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1963-06-28 第43回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十八日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 足立 篤郎君 理事 鴨田 宗一君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       安藤  覺君    天野 公義君       伊藤 五郎君    小川 平二君       大久保武雄君    大高  康君       岡田 修一君    金子 一平君       久保田藤麿君    島村 一郎君       正示啓次郎君    田澤 吉郎君       田中 榮一君    田中 正巳君       高見 三郎君    濱田 幸雄君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       坊  秀男君    佐膝觀次郎君       田原 春次君    永井勝次郎君       芳賀  貢君    広瀬 秀吉君       横山 利秋君    春日 一幸君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  原田  憲君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (関税局長)  佐々木庸一君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月二十八日  委員天野公義君、宇都宮徳馬君、川村善八郎君  及び武藤山治辞任につき、その補欠として島  村一郎君、正示啓次郎君、大高康君及び永井勝  次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大高康君、島村一郎君、正示啓次郎君及び  永井勝次郎辞任につき、その補欠として川村  善八郎君、天野公義君、宇都宮徳馬君及び武藤  山治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十八日  砂糖消費税法を廃止する法律案有馬輝武君外  八名提出衆法第四二号) は委員会許可を得て撤回された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正  する法律案内閣提出第一八三号)  砂糖消費税法を廃止する法律案有馬輝武君外  八名提出衆法第四二号)  砂糖消費税法を廃止する法律案有馬輝武君外  八名提出衆法第四二号)  の撤回許可に関する件      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案及び有馬輝武君外八名提出砂糖消費税法を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。質疑を続けます。通告がありますので、これを許します。永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 これは大臣がわかるかどうか知りませんが、現在砂糖ランニングストックはどのくらいあるか、そしてそのランニングストックの中に輸入糖分国産糖分と区分してちょっとお示し願います。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 いまの御質問につきましては農林省当局からお答えをさせますからお待ちいただきたいと思います。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 今度政府関税消費税を引き下げることになりました原因は、砂糖消費者価格が非常に暴騰しておる、消費者に対して何とかしなければならぬ、若干の良心的な措置として出てきたと思いますが、私は砂糖値段ふろ代パーマ代理髪代と同じような、あるいは野菜消費者価格というような、そういうベースでこの問題を考え、そのベースの中で処理しようとしておる、この上つらのごまかしのやり方に対してはわれわれは了承しがたいわけでありますが、価格の問題を追及するのには、やはり糖価の問題を追及しなければならぬ。糖価の問題を追及していきますと、糖業政策そのものの本質に触れていかなければほんとうの価格の問題は抽出できない、私はこう思うのです。なぜ上つらの価格の面だけ小手先で処理していく、本質的な問題をもう少し追及しないのか。ことに砂糖の問題については長い年月にわたって、これは伏魔殿のごとく言われておるわけです。こういう問題に、なぜもっと内部にメスを入れないのか、この点について大臣の御答弁を願います。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 今度の問題は御承知のとおり国際糖価が急に暴騰いたしましたので、それにつられて国内消費者価格も上がっておるわけであります。でありますから、ただいま永井さんが言われたとおり本質的な問題は政府でも、また皆さんの間でもいろいろ検討を進められておるわけでございますが、それにプラスをいたしまして、今般の問題は応急の問題として国民の利益を守りたいという考えで、関税及び消費税の引き下げをはかったわけでございまして、あなたがいま御発言になられましたような問題については鋭意努力いたしておるわけであります。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 政府物価政策の中には、便乗値上げは認めない、あるいはその価格の中に不当な部分はこれは認めない、こういう一つ経済秩序考え方があると思います。砂糖国際価格が昨年の十月ごろから上がり始めておりますことはこれを認めます。しかし過去四カ年にわたって史上いまだかってないというほど国際糖価値下がりしたわけであります。ことに去年のごときは標準糖価が三・四五セントの標準糖価に対して二・〇五セントくらいまで国際価格値下がりをしておる、こういう値下がりしたときは、ちっとも国内価格にこれは反映してこない。そうして十月に値上がりしたらそれがびゅうんとはね上がってくる。私は予算委員会においてこれを質問いたしました。国際価格史上最低価格まで値下がりしたときに、国内価格に少しもこれが反映しないというのはおかしいじゃないか、こう質問しましたら、これは砂糖スポット買いじゃないのだ、一年前の高いときの値段のやつを注文して、その品物がいま入ってきているのだから、これは業者からいえば、現在の国際価格値下がりというものはその価格に直結していないのだという答弁であった。その当時私は、それならそれでけっこうだ。ところが昨年の十月に値上がりしたものがびゅんびゅんその月から国内価格にはね返ってくる。これは外貨割当で、実績割当でちゃんとワクはきまっているのですから、各業者はもう前から手当てしている。これはスポット買いでないのだ。それがそういうような価格に、しかも膨大な価格になっておる。いま消費者価格はキロ百五十五円前後にはね上がりしているわけですが、これに対して大臣は、関税なり消費税なり、税金政府がはき出さなければ値下がりできない条件にあるのかどうか。もっと価格関係の内容を明確にしてもらいたい。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 永井さん御承知のとおり、砂糖行政農林省でございまして、こまかい問題は農林省からお答えを申し上げると思うわけでありますが、あなたがいま言われたとおり、確かに国際糖価が非常に下がっても高いものを買っておったというのですから、逆に国際糖価が上がっても安いものを買っておったときになぜ一体上がるのか。これはそのとおりであります。でありますからこの委員会でも申し上げておりますように、便乗値上げは厳に押えなければならぬというわけで、農林省もその意味で一体いままでの実績はどういうのか、便乗値上げというようなものはないのかというような問題で、十分各精糖会社別に調べておりますし、また調べるだけではなくて、糖業者に対しましても便乗値上げというようなことは絶対にやらないようにという強い行政指導は行なっておるはずであります。いずれにしましても、きのうも申し上げましたが、いまの段階で、いままで外糖を入れましたコストは大体五・〇四セントというような状態のようでありますから、それを邦貨に換算すると大体百三十五円というような数字が出るわけであります。でありますから、合理化も一面において進んでおりますし、一面においては賃金やその他の管理費もふえておるというような問題を全部計算をしますと、いままで入っておったものが一体どの程度でいいのかというような問題はおのずからはじき出されるわけでありまして、それらの行政農林当局で十分やっておるはずでございます。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 農林省がいませんから大蔵大臣所管関係についてお尋ねをいたします。  私は砂糖行政ほどおかしなものはないと思う。すっきりしないものはない。そのごまかし積み重ね積み重ねになっている。輸入関係砂糖価格国内価格国内甘味資源を育成、助長しなければならない。こういう意味ではこれは国際価格よりうんと高くなってくることはやむを得ないと称しておる。そうしますと、国内価格合理化して値下げをするということは輸入業者にとっては、これはかえって自分自分の首を絞めることになる。だから業者合理化追求というものと価格というものと、それから各会社における利益率というものが合理的に結びついて、そうしてそれが経済活動の中で合理化していけばそれだけ利益があるんだ、合理化しなければ損なんだ、こういうような条件が整備しませんと合理化すれば損なんだ、合理化しないでべらぼうなコストも何もないようなでたらめなことをやる。それでも現状の価格が維持される、こういう不合理な組み立ての中では私は消費者にこたえることもできないし、生産者にこたえることもできない。中間にある業者だけがぼろもうけしている、こういうことになると思うのであります。その意味において私は大蔵大臣に伺うわけでありますが、輸入業者はずっとぼろもうけしております、下がれば下がったで、上がれば上がったで。そうしてぼろもうけしているもののチェックはどうしているかといえば、法律によらないで行政措置超過利潤があったから幾ら出せ、こういうことでいままで調節してきたわけでありますが、こういうことをなお続けていかれるお考えでありますかどうか、伺っておきたいと思います。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 糖業者というものが特定なワクの中におるのでありますから、それがゆえに暴利をむさぼる、安易の夢をむさぼって合理化をしないというようなことであっては絶対にならないということで、あなたがいま言われるような方向で行政指導は行なっているわけであります。それでもなおそういう問題が片づかないということになれば、いままでのように糖業者を保護するというような立場よりも、だんだんと窓口をあけてより合理化を促進するような体制にならなければならぬことは言うをまたないと思います。  それから行政でもって超過金をとるというような問題、これはどうも私もあまり合理的な最上の策だとは思っておりません。思っておりませんが、いろいろな過程を経てそういうふうになったと思いますが、これはしかし私のほうでは別に法人税法もありますし、ほかの税法もありますので、もうけているものに対しては仮借なく税金は徴収するというたてまえはとっているわけであります。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 従来政府答弁はもうけがあれば税金でこれをとるんだ、こういうことでしょう。ところが、過去超過利潤をとった年度におきましても、この議場で大臣は、大蔵大臣農林大臣も七十数億の超過利潤がある、こういうことを答弁しているわけです。そうしてその七十数億の超過利潤として吸い上げて措置するんだという段階になると、その計算上出る七十何億というものが査定されて三十六億の査定になったわけです。それでは三十六億というものは、過去の年度における超過利潤です。そうするとそれだけの超過利潤があるということは、各会社決算報告その他から見ればそれだけ脱税しておることになる。過去にわたって大蔵省が七十億の超過利潤があるから、それに対して超過利潤として政府に納めようとするのが三十六億だという、こういう査定をしておる。これは過去においてそれだけの脱税があったということの立証だと思う。それならばこれは脱税として追及しなければならないと思う。ところがこれを超過利潤としてとって、これを後年度で三年で分割納入させるということなんです。これは後年度利益分から損金に落とさないということを河野農林大臣が議会で答弁しておる。それにもかかわらず、これはどういうふうに処理しておるのか。確かに後年度利益分からこれを出すのですから、損金に落としておるのか落としておらないのか。その金はどういうふうな形で納入して、どういうふうに処置しておるのか、この点を明確にしていただきたい。大臣では無理かと思いますが……。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 この問題については、主税当局もしくは国税庁当局からお答えさせます。
  13. 泉美之松

