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1963-03-07 第43回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月七日(木曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 岡崎 英城君    理事 内藤  隆君 理事 宮澤 胤勇君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君    理事 山内  広君       内海 安吉君    小笠 公韶君       草野一郎平君    笹本 一雄君       園田  直君    高橋  等君       辻  寛一君    藤原 節夫君       船田  中君    前田 正男君       田口 誠治君    中村 高一君       西村 関一君  出席国務大臣         労 働 大 臣 大橋 武夫君         自 治 大 臣 篠田 弘作君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     後藤田正晴君         北海道開発政務         次官      小西 英雄君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小島要太郎君         労働事務官         (大臣官房長) 松永 正男君         労働事務官         (職業訓練局         長)      村上 茂利君         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (大臣官房長) 大村 襄治君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      玉置 康雄君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    新保 実生君         労働事務官         (大臣官房秘書         課長)     鈴木 健二君         自治事務官         (消防庁予防課         長)      雨倉正太郎君         北海道東北開発         公庫総裁    松田 令輔君         北海道東北開発         公庫総裁   岡田 包義君         北海道東北開発         公庫理事    勝原  啓君         専  門  員 加藤 重喜君     ――――――――――――― 三月六日  委員江崎真澄君辞任につき、その補欠として保  科善四郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月六日  旧金鵄(し)勲章年金及び賜金復活に関する陳  情書  (第三三八号)  同(第三三九号)  同  (第三四〇号)  同(第三八  九号)  同  (第四三七号)  同  (第四三八号)  沖繩に対する財政援助に関する陳情書  (第三四一  号)  法の日制定に関する陳情書  (第三八七号)  靖国神社の国家護持等に関する陳情書  (第三八八号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当の支給に関する法律の一部改正に関す  る陳情書  (第四三九号)  同  (第四四〇号)  同  (第四四一号)  同  (第四四二号)  建国記念日制定に関する陳情書  (第四四三号)  国旗記念日制定に関する陳情書  (第四四四号)  水戸対地射爆撃場の返還に関する陳情書  (第四四五号)  元満州国等政府職員恩給に関する陳情書  (第四四六  号)  同  (第四四七号)  元満州鉄道株式会社職員期間恩給法等の特例  措置に関する陳情書  (第四四八号)  観光事業振興基本法早期制定に関する陳情書  (第四四九号)  観光事業振興対策に関する陳情書  (  第四五〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号)  自治省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二一号)      ――――◇―――――
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案労働省設置法の一部を改正する法律案自治省設置法の一部を改正する法律案の三法案一括議題として、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内君。
  3. 山内広

    山内委員 ただいま審議されようとしております北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案は、二十五億の資本金を十億増額しようというだけでありまして、非常に簡単な法案でありますけれども、この際、公庫がおやりになっておる仕事内容で、若干私どもとして承知いたしておきたい点についてお伺いいたしておきたいと思います。  そこで、まずお尋ねしたいのは、この公庫は、事業としてたくさんの融資をしておられるわけですが、そのほか、会社に対して出資もできる、こういうことになっておりまして、いただきました資料から内容を調べてみますと、わずかに十二件で四億五千二百万円というふうになっておりますが、この数字と件数には間違いありませんでしょうか。
  4. 小島要太郎

    小島政府委員 その点は間違いございません。
  5. 山内広

    山内委員 それでは、その十二件の出資された会社の名前でなくてもよろしいのですが、どういうところに出資されたのか。十二件で四億五千万円というと、一社平均四千万円になりまして、公庫方針書に従う出資の額から申しますと、少し方針に合わないような気もするのですが、この点についこれも社債と同様な七分に相なっております。
  6. 山内広

    山内委員 貸し出しが八分七厘で、これは少し下げたとおっしゃっていますけれども公庫性格から申しまして、利益があったら低くしていく。これはこの前も大臣から御答弁があって、そういう政策をとっているはずなんですが、この成績を見ますと、かなり黒字になっております。成績を上げておるので、もう少し貸し出し利子というものを下げられないものかどうか。この点について公庫側の御意見を聞きたい。
  7. 松田令輔

    松田説明員 現在の公庫収支採算の実情から申しますならば、貸し出し金利を引き下げる余裕は十分にございます。私どもといたしましては、利率はできるだけ低いのが望ましいと存じまして、おりを見ましては政府当局にお願いをいたすのでありますが、事金利に相なりますと、各金融機関の横のバランスというものを論議せられまして、公庫の一存で、ここだけの立場でものを言えなくなりまして、今のところ、全体の見地からかような状態になっておるのであります。
  8. 山内広

    山内委員 そこなんです。これは大蔵省側からもぜひお聞きしなければならぬのですが、公庫性格は、今申し上げるまでもなく、開発公庫法をお読みになれば劈頭に出ておるわけなんです。かなり公共性を持たせた考え方でこの公庫は生まれておる。公庫自体仕事をやって利益になれば、それを政府が七分の利子を取った上に、しかも国庫納付金でまた吸い上げていく、そして利子も下げない。こういうことは高利貸しのやることだと私は思う。せめてこの国庫納付金に見合うくらいのものは利子を下げるとか、何かの方法——普通の営利会社利子のような考え方でおるということは、私はどうも解せない。大蔵当局の御意見を承りたい。
  9. 新保実生

    新保説明員 北海道東北開発公庫金利をもう少し引き下げたらどうかという御意見でございますが、先ほど公庫総裁からもお答え申し上げましたように、確かに北海道東北開発公庫収支採算の点から見ますと、現に若干の利益が出ておるわけでございますから、その余裕はあるわけでございます。ただ、御承知のように、政府金融機関が全部で七つほどございますが、それらの金利はどういう立場からきめられておるかという問題でございます。これは先生も御案内の通り、その公庫自体収支採算の能力ということも、確かに一つの要素にはなっておりますけれども、やはり市中金融における金利とのバランス、これは若干いずれも市中金利よりは下回っております。それに、それぞれの政策的な要請の度合いというものを勘案してきめておるわけでございます。そういう角度から、たとえば中小企業金融公庫というのが別にございますし、あるいは国民金融公庫というのもございますが、そういうものは現在九分金利になっておるわけでございます。それからちょうど同じような性格事業をやっております開発銀行における地域開発ワクがございます。これの金利も八分七厘というところにきまっておるわけでございまして、大きな方向としては、こういった政府金融機関金利もだんだん下がって参っておりますし、これから将来もそういう努力を継続すべきだとは思いますけれども、そういうものとの関連において総合的に考えていくべき問題ではなかろうかと思うのであります。
  10. 山内広

    山内委員 一般的に右へならえしてこの八分七厘をきめておるのだというそのお考えが、私には解せない。政策金利として、特定業種については、たしか安いのは三分五厘くらいのものも何かあったように——これは記憶ですが、何か問題になって、これはどうしても必要なものであり、公共性を帯びたものであるということになれば、そういう特定金利も認めているはずなのです。私は、公庫性格というものは、そういう公共性を帯び、その事業内容によってはそこまで踏み込んだ援助をしてやらなければ、北海道産業というものはなかなか伸びていかぬ。こういうような考え方から、特定金利制度のもとに利子というものを考えるべきじゃないか、こういうことを私は申し上げる。全く社会党の域を脱して、何か資本家になったようなものの言い方をしておるのですが、私はそういう考え方でものを見ておるわけです。もう一度、特定利子制度ワクにこれは入れられないものか、その点を伺いたい。
  11. 新保実生

    新保説明員 確かに政策的に低い金利を採用しておるものがございます。御指摘のように、たとえば開発銀行電力融資が六分五厘でございますし、最近問題になっております石炭も、かなり古い時代から六分五厘というふうになっておるわけでございます。あの北海道東北開発公庫の八分七厘という金利も、私ども立場から申し上げますと、北海道東北地方開発を促進する意味において、やはり政策的に八分七厘という、一般の市中金利よりは低いところにきめたつもりでございます。御承知のように、最近低金利政策という言葉が出て参っておりますが、市中金融機関におきましては八分から九分、あの興業銀行のようなところでも九分を上回る金利がかなりございまして、そういった市中銀行よりは、もちろんこれは政府銀行でございますから、低くきめらるべきだ、そういう趣旨で、中小企業金融金利九分でございますが、それよりも若干低目のところということで、八分七厘というところに線を引いたわけでございます。  ところで、ほかの政府銀行にも低い金利のものがあるではないかということでございますが、これは石炭とか電力とか海運とか、そういう特定業種でございまして、こういったものはやはり全国的な視野に立ちまして、しかも開発銀行という窓口で一元的に処理するのが適当なのではないだろうか、そういう見地からできておるわけでございまして、もちろん、電力とか石炭につきましては、北海道東北地区に所在するものについても、その分については六分五厘になるわけでございます。それ以外の一般的な二次産業業種につきましては、これは八分七厘。それから仰せのように、三分五厘という金利もないわけではございませんが、これは農林関係の土地を取得するとか——農民の場合は非常に生産性が低いというようなことがいわれておりますので、二次産業に関してはそういうものはないわけでございます。別途、輸出入銀行で四分という輸出金利を採用いたしておりますが、これはまた別の意味で、ヨーロッパとかアメリカとか、そういった国と輸出競争をするわけでございますので、そこら辺の国際金利に合わせたところでやらないと、これは勝負ができないわけでございます。これはまた別のものとして考えるべきではないだろうか、かように考えております。
  12. 山内広

    山内委員 その議論は幾らやってもきりがないと思いますので、これはあと大臣の判断におまかせいたしますが、せっかく北海道産業を興して相当の利益も上げておりますから、できればこれが道民にまた還元されるような方法で、いろいろ利子の問題もあり、あるいは先ほど触れました納付金の問題もあり、一つこういう基本的なものを御研究いただきたいと思うのです。ただ、社債借り入れの場合に七分にしたということですが、この前はたしか六分五厘という発表であったと思います。五厘高くなったのはどういうことですか。
  13. 松田令輔

    松田説明員 先ほどもちょっと触れましたが、従前は政府資金公庫が利用いたすにつきましては、借入金方法でいたしておったのでございます。ところが、最近はこれが社債引き受けの形になりました。従いまして、社債金利自身政府資金がわれわれの方に流れておる、こういう形でございます。
  14. 山内広

    山内委員 これも私ども疑義がありますけれども、この借入金というのは、やがてなくなるわけですね。将来、長い間に返済すれば消えることになるわけですね。
  15. 松田令輔

    松田説明員 さようでございます。
  16. 山内広

    山内委員 わかりました。それから、公庫方針書あるいは公庫法を見ますと、保証業務ができるようになっておる。ところが、いただきました資料を見ますと、一件一銭もないことになっておる。なぜこの保証業務が行なわれないのか、その点をお聞きしたい。
  17. 松田令輔

    松田説明員 現在、法規上は保証ができることになっておりますけれども、現実には保証の例はないわけでございます。と申しますのは、資金を必要とする先におきまして、公庫から直接借りますれば、先ほどから申し上げております八分七厘で借りられるわけでございます。しかるに、先生のおっしゃった保証でいたしますときには、公庫貸出金利よりも高い市中金利で借り、その上に公庫に対しまして二分の保証料を支払わなければならぬことになるのでありまして、八分七厘で公庫から直接借りることに比較いたしまして、公庫保証市中銀行から借ります場合には、その間利息上非常な差がございますので、資金需要者といたしましては、公庫資金を直接融資してほしいという要望が強くありまして、保証要望というものが実はないのでございます。従いまして、私どもといたしましては、保証ワクということよりも、融資いたしますところのワクを広げてもらうことの方が、皆さんの御要望に従うものでありますので、さような関係で今日保証の例がないのでございます。
  18. 山内広

    山内委員 保証をやるというと、金利の高い上に二分の保証料を取られる。やはり、この二分というものも私は問題だと思うのです。保証料くらいは免除してやってもいいのではないか。しかし、今おっしゃる通りワクが拡大されれば、八分七厘で借りられるのですから、これはいいことだと思うのです。それにつけても、限界が出資の二十倍ときまっておりますから、国会にすがらぬでも、利益額納付金の額は簡単にそのまま増額していくような措置をとっておけば、それだけふえていきます。そういう手段でも講じられて、せっかく法的には業務保証制度がありながら、実際に五年もたって一銭も、一件もないというのであったならば、むしろこういう業務法規の上から削ってしまった方がいい、私はそういう考え方を持たざるを得ないわけです。これは意見ですので、あとでまた御研究いただきたいと思います。  私の質問を終わります。
  19. 永山忠則

