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1963-03-22 第43回国会 衆議院 逓信委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十二日(金曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 大高  康君 理事 岡田 修一君    理事 佐藤洋之助君 理事 大柴 滋夫君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       井村 重雄君    上村千一郎君      橋本登美三郎君    大上  司君       保利  茂君    中山 榮一君       安宅 常彦君    古川 丈吉君       受田 新吉君    森山 欽司君       畑   和君    谷口善太郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小沢久太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (船員局長)  若狭 得治君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  委員外出席者         議     員 安尾 常彦君         日本電信電話公         社運用局長   山下  武君     ————————————— 三月二十二日  委員上林榮吉君、椎熊三郎君、南條徳男君及  び森清辞任につき、その補欠として上村千一  郎君、井村重雄君、大上司君及び古川丈吉君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員井村重雄君、上村千一郎君、大上司君及び  古川丈吉辞任につき、その補欠として椎熊三  郎君、上林榮吉君、南條徳男君及び森清君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十二日  公衆電気通信法の一部を改正する法律案安宅  常彦君外八名提出衆法第三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案安宅  常彦君外八名提出衆法第三三号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第二  八号)      ————◇—————
  2. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、私が委員長職務を行ないます。  まず、本日付託になりました安宅常彦君外八名提出公衆電気通信法の一部を改正する法律案議題とし、提出者より提案理由説明を聴取することにいたします。安宅常彦君。
  3. 安宅常彦

    安宅委員 ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由と、その概要について御説明申し上げます。  今日、いわゆる電報電話料などの公衆電気通信役務料金につきましては、法律によってこれをきめることとなっているのでありますが、実際には、公衆電気通信法によって、通常電報料金電話使用料、準市内通話料市外通話料公衆電話料などのうち基本となるもの、並びに専用料最高限度を具体的に定めているほかは、公社の申請に基づき、郵政大臣認可によってきめることとなっているのであります。  これら公衆電気通信役務料金につきましては、元来役務自体多様性からかなり専門的かつ複雑なものとなっております上、最近の技術革新などに伴って、新しい役務の提供に関する料金決定などの事例も、数多く発生してきている実情にあります。このような利用者にとって重要な公衆電気通信役務料金の実際の決定相当広い範囲で郵政大臣認可にのみゆだねられていることは、民主的な料金決定に即していないきらいが深まってきていると考えられるのであります。また、利用者である国民各層に種々の意見が存在していることも、争えない事実であります。  これらの実情にかんがみまして、最終的には国会において国民意見を反映し決定することを基本といたしつつ、適当な民主的審議会を設けて、認可料金決定料金減免などの場合、並びに法律改正に関する必要な措置をとる場合などには、この審議会の慎重な民主的審議を経て、郵政大臣認可することとしたいと考えるものであります。  以上がこの法律案提案する理由でありますが、次にその概要について申し上げます。  まず、郵政省に、公衆電気通信役務料金に関する事項について、郵政大臣の諮問に応じ調査審議する公衆電気通信料金審議会を置くことといたします。そして、郵政大臣が、公衆電気通信役務料金に関し、この法律改正に関する必要な措置をする場合、郵政大臣認可によってきめられる料金について決定する場合、天災その他に際しての料金減免を行なうときの基準認可する場合、国際電気通信役務料金通貨換算の割合を決定する場合については、この審議会に諮り、その決定を尊重して処分を行なうことといたします。  また、審議会は、公衆電気通信役務料金について、郵政大臣に建議することができることといたします。  なお、審議会は、郵政省日本電信電話公社国際電信電話株式会社を代表するもの、公衆電気通信役務利用者学識経験者など十五人の委員をもって構成することといたします。  これらに伴い、郵政省設置法に所要の改正を行なうこととし、公布後三カ月を経た日から施行するというものであります。  以上がこの改正案提案理由及び内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。      ————◇—————
  4. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 電波法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。受田新吉君。
  5. 受田新吉

    受田委員 今度の改正案相当問題点が討議されておるのでありますが、私は、これからかいつまんで、なるべく従来質問された事項について重複しない形で、質疑を続けていきたいと思います。  今度の改正案で問題にされている無線通信士減員措置について、その理由とするところが、海運不況対策整備合理化対策一環としても考えられることだという御答弁があったわけなんです。また、この間から公聴会参考人意見をお聞きしましても、そういう御意見が出ているわけなんです。これは海運不況対策打開策としてとるべき道は幾つもあるわけなんです。その通信士減員措置というものが海運不況対策の中に占めるウェートというものはどの程度のものか。海運不況対策具体策をまず御説明いただいて、その中に占めるウェートを御答弁願いたい。
  6. 若狭得治

    若狭政府委員 海運不況対策の一番根本的なものは、金利負担軽減の問題でございます。御承知のように、わが国の金利水準というものは、国際水準に比べて非常に高いということと、終戦後のいろいろな状況によりまして、ほとんどそれを借入金によってまかなって参りましたために、その金利負担が過重なために企業内容が非常に悪化いたしておりまして、新造船の建造も容易に順調にはできないというような状況でございますので、金利負担軽減ということが一番根本の問題に取り上げられておるわけでございます。また航路の調整なりあるいは輸送合理化というような問題も同時に取り上げられておるわけでございます。また一方、船舶乗組員定員合理化という面につきましては、一昨年の全日本海員組合船主団体との協約によりまして、定員合理化を推し進めるということを両者で確認いたしまして、それによって待遇改善に充てるというような措置が現在とられておるわけでございます。具体的な数字につきましては前にも御報告申し上げたと思いますけれども、一昨年から昨年にかけまして、約七%程度定員合理化というものが実現いたしておるわけでございます。今後の問題といたしましては、この定員合理化をさらに推し進めるというためには、法律によって規制されておりますところの無線通信士の問題を解決しなければ、これ以上の定員合理化は進められないという状況でございます。従いまして、海運対策といたしましては、もちろん金利負担軽減という問題が一番大きな問題でございますけれども、先日の公聴会のお話にもございましたように、あらゆる面からの合理化を推し進めるという必要があるわけでございます。
  7. 受田新吉

    受田委員 無線通信士定員削減による不況打開というものの占めるウェートはどうもぼやっとしておりますが、もう一度その点をお示し願います。
  8. 若狭得治

    若狭政府委員 合理化措置の中で占める通信士定数減少による経費節減というような問題につきましては、いろいろ数字的な検討もされておりますけれども、通信士自体減員による経費節減ということよりも、定員合理化全体に占めるところのウェートというものをわれわれは重視いたしておるわけでございます。先ほど申しましたように、現在進められておりますところの定員合理化をさらに進めようという場合には、通信士合理化という問題を解決しなければ、他の部門合理化も進められないという状況であろうかと考えるわけでございます。
  9. 受田新吉

    受田委員 船舶に勤務する職員の間においては、無線通信士の人員が多過ぎて、いささか嫉妬心を感ずるなんという声も、海運局長のかつてこの委員会における答弁で聞いたわけです。これはそのように今日もなお考えておられますか。
  10. 若狭得治

