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1963-05-21 第43回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月二十一日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 岡崎 英城君    理事 内藤  隆君 理事 藤原 節夫君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       内海 安吉君    小笠 公韶君       草野一郎平君    纐纈 彌三君       笹本 一雄君    園田  直君       高橋  等君    辻  寛一君       船田  中君    保科善四郎君       緒方 孝男君    久保田鶴松君       中村 高一君    受田 新吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         内閣法制次長  高辻 正巳君         総理府総務長官 徳安 實藏君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君         大蔵事務官         (大臣官房長) 谷村  裕君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (銀行局長)  高橋 俊英君         文部事務官         (大学学術局         長)      小林 行雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (関税局総務課         長)      武藤謙二郎君         文部事務官         (大臣官房人事         課長)     安達 健二君         専  門  員 加藤 重喜君     ――――――――――――― 五月十七日  委員西村関一君及び受田新吉辞任につき、そ  の補欠として勝間田清一君及び西尾末廣君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員勝間田清一君及び西尾末廣君辞任につき、  その補欠として西村関一君及び受田新吉君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四三号)  総理府設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第九六号)      ――――◇―――――
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石山權作君
  3. 石山權作

    石山委員 池田内閣高度成長経済あと始末といいますか、高度成長経済の途中における締めくくりの時期にきたと一般にはいわれているし、われわれもそのとおりだと思うのです。それで手がけたのが、いわゆる関税・為替の自由化、それと同時に行なわれている金融措置の問題と思うのです。金融措置のうちの、世界でもなかなか類例のない公定歩合操作というのは独特のものだと思う。そして独特の中において相当の効果をあげているという声がかなり出ているので、その点は田中さん気持ちよくしているかどうか知りませんけれども、効果をあげているというわけです。しかし、そのあげている中においてわれわれの奇異に感じていることは、公定歩合の動かし方が低金利政策に通ずる、こういっているのですが、低金利政策を目途とする意図は一体どこにあるだろうというふうな疑問を最近われわれは持ち始ちているのです。なぜ無理無理に低金利政策をとらざるを得ないのか、その理由がどうもぴったりしない段階にあるのではないか。低金利政策そのものはわれわれは否定するのじゃないけれども、この段階において低金利政策、低金利政策といってしゃにむに公定歩合を動かしてやっていくところに、割り切れないものをわれわれは持っている。そのねらいどころをひとつこの際御説明願いたい。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 公定歩合を昨年の十月から約五カ月のうちに四厘引き下げをいたしたわけでございますが、これは低金利政策を進めるために公定歩合引き下げたわけではございません。これは金融正常化しということを日銀総裁も言っておりますし、それから政策委員も言っておりますように、金融正常化一つ施策として公定歩合操作が行なわれておるわけでございます。  それから、低金利政策といわれておりますが、見方によっては、低金利ということを否定するわけではありませんが、政府が一貫して申し上げておりますのは、国際金利さや寄せということでございます。日本金利が一体高いのかどうかということにつきましては、これは世界各国と比べて、特に先進工業国と比べて、金利は高いということは否定できないわけであります。公定歩合を比較してみますと、今度の四厘目の引き下げによって年率五分八厘四毛になったわけでございますが、アメリカ年率三分でございます。そういう意味で、アメリカ西ドイツその他の諸国と比べてみましても、日本中央銀行からの貸し出し金利そのものも高いし、また長期金利短期金利も、国債その他の政府が発行しております証券その他の金利も、諸外国に比して非常に商いということは事実でございます。できるならば国際金利さや寄せをすることが合理的であり、好ましいことであるということも否定できないことだと思います。  もう一つ、第三の、なぜ国際金利さや寄せをするかということは、御承知のとおりに、昨年のIMFの対日コンサルテーションにおきまして、八条国移行勧告を受けたわけでありますし、日本政府もこれに対してこれを受諾するという意思決定をいたしておるわけでございます。早晩八条国に移行しなければならないわけでありますし、御承知のガットにおける一括関税引き下げ動きもありますし、OECD加盟という問題もありますので、できるだけ国際金利さや寄せをして、日本企業国際競争力を培養しながら、国際競争市場裏に立っていけるようなことを考えていくことは、政府としては当然なことでございます。  もう一つ申し上げますと、自由化になりますと、国際場裏競争をしなければならないわけでありますが、御承知のとおり、日本の貿易は、原材料のほとんどすべてを海外からの輸入に仰ぐのでありまして、原材料を持っておる国と、高い運賃をかけて日本に粗原材料を輸入してきて、これに加工賃をかけて逆に輸出をして、同じ価格、それ以上の状態において競争をしなければならない日本でありますので、原材料がないというハンディの上に金利が高いというハンディがあったならば、日本国際競争力が一体どこでつくのかということは、当然考えなければならない問題でございまして、金利負担をできるだけ少なくしなければならぬということは喫緊の重要事であるという考えに立って、国際金利さや寄せということを申し上げておるわけであります。
  5. 石山權作

    石山委員 国際金利さや寄せとか欧州並みとかいうのは、最近の池田内閣の合いことばになっているわけですけれども、金利そのものの表面だけを見れば、確かに日本金利は高いわけであります。しかし、法人の中の企業体では、金利付加価値は必ずしもヨーロッパより高いとは判定できない面が出てきておるところに、私たちの言いたい部分があるのです。それともう一つは、いまのようなかっこうでいうと、どうも証券会社をもうけさせている操作じゃないか、こういうそしりを免れ得ないと思うのです。数カ月に四厘引き下げたというのは、過去の例を探れば高橋蔵相時代にあったのです。こんなに大幅な操作というのはいままでかつてなかった。そのあとで何をやったかといえば高橋さんは赤字公債をやった。そうすると、公債に対しては非常に慎重な態度をとっているのだけれども、特に低金利の実態で私たちがふしぎに思うのですが、預金利子よりも消費物価が進んでいく現状において、低金利政策というものは再考を要するのではないかというのが、私たちの一部の意見でございますが、その点に関してはどうなんですか。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 国内的な問題から金利問題を議論いたしますと、金利というものは、需要供給のバランスの上に立って生まれるわけであります。でありますから、日本で金の需要が少なくなれば、金利というものは下がっていくわけでありますし、需要供給を上回る場合には、金利が高くなっていくということは当然のことでございます。中小企業その他においても、金利が高いということも問題でございますが、しかし、必要なときに必要な金が得られるならば、それでもちゃんと事業が経営できるのたというたくましさは、世界に例のない日本状態でございます。確かに現実にそうでございます。しかし、自由化ということを前提にして国際場裏に立っていかなければならないということを考えますと、諸外国とのハンディはできるだけ少なくしなければならぬという原則は何人も否定できないことたと思います。  それから、五カ月の間に四厘も引き下げた、こういうことでございますが、これは、赤字公債を出すための地ならしだというような考え方公定歩合引き下げを行なったのでは絶対にございません。日本金利も確かに戦後幾らかずつよくなってきております。戦前で一番公定歩合が下がったのは日歩九厘というときでございます。それから、これは昭和二十二年から三年だと思いますが、一銭というときがございます。それからだんだん高くなった。開発銀行金利等は、開発銀行ができました当時は三銭ぐらいのときがあったと思います。三銭二厘、三銭、それから年利九分、現在は八分何厘、いま特別な法律によるもの等は七分六厘というようなものもございますが、いずれにしても金利は非常に高かったわけでございます。年一割以上――三銭二厘ということは一割一分でございます。こういうものがだんだん下がっていきまして、公定歩合にしても、先ほど申し上げたとおり、年率五分八厘四毛という五分台になった。こういうことでありまして、金利がだんだん下がっていくということは、これは国際競争場裏に立っていくためには不可欠の問題であろうというふうに考えておるわけでございます。  それから物価との問題でありますが、物価を下げるためにはどうするのか、こういうことになると、結局、企業合理化され、金利負担もだんだん軽減をされ、良質なものが安価に国民に提供せられるというような前提条件をだんだんとそろえてやることによって、物価は安定するのであります。高い金利でもいいのだという考え方にはならないわけでありまして、物価長期的に安定さしていくという考え方からすれば、環境の整理、金融正常化等、各般の施策を進めていくことが絶対的な前提条件であるという考えに立っておるわけであります。
  7. 石山權作

    石山委員 公定歩合数カ月の間に四厘方引き下げたけれども、何も赤字公債なんか全然考えていないということですが、しかし、預金が低金利になりますと預金しなくなるというのは、これは当然でしょう。そうすると、国の健全な財政というふうなものになると、一つ企業もそのとおりだが、自己財源によってまかなっていくのが健全だ。しかし、三千億ないし四千億というふうに積み重なっていかなければならない郵便貯金をはじめ、貯金の額が停滞をしたならば、高度経済成長をまかなう資金は一体どこから出るか。これは三段論法的に考えてみても、表面的に考えてみても、危険な状態がすぐ出てくるのではないか。しかし、仕事はなさねばならないとするならば、日銀のオーバー・ローンを際限なく続けるか、物価動きに目をつぶってオーバーローンを続けるか、あるいは赤字公債成長経済を助けるしか方法はないじゃありませんか。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 国際金利さや寄せをしていき、しかも公定歩合引き下げていくということが、現時点において預金金利引き下げるということには連なっておらないのであります。政府考えておりますところとして、人つくり国づくり金づくり、こういうことを言っておりまして、国づくりをするためには金が要る、命を運用するためには人つくりをしなければいかぬ、こういう三本の柱でやっておるわけでありますが、一面において国際金利さや寄せをするために、公定歩合引き下げ金融正常化もはかりながら、一面においては貯蓄増強ということをやっておるわけであります。でありますから、いろいろな御議論もありましたが、預金に対する税制上の優遇措置をやりましたり、定額貯蓄奨励を行なうために国民貯蓄組合法にかわる制度をつくりましたり、また、現在五カ月間に四厘の公定歩合引き下げられましたが、過去においては公定歩合が五カ月間に四厘も引き下がる場合には、当然預金金利にも手をつけたというのが例でございますが、今度は預金金利に手をつけておらぬわけであります。預金金利は据え置きのままで公定歩合引き下げをやる。それじゃ金融機関内容は非常に苦しくなるだろう、こういう議論になりますが、それはいままで保護的な状態にございましたし、独占的な立場にもございましたから、企業合理化をやってもらいたいとか、しかし、いままでのはき出しでもってまかなえるものは、大きな国家目的を果たすために当然忍んでもらいたいという立場で、預金者保護ということを両々あわせてやっておりますので、あなたがいま言われるとおり、将来とも預金金利に手をつけないということは申し上げられないと思いますが、現在四厘に引き下げ段階において、預金金利引き下げるという考えを持っておりませんし、そのような措置をとっておらないわけでございます。  オーバーローン解消という問題は、御承知のように多年にわたる問題でございまして、昨年十一月から日銀で買いオペレーション制度を新設いたしまして、新しい通貨供給方式といいますか、これらの処置によって金融は漸次正常化し、オーバーローン解消ということはなされつつあるわけでございます。しかし、これはあくまでも日本国際収支の問題とか、自由化の問題とか、そういうものにあわせて、オーバーローン解消というだけではなく、企業自身もオーバーボローイングにたよっているという考え方では困るので、企業健全化もあわせてはかるように努力をいたしておるわけであります。御承知のとおり、いま企業借入金依存度は非常に高いので、あわせて証券市場正常化をはかったり、公社債流通市場育成強化をはかったり、そういうことをいたしておるわけでありますし、なお、税制改正においても、配当金課税に対して、一〇%を五%に引き下げるというようなことにして、自己資本比率内容充実をはかるように、あわせて並行的な操作を行なっておるわけでございます。
  9. 石山權作

    石山委員 預金金利には手をつけないけれども、預金金利五・五%程度では、消費物価値上がりよりも低いということを私は指摘しているわけなんです。そうすると、証券会社へ買いに行きますね。銀行から金をおろして、証券会社に金が回っていく。そのことは、国家の全般の財政から見れば、何でもないことなんだ、こういうことにもなるわけですか。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 預金の五・五%という預金者金利が低いのか高いのかという問題は、国際的な水準もございますし、比較論もございますし、これからの預金吸収という面について検討しなければならない問題でございますが、現時点においての預金者金利ということを考えますと、これは、物価預金金利よりも高くなっている、いわゆる五・五%以上も物価は上がっているというようには政府考えていない。三十八年度の予算では二・三%上がるということにはなっておりますが、二・三%ではないということを言われても、少なくても五・五%上がるなどという要素はないわけであります。これから適切な施策をやってまいりますから、二・三%で押えたいと思っておりますが、押え得ないとしても、質も向上してまいりますし、国民消費そのもの内容充実もございますので、実質どの程度物価が上がるかということに対しては、いま物価対策等を急いでおるわけでございます。いまの段階において物価が、あなたの議論のように、 五・五%を上回らないにしてもたいした差はないから、証券のほうに金が流れていくというようなことを言われましたが、いまそのような状況にはございません。これは民族的な特性、日本人のよさ、堅実性ということの裏づけからだと思いますが、いずれにしても、貯蓄性向はどんどん上がっておるということは御承知のとおりでございます。千五百五十億の郵便貯金目標額に対して、二千億をこしておるという三十七年度の実績を見ても御承知のとおりでございますし、全国銀行預金高を見ましても、昭和三十八年三月三十一日現在戦後最高の預貯金増加率を示しておるのでございまして、現在も順調に伸びておるわけでございます。でございますから、現行の預金金利をそのままにしておくことによって、預金が減退をして株式市場に流れていくというような傾向には現在ございません。
  11. 石山權作

    石山委員 これからいろいろなことをやるについては、安定した経済というたてまえがなければ、企業であれ、政府財政計画であれ、困ると思うのです。いまのように消費経済中心にして物価が騰貴していく一番の大きな原因は何でしょう。私は、どうもオーバーローンあたりがその一つの根底をなしていっているのじゃないかと思うのですが、それにまず手を打っている。これに対して、物価の安定には寄与するだろうと思うのだが、一体どこを中心にしているかということを非常にわれわれは疑問に思っているわけなんです。一般消費者大衆に犠牲になれ、ここ一年なら一年、二年なら二年、さっきも申し上げたように、金利が低いけれども、預金階級にここ一年がまんしろ、こういう意図なのか、一体どこを中心にして高度成長経済停滞をば立て直していくということを考えているのか、一体どこを中心にしているのか。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、預金金利よりも物価が上がるということは考えておりません。これは三十八年度の年度末を見ていただいても、そういうことはないというふうに考えておるわけでございます。また、それはそうあってはならないということで、お互いに真剣にこの問題とは取り組まなければいかぬということで、政府も鋭意対策を急いでおるわけでございます。  それから物価が上がるということでございますが、これは総理が答弁をされておりますように、国民消費内容もよくなり、また経済成長率がどんどんとよくなる場合には、物価も幾らかずつでも上がるということは避けられない現象である。また、日本自体だけの問題ではなく、ドイツは今年度の経済成長率三・五%ないし四%と見ておりますが、物価は六%くらい上がるだろうと見ておるようであります。賃金も四・五%くらい上がらざるを得ないだろう、こういうことをいわれておるのでありまして、最も健全財政であるといわれた西ドイツにおいてさえもこのような状態でございますし、EECに加盟できなかったイギリスの現状も、フランス、イタリア、その他主要工業国の内情も、比べてみると、日本と同じような傾向にあることは事実でございます。しかし、経済原則はそうなんだからというような考えでこれを断定してまいるわけにはいかないのでありまして、物価の安定ということに対しては、特にいろいろな施策をとっていきつつあるわけでございます。  物価には二つありまして、一つ卸売り物価で、卸売り物価はもう申すまでもなく、戦後最低ということでありましたが、ことしは経済成長率も相当上がってくるということで、まあ横ばいから多少上がりぎみであるというふうに考えることが正しいと思います。三十八年度予算では経済成長率名日八・一%、実質六・一%と見たわけでございます。現在の経済指数をとって考えてまいりますと、おおむね所得倍増年率七・二%くらいな実質成長率になるのではないかというふうに推算をせられるわけでございます。七・二%になるということになりますと、どうも物価も少し上がるというような懸念もありますので、これらに対して卸売り物価というものをどの程度で押えるのかということに対しては、いま検討中でございます。  問題は、消費物価であります。消費物価は、これは質の内容改善というのも非常にございます。戦後十八年間を見ますと、七・五坪というのが一番初めの公営住宅法に基づく基準坪数でございましたが、これが十二・五坪になり、十五坪になり、十七・五坪になり、二十二・五坪というように、順次基準を上げておるわけでございます。そういう意味において、しかも、木造のものが不燃化にだんだん切りかえられていき、高層住宅にも切りかえられてまいりつつありますから、まあ消費の質というものもよくなってきたということは言い得ると思います。また、われわれが日常生活でもって、一カ月に一ぺんしか牛肉を食わなかったものを、一週間に一ぺんずつ食おうということにもなっておりますし、電気も十五坪で三灯、しかも三十ワット三灯で九十ワットであったものが、客間には百ワットつけよう、こういうことにもなりまして、玄関にも御不浄にもということになりまして、電力消費量も非常に上がっておる。水も御承知通り、今までは水洗便所でなかったものが、一人当たりの水の使用量は非常に上がっておる。こういうことでございますし、また、三分の一くらいしか高校進学率がなかったものが、現在六〇%以上の高校進学率というように、家庭の負担もふえておる。こういう意味消費物価が年々質において向上しておりますために、質の向上に沿って消費物価が上がっておるという事実もございますが、質の向上よりもより高騰しておる面があるではないかというのが御説だと思う。これは生鮮食料品、特に大都市における生鮮食料品が大きく目標になっておるわけでございますが、その一番の大きな問題は、流通機構の問題だと思います。でありますから、政府も、経済閣僚会議等で御承知通り市場法のあり方が一体どういうふうになるべきか、また、季節的な生鮮魚介類というようなものに対して、長期にこれを保存するように、冷蔵庫をつくったりいろいろな処置をやっておるわけでございます。東京などを見ますと、年間六十万人も人がふえてくる。今の市場法に基づく市場規模は、おおむね五百万人の東京都民を対象にしてつくられておるわけでございますが、これが潜在人口を入れて千百万にもなんなんとしておる。そこに持ってきて、質が非常に変わっておる。もう一つは、賃金体系というものがだんだんと合理的になってきて、今まででっち小僧であったようなものが、だんだんと大企業との格差が解消しつつある。でありますから、サービス料金等も、内弟子で住み込み三千円、三千五百円といっておったようなパーマネント歴が、少なくとも週休制にならなければいかぬ、日曜祭日は休みだ、もちろんのことでございますが、そういうような制度上の問題がだんだんと合理化され、内容充実を来たしておりますので、特に大都市における消費物価が急激な値上がりを来たしておるという事実だと思います。これらの問題に対しては、下げられるものに対しては総力をあげて、あらゆる施策を行なうことによって、消費者物価の抑制をはかっていこうという方向でおりますので、あなたがいま申されたように、ウナギ登りに、天井知らず消費者物価が上がっていくのだというようなことにはしないように、いま鋭意検討をいたしておるわけでございます。
  13. 石山權作