    永山委員長 関連質問はありますか。
  20. 石山權作

    石山委員 北海道東北開発は、公庫の役目も、ある意味で非常に後進地といわれている地方開発に役立つだろうと思うのですが、特殊金融機関である公庫皆さん貸し出しを通じて見た産業の実態というもの、大ざっぱでよろしゅうございますから、どの産業投資したら非常に効率的であって、この産業はどうも最初思った通りに実績が上がってこない、こういう例証があったら、その例証を二、三お示しを願いたいと思います。
  21. 松田令輔

    松田説明員 公庫融資につきましては、法律に明記されておりますように、資源利用開発というものを総合的に促進することに寄与するような貸し出しをしろ、こういうことでございますので、さような考えでいたしております。従いまして、公庫貸し出し方向といたしましては、それぞれの北海道あるいは東北というところにおけるところの資源の状況にもちろん従ってくることになります。従いまして、北海道について申しますと、たとえばてん菜糖とか紙パルプとかいうようなものが多くなりますし、それから東北地区に参りますと、非鉄金属あるいは天然ガスを利用するような事業というものがどうしても多く相なります。そのほか、北海道特殊事情といたしましては、建設用の資材ないしは生産物をどうしても内地に運輸してこなければなりませんので、船舶の関係というものがどうしても必要になる。さように東北北海道それぞれの特殊性に応じた傾向が現われて参ります。そうして実際問題としまして、しからば事実やってみて成績の思わしくないものはないかというお話でございますが、今東北北海道とも森林資源が多いのでございますので、紙パルプだけではございませんで、繊維板とか、いろいろ木材関係の新しい工夫というものが行なわれておるのであります。かようなものの中には、新しい方式を採用していくときには、試験と申しますか、研究自体のものも多少ございまして、当初予期したほどの成績が上がらずにおるものも間々ございます。そのほか、たとえば北海道におきましては水産物が多いわけでございますが、魚を乾燥することができますならば、天然でありませんで機械的に乾燥することができれば非常にいいわけでありますので、さような計画もございますけれども、これはなかなか当初考えたようには参らないような傾向も二、三見受けられます。
  22. 石山權作

    石山委員 私、金融機関というものは、一つワクの中で最良ということを中心にして操作をなさっていると思うのです。ですから、資金量が不足かどうかということになると、これは銀行の方自体としては言わぬと思う。しかし、僕ら経済企画庁にお聞きしたいことは、経済企画庁は、口を開けば、地域格差是正が政治のモットーだということをしょっちゅう言っている。そういう点から見ると、今の総裁発表から見ても、投資の形態というものは、おのずから第二次産業に限定されてきています。それ以上の産業は見ていない。おそらく投資もあまりしてあげていないのかもしれませんけれども、今政府でやっている農業改善事業等返上連動などが起こっている理由は、つまり、投資がみみっちいという批判ですね。投資がみみっちいものだから、改善事業に手を出しても、負債だけが残っちゃって、実効が上がらぬだろうという不安があるわけです。ですから、後進地、特にこの場合の東北北海道を見てみますと、投資されている面が、農業のうちのビートであるとか、地下資源であるとか、水産の一部とかいうふうに、ほとんど限定されてきています。資金量がことし、来年、再来年とむだなような格好投資されないと、産業の育成ということはおそらく不可能だと私たち考えているのです。特に農業の場合、水産業の場合などは、そういうことが大事であろうと思うのですが、それに対して皆さんの方の見た目の資金量というものは、総合開発から見て、まあまあこの程度ならばということになっておりますか。
  23. 玉置康雄

    玉置説明員 ただいまお話の第一点は、農林水産業の方の配慮が足りないのではないかという御趣旨だと思いますが、バランスから申しましたならば、農林水産業それ自体への融資農林漁業金融公庫でいきますので、公庫融資されるのは加工工業になるわけでございます。現在三十一年から三十六年までの累計で申しますと、農林畜水産物加工業公庫から融資されましたものが二百五十六億になっておりまして、製造業と申しますか、化学工業、それから非鉄金属、そういう製造業全部入れましたものが二百三十一億になっております。そのほか、交通運輸業が九十六億、鉱業が九十七億とございますけれども、それらに比較いたしまして、第一次産業加工業への融資が非常にバランスを失しているとも思っていない次第でございます。  なお、お尋ねの第二点の地域開発と申しますか、所得格差是正の点からどうかというお話でございますが、その点から申しましたならば、資金量全体といたしましては、私どもももっとほしいわけでございます。ただ、所得格差の点から申しましたならば、私どもといたしましては、公庫のみを考えるわけに参りませんので、現在県民一人当たりの所得を比較いたしますと、一番低いのが鹿児島県で、次が宮崎県だったと思います。次が岩手県でございましたか、そこで、そういうほかの地方のことは開銀の方でやられておるわけでございますが、そちらの方も考えなくてはなりませんので、全体としまして、そういう地方開発的な融資ワクはもっとほしいとは考えております。
  24. 石山權作

    石山委員 この経済開発は、もちろん公庫だけに限られるということではない。ただ、私ども地域格差の問題を出す場合、東北北海道と九州の南部がたまたま一致しているような格好、この一致していることをもうちょっと突っ込んで考えてみたらどうかと思うのです。暖かいところ、つまり、地理条件ということと、このたびのように豪雪を食らってひどい目にあいながらも、南国鹿児島県、宮崎県等と同一にするためには、そこに住む人たちの並み大ていの苦労、努力では、そこまで達成できないということですよ。ましてや、全国平均に近づこうとするならば、これはそこの住民の汗水だけではだめだと私は思う。もっと公共的な投資というものがこの際考えられなければいかぬと思う。  それから、私、何もそこに住んでいる人たちを擁護するわけではない。投資をすれば上がってくる、上がってくるものは一体何か、地下資源が上がってくる。次に上ってくるものは何か、農業の中の林業だ。これは開発方法によっては無尽蔵の価値のあるものが上がってくる。水産業だってそういうことが言えるだろうと思う。役人の根性というものはおもしろいもので、飛躍ができない。前年度の増額が二五%だった、ことしは三〇%になったから、われわれは東北地方をよく見て上げたのだという筆法なんです。これでは十年たったって、十五年たったって、全国平均に近づきはしません。だから、この投資の額というものは、よその条件と同じような見方ではいけないのではないか。特に東北北海道の場合には、もっと別の面から力を注ぐ、力を注げば、それだけ上がってくるのです。それが地下資源もないものなら、投資効率というものは薄いでございましょう。先ほど総裁の報告の中で、パルプ産業などはいいと言われたが、これは林業連帯関係がある。まだまだこういう産業は起き得る可能性があると思います。特に今度農林省で、米の俵をやめて紙の袋にするという案が出ておりますが、これなどはやはり安い紙袋を使わせる。そうして俵は堆肥に回らなければ、畜産は起きないのですから、ここへ投資することは、あんまり満足感だけではうまくいかぬと思うのです。去年より五%多いからいいじゃないか。しかし、最初の元手が少ないのですし、立地条件が悪いところなんですから、皆さんが少しぐらいいいと思ったって、これはなかなかいいところへいかない。たまたま南国鹿児島宮崎県をお比べになったのですが、東北北海道をそれと同じ歩調に合わせるとすると、これは人道問題ですね。雪のある国に対しては、そういう思いやりがなければいかぬじゃないかと思うのです。それから何べんも繰り返すようですが、投資をして効率の上がらないような土地ではない。こういう点をもっと親身になって開発工夫をしていただきたい。こういうことです。  それから、これは意見になりますけれども公庫と企画庁が同じ思想、同じ産業の育成という格好立場に立ってこれをやっていかぬと、公庫公庫の見方だ、経済企画庁経済企画庁で理想ばかり追っているんだ、これでは計画と実施がちぐはぐになりますので、同一路線、同一思想のもとに立って、公庫は実質的にお金を貸す、行政指導上では、経済企画庁が五カ年計画か三カ年計画等をお示しになって指導をしていく、こういう点がうまくいっているというように私たちには、残念でありますが、見えないのでございます。それはなぜかというと、経済企画庁は、東北北海道地方を日本の産業構造の中のいわゆる農業として育てる、第二次産業として育てるというようなこと言っておるのですが、その第二次産業のうちのどれとどれがいわゆる適地か、適格かということは、まだあげておらぬでしょう。こういうようなことをやはりあげる工夫をして、この産業には優先的に投資をするのだというふうなことがうまくいかぬと、育つ産業も育たぬのではないか、私の言っていることは的はずれでございますか。
  25. 玉置康雄

    玉置説明員 最初の地域格差の話で、私たまたま南九州の県の名前をあげたのでございますが、実際の格差を比べることは非常にむずかしい問題で、私どももどういうふうにして比べたらいいかということをなかなかきめられないわけでございます。確かに所得だけではいきませんので、それによりまして支出する内容を比べないと比べられないわけでございます。東北地方におきまして、被服費、燃料などの支出が南九州より大きいことは当然でございまして、実際の生活程度となりますと、そういうものを差し引いたもので比較しなくてはいかぬわけでございます。そういう詳細な計算は実はやっておりません。いろいろな数字がございまして、それらをただ総括として見る程度でございまして、こまかくどちらがどちらという比較は現在のところできていない次第でございます。  さて、最後におっしゃいました、企画庁と公庫と同じ立場で物事を考えていかなくてはならぬというお話しでございますが、公庫に対する融資方針といたしましては、毎年度の初めに政府金融機関融資方針について閣議決定がございまして、抽象的には、その方針によりまして私ども公庫に連絡し、公庫もそれによって樹立されているわけでございますから、大まかな方針としては一致しているはずでございます。ただ、企画庁といたしましては、あまり個々の融資立場には入りたくないと思っておりますので、具体的な問題になるとちょっとわからない点がございますけれども、大綱は一致しているはずでございます。  なお、企画庁の方でどの産業をどこに興したらいいということをもっとはっきりしろという御意見でございますが、確かにそういう点で、東北開発計画をもっと固めていかなくてはならぬと思っております。現在の東北開発計画もだいぶ年限がたちまして、改定作業中でございます。改定作業にあたりましては、できるだけただいまの石山先生の御意見に沿いまして、具体的にどこにどういう産業を興したらいいということを突き進めたいとは思っております。
  26. 石山權作

    石山委員 公庫に私の意見一つだけ申し上げておきたいのですが、東北開発会社が去年あまりいい評判は出ませんでした。私、公庫のことはこまかく言うことはない、商売ですから、いいときもあれば悪いときもあるし、こげつきもあるし、いろいろあるだろうと思うが、企画庁がこまかいことは監督しないという建前はりっぱだと思う。しかし、このりっぱさをうまく利用しちゃって、特定の人の息のかかった会社に、みすみす上がってこないことがわかりそうなところへも融資し得る可能性があるわけなんです。そういう場合には、厳重に、今ないと言って、りっぱに証言すればそれでいいですよ。しかし、公庫というものはそういう可能性がある。半民半官の会社はえてしてあることなんだ。失敗等を繰り返さないためにも、われわれの知っている限りは、やはり危険な貸し出しもあるように見えます、そういう点では十分注意をしていただいて、悪い評判が立たないように工夫をしていただきたい。われわれは何も今公庫自体がどうのこうの言っているのではない。皆さんの仲間である東北開発会社が去年ああいう評判が立ったものだから、この際、われわれは、仲間として皆さんにりっぱな仕事をしていただきたいという考えを持っているものですから、悪い評判が立つと、政府出資することも差し控えるということにもなるだろうし、いろいろ障害が起こるものですから、この際、いやなことですけれども貸し出しには、特定の人、特定の政党等に片寄ったことはくれぐれもしてはいけないのではないか、こう御意見を申し上げまして、質問を終わります。
  27. 永山忠則

    永山委員長 これにて北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  28. 永山忠則

    永山委員長 これより本案について討論に入るのでございますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  29. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。     —————————————
  30. 永山忠則