    若狭政府委員 そういう不平があるというふうに私は聞いたことがありますということを報告申し上げたわけでございますけれども、定員合理化の問題につきましては、先ほどから申し上げましたように、各部門間の負担の均衡というようなことを考えなければ、合理化は進められないわけでございます。そういう面から、さらに合理化を進めるという見地に立てば、こういう問題を解決しなければ、これ以上合理化を進めることはできない。しかも、この前も申し上げましたように、海運企業現状からいたしまして、待遇改善ということは、決して他の部面から収益を生み出してこれに充てるというようななまやさしい状況ではございませんので、待遇改善を実現するためには、現在の労働組合の方針に従って、定員合理化を進めさせるという方法をとるのが最もいい方法ではないかと考えるわけでございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 日本をめぐる国際海運状況の中で、日本海運国家という意味からも低水準にあることを、非常に遺憾に思っている一人です。従って、自己資金に不足している海運業界に、金利負担等軽減して、一千万トンに近い船腹をつくっていこうというねらい、これも私たちは大賛成です。しかし、問題は、この無線通信士という限られた人数しかいない船舶職員の上に削減措置をとって、他の職員、すなわち甲板部機関部等に勤めている職員との間で適切なる合理化労務対策考えていこうという行き方には問題がある。私は、日本海運政策の中にこのような問題をわざわざ取り上げてやらなければならないほど日本海運業界は逼迫しておるのか、こういうことをほんとうに遺憾に思っておるのです。根本的な国策として、海運振興策というものはいろいろな点で手を尽くすべきところがあるのです。そこへ重点を置かれればいいわけです。もう日本平和国家という大目標ができているのでございますから、別に戦争のための船をつくっているわけじゃないのです。平和のための、国際親善のための、海上輸送のための、あらゆる点からもう目標は平和一本に固まってしまっているのです。そういう目標がきまっておる日本海運業界がありますから、政府がいつまでも海運業界をこのような不況どん底にたたき落として、これを浮かび上がらせるところの根本的対策をとっておらぬというところに問題がある。金利負担軽減措置をおやりになるならばもっと国策として堂々とこれを推し進めてしかるべきじゃないですか。自民党の内部にも海運業界専門家もたくさんおられるわけです。そういう方々を中心に、あらゆる産業を通じて一番どん底にたたき落とされている海運業界を一挙に引き起こして、国際社会において、国際海運の中に日本が非常に大きなウェートを占めるように、平和を目標としている国家らしく——艦船をつくっているのではないのですから、平和の船ばかりなのですから、何らちゅうちょなく海運国策をお進めになったらどうですか。私は、この点を政府、与党の各位に強烈に要望したのです。海運国策そのもの根本を誤って、そうして国際場裏に勝利を得ることができない。海上運賃の問題などでも押し込められている日本は、貿易外収支の中においても、少なくともこの海上運賃によって収入を得て、日本国家財政の大きなひずみを直していくという政策が要るわけです。国の基本政策としてどうでしょう。これは運輸大臣でないと御答弁できないことかもしれませんが、これに関連する根本国策ですから、国務大臣としては御答弁いただけると思います。海運国策電波法と直接関係ある……。
  12. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 海運国策のこまかいことは存じませんが、海運国際競争力を強めるという点におきまして、政府としては、一連政策をとって、十分に国際競争力を増すというふうにやっておるわけでございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 海運企業合理化をはかっていく、これは筋が通るわけです。その点は一連国策として考えていく、それには何ら異議はありません。しかし、もっと根本的な問題は、今の自己資金の不足、金利負担が大きい。それから経費節減を別の方ではかつていかなければならない。そこで人間の生産性の問題も起こってくる。こうういようなところでもいろいろな問題があると思います。一番大きな問題は、その金利負担軽減させる、そうして海上輸送における運賃等も、国際的な話し合いで、日本船舶がこれに従事している立場を十分考慮に入れながら、外交上の努力経済外交努力の中で、そういうような根本的な問題があるのじゃないでしょうか。
  14. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 私はこまかいことは知りませんけれども、そういう点につきましては、政府といたしまして海運国策の強化をはかるということは、運輸省が担当いたしまして十分にやっております。その一環として電波法考えているというような考えでおるわけでございます。
  15. 受田新吉

    受田委員 私は、この海運振興策の中に占めるウェートで、甲板部機関部に従事する職員の側から見ると、無線通信士は楽な仕事をしているから嫉妬を感ずるなどというような、こういう見方運輸省のお役人さんたちがしておられるという、そのこと自身に非常に曲がった見方があると思うのです。根本的なことを忘れて、その末端の一事象を、しかもそれが肯綮に当たっておらないということは、この間海員組合を代表された参考人の御意見無線通信士協会の代表の御意見などでもはっきりわかってきたわけです。決して嫉妬を感じておるんじゃない、海員組合としては一致してこれに反対しておるのだ、こういうことを考えると、何か政府発言によって組合の中に嫉妬心を起こさせるような波紋を投ずるようなこと、きょうもまだ船員局長さんはそれを直しておられないわけで、そういう意見を聞いている、こういうことでございます。そういうところで何かせっかく皆さんが一致して日本海運振興に協力しようという、そうした組織の中に波紋を投ずるような御発言政府側がされるということは、私は問題だと思うのですが、いかがでしょう。
  16. 若狭得治

    若狭政府委員 まことにおっしゃる通りでございます。ただ、われわれがこの法律改正するように決意いたしました一番の原因というものは、海運企業の立て直しのために必要であるということと、それから無線通信士需給が非常に逼迫いたしまして通信士が得られない。そのために船をとめるとか無線局を閉鎖するというような情勢が随所に出て参ったわけでございます。現在何名の通信士船舶に乗ってどういう仕事をしているかということではないので、むしろこれは法律をもって強制する、そういう強制をする必要があるかどうかという問題についての検討を行ないまして、その結果無線機器発達状況もございますし、需給が非常に逼迫いたしている現状から見まして、法律をもって強制することは再検討されねばならないというような考え方から、こういう改正案提出したわけでございます。
  17. 受田新吉

    受田委員 この改正案審議をめぐって、政府は運搬上の支障はその安全を期する上においても何ら考えることができないという御説明がありました。安全運航をはかる上に支障がないということに対しては、参考人の御所見の中にも問題点幾つか指摘されたのであります。それは、現在においてすら労務過重の傾向さえある、いわんやこれを一名に減らした場合には、その労務過重は一そう激しくなるだけでなくして、もう一つオートアラームの調子ということにも関連して、オートアラーム性能についても非常な疑義がある、こういう発言もあったわけです。これは指図する側の人でなくて、実際にその職務に携わっておる側の方の御発言でありますから、これはわれわれとしてはなかなか傾聴すべきものであります。機械通りに指図する側の人は、実際それにタッチするわけじゃないんですからね。直接第一線で苦労しておる皆さんの声というものは、これは私すなおに聞く雅量がほしいと思うです。この点につきまして船舶通信士航行中の当直時間というものが問題になるわけですけれども、この義務運用の時間の八時間ということ以外に、オートアラーム聴守ということが起こってくるわけです。それからもう一つ通信士関係において問題になるのは、今の警急信号しか受信をしないオートアラームの問題に関連するのですが、そういう場合に、その他の気象放送とかあるいは航路警報とかいうものの受信ができない時間ができるんじゃありませんか。つまり、その警急信号受信する、これれに伴うては気象放送航路警報というものには手薄になる、こういう手違いも勤務時間等に関連して起こってくるんじゃありませんか。
  18. 西崎太郎

    西崎政府委員 御承知のように、世界の貨物船のほとんど全部は、いわゆる第二種乙ということで八時間の運用義務時間になっておるわけでございます。従いまして、そういった航行警報であるとか気象警報であるとか、そういうものは、やはりそういう実態を前提にして、放送なり通信が行なわれておる、こういうふうにわれわれは承知いたしております。
  19. 受田新吉

    受田委員 電波監理局長、あなたは御専門でありますからお尋ねしたいのですが、航海の安全を期するためのいろいろな無線通信関係事象ということについて、航海通信飛翔体といいますか、宇宙通信の形のものをちょっと関連してお尋するのです。こういうものを日本の国においても十分研究して、航海の安全を期するための航海衛星通信というようなものをお考えになっておられるのかどうか、ちょっとここで関連してあなたにお聞きしておきます。
  20. 西崎太郎

    西崎政府委員 先生が今おっしゃいました安全関係宇宙開発面としましては、気象衛星航海衛星、その両方が考えられると思います。気象衛星の方は、これは航海関係だけでなくして、産業気象その他すべての面に利用されるわけでありますが、特に航海衛星ということになりますと、船を対象とするもの、こういうふうに承知いたしております。これにつきましては、いわゆるトランシット・サテライトということで、アメリカで相当研究が進められておりまして、すでに打ち上げられておるものもあるわけであります。日本としましても、みずからそういった航海衛星を打ち上げるということは、そう急には困難だと思いますけれども、よその国が打ち上げたものを利用するということについての研究につきましては、いろいろな機関において現在準備が進められておる、こういうふうに承知いたしておりますので、今後相当航海面にそれが取り入れられるというふうに考えております。
  21. 受田新吉

    受田委員 これは宇宙開発の方にも関係するのですが、航行の安全ということを考える場合に、無線通信士定員を減らそうという問題などは、そういう気象衛星通信あるいは航海衛星通信宇宙開発に伴うそういう設備が日本の国においても検討され、日本の国においても実用に供せられるようになったときに、そういう問題と一緒に考えていくというような、もっと文明の利器が大いに活用される時期とにらみ合わせて、この問題と取り組むというお心がまえが必要ではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。
  22. 若狭得治

    若狭政府委員 大体の考え方といたしましては、今受田先生のおっしゃった通り考え方でおるわけであります。ただ、現実の問題といたしまして、たとえば自動受信機ができるとか、あるいは気象通報にいたしましても無線模写放送ができるとかいうような、新しい通信機がどしどしできておるわけであります。たとえば具体的にオートアラームの問題をとりましても、外国においては三十年も前からつけておりますけれども、日本船につきましてはほとんど最近になってようやくこれをつけてくるというような状況でございまして、法律があるためにかえって通信技術発達が阻害されているというような状況考えられますので、実情に応じて措置がとれますように、法律改正する必要があるのではないかと思います。
  23. 受田新吉

