運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-05-31 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月三十一日(金曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 大上  司君    理事 高田 富與君 理事 丹羽喬四郎君    理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君    理事 二宮 武夫君       大沢 雄一君    亀岡 高夫君       久保田円次君    前田 義雄君       山崎  巖君    松井  誠君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君         自治事務官         (行政局行政課         長)      宮沢  弘君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 五月三十一日  委員川村継義君辞任につき、その補欠として成  田知巳君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月三十日  地方自治法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五七号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。松井誠君。
  3. 松井誠

    松井(誠)委員 昨日お尋ねをいたしました地方開発事業団職員身分、あるいは労使関係の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、その前に、この地方開発事業団に対して、地方自治法普通地方公共団体に関する規定準用といいますか、そういう問題について、たとえば特別の地方公共団体でも、特別区なり一部事務組合というのは、ここに書いてあるもの以外はこれこれの規定準用するという書き方になっておりますけれども、この開発事業団についてはそういう規定のしかたではなくて、特に普通地方公共団体に関しては準用すべき条文というものを列記してあげてあるわけですけれども、そうしますと、原則としてこの特別地方公共団体は、ここに書いてある準用規定以外には、普通の地方公共団体規定準用はしないというたてまえですか。
  4. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御説のとおりでございます。地方自治法も、たとえば第一編におきましては「地方公共団体は、法人とする。」というようなことで、裸で地方公共団体と書いている規定はございます。こういうものは、当然断わらなくても特別地方公共団体でございますから適用になるわけでございますが、普通地方公共団体とか、断わって書いてございます規定につきましては、ここに準用いたしておりますものだけを準用するということであります。
  5. 松井誠

    松井(誠)委員 それからもう一点、地方公営企業法事業団法との関係でございますけれども、これもやはり公営企業法特定条文準用が書いてありますところから見ますと、それ以外の条文準用といいますか、適用はないということになりますか。
  6. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御説のとおりでございます。
  7. 松井誠

    松井(誠)委員 地方公営企業法を正面から読んだ限りでは、この開発事業団事業も当然地方公営企業法にいう地方公営企業だというように解釈せざるを得ないと思いますけれども一、それにもかかわらず、地方公営企業法規定はほんの少々のものを除いては準用しないという形になるのは少しおかしいと思うのですけれども、どうですか。
  8. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公営企業法との関係は、おっしゃいましたとおり、ここに準用規定として掲げてありますもの以外は適用にならないわけでございます。その理由といたしましては、なるほど事業そのもの地方公営企業法に掲げてございます事業であるものがあるわけでございますが、地方公営企業法はその事業経営についての規定でございまして、事業団対象といたしておりますのは施設を建設する段階だけでございますから、建設が終わりましてから地方公営企業法適用対象になる、このように考えておるわけでございます。
  9. 松井誠

    松井(誠)委員 その理由はわからないではございませんけれども、しかし理屈を言うようですが、地方公営企業法の予定しておりましたのは、いわば建設のときから地方公営企業法がおそらく適用になることを初めから予想しての規定だと思う。ですから、開発事業団建設だけだから地方公営企業法適用がないというのは、理由としては私はちょっとおかしいと思うのです。この地方開発事業団も、特別な地方公共団体ではあるけれども、しかし地方公共団体であることには違いはない。そして地方公営企業法に書いてある規定事業がほとんど全部であるこも間違いない。そうしますと、地方公営企業法特定条文しか準用しておりませんから、形は原則として準用はないのだろうという想像はできますけれども、ここに原則として地方公営企業法適用しないのだというように書いていただいたほうが、技術の問題ですけれども、はっきりしたのじゃないかという気がするわけです。  それはそれとしまして、職員身分の問題になるわけですが、地方公営企業に働いておる労働者、あるいはそれ以外の準公営企業の場合でも、特に条例できめればそういうことになるのですが、地公労法適用を受けるという身分地方公務員の中でそういう特別な労使関係を持つ人たちがおるわけです。そこで、きのうお伺いいたしましたところでは、設置団体から出向してくる職員の中には、地方公営企業に働いておった職員、あるいは準地方公営企業条例によって地公労法適用を受けておった職員と、地公労法関係とは関係のない地方公務員、いろんな種類の職員出向してくると思うのですけれども、設置団体地公労法適用を受けておった職員事業団出向してきても、きのうの御答弁では、それはやはり地公労法適用を受けるのだということでありましたが、この地公労法が特別な労使関係規定しておるというのは、その人の働いている職場が特別にそういう現場だからということが理由ではないかと思うのです。そうしますと、逆に言って、地公労法適用を受けなかった職員でも、この事業団に入ってきて実質的には地方公営企業と同じような現場で働くという場合もありますし、また逆に、地公労法適用を受けておった職員事業団に来て事務をするという場合も、地方公営企業法に書いてあるような仕事とは直接関係のない事務に携わっておる場合もあると思う。それにもかかわらず、設置団体身分を背負ってくればそれでもとにかく開発事業団の中ではその身分のからというものがいつまでも抜けないというのは、地公労法をつくった、そのために特別の労使関係をきめた考え方から言うと何か妙なことになりはしないかと思うのですが、どうでしょうか。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生のおっしゃいました御趣旨は、よく私どもも理解ができるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、この事業団で行ないます事業は、地方公営企業法対象としているまだ地方公営企業にはなっていないものというふうに解釈をいたしているわけでございます。それにいたしましても、先生のおっしゃいますように、もと団体地方公営企業に従事しておった者がこちらに来て一般事務をやる、またその逆の似たような場合ということもあり得るとは思いますが、その点は、地方公務員法上の身分は、とにかくもと団体にそのまま残しておいて、この団体にいわば派遣されてきておるわけでございますので、現在の法制上そこは先生指摘のようなおかしな点はあろうかと思いますけれども、はっきりと身分によって割り切っていきたい、かような考え方をいたしておるわけでございます。
  11. 松井誠

    松井(誠)委員 いまの御答弁の中で、こだわるわけではありませんけれども、地方公営企業法に予定しておる地方公営企業というのは、建設中のものははずして、いわば建設ができて具体的に住民へのサービスが動き出してから言ってみればこの法律適用になるのだというお答えでしたけれども、そのように考えなければならないという根拠はあるのですか。
  12. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公営企業法対象なりますものは、御指摘のように建設段階からもちろん入り得るわけでございますが、しかし地方公営企業法規定対象といたしておりますのは、土として建設が終わりましてからあと経営段階対象にいたしておるわけでございますから、今回の地開発事業団におきましては建設段階だけを対象にいたしております関係で、理屈の上におきましては、おっしゃいますように、多少両方かち合う点もあろうかと思いますが、法制上、開発事業団の方は地方公営企業法適用を受けないのだということにいたしたわけでございます。
  13. 松井誠

    松井(誠)委員 そこで、開発事業団の中における労使関係ということについてお伺いをいたしたいと思いますが、きのうの御答弁では、地方開発事業団職員地方公務員法による職員団体というものをつくるわけにはいかないという御答弁であったわけです。職員団体というものは法律根拠に基づかなければならぬということになりますと、当然そういう理屈が出てくるのか、これは地方公共団体に働いておる公務員でありまして、それが特別であろうと普通地方公共団体であろうと、地方公共団体に働いておる職員地方公務員ですから、地方公務員法による職員団体の結成ができるというように考える余地があると思うのですけれども、いかがですか。   〔委員長退席高田富與委員長代理着席
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 昨日お答え申し上げましたような考え方が、特別地方公共団体だから出てくるのかという御趣旨お尋ねのようでございますが、それは、特別地方公共団体だから出てくるというわけではございませんで、特別地方公共団体におきましても、立法上そこに固有職員を置いて、そこの身分を持たせ、そこで地方公務員法上の身分取り扱いのすべてを行なうということももちろん、可能でございます。ただ、この地方開発事業団事業の性格から考えてみますと、一定期間を限られた団体でございますので、一定事業が完成いたしますれば解散をするということになっております関係で、職員身分取り扱いをいろいろ検討いたしました結果、やはり公務員法上の身分設置団体にそのまま残しておいて、いわば派遣のような形で事業団に行って仕事をする、仕事が終わればまたもとへ返るという構成の仕方が事業団職員身分取り扱いとして適当であろうという考え方から、こういたしたわけでございます。条文的に申しますと、三百六条は、そのような心持ちで、設置団体の長の補助機関職員のうちから理事長が命ずるといたしまして、公務員法上でいっておる任命するという表現も避けておりますのも、ただいま申し上げましたように、身分設置団体に残っているのだ、そのような趣旨からの表現でございます。
  15. 松井誠

    松井(誠)委員 同一の職員地方公務員法上二つの職員団体に入るということは、法律的に不可能なんですか。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 それは法律的には不可能ではないと思います。
  17. 松井誠

    松井(誠)委員 一部事務組合の場合なんかは、実際にどういうようになっておりますか。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 一部事務組合の場合につきましては、通常一部事務組合自体固有職員を持っております場合は少ないと思います。やはり設置団体から派遣、あるいは設置団体から事実上事務従事を命ぜられてそこへ行っておるというような場合が多いと思います。ただ一部事務組合におきましても相当数の規模の職員を持っておりますところでは、組合自体職員を置いておりますところもあるわけでございます。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 関連して。一部事務組合でもそういうところがあるというわけですね。今度の事業団の二百九十九条、規約を見ますと、「事業団職員身分取扱いに関する事項」というのがあるわけです。それを受けまして三百四条では「理事長は、事業団を代表し、その事務を総理する。」理事は云々、とこうあるわけですから、当然その事業団理事あるいは理事長というものは、その事業団に送致されるところの職員身分取り扱いについて権限を持っておるわけでしょう。とすれば、事業団に所属しておる人たちは、当然本給等はいままでの出向される前のものを継続することはけっこうだと思うのでありますが、現実的には新しい事業団という職場に入れば、その事業団固有のいろいろな勤務条件に対する要求なり、あるいは本俸以外の手当等に対する要求なりが起きてくるのは当然ではないですか。とすれば、これらの職員人たち要求をまとめて反映する組織というものも当然なければならぬし、理事長というものは職員身分取り扱いに関しては権限があるわけですから、それを受けて交渉に応ずるというのが通常労使関係のあり方ではないかと思うのです。ですから、一部事務組合ですらそういう職員団体があって交渉しておるという事例があるならば、事業団は一部事務組合よりもより一つの事業体として活躍し得る余地がさらに広くなっているわけでございますから、そういうことから考えれば、当然事業団職員職員団体を結成し、そして理事者といろいろな職場問題等について話し合いをし、それから地公法に基づくところの交渉をやって文書の協定もやり得るということになっていくのが自然の姿ではないかと思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 規約に「職員身分取扱いに関する事項」ということが掲げてございますが、本来の公務員法上の給与その他の身分取り扱いにつきましては、身分を持っております設置団体任命権者が持っておるわけでございます。ただ、たとえば勤務時間等について設置団体の定めがまちまちであるというようなことがあってはいけませんし、それからまた手当等についても、設置団体の間でまちまちであるような場合には、設置団体規約で調整する規定を置いておく、そしてそれに従って各設置団体の長が調整するというようなことを考えておるわけでございます。そういたしましても、事業団理事長が多少身分取り扱いについて関与する範囲があるじゃないか、これは若干はあろうかと思います。もちろん職員として理事長に対して苦情を申し立てる、あるいは意見を申し出る、事実上話し合いをするということは差しつかえないと思うのでありますが、それらについて理事長で処置のできない問題については、理事長設置団体の長にそれを連絡して、そして長をして解決せしめるように努力するというような道行きになろうかと思います。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、理事長地公法にいうところの任命権者ではない、だから、その辺は従来の職員が所属しておった地方公共団体の長が依然として任命権者であるということだろうと思うのでありますが、しかしこの有業団の内部における苦情の申し立てなり、それに対する交渉話し合い、そういうものは当然やる場合があるだろう、こういうふうに局長言われたのであります。そうしますと、少なくとも事業団でありますから、本俸その他はいろいろ設置団体によって違ったにしろ、その他の勤務条件はある程度一定でなければ事業団としてのまとまりがないわけです。ですから、そういうものに関する限りにおいての要求なりあるいは話し合いの場というものは当然つくられる、こういうお話でありますが、そうしますと、地公法にいうところの身分あるいは勤務条件その他について苦情等がある場合は、措置要求なり何なりを人事委員会あるいは公平委員会にできるという道が開かれているのでありますが、事業団職員ということになると、その関係はどういうことになるのですか。
  22. 佐久間彊

