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1963-05-24 第43回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月二十四日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 岡崎 英城君    理事 内藤  隆君 理事 藤原 節夫君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       内海 安吉君    小笠 公韶君       草野一郎平君    纐纈 彌三君       辻  寛一君    船田  中君       保科善四郎君    緒方 孝男君       久保田鶴松君    田口 誠治君       楢崎弥之助君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 志賀健次郎君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  上田 克郎君         防衛庁参事官         (装備局長)  伊藤 三郎君         防衛施設庁長官 林  一夫君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    鈴木  昇君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 五月二十四日  委員堂森芳夫君、永井勝次郎君及び西村関一君  辞任につき、その補欠として勝間田清一君、楢  崎弥之助君及び帆足計君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員勝間田清一君、楢崎弥之助君及び帆足計君  辞任につき、その補欠として堂森芳夫君、永井  勝次郎君及び西村関一君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件(半自動警戒管制組織の問  題及びF105ジェット戦闘爆撃機問題等)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますから、順次これを許します。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は、きょうは主としてバッジの問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  最近非常に一般関心を集めておるわけでございますが、これは非常に高価な買いものになるために、国民としても関心を示しておるものだと思うわけです。いろいろお伺いをします前に、この決定が非常におくれておるわけで、最初三十七年のうちにきめたい、それから三十七年度中に機種をきめたいというようにだんだんずれてきておるわけですが、いまだに決定を見ておりません。それに関連いたしまして、とかくのうわさもあるわけでございますが、最初お尋ねをします前に、この機種決定に至りますまでの経過、これはどういう手続をとってきておられるのか、いつごろおきめになるつもりなのか、その辺からまず御説明をお聞きしてから、質問に入りたいと思います。
  4. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 バッジシステム機種選定作業につきましては、私もしろうとでございますから、当初若干期間的に見込み違いもございましたが、本年の二月、本院の予算委員会におきまして、横路委員の御質問に私は答えておるのであります。それによりますと、六月中には決定いたしたい、六月末までを目途に作業をいたして決定をする方針であるということを明確に述べておるのでございまして、私が今年の二月にお答えいたしましてからは、きわめて順調に予定どおり作業が進んでおるのでございまして、決しておくれておるというようなことはないのでございます。あとから装備局長からお答え申し上げますが、私のほうで要求すべき性能検討するのに相当時間がかかりまして、その要求性能を整えまして、アメリカの御承知の三社を呼びまして、それぞれ個別的に要求性能を提示すると同時に、その見積もりを申し渡してあるのでございます。三社は、われわれの提示に確実に答えてまいったのであります。その答えをさらに私のほうで慎重に審議しまして、三社をそれぞれ個別的にまた再度呼びまして、われわれのほうの疑問点をただし、それにまた各社がそれぞれ答えてくれまして、それを中心に目下空幕において慎重に検討を遂げておる最中でございます。空幕検討が一応見通しがつきますれば、それを資料にいたしまして、内局と空幕を交えまして最後の検討をいたして、横路委員にお答えしたとおり、六月中には決定いたしたい、かように考えまして、目下その作業を急いでおるような次第でございます。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 予定どおり作業が進んでおるというお話で、別におくれておるようなことはないというわけでございますが、これは第二次防衛五カ年計画の中で取り上げられておるわけでございますけれども、いつまでに実際に実用化できるようにしようというふうに考えておられるのですか。
  6. 海原治

    海原政府委員 昭和四十一年度末までにバッジシステム完成予定いたしております。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そのためには、大体六月一ぱいに結論を出しさえすれば、生産の面においても、あるいは予算措置の面においても支障がない、こういう考え方ですか。
  8. 海原治

    海原政府委員 予算面は、来年度予算で御審議をお願いする予定でございまして、ただいまお尋ねにありましたように、また大臣がお答えいたしましたように、六月末までに結論が出れば、予定どおりに進捗するものと、このように判断いたしております。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これは日米両国政府で、それぞれ分担をすることになると思うのですが、アメリカ会計年度は七月一日からということになるわけですが、この辺はどうなりますか。
  10. 海原治

    海原政府委員 アメリカ会計年度は、直接の関連はございません。何ぶんにも数カ年にわたる計画でございますので、一応米国側にも二次計画につきましては説明してございますし、このバッジ組織完成につきましては、アメリカ側も相当な関心を持っております。御存じのように、アメリカ予算というものは、単年度限りで流れるということはございませんで、継続的な措置もできますので、その点につきましては格別の問題はない、このように私どもは判断しております。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 現在、すでに日米両国分担率は大体きまっておるわけですか、率か額かは別として。
  12. 海原治

    海原政府委員 まだきまっておりません。これは日本政府として意思決定いたしまして、どのような機種をどの程度の額で建設するということがきまってから、アメリカ側と折衝に入る問題でございます。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その点で、私どもが聞いておるのと違うわけですから、ちょっとただしてみたいと思うのですけれども対外軍事援助部門の極東を担当しておるカーペンター海軍大佐談話の中に出ておるものによりますと、アメリカ予算は六四会計年度において見るつもりだ、ここから始まるというふうに言明しておりますが、先ほどのとちょっと違うのじゃないかと思うのです。それから援助については、もうすでに日本側に話してあるし、十分に日本側でわかっているはずだというふうに言っておりますが、これはどういうことですか。
  14. 海原治

    海原政府委員 いま御指摘のございましたのは、おそらくウイングという業界紙に出ておりました記事ではないかと想像いたしますが、私ども承知いたしております限りでは、先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、ただ、このバッジ組織を二次計画に従って建設したいということにつきましては、昨年も丸田空将補を団長とする調査団を出しております。そういう際にも、十分アメリカ側考え方もただしておりますし、こちらの考え方も申しておりますので、そういう意味の具体的な、事務的な準備というものは、現実の問題として進んでおると思います。しかし、私どもバッジをどういう形において建設をするかということのまだ検討前提でございますから、これがはっきりきまりましてから政府政府交渉に入る。アメリカ側としては、一次、二次計画にございますようなことで、日本政府バッジシステム選定を行ない建設を行なう場合にはどういうふうな援助をしようかということの事務的な一応の腹づもりがある、それがあのような談話になったのではないか、こう私は判断しております。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この談話の中ではっきりしていることは、どのような機種を採用しても、アメリカ援助額は変わらない、すなわち総経費について、率でお互いが分担し合うというのじゃなしに、金額で固定したものを考えている。これは104の場合もそうだったのじゃないかと思うのですが、七千五百万ドル援助する、こういうふうにロッキードの場合にきまったのですが、それと同じような援助の方法が考えられていると言っておるわけですが、この点は変わりないわけですか。
  16. 海原治

    海原政府委員 その点につきましては、私どもはまだ何ら公式の連絡を受けておりません。
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 どういう見込み作業をしておるわけですか。おそらくそういう形になるだろうということで作業しているわけですか。
  18. 海原治

    海原政府委員 私どもといたしましては、二次計画におきまして一応本体器材の価格を出しまして、それに対する割合を前提にした案を持っておりますが、その本体器材が、たとえば五割であるとか、四割であるとかいうことになりますか、そういうことになった場合、あるいはいま先生のおっしゃいましたように、一定額が提示された場合、それぞれについてどういうふうなことになるかということを事務的に検討いたしております。しかし、これは先ほども申し上げましたように、今後防衛庁として意思決定したあとでの交渉の問題でございますから、どちらになるかということにつきましては、責任を持って申し上げられる段階ではない、こういうことをひとつ御了承願いたいと思います。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その問題はまたあとで触れますが、大臣お尋ねしたいのですけれども、この最終的な決定を見るまでの手続でございます。これは国防会議におかけになりますか。
  20. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これは御承知のとおり、二次防の中に策定されている問題でございまするから、二次防それ自体国防会議承認を得ている関係上、国防会議に諮る考えは持っておりません。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは理由になりませんですよ。二次防自体国防会議にかかっているというような論法でいくならば、かつてP2Vの生産の場合でも、あるいはF104Jの機種決定の場合でも、国防会議にかけたというのはおかしいということになるじゃないですか。今までダブってかけているじゃありませんか。
  22. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 この問題は、あらためて国防会議にかけまして承認を得る問題じゃないと私は考えておるのであります。ただ、国防会議と緊密な連絡をとらなければいけません。そこで、私の責任において決定しますれば、この問題を国防会議報告することは考えておるのでありますが、あらためて国防会議で、私の決定したものをまた御審議を願うということは考えておらないということでございます。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは、方針が変わったということを意味するのかと私は聞いているのです。過去においては、一次防、二次防と国防会議にかけております。そして最終的に決定しております。それに基づいて国内生産を行なうものであっても、たとえばP2Vの生産の場合も、あるいはロッキード104Jの生産の場合にも、あらためて国防会議にかけているのですよ。だから、基本となっている二次防が国防会議決定に基づくものだからかけないというのは理由にならない。P2V−7はなぜかけておりますか。F104Jはなぜかけておりますか。これは、大きな方針の変更を意味するというふうに理解していいのですか。
  24. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 御指摘になりましたように、過去の問題もございますから、防衛局長から答弁させます。
  25. 海原治

    海原政府委員 とのバッジの具体的な機種としましてどういうシステムのものを選ぶかということにつきましては、ただいま御指摘のございました次期戦闘機をどういうものにするかということとは、若干その趣の違う問題である、こういうことで、先ほど大臣からお答えいたしましたような線で私ども国防会議事務局のほうと話し合いを進めております。したがいまして、もう一度具体的に申しますと、第二次防衛計画予定されました一応のワクと申しますか、その範囲内におきましてしかるべき機種決定になります際には、一応防衛庁としてこれを内定いたしまして、国防会議事務局参事官会議におきまして、国防会議のメンバーの方々に防衛庁考え方を御説明する、こういうことで事足りるのじゃないか。すなわち、国防会議報告するという形でいいのであって、国防会議においてこれを審議するという問題ではない。現在、そういうことで私ども国防会議事務局との間では了解がついております。したがいまして、P2VあるいはF104のようなものとは、その事柄の性質上意味が違うのだ、こういう解釈をとっている次第でございます。
  26. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 意味が違うのだというその違う理由を話さないじゃないですか。どう違うのですか。私は、従来国防会議でこういうふうなP2V−7の整備決定とか、あるいは次期戦闘機機種決定とかいう問題を扱うこと自体がおかしいという議論があったことは知っておりますよ。だから、今度の場合に、そういういままで疑問のあった点をはっきりさせるためにも、こんな問題は国防会議にかけないのだということならわかるけれども、二次防の承認を得ているから、それに基づいて出てきたバッジ機種決定などは、国防会議にわざわざかける必要はないというのでは理由にならぬじゃないですか、ずっと前例があるのだから。
  27. 海原治

    海原政府委員 昨年でございましたか、国会の御承認を得まして、いわゆる甲類装備品一括発注契約ということを防衛庁としては行なったわけであります。この際、たとえば特車、いわゆる戦車でございますが、これにつきましては、相出額のものを一括してきめたわけでございますが、この際にも別に国防会議にはかるということではございません。二次計画に従いまして、その計画ワク内において予定どおりの事業が行なわれます場合には、一応その進捗の状況を御報告申し上げる、そういうことでいいじゃないかということになっております。このバッジにつきましても、やはり戦車であるとか、あるいはその他の装甲車であるとか、こういうものの調達とほとんど本質的には変わりないのじゃないかということで、事務段階におきましては話がまとまっておる次第でございます。
  28. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 じゃ変わりないというならば、ロッキードだってP2Vだって変わらないですよ。特にP2Vの場合などは全然変わりないじゃありませんか。バッジの問題とどう違いますか。
  29. 海原治

    海原政府委員 昔のこととの関連においてのお尋ねでございますが、私どもは過去のことは過去のことといたしまして、現在におきましては、そのようなことで今後二次計画の実施を行なうということで話がまとまっております。P2V、F104の前例とどう違うかということになりますと、その決定をいたしますいろいろな条件を相互に比較せねばならぬわけでございますが、ともかく現在私どもは、国防会議を開いてそこで審議をするというような問題ではないというふうに、国防会議事務当局とも、先ほどから申しておりますように、意思が統一しておる次第でございます。したがいまして、あるいは過去における前例と違うという御印象を持たれましても、御意見ということで御了解願いたいと思います。
  30. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 だから、あなたに尋ねておらぬのです。大臣に聞いておるのです。基本的に国防会議の運営の問題になってきているわけです。ただでさえ、このごろ国防会議なんというのはどこにあるのだろうかという印象一般に与えておる、たな上げされていますよ。国防会議は何していますか。従来かけておったような問題までかけないということになると、いよいよそれが裏づけられるということになるわけです。それならそれのように、別に国防会議を軽視しておるのじゃないというはっきりした説明が要りますよ。あなたのいまの説明では、過去においてやっていることと違うのだから、二次防が承認を得られているのだから、そこから出てきているバッジ機種決定などはわざわざ国防会議にかけないというのじゃ、いままでのやつが問題になってきますよ。それじゃ一次防や二次防から出ていますP2VやあるいはFXはなぜ国防会議にかけましたかと聞かざるを得ません。だから、こういう問題は、一々国防会議にかけることがどうも間違いであった、だから自分の大臣就任中にその間違いを直したいと思う、そういう姿勢で答えられればそれなりにわかりますよ。あなたが納得のいかぬような説明をするから、私はこうやってこだわって聞いているわけであります。どうなんですか。
  31. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私が就任いたしまして、ただいまの問題に直面いたしました。過去の問題も、御指摘のことを私も承知いたしたのでございますが、やはり今後この種の問題が出てまいった場合においてどうするかということを検討いたしたのであります。そこで、国防会議事務当局とも十分に連絡検討させました結果、今後はこの種のものはあえて国防会議にあらためて審議にかけなくてもよろしい、事後において緊密な連絡、御報告すればよろしいということに両者の意見が一致いたしたものでありまするから、さように決定いたしたのでございまして、御了承を待たいと思うのでございます。
  32. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういう説明では了承できませんですよ。あなた、それじゃ事務当局同士が話し合って、かけぬようにしよう、そうしましょうときまったからかけないのだ。それで大臣権威はどこにありますか。あなた、国防会議議長と相談したというならまだいざしらず、国防会議事務当局防衛庁事務当局とが話し合って、かける必要はなかろう、うん、ないだろう、そういう報告があったからかけない。そんなばかな話がありますか。国防会議を何と思っているのです。
  33. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これは、私ども事務当局国防会議事務当局がかってに協議したのじゃないのでありまして、私ども権威に基づいて私が命令をいたして、そうして十分に連絡協議を遂げさした結果、私はそういうような判断と結論を下したのでありまして、私の権威に基づいて決定いたしたのであります。
  34. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ、あなたは国防会議にかける必要はないとお考えになったわけですね。そういう線で国防会議事務当局連絡をしろ、こうおっしゃったわけでしょう。それじゃ、あなたの権威に基づいてやったと言うならば、あなたはなぜ国防会議にかける必要はないとお考えになったのでしょうか。
  35. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 国防会議事務当局と私のほうの事務当局が十分に連絡した結果、これはあえてかける必要がないという結論に達したのでございます。それでは、よろしい、そのように決定しろ、かように私の権威決定さしたものでありまして、私は、最初からかける必要がないから連絡協議しろという指図をしたのじゃないのであります。双方で円満に合意を得たので、さように決定しろ、かように私は指図をいたしたわけでございます。
  36. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ、国防会議にかけるかかけないか、そういう重要な問題についても、事務局同士がまず話し合って、その結果を持ってきて、それに左右された。いくら権威とあなたが言ったってだめですよ。権威なんかどこにありますか。国防会議は、全くこのごろ何もしてないところへ持ってきて、いよいよもってたなざらしということになるじゃないですか。それじゃ、国防会議というのは一体何をするのですか。
  37. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 重ねてのお尋ねでございまするが、この種の問題はあえて国防会議審議を要しないという意見は、むしろ国防会議のほうにあるのでございまして、私のほうが国防会議にかける必要がないということでこれを持ちかけたんじゃないのでありまして、国防会議と両方の意見が、かける必要なしということに合意いたしたのでありまして、これは誤解のないようにひとつ御了承賜わりたいと思います。
  38. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 誤解のないようにじゃないですよ。それは、私がさっきから聞いておりますよ。いままでP2Vの国内生産の問題とロッキード生産の問題を国防会議にかけるのはおかしいという議論があった、そのとおりだということになって今度からやめたのなら、私はそれなりにわかりますよと言っておるじゃないですか。はっきり言ったらいいじゃないですか。こっちはわざわざ親切に聞いているのに、それに答えないから、何度でもお尋ねせねばならぬ。従来のやり方に疑問があることは私ども知っておるわけです。だから、その疑問が事実裏づけられて、どうもあんなものを一々国防会議にかけるのはよろしくない、今度から改めようということで、かけないことになったとおっしゃればわかりますよ、それだけで。
  39. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 石橋先生のだんだんの御意見はよく拝聴いたしました。
  40. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いや、あなたにお尋ねをしておるわけです。どういうわけで今度はかけないでいいということになったのか。それに対してあなたは、二次防が国防会議決定された、そこから出てきておるものにすぎないからかけない。それじゃ理屈にならないじゃありませんか。過去においても、一次防、二次防で決定されておっても、それから出てきたものであっても、国防会議にわざわざかけておる。今度は違うのだからかけない。それじゃ理由にならないじゃないですかと言っておるわけです。
  41. 海原治