    石山委員 これは外国の例だけでなく、日本の例をとってみてもわかることは、経済成長がかなりの速度を持てば、物価の変動は避けられないのははっきりしているのです。だから、資本主義下のおれたちが政治をとれば、高度成長経済もするが、物価も上がるのが、こう説明したほうが手っとり早いのですよ。それは何も池田内閣田中蔵相の腕が悪いのではなくて、世界の事例にあっても歴史がそれを示している。ただ、比較論が少し食い入る余地があるだけです。しかし、日本のような高度成長経済をやったやったといばっているところと、じみにやっているところの相違はあると思うのです。日本の場合は、あんまりいばっているせいか知らぬけれども、いろいろな穴があいたということです。むだな相克もあったのではないかと思っておる。ですから、普通からいえば、高度成長経済のおかげということを、あなたは七・五坪の家から始まっていろいろなことをたくさん並べていたわけなんですが、高度成長経済物価が上がったほか、何か残っていそうなものですね。残っていそうに見えるけれども、これはどうなんでしょう。私らにすれば、当然といえば当然、政策によってはもっと残らなければならぬ。あなた方の政策の下手ぎわのために残り方が少ないと私たちは言いたいのです。このことは、端的なことばでいえば、地域格差をなくする、所得の格差をなくするということとは全然反対に、現実は進行しつつあるということです。それは比較論からすれば、なるほど五千円取ったよりも六千円取ったから二割ふえたのではないか。しかし、一面からいえば、日本の法人の蓄積の集約を見ますと、戦前よりもふえておるのじゃございませんか。しかも、政府にごやっかいをかけなければならない人口その他はふえているでございませんか。担税能力の問題にすれば、戦前の方々は大体百万円レベルでした。五十万円以下だったらゼロだった。とすると、取るものはたくさんの数をねらって取っているのですね。政治としては、大東京に人が集まるように、へただということですね。大東京に人を集めてはいかぬといっておるでしょう。大東京に人を集めて、むぞうさに見ている。もうける者にはうんともうけさせている。あまりもうけない者もいるのだけれども、そいつらにはいわゆる納税の義務を貰わせている。これは政治としては私はあまり手ぎわのいい政治ではないと思うのです。それよりも、割り切って、高度成長経済をやれば物価は上がるものだ。物価の上げ方だと思うのですが、それは高度成長経済の恩恵よりも物価が上がっていることだと私たちは最近は理解している。そうではないというわけですか。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、高度成長経済政策を進めていきますためには、物価を安定せしめて経済成長がはかれれば一番いいのでありますが、これは世界的な例から見ましても、また学説的に見ても、経済成長が大きくなっていき、お互いの生活のレベルが上がっていくという状態においては、物価も多少上がりつつある。また、上がる方向にいくということは、これは理論としても現実としても無視することはできないのです。ただ、あなたが言ったように、結論的に見まして、所得の倍増よりも物価の倍増の方が大きかった場合はどうするか、ここは問題なんです。これは強弁ではなく、少なくとも物価よりも賃金の方がよけい上がったということは事実だと思うのです。これは、われわれがとにかく昭和二十年に服一枚であったものがモーニングを持っていますし、くつも二足、三足持っています。内容は確かによくなったことは事実であります。また、労働者諸君や給与所得者が、戦前と比べて、あなたがいまお話しになりましたが、少なくとも戦後の経済成長が非常に低かった時代に比べて、年々質も量もよくなりつつあるということも事実でありまして、昭和二十五年――三十年を基準として考えても、物価値上がりよりもはるかに所得のふえ方が多い。多いからこそ、民間の投資も行なわれて、曲がりなりにも住宅の問題その他に希望を持てる状態にあることも事実でありますし、英京都内がこのように復興しておる事実も、私がいま申し上げておるとおりであります。  戦前の税金に対していまの税金は高い、これは理屈からいうと高くはないのです。これは理屈からいいますと、世界の国々、特にアメリカなどは、日本よりももっと税金の率は高いということをいわれますが、理屈でもってものを言ったり答えたりしようという気持はありません。税金というものは低いことがいいのでありまして、現在の物価情勢やいろいろな問題から考えてみましても、税金というものをより軽減、合理化をしていかなければならぬということでありまして、昭和二十七年以後今日まで十年間の単純合計だけでも一兆一千億円以上の減税を行なっておるわけでありますから、これから減税をだんだんと行なう。ただ、昔納めなかった人たちがいま納めておる。これは通貨の倍率を百倍にするか、三百倍にするか、五百倍にするか、千倍にするかということでもっていろいろな議論が立つわけでございますが、しかし、戦後は、戦前になかった財政支出というものが非常にある。これもひとつお考え願いたいのです。これは社会保障というので、どんどんと社会保障費を国が見ていかなければならぬ。道路なども、昭和二十七年に八十億だったものが、現在は五千億、六千億、これも改定して年間一兆円にもしなければならぬということで、いわゆる国の負担が非常にふえておる。公共投資でもって住宅投資も一千億円以上になっております。こういうものは戦前になかったのでございますが、公営住宅法の制定その他によってこれらのものがなされておる。また水も、工業用水や水道、そういうものに対しても公共負担は非常にふえておる。こういうことが、戦後における戦前と違う財政支出面であるということもひとつ加味していただきまして、結句税金を払える階層の人たちが、戦後の民主主義、自由主義という新しい憲法に沿うて国づくりをしていくために、必要やむを得ない経費をある一定の瞬間耐え忍んで負担しておるというのが、現在の日本の実情でございますので、戦前になかった財政負担がふえておるという事実もひとつ十分検討の中に入れていただいて、差し引き増減計算をしてもらうと、積極的な所得倍増政策というのがいいのだということの結論は明白にでると思います。
  15. 石山權作

    石山委員 たとえば国民の福利施設などは、こういう項目もふえ、金額も増額になっていますが、ここで私たち考えておきたい点は、それができたということは、高度成長経済の恩恵もあっただろうけれども、防衛費に金をかけておらなかったという、この原則を忘れてはいかぬと思うのです。この防衛費が三千億をこえ、三千五百億台というふうになれば、そこで日本の保守党内閣の悩みが初めて出てくるだろうと思うのですが、これに対してどういうふうにあなたがお考えになっているかということです。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 戦後の経済復興に非常に寄与したものの中に、防衛費が戦前に比べて非常に少なかったということは、もう見落とすことができない大きな材料でございます。これが現在の一%、二%、三%というふうに伸びていった場合にどうなるかという問題でございますが、一%ふえても非常に大きな金額であります。そういう意味で、世界各国がとっておるように、インドがとっておるような財政支出の何割もというわけにはいかないにしても、主要工業国、先進国がとっておるような防衛費の率まであがるというような場合にどういうふうになるかということは、これはもう国民生活がいままでのように質、量の改善が急テンポに行なわれるというわけにはいかないと思います。でありますから、日本は現実に合った日米安全保障条約等を締結いたしまして、なるべく日本が金を出さないで、そういう金でもってわれわれの基盤を強化しようという、非常にうまい、合理的な方法で今日まできておるわけでございまして、結果論からいうと、わが党の政策はよかったというふうに私は考えておるわけでございます。
  17. 石山權作

    石山委員 それはおとといの話ですよ。おとといまではそれは通じたわけなんです。きのうからもう通じませんね。アメリカ依存のいわゆる相互援助条約ですか、これは援助しないといっている。  それはさておいて、その問題はまたあとで出ますが、税金の問題です。先ほど税金のお話が出たが、税金の問題を話してみます。  たとえばオーバーローン解消のためにも、協調体制をつくり、税制で援助するというふうなかっこう、それから預金を温存するために、より以上預金をふやすためには、いわゆる特別の免税措置をとった、利率は動かさぬだったけれども、免除規定をつくった。それから今度は関税の問題になりますけれども、いうところの自由化が行なわれ、為替の自由化ともなれば、これもひとつ輸出強化のために――池田さんもせんだって最高会議において言ったようですが、税制によって措置をする、つまり、免税にするという意味でしょう。昭和三十八年度の減税問題につきましても、一般のわれわれ働く階級には恩典がなくて、法人、事業団体だけが恩典があるという非難がごうごうと起こった、ほうはいとして起こった。いまの要望をいれていくと、三十九年度の減税というものは、卒業体の法人税が主体になって、一般のいわゆる勤労所得にはまたもや及ばぬのじゃないか。税額は、おそらくあなたのことだから大ぶろしきを広げて、かなりな減税額をとるかもしれません。しかし、内容に至れば、そういうことになるのじゃないか。オーバーローンあるいは貿易の振興、それらを考えてみると、そうなるのじゃないか。低金利政策の反面、預金を温存しなければならぬというふうになると、一般の所得減税にはならないで、法人、いわゆる多額所得者を中心にした減税に移行せざるを得ない、今年よりも強くそれが強調される予算面になって現われるのではないか、こういうのが私の観測です。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 減税につきましては、先ほど申し上げたとおり、二十七年から連年減税をやっておるわけでございますが、三十八年度に入りましてからは、三十九年度以降の問題に対しては、税制調査会に諮問をいたしておるわけでございまして、そのときそのときによって適切な御答申を願うようにいたしておるわけでございます。  税負担の公平論というのは、もう税制考えるときには、当然前提となるべき問題でございまして、私も、その基本的な理念に対してあなたと意見を異にしておるものではございません。しかし、輸出最高会議等で総理も発言をせられたし、また私も発言をいたしましたように、輸出を振興するためには、税制上の優遇措置その他特例措置をしなければならないという発言からみますと、そういう俗にいわれる政策減税に重点が置かれて、一般減税といわれる所得税の減税というようなものが犠牲にされるのではないかという御懸念でございますが、犠牲にするような考え方はございません。先ほども申しましたとおり、減税は連年やってまいりたいという基本的な考え方を持っておりますから、そのような考えはございませんが、しかし、自由化に対処をして、しかも関税の一括引き下げというような状態にあり、特にOECDに加盟すると資本の自由化ということも前提になるというような状況を考えますと、少なくとも輸出振興という面に対して、税制上、財政上、金融上、あらゆる措置をとっていかなければならないということは事実でございます。これは労働者、勤労者と相反する問題ではないのです。これは時間的にどちらを先にやるかとか、いろいろ時期的に、また具体的なやり方に対しては議論の存するところでございますが、日本というのは、いわゆる一部の者の利益を代表するために輸出を振興しておるのではないのであります。これは私が申し上げるまでもなく、明治初年から九十年の歴史を見ましても、日本の米を外国に輸出したり金の山が当たったりして日本が毎年大きくなってきたのではないのであります。自由貿易による蓄積財産が今日の日本の国力になったのでありますし、また、これからのわれわれの生活をよくしたり、文教の刷新、弧化を行なったり、社会保障を大きくやったり、減税するような基盤をつくるためには、輸出を大いに振興しまして外貨を獲得していかなければ、何もできないのであります。でありますから、日本のすべての政策は何にかかっておるかというと、日本国際収支改善にかかっておるわけであります。でありますから、この問題を最重点的事項として、政府が各般の施策をやらなければならぬということは、国民の利益をはかっていくために当然のことであります。ただ、ガットの場等におきまして、関税の一括引き下げと同時に、輸出所得控除制度等も来年三月三十一日にやめなければならぬ、こういうようにいろいろ外国議論になっておりまして、それがはね返って対日差別待遇になっておるというような問題もありますので、国際的には国際レベルに日本が門戸を開くなり、またレベルアップをはかっていくなり、輸出振興に具体的に財政面、金融面、税制面その他で、可能な限りの措置をするということは当然のことだと考えておるわけでございます。でありますから、輸出振興のために税制上許すものがありましたら、積極的に行なう姿勢でございます。しかし、これをもって、あなたが旨われるとおり勤労者や一般大衆の減税を犠牲にしようというような考えは毛頭ございません。
  19. 石山權作

    石山委員 日本の場合は貿易が主眼点だ、外資を多く取得することが日本の国の繁栄だ、これは私も原則的には同じだと思います。ただ、大きいところ、力のある者、この人たちだけが貿易の利潤の恩典をいただいて、一般国民が置き去りにされるということを申し上げているわけなんです。これはたとえば道路、河川、特に道路なんか顕著なように私は思うのですが、皆さま方のほうで、たとえば道路五カ年計画というのをおつくりになり、五カ年やったためしはないのですよ。五カ年やらないで、途中でまた第二次五カ年計画をやる。そうすると、よそでは二回計画の恩典に浴して、改良工事でも舗装工事でもやるわけですが、端っこにある青森とか秋田はこないのです。それはそういうふうに順位がきめられているからです。貿易の場合に、いわゆる関税一括引き下げなんかの場合、日本は政治的に考えなければならぬと思うのだが、その問題は別といたしましても、貿易によって得る利潤を目標に置いて、いわゆる貿易に関係する産業、貿易商社、こういうものに税制上の恩典を与える、それは何もいけないと言っておるのではないですよ。しかし、その二次的に来るもの、あるいは三次的に来るものという恩典の順位がある。それが今までの例からいえば、しまいまで、いわゆる国民大衆、一般の者にまで恩典が与えられない前に打ち切られるということになる。これは皆さん今までやっていることで、首をかしげる必要はない。実例がちゃんとそれを示している。だけれども、あなたはそういうことはしませんと言っているわけなんです。貿易を主眼にした生産業者あるいは貿易商社には税の特別措置をとるけれども、一般の大衆を犠牲にする考え方はない、それだけはわかるわけなんだが、いままではそれだけじゃいけないのです。そうおっしゃっていながらも、予算を組み、税制内容に入っていくと、そうじゃないのです。去年もそうだった。三十八年度の予算をあなたがお組みになって、そうじゃないですか。あなたは去年そう言ったのじゃないでしょう。法人税に優先権を与えて一般所得大衆に対しては恩典を与えないなどとは言わなかったはずです。しかし、事実はそうではなかった。これは私のみが言っているのじゃない。大衆がそう言っているし、それよりももっと毛のはえた経済学者も言っている。世論に対しては忠実だという新聞記者諸君が、ずっとあなたの予算に対しての批評の中で摘発しているじゃありませんか。ですから、ある意味においては、税制に関しては田中蔵相は前科者なんです。ですが、そういう点では、ここでは三十九年度予算を組まぬものだから水かけ論になるわけだけれども、それは忘れないで、減税案を作成することをば強く要求しておきます。  それからもう一つ経済動きの中で大きくなるのは賢いオペですね。これは六月の賞与等を中心にして行なわれるはずです。これの効果はどのくらいになっていますか。どのくらいの額でおやりなさるのか。これは日銀の問題でございますけれども、あなたに御相談なさるのでしょう。大蔵省はどういうぐあいに見ておられるのですか。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘のとおり、買いオペレーションは、昨年の十一月から新しく通貨供給方式としてとられたものでありまして、しかも、この主目的は、オーバーローン解消ということに第一義的な意義があったわけでございます。その後、これらの新しい方式に対して第二の段階オーバーローン解消はもとよりのことでありますが、今度の日銀の旧いオペ政策の焦点というものは、公社債市場育成強化という面にも相当なウエートを置くべきだという考え方を持っているわけでございます。いままでの運用の実態を申し上げますと、大体五百億程度の限度をもって買いオペが行なわれ、二カ月、三カ月後くらいに一部を売り戻しをするというような状態で運用をせられてまいりましたが、これから公社債市場の育成その他新しい通貨供給という面から見まして、五百億程度の買いオペレーションというような状態でいいのかどうかということに対しては検討の余地があると思います、私はあまり日銀に文句を言ったりそういう主義者じゃございませんで、日銀金融の中立性を高く評価している者でございますが、このごろ日銀に聞いてみますと、日銀は今度千億程度、四、五、六月等に対しては千四百億程度の買いオペレーションをやろうというようなことがいわれているようでございます。現在大蔵省としてこれに異議を申し立てるような考えはございません。将来三十八年度を通して一体買いオペレーションの総額をどういうふうに考えていくべきか、また、これは公定歩合と同じような相当な威力を持つものでございますから、これを金融正常化により効果的に作用せしめるためには、一回の総資金量というものをもっとうんと上げなければいかぬのかというような問題は、新しくこの制度が及ぼす影響、またわれわれがこの制度によって解決をはかろうという具体的な問題の処理と相まって、日銀当局との話し合いを進めてまいりたいという段階でございます。
  21. 石山權作

