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1963-06-20 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十日(木曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 大上  司君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君       岡田 修一君    宇野 宗佑君       浦野 幸男君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    藏内 修治君       富田 健治君    藤本 捨助君       古川 丈吉君    前田 義雄君       山崎  巖君    門司  亮君  出席政府委員         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (大臣官房長) 大村 襄治君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房参事         官)      長野 士郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 六月二十日  委員大沢雄一君、大竹作摩君、久保田円次君、  田川誠一君及び三池信辞任につき、その補欠  として古川丈吉君、浦野幸男君、藤本捨助君、  岡田修一君及び藏内修治君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員岡田修一君、浦野幸男君、藏内修治君、藤  本捨助君及び古川丈吉辞任につき、その補欠  として田川誠一君、大竹作摩君、三池信君、久  保田円次君及び大沢雄一君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 六月十七日  行政書士法改正に関する請願太田一夫君紹  介)(第四二七八号)  同(濱地文平紹介)(第四二七九号)  同(宇野宗佑紹介)(第四四〇八号)  同(久保田円次紹介)(第四四一五号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第四四一六号)  同(富田健治紹介)(第四四四二号)  道路交通法全面改正等に関する請願外十四件  (岡本隆一紹介)(第四二八〇号)  消火弾初期消火用器具として検定に関する請  願(高橋英吉紹介)(第四三七九号)  たばこの吸いがらによる火災防止に関する請願  (大野市郎紹介)(第四三九四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方行政連絡会議法案内閣提出第  一六四号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    ○永田委員長 これより会議を開きます。  この際申し上げます。社会党委員の方々には、当委員会審査に御協力くださるよう御出席をお願いいたしたのでありますが、御出席がありません。したがいまして、やむを得ず社会党委員欠席のまま開会いたした次第であります。  地方行政連絡会議法案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 最初に、審議をできるだけ早くすることのために、各条文との関係を申し上げておきたいと思いますが、最初に御質問申し上げたいと思いますのは、この法案目的、第一条でございます。この法案性格と同時に具体的な目的が、この条文だけでは私は十分にわからない。同時に、大臣説明を聞いてみましても、その点が了解するところまでいかないのであります。したがってこの際、この法律性格と、さらに具体的な目的と、同時にいかなる効果をもたらすかということが一番大きな問題だろうと私は考えておるが、目的だけではその効果の面がはっきりいたしませんので、ひとつその点を具体的にお示しが願いたいと思います。
  4. 藤田義光

    藤田政府委員 きょうは篠田大臣がやむを得ない用事のために委員会出席ができませんので、私がかわって答弁を申し上げますが、いまの門司委員の御質問に対しまして、もちろん自治省全体の立場から御答弁を申し上げたいと思います。  まず、この法律性格でございますが、この法律はもちろん組織法一つでございます。地方行政連絡会議は、議決をするあるいは執行するという固有の権限は持っておりません。これが私はこの法律性格ではないかと思うのであります。  次に、この法律の具体的な目的はどこにあるかという御質問でございますが、この法律目的は、府県の区域を越えて広域的に問題の処理を必要とする行政、たとえば二府県以上にまたがる地域開発計画の策定、実施広域的見地から計画される道路その他の交通条件の整備、雇用、流通、災害対策、その他についてこれらが府県間なり府県と国の地方行政機関との間に調和のとれた形で推進されるように、関係者協議をいたし、それによって広域行政の円滑な実施を促進するというところにこの法律目的を置いているわけであります。連絡会議は、法律に基づく制度として運営されておりますし、会議構成員会議における決定事項を尊重することとなっている第五条の規定もありますので、その効果が十分にあがると私たちは考えておる次第でございます。
  5. 門司亮

    門司委員 いまの説明でありますが、第五条の問題は、後ほどもう少し詳しく聞きたいと思うのでありますが、いまのお話のように、第五条に尊重するとあるから、それでよろしいのだというようなお話でございますが、およそ法律ができて、その法の運営が行なわれるにあたって、実質的に権限のないものでは、私は法律効果は事実上あらわれてこない、やはり法律である限りにおいては、その法律効果をあらわすことのためには、十分な責任といいますか、仕事をするだけの義務づけたものがどこにかないと、ただ単に集まって協議をするだけだということになると、なかなかうまくいかないのじゃないか。そのことはなぜかといいますと、各自治体における財政力、あるいは諸般の状況が違うわけであります。その違う連中が集まって相談をするのですから、結局おざなりに終わりはしないか、真剣味が欠けてきやしないか。そうすると悪口を言えば、ただ単に地方のこれらの諸君が集まって宴会をするとは私は申し上げません、そこまでは言わなくてもよろしいと思いますが、何か役員が集まって協議をするだけ、そしてそれでお茶を濁していくというような機構になりがちではないかという懸念が多分にあるのであります。したがって、そういう懸念ほんとうにないとすれば、もう少しはっきりしたものにして、ここで協議し決定したことは実施に移すことのできるようにする必要がありはしないか。組織法だと言われておりますが、組織法であればあるほどそういうものが考えられる。そういうところにどうもいまの一条だけでは私には納得がいかない。したがって、時間もそう長くかける必要もないかと思いますので、率直に聞いておきますが、この法案の内容を見てみますときわめて抽象的であって、ずさんであって、一体何を目的としているのかわからぬ。目的がわからぬから、効果も実は私にはわからぬ。私が目的がわからぬと言っておりますのは、一条に「広域的運営の確保に資することを目的とする。」と、こう書いておってそしてその次の組織都道府県あるいは指定都市というような規定をして、それから第三条に「第一条の目的を達成するため、地方における広域にわたる行政計画及び実施について必要な連絡及び協議を行なう。」と、こう書いてある。そして四条になって、ずっといろいろこの協議に参加をすることのできるものが規定されておる。  この中で私ははっきりひとつ聞いておきたいと思いますことは、管区行政監察局と同時に管区警察局というものがこの中に書いてある。しかしこれは一体どういう形でこの中に入れたのか、その点はどう考えても私には一向わからぬのでありますが、一体どういう意味でこういうものが入れられておるのか。その点をもう少し明確にしていただきたいと思います。と申しますのは、警察行政の中で、地方広域行政に直接関係のあるものというものがたくさんあります。ありますが、しかし管区警察のやる仕事というものは、警察法に定められておるはずである。したがって、管区警察の行なう行政事務というものは、警察行政から見た一つの行為であって、これが直ちに地方自治体のこうした広域行政の中に加えられてよろしいかどうかということは問題がある。ただその中で一つ、例の新しく入れてまいりました全国的な道路に対する問題等に対して、警察管区が行なうという項目一つ入っておる。その他の項目警察官募集であるとか、あるいは警察官教養であるとかいうことが管区仕事になっておる。これは一体自治体仕事と大して関係ないはずである。しいて関係があるといえば、第五条かどこかに新しく入れた条項で書いておるはずであります。警察法の中に新しく入れたことに一つ問題がひっかかればひっかかる。その程度であって、ほとんど警察管区を入れたということについては、行政の面では意味がないのではないかということが考えられる。同時に管区行政監察局等についても、これも主として政府仕事であって、そしてこれは地方自治体連絡をしなければならないような仕事とは違うのではないかという気がする。どうして一体こういう権力的のものがこの中に加わっておるかということ、との法律目的が、第一条に書かれておりますような、地域の総合的な連絡がうまくいって、そしていろいろな仕事をするのに円滑な処理のできるようにするというなら、事業自体というものを私は中心にすべきではないか。こういう取り締まり関係のものをこの中に含めるということはどうかと考える。だからこの点に対してもう少し明確に私は聞いておきたいと思います。  したがって、同じような形をかりに入れるとするならば、海上保安庁というような港湾との密接な関係を持っておる、ことに海の警察としてのいろいろな形を持っておるものを、どうして一体この中に入れられなかったか。あるいは厚生省がいまやっておる麻薬取り締まりというようなものが、どうしてこの中に入れられなかったかということであります。局の形からいっても、やはり全国八つあるものであってこういうものが入っておらぬ。その次に入れておかなければ困るであろうと考えられる問題は、施設庁の問題である。施設庁問題等につきましても、御承知のようにこれは八つあるが、しかし地域的にはないところがあります。たとえば四国のようなところには基地がほとんどありません。いまは自衛隊だけしかいないはずでありますからないかもしれません、しかし管区別に見れば、東京にあって横浜にあるというようなことで、どこか片寄っておる。しかし八つある。そしてこの行政地方自治体に最も密接な関係を持っておる。ことにこのことのために知事会の中には基地関係知事さんの集まりのような団体もすでにできておる。こういう問題が一体どうしてこの中に取り入れられなかったか。もう少し私は行政実態に即したことが、こういう法律をこしらえるなら当然そこに入れらるべきではないかというように考えるが、その点については一体どうお考えになっておるか、一応聞いておきたいと思います。
  6. 大村襄治

