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1963-03-28 第43回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十八日(木曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 内藤  隆君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石山 權作君    理事 岡崎 英城君 理事 藤原 節夫君    理事 石橋 政嗣君       内海 安吉君    辻  寛一君       保科善四郎君    笹本 一雄君       中村 梅吉君    前田 正男君       田口 誠治君    中村 高一君       受田 新吉君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (宮内庁皇室経         済主管)    小畑  忠君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         運輸事務官         (航空局長)  今井 栄文君  委員外出席者         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         海上保安庁次長 山崎  城君     ————————————— 三月二十二日  委員草野一郎平君及び笹本一雄辞任につき、  その補欠として上林榮吉君及び南條徳男君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員上林榮吉君及び南條徳男辞任につき、  その補欠として草野一郎平君及び笹本一雄君が  議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員飛鳥田一雄辞任につき、その補欠として  堂森芳夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十日  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一四九号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一九号)  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五五号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  去る二十日本委員会に付託されました内閣提出駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案議題として、政府より提案理由説明を求めます。徳安総理府総務長官
  3. 徳安實藏

    徳安政府委員 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  駐留軍関係離職者につきましては、昭和三十三年五月臨時措置法制定以来、これらの者の生活の安定のため、同法の規定に基ずきその対策に努めてきたところであります。その結果、駐留軍関係離職者対策として、かなり成果をあげることができましたが、同法は、本年五月十六日限りその有効期間が切れることになっております。  最近における駐留軍関係労務者離職状況を見ますに、この法律有効期間をさらに延長する必要が認められますとともに、特別給付金支給条件につきましても、法制定当時からの事情の変化を考えますと、この際これを改めて緩和する必要があると考えられます。  これがこの法律案を提出する理由であります。  次にこの法律案要旨について申し述べます。その第一は、特別給付金支給することのできる離職者の範囲を、昭和三十二年六月二十二日に在職していた労務者に限ることなく、軍関係労務者として一定期間以上在職した者のすべてとすることに改め、かつ、その在職期間の計算について、従来政令で定めていたところを法定することにしたことであり、第二は、法の有効期間を五年間延長することとしたことであります。なお、これに伴い、特別給付金支給についての経過規定を設けることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
  4. 永山忠則

    永山委員長 これについて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質議は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 永山忠則

    永山委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案議題として、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  6. 田口誠治

    田口(誠)委員 運輸省設置法の一部を改正する法律案改正内容につきましては、先般、同僚山内委員から相当突っ込んだ御質問を申し上げましたので、私はあまり法案の改正点については触れることを省略したいと思います。ただ、ここでお聞きをしておきたいと思いますることは、やはり運輸省といたしましても、交通運輸関係総合計画をお立てになっておるわけでございまするので、そういう面から、私は、今特に隘路とされておる面を二、三点にしぼって御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  きのう発行になりました週刊朝日をごらんになりますると、第一ページに、マンモス「日通」という見出しで、相当悪口が書いてあります。あの内容を見ますると、当然小運送業と表裏一体になっておる運輸省国鉄とは関連のあるものでございまするので、そういう点について、今後国民の要望にこたえるためにどう考えておられるかという点についてお聞きをいたしたいと思うわけでございます。まず、あの週刊朝日に載っておりまする問題は、特に四月の人事異動を控えて、大きな会社では、九州から北海道北海道から東京というような人事異動がなされる、その人事異動のなされるたびごとに、引越し荷物を送るために非常に困っておるということが話題の焦点になっておるわけでございます。そこで、その一つといたしましては、荷物日通に頼みましても、梱包をして荷物を集荷に来るまではいいけれども届くまでに相当の日にちがたつということと、それから相当料金がかかるということが指摘されておるわけでございます。もちろん、これは日本通運ばかりでなく、どの運送業者にいたしましても、荷主さんの方から、引っ越し荷物によらず、どんな荷物にいたしましても、申し込みがありますれば、誠心誠意、また最も敏速な方法をもって荷受けをいたすわけでございまするが、その場合に、特に年末年始とかあるいは四月の人事異動の場合なんかの引っ越し荷物に対する対策が、十分に運送業者としてもなされておらないという点が指摘されておるわけです。これは私は全く事実であろうと思うのです。御承知の通り、特に敏速な運送方法としては区間便制度がございます。ところが大都市におきましては、区間便の昼間乗り入れが禁止されておるというようなことから、荷物を受けて、それから送り先へ渡すまでに、非常に時間的にロスがあるということは事実なんです。従って、昨年特に東京都内交通緩和ということから、区間便の昼間の乗り入れを禁止するということを決定されたわけなんですが、その後の経緯と、今後ともそうしたことを続けられるものかどうか、この点をまず承りたいと思います。
  7. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 お答えいたします。  大都市、特に東京大阪附近中心路面交通混雑というものは、だんだんひどくなって参っております。この根本対策といたしましては、何と申しましても、地下鉄中心とします高速鉄道網を急速に整備いたしまして、なるべく路面交通というもの、特に人の面の路面交通というものをこれに吸収して参りまして、路面交通高速鉄道を総合的にそれぞれの分野において威力を発揮していこうというのが、根本的な考え方でございます。なお、これは運輸省の所管ではございませんが、自動車道路建設というようなものの高速道路あるいは一般道路というようなものも、建設省方面におきまして新しい計画で急速に整備をして参っております。現在工事中の段階にございます。従いまして、地下鉄あるいは道路というものが完成をしますれば、かなり整備された格好になると思いますが、現存の段階は、地下鉄の方もそれから道路の方も、特にオリンピックを前にいたしまして工事のまっ最中というわけでございまして、各地にいろいろな交通の障害というものが起きておることば事実でございます。特に路面交通というものを中心にいたしまして、これまた運輸省ではございませんが、警察取り締まりの面から、これは関係閣僚懇談会も組織されておりますが、混乱最小限度に食いとめるために、いろいろ交通規制というものをやむを得ず実施しております。御承知のように大型トラックであるとか、あるいは定期便トラックというもののある一定の時間の通行の制限を実施しております。年末にこれをさらに強化いたしまして、かなりの効果を上げておりますので、最近ますますまた混雑がひどくなりましたので、交通規制というものをさらに強化をして、年末のようなことをやろうという話が、現在交通関係閣僚懇談会に出ておるという段階でございます。
  8. 田口誠治

    田口(誠)委員 交通緩和の問題については、委員会に一任ということで、運輸省として計画を立てられたことは全然ないのですか。
  9. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 ただいま申し上げましたように、交通関係閣僚懇談会のメンバーとして運輸大臣が入りまして、それで警察方面と密接な連絡をとりながら、いかにして全体としての交通能率を上げようかということを考えておるわけでございまして、そういう面から、ただいま申し上げましたように、車種別、時間別規制というようなことを現在実施しておるわけでございます。
  10. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、現在と将来の問題がございまするが、ただいまの御答弁は、現在の交通飽和状態に対処して、大型トラックなり路線トラックの時間的な規制を行なっておる。これもやむを得ないことだということでございますが、これは、当面こうした交通状態飽和状態になった関係から、一つ緩和対策としてとられたことであって、将来ともこういうことは許されるべきものではないわけなんです。と申しまするのは、輸送業というのは、直接国民経済あるいは家庭とつながりを持つものであって、言いかえれば、公共的な使命が非常に多いわけなんです。こういう大きい使命を持っておる輸送規制するというような二とは、よほどのときでなければやるべき理由がないと思うのです。従って、そういう意味から、将来の展望ということもここに十分頭に描きながら、対策を立てていかなければならないと思うわけで、従って、現在は、東京都内では六十五万台くらいのトラック、乗用車が動いておるわけでございまするが、年々これがふえていっておるわけです。四、五年前からの統計を見ましても、非常に増加をいたしておるのです。従って、私は、今後ともこの数年間と同様に増加をしていくと思うわけでございまするが、それについては、地下鉄高架道路とかいろいろ今計画を立てられて、作業が進められておりまするが、その時期になりまするとまた車は多くなりまして、何ともならない状態になりはしないか、こういう心配があるのです。従って、運輸省としては、そういうような点を一応科学的に算出されて現在の計画が進められておるのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  11. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 運輸省といたしましては、ただいま田口先生のおっしゃったように、長期的な見通しのもとに、交通網整備ということを努力しておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、東京地下鉄高速鉄道網建設というものは、ある一定の将来の輸送量の伸びというものを想定いたしまして、これに見合うように各路線設定あるいは各路線における輸送力設定というものを計画しておるわけでございます。これに基づきまして、現在着々整備中でございます。なお、この地下鉄網設定輸送力計画というものも、これは路面交通——これは主として建設省のものでございますが、どのような道路がいつの時期につくられるというようなこともあわせ考えながら、総合的に長期的な見通しのもとにやっておるわけでございます。  なお、道路関連いたしますが、バスあるいはトラックターミナルというものも、東京付近には数カ所設定いたしたいというふうに考えております。これによりまして、大きな車両というものは、東京の周辺におきまして一応打ち切って、そこで小さい、たとえばトラックターミナルに例をとりますと、集配の車に積んでいくというようなことが考えられます。従って、都内大型車両トラックというものは入らないということも考えております。バスにつきましても、適当な地区にバスターミナルというものを建設いたしまして、これによって交通円滑化というものを考えていきたいというふうに考えておりまして、ただいま御質問のございましたように、一応長期的な見通しのもとに、交通量がどの程度ふえるということを想定いたしまして、総合的な対策を立てておるというのが現状でございます。
  12. 伊能繁次郎

    伊能委員 関連。ただいま官房長から、陸上交通に関する長期的な見通しのもとにいろいろと御計画をされておられるという御答弁があったわけで、それはまことに英京大阪等大都市交通を適正にするしに必要なことで、大へんけっこうだと思うのですが、その問題と当面の問題との調整をどうするかということについて、私どもいろいろ関係の各方面業界から聞いておりますところと、政府の施策とが、やや食い違っておるというか、政府部局内において必ずしも考え方が一致していないという点を見受けるので、はなはだ遺憾に思うのですが、最近の例では、将来の長期的な展望は別として、大阪のごときは、西の淀川から大阪市内へ入る主要な三つの橋を五トン以上——バスはもちろん、五トン以上の車は通ってはいけないということで、主としてトラックの昼間の輸送に非常な混乱を与えた。先般の規制においては、東京都内のごときは七トン半以上のものについての規制はされたのですが、五トンということになりますと、これは車のメーカーの生産の問題と不可分の関係もあるし、トラックターミナルバスターミナルができないうちにむやみに交通規制の面を重点に取り上げられて、交通の円滑な疎通という面に対する配慮がないということは、いたずらに交通を一そう混乱させる結果になりはしないか、この点が非常に憂慮されるわけでありまして、最近、東京都においても、何か五トン程度のもので規制をしょう、こういう考え方政府部内の一角にあるやに伺っておりますが、そうすると、他の問題は、一そう全般トラック輸送に大きな支障を与え、かたがた、これは別の問題でありますが、小運送料金等については、すでに昭和二十六年以来、若干の是正はした向きもありますが、十年以上にわたって運賃値上げを大してやってない、こういう状態で、一そう能率が悪くなり、原価が上がるというような問題もありますから、それらの点を、長期の展望と同時に、当面の具体策についてどうお考えになっておられるかも、官房長にお伺いしたいと思います。
  13. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 交通税制というものは、決して望ましいものではなくて、やむを得ず必要最小限度やっておるというのが、現状でございましてなるべく交通を円滑にするということが望ましいわけでございますが、せっぱ詰まりまして、やむを得ずいろいろ規制をやっておるというのが現状でございます。ただいま伊能先生からお話ございましたように、交通規制というものは、各般の商業活動に密接な関係がございますし、また影響するところもきわめて大きいわけでございますから、現在政府の一部にさらに規制を強化しようという話が確かに出ておるわけでございますが、運輸省といたしましては、交通規制成果を円滑に上げるということに重点を置きまして、十分慎重に対処をいたさなければいけないというふうに考えております。
  14. 伊能繁次郎