    泉政府委員 お答え申し上げます。  先ほどお話のございました超過利潤の点につきましては、三十四年度と三十五年度分につきましては三十六億というお話がございましたが、農林省におかれまして超過利潤として決定して、その納付方会社のほうに措置せられました金額は十八億円であります。その分につきましては国税庁のほうからお答えすべきかと思いますが、便宜私からお答え申し上げますと、この十八億円分につきましては、すでに法人税を払った後の金から納めるものであるから、これについては損金に算入しないという措置をとっておるわけでございます。その次に、三十七年以降の超過利潤につきましては、なお目下農林省方面検討が行なわれておるものと聞いております。これについてはまだ法人税法上どう処置するかは決定いたしておりません。
  14. 永井勝次郎

    永井委員 中西部長が見えたからお尋ねしますが、先年超過利潤については七十何億あるところを査定して三十六億とっておるということを報告したわけです。その後これに対して業界はこの三十六億を税の対象にするならば、その半分より納められない、こういうことを述べていたわけです。その理解で当時の農林大臣であった河野さんとの話し合いでは、その三十六億対象にして、そうしてこれを後年度利益分から納めさせる場合、これは損金として落とすということはおかしいじゃないかといったら、それはそういたしません、こういうことを明確に答弁していたのでありますが、いま聞きますと、三十六億吸い上げるという超過利潤は、業者要望どおり税金を納めるなら半分より納められない、そのとおりに十八億にした。それはどういう経過でこういうふうになったのか明確にしていただきたい。それから昨年でしたか、ことしの春であったか、予算委員会で九億はとりました、これは税の対象にしておりません、こういうように答弁されたわけですが、そういういきさつや経過をこの際明確にしていただきたい。
  15. 中西一郎

    中西説明員 お話の点でございますが、三十六億についても、税金を三十四年と五年に払っておるという計算で、十八億円の支出を求めるということに、三十六年の末から七年の初めにかけて話が進みまして、その十八億円を三年間にわたって支出するという場合に損金に算入するということで強い要望がありまして、そういうことで一応進みつつあったことは、国会答弁なりその他で御説明申し上げました。それで損金に算入すると実質九億ということになるのですけれども、その後河野農林大臣の当時の御言明もあり、われわれ専務当局大蔵省とも相談いたしまして、ことしの四月ごろに損金には算入しないということを……。(永井委員「それは三十六億を対象にしてですか」と呼ぶ)十八億を対象にしてです。それで損金に算入しないということを明らかにして、その旨精糖業者関係にも通達いたしまして、現在、将来に向かってその十八億円を拠出中であります。
  16. 永井勝次郎

    永井委員 国会政府当局から答弁されたのは、七十数億の超過利潤があるのだ、その七十数億の超過利潤査定して三十六億を吸い上げるんだ、こういう。その三十六億を後年度利益金のうちから損金に落としていくならばおかしいじゃないか、税金対象にするのかと言ったら、それは税金対象にしませんと、こういう。この言明があった直後、業界からは三十六億を税金対象にするならば、新しい税の対象としてこれを見るならば、われわれは十八億より出すわけにはいかない、税金を差しおいた十八億しか出すわけにいかない、そういう業界要求でこれは取引したんですか。三十六億を対象にしてわれわれは税の対象にしない。もうすでに三十六億から半分の税金を差し引いて十八億だけそういうふうにしたということはおかしいじゃないですか。税金を落としたのはあたりまえですよ。税金対象にしないのは。そういうことが、もう何十億というものが小手先ちょんちょん行政措置で左右されるということは、大体これは汚職、疑獄の、まず第一にこんなところにも、こんなすみっこにもこういうものがあるのだということがわかるわけです。この点は、三十六億がなぜ十八億に急になったか、そうしてその査定はどういうふうにして行なったか、この点を明確にしてもらいたい。
  17. 中西一郎

    中西説明員 お話しの筋はお話しのとおりで、その点についての損金不算入問題は明確にして通達をしていることは、先ほど申し上げたとおりです。ただ数字のほうの問題なんですけれども、これは当初から国会にも資料を何回かにわたってお出ししておりますが、三十四年の価格差益が十億強、それから三十五年度価格差益が二十五億強、両方合わせて三十六億。ただその当該年度でそのうちの四九・二%は税金として払っておりますから、残りの十八億をどういうふうにとるかということが問題になったわけです。その十八億について損金算入するかしないかが問題になった。それは先ほど申し上げましたように、損金に算入しないということで将来に向かってこの十八億全部とるということになったわけです。七十二億と先生おっしゃる三十六億の関係でなしに、三十六億と十八億の関係で、十八億をとれば、当初の約束どおりのことであるというふうに理解いたしております。
  18. 永井勝次郎

    永井委員 時間ですから、やめますが、この問題はなお続けます。
  19. 臼井莊一

    臼井委員長 本会議休憩の際、直ちに委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時三分休憩      ————◇—————    午後一時二十五分開議
  20. 毛利松平

    毛利委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  質疑を続けます。有馬輝武君。
  21. 有馬輝武

    有馬委員 最初大蔵大臣にお伺いをいたします。  昨日も佐藤委員質問に関連いたしまして、私若干大臣にお伺いをいたしましたが、今度の砂糖消費税の問題、また関税の問題を取り上げられた政府態度について、最初にお伺いをいたしたいと思うのであります。それに先立ちまして、私は今回の政府並びに与党各位の御努力に対して敬意を表したいと思うのであります。それは現在まで大蔵省というものは、非常に頑迷固陋と考えておりましたけれども与党の方々の熱意にこたえられて、柔軟な態度を持たれた点についても、私ども非常に敬意を表しております。また、政府関税一本で何とか措置しようというのに対しまして、やはり国内生産者、ビートあるいは精製ブドウ糖あるいは甘蔗、こういった生産者立場に立ちまして、今回の砂糖消費税の問題を取り上げられた与党各位の御努力に対しましても、心から敬意を表しておる次第であります。しかしながら、私ども砂糖消費税を全部撤廃すべきであるという態度との間には、おのずから大きな懸隔があるのでありまして、こういう立場から私ども若干の点について、やはりただすべき点はただしてまいりたい、こういう角度でお伺いをいたしますので、この点につきまして政府の所信を明らかにしていただきたいと思うのであります。  まず第一点でありまするけれども、それは今度の砂糖関税消費税の問題について取り上げられた視点も、やはり国内の総合的な物価対策の中の一つとして取り上げられたものであって、私はただ砂糖だけをぽつんと取り上げられたものとは考えておりません。そういう意味で、やはり物価対策全般という視野からとらえていかなければなりませんし、そういう意味政府物価対策全般についてお伺いをいたしましてから、この砂糖消費税の問題についてただしてまいりたいと思うのであります。きのうあるいはそれ以前からお伺いいたしておりましても、政府の長期の物価対策、これについて私はわからない点が多分に残っておるのであります。少なくとも一昨年、昨年の消費者物価指数上昇率が六%をこえておる、あるいは本年の二、三、四月が七%をこえておるという事態に対しましては、私は根本的な点から出発しなければならない段階にきておるのではないか。けさの新聞を拝見いたしましても、企画庁のほうでこれについて一つ検討の材料といいますか、来月六日か何日かに予定されております、経済閣僚懇談会に対する一つの試案みたいなものが出ておりますが、これに対して、どこを押えれば現在のこの急激な物価上昇というものを押え得ると考えられておるのが、この点についてまず第一にお伺いをしたいと思うのであります。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 物価抑制に対して政府があらゆる角度から検討し、実施をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。各省はもとより自分所管の問題に対して、積極的な物価対策考えておるわけでございますが、政府全体といたしましては、経済企画庁を中心にいたしまして、すみやかに物価の安定に対して具体策を樹立をいたしまして、これを実行に移したいということで、現在各省で意見を調整をいたしておる段階でございます。
  23. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私がお伺いしておるのは、大蔵大臣としてどこを押えればその成果が期し得られるのか、この点をお伺いしておるわけであります。
  24. 田中角榮