    大村政府委員 お答え申し上げます。管区警察局につきましては御指摘のとおり権限が限定されているわけでありますが、広域行政の観点からしますと、交通問題等につきましてやはり警察行政との関係がかなりございますが、一々の都道府県警察に入っていただくということも関係の数が多過ぎますので、一応やはり管区警察局に入っていただくことが至当であるというように考えたわけであります。  次に、麻薬関係海上保安庁関係あるいは防衛施設庁関係につきましては、御指摘のような問題がございまして御趣旨は私どもごもっともだというふうに考えておりますので、第四条第一項十一号の政令の指定の際に、誠意をもって検討さしていただきたいというように考えておる次第であります。
  7. 門司亮

    門司委員 法律はみんなこういう逃げ道が実はあるわけであります。逃げ道があるから、そこに入れると言えば入れられ、また考えると言えば幾らでも考えられる。しかし私は、ものの見方に非常に大きな問題があると思う。なるほど警察法の五条の五号か何かに入れてあると思いますが、広域行政というか全国的な交通取り締まりがある。しかし、これは警察だけの処置であって、これに府県が——なるほど府県警察と今日言っておるから、あるいは府県が入ることもいいかもしれない。しかし、これはひとつの大きな警察行政の中の問題であって、これは警察だけで片づく問題じゃないか。何もこれをことさらに行政連絡会議の中に入れなくていいのじゃないか。あとの問題は、あなたのほうの中に書いてあるものを全部総合してみても大した問題じゃない。さっき申し上げましたような人員の募集だとか教養だとかいうようなものは、どっちでもいい。これは何も連絡会議できめなければならぬほどの問題じゃなかろうと思う。その辺に、この法律のきわめてずさんだと言えばずさんな考え方が出てくるわけであります。  それからもう一つの問題は、各局の数字を調べてみて、一番最後に書かれてある別表との比較をずっとしてまいりますと、四条に掲げられておるものとダブるものもあれば足りないものもあるし、くっつくものも出てくる。こういうことで一体この運営の上によろしいのか。問題は、大体九つに分けられておりますが、管区別に言うと八つ行政監察局があり、管区警察七つある。財務局は十、地方農政局七つ、営林局は十四、通商産業局八つ陸運局九つ海運局は十、地方建設局は北海道を含むと書いてありますがこれも八つある。こういうふうにずっと考えてみますと、こういう割り方組織をいたしますと足りないものとダブるものが出てくる。そしてある地域には除外され、ある地域にはダブって入って、そこに局長さんが二人おいでになるというようなものが出てくる。こういうもので一体よろしいかどうかということです。こういうところに何が何だかわからないものがあると思う。こういう問題についてはどういうように調整されようとするのです。そこには必要がないから入れなくてよろしいというお考えか、あるいは二つあるのだから、二人の局長に来てもらって相談するというお考えなのか。そうなってまいりますと、この会の運営というものが実におざなりのものになってしまって、あるブロックにはみんな出られて話し合いができる、あるブロックには一つの局が出てこないというようなものができたのでは、この法の目的は達せられない。——達せられるかもしれないが、非常に困難になってくるというように考えるのですが、その辺の調整はどうされるおつもりですか。
  8. 大村襄治

    大村政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のありました国の出先機関各局の数でございますが、御指摘のように少ない場合にはたとえば地方農政局のように七つの場合もございます。ところが多い場合には、財務局あたりは十という場合もあるわけであります。そこで一応この法律別表九つ地域区分を設けておるわけでありますが、各省行政目的によりまして、ただいま申し上げましたように出先機関地域区分が非常にまちまちでございますので、一応別表によります区分を設けました場合には、一つ局長さんで二つの連絡会議に出ていただかなければならぬ場合が生じます。と同時に、一つ連絡会議に同じ目的出先機関が出て、多い場合には二人、場合によっては三人の局長さんに出席を願わなければいかぬという場合が、まれな場合として出てくるととも予想されるわけでありますが、各省区分現状のように分かれております以上は、ある程度はやむを得ない。運用といたしましては必ず関係局長さんに出てきていただく、そういう考えで立案したものでございます。
  9. 門司亮