    海原政府委員 過去のことでございますし、かつ若干事務的な面での見解がございますので、私からさらに補足御説明申し上げますと、F104の決定ということにつきましては、第一次契約では別に機種はきめておりません。いわゆる当時センチュリー・タイプの飛行機ということで、そこは疑問になっておったわけであります。かつ、その機数につきましても、当初は三百機ということでございました。それがいろいろな事情もございまして、とにかく機種をきめると同時に、その機数が変わっております。かつ、それに要する費用等も変わっておりますので、これはかりに一次計画というものがございましても、その一次計画と書いてあるきめ方から考えますと、当然に国防会議というようなもので御審議をいただくべきものである、このように当時は判断されたものと考えます。  さらにはP2Vの継続生産でありますが、P2Vの生産につきましては、実はこれは国防会議として決定をしたか、あるいは議員懇談会で行なったか、私はっきり記憶いたしておりません。いま調べましたら、まだわかりませんが、私の記憶が正しければ、これは国防会議でなしに、懇談会でなかったかと思うのであります。これも、当初の生産に入りますときには、アメリカとの間の対潜哨戒機共同生産ということにつきまして、何分にも初めてのものでございますので、どういう機種を採用するかということにつきましても、いろいろ根本的な問題がございます。したがいまして、これが国防会議にかかりましても、それなりに意義のあることだと思っております。  今回のバッジ機種選定につきましては、私も実はそこまで、前にどうであったからどうだということは、まことにうかつで申しわけありませんが、考えておりませんでした。ただ、二次計画に一応予定されました機種選定なり、これが当初の範囲内で行なわれるならば、それは報告事項でいいのじゃなかろうかということで話がまとまりました。先生御存じのように、国防会議で何をやるかということは、主としましては一応事務局という補佐機関がございますから、ここで事務的には調整される次第でございます。したがいまして、大臣も申し上げましたように、事務当局の間ではこれをかける必要はないということになっておりますからということで御了解を得た。過去のこととあわせまして、実はどうすべきかということを考えるべきであったかもしれませんが、そこは私ども事務当局のうかつでございました。そこまで考え及ばなかったことにつきましては、私ども責任でございます。そういう事情をひとつ御了承願いたいと思います。
  42. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 時間がもったいないから、これ以上言いませんが、ごまかしちゃいけません。戦闘機の場合、何をきめるか、何をつくるかということはきまってなかった、それはわかっていますよ。しかし、戦闘機をつくるということはきまっておったのですよ。その中でグラマンにするかとかロッキードにするかとか、いろいろ出てきただけの話です。それと今度のバッジ機種決定とどれだけの相違がありますか。バッジを装備するということははっきりきまっておる。二次防できまっておるかもしれないが、どこのがいいのか、GEのがいいのか、リットンのがいいのか、ヒューズのがいいのか、ちょうど戦闘機をつくるということをきめて、どこの戦闘機にするかというのとどこが違いますか。全然別のケースのような、そういう言いのがれはおよしになったほうがいいと思います。  しかし、時間の関係で次に移りますが、結局だいぶん煮詰まってきておるようなんですが、この三社に対して見積もり要求を、いままであらためて修正したものを三回出したというふうに聞いておるのですが、その点、間違いありませんか。
  43. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 航空幕僚監部から大体三回やっております。先般四月の上旬に第三次の要求を出しました。それに対する提案も四月の末に受理をいたしております。
  44. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 第一次から第三次まで見積もり要求を三社に提示しているわけですが、われわれの聞くところによると、一番最初に出した見積もり要求の場合の防衛庁側の要求性能と、第三次の場合の要求性能とでは、だいぶ違いがあるというふうに聞いておるわけです。はっきりいえば、アメリカ援助額が、当初防衛庁が期待しておったものがどうも出てきそうもないというので、要求性能を落としてきた、そのために三度も出さなければならぬというような事態に至ったというふうに聞いておるのですが、その点は間違いありませんか。
  45. 海原治

    海原政府委員 要求性能との関連でございますので、私からお答え申し上げますが、要求性能を落としたということではございません。実は何ぶんにも最も新しい組織でございますので、その組織を持った場合にどういう効果があるかということを、具体的にそれぞれのサイトの位置であるとか、あるいはわがほうの要撃の実際の姿であるとか、あるいは米軍の航空機の姿であるとか、こういうものをいろいろと検討いたしました場合におきましては、当初二次計画をつくりました当時におきまして考えておりました部門に設置することによって得るところの利益が必ずしもそれほど大きくないものが、あちらこちらにあるわけであります。そういう点を十分に整理いたしまして、何分にも多額の経費をかけるものでございますから、その経費をかけることによって得るところの価値・利益というものが最も大なるような形において組織をつくり直しますと、今度の提案に前提とされましたような要求性能に落ちついた、こういうことでございます。決してアメリカ援助が減ったとか、あるいは二次計画予定計画を大きくオーバーするとかいうことが、今回のような要求性能の変更になったのではございません。これは決して言いわけでございませんで、たとえば北海道の端のサイトに最も近代的なレーダー装置を置きましても、それが具体的にどういう効果があるかということにつきましては、その条件下におけるオペレーション・リサーチを行なわねばきめられない問題でございます。これにつきまして過去一年間空爆の専門技術家の間で十分な検討を行ないました結果、今回の最終の要求性能決定を見た、こういう次第でございます。
  46. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ第一次から第三次にわたる要求性能にはほとんど変わりはないということなんですか。
  47. 海原治

    海原政府委員 さらに御説明申し上げますと、たとえば完全に自動化すべきサイトの数というものが、第一次と現在とにおきましては変わっております。それで現在におきましては、ある特定のサイトにつきましては、これは現在の、マニュアルと申しておりますが、いわゆる自動化装置をとらなくて、現状のままで、若干その器材の改修・改善で十分である、こういう点も出てきておりますので、第一次のとき、第二次計画前提におきましては全部を半自動化する、こういうことでございました。そういう違いはございます。
  48. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ、第二次の場合には二十四カ所の全部の自動化を考えた、それが三次の場合には何カ所か削られていって、従来の手動式のものも残す、こういう形で性能が落ちてきておるという意味なんでしょうね。
  49. 海原治

    海原政府委員 先生性能が落ちておると申されましたが、私どもはそうは考えておりません。(石橋(政)委員「総合的に落ちます」と呼ぶ)少しことばが適当でないかもしれませんが、投下いたします経費のワク内で最大の効果を得るような形においてシステムのデザインを考えた、こういうことでございます。それにつきましては、各社につきまして若干の差異がございます。たとえばSSの第一線のサイト、これを受けます後方のDCあたりをどういうふうに機械を置くかということの置き方につきましても、やはりそれぞれの社におきまして特色がございます。そういうところが、当初二次計画で私ども考えておりましたところとはだいぶ様子が違ってくる。十分に整理をいたしました結果、経費的にも一応二次計画予定された範囲内で建設できるのじゃないか、こういう見通しに相なった次第でございます。
  50. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 結局三度もやり直さなければならなかったということは、やっぱり経費の問題なんでしょう。一番最初見積もり書を出してもらった、非常にコストが高くなってきた、これじゃどうも予算上まかなえない、それはアメリカ援助が減ったか、日本の予算面に支障を来たすか、どっちにしろ、これじゃ金があまりかかり過ぎるからどうも困るというので、金がかからないように、二度、三度と見積もり書の再提出を求めたということには間違いないでしょう。
  51. 海原治

    海原政府委員 御意見でございますが、私どもとしましては、もちろん、経費ということも一つの重要な要素でございます。しかし、経費のために結局どっちつかずのものをつくってしまっては、これは相済まぬ次第でございますから、私ども検討します過程におきましては、先ほどから申しておりますように、はたしてどれだけのものができてどういう効果があがるのだということをORで十分に検討しました結果、このような形に相なっておる次第であります。私どもは、経費がかりに多額でございました場合には、これは二次計画の実施事項の修正ということにも相なるかと思いますが、どうしても高い場合には、計画の修正をお願いしてでも、とにかく航空自衛隊の任務達成に必要なものはつくっていただきたい、こういう考え方検討しておりました次第でございますから、のために非常に安いものにしたということではございません。
  52. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃもう端的に、第一回目に出したものと三次のものと大綱のところで違うところを、ひとつはっきりわかるような御説明を願えませんか。どういう要求性能防衛庁としては提示されたのか、内容を少し詳しく御説明願いたいと思います。
  53. 海原治

    海原政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、現在最終段階になっておりまして、各社ともいろいろセットもございます。また、空幕内における検討もございますので、要求性能の細部につきましてはひとつ御容赦願いたいと思います。
  54. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 出せないというのは、防衛庁が出したものに対して出せないのですか。向こうから答えてきたものについては出せないということはあり得ても、防衛庁がこういうものをといって提示したものを出せないというのは、どういう理由ですか。
  55. 海原治

    海原政府委員 私どもといたしましては、要求性能というものを出します前提といたしましては、一応わが国に対する脅威の内容の分析であるとか、このバッジ組織によってたとえばどの程度の目標数というものを前提にしておるのかということが、この要求性能前提になるわけでございます。そういうことにつきましては、こういう席で申し上げるのは適当でない、このように判断いたしておりますので、その点を御了承願いたいと思います。
  56. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これはもう少しあとで……。  それじゃ、一つ一つの問題についてお尋ねしますが、三社に出されたのは同一の内容のものですか。結局GE、リットン、ヒューズにそれぞれ見積もりを要求しましたね。そのときに、こういう性能のものというように出したのは同じ条件のものですか。
  57. 海原治

    海原政府委員 そのとおりでございまして、一つ例を申し上げますと、各社に対しましてはこういうふうな言い方をしてございます。この半自動警戒管制組織というものは、レーダーの情報処理装置、通信装置等を組み合わせた統合組織であって、発見、識別、兵器の割当及び要撃管制を半自動的に実施するものだ。そういうものであって、たとえばCOCという全国を管制するというところではどういうことを考えなくてはならぬ、それからCC/DCという地域的な指揮機構についてはどうだ、その下のDCにおいてはどうだ、第一線のSSはどうだということを全部きめまして、各社に対して同一の要求をいたしております。
  58. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、ここで一般議論として出てきておるのは、同一のものを出して、それに対して向こうから回答がきた。そうすれば、当然値段の安いものにきまるべきじゃないのか、それをなぜそんなにこんがらがって、ああでもない、こうでもないということになるのか、これが非常に俗論として筋が通っておると思うのですがね。防衛庁の選択基準というものは一体どの辺にあるのですか。同じ性能を満たしておるならば、安いものをとるというのが結論として一番わかりやすいことではないかと思うのですよ。ところが、自分たちがこういうものをと言っておいて、出てきたら、いや、こっちのほうが性能がいい、こっちのほうがいい、こういうのじゃ一体何のことかさっぱりわからぬというのが、一般のほんとうの気持ちじゃないかと思うのですが、その辺はどうなんですか。
  59. 海原治

    海原政府委員 石橋先生は、防衛庁がこんがらがっておるという前提お尋ねのようでございますけれども、私どもは決してこんがらがっているとは思っておりません。何ぶんにもこういう多額のものでございますし、各社それぞれに特徴がございます。したがいまして、その特徴というものがどういう意味があるのだということにつきましては、これを運用いたします航空自衛隊の責任者が十分に納得がいかなければ、どれがいい、どれが悪いということは言えないわけであります。それぞれに値段の開きがあることは事実でございますが、なぜそういう開きが出ておるのだ、たとえば同一のものにつきましても、その値段の安いほうではたして機能はだいじょうぶなのかという点で、やはり責任者としては十分に納得のいく必要がございます。そのための技術的検討に時間を十分かけておるということでございまして、決してこんがらがっておるということではございません。この点は率直に事実を申し上げておる次第でございますから、ひとつそのように御了承願いたいと思います。
  60. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 自分たちは自信満々でやっておる、別にこんがらがってもおらぬとおっしゃっておられますが、そういうことになりますと、選択の基準というものははっきりできておるはずですね。たとえば一つの論として、先ほど申し上げました値段の安いもの、それからいまあなたの言われた信頼性のあるもの、こういうようなものも選択の基準だろうと思うのです。そのほかに、教育訓練がしやすいとか、あるいは国内生産に適合しておるとか、日本の防衛体制に組み入れる場合に一番いいとか、いろいろな基準があると思うのですが、その選択の基準、こういう基準のもとに三社の比較をやっているのだという基準をひとつ出していただきたい。
  61. 海原治