    伊能委員 それでは、政府部内における規制交通の適正な疎通、ことに運輸省が主管しておられる陸上交通全般を、適正に能率的に輸送完成させる問題と、規制の問題とを、どうぞ一つトラックターミナルバスターミナル、さらに東京都内における六号環状線、七号環状線等オリンピックを契機としての環状線と、都内へ入ってくる道路等関係を見合って、その方の交通疎通させるための整備施設と申しますか、トラックターミナルバスターミナルの問題についても、あわせて急速に一つ御検討願い、計画を立てていただきたいということを希望いたしておきます。  それから、それに関連をいたしまして、来年度の予算で、国有鉄道の希望によって運輸省予算政府部内に要求せられた国鉄民間に対する投資の問題のうち、倉庫関係についても投資内容が若干認められたようでありますが、あの問題も、世上一部には、国鉄倉庫事業に乗り出すというような誤解があるやに伺っておりますが、私ども交通関係から見ますと、御承知のように、当面、運輸省国鉄計画しておられる駅上倉庫、大駅における倉庫施設の問題は、たとえば汐留とか大阪梅田等計画があるやに伺っておりますが、これは平面的に使われておる今の東京都内汐留大阪中心部梅田等を立体的に使用して、ホームその他関係のあの構内に倉庫をつくるということは、小運送が一回省けるということと、もう一つ一般倉庫は五時になれば取り扱いを大体やめるというのが現状でございますが、鉄道においては徹夜作業をしておるので、五時過ぎても荷役ができて倉庫に納めるということ、かたがた、大きな車をあの中へ入れないで、適時適切な輸送が小運送によってできるというような点から、私は、国鉄民間業者に土地を提供して適切な倉庫都内あるいは主要都市中心部建設することは、大きい意味においては倉庫業界にとってば非常に大きな福音だ、かように考えておるのです。一部倉庫業界では誤解をしている向きがありますが、この辺は十分運輸省で適切な指導をせられて、すみやかに東京都内なり大阪その他大都市交通、小運送を適正に疎通する上においても、この問題の処理を、急速に一つ業界を集めて適正な指導をせられたいと思うのですが、その経過がどうなっておるか、お伺いしたい。
  15. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 まず、前段のバストラックターミナルの問題でございますが、運輸省の三十八年度の予算案にも入っておりまして、交通施設、これはバストラックターミナルを含めまして交通施設調査という名目で、いろいろ入っておりますので、予算が通りました場合には、有効に活用いたしまして十分な調査をし、なるべくすみやかに実現するような方向に持っていきたいというふうに考えております。  それから後段の御質問国鉄駅頭倉庫というものでございますが、これは今、先生御指摘になりましたように、かっては国鉄の表現の問題もございましたが、倉庫業界方面誤解がございまして、なかなか十分に理解が得られなかったわけでございますが、最近国鉄あるいは運輸省港湾局方面でもいろいろ努力をいたしておりまして、逐次この誤解が解けつつあるように考えております。従いまして、民間倉庫業を圧迫するという格好ではなくて、国鉄運送能率を高める、あるいは駅頭の、今先生いろいろおっしゃいましたような効率的な輸送をやるという点から、国鉄民間業者十分に話をつけまして、一体となって能率を上げるように、現在運輸省指導しておりまして、その方向で解決が見られるものというふうに考えております。
  16. 田口誠治

    田口(誠)委員 前に戻りますが、今東京都内地下鉄なり高速道路なりの作業をやっておりますが、これは来年のオリンピックを目標に完成をしたい、こういうことなんです。しかし、現在の自家用車営業車とのパーセンテージの比較をしてみまするに、営業車というのはきわめて少ないわけなんです。どんどんと自家用車はふえていきます。従って、地下鉄ができまして人間の輸送は十分緩和されるということになりましても、自家用車というのはどんどんふえていきますから、路面に対するところの交通緩和ということは、将来に向かって私はちょっと困難ではないかと思う。そう考えますと、今規制されておるところの大型トラックなりバスなりあるいは区間便なりの昼間の乗り入れ規制は、これはちょっと解く見通しがないのではないか、こういうように考えるわけなんです。  そこで、私は運輸省として考えていただかなくてはならないと思いますことは、少なくとも輸送業国民経済なりそれぞれの家庭と直結をしておる公共的な仕事でありますから、できる限りコストも安くしなければならない、こういうことをまず頭に置いていただかなくてはならないと思います。それで、コストを安くするということになりますと、ただいま規制されておるように、夜間でなければ大型トラックなり区間便乗り入ればできないのだ、自由自在に配達ができないのだということになりますと、必然的にそこに使用しておる従業員賃金には割増しをつけなくてはならない。それだけやはりコストは高くなる。今伊能先生の方から御質問の中でお話がありましたように、認可料金の問題なんかも、六年前にちょっと改正をいたしたきりで、改正はなされておりません。そうなりますと、私は、昨日週刊雑誌を買って、読んでつくづく考えたわけでございますが、どこかの例が書いてありました。その例は、発駅から着駅、それから家庭に運ばれるまでの日時が非常に多くたち過ぎておるということなんです。私ども運送屋育ちの者として考えてみましても、これはやはり常識的に考えられぬくらい延びておるわけなんです。それで、その内容を調べてみますと、これは事実あったのかなかったのか、記事として書いてあっただけかもわかりませんけれども日通が他の中小企業運送業者配達委託しておったということなんです。従って、委託をしたために、その運送業者合間ひまを見て配達をしたためにおくれたということなんです。そしてなぜ大きな日本通運たるものがそうした配達を他の中小企業の小運送業者委託配達をさせなければならないかといえば、これは実際においてコストが合わないわけなんです。それよりは、悪いことでございますけれども、現在できておる幾つかの中小企業運送屋さんは、労働者を安い賃金で使っておりますし、そうして時間的にも労働基準法に違反するようなことも堂々とやっておるわけなんです。こういうことをやれば、安く請け負っておっても、やはり採算が立つわけなんです。こういうようなことから、私は、週刊雑誌に書かれておるような記事が出たのではないか、かように考えて読んだわけですが、これは内容的にはきわめて重大なものであると考えなければならないと思うのです。大型トラックが自由に乗り入れできない、時間的に規制されておる、時間的に規制されておることが、結局コスト高ということになることにおいて、業者としては採算が合わない。幾ら公共的な事業をやっておるといっても、やはり株式会社であれば、採算の立たないようなことは好まないわけでございます。そうかといって、ここで認可料金を上げてみても、これはやはり国民から不評判でもあり、なるべくそういうことは慎まなければならないわけで、でき得る限り現在の認可料金のもとにおいて運送業者も成り立つ、それから荷物も敏速に家庭から家庭へ、事業所から事業所輸送されるような制度内容をつくり上げてもらわなくてはならないと思うのです。こういう点から考えてみますと、今日の運輸行政というものに対しましては大きな隘路があるのではないか、私はかように考えておるわけです。従って、ただいま御答弁のありましたように、来年になれば地下鉄完成をする、高速道路もできる云々と言われますけれども営業車というものは、パーセンテージからいくときわめて少ないわけで、どんどんと自家用車はふえてきておるのだから、来年、再来年になればまたふえます。ふえますから、地下鉄完成をしても、高速道路完成しても、この東京都内の現在の路面交通緩和されるということは、あまり期待ができないのではないか。こういうことを考えますと、今時間的に規制されておるところの大型トラックあるいは路線便なりの規制は、いつになったら解けるか、これを解いてもらわなければ、やはりコスト高国民大衆は非常に迷惑になるのだ、こういうことから、私はもう少し具体的な計画をここでお聞きをしなければ、ちょっとあとへ下がれないわけなんですが、でき得るだけ具体的な内容を御説明をしていただき、将来のことと、それから現在の状態とを考え合わした上に立って、こうするんだという点を明確にお示しをいただきたいと思います。
  17. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 交通規制のやり方というのは、非常にむずかしいわけでございまして、規制をやらないのが一番望ましいともちろん考えておりますが、やむを得ず現在実施しているわけでございます。車のふえ方から考えますと、自家用車というものは急速にふえて参るということも事実だと考えます。それで、交通規制を、自家用車営業車、調和のとれた格好でやっていくということを当面の問題として考えるわけでございまして、自家用車につきましては、車庫の設置というものを最近義務づけておりますし、また、路面を有効に使うために、駐車禁止区域というものを逐次広げて参っておりますので、そういった格好で、逐次自家用車に対する規制というものが行なわれておるわけでございます。それから営業車につきましては、先生御指摘になりましたように、営業車というものは公共性が強いわけでございまして、交通規制であるいは輸送の円滑を欠くということになりますと、勢い輸送の原価が高くなる。従いまして、国民生活あるいは経済活動に影響するところが非常に大きいわけでございまして、現在もやむを得ずある程度の規制は実施しておるわけでございますが、これを急速に解くというわけにはなかなか参りませんし、あるいは現在お話が出ておりますように、今後さらに規制を強化するという考え方も一部にはございますが、自家用車あるいは営業車、バランスのとれた規制の仕方——私どもとしましては、営業車というものは、ただいま申し上げましたように、公共的な性格が強く、国民生活あるいは経済活動に甚大な影響がございますので、なるべくこういった面に影響を与えないような格好で考えて参りたい。しかし、全体の交通税制というものから、ある程度の規制というものは、ここしばらくの間はやはり続けていかなければならぬのではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、交通規制につきましては、政府部内交通関係閣僚懇談会、あるいはその下部機構としまして交通対策本部というものが設けられておりますので、そこで関係方面と緊密な連絡をとりながら、慎重に対処して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 田口誠治

    田口(誠)委員 参考に具体的な数字をお伺いいたしたいと思いますが、東京都内で、これは何月現在になりますかわかりませんけれども、現在何台の乗り入れ台数があるかということと、それから営業車自家用車を区別して一つお示しをいただきたいと思います。
  19. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 私、ただいま手元にこまかい数字を持っておりませんので、後ほど資料で提出をいたします。
  20. 田口誠治