    門司委員 それから、もう一つ非常に大事なことを聞いておきたいのです。この法律をこしらえるにあたって、私は現状ほんとう考えられているかどうかという疑問があるのであります。今日の地方自治体というものは、こういう姿では動いておりません。九つ地区に分けるなんという、聖徳太子時代畿内八道なんという形のものをいまだに踏襲しているところに、非常に大きな時代と離れたものができはしないか。もうすでに、大阪なら大阪中心とする府県合併はどうすればよろしいかという問題が議論されている。今日、産業の中で最も私どもが将来への発展を注目しなければならぬものは、瀬戸内海中心とする産業開発です。この場合は四国中国と分かれておる。一体瀬戸内海はどうするおつもりですか。ほんとう地方自治体をこういう形で開発してあげようというなら、こういう実態に即したブロック考えたらどうか。古い昔の伝統でお考えになっておるのは誤まりではないか。これははっきり言えば、旧陸軍管区と同じなんです。昔の陸軍はこういう形をとっていた。こういう考え方が、きわめて時代離れしたもののような気がする。四国中国というものは、産業というものを中心にすれば、さっき申し上げましたように瀬戸内海中心として、ここをどう開発するかということが大きな問題にならなければならない。同時に、水の問題はやはりこれに関係してくるのである。こういう地方自治体が今日動きつつある実態と離れたようなものの見方ブロックをこしらえられることについては、少し研究が足りないのじゃないか。ほんとうにおやりになるなら、もう少し考える必要がありはしないか。  それからいま四つの開発公団というものができておる。こういうものとの関連一体どこでお考えになっておるか。これは地方開発の非常に大きな問題であります。たとえば九州開発であるとか東北開発であるとかというようなものが現在四つあるはずであります。そのほか近畿開発が今度の国会でできようとしておる。そういうものとの関連性はどこで結びつけようとするのか。こういう法案を出されるには、そういう実態に沿ったものがどうしても必要である。ただ自治省自治省としてのたてまえから、行政事務だけのことを考えておやりになるなら、あるいはこれでよろしいかもしれない。しかし地方行政はそういうように動いてはおりません。今日の地方広域行政を要求しておるものはこういう姿のものとは違うのである。現実とは違うのである。この点がちっとも考慮されておらぬ。この点のかみ合わせといいますか、融合性一体どこでおとりになろうとしておるのか、一つの例を言えば開発公団との関係はどこでおとりになろうとしておられるのか、その点をお伺いしたい。
  10. 大村襄治

    大村政府委員 地域区分を設けました根本の考え方につきましては、すでにお答え申し上げておりますが、なお重ねて申し上げますると、広域的な地域社会としての社会通念上最も一般的であると認められる点をとったわけでありまして、別に自治省だけが、独自なものを独断的に取り上げたというようには考えておらないのでございまして、前にも申し上げましたように、全国総合開発計画における地域区分というものも、この別表区分と全く同じものを用いておるわけでございます。また自然発出的にできております知事会でありますとか、あるいは市長会でありますとか、そういったもののブロック区分も、おおむねこういった方向をとっているわけでございまして、そういった意味で私ども社会通念上も現在認められるあれではないかというように考えておる次第でございます。  なお、地域開発公団との関係でございますが、公団につきましては、この法律案の第四条第一項の第十二号に、公共企業体等、その他の機関の長に委嘱する道ができておりますので、そういった点におきましても運営上考慮してまいりたいと思っております。
  11. 門司亮

    門司委員 きわめて機械的な答弁であって、法律にはそう書いてあるのですよ。書いてあるけれども、そうは動きそうもないから私は聞いている。そういう御答弁であるとするなら、私はもう少し突っ込んでいきたいと思いますが、さっき申し上げましたが、一体この法律は、ほんとう地方開発をしようというものの考え方の上に立っているとすれば、私はもう少し実態に沿わなければならぬと思う。たとえば関東の問題の中に長野が入っているでしょう。いま現実に動いておる問題の中に、一体そこまで入れられるかどうか。この問題については、まず前提として考えなければならないのは、府県の廃止あるいは府県の統合というようなものが将来考えられる、または考えられつつある、そういう問題をどういうふうに解決をしていくかということが非常に重大問題である。ところがいまのような御答弁だけで、それぞれと連絡をするんだからいいんだということになると、この法律は何らの指導性がない。私は、少なくとも自治省は、地方自治体のことを考えてこういう法律案をおこしらえになるなら、そこに指導性を持ってもらいたい。どこに指導性があるのですか。さっき一例を申し上げましたが、たとえば四国中国を開発しようとするならば、少なくとも瀬戸内海を忘れた考え方では、あの辺のほんとう工業開発は成り立たぬのであります。同時にまた開発自体についても、太平洋沿岸日本海沿岸とのものの考え方をどうするかというような問題等についても、自治省が、ほんとうにこの法律が完全に地方自治体のために指導性を持つ一つ機関だとするなら、もう少し考える必要がありはしなかろうか。単なる事務連絡なら屋上屋を重ねるようなもので、私はたいした効果がないと思う。実態に沿わない。将来地方自治体が発展しようとして考えておられることに沿わない。事務連絡だけなら何にもならない。単に法律ができたからしかたがないからやろうというだけで、実態効果がない。私は、この法律案はおそらくそうなるだろうと思います。話し合ったことを実施する義務も何もないのであって、力もないものでありますから、それでもいいかもしれない。しかしそれでは地方自治体のためにはならない。地方自治体のためになるものなら、この法律はもう少し指導性を持った自治省としての法律でなければならぬというように考えるわけであります。  さらにその次に聞いておきたいと思いますことは、そういたしますと連絡会議決定事項というのは、一体地方自治体及びその関係各省計画とどちらが優先して考えられるかということです。これは各省おのおの考え方を持っているだろうと思います。しかしその、ものの考え方を持っているのが連絡会議にかけられる、話が出てきて、そしてそれが地域的におのおの違う。Aの地区では各省考えておるいろいろの仕事についてよろしいという、Bの地区ではそれはちょっと困る、もう少し先にしてもらいたいというような意見が必ず出てこなければならぬと思う。そういう場合に一体どっちが優先するか、自治体のものの考え方が優先するのか、この協議会できめたほうが優先するのか。これはさっきのお話のように、ただ協議するだけで何にも決定権がないといえばそれまでですよ。しかし、少なくとも集まって協議するからには、それを実現化し具現化することのためにはどこかにけじめをつけておかなければならぬ。でありますから、地方自治体関係が優先するのか、各省のものが優先するのか、この会議が優先するのか、どこが一体優先するのか、それをひとつこの機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  12. 藤田義光

    藤田政府委員 地方公共団体や国の出先機関並びに各省がそれぞれ計画を持っておりますので、その計画をもとにして連絡協議をするわけでございます。したがいまして、この連絡会議協議がまとまったならば、協議の結果を尊重するという法律に基づきまして、当然既往計画等は修正するという結果になろうかと思っております。優先するかどうかということよりも、既往計画に対する修正というような結果が出てくることを当然われわれは予想しておるわけでございます。
  13. 門司亮