    海原政府委員 いま先生のおっしゃいましたことのほかには、維持費がどうなるか、今後の保守がどうなるかというような点も一つの問題でありまして、そういうものが総合されまして選択の基準と相なっておる次第でございます。
  62. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、私の言ったものに維持費の問題、保守の問題、そういうものがつけ加わる程度ということですか。
  63. 海原治

    海原政府委員 一般的に抽象的に申し上げますと、そういうことだろうと思います。
  64. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ところで、これは機種決定しますと、ある部分を日本で生産するということになるわけですが、この国内生産についてはどういう組織を考えておるわけですか。たとえば現在いろいろといわれております情報によると、GEの場合には東芝が直接つながりを持っておるわけですね。これはあらゆる面で技術提携その他関係が深いといわれております。したがって、GEにきまれば東芝、あるいはヒューズにきまれば日本電気、リットンになれば三菱電機と富士通信機というようにきちっと出てきて、そこが国内生産の部分の主契約者になるというのですか。それともまた一説によると、GEの場合にはすでに東芝と合弁会社をつくっておる。あるいはヒューズの場合も日本電気と合弁会社をつくっておる。こういう合弁会社が国内生産の部分を受け持つ主契約会社になるのか。もう一説によりますと、そういうことは抜きで、過去の例もあることだし、またごたごた要らぬことが出ても困るので、こういう日本のメーカーが全部で何か一つの組織をつくって仲よくひとつやってくれ、そういうふうなこともいわれておるのですが、国内生産の部分についてはどういう構想を持っておられるのか、この辺もお尋ねをしておきたいと思う。
  65. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 機種決定いたしましたあとにおきましては、システム・デザインを行ないまして、さらに詳細な設計をつくり、それから本体契約にかかるわけであります。契約の相手方としましては、防衛庁としては日本側の会社を予定しております。日本側の会社は、三つの機種アメリカ側の会社で希望するものを主契約者にしたいというふうに考えております。したがいまして、現在われわれが聞いております範囲では、GEにつきましては、GEと東芝でつくっております東芝エレクトロニクス・システム株式会社、これを主契約者にしたい。リットンの場合におきましては、三菱電機を主契約者にいたしたい。ヒューズの場合は、ヒューズと日本電気の合弁会社であります日本アビオトロニクス株式会社、これを主契約者にいたしたいという先方の意向のようでございますので、主契約者につきましては、その先方の希望の線に沿って、防衛庁はこういう相手と契約するということを考えております。
  66. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、いよいよバッジそのものがはたして役に立つのか、要るのかということでお尋ねをしてみたいのですが、まず、バッジを装備しましても、ミサイルの飛来に対しては全く無効であることは間違いございませんね。
  67. 海原治

    海原政府委員 ミサイルと申されましても、いろいろなミサイルがあるわけでございます。それで、たとえば空対地のいわゆるミサイル等におきまして、速度がおそいものにつきましては、これはバッジ組織によりまして、その発見、追跡等の情報の処理はできます。しかし、御存じのように、バッジというものは、先ほど申しましたように、発見、追跡等の情報系統でございますので、無力であるとか有力であるとかいうようなことは、直接関係がないということを御了承願いたいと思います。
  68. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると、ミサイルでもスピードのおそいものならキャッチできるということですか。それでは、ミサイル、航空機を問わず、どの程度のスピードのものならばキャッチできるのですか。
  69. 海原治

    海原政府委員 これは、先ほど申し上げました要求性能関連いたしますが、一応数マッハ以下の目標物を追跡するということが一つの要求になっております。
  70. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いままでも、加藤さんが防衛局長のときいろいろお尋ねしたことがあります。たとえば、ロッキードF104Jならばどの程度のスピードの爆撃機ならば要撃できるのかという質問をしたのに対して、加藤さんははっきり答えていますよ。あなたは非常に慎重で、数マッハとおっしゃいましたが、五マッハですか。その程度のことが言えないのですか。われわれにも話して聞かせられないほどの軍事機密の中に属すると思っておられるのですか。それとももったいぶっているのですか。
  71. 海原治

    海原政府委員 先ほど申し上げましたように、要求性能の部分的な点でございますので、決して軍事機密というようなものとは考えませんが、現在の私どもの役所のしきたりといたしまして、ひとつその程度で御了解願いたい、このように考えます。
  72. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 国会に、しかも担当委員会の内閣委員会に、その程度のことを話さないでよろしいという態度は許せないと私は思います。あなたが言えないなら、大臣にお聞きしましょう。どの程度のスピードのものならば捕捉できるのですか。
  73. 海原治

    海原政府委員 具体的に私どもが現在要求しております組織につきまして数字を申し上げることは、あらためて関係のところとも相談いたしたいと思いますが、一般的に申しまして、こういう組織は大体五マッハ程度のものは追跡できることになりておるという点を申し上げておきます。
  74. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私も、その程度のことはどの新聞・雑誌にも出ているから、五マッハですかと聞いたのですよ。  これは、敵が出すおとり機の識別をする判断能力を持っていますか。
  75. 海原治

    海原政府委員 そのようなことも当然考慮の内容に入っております。
  76. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 できるというわけですか。能力ありというわけですか。
  77. 海原治

    海原政府委員 これも、おとりの種類にもよりますが、欺騙装置の中にはいろいろな行動がございますが、そういう欺騙行動に対して有効に対処し得ることということが、要求性能の条件になっておる次第でございます。
  78. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 海面すれすれに侵入してくる敵機を捕捉する能力はありますか。
  79. 海原治

    海原政府委員 これは、直接バッジ組織との関連ではございませんで、バッジが動きます前提となります現有レーダーの能力の問題でございます。
  80. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その現有レーダーの能力というものは、非常に旧式なんですね。せいぜい四百キロ程度の幅しか能力がないといわれているのですが、バッジシステムを最前線のレーダーと結びつける場合に、いまのままのレーダーでは、とてもあなた方が考えているような能力を発揮することはできないのじゃないですか。
  81. 海原治

    海原政府委員 現在のレーダーで有効にその効果を発揮するものと考えております。ただ、先生が御指揮になりましたような、特に低空面の警戒ということにつきましては、各国とも同じ悩みを持っております。これにつきましては、たとえばピケット船を出すとか、あるいは常時哨戒を行なう、こういう方法によって現在は対処いたしておりますので、私どももそういう方法を考えねばならない、このように事務的には判断いたしております。
  82. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いまのままのレーダーをそのまま使うという前提になっておるようですが、それでは、現在、不明機を発見してからF104JならF104Jが飛び立っていくまでには何分かかっているわけですか。
  83. 海原治

    海原政府委員 これは常時待機をいたしております待機の条件によって違うわけであります。現在平常時におきましては、航空機そのものは、直ちに発進できる態勢において各飛行場に二機程度ございます。これに乗り込みますパイロットは、それから離れた場所で常時待機をしているわけでございますが、このパイロットが飛行機に乗り込むには通常一分程度はかかります。それからスクランブルするわけでございますから、かりにそのスクランブルする場合におきましても、どういう状態においてスクランブルするかということは、その当時のいろいろな条件によって違う、これは先生御存じの通りでございます。F104につきましては、大体五万フィート程度まで上がりますのに数分かかるということが現状でございます。
  84. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 スクランブルの場合、飛び立ってからあとの時間は飛行機そのものの性能になるわけです。私は飛び立つまでを問題にしているわけです。現在のサービス半径四百キロというレーザーをもってキャッチした、それからスクランブルで発進するまでの間何分かかっているのかということです。バッジシステムに切りかえた場合には、それが何分短縮されるのか、それを知りたいから、私はお聞きしているわけです。両方一緒に答えてくれればなおいい。
  85. 海原治

    海原政府委員 これは実は技術的には非常にむずかしい問題であります。と申しますのは、レーダー・サイトの位置が非常にでこぼこであります。それからこのレーダー・サイトの情報を受けて発進いたします飛行場の位置も、その飛行場によっていろいろと違っております。さらに待機しております飛行機が86Fの場合、Dの場合——現在まだF104は待機しておりませんが、これによって非常に違うわけであります。それらを一括して何分かかるかということにつきましては、これは確実に申し上げられる数字は出てまいりません。しかし、通常一般的に考えられますのは、かりに目標がT33程度の大きなものであって、それがたとえば佐渡とか輪島とかいうようなレーダー・サイトでキャッチされて、スクランブルがかかるというときにおきましては、数分後において大体所要の地点に到達する。数分と申しますのは、飛行機と飛行場とその当時の目標物の高度、速度等によって非常に違ってまいります。これは詳細に申し上げられないという点をひとつ御了承願いたいと思います。
  86. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 いろんな条件が違うというけれども、一定の条件のもとに考えてもらえばいい。どの地点へどういう機種の飛行機が来て、日本の要撃するのはどの機種のもの、同じ条件のもとに考えてもらえばいい。この肝心なことの説明がなければ、一体バッジなんか、そんなばく大な金をかけてつくって役に立つのかという国民の疑問は解くことができないじゃありませんか。数分といっても、三十秒、一分が大切な問題なんです。この点については、従来常識的には聞いてきているわけです。その点で間違いないかということを再度確認しているにすぎない。現在のレーダーによっていけば、不明機を発見した、それで要撃指令を発するまでの間に大体三分、要撃指令が出てから実際に要撃機が発進するまでに五分、六分くらいかかるのではないか、こういわれている。その点に間違いがあるかどうかということがまず一つです。これを今度バッジシステムに切りかえることによって、八分が何分短縮されるのか。三十秒でも一分でも、あなた方の立場からいえばたいへんなことかもしれません。非常に大切なことだ。それはわからぬことはありませんけれども一般の国民にしてみれば、三十秒短縮するのに二百億も三百億もかけなければいかぬものだろうかという率直な疑問が出てくるじゃありませんか。それに対して積極的に答えていくのがあなたたちのつとめじゃないですか。もう少し国民が納得いくように説明してください。
  87. 海原治

    海原政府委員 先ほど申し上げましたことと同じ趣旨を繰り返すわけでございますが、具体的に、ある地点からある高度でどういうものが来た場合に、どの飛行場から何分後にどこで会敵するということを申し上げますことは、先ほどお話しございましたが、昔であれば軍事機密的なことでないかと思いますが、先ほど先生の御心配になりました、わずか三十秒程度の節約のために、その価値を生むために百億、二百億という金をかけるのではないかということは私ども決して考えておりません。かつ、私ども防衛庁だけでこれがきまるものでございませんし、大蔵省の主計局も、経理の点からこの点につきましては十分関心を持っております。私どもの立場といたしましては、数分の節約になる。これも状況によって非常に違いますが、その数分というのは、たとえばかりに距離にいたしますと百マイル前後、もっとの開きになるということ程度でひとつ御容赦願いたい、このように考えます。
  88. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 数分短縮できる。そのほかにバッジ装備によって得られる利点というものがあれば、述べてください。
  89. 海原治

    海原政府委員 私どもがこのバッジ、半自動防空警戒管制組織というものがわれわれ防空のために必要と考えておりますのは、私どもの装備いたします航空機のスピードが早くなってきている、また目標のスピードも早くなってきている。従来どういうことをしているかと申しますと、たとえば一つの方向から目標が来たというときに、それにどういう方向で対処するかということにつきましては、各サイトのレーダーの前におりますところのコントローラーというのが一応の定木、尺度でもって計算をして、その計算の結果をスクランブルする飛行機へ口頭で連絡するわけであります。これがこちらのスピードが早くなり、向こうのスピードが早くなりますと、そういう人間の手による計算能力は当然限度もございます。また誤差もございます。これにつきましては、やはり電子計算機の力によらなければ、正確に最も敏速にわがほうの航空機を誘導できない。そこにバッジシステムの根本的な必要性が生まれてくるわけであります。そういう点が最も重視されてしかるべき点じゃないか、このように考えております。
  90. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこで、そのバッジに組み込まれていく対空兵器は一体どういうものになるのかということをお聞きしたいわけですが、現在の日本の自衛隊の対空兵器の主たるものとしては、F86F、D、F104Jとあるわけです。それからすでに装備されておりますミサイルとしては、ナイキ・アジャックスがある。それから今後装備を予定されておるものとしては、ホークとかボマークというものがあるわけですが、このうちで面接結びつきを持ってくるのはどれか。
  91. 海原治

    海原政府委員 直接の結びつきというおことばの内容でございますが、まず航空機の86F、D、これはバッジシステムによって得ましたところの結果の伝達を受けますのは、従来どおり口頭であります。F104はレーダーリンクを搭載いたしますから、自動的に受ける。こういう受け方にも差異がございます。そのほかに第五空軍、在日米軍の航空機、これも当然この利益を受けるわけであります。その次に、ナイキとかホークとか、こういうミサイルでございますが、これはそれ自体に目標を発見し測定し追跡し監視する能力を持っております。しかし、その範囲が限られておりますので、バッジシステムの採用によりまして——先ほど申し落としましたが、一つの目標をどの兵器が処理するのがいいかという兵器割り当ての諸元もこのバッジは判断いたしますので、前広にかつ適当な兵器の選択ができる。その結果をナイキなりホークが受けていき、受けたあとは、みずから持っておりますところのレーダーその他の機器によって目的を果たす、こういうことであります。すべていまおっしゃいましたものは直接の利益を受ける、このように私どもといたしましては判断いたしております。
  92. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 戦闘機の場合は直接レーダーリンクを備えておって、ほとんど自動的にやられるのはF104Jだけだというわけですね。
  93. 海原治

    海原政府委員 半自動化と申します、その機械的に地上のインフォメーションを受けますのはF104Jだけでございます。
  94. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると、対空ミサイルの分については、ナイキもホークも同じ条件にある、こういうわけですね。
  95. 海原治

    海原政府委員 そのとおりでございます。
  96. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、ここで問題が出てくるのです。ナイキとホークは同じ条件にある。しかも射程等もほとんど変わりません。にもかかわらず、片一方は空幕に持っていき、片一方は陸幕に持っていく。これはどういうことなんですか。ほんとうに日本の防衛ということを考え、防空ということを真剣に考えてきた産物とわれわれ理解できないんですが、これは大臣にひとつお尋ねしたいと思います。
  97. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 御承知のとおり、ナイキ部隊は陸の方に所属せしめておったのでございますが、わが国の防空を総合的に検討いたしました結果、やはり航空幕僚監部にこれを配属した方がより効果的であるという判断に基づいて、陸から空の方に配属がえをした次第でございます。
  98. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その分はわかるのです。ところがホークのほうは、そのときの条件として、陸上自衛隊に配属するとあなたは言っておるじゃないか。バッジとの結びつきという面から言ったって、ナイキとホークと一つも変わらない、射程だって変わらない、全く同じ条件にある二つのミサイルを、一つは航空自衛隊に、一つは陸上自衛隊に置く、これはどういうことですか。あなたたち秘密だなんて言って、いかにも防衛優先的なことを言うけれども、こういうところになると、変な政治優先が出てきておるじゃないですか。防衛的な観念から言えば、こんなばかなことはないじゃないですか。
  99. 海原治

