やはり漁業事情に即応する最も重要な漁港につきまして、最重点的にこれを取り上げる、こういう点にあるわけでございます。
  49. 角屋堅次郎

    角屋委員 漁港の一種から四種までの関係では御承知のように、一種が、二千七百五十一の総数のうちで二千百八十三というきわめて大量を占めておりますし、二種が四百三、三種が特定のものを含めますれば九十四、四種が七十一、今回の第三次漁港整備計画で、こういう総数と見合って漁港整備対象になったものを見ますと、一種では八十四、二種では百五十七、三種では七十一、特定第三種は八つがそのまま全部入りまして、第四種では六十という形になりますと、結局沿岸漁業等振興をこれから積極的にやるということに見合っての漁港整備という点からいって、今一種、二種といわれるようないわゆる零細なところについてもやはり十分予算的な裏づけをもって早期に漁港整備をやるという観点から見ると、何となく今回の第三次漁港整備計画では、比較的力の強い中核的なところに非常なウエートが置かれて、第一種、第二種というのは非常に冷遇されていくという姿が端的に出てきているのじゃないかという感じがするわけです。しかも改修事業というのは、今日法的な規制も明らかにされておるわけでもありませんし、その年々の予算編成で若干変動を生ずる危険性も当然予想されてくるということになりますと、今申しました一種、二種等の漁港整備というのは、時期的に非常にずれてくる危険性も生じてくるのじゃないか。従って私は漁港工事というものについて、修築、改修に分けることについては別に異論をはさむものではありませんが、その際に先ほど来言っておりますように、局部改良というふうな低位補助率のものは改めて改修計画の中に含むという形に切りかえて、そして特に今後の沿岸漁業等の振興の関係からいくならば、第一種、第二種についても冷遇することなく、これらの漁港整備についても速急に進めるとともに、沿岸漁業の構造改善とタイアップした漁港整備という観点から見ると、今回の第三次漁港整備計画考え方というものは必ずしも密着して立てられているというふうな感じがしないのですけれども、その辺はどうお考えですか。
  50. 庄野五一郎

    庄野政府委員 この第一種、第二種漁港につきまして、整備計画に取り上げていきます計画段階におきまして、第一種、第二種はやはり沿岸漁業の構造改善の中核漁港的な性格を持つものから最優先して参りたい、こういう計画方針で第一種、第二種から整備計画に取り上げて参った次第でございます。御承知のように、漁港というものは沿岸構造改善の大きな基盤整備の最たるものであろうとわれわれは考えておるわけでございますが、漁港というものはやはり水産業の発展にとりましては先行投資的な性格のものであろうと存ずるわけでございます。そういう点でもちろん沿岸漁業の構造改善対策事業を進めていきます場合に、その計画とうらはら、あるいはそれと全く不可分の関係において考えなくてはならぬわけでございますが、沿岸構造改善は昨年から出発しているわけでございまして、その調査計画段階においてこれは十分調整し、そして先行投資的な役割も果たすということで、第一種漁港については八十四港、第二種漁港については百五十七港、そういう中核的な性格が濃いという点から、第三次整備計画に取り上げて重点的に推進する、こういう考えでございます。
  51. 角屋堅次郎

