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1963-03-01 第43回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月一日(金曜日)委員会において、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  地方税法の一部を改正する法律案審査小委員       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    大沢 雄一君       久保田円次君    高田 富與君       太田 一夫君    二宮 武夫君       山口 鶴男君    門司  亮君  地方税法の一部を改正する法律案審査小委員長                 小澤 太郎君     ————————————— 昭和三十八年三月一日(金曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 大上  司君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君 理事 二宮 武夫君       宇野 宗佑君    大沢 雄一君       大竹 作摩君    金子 岩三君       久保田円次君    田川 誠一君       前田 義雄君    松井  誠君       山口 鶴男君    和田 博雄君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (税務局長)  柴田  護君         消防庁長官   藤井 貞夫君  委員外出席者         自治事務官         (税務局府県税         課長)     降矢 敬義君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)   佐々木喜久治君         自治事務官         (消防庁教養課         長)      上川  澄君         自治事務官         (消防庁予防課         長)      雨宮正太郎君         専  門  員 曾根  隆君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長の選任  に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇一号)  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第八  五号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 地方税法改正の骨子について二、三お尋ねをしておきたいと思いますが、第一にお尋ねしたいのは住民税であります。  昨日の委員会におきます宇野委員質問に対しまして、自治省当局は、住民税の弾力的な性格そのものに将来の地方団体財政上の弾力性をも調和きしていきたい、いわゆる地方財政が弾力的であるためには、地方住民税が弾力的でなければならないというようなお話があったのでありますが、私は、いささかこれは問題じゃなかろうかと思うのです。地方住民税弾力性があるということは、地方団体が金に困れば住民税を高くとればいいじゃないかということにつながるわけでありますから現在苛斂誅求の見本である住民税を安くするという感じを与えないで、高くとれる場合もあり得るという感じ国民に与えたことは、自治省当局として当を得たものではないと思うのですが、その点もう一度御所存のほどを承っておきたいと思います。
  4. 柴田護

    柴田政府委員 私が、きのうお答え申し上げましたのは、税制というものを考えます場合に、どういう形が望ましいかという姿から、住民税をどう考えるかという点につきまして触れたのでございます。決して現在の住民税がけっこうな姿であるということを申し上げたつもりではございません。
  5. 太田一夫

    太田委員 だから、現行住民税を高める考え方はないという内容に聞いてくれという話だとするならば、現行住民税そのもの一つは肯定をしていらっしゃることになるわけですが、現行民税という中には、ただし書き方式をみだりに乱用している傾向もあれば、それからいわゆる比例税率という都道府県民税が非常に問題だ、悪税だという議論もあることだから、その弾力性云々ということにからませるんじゃなくして、現行住民税には大いに改革しなければならぬものがあるんだということをあなたにはっきり言っていただかないと、自治省考え方国民の願望が全然合わないことになるのです。そこをもう一ぺん、あなた、責任者としてどうですか。
  6. 柴田護

    柴田政府委員 誤解を招くような発言をいたしましたことは申しわけないと思いますが、私は、お話しのように、今日の住民税について改革すべき点が多々あるということは、全く同感でございます。従って、またそういう方向でこれをどう合理化するかという問題につきましては、私たちは私たちなりの姿において肝胆を砕いておるつもりでございます。きのう申し上げましたのは、制限税率をどうするかという問題に関連をして、税制の姿として考えます場合に、今日住民税につきましては、所得税市町村民税都道府県民税を通じまして、制限額の規定がございます。その制度を改めて制限税率を置くということについては、税制建前からいろいろ問題があるということを申し上げたのでございまして、その点につきまして誤解を招いたのでございますれば、そういう意味じゃなかったということを再び申し上げまして、御了解を得たいと思います。
  7. 太田一夫

    太田委員 そうでなければ、現在の日本の国の一番いい面である地方自治の花をあなたたちが咲かせないでしまうようなそしりを受けることになるので、できる限り今皆さんのおやわになっていらっしゃる地方自治の御指導は、地方自治を伸張する反面、地方住民福祉を向上させるということが基本にあるはずだから、あまり地方民に失望を与えるような政策は極力おとりにならないようにお願いいたしますと同時に、あなたたちもそうお考えになっておると思いますので、その点についてはいいのですが、どうも税務局長の話と大臣の話は、あらゆる場合において少し違うのです。これは藤田次官がいらっしゃるから、次官大臣にかわって答弁していただきたいと思います。その一つの例は、今度、三十九年に行なわれる農地等固定資産の再評価問題に関連して、二十七日、衆議院予算委員会大臣お答えになったことなのですが、そのときは、わが党委員質問に対しまして、篠田自治大臣は、こういうことをお述べになった。新聞記事ですから、まだ正確な議事録を手に入れておりませんので、若干違いがあるかもしれませんが、こう報道しております。「農地固定資産評価額が高くなったからといって、その土地からの収益がふえるわけではなく、営農している人にとってその土地から受ける利益は同じだ。従って売買で土地が高く売れたときは別として、その農地で生産している場合には当然営農が行き詰まるようなことはしないこういうふうに大臣はおっしゃった。それに対して、税務局長のおっしゃったことは、「固定資産の再評価については試案を地方団体に示して意見を聞いている段階だし、」「はっきり言うわけにはいかないが、固定資産のうち農地についてはそう上がるとは思っていない。」こういう言い方をお二人がなさっておるのですよ。これは政策的に片方は白だと言い、片方は黒だと言い、白だと思いたい人には白を示し、黒だと思いたい人には黒を示すというような、まことにもって奇怪きわまる御発言だと思うのです。柴田さんはそう上がるとは思っていない。——上がることに力点を置いておる、上がるのはあたりまえだという考え方があるから、そう上がらないとおっしゃった。大臣の方はそう収穫がふえるようなものじゃないから、評価なんかは上げるべきものでないという前提に立っていらっしゃるから、営農が行き詰まるようなことはしないし、そういう固定資産評価がえをすることによって土地収穫がふえるようなことはないだろう、そんなに農地について上げるということはもってのほかであるという存念があって、そういう御発言をなさった。腹の中が違う。だから表現のニュアンスが二人とも違うのです。次官としてはもし軍配を上げるとすれば、どちらの言い分が正しいと思いますか。
  8. 藤田義光

    藤田政府委員 先般の予算分科会における石田宥全君発言に対する御答弁のことかと存じますが、大臣答弁は主として負担の面から答弁いたしておりますし、税務局長答弁評価の点から答弁いたしておりますので、答弁ニュアンスに多少の食い違いがあろうかと存じます。率直に認めます。ただ御存じの通りこの農地の再評価は、来年の一月から開始いたしますので、まだ相当時日もありますから、十分一つ——評価というものは決して税収増を目ざしておるものではございませんし、公正な再評価をするという建前でございますので、その間事務的に調整できるものは調整し、なるべく一つ農地の再評価等によって農民負担増を来たすというようなことがないように、今後の執行において十分注意して参りたいと考えております。
  9. 太田一夫

    太田委員 そうです。農民負担が重くならないようにやるぞということになれば、全国の農地、いわゆる田畑を持っていらっしゃるお百姓さんにとっては安心のできることです。農地を引き上げないということはね。ところがこれまた弾力性のある税源だというわけで、柴田税務局長が言われる。私は、後藤田さんが税務局長をおやめになって、柴田さんにおかわりになったとき、税務行政はもう少し明るくなるだろうと期待をしたんですが、これはどう考えてもあまり明るくなりませんね。だから大臣のおっしゃる、また今政務次官のおっしゃいましたように、農耕地、いわゆる田畑に対する固定資産税評価がえは、いかなる方式をとろうとも、これはたとえば時価評価式をとろうとも、決して今までよりは上げないのだというくらいのことは言明されてしかるべきだ。弾力性を持たせなければならぬから、弾力性というところから住民税弾力性があって、高いところから低いところまで非常な幅がある。固定資産税も今後必要な財源地方にあるならば、これを引き上げることによってまあ何とか地方団体財政をまかなおうなんという、その材料に使われてはたまったものではない。だから住民税の問題についても、制限税率のことでおっしゃったという御説明ですから、そのことは了解をいたしますけれども住民税そのものの問題は、ことしの税法一部改正法律案には出ておりませんから、そこで私は世論に対してお答えになる方法がなかったのはどういうわけだろうかと思っておりましたが、たまたま宇野委員質問の中に、いわば聞き捨てならぬような話があった。それは単なる制限税率の話であったということでありますけれども、これはことしは間に合わないかもしれないけれども地方税法を今手がけていらっしゃる自治省として、住民税に対してはどう思われ、どういう基本的な考え方があるかどうかということは、はっきりしてもらわなければいかぬ。しかしこれは念のため、次官、申し上げておきますが、前回、これは予算の第四分科会でありますけれども自治大臣は、ただし書き方式本文方式の問題については、本文方式に極力指導をして移行せしめるようにすべきだ、その財源措置というのは別個の問題としてただし書き方式が九〇%近くあるなんということは困る。これは異常な状態であって、喜ぶべき状態ではないということをおっしゃった。これは私も非常にりっぱな考え方だと思うんです。ことしはありませんけれども、その思想は自治省の中にあるんですね。念のためにこの税法改正関連をして念を押しておきたいのですが、次官これはどうですか。
  10. 藤田義光

    藤田政府委員 ただいま御指摘通りただし書き方式が圧倒的に多うございまして、本文方式を採用しておるところは一〇%前後だという状況でりますし、しかも超過税率を徴収しているところが過半数以上ある、こういう状態は健全でない。税法の本質からしまして、やはり本文方式になるべく早急に移行するように考えていくべきであるという大臣考え方に全く賛成でございます。
  11. 太田一夫

    太田委員 税務局長お尋ねをいたします。従って、ことしは地方住民税の問題は出ませんでしたが、これは次回には何らかの形をもって、住民税合理的軽減の方策は御提案相なるものと期待をしてよろしいか、住民税軽減という方法ですよ。住民税をよけいとるというのじゃない、少なくとるという何らかの立法を期待してよろしいか、これはどうですか。
  12. 柴田護

    柴田政府委員 昨日も申し上げましたように、私の方はこの一年かけて両方式の統合なり負担合理化につきまして、何らかの方向を見出したい、その方向で意欲的に作業する、こういうことをお答え申し上げたわけでございますが、私どもはそのつもりで大体御質問の線に沿うような形を求めて努力をいたしたいと思います。
  13. 太田一夫

    太田委員 それは、くどいようでありますけれども、統合することは簡単だろうと思うが、どちらに統合するのですか、どういう方法で……。ちょっとあなた、言葉を濁していらっしゃるような気がしてしょうがないのですが、はっきりと低所得者層に対るを過重なる税金の軽減ということは異存がないのだ、その方向を今後考えていきたいのだ、そういう思いやり、配慮はあるんでしょうか。
  14. 柴田護

    柴田政府委員 私の答弁が、きのうも何か歯切れが悪いとかいっておしかりがありましたが、実は悪いのは住民税の今日の実態だと私は考えております。従って、先ほど政務次官からお答えがありましたように、極力可能なものにつきましては、本文方式の方に移行するように指導して参る、これは従来からもその方針でございますし、今年度もその方針を続行することには変わりはございません。ただそれを統合するということになって参りますと、先ほど申し上げましたように、市町村財政実態というものを見きわめた上でいろいろ考えていかなければならぬのであって、ここで簡単に本文方式の方に統合しますということをお答えするわけには、実は参らぬのでございます。
  15. 太田一夫

    太田委員 それは、そう悪い意味に私も理解をしておるわけじゃありませんが、歯切れよくおっしゃっていただいても、その通り来年実現しなかったからあなたの責任を問うなんということは言わない。住民税なんというのは、とにかく統一するのだ、この方向はだれにも異存なかろうというわけで、最大公約数は、方式統一重点があって、内容の方には重点がなかったというのでは、少々羊頭狗肉になりますから、方式統一しつつその負担軽減をはかるということは、これは今日車の両輪なんですね、片方方式統一だけが強調される、そうして内容の方の合理的軽減問題というのは少し等閑視されておるところに、私はどうも問題があるような気がするのですが、これはぜひ両輪としてお考えをいただきたいと思うのです。これはあなたは今率直に幾ら減らすということは言明できないでしょうから、あなたのお答えを予承しておきますが、電気ガス税を一%減らしたという、どうもきのうも宇野さんのお説の中にそれは出ておるのですが、私ども電気ガス税に一%というのは、善政々々として天下に胸を張るだけの意義があるかどうか、一ぺんお伺いしておきたいのですがね。これは何ですか、一%ということは、きのうの話だと、毎年々々一%ずつ減らすのだから、あと残っておるのは八%だから、八年たつとなくなるのだというような意味に聞いて受け取っておったのですが、これはどうなんですか。胸を張って減税と言えるのですか。
  16. 柴田護