    受田委員 私たちの国は、もう戦争しない国になっているのですから、きわめてはっきりした平和国家という筋金の入った国家になっているのですから、それを目標とするあらゆる施策に重点を置かれて、そういう宇宙開発の方への貢献などは、もう日本の国としてはどのようにでもして予算を多く取り、これと取り組んで、これに努力しなければならない当面の問題であると思うのです。外国研究を待って、外国で成功したらおもむろにこちらでやろうというお考えじゃ、これはもう平和国家を大目標とした日本国策としては不適当です。もう外国よりももっと先へお手をつけられていいのじゃないかと思います。特にオートアラームの問題などについても、ようやく最近日本が諸外国の驥尾に付しておつき合いをさしていただいておる。しかも、日本船舶に取りつけられたオートアラームというものは、はなはだその性能が不十分で、何の用にも立たぬようなオートアラームもある、いういうことになりますと、いよいよもって私たちは疑念を抱かざるを得なくなるのです。このオートアラームの装置については、一体電気通信条約改正でどういうふうに取り扱われ、これが今日本の国としてはどういうふうな考え艦船に取りつけられておるか、こうしてその性能テスト等についても、万全を期しておやりになっておるか、ということをお伺いいたします。
  24. 西崎太郎

    西崎政府委員 御承知のように、オートアラーム技術基準につきましては、海上における人命安全条約規定されております。それから同じくやはり人命安全条約で、千六百トン以上の国際航海に従事する船舶、これは五〇〇KCによる無休聴守というものを義務づけられておるわけでございまして、そのためにこのオートラームの装備というものは必要になってきておるわけであります。日本におきましても、そういった国際条約を受けまして、電波法によりまして処置をいたしておるわけでございまして、オートアラームにつきましては、御承知のように型式検定制度というものが設けられておりまして、そのオートアラーム製造会社が新しい型式をつくりましたときには、その性能というものが今申し上げました国際的な基準を満足しているかどうかということを役所が検定する、こういう制度をとっております、具体的に申しますと、現在郵政省電波研究所においてその面の検定事務を担当いたしております。従いまして、その検定に合格しているということは、即国際水準を満たしておる、こういうことになるわけでございます。  それから、先ほどオートアラームを装備する船舶基準につきましては、先ほども申し上げましたように、千六百トン以上の国際航海に従事する船舶で、運用義務時間が常時でないものにつきましては、オートアラームによって代用することができる、こういうふうな規定になっておる次第でございます。  〔佐藤(洋)委員長代理退席委員長着席
  25. 受田新吉

    受田委員 その規定はそれでいいとして、オートアラーム性能についての安全性というものは、どういうふうにテストされておられるわけですか。
  26. 西崎太郎

    西崎政府委員 先ほども申し上げましたように、国際基準に合致しているかどうかということを検定いたしておりますと同時に、先般も御報告申し上げましたように、実地に船舶に装備いたしまして、その性能というものを試験いたしておる次第でございます。
  27. 受田新吉

    受田委員 実際に船に取りつけたオートアラーム性能についていろいろな問題点が指摘されてきたわけなんですが、そはどういう形でやっておられるのですか。
  28. 西崎太郎

    西崎政府委員 オートアラームで一番問題になりますのは、要するに空電だとか混信がひどい場合に、いわゆる誤動作であるとかあるいは不動作というものがともすると起こるわけでございます。そういった点について、いろいろ従来試験をして参ったわけでございまして、先般の実地調査の結果によりますと、いわゆる通常の受信状態におきましては、外国の製品と同じような結果が得られたということでございます。もっとも、このオートアラームは、先般申し上げましたように、完全無欠なものではありませんで、まだ今後十分——これは日本だけではありませんで、世界的な問題でありますが、さらに一そうこの性能を向上、させるという努力は必要であると思いますし、われわれとしましては、日本の電波界の名誉にかけて、この点の解決に今後さらに努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  29. 受田新吉

    受田委員 日本船舶に今取りつけられておるオートアラームの数及び今後の計画を承ります。
  30. 西崎太郎

    西崎政府委員 現在装備されております船の数は二百十ばいというふうに承知いたしております。ただ、今度この電波法改正が施行になしますと、今回の対象船舶のほとんど全部がその対象になるわけでございまして、概数で恐縮でございますが、約千三百ぱいにこのオートアラームを装備しなければならないということになると思います。
  31. 受田新吉

    受田委員 内航船、特にしばしば事件を起こしている瀬戸内海航行船などに対しての見通しはどうですか。
  32. 西崎太郎

    西崎政府委員 瀬戸内海を航行している船舶のおそらく大半は今度の電波法改正の対象にならない船舶、こういうふうに承知いたしております。従って、それらにつきましては、また運輸省の方でいろいろ研究しておられると思います。
  33. 受田新吉

    受田委員 船員局長さん、ときに瀬戸内海航行船の無線設備、通信士の養成、配置、こういうようなものはどうお考えになっておられますか。
  34. 若狭得治

    若狭政府委員 瀬戸内海の船舶につきましては、現在のところ無線電話の普及というものに努めておるわけでございます。法律的には、船舶安全法によりまして、国際航海に従事するものにのみ無線の設備を強制いたしておるわけでございますけれども、瀬戸内海の旅客輸送等に従事しているものにつきましては、多数の人命の安全というものにも関係するわけでございますので、われわれは、行政指導によりまして、無線電話の普及に努めておるわけでございます。なお、遭難の場合のS ○S発信等の問題につきましては、現在船舶安全法の省令の改正によりまして、遭難通信を発信するブイを搭載することを義務づけるという考え方で、現在検討を進めておるような状況でございます。
  35. 受田新吉

    受田委員 これは検討を進めておるという程度でなく、早急に実施をしていただきたい。これはもう国際航路だけでなく、内航、特に瀬戸内海航路というものには非常な不安がある、しばしば事件を繰り返しておるということでは、これは海運行政上の大失態を物語るものだと思う。人命尊重ということは、どのような部面にもこれは考えていかなければならない。人命を軽視する施策が野放図にされておるということは問題ですから、検討検討としてけっこうでございますが、早急実施の見通しを、決意をちょっと船員局長からお伺いいたします。
  36. 若狭得治

    若狭政府委員 私の所管ではございませんけれども、運輸省といたしましては、船舶安全法が今国会で成立いたしましたけれども、それに伴いまして省令の改正の準備を今やっておるわけでございます。その中に取り入れまして、早急に実施する方針で現在準備をいたしておるような状況でございます。
  37. 受田新吉

    受田委員 問題になりますことは、航行の安全を確保するということに支障がないということ、それに対して私はさらに質疑を続けていきたいと思います。  この三名を一名に減らしていくということになると、一名になった場合は補充がつかないわけです。この一名一事故を起こしたときには、もう補充ができない。海洋のあらしの中を航行しておるときに、その一名の通信士が過労のために倒れた、これは予想される事項です。一人でいろいろな海上通信をやるのでありますから、過労のために倒れるということも考えられる。そういう場合には補充措置ができない。従って通信に関する限りこの船はめくらになる。そういう場合、次にSOSを発したとしても、その船から応援を求める時間的余裕はほとんどないわけです。そうした際の措置として、この一名になった場合にどういう手だてをされようとするのか、通信上のめくら船になった場合に、どういう処置をされようとするか、一つ答弁を願います。
  38. 若狭得治

    若狭政府委員 船舶の乗組員は、非常に船舶という限られた住居の区域の中で、その定員も限定されておるわけでありまして、あらゆる職種について今のような問題が出てくるわけでございます。単に無線通信だけの問題ではなくて、あらゆる職種についてそういう問題があるわけでございますが、船舶の運行自体に支障のない限り、そういう問題は予備を乗せるということは簡単にはできませんし、まあ、そういう問題はやむを得ないというふうにわれわれは考えますけれども、実際上の措置といたしましては、戦前に行なわれましたように、学校教育におきまして聴守員級の資格を与えるということを戦前は行なっていたわけでございますけれども、そういう問題を今後われわれとしては真剣に考慮していきたいと考えておるわけでございます。
  39. 受田新吉

    受田委員 あらゆる職種にわたって人員が確保されていないのであるからということでございますが、しかし、一名というこの重要な人がいないと船の目がなくなってしまう、こういうのがほかにありますか。
  40. 若狭得治

    若狭政府委員 たとえば船医でございます。医者でございます。
  41. 受田新吉

    受田委員 医師の場合は、これは一人、二人の事故ということが予想されますけれども、通信の途絶によって船とその乗員全部が消えていくというような危険の中にさらされる。その大事なポストとは、これはやはり相当の重みの相違がある。これは問題があります。医師の手だての方は、適切な薬なども用意されておるわけですから、それと比較するのは、非常に比較論としてはまずい比較論であります。これは補充員が用意できない。こういう問題が根本的な問題としてあると思う。郵政大臣、そんなに一人しかいない、そういう場合に、手の打ちようがないとおっしゃるのですが、これは何とかせぬと困るのです。これでこのまま法案を通すわけにはいかぬですね。
  42. 西崎太郎