    田中国務大臣 今回法律を提案いたしまして、減税をいたしたいということもその一つでございます。総合的な問題としては、物価はどうして上がるのかという問題に対しては、いろいろな原因があるわけでありまして、この原因一つずつとらえて、的確に判断をしながら、迅速な施策を行なうことによって物価の安定を期したい、このように考えておるわけであります。
  25. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 ぼくは与党の諸君にお願いをしたいと思うのでありますが、審議を促進したいということで大蔵大臣に箝口令をしくのもよろしいけれども、やはり肝心かなめなところだけは、ひとつ答えていただくように御配慮をいただきたいと思うのであります。  少なくとも今度の物価上昇問題点といたしまして、はたして現在までの所得倍増政策というものを続けていく過程において、政府がいろいろな施策をやっても、抑制が可能であるかどうか。一つの点をあげますると、中小企業面等におきまして、生産上昇に伴って人件費も上がってくる、そういったものは、急激に二重構造が解消される過程においてはやむを得ないのだというような見方を、企画庁あたりではしておるようでありますけれども、そういった必然的に起こってくる事態に対しては、政府としてはどのような手を打とうとするのか。こういう点、一つの例でありますけれども、そこら辺について、やはり懇切な御見解をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のとおり、物価問題というのは、その端的に解明ができる問題ではございません。しかし、いま物価というものが一体どういうふうにして上がるのか、こういうことは、端的に申しますと、あなたがいま申されたとおり、だんだん経済成長がよくなり、われわれの生活そのものも上がって来いるという過程において、ある程度の物価上昇は、経済理論的にいいましてもやむを得ないことであるということも一つ原因であります。もう一つは、需給のバランスがくずれておるということが大きな原因であります。食料品でも、野菜その他をつくるよりも、まだほかのものをつくったほうがいいという考え方、実際において野菜というものは自分が食うだけつくればいいのであって、なかなかこれを売りに出すまで積極的にならないという問題もあります。もう一つは、都市に人口が過度に集中をしましたために、普通でしたら、都会で定年に達した者は、郷里に帰って幾ばくかの田畑を持ちながら、せめて自分の食うものくらいは自給自足しようという考えがありましたが、戦後は、そんな苦労をするより買ったほうが安いのだ、野菜も高いようだが、まあ買うとしてもそう高いものじゃないというような観念的な問題もあります。いろいろなものがありますが、特にその中で一番大きな問題は、東京都などにおける流通機構の問題であります。御承知のとおり東京都は、おおむね五百万人を対象にして流通機構をつくられておるわけであります。その上法律や条例で、がんじがらめになっておるわけでありますが、現在東京は人口一千万、潜在人口を入れると一千百万人にもなんなんとしている。こういうことから考えますと、流通機構そのものを抜本的に改正しなければならぬ。市場法そのものに対しても、いまのような状況で一体いいのかという問題もあるわけであります。特に交通難という問題によって、埼玉県、群馬県から戸田橋までくる時間と、戸田橋から神田まで、神田から中央市場までいく時間はおおむね同じことだ。こういう問題も解決しなければならぬ。いろいろな問題があるわけでございます。その上なお質が非常に変わっている。前にも申し上げましたとおり、十五坪のものが二十坪になり、二十二坪五合になり、二十五坪になる。お互いが昭和二十一年、二十二年のころは、服一着で夏冬通そうと思っておったのが、このごろは夏服、冬服、春と秋の合い服、海外から人が来るのでタキシードもモーニングも必要だ。こういうわけで非常に質が改善をしておりますので、こういうものをあらゆる角度から検討いたしまして、各省自分所管する事項に対しましては、ひとつ思い切った施策を行なう、こういうことでなければ、物価問題は解決できないわけでありまして、これらの問題を各省別に具体的に取り上げまして、いろいろな施策を行ない物価安定に資したい、このように考えておるわけであります。
  27. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 いま大蔵大臣お話しのように、今度の物価騰貴の特徴点といたしましては、一つは末端の流通部門における、特に最末端における、たとえばいま御指摘のありました食料品なり、あるいは雑貨なり、衣服なりというような面において、その騰貴が非常に著しいという傾向と、いま一つは、非常に近代化のおくれた部門において出てきている、この二つが私は特徴点ではなかろうかと思うのであります。その場合に、それに対して政府施策でどのような手が打ち得るか。一つはこれをお伺いしたいことと、いま各省で強力な手をとおっしゃるのでありますが、去年の例を見ましても、私たちが常に指摘いたしますように、公共料金その他で、常に一角ずつくずされていく経過をたどってきておりますが、特に経済閣僚懇談会でもイニシアをとらなければならない大蔵大臣が、はたしてこういったことをチェックでき得る自信を持っていられるかどどうか、この二点についてお伺いをしたいと思うのであります。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 各省も具体的な問題に対してやっております。流通機構の改善対策、それから農産物、特に生鮮食料品等に対しては、価格安定対策を進めながら、生産意欲の向上につとめ、需給のバランスをとろうという考え方、また冷蔵庫施設等をやりまして、長期的に食料品を貯蔵できるようにしたり、また新生活運動によりまして、いわゆるかん詰めというものに対してもいろいろな考えをめぐらしましたり、東京や大阪に過度に、特に労働人口以外の者が流れ込んでおるというような問題に対しては、これをできるだけ分散せしめるように、あらゆる角度から施策考えておるわけでございます。それから大蔵省としましては、いままで戦前、戦中、戦後を通じて流通機構というような問題、それからもう一つは、生鮮食料品というような問題に対しては、特に価格安定というような問題が中心でありまして——中心というか前提でありまして、いい品物をより安く多量に生産をするということの配慮に幾らか欠けておったのじゃないかというふうにも考えられるわけであります。麦というものが長雨でもってたいへんになると、もうあらゆる角度から施策を行なえ、こういうときにはたいへん一生懸命になりますが、麦というものをよけいつくる、いわゆる外国の麦は安いので、食糧管理法によりましてはかえって外国から麦がたくさん入ってきたほうが食管会計の赤字は少なくなるけれども、そういうことよりも一歩進めまして、外国の麦よりも安くていい麦が日本でできないのかというようなことには、多少配慮が欠けておったのではないかというような気もいたします。  もう一つは流通機構の問題にいたしましても、東京都そのものがうんとやらなければならない問題であるにもかかわらず、東京都が手数料をとって、それを一般財源に繰り入れている、そのしりを政府が見なければならぬというようなことは、これはとてもおかしい。私はそういうことを経済閣僚会議でもはっきり言っておるのであります。少なくとも東京都というものは首都ですから、これはきょうの本会議でもございましたように、地方自治の自治権を侵害することでも何でもありません。政府も一生懸命やっているのですから、特に東京都も全く一体となって、私は主体的には東京都がやるべきものだと思っているわけであります。そういう意味でいままでは特殊な市場に特定な利益を確実に得せしめるというようなことにのみウエートを置いておりましたが、そうではなくて、やはり少なくとも生鮮食料品の卸売り市場、せり市場などというものに対しては、相当多量の手数料をとってこれを一般財源に繰り入れるというようなものではなく、私は一般会計から補助をしたり、繰り入れたりするようにして、流通機構というものをより拡大しなければいかぬ、こういうふうに考えているわけであります。  もう一つは、既存の権限、これはいろいろなものでありますが、戦前、戦中から長い間の既存の権限であるということで、この権利が漁業権においてもあらゆる権利においても権利化しておりますが、この権利というものは商習慣として全然無視するわけにはいかないが、これがべらぼうもなく高いものについておるのだから、当然その利益は表高よりも実際に権利を売った場合の何割になるように、手数料や収益というものは算定せらるべきだというような考え方は間違いであります。私は遺憾ながらそう思います。だから国民大衆を中心にして考えるときにどうあるべきか、小売りも一割であったものが三割五分、この間の北海道の例などでいいますと、六割、七割二倍にもなるだそうであります。こういうことをそのまま認めていって、それで一体物価抑制ができるのかどうか。私は制度上も問題があるものは、大いにメスを入れてやるべきだ、こういうことを特に主張しておるのであります。でありますから、物価対策でも大蔵省が金さえ出せば物価は下がるのだ、こういう考え方だけを前提にしておることは間違いである、こういうことで経済閣僚会議でも大いに私も発言をいたしておるわけでございますが、口でだけ言ってもしょうがないので、まず砂糖に対しては原資を確保して減税をやろう、こういうふうに具体的に踏み切っておるのであります。現在政府としてはほんとうに各省をあげて物価対策には取り組まなければいかぬという姿勢でございます。
  29. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 先ほどお尋ねしました第二段の、現在まで公共料金その他をチェックできなかった、今後はそれをやり得る自信があるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。   〔毛利委員長代理退席、鴨田委員   上長代理着席〕
  30. 田中角榮