    門司委員 そうなってくると、この法律はとてつもない法律になる。実態に沿わない。さっきから申し上げておりますような角度からいえば、実態に必ずしも沿っておらない。地域で話があって、そうしてこれを尊重することのために地方計画を変えるということになると、自治権一体どうなるのです。これで国は自治権を統制しようというのですか。そんな大それたものの考え方だから、——とてつもない法律ですよ、これは。私は少なくとも地方自治体計画しておる仕事を、円滑にすることのために協議をしていく、したがって、地方自治体計画が推し進められることのために、便利のために、こういうものがあって、ひとつ進めていこうということなら話はわかる。ところが、ここで協議したやつが、地方自治体計画を修正しなければならぬということになりますと、地方自治体の自主権はどこに認められるのですか。まるきり旧内務省とちっとも違わないものがこういうものを通じてできてしまう。これはとてつもない問題であって、もう少し考えを直してもらわぬと、この法律がもしそういうお考えなら、私どもは審議にもう少し時間をかけていただいて、実態の調査をする必要がどうしても出てくると思う。ほんとうにそうなんですか。そとまで自治体を束縛するのですか。
  14. 藤田義光

    藤田政府委員 いろいろ御質問でございますが、われわれとしましては、この連絡会議体というものは、まず自治体の首長たる都道府県知事議長にいたしております。それからまた、いま御指摘のような瀬戸内海沿岸振興というような問題におきましては、別表の備考にありますとおり、一府県が複数の行政連絡会議にも参加する道を開いております。なるべく現実に即した運営に持っていきたいということを考えておりますが、門司委員が先ほど御発言のとおり、実は立案の段階におきまして、広域行政の現在行なわれておる運営と、このブロック制というものが相当激しい論議検討の対象になったわけでございます。結果としましては、いまいろいろ御批判を受けたわけでございます。したがいまして、私たちはこういうものが基盤にできました以上は、全力をあげてひとつ所期の目的を達したい、こういうことを考えているわけでございます。  ただ、いま私の発言で、自治体出先機関計画を持ち寄って、連絡協議して、協議がまとまりましたならば修正するというようなことになって、その結果も尊重しなくてはならぬだろうということになりますと、中央の力が強くなるのじゃないかという懸念を持たれるわけでございますが、当然各所属の地方公共団体の長は、議決機関にはかりまして、その結果を確認するわけでございまして、いろいろな機会にその自治権が多少でも侵害されるというようなことは、チェックするという機会はあろうかと存じておりますが、御批判のような点も、十分私たちは政令の作成にあたりましては注意いたしましてやってまいりたいと考えております。
  15. 門司亮

    門司委員 一応の御答弁ですけれども、私は重ねて聞いておきたいと思います。そうすると、この協議会はどういう形のものを持ち寄るかということであります。具体的に言って、都道府県が何かの仕事をしようとする、策定をしようとする事前にこの協議会にかけて、そしてみんなこうやるというからこういうふうにしようじゃないかということになるのか、あるいはきめたもので、おれのほうではこういうものを考えておる、わしのほうではこういうことをやろうと考えておる、この調整をどうするかということを持ち込まれるのか、一体どっちが先かということ、これが自治権に非常に大きな関係があると私は思う。ここで協議したものが必ず行なわれる、尊重するということになりますと、一体策定権はどっちが重要視されるのか。県議会が重要なのか、この会議が重要なのか。県議会できめてもこの会議で話がまとまらなかったら、その場合には、当然私は県議会の議決が、その当該府県においては優先しなければならぬと考えておる。そうすると、お互いの話し合いがそこからこわれてくる。ところが、ここできめたものは県議会が承認しなければならないということになると、これまた県議会の機能というものは全くなくなってしまう。この調整というものをどこでするつもりなんですか。私はいまの答弁のようなきゅうくつなものではないと考えておる。その程度のものでなければ非常に大きな問題を残すと考えておる。その点はどうなんです。一体どっちが優先して考えられるのですか。会議の進め方ですよ。これはかなり大きな影響を持つ。藤田次官も御承知だと思うから、私はこれ以上言いませんけれども、県の議員と理事者というものの考え方は違うのでありまして、これが理事者の一つの隠れみのになったり何かするようなことがあってはならないと私は思う。議会はこう進めたいと思っておるのだが、連絡会議でこうきまっておるから、まげて承認してもらいたいというようなことで、県民の意思がまげられてはいけない。この会議の中には、県民の意思というものは、ただ知事が入るだけで、県議会の意思はほとんどどこにも取り上げられておらない。ただ官制のものであって、そういう人たちだけが集まっておる。住民の意思の反映がちっともなされていないところに私はそういう疑念が出てくる。そこの点をどういうふうに調整されようというのですか。
  16. 藤田義光

    藤田政府委員 問題の軽車、大小にもよろうかと思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、広域行政、すなわち二府県以上にまたがる問題としましてわれわれが考えておりますことは、たとえば地方の開発計画あるいは大きな道路交通体系の整備、河川の改修、水資源の利用、農業の近代化、雇用対策あるいは災害対策、こういうものを考えております。これらの二府県にまたがるような大きい問題に関しましては、まず関係県でそれぞれ都道府県議会と相談をし、計画が立ちましたものを持ち込む、あるいは計画を立てる段階において、その計画がうまく軌道にのるために、国の出先機関と事前に連絡協議をするということもあろうかと存じまして、その点は十分、自治体の首長たる都道府県知事運営によって都道府県議会の議決権を侵害するというような事態が起こらないように、配慮してまいりたいと考えております。
  17. 門司亮

    門司委員 そこで、具体的なことですけれども、もう一つ聞いておきたいと思う。構成メンバーですが、この条文を読んでみますと、議会の人、議長さんは入らないのでしょう。私は、それでそういうことを聞くのです。議会の意思というものはちっとも反映しておらぬ。住民の意思はちっとも反映しておらぬ。だとすると、これが力を持たれては困るのです。少なくとも、こういうものをこしらえようとするには、今日の社会でありますと、昔の知事さんとは違います。天皇の政治ではなく、住民の政治なのですから、住民の意思決定機関というものは、ある程度尊重されるたてまえをどこかに立てておかないと、いま言いましたように、どこか上できめてきたのでは、理事者だけに都合のいいようにきめるにきまっておる。地方自治体の問題は、いかなる場合でも決定する権限は議会が持っておる、住民が持っておる。その住民の意思というものは全然この会議の中に入れないで、ただ集まって協議するというのでは単なる連絡機関であって、ちょうど昔戦争のときにこれと同じようなものがあったのです。九州探題があり、四国探題がおって、各地方知事さんをみな集めて、これと同じような形をやっていたことが戦争中にあるのです。それと同じようなものをまたこしらえようとするのですか。住民の意思がちっとも反映しないで、頭だけが集まって相談するのだから、それと同じものになりはしませんか。そうすると、住民の意思を束縛したり、否認するようなことにどうしてもならざるを得ないと私は思う。そういう配慮がこの法律には欠けておるのではありませんか。一体どうなのですか。
  18. 藤田義光