    田口(誠)委員 あとから数字をお示しいただけばわかりますように、営業車というのはわずかでございまして、パーセンテージは少のうございます。それから年々ふえる自家用車は非常に多いわけです。こういう点から今後の交通対策を練ってもらわなければならないと思います。従って、私はくどいように申し上げるのですが、やはり公共的使命を持っておる事業に対して規制をするということは、これは好ましくないくらいではない、もってのほかだと思うのです。従って、そういうことから、一日も早く乗り入れ規制を解かれるような方途を運輸省としても考えていただきたいと思います。  それから、私鉄運賃も今度は値上げになるとか、いろいろ問題になっておりますが、この小運送認可料金というものにつきましては、まだ話題に上っておらないのか、それともどれだけか進行しておるものか、一つ政府の御見解を承りたいと思います。
  21. 宮田康久

    ○宮田説明員 直接の所掌ではございませんが、この資料で御説明申し上げますと、大都市の集配割増料金につきましては、三十七年二月七日付をもちまして、最近の都市交通の輻湊による運転効率の低下という観点から、東京都区内及び大阪市内所在駅に発着する貨物の集荷料または配達料の加算料金を、車扱いが一トンまでごとに三十二円、小口扱い、これは小口混載を含みますが、五十キログラムごとに十円という加算料金を認めております。
  22. 田口誠治

    田口(誠)委員 その割増の関係承知しておりますが、全般的な認可料金につきましてはまだ構想も何もないかということ、私はその値上げを主張しておるものではありませんけれども、その点まず承っておきたいと思います。その前提は、今度私鉄の料金が上がれば、小運送認可料金も上がるんだというようなことが世間には流布されておるから、私はお伺いをしておるのです。なければないでいい、あればあるでよろしいのです。
  23. 広瀬真一

    広瀬(真)政府委員 大手の私鉄運賃につきましては、すでに改定を実施しております。それで、通運事業の運賃料金の変更につきましては、すでに日通その他の業者から認可申請が出ておりますが、これは現在運輸省といたしましては慎重に検討中でございます。
  24. 田口誠治

    田口(誠)委員 この点については、これ以上突っ込んだ質問はいたしません。ただ、先ほど私が申しましたように、現在の運送業者は自由な時間に自由に運送ができない、配達ができない、集荷ができないということから、非常に作業がしにくいということと、それからコスト高になっておるということなんです。それで、日本通運のような大きな会社であっても、従業員の待遇なんかは、国家公務員よりもベースが四千円も下回っておるような状態なんです。それは労働組合のストライキの仕方が悪いのかわかりませんけれども、幾らストライキをしてみても、ないものはとれないと思いますが、そういう労使関係のことは別といたしましても、やはり日本通運ですら、従業員が公務員の給与より四千円ほど下回っておりますし、その他今の相当利益を得ておるところのメーカーの大会社と比較いたしますと、七千円も八千円も違っておるわけです。こういうような状態のもとに働いておるのですから、最近認可を得て運送業を始める中小企業の小運送業者労働者というものは、非常に低賃金で労働強化をさせられ、内容に至っては労働基準法に違反するようなことが非常にたくさんあって、今まで日本通運なんかで取り扱った荷物をダンピングによって獲得するというのが現状であるわけでございますので、こういうような状態を放任しておくことは、私は好ましくないと思います。従って、私は、運輸省としては交通緩和対策を早急に完全なものに実現化されて、現在規制されておるものを早く解くようにされることを強く要望を申し上げたいと思うわけです。  それから、国鉄の方お見えになっておりますね。国鉄関係でございますが、定員が非常に不足をいたしておりまして、国民に対するところのサービスが欠けておる面があるのじゃないかと私は思うのです。これは率直に申しまして、国鉄従業員に欠陥があるのではなくして、定員不足のために、どうしても手が回らない、手が回らないから、国民大衆に対するところのサービスが欠けがちだということなんです。それで、私はおととい上野の駅へ行って参りましたが、上野の駅あたりはもう乗降者が多くて、横へ横切ろうと思ってもどうしようと思っても、何ともならぬのです。だから、私は、国鉄としてああした混雑を緩和するために、たとえば上野の駅あたりをどういうように考えておられるのか、承りたいとおととい思っておったのです。上野の駅を対象に出したわけですが、何か構想ございますか。
  25. 岡本悟

    ○岡本政府委員 国鉄の定員は、仰せのように最近増加いたしておりません。しかし、国鉄の経営上、人件費の圧迫というものは大きなものでございまして、大体経営費の六〇%近いものが人件費であります。経営の合理化という観点からできるだけ仕事を機械化いたしまして、人件費の増大を妨ぐということは、きわめて肝要なことであろうと考えております。ただ、仰せのように、サービス面の低下ということが心配されますけれども、これも機械化あるいは施設の拡充によりまして補う、こういうことが必要であろうと思いますし、また、国民の側から見ますというと、最近の物価の値上がりは、サービス関係が御承知のように中心でございまして、やはり人手の不足と申しますか、別の面から見ますと、先進国の経済の型に移行しておるというふうに言われておりますけれども、そういうことから申しますと、多少のサービスの低下はある程度は忍んでもらわなければならぬというふうに考えております。御指摘の上野駅の設備の問題でございますけれども国鉄は、もちろん、現在の上野駅は非常に設備が悪いということはよく承知いたしておりますので、全面的な改築の計画を今練っておるのであります。新しい民衆駅の格好でこれを取り上げるというふうな構想のもとに、いろいろ具体的な計画を練っておると承知をいたしております。
  26. 田口誠治

    田口(誠)委員 予算を乱費するというようなことは、これは慎まなければならないし、機械化によって能率を上げ、サービスの向上をはかるということは、これは当然やっていただかなくてはならないと思うのですが、私はどこの駅とも申しませんけれども、わかりやすい例を申し上げますが、出札のところへ行きまして、今度の特急券はどこで買うのですかと窓口で聞きますと、あまりにも仕事がせわしいから、一々いなかから来た人に応待しておってはなかなか仕事になりませんので、上に書いてある、こう言うのです。なるほど上を見ればそれは書いてありますが、これは全くの一例ですけれども、多かれ少なかれ、こういうことがあり得るのです。駅へ行ってみますと、あちらにも広告、こちらにも広告、いろいろな張り紙や広告が出ておりまして、自分の得ようとするものを見つけようとしましても、変わった駅へ行きましては、私どものように方々の駅へ行く者ですら、直接聞かなければわからない場合があるわけなんです。従って、あまり旅行なんかしない人たちが汽車に乗られる場合には、やはり国鉄の職員の人にいろいろなことを聞かれる。聞かれれば、あそこへ行って聞けと言う。それはちゃんとそこを曲がってこう行ってああ行ってこうだと教えてくれればわかるけれども、あそこへと言ったってなかなかわかりませんし、上に書いてあるということになれば、なるほど見れば上に書いてあるけれども、その言葉を受けた大衆の印象というものは、国鉄は非常にサービスが悪いということです。これは、私が汽車に乗って、私と座席をともにしておった方が、このごろは国鉄は非常にサービスが悪いですね、こう言われたから、はあ、どういうことなんですかと言ったら、実はこういうことを聞いたら、上に書いてある、こう言った、なるほど上を見たら書いてあるけれども、それでは国鉄従業員としての勤めにならぬのじゃないですか、こういう話しかけをされたのです。そこで、私は、それはごもっともです、ところが、それぞれの仕事の部署についている国鉄従業員は、一々お客さんからそういうようなことを聞かれても、丁寧に説明をしておる余裕がないのだ、やはり国鉄は独立採算制を頭に置いて事を進めておるから、なかなかそういう余裕のあるような定員の確保がなされておらないのだから、これは大衆の声として、従業員の定員をふやし、そして大衆へサービスするような方法をとってもらわなければいけませんねという話を私はいたしたのであります。一例を申し上げたのですが、こういう状態なんです。機械化によって云々とか、机上プランというものはいろいろできますけれども、実際面に当たりますと、これは大衆の満足するような現状ではないということなんです。従って、私は、独立採算制も必要ではございましょうけれども、少なくとも国有鉄道は、赤字が出るから、国民大衆に迷惑がかかっても定員は絶対にふやせぬのだというような、また十分なる科学の進んだところの機械設備ができないのだというようなことであってはならならと思うのです。こういう点については国の方から予算をとって、交通網の完全を期し、そしてサービス部門としての万全を期さなければならない、かように考えておるのですが、その点はどのようにお考えなんですか。
  27. 岡本悟

    ○岡本政府委員 窓口のサービスの問題でございますが、実は私自身のことを申し上げて恐縮でございますが、私も学生時代に国鉄の窓口で非常に冷たい仕打ちを受けたことがございまして、非常に腹を立てたことがございます。これはずいぶん昔でございますが、そこで、やはり従業員の心がまえの問題であろうかと思いまして、必ずしも人手云々にはよらないんじゃないかというふうにも考えられます。先ほど申し上げましたように、できるだけ人手をふやしてサービスに万全を期するということは、もちろん必要でございますけれども、経営の合理化という観点からいいまして、むやみに人をふやすというわけにも参りません。特に昨今よく話題に上りますそば屋の出前の問題でございますけれども、おそらくこういった人的なサービスの面はだんだん低下していく、あるいは出前をしなくなるということになっていくだろうと思うのです。アメリカでも、御承知のように、鉄道のそういう人的サービスの面はずいぶん悪く、たとえば駅弁もやらない、あるいは発車ベルも鳴らさぬとか、そういうことで、わが国とは格段の相違があるようでございますけれども、人手が非常に足りない、人件費が高い、こういうことから、やむを得ない現象ではないかと存じております。やはり従業員の訓練をきびしくやりまして、そういったサービスの面を精神的な面で補う、こういうこと以外に方法はない、かように考えております。
  28. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは解決できないんです。訓練をさして精神面によってこれを解決するということでは、私は解決できないと思う。先ほど申しましたように、窓口で十分なサービスができないということは、それは、あなたが窓口にすわって、今いろいろと座席指定なんかの場合に、どこがあいておるとかあいておらぬとかいって、一生懸命に調べて次から次へ売っておる。お客さんがずっと長蛇のごとく並んでおる。時間を切って仕事はしてやらなければならない、こういうようなときには、いかに精神的訓練をされておっても、聞かれた人に十分納得のいくような説明をする余裕はないと私は思うのです。それで、これを一つ解決する方法としては、東京駅のようなああいう大都市の駅ですら、鉄道案内所はどの程度ですか、四メーターか五メーターの間口で、二人か三人しかおらない。場合によっては、その人手も一人くらいしかすわっておらないときがあるわけなんです。だから、あの案内所には山のように人がたかっておって、聞こうと思っても聞けないわけなんです。聞けないから、そこらに歩いておる鉄道の制服を着ておる職員にいろいろなことを聞く。聞くけれども、自分はその衝に当たっておらぬから、わからぬから、あすこに行って聞いて下さい、これは無理のないことなんです。だから、窓口のそうした仕事を緩和したり、大衆に満足のいくようなサービスをしようとすれば、まず一つ方法としては、十分に鉄道案内所を設置するということだと思うのです。これは今東京駅に行ってごらんなさい。あの狭いところで案内所があるんですが、そこには山のように大衆が押しかけておるわけであります。そうして、幾ら待っていてもとても自分の番が回ってこないから、やむを得ず窓口へ行って聞いたり、構内を掃除している職員に聞いたりするわけなんです。構内を掃除している職員に聞いてみても、幾ら制服を着て国鉄の職員だといったとて、これは、私は、聞く内容によってはなかなかわからないと思うので、わからないので十分に教えてもらえないことが、国鉄はサービスが悪いんだという一言で大衆は吹聴しているわけなんです。こういう点を考えてみなくてはならないと私は思うのです、あなたの言われるように、従業員の精神の問題だとか、質の問題だとか、こういうことでは私は解決できないと思うのです。だから、単なる机上のプランでなしに、実際にいなかのお父さんなりお母さんなりを連れていって、上野駅なり東京駅で切符を買わせて、どこかへ乗車さしてみなさい。どのくらい手間どるか、この人たちがいなかから出てきてあのたくさんの広告のある中で見て、はっきりわかるような指示がしてあるかどうかということなんです。私どもが考えましては、実際はそうでないわけなんですよ。手荷物預かり所には荷物がありますから、預かり所ということは一番わかりやすいですけれども、その他のことは全くわかりにくいわけなんです。こういうことの研究をしてみなければならないのですが、こういう方面への研究をなされているのか、こういう方面隘路があるということをまだ御存じないのかどうか、この点お聞きをしたい。
  29. 岡本悟