    永山委員長 引き続き労働省並びに自治省各設置法の一部改正案について、質疑を許します。石山權作君。
  31. 石山權作

    石山委員 大橋大臣がお見えになったのですが、政務次官に対してこの前私答弁をお願いしておった点が一つございます。  それは三月二十日に政務次官会議が開かれまして、いわゆる各省の責任体制ということを強くそこできめたわけです。そのきめた中では、たとえば勤務能率向上のために待遇改善をする、こういうことはいいことだけれども、何だか高級公務員は規律を厳正にし、人事院規則を励行する、こう書けば、高級官吏はいかにも規律がゆるんで人事院規則を無視しているように見える。私は、よその省は問わないけれども、労働省の内部はどうか、執務態勢はどうか、綱紀粛正がきちっといっておるかどうか、よその省は言わぬけれども、あなたのところはどうですか、こういうように政務次官に言ったら、私はその日出席しなかったのでわからぬとかなんとか、うまいことを言って帰ってしまった。それではこの問題はあとで調査をして、労働省内の高級官吏その他の執務はちゃんとしておるかどうか、不良な者はいないのかどうか、こういうふうなことを答弁をすることになっているわけです。それは自分たちで言っているのだから、そうなんだ。その点をお伺いします。
  32. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政務次官会議の決定は、まだ労働省としてはその通達を受領いたしておりません。受領した上は、十分内容を検討して、趣旨に沿うように努めたいと思っております。しかし、新聞等でこういう決定のありました事実は承知をいたしておりますが、おそらくこの政務次官会議の決定の趣旨は、国家公務員につきまして、政府としては人事院勧告に基づく給与法の改正を提案をいたしておりますし、だんだんに国会の御審議も進みまして、実施が迫ってきた、こういう時期でございましたので、もともと国家公務員の給与については国税に依存いたしておるのでございますから、やはり国民の血税をこの上ともりっぱに有意義に使うという意味で、この際、政府関係の各省における公務員の執務のあり方については、おそらく各省とも間違いなくやってはおろうけれども、この際、一そうそういう点に注意することが必要だ、こういう趣旨の御決定ではなかったかと存ずるのでございます。いずれにいたしましても、近く内閣から何分の通知があろうと存じます。その際には、十分内容を検討して、この趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  33. 石山權作

    石山委員 大臣にもう一つ。これは、あなたがこの前御出席にならなかった場合に、私、賃金部の部長さんにいろいろと給与の問題についてお話しした点であります。概括的に申し上げますれば、今の日本の給与というのは、生活給からだんだん企業に沿うたような形に移行していく、いわゆる技能給、職階給、職能給、能力給とか、いろいろあるようですが、とにかく今の生活給は大体間に合ってきているから、今度はその上に積み重ねて、技能、職能、こういうふうなものを加味しなければならぬ、こういう傾向があると言っている。しかし、この傾向がある場合、野放しにしますと、非常な危険性もあるわけなんです。それはなぜかというと、少数の人数でうんと能力を上げる。合理化当然裏打ちをされたような格好になる。首切りを承認した形が給与の面に現われる場合が予想されるわけなんです。そういう点を考えてみますと、この職能、能力あるいは時間短縮というようなものは、かなり高度な産業の場合考えられることだと思うのです。それからもう一つは、高度の産業の場合には、かなりに経済状態、日本でいえば、日本の海外貿易が順調に伸びた場合が想像されます。しかし、日本の場合は、残念ではございますけれども、高度成長経済が頭打ちをすると同時に、貿易はどうも停滞気味を免れておりません。そこで、この高能率、高賃金だけを労働省あたりがあまり主張されると、どうも危険性があるのではないか、こういうことを申し上げたのです。  それから、中小企業と大企業の賃金の格差がなくなったとか、給料が急に上昇したとか、コスト・インフレになるとか、こういうふうな言葉を使うようですが、この使い方については、日本が非常におくれた賃金形態であったということを第一に忘れると、非常に危険だということなんですね。そうすると、中小企業の方々は企業努力を忘れちゃって、賃金を押えようとする。なぜかといえば、日本の賃金は急上昇した、大企業と中小企業が近づいた、こういうふうな言葉を労働省あたりで使うとすれば、中小企業は今の場合賃金を押えにかかるという錦の御旗を立ててくる、そういうことのないようにお願いをしたわけです。  それから、あなたの場合は給与担当大臣ですから、もう一つ。これは賃金部の部長さんにも言ったのですが、公務員の給与と民間の給与という考え方、年功序列を否定するのが民間の傾向、さっき言った通り、いわゆる初任給を高くせい、能率給をつけよう、こういうふうなことと、それからもう一つ、官吏の給与を考えた場合、何と申しましても、膨大なシステムの中では、抜擢人事というのはなかなかむずかしい。結局、年功序列型が最も平安な、やりやすい人事行政になると思うのです。システムが大きければ大きいほど、民間でも一流の会社になると、そういうことになる。どこそこの大学の何年期に出た者は大体部長クラスになるということがきまっておる。特に官吏の場合にはそういうことが予想される。政府としましても、今までの人事院の勧告は、民間給与にならって、そしてそれに無理に横すべりをさせて給与をきめてきておりますが、これもそろそろ、もし労働省の賃金部あたりがやはり職能給を採用する時期がきたと判定するならば、人事院の勧告に対する法律改正も当然考え合わされなければ、私は、労働省で給与に関して使う言葉というものは、生活給から逸脱してしまうと思うのです。逸脱という言葉がいかぬとするならば、発展するとするならば、どうしても法律を改正して人事院の勧告の方式というものを改めなければ無理が出てくるのではないか、こういうふうに三つくらいを、大臣はおいでになりませんでしたけれども、賃金部長さんに申し上げておきました。それについて、大臣の大ざっぱなお考えがあれば承りたいと思います。
  34. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま石山委員の仰せられましたことにつきましては、私もまことに同感であると考えております。従って、労働省といたしましては、賃金の調査の発表等につきましても、できるだけ用語は正確を期しまして、誤解あるいは誤用されることのないように注意いたしたいと存じます。  なお、民間の年功序列型に対する批判の空気も出ておるけれども、公務員の給与については依然として年功序列型が行なわれつつあるし、また、そういう意味で、生活給的な考え方を維持すべきではないかという御意見でございます。この点につきましては、御承知通り国家公務員法におきましても、職階制の採用ということがはっきりいたしておりまして、この職階制の採用ということは、やはり能率給的な考えを給与の方面においても将来採用しようという土台であろうとは思いますが、しかし、公務員法ができまして以来今日まで、人事院における職階制に関する作業もほとんど進んではいないような状況でございます。これを見ましても、なかなか困難でございまするので、ただいまのところ、政府といたしましても、国家公務員の給与について基本的な形を変えようというような考え方はいたしておりません。もう少し、民間の給与体系というものも今後どういうふうになって参りますか、それらも十分に観察をいたしました上で、おくれて結論を出して差しつかえないのではないか、こういうふうに考えております。先走るような考えは毛頭ございません。
  35. 永山忠則

  36. 山内広

    山内委員 大臣がおいでになるうちに、二、三、大臣にお尋ねしておきたいと思います。  実は、前の委員会のときに強く指摘しておいた点でありますが、今度は二百二十九名の増員でありまして、これは単なる業務量の増加、三十二年度に対して三割の業務量増加に対し、一割二分の増員ということで、これは問題がないわけです。特に私どもは、二百二十九名の増員でもまだ足りないという考え方はありますけれども、これは機械化、あるいは機動力を持たせて、業務の能率を上げて補いたいという当局の御説明ですから、それはそうまかしておきます。ただ、最近の労働災害が非常に多い。実質的に減っておらない。これは労働大臣官房統計調査部でお調べになった「労働経済の分析」なんですが、この中を見ましても、三十六年度では四十八万一千六百八十六件の労働災害が出て、そのために死亡した人が六千七百十二人もある、こういう資料が出されておるわけなんです。こういう労働災害が発生しまして、あと保険金を払うとか、失業者に失業保険をやるとか、こういうことは、私は大した問題でないと思う。労働基準局というものが、国の機関の中に直結して置いてある意味は、この災害をどうして予防するか、防止するかという点にある。単なる保険料を徴収して、保険金を払うのであったら、これは地方自治体の公共団体にこの業務を移管した方がいいという考え方を私は持っております。非常に格好な、地方公共団体に移管するにはいい仕事だと思っておるのです。ただそれだけを考えればですよ。しかし、労働者を災害から守る。そうすると、経営者というものは、経費を詰めて、安全な作業のできないような工場をつくって、そして顧みないから、国の力でもってバック・アップをして、そういうものを直して、労働者の災害を防ごうというので、労働基準局というものを政府の機関にし、それに付随したこういう保険の業務をやっておるわけなんです。もし労災というものが、予防的な措置、機能、働きができないのであったら、私はもう労働行政というものの大半は要らないものだと思う。これはほんとうは厚生省と一緒になってもいいのです。最近は、統計に現われるばかりでなく、実はこの間も一例として申し上げたのですが、大阪劇場でああいう災害が出て、踊り子さんが四十何名かけがをした。あわてて今度は、そういう劇場ですから、どういう通知を出されたか知りませんが、通告一本で気をつけろという通知を出した。ですから、日劇では、それを受け取って二、三日たったら、また事故が起こった。これは軽微な事故ですから、幸い大きくならなかったから、あまり問題にはならなかったとは思いますけれども、この労働基準監督局の監督官というのは、そういう危険な職場にはみずから踏み込んでいって、そしてそういう施設を見て、働く人の環境の整備をやるのが任務なわけです。そういう点で、はたして今の陣容でやれるのかどうか、そういう点で問題になりまして、他の委員からも質問が出ておりますけれども、一人の監督官の受け持ち個所が四百も五百も負担がある。これはあとで事務当局から数字を出していただきたいと思いますけれども、そうすると、一日に一軒ずつ回っても、一年半もかかる。こういうことでは、とてもこの本来の労災防止の仕事ができないではないか、こういうふうに私ども考えております。  特に、予算書の中から拾ってみますと、これもこの前ちょっと触れたのですが、労働保護官署の方々の身分というものは非常に低い。たとえば労働基準監督官というのは二百六十四名おります。そのうち、六等級が二百二名、七等級が六十一名。別にこれは等級が低いから仕事ができないというものではなくて、仕事に誇りを持てばそれはやれるでしょうけれども、労働省のお役人というのは、実はここにたくさんおられると思いますけれども、私は非常に同情しております。建設とか農林とか、そういう事業を持っていない。こういう人たちの職場というものは、仕事に生きがいを感じて、給料は安くてもいいのだ、こういう仕事に対する誇りを持ってもらうことが一番大事です。ですから、こういう官等級の低い人を監督官ということにしておいても、これは、りっぱな職場へ行って社長に会って、この工場の施設が悪い、これはこういうふうに直しなさい、それくらいの指導監督ができるように、せめて警察の署長くらいの立場でものが言えるようにしないと、一方的な経営者側の言うなりになってしまい、文書の通知一本でやったって、これは決して直るものじゃない。そういう意味で、今こういう点の労務災害から労働者をどうして守るかという、労働大臣にかけられた使命というものは、私は非常に大きいと思う。業務量で二百二十九人の増員をして、しかも、それはできてしまった失業保険金の支払い、徴収に充てる人間でしょう。そういうことでは、私は労働省設置の意味がないと思う。一つこの際、労働大臣は、幸い党内実力者として非常に力もあり、また長い経歴から見て、労働行政には明るい方なんですから、この際、抜本的にこの点に触れて、ぜひ問題の解決をやっていただきたい。この点についての大臣の所感を伺いたいと思います。
  37. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまのお話は、まことにごもっともに存じます。労働災害の発生は、幸いに発生率というのはだんだん低下しておるようでございますが、しかし、産業の発展に伴いまして、事業場の数がおびただしく増加して参っております関係上、全体の数字は、年々依然として増大の傾向にある次第でございます。これに対して監督官の数が少な過ぎはしないかという点でございますが、監督官の数は、事業場の数の増加には比べものにならないような状況でございまして、まともに監督をするということになると、数年たってようやく一回りできるというようなわずかな監督官の数であることは、これは事実でございます。  そこで、労働省といたしましては、監督官の数の増加ということも考えなければなりませんが、同時に、他の方面の努力によって災害の減少をねらう必要もありはしないか。こういう面で、特に工場、事業場に対します法令の整備、監督官の指導強化、ことに中小企業に対します安全施設のための融資制度等を実施いたして参ったのでございますが、昨年の七月、産業災害防止対策審議会から、政府に対して答申がございまして、閣議におきましても新産業災害防止五カ年計画を樹立して、さらに災害防止を強力に推進しよう、こういうことになりまして、ただいま改正法律案を提案しておるような次第でございます。安全教育の徹底であるとか、あるいは安全管理の体制の推進であるとか、新技術に即応する安全対策の強化等の面を進めますとともに、災害防止に対する民間の自発的な努力を一そう推進いたしますため、特に全国的規模ないしは業種別の団体をつくって、政府から補助金を出して、活動してもらうというようなことも考えておるわけでございます。しかしながら、何と申しましても、監督官の人員の増加並びに待遇の改善ということは、安全行政の根本でございますから、この点については、ただいまお述べになりました御趣旨もございますので、労働省といたしましても、今後十分に努力をいたしたいと存じます。
  38. 山内広