    藤田政府委員 戦争中の各地区探題は、御存じのとおり戦争遂行という、目的が根本的に違っておりました。先ほど来門司委員が再三御指摘になりましたように、この連絡会議によりましては現実に即した広域自治の面が非常に多くなってまいりましたので、これをなるべく角立てずに、国の出先機関自治体が、円満裏に連絡協議しよう、そのために決定権や執行権を与えないというようなことになったわけでございまして、親睦団体と申しては語弊がありますが、この会議によって国の出先機関自治体というものが、非常に和気あいあい裏に、地方自治を広域的に執行する雰囲気をつくる、こういうことをこの連絡会議でわれわれは期待しておるわけでございます。
  19. 門司亮

    門司委員 そうすると、今の御答弁と九条との関連性ですが、そこにまた問題が出てくるのです。御承知のように九条には自治大臣並びに関係大臣に報告する、こう書いてあるのですね。この九条をこういう条文で入れたということと、今までお聞きしたところの答弁と、ずっとかね合わせて考えてみると、出てくる答えというものは、結局各省あるいは各庁で、地方に行なおうとすることについて協議をした、そしてその協議はこういう形になったということの報告をせざるを得ないから報告をする。その場合に私の聞いておきたいと思いますことは、その省の持っておる計画は変更されることがあるかないか、それができるのかできないのか。ただ遂行だけのための、こういう計画をしようとした、との県はこういう協力をしてくれる、この省はこういうふうに理解をしてくれた、だからこういうふうに遂行するのだという、単なるそれだけの連絡会議かどうか。九条との関係をもう少し突っ込んで聞いておきたい。
  20. 藤田義光

    藤田政府委員 法文上は、そういう拘束力も何もないわけでございます。この連絡会議を積み重ねているうちに、報告を受けた関係各省におきましては、連絡会議の意思を尊重して、修正せざるを得ない方向にいくであろうことを私たちは期待しておるわけでございまして、法文上に直接拘束力は与えておらないわけでございます。
  21. 門司亮

    門司委員 私は法文に直接の拘束はないから聞いておる。単なるそういう協議だけで済むのかということ。要するに、一つの事業を行なおうとする場合に、話し合ったから、それが非常にスムーズにいくのだ、障害がなくなるのだということだけなら、私はそれだけでよろしいと思います。しかしいまのお話のような、その変更をするということになると、実にまたやっかいなことになって、会議を幾ら、何回やっても協議がまとまらぬことがありはしないかというふうに考えられます。  この点を議論しているとかなり長くなるが、基本の問題だから私は聞いておきたい。そうするとこの会議はどう考えても議決機関に対して拘束力を持つはずがないし、持ってはならないと考える。そうすると一つのものの見方としてはいま申し上げましたような単におのおのの省庁が行なおうとする事業を円滑に行なうために連絡をするんだということ、そうしてお互いに了解を得て協力のできるものはお互いに協力していこうという範囲のものだというように解釈することが、この法律のたてまえからいけばよろしいのじゃないか、あたりさわりがないのじゃないかと私には考えられる。しかしそうなってまいりますと、この会議はちょうど戦争中の翼賛会みたいな形になって、ほんとうの議決権は向こうさまにある、きめるだけきめてみたけれども実施にあたっては地方自治体の意見が優先するということにならざるを得ない。戦争中の翼賛会が、議会はろくなことをしないから、おれたちでやろうといばってみたって、予算をきめたりするのは議会でなければきまらなかった。実施は少なくとも議会の協賛がなければきまらなかった。この話し合いでどんなことをきめたところで、実施をしようとすればおのおのの省庁、おのおのの議会の議決を経なければ実施はできない。だから単にいま申し上げましたようなことだけで一体よろしいのかどうかということです。そういうふうに解釈しておいていいかどうか。一体どっちなんです、前段に申しましたように単なる連絡会議だけだ、そしてそういう事業をスムーズに行なうためだけのものだと解釈しておいてこれは差しつかえないのですか。
  22. 藤田義光

    藤田政府委員 御存じのとおり、地方自治がまことに複雑広域化してまいりましたこの現実に即応しましては、いま門司委員の言われたとおりのことで私はいいんではないか、そういう雰囲気をつくる過程において、順次広域行政というものが軌道に乗っていくととを期待しているわけでございます。
  23. 門司亮

    門司委員 いまの答弁では何かわからぬでが、わからぬのはわからぬなりにして先に聞いておきたいと思いますが、そうすると具体的に言うとどっちなんです、議会に提案する前の素案みたいなものを一応ここにかけて知事さんの便利のためにするということが一つ私はあろうかと思います。必ずそういうものが出てくると思います。こういう仕事をするについて隣の県も賛成してくれた、この県もこういうふうに考えておりますから本県もこういう議案を出すということに必ずなると思う。そういうことは、広域行政のたてまえからくる一つ現実だと私は思う。  それからもう一つの問題はそれとうらはらの問題ですが、ここできめられたからひとつこういうふうに県議会できめてもらいたいということが出てくる。一つは素案をこしらえるために会議に議題に供されることがある。一つはその場合にきまったものを押しつける可能性も出てくる。二つの問題でどっちが弊害があるか。前者であれば弊害はないが、後者であれば必ず大きな弊害が出てきて、さっき言ったように自治権をかなり大きく侵害する危険性を持ってくる。地方議会というものはそういうことでは非常に乏しいし、議会がやかましいことを言っても、いや隣の県でこうやっているから本県もこれに従って、その次の県もこういうふうに考えておりますから、道路はこういうふうにつけたほうがよろしいと考えます、——その当該府県の、実態に即さないということばはどうかと思いますが、事業自体に対する緩急度がこういうことで誤られてはならない。総合的に考えればそういうことが必要であるかもしれない、また必要であると考えられる。しかし現実の場合において当該府県で、そっちよりこっちを先にやってもらいたいというときに、緩急度というものは違いが出てくる。重要度の差も出てくる。それを一律に、広域行政だからということで、こういう各協議会で話し合ったからこれでやるんだというようなことで府県に押しつけられてくると、これは府県行政を混乱させる一つの動機になりはせぬかということもこの場合やはり考えなければならぬ。それは老婆心だと言われればそれまででありますが、実際の運用ではそういうことが必ず出てくると思う。各県ともみんな緩急度あるいは重要度が同じならいいんですけれども、私は違うと思うんですよ。そういう場合にどこでこれが調整をされるのか、もう一度御答弁を願っておきたいと思います。
  24. 藤田義光