    柴田政府委員 少なくとも税率を減らしたということにつきましては、これは減税であることには間違いはないと思います。それがいばれるものかどうかといいう問題は、それはまた別の評価の価値があろうかと思いますけれども、今日の地方財政状況それからその補てん財源状況から申しますと、一%の減税がやっとであった、こういうことでございます。
  17. 太田一夫

    太田委員 大きな戸で、新聞の第一面のトップに出るような大減税一つ考えて下さいよ。そうでもしなければ、自治省がほんとうに天下に重きをなすなんということはできませんよ。そう思うんですよ。ぜひ一つ、こんな電気ガス税の一%なんというところに減税重点を置く税制案なんというけちなものは、適当にしておいてほしいと思うんですね。もっと思い切ったことをやって下さいよ。  そこで、あなたはこまかいことがお好きだから、こまかいことでお尋ねをしますが、健康保険組合事務費は、全額国庫負担という建前のはずですか、現実にどれぐらい全額国庫負担になっておりますか、その点をお尋ねをいたします。
  18. 柴田護

    柴田政府委員 所管が違いますけども全額国庫負担にはなっていないはずでございます。
  19. 太田一夫

    太田委員 それは間違いないですか。
  20. 柴田護

    柴田政府委員 制度といたしましては、全額国庫負担になっておりますが、私が申し上げましたのは、実態は、全額国庫負担の姿になっていない。つまり、国庫負担金が少ないということです。
  21. 太田一夫

    太田委員 だからどんな工合ですか。もう少し具体的に数字をもってお答えをいただきたい。
  22. 柴田護

    柴田政府委員 数字を、実は今持ち合わしておりません。所管も、これは財政局所管でございますが、私の感じでは、七割ぐらいじゃないでしょうか。それぐらいに理解いたしております。
  23. 太田一夫

    太田委員 七割ぐらい国庫負担があるのだと思っていらっしゃるとすれば、それはだいぶ認識に開きがありますね。今度健康保険税減税というのが出されておるでしょう。この考え方の中には、健康保険組合そのもの赤字が多いという点をあわせて考えていらっしゃると思うのです。赤字が多ければ、町村がそれを負担しなければならないことになる。ないしはそれを保険者負担をしなければならないことになる。ですから、今の事務費というのはばかにならないですよ。事務費を七割も出しておるものですか。一割から三割です。一割から三割しか実際の事務費の中において国庫負担されておらないという事態からいっても、これは非常にけしからぬ話だ。これを、一〇〇%なら一〇〇%を強く要求して下さい。そうすると、もっと健康保険の運営というものは合理的になって参りまして、一般の世帯負担金というものは減ってくるのです。同時に、内容給付もよくなってくる。かぜを引いたから医者に行ったら、そんな薬を飲む必要はないよというようなことを言われる。いつ行っても常に腹痛の薬ばかりだということもない。今の給付内容が悪過ぎる。特に貧弱町村などにいくと大へんです。一人当たりのあれから見ますと、今どれぐらいになっていますか。多分一世帯当たり、一番中心になる方の負担が一千円以上でしょう。この収入のほとんどない——と言っては何ですが、あ業かないかの農家の普通の水のみ百姓で、一千円余の負担をしていかなければならない。二十万から四十万ぐらいの所得八の保険税が、一人当たり一千百三十二円。しかし、負担をしたけれども、さて医者にかかるときには、それだけで全額医療給付があるわけじゃありませんから、みずからが五割なら五割持ち出さなければならない。それが大へんな負担でありますために、病気になっても、医者が目の前にありながらかかれないという事態地方にあるわけです。その認識のもとに健康保険税考えられますならば、今度のこの考え方は、私はまだまだ手が足らぬじゃないかという気がするのです。低所得者に対する負担軽減をはかるという打ち出しが、はたしてその通りであるかどうか。これはどこかにぶつかって、この程度おとどめになったと思うのですが、これ以上減税てきないという理由はとこにあるのでしょうか。
  24. 柴田護

    柴田政府委員 御指摘でございました、事務費国庫負担の問題につきましては、七割とお答えいたしましたが、これはそんなにいっておらぬというようなお話でございますが、団体によりましては、先生がおっしゃったような団体もございましょうし、団体によりましては、事務費国庫負担金で十分まかなっておる団体もございます。しかしながら、今日の姿が、全額国庫負担建前になっておりながら、そうはなっていないという事実がありますことは、御指摘通りでございます。ただ私どもは、事務費の問題は事務費の問題として、国庫負担金の適正な計上と配分という姿を通じて直していくという方向をとるべきだと考えておりますし、それと別に、国民健康保険税負担というものにつきましては、別の観点からその合理化をはかっていきたい、このような考え方をとったわけでございます。今回の国民健康保険税改正につきましても、世帯主給付を七割に上げますことによりまして、本人負担分軽減をはかる一方、低額所得者に対して国民健康保険税負担軽減する、特に応益割軽減するという方向をとったわけでございます。御指摘のように、今日とった経減額では少ないじゃないかというお話でございますが、私どもも当初は、実はもう少し考えたのでございます。国庫財政上の都合もあり、国庫負担金をもって補てんをする金額に限度がございましたので、この程度にとどめたのでございます。
  25. 太田一夫

    太田委員 私も今の段階においては、これは厚生省あり方にも関連をしますし、そしてまた医師会などが主張しておりますように、いわゆる国保に統一すべきだという、この保険統一論というのにも関連もあるでしょうから、将来の日本の国の医療給付あり方福祉行政あり方、そしてそれを具体的に言うならば、国民健康保険税のとり方などについては、非常に真剣に、多角的に研究しなければならぬ問題がありますから、今ここで大幅減税というのはできがたいかもしれませんが、これが地方財政に与えるところの影響は非常に大きいわけです。赤字になって、その赤字のしわ寄せが地方財政保険者にいくのを考えますならば、そしてまたこの程度減税しかできないという立場に立つならば、事務費負担などについてももっと強力に厚生省に要求して、少なくとも十割なら十割を間違いなく、中身と表面とが違わないように考えてもらうことも、一つあなたの方で御努力いただきたいと思います。そうしないとこれは大へんです。地方住民にとりまして、今の保険税負担というものは大へんです。これが、農家などはまだ比較的表面金額が少ないのでありますが、世帯主などが給与所得者であります場合には、非常に高いものをとられるということで、非常な悪税で困っておるわけでありますが、これをなくするわけにはいかぬでしょうから、いかなる徴税の方式をとるかということが問題だと思います。これは、将来一つ考えてもらいたい。  それから最後に、延滞金とか加算金とかいう問題についてお尋ねしておきたいと思いますが、延滞金が、今度日歩三銭が二銭に下がったのは十日までです。十一日以上になると、三銭が四銭に引き上げられるというのですが、この延滞金というものは、罰金というような意味もあるのでしょうけれども、少しひどいじゃないですか。四銭という高金利を、加算金ではあるけれども税法上に定めておくということはいかがなものでしょうか。低金利時代に、ちょっと高過ぎるが、これはどういう意味ですか。
  26. 柴田護

    柴田政府委員 従来は、十一日目から延滞加算金がついたのでございますが、今度は延滞金延滞加算金の区別を撤廃いたしまして、そして延滞金一本にいたしました。そのかわり延滞金の率を一定の期日以後において分けたわけでございます。従来は、延滞加算金を加えますと六銭であったわけでありますが、その六銭を四銭に下げたわけでございます。一本化して軽減をはかっておるわけでありまして、延滞金の中を区分けしたという意味は、単に延滞金の中を分けたわけではなくして、加算金と統合して、延滞金という形においてこれを合理化したという意味でございます。
  27. 太田一夫

    太田委員 加算金はやはり一〇%ないし三〇%残っておるのでしょう。加算金という制度そのものはあるのでしょう、延滞金のほかに。加算金をなくしたわけじゃない。あるじゃありませんか。これをなくしたのですか。
  28. 柴田護

    柴田政府委員 不申告加算金、重加算金等加算金制度合理化して残しておるのでございますが、延滞加算金制度はやめたのでございます。
  29. 太田一夫

    太田委員 そこで基本的にお尋ねしますが、日歩三銭とか四銭というこの考え方、日歩三銭、四銭ですと一割以上になりますけれども、そういうのを取るということは納税を督促する意味だろうと思うのです。国税に比べて、はたして地方税が過酷であるかどうかという点については、少々議論があるでしょうけれども延滞金を一割近いものを取るという考え方は、一体何のために取るのでしょう。場合によっては、一割くらいになっているならば、本税を納めないでおいて一年間運用さしていただいてもいいじゃないかという打算も成り立つでしょう。三銭、四銭ということを考えれば、これは世の中の高金利よりも安いです。しかしそういうふうになることは本来の意味じゃない。といってこれをむやみに引き上げておくということは何か非常に過酷なる制度だ。当然何か都合があるのでしょう。それをちょっとおくれたからさあ一割出せ、これは加算金の方でありますが、ちょっとおくれたら一割加算金をとられる。それを一年間——一年でも何年でもよろしいが、日歩三銭も四銭もとられるというこの制度をこの際もう少し抜本的に考え直して、そういう制度でなくして、もう少し徴税を励行する、そうして実際払わない人ならば延滞金を取ってもいいと私は思うのです。これは評判がよくないのですけれども、この際もっと根本的に変える意思はなかったのでしょうか。
  30. 柴田護

    柴田政府委員 これは一昨年の暮れに税法の総則関係一般につきまして税制調査会から答申がございまして、この答申を基礎にして改正を行なおうとしたものでございます。延滞金延滞加算金の問題につきましては国税と全く同じ扱いでございます。ただ国税の場合は、延滞税という税の形をとっておりますが、地方税の場合には、その本質に従って、むしろ便宜を捨てて延滞金という制度を残しておるわけでございます。趣旨は、納期内に納めた人間と納期を過ぎて納めた人間との負担の均衡というのがこういう制度を置いてある趣旨でございます。従来の制度は、おっしゃるように確かに多少高過ぎたという面もございますし、一般金利の変化等ともにらみ合わせまして、今回従来の三銭を二銭にし、加算金を含めました場合においては従来の六銭を四銭ということに下げたのでございます。
  31. 太田一夫

    太田委員 結局、配慮されたということならいいんですが、申告が少々おそくなったから一割もよけい取るというような税制上の罰則というのは、ほんとう占うと少々無理な——威嚇的ですね。天下り的、威嚇的なにおいが強い。その点はよく考えてみた方がいいと思うんです。  最後に、税法を離れてあなたの所見を聞いておきたいのです。それは奧野さんと所見が一緒かどうかということなんです。奧野さんは、先回交付税の特例に関する法律を審議しました場合に、経済の見通しについて、二十一日の木曜日に本委員会でおっしゃったのですけれども、これをちょっと聞いておきたいのです。これは阪上委員質問に答えまして、三十八年度以降の経済の見通しを、こういうふうにおっしゃっている。「国民所得も御承知のように一〇数%という大きな伸び率を両三年示してきて参っておるわけであります。従いまして、国の財政収入におきましても、地方財政収入におきましても、自然増加かというものはかなり大きなものであります。」「こういうような状態が将来ずっと続いていくといたしますならば、日本は非常に早い期間に欧米の水準までいってしまうのではないか、こう思われるわけでございます。こういうふうな状態がそのままずっとのべつに続いていくということは、私は予想されない、」ここなんですね。従って、両三年示して参った経済の伸び率、国民所得の伸び率は、奧野さんに言わせると、鈍化してこれから下がるのではないか、従って財政上、交付税なども繰り越しを三十八年度に百億円程度もしなければならない。それは税収が伸びないという前提がある。税務局長どうなんですか。池田内閣の所得倍増計画というものは、奧野さんに言わせると、三年で終わったというわけですね。これは税務局長として同じように弱気なんですか。だから住民税も手をつけなければならぬ、こんな気がするのですが、その見通しはどうですか。
  32. 柴田護

