○竹内説明員
外務省といたしましても、その問題自体の価値判断というものに相当
重点を置きまして、強力な
交渉を進めたいと思うわけでございます。ただ、
漁業問題そのものにつきましても、実はいろいろ具体的に考慮しなければならぬ諸点がある。
一つは
自発的抑止原則、これはもちろんわれわれとしては今後の
交渉におきましてはずしたいと
考えておる
ところでありますけれども、それかといって、
北太平洋の
漁業を直ちに野放しにするということは、わが国の
漁業の発展という見地からいいまして適当な手段ではない。これはやはり
国際的な協力によって、
資源の
保存という観点から、とるべきものはとるけれども、同時に
資源を十分に
保護して持続的な生産性を最大限に維持していく、これが今後
国際的にますます発展する
日本の
漁業としてはいくべき方向ではないか、そういう意味から申しまして、現行
条約の
自発的抑止の
原則、こういうものは是正して参りますけれども、同時にこれにかわるべき何らかの漁獲並びに
魚族保存の取りきめを結ばなければならない、こういうふうに
考えております。現に
アメリカにおきまして、先ほど申しました
関係漁民のいろいろな働きかけのほかに、具体的なわれわれとして考慮しなければならない点が二、三ございます。その
一つは、昨年
アメリカの議会を通過いたしました通商拡大法に、先ほど申しましたアラスカ選出のバートレット議員が修正案を出しまして、これが通過いたしたのであります。これは抽象的ではありますけれども、誠意を持って
魚族保存のための協定を結ぶために努力をしない国に対しては、そっちの国からの魚類の輸入に対して
保護関税を設けるという提案をいたしましてこれが通ったという事実がございます。さらにまた毎年
アメリカ議会におきましてペリー法案というものが出ておりまして、これは幸いにして成立するに至っておりませんけれども、同じく
魚族保存に協力しない国、それからの魚類、カン詰製品あるいは鮮魚、一切を輸入
禁止にするという法律が毎年議会に出てきておる、こういう点でございまして、これが一たん
通りますと、
アメリカ国内法でありますので、はなはだ厄介なことになる。これらの諸点というものを、やはり新しい
漁業条約なり協定なりというものをつくるにつきましては、その
交渉の進め方という点に
関連して、十分考慮していかなければならぬ、こういうふうに
考えております。