    藤田政府委員 いま御指摘の二つの場合におきましては、前者の場合がほとんど圧倒的だろうと思いますが、あとで御指摘されたような場合もあろうかと存じます。ただ、今日公選されました都道府県知事というものが、もし地域住民の意思に沿わないような連絡協議事項を県議会に押しつけるというようなことになれば、これが否決された場合におきましては、知事の不信任という結果になるわけでございます。その点は、私は公選される知事の良識というものを期待してよろしいのではないかと考えておりますし、また連絡会議運営にあたりましても、いま御指摘懸念のあるような連絡協議の結果が出ないことを、私たち自治省としましては特に指導の面で注意してまいりたいと考えております。第四条の第二項に「会議に、議長及び副議長を置く。」第三項に「議長は、会議において定める都道府県知事をもつて充て、」という表現を使う場合におきましても、相当反対もありましたが、あえて自治体の首長たる都道府県知事議長としてその会議を主宰していただくという気持らも、そういうところで強く私たちは反映をさせたいと考えておるわけでございます。
  25. 門司亮

    門司委員 いまの答弁は、私はあまり聞きたくなかったのです。だから困るんですよ。こういうものの長は、知事にするかどうかと議論になるほど役所というやつは官僚的なんです。官僚のたてまえからいってごらんなさい、知事にするか、一体だれがそれを握るかというようなことに議論の余地はないんですよ、実際は。これは議論すべき筋合いじゃないんです。知事さんの間で、どの県の知事さんがこれを主宰されるかということは、あるいは多少問題になるかもしれません。しかし局長とかなんとかいうのは出先の長ですよ、これは住民の代表でもなければ何でもない。こんな住民の代表でもない各府庁の出先の長が、地方開発地方住民の福祉のために地方行政連絡会議をするときに、おれが議長になろうなんて考えている者がいるとすれば、これはとてつもない人間です。一体何のためにそういう議論がされたかということを、内幕の話を聞いて驚くのでありますが、ことほどさように官僚というのは強いんですよ。だからこれが官僚に牛耳られる組織になって、さっき申し上げましたように地元の住民の意思決定機関である議会が何にも関与しないということになると、とんでもないものをこしらえやしないか。ちょうど昔と同じような、戦争目的とは違うというけれども、それは目的は違うに違いないが、同じような形で、いたずらに官僚が寄り集まってただ協議をするだけであって、結果的には何もやらない、こういうことで、どうもいまの答弁なんというのは聞き捨てならぬ答弁であって、そうだとすれば各省の役人をみんな呼んでもらって了解をしておいていただかないと、知事よりおれのほうが偉いと考えている局長さんがもしおるとすれば、とんでもない間違いだ。総理大臣だって地方知事に命令するわけにいかぬでしょう。その地方自治体行政事務連絡していこうという形の中で、知事議長はけしからぬなんというようなことを言う人がおいでになれば、これは委員会を一日か二日延ばしてもらって、各省局長さんでもみんな呼んでもらって、少し法案の趣旨をわれわれの立場から説明を申し上げて了解をしておいていただかぬと、えらいことになっちゃうと思うんですよ。そういうことをいまここですぐといっても時間もなかろうと思いますが、時間があれば私は委員長にそういうことを頼みたいのです。そのくらいやっておかぬと、地方知事なんというのはいいかげんなもので、おれのほうが役人だから偉いんだという考え方で牛耳られたらかなわぬです。私はむしろ知事さんが、広域行政を行なっていくに必要なために、役所の諸君の意見を開くということなら話はわかるんです。また役所のほうも、自分たちの仕事をやっていこうとするのに、地方自治体の了解を得るのだということなら話はわかるのです。どっちが主体かというと、やはり何といっても地方行政が主体であることに間違いがない。もしそうでないとするなら、これは時代と非常に大きくかけ離れた考え方だと私は思う。  それから、その次に聞いておきたいと思いますことは、いま自治省考えております問題の一つの中に、この間議決いたしました例の地方自治体の中の、特別地方公共団体として認めた事業団があります。これらの問題の関係はどうなりますか。あの法律もいろいろな理屈はくっついておったようでありますが、これも単なる地域開発ということでなくして、ことによっては府県にまたがらざるを得ないものが私はたくさんあろうと思う。そういうものとの連絡はどこで調整をつけますか。これは事業団だから府県あるいは市町村の管轄の中に入っているのだから、相談しなくてもよろしいというお考えなら、私はそれでもよろしいと思う。
  26. 大村襄治

    大村政府委員 お答え申し上げます。  先般の地方自治法の改正によります地方開発事業団は、すでに御説明申し上げましたとおり、地方開発の事業を、地方公共団体がその責任に基づいて計画実施する仕組みといたしまして、新たに設けられたものであります。これに対しまして、地方行政連絡会議は、それ自身行政の執行を担当するのではなく、協議のための組織でございますので、性格を異にするものでございますが、地方開発事業団の行ないます事業の計画実施ということは、御指摘のように府県にまたがる場合も考えられるわけでございまして、そういった場合の二府県以上にまたがる計画として連絡会議の議題になるということもあり得るかと存じます。  なお、先ほど政務次官がお答え申し上げました際に、議長の点について各省から意見があったかのような御発言がございましたが、私ども事務段階で折衝した段階におきましては、この議長の点につきましては、別に各省のほうから意見が生じたということはなかったわけでございまして、前に御説明申し上げましたように、意見の調整規定等につきましては、かなり意見があったことをつけ加えさせていただきたいと思います。
  27. 門司亮

    門司委員 長くお尋ねはいたしませんが、その次に聞いておきたいと思いますことは、さっきから申し上げておりますように、この法律の中には地方住民の意思を反映する場所が一つもない。したがって、御答弁のございましたように、また私から申し上げましたような、いろいろな素案をこしらえる一つの材料になったり、あるいは施行する場合の事務をスムーズにやるという問題が当然協議されてくる。その場合に、住民の意思が全くこの中に反映しないということは、実はどうかと思う。知事さんといっても、なるほど知事さんは住民の意思であるといえばいえるかもしれません。しかし今日の組織の中ではっきりしておりますように、少なくとも知事さんは行政執行の責任を持たれておる人である。やはり住民の意思決定機関としては、議会であることに間違いはない。そうだとすると、その間の連絡を私はもう少しこの中につけておかないと、さっき申し上げましたようなことが問題になりはしないかというようなことがどうしても私は考えられる。いろいろな取りきめの具体的な問題については、必ず相談されると思いますよ。この協議会でこういう問題が出たが、これを当県に実施する場合には、どうすればいいだろうということは、県内でも相談されることは事実だろうと思う。運営にあたってはそういうことが必ず行なわれるとは思いますが、しかし、少なくとも協議の中に、議会の代表をどうして入れなかったかということについてのお考えをもう一度明らかにしていただきたいと思います。
  28. 大村襄治

