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堀委員 大体以上で、
事故の問題についての大要のあれは終わりたいと思いますけれ
ども、もう一つここで、やはり具体的な例で伺っておきたいと思います。
それはある
証券会社に起きた
事故でありますけれ
ども、こういう事例があります。善意なる
投資家——だと私は判断をしておりますが、そういう善意なる
投資家がありまして、中間に
証券ブローカーというのですか、何かそういう者が一応介在をいたしまして、そうして
証券会社——これはわりに珍しいケースかもわかりませんが、こういうケースが一つありました。その一つの例は、アメリカから最近帰った方が
投資をされた、アメリカの慣例で、
証券会社というのは非常に信用しておられるものですから、そこで最初に、その
会社によその
会社で買った株の名義書きかえを頼まれた、当然その
会社及びその
関係の社員は、名義書きかえをされた
住所氏名があるわけですし、御本人は
会社に行っておられるわけですから、当然、
届け出られた
住所氏名と見なしていると私は判断しておるのです。皆さんのほうのいろいろな出版物で特に私非常に勉強さしていただいたのは、石川茂重という方が
事故防止ということについてお書きになっているのを拝見をして、非常にりっぱな方で、
防止のために非常に研究もなすっておるし、この
証券会社だったらほんとうに
事故は起きないだろうというふうな感じがするあれがございますが、そこではちゃんと、名義書きかえのときに正しい
住所を必ず控えるようにしようということが書いてあるわけですが、そうやって処理をされて、実は株券をお預けになった。ところが、その次にある
売買をされて、その
売買報告が正規にその
投資家のところへ来た。そこで、ある
証券ブローカーにお金だけ持って払いにやられた。そこで今度は、お金のかわりに預かり証をもって受け取られた。ところがこの預かり証というのは——私も拝見をしたのですが、本人は
保護預かりのつもりで預けられた。ところが預かり証というのは、信用代行預かりということになっていたのです。そうして、それを見ますと、裏側にナンバーが打ってあって、一番、信用代行、二番、名義書きかえ、三番、
保護預かり、四番が何と裏に書いてありまして、表に数がぽんと一と押してあるだけなんです。ですから、預かり証を受け取った
投資家としては、これで
自分は
証券会社に株が預けてあるのだと
考えるのは当然のことと思う。ところが、それは信用代行ということにして預けられておる。そうしてその
証券ブローカーが、その善意なる
投資家の名前で信用
取引をやって、そうして赤字が出たので、その信用代行
証券は売り飛ばされた。それだけでなくて、名義書きかえで戻ってきた分も信用代行の方へいつの間にか勝手に入れて、これも売り飛ばされた。二年間、その
投資家は、まあ
証券会社に預けてあるんだから心配はないと思っておったところが、
証券ブローカーが、事件が起きて検察庁へ回った。そこでその事情を聞かれて、あわてて
証券会社へ電話をしたところが、その担当者が出て、私ではわかりませんからほかとかわりますと言って、聞いたら、あなたの
証券は一枚も当社にはありません、こういう
事故が実はあったのです。そこで私が一番ふしぎに思うのは、皆さんの、ほうで
住所、氏名の問題を非常に論議をしておられて、名義書きかえを一番最初にやっているのだから、正当な
住所、氏名が
会社にはあるはずだ。ところが
会社側に聞きますと、名義書きかえのためにはあったかもしれないけれ
ども、
取引の
住所、氏名というのは、
自分たちはその
ブローカーが言ってきたのを受けた社員の言うとおりにしたのだ、こういうことを言っておられる。そこで
あとの残高証明等はみな
ブローカーのほうへいってしまって、善意なる
顧客はアウトサイダーに置かれたままで二年間経過をした、そうしてこの問題が起きておる。そこで私は、この
証券会社の方にも来ていただいて
お話を聞きましたし、
顧客の方にも聞きました。事件は検察庁に回っておりますから、検察庁の
意見も聞いておりますけれ
ども、いまのケースは、その社員が当然行なうべき注意を払っていない。
証券会社が言われておることで私非常に驚いたのは、あなたは株券のお金を
ブローカーに渡されたのでしょう、お金を渡したぐらいなら、その代理人としてその後の
取引をその人相手にやっても、別にわれわれはふしぎはないと思います、それは
証券の慣習です、こういう話です。私は冗談じゃないと思うのです。お金を持たしてやったことでその後の
証券取引の代理人とみなすなどというようなことなどは私には
考えられません。一体そういう慣習があるのか、そういうことを
考えるのが
証券会社として適当なのかどうか、これが第一点として私は問題がある思う。
第二点は、そういうことで払い出されておる書類は、社員が全部書いて適当な判を押して処理がされておる。ところが話によると、それは
ブローカーから言われたから全部書いて判を押してやったのです、それについては
会社は被害者であって、われわれとしてはあまり責任は負いたくない、こういうケースが現実にあるわけです。そうしておまけに、ある
証券会社のほうからは、そういう例については、前例になるから十分にひとつ慎重にやって、
証券会社の利益をそこなわないようにしてもらいたいという電話もありました、というような話が実はあるのです。私はこの
証券会社はこの問題等についてはやや誠意を欠かれる点があると思って実は不快に思っておりますが、
調査をしてからということでありましたから、現在は私は名前は出しません。しかしいま私が申し上げた事実——私は第三者でありますから、何らその
投資家の一方的な問題として
考えてはおりません。その
証券会社も私は初めてそのケースで知ったわけであります。ここにも何ら含むものはありませんけれ
ども、公正な第三者が見ても、私は今回ずっと
事故の問題のいろいろなあれを調べておりまして、
会社側として注意の足らざる部分があるということを感じるのですが、いまのような案件について、これは
証券会社のほうがそういうふうに言われるのが正しいのか、あるいは少し問題があるか、いずれかについてちょっと御
意見を伺いたい。