    ○岡本政府委員 確かにそういう面につきましては足りないところも多いかと存じます。しかし、国鉄もその方面はだいぶ研究して参りまして、たとえ、ば国電の車体の色をいろいろ分けまして、御承知のように、湘南電車はああいった色、山手線はカナリヤ色であるとか、そういったふうに色で識別できるような方法をとるとか、いろいろ考えて採用しているのでございますが、確かにいなかからぽっと出てきまして、一見して自分の乗りたい車に乗れるというふうな面におきましては、足りない点があるかと私ども存じますが、十分御意見を拝聴いたしましたので、国鉄をそのように監督、指導していきたい、このように考えております。
  30. 田口誠治

    田口(誠)委員 十分にその点を研究していただきたいと思います。まず東京駅と上野駅の案内所へ行ってごらんなさい。あの程度の案内所であの大衆に十分にサービスができるかどうかということ、私は、まずこれが一番早わかりだと思います。その点強く要望申し上げておきます。  それから、昨年も臨海工業地帯に対する国鉄からの投資を行なって、倉庫業をやろうという法律もできましたが、国鉄も多角経営というようなことを独立採算制を維持していく上において考えておられるようでございまするが、これはその時とおりによっては、私はいろいろと考えていただいてもいいと思いますけれども、実際に国鉄の任務であるところのサービスその他の万全がよう期せないうちに、その他の方へ手を回してみても、私はこれは無意味であろうと思うのです。そういうことから、私は、国鉄の多角経営というような面につきましては、これはよほど慎重に検討をしてやらなければならないものではないか、かように考えております。  まだいろいろ実例を引いて御質問申し上げたい点がありますけれども、およそ理事会で時間的な面も考えておられるようでございますので、これ以上は私は質問申し上げません。ただ、ただいままで質問申し上げました幾つかのことを、運輸大臣がじっと聞いていただいたわけなんですが、総括的に運輸大臣から私どもの納得のいくような御答弁をいただいて、そうして運輸行政の万全を期していただきたい、かように考えまして、運輸大臣答弁を伺って、私の質問を打ち切らしていただきたいと思います。
  31. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 質問の御趣旨、よく了解いたしました。独立採算制と公共性ということは、日本国有鉄道に課せられた重大な問題であり、また難解でございまして、ある面にいけば独立採算制を無視して、やれ合理化をやれ何をやれといって経費の面から責められ、また、サービスの面は、確かに御趣旨のようなことはたくさんあります。それを逐次独立採算制を維持しながら、そのサービスに主たる点を置きまして改善せしむるよう努力いたしたいと思います。      ————◇—————
  32. 永山忠則

    永山委員長 次に、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題として、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  33. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは、次は皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、皇室経済法の改正内容と、それから特に皇室経済のことは私どもはあまり内容的にわかりませんので、場合によっては具体的にお聞きする面がございまするので、そのように御了承いただいて、御答弁をいただきたいと思います。一昨年でしたか、皇居の内部を若干見せていただきましたが、建造物は非常に古い。僕らが外で考えておったより非常に悪い建物ばかりであって、これが宮様のお住まいになっておるところか、これが天皇、皇后のお住まいになっておったところかといってびっくりするほど、建造物は悪かったわけなんです。従って、私は、今度提案されておるところの、新しく改造をするところの宮内庁の病院外数件は、そういうことから提案されておるものと拝聴しておるわけなんです。  そこで、まず最初に、お聞きをいたしたいと思いますることは、これは週刊雑誌等で僕ら読んでおるわけでございまするが、明治憲法と、それから新憲法下における天皇の地位、あるいは皇室の経費の費用の要り力につきましては、相違があろうと思いますけれども、よく宮様なんかの場合には、いろいろな会の顧問をしたり、言葉をかえて言えば、何々スポーツ会の顧問をしておるというようなことから、そういう方面からの若干の収入もあるので、ようやく宮様としての品位を保っていけるのだというようなことがよく書かれておるわけなんですが、実際において戦前と戦後とで大きく違ったという点は、どういう点が違っておるかということです。ということは、私は憲法の上からくるところのことはよろしいです。ただ、費用の面について私はお伺いをいたしたいと思います。
  34. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 戦前の皇室全体の収入といいますか、経費というものと、現在の額と比較いたしますと、そこに大きな開きがございます。戦前ですと、皇室へ国庫から毎年四百五十万を入れられる。そのほかに、皇室財産がたくさんございまして、その中で大きなものは御料林のようなものでございますが、そうした皇室財産からの収入というものが、年によって違いますけれども、おおむね一千万円程度です。これを合わせますと千五百万円くらいですか、物価指数をそれにおかけになりますと金額が出て参りますが、四百倍をかければ六十億になるわけでございます。現在の皇室の方の予算関係は、白室費の関係で年によって——だんだんふえて参りましたが、それにいたしましても、ことしは約九億くらいになっております。これは皇居造営の関係で四億ふえたが、去年は五億でございます。そのほかに、宮内庁費といういわゆる事務費の関係、そういうものも加えまして、昨年は十二億でございましたが、今年は今申しましたように造営の関係でふえましたものですから、約十八億近くになっております。しかし、以前の六十億から比較いたしますれば、その収入というものはぐっと少なくなっております。以前と違いまして、いろいろなされ方も簡素化されておりまするから、そういう関係で、経費のかかる点も以前ほどかかりません。でございますから、そういう大きな経済的な幅において違いがございます。しかし、今お尋ねの中にちょっとありましたが、宮様が何かいろいろ団体の顧問をされて、その顧問の収入を得られるので、やっとこの経費をまかなっておられるということはございませんです。皇族さんがいろいろの協会の総裁とか役員をなさっておりまするが、これは主として名誉職的であります。実際大会なんかにおでかけのときの実費は、その方の協会から出しますけれども、年幾らというふうな報酬をとっておるわけではございませんので、このことは特に収入として考えることはできないのでありまして、現在の宮様でありますと、今までこの皇族費の定額が四百二十万だったのを、今度五十万ふやして四百七十万円にしていただこうとしておりますが、その収入が主たる収入で、そのほか、預金と債券等による収入が幾らかある。しかし、大部分はこの歳費によってなさっておるというのが実情でございます。
  35. 田口誠治

    田口(誠)委員 今御答弁の中に、皇室財産云々というお言葉がございましたので、多少それについて疑問な点がございますので、お聞きをいたしたいと思うのでございますが、昭和二十年十月三日付で占領軍司令部が発表したのは、十五億という発表をいたしております。ところが、二十二年二月二十日付宮内省の発表は、三十七億一千万円と発表をしておるわけであります。相当これは相違があるわけなんですが、占領軍の方から発表されたものの中には、官内名の発表した内容と相違があるのかどうかということ、あるいは単価が上がったのかどうか。そうでなければ、一年や二年のうちに倍になるということはちょっと考えられない。銀座のまん中でございますれば、相当土地が年々上がっておりますけれども、宮内省の内部の皇室財産が、そのときによって倍になったり半分に計算できたりするということは、私はないと思います。この点がちょっと不思議でならないので、お聞きをいたしたいと思います。
  36. 小畑忠

    ○小畑政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、仰せの通り、司令部の方の発表とその後の関係等におきまして開きがございますが、内容的には、司令部の方の発表と、その後に公に宮内庁が発表されました点と、何ら違いがないわけでございます。ただ、評価の上におきまして、立木その他の評価がまだはっきりいたしていないものでございましたから、終戦当時の司令部の発表は、その点の計数が大きく違っているような次第でございます。その後、三十七億一千万円の金額と申しますのは、財産税を納めますときの基礎的なことといたしまして、評価委員会におきまして公に定められました単価その他によりまして積み上げました結果が、そのようなことになっておりますので、内容的には、一方は抜けており、一方は入っておるということはなかったわけでございます。
  37. 田口誠治

    田口(誠)委員 二十一年二月二十日以降の三十七億一千万円というのは、この評価はまだ変わっておりませんか。
  38. 小畑忠

    ○小畑政府委員 御承知の通り、終戦当時それだけの皇室財産があったわけでございますけれども、大きく申しまして、九割近くが財産税で国家の財産の方へ移りましたし、その当時の純粋の皇室財産として残りましたのは、若干のお手元関係の財産だけが公に皇室の財産ということになっておる次第でございまして、全然基礎的なことが違っておるわけでございます。
  39. 田口誠治

    田口(誠)委員 こういう質問はおかしいかもしれませんが、今度政府は、今年の七月基本方針を立て、来年の一月までに不動産の評価がえを行なうわけなんです。従って、こういう政府の施策に伴って、皇室関係の財産というのは、やはり同時にそうした評価がえというようなことがなされるのか、これは全く別個なものかどうかということもお伺いしたいと思います。
  40. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 私も新聞で見た程度ですが、評価がえの対象は不動産ですけれども、現在皇室財産としてはそういうような不動産はないわけであります。しいて言えば、宮中三殿の建物、ごく小さなものがありますが、それ以外でございますと、いろいろの土地、建物は、国有財産で皇室の用に供するということになっておるだけでございますから、皇室財産ではないわけであります。
  41. 田口誠治

