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1963-07-04 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年七月四日(木曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君 理事 二宮 武夫君       大沢 雄一君    金子 岩三君       久保田円次君    田中 榮一君       富田 健次君    山崎  巖君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (行政局行政課         長)      宮澤  弘君         自治事務官         (行政局公務員         課長)     松浦  功君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 七月四日  委員大竹作摩辞任につき、その補欠として田  中榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中榮一辞任につき、その補欠として大  竹作摩君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十四日  公営都市交通企業改善に関する請願島上善五  郎君紹介)(第四四八一号)  消火弾初期消火用器具として検定に関する請  願(福田赳夫紹介)(第四五〇五号)  行政書士法改正に関する請願大上司君紹  介)(第四五〇七号)  同(阪上安太郎紹介)(第四五四八号)  農地等固定資産評価改訂に関する請願足鹿  覺君紹介)(第四六五五号) 四月二十八日  行政書士法改正に関する請願床次徳二君紹  介)(第四八四〇号)  同(高田富與紹介)(第四八九一号)  同(三池信紹介)(第四九七六号) 七月一日  固定資産評価基準改正に関する請願外十件(  安井古吉君紹介)(第五二二〇号)  同外九十三件(安井吉典紹介)(第五二六九  号)  同外十二件(永井勝次郎紹介)(第五七二二  号)  地方議会議員共済制度改正に関する請願田村  元君紹介)(第五二五九号)  水道事業に対する起債償還期限及び据置期間延  長等に関する請願田村元紹介)(第五二六  〇号)  市民税課税方式統一等に関する請願田村元  君紹介)(第五二六一号)  行政書士法改正に関する請願安宅常彦君紹  介)(第五二七〇号)  旧樺太引揚市町村吏員の処遇に関する請願(帆  足計紹介)(第五三六四号)  消火弾初期消火用器具として検定に関する請  願(田中榮一紹介)(第五八二五号) 同月二日  固定資産評価基準改正に関する請願外百件(  永井勝次郎紹介)(第六五一九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二日  農地等固定資産評価改訂に関する陳情書  (第八〇九号)  同  (第八四三号)  暴力対策強化に関する陳情書  (第  八三九号)  激甚(じん)災害に対処するための特別の財政  援助等に関する法律改正等に関する陳情書  (第八四四号)  新設消防本部及び常備部設置費補助等に関する  陳情書  (第八四五号)  地方交付税法の一部改正に伴う公立義務教育諸  学校費減収緩和措置に関する陳情書  (第八五六号)  同  (第一〇一三号)  住居表示整備事業に対する国庫補助増額に関す  る陳情書  (第九四二号)  防災建築街造成組合等の取得する不動産に対  する租税の減免措置に関する陳情書  (第九五五号)  公営企業及び準公営企業起債償還据置期間  延長等に関する陳情書  (  第九五六号)  学校用地買収費に対する起債等法制化に関する  陳情書  (第九五七号)  暴力追放対策強化に関する陳情書  (第一〇一〇号)  地方税法改正に関する陳情書  (第一〇一一号)  地方税法第三八二条第一項の改正に関する陳情  書(第一〇一  二号)  国民健康保険税納期前納付に対する報奨金の  交付制度化に関する陳情書  (第一〇一四号)  辺地債増わくに関する陳情書  (第一〇一六号)  個人市民税所得割額負担平衡化に関する陳  情書(第一〇  一七号)  旅費の事前支給のための地方自治法施行令の改  正に関する陳情書  (第一〇一八号)  消防施設に対する国庫補助金対象拡大等に関  する陳情書(  第一〇一九号)  地方行政事務改善に関する陳情書  (第一〇二一号)  地方公共団体指定統計制度整備改善に関  する陳情書(  第一〇二二号)  自治体病院財政援助に関する陳情書  (第一〇六四号)  冬期間主要市道交通確保に関する陳情書  (第一〇八三  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方公務員共済組合法長期給付に関する施行  法の一部を改正する法律案内閣提出第一三四  号)(参議院送付)  地方自治法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一七一号)      ――――◇―――――
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。二宮武夫君。
  3. 二宮武夫

    二宮委員 この法案は、参議院から回付をされました法案で、参議院でも十分御検討はいただいたものだと考えますけれども、それに関連をいたしまして、昨年十月一日から発足いたしました共済組合のその後の運営の、実態、あるいは特に地方議会等においては、相当にこれに加入をすることを拒んでおる向きもあるのではないかというふうに考えますので、そうした特別職の人の組合の結成の状況、特に市町村議会組合等においてはあまり加入率がよくないのじゃないかというふうにも考えられますので、そういう組合実態加入状況あるいは運営実態等について、一応前もって概略をお聞きしたいと思います。
  4. 松浦功

    松浦説明員 議員共済会についてのお尋ねと存じますが、議員共済会は、御承知のように先般の法律によりまして新しく地方公務員共済組合法の中に統合されておるわけでございまして、その際に強制加入にいたしております。従って、加入状況がいい悪いという問題は法律上の論議としてはあり得ないかと存じます。ただし、ほんのごく一部の人でありますが、法律掛け金を支払わなければならないようになっておるのに掛け金を払うことを拒んでおる者が、全国に何人かいるという話を聞いておりますけれども、これらについても逐次制度の趣旨を説明いたしまして、掛け金を掛けさせるという指導をいたしておるわけでございます。
  5. 二宮武夫

    二宮委員 発足の際に、地方議会議員公務員共済組合法ができましたらその中に入る、こういう一項目附則の中につけまして、それに入ることにしたわけですね。そうなれば法的に強制加入ということになるわけでしょうけれども、その前の実態においては、あるいは八割程度加入をすればその組合は成立をしたものと認めて取り扱うという暫定措置をとったわけなのです。そうしないと実際問題として掛け捨てになるおそれがあるので、あるいは先の短い人は掛けたってしょうがないと言うて入らない。しかし入って、将来ともそれの恩典を受けたいという者も相当数ある。一〇〇%入らなければだめだということにしたのでは、なかなか成立する見込みがないという状態であったわけですけれども、それを今度は附則によって、地方公務員共済組合法案が成立すると同町にその中に加入をするということになりましたために私は強制的に加入するといっても、その間の問題がまだもたついているんじゃないか、こじれているんじゃないかというように考えるのです。というのは、その前の組織であった議員共済会は、実際問題としてあるいは不成立のままであったようなところもあるのじゃないかと思うのです。全員入らないぞという決議をして、入らなかったようなところもあるのじゃないか。その入らなかった者に、今度は地方公務員共済組合法ができたら、附則でもってこれに加入するという一項目を加えて入れることにしたために、その間の理解の浸透度が十分にいっていないのじゃなかろうかと私は考えるわけなのですが、ひとつその辺の状況を、実態をお聞かせいただきたい。相当これは無理なんです。無理な掛け金を掛けておりますし、歳費等金額等から考えまして、実際は無理な状況もあるわけなのですが、強制加入になった後の実態というものを、いま少し詳しくお聞きしておきたいと思います。
  6. 松浦功