    佐久間政府委員 事業団職員につきましても、繰り返し申し上げますように、公務員法上の身分設置団体に持っておるわけでございますから、それについての勤務条件措置要求、あるいは不利益処分審査の請求というようなものは、それぞれの身分の所属する団体人事委員会なり公平委員会なりに持っていくということに考えておるわけでございます。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 教員組合の場合は、最終的な任命権は県の教育委員会にある。ところが職員組合としては、市町村ごと地教委ごと職員団体を結成して県の連合体をつくるというかっこうになる。ですから、それを同じように考えていくと、たとえば任命権者は確かに理事長ではない、これはそれぞれの地方公共団体の長である。しかし、だからといって、教職員の例を考えていけば、事業団としていわゆる地方公務員法によるところの職員団体を結成して悪いということは出てこぬと私は思うのですが、この辺はどうですか。
  24. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公務員法職員団体は、やはり任命権者に対して交渉をするわけでございますから、身分の存するところでできると思うのでございます。したがって、事実上の話し合いの場を持つ、あるいは事実上の団体をつくって話し合いをするということは、これは差しつかえなかろうと思うのであります。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それはおかしいと思うのです。例がないわけじゃないのでしょう。教職員の場合は、最終的な任命権は県の教育委員会にある。しかし市町村ごと職員団体をつくって県の連合体をつくるというのが通例になっているのです。ということになれば、地方公務員法にのっとって事業団職員組合をつくる、それから任命権者である当該地方公共団体職員団体にその人間が所属する、両方に所属して悪いことはないという局長さんの御答弁なんですから、とすれば、何か事業団にあって地方公務員法に基づく職員団体を組成して悪いという根拠は出てこぬのではないですか。何か局長さんや課長さんのほうはとらわれた考え方があると思うのですが、大臣は、その点すなおな立場で判断できると思うのです。どうでしょうか。
  26. 篠田弘作

    篠田国務大臣 私は、つくって悪いということはないと思いますが、しかし効力の問題と考えます。問題によりましては理事長で裁定できる問題がある。しかし、各地方自治団体から派遣されている職員が、かりに手当等について、たとえば自分の所属した従来の地方団体と現在の事業団とは非常に仕事の量が違う、だから手当等を増額しろというような問題なら理事長との話し合いでもってできる。しかし本俸を増額しろということが今度は問題になってたとえ理事長が、それを承諾しても、村に帰ってその村の長が承諾しなければ実際の効力というものはないから、あらゆる問題について折衝をするといういわゆる労働組合的なものはつくっても、問題別に処理されるだけであって、全体としての効力はないのじゃないか、こういうふうに実際問題として私は考えております。
  27. 松井誠

    松井(誠)委員 それでは大臣お尋ねいたしますが、同じ問題なんですけれども、いま問題になっているのは、御承知のように出向職員だからいろいろな身分の違いがある、あるいはいろいろな点で違っているものがそのまま一応開発事業団に入ってくる、そこから労使関係の非常にふぞろいというか、混乱というものが起きる、それを調整するためには、やはり事業団職員の何がしかの団体をつくって、そうして法律上の効力の問題は別として、とにかく団体交渉をしてそこでケリをつけるという体制が必要だということは、お認めいただけると私は思うのです。その点はどうでしょう。現実に同じ職場におって、したがって共通の問題というものはたくさん出てくる、何も本俸の問題ではなくて、共通の問題が出てくる、したがって、団体をつくって、団体交渉をして約束を取りつけるという現実の必要も出てくることだけはわかっていただけたと思うのです。   〔高田富與委員長代理退席、委   員長着席
  28. 篠田弘作

    篠田国務大臣 その事業団内におけるいろいろな諸問題について、その理事長交渉するための団体組合とまでいかなくとも、組合であるかどうかということは別問題として、そういうものをつくるということは私はちっとも差しつかえない、こう思っております。ただ問題によって、つくってもいま言ったように効果のない場合があります。
  29. 松井誠

    松井(誠)委員 そうすると、たとえば地公法適用を受けておった組合員がそのまま出向をしてくる、それも甲という設置団体、乙という設置団体からいろいろ入ってくる、そして甲という設置団体でつくった協約、乙という設置団体でつくった協約というものに制約されたままで今度は開発事業団へ入ってくる。そうすると、そういう自分設置団体協約にやはり縛られたままで開発事業団で働くということになると、ますます妙な混乱が起きてきはしませんか。
  30. 篠田弘作

    篠田国務大臣 それは起きないと思います。ということは、開発事業団というものは一時的な建設期間だけのものでございますから、その人たちは、また建設が終わればもとに戻るわけです。そうすると、開発事業団の中でA、B、Cの違った地方自治団体から来た職員が一応ならされてみても、それは当座の間だけであって、今度は戻るときにはまた別々になるということですから、やはりそういう所属しておる身分の問題は、開発事業団交渉してもどうにもならないことであって、開発事業団交渉するとすれば、やはり開発事業団仕事範囲内において交渉をする、もと身分の問題については所属する地方団体交渉する、これが一番筋の通った考え方ではないか、こういうふうに私は考えます。
  31. 大沢雄一

    大沢委員 関連して伺いたいのですが、いま問題になっておりますのは、職員団体地方公務員法上の団体であるかないかということが問題であると思うのであります。その点につきまして、どうも篠田さんの御答弁がはっきりしない。要するに事業団職員が、身分はそれぞれの派遣された団体にあって、出先の者だけでつくったものは地方公務員法上の団体であるかどうかということがいま問題になっておる。この点、身分が最終的には県にありまする教員市町村だけでつくっている組合がほんとうに公務員法上の団体であるかどうかということにつきましては、私は議論があるのじゃないかと思う。その点もおかみ合わせの上で、ひとつはっきりした御答弁を願いたい。
  32. 篠田弘作

    篠田国務大臣 事業団職員という身分は、この事業団を単位として地方公務員法上の職員というわけではありません。一人一人の職員地方公務員法に定められた地方団体職員としての身分を持って集まっておるということは言えるかもしれないが、事業団そのもの地方公務員法団体であるというようには、いま申しましたように考えられないわけです。したがいまして、一般地方公務員身分について事業団理事長交渉するということは——先ほど申したように、ものによっては、事業団に関する問題については、いろいろな話し合いもできましょうし、また相談もできましょうが、一般地方公務員法上の身分の問題とか給料の問題等について事業団理事長交渉すべきでもないし、また交渉しても何らの結論も出てこない、そういうことを先ほど来申し上げておるわけです。
  33. 大沢雄一

    大沢委員 そうしますると、事業団職員の方々が事業団理事長といろいろな交渉をするためにつくる職員団体公務員法上の団体ではない、こう理解してよろしゅうございますね。
  34. 篠田弘作

    篠田国務大臣 そのとおりであります。
  35. 松井誠

    松井(誠)委員 そのとおりであっては私は困ると思う。と申しますのは、かりに地方公務法上の職員団体というものができたにしても、そのあと条例という具体的な裏づけがなければ、団体交渉その他でまたすぐ壁にぶち当たる、そういうことがあると思うのです。しかし大臣お尋ねしたいのは、私が先ほど申し上げましたように、現実交渉の必要があって、理事長の限りで処理ができる問題というものは、職場ですからごろごろしておるわけです。したがって、そういう団体をつくって団体交渉をする必要があることばお認めになったわけですけれども、さてその団体公務員法上の職員団体になり得るのかどうかという点までは、私はまだお尋ねをしなかったわけです。大臣のようにみんな良識があって、現実に必要があるのだから、それでは団体交渉に応じてやろうというような人ばかりが理事長になっておれば問題はありません。しかし、おまえのは法律上の職員団体じゃないじゃないか、だから会おうと会うまいとかってだという文部大臣のような人がたくさん出てくると困る、そういう人が出てこないという保障はないわけです。ですから、やはり法律上のきちっとした根拠にしておかなければ労働者身分というものは不安定になると思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 篠田弘作

    篠田国務大臣 ただいまそういう御心配があるようでありますが、少なくとも数カ市町村が集まって一つの目的を持って事業を遂行する、それが地域開発につながるということであれば、その地方団体から選ばれてくる理事長という者が、そういうばかげた考えを持っておったのじゃ地域開発はできないということになりますから、結局相当良識的な人が出てくると思います。そうだからといって、地方公務員法による交渉団体ということは、先ほど申しましたように、一時的な建設機関でありますから、私はそれは不適当であると考えます。
  37. 松井誠

    松井(誠)委員 大臣の言われるように、理事長は良識のある人が出てくる、良識を持っていなければ理事長になれぬという法律的な保障は何もないわけです。これが地方公務員法にいう職員団体だということが解釈上不可能だというならば別なんです。しかし局長のさっきからの御答弁を聞いておりましても、これは不可能だというのではない。直接的な根拠というものはない。私が先ほど言いましたように、法律上の職員団体としてもそのあとすぐ壁に、ぶつかるという問題はあります。ありますけれども、だからといって職員団体ができないという根拠にはならないわけですから、むしろやはり職員団体だということを認めて、それからあとそれに抵触する困難というものは排除していくというかまえのほうがいい。ですから職員団体ができないという具体的な根拠を、局長さんでけっこうですから、もう一つはっきり答弁していただきたい。
  38. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公務員法上の職員団体を組織いたしますには、地方公務員法上の身分取り扱いを受ける職員であることが前提であると考えております。この事業団の場合には、三百六条の規定について申し上げましたように、公務員法上の身分設置団体にそのまま置いて、こちらに派遣をされてきておるわけでございますから、地方公務員法職員団体をつくれないというふうな解釈をいたしておるわけでございます。なお先ほど山口先生からお話のありました教員の場合は、身分はやはり市町村にあるわけでございますから、かりに市町村におきまして団体をつくることもこれは差しつかえないのでございます。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 関連して。身分と言いましたが、この法律によりますと、事業団職員身分取り扱いに関しては事業団規約できめるわけでしょう。ですから、任命権者理事長でないことはわかりますよ。しかし身分取り扱い規約でもってきめていくのですから、身分事業団にある、こう解釈してもよろしいのじゃないですか。任命権者は別ですよ。教員と同じように、身分任命権者は分かれている。だから、これは当然それと同じになるのじゃないですか。
  40. 佐久間彊

    佐久間政府委員 規約に書いてございます身分取り扱いに関する事項といいますのも、事業団の持っております性格からおのずから制約されてくるわけでございまして、身分取り扱いにつきましても、条例で定めなければならない事項が大部分でございますけれども、事業団にはその権能がないわけでございますから、当然設置団体で定めをする、こういうことに考えておるわけでございます。ただ設置団体が幾つもございますから、設置団体間におきまして、先ほどもお話のございましたように、手当その他の勤務条件についてばらばらでは困るというようなものにつきましては、この規約である程度設置団体間の違いを調整することをここで定めておいて、規約で定めましたことに基づいて各設置団体がそれぞれ処置をとる、そういうような意味で身分取り扱いに関する事項規約の中に入れたわけでございます。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、結局地公法の五十三条の職員団体の登録に関して条例を定めるかどうかということです。教職員の場合には、身分市町村にあるし、登録の条例市町村でつくれるが、任命権者はその県である。この事業団の場合でも同じです。この職員団体にするかどうかという問題は、それは交渉範囲その他はいろいろ限定がありまししょうが、問題は五十三条にいう条例事業団でできるかどうか。この点の準用さえ道を開いておけば、結局地公法上の職員団体としても問題がないと思うのです。そのくらいのことはやったらどうですか、できないことじゃないのですから。
  42. 佐久間彊