    田口(誠)委員 私もこれは雑誌で見たり新聞で見たりしたことを申し上げてお聞きするので、質問内容が当を得ておるかどうかわかりませんけれども、皇室財産といえば、有価証券、それから土地、建物、森林というのですか、森林とまではいいませんが、植木、雑木というようなものがその対象になるのだ、こういうようなことも承っておるのです。それで、こういうものと皇室財産というものとは違っておるのか、皇室財産というのは、ただいま御答弁のあった範囲内のものであるのか、ただいま私が質問申し上げましたような内容のものは何に属するものか、この点一つお教え願いたいと思います。
  42. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 世間でよく、国有財産であって、それを皇室用に供する財産となっておりますものを、皇室の御所有のものであるように誤解をされている方がありまして、ときによると、いろいろ雑誌なんかに書かれる場合に、そういう誤解に基づいて書かれているものもございます。たとえば現在の皇居、あれは皇室の用に供する国有財産で、皇室財産ではないわけです。今お話がありましたが、そのほか、いろいろな牧場とか、陵墓、これもみな国有財産であります。それを皇室の用に供するということになっておるわけであります。そのような皇室用財産から収入がもし出ると——収入が出るというのは、三里塚の御料牧場くらいのものでございますが、その収入は全額国庫収入になるわけです。皇室の収入にはならないのであります。しかし、一面それに必要な経費も国庫から支弁しておるわけですから、結局、そういうところの収入というのは国庫へみな入るわけであります。皇室で今御所有になっておりまする財産といいますると、先ほどちょっと経済主管が申しましたが、ちょうど終戦後に、憲法の条文に基づきまして、皇室財産は一応全部国有にする、しかしながら、やはり不時の場合の経費が要るでしょうというので、そのうちのごく一部分、これもすでに発表になっておりますから、金額を申しますと、その当時では千五百万円、その範囲だけば残して、あとは全部国の方へいったわけです。その後、いろいろ内廷費その他ずっともし余りますと、それを貯金する、そういうもので不時の用に供するものをある程度残してございます。そのほかには、身回り品、御洋服だとかそういうような身回り品は、皇室の御所有でございます。そういうようなことで、一般では、国有財産である皇室用財産と皇室財産を混同なさっている場合があるということを申し上げたいと思います。
  43. 田口誠治

    田口(誠)委員 皇室経済法施行法によって、内廷費とか宮廷費とか皇族費とか決定されて、そのつど必要に応じて改定されておるわけなんですが、これは国の予算関係と対照的にお聞きすることもまたおかしいかもわかりませんが、国の予算の場合には決算をしますね。ところが、皇室経済関係予算の場合には、決算をしたとか、決算書というようなものは見たことはないんですが、こういう処理は、もう全くほおりっぱなしであるのか、何かどこかでそういう決算的なものをなされておるのか、その経緯を一つ説明願いたいと思います。
  44. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この皇室費と申します中に、内廷費と皇族費と宮廷費、その三つの項目があるわけであります。内廷費ですと、三十八年度予算では、六千万円の予算になっております。皇族費は全体で二千百十五万円、それから宮廷費として八億三千三百二十一万円上がっております。このうちで、内廷費と皇族費は、これは皇室経済法の規則によりまして、これはお手元に渡れば私経済になる。宮内庁の扱う公金とはしない。ちょうどわれわれの俸給ですとか、皆様の歳費をおもらいになりますそれに当たるわけであります。それでお手元に渡った後は、これは公金ではないのであります。従って、その部分については、私経済ですから、これは普通の私経済について一々公に決算をいたすということはないわけであります。しかし、宮廷費の力は、この八億三千三百二十一万円の部分につきましては、これは公の経理に属する経費でございますから、これに決算を出して、決算委員会でもいろいろ審議を受けております。これはどうして使ったということの御説明もいたしたりしておるわけであります。
  45. 田口誠治

    田口(誠)委員 私どもの把握しておりまする範囲は、内廷費とは、天皇、皇后、皇太子、皇太子妃、それから宮様の経費をいうというように、常識的に判断しているわけであります。それから宮廷費は、陛下が国の象徴としての品位を保ちつつ行動される行動費というか、活動費というか、これは皇太子も含めてであろうと思いますが、こういう場合に、天皇、皇后両陛下の場合と、皇太子、皇太子妃の場合、外国へおいでになる場合には、宮廷費の中へ入るのですか。
  46. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 外国に出かける場合は、宮廷費の方に入るわけであります。
  47. 田口誠治

    田口(誠)委員 今年の場合には、外国へおいでになる予算というものは入っておらないですね。
  48. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 今年度の予算で、三笠宮様がトルコにお出かけになります経費が入っています。それだけでございます。従来も外国へお出かけの経費は、概して言いますと、そのつど特に予備費を出していただきまして、それでまかなっていたことが多いわけであります。と申しますのは、ちょうど予算の編成をする際に、相手国との間に何日間くらいの御予定でどういうふうに御旅行されるというふうなことがきまっていない場合が多いわけでありますから、そういうようなことがきまりましたときに、それに必要な経費を予備費をもって支弁しておる場合もあるわけでございます。それは決算の方に出て参ります。
  49. 田口誠治

    田口(誠)委員 秩父宮様の場合は妃殿下でございますから、これは金額に相通はあると思います。ところが、高松宮様、三笠宮様の場合は、これは今の外聞へ御旅行になる分だけは金額に相違があろうと思いまするけれども、その他は相違はございませんですか。これは妃殿下の場合の相違はございますね。
  50. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 その他と申しますと、どういうことかちょっとはっきりつかめないのでございますが……。
  51. 田口誠治

    田口(誠)委員 たとえば妃殿下の場合は、秩父宮様に五百万円なら五百万円出るということになりますれば、妃殿下の場合には二分一といたします、こういうきまりがあるのでしょう。そうなりますると、私どもがほかの文章で見ました秩父宮さんと高松宮さん、三笠官さんの皇族費が、金額に相違がございまするので、ただいまのように三笠宮様が外国へ御旅行になるということになれば、これは相違があってもいいのですけれども、その他の場合に金額に相違があるということはちょっとおかしいので、お伺いをしておるのですが、これは相違があるということは私の方の間違いであって相違がないというように受け取っておいてよろしいのですか。
  52. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 皇子の方が全額、その配偶者の方が二分の一というのは、これは皇族費の算出の方法についてだけでございます。外国に御旅行になる経費というのは、これは実際に必要な経費を予算で組みますから、その場合、その場合によって実際に要る経費だけを組むわけでございまして、これは秩父宮妃殿下の場合でございます。高松宮様、三笠宮様の場合でありましても、実際に要る経費を組みますから、根本の考え方は変わらないわけであります。
  53. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっとこまかいところへ入って恐縮でございますが、天皇、皇后あるいは皇太子、皇太子妃の場合には、正式の名前は何というのかわかりませんけれども、つき添いの方がお見えになる、お手伝いの方がお見えになります。これは今何人くらいお見えになるのですか。直接内廷費から出るところの雇い人というのは何名か、こういう聞き方がわかりやすいでしょうね。
  54. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在内廷費から出ておりまする人件費としては、二十五人分であります。侍従職の人は内廷費ではございません。宮内庁では国家公務員としてお仕事をしておるということになっております。
  55. 田口誠治

    田口(誠)委員 この内廷職員というのは国家公務員ですか。
  56. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 内廷職員の二十五名は、これは国家公務員ではなくて、皇室が私的にお使いになっておる職員、従って、公務員としての法律の適用とか、あるいは共済組合の、いわゆる昔で言う恩給、年金とか、そういうものはないわけであります。
  57. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますと、この二十五人の給与というのは、内廷費から支払われるのですね。
  58. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 さようでございます。
  59. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、この二十五人に対して二カ年ベース・アップをしてないから、今度予算を計上して一八%ということなんですか。
  60. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この内廷職員につきましても、国家公務員が一昨年の十月に上がりましたが、それに応じてやはり上げてあるわけであります。それから今度また国家公務員が昨年十月から上がるということになりましたから、それと区別してはそういう方にお気の毒ですから、やはり給与の改善はしてあります。しかし、それだけ予算面では苦しくなっておる。そこで、やはりその面は予算の方もふやしていただきたいということで、三百万の増額ということを願っているわけなんです。
  61. 田口誠治

    田口(誠)委員 昭和三十六年のベース・アップというのはあったんですか。
  62. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 昭和三十六年のベース・アップの際には、内廷費、皇族費の増額のことは提案しなかったわけであります。といいますのは、その当時の上がり方が何%かでありまして、パーセンテージはそれほど高くなかったわけであります。それである程度、大体全体の一割程度の予備費を持ってなさっておるものですから、まあそれ以下の範囲の増額ということで何とかやれるから、そのつどには増額を提案しないというので、提案しなかったのです。
  63. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの答弁はちょっとおかしい。三十六年度のベース・アップの率は三十七年度より多かったのですよ。それで、三十六年度と三十七年度分合わせて今度は一八%のベ−ス・アップをするということなんですから、ただいまの答弁でいきますると、三十六年度はあまり上がらなかったから手元でまかなっておいたが、今度は二年目だから予算に計上したと言われるけれども、その点は違います。違っておるところは答弁はよろしいが、賃金の専門家でないから、間違いの答弁もあろうと思いますので、その点の答弁内容の追及はいたしませんが、いずれにいたしましても、多くても少なくても、国家公務員が上がったらやはり予算計上ということは必要だと思うのですが、これは毎年どうなんですか。
  64. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 先ほどの答弁を一応釈明しておきますが、三十六年度に内廷費、皇族費が上がっております。それは三十六年の十月に国家公務員は上がっていますけれども、その部分についてではなくて、その前の三十五年のところで上がっているのを見て、三十六年度から上がっているわけです。そういう関係でございますので、先ほど申しましたのは、三十六年の十月一日にベース・アップがございました。その場合に、それを見て増額をお願いするとすれば、三十七年度の昨年の国会にお願いすべきであったが、それは見送ったということを申し上げたのでございますから、一応釈明しておきます。  それからなお、一般国家公務員が上がる際に、内廷の職員はそのままでいいということではいけませんので、これは従来とも同じような率で上げてきておるわけであります。
  65. 田口誠治

    田口(誠)委員 この内廷の職員というのは、私はお目にかかったことはございませんで、想像ですけれども、天皇、皇后、皇太子、皇太子妃におつきになっておられる方には年配の方が相当あろう。そうしますと、もし年令が高いとすれば、平均ベースというものも、相当国家公務員より高いのは当然だろうと思うのです。従って、私はここでちょっとこまかいことをお聞きするのですけれども、最高何才くらいの方が内廷職員としておいでになって、平均年令がどのくらいで、ベースはどんなものか。これはあまり安かったら、もう少し予算を取って上げてやらなくちゃいけませんし、あまりそのつり合いが悪いほど高かったら、来年ちょっと考えなくちゃいけないと思いますが……。
  66. 小畑忠

    ○小畑政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、直接両陛下、東宮両殿下の御用をなさいます関係は、先ほど瓜生次長の答弁いたしました通り、侍従とか女官とか東宮侍従とか、あるいは東宮女官とかいうような関係でございます。ただいまこの給与の方で入っております内廷職員と申しますのは、掌典とか内掌典とか、あるいは生物学研究所の助手とか、あるいは奥の雑務をいたします関係の職員でございまして、先生のおっしゃいますように、面接側近の関係の仕事に従事するというふうな方々ではございません。従いまして、この掌典の方の最高と申しますと掌典長でありますが、これは年令的には七十五才というふうな相当高年令になっておる次第でございますが、そうした奥の関係の雑務者とか、生物学関係の純粋の私的の関係のお仕事をお助けするというふうな関係でございまして、従いまして、平均給与も三万一千三百円というふうな程度の低い平均額になっておる次第でございます。
  67. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっとこまかいことに入りましたので、ついでにこまかく聞いておきますが、今の二十五名の内廷職員は、ただいま申された掌典、内掌典、それから研究関係におる従業員は、大体人数別にしてどういうふうな分布になっておりますか。
  68. 小畑忠