    松浦説明員 御承知のように、従前ございました地方議会議員年金制度はただいま御指摘をいただきましたように任意加入制度でございました。したがって、町村等におきましては、八五%程度加入しかなかったというのが現実でございます。前の法律におきまして、附則の四項で新しい地方公務員共済制度ができる際には、その法律に統合するのだという附則がついておりました。それに伴いまして、地方公務員共済組合法議会で御決議をしていただきます際の案の中には、御承知のように一つの章を設けまして、地方議会議員年金制度というかっこうで新しい規定を設けたわけでございます。その中では、従来の任意加入制度強制加入制度に改めております。これにつきましては、各議長会等からもいろいろ意見もございました。むしろ議長会のほうから、強制加入にしてほしいという強い要望もございまして、強制加入にしたわけでございまして、現実の問題といたしましては、先ほども申し上げましたように、全国数人程度の特殊の方が掛け金を掛けることを拒んでおるというのが実態でございます。それ以上にトラブルがあるとは私ども聞いておりません。しかしながら、この問題について議員各位の御要望としては、掛け金を掛けても年金年限に達しないでやめた場合には全然掛け捨てになってしまうから、何らかのかっこうで、掛け捨てにならないように今後考えてくれという要望が強いことは事実でございます。またこの点については、国会議員年金法との関係もございます。それらの問題とからめ合わせて、私どもも技術的に目下検討いたしておる段階でございます。
  7. 二宮武夫

    二宮委員 これはいま申されましたような、相当不満があるわけです。というのは、前が任意加入制度という形であって、今度は共済組合法ができたので強制加入になった。しかも相当に年とった人が初めて議会に出てきて、とても十二年はつとまらない、いわばその間は、強制的に掛け金歳費から差し引かれるだけであって、実際は何の恩典も受けないのだ、こういうことになりますと、前に任意加入の姿で取っておった情勢とは違って、掛け金は強制的に取られるわ、十二年間の年限はつとまりそうにもない、そうするとそれが全部皆さんのために奉仕するだけであって、自分には何ら恩典が、はね返りがないのだ、こういうことになりますと、非常に不満があるわけでございまして、これらは将来相当に財源的な面をどこからか見てやるか、あるいはそれによって掛け金を掛けた人々に対して、何らか掛け捨てにならないような方法を多少なりとも考えてやる。近ごろ農業共済等につきましても、無事故の場合の掛け金を戻してやるような意見というものは相当強いのです。それがなければ、共済も全部組織を破壊してしまうなどという強い意見もありますし、火災保険にしましても近ごろは無事故の場合には返すという方針も、実際問題として民間の組織でもできているような状況でございますから、そういう点については今後研究していただきたいというように考えるわけです。  それからもう一つ問題になりますのは、厚生省が非常にはばんでおるために、実はこの中に入れられずに——地方公務員共済組合法長期短期、そのほかの恩典を受けるけれども、それらと机を並べて仕事をしておりながら、公務員対象にした健康保険事務を取り扱っておる人々については、何も恩典がない。これらは全部置き去りにされてしまっておる。たとえば長崎県等におきましては、地方公務員だけれども、ごみを捨てるために海上に勤務しておる、あるいはし尿を処理するために海上勤務をしておるために、普通の公務員のほうに入らずに船舶関係のほうに入っておるものがある。そうすると、短期給付やそのほかの待遇が、非常にアンバランスになっておるという問題もある。これらの問題は自治省に聞きますと、いや、厚生省がこの問題を何とかしてくれればだいじょうぶいけるのだと言うし、厚生省に聞くと、いや、近ごろ自治省のほうがなかなかやかましいのだ、こう言うし、非常に身分が不安定なために、実際、従来同じような待遇を受けておりながら、共済組合法案ができたために取り残された人々、あるいはごく少ない人数給付をやるために、一人か二人の事故者ができるともうやれなくなってしまう。したがって、大きなグループの中に入らなければ、とうてい共済という一つの本来のねらいは果たされないというような人が、ずいぶん全国で取り残されているわけなんでございます。これは身分上の問題等もあります。その調べも出ておりますが、これらについては、自民党のほうでも、将来何とかこの問題についての解決をしようという約束を、あるグループの人にやっているというような話も聞いているのですけれども、こういうような健康保険組合におるこういう取り残された職員人々全国で、事務職員で百九十六名、医療職員で百六十六名、保養所職員で百五十五名、その他の職員で六十名計五百七十七名というものは取り残されておる。このような問題があるやに承っておるのでございますけれども、こういう問題について今後どのように措置をされるのか、厚生省自治省との交渉は一体どのように展開しておるのか、こういう点についての状況をひとつ承りたいと思います。
  8. 松浦功

    松浦説明員 六団体あるいは国保連合会、こういった地方公共団体事務に実質的に従事するというかっこうをとりながら、公務員でないために年金制度の恩恵を受けないというような者につきましては、先般来厚生省とも折衝をいたしまして、何とか地方自治関係団体共済組合法というようなものを設けて救うことにいたしたいということで、鋭意努力を続けてまいりましたけれども、ついに意見の一致を見ることができませんで、今国会においては処理することができなかったわけでございますが、今後地方公務員共済組合とは別に共済組合制度を設けまして、これらの者を救済していくという方向でなお努力をしたいと考えております。
  9. 二宮武夫

    二宮委員 具体的に申しますと、ただいま数を申し上げました取り残された五百七十七名というもので一つ組合をつくるということになりますと、実際共済という制度から言うと、わずか五百七十七名程度で、数多くの、何十万という組合の人と同じような短期給付とか、医療給付とか、長期給付掛け金そのほかの問題が、こういう少ない人数グループを別につくって、そこで組合をつくるというようなことでは、どこかに相当に財源を求めない限り、ほかの組合員とバランスをとりながらやっていくということは、私は困難だろうと思うのです。
  10. 松浦功