    柴田政府委員 お読みになりましたことだけからは少し判断しかねるのでございますが、おそらく、財政局長がお答え申し上げましたのは、この三年間くらいの経済の伸びというのは非常に驚異的な進度を示した、そういう状態がずっと続くということは甘過ぎはしないかということでありまして、それで所得倍増計画が終わったとか終わらぬという意味ではなかったかと思います。ただ昭和三十八年度に関する限りにおきましては、今までの三年間に示しましたような経済の伸びがあろうということはこれは少しむずかしい。この点につきましては私も財政局長と同じ考えでございます。従いまして、今年度の税収入につきましても、数字で明らかでございますように、従来は千六、七百億円ありました自然増収が、ぎりぎり見積って千二百七十億程度の進度しか示さない。従って御指摘のような住民税その他の合理化の問題をかかえておりながら、地方財政全般の見地から、地方税制改正もきわめて小幅なものにせざるを得なかった、こういうことでございます。
  33. 太田一夫

    太田委員 言葉をかえれば、ことしは不景気の年だ、こういうことになりますね。
  34. 柴田護

    柴田政府委員 そういう意味ではございませんで、税収入の見積もりにおきましては、前半は景気の伸びが鈍化する、後半にはこれは回復の基調に向かう、こういう前提で税収入を計算いたしました。      ————◇—————
  35. 永田亮一

    永田委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  地方税法の一部を改正する法律案審査のため、小委員十名よりなる地方税法の一部を改正する法律案審査小委員会を設置するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次に小委員及び小委員長の選任についてお諮りいたします。  小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって小委員には   伊藤  幟君  宇野 宗佑君   小澤 太郎君  大沢 雄一君   久保田円次君  高田 富與君   太田 一夫君  三富 武夫君   山口 鶴男君  門司  亮君 を指名いたします。小委員長には小輝太郎君を指名いたします。  なお、この際お諮りいたします。  小委員から辞任の申し出のありました場合の辞任の許可並びに小委員に欠員が生じた場合のその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  39. 永田亮一

    永田委員長 次に消防法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。二官武夫
  40. 二宮武夫

    二宮委員 藤井消防庁長官が就任をされまして、消防庁も陣容の刷新をされた中で消防行政のイニシアをとっていくということに対しては、われわれ非常に期待を持っておるわけでございますが、私は今回の消防法改正の諸点につきましては、大体において賛成をいたすものでございます。ただ、前回前田委員からも質疑がございましたので重復を避けまして、疑点になる点を少しばかりお尋ねいたしたいというように考えます。  全般的に申し上げまして、いろいろと消防庁から出されました資料あるいは法律案等を考えますと、地域住民期待をしておるほど消防というものは充実をしていないということなんです。財政的にもあるいは組織の上から申し上げても、いろいろの人的あるいは物的の損傷というものに対して、事前にこれを予防し、あるいはその時期に面して消火をやり救急をやる、それから起こってくるところのいろいろな損傷面等を考えましても、いま少し消防庁というのは、強力に各都道府県あるいは自治体の一番中心をなしておる市町村消防に対しても、指導性を発揮すべきであるという点を、まず第一に私は指摘しておきたいというように考えるわけでございます。  今回の改正点の第一点でございますところの映画館におけるフィルムの検定、それからこれらの建物という一環の問題につきましては、前の委員会におきまして前田委員からの質疑がございまして、ほとんど大部分が緩燃性のフィルムに変わっておる、メーカーも事実そのように仕事に取り組んでおるということでございますし、あるいは労働基準法からいいましても、その労務実態というものが非常に簡素化されて、二重的な性格を持たないようにするという改正点については私は賛成でございますので、緩燃性というものに対していささか疑義を持っておったのですけれども、この前の質問で明確になりましたので、この点は前質問者に対する答弁で了承をいたします。  第二の点でございますけれども、この点については私はいろいろな問題があろうと思うのです。第二の問題点は、従来消防機械に関するところのいろいろな検定というものを、任意制から責任を持ってやらなければならないという形に強制的に切りかえて参る、そのめに協会をつくってこれを発足さしていこうという構想でございます。そこで第一にお尋ねをしておきたいのは、現在こうした任意的な検定業務をやっておりますところの消防研究所というものと、今度構想されておるところの検定協会というものとの今後の有機的な運営というものについては、一体どのようにお考えになっておるのか、この点を一つお聞かせを願いたい。
  41. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 最初に御指摘のありました点、全くわれわれといたしましても同感でございまして、消防ということの任務、またこれに対する世間の期待というものが非常に高まって参っておりますにもかかわりませず、現在の消防力というものは、物的な施設の面から申しましても、人的な消防機関を構成する人員というような面からいたしましても、きわめて不十分でございます。これに対しましては、むろん自治体消防、市町村消防というものの本義はあくまでも貫いて参らなければなりませんけれども、われわれといたしましては、与えられた権能というものを十分に発揮いたしまして、これらの人的、物的両面にわたる消防力の充実ということに今後も一そうの努力を傾け、その指導性を発揮して参るように努めて参りたい、かように考えております。  今の御質問の点でございますが、従来までは、御承知のように消防用設備、機械器具等の検定は、現在消防研究所でやっておるわけでございます。機構といたしましては、消防研究所に検定課というものがございまして、これを中心に検定業務を実施いたしております。しかしお話がございましたように、今度検定協会ができて、ここで検定の実際の業務を行なっていくといたしましても、消防研究所自体の本来の研究業務と、検定協会の検定ということの間に、密接不可分な関連があるということは、これはその通りでございます。またそれは密接な関連のもとにやっていって初めて検定ということも円滑に進んで参るのではないか、かように考えております。と申しますのは、災害の状況あるいは火災の原因というようなものが、ますます複雑多岐にわたっていくに従いまして、この研究をやっていきますとともに、それから生まれて参ります有効適切な消防の機械器具というようなものも、日進月歩して参らなければならぬわけであります。そういう研究の面は、消防研究所というものが主体になってやっていく。そこから出て参ります新しい構想というようなものにつきましては、研究所を通じて、業界等がだんだんと具体的な製品をつくり出していくということになって参ります。そういうような態様のもとに型式の承認というものが出て参り、研究所においても規格の制定をやるということに相なって参るわけでありまして、この型式の承認がなされました型式についての個別検定というものを、検定協会が本来の仕事としてやって参るわけでありますから、両者はきわめて密接不可分の関係に置かれなければならない、かように考えております。そういうような点から場所的な配慮もいたしまして、現在研究所は三鷹にございますが、これは割と広い土地がございますので、ここの敷地の一角に検定協会というものの事務所なり、実験室なり、検定の場所というようなものを将来設置をしていくということで、場所的にもお互いに両者の成果というものを照合し合うという格好で緊密な連絡をとっていく。また人的にも、今度の検定協会は特殊法人でございます。従ってそこの職員というものも法令によって公務に従事する公務員に準ずる者として取り扱われていくわけでありまして、一般の国家公務員との間に自由な人事交流も行なわれます。身分も引き継いでいくわけでございます。そういうような点を活用いたしまして、両者の業務運営の円滑なる施行を確保して参る、かように考えておる次第であります。
  42. 二宮武夫

    二宮委員 今の答弁によりますと、研究所で一つのアイデアをつくっていく、そうしてこういうような型式のポンプであるとか、あるいは消火薬剤であるとかというようなものが研究される。そうしたらそれがそのまま型式認定をそこでやるのか、あるいはそのアイデアは業者に売るのか、一体、その辺はどういうような格好になるのですか。
  43. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 アイデアを売るとかいうようなことは別にいたしません。研究の成果は随次発表をいたしますので、それを具体的に機械の中に取り入れていく、あるいは消防ポンプの構造の中に取り入れていくというようなことは、業者自身が創意工夫をいたしまして、だんだん改善、改良をやっていくわけであります。それがだんだん板について、これが生産過程に乗るというような段階になって参ります場合において、初めて自治省といたしましては技術上の規格というものをつくるわけであります。その規格に照らし合わせまして、それぞれの業者が具体的な見本を持って参ります。その見本について技術上の基準に適合しておるかどうかということを試験をいたしまして、その試験に合格したものについて型式承認というものを与える、その型式承認が与えられたものについての個個の製品について、個別検定が行なわれる、こういう順番になるわけでございます。
  44. 二宮武夫

    二宮委員 どうもその辺が理解がむずかしいのですけれども、業者はやはり一つの営利事業をやっているわけなんですから、できるだけ効果的な、しかも消防の目的に合致するようなものを一生懸命になって研究するだろうと思うのです。そうしますと、消防研究所の方もそういうようなアイデアについては、常に研究をしておる。そうなるとその間にどうも私は、消防研究所と民間のそういう業者との間の競合といいますか、——あなたのおっしゃることは、民間の事業をやっておる人々に対して研究所の方で研究したアイデアを発表して、それをその業者が一つの型に入れて、そしてそれも検定を受けるのだ。そして見本であれ、あるいは型式であれ、あるいは個別であれ、そういうものの検定を受けて、きちっとしたら、そのマークをつけて売り出していくのだ。そういうところに私は錯綜した問題が起こってきやしないかという心配があるわけなんですね。やはり消防研究所が、国の一つ自治省所管の中における研究所として、非常に進んだ、皆さん方頭のいい人が集まってそういうものを研究するということになると、そこでできたアイデアというものはやはり民間の人々、事業をやっておる人、営利を目的とする人から非常に望まれておるということになると、これは特許権をとるとかそういうことになれば別問題ですが、そこまでいかないようなもので、そのアイデアをお互いに自分たちがとりたいのだ、こういう格好になって参りますと、研究所と民間業者との間の非常なおもしろくない状態というか、いい面といえばいい面と言えますけれども、売らんかな、もうけんかなという業者から考えますと、できるだけ早く当局のアイデアをとりたい。そしてそれを一つ承認を受けるような格好にして売り出していきたい。そしてもうけたいのだ。具体的に、端的に申し上げると、そういうようなコースにいく場合に、そこの辺が十字路が交錯しはしないか、そこら辺がどうも心配になるのですが、そういうものなら別にこういうものをつくらないで、研究所の中でもう少しじっくりこういうものを検定をするということの一つの自分のところの知識を高めるような研究をやって、——こういう別個の特殊法人をつくるということ自体に私はどうも錯綜した複雑性が出てくるのじゃないか。同時に、今言われたような特殊法人だから、国家公務員に準ずる、身分としても引き継ぎをやるのだということですけれども、そういうようなことになりますと、私はその辺に非常にこんがらがった問題が起こって、あるいはおもしろくない結果が招来をするのじゃないか、はっきり早し上げますと、汚職の問題に発展をしたり、あるいはアイデア買わんかなというところにいろいろな精神上のおもしろくないよこれが出てきたり、そういうような格好になるおそれが、あるのじゃないか。どうもその辺がすっきりしないのですけれども、もう少し明快に、そういうあなたのおっしゃるような良心的な消防知識というものとは別個に、民間業者は利潤を追求するという立場から、売れるもの、いいものをつくりたいという気持になっているのだという二つを並べて考えていただかないと、ここのところに問題があると思うのです。
  45. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 お説のように現在消防研究所の研究陣容というものは、そう天下に誇るというほどのものでないといたしましても、かなり整備されておるというふうに私は考えております。しかしながら、ここでもってあらゆるアイデアというものは全部出てくるかと申しますと、「そういうものではございません。研究所自体では、もちろん究極の目的というものが、火災予防なり、あるいは一たん火災が発生した場合に、これを最小限度に鎮圧をする、そういう機械器具というものを開発していくということも大へん大きなねらいでございますけれども、その前提として基礎的な火災の減少その他について、いろいろな研究をやっておるのでございます。そういうところから、一般の業者が、研究所から出てくる成果というものをそのままウの目タカの目で見ておって、そこに何かおかしな問題を生起するというようなことは絶無とは申しませんけれども、まずないのじゃなかろうか。業者自身は、まず営業でございますので、自分自身はやはり他社からもっと先んじたいいものをつくろうということで、必死に研究をいたしております。そういう覚悟で研究して、ある製品ができますと。そのアイデアというものをやはり研究所に、従来の管轄であれば研究所に持ち込んで参ります。ここで研究自体は、いろいろの角度から分析をいたしまして、それでこれはりっぱなものだ、いけるというふうになりましたらそれをそこでは参考にしながら、さらにいいものをつけ加えたものを技術上の規格としてこれを告示するわけであります。そうなりますと、これは一般的な規格になりますからして、その規格を参考に業者が自分のところでつくり得るものは見本をつくって型式承認に持っていくということの段取りになるわけであります。むろん研究所自体が新聞、雑誌、学会等で研究発表する、その研究発表が何らかの示唆になって、各業者の新しい技術開発の参考になることもあり得ると思います。しかしその点について、いろいろな忌まわしい問題というようなことは、従来は別にございませんでしたし、そういうような点、疑惑の生じないように、個々の業者だけに便宜をはかるということのないようにはむろんわれわれとして、監督の立場として十分気をつけて参りたいと考えております。ただ、現在の検定の制度でいったらいいのではないかということでございますが、これは最近火災予防思想が非常に普及をして参りましたということ、あるいは消防用設備等の設置義務というものが動き出してくるというような点、あるいは危険物行政というものがだんだん拡充されてきたことというような事情の変化から、消防用設備器具等に対する需要が非常に最近ふえてきておりまして、検定件数が、毎年非常に飛躍的に増大をしてきております。現在の研究所の陣容ではとうていさばききれない。むろん必要ならばそれだけ人をふやしたらいいのではないかということでありますが、人も若干ずつはふやしてきておりますけれども、なかなかほんとうの需要に応ずるような陣容整備に至らない。それよりもやはり検定の手数料が入るわけでありますから、それを十分に活用していく、またそれを場合によっては設備の改善等に与えていくということができれば、その方がベターではないか。また反面それが行なわれますならば、検定ということに非常にたくさんな陣容をとられておった研究所の体制自体が、そこにあまり気を使う必要がない、型式のこと、規格のことを考えておればよいということになりまして、本来の研究自体の業務に専念し得る、かたがた全体として見ますと、一石二鳥ということになるのではないかという考えから、今度の特殊法人としての検定協会の設立をお願いすることにいたしておるわけでございます。
  46. 二宮武夫