    佐久間政府委員 事業団条例の権能がないということが一つの障害になっておるということは、私どもも検討の過程においてそう思ったわけでございますが、ただ条例だけについての問題ということになりましても、この事業団の性格全体にも響く問題でもございますので、昨日も御議論のございましたように、条例につきましては、事業団がその権能を持つということは、やはりこれは適当でない、かように考えておるわけでございます。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は、事業団というものの設立のそもそもの自治省の構想というものに立ち返ってこの問題は判断していただきたいと思うのです。少なくとも事業団を自治省が強力に主張いたしましたのは、過日も阪上委員から御指摘がございましたように、建設省等が公社、公団の構想を持ち出してきた、これに対して、地方自治の本旨からいって、地方自治団体がこういった地域開発を進めていく主体であるべきだ、こういう立場からこの事業団の構想を自治省はひっさげて、われわれもその説にはある程度賛同いたしまして今日まできたわけでございます。といたしますと、この事業団というものは、吹けば飛ぶようなものであってはならないと私は思うのです。それは建設の過程にはそういうこともあるかもしれません。しかし少なくともいま日本で大きな問題になっておる地域開発の文字どおりにない手として、この事業団というものは大きな任務があると思うのです。そういうことを考えてくれば、この事業団にたまたま身分が属したところの職員人たちが、やはりほんとうに地域の公僕として働く、そういった気持ちを持つことが必要じゃないかと思うのです。そうなってくれば、自治省が各省のいろいろな構想に対してこの問題を出したという経過を考えるならば、この五十三条の条例程度の問題について、問題があるからということだけで職員団体の問題についていまのような答えを出してくるということは、非常に首尾一貫しないのじゃないかと私は思うのです。確かに条例の問題をどうするということはありましょうけれども、しかしこれは、準用その他の方法で操作すればできないことはないのでしょう。ですから、私は事業団というものをあまり自治省が充実をせぬでかまわぬという気持ちでいるならば、それはけっこうだと思います。しかし、繰り返しますけれども、自治省が事業団に対して持っている期待は大きい。それだけに、事業団労使関係はうまくいき、そして地域開発というものが十分に行なわれていく、そういう前提に立ってこの問題を処理すべきじゃないだろうか、こう私は思うのですが、どうでしょうか。
  44. 佐久間彊

    佐久間政府委員 事業団に対する期待につきましては、私どもも先生のおっしゃいますように考えておるわけでございますし、事業団に働きます職員が働きやすいように、いろいろと処遇について考えていかなければならないという点も十分配意をいたしておったわけでございます。そのような観点に立ちますと、身分取り扱いに関する地方公務員法に定めてございます事項は、みな住民の代表である議会の議決を経た条例で定めるということになっておりますのが、五十三条だけでございませんで、非常に多いわけでございます。そういたしますと、この事業団には議会というものがないわけでございますから、そこで、この事業団規則を読みかえたらという御趣旨かとも思いますが、そういうことになりますと、かえって職員身分の保障という点についていかがなものであろうかという配慮をいたしたわけでございます。
  45. 松井誠

    松井(誠)委員 大臣お尋ねをいたしたいと思うのですが、先ほども、建設過程だけのいわば一時的なものだからというようなお話もございましたが、これが事実上新産業都市建設促進法の、言ってみれば事業の面を受け持つ性格を持っておる法律であるとすれば、相当長い間にわたってその建設事業が行なわれるということは考えなければならぬ。そうして相当長期間にわたって継続事業が行なわれる、しかもそれは、継続事業であるだけに、現場の労働問題というものはしょっちゅうたくさん出てくるに違いないと思う。先ほど私地方公営企業法との関係お尋ねしましたけれども、これは実質的に地公労法適用を受けるような、職員仕事の内容はそのような仕事だと思うんです。ところが、同一のそういう団体がつくられるのだけれども、それが法律上の保障のない団体だということになりますと、つまり事業団に働いておる人たちがまとまって地公労法適用を受けて地労委に提訴することもできない。そういうことでは非常に困るのじゃないかと思うのです。ですから、これは事業団労使関係というものを重要に考えた結果、むしろ設置団体身分を保有しておったほうがいいというように結論がなったということをお聞きしましたけれども、その反面、こういうふうに非常に混乱をする。そうして労働者のそういう権利を守り得ない、あるいは少なくとも非常に不安定な労使関係というものが出てくる可能性があるわけです。  そこで、大臣お尋ねしたいのですけれども、昨日は門司委員が、そのようないろんな混乱があるから、やはりいっそのこと事業団身分にして、設置団体身分というものは一応切る、しかし、そのかわり解散をしたときの身分関係というものは初めから規則の中にきちっときめれば、身分の不安定はないじゃないか、そういうことは考慮できないかというような趣旨お尋ねがあったわけですけれども、そういうことを含めて、この事業団職員身分について、それが労働者の権利をよりよく守り得るようにするために何か配慮する必要はないでしょうか。
  46. 篠田弘作

    篠田国務大臣 最初の、一時的な短期間における建設団体であるということを私ちょっと申しましたが、それはことばが足りないのでありまして、事業によりましては相当長い期間を要するものもあります。だから一時的な建設団体ということばかりではなくて、ただいま行政局長から申しましたように、いわゆる事業団というものは条例をつくる権能がない。しかるに地公労法に基づく組合ということになればいろいろな問題を条例によって規制し得る。でありますから、そういう権能のない、規制をすることもできない事業団地公労法による労働組合を持ち交渉団体を持つということは不適当だ、この考え方は、多少不便な点があるかもしれませんが、変わりません。ただし、その事業というものが少なくとも新しい盛り上がる事業であり、その地方としては、もちろん地方公務員も住民も一致してこれを盛り上げようという希望と熱意に燃えておるものでありますから、仕事そのものはもちろん非常に勢いよく盛り上がってくると思います。そういうことに対するまたいろいろな交渉すべき条件というようなものは、先ほど申し上げましたように、実際上交渉したらいいのじゃないか。どこにもここにも労働組合をつくらなければ交渉はできないという考え方、労働組合でないから交渉ができないという考え方はこういう場合はおかしいのであって、組合員としての身分は所属団体においてちゃんと持っておるのであるから、そういうことによって非常なマイナスが労働者の上にあるなどということは、私はとうてい考えないわけであります。
  47. 松井誠

    松井(誠)委員 先ほども申し上げましたけれども、この開発事業団仕事というものは、実質的には地方公営企業法に書いてある事業、その建設過程における事業とは全く同質の事業なんです。地方公営企業体に働いておる労働者地方公務員の中で特別な地位を持っておる、労使関係、労働法上特別な地位を持っておるということも大臣御承知だと思う。政治活動ができる、あるいは団体交渉の結果協約も結べる、地労委に提訴もできる、いろいろな特別の地位を持っておるわけです。実質的に地方公営企業体と同じ仕事をやっておる職員団体でありながら、地公労法適用を受けられないということで、これは大きなマイナスだということは申し上げるまでもないと思うのです。ですから、これは私はやはり大きな労働問題になる危険性をはらんでおると思うのです。ですから、いまのうちにやはりそういう配慮をもう少しすべきじゃないか。ただ現実に、大臣の中でさえも良識のない大臣法律上の団体でないんだということで会おうともしない大臣がおるという風潮は、これは中央から地方へ広がらないとも限らないわけです。そういうことに対する具体的な保障というものは何もないわけです。あらためて御答弁をお願いいたします。
  48. 篠田弘作

    篠田国務大臣 地方公営企業のほうは、その職員にとりましては、その企業の中に一生と申しますか、やめるまではそこに勤務するわけであります。そこに一つの身分というものがあるわけであります。ところが事業団の場合は、先ほど申しましたように、事業の量によりまして相当時間のかかるものもあるし、かからないものもありますけれども、いずれにいたしましても、長い目で見れば暫定的な身分である。しかもその身分というものが地方公共団体の中にあるのでありますから、同じ人間が二つの身分をそこに持って二つの組合を持つということは、私は少しおかしいのじゃないか。実際の問題としていろいろな交渉をするような問題が起こると思うのです。あなたのように言われるならば事業団というものは地方の自治団体から独立した一つのものとして、そこに身分を置いて一つの労働組合なり交渉団体をつくるというならいいのでありますが、同じ人間が片一方においても交渉権を持ち、片一方においてもまた組合を持つ、二つの組合を持っているということは適当でない、こういうように私は考えます。
  49. 松井誠

    松井(誠)委員 適当であるかないかは、これは判断の違いになりますけれども、しかし、法律的に少なくとも同一の人が二つの職員団体に所属ができないわけではないということになりますと、二つの職員団体に所属をして、そして設置団体職員団体としての交渉の条件と、事業団職員団体としての交渉の条件というものは、おのずから違うわけですから、現実の面での不都合というものは少しもない、一人が二つの団体に加入しておるということによる何か個人的な混乱とか、あるいは組合運動の上における混乱などというものはあり得ないわけです。ですから、私がさっきお尋ねしたのは、そのような混乱、そしてそこからくる労働者の立場の不利というものを補うために、昨日門司委員が言われたような考え方についてのお考えはどうだろうかということをお尋ねしたいのです。繰り返しますと、いっそのこと開発事業団身分にしてしまったらどうだ、それは私は必ずしも地方開発事業団というものが住民と切れるということにはならないと思います。そういうこととは全然別だと思います。そして当初の規約の中で解散をする際のことをきちっと書いておけば、身分の不安定はないのじゃないかということが、門司委員がお見えになりませんので、かわってお尋ねするような形になりますけれども、門司委員の質問であったわけです。ですから、そういうことをも含めて、この労使関係について混乱を生じさせないような何か方法を考えていただけないかということです。
  50. 篠田弘作

    篠田国務大臣 先ほどもおっしゃいましたように、二つの身分を持っても、交渉をする問題が違うのだから混乱はないのじゃないか、こういうお話です。それならば、私のほうの申し上げることも、何も身分を持たなくても、片一方で地方公務員としての身分を持って交渉をし、片一方において事業団職員として交渉をするということが許されるとしたならば、何もそこに混乱はないということが考えられます。  それからいま一つ、事業団というものを独立させてしまうという考え方は、これはやはり公団構想だと私は思います。地方自活体が仕事をするということは、やはり地方自治体とのつながりにおいて事業をするということで、機関が独立してしまって一つの独立機関としてやるというのならば、公団をつくるということとちっとも違わない。暫定的なことになりますから、そこにわれわれの考え方と独立をさせるという考え方との間には相当の開きがある。  それからもう一つは、身分の問題でありますが、現在のような地方自治団体から派遣をされておるということになれば、これは解散の場合においても、またいつでもその都合によって戻れる。しかし独立した機関になってしまうと、やはり長い間地方自治体と縁を切るわけでありますし、同時にまた公団そのものには身分保障というものがないわけですから、議会も何もないのでありますから、戻すといってもやはりなかなか戻りにくくなってしまうのじゃないか。いろいろなことを配慮しますと、現在のやり方というものが一番いいのじゃないか。これは考え方の違いですからしかたがありませんけれども、ぼくはそういうふうに考えておるわけです。
  51. 松井誠