    海原政府委員 兵器体系の割り当ての問題でありますから、私からお答え申し上げますが、先生御存じのように、ホークというものは、ナイキと若干違う点がございます。と申しますことは、ナイキはある程度以上の高さということの制限もございます。ホークは、大体一般にいわれておるのは、木の高さから上、低空に対する能力というものは非常にすぐれておる。したがいまして、ナイキ、ホークがそれぞれ戦闘機とどういうふうな共同動作をとったらいいかということにつきましては、その予想されます、配置されます場所におきますいろいろな条件が、非常に重要になってまいります。これにつきましてそれぞれ一長一短はあるわけでございますが、私どもの専門家のところで十分検討いたしました結果、先般国会でも大臣から御説明しましたような配属のしかたが、それぞれの自衛隊の現状からして、かつその配置されます場所からして、最も大きな防空効果を発揮する、こういうふうに判断をされた次第でございます。その点を御了解願いたいと思います。
  100. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そんなことを言っても、志費長官は、航空自衛隊はナイキ、陸上自衛隊はホーク、海上自衛隊はタータ、各自衛隊仲よく一種ずつ持って、そうして将来に備えてもらいたいと言っておるのです。これが本音ですよ。防空なんていう観念はどこにありますか。まあそうそうけんかせぬで、三つあるんだから、一つずつ仲ようやっていけ、いかにも志賀さんらしいけれども、そんなおもちゃにされちゃかなわぬ、金がかかっておるんだから。五円や十円のものならそれでいいけれども、全く筋が通らぬわけですよ。  ところで、米軍機のほうですが、直接レーダーリンクを持っておるのは、F100、F102、F105、全部ですか。
  101. 海原治

    海原政府委員 それぞれにレーダーリンクを搭載できるものでありますが、現在は地上からのそういう装置がありませんので、現状といたしましては持っていないもの、こういうように私は承知いたしますが、いつでも直ちに装着ができるものでございます。
  102. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、バッジが装備されたら、日本の自衛隊でこれに直結できるものはF104Jだけ、アメリカの方は日本に配属しておる三種の戦闘機全部直結できる。どっちがよけいに恩恵を受けるのですか。
  103. 海原治

    海原政府委員 先ほどの私の御説明が不十分で申しわけないのでありますが、私どものF86F、D、これも十分に恩恵を受けるわけです。先ほど説明しましたように、 スピードがおそく、かつ行動半径等を考えますと、正確なデータというものが飛行機に与えられることの方がむしろ尊重さるべきでありまして、その意味からは、86F、Dの方がバッジの発見、追跡、測定等の効果はより大きいのではないかというふうにも考えられるのであります。したがいまして、米軍と日本の航空自衛隊のどっちが大きいかということにつきましては、これはどういう立場で判断するかということでございまして、それぞれ利点を受けるということにつきましては変わらないと考えております。
  104. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そんなことを言ってあなたは弁解するばかりですが、さしあたり恩恵を受けるのは在日米軍です。これはすぐに直結してフルにバッジシステムを活用できる。日本の自衛隊は、それのしり馬にちょっと乗っていくという程度です。金ばかりよけい出させられてですね。あなた方のされることはせいぜいその程度だと思いますけれども……。  ところで、ナイキの分担率が最終的にきまったと聞いておりますが、日米の予算分担はどういう割合になったのですか。
  105. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 日本側が六五%、米側が三五%でございます。
  106. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 金額にしますと、日本側が百二十六億、アメリカ側六十九億、合わせて百九十五億ということですか。
  107. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 日本側が百二十五億、アメリカ側が六十七億四千万、合計いたしまして百九十二億五千万円でございます。
  108. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今度のバッジの装備に大体どの程度の経費がかかるとお考えになっているのか。できれば三社の見積もり額を御提示願いたいと思います。
  109. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 二次防の計画策定当時、一応日本側は百六十五億円というふうに考えております。  今回三社の方からどういう数字の提案があったかということにつきましては、それぞれ各社の営業上の問題がございますので、発表は差し控えたいと思います。
  110. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ値段の高い方から順番に言うてください。
  111. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 GE、リットン、ヒューズの順序でございます。
  112. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それで足して二で割って、あい中のリットンをとる、こういうことですか。  それは冗談ですが、空幕では大体どの機種ということをもう最終的にまとめておるわけですか。
  113. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 この問題については、空幕で目下慎重に検討中でございまして、まだ最終的な結論は得ておりません。
  114. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 空幕の中でまだきまってないというわけですか。
  115. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私どものもとにはまだ報告がございませんから、空幕の内部において最終的な結論が出ておるとは考えておりません。
  116. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その辺も、私どもの聞いているのとはだいぶん違うのです。空幕では大体固まって、目下内局に説明がもう済んだところだというふうに聞いているわけですが、まあけっこうです。  あと質問者も控えておりますから、私は、バッジの問題については一応この程度にして、あと若干お尋ねをしておきたいと思うことは、F104Jの継続生産の問題があわせて出てきておるわけです。これはおやりになるつもりですか。
  117. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 F104戦闘機の継続生産の問題については、目下検討中でございます。したがって、どうしようかという見通しは全然ついておりません。
  118. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 何でも国会に対しては秘密主義。それじゃ一つだけお尋ねしておきましょう。やるときは二次防の中でやるのか、それとも三次防の中で考えるということになるのですか。
  119. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 現在具体的に考えておりませんから、二次防のワクの中でやるか、あるいは三次防でやるか、その点までまだ発展いたしておりません。
  120. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 次は、最近自衛隊機あるいは米軍機による事故が非常に多い。これは納税者としてたいへんな損害を受けているわけですが、それのみならず、直接の被害者は、死者を出すとか、あるいはけがをするとか、あるいは財産をなくすというようなことで、たいへんな被害を受けているわけですが、それに対する補償が非常に少ない。これは十何年といっていいくらいほとんど同じ扱いを受けているわけですね。死んでも千日分、標準となる日額が非常に少ないために、微々たる補償しか出されていない。これはおもしろくないということは、前々から私たちも主張しているわけですが、ようやくその引き上げの検討を始めたということでございますけれども、本気にやりおるのですか。
  121. 林一夫

    ○林(一)政府委員 事故補償でございますが、これは自衛隊機による被害者の補償も、米軍機の墜落による被害者に対する補償も、ほぼ同じ基準でやっていますので、私から一括して申し上げますが、お説のように、特に遺族補償金というようなものにつきましては、まだ改善を要すべき点がございますので、この補償基準については、現在各省間において協議をいたしております。現在改善に向かって十分協議をいたしております。その結果何とかいたしたい、こういうふうに考えております。
  122. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは事務的にやっているという程度で、あなた、大臣としての権威で、こんな微々たるものじゃだめだ、ぜひ上げるようにやれとおっしゃったのですか、おっしゃってないのですか。
  123. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま林長官からお答えしたとおりでございまして、私は、この補償の問題については、就任以来非常な関心を持っておりまして、林長官に強く指示をいたしまして、目下改善の具体的な成案を急いでおるところでございます。
  124. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もう一つ、原子力潜水艦の問題ですが、これは昨年長官がアメリカに渡られたときも、マクナマラ国防長官から強く要請があったというふうに私ども聞いておりますが、そういうお話がございましたか。
  125. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 要請を受けた事実はございません。
  126. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 日本政府としては、いま安全性の確認の問題とか、あるいは補償の問題とかいうことで、盛んに文書のやりとりをやっておるようでございますが、アメリカに対して一応寄港を認めておるという事実があるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  127. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 政府におきましては、最終的な結論が出ておりませんから、寄港を許すという政府方針決定しておるわけじゃございません。
  128. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、政府としては、まだ正式にどうぞいらっしゃいとは言っていないというように国民には言っているのですが、アメリカの方はもう承認をとったつもりでおる。現にあなたの管轄下においてこういう作業が行なわれていることを私指摘しておきたいと思うのですよ。佐世保ですが、原子力潜水艦が着岸する際の防舷物の実物をつくっている。その事実を御承知ですか。
  129. 林一夫

    ○林(一)政府委員 原子力潜水艦を受け入れる前提としまして、佐世保港において何らか施設をやっておるやの新聞情報がございましたので、私の方で米軍について、また現地について調査しましたところ、そのようなことは何もやっていないということでございます。
  130. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 冗談じゃないですよ、こっちは品物を見ているのだから。こういう設計のものをつくっているのですよ。一種の浮きドックみたいなものですが、両側から潜水艦をはさんで、そうして着岸できるようなものをちゃんとつくっていますよ。アメリカのほうにわざわざあなたのほうで問い合わせてみたら、つくっていないと言ったというのですか。
  131. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私の方から米軍について調査しましたところ、特に平常に変わった特別な施設はつくっていないということでございます。ただ、平常と変わった点は、これは私ども現地において、現地の事務所が事実現認したのでございますが、駆潜艇の母艦が着岸しておるということと、あそこの埠頭の一カ所において標的船らしきものの修繕をやっておるということだけでございまして、そのほか平常と変わった工事は行なわれていないということでございます。
  132. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私どもの見たところでは、現に現物ができております。わざわざ日本政府がこんなものをつくっているのじゃないかと問い合わせてみても、つくっておらぬと言う。いまつくっておる私どもの確認しておる品物が、原子力潜水艦のいわゆる着岸防舷物であるということが確認されるとするならば、日本政府にうそを言っているということになりますよ。大臣、絶対にそういうことはないという自信がございますか。
  133. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 今日まで得ておる情報は、ただいま林長官から申し上げたとおりでありますが、先生のお持ちになっておる資料が、はたして原子力潜水艦の寄港に備えてのものであるかどうか、さらに調査をいたしたいと思っております。
  134. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 日本政府は国民に向かって、まだ寄港を許可しておらぬというようなことを言っておりますが、アメリカはもう寄港は当然のものと考えて、着々とこういうものまでつくっているのです。この点はさらにはっきりしましたら、あらためてまたお尋ねすることにしたいと思います。
  135. 永山忠則

    永山委員長 緒方孝男君。
  136. 緒方孝男

    ○緒方委員 最近になって、いまも問題になっておりました原子力潜水艦の符港の問題、板付におけるF105の飛来の問題、それらの問題をめぐって、当委員会におきましても外務委員会におきましても、同僚委員から主として外務省相手にいろんな論議が行なわれておりますが、どうもその論議を見ましても、われわれには理解のいかない面がたくさん出てきておる。そこで、私は、ひとつ防衛の立場から防衛庁としての考え方を少し聞いておきたいと思うわけなんです。  先般の外務委員会におきましても、長官も出席しておられたが、F105が来たのは、F100にかわって来たのであって、単なる機種の交代である、装備の変更ではなくて、単に機種の変更である、こういう説明があったのですが、そのかわったF100と105とを比較してみますと、その性能、機能の面から見ましても、105のほうが非常にすぐれておることは事実であります。もっと特徴的に変わっておるのは、F100はあくまでも要撃用の主たる任務を持っておる。しかし、105になりますと、これは多角的な兵器といわれておりますが、攻撃が主になっておる。長距離にわたるところの足も持ち、敵基地を攻撃するという一つの性格がはっきりと出ておるのです。防衛能力というものが攻撃能力に変わってきておるということには変わりはないと思いますが、防衛の立場から見て、どういうふうに考えられるか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  137. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 専門的なことでございますから、防衛局長から答弁させます。
  138. 海原治

    海原政府委員 ただいま先生のおことばの中に、F100は本来要撃だとか、こうおっしゃっておられますが、これは一般はやはり戦闘爆撃機ということで考えられております。その意味におきましては、F100もF105も全く同じ範疇のものだと、先般も私御説明申し上げた次第でございますが、ただ、100と105とでは、いまお話がございましたように、105のほうが新しい戦闘爆撃機でございます。その要撃の能力あるいは爆弾の搭載能力ないしは行動半径等は、100に比べて非常にすぐれておる。これは当然なことでございます。ただ、105というものは、本来が爆撃機的な能力を主としたものである、こういうような御質問もございましたが、決してそうでないということの一つの例としまして、ここに持ってまいりましたのは、アメリカでタンクと歩兵と共同で併用しておる105でございます。こういうふうに、105はもっぱら地上戦闘に協力する面でも大いに効果を発揮しておるのでございます。したがいまして、一般にいわれておりますように、これは多目的な戦闘機である。したがいまして、その搭載いたします武器につきましても、お見せいたしますように、いろいろな兵器がございます。それをそのつどその任務に応じて持っていく。したがいまして、これは爆撃機である、あるいは要撃機であるということの規定ができないということは、この飛行機の性能等から私どもは判断しておるわけでございます。
  139. 緒方孝男

    ○緒方委員 いずれのほうを見ましても、これは戦闘爆撃機であるといえばどちらも戦闘爆撃機である。しかし、F100に比べて、F105のほうは、攻撃力が相当に倍加されてきておるということだけは事実である。まして、F100の場合は、外地にまで出ていってこれを攻撃する能力はなかった。しかし、今度の105になってみれば、日本の国外に飛び出して敵基地を攻撃できる性能を持ってきた。こういうことは確かに変化であると考えなければなりませんが、その点の見解はどうですか。
  140. 海原治

    海原政府委員 先ほど申し上げましたように、爆装及び要撃武器、行動半径、ともに105のほうがすぐれております。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたような結果になる面もあるかと思いますしかし、F100につきましても、これはマッハ一・二以下でございますが、行動半径といたしましては一応九百二十キロあるということでございます。その範囲なら、今度のF105が大体千五百ということになりますと、その程度の差はあるわけでございますが、100なら出られない、105なら出られるということにはならない、このように私どもは判断いたしております。
  141. 緒方孝男

    ○緒方委員 もしこういう場合に、機種の変更ということだけで問題が済むとするならば、この戦略爆撃機というものがもし日本に配置されるというような場合には、装備の変更ということに解釈がいくのかどうか、その点をひとつ御説明を願いたい。
  142. 海原治

    海原政府委員 戦略爆撃機と一口に申し上げましても、いろいろなものがその範囲に入ってまいります。したがいまして、その具体的な飛行機というものが前提になりまして、そのときにおいて考えられる、このように考える次第でございます。
  143. 緒方孝男

    ○緒方委員 そういうことでありますならば、たとえばB52だとかB70、これはいま多目的な一つの性格を持たせようとしておる。こういうものは、主としてその任務は、長距離にわたるところの大型の爆撃用に使われるわけですが、そういうものが入ってきても、単なる機種の変更かどうか、この面をお伺いしておる。
  144. 海原治