    松浦説明員 五百七十七名という人数がどこから出てまいりましたのか、私どもにはわからないのでございますが、私ども地方自治関係団体共済組合というかっこうで考えているものは、四千名を上回る数字を私どもで把握をいたしておりますので、一つの経理として成り立っていくという前提で検討をいたしております。
  11. 二宮武夫

    二宮委員 四千名にしましても、給付の面で、何十万という多くの組合員と同じような給付をやって、掛け金もそれとあまり差をつけないということでやったのでは、四千名でも私は成り立たぬと思う。一五百七十七名という数がもし違っておれば、——五百七十七という数はあるのですよ。資料はあとから差し上げてもけっこうですが、たとえそれが四千名にしましても、四千名という組合で、一人けがをした人ができるとか、あるいは一人病人ができる、そういう段階になって、一人事故が起こりますと、とても四千名ぐらいで共済制度の目的を達せられるような運営は困難だろうと思う、むずかしいと思うのですが、いずれにしても部数分けにして、これを身分が違うからというので別に書きのけて、別ワクでこれを組織するという場合に、たとえは最大限四千名としましても、四千という組合で、掛け金も同じ、給付も同じという組織運営できますか。
  12. 松浦功

    松浦説明員 私ども考えておりますのは、年金について考えておるわけでございまして、これらの職員についての短期制度は、どの職員にもそれぞれ現行制度のもとにおいて適用になる制度があるわけでございますから、年金についてのみ考えておるわけでございます。したがって、そういう意味から申し上げますなら、過去に恩給組合で、四千人弱のものであっても一般掛金率によって採算をとっておる事例がございますので、何とかやれるんではなかろうかという考え方を持っておるわけでございます。
  13. 太田一夫

    太田委員 ちょっとと関連をして。松浦さん、いまのところ、もうちょっと後学のため、と言っちゃなんですが、あとあとのためになるので、はっきりしておいていただきたいことは、健康保険組合職員であって、いわゆる地方公務員ではありながらも、短期給付を受けておらぬというのがありますね。短期納付健保でやっている、長期給付だけ入っている、こういう完全な地方公務員共済組合組合員でないのがある。そういう者に対してどうするかということ。  それからもう一つは、国保連合会と六団体との関係、これは六団体国保連合会もいまのところは全然範囲外だ、いまのお話でいうと、そういうものは短期給付は何か別にしておいて、長期給付だけやるということにあなたのほうは考えていらっしゃる。その六団体並びに国保連合会職員グループに対してはどうするのか。あなたのほうの考え方が、この次に実現するならその骨子というものを、およそこう考えておるということをおっしゃっていただかないと、話がこんがらがってまずいじゃないですかね。
  14. 松浦功

    松浦説明員 私のほうで考えておりますのは、ただいま太田先生から御発言がございましたように、地方公務員身分を持っておる者で、そして短期給付適用健保によっておる、この者についてはどうこうするという考え方はございません。本来の姿から申しますならば、健保適用を受けないで、短期地方公務員共済組合法適用を受ける方向に統一することが望ましいと考えております。また、その方向でやってほしいということは言っておりますけれども現実適用されておる職員が、健保のほうがいいと言って、かえって、共済組合のほうに移ってこないのが現状でございます。したがって、私ども希望にはなかなか沿っていただけないという状況でございます。これは、私どもこれ以上御指導申し上げるにいたしましても、強制的にどうこうしようというつもりはいまのところございません。そうでなくて、地方公務員身分を持たないで、それでおりながら地方自治関係する仕事に従事しておる、しかも地方公務員と同じような場所に机を並べるようなかっこうにして勤務している者については、地方公務員身分を持たないがゆえに、地方公務員共済組合法の中に直ちに取り込むことは法律上困難だ。しかしこれに類似した制度をつくって差し上げて、退職後においてもある程度安定した生活ができるようにということを考えて、長期給付制度適用してあげるようにしたらどうだろうか、また、してほしいというのが各種団体希望でもあるわけでございます。  そこで、なぜ長期給付だけ考えておるかと申しますと、短期給付は、御承知のように五千人に近い職員全国にばらばらにおるわけでございまして、これを統合して短期給付共済組合制度としてやっていくということは、技術上全く不可能でございます。しかもこれらの方々については、たとえば地方公務員にあらざる健保職員でございましたら、短期は現在すでに健保加入しておるわけでございます。それから小さな事業所でございましたら、政府管掌健保加入しておるわけでございます。それぞれ短期給付については現行法のもとにおいて解決を見ておるというふうに考えていかざるを得まいと考えます。ただこれらの職員につきましては、公務員であらざるがゆえに、長期給付については厚年とかあるいは国民年金とかいう非常に低レベルのものに置かれておって、地方公務員との格差が大きい、そこで地方公務員並み年金制度というものを考えて、その制度の中にこれらの方を取り込んであげて、長期給付地方公務員に準じた程度のものに取り扱ってあげるようにして差し上げたらどうだろうか、こういう考え方であります。
  15. 太田一夫

    太田委員 それはわかりますが、そうすると六団体職員短期給付はどこでやるのですか。六団体職員に関しては、一般地方公務員に準じて、短期長期も一緒に、何か共済制度に包括したらよさそうに思うのですが、六団体もそういうことですか。
  16. 松浦功

    松浦説明員 御承知のように六団体職員は、地方公務員あるいは国家公務員身分を持っておらないわけであります。したがって、共済組合法の中に、かりに六団体職員公務員とみなして適用するということにいたしますと、ほかにいろいろ問題が起きてくるわけであります。これのみの問題で片づく問題ではございません。したがって、これらの方々地方公務員共済組合法のじかの適用を受けるというかっこうにはできないまでも、これに準じた制度適用を受けられるようなかっこうにしてあげるということが、現在の法体系のもとで解決し得る唯一の道じゃないかという考え方でおるわけでございます。その場合に、新しい制度をつくるにいたしましても、いま申し上げましたように、短期については東京にその職員が全部、四千人、五千人おるのでございましたら、これは短期制度もできますけれども、果ては北海道の稚内から鹿児島の先に至るまでに散らばっておる職員に、短期給付制度を実施するということは、事実上技術的に困難だろう、長期給付だけつくってあげて、六団体職員も現在はすでに健保加入しておるわけでございますから、その健保で救ってもらうという以外に道はなかろうというふうに考えております。
  17. 太田一夫