    田中国務大臣 公共料金等につきましては、当分の間経済企画庁と合議をして——上げる場合、合議をするという閣議の了解事項がございます。当分の間というのがいままで続いておるわけでございまして、これらのチェックは経済企画庁でやっておるわけであります。私のほうといたしますと、鉄道の運賃が値上げできない。また米の消費価格は値上げしないというようなことですべてを押える——押えるよりもだんだんと下げていくのである。そしてその下げる部分は全部大蔵省が補てんするのだ、こういうことでもってくぎつけにされると、それは国の財政の上から見てたいへん困難な状態になるわけでございますが、それでも財政法その他で見得べきものはできるだけ見て現在の状態を続けておるのでございますから、これからも公共料金その他の抑制というものに対しては、その社会的な使命を果たしていくためにやむを得ざるもの以外は抑制をしていくべきだ、このように考えておるわけであります。
  31. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それから先ほどメスを入れるというようなお話でありましたが、いま少し具体的にお伺いをしたいと思うのでありますけれども、とにかくビッグ・ビジネス、賃金の上昇ということと、消費者価格引き下げ、この三つについてそれぞれメスを加えていかなければならぬと思うのでありますが、具体的に特にビッグ・ビジネスにおきまして、その利潤部分をチェックする具体的な方策をお持ちかどうか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 これは大蔵省では直ちに何でも計算ができますし、チェックすることもできなくはないと思いますが、御承知のとおり内閣は連帯しておるのでございますので、各省自分のものに対しては十分いま検討をいたしておるわけであります。でありますが、先ほども申し上げましたように、北海道でもって朝四十円で入ったものが同じ店頭でなぜ九十円になるのだ、こういう問題を閣議で正式に取り上げまして、この問題に対してはこのようにしてひとつ調査をして、適正な状態まで押えよう、押えるために必要があるならば行政措置はもとより、立法措置でも何でもやろう、こういうところまでいっておるのでありますから、政府はそのような実態把握に努力をいたしておるわけであります。
  33. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 これは事務当局でけっこうでございますが、とにかく独占価格なりあるいは寡占価格というようなことでベースを守ってしまってなかなか下げないきらいのものが非常に多いのでありますが、この点についていま大臣のおっしゃったことを具体的にどのようにチェックできるか、これをお聞かせいただくことが一つと、それからこれはあとでも消費税の問題と関連してお伺いしたいと思っておりましたが、たとえば減税をいたしましても、この前のビールみたいに洗びん料というようなことで、企業それ自体が別の形でなかなか意のあるところを消化しないというきらいがあるのでありますが、こういった点について現在まで大蔵省はどのような指導をしてこられたのか、特にビールの問題なんかは歴然としておりますので、そのとられてきた措置、そしてそのことから将来の見通しをお聞かせいただきたいと思うのであります。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のビールにつきましては、相当据え置き期間も長く、その後人件費の高騰その他によりまして、どうも下がっていくというよりも少し上げなければならないのじゃないかというような議論も業者の間にはございます。ございますが、私たちといたしましては物価対策もありますし、ビールや酒というものは専売品という立場にございますので、いやしくも専売品なるがゆえに、専売というような立場にあるものが一般に先がけて上げるというようなことは困る。でありますからがまんできるまでがまんしてくれ、こういうことでやむを得ざる状態としてビールびんのびん代というものに対する戻しをどうするか、三円五十銭くらい戻せば何とか半年くらいもつかもしれぬ、こういうように詰めてみたんですが、経済企画庁を中心にして、まあそれはよくわかるけれども、これから夏場に向かってビールも売れるのだから、まあ待とうじゃないですか、こういうことで、もうそのびん代も全部押えてしまった、こういう状況でありまして、現在はまだ業界では相当問題があるようでございますが、大蔵省としましてはこれを据え置いておるという状態でございます。
  35. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 中西さんにお伺いいたしますが、いま大臣お話になりました流通機構の問題に対しまして、農林省としては生鮮食料品の流通機構の改善に対しまして、市場の問題等もあわせまして、どのような具体案を七月八日の閣僚懇談会に準備しておられるのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  36. 中西一郎

    中西説明員 お話の点でございますが、所管外のこともございますので、抽象的なお答えになるかと思いますが、ともかく農産物全般的に申し上げまして、零細な多数の生産者から出荷されてくる、その間農業構造の改善が進んでないというような点もありまして、諸外国に比べますと、集荷あるいは選別、荷づくり、輸送というような段階で非常に大きな経費がかかっておるという傾向があるようであります。したがいまして、そういう各部門についての構造改革といいますか、流通改善といいますか、そういうようなこととあわせてコストダウンが逐次進みつつあるのではないかと思います。私ども所管しております甘蔗、サトウキビにいたしましても、北海道のビートにいたしましても同様の問題がございます。聞いておりますところによれば、牛乳なんかでも同じような問題がある。その辺を総体的に改善していくということが、生産面から消費地に至る間での改善の大きな重点ではないかと思います。さらに消費地以降の問題については、これも旧来からの流通機構がたくさん残っております。それぞれの卸部門、小売り部門についても、いわゆる流通革命というようなことで様子が変わりつつありますので、そういう点についての指導もあわせ行なう。さらに、お話のありました卸売り市場の改善ということも大きな問題であろうというふうに考えております。
  37. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それから先ほどお尋ねしましたことと関連いたしまして、中小企業の問題ですね、これは高度成長政策を続けていくと、どうしてもコストプッシュがかかりまして、企業努力だけではなかなかどうともならない分野が非常に多いのじゃないかと思うのです。この点について大蔵大臣としてはどのような手を打たれようとしておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  38. 田中角榮

    田中国務大臣 非常にむずかしい問題でございますが、取り組んでおります。いま大体消費物価というものの一番大きな目標になっております生鮮食料品というようなものは、いままであまり恵まれなかった。また特に中小企業のサービス部門等もあまり恵まれておらなかったというので、皆さんも御承知のとおり、まず大企業並みに、所得格差というものもだんだんと解消していかなければいかぬ、こういうことでありますから、いままで一カ月に一日休めばいいといっておったものを、やはり週休のように、だんだんとサービス業、パーマネントや理髪やその他もそうなっていくのが好ましいことであり、そうしなければならぬ問題だと思います。同時に農山漁村というものが非常に恵まれなかったということから考えますと、私は鉱工業生産、いわゆる二次産業、三次産業というものと第一次産業というものが、そんなにバランスがとれるわけではありませんが、いずれにしてもいままで低過ぎたものはやはり上げていく趨勢、またそうすることが国内の所得格差をなくすることであって、こういう意味からいいますと、消費物価というものは上がるのだなという結論になるわけであります。でありますから、そういう問題を一つ一つ満たしながらも、急騰したり、それから思惑的に上げたり、また便乗値上げになったり、特に戦後の趨勢を考えますと、下げるということより、確かにだれが考えても下げなくてはいかぬときに据え置きにしておく、多少でも上がり得るようになれば少しずつ上げてもいい。上げても買う人がなければいいが、買う人があるというところでこういう問題が露呈をせられておるわけであります。いつも総理も申し上げておりますように、それかといって所得をうんと押えてしまう。経済の成長率をうんと押えて、所得を横ばいにしてしまう。そうすると操短をする。だんだんしていけば物価は安定する。確かに安定します。ところがこれは理論的に安定をしましても、われわれの生活そのものが戦後非常に急テンポに伸びて、改善せられてきておりますので、そこでもってブレーキがかかり過ぎると、相当な苦痛にもなる。同時に、また貿易為替の自由化という大きな面を考えますと、なかなかそのようにもいかないわけであります。でありますから、相反することをたくさん抱きながらも、国際価格に対抗できるように経済機構そのものも変えていかなければならぬし、変えるためには高度の成長ということになるし、また高度の成長ということになれば収入も多くなる。多くなるから購買力も非常に強くなる。まあ鶏と卵論で、いろいろ苦労するところでございますが、やはりお互い国民的な立場で、少しでも充実した生活内容が築けますように、物価の安定というものに対してはまじめな気持ちで、積極的に施策を行なっていくべきだという考えに立っております。  もう一つ、あなたがきっと質問をせられたい問題、私がなるべくお答えをしないようにしております問題をあえて言えば、いまいろいろ新聞その他に散見をしておる生産と賃金の上回る問題という議論は、さっきから言われようとしており、私もはっきり申されないからそういうものには触えないでお答えをしてきたわけでございますが、こういう問題は、過去のデータを見ますと、確かに賃金が上回ったとかいうものもあります。生産性を上回る賃金というものは好ましい状態ではない、こういうことがいまの——一、二年前に非常に国際収支がよかった西ドイツがこういう状態になり、コストインフレ式な状態で、ことしは相当低い経済成長率で押えなければいかぬ。九%、七%、六%、今年は四%程度で押えなければいかぬ。三%になるのでなかろうか、こういうような問題もありますので、いろいろ政府考えておりますが、賃金が生産性を上回ったのがすべての物価騰貴の原因だと、こう断じておるわけではありません。それも一つの大きな要因であろう。また、あろうというよりは、ウエートは将来のことにかかっております。結局、貿易自由化というものをやっていかなければならぬから、結局生産性というものは、できれば、常識的にいえば、賃金に三分の一、資本蓄積三分の一、あとの三分の一は物価抑制、というよりも、より良質な品物をいまよりも安く国民に提供するようにこそいくべきであるという常識的な考えに立って、いろいろ検討を進めておるわけでございます。
  39. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 大臣のほうから触れられたのでありますが、この問題については来週の木曜日、物価問題としてまた詳しく、企画庁長官、通産大臣等もおこしをいただいてお伺いをしたいと思っておりますので、触れませんが、ただ、せっかく大臣のほうからお話がありましたので、一言だけお伺いをしておきますが、この問題と関連いたしまして、日経連あたりでは長期安定賃金の構想を特に打ち出してこようとしておるのであります。この点につきましては、木曜日に論議します賃金と物価という問題が一つ残りますけれども、そういったものをふまえて、大臣としてはどのような御見解を持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  40. 田中角榮

    田中国務大臣 賃金と物価との悪循環を来たしてはならない、これは当然のことでございます。がしかし、戦後十八年間を振り返ってみますと、昭和二十一年から二十四、五年までは、賃金と物価との悪循環がインフレを招いて、日本の経済を危殆に瀕せしむる、これは選挙のテーマでありまして、お互いに議論をしたところでありますので、お互いが十分理解するところでございますが、今日は安定的な状況でありますので、あの当時のような賃金と物価との悪循環という明確な論争点は、私は当時に比べれば非常に低いものになっているだろうと思うのであります。ただ、貿易為替の自由化という新しい事態が起きましたので、いままでのように鎖国経済の中で、池の中で泳いでおるのではなく、激流に対して、しかも台風の来る大洋でお互い泳がなければならぬというような新しい状態を考えますと、やはり賃金と物価、また生産性と賃金、また民間と官庁との賃金の問題、それから国内均衡という意味で大企業と中小企業、零細企業との賃金格差を可及的すみやかに是正をしなければならないというものにつきましても、やはり一つの計画ということを考えながら、角をためて牛を殺してしまうというようなことのないように、相当な配慮を必要とするであろうというような考えを現在持っておるわけであります。
  41. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その問題はひとつ課題として残しておきます。  次に、いまの問題と関連しまして、便乗的なカルテルの問題も出てきております。このカルテルの問題につきまして大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  42. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほどもちょっと申し上げたのですが、独占企業なるがゆえにビールなどは押えておる、こういうことを申し上げたと同時に、法律、条例でもって保護をされておる特殊な市場等は暴利をむさぼってもいいのだということには絶対ならないのであります。でありますから、そういう意味でこれらの問題に対してはしさいに調査をして、いやしくも便乗値上げをしたり、また協定等は当然行なわれるのだということをもって、これは値下げもうんとできる、合理化もできるということではなく、何か値上げを目標にやっておるということに対しては、き然たる態度で対処すべきである。どういうふうに具体的にやるかということは、この間参議院でも申し上げたとおり、現在公取も相当動いておるようであります。大蔵大臣としては公取委員長の給与を上げたのもこういう考え方で上げたわけでありますので、具体的に進み出しておるわけであります。
  43. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に中西さんにお伺いしたいと思いますが、これは中西さんの分野じゃないかもしれませんけれども、きょうは農林省中西さんだけですから、農林省を代表してひとつ御答弁をいただきたいと思うのであります。  甘蔗につきまして、特に品種の改良について、これは生産者の諸君も非常に努力をいたしておりまして、NCOなり何なり、最近だいぶ普及してまいりましたが、この指導をどのような視点においてやっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思うのでありまます。
  44. 中西一郎