    角屋委員 この中核漁港という考え方は、私は必ずしも否定しないのですけれども、中核漁港としては、その中核漁港に応ずるスケールの漁港整備をやる、これは必要だと思う。ただしかし、中核漁港という構想に当てはまらないところといえども、今日の沿岸漁業の実態や今後の沿岸漁業の振興から考えれば、速急に漁港整備をやらなければならぬところがたくさん山積しておる。現に今日、新年度予算の局部改良あるいは改修、あるいは修築の整備計画で指定されたところのどこを取り上げるかという問題のヒアリングを水産庁でやっている場合に、連日山のごとくに第一線の漁業協同組合から陳情に来ている姿があるでしょう。それほど今日沿岸漁業のいわば苦悩をしている段階で、まず漁港の基盤整備というものを重要な項目の一つとしてやらなくてはならぬという熱意がここに出てきているのだと思います。私どもはそういう第一線の要望等を考えてみる場合に、やはり沿岸漁業振興の重要な基盤として漁港整備というものは——中核漁港そのものは、それはそれなりのやはり態様、スケールを持ってやらなければならぬと思うけれども、中核漁港の性格に該当しないと思われるところについても、やはりそれに見合った漁港整備というものは同時に並行的に進められなければならぬ。こういう点から見て、私は漁港法の再検討の問題ももちろんでありますけれども、同時に今日、第三次整備計画で考えておる予算規模、これからの八年間の修築事業あるいは改修、局改等に対する予算規模というものは、これでもっていいのかどうか。先ほど来建設関係、運輸関係、あるいは所得倍増計画における総体的な予算等についてもお伺いをしましたのは、それらの全体的な計画の中において今後沿岸漁業の振興というものを真剣に考える、構造改善を真剣に考えるという立場から漁港整備というものを取り上げます場合に、これから八年間の予算規模としてこの程度のものでいいのかどうか、第一線の要望から見てこれはきわめて不十分だというふうに率直に感ずるわけです。ことに、これから補助率の改定等も真剣に考えて改定するということになったならば、予算の全体的なワクというものについても、さらにふくらまさなければならぬということであろうかと思います。せっかく政務次官がおいででありますので、この機会に政務次官にお伺いしたいわけですが、政府としては、沿岸漁業等振興法を今日出してこられて、内容的にはこれから真剣に検討しなければならぬかと思うわけですけれども、これから沿岸中小漁業等を含む漁業の振興をはかっていきたいということで考えられる場合に、それとタイアップした漁港整備というものは今日喫緊の急務だということになる。しかも従来の漁港整備というものは、大正七年に漁港に対する補助というものが芽を出しましてから歴史的な変遷を経て、今日のような漁港法の成立、それに基づく整備計画の第三次までの進展ということできたわけですけれども、全国的に漁港整備の今日の実態というものを見てみると、まだまだ相当大規模の予算を通じて、しかも速急にやっていかなければならぬという現地の要請というものが強いわけです。この機会に、今後の漁港整備の進め方、あるいは漁港法の根本的な再検討、補助率の引き上げ等の問題を含めて、政務次官のお考えを最後にお伺いしておきたいと思います。
  52. 津島文治

    ○津島政府委員 漁港の重要性につきまして、だんだんお話を承りまして、全く同感でございます。今日の漁港には、沿岸漁民の生活の向上、経済の発展というものから考えまして幾多の問題をはらんでおるように思うのであります。第一には、全国的に見まして、現在の漁港の規模がはたして時代に合っておるかどうかということに対しましては、私どもは多大の疑問を持っておるのであります。計画をした場合と今日の漁港の使命といいますか、あり方というものが、かなり違っておるのであります。それに対して、今後ほんとうに再検討をして参らなければならないというふうに考えられるのであります。全国に非常に多くの漁港がございますが、ほんとうに今日の要請にマッチし得る漁港は幾ばくあるかということを考えますと、やはり寒心にたえないものがあると思うのであります。従いまして、思い切った検討を加えるということは必要であるというふうに痛感いたします。  それから補助率の問題でございますが、ごもっともなことでございます。これは北海道に比べまして非常に低いのであります。北海道は高いということをかれこれ言うのではございませんが、今日の内地の漁港の使命から考えまして、また重要性から考えまして、この率を北海道並みに引き上げていくということは当然のことではないだろうかというふうに私は考える次第でございます。  いずれにしましても、今後大きな政治の課題として、日本漁港というものを取り上げて検討して参らなければならないものであるというふうに考えておる次第であります。
  53. 長谷川四郎

    ○長谷川委員長 次会は明六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会