    大村政府委員 お答え申し上げます。  この会議は、第一条の目的にありますとおり、地方公共団体が、国の地方行政機関連絡協調を保ちながら、地方自治の広域的運営の確保に資することを目的としておりますので、組織主体といたしましては、第二条にありますように、都道府県及び指定都市組織メンバーとしているわけであります。その場合の地方代表といたしましては、知事なり市長が構成者となるというように考えておるわけでありますが、なお、御指摘のような点もございますので、第四条の第一項第十二号におきまして、「関係のある地方公共団体機関の連合組織の代表者で連絡会議において委嘱するもの」ということで、地域議長の連合組織というものが設けられました場合におきましては、その代表者にも参加を願うということも考慮しております。
  29. 門司亮

    門司委員 実はそういうことがわからぬのですよ。十二号なんかは、ほんとうにじっくり議論してもよいが、こういう法律の書き方自体変なところがある。これでは何が何だかわからぬのですよ。だから、議決機関がこの中に入っていない。十二号を読んでみなさい。「関係のある公共企業体」、こう書いてあるでしょう。これは公共企業体その他これに類するものであって、地方の議会は公共企業体じゃないのです。これは議会なんです。住民の意思決定機関なんです。それからその次に、それと同じようなことが書いてある。「長又は関係のある地方公共団体機関の連合組織の代表者で連絡会議において委嘱するもの」と書いてある。おのおのの地方自治体は独立しておる。議会の連合体なんかありはしません。議会の連合体ができますか。できないでしょう。自治体自治体の間におけるいろいろの連絡協調するための組合はできるのですよ。事務を処理する組合はできる。しかし、神奈川県の議会と東京都の都会議員が一緒になって連合体をこしらえようということは困難です。そんなことはできやしない。十二号にいっておるのは、そういう団体を指しておる。施行団体実施団体であるから、したがって、計画あるいは計画されたものがスムーズに行なわれるために必要だということは一応考えられるのです。私はそのための十二号だと言っておる。私の言っておるのは、議会、住民の意思決定機関といもうのを全然無視したものだから聞いておるのです。これをどうして入れなかったかということを聞いておる。
  30. 大村襄治

    大村政府委員 お答え申し上げます。  第十二号の前段の「公共企業体等」とは、具体的に申し上げますと、住宅公団でありますとか、道路公団でありますとかの、地方に置かれております組織の長を考えておるわけであります。後段のほうは、「地方公共団体機関の連合組織の代表者」ということでございますので、たとえば、府県議長につきましては全国組織がございます。全国議長会というのがございます。それの地方別の組織が設けられている。別に執行機関というふうに限定しておりませんので、そういう意味のものは当然入ってくるというふうに考えております。
  31. 門司亮

    門司委員 そういう答弁じゃ困るんです。長なんというものは一つの役職であって、機関とは違う。議長機関と見る人がありますか。運営機関であることには間違いないが、自治体を代表して、それが連合体をこしらえるということは、どう考えても——こういう条文を書かれたのは、さっきいったような団体があり、一部事務組合のようなものもありますし、地方にはいろいろな機関があるのです。そして、それらの機関仕事をしていることに間違いがないのです。だからそういう自治体としての、事業体としての協議にあずかることは当然考えられる。その道をここにあけることは、実際はよろしいと思うのです。ところが当該議会の意思というものが全然入っておらない。もしあなた方の言われることを、私はそのまま承認するとしても、それなら一体ないところはどうするかということなのです。議長連絡会議というものは、議長の職責を行なうことのための会議であって、実際はこれは事業に関係してないのです。議長会がこうきめたから、この議会にこういうものを提案するというようなことは、ないことはないかもしれません。あるいはあるかもしれません。話の中に出てくるかもしれない。それが素材になることがあるかもしれません。しかし正式の機関としてそういうものが取り上げられてくるということになると、これは実際えらいことになると思います。自治体自体からもう少し考え直さないと、私はとんでもないものをこしらえてしまうと思う。  私は、なぜ一体そういうことを聞くかといいますと、さっきお話を申し上げましたように、単なるきめられたことをいかにスムーズに実施するかというだけの話し合いなら、これでも私はよろしいかと考える。しかし、この会議で出たものが一つの形にあらわれてきて、次の自治体の議案の素案のようなものがここで相談されるということになると、これはやはりある程度地方の議会の意見というものを入れておいてもらわぬと、押しつけがましいことに必ずなってくる。これは連絡会議でこうきめたんだからぜひこうやってもらいたいということになると、さっき言いましたような事業の緩急度であるとか、重要度であるとかいうようなものは忘れられて、そしてこれがぐんぐん力を持ってくるというようなことがあってはならない、そういう意味で私は聞いておるのであって、もし素案というようなものは何もこしらえないんだ、きまったものをどういうふうに運営するのだ、それだけだというなら、それはそれでもよろしい、それなら何も議決権を入れなくても、議決機関が議決しておるのですから、その議決した事項がスムーズにいけばそれでよろしい、それでも私はけっこうだと思う。しかし少なくとも私はそれだけでは済まされないと思います。何かそこに素案みたいなものをこしらえるということになると、どうしてもやはり議会の意見というものがある程度入れられる道をあけておいてもいいじゃないか。そういうものを入れると、それがさらに地方の議会を拘束する危険性があるから、これはだめだというなら、またそれでもよろしいですよ。そういうお考えならそれでもよろしい。考え方ですから、私はいろいろ違うと思う。だけれども、この中には入れられないですか。
  32. 大村襄治

    大村政府委員 この会議運営ということでございますが、先ほど政務次官がお答え申し上げましたとおり、すでにきまった計画実施面ということにつきましても、この会議運営によって従来よりも広域行政実施にかなり寄与する面が大きい、こういうふうに考えておるのでございますが、御指摘のように計画の新たな決定でありますとか、あるいは修正を伴うような問題も議題になり得るわけでございまして、そういったものの運営につきましては、知事なり市長がかってにきめて持って帰って押しつけるというような運営をなすべきでないということは、御指摘のとおりであるというふうに考えております。  ただ、そういった場合を予期して、議長構成員に入っていることで足りるかどうかという点につきましては、御指摘のような問題がございますので、必要があれば先ほど申し上げました十二号の規定の活用によっていくことも可能でございますが、考え方といたしましてはそういう議会の権限関係のある重要事項を協議会に出す前に、やはり議会側と十分相談してから出席をして出してもらう、こういう運営を行なうべきであるというふうに考える次第でございます。
  33. 門司亮