    中西政府委員 お話のとおりNCOの普及が当面の大きな課題になっております。普及率も年々上がっておりますけれども、甘蔗の生産地域である熊毛郡あるいは大島郡の農業協同組合の指導力というのはさほど強くない地域がございます。そこでわれわれとしては鹿児島県当局あるいは大島支庁のほうを督励いたしまして、できるだけそういう形で進み得るように指導いたしております。なお奄美大島、熊毛郡関係で日本甘蔗糖工業会というものがつくられておりますが、そこの団体といたしましても重点事業の一つとしてやっており、さらに甘味資源振興資金管理会で積み立てているうち、可及的に有効に使えるという見通しが立ちますれば、そういう資金からも普及のための資金の援助をするということも考えていいのではないかと考えております。
  45. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 NCOにかわるべき新しい品種その他が反当収量の面また歩どまりの面で検討されておるのかどうか、これが一つと、それから基本的な問題でありまするけれども、今度の関税なり砂糖消費税をいじることになりました場合に、いわゆる国内産糖、ブドウ糖、てん菜糖等を含めまして、どの程度の目標を立てて農林省としては指導しておられるのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  46. 中西一郎

    中西説明員 第一のNCOにかわるべき品種の問題でございますが、いままでのところでは、試験研究体制が必ずしも十分ではございません。アフリカのナタールあたりから原種を持ってきまして、台湾でさらにそれを固定化し、それが沖繩へ行き、それで奄美大島に上がってくるというような経路であったわけでありますけれども、わが国でも特に三十四年の関税消費税の振りかえ以来、奄美大島のサトウキビが非常に開発されまして、それを契機として鹿児島県当局で試験研究をやっておりますけれども、さらにその施設も拡充をしていくべき段階にきており、適当な島を選定して、そこでの品種改良事業というものを展開していくべき時期ではないかと思っています。  なお自給力の向上の目標というふうなお尋ねでございまして、甘味資源特別措置法案が成立いたしますと、甘味資源審議会ができます。そういうところで過去の経緯にもかんがみ、将来の農業の持っていき方というものも検討していただきまして、できるだけ農業構造改善というような大きなワクの中で、甘味がだんだん伸びていくというふうな可能性も十分ございますので、総合的に将来に向かって検討をしていってもらおうというふうに考えておる次第です。
  47. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 これは大臣にもお伺いしたいと思いますが、日本の甘味、特に砂糖の消費量は、諸外国に比べまして、御承知のようにべらぼうに低く、三分の一くらいしか使ってない。この状態の中で、いまも中西さんにお伺いしたのですが、どの程度を国民一人当たりに供給しようという目標を立てておられるのかということが一つ。それから中西さんにさらにお伺いしたいと思いますが、これは重政さんに来てもらって論議しなければならない問題かと思うのでありますけれども、農業基本法ができまして、少なくとも選択的な拡大ということが言われ、地域農業ということが言われておる過程におきましては、当然それなりの振興策というものがとられてしかるべきだと思うのであります。しかし私が見るところでは、ただ慣習と惰性でやらしておる。生産者農民の努力以外に特に政府が先頭に立って指導し育成していこうという努力が見られないようなんです、そういった点で農林省として、自信を持ってわれわれとしてはこういうことをやったんだというような点がおありならば、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  48. 中西一郎

    中西説明員 お話の点ですが、二、三申し上げますと、奄美大島に約十一工場ございますが、三十四年以来相当伸びてきておるわけですけれども、ここ一年ほど前から特に力を入れようじゃないかということで、トラクターとかブルドザーというような大型機械を各局に渡しており、その成果が非常に上がっております。そのほか一つの局に二つ三つの系統の会社が入っていて、何といいますか集荷に非常にロスが多い、経費のロスが多いというようようなことで砂糖値段を高くしておる傾向があります。そういう点についての調整も、生産者価格については特に製造業者と協定を結ばせるというような行政指導とあわせて、コストダウンのための、われわれ一口に一島一社といっておるのですが、そういう方向に向かっての指導を行なっております。全体としては北のほうも含めて申し上げますと、三十八会計年度の予算は前年度に比べて相当大幅にふえておるということもご承知のとおり、そのほかブドウ糖等につきましては、公庫融資、政府所有でん粉の安売り、あるいは砂糖のリンク制というようなことで育成をしてまいっており、最近では規格ブドウ糖で約十万トンもできるようになっております。
  49. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私も、たとえば与論島まで参りまして、製糖会社生産者農民の間に立ちまして、その生産者価格の話し合いで努力をいたしたこともありますが、甘蔗糖協会なり何なりに大体どの程度でというような指導をしておられると思うのでありますが、妥当な価格をどの程度と見ておられるのか、その根拠をお聞かせいただきたいと思います。
  50. 中西一郎

    中西説明員 奄美大島のサトウキビのいままでの協定の推移を見ますと、大体トン当たり五千三百円あたりが基準になっておると思います。世界のサトウキビの価格は大体十ドル以下、三千六百円以下のものが多いようです。そういう意味でサトウキビを原料とする砂糖の製糖業として奄美大局が諸外国に比べてよけいに——おのずから支払い得る限度がある。三倍も三倍も払うわけにいかぬと思うのです。ただ、われわれの見ますところでは沖縄が十七、八ドル、奄美より若干高目に払っておるという経過もあります。そういう意味で隣同士でございますし、生産条件もやや以ておる。沖繩のほうが若干有利な条件を持っております。反収も多いし含糖率も高いということもありますけれども、そういう点を勘案し、さらに輸入糖の値段を競争していくという将来の目標もございますので、そういう点を考え合わせて妥当にきめていく必要があると思っております。今までのところでは業者と農民との協定にゆだねられておりまして、政府は中に入っておりません。今度特別措置法案が通過しました上では最低生産者価格をきめるというようなことも法律上の措置として必要になってまいります。いま申し上げたようなことで善処してまいりたいと存じておる次第です。
  51. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 いま中西さんがおっしゃいましたように、今後はそういった面で期待されると思いますが、しかし、これは中西さんも予想されますように、自由化が促進され、そうして現在みたいな世界の情勢、これは私は一時的なものだと思うのです。それが昔みたいになるかどうかは別といたしまして、この見通しは非常にむずかしゅうございますが、しかしそうかといって相当下がった場合のことも予想しなければなりません。そうなりました場合に裸にされた奄美なりあるいは種子、屋久なりあるいは沖繩、沖繩の輸入の問題等も出ておったようでありますが、そうなりますと、なかなか競争できない状態にまで追い込まれることが相当あるんじゃないか、このように私は予想いたしております。その際にどのような措置を講じられようとしておるのか、この前の甘味資源法と関連いたしましてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  52. 中西一郎

    中西説明員 お話しの点は甘味資源特別措置法案に明記しておるわけでございますが、糖価が非常に下がってくるというような場合には、政府が買い入れて生産者に対して適正なキビ代が補償されるような態勢をとっております。そのことは別の法律でございますが、沖縄産糖の政府買い入れの法案も同時に提案いたしておりまして、沖繩についても同様の考え方措置してまいるという方針でございます。
  53. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 本会議休憩の際、直ちに委員会を開会することにして、暫時休憩いたします。    午後二時十八分休憩      ————◇—————    午後六時二十五分開議
  54. 臼井莊一

    臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  金融に関する件について、来たる七月二日、全国銀行協会連合会会長井上薫君、全国相互銀行協会会長東令三郎君及び全国信用金庫協会会長小野孝行君に、それぞれ参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  56. 臼井莊一

    臼井委員長 内閣提出関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案及び有馬輝武君外八名提出砂糖消費税法を廃止する法律案の、両案を一括して質疑を続けます。永井勝次郎君。
  57. 永井勝次郎