    二宮委員 大体の趣旨はわかりましたが、なお、私今申し上げましたような点については、今後も十分監督する必要があろうかと思います。それで、なお疑念の去らない点があるわけですが、それは一応それといたしまして、大体協会の組織規模というものはどれくらいに考えておるのですか。
  47. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 大体現在のアウトラインとして、役員の機構は理事長と、理事が三人以内、それから監事ということになっておりますが、その他の職員は、まだ予算その他の関係上、協会の財政規模その他で最終的にはきまっておりませんが、大体の現在のわれわれの構想といたしましては、協会の本部は先刻も申した三鷹に置く、それから業者の便宜もはかりまして大阪に支所を置きたいと考えております。これを合わせまして、大体の陣容は八十名ぐらいを予定いたしております。
  48. 二宮武夫

    二宮委員 今度の設立当初の予算としましては、大体三千万円というものを基金として協会を発足させる、こういうことでございます。昨年、三十六年度の検定料金は、全都合わせますと大体五千六百万円に達しておるということでございますが、これはおそらく自分の検定料金で独立採算でやっていける。それは収入は一ぺん国に入れるけれども、そのものはまた国から出資されて、そこにやってくるという格好のルートをとっていけば進めるのではないかと思いますが、今言われたような組織、規模で、発足当初から三千万というような小さな規模でこの問題がはたしてやれるのかどうなのか。これはそれぞれ構成員は政令で定める資格を持ったものという規定がございますし、あるいは事務所も別に持とうというし、賃金そのほかの手当については自治大臣の許可を得て決定するという条項もあるようでございますが、大体三千万というような当初の発足基金でこれがまかなえていけるものかどうか。三十六年度の検定料金の実績を考えたら、やるとならば、いま少ししっかりした基金的な基礎を持ってやらなければいかぬのじゃないか。こういうことで、光熱水費が足りないとか需用費が足りないというような問題が起こりますと、やがて私が心配しているような問題に発展するおそれがある。本腰て、協会が一本立ちて、すっきりした形で検定をやるんだという建前をとっていこうとするならば、三千万というような基金では私は非常に困難であろうと思う。もちろんこれは今後自治省において——土地そのほかの寄付ができるということになっております。増資の問題もあろうと思うのですけれども、まず三千万に基礎を置いて、今消防庁長官が言われたような組織で、はたして運営ができるかどうかという問題については、私は多少の疑義を持つのですが、その点どうですか。
  49. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 私たちも協会に対する出資金三千万円というものが十分であるとは実は思ってはおりません。予算折衝の過程におきましていろいろございましたのですが、今のところこれに落ちついたということでございます。ただ私たちの見通しとして、絶対にそれでは立ち行かないというようなものは了承するわけにいかないわけでありますが、いろいろ検討いたしました結果、三千万円の出資金でも運用には別に差しつかえがないという結論に達しておるわけでございます。と申しますのは、検定手数料というものがだんだんふえておりまして、三十七年度もおそらく八千万円を突破するのではないかと考えております。今の見通しでは、来年度は一億近くいくのではないかというような見通しも、従来の趨勢から見ましてされるわけであります。そういう見通しのもとにおいて収支計算をやりますと、大体やっていける。しかし将来、ある程度ダウンすることもございまするので、非常に伸びる際には、その一部分のものは積立金その他でもって余裕財源として経理をしていくというような措置も講じて、平年度としてならしていくという措置を講じていけば、十分やっていけるのではないかと考えております。ただ運転資金その他でもって急場どうしても困難であるというような場合には、一時借り入れその他の方法を講じまして、運営について支障のないようにいたしていきたい、かように考えております。
  50. 二宮武夫

    二宮委員 もう点だけお尋ねしますが、組織の中で、この規約によりますと監事を一名。会計監査その他業務監査をやっていく監事を一名にしておるというところに私は多少の不安を感ずるのです。これはもちろん民法で一名ないし数名を置くことができるということになっておりますけれども、これはこの協会の責任、従来とって参りました状態なり、あるいは新しく発足していくところの協会のあり方等から考えますと、今まで質疑段階で出て参りましたような不安をも含めまして、私は厳重に監査をする必要があると考えるのです。そうなりますと監事一名をもってすべての世帯をみかじめしていくというようなやり方は、もう少し慎重に考えるべきではないか。もう少し陣容を増して、監査事務というものを明確にしてやっていかないと、発足当初から疑念を持たれるような問題が起こってくるのではないかという心配が、杞憂かもしれませんけれども、私は協会のことを考えてそういう気持がするわけなんです。この点、長官どのように考えられますか。
  51. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 類似の特殊法人等について実績も調べてみましたところが、大体この程度の規模を持っておりまする特殊法人では監事が一名というところが多いようでございまして、ここに落ちついておるわけでございすまけれども、この点私たちといたしましては監事一人でございましても、最も熟達した公正厳正な人を選んで、これによって監査事務の適正を期して参りたいと考えておりまするし、特殊法人といたしまして、この協会自体は自治大臣の直接監督下に立つということでもございますので、私たちも監督権を十分に活用いたしまして、いやしくも非違にわたるような業務運営がなされることのないように十分に督励を加えて参りたいと思います。なお、これが発足いたしまして、現実の運営その他の経験上から、一名ではどうしてもうまくないというようなことになって参りました際には、われわれといたしましてもまた改正一つお願いをすることも考慮すべきではないか、かように考えるのであります。
  52. 二宮武夫

    二宮委員 時間もございませんので、次に簡単に消防組織の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  消防法でも明瞭に市町村消防というものに重点を置いていくんだ、このようになっておるわけでございますけれども、この財政の問題は後ほど少しお尋ねしてみたいと思うのですが、組織の面で、私どもが農村に参りまして一番困るのは、消防団員の年齢が非常に高齢化しておるということなんです。若い人々が都市に集中をして、農村に残っておる者には若い消防団員がいないということなんです。この非常に中高年齢に達する人々で組織しておる消防団の消防をやるという仕事に対して、能率的に考えた場合に、大きな問題があるのじゃないか。しかしこれは単に消防庁の問題だけで解決のつく問題ではなくて、これは一般経済政策、国の政策全般的な問題として考えていかなければならぬ問題だとは思いますけれども、この農村あるいは漁村、山村における若い者のいなくなった地域における消防に対する指導方針、これらを一体どのように考えていくのか。もちろんこれは機械化すればいいんだ、人にかわるべき能率の上がる機械を据えればいいんだということになろうと思うのですけれども、それでは財政的に一体そうやっておるかというと決してそうでない。消防庁からもらったこの状況を見て参りましても、市部における損害よりも郡部における、農山村におけるところの一件当たりの損害額というものが非常に多いんです。ということは、消防事業というものに対して、非常に力が弱くなってきているのじゃないかという心配を私はするわけなのですが、こういう事態をどのように把握して、どのように指導しようとしておられるかということをお尋ねしたいと思います。
  53. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 近時の傾向といたしまして、農山漁村等におきます消防団というものが非常に弱体化の傾向にあるということは、御指摘通りでございます。私たちといたしましても、その原因等の問題は別といたしまして、現実のそういう劣弱化の傾向というものに対しましては、深甚な憂慮の念をもって見守っておるような次第でございます。これに対しましては、いろいろな対策が講ぜられるわけでございます。一応昨年来やっております対策といたしましては、一つは消防の常備化ということでございます。むろんこれには財政的な裏づけその他が伴いませんと、そう言うだけではなかなかできない。しかし工夫をして、他の隣接の市等に委託するとか、あるいは組合等の共同設置というものを促進することによる消防の常備化、あるいは消防団自体においても常備部を設置する、最小の経費であげるために常備部、あるいは少なくとも機関要員、ポンプを動かせる機関の要員だけは常備にしておくという方法をとるということも一つでございます。そのほか、たとえば役場の職員について、消防団員なり消防吏員というものを兼職をさせまして、これに所期の消火活動に従事させるというような方法、いろいろ現地の実情に即した方法考えるように言っております。さらに消防団自体といたしましては、やはりある程度は最高年限を引き上げたり、あるいは最低年限を引き下げるというようなこともやむを得ないではないか。いろいろな点について実情に合うように考えなければならぬということで、指導をいたしておるわけでございます。ただ昨年末に、全国のそのような消防の実態を、詳細に実は調査をいたしておるのであります。その集計は現在やっておりまして、この事態が明らかになりますると、もう一つ進んで、個々の市町村の実情を通じて消防力の弱体化もはっきりいたして参ると思いますし、そうなれば、われわれといたしましてももう少し自信のある態度で、個々の市町村についても実情把握の上で実態的な指導を強化して参りたい、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、全体として消防団が弱体化いたしておりますことは事実であります。これに対しましては早急な対策を講じないと、いざという場合には非常に困った現象が起きてくる。今お話のございました市部等に比べて市町村、特に農村地帯、漁村地帯等におきましては、一件当たりの焼損面積がきわめて多いわけであります。この点特に最近の消防団の弱体化によって、それが直ちに結果が出てきたというものでなくて、消防力自体が、総体的に農村部では低いわけでございますので、大体その傾向は従来も出てきております。従って、消防力を強力しなければならぬということになるわけでありますが、それがさらに今のような状況を放置いたしておきますと、さらにその格差がだんだん開いてくる可能性がある、その点は二宮委員が御指摘になりました通りでございまして、その点、私たち実態は十分把握いたしておるつもりでございますので、今後とも今申し上げたような点を中心といたしまして、指導に万全を期して参りたいと考えております。
  54. 二宮武夫