    ○小畑政府委員 常勤の掌典の方が四名でございます。内掌典と申しますのは、やはり掌典のお仕事と同様でございますけれども、婦人の関係でござい荒して、内掌典の常勤の関係の方が四名、それから掌典の方で、お祭が常時あるわけではございませんし、大きなお祭その他の関係には手が足りないものですから、非常勤の掌典の方がおるわけでありますが、この方が三名、それから生物学研究所の助手等で四名、それから奥の雑務をやっております関係の奥の女子職員が十名、こういうふうな内容になっております。
  69. 田口誠治

    田口(誠)委員 お祭は年百年じゅうあるわけではございませんが、今の掌典ですか、こういう方面に七名ということは、これはふだんは何かはかの仕事を兼務されておるのですか。ただ、今のお祭関係とか、そういういろいろな行事関係だけをつかさどっておられるのか、どうなんですか。
  70. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 職務の内容から言いまして、宮中三殿の方のお祭というのは、特に大きなお祭はしょっちゅうではありませんが、常に毎朝の御拝が、直接陛下でなくてかわって御拝になるとか、その他いろいろそこでお世話をするとかいうような仕事であります。なおまた、個々の掌典で、陛下が、地方の皇室との御縁故の深い神社に対し、例祭なんかの際に幣吊神饌料などをお出しになりますが、そういうことについての準備がある。そういう場合にこちらから勅使とかお使いが行くというような仕事がある。やはり平素からずっと仕事はあっております。
  71. 田口誠治

    田口(誠)委員 これはいずれにしても広い範囲ですし、陛下なり宮様にお仕えをし、仕事をやっておる場合に、員数的にいいまして、二十五名という数字は多い数字とは思いませんが、これだけで完全に必要な仕事が消化されておるのか、それとも宮内庁として差し向けておる職員があるのかどうか、この点も伺いたいと思います。
  72. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、侍従職というのは、側近に奉仕の事務をやるということになっておりますが、それは法律においてもそれが出ておるわけです。ですから、側近奉仕の事務をするということは、やはり国家公務員としての仕事になっておるわけでありまして、これは例としてはぴんとこないかもしれませんけれども、ちょうど秘書官のような仕事、そういうようなこととに侍従なんか当たるわけで、そういう者は国家公務員として宮内庁費の方で出ております。なお、そのほかの国費をもって出すことが筋合いとしてどうかと思われる部分、特に神事になりますと、見方によりますと、宗教的な行事、それに国費を出すのはいけないというようなこともございますので、それに携わる職員というのは、これは内廷本来の職員として置くべきであるというので内廷費、それから御趣味で御研究なさっているのは、いろいろな公的な御活動をなさるのと違って、私的な仕事をなさっているのですから、その方のお手伝いをする人は国家公務員でない、そういうように一応区別しております。平素の身近なお世話をするのは、おおむね国家公務員がいたしておるわけであります。
  73. 田口誠治

    田口(誠)委員 宮内庁内で庁としての必要な仕事をやっておる人は別といたしまして、宮内庁から今の皇室関係へ出向さしておる人は、今侍従長とかお話はございましたが、これは侍従長以下一名ぐらい出向さしてあるのですか。 、ござい○瓜生政府委員 これは出向ということでなくて、宮内庁というその役所の本来の事務の中に、やはり側近に関すること、内廷にある県族に関することというのもあるわけであります。ですから、宮内庁から出向しているのでなく、宮内庁の一部局でございます。ですから、侍従職というのは、それ専門にやりますが、そこの職員は八十四名であります。東宮職が全部で四十一名、これは国家公務員でございます。
  74. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、今度御提案になっておりまするのは、皇居造営計画として造営部を設けて、二重橋、宮内庁の病院、付属庭園の整備、それから新宮殿の建築等、こう出ておりまするが、吹上御所の場合は、御存じの通りごりっばな御所ができたわけでございまするが、ここに言う、今提案されておる宮殿というのは、天皇がお使いになるところだろうと思いまするけれども、どういうものか全くわかりませんので、一つお聞かせを願いたいと思うのです。
  75. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これは皇居という問題を考える場合に、皇居造営審議会でも、その問題をはっきり区別して解釈されたから、それを申しますと、皇居という概念の中には、両陛下のお住居の部分と、それから陛下が公の行事をなさる宮殿の部分と、両方あるというふうに冒頭に書かれておりましたが、その公の行事をなさる部分というのが宮殿でございます。
  76. 田口誠治

    田口(誠)委員 宮内庁の病院なんかが、私中へ入ってみたことはございませんけれども、外面から見ましても、僕らの考えておったよりは非常に貧弱な病院のように見えますし、あの病院の中には、科学の進んだ今日、お医者さんが持つ機械器具というようなものは完全にそろっておるかどうかということを憂慮するくらい貧弱なもので、これが改築されることは私はけっこうだと思います。あのような病院に天皇なり皇后なり、皇太子、皇太子妃が入院なすって御養生なさることは、ちょっとどうかと思えるくらいでしたので、その点はいいと思いますが、ただ、こういうものの管理につきましては、宮内庁が当然管理を行なっておると思いますが、そうなんでしょうね。
  77. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 宮内庁の官房の事務の中に入っておるわけでございます。
  78. 田口誠治

    田口(誠)委員 それはいわゆる皇居、宮殿、そういうものも含まっておりますね。
  79. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 さようでございます。
  80. 田口誠治

    田口(誠)委員 私いつも疑問に思うのですが、よく外部の商社の広告なんかを見ますと、宮内庁の御用達云々と書いて、陛下の名前を商売の戦術に使っておるこういうのがたくさんあるわけです。これは何か資格をもらっておるのか。こういうようなことを堂々となされても、何ら宮内庁の方からは文句も言わないのか。この御用達云々という商社はどういうような商社であるか。堂々と広告にも宮内庁の御用達商社であるからというようなことで、まるっきり天皇の名をかりて商売の戦術に使っておる。こういう業者がたくさんあるわけであります。それで、この経過をちょっと御説明いただきたいと思います。
  81. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 宮内庁へいろいろなものを納める商社の中に、御用達というふうに指定をするような制度は以前はあったのであります。しかし、私が入った、今から八年くらい前でありますが、御用達制度というものは廃止になっておる。どこの商店でもいいものがあれば買うというふうに切り変わっておるわけであります。しかしながら、御用達なんて書いてあるのもいろいろありますが、その中には、いわゆる昔からの御用達というのではなくて、どこかから物を買われますと、御用を承りましたから御用達というふうに書いておるというので、あまり広告に使われることは感心しない、その書き方のどうかと思われるようなものについては、こちらから注意をしたこともありますが、それほどでない場合には黙っている。実際にそこからお買いになった事実があるとすれば、あまり弊害がなければ黙っているということであります。
  82. 田口誠治

    田口(誠)委員 旅館なんかの場合には、たとえば国有鉄道の指定旅館とか、運輸省の指定旅館とか、こういう看板をかけております。当然これは指定しておるわけなんです。ところが、宮内庁の御用達云々ということは、ただいま御説明があってほぼわかりましたが、指定商社というのは別にないのですか。
  83. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 特に指定商社というのはないわけであります。しかし、入札などをする場合に、そのつど指定することはございますから、そういう場合のために調査した資料などはございますけれども、特に指定商社と初めからきめているということはないわけであります。
  84. 田口誠治

    田口(誠)委員 法律的にとかあるいは文章に残っておるというふうな内容の商社というのはないといたしましても、従来からの慣例で、お菓子をとる場合にはこことここの商社だとか、こういうような従来の慣行をそのまま現在に当てはめて、そうして商社を宮内庁に入れる、こういうことはあり得るのですね。これは新しいいい商社ができれば、どんどん宮内庁の方に行ってお願いをすれば、取り上げてもらえるものかどうか。私がこういうことをお聞きするのは、なかなか宮内庁の方では取り上げてもらえない。それで、私の感覚では、それでは指定商社というのはあるのだ、指定商社というのが、すなわち、この御用達という看板をかけておるのだというふうに受け取っておったのですが、指定商社というものはない。御用達という看板をかけておる商社に対しては、ただいまの御答弁によってわかりましたが、今まで入っておらない新しい商社が、入ろうと思ってもなかなか入れない。ところが、一たん御用達になれば、これは宣伝効果があって非常にいいといって、非常に入りたいというようなことを言っておる商社もあるわけなんで、そういう点で私お聞きをするのですが、その点どういうふうになっておりますか。
  85. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 以前御用達であったところ、そういう商社について、現在もそこからものを買う、これはあります。これはやはり皇室で必要とされるものを、こういうものだとよくわかって、そういうような点で、そこの商社のものは適当であるということはございます。しかしながら、そのほかのところでも、これに劣らずいいもの、値段の上においても適当な値段で納まるということがある場合には、入っている実例はたくさんあるわけであります。
  86. 田口誠治

    田口(誠)委員 今度の予算を見まして、私予算に盛られておらないと思うのですが、義宮さんが、近日というか、ちょっとわかりませんけれども、年内くらいにおめでたがある。こういうことになりますと、やはりお住居のことを心配しなくてはならないと思うのですが、こういう点がこの予算に入っておるのか、そういう点については何もお考えになっておらないのか、その点も伺っておきたい。
  87. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在義宮様は皇居内の義宮御殿にお住みになっておりますか、この一帯は今度宮殿をつくります際の敷地の部分でございまして、いずれにしても、三十八年度中にはこわさなければいけないのであります。それでは義宮様は将来どこにお住みになるかということで、一応渋谷の常磐松の前に皇太子殿下のお住みになっておりましたところ、あすこがあいておりますから、あすこにお住み願うというので、本年度の宮廷費の予算の中には、あすこを修理する経費が入っております。それだけであります。
  88. 田口誠治

    田口(誠)委員 今度皇居造営部を設けて、そうして造営計画提案されておりまするが、一昨年私どもが皇居内を見学さしていただいたときに、冒頭申しましたように、非常に建造物が腐朽いたしておるのであります。従って、私は、ここに四件は提案されておりまするけれども、次から次へとやはり改築をしなければならない時期になっておると思うのです。この皇居造営部というのは、この四件だけに限られておるのか、将来、造営郎というのが、現在皇居内にある幾つかの建物の腐朽に対して計画的に設計を行ない、予算を要求してその衝に当たるのかどうか、この点を承りたいし、もしここに提案されておる四件に限るということになれば、あとの構想を宮内庁としてお持ちになっておるかどうか、この点も伺いたいと思います。
  89. 小畑忠