    海原政府委員 いま例示されましたような、たとえばB52と、現在日本にございませんで、もっぱら長距離を飛んで水爆、原爆等による報復力を持ったものが、もし常時日本に配置されるということになれば、それは装備の変更ということになろうかと私は判断いたしますが、政府としての判断ということであれば、あらためて御協議した上でのお答えをお許し願いたいと思います。
  145. 緒方孝男

    ○緒方委員 B52であろうと将来のB70であろうと、これが原爆を持たないで日本に入ってくるとするならば、これはいまの外務省あたりの考え方からすると、別に装備の変更にはならないのじゃなかろうかというふうに考えますが、これだけは、長距離爆撃機、戦略爆撃機という名のつくものが装備の変更になるというふうな考え方ですか。防衛庁としてひとつはっきりけじめをつけておいてもらいたい。
  146. 麻生茂

    ○麻生政府委員 お答え申し上げます。  御質問の御趣旨は、いわゆる事前協議の対象になるかどうかということだと思いますが、安保条約に基づく事前協議の対象になりますのは、装備の変更は重要なものに限られておるわけであります。「同軍隊の装備における重要な変更」と規定しております。その「装備における重要な変更」と申しますのは、非常に具体的に申しますれば、核兵器の持ち込みを意味しておるのだということを申し上げておるわけでございまして、これをさらに具体的に言うならば、核弾頭、それから中長距離ミサイル、その、ミサイルの基地の建設、これを「装備における重要な変更」といっているわけでございます。
  147. 緒方孝男

    ○緒方委員 横から出てきて質問をごたごたしてもらっては因る。この前の外務委員会で防衛局長もいろいろ説明をなさっておる。F105が水爆を積む能力を持ち、運搬の能力を持っておりながら、持ってきていない限りには、これは装備の変更とは考えられない、こうあなたは御説明なさった。まして、これは何も水爆を積むことだけが能でなくて、戦闘用にも使おれる、両面的な能力を持っておる、片一方だけ使えばけっこうじゃないかというような御説明であった。そうするなら、B52にせよB70にせよ、何も水爆、原爆を積まなければならぬと限った兵器ではない。これは一般的な爆弾も積まれる、運搬もできる、その能力も持っている。だから、水爆、原爆を持たずに日本に配属されても、単なる機種の変更になるかどうかということをお伺いしておるわけです。そのを点をひとつ御説明を願いたい。
  148. 海原治

    海原政府委員 私といたしましては、先般も御説明いたしましたよろに、従来ありましたF100という戦闘爆撃機が同じ新しい戦闘爆撃機にかわるのだから、これは機種の変更であって、装備の変更ではない、こう申し上げたわけであります。したがって、いま先生のおっしゃいました、本来的に戦略爆撃機として使用されるものが常時日本に配置されるということになれば、私は、それは機種の変更でなしに、装備の変更だと判断いたします。
  149. 緒方孝男

    ○緒方委員 そうすれば、原爆を持っておろうとおるまいと、戦略的な爆撃機が配置されることは、重要な装備の変更というふうに定義づけていいのですか。
  150. 海原治

    海原政府委員 戦略爆撃機、戦術爆撃機というようなことばが通常に用いられておりますが、実は具体的になりますと、その意味がはっきりいたしません。したがいまして、先ほどからきわめて慎重にお答えをしているわけでございまして、爆撃機というものもいろいろ進んでまいります。作戦要素も変わってまいります。したがいまして、将来のことにつきましてどうだということは申し上げられませんが、少なくとも現在の時点におきまして判断いたします場合に、B52のようなものが日本に配置されれば、私はそれは装備の変更であると判断する、そういうことでございます。
  151. 緒方孝男

    ○緒方委員 時々刻々変わっている兵器の進歩の状態でございますから、いまのB52がいつまで使えるものやら、これはわれわれもわかったものではありませんが、問題は、相手の国を爆撃に行ったり襲撃したりするような、要撃的なものでないものは、これはいわゆる一種の装備の変更、質的な変化になる、こういうふうに解釈してもいいのじゃないか、こう思うのですが、そういう意味でおっしゃっておるのですか。
  152. 海原治

    海原政府委員 同じお答えをして申しわけありませんが、先ほど麻生参事官からもお答えいたしましたように、装備の変更とか機種の変更とかいうことは、具体的には安保条約及び行政協定の解釈に関連して使われていることばでございますので、そういう意味におきまして、防衛庁だけが、たとえば私だけがこうだということを申し上げることは実はできない次第でございます。したがいまして、私としましては、先ほどから申し上げましたとおり、たとえばB52が配置になるということであれば、それは装備の変更だと思う、単なる機種の変更じゃないと思うということは申し上げられる次第でございますけれども、それが防衛庁としての説明というものには直ちには相なりません。その点ひとつ御了解を願いたいと思います。
  153. 緒方孝男

    ○緒方委員 先般あたりの論議からいたしますと、配置の変更ということには、陸軍のほうにおいては一個師団とか、海軍においては、一船団とか、こういわれるような規定づけがある。装備の変更ということになりますと、先ほど言われておったように、原爆の弾頭、それから原子爆弾、水素爆弾と名のつくもの、またはそれだけを使用するためにつくられたいわゆるIRBMのようなミサイル兵器、これだけはいわゆる事前協議の対象になる。こういうふうな、何かほかにまだ規定づけたものがあるのかどうか、その点をひとつ御説明願いたい。
  154. 麻生茂

    ○麻生政府委員 先ほどお答えいたしましたように、安保条約に基づきますいわゆる交換公文で申しております事前協議の主題となりますところの「装備における重要な変更」というのは、一言的に言えば、核兵器の持ち込みでございまして、その具体的の内容を申し上げますと、核弾頭、中長距離のミサイル、それからこれは持ち込みということばが当たるかどうか知りませんが、こうしたミサイル基地の建設をするということが装備における重要な変更である、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  155. 緒方孝男

    ○緒方委員 先ほど言われたように、大型原爆も運搬できるようなこういう長距離の運搬兵器、B52にせよB70にせよ、そういう運搬できるものの入ることは、別に事前協議の対象に——特にそのものを持ってきさえしなければ、別に差しつかえないという解釈なんですか。
  156. 麻生茂

    ○麻生政府委員 そのとおりでございます。
  157. 緒方孝男

    ○緒方委員 次に、ちょっとかわりますが、北九州にミサイルのナイキ部隊が配属される。これはたしか関東部隊からやっているはずで、今度は関西の番だったと思うのです。関東、関西、九州、北海道というふうな大体の順番がきまっておったのだが、この前の予算委員会の話を聞くと、関西を飛び抜けて九州のほうに先に持ってくるという話だが、どういうことでそういう変化が起こったのか、御説明を願いたい。
  158. 海原治

    海原政府委員 いま先生のおっしゃいましたような順番というものを私ども考えておった次第ではございません。ただ、二次計画の期間におきましては、ナイキを二個大隊編成したい、第一大隊は関東地方に置く、第二大隊を配置する場所につきましては、ホークの部隊の配置とも関連いたしまして、関西または北九州、そのいずれに配置することのほうが防空作戦面においてよりプラスであるかということを、制服の専門家の間で慎重に検討いたしました結果、現在のところは、北九州に配置をしたい、こういうことで、さらに具体的な配置場所等の検討が進んでおる、こういうことでございます。
  159. 緒方孝男

    ○緒方委員 関西と北九州とをいろいろ検討した結果、現在のところは北九州に設置したがよかろうという、その現在のところはという問題の起こったところを何か説明をしていただけませんか。現在のところはどういう事情で北九州にしなければならないという結論なのか、その点の御説明を願いたい。
  160. 海原治

    海原政府委員 現在のところはと申し上げましたために、あるいは特別の意味をお感じになったのかもしれませんが、これは四十年度に編成する予定でございます。したがいまして、一応事務的な立場では、この第二大隊は北九州ということを申し上げてよろしいわけでございますが、そのためには、要員の訓練、その他具体的に配置しますところの場所等の選定が、実はなお具体的に、個々的に専門技術的な検討が必要でございます。その結果、あるいは北九州に置くという現在の方針が変わるかもしれない。そういうことも考えまして、現在のところはと申し上げたのであります。いまの条件が変わりさえしなければ、北九州に配置を御決定願いたい、このように事務当局としては判断いたしております。
  161. 緒方孝男

    ○緒方委員 ちょっと話を前に戻しますが、いま日本のいわゆる航空自衛隊が持っているF104ですが、このF104とF105の性能の違い、優勢をひとつわかるならば御説明願いたい。
  162. 海原治

    海原政府委員 F104と申しますのは、航空自衛隊で装備いたしますものは、もっぱら要撃戦闘用でございます。F105と申しますのは、先ほども御説明しましたように、多目的の戦闘爆撃機でございます。したがいまして、その性能の優劣ということは、実は具体的には出てまいりません。ただし、同じ要撃戦闘面だけをつかまえてみますと、たとえばF105はマッハ二・ニクラスの戦闘攻撃ができるということでございます。その観点においてはF104Jとほほ同じものでございます。さらには装備しますものは、大体サイドワインダーであるとか、機関砲であるとかいうものは、ほぼ同等のものでございますので、優劣はない、大体同じ程度にお考えいただいていいのではないか、このように私ども考えております。
  163. 緒方孝男

    ○緒方委員 航続距離が長いということだけでも、安全性がなお一そう強いということにもなる。そういう面から見ても、105の方が、長距離の攻撃用ということを抜きにすれば、要撃用としてもF104にまさる能力を持っていると考えられますが、その点はどうですか。
  164. 海原治

    海原政府委員 その点は非常に専門的になりますので、私としてはどうこうということは申し上げられませんが、一応私の承知しておりますデータによりますと、ほぼ同じものであるという判断が正しいのではないか、このように考える次第でございます。と申しますのは、特定の高度までに上昇しますところのスピード、その所要時間、それから特定条件下における最高速度、それから装備しておりますところの武装等を比較いたしましても、ほとんど変わりございません。ただ、先ほど申しましたように、F105は多目的なものでございますから、それ以外に、地上戦闘に協力しまして爆撃をするための能力が十分つけ加えられておる。そういう意味から申しますと、F104にない性能を持っております。したがいまして、全般的に言えば、F105のほうがすぐれておるという判断も可能かと思います。したがいまして、当然価格も非常に高いわけでございます。
  165. 緒方孝男

    ○緒方委員 先ほど防衛庁長官は、F104の継続生産は再検討しておる、こう言われましたが、どういう理由で再検討しなければならないか。大半の製作が終わったならばともかくも、ようやく一年間の製作をやって、いま三十何機かが生産されたばかりで、再検討しなければならないという理由をひとつお聞かせ願いたい。
  166. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 現在F104の生産にはたくさんの技術員、また勤労者が動員せられておるわけでございまして、これは一つの理由でございますが、もしも予定どおり104の生産が中止せられますというと、日本の産業界に及ぼす影響もきわめて重大でございまして、そういう点と、それからわが国の将来の防空態勢をどうするかという問題をいろいろ総合的にあわせて検討中であるということでございます。
  167. 緒方孝男

    ○緒方委員 F104を生産するためにたくさんの人が働いておるから、いまそれを中止するということは重大な影響を与える、また、第二次防衛計画の目的も達成できなくなるということですが、104を中止しなければという問題の起こった原因は、一体どこにあるのかということをお聞きしておる。こんなのがほんとうかどうかわかりませんが、サンデー毎日に出ています。F104がこの前事故を起こしました。そういう中で、いろいろな人たちが現地のパイロットなんかに聞いておりますが、F104というのは、非常に使いにくいということは一致した意見のようである。今後このF104という機種を日本の防衛の中核に置くかどうかということが、いま大きな問題になっておるのじゃなかろうかと私は理解して、いまお伺いしておるわけなんであります。そういう面の御見解を聞かしてもらいたい。
  168. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 御承知のとおり、第二次防におきまして、日本の主力戦闘機にこれを生産をいたしておるわけでございます。F86から逐次F104に切りかえようとして、今日生産を続行しておるわけでございます。しこうして、昭和三十九年度計画完成するわけでございます。したがって、今日の二次防にありまする計画を終わりますれば、黙っておれば中止せざるを得ないのでありまして、そこで、三十九年度以降どうするかということを目下検討しておる次第でございます。
  169. 緒方孝男

    ○緒方委員 二百機はそのまま生産していくわけでございますか。
  170. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 そのとおりでございます。
  171. 緒方孝男

    ○緒方委員 それならば、ここに問題になっておることが事実かどうかは別として、ほっておくわけにもいかない問題じゃなかろうかと思う。この記事の中から見ますと、F104Jはこわい飛行機である、この飛行機の構造そのものがパイロット自身に理解がいかない、製作をした新三菱重工に問い合わせてみても、またロッキードの会社に問い合わせてみても、十分な説明もついてこない、内容がよくわからないということが、パイロットにとって一番大きな不安の原因だ、こういうように記事が載っておる。いま一つは、部品が非常に集められない。一台の飛行機を飛ばすためには、二台、三台の飛行機の部品をかり集めて飛ばせなければ飛ばされないんだ、こういうことが出ておる。これは全くでたらめであるとするならば、書いた者のでたらめなのかもしれませんが、しかし、104自身はアメリカにおいては今日使ってない。日本の生産に寄与しているだけだ。将来ロッキードがどこまでこれらの生産に、その部品や一切のものに対して責任を持つのかどうかということも、非常に困難な状態に立っておるのじゃないか。それでもあえてなお、このあと足りない二百機の全部を生産していくのかどうか。それよりも、むしろ105のほうがよかったのじゃないかという問題も出てくる。そういうことは再検討にならないのかどうか、その点をひとつお伺いしたい。
  172. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 104の安全性につきましては、十分に私ども確信を持っておるわけでございまして、二百機の生産を中止するようなことは考えたことはございません。
  173. 緒方孝男

    ○緒方委員 あなたが自信を持っても、あなたは飛行機の運転はできるわけじゃないでしょう。飛行機を運転しておる者は、みんな遺書を書いて乗っておると言っておるじゃないですか。遺書を書くとかなんとか、それは104でなくても書くかもしれません。また、一応軍人という立場に立つ者は、日常このくらいの決意を持っておりますという一つの気持ちのあらわれかもしれません。しかし、F104に乗るときには、きょうは無事に帰れるかどうかわからぬということをあらためて考えて、乗っていかなければならぬという状態に置かれておることは事実でしょう。あなたが安全性に自信を持ったからといって、乗っていく者は安全性を一つも信じておらない、機械の構造が理解できないと言っておる。そういう面に対して何ら検討を加えてやろうという意思はないわけですか。
  174. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 去る四月十日に、北海道千歳で、御承知のとおり、104の初めての事故が起きました。当時私は現地におったのでございますが、直ちに全機につきまして、事故の原因と思われる点につきまして点検を行ないました。そして安全性を確認いたしまして、直ちに全飛行機が訓練に従事いたしておるのでございまして、ある雑誌にどういうパイロットがどういうことを述べておるか知りませんが、一パイロットの意見だけで、航空自衛隊の全パイロットが非常に不安で104には乗れないというような現状ではございません。毎日ほとんど全機を動員いたしまして、猛烈な訓練をいたしておる最中でございます。
  175. 緒方孝男