    二宮委員 十分に実態を御承知だということでございますし、消防庁からもらった資料でございますから、おわかりでございましょうけれども、全国で六十一才以上の消防団員というのは三千五百六十名という数に達しておる、この人たちをほんとうに働かせるということ自体は無理な話だと思うのです。これは国の社会保障の面からいっても、老齢年金その他の面から考えても、六十一才以上の者を自治体消防団の中に入れて、一緒に消防事業に加えてやっていくということ自体は、非常な無理な話だと思うのです。同時にまた、生活が困難なために男子の方がよそに働きに出ていかれる。そうしますと、自然婦人だけでもって消防組織をつくり上げなければならぬというところもあるわけです。これも資料によりますと、全国で実際婦人だけで消防団を組織して消火に当たっているものは七十一市町村あるという実態でございます。これらの状況を見て私が非常に憤りを感ずることは、昭和三十六年の地方交付税の中で、市町村に対して消防費として出した一人当たりの二百五十二円三十銭という消防費が、実際の決算を見ますと、一番悪いところではわずかに百七十九円しか使われておらない。これはもちろんひもつき財源でございませんから、私どもはこれを急に責めるというわけにも参りませんけれども、少なくとも必要を感じて積算基礎をつくって単位費用というものを考えて、それを消防費として市町村人口当たりこのような配分をしておる。しかもそれを一ぺん市町村がその財政の中に入れて、そうして支出したところの決算が幾らかというと、一番悪いところは百七十何円という、ネコババをきめ込んでおるというような実態、こういうような実態で、これに機械化をやらせてみたり、あるいは消防の近代化をやらせてみたり、そういうことを考えても、市町村の行政者自体が真剣にならなければ、市町村におけるところの消防の実態は私は向上できないと思います。そこで、この消防法にかんがみまして、あなたの方から三十六年の八月ですか、一応の基準を示して、大体その基準に近ずくようにということで指導監督をしている、あるいはこれを推進しなければならぬという法律もできておる。そうして報告書をとって調査するという権限もある。それに違反した場合には罰則もある。そういうことでありながら、これは特に、私、残念なことには、四国、九州というのは特に悪いのですけれども、四国、九州では、百円台、二百円台しか出ていないというような県が非常に多いということは、このような財政状況そのものを見放しにしておいたのでは、消防力の強化は実際あり得ないと思うのです。こういう実態を把握したら、さっそくあなた方の方で、十分機動力を発揮されて、調査力を発揮されて調査した上で——年齢は、今申し上げましたような高年齢になっておる、しかも国から出すところの費用は、このように小さく刻まれてほかの方面に使い込まれておる、こういう実態で、消防の実績を上げようとしても私はとても困難だと思う。あるいは大都会における不法建築につきましても事前に行って、この建物は火事が起こったらあぶない、人が死にますよということを十分に予告するだけの出動の力は、こういう予算実態では出てこないだろうと思います。こういう状況を十分把握をされまして、これは消防組織の問題、消防財政の問題ですから、十分に検討されなければ、いかに百四十九人の消防庁の皆さん方が一生懸命になられても、こういう実態の上に統計が出ましたら、その統計の上に立っての指導をやらなければ、消防力は向上するものでない、このように考える。従って、検定機関をいかにつくろうとも、実際現地において動かすところの財政、人、力というものがない。こういう消防の実態ではだめだと思う。こういう点を十分把握をされて、消防庁においてはしかるべく御指導をいただきたい、このように考えておるのです。  そこで、単位費用の問題ですが、昭和三十八年にはどのような実績に基づいて、どのような単位費用を要求して、どのような財政当局の削減を受けて、現在の単位費用は市町村一人当たり本年度は一体何ぼになっておるか、その状況をお知らせ願いたい。この実態をとらえた上での皆さん方の御指導がなければならぬと思うが、その辺一つ
  55. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 消防関係の会議等に出て参りますと、要望として出て参りますことの一つに、消防の基準財政需要額なり単位費用が低過ぎるから、もっと上げろというような要望がよくあります。私は、それに対して、なるほどその点はごもっともです、今の単位費用なり財政需要額が十分であると思っていないので、この引き上げには十分努力します、ただ、御注意申し上げたいのは、全国の市町村の中には、その低いといわれる単位費用にさえ達しておらないところがずいぶん多い。むしろ、数としてはそういう市町村の方が多いのではないか、これでは非常に困るのであって、少なくとも単位費用は十分カバーしておる、それでなお足りないからしてというような実績に基づいてこないことには、なかなか仕事が円滑に運ばない、この点は十分御努力が願いたい。私としても今後は努力いたしますけれども、なかんずく消防の関係者だけでなくして、特にその点は市町村長なり市町村議会の方々に、十分に認識をしていただかなければ、火事があったときに大騒ぎするということだけではあとの祭りでありますので、全体の市町村の世論として、このことは十分に認識されるように努力が願いたいし、私もその方面の努力をいたします、こういうことを言っております。  そういうような現況で、今、御指摘になったような点は一々ごもっともでございますので、われわれといたしましては、少なくとも単位費用に近づくような財政支出をやってもらうような指導については、なお万全の措置を講じて参りたいと思っております。従来のいろいろのいきさつなり、火事の発生件数の問題なり、いろいろなことの積み重ねで、このようにちぐはぐになってきておると思いますけれども、事情は事情といたしまして、さらに消防費の増額ということにつきましては、消防機関のみならず、市町村あげての熱意を期待する方向に持って参りたい、かように考えております。  次に、単位費用の算定の問題でございますが、政府当局と折衝いたしました個々の内容につきましては、これは内輪の問題でございますので、省略をさせていただきたいと思いますが、今度もある程度の増額の要求をいたしております。ただ根本的な問題といたしましては、消防団員等の処遇の改善につきまして、消防審議会に諮問をいたしまして、現在鋭意審議をお願いいたしております。近く根本的な答申案が出て参ると思われますが、これに従いまして、われわれといたしましてもさらに根本的な立て方あ検討していきたい、かように考えております。来年度は、本年度に比較をいたしまして、単位費用といたしまして三百八十七円ということに相なっておりまして、約五十円程度の増額ということになっております。その内容のおもなるものは出動の手当でございまして、これは去年が百円であったものをことし百五十円ということに上げたわけでありますが、さらに来年度は五十円ふやしまして二百円ということが主たる増額の内容でございまして、その他は基本的には大して変わっておりません。
  56. 二宮武夫

    二宮委員 消防団員の待遇等についても調査をして参りますと、望楼に上って一時間勤務して三十円ですか支給しておる。あるいは非常勤の者、常勤の者、消防署におる者、いろいろな階級、技術のある者というように給与についても調査ができておりますが、まことにさびしいものです。こういう状態で消防の仕事の能率を上げさせようと思ったって無理です。しかも私が申し上げておるのは、さっき言った二百五十二円三十銭という配分の場合に、百七十八円しか使っていないところもあり、五百円使っておる県もある、それを総計いたしますと三百三十八円になる。この三百三十八円という実績がそのまま三十七年度の単位費用になっておる。非常によろしくない財源の使い方をしておる、その実績そのままが次の年の単位費用に当てられておるということ自体は、相当皆さん方の方で指導されないと、私は今後財政的に確立をするということは困難だと思うのです。そういうようなことについて十分御検討いただきたいと思います。  そこで、そういう問題について、国から単位費用は今申し上げましたようなお金をもらっておきながら、それを市町村では十分使わないでおいて、その費用が足りないからというので三十五年度のあなた方の出しました統計によりましても全国で八億という寄付金が取られている、こういう消防の寄付金を取っておる。国から一応もらっておるものを使っておらないで、足りないからというので寄付金を取っておる。こういう二軍取りの取り方をして消防の運営をやっておるということは、これはある時期にすっきりしたものにしない限り非常な問題が起こってくると私は思うのです。法的にいってもこれはおかしいです。私ども皆さん方、自民党の方々と一緒になって、やはり税外負担というものはなくしようじゃないか、単位費用を引き上げようじゃないか、きのう交付税についても附帯決議をつけた。しかし実際問題としてそれを地方にやると、それを地方は使わない、使わないでおいて、足りないといってまた地方住民から寄付で取り上げる、こういう二重取りのやり方をしていくということは、まことによろしくないと思う。これは一つ消防庁長官実態を把握されまして、これは各都道府県を通して消防意識の徹底、教育という場合におきましても、実態の上に立って御指導いただきたいと思います。ただいまもらいました全国町村会議からだと思いますが、全国消防会長からの陳情書の中にも、いろいろな基準をつくることはいい、基準をつくることはいいけれども、その基準を設けるに足るだけの財政的な裏づけをしてくれということがはっきり言われておるのです。これをやらなければどうしても人の命が火事のためになくなっていく、けが人が出ていく、こういう実態が私は起こってくるのだというふうに考えます。  時間が制限されておりますので、なお救急業務の問題、そのほかたくさんの問題があるわけなんですけれども、これらについては関連質問者もございますし、あと他の質問者もあるようでございますからその人たちに譲って、今申し上げました財政の問題につきましては、消防庁の長官は自治省にもおったのだから、自治省との財政折衝には十分力を入れて、そしてそれが地方に回ったら、地方に回ったところの実態において使途の面について十分に監督する、こういうことによって消防力を強化する方向指導を進めていっていただきたいというように考えるわけでございます。
  57. 松井誠

    ○松井(誠)委員 関連して。救急業務という点について、簡単に一つだけ疑問の点をはっきりさせておきたいと思います。救急という言葉の内容ですけれども、これは別に政令にゆだねてあるようでもございませんし、常識的には一応わかりますが、救急というのは一体どういうことなんですか。
  58. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 消防法第二条の改正といたしまして法案に救急業務の定義を掲げております。これによりますと「救急業務とは、災害により生じた事故若しくは屋外若しくは公衆の出入する場所において生じた事故」、これが本体でございますが、それに「政令で定める場合における災害による事故等に準ずる事故で政令で定めるものによる傷病者で医療機関その他の場所へ緊急に搬送する必要があるものを、救急隊によって、医療機関その他の場所に搬送すること」、これをこの法律で言っております救急業務、かように考えておる次第でごごいます。法案の一ページにございます。
  59. 松井誠

    ○松井(誠)委員 消防機関の任務が非常に広くなる。そこで私お伺いしたいのは、警察官職務執行法の第四条にも、やはり同じような災害の場合における人命保護のためにいろいろやり得る処置というものが書いてあるわけですけれども、消防機関が災害の現場で行なう水害予防とか防火とかいうことのほかに、救急というものも一つの業務になりますと、いよいよ警察官の職務執行と重複する度合いというものが、非常に大きくなってくるだろうと思う。そこで、災害現場で仕事の割り振りというものは、およそ常識的につきましょうから、あるいは混乱はないかもしれませんけれども、そのような場合に警察官と消防機関とのそういう任務の重複、そういうところからくる混乱というようなものについて、どういうようにお考えになっておるか、それをお伺いいたしたいと思います。
  60. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 ここで救急業務というふうに定義をしておりますが、これは消防機関が行なう救急業務について規定しておるということでございます。従いまして、他のたとえば医療機関あるいは警察等においてこれの実態に合うような救急業務を行なっておるといたしますれば、それらの救急業務を排除して消防でもって全部行なうという趣旨のものではございません。従来から事実上やっております消防機関の救急業務活動というものを法制化して、はっきりと制度化したいということが今度の改正の趣旨でございます。今お話しになりました警察との競合は、そういう意味においては別に特段には生じません。生じませんが、しかし念のために救急業務の実施に際して警察官との連結というものをはっきり規定しておくことが必要であると考えまして、その点については改正法の三十五条の六の第二項に規定を設けまして、「救急隊員は、救急業務の実施に際しては、常に警察官と密接な連絡をとるものとする。」という規定を置いておる次第でございます。
  61. 松井誠