    西崎政府委員 今の先生の御質問のお答えになるかどうかわかりませんが、御承知のように、現在の電波法におきまして、一名の通信士、要するに資格のある通信士に事故があった場合には、遭難通信であるとか緊急通信あいるは安全通信、そういった安全目的の通信は資格のない者でもできる、一応こういう特例的なものは認めております。それからまた、オートアラームは、全く私が申し上げるまでもないのでありますが、これは自船の安全をはかるのではなくして、他船の安全をはかる、こういう目的でございます。
  43. 受田新吉

    受田委員 オーストアラームが他船の安全をはかるのだということは、これは関係ないと思うのですが、この自船の安全をはかる措置というものに、一人通信士がいなくなったら安全がはかれないのです。さようならです。人生さようならです。太平洋のあらしの中で、むなしく通信上のめくらになった船が消えていくということです。これは何か一つ補充措置や講じて、非常に簡単な教育をした等級の低い通信士を一名補充するとか、何らかの措置を講じておるなら、十分でなくとも補完的な役割を果たすことができるわけです。それさえなくなったら、これはほんとうにめくらです。この点を私は指摘しておるわけです。処置なしということかどうか、御答弁を願いたい。
  44. 若狭得治

    若狭政府委員 通信士に故障が起きましても、ラジオ放送等によって気象通信は十分聴取はできるわけでございます。運航の安全という面については支障はないと考えるわけでございます。従いまして、できるだけ近い港におきまして通信士を補充するということは、商業通信の必要もございましょうし、また公衆通信の必要もございますので、その補充をできるだけ急ぐという必要はございましょうけれども、船舶航行安全という面からだけで考えますならば、大きな支障にはならないだろうと考えておるわけでございます。
  45. 受田新吉

    受田委員 気象放送とか航路警報とかいうものの受信ができる、これはだれでもしろうとでもできるのだ、間に合うのだ、こういう軽いお気持のようでございますが、それは大洋のまん中を航行する船に対して、そういうような放送がその局部的な地位におる船に適用できるとはもう言えないわけです。非常に危険状態です。これは私もう御説明をこれ以上要求しません。一名の補充要員すらも配置しないということになれば、もう危険この上もない事態に巻き込まれるということははっきりしておる。私は、こういうおそるべき事態を想定できる形で電波法改正がされるということには、絶対に反対であります。  それからもう一つの問題は、この問指摘されたそうでございますが、海上における公衆無線通信の問題、特にその中で短波通信についてちょっとだけ角度を変えてお尋ねしておきたいのですが、短波通信の必要度というものは、この海上における公衆無線通信の上で、どの程度の重みを持っておるのでございましょうか。
  46. 西崎太郎

    西崎政府委員 あとで電電公社の方から補足させていただきたいと思いますが、御承知のように、無線電信という立場から見ますと、中波と短波と両方使われておるわけでございまして、そのうち中波というのは比較的近距離あるいは中距離程度まで利用される、遠距離に行きますと、もう短波以外に利用の道はないというわけで、短波というものは船舶通信の上では非常に重要な役割を果しておりますし、また比重も大きいものがある、こういうふうに考えております。
  47. 受田新吉

    受田委員 運航上の海上公衆通信、いわゆる事業信というものと、それから乗組員の私信というものの利用度の比率はどうなっておりますか。
  48. 西崎太郎

    西崎政府委員 私が承知しておりますところでは大体半々、こういうふうに承知いたしております。
  49. 受田新吉

    受田委員 この法律改正案が実施される場合においては、その事業信の方に重点が置かれていて、私信をその次にするというような運びにはなりませんか。
  50. 西崎太郎

    西崎政府委員 私が承知しておりますところでは、いわゆる個人通信というものは制限しない、ただし業務通信につきましてはある程度の規制を行なう、こういうふうに承知いたしております。
  51. 受田新吉

    受田委員 そうすると、今の御答弁で、個人の通信を優先して事業債は十分抑制する、こういう方針と了解してよろしゅうございますか。
  52. 西崎太郎

    西崎政府委員 先生今個人通信を優先するとおっしゃいましたけれども、抑制の対象になるのは業務通信だ、こういう意味で申しました。
  53. 受田新吉

    受田委員 これは中波と短波と二つあって、遠洋航海などには短波をたよりにするということになる。そうすると、長年月の海上勤務をする人々にとっては、やはりそうした文化的な通信というものに長い旅路の渇を医することになるわけですね。これは船員の身になって見ねばいかぬと思うのです。毎日空と海ばかり見ている。堀江謙一君は別として、これは容易でない海上勤務なんです。そのときに短波放送のありがたみというものが特に大きく重みをつけてくるわけですが、個人の私信は抑制の対象にしないということについて、一応私その点を了解します。しかし、抑制措置は事業信であって、それはできるだけ整理してやりたい。それで個人のそうした海上における長い旅路の英労を抑制することは考えていない。これは船員局長もその通りですか。
  54. 若狭得治

    若狭政府委員 その通りであります。
  55. 森本靖

    ○森本委員 関連して。  これは法律の問題ですからはっきりしておきたいのですが、事業信であろうが、個人通信であろうが、規制するわけにはいかぬのですよ。これは公衆電気通信法からいって、そういうことはできないのですよ。ただ、いわゆる事業通信の方は船主が自主的にそれを出さないようにいたします、こういう答弁をしなければ、政府が事業通信を規制して公衆通信を先にやるというふうな答弁の仕方はおかしいのです。これは、公衆電気通信法において、いわゆる事業通信であろうが、公衆通信であろうが、電報の取扱局においては同様にこれを受け付けなければならぬわけであります。しかし、船主側が自主的にそれについて規制を加えるということなら話はわかりますけれども、何か政府がこれに規制を加えるというような答弁の仕方は間違いですよ。はっきりしておいて下さい。
  56. 西崎太郎

    西崎政府委員 私の発言でちょっと誤解を招くような点があった点をおわび申し上げます。今先生のおっしゃった通りでございます。
  57. 受田新吉

    受田委員 政策的見地からのことと法理的な見地からのものを区別して、御答弁願っておけば済んだわけです。私は、政策的見地から、政府は事業信をできるだけ抑制したい、こういう心組みであろうと思います。ところが、これは実際の問題として、これに関連する根本の問題が今の質疑応答を通じて出てきたわけでございます。海員組合その他のいろいろな組織関係で私たち終始研究させてもらっておるのですが、船員の乗み組み定員に関する労働協約というものは一体どうなっておるのですか。これは撤廃されておるのですか。乗み組み定数に関する協約は今存在しておるのですか。
  58. 若狭得治

    若狭政府委員 一昨年までは船型別に定数が労働協約において協定されておったわけでございますけれども、定員合理化の風潮、先ほど申しましたような待遇改善の必要というようないろいろな原因から、現在のところはそういう協定は廃止されたわけでございます。
  59. 受田新吉

    受田委員 そこに問題が起こってくるんですね。それで海上勤務の職員が、だんだんと陸上労働者に比較して低賃金に追い込まれてくるとか、あるいは労働条件が悪いから陸上の方にだんだん移っていくという事態も起こってくるわけです。そして今度の定員の削減の問題などにつきましても、政府海運の関係の経営者との間が合理化のためだということで、その抑制政策の一翼として人間を減らすということになってくると、これは乗り組み定員に関する労働協約が撤廃されておるという現段階では、容易ならぬ不利が組合側に与えられてくるわけですね。これは合理化のためといいながら、乗り組み定員の労働協約をやめてしまったということは、私は非常に問題があると思うのです。これは何ら手の施しようなく、運輸省を中心とする政府と、海運企業者との間において話し合いをすればそれが推し進められていく。ここはやはり政策として、事業信と私信の立場のごとく、乗り組み定員の協約が廃棄されている今日は、政策としてこれにかわる心組みを持って、政府海運業者との間において、あたたかい心づかいをして対策を立てるという方針でなければいかぬと思うのです。これは根本的な問題です。もう定員の問題は削減された、定員の労働協約は廃棄された、だから合理化政策と称して、そういう人間を減らす方へ両方が御相談されて強力な手を打つ、これはほんとうに残酷な仕打だと思うのです。しかも海上一人だけの勤務で、労働過重で行き詰まったときには、施すすべがないというところに追い込まれるというやり方は、非常に冷酷むざんと言うてもいいんじゃないですかね。これは私は根本問題が海運行政上の問題点として大きく一つクローズ・アップしていると思う。御所見を伺いたいと思うのです。
  60. 若狭得治