    永井委員 今度関税消費税を引き下げて消費者価格を引き続き下げる、こういう措置をしよう、それが現在当面している砂糖価格に対する唯一の政府施策だというに至っては、私はその政策の貧困さに驚くわけであります。時間がありませんから、私はこの場合あまり多くをお尋ねすることができないわけでありますが、大臣砂糖の問題は、輸入糖の関係、国産ビートの関係、暖地ビートの関係国内甘蔗生産の問題、こういうものを交通整理をして、その実体を明らかにして、それぞれのコストが非常に違うわけでありますから、そのコスト一つ価格でまとめてやっていくのか、別にしてその価格の差を行政的な措置、政治的な線で調整をしていくのか、何かもう少し実体を明確にする線を出さなければいけないと思うのであります。たとえば、現在の輸入糖の国内における価格のささえになるものは何かといえば、国産ビートの振興対策だという。それならば、国産ビート振興の対策というものが、合理化基準というものが示されているが、合理化基準はありません。また、それならば、企業者の自由活動の中に置かれておるのかというと、そうではない。もう九〇%まで行政措置でやられておるわけであります。原料の区域を政府がきめる、原料の価格政府が告示する、コスト計算政府がきめて、各工場別にコスト計算をして、建設の当初においてはこれを買い上げる。成り行きまかせで、かかったらかかっただけの計算をする、こういうひどいやり方をやる、減価償却なんか、これは驚くべきものであります。短期間のうちに何十億というもうけをしておるのをゼロにしてしまう、こういうひどいやり方で、それがみんな消費者にしわ寄せされる。だから、現在砂糖の問題は、消費者の側からいえば世界一高い砂糖をなめさせられている。それから原料生産者である農家からいえば、世界一安い原料価格で押えつけられている。そうして中間にある業者だけがぼろもうけしている。そしてぼろもうけしているやつをどういうふうに政府が調整しているかといえば、輸入精糖の関係については超過利潤超過利潤というのはごろが悪いからというので、価格差益金というようなことで、これは法律によってやるのではなくて、業者との手かげんで握り金で金額をきめて、そうしていいかげんにやっておる。それから国内における関係では、おまえのところの会社はもうけがあり過ぎるからというので、たとえば日甜一社のために法律をつくって、そこから毎年三億四、五千万円を吸い上げている。だから政府は、全部消費者の面から吸い上げ、生産者の面から吸い上げて、そうして生産者に還元しない、消費者に還元しない、こういうひどい仕組みになっておるわけであります。そこでこういう一つ関税消費税において措置をしよう、これは消費者価格を下げようというのですが、こういう小手先でなく、もっと本格的に取っ組むお考えがあるのかどうか。そうしてこれと取っ組みますためには、これはそうむずかしい問題ではありませんから、甘味資源特別措置法の中には審議会があるわけでありますが、ああいうものとは別に、糖業政策全般にわたる国策樹立のための審議会というものを設けられるお考えがあるかどうか。それから現在の砂糖の政策の実情に対して大臣はどのような考えを持っておられるか、実情に対する現状の分析、把握を明確に示していただきたいと思います。
  58. 田中角榮

    田中国務大臣 砂糖行政農林大臣所管でございますが、きょうは時間もありませんし、せっかく専門家である永井さんの御質問でありますので、私から政府考え方をおおよそ申し上げて御理解を得たいと思います。  今度お願いをしております関税及び消費税の引き下げというものが、これ以外に全然手がないのかということを言われれば、確かに議論の存するところでございますが、会期末になりまして、現在国際糖価が非常に上がっておるという状況から考えまして、政府は現時点における最良の案としてお願いをしておるわけであります。確かにいままでの砂糖問題といううものについては議論がたくさんございますが、政府としましては、究極の目的はできるだけ早い機会に自由化をいたしたいという考え方をきめておるわけであります。でありますが、ただやみくもに自由化をしたいということであって国内糖の問題等々のバランスも何もとらなかったり、また長期見通しも立てないでやるわけにはいきませんので、実情に沿いながら一歩一歩自由化の方向に進んでおるわけであります。  それから砂糖は一体どうするのかというと、全くこれは常識的なお答えになると思いますが、やはり自由化をしていこうということが目標でありますので、国際糖価というもので、いまのようなものよりもより合理的に安い砂糖を国民が消費できるということをまず基準にしていくべきだという考えであります。でありますが、国産糖の問題につきましては、将来の長期見通しというもので国産糖がその中で一体どれだけウエートを占めるのかということをおおよそきめまして、これが合理化をはかりながら、国産糖の育成強化という面もあわせて行なっていかなければならないわけであります。でありますから、今度の関税の問題につきましては、国産糖の保護育成ということに力を入れまして、外糖値段がうんと下がった場合には関税を引き上げられることにしておるわけであります。現在は非常に上がっておりますから引き下げるということでございますが、そういう弾力的運用によって国産糖の育成強化もはかっておるわけであります。でありますから、こういう処置をし、お互いが一歩一歩前進をはかっていきながら、国産糖の合理的な価格もできると思いますし、またこれに対しては甘味資源の特別措置法によりまして、食管でもって買い上げるという制度もつくっておりますし、沖繩糖に対してもしかりであります。こういうふうにあらゆる角度から砂糖行政というものがすなおな形で国民の理解を得られるような状態をできるだけ早い機会に実現をするような方向で進めておるわけでございます。
  59. 永井勝次郎

    永井委員 大臣砂糖の自由化を促進したいという願望はわかります。しかし自由化を促進しますためには、国内の体制を整えなければならない。そういう前提がある限り、国内ビートその他の製糖関係については合理化を追求していかなければならない。合理化の基準はどこかといえば、国際競争力ができる水準、こういうところを追求していかなければ、これは条件がそろわないから、貿易の自由化なんかできっこあるものじゃない。そこで政府考えておる関税の弾力性によって壁を設けて、国内の企業を守ろうということだけが重点であって、この国内における合理化追求というものは何らなされていない。何らと言えば語弊があるかもしれないけれども、少なくとも熱意をもってこれは追求されていない。それが証拠には、北海道におけるビート工場は現在九工場あります。その九工場のうち、国際水準は一工場当たり原料処理二十四万トンが基準であります。一工場で二十四万トン処理するようになりますならば、現状のままで一工場の生産コストは一キロについて十二円をコストダウンすることができる、こう業者は明確に言っている。ところが現在どうかといえば、十二万トン平均、ひどいのは大日本精糖など五万何千トン、その五万何千トンといっても、一年間に二十日前後より操業しない。しかもその五万トンの原料を整えるためには、二百キロくらい遠方からたいへんな運賃をかけて運んでこなければならぬ。こういうばかげたことをやっているわけであります。ですから、ことしあたり大日本製糖は七億から赤字を出したのでありますが、これなんかも成り行きにまかして、第一年次の政府の買い上げは、政府は非常な高い値段で買う。そこへ幸いに国際価格が値上がりしましたために、各工場とも全部、一工場が増設される前、七工場のときは大体一工場当たり九〇%くらいの操業程度であったわけでありますが、一工場が増設されてからは、全部の工場が原材料不足で、操業が八〇%に低下しているわけです。だから年月を経て振興対策が進んでいけば合理化の方に向かっていくのならばいいけれども、どんどん逆な方向に向かっているわけです。さらに現在どうなっているかというと、九工場でさえこのように原料が足りないというのに、新設四工場というものを地域割りをして、集荷権を与えて、そうして増産担当区域というものを与えて、ここで四工場がやっているわけです。いつこの工場が形を整えて増設してくるかわからない。こういうばかげたこと、これは前の大臣のお墨つきで変更しないのだという形でやっているわけです。現在だって全部の工場がだめになっている。さらに四工場増設するという計画がそのままになっておるわけであります。そうして原料の増産はどうかというと、反別はふえません。横ばい状態です。それならば原料をどうするかというと、反当収穫がどんどん上がっていくのだという計算で、収穫量を計算上ふやしているわけです。ところがご承知のとおりビートを耕作する適地というものはそんなにたくさんありません。一定の面積が適地である。これからふやしていくのは不適地に拡張していくわけですから反当収量は減っていくのがあたりまえなんです。そして耕作技術や種子の改良その他によって増産するというファクターが出てくるなら反当収量を増やすという計算をしてもいいけれども、そういう条件がない。ただ計算上ふやして、工場だけふやして、架空な数字をととのえておる。こういう不合理なひどい条件を追求して、その結果として原料は安くしなければだめだというので安く押さえている。去年あたりわずかに六千十五円ですよ。しかし農家手取りは、私が本会議で言ったように、表面は六千十五円ですけれども、実際の農家手取りは五千四百円ないし五千七百五十円。こういう安い価格ですから、価格の上から農家には魅力がありません。だから増産意欲はない。こういう悪循環の中にあって、少数の業者だけが非常に不合理な国家水準と競争するのに逆行して一工場当たりの消化能力を低下させながら、国内砂糖の値上がりによってささえられているというのが現状であります。このような状態で合理化条件というものは何も追及されないでどうして貿易の自由化ができますか。私は貿易の自由化を願望するならまず国内態勢整備のためにもっと根本的な対策を立てなければいかぬと思う。過去における失政をごまかすためにますます悪循環を大きくしている。こういうことは断じていかぬと思うのです。これは価格の問題その他一工場当たりの買い上げの問題、原料価格の告示の問題等、甘味資源特別措置法ができればすぐに大蔵省農林省から折衝があると思うのでありますが、そういう場合における大蔵省当局の態度についてお聞きをしてみたいと思います。
  60. 田中角榮