    山内委員 大臣の御決意のほども示されましたので、この点一つ大いに御努力いただきたいと思います。ただ、今答弁の中にもありましたが、地方的に、業種的に民間の団体をつくり上げて、それに国が助成をして災害防止をやる、これはやむを得ないでおやりになるのでしょうけれども政府みずからが自発的な指導力を持たないで、民間にそういうものをつくらせて、経営者まかせになってしまうと、かえってこの防災というものが危険にさらされる心配がある。要するに、経営者にお世話になるのですから……。そういうことではやはりいかぬと思う。労働省みずからがその職場に行って、危険なところを観察して、強力にそれの安全をはかる、労災から労働者を守ってやる、この気がまえがなくて、単に経営者だけの団体に金をやってまかせるなんていうと、かえっておかしなことになりはせぬか。これはこの前も田口委員から強い指摘がありましたけれども、私も非常に心配する。そういうことのないような万全の対策を考えていただきたい。  それから、これも大臣おいでになるうちに聞いておきたいと思いますが、実は行管の方からいろいろ監察された結果として指摘された中で、私もこれは同感でもあり、いまだこういう点が修正されないでおるのかと不思議に思う指摘がなされております。これは大臣承知と思いますけれども、その一つは、公共職業安定所の区域の問題とかあるいは業務量の問題、それは旧態依然として、戦争前からの惰性でもってそれに修理を加えているだけなために、行政上のアンバランスが非常にできておる、こういう意味の指摘であります。私も、全国的にはどうなっておるか、様子はよくわかりませんけれども、私のおりました北海道でも、その点は指摘されると思うのです。行政上の地域的に見たり、またその後の失業の発生状態から見たり、今度はまた炭鉱離職者というものがたくさんふえてくる、そういうことで、どうしても区域の問題とか、あるいは出張所、あるいは本省の関係、そういうものに大きな修理をしなければならぬ時期になったと思います。この点について、一つ大臣の御意見を承りたいと思います。
  39. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御指摘の通り、職業安定所の配置並びに管轄区域等が、業務量と必ずしも調子がそろっていないという点がございます。これにつきましては、労働省といたしましても、できるだけ現状に合わせるようにしなければならぬと考えておるのでございます。しかし、一度つくりましたものをやめるということは、事実問題としてなかなかむずかしい点がございまして、管轄区域の変更等によりまして、従来からも多少修正の努力は続けて参ったのでございますが、やはり思い切った処置をいたしまするには、相当な職安の新設並びに人員の増加が必要であったのでございます。今回、幸いに中高年齢層の離職者対策に関連いたしまして、必要な人件費並びに数カ所の職業安定所の新設、また出張所、分室等、相当大幅な増設が認められましたので、お示しのような趣旨をもちまして、今年度できるだけ職業紹介網の手直しをいたして、実情に適合させるようにいたしたいと思います。
  40. 山内広

    山内委員 大臣の御答弁はもう要りませんから、中間に……。
  41. 永山忠則

    永山委員長 石橋君。
  42. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣にちょっとお尋ねしておきたいと思います。  実は昨年、私の地元の職業安定所の所長人事の問題について、非常に大きな紛争が起きておって、御承知かと思いますが、地元の職員は天下り人事だといって反対したわけですが、一出先の職業安定所の所長を中央から派遣した、若い人ですが……。これに対して非常な不満を持って、登庁を阻止するというような強硬な運動が展開されたという事件があるわけです。はたしてそういう無理をする必要があるのかという点で、私も疑問を持っております。従来も県の職業安定課長あたりまでは本省から出ていくというような事例はございましたが、出先の所長まで本省から派遣するというのは、長崎県においては非常に珍しい。全国的にどの程度やっておられるかもお聞きしたいわけですけれども、その意図が実はわからないのです。ほんとうに安定所の仕事を円滑にやらせようという気持でやったとするならば、どうも私は逆効果ではないかという感じがします。現在安定所の職員の身分の問題について、非常に問題が出ていることは御承知かと思う。結局、県の職員にいっそなってしまった方がよいという空気が出てきております。これに対する巻き返しではないかというふうにも考えられる。ほんとうに役所の仕事を円滑に推進するために必要だと考えてやられた人事だとは受け取れない。まず、その基本の問題について、安定所の職員の身分を今のようなあいまいなことにしておくことがよいのかどうか、この際、職員の希望が地方公共団体の県の職員になりたいというならば、その辺ははっきり割り切ってもいいじゃないか。国の業務でも完全に県に委任して、県の職員がやっているものが何ぼでもあるわけですから、職業安定業務について、従来のような職員の身分をあくまで継続しなくちゃならない根拠があるのかどうか、まず、その辺からお尋ねしてみたいと思うわけです。
  43. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 職業安定所の職員を地方公務員にする必要があるかどうかという御質問でございますが、それは国際労働条約の関係上、国家の責任で職業紹介網を維持管理しなければならぬ、こういう意味で、国家公務員が当たることが必要だ、こういうことで、ただいま全部職業安定所は国立になっており、そしてその職員の身分は国家公務員になっておる次第でございます。
  44. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 条約上、絶対地方公務員に移譲できない、こうおっしゃるわけですか。
  45. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまそういう解釈をいたしております。
  46. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その辺にも問題があると思うのです。職員が地方公務員になりたいのだという希望を非常に真剣に最近は言っております。この点については、私自身、まだ党としましても、どちらの方がいいかということを最終的に結論を出しておりませんから、これ以上申し上げるつもりはありませんけれども、今申し上げた、仕事を円滑にさせるために、そういう立場から考えていくならば、はたしてどちらがいいかということになると、問題があると思うのです。特に出先の所長まで中央から派遣してやっていくということになると、ますます現在の職員の登用の道はふさがれてしまうわけです。せめて所長までにはなれると希望を持っておった職員も、それまで閉ざされてしまって、もう所長は本省から来る、おれたちは課長か係長どまりだということになると、私は士気にも影響すると思うのです。そういうやり方がはたして行政運営上妥当だと大臣はお考えになりますか。
  47. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この長崎県の職業安定所に、労働省の中央の官吏が直接所長に任命されたという例は、まことにまれな例でございまして、聞くところによりますと、この制度が始まって以来最初のことであったそうでございます。その事情をただいま確かめてみますると、元来、職業安定所は国立の機関でありますことは、先ほど申し上げた通りでございます。ところが、各府県に相当数も多いものでございますから、それに対する監督権は一応府県知事に与えることにし、そして府県知事のもとに職業安定課を置いて、管内の職業安定所の管理監督をする機構に相なっております。そこで、労働省といたしましては、職業安定網の整備並びにこの運営について責任を持つ必要上、県庁の失業保険課長、職業安定課長には、従来からも各県とも県知事との話し合いを通じまして、中央から官吏を派遣する場合が多いのでございます。長崎の場合は、たまたま中央から派遣いたしておりました失業保険課長が更迭することになりまして、その後任を本省から出すことに順序上なったのでございますが、県の希望といたしまして、地元の職業安定所長に適任者があるので、それを失業保険課長にしたい、そこで、本省から来た人を職業安定所長に任命してくれ、こういうことで、この任命が行なわれたのでございます。従って、地方要望でございましたので、おそらくは地方の安定所の内部の状況を十分に調査せずに、この任命が行なわれたような点もあったのではないかと思いまして、今のように地元でごたごたを起こしましたことは、これはまことに遺憾なことであると思うのであります。私どもといたしましては、中央の労働行政というものは、いつも地方の労働行政の実態に即したものでなければなりませんし、そのために中央で働く官吏が、時に地方の第一線に職場を得て、そして第一線の実情に十分親しみ、またその実情をわきまえておくということは、労働行政の将来のために必要なことであると思いまして、この原則というものは、依然として続けるべきものであると思います。ただしかし、今まで職業安定所にはそうした例がなかったわけです。今度そういう特別な事情で、初めて行なわれたものでありますから、職業安定所長に中央から今後も出すかどうかという問題につきましては、もう少し役所としても検討をいたしたいと思いますし、まず県庁あたりで県内の県庁という立場での仕事を見習うことによって、おおむね目的を達し得るのではないかというような点もございますので、今後の問題としては、十分に検討をいたしたいと思います。ただ、長崎県のその問題は、そういう特別な事情で起こりまして、結果的にはまことに遺憾であったと思っております。
  48. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今経過をお聞きいたしましても、人事のための人事が行なわれておるということなんですよ。結局、行政運営の円滑化、そのための人事といった形に合っていないと思う。これは労働省に限らず、府県段階と本省との関係で、各省とも天下り人事が行なわれておることは、私もよく知っております。それは、県自体仕事というものは非常に少ないからなんです。ほとんどの仕事というものは、本来国の仕事で、それだけに各省との結びつきが強い。だから、いわば人質みたいな格好で、本省からだれか来ておれば非常に円満にいくのだというのが一応の口実であって、実際には、知事は必ずしも心から賛成していない向きが多いわけです。本省からだれかを押しつけられたときには、それを断わったらあとあと非常に支障を来たすから、まあまあ受け入れておこうという受け身の形で行なわれておる人事が、私は多いと思うのです。私はそれは言いません。しかし、今の問題に限って考えてみましても、県の失業保険課あるいは職業安定課というところは、慣例として課長が本省から来ておることは、私も知っておる。全県的に把握し、掌握し、そして中央との結びつきということを考えていけば、やりようによっては、それはかえってうまくいくかもしれない。しかし、ほんの一出先所長を本省から持っていくのは筋が通らないですよ。今の説明を聞いても、課長の方は向こうの方で確保したいから、本省から来るやつを出先の方へ回してくれませんか、全く変な人事じゃありませんか。人事のための人事じゃありませんか。そんなことは以後絶対にやめていただきたいと思います。幸いに佐世保の例が全国初だということでありますが、これでも失敗したわけですから、以後そういうふうな無理な人事はおやめになった方が、仕事をスムーズに進めていくために非常にいいと私は考えますので、その点だけ一つお約束願っておきたいと思います。
  49. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 十分に慎重に考えることにいたします。
  50. 山内広

    山内委員 若干事務的なことをお尋ねしておきたいと思います。  今の石橋さんの御質問にちょっと関連しておるのですが、予算書の中で、地方自治法の附則八条による定員七百七十名をかかえておられるのですが、これはどういう性格のものであり、将来どうなるのか。ふえるのか減るのか。どういう立場にあるのか。この内容をちょっと御説明いただきたい。
  51. 松永正男

    ○松永政府委員 地方自治法附則八条によります定員は、制度として制定されました際には、暫定的なものという考え制定されたのではないかと存ずるのでございます。しかし、その後、この八条に基づきます定員が、相当長期間にわたり府県におりまして勤務いたしておりますので、この実績等から考えまして——地方自治法の所管は自治省でございますので、この解釈は自治省が責任のある解釈をされると思うのでございますが、私どもといたしましては、単なる暫定的なものであるということではない実態を備えつつあるというように考えております。
  52. 山内広

    山内委員 今お答えになった程度のことは私宅承知して聞いておるのです。この七百七一名の、地方自治体に席を持ちながら、身分は国家公務員である、そういうことから、いろいろな摩擦が起き、石橋さんから今指摘のあったような問題もここから発生してくるのではないか。そういうことで、この地方公務員、国家公務員、しかも机を並べて働いておる人の中で、こういうことがまだ残っておるということが、いいのか悪いのか、将来どうなるのか、現実はそういう差別がないのか、そういう点の把握をあなた方どういうふうに抑えておられるかをお聞きしたいわけです。
  53. 松永正男

    ○松永政府委員 地方自治法に基づきます国家公務員が、県庁の中におりまして、地方吏員と一緒に働いておるという現実は、確かに山内先生御指摘のように、必ずしも統一のとれたりっぱな姿ではないというふうに私どもも感ずるのでございますが、労働行政だけの面について見ますと、職業安定課、失業保険課、職業安定所というような系列におきましては全部国家公務員、ただし、今おっしゃいましたように、安定所におきましては労働事務官、県庁におります国家公務員地方事務官というような名称の差がございますが、縦割にしてみた場合に、全員が国家公務員であるという点においては平仄がとれておるというふうに考えます。ただ、御指摘のごとく、各省それぞれ仕組みが必ずしも統一がとれていないという実情もございますし、現状のままで整然としてこれでいいのだというふうには私ども考えてはおりません。
  54. 山内広

    山内委員 この問題は、いずれまた私どもも研究しまして、いろいろ意見も申し上げたいと思います。  その次に、お尋ねしたいのは、この行管の指摘の中で、私もこれは理解に苦しむのですが、労働基準局関係ですけれども、非常に兼務職が多い。ここでは数字をあげておりますけれども、四十二名のうち二十七名、六五%の兼職兼務者がおる、こういう点の指摘があるわけです。何がゆえにこういう多くの兼務者——しかも先ほど来指摘しておる通り、専念して仕事をやってもなお人が足りない、そして本来の防災ということについては手が回らないというときに、この兼職というのは非常に奇異な感じがするわけです。これについての御回答をお聞きしたい。
  55. 鈴木健二