    若狭政府委員 労使間の問題でございますので、われわれとやかく言う筋合いではございませんけれども、定員の協定を廃止いたしましたのは、むしろ全日本海運組合の主張によって廃止したわけでございます。  今後の通信士の問題といたしましては、法律規定はどういうふうになりましょうと、現在のところ、具体的な問題といたしましては、たとえば船舶通信以外に、船内の文化活動に通信士が働いておる、あるいは他のいろいろな電気関係部門仕事をしておるというような具体的な実態が、各船によって状況は違いますけれども、あるわけでございます。そういう問題につきまして、労使間において協議しておいでになればよろしい。われわれは、法律としては国際水準というものを考えましてこれを改正していただく、自後の労働の具体的な問題については、労使間において協議さるべきである、そういうように考えております。
  61. 本名武

    ○本名委員長 受田君にちょっと申し上げます。お約束の時間が相当経過いたしておりますので、どうか質疑を終了願います。
  62. 受田新吉

    受田委員 それでは委員長に協力して、結論に進んでいきましょう。  私は今の御答弁で納得できないのです。これは乗り組み定員の労働協約が消え去ってしまったのです。これを消えさせた以上は、消えさせた形において、それが生きたと同じようなやり方をしていただかなければならぬのです。私これはもう根本的な問題であるから、政府当局に十分心得違いを直していただくように、今この機会において強烈な申し入れをしておきます。そしておしまいに結論を申し上げます。  最後に、今度の改正案で一名減員ということになると、この無線通信士の二級資格者というものは一体事実上どういう形になってくるのですか。そのことと、これの需給逼迫に対する養成の関係に触れるわけでありますが、ちょっと御答弁願います。
  63. 若狭得治

    若狭政府委員 御指摘の通り二級通信士相当過剰になってくるわけでありますが、現在の乗り組み員の相当数というものは、一級通信士の資格を持ちながら二級通信士仕事をしてきておるわけであります。従いまして、需給関係の実態から見ますと、必ずしも数字の上に表われるような二級通信士の過剰状態は出ないわけでありまして、むしろここ三年程度の間に、大体において一級通信士が不足して参りますけれども、二級通信士は多少余ってくるという状態でありますが、二級通信士の再教育という問題を今後の問題として取り上げていくべきであると考えるのでございます。と同時に、一級、二級の試験のあり万につきましても、この委員会でも森本さんから御質疑がございましたように、われわれといたしましては、実情に合うような試験制度、資格制度というものをぜひ再検討していただきたいと考えておるわけであります。
  64. 受田新吉

    受田委員 今御指摘の再教育に要する費用は全額国が負担しますか。
  65. 若狭得治

    若狭政府委員 現在のところ国が負担するかどうかという点まで考えておりませんが、われわれの考えとしては、船主団体労働組合との協議の上で今後の再教育の問題を考えてもらいたい、国はそれに対してできるだけの協力を惜しまないという考えでおるわけであります。
  66. 受田新吉

    受田委員 これは国ができるだけの協力を惜しまないということは、全面的負担ということを考えていくべきです。こういう制度の転換によって受ける犠牲ということを前提とされる法案を出される以上は、当然費用負担は国が責任を持つべきだということをはっきり申し上げておきます。  それで大いに協力したいということでございますが、全面的な協力ということに御理解いただいたものとして、そこで、その転職措置を講じなければならぬということがどうしても起こると思います。転職に対する対策は完全あっせんということにちゃんと踏み切っておられるかどうか、これも御答弁願います。
  67. 若狭得治

    若狭政府委員 今度の問題につきましては、通信士の失業の不安というような問題は絶対起こさないようにわれわれとしては今後指導して参りたいと考えております。また、関係団体もそういう方針で現在その対策を進めておるような状況でございます。
  68. 受田新吉

    受田委員 わが国の通信士養成機関というものは、今文部省にある国立電気通信大学、それから国立電波高等学校、そういうものでやっておられるわけでありますが、今の二級通信士が必要でなくなるということになると、国立電波高等学校というものはもう必要でなくなるのですか。これは文部省に関係するものですが、やはり政府全体の問題として……。
  69. 西崎太郎

    西崎政府委員 二級通信士は、海上だけでなく陸上においても職場があるわけでございますから、要らなくなるということはないと思います。
  70. 受田新吉

    受田委員 海上勤務というものに電波高等学校卒業生が大いに貢献するという趣旨で一応できておりますけれども、これは陸上も海上も含めたわけであります。海上には御用がなくなるのだということになると、電波高等学校の使命というものは、半分消えてしまうことになるというゆゆしい問題が一つあると思います。そうすると、国立電波高等学校を昇格する、あるいは電気通信大学の定数を大いに増員するとか、養成機関の養成計画は文部省と御相談されてどういうふうにやられておるか。この法案実施とともに当然起こる定員の養成の問題は具体的にどんなものであるか、どういうふうに定数をふやすか、こういう問題を御答弁願います。
  71. 若狭得治

    若狭政府委員 全体の計画としては文部省の問題でありますけれども、海上通信に関しましては、前にこの委員会でも御議論がありましたように、運輸省に船員教育審議会というものがございまして、そこで文部省及び郵政省の関係の方にもお集まりいただきまして、その需給計画を策定し、その養成をお願いいたしておるような状況でございます。先ほど申しましたように、  一級通信士相当数の不足を生する、二級通信士は多少過剰の状態になってくる。従いまして、二級通信士の再教育の問題と、それから資格制度を今後再検討していただく問題が当面の問題としてあるわけでございます。通信教育全体の問題につきましては文部省の所管でございますけれども、海上通信については、現在そういうふうに考えておるような状況でございます。
  72. 本名武

    ○本名委員長 受田君、結論を願います。
  73. 受田新吉

    受田委員 無線通信士養成機関、その定数の問題の根本的な施策を教えてもらいたいと思います。これは不即不離の関係でありまして、文部省と具体的な話し合いをして——養成の定員なども文部省だということで逃げるわけにはいかない。ここですぐ強行採決されようとする気がまえでございますが、できればここで文部省の養成方針をお聞きしたいのでありましすけれども、間に合わぬですか。だめですか。やはりこれは関連するので、ちょっと御答弁願う程度ですが。——お許し願えなければ万やむを得ません。文部省の問題だという御答弁でございますが、文部省はどういうふうな養成方針を持っているか、定数をどうしようとするのか、考えをちょっとお聞きしておきたい。これは直接養成に関係する問題でございますので……。
  74. 若狭得治

    若狭政府委員 文部省といたしましては、この前のお話では、現在のところ早急にその制度検討をやっているというような状況ではないようでございますけれども、われわれといたしましては、一級通信士の不足の状態につきましては、これは明確な数字が出て参るわけでございますので、これを絶対に確約するように文部省と協議して、十分その措置を講じていきたいと考えておるわけでございます。
  75. 受田新吉

    受田委員 今、質疑応答を通じて幾つか明らかにされた問題点を取りまとめて政府の決意をちょっと御答弁願います。一括してお尋ねします。  この法を実施するにあたって、政府の御意思に基づいたとして、本法の経過措置期間というものができておる。その期間中に関係の船舶の設備改善を早急に促進するということ、そうしていやしくも通信士を減らすことに伴う船舶安全運航支障を来たすことのないような必要の措置を講ずるということには御異議ありませんか、大臣。
  76. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 経過期間中にそういう支障のないように十分措置したい、そういうふうに思っております。
  77. 受田新吉

    受田委員 その問題に関係して、運航船舶に対する、先ほど言いました陸上通信施設の整備充実が十分なされるような努力がはかられるかどうか。
  78. 山下武

    ○山下説明員 電電公社といたしましては、これに対応する海岸局の通信施設の整備に関しましては十分行なう予定であります。
  79. 受田新吉

    受田委員 さらに、この実施に伴って関係労働者の解雇あるいは労働条件の引き下げなどという労働者に対する不利益な措置がとられることがないように、行政上の必要の措置を講ずることができるかどうか御答弁願います。
  80. 若狭得治

    若狭政府委員 ただいまの御質問の通り指導する考えでございます。
  81. 受田新吉

    受田委員 以上の三つの問題、これらの保障措置を経過期間中に十分とろうと努力されても、その経過した時点において、それらが不十分な結果になっておるときに、政府はその実施のための再延長措置とか、そういう何らかの適切な措置をとる用意があるかないか、御答弁願います。
  82. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 政府といたしましては、本法の経過規定でその実施のために万全の措置をとるべく努力いたす、そういうふうに考えておる次第でございます。
  83. 受田新吉