    ○小畑政府委員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、宮殿の関係の造営関連経費といたしまして、明年度一億八千二百万ばかりの経費の御審議を願っておる次第でありますけれども、これは内容的には宮殿の整備関係の経費であります。施設の関係といたしましては、その内容のうちに、二重橋の造営だとか、それからただいま先生がおっしゃいましたように、宮殿を建てます予定地の中にあります建物の撤去というようなものが入っておる次第でございます。それで、ただいまこの四件とおっしゃいましたのはどういうことかと申しますと、宮殿を建てます予定地内に大膳庁舎ができておるわけなのでありますが、これを撤去したいというのが一つ内容、それから内廷庁舎がやはりこの予定地の中に突き出ておりますけれども、これも撤去したいというのが一つ、それから先ほど次長から申し上げましたように、義宮御殿が入っておりますけれども、この義官御殿もこの予定地の中に入っております関係で、それも撤去しよう、それから倉庫一つ突き出ておりますけれども、その倉庫関係を撤去しようというのが、この中に入っております。それからなお、皇居内のいろいろの建物の古いお話もございましたけれども、ただいまのは宮殿予定地内にありますそうした建物の撤去の関係でございます。もう一つには、東地区の方の関係、つまり、森林公園として宮中行事に差しつかえのない場合においては一般に開放しよう、こういうふうな宮殿造営審議会の御答申によりまして、閣議でもそういうふうに決定いたしまして、そういうふうに着々進めておるわけでありますけれども、そのうちに非常にいろいろの建物があるわけでございます。明年度の撤去予定地といたしましては、あすこに馬車庫というのがございますけれども、この馬車庫を取り除きましたり、あるいは既舎を取り除きましたり、あるいは製薬所を取り除きましたり、あるいは呉竹寮の基礎的な部分を取り除く、こういうふうな撤去の関係が入っておる次第でございますが、これは四十年までにこの東地区の方を完成しようというふうな予定になっておりますから、そのほかの馬車庫がございます、あるいはうまやがございますところは、オリンピックまでそこをそちらの方に貸そうというふうな計画にもなっておりますから、そのオリンピック関係が終了いたしますと、そこにあります建物を順次撤去いたしまして、きれいなように整備していこう、こういうふうなことになっております。
  90. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま御答弁のありました内容は、四十年までの構想もありましたけれども、この四件のほかに、あの予算で、ただいま御答弁のありました内容のものも準備できるということなんですね。
  91. 小畑忠

    ○小畑政府委員 宮殿の予定地の部分と、それから東地区の関係の場所と、こう二つに分かれておりますが、宮殿の予定地の方は、そこにありますいろいろの関係の建物は撤去というようなことで一応終わりますけれども、一方東地区の方は、明年度の関係は馬車庫、厩舎、製薬所、呉竹寮というふうな関係でございますけれども、そのほか、いろいろの建物があるわけでございますから、順次三十九年、四十年度にわたりましていろいろの建物をとっていこう、そのうちには、政府の方の関係の建物もあるわけでございますけれども、これは政府のそれぞれの予算におきまして撤去をお願いする、こういうふうになる次第でございます。
  92. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、この皇居造営部を設ける云々ということは、そうした、一切の今構想されておることが終了するまで、これは置かれるということなんですね。
  93. 小畑忠

    ○小畑政府委員 仰せの通りでございます。でございますから、宮殿の方は大体四十一年を目途に着々と仕事を進めておる次第でございますから、四十二年の三月——まあその後多少跡始末その他整備関係で残るかと思いますけれども、建前は、宮殿造営関係のために臨時皇居造営部を設け、その増員をお願いしておる、こういうふうな次第でございます。
  94. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは時間もございませんのでちょっとさきに戻りまするが、内廷費にいたしましても宮廷費にいたしましても、特に皇族費におきましては、それぞれ皇室経済法の改正によって予算がとられておりまするが、この予算で、これは大体宮内庁から見られて十分であるということなんですか。
  95. 小畑忠

    ○小畑政府委員 皇族費の関係でございますけれども、皇族費の関係は大きく人件費と物件費の部面に分かれておりまして、人件費の方は、先ほど来次長から御答弁いたしましたように、公務員のベースアップ率の一割八分の上昇率をかけまして算出いたしました。物件費の関係は、総理大臣の税引手取金額の値上がり比率をかけましてそうして算出した結果が、先ほど来基礎金額といたしまして四百七十万円、こういうふうにお願いしたわけでございまして、この経費は、皇族様の品位保持のための御日常の経費というふうなことになる次第でございます。
  96. 田口誠治

    田口(誠)委員 皇室の関係は、金額で考えてみても僕らも判断がしにくいわけなんですが、いずれにいたしましても、人間天皇でございますし、その他皇族でございまするから、そう不必要なものを予算に組む必要もないと思いまするし、そうかといって、やはり天皇は日本の国の象徴として品位を保っていただかなくてはならないし、それから皇族一家も同様でございまするので、そういう点が十分なされるということになりますれば、私はまあいいと思いまするけれども、きょう質問して答弁をいただいてはっきりしましたが、何だか宮様の関係は、予算化されておる予算だけでは十分でないので、その他外部団体の顧問とか、いろいろなそういうことをすることにおいてようやくカバーしておるのだというようなことが流布されておりましたから、そういう点も幾分気になりましたので、御質問を申し上げたわけなんです。この二百万とか一ぺんにどっと上げるということになりますと、われわれから考えてみれば多い金ですけれども、これは今日まで相当無理をしておられた部面がございますか。外部の方から顧問その他をしておることにおいて若干の収入もあるので、ようやく品位を保つだけの経費があるのだというようなことを聞いておりますから、一気にここで二百万上げたということは、去年までは非常に不自由をしておられたというように考えられるわけなんですが、その点どうなんですか。特別ことし二百万上げるということについては、ちょっとそういう点に疑問がございますので、そこのところを一つ明確に説明をしていただきたいと思います。
  97. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 二百万の増額は、内廷費の方でございますが、内廷費の関係は、先ほどからお話し申したように、人件費の関係の値上がり一八%上げただけで、その他の部門は、一般物価が上がっておる、しかし、現在陛下とされては御節約を常におっしゃっておりまして、そういうおぼしめしでございますので、そういう面ではこの予算の範囲でおやりになれると思います。従来も常に御節約ということでなさっておりましたので、著しい御不自由があったとは思っておりません。  なお、皇族費の関係は、今、特に団体の顧問なんかの関係は、それも誤解が解けたとおっしゃいましたが、皇族費の方は今まで定額四百三十万であったのを五十万ふやしたということになるわけでございます。この方も人件費の値上がりその他一般物価等の値上がりも考えますと、この程度は最小限度と考えますが、各皇族さんにおかれても、常に節約を主として、できるだけつつましく、あまりむだをしないようにということをなさっておられますから、そうお楽な金額ではありませんけれども、まあ必要な限度の金額だと思っております。
  98. 田口誠治

    田口(誠)委員 あとの質問者も通告をしておりまするので、これで終わりますが、まあ内廷費の場合は二百万上がるということでございますし、それで、人件費その他——人件費といっても、二十五名に対する一八%、大したことございませんし、物価が上がったといっても、そう毎年々々服装をかえてみても何してみてもそんなに上がるものではございませんけれども、やはり二百万円上げたということは、昨年までは相当ある部面において天皇、皇吊、皇太子、皇太子妃の品位を保つ上においての費用としては不自由をしておられたというように判断ができるわけで、従って、私は、こういう点につきましては、増額することが必要だ必要でないは別としまして、宮内庁としては、当然年々こういう点については十分に内容を検討されて、妥当なところの予算計上を行なって、そうして皇室経済法施行法改正提案されることが妥当であろうと思うのです。それで、私がくどく申し上げましたように、何も皇室の内部を知らない人たちは、これは宮様としてもなかなか新憲法下においては窮屈な生活をしておられて、ようやくいろいろな顧問その他の役職についておられることにおいてカバーをされておられるのだそうだというような国民の声がありますので、そういうことから今度二百万一気に上げられたということになりますると、営内庁が怠慢であったということになりまするし、そういうこともございまするから、十分に——あの内部のことは国民ではあまりわかりませんから、わからぬだけに、それだけに十分に宮内庁では慎重な検討とふだんにおけるところの認識を持っていただいて、そしてこうした予算問題に取り組んでいただきたい、このことを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  99. 永山忠則

    永山委員長 受田新吉君。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 きょうはごくわずかの時間にとどめてお尋ねを申し上げ、一、二の点をお答え願って、あす重ねて本質的なお尋ねをさせていただきます。  きょうは、皇室経済法施行法改正関連して、宮内庁次長に一言お尋ねしておきたいことがあります。従来、皇室のことは、一般市民の間に理解をしてもらうのになかなか骨の折れるワクがあったわけですが、だんだんとワクを取り去って、皇室と国民の間が新憲法の精神によって一体となる方向に努力しておられることは、私十分承知しております。しかし、まだその間にどこかに旧態依然たる残渣が残っておる。もちろん、憲法第一条の、象徴天皇御一家の尊厳を傷つけたくないという立場からの議論でございますが、第一に、皇居の中における諸儀式等において問題がありはしないか。また、服装などにおいても問題がありはしないかと思うのです。いずれまた明日具体的にお尋ねしますが、きょうは明日お答えをいただく資料をお願いをしておきたいと思います。  服制ですが、明治十年の太政官達の六十五号にある「(官吏通常礼服用ノ件)」というのは、規定が生きているのかどうかです。現行法規集にはこの規定が残っているのです。「服制」それは「【勅奏任官大礼服ノ儀上下衣袴トモ黒羅紗地金飾章ノ大礼服着用可致事】」「官吏通常礼服着用ノ場合ハ黒若シクハ紺色ノ上服(英語フロックコート)ヲ以テ換用スルヲ得ヘシ」こういう規定がありますが、これは生きているのかどうでしょうか。現行法規に残っているのですが……。
  101. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在、その達のことについてわれわれはあまり頭を使っていないくらいですから、これは死んでいるのだと思います。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、これはまた議論になりますが、それともう一つ、国葬令というのも現行法規にまだ生きているのですが、これは、天皇、皇后及び皇族の方々の御葬儀に関する規定は何を根拠にされておられますでしょうか。
  103. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 国葬令も、これは現在有効になっているとは思っておりませんので、もし何かあった場合にはどういうふうにいたすべきかというようなことは、新規にいろいろ研究をすべきであるというふうに思っております。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 しかし、廃止するという規定は、法律上どこにも見当たらないわけであります。廃止していない以上は、生きていると思うのですが、これは総務長官どういうふうに御判断なさいますか。
  105. 徳安實藏

    徳安政府委員 私どもも、ほんとうにこれは縁遠い話であったものですから、詳しいことは調査しておりませんが、現在有効であるかどうかについては問題があるという法制局あたりの意見をもらっているだけでございまして、もう少し掘り下げて私ども今後研究してみたいと思います。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 私は、もう数年前からしばしばこの委員会で問題にしております。元号の制定をどうするかということ、及び憲法第四条の天皇の国事事項委任に関する法律制定の問題を幾たびか提案をしておるのでございますけれども、ことに憲法第四条の後段の規定によるならば、天皇は憲法七条の国事事項を執行されるために、天皇御自身は外国旅行ができない。日本国民の中で、日本国におる天皇及び国民すべての中に、外国旅行の自由が許されない人は天皇お一人であるというこの悲劇ですね。これは大へんな悲劇です。人権の大侵害です。天皇は外国旅行ができない。他に外国旅行のできない国民は一人もいないわけです。国事事項を行なわれるために、外国に旅行ができない。委任に関する法律ができていないために、外国に旅行できないということの悲劇は、近代的文明国家としての日本の権威にも関することですが、総務長官いかがですか。
  107. 徳安實藏