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  今申されました兼職の数字は、はっきりと把握はいたしておりませんが、多分こういうことではないかと思います。と申しますのは、労働省の職員年令層はかなり古くなって参るわけであります。いわゆる紋別定数は、ピラミッド型が若干ちょうちん型に実態的にならざるを得ない。こういうような給与形態になってくるわけでございますが、必ずしも等級別定数がそれに応じてでき上がっていない面があるわけであります。上の等級、いわゆる四等級なら四等級につけるために、形式上そういう兼務の形をとって、四等級相当のポストでないと、たとえば専門官とかそういうことでないと、なかなか四等級になれない、一般の職員ではなれないという場合に、そういう兼務ができた、こういうふうなことではないか。ただいまお話を伺いまして、そんなことではないかというふうに考えるわけです。
  56. 山内広

    山内委員 今の御回答では、ますますこの労働行政のあり方に私は不満を持つわけです。特にこの労働基準監督局というのは、特殊な仕事であって、民間のあらゆる業種について安全な作業、施設がなされておるかどうかを見て歩く人ですから、相当な見識もあり、専門的な知識もなければならぬ人だちだと思う。それがこういう兼職の形をもって身分を多少でも上げてやらなければここに入ってこないというあり方は、おかしいと私も思う。ですから、私はこういうことをはっきり申し上げたいと思うのですけれども、労働基準監督業務というのは特殊なんで、お医者さんも必要かもしれないが、そのほかに、大学でも学ばないような特殊な教育をし、研修をしなければ勤まらない職だと思うのです。ですから、この研修施設なり何なりを設けて、そういうところで勉強させたものは、特殊業務として官等級を与えて仕事をやらせなければ、先ほど私が指摘した通り、名前は監督官であるけれども、実際は六等級、七等級の足だまりの予算より組めない状態にある。何も一般職の試験をとらせることはないと思う。こういう特殊なものは、特殊教育をやって、その学校を出て、独特の身分待遇を与えて、そうしてその業務でやっていく。そうすれば、初めてここで労働者を災害から守るような強力な国の力をバックとして、職場に行って、どんどんそういう不安定な施設の悪いところを改造させていく。こういうところに結びつかないと、今のようなわずかの数の中ですけれども、半分以上——兼職をして初めて待遇を認めるというのですから、大臣おりますれば、この点も、そういう回答が出るのだったら、大臣にお尋ねするのでしたけれども、そういうことで、一つこの点大いに研究していただきたいと思います。  次は失業保険ですが、現場を歩くと、失業保険をもらいにたくさん安定所に行っておるわけですが、非常に繁忙をきわめておる。一体失業保険をもらう人の窓口になる職員は、一日にどれくらいの人間を扱っておるのか、その点の統計がありましたら教えていただきたい。
  57. 松永正男

    ○松永政府委員 失業保険におきましては、基準といたしまして、失業の認定につきまして一日一人当たり百五十人、給付におきまして三百人という基準をもって、業務量計算をいたしております。
  58. 山内広

    山内委員 これは僕は非常に多い数字だと思うのですが、現実がそうなっているから認めざるを得なくてこうやっておるのか。認定百五十人あるいは給付三百人——百五十人の人を相手にして一日にやるというのは、常識的に判断して非常に多いと思うのですが、これはどういう計算でこういうのが出ているのですか。
  59. 松永正男

    ○松永政府委員 御指摘のように、非常に多い感じがいたしますが、失業保険の受給者が窓口に参ります際に、この件数の中には、二回目、三回目、ずっと来る方も入っております。それから新しく来る方も入っております。従って、二回目、三回目につきましては、非常に時間が少なくて処理できるということでございますので、全部が全部初回の受給者でありますと非常に大へんでございますけれども、突っ込みにした平均の数でございますので、おっしゃるように、これで非常に少ないとは申せません。なかなか窓口業務大へんだと思いますが、そういう計算で一応の基準にいたしておるわけでございます。
  60. 山内広

    山内委員 基準はそうとして、現実はどういうふうな扱いになっておりますか。
  61. 松永正男

    ○松永政府委員 現実は、先ほども御指摘がございましたが、安定所によりまして相当業務量のバランスが異なっておるところがございます。たとえば大都会の大安定所といなかの方の安定所と比べますと、やはりできるだけ調整はいたしておりますけれども、繁忙の度合は違って参ります。忙しいところでは、この基準を上回っておるところもございます。それから下回っておるところもございます。これにつきまして、担当者の人員増ということもできるだけはかる方向努力をいたしておりますが、同時に、やり方につきまして、たとえば従来は建前として一週間に二回認定をするというような基準になっておったのでございますが、今後におきましては、その認定を一週間に一ぺん、あるいは季節労務は二週間に一ぺんというようなことで、基準を改めまして、できるだけ担当者の負担を減らして参りたいということを考えております。それからまた、窓口におきます呼び出しとかいったような事務につきましても、電光表示器というものを取り入れまして、人手をわずらわさずに、スイッチ一つで受給者がわかって金を取りに来るというようなことで、いろいろな方法を講じまして、できるだけ能率的にできるような工夫をいたしておるわけでございます。
  62. 山内広

    山内委員 この提案理由の御説明の中に「中高年令失業者等の再就職を促進するために」ということで、三十五名増員してあります。これの具体的な方法をどういうふうにお考えになっておられるか、ちょっと……。
  63. 松永正男

    ○松永政府委員 中高年令層の失業者の方々は、一般の若い人に比べまして、非常に就職がむずかしいということが常識でございます。従来とも力を入れておったのでございますが、やはり中高年令層の就職を促進するというためには、個々の失業者、求職者の方につきましてケース・ワーク的な仕事を実施しなければ、ほんとうに親切な職業あっせんができないのではなかろうかという考えに基づきまして、就職促進指導官というものを置きまして、従来はたとえば受付から求職係、求人係というようなところを求職者が回って、就職と求人との結合をはかっておったわけでございますが、今度の中高年令層につきましては、特に求職者個々につきまして就職促進指導官が受け持ちをきめまして、大体考えておりますのが、一人の就職促進指導官が六十人ぐらいを受け持つ、この人が就職できるまで終わりまでお世話をするということで、昭和三十八年度におきましては二百四十人の就職促進指導官を置く計画でございます。三十五人の増員と合わせまして、現定員の中からやりくりをいたしまして二百四十人の就職促進指導官を置くという計画でございます。
  64. 山内広

    山内委員 時間もたっておりますから、質問を終わります。
  65. 永山忠則

    永山委員長 これにて労働省設置法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  66. 永山忠則

    永山委員長 これより本案について討論に入るのでございますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。  労働省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  67. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。     —————————————
  68. 永山忠則