    石山委員 金融政策、資金操作については、外国では、日本金融界はじょうずだ、こういうふうな評判があるのですが、国内の経済雑誌、経済学者は必ずしもほめておりません。これはおそい、打つ手が常におくれていると言われているのです。私たち外国の言ったことだけで酔っちゃいかぬと思うのです。国内には利害関係者もあるのですから、やはり問題の見詰め力が違うと思うのです。政府のやっている金融政策では、一部成功しているやに見えるけれども、おそきうらみがある、これを早くやればもっと効果があがるだろうという意見がある。この意見は私らとしても十分そしゃくして、実際の面で検討してみる必要があるのではないか、こういうことをこの際言っておきたいと思います。  それから、法案の中にも関税の問題があるので、ひとつ申し上げたい点は、例のEECとアメリカ関税一括引き下げの問題ですが、日本はどうなんですか。一体関税一括引き下げ案が日本の国にとっては利益になりますか。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 関税一括引き下げに対しては、基本的にこれに応ずるという態勢を明らかにいたしております。応ずる以上は、日本に利益があるという判定のもとでございますから、利益のないものに応じようはずはないのでございます。これは先ほどから申し上げましたように、貿易・為替の自由化ということも、関税引き下げということも、八条国に移行し、関税一桁引き下げということで、いまアメリカとEEC側が対立をしておりますが、これがまとまった場合に一体だれが一番得をするのかといいますと、私は外国人の言うことを信用するわけじゃありませんが、日本が一番得をするだろう、こう外国人はみな言っておるのです。これはどういうことかといいますと、先ほど申し上げたとおり、日本は貿易依存の国でございます。日本が貿易をして今日まで大きくなってまいり、これからの日本も貿易依存以外にないのでありますから、そういう意味においては、日本が高い関税制度を置いておる、関税障壁を置いておるとかいうことになれば、相手も対日差別待遇をやりますし、また日本が貿易・為替の制限をやっておれば、相手国はなお強い制限をやるのでありまして、結局主要国との貿易の実績等を考えてみますと、やはり関税障壁もなくなり、貿易の自由化がなれば、これは日本が得をすることは間違いないと思います。これは第二次世界大戦の前において日本があのくらい諸外国からいじめられましたが、結局日本世界の貿易の市場をいろいろなところを押えたでしょう。原材料はない日本であっても、そのハンディをちゃんと克服して、日本の商品は世界のマーケットに出たのであります。ですから、日貨の排斥になり、日本商品のボイコットになったのですから、私はそういう意味から言うと、この日本人のたくましさ、日本人の優秀性というものを土台にして考えてみれば、そしてまた、貿易依存の国であるという事実に徴して考えるときに、具体的に実施の時期その他はいろいろ問題もありますし、相手のあることでありますから、これは自主的に妥結をはかってまいらなければならないわけでございますが、窮極の目的において日本が真に立ち上がる道は、関税引き下げ及び貿易の自由化、これ以外にないという考えのもとに立っておることだけ明らかにしておきます。
  23. 石山權作

    石山委員 貿易の問題は、大蔵大臣にかかっちゃ荒療治されちゃうから、いかぬと思うのです。それは大蔵省は大蔵省でいいと思いますが、百人のうち、九十九人がひどい目にあって、一人だけもうけるということでも、そろばんを置けばもうけになるわけですけれども、そういう荒っぽいことをやっては政治じゃないと思うのです。関税一括引き下げの中身においても、そういうことが非常に災いをなしているのじゃないか。政治の場合は、特に私ども日本の場合は、国内資源の少ない国ですから、勘定では非常にいい勘定が出ても、それをおいそれと採用すると、非常な危険性を伴うのがやはり関税一括引き下げ案などじゃないかと思うのです。しかし、企画庁長官が行って、EECとアメリカとの間にはさまって右往左往している――これは新聞はいつでもそういうことを言っちゃおもしろがっているのですが、やはり右往左往しているのです。一体腹がまえはどこにあるのですか。
  24. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほどの御質問に対してひとつ答えておきます。  百人のうち、一人だけが利益を得ても九十九人が犠牲になってはいかぬ、こんなことはあたりまえのことでありまして、こういうことであってはいかぬ。これは、日本人自体が総体的にいまよりもよりよい生活をし、日本の国力を培養していくためには、貿易依存の国でありますから、貿易の伸長ということに対してはあらゆる角度から検討していく、そういう現実的手段としては、日本が為替制限を行なったりいろいろなことをしておるよりも――日本が鎖国的な経済政策で安易な状態に一体おれるかどうかというと、これは向こうのほうがより差別待遇を強くしますから、貿易依存度が外国に比べて日本のほうが高いだけに、対日差別待遇が撤廃されないというような為替管理の状況にあたっては日本が損をする、こういうことを申し上げたので、結論的には、日本人全体をよくするための手段として考えておるわけでございます。  官澤長官の代理をいま私がやっておるわけでございますが、宮澤長官、政府代表として右往左往やっておるわけではございません。これは関税一括引き下げということに対して原則的に賛意を表しておるが、自主的な外交をやっているわけです。アメリカにくみせず、EECにくみせず、日本独自の見解でやっておるのでございまして、外国に使いしておる政府代表自身が右往左往しておるような考え方はございませんし、宮澤君はそんなことを絶対やっておりません。これは外国の中に入って、日本の利益を守るために自主的な外交を展開しておるのでございますから、そういう点に対してはひとつ事実を御認識賜わりたいと思います。
  25. 石山權作

    石山委員 いろいろと御答弁をいただいておりまして、了解した点もございますが了解した中身にこういうことを感じるのですよ。皆さんの善意を信じているのです。一生懸命やるという善意、国民大衆のためという善意は信じているけれども、高度成長経済等を見てみますと、やはりどうしても一般国民大衆の受ける利益が――犠牲などとは申しません。受ける利益が非常に小さいということです。これは比較論ですからね。小さい。それから税制上からいっても、金利措置からしても、法人等を含めた多額所得者の分野が、いまの池田内閣施策の中ではより以上の優位を保つようにみえてならないのです。これは改めなければならぬわけですね。地域の格差、所得の格差を少なくするというのが、皆さんの政治経済にとって基本なんですから、その基本を貫こうとして高度成長経済をおやりになったけれども、現実はまだそのとおりいっていない。いっていないところが私の疑問点になって、質問を申しておるような要素も含まっているのでございますから、皆さんが所期の目的をいまも正しいとしてやられるとするならば、三十九年度の予算は、特に減税等を中心にして、格差を埋めるべくくふうをこらす必要があるのではないか。それからもう一つは、三十九年度からそろそろ出てくるだろうと思う防衛費の増額等が、日本の将来の政治経済にとっては重要問題になると思うので、ここのところで三十九年度の予算について大ワクをきちんときめておかないと、アメリカ等との対外関係を見ましても、これが急ピッチにふえるような態勢も見えますので、十分くふうをされて予算に取っ組んでいただきたい、こういうふうに思います。
  26. 永山忠則

    永山委員長 山内君。
  27. 山内広

    ○山内委員 いろいろ重要な問題をかかえている大蔵省に対してお聞きしたい意欲もありますけれども、審議の時間も急がれておりますので、きょうは設置法の問題に限定してお尋ねしたいと思います。したがって、御答弁ば事務的な答弁でけっこうでございますが、大臣の答弁を求めるときは私のほうから特にお願いをします。  まず最初にお聞きしておきたいのは、今度関税中央分析所というものが新設されることになりました。約六名の人員を配置するということであります。ところが、この改正の趣旨を見ますと、輸出入貨物に関して圏度の専門技術を要する分析ということになっております。これは具体的にどういうことをおやりになるお考えなのか、なぜいまになってこういう問題が必要になってきたのか、その点の事情をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 武藤謙二郎

    ○武藤説明員 中央分析所をつくる理由について御説明申し上げます。  御承知のように、現在、分析は税関の鑑査部がやっております。各税関で分析が行なわれているわけであります。今度新たに設置する必要が生じましたのは、一つは、貿易が自由化されまして、いろいろな商品が輸入される、こういうことになってまいりました。かつては原材料というようなものが輸入の中心であったのでございますが、いろいろな製品が自由化で輸入される。しかも、世界的にいろいろな新しい商品ができている。そういうことでございます。それに加えまして、御承知のように、日本ではブラッセルの分類表というものを採用いたしまして、これは国際的なものでございますので、たとえば、日本でこれはこういう分類で甲のだからこういう性質だということにいたしましても、外国からこれは乙の分類じゃないかというような文句がくるというようなことになっております。そういう情勢でございますので、中央に権威のある分析所をつくりまして、外国に対しても十分に納得のいくような商品の分類をしなければいけない、そういうことが中央分折所を新たにつくる必要の生じた理由でございます。
  29. 山内広

    ○山内委員 そこが私の理解のできないことなんです。専門の技術で高度の分析を必要とするということになると、これは何か技術的なもののように思うのですが、いまの御説明でありますと、ブラッセルの分類に対してどう適用するかという純然たる事務的なことになっているわけです。一体科学的な技術をやるのか、それとも事務的なものか、事務的であれば、六名の配置で得心がいきますけれども、これが技術的な、何か機械を利用する科学的な分析ということになると、そうはいかないというところからお尋ねしたわけです。明らかにしていただきたい。
  30. 武藤謙二郎

    ○武藤説明員 御説明が足りませんでしたようですので、補足して申し上げます。  分析ということは、大体技術的なことでございますが、さらにこまかく分けますと、機械を使って分析するのと薬品を使って分析するのとございます。その六人という人員の関係で誤解が一つあるようでございますが、これは、初年度は御承知のようにまだ建物もできておりません。そこで、将来の計画といたしましては、これは特別な建物が要りますので、機械を使う、薬を使う、そういうのにふさわしい特別な建物をつくり、そこに技術者がたくさん配置される、そういうことを考えておりまして、そういう将来の準備をするのと、もう一つは、現在税関でやっております分析について、統一した方法を研究する基礎づくり、そういうところで六名となっておるのでございます。
  31. 田中角榮

    田中国務大臣 誤解があるようですから申し上げますと、いま総務課長が申し上げましたことに加えまして、輸出入貨物の内容が非常に変わってきているわけです。税関でもってなかなか的確な判断が下せないという問題もございますし、いままで薬を使っておりましたようなものを機器を使ってやるというようなことになりまして、機器分析というようなことをやりますときには、この機械が非常に高いものであって、税関に全部配置するというようなことができませんので、中央分析所をつくりまして、そこに専門的な職員を置き、技術者を配置し、その機器分析等に対して効率的な効果を求める、そのために中央分析所の設置をお願いしているわけであります。
  32. 山内広

    ○山内委員 いまの御説明でわからぬわけでもないのですが、この自由化の問題というものは、早くから騒がれていることであって、いまになって火がついてしまってから、しかも横須賀だけに一カ所置く。全国的には税関はたくさんある。横須賀だけで一体そういうところの間に合うのか。将来またこれを全国的に各税関に配置する御計画なのか、その点もあわせて伺いたいと思います。
  33. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、非常に高価なものも使用いたしますし、現在のところは中央に一カ所ということでございますが、輸出入の貿易量もふえてまいり、これら分析所の増置が必要になるほどの状態になれば、当然各税関に増置をしてまいる方向でございます。
  34. 山内広

    ○山内委員 これは将来の実績を見てまたお伺いすることもあろうかと思いますので、一応了承いたします。  次に、金融機関資金審議会なんですが、これは時限立法として、もうすでにことしの三月三十一日で一応なくなっておることになっておるわけです。それが今回提案されて、恒久的な審議会として設置されることになるわけです。この必要性の問題ですが、そういうことになりますと、過去においてどういう実績をあげたのか、その点も具体的にお聞きしておきたいと思います。別に重箱のすみをつつくわけではないのですけれども、こういう各種の審議会はいま国会でも問題になっておりますし、大蔵省も二十三か四のこの種の審議会を持っておる。非常にたくさんの審議会を持っておるわけですが、特にこの金融の問題については、同じような審議会がたくさんあります。大臣ももちろん御承知と思うのですが、たとえば金融制度調査会もある。あるいは金利調整審議会、国民金融審議会、財政制度審議会。それはこの目的を見ますと、若干対象が変わっております。たとえば国民金融公庫を対象とした審議会だとか、日本銀行金利の問題だとか、いろいろありますけれども、二十三の審議会必ずしもこのまま置く必要はない。整理統合が十分できる。この十七条の規定だけで見ると、そういうふうに感ぜられるのですが、なぜこれを恒久的な機関として設置を考えておるのか、その辺の必要性についてお伺いしたい。
  35. 田中角榮

    田中国務大臣 金融機関資金審議会は、設置の当時から恒久的なものであるべきであるという基本的な考え方を持っておったわけでございますが、その後、金融機関資金審議会のあり方、運営の方法、また審議の対象、そういうものに対して万遺憾なきを期さなければいかぬということで、時限立法的なものにいたしておったわけであります。御承知のように、財政投融資計画に伴う民間資金の活用、重要産業に対する資金供給の確保とか、不要不急または過剰設備をもたらすと認められる融資の抑制、中小企業金融の円滑化等、民間金融機関の資金運用の基本的な問題を審議するのでございます。この問題は、他の審議会、調査会等の整理統合という問題に比べて――われわれももとより不要なものを、また整理統合できるものを残しておこうというような考えではございませんが、金融の中立性、または金融がこれからの日本経済復興に対して及ぼす影響が非常に大きい、また非常に各般にわたって影響するところありということでありまして、この審議会に対しては、当然のこととして恒久的なものであるべきであるという考えでございましたが、先ほど申し上げましたように、より慎重を期するために、暫定的な措置といたしておったわけでございます。
  36. 山内広

    ○山内委員 これはたしか定員が三十名と承知しておりますが、各種委員会を見ますと、二十名のものもあり、三十名のものもあり、区々なんですが、一体この定員というものを査定する場合に、どういう基準によって委員の数をきめるのですか。
  37. 田中角榮

    田中国務大臣 できるだけ少ない方がいいという議論もありますし、また、その審議会の対象とするものが大きい場合にはより多い方がいいということも考えられるわけでございます。ちょうど国会の委員会の委員数を算定するときと同じようなものでありまして、この金融機関資金審議会については、現在の三十名という考え方よりも、経済が非常に大きくなってきまして、今までこの審議会に入っておらなかったような人たちも入れた方がいいというような考え方で、より拡大をしなければならないというような御意見もございますが、大蔵省の考え方としては、委員の数は現在どおりであって、これが運用に際して、各界の意見を産業部会その他で聞くときに、参考人その他としてお聞きをするということで足りるのではないかというような考え方を持っておるわけでございます。税制調査会等も、先ほどのお話のように、貿易の自由化というような新しい事態が出てくるときには、これらの実情をよく知る方々も審議会の委員に加えるべきだというような議論もございますので、そのような問題に対しては、より合理的であるべく検討いたしておる次第であります。
  38. 山内広