    徳安政府委員 全くその通りでございます。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 大へんな人権侵害です。その通りだという御答弁ですが、驚くべき事態に今なっておるわけです。これはむしろ天皇御自身が外国へ親善旅行でもされるということになれば、皇太子御夫妻が旅行されるより、もっと大きな国際間の融和がはかられることも期待できるんですね。それがそれに関連する法律をおつくりにならぬばかりに——これはもう憲法に事項委任の法律をつくることができるとちゃんと書いてある。法律をもって定めることができるようになっておるのですが、政府も一向にこれに関心をお持ちになっておらないのです。全くその通りということだけでなくて、これは何とかしなければならぬと思うのですがどうでしょうか。
  109. 徳安實藏

    徳安政府委員 今お話の通りでございまして、かって総理府の中に公式制度連絡調査会議というものをこしらえまして、おおよそのそうした問題に対しての割り切り方をやや結論近いものを昨年出しまして、こういう大きな問題でございますから、もう少し各方面の衆知を集めて決定する方が妥当ではないかという御議論もございまして、予算を少しばかり要求したそうでございますけれども、これが三十八年度の予算にはとうとう認められなかったという実情にございます。しかし、もうすでに、こういう事柄はそういう審議会をつくってやらなくても、もうはっきりしたことですから、踏み切るべきではないかという御議論もございますし、できるだけ最近そういう各方面の朝野の御意見も徴しまして、そうして会期もあまり長くないようでございますけれども、できることなら今国会にでも、総理と相談して、できるものはやりたいというような気持で、最近もう少し掘り下げた方向に進みたい、かように考えております。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 そのことは、今の天皇の国事事項委任に関する法律制定することと、元号、これももう差し迫った問題ですね。西暦を用いるか、あるいは日本独得の一世一元制を採用するか、あるいは国葬令というものは今まだ私は廃止された法律あるいは命令というものを拝見しておりませんので、これがまだ死んだという——国葬令はもちろん死んだ場合にやるものですけれども、そういうものが法律上廃止されたという規定がどこにあるかをまだ拝見しておらぬわけでございます。そうなると、これはよほどいいかげんに、政府はこういう国の基本的な規定というものをないがしろにしているわけですね。明日までに一つ政府として現行法規で容認されている太政官布告あるいは達でなお生きているもの——官吏服務規律というものも、これは死んだということになっていないですね。これもまた新しい形で残っていると私は思うのです。そういう旧体制でどのようなものが現在残されておるかというものを一つ調査していただいて、この委員会にお出しいただきたいと思うのです。これは口頭で御説明していただいてもけっこうですから、当然改廃すべきもので、なお規定の上では残っているというものではどんなものがあるか、明日までにお示しを願いたい。  それから今、今国会中に何とかしたいという御熱意を伺ったのですが、それは天皇の国事事項委任に関する法律制定するという意味を含んでおるかどうか。かって藤枝総務長官に私がおただしした際には、直ちにこの問題の解決をする委員会等をつくって答えを出したいということでございましたが、あれから総務長官も数代にわたって交代されて、今徳安さんに御苦労願っているわけですが、まだその結論が出ていないというのは、これは国会に対する正式の答弁に対して職務怠慢である。  それから今国会中に何とかしたいという御答弁は、その規定、その法律、あるいは皇室典範の改正ということの中にも問題があるわけですね。男女同権の世の中に、まだ日本では女帝の存在を認めないような規定ができておる。女帝をお認めになっても一向差しつかえないわけです。そういうことを含めて、元号等も一緒に含めて今国会中に何とかしたいという御答弁ですか、あるいはその中のどれかを今国会中にできればという御意思があるのでしょうか。御答弁を願います。
  111. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話にございました元号でございますとか、あるいは天皇の国事行為の委任に関しまする法律でございますとか、あるいはまた公文法式及び法令の公布制度というふうなものも、もう少しはっきりしておかなければいけないのではないかというふうなことになっておりますし、あるいはまた国賓等につきましても、従来はそのつど閣議の了解を得て取り扱っておるというお話でございますので、こうしたものも一定の基準を定めておくことが望ましいという議論が大多数のようでございます。また国葬につきましても、現在では天皇がおなくなりになりましたときには大喪の礼を行なう規定があるそうでございますので、それはいいのですけれども、その他の皇族に対するもの、あるいはまた国家に非常に大きな功労のあった方、そういうものに対する国葬の手続等につきましては、何も明記されておりませんので、そういうものもあわせ考えたらどうか、こう実は考えておるわけでございまして、すでに昨年末くらいに、ようやくその結論だけは、これまでのこれがよって来たるべき経過等は大体調査が済んでおるわけでありますが、これをさらにもう一ぺん掘り下げるために審議会でもつくるような方法をとりますか、あるいはもうここまで研究がされ、あるいは各党とも御異議がないような問題につきましては、政治的に踏み切って法案でも出すか、こういうような問題を一応総理とも相談いたしまして、近く態度をきめたい、かように考えております。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 各党とも、天皇の国事事項委任法というようなものはとれは異議ないはずです。これは人権を尊重する大事な法律でございますから、すぐお出しになっても満場一致可決すると私は思います。そういうふうなものをさっさとお出しになることを、ずいぶん前から私この委員会でしばしば御要求申し上げて、そのつどお答えがあったのですが、まだ出ない。今具体的に今国会中に出すというお話をされたのですが、お急ぎでお出しになることを私は要求します。これは満場一致の結論が出ることは間違いありませんから、一つ天皇にも海外へ自由に御旅行していただいて、大きな立場から国際間の親善をはかっていただこうじゃありませんか。あなたの今の御答弁は、担当国務大臣をもって充てることのできる職務におられる総務長官としては、非常にいい答弁です。それでは明日掘り下げてお尋ねさせてもらいます。  いま一つ、宮内庁長官はどうして政府委員にならないのですか。次長さんと皇室経済主管とが政府委員になられて、宮内庁長官が政府委員になられない理由、それを御答弁願います。
  113. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 私の承知しているところを申しますと、宮内庁長官は、陛下の側近にあっていろいろ仕事があります。たとえばきょうですと御進講があります。その節は、長官がそこに列席して、御一緒に御進講を承るのです。地方に出かけられるときは、長官も出かけられる。都内の場合もそうです。陛下の御用を勤められる関係で、国会の方で今すぐに来いとおっしゃっても、陛下の方の御用を大切に考える場合においては無理がある。やはり憲法第一条で象徴としておられる陛下のお立場から考えますと、そういう立場の人は、政府委員を避けて——次長は庁内の全般の事務を調整し、監督する、全体のことを承知しておるべき立場にあります。私はあるいは不適任かもしれませんが、全体のことを承知しておる立場の職責であります。それで、次長が政府委員として国会で御用があればいつでもかけつけるというふうになっているわけであります。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 長官に御出席を願うような場合は御遠慮して、次長においで願ってけっこうですが、一応形だけはやはり宮内庁長官と次長が政府委員になられて、主として次長がお答えになるという形をとられてけっこうだと思います。少なくとも庁の責任者であられる方は、やはり国会の答弁の責任にも立っていただくのが私は筋だと思うのです。その点要望を申し上げておきます。  なお、一つおしまいに、これも明日お尋ねさせていただきたいのですが、予備的な立場からのお答弁が願いたいのです。美智子妃殿下のせっかくのおめでたをわれわれは非常に祝福しておったところが、流産をされたという報道を承って、非常に残念に思っております。その原因が、民間に広く読まれている雑誌の記事、それをお読みになって非常に心痛されたことが大きな影響であったというようなことを伺っておるのですが、これは間違いございませんか。そういうことは全然ないかどうか、御答弁願います。
  115. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 民間の雑誌をお読みになって、精神的な大きな影響を受けられておったことも事実でございます。宮内庁病院に入院されることを発表する際に、ちょうどその日が宮内庁長官の記者クラブの定例会見のときだったものですから、長官から話されるということで、長官から話をされた。その際に、あるいは精神的な影響も原因の一つにはあったかもしれないというようなことを一応長官が言われたようでありますが、医学的に見ますと、実際は何が原因かなかなかわからないのでありますが、肉体的、精神的、いろいろなことで、これと断定はむずかしいのでございますけれども、そういうこともあったということを言われたのは事実であります。しかし、実際に御処置をしてみられたところが、普通の流産ではなかったわけであります。医者が発表いたしましたように、胞状鬼胎という、ちょっと変わった別のものでございました。いろいろその点はむずかしい点がございますが、雑誌によって精神的な影響を受けられたことは事実であります。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 いろいろ原因の判断はむずかしいということでございますが、これは刑法上いろいろな条項がありますが不能犯、これはいわゆる犯罪は成立しない、しかしながら、それによって精神的な圧迫を受けることは、相手にとって非常な影響があることになる、そういうことにも私関係のある事態ではないかと思うのです。少なくとも宮内月としては——あの関係の小説はもう二年も前からずっと連載されておる。二月の予算分科会で、私次長にお尋ねしたときに、初めて宮内庁がいろいろな手をお打ちになっておられることをお聞きしたのですが、その後正式にこの連載を停止することを申し入れられたことになっているのですけれども、二年間も放置されたということは、これは私は問題があると思うのです。二年間は大した影響がないが、最近になってそういう影響があるというように判断されたのかどうか、こういう問題も、私非常に大事な問題だと思います。明日お尋ね申し上げたいことは、こういう皇室一家に関して、あまりにまた制約を加えて言論の自由を束縛するような形になってくると、そこにまた新しい民主主義に反する問題も起こる。しかし、一方で人権を尊重してあげなければならぬ。皇室の側に立つ人には、そういうときに強く抗議を申し込む力がない。また、それをおやりになれぬ立場の人ですから、そういうことを考えたときに、ゆだんをすると不敬罪の復活という危険が起こるわけです。これは新しく不敬罪を制定しようという動き、政府・与党の方でどういう動きがあるか、宮内庁を御所管される総務長打として、不敬罪の動きが今どういうふうになっておるか、これを一つ明日までに御用意をしていただきたい。この不敬罪などという形のものをここへ持ち出さなくて、しかも皇室御一家を国民が大きな気持でかばってあげるという心づかいをしながら進む道が、私は一番いい道だと思っておる。そういうときに、こうした言論の自由と人権の尊重、この限界を明日具体的にお尋ねいたしますので、今私がお尋ねした事柄について御用意をいただきたい。  それから宮内庁として、いろいろ忌諱に触れられておる記事等について、これを非公式でもいいが、私の方で調べてある以外に、宮内庁でどういう問題をお考えか、適当でないと思われたかという、そういうものが示していただければ、お示しをいただきたいと思います。  きょうはこれだけで質問を終わらしていただきます。
  117. 永山忠則

    永山委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十九日十時より理事会、十時半委員会を開会することとして、これにて散会いたします。    午後一時二十三分散会