    ○緒方委員 乗れないということでないことは、何も乗らぬというストライキが起こっていると言っておるわけではない。ここにも書いてありますように、「かりたてられる大空への魅力」、パイロットとして一たび大空をかけめぐろうとした者は、F104であるから105であるからといって、乗るとか乗らぬとかいう気持ちになるはずはありません。しかし、ほのか飛行機に乗るよりも、F104機に乗ることには、何かしらどこかに一つの不安があるという気持ちを持っておることは事実のようです。それはまあ一応別としましても、部品は完全にそろって、今日全機がいつでも飛び立てる状態になっておるのかどうか、装備のほうはどうですか、こういうことはでたらめですか。二機も三機もとりこわして部品をそろえなければ、一機を飛ばせることはできないなどという記事は全くでたらめですか。
  176. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 航空機一般としまして整備を実施いたしますので、整備期間中はもちろん稼働できないわけでございますが、部品は相当数国産化いたしております。したがいまして、部品がないために、ほかの飛行機の部品を、いわゆる部品取りと申しますが、そういうことをして間に合わしておるというようなことはありません。もちろん、全部品を取りそろえるということは非常に金がかかりますので、大体故障の発生状況等を過去の経験で判断をいたしまして、それに相応する部品をそろえておる、そういうもので整備を実施いたしております。したがいまして、整備期間中はもちろん飛べないわけでありますが、部品取りまでしてその整備をしなければいかぬというような状況はございません。
  177. 緒方孝男

    ○緒方委員 部品の生産をいまやっておると言うが、全部をやっておるわけじゃない。いままで故障が起こるであろうと思われるところの部品をつくっておるとあなたは答えておる。故障の起こるであろうと思わざるところに起こった場合は、部品がないでしょう。そういうときには、ほかの飛行機の機械でも取ってこなければしかたがないでしょう。全部そろっておりますか。また、全部そろえていく可能性がありますか。その点の御説明を願いたい。
  178. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 一台の飛行機で何万点という部品を全部そろえるということは、非常に経費がかかりますので、もちろん、そういう全部品をそろえるというようなことはいたしておりません。過去の経験等から判断しまして、大体必要な部品をそろえておるわけでございます。たまたまその予想が的中いたしませんで、新しい部品、用意していない部品が必要だということになると、御承知のように整備できないわけでございます。その場合に、ほかの部品をはずすということではなくて、未稼働のままで置いておくというのが現在の状況でございます。と申しますのは、国産いたしております部品であれば、生産期間を見れば出てまいります。また、緊急に手配をしなければいかぬというものは、緊急に輸入の手配をいたしますので、ほかのものからはずしてきてまでやるということはないのでございます。すでに生産のとまっております飛行機なりあるいはほかの兵器でありますれば、部品取りというようなことは好ましくはございませんが、そういう事態があるのでございますが、104の場合にはそういう部品取りというようなことはいたしておりません。
  179. 緒方孝男

    ○緒方委員 この記事は全くないことを書いておるのですね。こういうふうに書いてあります。「それは飛行機の部品が全く不足で、補給がおくれているということです。現在二十一機のF−104Jと九機のF−104DJが千歳基地に配置されているのですが、一機を飛ばすために二、三機から部品をかき集めて整備している状態なんです。こんなことで微妙な狂いが原因で命とりにもなる飛行機の完全整備ができるもんでしょうか。こういう危険な状態なのに、防衛庁は四十一年までにF−104Jで七飛行隊を編成する、」こう書いておりますが、全くでたらめですか。一時はそういうことでもありましたというならば、まだ理解がつくのですが……。
  180. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 最近の大衆雑誌というもの、特に週刊誌の傾向は、おもしろおかしく書かないと売れない傾向にもあるので……。私ども見たのでございますが、どうもまことに驚き入ったものでございまして、日本の航空自衛隊の第一線はそういうものでないことだけ、明確に私は自信を持って申し上げます。
  181. 緒方孝男

    ○緒方委員 新聞記事は全く無責任な記事であると言われます。それならばそれ以上追及はいたしませんが……。
  182. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 新聞記事じゃないのです。私は大衆雑誌のことを言うておるのです。その点は間違いなく。
  183. 緒方孝男

    ○緒方委員 F104は非常に危険な機種であるということは、当初の選定当時から問題になっておった。それは自信があるとおっしゃるならば、それは一応なにしましょうが、105のほうが安全度が高いということを私はよく聞いておるのです。そういう面から見て、なぜ105を選定しなかったか。それはやはり攻撃用だから、日本の自衛隊としては持てないという一つの問題があろうと思うのですが、その点はどうですか。
  184. 海原治

    海原政府委員 F105という飛行機は、F104を決定されました当時にはまだ実在のものではございません。105が現実にできましたのが三年前と記憶いたします。104を決定いたしますときには、この飛行機はまだ設計あるいは会社におきます製作過程か、そういう段階でございまして、検討の対象ではございません。そういうことを申し上げておきます。
  185. 緒方孝男

    ○緒方委員 そのときにまだ完成しておらなかったということを言われますが、すでにその完成が目の前にあって、104はもう使いものにならないという状態の中で、104をあなたたちは選んだじゃないですか。そういう状態です。104は今日アメリカで使っておりますか。
  186. 海原治

    海原政府委員 F104の型は、現在アメリカでは戦術空軍に配置されております。さらに現在生産されておりまして、カナダ空軍のためとNATO諸国のため、私の記憶が正しければ、現在十カ国前後のために、合計二千機は実用に供されております。なお当分の間生産されていくものでございます。
  187. 緒方孝男

    ○緒方委員 アメリカとしては、これよりも、むしろこの105のほうが、能力から見ても、安全度から見もて、操作の点から見ても、非常に優秀であるという結論が、もう大体そのときには出ておったはずです。それであるにもかかわらず、日本もできれば値段は高いがこれのほうがいいんだけれども、これは攻撃に大きな重点が置かれておるから、やはりこれは日本としては持つべからざる武器というふうな判断をせざるを得なかったのじゃないかと思います。そういう面はどうですか。
  188. 海原治

    海原政府委員 そのような事情は全然存在しておりません。
  189. 緒方孝男

    ○緒方委員 この雑誌の記事が、これはでたらめであったで済めばけっこうなんですが、実際につくってはみたけれども、将来使うにはたいへんな問題だということになった場合、もし日本のF104Jをかえなければならぬという場合には、105でもかまわぬというふうな見解ですか。
  190. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいまお尋ねのようなことは考えたことはございません。
  191. 緒方孝男

    ○緒方委員 F105はあくまでも攻撃用に持ってきた飛行機で、危険な武器だということが考えられる。日本の自衛隊としても持てない武器に属するんじゃないか。日本の自衛隊の持てないような武器を、アメリカが単なる機種の変更という名前で持ってこられても、はなはだ迷惑という気持ちがあるわけなんです。  もう一つ、突っ込んでお伺いしますが、先般の国会のときに、わが党の委員長の河上さんが池田総理にも質問をしておりますが、沖繩は完全な核装備ができておる。池田総理も、そうでありましょう、こういうふうな御答弁をなさっております。日本には原子力潜水艦にせよ、また板付の105にせよ、核弾頭というものは持ってきておらないとあなた方がおっしゃるならば、それでいいいでしょう。しかし、沖繩は幾らでも貯蔵できる条件の上にあるということは、これはお認めになりますか。
  192. 海原治

    海原政府委員 沖繩の実情については承知いたしておりません。ただ、先生のおっしゃいますように、そういうものが貯蔵できる条件にあるかということになれば、そういう条件にあろうと判断いたしております。
  193. 緒方孝男

    ○緒方委員 いろいろな資料を見ましても、防衛庁自身のいろいろな研究の中から見ても、現在の世界の戦略なり戦術というものが、核兵器を抜きにしての戦術戦略というものは今日考えられておらない。これはわれわれもそう思う。まして、防衛の任を皆負うておる皆さん方から見れば、今日の世界の動きの中から見るならば、核兵器というものを抜きにしての戦略も戦術も成り立たない問題であろう、こういうふうに考えるわけですが、そういう面から見まして、極東の安全ということに大きな関心を持っておるアメリカとして、日本の平和憲法のあるために、極東に核兵器による脅威は全く持っておらないというようなことは、とうてい考えられない話です。第七艦隊にせよ、沖繩基地にせよ、台湾にせよ、フィリピンにせよ、至るところの条件のあるところには、核兵器というものでもって装備されておると判断しなければならないが、そういう面は一体どういうふうにお考えになっておられるか、伺いたい。
  194. 海原治

    海原政府委員 ただいまの点につきまして、アメリカの核兵器の力というものが現実の平和を維持する一つの大きな力になっておるということにつきましては、全然異論はございません。ただ、その場合、どういう兵器が具体的に核装備されておるかということにつきましては、これはいろいろと意見の分かれるところでございます。意見になりますので、あえて申し上げませんが、たとえばそれを極東において配置する必要がはたしてあるかどうか、どこにあるかということにつきましても、これもまたいろいろな推測が行なわれておりまして、たとえばフィリピンのある基地に参りますと、さくのそとにはもうちゃんと放射能危険と書いてあるというような、そういうところもございまして、はたしてそこに何があるのかということにつきましては、私どもこれを判断する何らの資料もございません。ただ、そういうものが極東になければ、いわゆる現実に平和が保てないのかということになりますと、これはいろいろと意見が分かれるところでございます。先般も申し上げましたように、米国の戦略というものは、主としてミニットマンという一分以内に発射できます固体燃料を持ったICBMと、それからどこでも発射できる所在のわからないポラリス潜水艦、こういうものが大きなささえになっておる。その大きなささえの中では、むしろ従来の、向こうではコンベンショナルと申しておりますが、第二次大戦型、局地戦型というような非核兵器的な面の兵器、兵力の建設ということが大事であるということが、いろいろと現在考えられておる次第でございますから、その辺のところからいまの点はひとつ御判断願いたい、このように考える次第でございます。
  195. 緒方孝男

    ○緒方委員 戦略的な秘密の問題をあなた自身もわかっていない面もありましょう。われわれもそれを一々聞き出そうとも思いません。どこにどういうものを据えてある、どこにどういう設備をしてあるかは、あなたに聞いても教えもしますまい。また、あなた自身が知るにも限界がある問題だろうとも思います。しかし、今日のアメリカのとっておる戦略の中心が、核戦争というものを予想しない戦術戦略の立て方はない。軍の配属の基本はそこに一切が置かれておるという事実は、これは否定することのできない問題である。まして、今日アメリカがやっておるのは、核兵器の分散が最も大きな問題になっておる。数カ所におけるところの基地でなくて、至るところに原子兵器の運搬装置、報復兵器の分散をはかっておこうとしておる。そういう面から見て、極東において広範囲にわたってそれらの危険なる兵器が備えつけられつつあるという現状だけは、これは常識的に否定することのできない問題ではないか。その点は私たちは全く関知しませんでは、持たされる持たされないは別として、日本の防衛という大きな任務を持っておるあなた方のお仕事がどうかと考えなければならぬ。そういうことは全く知りませんでは、国防の中心的な目はどこに向いているのかということを疑わざるを得ない。知っておるけれども言われぬなら、言われぬでけっこうです。全くわれわれは知りませんでは、これは話にならないことじゃないかと思う。
  196. 海原治

    海原政府委員 ただいまの御意見は、非常に貴重な御意見として十分検討させていただきます。
  197. 緒方孝男

    ○緒方委員 それはそうかもしれません、それなら、もう少しこれはなにしてみます。いまアメリカとして極東の情勢を考える場合、核の分散配置をしなければならないが、極東における状態を見るならば、韓国の政情は非常に不安定である。ここに長期的ないわゆる軍備なりあるいは報復兵器を維持することは、困難な事態に立ち至っておることは事実であろうと思う。いま一つ、東南のほうに向くならば、ラオスにおいてもすでに全面的な撤退になっておる。南ベトナムも御承知のように、一万二千人のアメリカの正規軍がおって指導しながら、アメリカの出す資料の面から見ましても、至るところに敗戦続きであります。いつまでここが保ち得るかどうかという大きな危険にさらされている。そうすると、極東というもののアメリカ防衛範囲というものには、おのずから限界が生じてきた。日本列島と台湾とフィリピン、こういう形の範囲内にいわゆる報復的な核兵力を集中しなければならぬという今日の事態に直面しておるとわれわれは考えなければならぬ。そうするならば、ポラリスでなくて、ノーチラスであろうと何であろうと、潜水艦の寄港問題も、105の配置も、あなた方がナイキ部隊を北九州に先に持っていこうとする一つの関連性も、そういう一つの全体の動きの中からわれわれは判断をしなければならない状態に立たされてきている。核弾頭が日本の国内のいずれに入っておるのか、全く来てないのか、そういう論議は抜きにして、一たん不幸な事態になるならば、いつもそれらのものが補充のできる体制はできておるということは事実じゃないかと思う。そういう体制はまだないとあなた方はおっしゃられますか。
  198. 海原治

    海原政府委員 ただいま先生がおっしゃいました御意見の中で、アメリカが核戦略というものを具体的に実行していく手段として、あちらこちらに核兵器を集めていくのだ、こういうようなお考えがございましたが、私どもの判断では、むしろ逆の傾向でございます。事実を申し上げますと、たとえばヨーロッパのアメリカの陸軍には、二人乗りのジープで撃てますところのデービー・クロケットという原子砲がございます。これを配備しておりますけれども、こういうものはむしろアメリカ本土に引き揚げるべきだ、一般的な傾向といたしましては、核兵器というものは、核散防止というものがアメリカの政策のように私ども考えております。またさらに、現在東南アジア等におきましていろいろな問題がございます。そういう場合の軍事行動というものは、最も原始的な兵器によって行動が行なわれております。こういうことを考えますと、核兵器というものはむしろじゃまになってきておる。実際威力があっても使えない。現実に動く場合には、先ほど申しましたように、局地的な戦闘に必要なものがそれぞれの要点に必要でないか、こういうような方向にものが考えられておるように私どもは判断いたします。しかし、御意見でございますので、これ以上のことは御容赦願いたいと思います。
  199. 緒方孝男