    受田委員 そこが大事なんです。万全な措置をとろうとして努力する、しかし、こういう非常に多くの問題をかかえているこの法案を改正するにあたって、そういう措置をとろうと経過期間中に努力しようとしても、こういう問題をかかえた法案の施行にあたっては、その経過期間の終了した時点においてなかなかそれが思うようにいかないのは、従来のあらゆる法律で経験しておるわけです。そういう際には、さらに実施期間を延長するとか、あるいは適切なる政令その他の措置によって完全実施に持っていこうという努力を、実際問題として払われておるのです。従って、完全実施のためのあらゆる措置をとるということを言われるならば、私一応うなずきます。
  84. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 私は、この経過期間中に万全の措置をとるという決意でおります。
  85. 受田新吉

    受田委員 経過期間中におとりになるのですね。経過期間の終わった時点において、不十分なことの全然ないようにする、もしあったならば、必ずそれを補完する措置をとる、こう言っていただけば私納得するのです。
  86. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 私は、経過期間中に万全の措置をとるということを申し上げておる次第でございます。
  87. 受田新吉

    受田委員 経過期間終了の時点において、不完全な場合は補完措置や。とるという、そこまでの決意があるかどうか。
  88. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 経過期間の終わるまでには、万全の措置をとって、十分になるように私は努力するということでございます。
  89. 受田新吉

    受田委員 私はそこが心配なんだ。経過期間が終わった時点に不完全なことがあった場合には、お話の通り、補完措置を十分とるということを言っていただけばいいのです。これは自民党の皆さんも賛成していただいている。経過期間中に努力するだけではだめなんです。
  90. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 ただいま受田先生のおっしゃったおそれのないように、十分措置をとります。
  91. 本名武

    ○本名委員長 谷口善太郎君。
  92. 谷口善太郎

    ○谷口委員 先ほど理事会で本日の討論に私の発言を禁止するというようにきめられたようであります。まことに不当な決定でありまして、私は厳重にここに抗議を申し込みたいと思います。今後はそういう非民主的なことはなさらないように強く要求して、決定決定としてきょうは尊重することにします。そこで、与えられましたわずかな時間に、最後の質問で、時間もありませんから、本件に対する共産党の根本的な考え方を申し上げて、一括して大臣の御所見を伺いたいと思います。  この法律案は、すでに七年前からたびたび国会に提出され、そのつど審議未了、廃案になったいわくつきのものであります。すなわち、この改正案が国会を通過、実施せられんか、関係労働者に不当なきわめて非人道的な労働強化を強制するばかりでなく、船舶航行の安全を全く破壊し、かつわが国の気象観測業務、海難救助体制等に重大な致命的な欠陥をもたらすことが明らかになったからである。政府・自民党、海運業者、独占資本を除くほかのすべての識者、労働者、国民が断固としてこれに反対したから廃案になってきたものであります。今回の改正案は、この悪法案をそのまま持ち出したものでありまして、これを国会で再審議するということすら非常に不当だと言っても差しつかえないものと思うのであります。そこで、私は、先ほど申しましたように、二、三のわれわれの考えている問題点について一括申し上げて大臣のお答えをいただきます。  第一に、現行の無線通信士三名、三直二十四時間勤務制を通信士一名、一直八時間制にするかわりに、その補強施策としてオートアラームを装備するという点でありますが、この点こそ本法案の悪法たる最大の点であります。オートアラームなるものが単なる受動的警報機に過ぎず、何ら能動的人間労働にかわり得るものでないことは、今日すでに世間周知の事実であります。また、空電、混信等による誤作動の避けがたい性能のものであることも、当委員会西崎電波監理局長が証言した通りであります。気象上最悪の条件下にある太平洋海域を海動の舞台とする日本船舶に、また海岩局の施設といい、海上保安庁の能力といい、諸外国に比べまして最も危険、不安全な日本において、このような機械をもって人間労働にかえることのいかに危険かは言葉を要しません。本改正案では、オートアラームの作動にあたっては、いついかなる場合でも、その受信通信操作の責任は常にただ一人の通信士にあるとされ、通信士は事実上一日二十四時間の拘束を強制、されることになりますが、その結果次のような事態が起きることは不可避のものとなるであろうと思います。すなわち、毎日二十四時間の奴隷状態におかれます通信士は、なま身の人間の必然といたしまして心身混迷し、結果として船舶局の通信業務に、特に危急の場合の通信活動に重大な錯誤を来たし、もって全体として船舶航行の安全にきわめて危険な状態をもたらすということであります。海員組合船舶通信士協会が寝食を忘れて本法案に反対するため立ち上がっているのも、まさにここに理由があるとわれわれは考えているのであります。  第二点はいわゆる裏時間の問題であります。一直八時間勤務制は、単純に継続八時間の勤務制ではなくて、二時間勤務二時間休憩を交互に繰り返して勤務時間合計八時間に及ぶというのでありまして、こうなりますと事実上通信士の勤務時間は、十四時間ないし十六時間になるという問題であります。本委員会西崎電波監理局長は、この問題に関する関係労働者の陳情書について、どうしてそうなるというのかその心情がよくわからぬととぼけて答えておりますが、言語道断といわなければならぬ。ここに昭和三十七年七月十五日から八月十四日までの一カ月間の外航船二百八十五隻による短波無電発信経過時間表があります。これは船舶通信士協会の調査に基づくものでありますが、これによりますと、これらの船から発信されました発信数八千四百四十六通のうち、受付から通信終了まで二時間以上を要した通信数は実に五千三百四十六通であったと報告、されているのであります。法改正後になりますと、こういう通信は、すべて勤務時間の二時間で終了いたしませんので、必ず休憩時間に食い込むことになるのであります。このような状態がたとい一日に二、三回あるといたしましても、それだけで通信士は中間の休憩時間のすべてをつぶされることになることは全く自明のことであります。しかして本委員会で明らかになりましたところによりますと、政府海運業者は、この矛盾に対する対策として、驚くべきことに、船舶局における公衆通信の規制抑圧というものを考えていたようであります。つまり通信を制限するというのであります。おそるべきことだと私は思うのであります。しかし船員あるいは一般の公衆通信を制限するということは、先ほどお話のありました通りに、法律違反であり、原則的にいって憲法違反になるのであります。航行業務上の通信をたとえば業者が自分の経費節減の上から考えて減らせば航海の危険を冒すことは全く明白であります。それでもかまわぬと彼らは言っておるのであります。彼らの貧らんな態度は全く狂気のさたといわなければならない。そういう内容を本案は含んでおります。  それから、本案が通れば日本の気象観測上重大な支障を来たすと証言しました気象庁長官の言葉も、この際われわれの銘記しなければならぬ言葉だと思うのであります。わが国の気象観測体制は、自民党政府の長年にわたる失政から全く憂慮すべき状態にあります。気象庁は観測のための飛行機一台持たず、飛行機観測は米軍にたよっております。わずかに観測船としてボロ船二隻を持っておるにすぎません。従いまして、台風のどまん中におけるわが国の気象観測では、数百隻に及ぶ外航船による観測協力体制が決定的な役割を果たしているのであります。この点私がここで申すまでもなく、皆さんよく御承知のところでありますが、これが今回の法改正によってほとんどそういうことできなくなるというふうに気象庁長安が証言しているのであります。わが国の気象観測は危機にさらされることになります。国民の生命と生活の安全に対してこれほど敵対した政策はございません。もっとも日本船主協会の荒木副会長が、自分たちさえもうかるならば、日本の気象観測がどうなってもおれたちの知ったことじゃない、こういうふうに本委員会で放言いたしました。しかし、われわれにはこういう態度は許されない。共産党は気象観測体制の完全な整備の実現のために戦うと同時に、現在はなお船舶の協力体制を断じてくずしてはならぬというふうに強く主張したいと思います。  次に、本法案のねらいは、海運産業合理化、すなわち経費節減にあるのだといった政府及び海運業者の本委員会における公式の発言に留意したいと思います。だが一体、三名の船舶通信士を一名に減らしてどれだけの経費節減ができるのか。私の計算いたしましたところでは、現状を基礎にして年間約十億円余り、全船員費に対してわずかに五%、全海運業者の営業費に対してその割合を見ますと、わずかに年間〇・五%の節減にすぎないのであります。全営業費のわずか〇・五%の節約をして何が合理化ですか。何が海運基盤の強化ですか。試みに海運資本家が造船のために政府及び市中銀行から借り受けました資金額と、その利子の状態を調べてみるとよろしいと思います。昭和三十五年上半期における借入金残高は政府財政資金から千五百十四億、市中銀行から千百六十八億、合計二千七百二十二億であります。そして本年は三千億を突破したといわれているのであります。そしてその利子は、本年は二百七十億をこえると荒木氏は証言しました。一方、彼らの自己資金でつくった船は総額一千億にすぎません。すなわち、海運資本家はその造船費の四分の三を人の金でまかなっているのでありまして、そのために実に全船員の給与費をはかるに上回る巨額の利子を毎年金融独占資本に奉納しているのであります。現在の海運業の困難さはここにあるのであります。同時にみずからこの実体をつくり出しておいて、海運基盤が弱いとか国際競争力がないとか言うのは、ちゃんちゃらおかしいといわざるを得ません。それこそ国民や労働者階級の知ったことではない、こういっても差しつかえないと思います。人のふんどしで相撲をとっておいて、なおかつ勝星をよこせと居なおるのは、まるで賭場の親分の態度であります。しかし、これはまさに彼らの要求なのであり、また日本海運界の低料金の上にのうのうと独占利潤をむさぼっている米日独占の要求なのでもあります。しかも彼らは、長年にわたり、政府とぐるになって、やれ利子補給だ、やれ返済金猶予だなどと、われわれ国民の税金から数百億の金をかすめております。今も取りつつあるのであります。政府・自民党が、本法案によって、今後はさらに日本の気象観測業務を破壊し、船舶運航を危険にさらし、一切の犠牲を労働者階級に転嫁してまで、彼らのために尽くそうということに、われわれの激しい怒りを感ずるのは当然であります。  今日の日本海運企業不況があるとするならば、それは自民党政府当局の対米従属の貿易政策、経済政策根本の原因があります。従来わが国の貿易は、中小型船で十分に間に合う中国やソ連、朝鮮、東南アジア諸国との交流にあったのであります。それが自民党政府のアメリカに屈する売国的政策の結果、これらの諸国との間の貿易が断たれ、あるいは縮小され、かわりにアメリカの指図による大型船をもってする、主としてアメリカ対象の遠洋貿易に変化し、従ってまた、金もないのにむやみに大型船をつくらざるを得ない羽目に押し込められたのであります。そのために、政府や独占、海運業者は膨大な国民の血税を使って多数の大型船をつくったのであります。今やその矛盾した基盤の上に立って、一そう国民を収奪しようと計画したのであります。海運業者の立場からいえば、多額の金利を金融独占に支払った上、なおかつもうけなければならぬ。金融独占は金利を確実に収奪しなければならぬ。海運業を利用する一般産業独占はいわゆる貿易・為替の自由化の前に、一そう低運賃を要求してきている。こういうことから彼らは、一方的に労働者階級に弾圧を加え、合理化を促進し、航行を危険にさらしてまで、今日のこの法案を出してきたのであります。  海運企業合理化は、昨年末問題となった残酷な石炭産業合理化、金属鉱山の合理化と同一のものであります。また現在重大問題化しております特殊産業振興法案による全産業合理化と一体のものであります。すなわち貿易・為替の自由化により、また対米従属、搾取と収奪によるいわゆる所得倍増計画の池田政府政策の破綻の結果であり、同時にそれは、アメリカ帝国主義と日本独占の至上の要求でもございます。これをすべて労働者階級に転嫁してきたのであります。だが労働者階級と国民は、この政策は断じて許しません。われわれは、全国民とともにこの、池田政府の反民族的、反人民的暴政とあくまでも戦うでありましょう。  そういう意味で、日本共産党は本案に絶対反対するものであります。また自民党が出される修正案にも反対するのでありますが、本法案を一刻も早く撤回する意思が大臣にあるかどうか、お伺いいたします。
  93. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 本法案は、海運の競争力の増大、それから通信国際水準化というような問題で出しましたので、われわれの方といたしましては、撤回する意思はございません。
  94. 谷口善太郎