    ○松井(誠)委員 たとえば災害基本法では、災害の現場におけるいろいろな措置について、市町村長がやるという建前になっておりますけれども、そういう場合に、市町村長は市町村長として、この基本法に基づくそのような権限を持っておる、あるいは消防機関は消防機関として、消防法に基づく独自の権限を持っておる、警察官は警察官職務執行法に基づく独自の権限を持っておるということになりますと、そういう指揮命令系統の混乱というものがないだろうか。そういうことを考えるわけですけれども、それを何か統一する、あるいは調整をする具体的な方策なり根拠なり、そういうことがあったらお答えをいただきたいと思います。
  62. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 現実に、ある災害が起きて、その災害によって事故が生じたという場合に、そこにあらゆる系統の救急機関というものが殺到して、混乱が生ずるおそれがあるのではないか、これは御指摘通りだろうと思います。その点につきましては、法律上の問題といたしましては、災害対策基本法の防災計画というものによって、それぞれの持ち分というものをはっきり協定をしておくということが一つの筋でございましょうし、そのほかに警察と消防というものについての、相互応援の場合の連絡協定、あるいは業務実施についての相互の緊密な連絡保持ということは、消防法自体にも書いておりますので、それに従いまして両者の間に摩擦相剋が起こらないように、十分円滑な連絡がとれるようにやって参りたい、かように考えております。
  63. 松井誠

    ○松井(誠)委員 その法律の条文の上で、互いに協力しろというようなことを書いてあっても、それだけでは何ら意味をなさない。ことに災害の現場などで、お互いに気持が興奮しておるときには、えてしてそういうことが起こり得る可能性がある。だから、今の長官の御答弁のように、防災計画なら防災計画で、およそのそういう具体的な——臨機応変の処置はもちろん必要でしょうけれども、およそのそういう災害の現場における秩序というものについて指導されて、防災計画の中に入れるなら入れるということを、あらかじめされておいた方がいいんではないか、そのように思うのです。  そこで、今二宮委員からもちょっとお話がありましたけれども、実は最近における地方の消防団員がはなはだ老齢化して、農業は三ちゃん農業という言葉がありますけれども、消防機関も、いわば三ちゃん消防機関みたいな形になってきている。何か資料によりますと、この消防力のあるべき現状というものは、あるべき基準から見れば約半分だというように書いてありますけれども、おそらくこの半分というものも、質的に見て、若い人の百の消防力と年寄りの百の消防力というものは違うわけです。地方におけるそういう消防力の充実、特に人的な充実ということについては、これはほんとうに焦眉の急だと思いますが、現在のワクの中でやり得るということの一つは、長官が先ほど言われた待遇の問題だと思うのです。この問題について、何か審議会の答申を待っておるというお話ですけれども、もちろん人間がいないのですから、幾ら待遇を上げても、それだけではこの人的不足を補うわけには、もちろん全面的にはいきませんけれども一つの大きな補充の原動力にはなるだろうと思います。ですから、その点について、これからあとも格段の御努力をいただきたい。それを最後に申し上げまして、私の関連質問を終わります。
  64. 永田亮一

    永田委員長 門司亮君。
  65. 門司亮

    門司委員 前の質問者が、かなりたくさん聞かれていることですから、二、三点だけお伺いしておきます。  従来から問題になっております。消防の施設の費用充実のために考えられております。たとえば消防施設税というようなものが、自治省でも考えられておったのですが、その後これはどうなっておりますか。
  66. 柴田護

    柴田政府委員 消防施設税につきましては、従来私どもの方で考えておりましたのは、火災保険料収入を課税標準として、その一定割合を課税する、こういう方式考えておったのでございまして、大蔵当局と実は何回か折衝して参りました。ところが、なかなかその間の話し合いがつきません。それが現状であります。問題は、火災保険料収入を課税標準にいたしました場合に、それが火災保険料に転嫁されはしないだろうか、それをどうして防ぐかという問題。それから、現在消防関係の地方債を、火災保険会社で引き受けてもらっておりますが、これとの関連がどうなるかという二つの難点がございまして、暗礁に乗り上げたまま今日まで進んできておるというのが、偽らない現状であります。私どもは、消防施設税そのものの構想は実現したいという気持で研究いたしております。ただこういう形ではなしに、何かほかの課税の仕方というものを考えていかなければならないのじゃなかろうかということで、検討を続けておるような状態でございます。
  67. 門司亮

    門司委員 今度検定協会をこしらえて、そしてこれに国の費用を出して、消防の問題に国が力を入れられるのでありますが、結局消防が充実すれば充実するほど、もうかるのは損保協会です。いわゆる保険会社であります。従って、保険会社が何らかの形で設備の充実のために協力するということは、私ども当然だと考えます。今のお話に、大蔵省が反対しているというのは、おそらく大蔵省の銀行局だろうと思います。あるいは保険局というのがあるかもしれませんが、自治省としては、大蔵省が反対するからきめられないという、そういう筋合いのものであるかどうかということに、私は多少の疑問を持つのです。だとするなら、この法案はきょうあげるというお話でありますから、別にそれを妨げるわけじゃありませんが、委員長にお願いしますけれども一つ大蔵省に出てきてもらって、あるいは損保協会の諸君にも出てきてもらって、この問題とじっくり取り組む必要があろうかと思います。私はきょうはそれ以上質問はいたしませんが、こういう財源の捻出について、国が施設を完全にすればするほどもうかるような業態があるとすれば、ここから何らかの負担をさせることは、私は当然だと思います。税の原則からいえば、応益の原則というものはくずすわけにいかないので、一つそういうことをしていただきたい。もしそれができないというなら、保険料を下げるとか、そういうようなことをして、国民にわかりいいようにしてもらいたい。  その次に申し上げたいことは、検定協会ができて、消火器その他の検定をされるという、そのことはそれでいいとして、今問題になるのは、消火器の普及と、それから消火器の取り扱い、消火器のその後の検査といいますか、というようなことが案外怠りがちになっていはしないかと思います。火事を見ても、備付の消火器が十分使えなかったということのために、うまく消火できなかったということがたくさんあると思います。こういう協会をおつくりになって、いろいろなものを検定されるわけですが、検定したときにどんなに性能がよくても、あとやりっぱなしたり使い方が悪かったら何もならぬ。そういう消火器の検査というようなことも、今の消防法でもできないわけはないと思います。やろうと思えば、やれないことはちっともないと思います。しかし、往々にしてそういうことがありますので、それらに対する考え方はどうなっておりますか、この機会に一つ聞いておきたいと思います。
  68. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 お話のありましたように、いかに検定をして、消火器等性能のりっぱなものであるということを保証いたしましても、それの保守管理と申しますか、その取り扱い方というものが十分でないと、いざという場合にこれが有効に動かないということになって何にもならない。何にもならないというよりも日ごろそれで安心し、たよりきっているために、いざという場合に動かないことによって、ますます大きな被害を引き起こすというようなおそれのあることは、その通りであろうと思います。従って、それの保守管理につきましては、われわれといたしましてもかなり督励をいたしておりますけれども、十分とはいいかねる面があることは事実でございます。消防用の施設等の整備ということに関連をして立ち入り検査を実施し、あるいは一般の火災予防の職権にございまする立ち入り検査を活用することによって、今のような点が実質上効果を上げることはやり方によっては十分可能であると思います。それらの点については、今後さらに重点を置いて指導に努めたいと考えておる次第でございます。
  69. 門司亮

    門司委員 このことは重ねて聞いておきますが、ある一定の場所には法律上置かなければならないというようになっておる。そこだけの検査は十分できると思うが、それ以外のものも立ち入り検査の際にはやれば私はやれると思います。しかし一般の家庭等においては火器のある場所だけの消火器の立ち入り検査はやれると思います。これはついでにそういうものがあったら見てあげるということはできないことはないと思います。先ほど申し上げましたように、できないことはないと思います。何らかそういうものについての初期防火のための消火器を普及すると同時に、その検定をしていくということで検定協会ができるならば、それらの業者に義務づける。売った業者は何年かのうちには、一応検定してあるけれども、いつでも先方のものが使えるようにするということを販売業者の責任にする、あるいは製造業者の責任にすることはできませんか。各家庭にはたくさんありますから、消防署の職員にそれをやらせてはなかなか大へんだと思いますが、こういう協会をこしらえて、そして国がめんどうを見てやるというならは、その検定を受けて——むろん業者のことですから宣伝もするでしょうし、売り込みもやるでしょうが、しかしそれならそれの反対給付、というわけじゃないんですが、義務づけして、やはりあとつかえないようなことのないように、薬品その他の取りかえの時期にはちゃんと取りかえさす。あるいは性能を調べるということを義務的に行なわせるというわけに参りませんか。そういう措置はとられませんか。
  70. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 業者によりましては事実上そういうようなことをサービスとしてやっておるところもあるようでございます。しかしながら、これはあくまでサービスでございまして、全体にそれを今の態勢では、期待をいたしますことは、指導を強化するという以外にはない。それ以上にそのような点検なり保守管理の義務というものを、製造業者なり販売業者に負わしていくかどうかということについては、私といたしましては今のところ、そこまで踏み切ってまだ決心をいたしておりません。しかし今お話になりました点は、確かに一つのいいアイデアではないかと思いますので、その点一つよく検討をいたしてみたいと思います。
  71. 門司亮

    門司委員 その次に聞いておきたいのですが、救急業務の問題ですが、この問題で往々にして起こりやすいのは、自治体の境界との間の権限の問題が実際に出てきやしないかと思う。それから実際問題としては、Bの地区に起こったのだが、Aの地区の消防に通報した方が早いかまた近いというようなことで、こういう問題が起こりはしないか、そういう問題については何かお考えになっておりますか。役人のやることですから、しゃくし定木になって、道一本で境になっておると向こうの区域だということで、なかなか動かない例がたくさんあるのですが、救急業務としてそういうことをやっていたのでは実際間に合わぬと思うが、その境界の中でごく境界線に近いようなところに起こった事故については、いずれからでも距離の近い方から出ていった方が早いかもしれない。そういう問題については何かお考えになっておりますか。
  72. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 その点につきましては、別途御審議をいただくことになっております消防組織法の一部改正法律案で、現在相互間の応援協定ということを結べるということになっておりますが、その前段階として積極的に相互に連絡、調整をとり、また相互応援をしなければならないということの努力義務を負わせまして、その規定の運用の一環といたしまして、今のようなお話も具体的に解決するようにいたしたいと思います。
  73. 門司亮

    門司委員 もう一つの問題は指定医師の問題ですが、いろいろ指定医師の看板がかかっておるところがありますが、これもうまくいってないようです。この法律ができると同時に、そういう救急業務をするお医者さんは、法律的にこの規則の中で指定される権限が生れるのですか。あるいは指定されてその業務を行なうことができるのですか。この法律でそれはやれますか。
  74. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 その点に問題のあることは事実でございまして、御承知のように厚生省では救急医療体制の整備確立をはかりたい、なかんずく脳外科というものを処理できる中央救急指定病院を設立いたしまして、それを中心として医療体制を確立したいという構想があるようでございます。来年度から実現することにはなっておりませんですが、そのための調査審議機関を設けて、一年かかって結論を出そうじゃないかということになっておるように聞き及んでおるのであります。もちろんわれわれといたしまして、医療体制自体の問題になれば厚生省の問題でございますので、十分そのワク内に入って円滑にやるように緊密な連絡をとりたいと考えておりますが、さしあたり今度の救急業務の問題に関連いたしましては、救急隊によって輸送する相手方の対象機関を厚生省令で定める医療機関題というふうにしております。定義でもって「救急隊によって、医療機関」という場合に、その医療機関については、カッコ書きで厚生省令で定める医療機関をいう。こういうふうにいっております。従ってこの点は今後厚生省と相談いたしまして、厚生省令でどのようなきめ方をするか、厚生省がみずから指定するのか、そういうばかなことはできないから都道府県知事に委任をするのか、医師会との関係をどうすべきか、そういう点は厚生省と具体的に相談いたしまして、適正なる運用をはかりたいと思っております。
  75. 門司亮