    太田委員 そこで、短期給付の実情ですが、六団体職員加入しておる健保というのは、何か単一のものでございますか。場合によっては国保に入ったり、政府管掌に入ったり、——何に入っておるのですか。
  18. 松浦功

  19. 太田一夫

    太田委員 全部ですか。
  20. 松浦功

    松浦説明員 一部国保加入しておる方もおるようでございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 六団体職員は、ほとんど政府管掌健保に入っておる。したがって、将来はそれでやっていきなさい。長期に関しては新しく別個の関係共済組合法をつくって、それで長期給付はいたしましょう。それから国保連合会は今度は、国保連合会職員国保に入っておるわけですね。短期給付国保給付を受けなさい、長期給付は今度新しくつくるこちらで一括して給付しましょう、こういうことですね。そういうことを本人たち希望しておるとわれわれちょっと思わないのですが、何か厚生省との間にやみ取引でもあったのですか。いままで、国保連合会を一括して共済組合法をつくれという声があがったときに、一番反対したのは厚生省です。厚生省が何か強力な、いわゆる我田引水的な議論でその動きを阻止し、反対したがゆえに、やむを得ず長期給付だけをこちらで救おうということになったのか。この裏が言えないということになれば、表だけしか答えていただけないでしょうけれども、どうですか。
  22. 松浦功

    松浦説明員 この問題につきましては、私ども短期というものをこれだけの人数運営していくということは、技術的に不可能であると考えておるからでございます。各団体における希望も、現実短期は無理だということをよく承知をしておられて、私どもへいろいろお話を持ってこられますのは、長期制度を新たに設けてくれということでございます。また、他の法律のことを引き合いに出すことはいかがかと思いますが、御承知のように、公務員にあらざる共済組合として、農林漁業団体職員共済組合というものがございますが、これも短期給付はやっておりません。長期だけでございます。あとはそれぞれ政府管掌健保あるいは健保国保というかっこうで処理されておりまして、すでにそういう立法例もあるわけでございます。
  23. 太田一夫

    太田委員 そうしますと、あなたの方でまともに彼らの気持ちを考え、現在ある給付状況から考えて、長期給付を統一して与えることのできる共済組合をつくればこれでおさまるということなら、別に異議があるわけじゃないが、先回共済組合法を審議しました場合に、厚生省が反対したのは、実は一番大事な焦点は厚生年金関係だったと思うのです。今度あなたのほうが長期給付に関して新共済組合法をつくるとするならば、その厚生省の厚生年金との関係というのはすっぱりと解決してのことですか。
  24. 松浦功

    松浦説明員 法律でこういう公的年金制度を設けるということになりますれば、厚生年金との二重適用ということはあり得ないわけでございますので、すっぱり縁を切って、厚生年金法適用を受けないで、この法律適用を受けるということにならなければ意味がない。その方向努力をしたいと考えておるわけでございます。
  25. 太田一夫

    太田委員 そうですね。そういうことになれば、厚生省との間に厚生年金の問題は解決して、あと残るそう大きな係争問題はなかろうと思います。おそらく短期給付の問題は、大きなものはなかったと思う。しかし、それならば——ここに長期給付施行法改正をするということでことし出たのだが、この際にそれがどうして出なかったのか。いまこれを出さなくてもよさそうなものです。そこまで話ができておれば、何でゆっくりしておるのか。われわれは附帯決議をつけて、すみやかにということをちょっとと書かぬでしまったから、ゆっくりでよかろうということかもしれませんけれども、六団体並びに国保連合会職員の救済策というものに対して、希望にこたえるための新共済組合法をつくる件について、ちょっとテンポがおそいじゃありませんか。それはどういうことですか。
  26. 松浦功

    松浦説明員 この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、政府提案というかっこう法律の提案をすべく、厚生省と話をいたしましたが、厚生省との一致点は見出せなかった。したがって、政府部内としてはまとまった見解に到達することができなかったので、提案をいたしておらないことが実情でございます。ただ、この点はだいぶ裏の問題になるかと思いますけれども厚生省も、今国会に出なければ来たる通常国会に処理をするというかっこうであれば、もはやこれ以上反対はしないというような気持ちも持っておられるようでございますので、それらの点を私どもといたしましても十分心の中に置きながら、この制度が実現するように今後努力してまいりたいと考えておるのが現在の実情でございます。
  27. 太田一夫

    太田委員 それでは、念のために最後に聞いておきますが、次の国会では、六団体国保連合会職員に対するところの共済制度は、政府提案として提案されるということを、ここでは確認をしておいてもよろしいでありましょうね。内閣がかわったから前の約束はしませんとか、政務次官がかわったとか大臣がかわったから、それは存じませんということにならないということを確認しておきたい。  それからもう一つは、最初のほうで触れましたことですが、現在共済組合のほうの短期給付を拒否しておられるこの健保組合職員に対しては、あなたのほうは、いらっしゃい、いらっしゃいと言っておるけれども、それを向こう様が拒否しているということでありますけれども、いいものなら拒否するはずがないでしょう。比べてみたら共済組合のほうの短期給付が悪いのじゃありませんか。もし比べてみてどこか悪い点があるならば、それを同一条件にするというような含みを持って、いらっしゃいということを言っていらっしゃるのかどうか、この二つを念のために聞いておきます。
  28. 松浦功

    松浦説明員 第一の御質問でございますが、政府提案ということで処理できるかどうか。この点については、私どもの現在の状況においては確約できる状況ではございません。しかし、この制度を成立させることについて努力をするということについては申し上げられると思います。  第二の問題につきましては、これは健康保険組合考え方それ自体にも私は問題があると思っております。御承知のように健康保険組合職員は、現在健康保険適用を受けております。ところが、健康保険のほうが共済組合短期給付よりは給付内容がよいという点も若干ありますほかに、掛け金が非常に低く済むという点から、なかなか共済組合法短期給付のほうに移行しようとなさらないというのが実情であろうと存じます。したがって、私どものほうで健康保険組合のほうからいろいろと陳情がありますのは、長期だけは公務員並みに適用しろ、短期はもとのままに残せという御要望でございまして、私どもとしてはにわかにこういう考え方には賛成しがたい。どっちもいいほうをよこせ、こういうことでございます。それではほかの公務員と比べましてあまり話がうまくなり過ぎるということから、私どもはまだその点については疑問に思っております。
  29. 太田一夫