    松井(誠)委員 いま二つの団体に一人の人の加入しておっても、交渉内容が違うのだから、むしろ事業団のほうはそうきちっとしたものでなくてもいいのじゃないかというようなお話でしたけれども、先ほど私が申し上げましたように、地方公営企業に働いておる人たちは、地方公務員の中で労働者としての権利について特別な幅を持っておるわけです。そしてそういう幅というものは、この開発事業団の中においても当然主張されなければならない。まさにそういう場所においてこそ主張されなければならない、そういう労働者の権利の幅なんです。そういうものが労働者の権利としては主張できないわけでしょう。地公労法適用というものを正面から受けさせてやらなければ、地労委への提訴もできないし、正式な団体協約は結べないしということになりますと、ほんとうに事実上団体交渉をして約束をするということぐらいまでは良識のあるところならできるかもしれない、しかし地方開発事業団団体としては、地労委への提訴ということは、これは幾ら考えてもできないと思うのです。そういうことを考えますと、何としてもやはり労働者の権利の縮小だということにならざるを得ないと思う。  だから、くどく念を押すようですけれども、なるほどこの身分というものを設置団体にくっつけておいたということは、帰っていくときの、解散のときのそういう身分上の混乱というものを防ぐという配慮から出たというそのいきさつはよくわかります。しかし、その設置団体との関係職員が切ってしまって、事業団職員一本になるということが、何か地方自治体との結びつきが切れるというように考えるのは少し見当違いじゃないかと思うのです。われわれも地方自治体との結びつきをむしろもっと強くしろということで、たとえば設置団体の議会がこの開発事業団事業の過程の中でもっとタッチできるような機会をふやすべきじゃないかということを申しましたけれども、そういうところにこそ地方自活体との結びつきというものを考えるべきであって、身分設置団体から切れたところで帰るときにはまた必ず帰れるわけですから、そういう意味で、地方自治体との結びつきというものは、むしろ直接住民との結びつきというものを考えるべきであって、職員身分の結びつきがあるから地方自治体との結びつきが強いのだというように考えるのは、私はやぶにらみじゃないかと思うのです。そういう議論は議論といたしまして、ちょっと先ほど申し上げましたけれども、地公労法適用が受けられないということは、同じ仕事をやっておる労働者として私は何としても片手落ちだと思う。だから、局長さんいかがでございましょう、そういう点についての解決案というものはお持ちじゃございませんか。
  52. 佐久間彊

    佐久間政府委員 設置団体におきまして地方公営企業労働関係法の適用を受けておりますものは、前に申し上げましたように、そのままの形で保障を受けておるわけでございます。先生お尋ねは、設置団体において地公労法適用を受けていないでこの事業団派遣された者についてのことかと思いますが、先ほど申し上げましたように、この事業団でやります仕事公営企業になるものでございましても、建設段階だけということでございますから、その建設段階は、いずれにいたしましても、設計いたしまして、あとやはり同じように請負で土建の会社にやらせるわけでございますから、事実上地公労法適用を受けなければ身分の保障にならないというような職員がこの建設段階において多数存在するというような事態はないものと思うのでございます。
  53. 篠田弘作

    篠田国務大臣 私は事業団職員というのは、一般的に見ると特殊な事態だと思います。全国どこにでもそういうものがあるというのじゃなく、その開発をする場所に何年間かという期間だけ、そういうものがあるわけですから、これは一般的な職員身分というよりは特殊的な身分である。そういうことでありますから、ほんとうの身分地方自治団体にあるわけでありますから、そういう面において不都合な血はその事業団の運営の上において特別に考慮を払うということで、私はその問題は解決する。そうでないと、事業団条例をつくる権利を持たせるという法律改正をしなければならないというようなことで、なかなかむずかしいのじゃないか。だから、運営の面で十分に考慮するということになれば、いまの御心配は非常に減るんじゃないか、こういうふうに私考えております。
  54. 松井誠

    松井(誠)委員 だから、身分というものは設置団体のほうに置いて、しかも開発事業団に働く職員の立場が不利にならないようにする配慮として、いろいろあると思いますけれども、たとえば自分の母体である設置団体職員団体が、事業団理事長に対して開発事業団の中における労使の問題について団体交渉はできるのですか。
  55. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先ほど来大臣が御答弁になっておりましたように、身分に伴ういわゆる労使関係の問題というものにつきましては、設置団体の長と交渉をするということになるわけでございます。もちろん理事長が直接関知しておる問題については、よく理事長が間に入って連絡をし、また職員側の意思を反映させるように努力をするということは、運用上の問題としては十分考えていっていいと思いますけれども、法律上の交渉の相手方は、設置団体の長になるわけでございます。
  56. 永田亮一

    永田委員長 太田一夫君。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 いまの問題について、さらに引き続いてちょっと念を押しておきたいのです。  いろいろ議論がありましたが、これは大臣、あなたのおっしゃるように、いまのこの法案のたてまえでは、やはり事業団理事長理事者側と所属の職員との間の団体交渉権というものは生まれてきません。将来これが公営企業に入っていくということになれば、これは公企労法の適用を受けますから、団体交渉も、今度は別の法律によってはっきり確定してきますから、これはよろしいですね。公共企業体等労働関係法ですか、それによってはっきりしますからいいですが、いまのままではできないのです。しかたがないから、もと設置団体にある職員団体が、設置者との間に出向者の職員の労働条件について話し合う、こういうことですね。これは二つの団体以上のものがやりますから、双方に連絡をして、何か労働条件等の水準を決定する。調整を受けなければならない問題があるなら、これは幾多の多元的な話し合いをして、そうして一本化して、何か規約を定めるというようなことをしなければなりませんね。これは先ほど局長もおっしゃったけれども、出張手当などばらばらでは困る。ある県の出張手当は一等でやる、ある県は同じ身分であっても二等だということになれば、こんなばかなことはないですからね。具体的にそういう問題が出てきますから、これは調整しなければなりませんでしょう。それは規約で十分その解決を明らかにするということをしておき、もし身分の取り扱い、条件等に苦情的なものが出てきたならば、苦情的な範囲内においては理事長がそこの職員と話し合う。基本的な労働条件の団体交渉にひとしいようなものは、これはもと組合がやってくれる。こういうことで、身分的な問題あるいは処遇の問題についてはそう心配ないと思うけれども、大臣としても、もしそういう心配が生まれるようなことなら、そんな心配のないようにするという御決意があるなら、この際はっきりおっしゃっていただきたいと思うのです。
  58. 篠田弘作

    篠田国務大臣 ただいま太田さんのおっしゃるように、基本的な身分に関するような問題は、それぞれの設置団体においてその所属する組合団体交渉をする。それからいわゆる事業団そのものの、たとえば出張旅費の問題とか超過勤務手当の問題といったような問題については、事業団の必要に応じまして、この設置団体問において協議をして、それを事業団規約の上につくっていく、こういうふうにすれば、あなたの前々からのお話のような心配はなくなるし、また私は、少なくともこの規約をつくる場合においては、そういう基本的な線だけはしっかり確認してこれをやっていきたい、こういうふうに考えております。
  59. 松井誠

    松井(誠)委員 私先ほどお伺いしました、設置団体組合開発事業団団体交渉ができるかという問題なんですが、これは設置団体自体の労使関係の問題ならば、設置団体とやることはもちろん当然ですけれども、事業団における労使関係の問題については、先ほど来申し上げましたように、事業団組合法律上の保障のない組合だというたてまえをもしあくまでとろうとするならば、設置団体組合が言ってみればそれにかわって、共同でもいいですけれども、設置団体の全部の労働組合がその理事長団体交渉をする、そういうことで補うことは事実上できないこともないと思いますけれども、それはどうですか。
  60. 篠田弘作

    篠田国務大臣 設置団体の各組合が個別的に事業団理事長交渉するという考え方ではなくて、この事業団職員はそれぞれの身分設置団体にございますし、また大体において設置団体の長が事業団の役員を兼ねておるわけであります。これは先ほど申しましたように、役員のほうも職員のほうも二重的な性格を持っておるわけであります。ですから事業団職員の希望を、設置団体組合がそれぞれの設置団体の長に申し出て、その結果、設置団体の上長が同時にまた事業団の役員をしておりますから、理事会等においてその要望をいれるということは、私は非常に可能である、こういうように考えております。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう道も考えられると思う。しかし、この事業団ができますと、それぞれの市町村の役職員の幹部職員である、たとえば助役さんであるとかあるいは部長とか、そういう人が大体理事長になるわけでしょう。ところがそれらの助役あるいは部長というような人は、それは任命権者は市長であっても、あるいは町村長であっても、その助役あるいは部長が属する事務範囲内において、あるいは助役の場合は市長から委任を受けて交渉するという例があるわけです。それと同じような意味で、理事長に対して、基本的な身分の問題は別です、しかし、事業団の先ほどお話のございました出張旅費の問題とか超過勤務手当の問題に関して、設置者の職員団体がありますが、それが個々ばらばらということではなくて、共同で、かつて助役であった、あるいは部長であったところの理事長に対して、いま申し上げた範囲内に関して交渉する、こういうことは私は望ましいことじゃないかと思うのですが、そういうことはどうでしょう。
  62. 篠田弘作

    篠田国務大臣 それは、先ほど来申し上げたとおりでありまして、実際問題として、事業団職員もそれぞれの設置団体職員を兼ねているわけです。それから事業団の役員も、設置団体の長なりあるいは幹部を兼ねているわけです。だから、何かちょっと違っているように見えるけれども、実際は一つのものだと見てもいい。でありますから、先ほど来申しましたように、身分上以外の問題について、出張旅費であるとか手当の問題とか、そういうものについては、事業団職員の希望は直ちに理事会なり理事長なりに申し出れば、その理事長なり理事会なりは設置団体の代表でありますから、いま山口さんのおっしゃるように実際問題としては話がつく、こういう考えです。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 この際二、三お尋ねをしておきたいことがありますので、大臣なり局長からお願をいたします。  まず事業別予算制度の問題ですが、専業別予算制度ということになっておるとは私も言いませんけれども、今度制度が変わりますことによって、おそらく事業別予算制度の精神が導入されてくるであろう、こんな気がするのです。したがって、それは当面どうなさるつもりであるか。予算上の事業区分による予算編成、そんなような具体的なことを考えてみますと、何か事業別予算制度の流れがこの中に導入されてくるような気がするのですが、何かそれの心がまえかあるいは措置がおありでしたら、この際御発表をいただきたいと思います。
  64. 松島五郎

    ○松島説明員 事業別予算という制度が、アメリカにおいて行なわれているように聞いておりますが、私どもこの内容をいろいろ研究をいたしましたが、勉強不十分でなかなかその内容を理解することが困難でございます。ただ私どものおおむね理解しましたところでは、各区域ごとに一定の測定単位を用いまして、その単位当たりの費用を出しまして、事業量の増加に応じて経費がどう変動していくかというような測定をすることを中心にして予算を編成しようというような仕組のようでございます。しかしながら、実際問題として行政経費のすべてにわたって、今日のわが国の段階におきまして、そういう測定をしながら経費を算定していくということは困難であろうと考えております。またその方式につきましても、私どもも必ずしも確信を得ておるわけでございませんので、いますぐにこういう新しい方式を導入することが、そのこと自体に価値がかりにあるといたしましても、たくさんの地方団体にそういう方式を導入する結果、非常な混乱が起こるということも予想されるわけでございます。そこで、ただいま現在のところで考えておりますのは、やはり従来の款項別の予算にいたしまして、歳出の場合は、款項は現在とあまり大きな変わりのないものにしていきたい。すなわち、教育費でありますとか、土木費でありますとかいうようなものは目的別に款を設定いたしますが、項につきましては、従来は項がきわめてばく然としておりまして、土木費の中の道路費というような一括した形で項が出ておりますのを、道路費のうちでも道路改良費でありますとか、あるいは道路の舗装費でありますとかいうように、項を見ればある程度仕事の内容がわかる程度のものにしてはどうかというようなことで検討をいたしておる程度でございまして、いますぐにいわゆる事業別予算というようなものを導入するということは考えておりません。  歳入につきましては、法律にも書いてありますように、性質別に分けるということは現行どおりでありまして、地方税あるいは地方交付税というような歳入の種類によって分けていく、こういう考え方であります。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 松島さん、人件費ですね。人件費はいままでのとおりですか。道路費とか、それぞれ項目別に分けてしまうのですか、一括して掲げますか。
  66. 松島五郎