    門司委員 厚生省との問題ですが、厚生省が今考えております構想の中にある医療法人というようなものだけでは実際は数が少ないのです。医療法人については、厚生省はある程度圧力をかけるかもしれない、医療法人としては義務がないわけではない、しかしその他の問題もあってなかなかむずかしいと思う。だから、この法律には、そういう救急の問題について業務を委託する病院は、当該責任者たる市町村長が医師会との間に交渉をするなり、あるいは単独に交渉して委託することができるというような道を開いておいた方がいいのじゃないか。救急業務は責任を持っておるが、お医者さんの方は責任がないというようなことでは実際うまくいかないのじゃないかという気がするのです。現状から見ますと、救急車で送って行っても、お医者さんがいなかったというような不都合なことがときどき見受けられます。こういう問題についても、多少の自治体の負担はあるかもしれないが、多少の負担はしても市町村長がこれを委託することができるというようなはっきりした規定をここに設けた方がよろしいのじゃないですか。あまり厚生省に気がねしておると、この法律だってしまいにはどうなるかわからなくなってしまう。厚生省に言わせれば、救急業務は医者の仕事だが、医者の免状を持った消防官がいるかというようなわけのわからぬ理屈をこねておる。そういう連中を相手にして厚生省と話し合ってもなかなかうまくいかぬと思います。これはむしろ消防なら消防の立場から救急上の責任を負う市町村長が委託することができるというように道をあけておいた方がよろしいのじゃないかと思います。その点どうお考えになりますか。
  76. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 現在救急業務を現実に行なっておるところを見ますと、なかんずく大都市、東京、大阪を初め、それぞれ消防機関が救急病院を指定いたしております。これを指定救急医療機関、救急病院というふうにいっております。それの実態というものも、十分加味して参らなければなりません。そこで一応、やはり厚生省の系統でございますので、医療機関については厚生省令で定めるというふうに書いたわけでございますが、厚生省令の内容自体につきましては、現実の実態、また御指摘のような点も十分反映いたしますように、今後の折衝で努めて参りたいと考えております。
  77. 門司亮

    門司委員 その次に、もう一つ聞いておきたいと思いますが、十分以下の都市について、何か特別の構想はございますか。これはもう、十万以下は能力の関係からいって野放しにしておく、こういうことですか。
  78. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 救急のことでございますか。
  79. 門司亮

    門司委員 ええ。
  80. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 救急につきましては、私たちの今の構想といたしましては、大体消防本部、署を設置いたしておりまする市町村で、人口十万以上のところは救急業務というものを義務制にしたい、かように考えておりますが、それ以下のところでも、実態的に救急業務を行なうことが必要であるというこれに準すべき市町村がございますれば、当然それは努力義務を課する、この二本立で事柄を考えておる次第であります。
  81. 門司亮

    門司委員 時間がございませんから、あまりたくさんお聞きすることもないし、またいろいろ聞かれたと思いますが、その次に聞いておきたいと思いますことは、火災の厚因調査の問題について、必要があるときは知事が云々、こう書いてあるのですが、現在の火災の原因調査は、御承知のように消防もやりますし、それから警察もこれを行なっておる。だから二本立でやっております。そうすると、警察の方の権限は、これは府県警察ですから、前の自治警察と違いますから、一応県庁でやると解して差しつかえない。ここにある程度知事の権限というものが出てきているのじゃないか。これ以上に知事が特別に何かしなければならないということがございますか。
  82. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 御承知のように、火災の調査をやります際には、警察はやはり犯罪ということに関連いたしまして原因の捜査をやるということでございますが、それに対して、消防の機能として規定されておりますのは、あくまで原因の調査で、これはその後における火災予防なり火災対策の万全を期したい。その資料にするために調査をやっておる次第でございます。ところが、調査をやりますには、これはかなりの技術、高度の技能が要るわけでございまして、消防本部、署というものもないようなところでは、原因調査権を事実上与えておきましても、実際上働き得ないという状況に相なっておる次第でございます。この間の、例の山中湖の山荘事件、あの焼死事件というものがございましたですが、あれも、あの地区は消防団地区でございまして、原因調査権はその場合は市町村長にあるわけですけれども市町村段階といいましても、そういう職員も何もいない、ああいう場合に原因調査が全然できないというような状況に相なるわけでございます。  そこで、私たちといたしましては、本部、署のあるところはそういう陣容を持っておりますから、これは当然本来の仕事としてやる。しかしそうでない、そういう技術、陣容等も全然ないところでは、求めがあった場合は特に——それがおもになりますけれども、そういうときには知事の方でもって原因調査というものに乗り出していく、そういう余地を与える方がよいのではないが、かように考えた次第であります。
  83. 門司亮

    門司委員 それなら、こういう法律の書き方でない方がいいんじゃないかということです。市町村長の委託に対して、というような字句でよろしいのじゃないか。必要に応じ認めたときはということは、特に知事に権限を与える一つの大きな自治行政自体の問題に触れてくると私は思うのです。一方の親法の方では市町村長に権限を与えて、この法律で、知事が心要なときだというのですけれども、知事は何を考えるかわからぬですよ。だから、責任の主体が市町村長にあるならば、市町村長の要請にこたえてあるいは知事が自分の持っておる能力を発揮していくということは、これは当然だと思う。だからそういう形にしておいた方がいいじゃないですか。もしそれがどうしてもできないというなら、もう少し法律を明らかにして、そうしてある程度あなたの方で規則をきめて、これ以下の能力しか持ちえないものはあらかじめ都道府県知事にその権利を委託すると法律で明確にしておいたらどうですか。この法律はまた、こういうことをやろうと思えばやれるのであって、そういう建前をはっきりとっておかないと、私は将来の自治行政というものに不安を感ずる。市町村長の権限を知事が必要と認めて侵していくということは、これ自体は火災の原因調査だからということになりますけれども、こういう形でだんだん広げてごらんなさい。知事が明らかに監督官庁のような形をとって、市町村長よりも上位に位するのだという権力行政がまた起こりはしないか。この法律は非常に危険です。だからここは、法律自体の建前からいって、事柄はきわめてささいなことであり、適切なことであるように考えられますけれども、法の建前としては、やはりあくまでも今日の自治行政の建前をくずさないでいくということの方が正しいのではないですか。県はむろん法律によって市町村を包括した一つ団体であることに間違いない。従って、その区域における問題を処理することは私は不都合とは思わない。不都合とは思わないけれども、しかし市町村に与えられた権限を、知事が必要と認めたときには勝手に出かけていけるのです。この条文をこのまま読んでごらんなさい、これはどうなっていますか。この点をもう一つはっきりお聞きしたい。
  84. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 御指摘の点でございますけれども、その点につきましては、一応立法の段階ではそういうことを考えたこともなかったわけではございません。ただ、この間の山中湖の山荘というようなああいうことになりますと、社会的な関心等もかなり深いというような点について、消防当局が何ら原因調査もやらないというようなことではいかがかというようなこともあると思います。また事実、全国の消防機関自体も、ああいった場合には、どういうふうなことになっておるのだろうかということについても関心が深いわけであります。そういう場合に例外的に知事が出ていくということは、私は最小限度の行政として、その程度は認められてしかるべきことではないかという考え方でございます。  それともう一つは、必要がある場合といいましても、これはその場合に市町村長の権限が排除されるわけではございません。従って、両立をして参ります。知事が出ていく場合には、知事にもその原因調査の権限があるし、当該市町村にもその権限が留保されておるという段階で、二本立にしていく、全部取り上げてしまうよりも、その方が適当ではないかという配慮から、こういう措置をいたしております。  しかし、御心配のような点、これを拠点にしてまたいろいろのところへ拡大していくというようなことは、これはあるべきことではございませんので、そういう点につきましては、われわれ通牒なり、具体的な指導にあたりましては、十分乱用に流れることのないように留意をして参る所存でございます。
  85. 門司亮

    門司委員 長官は、自治省に長くおいででしたからよく御承知でしようが、法律の建前からいけば、やはり市町村長のやるべき仕事は、市町村長が責任を負うという建前をはっきりとって、もし市町村長がそれだけで不可能だという場合においては、これを知事に委託する。私は法律の文面はやはりぜひそういうふうに書いておいてもらいたい。そうしませんと、権限があいまいになっておりますと、問題を起こして参ります。自治法を読んでごらんなさい、どういうふうに書いてあるか。自治法には、これは少し話がそれるかもしれませんが、たとえば都道府県知事、市町村長が国の命令その他、仕事に従わなかった場合は、総理大臣は罷免権を持つておりますね。自治法にはそう書いてある。この場合は、少なくとも国の権限を行使する場合に、地方公共団体の公選された知事であろうとも市町村長であろうとも、国家目的のためにそれを妨げるようなことはしてはならないという規定がここに現われてきております。こういう強い一つの権限を持っておる。といたしますれば、同じような権限を市町村長にも与えたらどうか。市町村長が必要あるときはこれを知事に委託することができるという規定にするか、あるいはもう少しこれを具体的に書いて、市町村長がその原因調査その他を怠った場合は知事がこれを行なうことができるというふうな規定にしたら、私はまだ法の体裁はいいと思うんです。知事が必要に応じてというようなことじゃなくて、当該市町村長が怠った、あるいは市町村長がその能力がなかったという場合には、知事がこれをやることができるという規定にしておいた方が、法の建前から言えば筋が通ると思うんです。当該市町村長が能力がないからというのは知事の認定でしょう。こういうものを知事の認定にまかすべきじゃない。やはり法律としてその点は明らかにしておいたらどうなんです。その方が筋が通るじゃないですか。
  86. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 一つ考え方であると思いますし、われわれも実行の過程ではそういうことも含めていろいろ論議をやったわけであります。ただ能力がないとか何とかいうことを書くのも自治体消防あるいは自治消防の本質というものから見ていかがなものであろうか。そういうことでなくて、市町村長の原因調査権はそのままにしておいて、これが十分でないというふうに認定をした場合には知事も出ていけるというふうにやるのがむしろ穏当ではあるまいかというふうに考えて、こういう規定の仕方をやった次第でございます。しかしお話のように、乱用にわたったり、あるいはこれが市町村長の権限をだんだん実質的には狭めていく第一歩になるというようなことになっては大へんでございますので、その点は私どもも十分承知をいたしております。運用については具体的な指導の面を通じ、あるいは通牒等の点を通じて乱用にわたらないように厳にいましめて参りたいと思っております。
  87. 門司亮

    門司委員 押し問答するようですけれども、法律にはそう書いていないですよ。その他能力がなかったと認められる場合とか何とか書いてないのですよ。そういうことを書かないで、ただ知事が必要と認めたときだけということになっている。一方的の処置になっている。だから私が言ったようないろいろな疑問が起こってくるのです。片方に能力がなければこれはやむを得ない。しかし能力があろうとなかろうと、こう書いておいて必要に応じてやるのだということになると、権限行使ができはしません。それと同時に、火災の原因の調査と犯罪の捜査というものは違うのです。問題が違うが、しかし犯罪の捜査と言っても、火災の原因がわからなければ実際の犯罪の捜査というものは困難なんですね。放火であるのか、あるいは失火であるのか、火災の原因というものを調査しなければ犯罪事実がわかってこないのですね。ただ消防に調査権を与えたということは、警察の捜査権と違うけれども、やはり捜査権だけでなくて、消防自体の立場からこれを調査して、そして検討することが消防に役立つという考え方から、消防にもその調査権を与えておるのです。従って消防の場合、どこまでも調査権であって、捜査権ではない。しかしやっていることの実体は、ほとんど変わらないと思うんです。私はそう大きな違いはないと思う。そうするならば、警察権を持っております知事は、その範囲でかなりやれるのじゃないですか。だから今の答弁には私はそれでよろしいと言うわけにはなかなかいかないと思うのでありますが、こういうことも、もう少し法律の書き方等についても気をつけていただかぬと、将来に問題を起こすもとになるのではないか。同時に、今日までの自治体の権限というものがこういう形でだんだん侵されてくる危険性を持っている。自治法なんかを改正するたびにその権限は侵されている。当初自治法をこしらえたときとはまるっきり逆の形になっていることは御存じの通りです。役人のその場その場の思いつきで、法の精神まで変わっていくような書き方についてはあまり賛成しがたい。  その次にもう一つ聞いておきたいと思いますことはごくこまかいことでありますが、この法律の二十一条の二十八と二十九との関連性ですが、この協会の「役員となることができない。」という規定がございます。そうしてこれは主として公務員の関係の諸君が多いのですが、法律の建前から見ますと、これらの職制については、自治大臣がこれを解任することができると書いてある。これも一つの法律の書き方だと思う。しかしここはもう少し考えていただいたらどうでしょうか。たとえば選挙法との関連をここへ持ってきますと、選挙法も、当初は公務員が立候補することはできなかった。届け出をしなければならなかった。ところがそれでは不都合ができて、公務員自体が届け出をしないで立候補をして、あとで問題を起こすことがしばしばあった。そのために法律を変えて、国家公務員、地方公務員が議員に立候補した場合には、立候補届を出すと同時に、あとでいざこざのないように自動的にその公務員の方はなくなるのだという規定にしているのですね。公務員の辞職届を出そうと出すまいと、公職の候補者に立候補した場合は公務員の方は自動的にやめたものとみなすというふうにはっきり書いてある。そうだとすればここもそういう形で大臣がこれを解任するとかなんとかいうことでなくて、国会議員であるとかあるいは公務員であるとかいうような人たちが協会の役員になったときは、そのときに公務員でなくなるとかなんとかいうように、明確にしておいた方がいいのではないか。やはりこれはこういう形にしなければ悪いのですか、その辺はどうなんですか。問題を起こしやしませんか。大臣が気がつかないうちに何年か役員をやっておったというようなことがあり得やしませんか。それでなければきちっと禁止事項にしてしまっておく。禁止事項にしてしまっておいたらまだ始末がいい。大臣がうっかり忘れておるとえらいことになりやしませんか。
  88. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 その点はわれわれも十分補佐をいたしますので、忘れるようなことはございません。それと、こういうことになっておりますのは、これは門司先生にまたしかられるかもしれませんが、実は例文になっておりまして、最近の立法例では、特殊法人についての書き方は、大体こういうふうになっておるわけでありまして、この点、この協会だけについて異を立てるのもいかがかということで、こういう規定のやり方になっておるわけでございますので、御了承を賜わりたいと思います。
  89. 門司亮