    門司委員 どうもその辺、私は了解できないのですが、それで押し問答もどうかと考えます。もしほんとうにいまの御答弁のようなことで、議会で議決されて執行する場合に、ここの相談にかけたら、それはどうも困るから、こういうふうにしてもらいたいという意見があって、その議決が修正されるというようなことになると、この会議は非常に大きな力を持ってきて、ある意味においては地方議会を拘束する形をとってくるのですよ。そうだとすれば、これはなかなか許しがたい、とんでもないものになる。今日の地方自治体が、憲法で規定されておる自治体見方というものは、そういう見方をしてはならないと私は思う。もし変える必要があっても、そこにはやはりその議決機関の代表というものが入れられて、しかもおそらく議決機関の代表が相談を受ければ、これは一ぺん議会にはかってみましょう、全員協議会を開いてみましょうということにならざるを得ないと思うのです。その道をあけておくべきではないか、あけておかないと、必ず押しつけだということになりはしないか。そうしてさらに協議会考えてこうしてもらいたいということになったが、当該議会にかけたら否決された、その場合それは知事の不信任に相当するというようなばかげたことを言うに至っては、これは自治省どうかしているのですよ。こんな法律とんでもないものです。自治法否認です。ここで議決されて、ここで考えられて相談されたことが、自治法にいう議会を解散するに値する重要案件であるかどうかということになるなら、この法律はとてつもない法律ですよ。自治法にいう議会の解散に値する重要法案というのは一体何をさすのです。一つは予算でしょう。最も大きなものは予算でしょう。それ以外のもので、あるいは人事の問題等多少あるかもしれぬが、人事の問題は、これは何も解決がつく問題である。知事の予算を否決して、そうして当該自治体運営がそのことのために困難になったというような、対外的に非常に大きな問題が出てきたときに、初めて議会の解散権というものが使用さるべきであって、ここできめたことがその議会にいれられないからといって、それが重要議案だから議会の解散だということになると、これはとてつもないことだ、とんでもないことをきめたことになる。そういうものを知事にかってに権限を与えたら、えらいことになる。同時に、地方の出先の局長クラスにそんな権限を与えたら、えらいことになる。自治法を台なしにしてしまう。何のために憲法にああいう規定があり、何のためにああいう自治法というような大きな法律をこしらえているのです。住民の意思を全く無視した形で、ぐんぐん押すというような答弁では、こんな法律は、これこそほんとうに審議する勇気すら私は出ないくらいにおこらざるを得ないです。めちゃくちゃですよ。私はそういうこともあろうかと思う。そういうどうしても調整のできかねる問題があろうかと思う。だからそこに窓口をひとつあけておいたらどうか、そうして議会のほうにも相談のできる窓口をあけておいたら一体どうなのか。そうしないと、せっかくここできめたものが当該議会で否決されれば、それはこっちの県はみんなの話し合いがそうかもしれないけれども、うちの県はこれのほうが先なんだ、これのほうが大事なんだというような場合には、必ず衝突ができると私は思う。そうすると、ここで話し合ったことが完全に実行されない。しかし、それも議会に相談したからといって、結果がそう出るなら同じことじゃないかというなら、それはそれでけっこうです。しかし、道をあけて、尽くすべきことは尽くすべきだ、尽くすべき手段があれば、そこに妥協ができる、尽くすべき手段がないところに妥協は困難だ、またあり得よう道理がない。  だからこういう案件を——私はさっきから申し上げておりますように、区割り自身が非常に現実に沿わない観念的なものであるということが一つと、これは当たらずさわらずの問題であって、観念的なものであるということが一つと、もう一つは、そういう機構の中に住民の意思決定機関というものがちっとも入れられないで、そうして仕事が進められていく、そうしてそれが自治体に多少なりとも拘束力を持つということになるとたいへんだと思うから聞いておるわけです。これはどうしても入れられないのですか、入れるわけにはいかぬのですか。そうして先ほどの御答弁のように、もし否決されれば議会の解散に持っていくということになれば、とんでもないことですよ。その考えに変わりないですか。そうすると、これはある意味において、現在の自治法否認の法律考えてもさしっかえないほどの重要性を持っておるということになるのです。
  34. 大村襄治

    大村政府委員 この会議と議会との関係でございますが、先ほど政務次官がお答え申し上げましたとおり、この法律はあくまで現行の憲法なり地方自治法を前提として、尊重しての法律でございますので、地方と議会との関係につきましても、自治法の原則はあくまで尊重して運営されねばならない。したがって、議会との相談は、知事運営と良識の問題でいけるはずである、そういうふうな考えで、特にこの関係規定を設けなかった次第であります。
  35. 永田亮一

    ○永田委員長 本案についての質疑はこれにて終了することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり一
  36. 永田亮一

    ○永田委員長 御異議なしと認め、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  37. 永田亮一

    ○永田委員長 これより本案を討論に付します。  通告がありますので、これを許します。門司亮君。
  38. 門司亮

    門司委員 ただいま議題になっております地方行政連絡会議法案に対して、反対の意思表示をごく簡単にいたしたいと思います。  すでに質疑の中で申し上げましたように、私どもは、この法律には幾多の欠陥があると考えておりますのが一つと、もう一つ法案の趣旨とかけ離れたものが中に伏在しておるということ。現在の地方の公共団体が希望いたしておりますものは、時代に沿った地域の開発、どうして住民の生活を守っていくかということに非常に大きな考え方があるわけである。国といたしましても、いろいろな開発公団その他を設置してこれに努力をしておる。その場合に、地方のそうした経済的の問題、あるいはその他の地域的の問題等が、ほとんど考えられないでこの九つブロックに分けられたということは、ほんとうに古い昔の、言うならば畿内八道といっておったときの区画と何ら変わらないような形でこれがきめられておるというところに、この法案運営には実態と沿わざるものが私はたくさんあると考えておる。したがって本案は、せっかくできましても、地方自治体の望んでおるような広域行政の将来への発展に資するところはきわめて少ない、むしろそれを阻害するような面さえ出てきやしないかという一つの大きな懸念がある。同時に、法案の内容の中には、いろいろ書かれておりますが、これを政令に譲るといえば政令に譲れるかもしれない。しかし実態から見てまいりますと、地方自治体が当然要望し、また行なわなければならない国の幾多の出先機関等が、この中に十分に入っておらないというようなことが考えられる。私はこういうことを考えてまいりますと、この法案はきわめてずさんであって、そうして実態に沿わざるものであるという酷評をせざるを得ないかと存じます。  以上のことはきわめて簡単でございますが、申し上げて、反対の理由とするものでございます。
  39. 永田亮一

    ○永田委員長 以上で討議は終局いたしました。  これより採決いたします。  地方行政連絡会議法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  40. 永田亮一

    ○永田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 永田亮一

    ○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会      ————◇—————