    田中国務大臣 あなたの言われることはうなづける点が非常にたくさんございます。ございますが、何ぶんにもこの問題は長いことかかって——非常にむずかしい問題でございまして、私も大蔵省に参りましてから相当研究をいたしましたが、しかし砂糖行政農林省のほうでございますし、私のほうではとにかく現在の国際糖価が非常に上がっておるし、消費価格も上がっておりますので、まず大蔵省がやり得るものとしては関税の引き下げと消費税の引き下げということでありますので、大蔵省としては珍しいくらいに積極的に取っ組んでお願いしておるわけでありますから、その誠意はお認め願えると思います。  それから国内産糖の問題につきましては、長期の見通しをまず立てなければいかぬと思います。そしてその何十%を国産糖でまかなうということ、国産糖というのは私のほうから考えまして全く農林行政であって関係がないというのではなく、これは外貨の消費が非常に多くなりますし、安いから石油だけでいいというようなのと同じ議論になりますので、私のほうでは将来の国際収支上の問題もありますので、やはり国産糖というものに対しても十分な見通しをつけて、そうしてその見通しのもとに立って国産糖の合理化をはかっていかなければならぬわけであります。でありますから農林省とに合議におきましてはそういう問題を前提にしながら、できるだけ安い価格で国民大衆が砂糖を得ることができ、しかも政府が企図しておりますような量を国産糖として確保できるような状態をつくっていくように、十分検討してまいりたい、このように考えます。
  61. 永井勝次郎

    永井委員 貿易自由化によって国際的な水準の経済的な競争の中で安定さしていく、こういうことをしますためには、私はやはりその前提条件としては消費者の面から消費者価格をどうするか、まずいままで全く犠牲にされたこの面をもっと明確にする必要がある。それから生産者をどうするか、いままで犠牲だけしいられ、奴隷にされていた農民、この面に着目することが必要だ。生産者はこうあらねばならない、消費者はこうあらねばならない、そうしたら中間における精糖企業はこうなければならない、こういうところの追求がなされなければ私はならないと思うのです。そこでいま大臣関税消費税の減額の面から非常に努力をされたと言いますけれども大臣としての努力は私はけっこうだと思います。しかし政府として総合施策として取っ組むにはあまりにおざなりであり、あまりにお茶を濁しております。そう砂糖の問題はむずかしい問題じゃないと思う。いまどんどん入ってくる砂糖大臣どういうふうにお考えですか。十月から値上がりがきたのですが、この値上がりになってから買い付けた高いやつがいま日本に入ってくるとお考えですか、安いとき買い付けたやつがいま現実に船で入ってきておる、こうお考えですか。大臣はおわかりでなければ事務当局でもよろしい、従来の例から言って十月の高くなったところを目がけて電報で買うばかはないと思うのでありますが、十月からもずっと上がって、キロに一円上がりますと百三十万トン輸入すると十三億違うのです。キロに二十円の値上がりとすれば百三十万トンという数量だけで二百六十億の利益格差ができてくるのです。小さなものじゃない、膨大なものです。いま消費者価格は幾らであるか。キロ百五十五円でしょう。ですからべらぼうな値上がりになっておるわけです。税金を下げなくても便乗値上げをしなければ——私は長年ぼろもうけしてきておる砂糖業者には消費者のためにもう少しはき出させ、奉仕させてもいいと思う。これは物価対策の総合施策の上から政府が取っ組むのならば、もう少し誠意のある取っ組み方をすべきであると思うのですが、いかがでしょうか。
  62. 田中角榮

    田中国務大臣 砂糖は、現在までのところを考えますと、そんなに上がって、十二セント、十一セントという砂糖がいま溶糖されて出ておるとは考えておりません。これは各精糖会社によって違いますが、大ざっぱに見まして大蔵省でいま試算をしますと、いま出回っておるもの、いままで入っておるものの原価は一体どのくらいかということ、おおむね五セント〇四くらいに統計上推定せられるわけであります。これを計算をしますと、大体きのうきょうあたり卸が百三十五円を割っておると思います。これが最終の消費価格で百六十五円、こういう高い値段になっておる。これに対しては、私はここで何回も申し上げておるように、そういういままでのルートで、国際糖価が上がったといっても高いものは入ってきておらないのに、特殊な精糖業者が見込みをやったり、思惑をやったり、また便乗値上げをしておるというようなことであっては相ならぬということで、農林省当局でもってこういうものに対しては十分調査をして、一円でも安い砂糖消費者に与えようということで努力をいたしておるわけであります。
  63. 永井勝次郎

    永井委員 現状がそうでありますから、もっとこういう問題については大衆消費者のために、大臣と局にある者は冷酷なほど業者にきびしくしてもきびし過ぎるということはないと思う。しっかりその点はひとつやっていただきたい。  それから国際的な価格の展望でありますが、われわれの聞くところによりますと、一年の間に砂糖価格が動く時期的な条件は大体四月だ、四月はヨーロッパにおいてビートの作付のきまるときだ、作付の状況によってことしの増産の見通しがつく。その次の時期が七月だ、七月は甘蔗糖の作付がきまるときだ、それによってその年の大体の収穫展望がつく。十月はこれらの収穫期であって、その年度の豊凶によって大体収穫量をつかむ、こういう三つの機会に相場が動くのでありますが、いま大蔵省農林省当局等においてことしの砂糖の国際相場の展望、こういうものはどういうふうに握っておられるのか、どういうふうに考えておられるのか、これをお伺いしたいのと、午前中尋ねて留守でお伺いできなかったのですが、いま砂糖ランニングストックはどのくらいあるのか、そうしてそのランニングストックのうち輸入糖はどのくらいあって、国産糖はどのくらいあるのか、業者はもっと先行き高くなるだろうという見通しでなかなか市場へ出さないということを聞いておるわけでありますが、もういつでもお盆の前後と募れの前後は、砂糖はどんなに安くたって必ずこれはうんと上がるわけです。いまちょうどそういう上がる時期なんで、倉庫に押えておいて品不足にしておいて操作するわけなんですが、特に田中大臣等にはこれは力を入れていただかなければならぬ。在庫も徹底的に明確にして、そうして吐き出させたらいいと思うのですが、その点をお伺いしたいのです。
  64. 中西一郎

    中西説明員 現段階で国際的な砂糖の需給事情をある程度見通すことはできるわけでございますが、全体で五千万トンほどの消費のあるうち、貿易量はおおむね千五百万トン、そのうちの百五十万トンばかりが足りないのではないかということで、昨年末から国際糖価が上がってまいったわけですが、最近アメリカの農務省あたりの情報なども、ここ一年ほどの見通しで先行き六セントを割ることはないんじゃないかというふうに言うております。現に国際砂糖理事会あたりで公表しております現物の価格あるいは先物の価格いずれも、現物はもちろん高くて九セント台、先物のほうでは下がっておりますけれども、なお八セントを若干割る程度というようなことで、六セントを割るような価格はまだ見せておりません。ただ非常に不安定な要素としまして、これは一部の情報でございますけれども、キューバの砂糖を二年ほどにわたりまして数百万トン買い付けたソ連圏がその砂糖を消費したのか、あるいは手持ちをしていて自由市場に出すのかというようなことについて、いろいろな情報がございますが、おそらくこの国際糖価の非常に高いいままでの時期にそれが売りに出されていないということは、多分ソ連圏でそれを消費に回しておるんじゃないかという一つの有力な根拠になるわけです。それが一つの撹乱要素でございますけれども、全体として達観的にいえばここ一年ほどは六セントを割るようなことはあるまいと申し上げていいのではないかというふうに考えております。  ランニングストックお話でございましたが、北海道のビート糖は約三万トンほど政府が昨年の冬から買いまして持っております。それは糖価が非常に高かった時期に安定対策ということも含めまして全量売り切っております。なお奄美大島さらに沖縄諸島の砂糖生産が全部で二十万トンほどございますけれども、これも端境期に入りつつありますし、業界での手持ちは非常に少ないものと推定しております。輸入糖でございますが、これは現在われわれ外貨を割り当てます際に、月平均的に溶糖するようなことを考えまして運用しておるわけです。したがいまして、出ししぶるようなことがありますと、来期の外貨割り当てが減るような仕組みになっております。そういう意味で、われわれの現在の段階での感じでございますけれども、やはり相当量の溶糖、大ざっぱに月十万トン平均でございますが、その程度の溶糖はいたしておると考えております。なお、手持ちも、これは外貨を割り当てます際三月末、十月末を計算するのですけれども、その期末にはおおむね三月分くらいは持っておるように仕組んでおります。現段階では、各社ともおおむね一・五カ月は少なくとも平均的に持っておるというふうに考えております。
  65. 永井勝次郎

    永井委員 実は一・五カ月分持っている、こういうことです。これは例年平均の量を持っている、こういうことですが、さらに国内の供給力が数量的に少ないから十万トン買い付ける、こういうことが新聞に見えたのです。安いのを十万トン買い付けるというならわかるが、高いところへ来てそれを買い付けるということになれば、実際は値下げをするという役割りよりは値上げをする、突き上げるという役割りのほうが大きくなるではないか。ことに十万トン買い付けるとなれば、それぞれの商社がそれぞれの外国のセクションで、三井は三井で十万トン輸入しようとする、大日本製糖は大日本製糖でやろうとする。外国へ行くと、こちらの十万トンの発注は、現地では二十万トン、三十万トンの役割りをして、かえってつり上げる役割りをして効果がないと思います。その辺はもちろんそつがないと思うのですが、そういうばかげたことをやって、そうしてそれが値下げの役割りをするのだというような法律のように見えてしょうがないのですが、その点はどうですか。
  66. 中西一郎