    ○緒方委員 トルコや地中海方面における核兵力の一部引き揚げということは、私どもも知っております。これにかわるべきものはポラリス潜水艦というものができてきたから、そういういわゆる行動能力の小さいものは引き揚げるということになってきておる。そうなってくると、これは地上における小規模の、かつまた行動能力の低いものはそれぞれ廃棄されていくだろうが、かわってくるものは何かというと、大きな重点になるものは、いわゆる足の速い爆撃機、もう一つは、海水の中にもぐる潜水艦、これが今日の主要な大きな武器になってきておる。原爆の投げ合いの一番大きな運び手になってきておる。その事実を否定をすることはできぬでしょう。いま日本にその二つの大きな危険な運び手が入ってきておるというこの事実を無視して、私たちは日本の防衛というものを考えるわけにはいかないわけです。その点には別に変化はないとおっしゃいますか。
  200. 海原治

    海原政府委員 御意見ではございますが、私どもはそのようには考えておりません。
  201. 緒方孝男

    ○緒方委員 この防衛年鑑などを見ますと、これは余談になりますが、いろいろ参考になるような意見が書かれておりますね。中でも、赤い石油攻勢というような論文が載っております。また、社会党のいわゆる中立論議について、両方の意見が出されておるならともかく、防衛庁の見解かどうか存じませんが、社会党の中立問題についてのいろいろな御意見がなされておる。また、この資料として出されておるところの内容を見ましても、ソ連に対するところのものの書き方、どっちがいい悪いを言うのではないのですよ。よその国に比べてみて、ソ連のは宣伝ばかりでもってああじゃとかこうじゃとか、非常に何か番いてある。中国に対しては、人民公社が全滅してしまって何だかんだということが書いてある。そういう面から見ますと、日本の自衛隊は当然ソ連、中国をいわゆる仮想敵国として、常時日常訓練を積んでおるという事典を否定することはできないでしょう。してみますと、いま佐世保に原子力潜水艦の入港が常時許されるようになってくる、F105というものが板付に七十五機、これは厳然といつも待機しておる、こういう事態を中国なりソ連の側から見たときに、あれは何でもないよ、原爆は持っておらないよというて、のんきな気持ちでおられるかどうか。相手の国から見るならば、実際核弾頭を持っておるおらぬはともかくとして、一たん不幸な事態になったならば、ここから原爆を持ってくる危険性がある個所としてチェックされることだけは事実だろう。そういう危険性は全くないとあなたたちはお考えになっておるのかどうか。その点をひとつ伺っておきたい。
  202. 海原治

    海原政府委員 私どもは、そういうような事態は想定いたしておりません。自衛隊といたしましては、ここに書いてございますように、あくまでわが国の平和と独立を守るためのものでございまして、特定の国をいわゆる仮想敵というようなことで、これを相手に一戦をやろうというようなことは毛頭考えておりません。
  203. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次の機会に十分F105の質問をいたしたいと思いますが、関連をして、一、二点お伺いをしてみたいと思います。  せんだっても外務委員会で質問をいたしましたが、すでに福岡市長からも陳情がいっておると思いますし、福岡市議会も与野党含めて満場一致、F105の板付乗り入れについて、これを中止してもらいたいという決議をいたしております。こういう地元の福岡市民全部の要望に対して、この際、米軍当局に対し、福岡市民の要望の上に立って、政府が、F105の板付乗り入れを中止してほしいという話し合いを持たれる用意はないかどうか、これをお伺いします。
  204. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 板付基地周辺の市民の皆さんが非常に御心配になっておることは承知いたしておるのでありますが、どうも心配なさっておるもとにはいろいろな誤解もあるようでございます。また、十分に御理解願っておらない点もあるようでございまして、防衛庁といたしましては、そうした誤解がありますれば、誤解を解明いたしまして、納得、理解をいただくように最善の努力を傾倒いたしたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  205. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま政府責任を持って最大の努力を福岡市民に対してしたい、そういう市民の不安を解消するための具体的な政府措置をお伺いしたい。たとえば大臣みずから福岡市におもむいて、市長はじめ各界の代表を呼んで説明するなり、そういった具体的なお考えがあれば、この際出してもらいたい。
  206. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先般も福岡の市長さんはじめ関係者の方々に私はお目にかかったのでございますが、お目にかかった第一印象でも、どうもいろいろ誤解があるようでございます。たとえば騒音の問題でございますが、すでに配置せられておるF100よりも非常に高い——事実、若干高いことはデータでわれわれも承知いたしておるのでありますが、これは私のほうで独自な立場で騒音の測定をやろう、しかも、防衛庁だけでこれを実施しないで、福岡市当局の吏員の諸君の協力も得て、共同でひとつ騒音の測定などもやってみよう、公正な調査を行なって、その結果に基づいて具体的な案を立てて——騒音の問題は、従来からも私は申しておるのでありますが、これは政策以前のものでございますから、成案を得ますれば即時これを実行に移してまいる、たとえばそのようなことを誠意を持って尽くしてまいりますれば、市民の誤解であれば、だんだん誤解が解明せられて、市民各位の御理解、納得を得られるものと私は信じておるわけでございます。  なお、地元市民の強い熱望であります国際空港への問題につきましても、防衛庁としては非常に関心を持っております。この問題につきましても、米軍と現に具体的にしておるのでございますが、これも市当局といろいろ協力いたしまして、そのすみやかな実現を期したいと考えておるような次第でございます。一端を申し上げると、そういうことでございます。
  207. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういうことでは足りませんね。市民の不安は解消しません。市民の不安は、単なる騒音じゃないのです。せんだっての外務委員会で申し上げたように、これが水爆を積み得る戦闘爆撃機であるという点を非常に不安に感じておるわけです。だから、もし福岡市長はじめ市のほうから、大臣、あなたが福岡に乗り込んできて、市民が納得いくようによく説明してもらいたいという要請があったら、行かれますか。あなたは最大の努力をするといま言っておるんだから、もしそういう要望があったら行きますか。これは日本に初めてF105が板付に持ち込まれるのですよ。こういう重大な問題ですから、最大の努力をするというならば、もしあなたみずから乗り込んできて市民の納得いくように説明してほしいという要望があったら行きますか。
  208. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 御承知のとおり、私の責任のもとに出先の機関があるわけでございまして、何も大臣である私が飛んでいってすぐに問題が解明、解決するものではないのであります。これは、ものによっては私が参りまして腹を打ち割って話せば解決する問題もございましょうが、私のほうには公の機関が出先にあるのでございますから、この出先の機関がまず最善の努力と最善の対策を立てながら、地元の顔なじみ、また平素からおなじみが深いのでございますから、いろいろ話し合って、最後に防衛大臣が出て、こういう問題について地元の代表の方々と話してみろ、話せばこの程度まではいくだろう、あるいは問題によっては一気に解決するだろう、そういうものの順序を経て私は最善の努力を続けてまいりたいと思います。
  209. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この五月十七日、十八日にかけて、私ども社会党は調査団を派遣いたしました。その際、地元の防衛庁の福岡施設局でありますか、局長に会いました際に、市民の要望あるいは市民のこの105に対する反応、反響、そういうものは一切そのまま中央に伝達いたしております、そう言うだけですよ。だから、もし要望があったら大臣は行きますかということを聞いておる。いまの大臣のお答えによりますと、場合によっては、自分が出かけなければならないと思えば出かけるということですか。
  210. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 そのとおりでございます。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、そのことはそのように承っておきます。  関連ですから、いま一点。せんだっての外務委員会でも、大平外務大臣は、核兵器は持ち込まないということを再三言われました。また、核兵器の持ち込みでない限りは事前協議の対象でないから、そういうものはかってに持ち込んでいいということも言われました。一点だけお伺いしておきますが、中国はやがて原爆の実験をやるということはほとんど既定の事実になっておるようです。もし中国がそういう原爆の兵器を持つ段階になっても、いまの方針は変えられませんか。
  212. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これは国会におきまして、原子力に対する国是と申しますか、崇高な方針がすでに決定せられておるのでありまして、日本においては、原子力というものは平和的な目的にのみ利用するんだ、そういうことに国是がすでにきまっておるのであります。一方において、安保条約において、核兵器は絶対持ち込まぬし、もちろんこれは拒否するんだ、また、アメリカのほうも、核兵器は一切持ち込みませんということを国際信義の上にかたく約束し合って、そして結んでおるのでございますから、核兵器を持ち込まないことの方針、また、原子力はあくまでも平和的な目的にのみ利用するという基本的な方針は、変わることはないと私は信じておるのであります。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 関連ですから、これでやめます。中国が原爆の実験をしようとしまいと、日本が核兵器を持ち込まないという方針は絶対変えないというお答えと承っておきますが、重ねて……。
  214. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 そのとおりでございます。
  215. 緒方孝男

    ○緒方委員 防衛局長先ほど中ソと決戦をする意図などは毛頭ありませんという御回答があった。たぶんそれはそうだろうと思う。何も決戦をいま準備しておるとは私も思いませんが、しかし、戦争というものを全くないものと考えるならば、防衛ということばも出てこないはずなんです。あなた方がいま装備しておるものは、起こしてはならないが、起こった場合にはということを念頭に置いて、防衛体制をつくっておるものとわれわれは判断せざるを得ない。不幸な事態をわれわれは欲することはできませんが、もし一切起こらないことを前提にする場合には、防衛の意義はなくなる。起こる場合ということをわれわれは念頭におかなければ、防衛問題を論議する価値もない。そういう意味からしますならば、先ほどの原子力潜水艦の問題、F105の問題は、この大きな攻撃力を持つものが日本の西南の幾つかの基地にあるということは、相手の国にとったならば、必ずここは危険な個所だとして、何かマークをされることに間違いはない。マークされておりっぱなしならばけっこうです。間違って不幸な事態が起こった場合には、その危険な個所というものを当然除去しなければならないのが相手側の立場であるといわなければならない。原爆を持っておる持っておらない、貯蔵しておる貯蔵しておらないということだけでもって国民には納得させても、相手側にそれが納得させられる性質のものであるかどうか、この点に対する御見解を承っておきたい。
  216. 海原治

    海原政府委員 相手側が納得するかどうかということでございますと、私としては何とも申し上げられない。ただ、私どもは、私どもの持っております力というものは、先生のおっしゃっておられます相手側の力に比べれば、問題にならないほど小さいものであるというふうに考えておりまして、私どもは、あくまで一般的に申しまして、こういう防衛的なもの、軍事的なものというものは、万一の事態に備える、それがない場合においては、現実の事態におきましてはいろいろと不幸な事態も起こっております。ある程度の国家的な力を持っておるということが、すなわち、紛争を起こさない、いわゆる紛争を抑止する力であるということは、一般に認められておる次第でございます。そのものが現実に動くか動かないか、そういう場合があるかないかということをもって、直ちにそういう国家的な力が必要か必要でないかということにはならないと思うのでございます。この点は意見になりますし、討論になりますから、これ以上のことは私どもとしては申し上げられませんことを御了承願いたいと思います。
  217. 緒方孝男

    ○緒方委員 大臣にお伺いしますが、先ほど石橋委員からいろいろ質問されたときに、国防会議がどうしているかという問題もあった。先週か先々週か国防会議を開いてみた。いままで何べん開いても人が集まらないで往生しておった。ところが、そのときだけはたくさん集まってこられた。その集まってこられて、いろんな意見を出されるところの大もの小ものの方々から、いまさら原子力潜水艦を入れちゃいいとか悪いとか問題を論議することが間違うておる、原子力に対して大きな恐怖心を持たせるような教育のしかたが大体間違うておるのだというような意見がずいぶん出された。現に大臣がつるし上げられたというようなことが新聞に出ておりましたが、自民党の中にも、また政府関係者の中にも、また防衛庁そのものにも、いまの日本の防衛力というものを考える場合には、原子兵器を持たないような日本の防衛能力じゃだめだ、何とか早く原爆なり水爆が持てるような状態にしたいものだというふうな御気分が流れておりはしないかということが危惧されます。そういう面については御心配はありませんか。
  218. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいまのお話、私の関知しないことでございまして、最近国防会議が開かれたこともありませんし、ないから、私も出席しませんから、そういう話は伺っておりません。ただ、政党の中には、これは社会党さんのことまで申してはなはだ恐縮でございますが、どこの政党でも、勇ましい者とおとなしい者といろいろの人があるのでありまして、あるいは勇ましい人の個人的な意見として、そういうようなことを言われた人があるかもしれませんが、私は承知いたしておらないのでありまして、少なくとも自民党内においては、そういう水爆を早く持ちたいというような気持が流れておるなどということは絶対にないと私は考えております。
  219. 緒方孝男

    ○緒方委員 外務大臣のいろいろな答弁を聞いておる中で、原子力の問題については国民の感触だということばが非常によく使われておるわけですね。原子力潜水艦の寄港の問題では、もともと事前会議の問題ではないのだけれどもアメリカ当局としては、核というものに対しては日本人は特別な感触を持っておるから、感触に合わないようなことがあってはいかぬというようなことで、いろいろ話が行なわれておる。いわゆる日本の国民は原子物質に対する一つの恐怖心を持っておるが、この恐怖心の世論がありさえしなければ何とか原爆を持ちたいものだというふうな一貫したものが、どうもそういう答弁を聞いても流れておる。ただ、国民からきらわれたらいけないということだけであって、何か方法があるならば原爆で武装をしたいという一貫したものが、どこかにひそんでおるように見受けられますが、そういうことは絶対にありませんか。
  220. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 それは先生の感触かもしれませんが、私はそういう感触は受けておりません。第一、いまの日本で原子兵器を持とうなどということを考えるのは稚戯にひとしいのです。そういうことを考える人があれば、それは妄想にかられておる人じゃないかと私は思うのでありまして、絶対にそういう感触はないとお答えを申し上げます。
  221. 緒方孝男

    ○緒方委員 そういうことが単なる私の妄想だけで終わればけっこうですが、いま一連に動いておるナイキの問題にせよ、F105の問題にせよ、原子力潜水艦の瀞港の問題にせよ、そういう一つの流れの中に動いておるものと判断せざるを得ない客観的な状態がある。この原子力潜水艦は単なる休養寄港である、F105は単なる機種の変更である、ナイキ・アジャックスは核弾頭はつけませんという。そのことだけを切り離してみるならば、何ら危惧することはありませんが、しかしながら、一つの動いておる形態としては、いつでも一切のものをあげて原水爆の熱核物質を運搬できるような状態になってきておるという事実を否定することはできないだろうと思う。かりにナイキ・アジャックスを北九州に備えつけ——もちろん、これはハーキュリーズの発射台である。皆さんがお持ちになっておるのはアジャックスかもしれません。しかし、沖繩には相当多量の各種熱核物質が貯蔵されておるものと判断する場合に、国際的に一たん緊張の度が出たとする、一たん危険な状態が起こったとするならば、不幸な事態が起こったとしたならば、戦争は勝つことが目的であります。日本の平和憲法があるからとか、日本の友好がどうだからとか、そういうことを考慮して戦争を敗北に導くことはできないでしょう。一たんの間違いがあった場合には、ナイキ・アジャックスはいつでもハーキュリーズに取りかえられ、F105はいつでも水爆を搭載して待機の姿勢に入り、ノーチラス号はいつでも、港に入らなくてもすぐそばにポラリスがくるならば、二十台でも十五台でもそれを護衛的な立場に立たざるを得ないであろう、こういう事態を考えてみて、日本が危険な状態に置かれてきつつあるということを考えない人間のほうが愚鈍ではなかろうか、こう判断せざるを得ないわけです。それに対しては、いかなる場合といえども危険はないとあなた方はおっしゃられるか、その点をお伺いしたい。
  222. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先生の広範な軍事車門的な御意見、まことに示唆に富むものが多いと私は思うのでございまして、先生の御意見として十分にお聞きしておく次第であります。
  223. 緒方孝男