    ○松島説明員 人件費の計上のしかたにつきましても、各地方団体で今日の状況を見ておりますと、必ずしも同一ではございません。一応県庁費あるいは役場費というようなところに一括して計上してあるのが一応原則になっておりますけれども、しかし、実際問題として見てまいりますと、教育関係の人件費はすべて教育費に計上しておる。警察関係の人件費はすべて警察費に計上しておるというのが実情であります。また土木関係の人件費等につきましても、工事費、設計監督賞とか、あるいは事務雑費という項の一部で人件費を支弁することの関係上、土木費の中に人件費を計上している団体が相当多くございます。また、土地改良事業費などにつきましても、同様の事態がございます。このように、各地方団体によってあるいは人件費の一部分だけを県庁費にまとめ、あるいは役場費にまとめ、大部分はあちらこちらに分散させておるというような現状のようでございます。  そこで、その区分が必ずしも現在のところでは明確でありませんので、まだ決定はいたしておりません、検討中でございますが、新しく款を設けます場合に、管理的な経費というような款を別に設定いたしまして、管理業務に従事する者はそこに計上する、あと社会福祉関係なら社会福祉関係、あるいは教育費、警察費は従来通りでありますが、そういうようにしてはどうかということで検討をいたしております。しかしながら人件費を幾つかに分けて計上いたしますことは、予算経理の上においてもいろいろ問題がございます。あらかじめ平均単価でもって計上しておきますと、その中に含まれる現実の人が、あるいは高い給料の人であり、あるいは低い給料の人であるというわけでありますので、そうしますと、人件費に過不足がしょっちゅう起きてくるという問題がございますので、その辺の点も考え合わせまして、あまりこまかく分けることはどうか。やはり人件費を目的別に計上するにいたしましても、款の区分くらいにしてはどうかというようなことも研究中でございます。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 それでいいでしょうが、あまりこまかく分けて、人件費がこまかく分かれ過ぎますと、今度はいままでの待遇条件、給与条件に影響のあるようなことにならぬとは限りませんから、これは十分考えていただきたい。  それからその次は、きのうからちょっと問題になっておることでありますが、例の損害賠償の問題でありますが、二百四十三条の二、これはいわゆる予算執行職員等の責任に関する法律というものがあって、その法律表現と、今度の賠償責任の表現とは若干違うように私は見ておるのです。特に検査、監督というのが入ったということ。検査、監督がはっきりと入りますと、早く言うなら、町村の現場監督の職員が見ていて、橋が悪くてちょっとした出水で流れてしまった、だから、橋が落ちちゃったから君直しなさい、こうくるわけだ。そういうことがなきにしもあらず。しかも町、村あたりは監査委員なんか一人ということになるでしょう。一人または二人ですから、まず一人です。一人の監査委員のところに責任を調べろ、そして賠償額を決定しろといっても、それが一人であるがゆえに情状を酌量して無過失、無責任ということになればいいけれども、もちろんそんなわけにもいかないでしょう。むちゃなことにならなければいいが、逆にむちゃなことになることも考えられる。今度の賠償責任というのは少々過酷のような感じがしますが、どんなものでしょうね。
  68. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま御指摘になりました検査あるいは監督職員対象に加えます点につきましては、予算執行職員等の責任に関する法律にならったわけでございまして、国のほうも同様にいたしております。なお、そこまでいくことについては過酷ではないかという御意見、私どももおっしゃいます御趣旨はよく理解できるわけでございますが、理論上から申しますと、そういう場合におきましても、民法上の賠償責任は従来とても追及できることになっておったわけでございます。今回改正をするにあたりまして、これは民法の賠償責任に関する規定適用しないということに割り切りまして、そのかわりこれについての不服申し立てに関する規定を整備いたしたわけでございますから、かりに監査委員の決定について適当でない場合がございましても、その後の手続によりまして救済ができる道を規定いたしたわけでございます。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 それに関連して、一人の町村の監査委員という制度があるのですが、できれば複数制をもって理想とするのですから、また財務会計制度も複雑になっておりますから、できれば二人にするというのが正しいと思う。複数制になったら予算は認めますよ。けれども一人というのはどう考えてみても好ましいものではない、こんな気がするのです。できれば二人制にするように御指導をいただくと同時に、いまの救済という道が開けておるということは、法律的に開けておるということでありまししょうけれども、具体的な適用にあたって、橋のかけかえを町村の監督者にやらせるということはあり得ないと思うのです。大体町村に橋の工法、技術をよく知った人があるはずがないじゃないですか。そんな者まで雇えということはたいへんでございますし、実際工事だとか物の製造についていま完全な知識を持っておる人などはちょっとその辺にあまりないです。どんな会社なり団体にもそうたくさんない。ほとんどないところが多いのですから、あまり検査、監督の責任を過大に問うていただきますと、かえって混乱が起きると思うのです。ですから運用に妙を得るように、現在よりも過酷にならないように、この点の配慮というものは自治省当局としてはなさる御所存でございましょうね。
  70. 佐久間彊

    佐久間政府委員 第一の点でございますが、町村の場合には、条例の定めるところにより二人または一人とするという規定でございまして、一人でなくちゃならぬという定め方をいたしておるわけではございませんので、いろいろ御意見のございました点、私どももごもっともと存じますので、指導にあたりましては、町村でございましてもなるべく二人置くように指導をしてまいりたいと存じております。  それから第二の点でございますが、私どもも、運用にあたりましては職員に対して過酷にならないように十分配意はいたしてまいりたいと思います。  それから、先生のお述べになりました例のように、善意でやりましたものはもちろんこの対象になりませんで、故意または過失のあった場合でございますから、その辺のところも御心配はなかろうと存じておるわけでございます。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 いわゆる精限りまじめに監督、検査をしたが、能力に及ばない点があって瑕瑾を発見することはできなかった、これは責任を問われない、こう理解してようございますね。
  72. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは認定のときの問題でございますが、おっしゃいましたような場合でございますれば、故意でもございませんし、重大な過失にもならないものと考えております。
  73. 太田一夫

    ○太田委員 そういう点は十分に配慮をされて、むやみに職員の責任を追及して賠償ということにならないよう、これは運用上よろしきを得られることを特に希望しておきます。  そこで百九十九条の監査委員の責務でありますけれども、現行法によりますと「普通地方公共団体の出納その他の事務の執行を監査する。」というように「その他の事務」と非常に幅広く表現されていたように思うのでありますが、それが今度は削除されたということから、監査委員権限というのが何か非常に狭まったという印象を与えますが、私は、これは全般を見たニュアンスでは立法の精神がそう狭まったというふうには思えないのですが、何か監査委員権限というものが狭まったというか、在来よりは今度は強化されたのか弱体化されたのか、どちらかということをこの際ひとつあなたのほうの見解をお示し願いたい。
  74. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のように、今回の改正の趣旨が監査委員の機能の充実、強化にあるわけでございまして、ただいまおあげになりました条項につきましても、私どもといたしましては、従来よりも監査委員の職務の対象になる事務範囲が拡張されたものと理解をいたしておるわけでございます。と申しますのは「出納その他の事務」と現行法にございますけれども、これは出納を例にいたして書いておりますように、出納と申しますと現金、物品の出し入れということで非常に狭い意味に理解をいたしておったわけでございます。今回はそれを「財務に関する事務」ということにいたしておりますから、たとえば財産管理というようなことは従来は入らなかったわけでございますが、そうしたものにも広く財務に関する問題として及び得るようにいたしたわけであります。
  75. 太田一夫

    ○太田委員 同様のことでありますが、たとえば現行法の百九十六条においては「地方自治について識見をそなえるもの」というものが監査委員の要件でございましたが、今度は「地方自治について識見」というものが明文からはずされておる。もちろんその「専門の知識又は経験を有する者」ということは、複式簿記になりますから大事なことでありますが、しかし、地方自治の識見というものをはずしてしまうと、地方自治の識見はなくてもいいのだ、たとえば中央集権の識見の商い者、中央につながる地方自治だということをかねがね言っておる人を監査委員にすることはあまり好ましくないと思うのですが、その点はいかがですか。
  76. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この点につきましては、地方自治についての識見を備えていなくてもよいというような趣旨ではございません。ただ、従来よりも財務会計につきまして専門の知識、経験を持った者という気持ちを強く出しますために削ったわけでございまして、専門知識のほかに地方自治について識見を備えた者であることは、これは当然のことと考えておるわけでございます。
  77. 太田一夫

    ○太田委員 それでいいですね。  それから百四十九条で一カ所お尋ねをしたいのですが、たとえば「公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。」というのは、このたびは地方公共団体の長が行なうことができるということになりまして、何か議会の権能が弱体化して、首長の権限が非常に拡大されたもののような感じを与える表現がありますが、これは何か誤解でしょうか。
  78. 佐久間彊

    佐久間政府委員 公の施設は、これは従来営造物と書いておったものでございますが、これにつきましては、第二百四十四条の二の規定におきまして、公の施設の設置につきましては、条例でこれを定めなければいけないということにいたしたわけでございまして、従来は、重要な施設の設置につきましては、議会の単独議決でございましたが、今回はこれを条例できめるということにいたしたわけでございます。  なお、その管理に関する事項につきましても、一般的な定めは、条例で定めておくことになるわけでございまして、その範囲内におきまして、管理することが長の責任ということにいたしたわけでございます。
  79. 太田一夫

    ○太田委員 条例で定められるという点からいって、必ずしも首長の単独権限というものを強化したものではない、こういうお答えであると思います。したがって、さように理解をいたします。  その次に、今度の会計制度の改正によりまして、いわゆる小切手制度が採用されるということ、複式簿記制度が採用されれば非常に事務が複雑化してまいりますが、その事務をやる職員の問題、いわゆる定数増加をしなければならない。定数増加をすれば、基準財政需要額は当然上がるわけでございましょうが、その要る財政的な裏づけは、相当ふえると思います。何十人とふえると思います。こういう人たちの人件費の増大について、財政的なめんどうを見なければならぬし、定数増加も、窮屈でなくやれるだけの人を見てくださらなければ、いまのままで複式簿記をやれといってもやれっこない。その辺の配慮は十分でしょうか。これは来年度からやるのですから、ことしすぐというわけではないでしょうが。
  80. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまお話のございましたうち、複式簿記の問題につきましては、前回もお答えをいたしましたように、本来収益を目的とする企業会計の原則をそのまま一般地方団体の財務会計制度に導入することについては、なお検討すべき問題が幾多ございます。したがいまして、答申にも、やるとしても漸進的にやるようにというようなことが載っていたと思いますが、私どもといたしましても、将来の研究問題としてなお検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いまこの法律が成立をいたしましたからといって、直ちに複式簿記を採用する、そのために人が非常にふえてくるという問題は、必ずしもないものと考えております。  小切手の問題につきましては、現在でも金券というような形のものを発行して支払いが行なわれているわけでございまして、一種のこれは金庫に対する支払い命令のようなものでございますけれども、そういうような制度を小切手に切りかえたからといって、直ちにそのために事務量が非常に繁雑になるというような問題はないのではないかというふうに考えております。しかし、新しい制度の実行によりまして、その他の債権管理の面、あるいは財産管理の面につきましても、規制が相当行なわれるようになりますので、その実態に即して必要な人員並びにその財政措置は、考慮してまいらなければならぬというように考えております。
  81. 太田一夫

    ○太田委員 いま松島さんのお話になった考え方の中に、ちょっとひっかかるのは、今度の改正はたいしたものじゃないんだというような感じですね。たいしたものじゃないから、そう人間もふやさなくてもいいんだ、こういう印象を受ける表現があるのですが、今度の改正だけでも、決して現在の人員に一人か二人追加すればやっていけるというような問題じゃないような気がするのですが、その定員を増加する、したがって交付税上の配慮もするということについては、これはしごくあたりまえのことだと思います。あたりまえのことだと思うが、いままで金券を出しておったから、小切手と金券と一緒じゃないかというようなことをおっしゃると、何も実際上人をふやす必要はないというようなことに通ずるが、相当ふやす必要はあるでしょう。
  82. 松島五郎

    ○松島説明員 いま私がお答え申し上げましたのは、この新しい制度をとることによって実質的に事務の増加してまいります分については、御指摘のとおりふやす必要があろうと思いますけれども、改正によって、すべての条項について人員がふえなければならぬというような事由は、必ずしもないのではないか。その辺は実態をよく調査した上で適切な措置を講じてまいりたい、かような意味で申し上げたわけであります。
  83. 太田一夫