    ○山内委員 御承知のとおり、臨時行政調査会がこの種の問題を手がけて、すでに中間報告が出ておるわけで、この委員会でもその報告を聞くことになっております。そうい5結論を待たないで、時限の切れたものを今度恒久化する、その点の理解がいかないのですが、その点の話し合いはどういうふうにつけてあるのか、伺いたい。
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 これは御承知のとおり、金融制度審議会や調査会等の整理統合等の問題に対しては、行政調査会の答申を政府ば十分尊重してまいる予定でございます。しかし、この金融機関資金審議会というものは、強化こそ求められても、これを廃止するというような方向にはいかないだろうというふうに考えておりますし、これは三月三十一日に切れるものでありますので、できれば年度内に成立をお願いしたかったのでございますが、その後の地方選挙等の関係で今日まで至ったわけでございます。これは金融に対して、特に大蔵大臣が直接ものをやってはいかぬとか、金融の中立性というようなものを十分尊重しろ、また特に金融情勢というものが日本経済を左右するほど重要なものであるということでありますので、これが金融機関資金審議会の継続に対しては、一日も早くという考え方でお願いをしておるのでございまして、これをブランクにして、これら制度の調査会の答申を待ってというように、ゆるがせにしておけない問題だと考えておるわけでございます。
  40. 山内広

    ○山内委員 提案される政府の側としては、それくらいの強硬論を言うのは当然だと思いますけれども、いままで時限でもって何回か繰り返して存続しておったのですから、臨時行政調査会の結論が出るまで一年間時限で設置しておけばいいので、何も恒久的に――減らされては困るから先にやってしまえというような、私にすれば逆の印象もとれるわけです。そういうことでもう一年間延長ができなかったかということについて、私はお聞きをしておるわけです。それからもう一つ金融の大事なことはわかりますけれども、三十人ものたくさんの委員がおって――これはあとで事務的に、何回会議を開いてどういう結論を出し、あるいは大臣にどういう答申あるいは意見を具申しておるかの内容もお聞きしたいと思いますけれども、この中で、かえって金融金利の問題は一本にしぼって、あとは分科会とか小委員会というようなもので掘り下げるという審議のしかたもあるわけです。ところが、どうもこれを見ますと、同じような金融関係の審議会が三つも四つも肩を並べておる。こういうことでは、かえって一貫した意見というものができない。自主性を与え、強力にすればするほど、いろいろなことで大臣はお困りになりませんか。片一方は国民金融公庫といったような下のほうを対象にする、あるいはまた上のほうの中小企業金融を対象にするというようなことで、一貫した政策を行なうならば、むしろこの審議会は一つにしほったほうがいいと私はしろうとなりに判断するわけですが、その点についての御意見を……。
  41. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま御発言のように、金融制度調査会とか金利調整審議会とか、ただいま御審議願っております金融機関資金審議会等のものを一本にして、金融に関する審議会というようにして、各部会にしてやったほうがいいのじゃないかという御議論一つ議論だと思いますが、何ぶんにも国会で議論をせられておりましても、財政投融資計画に伴いまして民間の資金の活用をどの程度にするか、また大蔵大臣は重要産業に偏向した融資をさせてはならないとか、不要不急の過剰設備といったものをどうして政府として押えないのだとか、中小企業金融の円滑化に対してはより的確な施策を行なえというような、非常に強い御意思があるのでございますが、これを一方的に大蔵大臣限りで行なうというよりも、より広い立場で各界の意見を聞き、審議会の答申等を求めてやることが合理的であるという考え方、そして、あまりに大きい憲法調査会のようなものをつくりますと、総会の議決を経るまでにもなかなか法制上も手続上も煩瑣であり、時期を失するというようなことも考えられましたので、特に三月三十一日で期限切れということでありますので、本改正案によって継続をお願いいたしておるわけでございます。将来の問題としては、あなたがいま仰せられたようなことも、当然審議会、調査会等に関する調査会において検討せらるべきものだと考えておるわけでありまして、その答申に待つわけでございます。しかし、その答申が出るまで時限立法にしておいてはどうかということでございますが、そういう考え方もあり得るわけであります。一つ議論でございますが、私たち考え方では、いろんな人たちの意見を聞いても、金融機関審議会ばより拡大しろという議論はございますが、統合、合理化しろという御意見はいままでありませんので、現在の段階においては、これを法文化するほうがいいという考えのもとで、御審議をお願いしておるわけであります。
  42. 山内広

    ○山内委員 この問題についてはもう一つだけ。いままでの実績、事務的なことをひとつお聞かせいただきたい。
  43. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 金融機関審議会は、最初昭和三十一年の二月に閣議決定でつくられまして、三十四年に大蔵省設置法のほうによって今日に至っております。閣議決定に基づく審議会の当時におきましては、三年余りの間に審議会を十八回、小委員会を六回開催しております。それから大蔵省設置法による審議会になりましてからは、三十四年度中には審議会を四回、小委員会を三回、三十五年度中に審議会を一回、小委員会を三回、三十六年度中には審議会を三回、小委員会を一回、それから三十七年度におきましては審議会二回、小委員会二回、こういう開催回数の内訳になっております。三十四年度の場合で申しますると、このときの主要な審議の状況といたしましては、予防的金融措置といたしまして準備預金制度を発動する、公定歩合の引き上げのことを審議する、こういうことをやっております。三十五年度は情勢が大したことがございませんでしたので、一応いろいろな情勢分析をやったのでございますが、三十六年度におきましては、御承知の非常な設備投資の過大ということに対しまして金融の引き締め策を行なう、そういうことにつきましての設備投資の動向を分析いたしまして、これを調整するという見解を示しております。特にそのうちでは、一部の基幹産業、たとえば電力の資金不足というような問題が起こりましたので、それらの調整をする。また、その他、中小企業関係の資金融通につきまして摩擦を避けるような措置をとる。三十七年度におきましても、いろいろとそういった調整過程における問題がございましたので、資金の流れを適正に調整するということにつきまして意見を具申しております。
  44. 山内広

    ○山内委員 これもちょっとこまいようですけれども、この二十三の各種審議会、調査会の中の各委員を委嘱されている人で、兼務されている人がおりますか。
  45. 谷村裕

    ○谷村政府委員 恐縮でございますが、ただいま手元に資料がございませんが、多少重複した方はあると存じます。やはり金融の関係あるいは財政の関係でございますと、おのずから学識経験者等におきましては、これぞという方は重複する結果になるのもやむを得ないかと存じます。御必要であればあとで資料を提出いたします。
  46. 山内広

    ○山内委員 これは大臣にも聞いていただきたいのですが、実はこれは私承知しておるのです。この種のものがあまり多い。整理統合せいというのはそういう点から出ておる。この役員というのは、多いのは十六も兼務している人が現にあります。これは大蔵省ではありませんけれども、ほとんど兼務の人が多い。そういうことであれば、おのずと、一人が二つも三つも兼務してやるよりも、ある程度整理統合せよという意見が出されていいのではないか、私はそこからお話しておるわけです。これは私の党としてもいまいろいろ研究課題になっておりますので、いまの点はまたあらためて詳しくお聞きする機会もあろうかと思います。  次に、百二十二名の増員が提案されておりますが、この配分について……。
  47. 武藤謙二郎

    ○武藤説明員 税関の関係の百二十二人の増員の主たるものは、御承知のように羽田の空港が拡充されまして、それで施設も多くなりますので、それに備えるだけの税関職員を配置するというのが一つ、それともう一つは、御承知のようなアヘンその他の密輸対策、そういうことがございます。そのほか、保税関係の業務量の増加、事務量の増加、そういったことでございます。
  48. 山内広

    ○山内委員 もう質問は終わりますけれども、ただ、こういう各種審議会は、行政能率をあげるたてまえからいえば、あまり望ましいことではないと思うので、その点は行管のほうからいろいろ苦情が出てくる。ところが、予算の面では、大蔵省のほうではいろいろ必要なものもチェックしていく。そういうことで、しぼっていく大蔵省、行管が、特に大蔵省のほうで、もう少し審議会のあり方、整理統合ができるなら率先してひとつ大臣御研究になったほうがいいと思うのです。要するに、私ども、必要な調査会とか審議会というもの、ここなら必要だというものも、行管とかあなたのほうに責められてできないのが現状です。ところが、おひざ元の自分の方では、予算はどうでもつけられるものですからたくさんつくっておくということでは、あまり思わしい行政とは私考えられない。そのことだけ意見を述べて、私終わります。
  49. 永山忠則

  50. 受田新吉

    ○受田委員 一、二点大蔵大臣にお尋ねしたい。  私、かつて当委員会で、大蔵省設置法の改正案が出た際に、大蔵省の大蔵という文句があまりにも古典的である。大宝律令当時にできた二官八省、太政官、神祇官、そのほかに刑部、民部、兵部、大蔵というものができた。それをそのまま用いた名称が、今日この民主主義の国家のもとにおいて行なわれておるというのは、あまりにも旧時代的であるということを指摘したわけです。田中さんのようにすでに民主主義に徹したお方で、しかも成長性高き株であることを自他ともに許しているあなたが、大臣在任中に、大蔵という文句を財務省とか財政省とか何らかの新時代的感覚の名前に切りかえて、何か大蔵の陰に幽霊の出るような古い形のものでなくて、新鮮にして国民にぴったりするものに切りかえられる用意はないか、御答弁願いたいと思います。
  51. 田中角榮

    田中国務大臣 私も考えたことはございます。また、私だけでなく、戦後行政組織法の改変が占領軍メモによって出ましたときに、大蔵省に対して、財務省に名前を改正せよというようなメモがきましたことも十分承知しております。また、自民党の行政機構改革特別委員会でも、大蔵というような名前が一体いいのかどうかと考えてみたのでありますが、どうもなかなかいい名前がないのです。確かに、大蔵とか主計局とか主計官という名前は、宮内庁の主馬寮というのとどうも同じような感覚でありまして、何か近代的にぴったりくるものがないかというのでありますが、御承知のとおり、予算省というわけにもいかないのです。また、財源をなにしますから、財務省というわけにもいかない。アメリカのように財務省という考え方でもいいじゃないかというのですが、予算と財源確保という問題は別でございますし、どうもいまのように銀行から、証券から、保険から、関税から、為替から、主計から、いろいろなものが入っておりますので、昔から九十年も続いておる大蔵という名前、これは逓信省、大蔵省という以外に何かいい名前がないかというのでありますが、今日考えてもやはりないのでありまして、大蔵省ということでいく以外にないのじゃないか、これは私自身も十分検討した結果でございます。外国であるじゃないかというのでありますが、外国では日本の大蔵省の持っておるような権限が非常にたくさん分かれまして、幾つかの省、幾つかの庁になって名前が変わっておるのでございまして、大蔵省の現在の職分関係で、大蔵省という名前以外にかわる名前があるかというと、適当なものが現在見当たっておりません。
  52. 受田新吉

    ○受田委員 それはあまりことばにとらわれておるからでありまして、財政金融全般の問題その他予算等を含めた意味で、財務省なら財務省でその範疇に属させることができるわけです。あまりむずかしく考えられないほうがいい。大臣は逓信省云々に非常に固執されたわけでございますが、これなどもむしろ新時代的感覚から見るならば、国民にわかりやすい――大蔵というのは国民に一応親しまれてはきておりますが、あの蔵という字も、非常にむずかしい字でございますから、こういうことも考えてみられて――一応考えてみたこともあるが、結論はいまの名前のままでいいということでございますが、もっと前進的な成長性を持つ、自民党内の一番将来を期待されているあなたが、大臣在任中にあなたの役所の名前をずばりと新時代的に変えられることを、今晩寝しなに考えていただきたいと思います。  なおこの機会に、この法案と直接関係はないのでございますが、しかし、総理府設置法の中にある、当委員会の所管事項の中にある総理府の付属機関に、あなたの御関係の資金運用審議会、税制調査会とか、輸出会議とか、補助金云々の機関とか、いろいろあるわけですね。そういうものの中に、きょうお尋ねしなければならない問題は、資金運用部資金に関係する、その審議をする審議会、これらに関して、あなたがかつて大臣をされておった郵政省所管で、例の簡易保険積立金あるいは郵便年金の特別会計の積立金の運用に関するもの、そういうものに関連して、大臣が大蔵大臣に就任されている機会に、郵政省所管のこれらに関連する郵便貯金等について――この郵便貯金というのは、大衆の零細な資金が集められておるわけです。この零細な資金を大衆に利用させるという道を開かなければならないと思うのです。これは、その口その日の生活にあえぐ人が、その生活費を節約して預金しているので、ここが市中銀行や地方銀行とは違った預金内容になっておるわけです。したがって、長期的に預金をして五万、十万という定額貯金などをしておる人が、途中で不時の病気とか子供が入学するとかいうときに、それを担保にして低利で金を借りるという道を開いておかないと、大衆は預金したばかりに質屋に行くとか、いろいろなところで臨時資金を調達するわけになるのです。これはあなたが資金運用計画をされる責任者として、大衆の零細なる資金を大衆に即時利用させる道をお開きになるという英断をとられることを私は希望するのですが、いかがでしょう。
  53. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知の資金運用審議会の会長は総理大臣でございまして、大蔵、郵政両大臣が副会長ということで議事を進めておるわけでございます。この郵便貯金というものが、明治初年から今日までどのように日本のために裨益したか、はかりしれない大きな功績を残しております。この事実に対しては十分認め、また、これに対してどのようにしてことうべきかという問題に対しても、誠意を持って検討してまいったわけでございます。郵便貯金というものが、資金運用審議会の議を経て、資金運用部資金として使われておるわけでありますが、ところが、いま覆われたとおり、窓口貸付というようなことをやって、大衆の金をそのまま大衆に還元をする、利用せしむる方法もあるじゃないかということで、私も六年ばかり前から十分この問題を検討いたしました。私、大蔵大臣になってからすっかり変節をしてしまったというようなことではないのでございます。資金運用部の資金となってこれがどのように使われておるかといいますと、御承知のとおり、国民生活、大衆のためになる資金として使用せられておるわけでございますので、間接的には大衆に還元をせられておることは事実でございます。しかし、そのように結果的には資金運用部資金として大衆に還元されておるとはいいながら、直接窓口を開けということでございますが、これも考え方としてはよくわかるのです。わかるのですが、技術的な問題としてなかなかむずかしい問題がございます。これはちょうど郵政省の各地方郵政局で短期運用を行なっております。学校の資金とか地方公共団体とか、三月三十一日期限で切りかえるというような資金の運用をやっております。これを窓口貸付にしますと、われわれが考えておるような大衆還元というだけでなく、その町とかその村の貯金通帳を全部一まとめにして、起債がきまるまでの間、つなぎ資金として鉄筋コンクリートの学校をつくろう、こういうような運動が事実あるのであります。やらないうちからそういうものがあるのでありますから、これをやってしまうと、一体どうなるのか、もしそういうことになりますと、固定した資金運用部資金というものの確保がはかられなくなります。財政投融資そのものがくずれてくるという問題もあります。でありますので、現在郵政、大蔵両当局で話し合いをいたしました結果、これが窓口運用に対しては、自後両省間において検討する、こういう基本的な状態でまず話を詰めまして、このたびの郵便貯金法の改正や簡保法の改正は、窓口貸付を行なうということはきめない、これから両省の間でもって大いに検討しようということで話をつけまして、この国会には、郵便貯金法の改正にはそのような条項を織り込まないで提出をいたす予定でございます。
  54. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常に大事なことで、大臣、先ほど申し上げた郵便貯金預金者の預金内容というものは、ほんとうに膏血をしぼった清潔な金なんです。それを不時に必要とする場合――いまのような組織的な利用という道もあるでしょうが、そういうものはさしあたり認めなくていいです。個人が病気とかその他特別な事情で金を借りたいというときに、定額貯金をやっているばかりに、質屋へ行かなければならぬということになってくると、これは大へんだということを申し上げているのです。これは農協に来ても信用金庫に来ても、みな制度が開けている。そして簡易保険のほうは積み立て金の小口の個人貸し付けを許しているのです。郵便貯金だけがそういう制度がないわけなんです。そこで、ほんとうに個人の緊急やむを得ない必要性に応じた要求に対する道を開こうというのですから、あまり検討しなくとも結論はすぐ出ると思うのです。大臣は非常に理解されている。あなたは大衆政治家ですから、大衆を守るという立場で、国全体の資金運用の政策の中に、大衆に還元する分を一部突破路を開くということは、大蔵大臣としては大へん愛情のある政治だと思うのです。あなたの個人の考えとしては、そういう方向に持っていきたいというお気持ちはあるのですか。
  55. 田中角榮