    太田委員 大臣、何かそのことについて……。
  30. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 政府提案をしないというのも言い過ぎであろうと私は考えますが、そのときの状況によって、準備ができればしたらいいじゃないか。ただ私が確約できることは、先ほど、大臣がかわったりあるいは政務次官がかわったことによって方針が変わらないかという御質問に対しては、それは変わらないということだけはお答えいたします。
  31. 二宮武夫

    二宮委員 一つだけ最後に聞いておきますが、昨年の共済組合長期給付法律がきまりまして後の掛け金運営の状態ですね、公務員の掛けました四分五厘の掛け金運営について、何か——三十七年度決算はまだ出てないかと思いますけれども、大体の方向はわかりますか。一つの例でもいいですよ。道府県の職員の連合体の掛け金運営、どれだけ集まって、どの方向にどれだけ使われて、どれくらい長期給付に回って、残りがどのように使われておるか、こういうような一つの例でもいいです。それで大かたの方向はわかるのですが、それはわかりますか。期限を一五月一日出納閉鎖の前まで、出納閉鎖で切らなくて、その前まででもいいです。三月末でもいいが、一応期限を切って、どのくらいの人数で、どれくらい集まって、どういうものに使われているか。
  32. 松浦功

    松浦説明員 ただいま御指摘のございましたように、出納閉鎖は五月三十一言になっております。ただいまそれを報告を求めて、集計をいたしておる段階なので、十二月以降四カ月分の積み立て金の状況というものは、私どもも、いま集計中でございますので、そうつまびらかになっておりません。次の機会に……。
  33. 永田亮一

    永田委員長 門司亮君。
  34. 門司亮

    ○門司委員 私は、もう大体同僚から私の聞きたいと思うことはほぼ聞かれておりますから、くどくは申し上げませんが、いまお話しになりました中にちょっとぐあいの悪い点がありはしないかと考えられるのは、六団体職員組合員国保関係との問題が、数字が少し違うように思います。全部ひっくるめて四千五百九十七という数字が出てくる。ところが答弁のほうは、何か四千五百九十七名というのが除外されておるように、いま聞える。私の持っておる数字はそうなっておる。ところがいまのお話では、六団体のほうは公務員身分でないということになれば、この数字の中に入らぬということですね。これは、身分公務員でない者を入れるわけにはなかなかいかないと思う。  それからその他の問題として、国保団体連合会の二千五百七十六人、水害予防組合の八十五人、消防基金の十四人、都市健康保険組合の固有の職員五百七十七人、こういう数字が出ておるわけでありますが、これは一緒にこの長期給付を受けられるようなことがもしできるならば、身分をこのままにしておいてできるという考え方ですか、四千幾らでやれるという解釈は。
  35. 松浦功

    松浦説明員 ただいま御指摘をいただきました六団体職員——団体のみならず、国保連合会も、水害予防組合も、全部公務員身分を持っておりません。地方公務員身分を持っておる者は、およそどういう性格のものであれ、ほんとうの臨時的な職員以外は全部地方公務員共済組合法に吸収されておるわけであります。したがって、ただいま門司先生から御指摘がございましたような職員は、一切非公務員でございます。したがって、これらの者を一括して取り扱うという考え方は、農林漁業共済組合法、これらとの対比の上からも、思想的にも成り立ち得るというふうに考えておるわけでございます。
  36. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますのは、これらの諸君が非公務員になっておるということは現実の姿ですが、これを地方公務員にするということはどこに支障があるのですか。これはやり方だと私は思うのです。たとえば、今度新しく法律ができております例の地方開発事業団の職員身分というものは、出向になっておりますね。これらの団体の諸君も、出向にすれば事が足りるのじゃないかというようなことが私は考えられるのです。だから身分上の問題はそうむずかしい問題じゃない。そういう点をある程度自治省からアドバイスされれば、これはそうむずかしいことにはならないのじゃないですか。
  37. 松浦功

    松浦説明員 国保連合会等につきましては、これは法律で設けられておるものでございますので、国民健康保険法の改正をしなければどうにもならない。水害予防組合につきましても同じでございますし、消防基金についても同じでございます。そういう関係がございまして、簡単に公務員身分を取得させるという方法は、法律改正をいたさなければならないという点でむずかしい点がございます。  六団体職員につきましても、これはもともと六団体職員として雇用されておるわけでございまして、もちろん出向というかっこうでおやりいただくことが、法律的にできるかできないかという問題になりますと、いろいろ問題はあるかと思いますけれども、やはりこれらの者にはっきり公務員という身分を持たせるためには、何らかやはり法律的な措置をすることのほうがよりベターだろうと思いますが、これらの方々公務員になることを希望しておらないという意向が、六団体等については特に強いようでございます。そういう点を考え合わせまして、われわれといたしましては、こういう方法で救済することが一番適当ではなかろうかということを考えておるわけでございます。
  38. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、六団体の諸君は希望しておらないから、別に無理にこれに入れようという意思はいま自治省としてはないのだ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。  それからもう一つは、法律改正をしなければできないということになりますと、この問題は自治省の手から離れて、厚生省なり、水防その他は建設省だと思いますが、おのおの所管の省に移る、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  39. 松浦功

    松浦説明員 六団体職員については、向こうが希望しておらないことも事実でございますが、たてまえといたしましても、私どもはこういった仕事に携わっておる方々を、直ちに公務員にしてしまうということについて、制度的にもまだ検討する余地があるということを考えておりますがゆえに、こういう制度で救済したいと考えておるわけでございます。  それから国保連合会、水害予防組合、こういったものは、多少法律改正いたさなければなりません。そういう点において、直ちに公務員化することは非常に困難であるというふうに考えておるわけでございます。
  40. 門司亮