    中西説明員 十万トンの追加割り当てについてのお話でございますが、これは輸入量をふやして糖価を下げようではないかというように考えまして、方針をきめましたときに、お話にもありましたが、ロンドン、ニューヨークで日本が買うということで若干の値上がりがありました。その後アメリカが買う、どこが買うということでどんどん上がったわけでありますけれども、十万トンを外貨割り当てをしまして実行いたしました段階では、それを実行いたしましたにかかわらず国際糖価はむしろ下降いたしておりますということが一つでございます。いまISCで九セント五〇前後でございますが、先物は七セント台になっております。  そこで、外貨割り当てと申しますのは、十万トン割り当てまして、それのアライバルをいつにするかという点につきましては、その月中でなければならないとか二カ月中でなければないとかは申しておりません。したがって、商社は先物の安いところのものを買い付けるように活動いたすと思っております。将来について、それだけの買い付けができますと、たとえばいままで買った中で八月、九月に溶かす予定であったというのを繰り上げて溶かすことになりますので、十万トンは買い付けとしてそうむずかしくもないし、溶糖もそれに見合うものはされておるというように考えている次第であります。
  67. 永井勝次郎

    永井委員 私の割り当て時間がなくなってきたようでありますが、私は議事引き延ばしとかなんとかでなくて、この砂糖の問題は、みんながもう少しまじめに真実は何かという追及がなされなければ——ただ時間だけで、いいかげんなことばのやりとりだけで何が何だかわからないままに推移していては、私は国民に対してすまないと思うのです。ですが、時間がございませんから、私はこれで最後のお尋ねにいたすわけであります。  そこで、砂糖のたとえば輸入糖の関係では、工場能率とか、過去の実積とか、そうしたいろんな固定した条件で割り当てる。ですから、輸入関係においてはどうかといえば、現在の輸入割り当ての輸入量に対して、工場のキャパシティは倍です。工場は五〇%、半分しか操業していない、こういう状態でなおかつもうけて、そうして配当は四割前後をし、そうして超過利潤があるというので政府から追及される。そして税金関税消費税で、この税金なんかも一キロに六十六円取っておるのです。表面上は関税が四十一円五十銭だ、消費税は二十一円だ、こういうのですけれども、これを九五%の精糖換算しますと、関税の四十一円五十銭というのは実際四十三円六十八銭、さらにこれに拠出金をキロについて一円三十二銭を取る。そうして一キロ百二十二円の標準糖価に対して六十六円の税金を取っておる。その中で輸入業者がぼろもうけをしておる、こういうのですから、これはずいぶんひどい話だ、こう思うのです。そこに経済的な関係で動かないで政治的な関係、違った関係で利権的に動く輸入糖の問題が潜在している。そこに持ってきてこういうふうに高いのは国産の砂糖を育成するためだといって、こっちのほうはまた伏魔殿みたいなでたらめな状態で、こういうもの二つ結びついたものが現在の日本の世界一高い消費税、農民の泣いている砂糖の政策、こういう残酷物語になってあらわれておるわけであります。こういう一つの社会的な事実としてここに存在するのでありますから、存在する以上、この事実は何であるかということを明確にする必要があると思うのであります。こういう意味において、われわれはさらにこれは追及したいと思いますが、会期末で本会議ではごたごたを繰り返して非常になにしておる、そういう背景で、もう少し時間をかけてまともにやろうと言ったって、与党の連中は目くじら立ててやりませんから、私は大体これで終わりますが、この問題に対しては、最後に大臣の決意を聞いておきたいと思います。
  68. 田中角榮

    田中国務大臣 政府も貿易・為替の自由化を前にいたしまして、国産糖との問題も十分考慮いたしながら、これが合理的な方向を推進をいたすことに万全の態勢をとってまいりたいと考えます。     —————————————
  69. 臼井莊一

    臼井委員長 おはかりいたします。  ただいま議題となっております有馬輝武君外八名提出砂糖消費税を廃止する法律案につきまして、提出者全部より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は撤回を許可することに決定いたしました。     —————————————
  71. 臼井莊一

    臼井委員長 次に内閣提出関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたします。     —————————————
  72. 臼井莊一

    臼井委員長 これより討論に入ります。  通告がありますので、これを許します。有馬輝武君。
  73. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今回の政府提案になります関税並びに消費税の一部改正につきましては、先ほども申し上げましたように、政府並びに与党努力に対しまして敬意を表したいと思います。これも日本社会党が政府関税だけでものごとを処理しようとする態度に対しまして、消費税を撤廃する法案を出されたことによって促されたのでありまして、この点につきましては、私ども国民大衆に対しまして非常に自負するところ大きなものがあるのであります。つきましては、私どもが本法律案に対しまして多くの疑問点を残しておりましたが、こういう点につきましてはまた日を改めまして徹底的に追及し、前進する形をつくり上げてまいりたいと存じます。  ただ、ここで一、二の点を明らかにしておきたいと存じますが、それはただいま永井委員からも指摘されておりましたように、今度の取り扱いにいたしましても、消費者に対する態度生産者に対する態度が総合的な物価政策の中で一貫性を持って取り上げられていない、この点は大きな問題であります。  さらに第二の問題といたしましては、ビートにいたしましても、甘蔗、それからブドウ糖、これらの国内甘味資源生産者価格に対して政府生産者を保護する立場から取り上げられていない。この点は再々お話を伺っておりましても、私どもとうてい納得でき得ないところであります。  また、第三の点といたしまして、キューバなり北欧なりの事情によりまして非常に急騰を続けておりますが、これが平常な形に戻りました場合に、国内産の甘味資源がどのような立場に置かれるか、その際の具体的な保護政策というものが考慮されてない。たとえば台湾なりあるいはキューバにおける生産者価格国内の甘蔗の生産者価格とを比較してみますと、このことは歴然といたしておるのであります。そういう点からいたしまして、やはり私は今度の措置のようなその場当たりの措置ではなくして、恒久的な立場から取り上げられなければ砂糖問題は解決されないと思う。  さらにまた、第四点といたしましては、先進諸国が一人当たり五十キロくらいの消費量であるのに対して、日本においては十四・五キロくらいしか消費してない。これはとても文明国の砂糖消費量とは言えないのであります。たとえばアメリカにおきましては通産関係で、特に消費局等を設けまして、婦人の局長あたりが消費面についても指導しているような実態と比べ合わせてみますときに、実に感無量なるものがあります。こういう点につきまして、私どもはいろいろの問題点を残しておりますので、これらの点を総合的に前進させることを大きく期待しておる次第であります。  以上をもって、非常に簡単ではありますけれども、反対の討論を終えさせていただきます。
  74. 臼井莊一

    臼井委員長 これにて討論は終局いたしました。  続いて採決に入ります。  採決いたします。本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  75. 臼井莊一

    臼井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  76. 臼井莊一

    臼井委員長 次に本案に対しまして春日一幸君より自由民主党、日本社会党及び民主社会党、三党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者の趣旨説明を求めます。春日一幸君。
  77. 春日一幸

    ○春日委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党、三党を代表するの光栄をにないまして、ただいま議決されました関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案に対し、次のような附帯決議を付したいと存じます。  案文を朗読いたします。すなわち、    関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は次の諸点につき遺憾なきを期すべきである。  一、今回の粗糖関税並びに砂糖消費税の引下げ額が砂糖の卸売価格の引下げはもちろん、末端小売価格の引下げに有効かつ速かに反映するよう特段の措置を講ずること。  二、粗糖関税の減免税に当って基準と国内産糖の適当と認められる卸売価格については、国内甘味資源の保護育成の方針に沿って関係者の納得を得られるよう、これを決定すること。  三、関税割当制度の運用については、糖価安定及び国内甘味資源の保護育成に資するよう充分に配慮すること。  四、砂糖消費税体系の整備によって大幅な減税が可能となるよう充分検討すること。  五、国内産糖の自給度の向上をはかるための対策を一段と強化すること。  以上のとおりでありますが、以下簡単にその趣旨を御説明いたします。  まず第一点としては、今回砂糖関税並びに消費税を引き下げましたゆえんのものは、国際糖価の高騰に伴う国内糖価上昇を押え、消費者の家計に及ぼす影響をできるだけ少なくしようとすることにありますので、これら税負担の引き下げ分が砂糖の卸売り価格の引き下げは当然として、さらに末端小売り価格の引き下げに有効かつすみやかに反映するよう政府の強力な行政指導要望いたすこととしております。  次に、第二点としては、今回緊急措置として行なわれる粗糖関税の減免にあたっては、国内産糖の適正卸売り価格を基準として減免率が定められることになっておりますが、国内産糖の適正卸売り価格については、国内甘味資源の保護育成の方針に沿って、生産農民、製糖業者が納得できるような線でこれを決定するよう政府要望いたすこととしております。  次に、第三点としては、関税割り当て制度の運用にあたっては、糖価の安定と国内甘味資源の保護育成に資するよう十分に配意することを政府要望いたすこととしております。  次に、第四点としては、現行の砂糖消費税は精製糖、再製赤糖、黒糖等にわたりきわめて複雑な税率となっておりますが、このような砂糖消費税体系を整備することによって、今後さらに大幅な減税が可能となるよう十分検討することを政府要望いたすこととしております。  最後に、第五点としては、わが国では国内産糖の自給度は諸外国に比べきわめて低いものであり、したがって、すみやかにこれが自給度の向上をはかることが必要とされておりますので、これがため現在審議中の甘味資源特別措置法の趣旨にのっとり、生産農民、関連企業等の助成等の対策を一段と強化することを政府要望いたすこととしております。  以上をもって趣旨説明を終わります。何とぞ各位の御賛成賜わらんことを要望いたしまして、私の趣旨説明を終わります。
  78. 臼井莊一

    臼井委員長 おはかりいたします。  春日一幸君提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、春日君提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。     —————————————
  80. 臼井莊一

    臼井委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 臼井莊一

    臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は来たる七月二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時十五分散会