    田中国務大臣 財政の責任者でございますから、国全体の資金の効率的運用ということを前提として考える、特にこのような情勢下におきましては、資金運用部資金の持つウエートというものも、在来に増して非常に大きなウェートを持っておりますから、こういうものを前提としながら、またあなたが言われたとおり、郵便貯金あるいは郵便年金として納められるものは、全く零細な大衆貯金であるという事実も考えながら、郵政、大蔵両当局の間で引き続いて検討して、何らかの結論を得ようということでございます。長いこと検討しておるのでございますから、もうここらで結論を出せというお気持ちもわかりますが、政府自体としても、これらの実情を十分承知をしながら、何らかの処置を講じたい。何らかの処置を講じたいということが、窓口自体の貸し付けということになるのか、いわゆる郵便貯金の証書を持っていけば借りられるというような方法でもって不時の支出に役立てるような道があるのか、これらの問題に対しては両省当局で十分煮詰めようということでありますから、そういつまでもという考え方でなくともいいと思うのです。ただ、先ほど申し上げたとおり、非常に長いこと検討しながら壁にぶつかるのは、政府原資というものの確保が一体どうなるのかという問題が一つの壁になっておりますので、これらの問題も十分検討しながら結論が出るものと考えております。
  56. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、それに関連するのですが、先ほど石山委員からも質問された低金利政策に対する質問です。いまの郵便貯金の場合、これは郵便貯金法で貯金利子は法定事項になっているわけです。それを政府が低金利政策を遂行するために、大衆資金、これは重要なる国の運用部資金になるという意味で、時の政府の意思で自由に貯金利子が操作できるように、政令委任にしようという動きがあると承っておるのですが、そういう動きがあるわけでございましょうか。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 この国会に政令に委任をするような法律案の改正を提案をいたしてもらうように、郵政大臣と交渉をいたしておりまして、おおむねまとまって、近く提案をする予定でございます。しかし、こればあなたが申されたとおり、大衆預金者を守るということとは皆反しないということを原則といたしております。戦前は御承知のとおり大蔵大臣限りでこの利率は動かせるようになっておりましたのを、戦後法定事項にいたしたわけでございますが、これは大蔵大臣限りでやれるというときには、資金運用部資金、預金部資金というような考え方ではなく、一般市中金融機関の金に対して大蔵大臣が相当な権限がございまして、市中金融機関の金を大蔵大臣そのものが動かせるということがありましたので、資金運用部資金に対してのウエートは少なかったわけでございます。ところが、戦後は御承知のとおり金融の中立性ということで、中央銀行を含めた金融機関の厳正中立性をたてまえにいたしておりますので、資金運用部資金というものに対するウエートは、戦前に比べて非常に強くかかってまいっているわけでございます。でありますから、大蔵大臣限りでやれるというようなことよりも、政令委任をするということであれば、郵政大臣が当然集める側の苦労をされておるのでございますから、この郵政大臣と私の意見が十分な了解点に達した後に政令が動かされるということでございますので、法定事項から政令委任に移しても、大衆預金者の利益を害するというような考えはございません。  それからもう一つ、この際ですから明らかにいたしておきますが、考え方として、民間の金利と比べてみまして、郵便貯金金利を低く押えるべきだという考え方前提にあったわけであります。これは政府企業でありますから、それだけに民間よりも信用度が高い。だから取りはぐれがないのだから利率は安くてもいいじゃないか、こういう考え方でございましたが、先ほどおっしゃったように、戦後金融制度そのものが変わりましたので、戦前のように、郵便貯金国家が預っておるものであるから、民間金利よりも低くなければならぬというような考え方は持っておりません。新しい立場において、郵便貯金金利を決定する場合にはより慎重であるべきだというのが、基本的な考え方でございます。
  58. 受田新吉

    ○受田委員 大臣はもうそれを出す腹をきめておられるようだし、法案としては郵便貯金の利率を政令に委任するという形にするという意味の御発言があったわけです。そうなりますと、これは一ぺん法律になって出ると、また国会でいろいろ論議されるわけでございますが、しかし、私は、この際先ほどの問題とからましてお尋ねしたいのですが、大衆の零細な預金についての長期利用が全然できない、一方において利率においては政府が自由に操作する、政令委任にする、こういうことでは、大衆の零細な資金を擁護する立場に立つ政策は、とかくおろそかにされると思うのです。たとえ郵政大臣と大蔵大臣が相談されるにしても、それはやはり郵政大臣のほうが金蔵を握っていないだけに弱い。これは大蔵大臣が強いですよ。そこで、大蔵大臣の意思通りにそれはぱっぱときまりますよ、間違いなく。そうなりませんか。それは間違いなくそうなるのです。そういうことになると、やはり国会で国民の代表が十分討議をして、大衆預金郵便貯金の利率はこうあるべきだという結論を出すほうが、大衆擁護の立場には適当だと思うのです。やはり筋が通る。別に政令委任などということはお考えにならないように。この法案でそういう用意をされておるとすれば、その部分は削られるように。もしこれをお出しになるということになれば、同時に個人貸しの道をお開きになるという用意をされているならいいが、そのほうを抑えて、利率だけは下げる。低金利政策なら下げるほうになりますね。上げるほうになりますか、下げるほうにいきますか、それをお伺いして、私はこれで質問をやめます。
  59. 田中角榮

    田中国務大臣 郵便貯金の利率を政令委任にするということは、下げるということを前提にしておるわけではありませんで、弾力的に運用できるようにということでございますから、上げ下げともでございますことを申し上げておきます。
  60. 永山忠則

    永山委員長 これにて質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  61. 永山忠則

    永山委員長 本案に対し藤原節夫君より修正案が提出されております。
  62. 永山忠則

    永山委員長 この際、提出者より修正案の趣旨の説明を求めます。藤原節夫君。
  63. 藤原節夫

    ○藤原(節)委員 ただいま議題となりました大蔵省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元にお配りしてありますので、朗読は省略さしていただきます。  要旨を申し上げます。  原案では施行期日が「昭和三十八年四月一日」となっておりますが、すでに経過をしておりますので、これを「公布の日」と改める。なお、定員に関する規定改正の条項は、本年四月一日にさかのぼって適用するということにいたしたいという趣旨であります。  なお、金融機関資金審議会は、その設置の期限である昭和三十八年三月三十一日をすでに経過いたしてその効力を失っておりますので、この審議会はこの法律の施行の日に新たに置かれるようにいたしたいということでございます。  よろしく御賛成をお願いいたします。     ―――――――――――――
  64. 永山忠則

    永山委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでございますが、別に申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する藤原節夫君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  66. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  これにて大蔵省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものときまりました。      ――――◇―――――
  67. 永山忠則

    永山委員長 次に、総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質議を継続いたします。  この際、前回の委員会における質疑に対し、徳安総務長官より答弁の申し出がありますので、これを許します。徳安総務長官。
  68. 徳安實藏

    徳安政府委員 先般御質疑になりました日本学術会議の問題でございますが、当時も申し上げましたように、資料等の求めがございますれば、政府は許す限りこれを提出することにやぶさかでございません。同時にまた、説明等の必要がございますれば、これも御要求によりまして、出席して御説明等をいたすことも当然でございます。  なお、この件につきましては、私ども政府部内の問題でもございますので、今後十二分に話し合いをいたしまして、かりそめにも誤解を受けないような処置をとりたい、かように考えておりますので、この点を御了承いただきたいと思います。
  69. 永山忠則

    永山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋政嗣君
  70. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ただいまお答えをいただいたわけですけれども、結局、この原子力潜水艦の安全性の問題について、日本学術会議に積極的に諮問する意向は、現在のところないということだと思うのです。その点いかがですか。
  71. 徳安實藏

    徳安政府委員 その点につきましては、おもに科学技術庁の関係でございますので、先方に連絡をとって御答弁を申し上げるようにしてございますから、もうじき来ると思います。すぐ催促いたしますので、あと回しにしていただきたいと思います。
  72. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それではその点はお待ちいたしたいと思います。  もう一つのほうの勧告との関係が出てくるわけですが、政府日本学術会議に諮問することができる。学術会議のほうからいうと、政府に対して勧告することができる。本件については、学術会議のほうから勧告が行なわれたわけです。それに対して、勧告の精神がどうも政府によって生かされる可能性がないというので、声明という措置を講じた、その声明がけしからぬというので、総務長官が談話を発表した、こういう関係にあると思うのですが、この勧告することができる、諮問することができるとなっておるから、必ずしも諮問しなくてもいい、勧告も聞きっぱなしでいい、こういうことでは学術会議の権威というものはないじゃないか、結論的にそういうふうになると思うのですよ。今度の法案の中でも宇宙開発審議会というものの権限の中に、内閣総理大臣に対して意見を述べることができるというふうに改めたいという提案がなされているのですけれども、意見を述べることができるとし、あるいは勧告することができるとしても、政府が、その意見が述べられ、勧告がなされたことに対して、何らの対応措置も講じないということでは、全然意味がないわけです。空文だということになる。少しでも都合の悪いことが述べられればほうかぶりしていくというのでは、あってもなくても同じ条文になるということが、この間田口委員からも盛んに言われておったのですが、私も同感だと思うのです。そういうことにとどまらず、特にこの学術会議に対してはいろんな面で軽視の形が表われているんじゃないかと思うのです。たとえば学術会議予算は、十年前も現在もほとんど変わらないというふうに聞いておりますが、その点はいかがですか。
  73. 徳安實藏

    徳安政府委員 決して学術会議を軽視はしておりませんので、その性格等にかんがみまして、できるだけ権威あらしめるように、私どもも努力しておるつもりでございまするし、学術会議自身も、そういう点につきましては私どもと同じような考えでございます。ただ諮問等につきましては、当該関係の役所がそれぞれ行なっておりますから、そちらのほうから御説明申し上げるほうが適当と思いますので、そちらから申し上げることにいたしますが、御勧告を受けました際に、ただ受けっぱなしでほっといたというわけでもないようでございまして、私どものほうが最近調査いたしまして、日本学術会議からの原子力潜水艦の問題に対する勧告、これに対してどういう処置をとったかということにつきましては、先般御答弁申し上げましたように、会議等も継続し、引き続きさらに学術会議にも、こういう処置をとり、かつまた、その責任者はこれとこれとの役所で処理いたしますということも申し上げまして、事務当局にも話を聞きますと、そうした点についてはことこまかく会長にも御報告を申し上げておるということでございますので、その期間が多少延びてはおりますけれども、三月の十二日に勧告をいただきましてから、四月の二十六日でございますから、その間には、そういう会議を開きながら連絡をとっておったわけでありまして、そういう点であるいは多少連絡の欠くるところがあったかもしれませんが、これは事務当局同士で今後さらに密接な連絡を保ちまして、双方にそうした行き違いのないようにすることは私どもの責任だと存じますから、これは十分いたしたいと思います。決して今回の勧告も聞きっぱなしにしたわけではございませんで、それぞれの研究機関に委託をし、また、学術会議にも連絡をとり、十分の説明等も必要がございますれば応じる覚悟もございますし、また、資料等の提出を求められた場合には、これを出すという考え方もございますので、決してほおかぶりではないということをひとつよく御理解いただきたいと思います。  また、予算の面でございますが、これはすでに公になっておることでございますから、私が申し上げなくてもおわかりと思いますが、二十四年度でございますが、三千七百四十一万円が最初の予算でございまして、それから今日では、三十八年度におきまして先般御決定をいただきましたのが一億七千七百七万円というわけでございます。その間にちょいちょい数字が多くなっておりまして、その翌年が少し欠けておるようになっておるものもございますが、これは御承知のように選挙がございますので、選挙に特別の金を要します。この選挙のときにはそうした金が加えられます関係から、普通の経常費に多少増加しつつあるのでありますが、選挙費用が要らないときには、それがずっと引かれますので、少なくなっておるということでございます。三十七年度を例にとりましても、三十七年度におきましては一億七千七百七十九万円が予算上の金額になっておりますが、去年は選挙がございましたので、選挙の金を引きますと、一億六千三百七十九万円でございまして、現在は一億七千七百七万円でございますから、ちょうど一千四百万円くらいはふえておるということで、その額はあまりたくさんではございませんが、決して軽視しておるわけではないと思います。どうぞそういう点につきましては御了解をいただきまして、この日本学術会議が十二分に機能を発揮することにつきましては、お説の通り、私どもも同感でございますので、今後十分検討を加えながら、食い違いのないようにして、そうしてその権威ある活動に協力いたしたいと考えておる次第であります。
  74. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 諮問と勧告の問題について、科学技術庁からお答えを願いたいと思います。
  75. 島村武久

    ○島村政府委員 学術会議というようなりっぱな機関、特に専門的、科学的な事項について諮問することができるようになっております機関がありながら、本件のような問題についてなぜ諮問しなかったかというお尋ねだと思いますので、その点についてお答え申し上げます。  原子力関係の問題につきましては、御承知のとおり原子力委員会が昭和三十一年の一月一日に発足いたし、今日に及んでおるわけでございます。この原子力委員会ができまして以来今日まで、学術会議から十数回にわたる勧告、申し入れあるいは要望等をちょうだいしてまいっております。われわれといたしましては、学術会議の御意見というものを十分尊重してやっておりますけれども、特に原子力につきましては、原子力委員会というものができておりますので、本件につきましても、学術会議から勧告が出されます以前におきまして、すでに原子力委員会でも取り上げて検討をいたしておったものでございますから、特に学術会議に諮問するというようなことをいたさなかったわけでございます。この間の点につきましては、学術会議側においても十分御理解になっていただいておることだと考えるわけでございます。
  76. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 諮問は積極的にする必要はないと判断したということなんですが、それじゃ勧告についての政府側の態度をお聞きしたいのですけれども、まずこの勧告において、学術会議としては、原子力潜水艦が日本の港湾に入港するということは、一時的な原子炉の設置と同様だ、こういう見解を述べておるわけです。この点は私どもももっともだと思うのですけれども、担当省としての科学技術庁では、この見解についてどう思われますか。
  77. 島村武久

    ○島村政府委員 原子力船の場合、陸上と全く同じような原子炉の取り扱いをすべきかどうかという細目の点につきましては、まだ日本に原子力船もなく、また外国の原子力船が入港するというようなこともそれほど早いと考えておりませんでしたので、詰めておるわけではございませんけれども、原子力船と申しますものは、かりにそれが軍用の艦艇でありましても、商船でありましても、原子炉を搭載しておるものでございますので、現在の考え方から申しまして、私どもといたしましては、やはり一時的に原子炉が置かれる事態と非常に似ておると考えていいものというふうに考えております。
  78. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、この勧告の内容はもっともじゃありませんか。あなたは、原子力委員会というものがあるから、そこで検討する、したがって、学術会議をわずらわすまでもないとおっしゃいますけれども、それじゃこの原子力委員会の中において検討する機関というのは別にあるわけでしょう。すなわち、原子炉安全審査会というものがあるわけでしょう。ここにはかけておりますか。
  79. 島村武久

    ○島村政府委員 原子力委員会としては、みずからの機構の中にただいまおっしゃいましたように安全審査会というものを持っております。しかしながら、原子力委員会といたしましては、今回の原子力潜水艦の問題につきまして、この審査会に調査、審議を頼むということをいたしてはおりません。
  80. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 佐世保の港あるいは横須賀の港に入ってくるということは、一時的にそこに原子炉が設置されることと同様だ、こういう見解については、あなたも賛意を表されたわけです。そうしますと、一時的に港湾の中に設置される原子炉の安全性というものは、陸上と同様にこの審査会にかけなければ意味がないじゃありませんか。それをやりなさいというのがこの勧告の骨子じゃないですか。
  81. 島村武久

    ○島村政府委員 原子力委員会に安全審査会がございますけれども、この安全審査会と申しますものは、たびたび国会でも問題になりまして、特にコールダーホール型原子炉の導入の際等にも問題になりました。内閣総理大臣から諮問を受けまして、原子力委員会が具体的な炉の設置の審査を行ないます場合に、従来とも原子力委員会内部にございました専門部会に法的な根拠を与えたものとして、審査会というものが生まれておるわけでございます。これは国会の御決議にもございまして、そのように法律の改正をお願いいたしまして、この内閣委員会でも御審議いただいたことでございますけれども、その際の政府側からの御説明にもはっきりと申し上げてございますように、具体的な炉の審査を科学的にデータ的にやるところの機関として生まれておるわけでございます。しかるに、本件米国の潜水艦の問題につきましては、具体的な炉の審査ということでは現在のところございませんので、安全審査会というようなところにかける、意見を聞くというような措置を講じていないわけでございます。
  82. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それはアメリカの方で設計図も見せない、ましてや現物を公開しない、そういうようないろいろのかきねをつくっておるために、この審査会にかけられないというだけの話なんでしょう。科学的にいえば、当然原子炉安全審査会にかけなければ、安全性の立証はできない、これは動かないのじゃないですか。ただ、かけようにもかけられない条件がある。そこを混淆しないようにひとつ御説明順いたいと思うのですが、最もその安全性を審査するのに権威ある機関というのは、政府機関の中ではこの原子力委員会における原子炉安全審査会である、そのことは間違いがないわけでしょう。
  83. 島村武久