    ○門司委員 自治省の所管であるかないかということです。もし自治省の研管でできない、ほかの所管でなければ法律改正が困難だということになりますれば、厚生省なり建設省の諸君にここに来ていただいて、やはりわれわれの意思を伝えなければならない。このままこの法律を通すわけにはいかない。その点は長い間の懸案です。この前の問題の附帯決議関係もありますし、いろいろ懸案になっておる事項です。われわれが主張しておるのは、これを解決するのに、幸いこういう法律ができておるから、できるだけ解決方向に持っていきたいということです。いまのお話で、この法律改正が困難だというなら、やはり各省の諸君に来ていただいて、各省がどう考えておるか聞いて、できないものはできないものとして、やれるものはやはりできるだけすみやかにやるようにしなければ、この法律を通すのにちょっとやっかいです。どういうことなんですか、ほんとうにできるのかできないのか。努力をされるのか。されないのか。さっきのお話を聞いておると、この国会ではしょうがないから、この次の国会まで待ってくれというお話もあるわけですが、事実上そうだとすればそれでもよろしいのだ。われわれの要求しておるのは、いつまでたっても何が何だかわからない、自治省の所管でないものはここで幾ら議論してもしょうがない、議論するところで議論し、また要請するところに要請しなければならぬ。どうなんですか、どうやってこの問題は解決するつもりなんですか。
  41. 松浦功

    松浦説明員 先ほど来申し上げておりますように、それらの職員をもって組織する地方公務員共済組合とは別な共済組合をつくって救済したいということでございます。
  42. 門司亮

    ○門司委員 その具体案はできておりますか。それからこれらの諸君と了解はできておりますか。ただ自治省の気持ちだけではいつまでたっても実現しないのだ。
  43. 松浦功

    松浦説明員 六団体国保連合会、こういう団体とはすでに何回も話し合っておりまして、基本方針については了解をいたしてもらっておるつもりでおります。
  44. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、これは自治省の所管として別に組合をこしらえられるのですか。厚生省の所管になるのか、どこの所管になるのですか。
  45. 松浦功

    松浦説明員 この制度の所管は、あくまで自治省であると考えます。
  46. 門司亮

    ○門司委員 問題は、そういうところにあろうかと私は思うのです。またそういうものをこしらえるにしても、どこが所管かで争いが起こっては困る。六団体は全部集めても千三百人くらいしかいないでしょう。それから国保のほうは連合会だけで二千人をこえておる。都市健康保険組合が六百人、あとの水害予防はごくわずかで、消防関係は十四、五人しかいない。非常に少ないのです。そうすると、やはり一番大きいのは厚生省関係になるのじゃないですか。それを結局、自治省の所管でやれるというように見通しをつけてよろしゅうございますか。
  47. 松浦功

    松浦説明員 これは私どもは数が多い少ないという問題では考えておりません。制度自体を、地方自活関係団体職員共済組合、こういうように考えております。厚生省も、こういう制度自治省がつくるからおかしいので、厚生省に持ってくるなら賛成だというつもりは、現在のところ私どもはないと思っております。
  48. 門司亮

    ○門司委員 それで、いつごろできますか。
  49. 松浦功

    松浦説明員 来たる通常国会を目途に考えたいと思っております。
  50. 二宮武夫

    二宮委員 いま資料が出ておらないという——初年度でございますから、わすかの短い期間でございますけれども長期給付掛け金の使用方法というものには非常に大きな関心を私は持っておるわけです。これは法成立の場合にも、特にこの運営に対する会議の構成員、それから掛け金の使用等につきましても重大な関心があったわけですけれども、できるだけ早い機会に、まず初年度の掛け金の使用方法、それから連合会会議運営状況——構成員はもうきまったと思うのですが、それらについて一ぺん資料を委員長を通してお出しを願いたい。できましたら早い機会にお出しを願いたい。
  51. 永田亮一

    永田委員長 他に質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  52. 永田亮一

    永田委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  54. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  56. 永田亮一

    永田委員長 地方自治法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。太田一夫科。
  57. 太田一夫

    太田委員 地方自治法等の一部改正案について、若干質問をいたしたいと思います。  最初に、せっかく東京都二十三区の持つべき行政事務を、市町村並みに拡大強化しようとする御立法をなさいましたが、ただ、残念ながら、その中に事務に制約がありまして、不完全委譲ないしは一般の市と少々格差のあるような、一般市ではやっているが、特別区ではやらせないというような事務の選択があるように考えられるのでありますが、どうして一般市と同じように、全部これを委譲することができなかったのか、この点についてお尋ねをいたします。
  58. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 太田委員の御質問は、今回の事務委譲に伴いまして、都から区に大幅に事務がおりているけれども、なお一般の市と事務処理の権能なり何なりにおいて違う。その理由は何であるか、こういう御質問であります。申し上げるまでもなく、現在の特別区は、沿革から申しましても、御承知のように各特別区が各個ばらばらに生々発展をいたしましたものではございません。東京市として、沿革的に一体として発展してまいったものでございます。また、現在の区の社会的、経済的な実態から申しましても、通常の市町村と異なる実態を持っているわけでございます。したがいまして、そのような沿革的な理由、あるいは現在の社会、経済的な実態、そういう点から申しますと、なるべく多くの事務を区の段階におろしまして処理をさせることに配意はいたしましたものの、基本的にはそれらの理由によりまして一般の市と異なる性格を持っておる、したがいまして一般の市と異なる取り扱いをすることが適当である、こういうふうに考えまして、御提案を申し上げましたような事務の配分をいたしたわけでございます。
  59. 太田一夫

    太田委員 一般の市と特別区と名前は確かに違っておりますけれども、性格を異にしなければならない理由は、自治省においてはどういう理由、どこに基づいておるのか。なぜ特別区だけを、ほんとうに行政的にも特別扱いをして、いわゆる準禁治産者のごとき扱いをしなければならないのか、それはどういうわけですか。
  60. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 ただいま申し上げましたけれども、大都市行政についてどういう態度をもって臨むか、これは立法政策と申しますか、についていろいろ議論があろうと思うのでございますが、御承知のように行政区という制度もございます。一方において自治区という制度もございます。おのずから大都市行政に対処いたしますいろいろな制度があるわけでございます。御質問の点から申しましても、先ほどるる申し上げましたように、特別区というものが、おのおの独立をしてほかの市町村と同じような存在の実態を持っているわけではございませんで、沿革から申しましても、現在の社会、経済の実態から申しましても特別区の存する区域が一体的なものとして把握をする必要のあるものが少なくございませんので、そういう面を考慮いたしますと、通常の市町村とおのずから異なる取り扱いをするのが妥当である、こういうことになろうかと思うのでございます。
  61. 太田一夫