    永山委員長 引き続き自治省設置法の一部改正案について質疑を許します。石橋政嗣君
  69. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 実は給与三法の審議の際にお伺いしたがったのでございますけれども、給与の審議を急いだ関係と、大臣にわざわざ来ていただかなくても、自治省設置法の審議の際にお出向き願えると思って、今日まで保留しておった問題があるわけです。それは従って自治省の大臣としてよりも、国家公安委員長としての大臣にお伺いするという方にウエートがかかっておるわけですが、警察の補助的な任務に従事しておる人たちの中で、非常に劣悪な労働条件で酷使されている人たちがおります。そういう下部の事情まではたして大臣が知っておられるかどうか、実はそう考えたわけです。そこで、こまかいお答えは事務当局からでもけっこうでございますが、その事情だけは把握をしていただいて、あとで対処の方法大臣からお答え願いたいと考えているのです。  それは、正式な名称はどういうふうな名称になっているのか、よくわからないのですが、普通沿岸警備員といわれております人たちなんです。これは終戦直後マッカーサー命令によって設置されたというふうに私の方は聞いておりますが、大体沿岸監視所に勤務をしております。私の方の関係の長崎県あたりでは離島におるわけでございますけれども、主たる仕事内容は、密航、密貿易の取り締まり、これの補助的な仕事をしておるというふうに聞いているわけでございますけれども、まず、どういういきさつでこれができて、全国に何カ所、どの程度おるのかということからお伺いをしてみたいと思います。
  70. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 正式の名称は、密航監視所員と称しておりますが、この制度は、昭和二十一年の六月に司令部の覚書によって、不法入港船舶の監視について有効適切な処置をとれ、こういうことで設置を見たものでございます。現在密航監視員の制度として、国家公務員の非常勤職員ということで、この制度が続いておるわけでございます。全国に現在千九十名ばかり、主として北海道、裏日本、九州地方に配置をいたしております。
  71. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 密航監視所員、非常勤の国家公務員というお答えでございますが、この任務に当たっている人たちは、設置当時は一監視所当たり四名ないし六名配置されておったと聞いております。それが現在では二名、二十四時間勤務交代、従って、隔日勤務ですね。そういうふうに聞いておりますが、その点は間違いございませんか。
  72. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 一監視所当たり二名というのは間違っておると思うのです。全国密航監視所は二百四十でございまして、人員は今政府委員が申しましたように千九十人でございますから、大体四人強ということになると思います。それから非常勤職員でございますから、おもに沿岸の漁師とか、そういう人たちに嘱託と申しますか、お願いしているわけでありまして、勤務状況も、今石橋さんがおっしゃったように二十四時間ぴったりやるんじゃなくて、ある者は二時間くらいの場合もあるし、あるいはまた八時間くらいやる人もあるしということで、そういう強制的に二十四時間交代ということでやっておるわけじゃありません。
  73. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それは労働条件全部全国一律ですか。
  74. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 ただいま大臣のお答えした通りでございますが、人員は大体二名ないし七名ということで、平均はただいま大臣がお答えした通りでございます。勤務の時間でございますが、これは非常勤の国家公務員でございますので、公務員法に基づきまして、常勤職員の四分の三以内の勤務時間、従って、常勤職員は現在四十四時間でございますので、三十三時間以内の勤務、こういうことになっております。また、現実に任命をいたしておりますのは、ただいまお答えありましたような沿岸の漁民の方であるとか、あるいは沿岸の農家の方といったような方を任命をしておりますので、非常勤でありますし、勤務の態様はいろいろになっております。監視所で見張りの勤務についておる場合もあるし、あるいはまた、沿岸を巡回あるいは船による巡らといったようなことで、その土地土地の状況によって勤務の態様は大へん変わっております。早朝あるいは薄暮といったような、比較的密入国なり密貿易なりの行なわれやすい時間にのみ勤務するとか、いろいろなことでございまして、御質問のように二十四時間ぶっ続けで交代勤務といったようなことは、そういった事案がたまに起きたときはあり得るかもしれませんけれども、これはそういう制度で運営しているものではございません。
  75. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 あなたのお答えになっておるのは、その内規か何か、そういうふうなことから言っているんじゃないかと思うんですが、私が直接調べたのは、壱岐の関係人たちなんです。その実態をしっかり把握した上でお答えになっておるという自信はございますか。
  76. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 密航監視所の勤務につきましては、特殊な勤務でございますので、私どもとしては、でき得る限り実態を把握した上でお答えをいたしておるつもりでございます。
  77. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは、壱岐の監視所の諸君が、一監視所当たり二名、二十四時間交代制をしておると私に言っておることは、事実と違うと言う自信があるわけですか。
  78. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 壱岐のどの監視所か知りませんが、そういった監視勤務を、先ほど申しましたように、時期的にそういった密入国なり密貿易なり多いという時期にやるということは、これはあり得ることでございます。
  79. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 いかにも本来は何か生業があって、片手間にやらしているんだと言わんばかりにおっしゃっていますが、実情はそうじゃないのですね。もう古い人は十七年間同じ仕事をやっているんです。ほとんどこれを主体にたよらざるを得ないような内容なんです。しかも、二十四時間勤務というのがときどきというような状態じゃないんですよ。一日働いて、一日休むわけですから、その休みのときを利用して、ちっとは魚をとりにいかなければならない。それは食えないからとるだけの話で、食えれば専念したいという意欲も持っておるし、熱情もあるわけです。実態は少しその辺違うようですから、もう少し私は調べていただきたいと思います。  しかも、こういった勤務についておる人たちの待遇ですけれども、一日二十四時間勤務で、三百十円ぽっきりだそうです。従って、月に十五日しか働けませんから、月のすべてで四千六百五十円、ここから訴えが始まっているわけなんですよ。この点は間違いございませんか。
  80. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 壱岐の場合には、昨年の暮れまではそういう実態があったと思います。従来一日二百五十円、月の最高を五千円という予算内の範囲で運営をするようにいたしておったのでございます。しかし、他の公務員の給与のベース・アップなり最近の物価高といったような点を考えまして、私どもの方としては、昨年の四月に従来のやり方を変えまして、一日の額を六百円、月最高一万円ということに変更をいたしております。この変更の通達に従いまして、各県それぞれの実態に応じて給与の改善をいたしております。長崎県の場合には、現在一日相当職員を五百円に引き上げるという処置をとっておるようでございます。
  81. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その算定された基準に従って全国とも忠実に支給されておるかという問題も、一つあるわけなんです。というのは、過去において月二千五百円という時期があったわけですね。人員は大体現在の倍以上おったわけなんです。それを整理しまして、その分は残る人たちの給料を上げてやる、こういう約束だったのですが、整理だけ行なわれて、給料が上がらなかったという例もあるわけなんです。一体なぜそのような矛盾が出てくるのだろうかといろいろ聞いてみますと、非常に疑いを持っておるわけなんですよ。おれたちが当然もらわなければならぬ給料がよそに回っておりゃせぬか、こういう疑いを従業員に持たせたんじゃ、私は話にならないと思う。それじゃどういう疑いなんだと、私もこれは確認できませんから、聞いてみましたら、実はどうも警備員名義の人で、ほかに警備員の仕事をしていないでおるようです。たとえばお茶くみの女の人も、どうも私たちと同じ扱いを受けて予算が来ているんじゃないでしょうか、こんなことまで言われているのですよ。その辺は調べていただかなくちゃならぬわけですが、上げたつもりでも、まるまるそれが本人の手に渡らぬというようなおそれがある、もしこれが事実であるならば。そういう点から、私は実態を把握して下さいと申し上げておるわけです。何か予算をつけて通牒を出した、それだけで片づくというような考え方は、おやめになった方がいいんじゃないかという気がするわけです。  そこで、とにかく上がってもまだ非常に安いわけですね。生活保護法以下ですよ、それだけにたよっていけば。しかも、支給される支給日というものが、また非常に不安定なんです。不確定なんです。これは基準法上からいっても、当然問題が出てくる。従来の例からいきますと、日給計算だからやむを得ないと一音えるのかもしれませんが、翌月の二十日ごろから払うのが普通いいところです。年末あたりの特に金でもほしいというときには、二カ月ぐらいずれる。年末業務多忙ということで、年内に金をくれない。正月あけてからくれる。いつのをくれるかというと、十一月分ですよ。私は、まさか私のところにうそを訴えてくるとは思わない。一番金がほしい時期になって二カ月もずれる。普通でも翌月二十日にずれる。ただでさえ安いものが、そういう形でおくれて支給されるというところに、もう一つ問題がある。  そこで、お伺いしたいのですが、非常勤の国家公務員ということになりますと、当然労働三法の適用を受けるということになるのか、その点いかがですか。
  82. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 まことにうかつでございますが、私はっきりしたお答えができませんけれども、これは国家公務員でございますし、警察の職員でございますので、警察法に従う取り扱いを受けているのではないかというふうに考えております。
  83. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 先ほど私がお伺いしたときには、漁師でござるとか、そういう方向にポイントを置いて説明されようとした。今度は労働関係法規のことになると、警察だ。そこで問題は、警察の仕事をさせておるのだったら、もっと大切にしてやらなければいかぬですよ。漁師だ、漁師だと言っておいて、肝心のところにきたら、今度は警察だ。そんなに大切な仕事をさしておくならば、身分を安定させなければいかぬです。待遇を安定させなければいかぬです。国家公務員であってもいろいろありますから、何らかの形で保障がされてなくちゃならぬと思う。国家公務員法で保障されるか、地方公務員法で保障されるか、保障がなければ、働いているのですから、労働三法での保障を受けますよ。この人たちは何によって保障を受けているのですか。
  84. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 今政府委員の説明では国家公務員だということでありますが、私が聞きましたのは、これは非常にうかつな話でございますけれども、実は漁師とかあるいは沿岸における農民とかいう、最も監視しやすい人に嘱託しているのだ、こういうふうに私は説明を聞いた。私はこういう制度というものをほんとうによく知らないわけでありますから、説明を求めたところが、そういうことであります。ところが、最近は、法制上は、政府仕事をしている人はみんな国家公務員になっておるわけであります。国家公務員であるとするならば、今石橋さんのおっしゃったように、大体こういう仕事をさせるのにあまりにも低いので、実は私は実情を聞いてびっくりしたわけです。そこで、ひどいじゃないかという話をしました。ところが、実は今申しましたように、時間的にもきわめて不規則でもあるし、また自分の仕事、漁師は漁業、農民は農業をしながら、やってもらっているという説明でありましたが、今ここでお話を聞きまして、これは従来の習慣上そういうことをやっているということになるかもしれませんけれども、おっしゃる通り、非常によくないことだと私は思います。従いまして、この問題だけを取り上げて、一つ警察の問題といたしましても取り上げて研究し、また努力してみたいと思っております。大へんうかつで申しわけありません。
  85. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣の率直なお答えですから、私は深追いはしませんけれども、一応事情だけはもう少し知ってもらいたいと思うのです。  今支給の方法ということを申し上げたのですが、前は所轄署において現金が支給されておったわけです。現在では県警本部から本人あてに直接金券が交付される。それを本人が銀行や郵便局で現金化するという道がとられておるようなんです。そういうところからも、時間的なずれが出てくるのじゃないかと私は考えたわけですが、とにかく給料日というものは、国家公務員の場合であろうと基準法の適用を受ける場合であろうと、毎月きまった日にこれが支給されなくちゃならないわけです。基本原則ですよ。安いのに、いつになったらもらえるかわからぬというような状態は、改善しようと思えばすぐできるわけですから、まずやっていただきたいと思う。  それから、少なくとも名前だけでも非常勤の国家公務員だ。現に所轄署長は事あるたびに言うそうです。お前さんたちは大切な仕事をしているのだ、しかも、非常勤であっても国家公務員だ、だから身なりに気をつけなさい、こういうこともしょっちゅう言うそうです。金もやらぬくせに、身なりに気をつけろ、そんなことばかり言っている。だから、この問題は、言うこととすることが全然ちぐはぐなんだ。  それからもう一つは、一番長い人は十七年間この仕事をしてきている。ところが、きのう入った者と全く日給は同じなんです。こんな制度はほかにございませんよ。どんな人でも、失業対策事業でも。  それからもっと大切なことは、こういう過酷な条件を押しつけているものだから、不平を持つということは最初から予期するわけです。そして採用のときにあたって誓約書を書かしております。この誓約書というのが、また全く労働基本権を踏みにじった、非人道的な違法の行為ですよ。どんな誓約をさせるかというと、給与のことで絶対に苦情は言いません、組合はつくりません、退職するときも絶対に退職金の要求はしません、いつ解雇しても異存はございません——今まで少なくとも警察と名のつくところで公然とこんなことが行なわれているなんて、私は夢にも思わなかった。こういう誓約書をとられているものだから、特に離島の純朴な人たちは、今までもがまんにがまんをしてきたわけです。しかし、食えないから、魚の一匹もとらなければならぬ、その辺にあき地があれば何かつくらなければならぬ、努力をして何とか食いつないでいますけれども、とにかくしんぼうにしんぼうを重ねた結果、こんなことを持ち出して訴えたら、あとでやられはせぬかという十分な危惧を持ちながらも、もうやむを得ない、とにかく何とかして下さいというかけ込みになっているわけです。だから、大臣に特に申し上げておきますが、要らぬことをばらした、けしからぬなんていって圧力をかけたり……。(「そんな大臣じゃない」と呼ぶ者あり)いや、大臣がするのじゃない、その責任者あたりがやるようだったら、私は容赦しませんから、絶対にそういうことはやらせないということだけは、一つお約束を願っておきたいと思う。
  86. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 今石橋さんのお話を聞いて、私も実は驚いたわけであります。これはさっき申しましたように、従来の考え方というものが時代にそぐわなくなってきていると思います。そこで、私たちとしても、普通なら研究というところでありましょうけれども、もしその通りであれば、研究の余地がない、早速改善に向かって努力します。それから、よけいなことをばらしたといっていじめるなんていうことがあれば、あなたが許さないばかりでなく、私が許しませんから、どうぞ御安心下さい。
  87. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それじゃもうやめましょう。まだたくさんあるんですが、私も、こういう気の毒な人を少しでも安定させてやりたいという気持でやっているわけですから、これ以上は申し上げませんが、少なくとも、非常勤であろうと何であろうと、国家公務員だというからには、それ相応の待遇はしてやっていただきたい。給与の面においてもしかり、労働条件の面においてもしかり、あるいは共済制度の面においてもしかり。退職金もない、健康保険もない、これじゃあまりにもみじめですよ。やはり大切な仕事をさせているのだというならば、それ相当の待遇を与えていただきたいということだけ申し上げて、その大臣の善処を期待して、私はきょうのところは質問をやめたいと思います。
  88. 永山忠則

    永山委員長 山内広君。
  89. 山内広

    山内委員 大臣が退席されましたけれども、次官から御答弁願います。  まず第一点に、千葉県で先般実施しようといたしまして、自治省の圧力のために、途中でその計画を捨てざるを得なくなりました土曜日の半分休暇の問題であります。私は、あの問題は、実は加納知事さんが健康でおられたときに、これは卓越した非常にいい考えである、このことはだんだん申し上げますけれども、ぜひあれを一つのテスト・ケースとして、その成果を見たいと思っておったのですが、とうとう途中でこれを取り消された。亡くなられた今日になれば、加納さんにあの仕事だけはぜひ残していただきたかったという気もするのです。そこで、自治省関係の方にお聞きしたいのは、県知事に対してあなたの方からやめろという圧力をかけたということは、地方自治体の自治権を不当に干渉したのではないか。いろいろ法規も一通り目を通してみましたが、そういう考え方を持つのですが、この点についての解釈をお聞きしたいと思います。これは事務的な解釈でけっこうです。
  90. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 法律的に申しますと、地方公務員の勤務時間につきましては、地方公務員法の第二十四条第五項におきまして、「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当たっては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」という規定がございます。この規定の趣旨に抵触をするということが第一点でございます。その理由といたしましては、千葉県におきましては、特別休暇として土曜隔週休暇を与えることにされたわけでございますが、特別休暇はそのような場合を対象とした制度ではございませんので、国におきましてもそのような取り扱いはいたしておりません。特別休暇といたしました結果、勤務時間が一週四十四時間が四十二時間ということになりまするし、勤務時間ということから考えてみますと、国その他の地方公共団体の職員との間に著しく権衡を失することになって、適当でない、かような判断をいたしたわけでございます。  第二点といたしましては、地方自治法施行規程の第二十九条におきまして、都道府県庁の執務時間については、官庁の執務時間に関する規定を準用するという規定がございます。で、格別の事情がございませんければ、都道府県庁の執務時間につきましても、官庁の執務時間の規定がそのまま準用されるわけでございますので、千葉県で考えられましたように、土曜半数職員が反復いたしまして継続的に執務をいたさないということは、この規程にも抵触をすることになる、このようなふうに考えて、かような措置をいたしたわけでございます。
  91. 山内広

    山内委員 今のお話では、地方公務員法の第二十四条の五項の考え方、それから特別休暇の性質の問題、それから執務時間の規定にもとる、こういう三つの点をあげられておりますけれども、私は、これは非常な疑義を持っております。実は私もその点は触れて調べてみました。  まず、二十四条の五項なのですが、それでは、勤務時間だけはそういうふうに縛るけれども、給与の実態はどうなっておりますか。国家公務員と同じに地方公務員はやっておりますか。それに対してあなた方は、違反である、国家公務員に右へならえをせい、そういう通知を一ぺん出したことがありますか。監督をどうしておられますか。
  92. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 第二十四条の第五項の規定は、給与以外の勤務条件を対象として規定をされておるわけでございます。給与につきましては、第二十四条の第三項の規定がございます。この規定におきましても、やはり他の地方公共団体との権衡を考慮する趣旨が表われておりますので、第三項の規定の趣旨に従いまして、自治省といたしましては、従来から、地方公務員の給与については、国家公務員に準じた措置をされるように指導をいたしておるわけでございまして、そうした趣旨の通達もしばしば出しております。ただ、今の勤務条件と違いまして、多少表現も違っておりますので、若干の幅は給与につきましてはあろうかと思っておるわけでございます。
  93. 山内広