    ○島村政府委員 私が申し上げておりますのは、ただいまおっしゃいましたように、科学的なデータに基づいて審査を行なうというような段階でないということのほかに、そもそもこの安全審査会というものは、従来やっておりましたような具体的な一件々々の原子炉についての審査を科学的に行なうことを目標として、法律改正まで行なってつくりました機関で、それに比べまして、今回の原子力潜水艦問題として取り上げられておりますのは、一般的な問題の段階でございますので、これを審査会にかけるというところまでいたしていない、こういう趣旨でお答え申し上げているわけでございます。
  84. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 国内において陸上に原子炉をつくる場合には、非常にきびしい審査が行なわれて、百ワット程度の学術用の原子炉でも、つくることを許可しなかったという場合もあったと私ども聞いておるわけです。ところが、今度の場合は、五万キロワットないし十万キロワットというけた違いの出力を持った原子炉を積んだものが、一時的に佐世保の港に入る、それについて科学的に全然検討が加えられないということ、そのこと自体を科学者の諸君が心配しているわけです。だから、科学的にその安全性というものをぜひ検討してもらいたい、そうしてそれを国民の前に明らかにしてもらいたいというのが勧告の趣意なんですよ。これは純然たる科学上の問題であって、政治的じゃないじゃないですか。これについて総務長官が政治的な動きでけしからぬとおっしゃっているわけですが、総務長官は、科学技術庁とも十分連絡をとられて御検討になった上で、談話を発表されたわけですか。
  85. 徳安實藏

    徳安政府委員 私のほうの考えは、先般も申し上げましたように、政府一つの行政機関でございますから、法律上の枝葉末節にとらわれるわけではございませんけれども、国の業務として認められることは別問題といたしまして、勧告その他の方法によってなされることは、これはもちろん納得できることでありますけれども、政府を抜きにして、すぐさま国民にアピールされるような行き方は望ましくないではないかという考え方から、先方とも話し合いしたわけでございまして、こうした問題につきましては、まだ私ども最後の結論は出ているわけではございません。両方でよく話し合っていこうということになっているわけでございますから、いずれ、そういう問題については、適当な機会に先方とも話し合いをいたしまして、意見の調整も行ない、そうしてまた、これが世間の誤解を受けないような処置を納得のいく線でやりたい、こう考えております。
  86. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 学術会議で勧告をした、その勧告を尊重して、自主的に安全性の検討政府がするかまえを持っておるのに、それにもかかわらず声明を出したというなら、けしからぬと言えるかもしれませんよ。しかし、いまの科学技術庁の答弁を聞いても、これは科学的に安全性を保証する道は、今後ともないというのですよ。手はないというのですよ。ただアメリカの言い分を聞く以外に方法はないというのです。もう一度声明を思い出していただきたいのですけれども、何と言っているかというと、わが国の責任ある機関が自主的に安全性を審査し、その結論を国民に明らかにするよう勧告した。この条件が満たされない現状では、日本国民の安全が脅かされるので、原子力潜水艦の日本寄港は望ましくないと考える。――全く当然のことを言っておるじゃありませんか。また、これは国民の気持ちとぴったり合っているじゃありませんか。それをもけしからぬというあなた方の態度が政治的なんであって、私どもはすなおに科学的な問題として考えていいと思っておるわけなんですよ。  しかし、そのことだけにとらわれておりますと、水かけ論になりますから、一点だけお聞きしておきたいと思うのですが、それではこの声明の出た四月二十六日現在において、政府は何が何でも寄港を認めるという基本方針を立てておったのですか、それと異なる態度だ、こうおっしゃるのですか。この条件が満たされない限りはわれわれは反対せざるを得ないと言っておるが、これが行政一体の原則にもとるとあなたはおっしゃるのですけれども、何が何でも、安全性が保証されようとされまいと、認めるという態度を政府は打ち出しておったのですか、この声明が出された得点において。
  87. 徳安實藏

    徳安政府委員 これは総理並びに外務大臣等がしばしば他の機会において申し上げておりますように、安保条約のたてまえからいけば、これを拒否できないような形にあるということは、御承知のとおりでございます。しかし、アメリカ側も、ただ条約をたてにして、何でもかんでも条約に書いてあるんだから差しつかえないというような考え方できておるわけではございませんで、やはり日本の国内の政治情勢なりあるいはまた国民一般の抱く国民感情等もよくわきまえての上で、なるべく政府の了解を得ていきたいという考え方であるようでありますし、また政府のほうでも、法律的な見解は別といたしまして、あるいは条約上の問題は別といたしまして、こうした重大な問題でございますから、なるべく国民が理解をし、また納得のいく線で最後の処置をしたいという考え方で、慎重に検討中であるというように私も心得ておるわけでございます。
  88. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 政府が条約上のたてまえからいえば寄港を断わることはできないと言っておるのは、事実知っております。これも疑問がありますよ。現に小坂外務大臣の当時には断わっておるという前例があるのですから、疑問がありますが、そのことはいま私は問いません。しかし、少なくとも政府としては、まあ条約上はそういうたてまえをとりながらも、国民が納得いくように安全性というものの確認をしようというので、アメリカと折衝を続けておるわけでしょう。その安全性が確認されない限り、寄港オーケーという回答はしないつもりだということは同じでしょう。ただ、アメリカに安全性を保証してもらうか、それとも学術会議が言うように、国内の自主的な機関で安全性を保証するか、保証の方法は雲泥の差でございます。どちらの機関で、日本側が自主的に安全性を確認するか、それともアメリカの証明をどの程度納得できるかという、安全性の立証の方法は全然違うかもしれませんが、基本的な考え方として、とにかく安全性の確認ができない限り軽々に寄港オーケーという回答をしないという点においては、学術会議の声明もあなた方の態度も、何ら矛盾しておらないじゃありませんか。とにかく安全性が確保されない限り軽々に寄港は認めないということでは、学術会議の態度も政府が従来とっておる態度も変わらないと私どもは思うのです。行政権一体を持ち出して、全然政府の意向と違うことを声明したというのは難くせじゃありませんか。難くせでないというなら、あなた方が言っていることがうそであって、実際はオーケーを出しているので、国民を欺瞞するために、もう少し材料がそろうのを待っているだけだ。ほんとうは、もう、どうぞいらっしゃいというオーケーをあなた方はアメリカに出したということになりますよ。その点違わないんじゃないかと思うのですが、どうです。
  89. 島村武久

    ○島村政府委員 ただいまの……。
  90. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ちょっとちょっと、私はいま技術的なことを聞いているのではありません。総務長官の談話を中心にして内閣の態度を聞いているわけですから、別に専門的なお答えは必要ないと思います。
  91. 徳安實藏

    徳安政府委員 あの時限におきましてああいう声明を、政府のほうに勧告という形式をとられずに、政府を抜きにして直接やられるというような行き方は好ましいことではない、望ましいことではないという考え方をもって声明をしたわけであります。
  92. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その勧告は守られないのですよ。今後も守りようがない。それは科学技術庁がいま証明したのです。原子力委員会において、国内に原子炉を設置する場合と同じように原子炉安全審査会にかけるというようなことは不可能だ。今後も不可能なんですよ。勧告はもう守られないのですよ。それでやむを得ず、国民の世論に訴える形をとっておるわけなんです。それが声明として出てきているわけなんです。その声明を出したことについてあなた方は文句を言っているわけです。その非難の一番大きな根拠になっているのが、学術会議といえども行政機関の一環だ、行政一体の原則にもとると言っておるが、もとらぬじゃないかと私は言っているのです。安全性が立証されない限りアメリカに対して寄港オーケーという返事をしないという点においては、日本政府も口ではそう言っているのだから、それと異なるところはないんじゃないかと言っているのです。政府がもう何が何でも、安全性がどうあろうとも寄港オーケーだといって態度をきめておって、なおかつこういうことを出したというのなら、多少疑問は出てくるかもしれぬけれども、その点では、安全の立証の方法が違うのですから、実質的な面は別として、そうそう開き直るような条件の違いはないんじゃないですか。
  93. 徳安實藏

    徳安政府委員 でございますから、先ほど申し上げておりますように、その手続等において私どもの考えとは異なるものがあるという考え方から、声明を私のほうでもしたわけでございまして、先ほどからお話がございますが、勧告に対しましては、ただいま科学技術庁のほうの説明もあったようでございますが、私どものほうの考えでは、もう全部あきらめておるわけではございませんので、やはりこうした問題に対する資料等も各方面に求め、また原子力委員会等にも研究をお願いしておりまして、それらのものがいずれ近いうちに整うと思いますが、何でもかんでも向こうの言いなりほうだいに、もう腹の中できめておるのだというわけでは決してございませんから、どうぞその点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
  94. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それならなおさらのことです。学術会議の声明と何ら変わるところはありません。何回も読みますけれども、わが国の責任ある機関が自主的に安全性を審査し、その結論を国民に明らかにするよう勧告した。この条件が満たされない現状では反対だと言っているのです。政府も態度は同じでしょう。政府と全然違うことを言っているわけですか。
  95. 徳安實藏

    徳安政府委員 私どもは、その言っていることが悪いとかいいとかということは第二の問題といたしまして、あの時限において勧告を出されているわけでありますから、何をしているかと重ねて勧告をなさるとかなんとか、私どもから考えれば、常識上この程度の学術会議として政府に対する勧告等をなさることについては、もちろん私どもは決して文句を言うわけではございません。ただ、その手続が、総会の議場において国民に面接PRされるようなその行き方がまずいのではなかろうか、行き過ぎではなかろうかということに考えを持っておりますので、そこでああいうことを申し上げ、かつ向こう側とも話し合いをしておるわけでございます。
  96. 石橋政嗣

    ○石橋委員 その点はこの問題も触れましたから、私再度申し上げません。学術会議というものは、いままでも何度も直接国民に向かって声明を出しておるのです。二十五回も出しているという前例もあるわけなんです。そういう一称の慣例にのっとってやっておることを、いまさらこのようにいたけだかに取り上げていくというところに、実は問題が出てきておるわけなんですよ。だから、今後密接な連絡をとることによって、ひとつ誤解をお互い解いてもらいたいということで話を結んでおるわけです。なお、その例として、どうも学術会議というものに対して政府は冷たい目で見ているのじゃないかということを立証するために、先ほど予算の例も引いて私お尋ねをしたわけなんです。私があまり予算もふえていないじゃないかと言ったら、ふえているというようなことをおっしゃっておりましたが、総務長官が御説明になりました数字からいったってふえておりませんですよ。十年前と現在とはほとんど変わらぬというふうにいわれております。したがって、事務局の職員まで減らさなくちゃならぬというような実情に追い込められておるというふうに私どもは理解しておるわけです。そういうことであってはならないわけですから、ひとつ十分な連携をとっていただくと同時に、学術会議について、いろいろ問題点もありましょうけれども、ひとつそう冷ややかな態度で臨まないように望んで、この件についての質問は終わりたいと思います。  もう一つ、この間お尋ねをして、回答が残っておる分があるのです。それは認証官の問題ですが、藤枝総務長官のときに私お尋ねしましたところ、これを減らすという面についてもぜひ検討したいというお答えをいただいておったのですが、その後どういうふうに作業が行なわれておるのか、この点についての御回答を願っておきたいと思います。
  97. 徳安實藏

    徳安政府委員 先般の審議のときにその話もございましたので、総理府設置法の一部改正のときにお答えいたしたいと考えておりました。この御質問に対しまして、藤枝前長官の御答弁にさようなことがありましたことを、実は私も先般の御質問によって承知したわけであります。帰りまして事務当局にただしまして、いろいろ意見を求めたのでありますが、事柄が非常に重大でございますために、今日までよう手をつけなかったというような話でございます。しかし、いつまでもほうっておくことは、対外的にも対内的にも非常によくないことでございますので、この機会にひとつ抜本的な解決をはかろうではないかということで、先般――先般といってもだいぶ前になりますが、閣議におきまして、認証制度に対する連絡協議会をつくりまして、これは官房長官が主宰者になりまして、各関係の諸君を委員に選びまして、会を開くことに閣議決定できまりました。先月御質問がございました後に、官房長官にその後の経過を聞いたのでありますが、国会開会中でございますために、あまり進捗していないそうでございますけれども、いまの考え方は、外交官等の関係につきましても、いま七十八名ですか、約八十名に近い認証官がございますが、これに手をつけますことにつきましては、外交的にもいろいろな問題がございますし、容易ではないのでございますが、一応公館長でない公使等ははずそうじゃないかという考え方で調査もしておるということでございました。またそのほかに、認証官に当然なすべきではないかという御意見もあり、またはずすべきではないかという御意見もあるようでございますが、従来この委員会等で御発言になりまして、御意見を伺っておりながら、今日まで手をつけるべきものを手をつけずに至っておるということは申しわけないと思いますけれども、おくればせながら、閣内にそういう協議会ができまして、研究を進めておるわけでございますから、次の通常国会までには何らかの成案を得まして御審議を願うようになるのではなかろうか、またそうしたいという気持ちで進行させておるということでございますので、この点御了承いただきたいと思います。
  98. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 次の通常国会までに成案を得たいということで、ある程度の方針も示されましたから、この点に  ついては了解をいたしたいと思います。  もう一つ、これは宮内庁の問題ですけれども、さきに本委員会において、宮内庁におきましては、長官は政府委員としない、国会における答弁は次長が当たるということで、いろいろ理由も御説明になりました。私どももなるほどそういうこともあるのかというので、実は好意的な態度をとったつもりなんです。ところが、本委員会において扱った同じ問題を参議院の内閣委員会で扱っておるわけですが、その際には長官が出ておるのです。これは一体どういうことなのか。いささか開き直りたい気持ちになっておるわけなんですが、その点からひとつ御説明を願いたいと思います。
  99. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 宮内庁関係の政府委員としては、宮内庁次長経済主管がなっておりまして、宇佐美長官はなっていないわけでございます。この事情は前にも説明いたしましたので、繰り返しませんが、先月の十六日、参議院の内閣委員会に宇佐美長官が出ております。これはたてまえから言いますと、政府委員である私が参りまして、御質問にいろいろお答えするのがたてまえであると思うのでありますが、実は私の郷里、石川県の実兄が十四日の日になくなりまして、十六日が葬式でございまして、郷里へ帰っておりました。急いで十七日には帰ってまいりましたが、十六日は私はおりませんでしたので、政府委員としてのつとめができなかったわけでありまして、この総理府設置法の改正の予備審査を参議院の内閣委員会でもなさり、問題点についてぜひ出席して説明してほしいというので、説明員として宇佐美宮内庁長官が出られたわけであります。長官は絶対に国会に出ないというたてまえでもないのでございまして、これは陛下のほうの御用などで差しつかえのない場合で、やはり長官がぜひ出た方がいいという場合には、出る場合ももちろんございますということで、本席でも申し上げておったのでありますが、あの場合、長官にぜひという場合であったかどうか、これは別ですが、私が出るべきたてまえであったのですが、私がそういうように葬式で郷里へ帰っておったというようなことがございまして、ちょうど差しつかえもなかったので御出席になった、そういう事情にありましたことを御了承いただきたいと思います。
  100. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 一応参議院の内閣委員会の十六日の事情はわかりましたが、やはり釈然としないものがあるのです。あなたが政府委員であって、長官があなたのかわりに出た、議論がさか立ちしておりませんか。大体ここにもこの事件と似たような精神が流れているような気がしてならぬのです。天皇の名前で持ち出しさえすれば何でも片づくというような考えを持っておりはせぬか。国会とどちらが大切なんですか。国会の方に横越的に出る姿勢をとられて、それで天皇の方に御迷惑がかかるような面が出るような場合には、あなたが補佐すればいいのではないか。この間は黙っておりましたが、こういうさか立ちの例が出てきた以上、黙っておれない。この点は、総務長官も政府委員の任命には関連があるのですが、どうですか、おかしいと思いませんか。長官を政府委員にしておいて、どうしてもぐあいが悪いときに次長が出るべきで、私は国会優先で考えてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  101. 徳安實藏