    ○太田委員 実態を調査してみてとおっしゃるけれども、この法案をおつくりになる場合に、調査はできていると思います。調査はできておらなければならない。たとえば府県単位として見てどれくらい人員増を見込んでいらっしゃるか、どれくらい人員がふえると予想されて立法されたか、その辺はどうですか。
  84. 松島五郎

    ○松島説明員 先ほども申し上げましたように、複式簿記をいま直ちに導入するわけでございませんので、複式簿記関係ではそういう意味の増加はないのではないかというふうに考えております。  それから小切手の問題につきましては、現金支払いも一部はできるようになっておりますので、実際どの程度この小切手支払いが運用されていくかという問題にも関連いたしますので、これは、なお今後実態調査もしてみなければならないというように考えております。  それから財産とか債権の管理というような問題につきましては、現在においても、もちろん公の財産なり債権なりを、不十分な状態にしておいていいというわけのものではございませんので、それぞれの団体においては最前を尽くしておられると思います。ただ、今後法律の規制が一そう行き届くことになりますと、それだけ帳簿の整備とか、そういった問題も起きてこようかと思いますが、これも財産の量なり債権の額などというようなものと相対的な関係がございますので、この法律が実施になるまでに十分調査をして、善処をいたしたいと考えております。
  85. 太田一夫

    ○太田委員 一つの例でありますが、東北のある県において測定いたしましたならば、小切手制度に変えることによって、大体財務会計関係で、四十人ないし五十人を増加しなければならないだろうという結論が出た。四十人から五十人が要るだろうという点は一つのめどで、これは正確であるかどうかは別問題として、一つの考え方としてそういうことがいわれたという点は、やはり相当重視しなければならぬと思います。これは三十八年度から実施をするのでありますから、本年度はいいのですが、来年度になりましたときには、もし人員増加の必要がある場合には、交付税上の措置もしなければならないし、人員をむやみに押えるような指導もまずいので、この点は常識を持った御指導があってしかるべきであろうと思います。その点については差しつかえありませんね。
  86. 松島五郎

    ○松島説明員 小切手に切りかえるので四、五十人の人がふえるということをいわれた団体があるというお話でございますが、私どもの考えでは、現金を支払います場合は端数に至るまで一々金の勘定をしなければならないというような手数が、小切手の場合には省かれているわけでございますので、必ずしもそういうような状態にはならないのではなかろうかというふうに考えておるのであります。しかし、この辺はなお先ほども申し上げましたように、実態について十分調査をして、遺憾のないように配慮してまいりたいと思います。
  87. 永田亮一

    永田委員長 門司亮君。
  88. 門司亮

    ○門司委員 もう大体同僚から私の聞こうと考えておったことは聞かれておると思いますので、重ねて聞くこともどうかと思いますが、念のために聞いておきたいと思いますことは、きのう局長その他の方々にいろいろお伺いをしたのだが、一向わからないのは労務管理の問題であります。労務管理の問題はどうなるかわかりませんが、現状では、国家公務員法地方公務員法あるいは公労法というようないろいろな形でおのおの制限を受け、おのおの活動をしておりますが、かりにこの国会にILOの批准が行なわれるということになってまいりますと、現在の組合のあり方は法的に変わってこなければならない、そういう問題が当然出てまいります。そういう場合に、きのうのような答弁で、任命権者とそれから仕事をするもの、いわゆる命令権者というのが違っておる、そして労働者は、自分たちの要求はあくまでも任命権者要求しなければならない、ところが現場における業務命令は他の人から出てくる、それに服従しなければ、当然制裁を受けなければならない。こういう矛盾したというか、複雑怪奇と言っていいほどわからないようなことで、労務管理が完全に行なわれるとは考えられない。したがって事業の性質上、俗に言うならば現場仕事だと思われますので、現場仕事である関係においては、できるだけ労務管理というものはやはりスムーズにやることがよろしいのではないかと考えられるのです。したがって、その間の問題をどういうふうに大臣はこの法律範囲内で円滑に行なわれていくようにできるとお考えになっているのか、その点をひとつお伺いをしておきたいと思います。
  89. 篠田弘作

    篠田国務大臣 この事業団職員は、身分としましては各設置団体、すなわち地方公共団体にあるわけであります。そこで先ほど来申したのでありますけれども、この身分の問題につきましては、地方公共団体組合を通じて交渉する。事業団は臨時的に建設をするものでございまして、それにはそれ相応の労務上の問題がいろいろあろうと思います。たとえば出張旅費の問題であるとか、超過勤務の問題であるとか、そうばらばらであっては困る、こういう問題があります。その場合におきましては、事業団職員として事業団理事長なり理事会などと自由に折衝するということは許されておるし、同時にまた、事業団の役員は設置団体の幹部あるいは長でございますから、そういう点において交渉する場合においても非常に便宜があります。あるいはまた、そういう問題については、あらかじめ事業団理事長あるいは理事会と相談をするというふうに設置団体において申し合わせておいても十分できる。ただし先ほど来議論になりましたが、事業団の中に地公労法によるところの組合をつくるということは、地公労法組合員はいろいろな条例によって規制されておりますから、事業団は議会を持っておりませんし、したがって条例をつくる権限もないわけでありますから、それは運営の面において十分その目的を達成していく。  それからILOとの問題につきましては、ILOの精神そのものは、議会のきめた条例に従っていくということでありますから、ILOとの関係はあまり大したことはないだろうと思います。
  90. 門司亮

    ○門司委員 そこで問題になるのは、二つないし三つ、四つというような、団体がおのおの違いますから、したがって違うところの規制を受けて待遇その他はきめられる。仕事のほうの命令その他は、現業であるこの事業団理事長から業務命令等が出てくる。いずれ業務命令が出るというようなときは何か問題があるときであります。そのときに業務命令を出して、労働者のある一定の権利をこれで束縛して、そうして片方は仕事をやらせようとする、片方はその前に一応責任者に対して交渉をして、そうしてものの解決をはかっていこうとするような場合に、非常に妙なものができて仕事にならないのじゃないかと考えられる。本来、仕事をする者と命令権者というものと、それからもう一つの雇い主といいますか、使用権を持っておる者とこれが違っておったのでは、そこによほどはっきりした協約、はっきりしたものがなければ運営上非常に困難であります。このことは私身をもって体験しておるのであって、私はかつて駐留軍の労働組合の責任者をやっておりましたが、駐留軍の労働組合というのは、雇い主が日本政府である、そうして仕事の命令をする者はアメリカ人である、同時に給与を払うのはアメリカ人である。したがって、日本の労働者は日本政府に対していろいろな要求をする、しかし、日本政府がこれをよろしいと言っても、アメリカ軍がこれを拒否すれば実行はできない。法律のたてまえからいけば、国家公務員に準ずるということにちゃんとなっておる。また協約もそういうふうに協約してきた。しかし、運営の問題については、非常に複雑な問題が出てくる。これと今度の場合はちょうど逆である。任命権者がほかにおる、自分たちを任命しておるいわゆる直接の関係者はほかにおって、直接の関係者でない事業団理事長というのが業務に対しては業務命令を出してくる。逆である。したがって、その間にどうしてもトラブルが起こらないわけにはいかないと私は考える。だから、もしこういう法律をこしらえるのなら、この労務管理の面において何らかそこに協約を結ぶことができるとか、あるいは労務管理についてはどうするというような条文が入っていないと、このままでは私は非常に困難になりはしないかと考える。いよいよ現場にぶつかってみて、しかも三つも四つもありますから、所属している自治体でかりに争議が起こるというようなことになっても、そこに所属している人間であるから、その組合の命令に従わないわけにはいかない。私はこっちに行っているのだから特別だというわけにはなかなかいかないと考える。そうなってくると、事業団の中で、ある一部分は組合の命令に従って動く、他の諸君は、組合でそういうことをやってないから、そのまま事業団仕事をするというような妙な問題ができはしないか。そういう場合に、一部の人に業務命令を出して、この業務命令には従わなければならない。しかし、その業務命令を出した人は交渉の相手方にはならない。こういう労務管理上のやっかいな問題は、いまの大臣答弁だけではうまくいかぬと思う。ILOの条約がかりに批准されてまいりますと、どの程度かわかりませんが、今日の公務員諸君の身分あるいは権利というものが変わってこなければならないと思う。われわれの要求するように、団体交渉権、罷業権ができればいいのですけれども、あるいはそうでないかもしれない。しかしまたできるかもしれない。そうした場合のことをやはり予測して、この法律は現在の時点ではもっと労務管理が完全に行なわれるように書いておいていただかないと、いたずらに困るのは労務者である。働く者であるということになろうかと思いますから、いまのような答弁でなくて、その間の事情をどういうふうに考えられるのか、もう少し詳しく説明をしていただきたいと思います。
  91. 篠田弘作

    篠田国務大臣 三つあるいは四つの団体から職員派遣される、しかしながら、何も四つ、三つの団体から派遣されたからといって、事業団に入ったら待遇が同じでなければならぬということはないわけです。団体から派遣するときに、事務員を派遣することもあるだろうし、技術者を派遣する場合もあるだろう。技術者の中でも高級技術者を派遣することもあるだろうし、そうでない中級あるいは下級技術者を派遣するという場合もありますから、来るときにすでに条件によって待遇が違っております。この場合、その待遇までも事業団であるから一緒にしなければならぬということは理屈に合いません。どこへ行ってもこれは同じです。ただ、一つの事業団に入って、それぞれの身分の者が出張の場合、甲の設置団体では一等車に乗れる、しかし乙の設置団体では二等車にしか乗れないというのでは困るから、やはり事業団としての主張旅費であるとか超過勤務手当というものは平等にしなければならぬ、こういうことでありますから、待遇の問題につきましては、先ほど申しましたように、その所属団体におけるポストまたその仕事、そういうものによってきめていってちっとも差しつかえない。それから業務命令を出すといいましても、何も一般的な業務命令ではなくて、いわゆる事業団としての命令を出すわけであります。したがいまして、その事業団の内部におけるいろいろな特殊事情についての交渉は、事業団の長である理事長あるいはその機関である理事会というものと当然やって差しつかえないし、またその理事長なるものが、先ほどあなたが例にあげられた駐留軍と日本政府というような、そういう違った性格のものではなくて、同じ一つの設置団体というものから出ておりますから、それは何もばらばらなものにはならない、私はそういうふうに解釈しておるわけであります。もし事業の途中においてストライキのようなものが起こった場合に、その所属しているある者はストライキに参加し、あるものは参加しないというのはおかしいじゃないかということになりますが、しかしそれは一つの慕情でありますから、そういうものが起こるか起こらないか、起こったときに考えてみても——何も、新しい仕事を挙村一致あるいは数カ町村が一致してやろうというときに、ストライキを起こすような条件がそこにあるかないか、そういうことはそのときにきめたらいい、こう私は考えております。
  92. 門司亮