    ○谷口委員 質問を終わります。
  95. 本名武

    ○本名委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  96. 本名武

    ○本名委員長 この際、大高康君より本案に対する修正案が提出されておりますのでその趣旨の説明を求めます。大高康君。
  97. 大高康

    ○大高委員 私は自由民主党提出にかかる電波法の一部を改正する法律案の修正案につき、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案は、お手元に配付いたしました印刷物によって御承知願いたいと存じますが、その修正点の第一は、法第五十条第一項の表中、第二種局乙及び第三種局甲の通信長の資格に関し、原案では、一級通信士については、経歴要件の定めがなく、また二級通信士については、通信長となる前十五年以内に船舶局もしくは海岸局で二級通信士として一年以上の業務経歴を要するとされていたのを、一級通信士については、前十五年以内に船舶局もしくは海岸局において一級または二級通信士として一年以上、二級通信士については同じく前十五年以内に船舶局において二級通信士として一年以上と、それぞれ修正しようというのでありますが、これは二種局乙及び三種局甲の通信長の資格要件に関し、電波法と国際電気通信条約の規則との関係を明確にするとともに、通信長の資格要件を法改正による船舶局種別の移動の実態に適合させようとするものであります。  その二は、附則第二項の経過措置の対象を現存船の船舶局に限らないこととするとともに、その期間を四年間とすることとし、また別表を第五十条第一項の修正に伴って修正しようというのでありまして、その趣旨は、新体制への移行の万全を期しようとするものであります。  最後に、附則第三項の追加は、法施行の際、第二種局乙の通信長としての要件を備えながら、前述の資格要件の修正によって、その要件を失うこととなる者に対する救済措置であります。  以上をもって修正趣旨の説明を終わります。  何とぞ全会一致、御賛成あらんことをお願いいたします。
  98. 本名武

    ○本名委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  99. 本名武

    ○本名委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、これを許します。森本靖君。
  100. 森本靖

    ○森本委員 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案について、私は日本社会党を代表して、原案並びに自由民主党提出の修正案に対し、反対の意思を表明するものであります。  御承知通り船舶無線電信局の通信士定数の削減をはかるための電波法改正の動きは、昭和三十二年以来表面化し、同年五月、第二十六国会において参議院で議員提出改正案提案されたのを第一回目とし、これが同国会及び第二十七国会で継続審議の後、第二十八国会において廃案となり、次いで第三十九国会においては、第一次案を拡大した内容改正案政府から提案をされ、これが第三十九、第四十の両国会で継続審議の後、第四十一国会において再び廃案となったのであります。さらに、今国会において、第二次案と同内容のものがあらためて政府から提案されるという経過をたどってきたのでありまして、この推移を顧みますと、本改正案は、昭和三十二年以来の一連の意図に基づくものであることは明らかであり、その改正の事由も、今次の案について強調されておるように、海運企業の強化を第一義としたものではなく、本来は、第一次案にうたわれました「最近における無線機器発達状況等にかんがみ」云々、以上のものではないといえるのでございます。換言すれば、この改正は、海運企業の不振という背景がなくとも企てられたものであろうともいえるものであります。「海運企業現状」云々は、後にでっち上げた口実にすぎないと私は考えるものであります。  また、第一次案以来、一貫をしてうたわれておる「無線機器発達ないし性能の向上」は、先般来の質疑を通じましてもすでに明らかなごとく、この改正に最も関係の深いオートアラームが、四十年来、機能的にも、構造的にも、ほとんど見るべき改良がなされていないのを初めとし、無線機器の各般にわたって、船舶通信体制の大変革を促がすほどの性能の向上は認められないのでありまして、これまた、改正の積極的な理由とするには足らないのであります。  かように、本改正案は、その提出理由においてすでに信を置きがたいばかりでなく、その内容も、全く露骨な人員整理の意図に満ち、しかも、いうところの合理化が、労働者の犠牲と公共性の没却とにおいて行なわれようとしておるのでありまして、とうてい容認しがたいものであります。  すなわち、この改正によって利益を得る者は海運事業者のみでありまして、改正措置の直接対象である船舶局の通信士は、この改正によって下船、失職のおそれが生ずるばかりでなく、労働過重や責任の増大をしいられ、さらにまた、その他の船舶乗組員通信の制限、その他福祉の低下も余儀なくされ、さらに船舶自体としては、航行の安全にも影響するということになるのであります。  その上に、さらにこの改正案は、気象情報の貧困化をもたらすなど、社会的にも重大な結果を招くのでありまして、船舶の公共性を無視した措置といわれてもいたし方ないところであります。  しかも、かような船舶通信体制の大変革が、きわめて不用意な準備のもとに強行されようとしているのでありまして、改正案の持つ矛盾や欠陥は、その実施段階においてさらに拡大するものとみられるのでございます。海岸局の未整備からくる通信疎通の停滞、オートアラーム代替からの海難増、気象観測体制の弱体化による災害の拡大など、予想される事態は少なくないのでありまして、これらの事態は、経過措置期間を一カ年延長する程度の手直しでは、とうていカバーしきれないものと思われるのでございます。  以上申し述べて参りましたように、本改正案は、その意図、内容ともに承服しがたいのでありまして、たとい与党において、先般わが党が指摘した国際電気通信条約との抵触部分を改め、経過措置を拡大する等の修正を加えられましても、本旨に変わりはなく、わが党は、修正案を含めて、電波法の一部を改正する法律案に絶対反対をするものであります。  以上をもって私の討論を終わります。
  101. 本名武