    徳安政府委員 先般の参議院の答弁を、実は私の方に正式に要求してきませんで、じかにあちらの方に参議院の方から御要求があったようでございまして、私ども新聞を見まして、初めて長官が出席されることを聞いたわけでございます。それから私のほうでもどういうわけかということで聞きただしましたところが、ただいま次長の説明のように、実兄がなくなられて、ひまをいただいて十六日と十七日向こうに帰っておられて、その間参議院の方からぜひ責任者に出てこいという御要望がございましたので、かわって長官が出たということであったわけでございますが、ただいまのお話もごもっともと考えますから、そういった点につきましては、ひとつ検討を加えまして、今後の処置をするようにいたしたいと思います。
  102. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私は、これはやはり国会の問題だと思うのです、ここまでくれば、やはり政府委員という立場は長官が当たられる、それでどうしても都合の悪い場合には、われわれもむちゃなことを言うわけじゃないのですから、あなたが代理で出る、こういう基本線に戻っていただきたいと思います。これは内閣のほうにも要請しておきますから、委員長としても、今後私どもはそういう態度をとって臨みますから、応ぜられるようにかまえていただきたいと思います。
  103. 永山忠則

    永山委員長 この点、また理事会でよく相談いたしましょう。  受田新吉君。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 それでは質問を続けます。  私は、総理府設置法の一部改正案につきまして、逐条質問をさしていただきます。  まず、総理府の機関として、いろいろな機関があるわけです。今度の改正案を見ても、機関の問題にも触れているわけですが、このいわゆるその他の附属機関というのと、この間から石橋委員が質問をしております日本学術会議のような機関とは、この機関と附属機関との相違はどこにあるのか、弁願います。
  105. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 法制上の問題でございますので、私から説明をさせていただきます。  御指摘のように、日本学術会議は、総理府に置かれる機関といたしまして、附属機関と別に実は掲げられておりますが、御承知のように、国家行政組織法の第八条の機関であるということは変わりはないわけでございます。それではなぜ特に附属機関と別にして機関という名称を付したかというのが、御質疑中心であろうかと思いますが、それにつきましては、同会議が法の明文に出ておりますように、職務遂行の独立性ということが規定の上で保障されている点を考慮して、附属機関という附属ということばからくる一つの印象を避ける意味で、特に別個に機関というふうにいたしたものだと承知いたしております。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 内閣にも機関がございますね。内閣の機関に、現にある憲法調査会、これと総理府の機関とどう相違があるのでございますか。
  107. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 内閣にも、御承知のように機関という名称がございますが、国家行政組織法は、内閣の統括のもとにある行政各部の行政機関についてのいろいろな組織を規定しておりますが、そういう意味で、機関という名においては同じでございますが、法律上の取り扱いといたしましては、実は別個に規定しておるわけでございまして、むろん、内閣における機関も行政機関でないということにはなりませんが、そういう広い意味でいえば同じでございますが、まあ、法律が違っております点で、その対象になる機関もおのずから異なってくるということに相なるわけでございます。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 それははなはだ複雑多岐にわたる結果を生むことであって、国家行政組織法上の問題として、この基本的な法律のそうした複雑性を排除するという精神に立脚するならば、そうした同じような形のものが、一方は内閣のほうに属し、一方は総理府のほうに属しておるというような形のものはとるべきじゃないのじゃないですか。
  109. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 御指摘のように、もし内閣法というものがなくて、国家行政組織法というようなもので一本で片づけておれば、あるいは国家行政組織法がなくて、どちらでも同じでありますが、一本の法律で規定するということになれば、仰せのとおりであろうと思いますが、やはり内閣法は内閣の組織を中心にした規定でございますし、国家行政組織法のほうは内閣の統括のもとにおける国家行政組織について規定をしておりますので、そういうたてまえをとります以上は、別々に規定するのもやむを得ないのではないかというふうに考えます。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 そこに問題があるのですね。今度は総理府の機関であって、これは付属機関ではない機関であるがゆえに、特別の法律のもとに日本学術会議法というものができておる。この総理府の機関の結論は、この法律の文句をそのまま申し上げても、内閣総理大臣の所轄のもとに日本学術会議を置くとはっきり明記してある。そして「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させる」ための機関とすると明記してある。この文句は、日本学術会議というものの性格をはっきりにじみ出しておる。したがって、ここに書いてあるわが国の科学者の内外に対する代表機関として、そしてその人々が科学の向上発達をはかり、行政、産業、国民生活に科学を反映、浸透させるという責任がある。それを浸透させなければ学術会議の目的を果たしていないということになるわけですね。国民生活の上にそういうものを浸透させるためにいろいろな声明を出す、意見を述べるとか、こういうことは、この法律をすなおに解釈するならばはっきり言えることなんであって、内閣総理大臣の承認を得てということが上に計いていないですからね。そういう意味からいって、別に総理府総務長官の許可を得て声明を発するというような、そういう行政上の指揮監督権というような関係はないわけですね。いかがでしょう。
  111. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 日本学術会議法によります日本学術会議の性格は、いまも御指摘になりましたとおりでございます。声明を出すについて内閣総理大臣の承認が要るかどうかというような御質疑であろうと思いますが、私どもは、日本学術会議が行政機関の一つでございますので、そういう行政機関が外に対して声明を発するということを大体において予想していないので、承認をするとかしないとかいうような問題も出てまいるはずがないというふうに考えております。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 声明を発することは予想していなかったのですか。したがって、そういう指揮命令系統の文句を入れる必要はないと了解しておったわけなんですね。
  113. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 率直に申し上げますが、内閣の統括のもとにおける行政機関が、一定のことにつきまして外部に対して声明を発するというようなことは、設置法では予想していないということを申し上げておるわけであります。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 予想していないことであったので、そういう事態が発生したので、これに対して総務長官談を発表した、こういうことですか。
  115. 徳安實藏

    徳安政府委員 いまお話のとおりでございます。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 総務長官談は、徳安さん御自身の発案ですか。あなたは総理府総務長官でありますので、総理府の関係の各機関の連絡調整の任に当たる責任者であられるので、各機関の責任者と相談をされた結論であるか、あなた個人の責任であるか、これをまず伺いたい。
  117. 徳安實藏

    徳安政府委員 この問題に対します関係者の意見を徴しまして、私の意見を固めて声明を出したわけであります。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 総理府総務長官日本学術会議を指揮監督する権限はないですね。日本学術会議に対して持つ権限というと、ことばは適当でないかもしれませんが、連絡調整の問題あるいは総理府の機関としての立場から、そういう総務長官の持たれる広い意味の権限というものは、どういうものがあるのでしょう。
  119. 徳安實藏

    徳安政府委員 半独立したような形でございますので、法律的に厳格な意味からいいますと、いろいろ議論があるようでございますが、一応総務長官としては、もし足を踏みはずしたようなときには、これに警告をなし得るという見解で声明を出したのでございます。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 総務長官を設置したときの総務長官の任務は、こういうことが書いてあるわけです。「総務長官は、国務大臣をもつて充てることができる。」「総務長官は、内閣総理大臣を助け、府務を整理し、並びに総理府(法律で国務大臣をもつてその長に充てること定められている外局を除く。)所管の事項について、政策及び企画に参画し、政務を処理し、各部局及び機関の事務を監督する。」というのがあります。この各部局の事務の監督権があると判断されたのかどうか。監督の中へ入るかどうか。
  121. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答えを申し上げます。  日本学術会議に限りませんけれども、総理府の機関として、総理府の所轄あるいは所管のもとにあります機関に対しましては、総理府の長である内閣総理大臣、ひいては総務長官が、それに対していろいろな職務上の権限を持っておるわけでございます。ただ、あるいは御質疑ない点かもしれませんが、日本学術会議法におけるように、その職務の執行について独立して職権を行使するというような点につきましては、これは指揮監督のできないことは当然でございますが、自己の所轄のもとにある機関につきましては、人事なりあるいは予算なり、各般の面を通じて、総理府の長である総理大臣、あるいはそのもとにおきましてこれを補佐する総務長官、そういう方々が、ある範囲の指揮監督権と申しますか、とにかくそれに対していろいろなお世話をすると同時に、関係のある向きにつきましてはいろいろな御注意をするというようなことができますことは、当然のことだと考えております。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 これは指揮監督と仰せられたが、指揮権はないと私は思う。法律用語としてもないです。監督するという中に「各部局及び機関の事務を監督する。」ということがあるのであって、日本学術会議が持つ独立の権限は、この事務の中へ入らぬと解釈するが、いかがでしょう。
  123. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 先ほども申し上げましたとおりに、日本学術会議法をごらんになりますと、日本学術会議においては、特定の任務につきまして独立して職権を行なうことになっております。これは学術会議のみならず、公正取引委員会とか、いろいろな機関にそういうものがございまして、それは法理性からいいましても、当然その職務内容につきまして指揮監督をするということはあり得ないわけでございます。これは職務の執行の面につきましてはないことは確実でございます。しかしながら、そういう職務の内容にかかわらないことにつきまして、何か特定の事態が生じました際に、一般的に総務長官がその行動について何もいえないということはないわけでございます。要するに、学術会議の中に与えられておる学術会議の任務の達成、使命の遂行、そういうもののワクの中に入っていることにつきまして、あるいはこういうことを勧告せいとか、こういうことを勧告しては悪いとか、おまえのほうでやっている議論はなっておらぬとか、そういうようなことをいえる筋合いでないことは確かでございますが、そういうワクの外に立ちましたことにつきまして、何もいえないということはないという考えでございます。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 ここに行政事務の運営上における一つの問題点がひそんでいるわけです。法律のことばとして用いられている指揮権、監督権、特に総務長官の監督権は、各部局及び機関に対する事務監督権があるわけです。しかしながら、いまのように日本学術会議が持つ独特の任務、侵されない権限に関する監督権はないわけなんです。したがって、日本学術会議が良心に基づいて、しかも、政府機関として構成されている人々が――これはみな偉い学者ですから、粗末な人はおらぬはずです。日本では一番りっぱな学者がそろっている。その機関が良心に基づいて声明を発したということは、これはよほどのことであって、これに対して良心を侵すような発言が別の機関から出てくるということになると、日本の学術の進歩、この総理府設置法の第三節の機関の規定は没却されると懸念するのです。こうした独立の機関として、独立の権限を持っている人々に、憲法第二十一条でしたか、学問の自由を保障される機関として唯一の機関が残っている。これは決して内閣総理大臣の承認を得て発表するとかいうことは番いてないのですから、独自の見解を表明していいわけです。それが声明の形であろうと談話であろうと、一向差しつかえないと思うのです。それはいけませんか。私は法律的な立場から議論しておる。
  125. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 法律立場でございますので、私が御答弁申し上げさせていただきます。  仰せのとおり、学問の自由というのは憲法で――悪法の二十三条でございますが、規定がございます。この定義につきましては、むろん、御説明を申し上げるのは釈迦に説法でございますから、その中身については申し上げませんが、学者が、学者の立場において、自己の良心にしたがって学問を追求して、その結果を発表するということは、これは全く憲法上保障されているわけでございまして、国権がそれに対して何らかの抑圧を加えることは、憲法に違反することになるわけであります。しかし、明らかに区別しなければならぬことは、その個々の学者が自己の良心にしたがって学問の結果を発表するということでなくして、行政機関が、そういう自己に与えられた職務なり任務の範囲を逸脱しまして、政治的な効果を生ずるような行為をする、それをまた世間に対して声明を発するということになりますと、これは何としましてもやはり正常な行政機関の営みを逸脱しているといわざるを得ないと思うのです。これは学術会議がたまたま問題になっておりますが、実は行政機関すべてに通じて、いかなる内閣のもとにおいても同じであろうと思います。行政機関たるものがほしいままに、自己の任務あるいは職務の内容にむろん関係があるにいたしましても、行政機関の考えるところ、自己の政治的信念みたいなものを天下に発表するということは、これは厳に慎むべきものではないかというふうに考えるわけでございます。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 総務長官に集中質疑をしてくださいということですが、私は総務長官に集中質疑しているわけです。ところが、総務長官の御答弁がなくて、高辻次長が代弁されているのですが、これは総務長官にお尋ねしている事項なんです。そこで、総務長官は参議院にお呼ばれになっているそうですから、集中質問をいたします。いまの法律論争、機関論争は高辻さんとあとから……。  総務長官に、あなたが今度この法律改正とともに付与せられる特権、認証制度についてお尋ねしたいと思うのです。この認証制度というものをなぜかくも重々しく、いかにもほしがるような形で、法案が相次いで出されているかということが、質問のポイントでございます。今度文部省のほうにも国立大学の総長の任免に関する特例法が出ておる。それにもやはり七つの大学の認証官を予定しているわけです。この国会を通じて、認証官がこのように九人も新たに誕生するような法律が出てきた効きというものは、認証制度に非常に大きな魅力があるという結論が、政府部内にほうはいとして流れた結果であるかどうかを御答弁願いたい。
  127. 徳安實藏

    徳安政府委員 先回の委員会でも申し上げましたように、今回の認証問題に対しましては、いろいろと過去におきましても御議論があり、また現在においても検討はいたしておりますが、とりあえず、国務大臣をもって任じ得る二つの職だけは認証官としてお順いしたらどうかということで、本法案を出したわけでございまして、魅力があるとかないとかいう問題はあとの問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、今後官房長官のところで研究することになっておりますから、その結果に基づきまして、次の機会に御審議を願うという方針で、いま作業しておるところでございます。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 これは社会党の同志の諸君からも質問がたくさん出ておりますから、私重複をなるべく避けたいと思いますが、大事なところは聖なるかもしれません。この認証制度というものは、いにしえの制度の何に当たる制度でございますか。
  129. 徳安實藏

    徳安政府委員 詳しいことは、私どもも法律的に解釈できぬけれども、大体昔の親任官程度の線が引いてあるのじゃないかと思います。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、認証官ということばを使うことは、これは俗称であって、いまは認証官という名前は法律用語としてはない。したがって、認証をしていただくという天皇の国事事項の一つとして、これは非常にありがたくお受けさしていただく。あなたもその該当者でありますから、ちょっと問題があるかと思いますが、この制度を広く他の行政部門の責任著たちにも波及する方針か、あるいはこういう制度は設けないほうがいいんだ、あなた方国務大臣を充てるお二人だけで、もうこれ以上あとに続くものは打ち切るという方針か、そこをちょっと……。
  131. 徳安實藏

    徳安政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、この問題につきましては、慎重に検討する必要があるということで、閣議の決定に基づきまして、ただいま官房長官を中心検討はいたしておりますから、その結果が出ましたら御審議を願うことになると思いますので、その結果の出ますまでは、これ以上要らないとか要るとかいうことは、私からはいま軽率には申し上げられません。結果をお持ちいただきたいと思います。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 一たび法案となってこれが成立すると、なかなか改正はむずかしいし、またせっかくつくったのだし、徳安さんと官房長官の黒金さんとは、 この法律ができるころまではまだ引き続きその任にあられると思いますので、お二人の直接関係されるポストが、次の法律の機会で削られるというようなことは、これはぶざまなことですから、むしろ、そういう結論を待ってこういう法律案をお出しになるのが、筋として正しいんじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  133. 徳安實藏

    徳安政府委員 少なくとも現在の政府考え方といたしましては、本案を廃止するような法案を次の機会に出すという考えはございません。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 いま認証制度を生かされた場合、次の国会あるいは次の機会にそれをまたやめるというようなことは考えない。だから、お二人だけは完全に永久に認証官、そういうことですか。あなた方も今度の改正案も含めて検討するということですか、そこははっきりしたいと思います。
  135. 徳安實藏

    徳安政府委員 現段階におきましては、認証官にしていただきたいという考え方でございまして、その他の件につきましては、今後検討しようという考え方であります。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 あとに続くものはこれで打ち切るということですね。これは冷酷無残とい5ことばで表現されるわけだ。だから、この問題は、やはり認証制度全体を検討するという形で検討していかなければならぬと思うのです。いままでもらっている分はそのままに残す、これからの分はやらないというようなことではいかぬのです。俗称認証官と称せられる人々を総合的に検討して、できるだけこれを整理する、こういう形で検討を進められることを私は希望するのですが、いかがでしょうか。
  137. 徳安實藏