    山内委員 給与のことを聞かれたら、あなたの方はあまり大きなことは言われないと私は思うのです。現に地方公共団体でも、市町村の段階になりますと、赤字団体では給料の支給日にも給料が払えないで、延ばしておるところもたくさんあります。また黒字の団体は、東京都と国家公務員を比べてごらんなさい。この間も給与法のときに問題になりましたけれども、標準生計費すら十八才の男子で千七百円も違っておる。それは東京都の人事委員会の取り方と人事院の取り方では非常に差がある。黒字団体はどんどん待遇がよくなっておる。赤字団体で実態に合わぬような給与をやろうとすれば、あなたの方で交付税をそれだけ見てやらぬぞ、そういうおどかしをかけて、そういうところは右へならえをさしておる。これは事実だと思う。ですから、この勤務時間というのも、地方自治体が昼飯の時間を短縮したり、お茶も飲まないでやろうという努力あとを見せておるのに、あなた方が干渉したことは、干渉し過ぎたと思います。しかし、この議論をやっておっても切りがありません。特別休暇の場合、あらかじめ人事委員会の了解のもとにやったらできるんじゃありませんか。法規上その辺はどうですか。
  94. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 形式的に申しますと、人事委員会の承認を得た場合ということが、千葉県の規程にもあるわけでありまして、人事委員会の承認を得たように伺っておりますが、ただ、その場合におきましても、先ほど申しました第二十四条第五項の規定の趣旨からいたしまして、国の特別休暇の制度と権衡を失しないようにしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。国の場合におきましては、特別休暇と申しますのは、先生も御承知いただいておりますように、災害で交通が遮断いたしました場合でございますとか、女子職員の生理のための休暇でございますとか、職員の分娩の場合でございますとか、等々、その者が勤務をいたすことができないということが、社会通念上も当然と認められるような、やむを得ない事情のある場合を対象といたしまして、特別休暇というものを考えておるわけでございまして、そのような制度趣旨からいたしまして、千葉県でやられましたようなことは、国の制度と権衡を失しておる、かように判断いたしたわけでございます。
  95. 山内広

    山内委員 先ほど執務時間の規定に違反するというお話でしたが、これはもう古い規定も古い規定、大正十一年閣令第六号にのっとって、執務時間というものはきめられているわけですね。そうしますと、この執務時間というものを何時から何時までとぴたっときめていて、そのことが違反だとすれば、交通緩和などの時差出勤もこの規定に違反するのではありませんか。午前八時半から午後五時まで、土曜日は午前八時半から午後零時半までと、ちゃんと執務時間というものは規定されておる。これは違反でないのか、どうですか。
  96. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 官庁執務時間に関する閣令は、先生の御指摘のように、大正十一年の閣令でございますが、その閣令の中で、土地の状況または事務の性質上必要ある場合においては、勤務時間の変更、切りかえというようなことができる規定がございまして、国の場合におきましては、この規定によって所要の手続をとられているものと伺っておるわけでございます。地方の場合におきましては、それに相当いたします地方自治施行規程の二十九条のただし書きにおきまして、「都道府県知事は、特に必要と認めるときは、これを変更することができる。」とございますので、私どもも、何時に始まって何時に終わるということを、その土地の状況によりまして上げ下げをいたす、あるいは先ほどお話のございましたような昼休みの時間を変更するというようなことまで、この規定の趣旨に違反すると申しておるわけではございませんが、週を通じまして四十四時間の執務時間、土曜は午前八時半から零時三十分までというこの規定は、やはり都道府県におきましてもそれに準じていくべきものである。土曜は半数執務の体制にしたということも、たまたま特別な事情がございますときに、一度や二度は別でございますが、ずっと継続的に反復して行なわれますということは、やはりこの規定に違反するというふうに考えておるわけでございます。
  97. 山内広

    山内委員 法的なことを今ここであまり議論をする必要はないと思います。一応見解をお聞きしましたし、私は私なりの考え方は持っておりますけれども、これを一つ政治的に考えて、次官にお尋ねしたいと思うのです。  御承知通り、今ILOの結社の自由の問題がこの国会でも問題になっております。ところが、この次は労働時間の問題、週四十時間という問題が出て参ります。とすれば、これはもう一週五日間働くことになるのであって、当然公務員の勤務時間というものをそれに関連して考えなければならぬ。そういう意味で、千葉県でやられたこのことが、テスト・ケースとしてどういう成果があり、どういうことになるのか、私は非常に興味を持ってやってみてほしかったわけです。それで、このILOで今後問題になる勤務時間とこの問題について、どういうふうに次官はお考えになっていますか。
  98. 藤田義光

    ○藤田政府委員 県庁職員は、御存じの通り、全県民にサービスをするというきわめて重大な職分を持っておりますし、将来の方向として為政者が考える心がまえとしては、私も共感を感ずる点が多々ございます。しかし、千葉県内を見ましても、中小企業者あるいは低所得農業従事者、その他生活保護者の生活状況から考えまして、まだどうもタイミングとしては妥当でない。法律的根拠を離れましても、将来の方向としては、そういう方向でわれわれ検討すべきであるが、現状においてはまだ少し早計に過ぎるのではないか、こういう感覚でございます。
  99. 山内広

    山内委員 これは近い将来必ず問題になりますので、一つ十分この点を考慮していただきたい。  それからもう一つ、これは次官あるいはまだお聞きになっておらないかもしれませんけれども、実は川島長官が行管の長官として、臨時行政調査会を設置するときに、これは私の質問に答えておるのです。公務員が過剰であるという結論が出れば、それは首切りではなくて、勤務時間の短縮ということを考えたい、それを含めて行政調査会に検討してもらうつもりだという、非常にはっきりした御答弁があったわけです。ですから、私は、将来どうなるかわかりませんけれども、行政調査会も政府に答申する責任があるのですから、そういう結論まで待って、何も急いで——せっかくやろうというのですから、まあ法的にどうあろうと、そういうものをやらせてみて、それを参考にして、政府がどういう態度をとるかということをおきめになった方がやはりよかったのではないか、こう思うわけです。これは私の意見ですから、記憶にとどめておいていただきたいと思います。  その次は、先ほどもちょっと出たのですが、地方公務員給与実態調査委託費というものを今度二百三十七万九千円組んでおるが、これはどういう調査をおやりになるつもりか。さっきも触れました通り、公務員の給与というのは、非常にアンバランスであり、いろいろ問題がたくさん含まれておるので、そういうことに手をかけられたというのは、私よく理解できますけれども、いつごろ結論を出すのか、どういう調査をするつもりなのか、一つ御回答を願います。
  100. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 調査要領の細部につきましては、まだきめておりませんが、考え方といたしましては、地方公務員の給与の実態が、先生も御指摘のように、非常につかみにくくなっておるわけでございます。地方公共団体によりまして、また職種によりまして、複雑になっておりますので、私どもが給与に関する問題を考え措置を講じて参ります場合にも、実態をもって正確につかんでおきたい。実態をつかむと申しましても、ただ、その団体の職員給与費の総額を人員で割ったような意味平均の数字、これは簡単に出るわけでございますが、学歴、経験年数あるいは職種ごとにそれぞれにつきまして、高いか低いか、あるいは改善を要するか要しないかというような実態を、ぜひ正確につかんでおきたい、かような考え方に出ておるわけでございます。実施の時期といたしましては、予算を認めていただきますならば、三十八年度の適当な時期に行ないたい。そうしてこれはできるだけ正確なものをと思いますが、しかし、今のところ、抽出になろうと思いますけれども、その対象もできるだけ広範囲にいたしまして、しかも統計に権威を持たせます意味で、統計局の御協力をいただいた上でやって参りたい、かような考え方をいたしております。
  101. 山内広

    山内委員 実は今度の御提案がありましたので、政府で発行しております「政府の窓」の消防読本というのを読んでみたのです。この中で、いろいろ問題を私なりにっかんでおりますが、ちょっと驚いたことは、消防団員というのは百五十四万二千四百六人となっております。そして常勤の消防団員が九百七十九人。これは常勤をそれほど置く必要がないということはわかるけれども、非常勤と常勤との差がこんなにあっていいものか、これで消防の万全を期せられるものかどうか、非常にその点私は心配を感じたわけです。この点についての御説明をいただきたい。
  102. 川合武

    ○川合政府委員 御承知のように、現在の消防機関は、市町村が本部、消防署、いわゆる役所でございますが、あるいは消防団、いずれかの消防機関を設置しなければならないというような規定になっております。従いまして、先生先ほど御指摘の常勤と申しますのは、おおむねいわゆる消防署員でございます。その他の百五十四万が消防団員ということになるわけでございます。お話のように、私どもといたしましても、今後消防力の強化、レベル・アップのために、なるべく消防本部、消防署を、財政的な理由もございましょうが、町村で置いていただくことを期待いたしております。さらに、今般消防組織法の一部改正をお願いをいたして提案いたしておりますが、そこでは、大体密集地域、一万の人口を擁する地域、一万くらいの人口を持つ市町村におきましては、消防本部、消防署を置いてもらう、置くことを義務とするように一部改正をいたして、消防力の強化充実をはかりたい、かように考えております。
  103. 山内広

    山内委員 今度の自治省の御提案は、わずか十七名増員要求で、数としてもすこぶる少ないのですが、この十七人の増員の理由を見ますと、これまた大へんな仕事をやろうとしておられるわけです。地方公務員の給与に関する問題、あるいは制度の運営に必要な職員、固定資産評価制度の改正に伴う新しい評価基準の作成、これなんかだって大へんな仕事だと私は思う。それからそれの実施に関する事務の処理に必要な要員、消防防災事務の円滑をはかる、非常に大きな理由をあげて、たった十七名の増員というのは、この配置はどういうふうにお考えになっているのか、十七人の分け方を伺います。
  104. 大村襄治

    ○大村政府委員 十七人の内訳を申し上げます。九人が地方公務員の給与その他の制度との関係でございます。四人が税務局関係、これは固定資産評価基準の制定関係でございます。残りの四人が消防庁でございます。
  105. 山内広

    山内委員 これでおやりになるのなら、一つ大いにがんばっていただきたいと思うのですが、今度消防検定協会というものができることになるのですね。この関係は増員は何もないのですか。今の四人とおっしゃったのはこっちの定員になりますか。
  106. 大村襄治

    ○大村政府委員 ただいま御説明申し上げました消防庁の四人は、災害対策基本法の施行の関係と危険物の安全規制に関する事務の要員でございます。従いまして、検定協会の方は特殊法人として別途設置されますので、その必要な人員は確保されるということになると思います。
  107. 山内広

    山内委員 協会が設立した場合には、こっちに要員を回わす計画はないのですか。
  108. 大村襄治

    ○大村政府委員 現在消防研究所におきまして検定業務に従事している職員のうち、若干新設の協会の方に回る者がございます。
  109. 山内広

    山内委員 そういう御答弁が出ると、またこれ疑義を持たざるを得なくなってくるのです。消防検定協会というものは、どういう内容でつくられるかわかりませんけれども、現在消防研究所というものは、消防の機具の検査とかなんとかいうものをみなやっておるのです。今度も六千六百七十七万円ほどの予算で、研究所というものは予算も増額した。そういう本来の機関があるにもかかわらず、何のためにこういう協会を設けなければならぬのか。かえって私は、その内容によって、いろいろ心配な点もありますので、ちょっと御説明いただきたい。
  110. 大村襄治

    ○大村政府委員 消防検定協会の設立につきましては、別途消防法の改正において御審議を賜わっておるわけでございますが、簡単に申し上げますると、この消防法の改正によりまして、従来の任意検定の制度を強制検定の制度に改めるいい機会かと思うのであります。そこで、従来消防研究所で任意検定のもとにやっております件数も年々増加しておるわけでありますが、さらに強制検定ということで、必要なスタッフを確保しないと対処できない、こういうふうな状況になっておりますので、国家の厳重な監督のもとに代行機関としての検定協会を設置して、ここに必要な要員を確保して参る、こういうことを消防法の改正で現在提案して、御審議を賜わっているわけであります。
  111. 山内広

    山内委員 別な機関で今いろいろ検討されておられるようですから、これは深追いはいたしませんけれども、どうも最近の火災の多いところをいろいろ考えてみると、行政上の欠陥も相当あると思うのです。最近、ストーブとかガスこんろとか、ああいうものによる火災も非常に多くなっていますけれども、たとえばJISマークをとれない、国家の検定をとれないと、都道府県の警察とか消防庁に行って、そこで検定マークをとれば、そのことを誇大に広告して売り込みをやっておる。そういう事実があればこそ、こういう民間の協会というものに大事な仕事を移して、この火災の大事な機具の検定をやらせるなんということは、どういう考えか知りませんが、内容がよくわからないので、心配が過ぎるのかもしれませんけれども、その点を非常に憂慮を感じないわけにいかないのです。この点についての次官の御答弁を願いたい。
  112. 藤田義光