    太田委員 一般の市と、東京都のおい立ちから考えて、別扱いするとおっしゃるならば、その前提のもとにお尋ねをいたします。  しからば、財源的にやはり特別区と一般の市町村とは全然違う、たとえば固定資産税というのは区の財源になっておらない、こういう点はどこから出ておるのでございましょう。
  62. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 財源は、申し上げるまでもなく処理をいたします事務に見合った分量の財源を与えることによりまして、事務処理の裏づけをいたす、これが通常でございますが、ただいま申し上げましたように、特別区自身、通常の市町村の処理をいたします事務量に比べまして制限を受けているわけでございます。したがいまして、それに見合う財源措置をいたすということが妥当であろうと思うのでございます。  なお、御参考までに申し上げたいと思うのでございますが、現行法におきましては、都の区に対する財源措置、特に区の税収に関しましては、都が条例によりまして都に属しております課税権というものを区に委譲をいたす、こういうたてまえをとっておるのでございますが、今回相当大幅に事務委譲をいたしましたので、そういうたてまえを改めまして地方税法の規定で特別区自身が課税をし得るこういうたてまえにいたしたのでございます。
  63. 太田一夫

    太田委員 いわゆる一般でいえば市民税でございますね、それから固定資産税というこの二つの財源は、地方自治団体、市町村にとりましては実に重要な財源なんです。今度の場合特別区民税というものに対しては、これは委譲されておりますから、必ずしもそれに異議があるわけじゃありませんが、固定資産税というものは全部都がとるべきものだという思想に、事務を委譲するといっても、その委譲のしかたの考え方——ちょこっと事務を委譲しておるから、財源は少しばかりでよろしい、委譲する事務の分量に見合う財源を付与したのだとおっしゃるが、固定資産税を都に取り上げておるということは、少なくとも今度の事務委譲については、ほんのわずか、申しわけ程度のものだということをみずから証明することになりはしないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  64. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 ちょっと私の御説明が足りなかったかと思うのでございますが、これは申し上げるまでもなく、現在の特別区の実態が区の間で非常に異なっておりまして、したがいまして、いかなる税源をどう与えるかによりまして税源に非常に偏在を生ずるわけでございます。現行法におきましても、特別区の事務処理、特別区相互間の均一化をはかりますために、東京の特別区に関しましては、都において一種の財政の平衡交付金的な制度を設けているわけでございますが、これはその税源の偏在というものに対処する制度であるわけでございます。今回におきまして事務委譲いたしましても、なおその各特別区間におきます区政の実態というものから申しまして、財源が非常に偏在をいたしましたならば、これをどうしても特別区相互間において調整をしなければならないというふうに考えるわけでございます。その制度は、現行法においても同様でございます。そうして固定資産税は都において徴収をいたしまして、それを特別区相互間の凹凸を調整いたします調整財源として使おう、こういうふうに考えて制度を立案いたしております。したがいまして、固定資産税を特別区の税として与えるという制度はとらなかったわけでございます。
  65. 太田一夫

    太田委員 たとえば学校、道路あるいは区画整理というようなものも区の仕事になるということであるならば、その財源というものは、あなたのほうが固定資産税というものを付与しないでおいて、その他の財源の中でさらに相互間の凹凸を自主調整させる。——これは他主調整ですね。これは都において調整するのでしょうが、そういう制度をおつくりになるということは、少なくとも二十三区、特別区というものを、完全な自治体として発展をさせようとする意図が実は出ておらないのではないか、何か当面のごまかしだけではないのであろうか、私はこんな気がする。今あなたがお互いに各区の財政需要と税収との関係はバランスがとれておらないから、したがって特別の基準財政需要額、基準財政収入額というような制度をつくって、そしてそれは都が調整するのだからとおっしゃったけれども、そのこと自身が、弟が持っている金を兄貴が取り上げ、姉が持っている金を妹が取り上げるというようなことであって、特別に何の妙味もありませんね。一般の市町村なら、県が市町村同士の間で、君のところの市はちょっと財政収入がいいから乙の村の方に回せとは言わない。ところが、東京都はそれを言うのでしょう。そういう特別の扱いをしなければならない理由はどこで出てくるのだろうか。学校も道路も区画整理も、大事な仕事は区にやらせようという思想がある以上、もうちょっと特別区というものの立場を、地方の市と同じような、完全な、とまではいかないにしても、完全に近い形にするという意欲がどこかになければならない。ただ特別だ特別だということで一ちょこっと仕事を渡しておいて、財源のほうは、したがってそれに見合うようにするということじゃ、二十三区の自治というものは成長しないではありませんか。どうですか。
  66. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 おことばを返すようでございますが、やはり現在の特別区の発展の実態というものは、相互に非常に相違をいたしておりまして、ただいま御指摘のように、弟のものを姉が取る、こういうことをおっしゃいましたけれども、きょうだい仲よく配分をさせる、これがやはり特別区の地域全般を通じて平均的に発展をさせるゆえんであろうと思います。
  67. 太田一夫