    ○門司委員 非常に安易にお考えになっているようですけれども、この労務管理の問題だけは、かなり綿密に遺漏のないよりにしておきませんと、損害をこうむるのは働く者でありますから、問題が起こったときにやればいいと言っても問題が起こったときにはなかなかやれぬのです。そういうときに法律を出したり、あるいは政令を出したり、あるいは各自治体で条例を出すというわけにはなかなかいかぬのですよ。だから、少なくともここに道をあけておく必要がある。あるいはこのままの法律で通すならば、労務管理についてはもう少し大別からはっきりしたことを聞いておかないと、問題が起こったときに処理すればいいということでは、これは法律を審議をする必要は毛頭ない、おまえさんのうほでかってにやりなさい、悪ければあとで直すからということでは、これは法律の審議の必要はないと思うのです。せっかくわれわれは法律を審議しておるのでありますから。私がいま申しましたことは、要するに仕事をする現場の責任者というものの身分、雇い主である者の身分と働く者の身分とがばらばらになっておったのでは仕事にはならないと私は思う。やはりその身分はできるだけ一つにする必要がある。これは全部出向だとおっしゃるなら、それでもよろしい。しかし昨日も申し上げたのでありますが、またもとへ戻すという手は幾らでもある。何も出向で出なければならないという筋合いのものでも何でもない。働く者の身分の保障というのは、昨日も申し上げましたが、たとえば町村合併促進法の中にも、いろいろの問題で条例でできるとかいうような場合がありましても、この法律の施行にあたっては、働く者に対して不利益な処分をしてはならない、むやみに首を切ってはならないというような条文がちゃんと入れてある。そうして身分が保障してあるのだから、この法律でも、出向によってそういうややっこしいものをこしらえることがよろしいのか、あるいは出向はむろん出向でありますが、身分をはっきりして、そうして一つの団体として、使う者と使われる者との間柄というものははっきりして、なお解散その他の場合に待遇を悪くしてはならないというような規定を設けていけば、何も問題がないじゃないですか。事例がないわけではない。そうして働く者の身分というものをはっきり保障して、安心して働けるような職場をこしらえるということがこの際必要ではないかというようにどうしても考える。だから、その点をひとつもう少し明確にしておいていただきたい。
  93. 篠田弘作

    篠田国務大臣 労務管理の必要は門司さんのおっしゃるとおりであります。しかしながら、このいわゆる事業団というものは、身分設置団体にあって派遣されておるのでありますが、その地方公務員地公労法によって組合問題についてもいろいろ制限があるわけでありますから、そういう条例というものは事業団ではつくれない。だから、いまの法律もとにおいてはそういう組合というものはできません。かりに、もしこれを公団方式によって全然町村から独立させるということになって、事業団が独立すれば、それは民間の団体でありますから、民間のいわゆる労働組合というものはできるでありましょうが、その場合においては地方公務員としての身分を失ってしまう。ややっこしいとおっしゃるけれども、ちっともややっこしくないと私は考えるわけであります。
  94. 門司亮

    ○門司委員 これで押し問答しても始まらないのですが、出向された労働者身分、それから持っておる権利というようなものは決して失われるものではない、また悪くなるものでもない。そのことのためにいろいろな問題が起こるかもしれない。私は必ず起こってくると思う。現場でありますから、机の上で仕事をしておるのとは違いますから、起こってくると思いますが、かりにそういう問題が起こるとしても、派遣された団体職員身分、あるいは待遇、あるいは権利というものは、仕事が変わっても何ら不利益を受けないのだということは、大臣ははっきり保障するということは言い過ぎかもしれませんが、そういうことになっておると解釈してもよろしゅうございますか、もう一ぺん念を押しておきます。
  95. 篠田弘作

    篠田国務大臣 そういう不利益を受けるというようなことは絶対にないようにいたします。またそういういろいろな、門司さんのおっしゃるようなトラブルが起こり得るであろう、人間の社会ですから、起こらないということは絶対に言えませんが、そういうふうな場合にも、運営上の指導によりまして、十分にこれを不利益のないように解決していく。もう労働者の権利を守るということは基本的な人権に属する問題ですから、事業団ができたということによってそこに従事する労働者が特に不利益を受ける、そういうようなことは絶対にやらせない方針でおります。
  96. 門司亮

    ○門司委員 その他これ以外に少し聞きたいことがありますが、大体質問が終わっておりますし、採決に入るそうでありますから、省略いたします。最後に、私は聞き漏らしたのが一つありますから、これだけ聞いておきます。  一番最後の条文に書いてあります町が市に昇格するということが、法律の文面から見ると時限法になっているように見受けられる。この次の昭和四十一年の国勢調査までの間にと書かれているが、むしろそういう条文ははずしたらどうですか。また五年後にはこういう問題が起こりますよ。こういうものをこしらえたのは、特例ということではなくて、むしろ五万になればいつでもなり得るような道を開いてあげておいたほうが、こういう法律をつくるなら親切だと私は思う。いまかりに、三十五年から四十一年の間のものだけはこの特例で市になれる。しかし四十一年過ぎたら、やはり五万になっても市になれないというようなおかしな法律はこさえぬほうがいいと思う。むしろはずすなら四十一年もはずして、大体推定人口というと悪いのですが、法律に書かれているようなことで五万以上人口があるということが確認されたら市になる手続をとることができるようにしておいてあげたほうが法律のていさいもいいし、そのほうが親切だと思う。また四十一年になればこれと同じような問題が起こる。大臣はそんな考え方はないでしょうけれども、何かいま役人には、自治体に対して恩を着せるような行き方、現在、三十五年から今日までの間に五万以上になっているから、市になれるものを、特別のものだけを引き出して、それに恩を着せて、おまえのところだけは特別に市にしてあげるのだというような感じを持たせることは、法律のていさいも悪いじゃないか。むしろ私は、これは削ったほうがいいと思うのですが、大臣のお気持ちはどうなんですか。
  97. 篠田弘作

    篠田国務大臣 原則としましては、ただいま門司さんおっしゃったように、五万以上になった場合において、これは国勢調査の結果を待たないとできないものですから、いまいろいろな地方におきまして、実際問題として五万に——国勢調査のときは五万ではないけれども、いま五万になっておるのだ、だから市にしてくれという、そういう要求が地方から起こっているわけであります。こっちのほうから恩を着せて、おまえのところは五万であるから、国勢調査を待たないでしてやろうというのではなくて、実際問題として、地元のほうからそういう問題が起きてきている地方があるわけです。そういう意味において、特例として、この場合そういう地方の要望もいれるということがいいんじゃないかということで入れたのであって、原則としてはやはりあなたのおっしゃるとおりのほうが筋が通るわけです。しかし、地方の要望というものもまた無視できない、そういう点から、今回だけ特例を設けた。しかし、これも上から何も恩を着せたのではなくて、下のほうからぜひやってくれという要望にこたえた、こういうことになっております。
  98. 門司亮

    ○門司委員 私はその考え方がおかしいと言うのです。それなら、四十一年過ぎたら、陳情があればまたこんな法律を書きますか。これは陳情政治を政府が奨励するようなものですよ。陳情政治はいけないいけないと言っておいて、陳情してくれば法律を変えてあげる、陳情してこなければ法律を変えないのですか。それじゃ筋が通らぬと思うのです。いまの現行法にあるように、現行法にはちゃんと最近の国勢調査ということが書いてある。「最近の国勢調査」と書いてあるから、国勢調査以外にはない。その法律を、陳情があったら特例をこしらえようといって、認められるなら、四十一年から先に陳情があれば、また認めますか。四十一年にもう一回改正されるということは約束されますか。こういうおかしな法律をこしらえるのがおかしいと言うのです。もう少しはっきりして、いま陳情があったら許されるなら、四十一年を過ぎても、そういうことをしてあげればそれでいいじゃないですか。そういうややっこしい、陳情がなければ市になれないということは、やめたほうがいい。やはり地方の自治体が法律に基づいて自由にやれるようにしておいたほうが、自治権を尊重するゆえんだと思う。
  99. 篠田弘作

    篠田国務大臣 これは、いま申しましたように、次の国勢調査までの特例であります。陳情が悪い悪いと言うけれども、陳情を受けるじゃないかというお話でありますが、私は陳情が全部悪いとは思っておりません。合理的な陳情もあるわけです。また中には、非常に町村民の税金を使って不必要な陳情もあるわけであります。行き過ぎた陳情はよくないですけれども、いわゆる国民の請願権に基づくところの合理的な陳情ならば、これは政府として、古いことばで言えば民の声を聞くといいますか、地方の声を聞くということは決して悪いことではない。陳情されたからやるというのではなくて、そういう要望にこたえて、いろいろ研究してみた結果、その要望が妥当であるということであるならば、それは聞いたってちっとも差しつかえない、それがやはり政治というものじゃないだろうか。ただし、いま申し上げるように、こういうことをずるずるといつまでも続けていくというのではなくて、来たるべき国勢調査までのいわゆる特例としてこれを認めていく、こういうことでありますから、何もそう秩序が乱れるとか政治の筋が乱れるとかいうことはないだろう、こういうふうに思っておるわけであります。
  100. 門司亮

    ○門司委員 私の考え方大臣考え方と食い違っていて困るのです。私は何も陳情が悪いとかいいとか、大臣の処置がいいとか悪いとか言うのではない。現行法でできないから特例でおこしらえになるのでしょう。そうすると、いま陳情した人だけが正しいのであって、四十一年から先に陳情する人は正しくないのですか。四十一年から先に、四十一年の国勢調査のときは五万でなかったが、四十三年になったら五万になったからというところができてくる。その場合に、陳情が来ればまた四十三年に法律を改正されますか。地方自治体の要求がもっともであるとするならば、私はその要求は恒久的な法律でしたほうがいいと言うのです。無理なことをしないほうが私はよろしいと思う。私は、こういう役人が法律をもてあそぶようなことはきらいです。きらいであると同時に、法の権威に関すると思う。法律は、やはり全体のものに適用されるような法律をこしらえておかないと、特例だ特例だといって、どこまでも限りがない。しかもそれが特例だということで処置される。私は、ほんとうに自治省の諸君がこの法律をこういうふうにして、そして国勢調査のときは五万でなかったが、その間に五万になったのが市に昇格したいと言ってきているからということでこれを昇格することを認められるなら、いまの法律をせっかく改正していくのだから、時限法でなく書き直して、そしていま認められようとしているように、制度の上で市に昇格することのできるように法律を直しておけば、今後法律を変える必要もなければ、また地方から陳情を受ける必要もない。いまの陳情が正しい、四十一年から先の陳情はおかしいのだという理屈も立たぬでしょう。同じ条件で陳情してくれば、同じように認めないわけにはいかぬでしょう。そのたびごとに法律を変えていくということは、私は法の権威の上から考えてもどうかと思う。われわれが審議する上から考えてもどうかと思う。そういう場当たりのものであってはならないから私は大臣に聞いている。私は、どうしてもここは四十一年というような時限法でなくて、法律を変えられたほうがここまでくればよろしいのではないかというように考えるから質問をしている。その点、ひとつ間違いないようにしてください。
  101. 篠田弘作

    篠田国務大臣 門司さんのお話は、特例法なんというものはつくらないで、人口五万に現実になったならば市になれるようにしたらいいじゃないか、こういう御意見でしょう。そういう御意見は、私もこれは一理あると思います。しかしながら、ほかの面におきまして、たとえば議員の定数というようなものは人口を基礎にしておる。その人口は何によって割り出しておるかといいますと、国勢調査によって割り出している。だから、議員の定数をきめるときには国勢調査の人口を用いる、しかるに市にするときは、いまあなたのおっしゃったような自然にできたものを用いるということで、そういう筋の違った法律を二つつくるということは、やはり法律のたてまえ上適当ということは言いにくい、いけない。そこで一方のほうは、原則としてはみな国勢調査によるのだけれども、特例法としてある期間これを認める、こういう形にしたのであります。だから議員の定数を自然に、ふえたのならそのまま定員をふやしていくというような措置をとっていくのなら、そのほか議員ばかりじゃありませんが、いろいろたくさんありますが、国勢調査の人口によるものが非常に多いという関係から、これをあなたの言うようにはいまのところできにくい。そこで暫定的な一つの特例法として認める、こういうことになっているわけでありまして、この間の事情はあなたもよく御存じのことであろう、そう考えるわけであります。
  102. 門司亮