    門司委員 そういう書き方をするのが慣例になっておるなら別ですけれども、私は問題を起こすと困ると思うのです。この協会の理事とか役員は、数がごくわずかですから、そう大臣が忘れるようなことはめったにないし、またあなた方が関与されるのですから、一応身元調査はされると思うので、大して間違いはないと思うのですけれども、しかしやめさせるについては、大臣がこれを解任するというようなことは、私はここにも一つ疑問があるのです。兼任できないというなら最初から兼任できないようにしておいたらいいと思う。これを大臣が解任するというようなことは、一応兼任することを認めたような形になる。その辺はあまりこの法律の書き方は感心しない。  最後にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、消防研究所の組織規則の六条の二号と、この協会との関係です。これはどっちに重きを置くのです。ここにも検定とかなんとか書いてありますが、これはどうなんです。協会がすべてやって、規則の六条の二号というものは動かなくなるのですか。両方動くのですか。
  90. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 この法律が動く段階になりますと、消防研究所自体の業務規程というものも全面的に再検討しなければならぬ、さように考えております。検定につきましては型式検定における試験と個別検定というのは、全部検定協会が専管事項として処理いたすことに相なります。
  91. 門司亮

    門司委員 そうするとこう解釈していいですか。この消防研究所の規則の六条にあります検定といいますものは、この法律ができれば改正されてそうして器具あるいは機械の検定権は大体協会の専任事項になって、消防研究所の方はこれをはずすということになるのですか。これはやはり両方でやられるのでしょう。両方でやらなければまずいのではないですか。あまり協会だけに信頼しておいていいのかということになるのですが、どうですか。
  92. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 この六条は検定課の業務でございますので、検定課は今度検定協会ができるに伴いまして、課の廃止をいたします。従って、その点、競合いたすことに相なりません、六条自体の改正を行なう予定をいたしております。
  93. 門司亮

    門司委員 六条を除いていえば、二本建にならないから競合することはない、これが生きているとするとそれは問題になる。  そうしますと、この法律全体を一応見て参りますと、先ほどから申し上げておりますように、これにはいろいろ疑義がある。どうも消防のことだけお考えになってやり過ぎているきらいがある。もう一つの問題は、考えていただきたいと思いますことは、消防の火災原因その他については、知事が自分で調査することがいいと考えれば調査することができる権限が与えられている。それから人命に特に関係のある救急業務については十万以上の都市についてはこれを必置させる、それ以下の都市については知事は何も関係しなくていいのですか。消防のことについては知事は権限を持つが、人命については十万以下のところは自分でこれができない。片一方で知事にこういう権限を与えるなら、義務としてそういうものを与えたらどうか。それ以下のところも県でやれというふうにきめられませんか。
  94. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 私はそこまでいくのは自治体消防、市町村消防の建前からいって行き過ぎであるというふうに考えます。やはり消防というものは市町村が主体になってやっていくべきものである、最小限度の問題について補完的な機能を果たしていく、市町村の消防が十分に果たされるように応援をしていく、そういう権限にとどめるべきではないか。技術的な点については、現在御承知のように危険物の行政等については消防本部署のないところでは知事がやっております。やっておりますが、それも本来的な機能というよりも、常設消防ができればそちらの方にまた移していくわけでありますので、技術的なやむを得ない点を除きましては、本来的にはやはり市町村にやらせていくというのが本来の姿だろうと考えております。
  95. 門司亮

    門司委員 どうもその点の考え方が少し違うのです。私の聞いているのは救急業秘についても小さい市町村ではやれないでしょう、そういう場合だれがやるかということです。十万以上の都市だけが救急業務をやればよろしいという筋合いではないだろう、こういう法律をつくるからには、これは日本全体の市町村に及ぼす仕事だと私は思う。それが財政的、機能的に不可能だというなら、財政的、機能的に力を持っておるところにこれをやらせるということでよろしいのではないですか。別に権限を侵すわけでも何でもない。あくまで今長官の言うように、市町村長の権限を侵すことはけしからぬというなら、こういう形で知事に調査権限を与えることは、長官の答弁自身からして大きな矛盾だと私は思う。さっき申し上げましたように、もしそういうことが必要なら当該市町村の要請に基づいて知事は調査することができるというように改めたらどうですか。そして、あくまでもさっきから私が申し上げておりますように、市町村長の権限を確保していくという形をとったらどうなんですか。救急業務の方は市町村長の権限だからこれを知事は侵してはいけない、火災原因の調査の方は知事が任意にできる、こういう理屈がしかも一つの法律で通るのですか。二つの法律ではない、一つの法律だ。私が聞いておるのは、十万以下の救急施設の必置されないところについても、こういう事態が起こる場合にはやはり知事がやるということができるのかどうかということです。救急業務については、あなた方も御存じのようにこれには沿革がある。これは警察がやるべきだとか消防がやるべきだとかいう理論的な根拠がどこかにありますか、消防でなければならないという理論的な根拠がどこかにおありですか。今までの経過でしょう。もう少し詳しく言うならば、長い歴史がこれにはございます。今までこれが法制化されなかったところにもそういう原因があるのです。とっくにこういうものは法制化しておかなければならなかったのだが、これを一体警察業務にするとか消防業務にするとか、消防が妥当だという理論的根拠がどこかにおありでしょうか。これはきわめて大きな問題だと思う。われわれがそういうことを議論しないのは、消防がだれが頼むともなく、だれが指定するともなく、一、二の消防署でこういう業務に携わった長い歴史を持っておるのです。そういうものが尊重されて、今日おそまきながらこういう法律ができておると解釈することが、私はこういう法律の起源から考えて正しいと思う。警察の業務か、消防の業務かということを議論されたことが今までないというのは、そういう一つの過程があるからです。だから、今のような長官の答弁なら、一体消防の仕事であるのか、警察の仕事であるのか、その議論から一つしようじゃないですか。それからこの法律をきめようじゃありませんか。どうなんです。私が聞いておりますのは、十万以上の都市にこういうことをするなら、それ以下のこういう能力を持たないところの都市にはどういう処置をするのかということです。それについては、ある程度知事がそういうことをやれるというような仕組みにしてやったらどうかということです。もし、それができないならできないでけっこうです。何でもかんでもそうやれとは言わない。ただ疑問に思うのは、十万以上の都市でなければやれないだろう、それ以下は財政的、事務的にも困難だろう、だから法律の限界をこの辺に置くのだということなら、これは法律の一つの限界です。しかし、救急業務全部から言えば、各都道府県の仕事である、それから全国の市町村長がその責任を負うべきです。法律の建前から言えば。ただ法律の限度としてこの辺に集約されるということなら一応うなずける。私の聞いておりますのは、それ以下のものについてはどうするつもりですかということです。
  96. 藤井貞夫

    ○藤井政府委員 救急業務が本来警察の仕事なのか、消防の仕事なのか、その他の機関の仕事なのかということは、理論的には非常にむずかしい問題でございます。お話通り理論的に押し詰めて消防でなくちゃいけないのだというようなことはございません。お話にもございましたような、従来の長い経験、その積み重ねということから、消防が従来主体となってやってきておりますそれを尊重して、これを法制化しようというのが今度のねらいでございます。  もう一つ、十万以下の点でございますが、これにつきましても、お話のように、これは現在の時点における法律上の限界ということがここに現われてきておるのでありまして、むろん事柄の性質上、あらゆる市町村をおおってやっていかなければならないことでございましょうけれども、現在火災に対しても、常設消防というものがまだまだ普遍的ではないという現状におきまして、救急業務についてもこれを全体に義務づけることは、財政上その他の都合からいって現実に合わないのではないだろうか。しかし一方前進の意味でその態勢をつくって参りたい。そこに法律上の限界ということを御指摘のように置きまして、このような規定にいたした次第でございます。
  97. 門司亮

    門司委員 私はこれ以上聞きませんが、法律でありますから、もう少し筋を通してやっておいてもらいたいと思います。消防の歴史から見てみましても、当時の救急業務を消防がやった時代の歴史的の過程の中から見出されるものは、火事という非常事態に対する、人命に対する損害が非常に多かった時代です。しかし最近の人命に対する損害は、警察業務と考えられる交通事故の方が大きいのです。そうすると時点がかなり狂うべきではないかという考え方をするのです。消防が救急業務を始めたときは、今のように交通事故はあまりなかった。火事があればけが人が出て火事場からそれをだれが運ぶか、どうするかということについての問題から、火事に関連したものだから消防がやったらいいじゃないかということで、大体業務の発展過程から見れば、そう考えられる資料もたくさんあると思う。こういう経過に基づいて設定しようとする法律であります限りにおいては、私はやはり筋を通しておいてもらいたい。それ以下の都市のそういう事態については、何らかほかの方法考える必要がありはしないかということですから、さっき申し上げましたように、現在この法律の限界から言えばこの辺だと思う。それ以上の答弁を求めても無理だと思う。しかし、それ以下の市町村で事故の起こるのは大体同じようなことです。特に最近交通事故はどこでも起こるのです。だから、その辺をさらに私はもう少し考慮してもらいたいと思うのです。そうして、この場合におけるこの法律の限界は、これでよろしいと思いますが、この種の法律については、特にそれらに携わる諸君の身分の保障であるとかあるいは何とかいうものについても、消防はもう少し強くなってもらいたいと思うのです。  大臣に聞いておいてもらいたいのだけれども、消防施設税のことは、大蔵省の役人からそういうものは困るというようなことだけで、理論的に私どもは応益の原則からいけば可能であると考えられるものが、大蔵省の役人にさえぎられて、そうして地方住民負担が、税外負担その他の負担がこれによって大きくかかってくるということはやめてもらいたいと思うのです。取るべきところからとったらいいのです。この点は大臣、あなたでよろしゅうございますから、長官からお聞きになって、大蔵省と腹を据えて交渉してみて下さい。そうしないと、私どもも何度かこの問題を持ち出さなければならぬ。同時に、機会があれば、一つ委員長は、大蔵省の大臣でも局長でも部長でもよろしいから来ていただいて、この問題やっていただきたい。  きょうは私はこれで終わります。
  98. 永田亮一

    永田委員長 他に質疑はございませんか。——他に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了することといたします。     —————————————
  99. 永田亮一

    永田委員長 これより本案を討論に付する順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  これより採決いたします。消防法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  100. 永田亮一

    永田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
  101. 永田亮一

    永田委員長 次に、お諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  102. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十二分散会