    ○藤田政府委員 ごもっともなお疑いと思いますが、実は昭和三十三年検定申請がわずか百万くらいでございましたが、昭和三十六年には二百六万に激増するという状態であります。任意検定下においてしかりでございます。ところが、今御指摘の通り、非常に火災が激増しております。一方防火思想も普及して参りまして、何とかここで検定業務を義務化いたしまして、強力な体制でやる反面に、従来の消防研究所は防火、消火その他の研究に専念させたい。検定とごっちゃにすることによりまして、相当研究が阻害されておりますので、別個の協会をつくってやろう、現に水道協会というのがありまして、上下水道の機具に関しましては検定をやりまして、非常な実績を上げているという例もございますので、この際、思い切って協会設立に踏み切った次第であります。
  113. 山内広

    山内委員 意見もありますが、時間も延びておりますから、これで質問を終わります。
  114. 永山忠則

    永山委員長 田口君。
  115. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 時間の関係もありますので、一、二だけお聞きをいたしたいと思います。  ただいま山内委員の方から、十七名の増員の点については、むしろ少な過ぎるのじゃないかという言葉もはさんでの質問でございましたが、ここに羅列してありまする内容からいきますると、相当人員の増加も必要であるように考えられますので、観念的な面からは、十七名の増員とは少な過ぎるのじゃないかという議論も出て参りますけれども、私は、むしろここで疑義をはさんでおりますものは、この地方公務員の給与に関する事務、その他地方公務員制度の運営に必要な職員を九名増員するというこの項、事実この項が、九名の増員が必要であるかどうかということなんです。だから、この仕事は、今何名やっておって、そしてどういうような仕事をするために九名の増員をしなければならないのかということを、まず承りたいと思います。
  116. 大村襄治

    ○大村政府委員 現在、地方公務員の制度その他に関する事項につきまして、自治省の行政局に公務員課という課がございます。その課の定数は二十二名でございます。今回九名の増員をお認め願えますれば、合計いたしまして三十一名に相なるわけでございますが、この機会に公務員課と給与課——これは仮称でございますが、二課制にいたしまして、ぞれそれ十三名、十八名を配当いたしまして、公務員の制度関係と給与関係、この中には地方共済関係も含めてでございますが、そういう二課制をとって、従来の足らない点をしっかりやるようにいたしたい、こういう考えでございます。
  117. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいまの説明によりますと、現在は二十二名、それから増員をして三十一名、こういうことでございまするが、二十二名のところに九名増員するということは、画期的な増員である。数の率からいきますとね。そこで、私ども考えられますることは、今給与関係では、ここにはお見えになりませんが、松浦さんが地方公務員の給与体系の研究をして、松浦案というようなものを作成中であるということをうわさに聞いておるわけなんですが、従って、こういう面から私どもはこの問題を取り上げてみますると、今度のILOの八十七号の批准に関連して提案されておりますところの国家公務員法、地方公務員法の改正が通るものとしての将来の体制をつくらなければならないのじゃないかというような点が、ここに置かれておるのじゃないかという想像をするわけなんです。従って、もう少し——二十二名でやっておったのを九名ふやして三十一名にするのだという画期的な増員は、ただいまの説明だけではちょっと納得できないので、どうして九名もここで増員をしなければならないのか。九名というと、数字では少のうございますけれども、今日まで二十二名でやっておったのを九名ふやさなければならぬということになりますと、これは、私は、固定資産の評価制度の改正に伴って新しい仕事ができたからふやすのだというのは、これはわかります。この四名というのはわかりまするけれども、別段仕事がふえたように思えないのに、それでふやすのだということになりますると、その裏には何かあるということなんです。そうしてそこがまた、今手をついておるところがあるわけなんです。そういう点を明確にしてもらわなければ、ふやしてもらう、まことにけっこうな話ではございますけれども、やはりこの点も疑義がありますので、なおその点を明確に一つ説明をいただきたいと思うのです。
  118. 藤田義光

    ○藤田政府委員 田口さんのお尋ねでございますが、この九名増員には裏は全然ございません。実は昨年の十二月一日から、御存じの通り、都道府県、市町村の共済制度が発足いたしまして、この方面の事務が相当繁雑化して参りましたのと、最近地方自治が非常に広域化して参りました。いろいろな現象がありまして、地方公務員の給与体系の実態を、この際正確に把握しておきたい、将来待遇の問題その他に前向きの姿勢で一つ検討を加え、正確な資料をつかみたい、常時一つ給与問題等もここで調査研究して参りたいということでございます。
  119. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の質問の進め方は、社会党からいうとどうも逆のように聞こえるかもわかりませんが、共済事業関係は去年増員済みです。だから、去年増員したものがどうして足らなくなったのかということの説明を伺わなければわかりませんし、それから公務員の給与体系というものを自治省の方でやらなければならぬということはないと思うのです。これは人事院の方でやればいいと思うのです。そういうところからますますおかしいですから、もう少し詳細にこの点を説明願いたいと思います。
  120. 藤田義光

    ○藤田政府委員 御指摘の通り、共済制度創設に備えまして、昨年度も多少の増員になっておりますが、ところが、正式に発足いたしまして、いろいろ運営してみて、どうしても、昨年も実は要求通りの増員ができなかったので、この際、重ねて増員をお願いした次第であります。  それから給与問題に関しましては、国会の、特に両院の地方行政委員会で、再三給与問題に対するいろいろ御質疑や、建設的な御発言がございました。自治省内の給与に対する資料、調査研究というのが非常に貧弱であるということを、自治大臣以下自治省としましても痛切に感じております。何とかこの際もう少し整備したい、こういうことでございまして、他意はございません。
  121. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それは、地方行政の方から指摘されることは当然だと思うのです、その程度のことは。どういう程度の質問があったかわかりませんけれども、しておらなければならないと思うのです。ここで増員をしなければ、その作業とそれだけの資料をつかんでおることができないというようなことは、事実今ありとするなれば、まことに遺憾な体制であるということです。そこで、先ほど山内委員の方から、千葉県の土曜全半休の関係質問がございまして、二十四条の五項、それから給与の問題で三項というのが引き合いにとられ、説明がされたのでございますが、私は、特にここでどの程度把握されておるかということをお聞きいたしたいと思いますことは、国家公務員の給与がきまった場合には、地方公務員はそれに準じていくのだ、こういうことで指示を出してもらってあるはずなんです。それで、そういうような通牒は出ておると思いますが、この通牒は県へ出すのであって、各市町村の自治体へは直接には出ておらないのかどうか、これが一つ、それをまず承りたい。
  122. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 都道府県あてに出しまして、市町村につきましては、都道府県から連絡していただくということになっております。
  123. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、実態を申し上げますと、県へその通牒を出しましても、税金を取り上げるような問題でありますれば、これは県の方はさっそく強い通牒を流しますけれども地方公務員の給与を国家公務員並みに引き上げていけというようなものは、さぼっておいて出しておらぬのです。事実出しておらぬところがあるのです。出しておりません。だから、地方公務員の給与というものは、非常に地方公務員間でも格差があるわけなんですね。大体悪いところは初任給高校卒で幾らくらいのところもあるというように把握されておられますか。
  124. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいま手元に資料を持っておりませんので、正確にはお答えできませんが、市町村関係資料というものは、正直に申し上げまして、至ってつかめていない実情であります。
  125. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 先ほど、千葉県の問題を法律の二十四条の五項とか、給与の問題を三項でいろいろ説明されましたけれども、自治省でそうした資料を把握しておらぬようなことでは、私はだめだと思うのです。昭和三十六年度の調査によりますと、高校卒業生で五千五百円から六千円の初任給がありますよ。これは考えていただいてもわかりますように、いかに格差があるかということです。そういう実態を知っておっていただいて、これはやはり県へ指示すれば、県が各市町村へ指示をしたかどうかくらいのことは確認をしてもらわなければいけないし、市町村の公務員がどのような労働条件で働いておるかということを知っておってもらわなければならないと思うのです。ただいまの御回答のようなことでは全く困ると思うのです。私は、この九名という増員は、そういうことも解消できるのだということになれば、了解できますけれども、逆に一つの統制の場にするのだというような考え方を少しでも含んでおると、これは問題だろうと思うのです。今労務管理の問題につきましては、各省もそれぞれの立場において、私らから言わせると、反動的な行政を行なわんとしていろいろ検討されておるやさきでございますし、特に地方公務員法、国家公務員法の改正が提出されておる時期でもございますから、この九名の増員の仕事内容が、ただいま懸念をして申し上げましたようなことは全然ないということならよろしいけれども、この点をもう一度明確にしていただくということと、先ほど指摘いたしましたように、市町村の公務員の労働条件がいかに悪いかということです。いかにいなかであっても、高校を卒業して五千五百円や六千円の初任給では、私は全くお気の毒だと思うわけです。従って、こういうことも考え合わせて、私は御質問申し上げておるのですから、もう一度この九人増ということに対する御答弁をお願いしたいと思います。
  126. 藤田義光

    ○藤田政府委員 今田口さんの御発言にもありました通り、実は全国に四十六都道府県、三千五百の市町村がございまして、この多い地方公共団体を対象にして、正確な給与の資料等をまだ自信を持ってつかんでおらぬという現状は、御指摘の通りでございます。そういうことを是正するために、今回九名の増員をお願いしておるわけでございます。
  127. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 あなたの答弁は、名答弁ではありますけれども、それはむずかしいことはないのです。県を通じて資料を出せと言えば、実態の資料を出すのだから……。出さなければまたほかの方法をとらなければいけないけれども、そんな程度を集約することがむずかしいといって、あなたのような若い副大臣が答弁しておるようなことでは、私は非常にさびしいわけなんです。だからそういうことから、私は、懸念をしておる点が将来なきことを期待して、この点はあとで賛成をいたします。  そこで、先ほどの千葉県の問題についての答弁の中に、反復継続式ではだめだという言葉がありましたが、これはやはりこの二十四条の五項なり施行規程なりにいろいろたよっておられますが、お祭りがあるとか、そういう場合には、臨機応変の処置をとる場合もあり得るか、それはよろしいということと、やはり地方公務員の場合は、市町村、特に村の場合はお百姓をやっているので、お役所が終われば、すぐ田畑へ行って仕事をするという公務員が相当いるわけですから、やはり千葉県のような方法がとれれば非常に喜ばれるので、農繁期くらいは適宜適切にそういう方法をとることは、この法律の違反というころまではいかないと思うが、あなたの反復継続式というのは、どの範囲を反復継続式と言われるのか。
  128. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御質問の第一点でございますが、その団体の公のお祭り、たとえば北九州市が今度開庁式があった、合併の記念式があったという場合に、休暇を賜わりますことはけっこうなことだと思っております。  第二点の農繁期等の場合でございますが、これは特別休暇ではなくて、現在年次有給休暇の制度がございますので、年次有給休暇の制度を活用して、執務に支障がないようにいたすことはけっこうだと思っております。
  129. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 法律論からいろいろ答弁されておりますが、年次有給休暇は、町村、特に村の方に行くと、とろうと思っても、定員が不足でとれない。従って、そんな農繁期のときにみながこぞってとるということは絶対不可能です。そこで、せめて土曜日に半交替で休むということ、そしてそれが公務員として村民なり町民のサービスに欠けないで、処理できるというなら、千葉県のような方法をとることも非常にけっこうなことだと思う。あなたの言われた年次有給休暇というのは、法律ではそういう方法でとれるようになっておりますが、農繁期くらいでない、ふだんでも年次有給休暇はとれないというのが実態です。それがとれるくらいなら、定員をふやしているなり、あるいはもう少し初任給でも上げているわけです。そういう点を考えていただきたいが、その点はむずかしいので、これ以上追及しても同じようなお答えだと思うので、もう少し全国の市町村、村までの実態を把握してもらって、そうして地方公務員がほんとうに公務員法の一条に掲げてあるあの条文に沿って、善良な公務員としてサービスできる体制をつくってもらうように強く要望して、質問を終わります。
  130. 永山忠則

    永山委員長 これにて質疑は終了いたしました。
  131. 永山忠則

    永山委員長 これより討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  自治省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  132. 永山忠則

    永山委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。     —————————————
  133. 永山忠則

    永山委員長 なお、以上三法案に関する委員会報告書等の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は、来たる十二日十時より理事会、十時半より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十分散会      ————◇—————