    ○門司委員 これ以上聞きません。こんな議論をいつまでしておっても始まらない。  そうすると、今度市になったところは、全部ただ名称だけが市になっているのであって、町長さんは依然として、町長さんというわけにいかぬでしょう。町会議員が依然として町会議員だというわけにいかぬでしょう。市になった以上は、市会議員と名前を変えるか、あるいは市長という名前に変えないわけにいかぬ。だから、定数の問題を云々されますが、そういうあいまいなことで、陳情があったからそれでは名前だけ市にしてあげようというのなら、それはほんとうに住民のためにやっているのか、あるいは町長さんの肩書きを変えるためにやっているのか、町会議員の肩書きを変えるためにやっているのかわからないのですよ。私は、地方の自治体がほんとうに住民のための自治体であり、住民の自治であることに間違いないとするならば、名実ともに市になるなら、市民もそういう形で市政というものの執行のできるように、そして市としての十分なる形を整えていくことのできるようにしてあげるほうが、自治行政の上からいけば正しいのじゃないか、こういう問題がどうしても考えられるのです。ほんとうに地方の住民の意思というもの、地方の住民の幸福というものを考えてくれば、法律を変えることはそう困難ではないはずである。市会議員の定数がいま国勢調査によっているからと言うけれども、これを変えるならば何でもないことである。市になったならば、市の人口の比率というものは法律に書いてあるのであるから、その人口によって市会議員の数をおきめになればいい。ちっともむずかしいことはないのです。念のために聞いておきますが、この場合に市会議員の議員の定数あるいはその他は変えられないのですか。ただ市になったという、名称だけが変わったということで、その他の施設は一切市としての待遇を与えられない、市としての処置はとれない、ただ名称、肩書きだけが、町長さんが市長さんになり、町会議員さんが市会議員さんになったというだけのことでこういう法律を変えなければならぬのか。私はそうじゃなかろうと思う。やはり市になった以上は市としての体面、市としての待遇、市としての権利というようなものがつかなければ、市になったってこれは何もならぬのです。法律を出したってほんとうに何にもならぬのです。そういうことがあるとするならば、私はこの際思い切って、こういう中途はんぱなものでなくて、法律を変えるところは十分変えていくということのほうが自治体に対しては私は親切だと思う。同時に地方住民に対しても、それのほうが正しいのだ、また地方住民もそれによって幸福が得られるのだというように考えられる。そういう点はどうなるのですか。いまのような答弁だとちょっと困ります。
  103. 篠田弘作

    篠田国務大臣 町長が市長になったり、商工会が商工会議所になったり、町会議員が市会議員になったりすることのためにやっているというふうにとられがちでありますが、そうではないのでありまして、町村合併によりまして三万以上の市がたくさん全国にあることは御承知のとおりであります。だれしも村よりは市のほうがいろいろな面において便宜があります。たとえば、ある町の商工会の会員として東京方面と取引をする、大阪方面と取引をするということよりも、何々市の商工会議所なら商工会議所の会員として取引をするということのほうが、ずっと信用もあるし、そういう生活上、経済上の問題もいろいろありまして、現在五万以上でそういうことを希望しているところが四つばかりあるわけであります。三万でも市になっているところがあるのに、自分のほうは五万でも市になれないということは不公平じゃないか。そういう住民の要望というものは自然発生的に起こっている。しかもそれは相当強い要望がある。だから、町村合併であれば市にするけれども、住民の要望であれば五万でもしないというようなやり方は不親切ではないか。門司さんのような理屈もあります。ないとは言いません。しかし、それはやはり人間の考え方でありますから、私はそういう住民の希望というものは当然起こってくると思う。よそは三万で市になっている、自分のほうは五万でも市になれない。市と町ではいろいろ世間の待遇も違いますし、いろいろな面において違ってきます。施設とかその他の面においても違ってきます。そういうことでございますから、住民がむしろそれを熱望している。従来の例を見ますと、市に対する昇格というような問題は、先頭に立ってくるのは町村長とか議長でありましょうけれども、しかしそれをほんとうに熱望しているのはだれかというと、住民が熱望している、私はそういうように解釈する。この問題については、幾ら議論しても私は際限ないと思いますが、地方住民はそういうふうに熱望しておる。その熱望というものにこたえて特例法を設けたということで御了解が願えないものでしょうか、こういうふうに考えます。
  104. 門司亮

    ○門司委員 私は、いまの大臣の意見をすなおにとってくれば、なおさら時限法にしないで、四十一年後も五万以上になれば市になれるようにしておいてあげた方が住民に対して親切だというのです。私は大臣の言っていることと反対を言っているわけではない。むしろ大臣のような意思ならば、四十一年なんという時限をとって、五万以上になったらいつでも市になれるようにしておいてやった方が親切だと思うのに、どうして時限法にしたかということを聞いておるのです。  もう一つは町村合併のときの経過がある。町村合併のときには、経過的に三万をこえたならば市にするということになった。おのおの法律その他についての歴史的の経過がある。そういうものを一切がっさい忘れて議論しておったら、いつまでたっても議論できやしません。これを時限法にされた議論は、どこまでいっても私にはわかりません。考え方が同じであるとするならば、私の考え方のように、時限法でない法律にしておいた方が、はるかに大臣の意思は通るはずであります。そうすれば、大臣のお考えのとおりに、四十一年から先も市になりたいところはどんどん市になれるのであるから、住民の意思は十分に尊重される。この法律でいけば、四十一年以後はどんなに市民諸君が市になりたいといって要望しても市になれません。その次の国勢調査を待たなければ市になれないでしよう。それでは大臣の意思と反する。私は大臣の意思を尊重するためにも、私の意見のように時限法でなくして、五万以上になればいつでも市になれるようにしておいていただきたいということであります。
  105. 佐久間彊

    佐久間政府委員 このような心眼法の形にいたしました理由につきまして、補足して申し上げたいと思います。先生の御承知のように、市の人口要件の基準といたします調査につきましては、ある期間今回の改正のように国勢調査によらないで、そのつどの指定統計調査の結果によって差しつかえないという制度にいたしておったことがあったわけでございます。しかしそれにつきましては、およそ国の制度といたしまして、それぞれの法律に出ております人口の基準がまちまちな時点における調査でいくことは適当でない、こういう特に統計委員会からの強い建議がございまして、そこで各法律につきまして、原則として国勢調査の結果によるということに改められたわけでございまして、地方自治法も、そのとき現行法のように国勢調査によるということに改正がなされたわけでございます。したがいまして、そのたてまえというものは、今後やはり踏襲していくべきものだというふうに考えておるわけでございます。今回、先ほど大臣から御説明のございましたような事情で、地方からの要望もございましたし、私ども検討いたしました結果、それらのものにつきましては、臨時的な措置として救済をして、布になれる道を開いておく方がよかろうということで、次の国勢調査の結果がわかります時期まで押えまして、指定統計調査の結果によることができることにいたしたわけでございます。そのような原則的な考え方に立っておりますので、これは、今回当面の必要に応ずる暫定的な措置として規定をいたすことが適当であろうという考え方で、このような立案をいたしたわけでございます。
  106. 門司亮

    ○門司委員 これは答弁は要りません。議論したってきりがない。町村合併というものには期限があるのです。町村合併促進法というものは時限法ですから、その期限の中で処理される問題だから、私はそういう問題にはこだわらない。しかし今回の問題は、基本原則をくずしているのです。そうして便宜的にはかっている。だから私は、四十一年以後にもまたこういう時限法を出さなければならないことが必ずくるというのです。だから、こういう形で臨時の法律を始終出すというようなことをするなら、むしろ原則原則として、これが何が何でもくずせないものじゃないので、ここで幾つかのものが市になるのですから、そうすると四十一年後も市になれるような道を開いていただいたほうがよろしいのである。そうするならば、原則原則と言わないで、法律を書き変える必要があるのじゃないか。そのほうが親切だ。また四年後には必ずこれと同じような法律を書かなければならぬでしょう。そうすると、法律だけが、条文だけがふえていって困りはしませんか。こういう法律は川十一年になったら失効するのですから、そうすると、川十二年にはまた同じような法律をここにこしらえる。その次、五年たつ問にまた困るから、その次五年たったら、また同じような法律をこしらえなければならぬ。法律が年百年じゅう消えたり頭を出してみたりするようなことでなくて、こういうことをされるなら、法律を根本的に改正することのほうが地方住民のためには親切だ。そうすれば陳情もなくなるし、一切のものが片づくのである。だから、ほんとうに今日の地方自治体に親切にしてあげようとするなら、こういう法律の形でなくて、根本的にこれを改正していくことのほうがよろしいのじゃないか。今度やるならやれるはずです。これ以上答弁を私は要求いたしませんが、私の気持ちとしては、こういう法律の取り扱いについては、当局も今後気をつけてもらいたいと思います。
  107. 永田亮一

    永田委員長 他に質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  108. 永田亮一

    永田委員長 これより本案を討論に付するりでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  地方自治法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  110. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  111. 永田亮一

    永田委員長 この際、委員長の手元に、小澤太郎君、阪上安太郎君及び門司亮君より本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。阪上安太郎君。
  112. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきまして、私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。  まず最初に案文を朗読いたします。    地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本法の施行にあたり、政府は地方自治の本旨をそこなわないよう、次諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、分担金徴収条例の制定、改正に関する機会の審議にあたっては、つとめて公聴会制度を活用し、真に利害関係を有する者及び学識経験を有する者の意見を反映させるよう指導を行うこと。  一、地方開発事業団制度新設の趣旨に沿い、いわゆる地方公社等はその性格等につき、充分検討を加え適当なものについては、地方開発事業団に吸収するよう適切な行政指導を行なうこと。  一、地方開発事業団職員身分、取扱いに関する法制上の特殊性を考慮して、適正な労働条件を確保しうるようその処遇につき充分の措置を講ずるよう指導すること。   以上が案文でございます。  次に、その趣旨を御説明いたします。  まず第一点は、現行法では、分担金徴収条例の制定、改正にあたり、必ず議会審議の過程で公聴会を開催しなければならないこととされておりますが、この公聴会開催の手続が非常に煩瑣であるため、地方公共団体においては分担金徴収条例の制定を回避し、本来分担金として徴収するものについても寄付金の形で徴収し、いわゆる税外負担の問題を助長する風潮を生んでいたのであります。したがって、今回条例制定にあたり、公聴会開催の要件をはずし、議会の自生的判断により任意に開催することと改めたのでありまするが、しかし分担金徴収条例の制定にあたり、公聴会開催の手続は簡素化するといたしましても、公聴会を開き、真に利害関係を有する者及び学識経験を有する者の意見を聞き、その内容の適正を期する必要性は、現在も将来も少しも変わらないと考えるのでございます。そこで、条例の制定にあたっては、つとめて公聴会制度を活用するよう指導すべきであります。  その第二点は、地方開発事業団制度の新設に伴い、今日まで各地方公共団体が任意に設立してまいりましたいわゆる地方公社と事業団との関係はどうなるのか、地方公社はどうするのかということが今後の大きな問題点の一つでございますが、地方公社等は、資金関係事業内容が全く住民の監視のほかに置かれ、統制できないという大きな欠陥がございますので、地方開発事業団新設の趣旨もとより、地方自治の本旨をそこなわないためにも、地方公社等は、その性格等につき今後十分検討を加え、適当なものについては地方開発事業団に吸収するよう適切な行政指導を行なうべきであるということであります。  次に第三点でありまするが、地方開発事業団職員につきましては、事業団建設事業のみを行ない、完成した施設または土地は設置団体に移管すること、また事業団は、受託事業の完了に伴い当然に解散されるものであること等の事由により、人事管理面を考慮して専属の職員を置かず、事務の執行を設置団体職員をして行なわせることといたしておるのであります。このため、事業団職員は、設置団体事業団の双方の職員身分をあわせ有しておりますが、事業団職員に関する公務員法上の公務員関係は、当該職員の属する設置団体との間にのみ生ずることとされておりまして、安定した人事管理を行なうためには種々の配慮が必要と考えられるのであります。そこで政府におかれましては、地方開発事業団職員の寸分、取り扱いに関する法制上の特殊性を考慮して、適正な労働条件を確保し得るよう十分の指導を講じられたいのであります。  以上が本決議案の趣旨であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
  113. 永田亮一

    永田委員長 本動議について採決いたします。  本動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  114. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本案は小澤太郎君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、篠田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。篠田自治大臣
  115. 篠田弘作

    篠田国務大臣 地方自治法の一部を改正する法律案に対するただいまの附帯決議につきましては、附帯決議の趣旨を十分に尊重いたしまして善処いたしたいと考えます。     —————————————
  116. 永田亮一

    永田委員長 おはかりいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十九分散会