    ○本名委員長 岡田修一君。
  102. 岡田修一

    ○岡田(修)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりまし片電波法の一部を改正する法律案並びにこれに対するわが党提出の修正案に対し、賛成の意を表明するものであります。  日本船舶は、戦前におきましては、現在の外国船と同様、条約に規定する通り船舶無線通信士は一人の乗り組みでありました。ところが、戦争中に危険な海上において船舶の戦時輸送使命遂行のため、海軍省令によって昭和十六年に無線通信士三名の乗り組みが規定され、その後それが船舶職員法に取り入れられて現在の規定となっておるのであります。戦後、連合国側の占領政策によりまして、日本海運国家管理下に置かれ、船舶運営会と称する国家機関によって運営せられておりました。従って、経済的運営については、一切考慮する必要がなかったのであります。一面、当時の日本船舶はほとんどなくなったために、海上乗り組み員はいわゆる職場のない船員でございました。従いまして、失業救済的意味もありまして、採算を無視した多数の船員を乗り組ましめておったのであります。当時の外国船で四十数名に対し、日本船は六十名近くを乗り組ませ、無線通信士も、戦時中と同様三名を乗り組ませておったのであります。こういう混迷のときに、日本海運の将来の健全な立ち直り、発展を考慮することなしに、現在の海上労働法規が制定せられまして、また、無線通信士に関する規定を持っておりまする船舶職員法も、そのままの制度を踏襲して今日に至っております。昭和二十五年に制定された電波法も、その船舶職員法の規定を受けて今日に至ったものであります。  今日、日本海運が破滅寸前にあるのでありまするが、この原因は、一つは戦時補償打ち切りによる借金の過多と金利負担の過重ということでございまするが、同時に、外国船に比して日本の乗組員が非常に多いということもその一因であるとということは、あえて言い過ぎでないと思うのであります。今、政府は、この危局にある海運に対しまして、金利負担軽減等につき思い切った再編成、助成を講じようとしております。同時に日本海運としましても、その根本的な再編成を徹底いたしまして、合理化を最大限に行なわんとしております。企業の合併集約による再編成は、ちょうど明治維新における大政奉還あるいは廃藩置県に相当する非常な変革であります。陸上職員はために数千名の離職者を余儀なくせざるを得ない状況にあるのであります。  海上の労働配置も、これに呼応して徹底して適正配置が行なわれるべきであります。近時この海上乗組員の合理化は非常に徹底されてき、また海上労働法規も漸次改正されてきておりますが、最後に残されておるのが、この無線通信士に関する船舶職員法並びに電波法規定でございます。これがあるために、無線通信士の適正配置ができない。これがひいては他部門の乗組員の適正配置を妨げ、また労働意欲に非常な影響を与えると考えるのであります。  ここに多年の懸案でありました電波法改正が、今回政府によって提案されましたことは、まことに時宜を得た措置であり、むしろおそきに失すると考えるのであります。  本法案に対する野党の方々の反対の論点であるオートアラトムの性能についての信頼性、船舶からの気象情報収集についてのわが国気象業務上の支障ありやいなやの点、あるいは海難防止、海上安全確保についての不安及び無線通信士の離職の不安、海岸無線局の施設の整備等につきましては、本委員会質疑における政府答弁に徹しましても、何ら懸念、不安の余地はないのであります。しかしながらわが党は、万全の上にも万全を期するために、政府案に対し修正案を提出したのでありまして、これによって五千五百トン以上の船舶は、新旧を問わず四年間通信士二名となるものでありまして、これにより一切の不安、懸念を差しはさむ余地を残さないものと考えるのであります。  以上、申し述べましたように、政府案は、わが党の修正を得てより完璧となり、また円滑な施行が期せられることとなったのでありまして、本法案の施行によって、海上労働配置がより一そう適正化され、海運企業強化策が一そうの前進を見ることを期待して、私の賛成討論を終わります。
  103. 本名武

    ○本名委員長 受田新吉君。
  104. 受田新吉

    受田委員 私は、ただいま自民党から提案された修正案を含めて、原案ともども反対を表明いたします。  民主社会党の立場からして、この問題は、長期にわたって当委員会を中心に反対意見を述べて参ったのでありまするし、また過ぐる国会においては、次善の策として政府与党の立場をもある程度考慮してわが党から修正案を出し、当委員会でその修正案に対する私の見解の表明に対しては、自由民主党を代表して、佐藤理事よりも、民主社会党提案の修正案には賛意を表するという言明まであったいわくつきの法案であります。それがこのたび、実にあわただしいうちに、強力な形で審議が進められ、今、討論の段階まできたことをはなはだ遺憾に思っております。  私たちが、この電波法改正になぜ反対するかが、その一つは、自由民主党の政府及び与党の皆さん方が、現実の日本海運業界の実体を休握しておられない。日本の外航船に占める部位は、国際的に非常に高い信用度を持っておる。三名の二十四時間無休三交代当直制というひのが、外国船の救助に大きな役割を果たし、また国際的に非常な信用を高めたというこの現実を無視しておる。日本の国は、戦争をしない国家として再建をされておるのだし、平和国家を唯一の目標としておるわが国において、世界的にこの高い信用度を持っておる外航船の高い安全保持の努力というものを全然無視されて、三名を一名に減らすという姑息的な海運対策からいったならば、ほんのわずかの経費節約によって、この国際的信用度を傷つけようとするものに対しては、まずわれわれは根本的に反対せざるを得ないのあります。  もう一つは、海上無線通信機構というものの現状を十分把握しておられない。日本の外航船から日本の海岸局に発せられる通信というものは、世界のどこへ行っても行なわれておるのであって、日本の船が世界のどこにおってもその位置が現認せられ、その活躍がはっきりと認められておる、こういう体制であります。これを外国の局を通じていくとするならば、言葉も違う、それに対して別の料金もかかる、こういうまことに不手ぎわを来たすことにもなるし、経費の増大にもなるということをお忘れになっているのじゃないか。海上無線通信体制ががっちりと結ばれて、全世界に大きな信用、日本の外航船のみが持つこの信用を、一挙に失墜させて、同時に、そこに勤務する一名の無線通信士は、これから莫大な労働力負担を負わなければならない。しかもその労働力負担軽減する意味で、オートアラームの設置について陳弁されておりますけれども、このオートアラームの設置をやると同時に、それに執務する間は、他の気象通信あるいは警報受信というようなものを取り扱う余裕が、全然なくなるという片手落ちになってくるということも考えなければならない。こういうところで海上無線通信体制がこわされるのみならず、そのわずか一名に減らされた通信士によって、非常な大きな労働過重が招来されるという欠陥も生じてくるわけでございます。  さらに無線通信士の養成について十分間に合わないんだという政御の御意見などは、これはまことに政府のぶざまを物語るものであって、無線通信士を大いに国立の電波関係の諸学校で養成をして次から次と養えばよいのである。今、世界は宇宙通信まで実現されておるときに、われわれは通信体制を強化するという意味からは、この無線通信士のような職種を減らすというよりは、もっとこれを強化して、宇宙通信への前進の基地へも日本を持っていくという努力を払うべきではないかと思います。  さらに、この問題を実際に処理するにあたって、改正と同時に起こってくる問題は、外航船、内航船との関係もありますけれども、これに従事する職員との労務関係であります。応労働協約から乗り員み定数についての事項が消除されておるという現段階において、一方的に政府及び海運業者との間の合意による意思決定が、海運組合皆さんの上に非常な圧力となって一方的にこれが強行されるという危険が、まず目の前に見えてきました、こういうことを考えまして、われわれは政府与党の皆さん海運業者の皆さんたちは、願わくは海運根本的対策は、国が財政上のお手立てを十分して、わずかの人員を減らすことによる経費節減などという、こういうばかげた措置をおやめになって、この際海運に対する根本的な解決をはかるという熱意をお示しになるべきじゃないかと思うのです。これはこそく手段です。このこそく手段をあえて採用されて、全世界における日本の外航船の偉大な信用を一挙失墜にせしめるような、かかる措置を含む改正案には大反対であることを言明して、私の討論を終わります。
  105. 本名武

    ○本名委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  106. 本名武

    ○本名委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  107. 本名武

    ○本名委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  本案に関する委員会の報告書の作成等につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 本名武

    ○本名委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、小沢郵政大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  109. 小沢久太郎

    小沢国務大臣 電波法の一部を改正する法律案は、当委員会において長期間にわたり慎重御審議の結果、御採決いただきましてありがたくお礼を申し上げます。  本法の施行にあたりましては、当委員会審議の経過にかんがみ、また、当委員会において修正案成 の経韓に照らしまして、御趣旨を体し、万全を期して参る所存でございます。
  110. 本名武

    ○本名委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十分散会