    ○緒方委員 私は、何もあなたに説明をしておるわけでもなければ、講義をしておるわけでもない。私を含めて国民の全部が、その事態に対して非常に不安を持っている。国民の不安を除却する大きな任務を持っている防衛庁ではないか、防衛庁が、戦略なり戦術なり、国際的な動きの中に立って、皆さん御心配は要りませんよという確固たることが言えるかどうかということを私はお伺いしておる。
  224. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 どうもものごとは、勘ぐれば勘ぐるほど切りがなくなって、最後にはどうも神経質になる場合が多いのでございます。したがって、先生の御意見は非常に示唆に富む御意見として、私は十分に今後頭の中に入れてまいり、先生のような御意見も多数あると思いますが、私は先生の御意見を十分に拝聴してまいりたい、こういうふうに思っておるのでありまして、ここで絶対に心配がないとか要るとか、そういうことをお答えすべき筋合いのものじゃないのでありまして、私どもは、野党であります社会党がすみやかに天下をとっていただくことを非常に期待しておる。とにかく天下をとる政党が、あまりものごとを勘ぐって、どうもこうなればこうなる、ああなるならばこう、こうなったらどうなるであろうかというふうにあまり神経質にお考えにならずに、そうして国の防衛という問題をともどもにひとつ話し合ってまいりたいと、私は心から願望いたしておるのであります。
  225. 緒方孝男

    ○緒方委員 いみじくもあなたは、考えれば考えるほど神経質になるような問題だと言われた。考えざるを得ないような立場に置かれたものはどうしますか。板付基地の周辺、あの博多の市民の立場、佐世保のへたちの立場、こういう人たちは、考えまいと思っても毎日毎日をそのことばかりでさいなまれておるじゃありませんか。いいですか、あなた自身は、人から言われたときにどうした答弁をしたらよかろうかというぐらい考えればいいかもしれぬ。毎日毎日を神経質にならざるを得ないほど考えざるを得ないような立場に置かれたものの身にもなってもらいたい。いいですか、もしあなたが深く考えて、そんなに神経質になるほどの問題じゃないというなら、こんなばかげた金を使っておる防衛というものはやめてしまいなさい。もっと何も持たずにのんきでおったほうがいいじゃないですか。のんきにできないことがあればこそ、あなた方は必死になって新しい機体も購入しなければならぬ。チンドン屋のようになって、自衛隊員をどんどん入れなければならぬというようなことをやっているじゃないですか。どうも今日の防衛庁の立場と防衛庁長官の置かれておる立場とには、だいぶ精神的な差が出てきておると思いますが、その点は一体どうなんですか。そうのんきにしてもよろしいという問題なんですか。
  226. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 何度申し上げても同じことをお答えする結果に相なりますが、先ほど楢崎先生から、板付の基地周辺の市民の皆さんが非常に心配されておるというお話で、そういうことについては、まずわれわれが大いに努力をして、不安を除去するように最善の努力をいたす、さように私ども心得て防衛庁の仕事をやっておる次第でございます。もう最善の努力をいたす。ただいま先生は、非常に不安、不安のどん底のどん底というような、差し迫ったようなお気持を表明せられておりますが、そういう不安のどん底に落ち込まないように、われわれの最善の努力、また、誤解があれば大いに解明し、納得、理解をしていただくことに努力をする、かように先刻来申しておる次第でございます。
  227. 緒方孝男

    ○緒方委員 楢崎君から聞かれても、何も具体的に努力するという内容は、まあ心配するなよというて、現地の人間をなだめる以外に努力の道はないでしょう。もしあなたがそういう不安におちいっている人たちのために努力をするというのであるならば——前の防衛庁長官であった藤枝さんが、板付の飛行場の移転の問題については、具体的に研究し、検討してみます。予算までつけてくれないかと私たちが要求した場合に、予算までつけなくても、特別にこのための予算はとらなくても、通常経費の中で十分にできると思いますから、ここ当分の間研究なり、あるいはそのためにひとつ検討さしてもらいたい、こう藤枝さんは言ったままやめてしまいました。あなたは何かそのために引き継ぎを受けておりますか。
  228. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 この基地の移転問題は、これは根本的な重大な問題でございまして、当然前長官から引き継ぎは受けておるのであります。私は就任以来、板付の基地の移転の問題についても、十分に研究をいたしておるのであります。しかしながら、御承知のとおり、あれだけの膨大な、また米軍にも使用さしておる基地でありまして、おいそれとすぐに解決する問題でもないのでありまして、ただ、私は、林防衛施設庁長官に対しまして、この問題は真剣に研究せよ、いますぐに解決しない問題でも、将来の問題として真剣に取り組んで研究せよということを指図をいたしておるのであります。
  229. 緒方孝男

    ○緒方委員 しからば、指図を受けた林さん、どういう御検討なり、どういう御調査をなされたか、どこまでその問題が進行しておるのか、その点の御報告をひとつお願いいたしたい。
  230. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この問題につきましては、志賀大臣から指図を受けまして、慎重に検討をする段階にきておるのでございます。まだ具体的にどれこれというようなところまでには至っていないのでございます。ただいまも緒方先生からお話がありましたように、既定の予算の中で、たとえば人身被害の調査というようなことができることになっておるわけでございます。そのような人身被害の調査というようなことも、結局はこの移転に関する一つの前提調査とわれわれは考えて、そのようなことも、やっておるわけなんです。今後いろいろな点を検討しまして、具体的に進めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  231. 緒方孝男

    ○緒方委員 きのうきょうの委員会で問題にしたものじゃないのです。大臣が就任して半年以上の時間がたっている。今日まで調査をしたということ——研究しましょう、調査をしましょうということが、単なるこの委員会の答弁のことばに終わってもらっては困るから、そのための予算までひとつつけてもらいたいということを私はお願いしたのですが、御懸念は要りません、現在ある予算の中で十分に研究をしてまいります、やらしていきます、こう藤枝さんはおっしゃった。もちろん、長官が言われたように、こういう膨大な施設を移転することは、簡単にいこうとはわれわれも思うていない。早急に結論づけられようとは思うていない。研究調査の結果、不可能であるという結論にならないとも限らないと思うておる。しかしながら、そういう結果になろうとなるまいと、どこまで現地の人たちの不安を除去するために皆さんが努力してくれるかということが、私は重大な問題ではなかろうかと思う。あなたたちは初めから、不可能な問題だ、調査はしました、研究はしましたと言うばかりで、これを水に流すつもりでおりましょう。真剣にその問題と取り組んでみる考えがありますか。
  232. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま私からお答え申し上げたとおり、これは一防衛庁の問題ではございません。御案内のとおり、内閣に基地問題対策協議会という各省にまたがっておるものがございますから、その協議会とも緊密な連絡をとりながら、真剣に取り組んでまいりたいと考えておるのであります。これは口先だけではなしに、防衛庁も基地問題というやっかいな問題をかかえて、先刻来いろいろ示唆に富む話がありましたが、本式の防衛問題と取り組めないから、私の考えとしましては、基地問題というやっかいな問題は、できるだけ片っ端から片づけてまいりたいという気持でおるのであります。そういう気持もあわせて、この問題は真剣に考え、また努力を重ねてまいりたい。先生の仰せのとおり、あの膨大な基地でございますから、あす、あさってにすぐにどうなるという問題じゃございませんが、やはり真剣になってやって、初めて困難な仕事も徐々に解決の道が開けていくものと私は考えておるのでありまして、これは重ねて申し上げますが、防衛庁といたしましては、慎重かつ真剣に、内閣の基地問題対策協議会とも連絡をとりながら、推進してまいりたいと考えておるのであります。御了承を賜わりたいと思います。
  233. 緒方孝男

    ○緒方委員 この問題は、現地にも非常に大きな動きも予想されて、長官自身も真剣に取り組まなければならぬということは事実かもしれません。何もうそではなかろうと思います。しかし、あなたの真剣に取り組もうということは、移転ということは不可能な問題だから、移転はせずに、何かはかの方法でもって、現地の人たちの気分をやわらげることに努力しようというふうにしかわれわれは受け取れないわけです。これでは、あなたがもう考えれば考えるほど神経衰弱にもなりかねないような問題を真剣に解決していこうという問題とは違うと思います。どうしてもこれは、あの七十万市民というものがみなその危険の中に置かれておるような、都市のまん中にこういう危険な軍事基地を持つという、そのこと自体を解決しなければならない問題なんです。その問題と取り組んでもらわなければならぬ。板付にかわってどこの地を選んだけれども、その地に折衝したら、町長さんが聞かなかったとか、地主が土地を売らなかったとか、いろんな問題が出てきて、ここまで努力しましたがと皆さんが言うならば、やむを得なかったかということにもなりますが、初めからあなた方はやる気がないのでしょう。林さん、そうでしょう。移転の問題で、あなたが九州各地をかけ回って、どこか別に移すところはないかとさがし回るくらいな気持がありますか。そのために、何とか米軍当局に対しても、ここだけはおってもらっては困るから、金がかかろうともよそに移ってくれというような折衝をする気持がありますか。全くないでしょう。ないことを、ここでことばの上でもって言うてもらっては困るのです。どうですか。
  234. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 防衛庁長官として私は真剣にお答えいたしておりますから、どうぞ私のお答えを御了承賜わりたいと思うのであります。
  235. 緒方孝男

    ○緒方委員 あまり長い時間を費しても相互に御迷惑だろうと思いますから、たいがいで私もやめますが、長官がいま何とか真剣にその問題を考えようと言うて、四、五年もあなたがおってくれれば、これがどうなったかということがまた言えるのでありますが、この次の通常国会に、あなたにまた、この問題が一体どうなるかということについて論議をする機会があるかどうか、私は自信が持てない。これはあなたは持っておられるかもしれません。そういうことで、責任者がその場その場のことばでもって委員会が済めばよいということに終わりがちである。何かあなたが努力をして、この国会の開会中に、こういう方法で取り組ませますというような具体的の問題をひとつ提示してもらいたい、これを要望しておきます。  いま一つ、林さんに伺いますが、先ほどの補償の問題について、これは新たな問題として検討されておりますが、これは単なる遺族に対する補償とかなんとかいうことだけでなくて、こういう飛行場の周辺に与えておるところの幾多の経済的な損失の補償というようなことまでワク範囲を拡大していくお気持があるのかないのか。もちろん、農耕地におきましては、農耕が十分にできないところには、それに対するいろいろな補償金が出されております。海上においては漁業の損失補償なども多少は出されておるが、百姓もしなければ、漁業もやらないで、土地だけは持っておるが、二束三文の値打ちもない、自分が自分の財産を処理しようとしても、飛行場やらこういう危険な立場に置かれておるために、家代々持っておるところの財産が無価値になっておる、こういう人たちの損失は一体どうしたならばよいのか、こういうものまで範囲を広げて検討なさるお気持があるのかどうか、この点に対しての御見解をひとつ伺っておきたい。
  236. 林一夫

    ○林(一)政府委員 基地の周辺に居住されておる方々には各種の被害を与えておりますので、各種の補償をいたしております。法律に基づくもの、あるいは行政措置によってやっておるもの、いろいろ御承知のように補償はいたしておるのでございます。このような補償をする場合には、その基地によっていろいろ事情が違うのでございます。基地周辺の具体的な事情によって、補償するのが適当であるという場合、すべきであるという場合には、関係各省と協議して進めてまいっておるわけであります。ただいまおっしゃったような、基地があるために、周辺の土地その他の価値が下落したというようなものに対する補償というような問題も、これは各基地にある現象でございまして、そういうようなことにつきましても、今後十分地元の事情を調査しまして、検討を進めたい、こういうふうに考えております。
  237. 緒方孝男

    ○緒方委員 もう一つお伺いしておきますが、いままでこういう周辺の病院なり学校等においては、その防音装置を進めてきたが、コンクリート防音装置をしてまいりますと、その換気のためにまた非常に動力を使わなければならない。一番困るのが公営の学校なんかですが、学校なんかでは、換気だけでも年間四十万、五十万という電気代を払わなければならない。病院あたりにしてみても、これはまた暖房装置やあるいはまた冷房装置その他もあわせてやらなければいけない問題になるが、そういうところには設備をするまではしてやるが、あとの運営に今度はばく大な経済的負担をかけなければならぬ。こういうものについての補償もまた考えてみるお気持ちがあるのかどうか、その点もひとつお伺いしておきたい。
  238. 林一夫

    ○林(一)政府委員 鉄筋防音工事をいたす場合においては、換気装置をいたします。換気装置をいたしますれば、改築工事、鉄筋工事をしない前とほぼ同じような環境になるのでございます。特に冷房装置をする必要はまだ感じていないのでございます。また、この換気装置をすることによって維持費が相当かかるということはよく聞いております。ところが、大体鉄筋改良工事と申しましょうか、防音工事のために鉄筋化する場合においては、ばく大な予算を必要とするのでございます。いま各基地の周辺の状況を見ますと、まだ防音工事をしなければならないととろの学校、教育施設がたくさんあるのであります。まず、そういうような教育施設の防音工事を完成するということに現在優先順位を置いておるのであります。その後、そのような維持管理費というような方面についても検討しなければならないと考えておるのでございますが、現在のととろは、そういうような事情でございますので、まず、必要なる教育施設について防音工事を進めるということに重点を置いて、進めてまいっておるわけであります。
  239. 緒方孝男

    ○緒方委員 予鈴も鳴ったようですから、あまり時間をとるわけにもいきませんけれども、防音装置の建設のほうに重点を置いて、運営のほうはまだ当分手が出せないということでありましょうけれども、せっかくコンクリートでやっても、換気もやれなければ、冷房もできなければ、窓をあけざるを得ない。窓をあけてしまえば、何のために防音装置したのかわからないという結果になる。実際に防音装置をしてやるならば、何ぼしても音は聞こえますし、いつでも静かというわけにはいきませんが、なるほどこうしてくれたからおかげでよくなったというふうにしてもらわなければならぬ。運営の問題も、やはり今度の法律化するための一つの大きな基礎において考慮してもらいたいということを要望して、一応打ち切りたいと思います。
  240. 永山忠則

    永山委員長 次会は、来たる二十八日十時理事会、十時半委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十四分散会