    徳安政府委員 結論によりましては――いまはそう考えておりませんが、結論におきまして、あるいは私どもまでもまくらを並べて解消されるときがあるかもしれませんが、しかし、現段階におきましては、少なくも国務大臣をもって任ずるこの二つの地位だけはお願いをし、さらにその他の問題につきましては、検討を加えて善処をしたいということで、いま調査会を設けたということであります。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ、これは大事なことだから、法律的論議をしておきます。高辻さん、この総理府の機関と内閣の機関とは、ウェートがどちらに置かれておりますか。
  139. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ひとしく国の行政を担当する部局でございますので、ウエートはいずれが上、いずれが下ということはないと思います。ただ、それぞれの機関が持っております職務の性質上、あるいは内閣の行政各部の統一を保持するための必要な総合調整とか、あるいは行政各部の施策の総合調整とか、それぞれ職務の内容に応じまして、働く部面は違いますけれども、行政機関としてはウエートは同じと心得ていいと思います。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 総理府の機関の発言に対しては、総務長官がいろいろと見解を述べる、それから内閣の機関の発言に対しては、官房長官がそれぞれの意見を述べるということになるのですか。
  141. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 国家の行政組織でございますから、それぞれの職掌がきまっておりますので、その職掌に応じまして、その任に当たるものがあるのが当然かと思いますが、いま御指摘がありましたように、大体仰せになったことは、そのとおりだと申していいかと思います。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 総理府の機関、それから附属機関、それはウエートが違いますね。
  143. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ウエートが違うという意味でございますが、要するに、上のほうから職質なり職務の遂行につきまして指揮監督を受ける立場にある者と、指揮監督をする立場にある者、それぞれの関係から言いますと、そういう意味では上下がございますが、先ほど私が上下がないと申し上げましたのは、行政機関としての職務の一般的な遂行の上で差異がないと申し上げたわけでございまして、そういうような、いまの御発言のようなことであれば、そういう意味でのウエートはございます。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 こういう行政機構上のいろいろなややこしい複雑性を排除するために、機関とか附属機関とかいうものを統合的な形に持っていかれる必要はないですかね。これは一般国民が見ても、はなはだ複雑で、はっきりしない、こういうふうな理解しかできませんね。立法当局としてひとつ……。
  145. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 仰せのとおりに、国の行政組織を立てます場合には、局部局部の職務なり、任務の範囲というものを明確にいたしまして、それぞれ明確なる系統図ができるようにすべきであるという仰せは、全くそのとおりであろうと思います。ただ、行政機関と申しましても、実は種類が非常にございますので、どこまでこまかく分けていけるかどうかという問題がございますが、行政組織に対するあり方というものについては、大体お説のとおりに考えるべきものだと思います。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 法案に関連してお尋ねしたいのですが、今度の法案に、附属機関の宇宙開発審議会の目的を一つつけ加えて充実させているわけです。附属機関の宇宙開発審議会の目的の中に、「内閣総理大臣の諮問に応じて宇宙の利用及び宇宙科学技術に関する重要事項を調査審議すること。」とある条文に、「意見を述べる」ということをつけ加えておるのでございますが、この文章をそのまま読んでいくと、「これらの事項に関して」ということをよほどよく理解しないと、筋が通らない。むしろこのことは、資金運用審議会の目的であるところの「運用部資金若しくは簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金の運用に関する重要な事項について、大蔵大臣若しくは郵政大臣の諾間に応じ、又は資金運用部資金若しくは簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金の運用に関し、大蔵大臣若しくは郵政大臣に意見を述べること。」、こういうふうに書いてあるのです。こういうふうにはっきり書けば非常によくわかるのですが、「これらの」として一括して並べていくことによって、これは「諮問に応じて」云々ということとあまり変わらないことになるんじゃないかという危惧もあるわけです。だから、文章構成の上から、資金運用審議会の目的と大体調和をとって、諮問に応ずることと意見を述べることとをはっきりさせる必要はないか、かように思うのです。特に付属機関のいろいろな機関に対する目的の欄を見て、その目的の欄が二つにも三つにも形式をとっているということはまずい。これとよく似通った、諮問に応ずることと意見を述べることと、すでに前例があるのですから、前例に応じた形にこれを書きかえるほうが、非常にはっきりしていいんじゃないかと思うんですが、高辻さん、どう思いますか。
  147. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 どうも条文上の文言について御指摘を受けまして、はなはだ恐縮に思うわけでございますが、しかし、ただいま御審議をわずらわしておりますような立言方法によりましても、私どもが見ますと、一こうにわからないということにはならぬのじゃないかという気がいたします。むろん、これは法制局で審議をした結果でございますので、一生懸命弁護しようという気持はございませんが、「これらの事項に関して」といえば、それはその前の「宇宙の利用及び宇宙科学技術に関する重要事項」であることは明白でございますので、御指摘のような非常に読みにくいということでありますれば、受田先生のおっしゃっていることをそのまますなおに受け入れようとは思いますが、これで十分にわかるのではないかと思いますので、これでひとつお許しを願いたいと思うわけであります。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 政府が法案をお出しになるときに、前の法律に書いてある文句と対照的な場合には、それに準じた善き方で表現してもらいたい。いろいろな書き方、ばらばらであっては、法律としてでき上がったときに、政府部内の法律文章作成上のはなはだずさんなことを裏書きするようなものでありますから、はっきりとそういう形に、たとえばこの文章なら、宇宙科学技術に関し内閣総理大臣の諮問に応じ並びに内閣総理大臣に意見を述べること、こういうふうにやっておけば非常にはっきりする。それを「並びにこれらの」では――文句をもっとていさいよくできるのです。きわめてそれが明瞭になる。だから、いま私が申し上げたようなところをはっきりと前者と軌を合わせるような形ということで、はっきりしたほうがいいと思うのですが、いかがです。
  149. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 おっしゃっておられます、条文上の簡潔と明確にことをしるしていくべきであろうというお説は、全くごもっともだと思うのでありますが、どうもただいま御提案申しておりますこういうような改正方法といいますか、こういうような機関の目的の計き方というものは、実はいままでに御審議をわずらわしましたいろいろな法律の付属機関等の目的にも多々あるわけでございまして、そういうわけで、いままでの例と――またこれとすべて同じ例ばかりではございません。ほかの御引用になりました例もあると思います。こういうような書き方も、実はすでに御審議をわずらわしたものにもございますので、いままであります例をとって書いたわけでございます。しかし、一般的な問題といたしましては、将来、仰せになります要点はとくと胸に含めて考えてまいりたいと思います。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 将来、これは法令の整理ということについて大事なことですから、思いつきでどんどん目的を書いていくと、国民が見て、あなた方の立法技術者のあいまいさを保証するようなことになりますので、御注意を願っておきます。  それで、ここで問題に取り上げたいことは、その意見を述べることという事態が最近発生したのかどうか。諮問に応ずるまでもなく、意見を述べなければならないような事態が起こったのかどうか。どういう問題で意見を述べなければならぬようなことがあったか、ちょっとお答え願いたい。
  151. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 最近発生したということはございません。と申しますのは、ただいま宇宙開発審議会に対しましては、わが国のとるべき宇宙の重点開発目標とそれを達成する具体的手段いかんという諮問を出しまして、現在慎重に審議中でございます。しかし、御承知のとおり、世界におきまする宇宙の開発の進歩は非常に早いものでございます。そこで何らか諮問の範囲を越えました予想外の重要問題があるのではないかということで、今回の改正をお願いしたわけでございます。  なお、これに準ずると考えます例としては、たとえば宇宙の開発は、御承知のとおり一国で開発することはできませんで、特定の一国と、宇宙平和開発のために、特に国際協力をするというような問題が出てきた場合には、今後も改正の精神に沿いまして、宇宙審議会で自発的に意見を言っていただく機会が出るのではないか、そう考える次第でございます。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 宇宙開発に関して新しい事態が起こる、それに対する意見を述べなければならぬ、こういう想定のもとに、いま出しておくんだ。ところが、内閣総理大臣が諮問する際には、できるだけそういう事態も予想して、適宜諮問するはずだと思いますし、また、その諮問に対する施策も十分とられていない現状考えたときに、何らかそこへ科学技術庁としては、これから予想されるような問題について、十分時代の要請にこたえるような対策をもう日ごろから立てておかなければならぬと思う。したがって、諮問に応じ、答申を出す、それに対して施策を練るということでなくて、いまから意見を述べるということであれば、どういうものが予想されるかくらいのことはいま考えておかなければいかぬです。先般のアメリカの人工衛星の打ち上げの成功に対して、これを電波でつかんだ機関は科学技術庁の機関ですか、どうですか。
  153. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 科学技術庁の機関はこれを直接つかんでおりません。また、科学技術庁は、御承知のとおり、総合行政をやっておりますので、そういう実施機関をただいまは持ち合わしておらないのであります。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 はなはだたよりない機関であって、そういうことになるならば、もう少し科学技術庁そのものが機構上に何か持ちたい、そうして、この人工衛星を把握した郵政省の電波研究所のような――これは実際は郵政省が仕事をやっておるのですが、そういう機関に対して科学技術庁としてどういう職権を持つか、総合調整をどういうところでやるかというような機構上のことで、まず科学技術庁としては相当考えなければならぬ問題がひそんでおると思うのです。科学技術の総本山である科学技術庁としては、こういう意見を述べるとかいうことで間に合わせることでなくて、もっと諮問に応じ、答申に対する具体策などを用意して、いち早くこれを施策の上に実現させるというように御努力される必要はないですか。
  155. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 郵政省に対しまして云々という特定のものではございませんが、各省と宇宙開発につきましては合同推進会議というのを持ちまして、ただいまの問題その他を調整しながら、これを推進しております。それと同時に、三十八年度から科学技術庁設置法を改正いたしまして、科学技術庁も宇宙の利用の推進をみずからやるというふうに変えていただく。そこでとりあえず、航空技術研究所を航空宇宙技術研究所と改正いたしまして、そして宇宙の開発に一歩を踏み出したところでございます。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 科学技術庁のお仕事は、大体テンポがおそすぎて、国際競争に勝てない危険があると思うのです。だからこのような改正で、意見を述べることができるくらいのことでは、もう間に合わないようなところにきているわけです。この宇宙開発の国際競争に勝つ根本施策にもっと真剣に取っ組んでもらいたい。  もう一つ、おしまいに、文部省おられますか――文部省で質問を終わりにしますが、文部省が、今度また総理府設置法の改正案と軌を一にしたように、国立大学の総長を認証官に七名も用意している。これはどういうところからそういう結論になったわけですか。
  157. 小林行雄

    ○小林政府委員 国立大学総長の任免、給与等の特例に関する法律案というもので御審議をお願い申し上げておりますが、これは御承知のように、国立大学そのものが、現在人材養成の上から申しましても、また学問研究の点から申しましても、非常に大きな仕事をいたしております。この国立大学の学長の国家的なあるいは社会的な地位を高からしめるということと、待遇改善をはかるということをいろいろ検討いたしまして、その結果、方法はいろいろあるかも存じませんけれども、現在さしあたって最も適切な方法として措置し得るものとして、国立大学の学長のうち、七大学の学長だけを認証官にさせていただきたいということで、お願いをいたしておるわけでございます。この法案の目的は、ただいま申しましたように、国家的、社会的な地位を高く評価して、その待遇改善をはかりたい。もちろん、これはひいては将来、大学全体の教職員あるいは教育者全体の地位を高からしめることができれば非常に幸いだと思っておりますが、さしあたっては、七大学の学長を認証官にする形によってその目的を達したいというふうに考えております。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 認証官にする制度を特例として設けられたわけですが、それが七大学に限ること、並びにこれらの学長、総長は一般職でそのままにしておくわけですね。一般職でそのままにして認証官になる職種が、ほかに一つ、二つあるはずですが、何がありますか。
  159. 小林行雄

    ○小林政府委員 現在一般職のままで認証官にされておるものとしては、検察関係の検事総長、次長検出、検事長があるように承っております。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 ところが、ここに問題があるのは、一般職のままで俸給をこの認証官にする人たちを特別に十八万と十六万にするとか、こういうことにしてある制度は、ほかにはないのですね。ちゃんとみな法律で、それぞれの給与法にきちっとうたってあるのです。ところが、こういうかってなことをされるものだから、一般職の俸給体系というものは完全にくずれてしまっておるのです。これはどういうことでこういうことをされたのですか。
  161. 小林行雄

    ○小林政府委員 一般職のままで認証賞にいたします場合に、その給与をどの程度のものに格づけしたらいいかということにつきましては、私どもいろいろ検討いたしました結果、十八万と十六万、これは大体受田先生御承知のように、一つは国務大臣のクラスでございます。それから他の一つは検事総長のクラスに格づけをしたわけでございます。その格づけについてはいろいろ御意見も出ると思いますが、私ども、大学の総長の職責から見て妥当であるというふうに考えたわけです。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 これは、内閣委員会の所管に属すべき性質のものが文教委員会に出ておるようなものです。そういう形であるから、私は特にこれを指摘しておる。本委員会の権威において私は質問しておるわけです。われわれの委員会が担当しておる一般職の俸給表の問題には全然触れないで、文教委員会でかってに給与をきめてしまうようなおそれがあるわけで、これは文部行政の中に、非常にセクト的な、鬼の留守に何とかやらというようなかっこうで、法案をこそこそと持っていこうという傾向が従来あるのです。一般職の職員の給与に関する法律が、当委員会の所管の法律がきちんとある。その法律をなぜ改正されないのですか。
  163. 小林行雄

    ○小林政府委員 先ほど申しましたように、東京、京都の総長については、国務大臣並みの十八万、その他の国立大学総長については、検査官、人事官と同様な十六万というふうにしたわけでございます。もちろん、ただいま受皿先生の御指摘もございましたように、一般職のままでございますから、他の国立大学の学長につきましては、当然、その給与につきましても、一般職の職員の給与に関する法律が適用されるわけでございます。これの改正ということでいけるのではないかという御指摘も、私もごもっともだとは思います。しかし、従来、この国立大学の教員の待遇改善というものにつきましては、いろいろと文部省も努力し、また大学の教官の方からも非常に強い要望もあったわけでございますが、その実施につきましては、いろいろ努力したにもかかわらず、なかなかこの実施ができなかったわけでございまして、一つの権道かも存じませんが、こういう形のものを出させていただきまして、これを機会に教育関係者、ことに大学の教職員の画期的な給与の改善をはかりたい、かように考えたわけでございます。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 はなはだけしからぬ御発言です。この内閣委員会の審査する一般職の給与法改正のときに持ち出したのでは思うようにいかぬ。そこで、教育者の優遇のために、文教委員会においてこういう法案を出した。こういう、われわれの考えている一番悪い権道を歩んでおられるのですね。権道ですよ。給与法の権道ですからね。一般職の中の教育職の号俸の最高を修正することで、十分それがいくわけなんです。それをいつの間にか文教委員会でこそこそと十八万、十六万という、一般職の職におりながら、かってな法律をつくって、給与をきめてしまうということになれば、これは公務員の給与体系を権道でぶちこわすことになるのです。いかがですか。いいかげんなことをしてば困るですよ。
  165. 小林行雄

    ○小林政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、確かに御指摘のような御意見はあろうと思います。これにつきましては、文部省ばかりではなしに、内閣全体の問題といたしましても、実は人事院とも御相談をいたしまして、人事院も積極的にこれを是とすることではないかもしれませんけれども、こういう改定もやむを得ないという御承認も一応いただいておるわけでございます。もちろん、ただいま受田先生が御指摘のように、そういう一般職の教職員の給与に関する法律の俸給表の改定でいくのが正道かも存じませんが、私どもとしても、こういう方法もあるということでお願いをいたしておるわけであります。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 それはまた別な日にあらためますが、文部省は認証官にかこつけて、大学の認証官をこそこそとつくって、そうして俸給体系を全くめちゃくちゃにするような体系をつくっている。これは当委員会に出た総理府設置法の改正の認証官とつながりがある問題ですよ。文部行政というものはまっすぐの道を歩まなくちゃいかぬです。文部省は権道を歩んでおると思うのです。権道を歩んではいかぬ。この委員会に持ち込むと法案が通らぬというので、こそこそやるという御発言があったのですが、そういう人が人づくりの本部におられるということはいかぬです。  これは重大な問題でございますから、あらためて委員各位と相談してやります。質問を次回に譲るということにして、私の賛同を終わります。
  167. 永山忠則

    永山委員長 これにて質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  168. 永山忠則

    永山委員長 本案に対し藤原節夫君より修正案が提出されております。     ―――――――――――――
  169. 永山忠則

    永山委員長 この際、提出者より修正案の趣旨の説明を求めます。藤原節夫君。
  170. 藤原節夫

    ○藤原(節)委員 議題となりました総理府設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明いたします。  案文はお手元に配付いたしましたので、朗読は省略させていただきまして、要旨を申し上げますと、原案中一部の改正規定は昭和三十八年四月一日から施行することになっておりますが、すでに期日を経過しておりますので、これを公布の日に改め、総理府本府の定員に関する改正規定につきましては、本年四月一日に適用することにいたしたいという趣旨でございます。  何とぞ御賛成をお願いいたします。     ―――――――――――――
  171. 永山忠則

    永山委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。  総理府設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する藤原節夫君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  172. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  173. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。  これにて総理府設置法等の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  174. 永山忠則

    永山委員長 なお、ただいま議決いたしました二法案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は、来たる二十三日十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後二時三分散会      ――――◇―――――