    太田委員 それは課長、姉のものを妹がいただき、弟が収入がいいから兄貴がそれをちょっとよこせというのも純風美俗かもしれません。荒木さんならそれを非常に将励されるだろうと思いますけれども、今日の日本の国の憲法では、お互いの独立した人格があってしかるべきなんで、二十三区に完全な純自治体という人格を与えないところに問題があると思う。  そこで私は、区長公選問題をなぜこの際ここでお出しにならなかったのか、区長公選のことにどうして論及されなかったか、またそれが実現しなかったか、改正案として盛られなかったかという点を非常に不審に思うのですが、区長公選問題に対する御見解をちょっと承っておきたい。
  68. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 区長の公選の問題でございますが、先ほどもちょっと申しましたように、大都市におきますこういう区の執行機関の長をどういうふうに選任をするかということにつきましては、いろいろ議論があるだろうと思うのでございます。一方におきましては、ただいま太田委員御指摘のように、区長公選にいたしまして、いわば完全自治体と申しますか、名実ともにそういう形を整える、そういう議論があろうと思うのでございます。他方におきましては、現在の大阪なら大阪市の行政区のように、自治区でなくしてほんとうの行政区にしてしまう。したがいまして、行政区の長を公選するという考え方を捨て去るわけでございますが、そのように相対立する二つの考え方があろうと思うのでございます。その辺、どういうふうに調整をいたすかということが問題であろうと思うのでございまして、おそらく区長公選ということになりますれば、民意を十分に反映し得る、これはそのとおりだろうと思うのでございますが、他方、大都市としての一体的な発展という観点からはいろいろ議論があろうと思うのでございます。  それから行政区ということになりますれば、これはそういう事務処理の面におきましては一体性は確保できるわけでございますけれども事務の処理にあたっての民意の反映という点において欠ける点があろうと思うのでございます。この辺いろいろ御議論の存するところであろうと思うのでございますが、この点につきましては、これも御承知のように昨年の地方制度調査会でもいろいろ議論が戦わされたわけでございますけれども、地方制度調査会におきましても、今回は事務配分を行ないまして、この区長の選任の問題につきましてはなお今後検討を続ける必要がある、こういう答申をいたしているわけでございます。政府といたしましても、現段階におきましては現在のような区長の選任の制度、すなわち区の議会が選任権を持っておりますけれども、都知事の同意を得て選任をするという方法、これは一方におきましては区民の意思というものに基づきながら、同時に都全般の意思をもそれによって反映せしめるという中間的な方法でございますけれども、当面やはりこの方法に従っての制度で適当であろう。なお今後この問題は検討を要する問題ではございますけれども、そういうふうに考えている次第でございます。
  69. 太田一夫

    太田委員 あなたがこの方法で妥当であろうとおっしゃるとちょっと問題が出てくるのであるが、区長公選は少なくとも今日は、天下の世論であるし、この区長公選問題に対してすっぱりと割り切った態度を示されない限り、いささかこの御提案というのは拙速主義の弊を免れないと思うのです。私は、いまあなたが区長公選というのはいわゆる必然であるような気もするけれども、いま直ちにこれを法文化するというところに若干の準備が欠けていたから、すみやかに区長公選のための何かをするとおっしゃるなら、そういう段階が、先に展望があるというならこれを審議しても、これはなるほどと思う。まず一段上がったのだ。だけれども任命制が妥当だとおっしゃると、これは出発点であって終点なんです。出発点で終点だということになると、われわれの考えておる理想とは、はるかにあなたたちの考えは違う。そうなりますと、これは非常に問題があるような気がするのですよ。区長公選の問題について、そう軽々しい結論は出さるべきじゃない。東知事自身が区長公選であるべきだ、任命する都知事みずからが区長公選が正しいと天下に向かっておっしゃっている。このこともわれわれは考えておかなければならない、と思いますと、いまあなたのおっしゃった区長公選についてはいろいろ意見があるかしらないけれども、これをもって妥当とする、それで十分民意は反映されていろとあなたが断定されると、これは問題が起きるような気がするのですが、どうですか。任命制がいいのですか。
  70. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 断定を申し上げたわけではないわけでございます。先ほども申し上げましたように、地方制度調査会におきましてもいろいろ議論がございまして、地方制度調査会自身におきましても、公選が適当である、あるいは任命制が適当であるという結論が出ないままに、なお今後もこの問題については検討を続けることを答申に入れておるわけでございます。私のことばが、足らなかったかと思うのでありますが、政府といたしましても、現在の制度が唯一最上のものである、こういうように考えておるわけではもちろんございません。この問題につきましては、なお今後検討を続ける問題である、こういうように思っております。
  71. 太田一夫

    太田委員 最後に、あなたのほうの気持ちをもう一つだけ伺っておきたい。  それはいまの区長公選制度でない区長任命制度というのが地方都民、それぞれの地区都民の要望にこたえておるかおらないかという問題でありますが、たとえば江東ゼロメートル地帯というところにはしばしば水害が出ておる。この水書に対しまして、都民が何と言っているか。こんな川よりも低いところに住んでいるわれわれに対して、都は何をやってくれているかということを言っておる。もし区長が、都民の真剣な気持ちというものに直接つながっている制度であるならば、あのような地帯に対してもっと抜本的な制度が立てられるべきだ。ところがちょっと豪雨が降ると、すぐに店の中に水が入る。ちょっとどこかが故障すると、濁流が町の中にはんらんをする。いわゆる災害に対する当面の対策さえ立てられておらない。こんなものが区民というものに直結をして、区長がそれぞれの区の行政をやっていると言えるか。現在の制度においては、二軍マルをつけるというようなことはできないと思う。もっと区長が区民というものに顔を向けて、——背を向けるのじゃない、顔を向ける。そうして一番真剣に考えている命の問題に対して、われわれはもっとしっかりしなければならぬということを江東の各区長が真剣に考えるようにならなければ、任命制というのは弊害が多過ぎて利点はないと思う。だから、すみやかに結論を出さなければならぬ。ところがいまの例ですが、江東におけるしばしば出る水害に対して、都民が黙っているから改善をされないのか。都民の声というのは区長に通じておるのかおらないのか、おるとするならばどうして区長がそれに対して熱意を示しておらないのか、対策が立てられないのか。区長公選というのは、私は地方のローカルのそれぞれの要望というものを、もっと真剣に取り上げる機関がなくてはならないということを申し上げるのであって、任命制だから全部都に責任が転嫁される、区というものが責任を負わない。江東ゼロメートル地帯の水禍というのはそこにあるのではないかと思う。区長公選制でないところに原因があるのではないかと思うのでございますが、あなたはどう考えていらっしゃるか。
  72. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 ただいま江東区の例をおあげになりました具体的な事情はもちろん承知をいたしておりませんけれども、江東の区長も、ただいま太田委員の御指摘のような問題には、非常に熱心に努力をしておるであろうと思います。任命制とおっしゃいましたけれども、任命権者自身は、申し上げる主でもたく区議会でございます。区民の意思を反映をしております区議会が任命権者でございますので、任命をされました区長自身が都のほうを向いて、区のほうを向いておらぬということには必ずしもならない。区長もやはり区議会で選任をされております以上は、区民の意思を受けて行政をやっておると思うのでございます。しかし、ただいま太田委員御指摘のような事例、私どもも貴重な御意見として拝聴をしておきたいと思っております。
  73. 太田一夫

    太田委員 終わります。
  74. 永田亮一

    永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会      ————◇—————