○堀
委員 実は
大臣が、何かわが党の質問が長かったんだそうですが、時間が長過ぎたものですから、ちょっと
金融のほうに入りまして、区切りが悪いので、また戻るのをやめまして、きょうは証券のほうはやむを得ませんからあそこまでにしておいて、
金融といまお話が出てきたいろいろな関係でちょっと少し質問しておきたいと思うのです。
まあ
銀行局長が言っていることはそのとおりです。
資金の需要のほうが低くなって供給がもしオーバーになってくればこれはもうコールは当然下がってくるから、コールがうんと下がってくればまさに社債の発行条件ができてくるということで、これは非常にいいですね。しかし過去の
状態を見てみると、
昭和三十何年かに非常に
資金状態がゆるんだことが一回だけあるんですね。ところがそれ以後は
資金状態のゆるんだためしがないわけですね。常に需要がオーバーで供給が少ない、こういうかっこうになっておるわけです。そこで私は今後の見通しの問題で
考えますと、なかなかにいまの
日本の情勢では、需要のほうが供給より少なくなる可能性はないのではないか、こう思うのです。それは
理由がある。
一つは、さっき
広瀬君が質問をしましたように、やはり構造的な問題というものが
日本のいまの経済の発展の過程の中に
一つあると思うのです。その構造的な問題の上に
自由化その他の外的条件が加わっておるから、どうしても
日本の場合にはある程度
企業自体は前向きに相当進まなければ取り残されるというビヘビアを持たざるを得ないような客観情勢が
一つある。そこでどうしても
資金需要というものはなかなか当分減らないだろう、私は
一つそういうふうに思います。
もう
一つ、供給の面からいうと、これはもうさっきから
広瀬君が言い私がこの前から言うように、一年に六%も七%も
物価が上がっているのなら、多少経済に関心を持つものならこれはインフレ・ヘッジをどこかで
考えなければならないのは
あたりまえのことだと思う。だんだん
日本でもマネービルとか何とかで、テレビその他を通じて
国民が金というものの効率を昔のようにのんきに
考えないでわりに敏感になってきているということになりますと、定期預金が五分五厘、最長が五分五厘のものに一年間金を預けておいて
物価が六・五%上がりますと、どういうことが起きると
大臣思われますか。利子を五・五%もらったけれ
ども物価としては六・五%上がったということは、金を銀行に預けておいて一年に一分ずつ預金者が追い足しをしているわけですよ、七%上がったら一・五%です。預金したと思っていたら、何のことはない、銀行へ利子を払いに行っているようなものです。そんなことが世の中で通っておるときに、これは
大臣がどうおっしゃっても預金がふえるはずはないですよ。だって、預金者にしてみれば五分五厘の利子をもらうつもりで預金しておるのに、実質的には一分五厘なり二分なりの
金利を払っているのだということになるのでは、これはふえっこないわけですからね。そうしてみると、宮澤さんはけさの新聞で
日本の
消費者物価の高騰は構造的な変化である、こう大上段に振りかぶってきたわけですね。そのうち一ぺん宮澤さんに来ていただいて、
予算委員会当時からの経過についてはやりますが、
物価の上がるほうは構造変化なんですよ、ということになれば、
金利でも上げないことには、いますでに逆ざやなんです。ところが
政府のほうは、
大臣は、この前低
金利政策というふうなことは言わないのだ、国際
水準にさや寄せだとおっしゃっている。ところが私は、
広瀬君との質疑応答を聞いておりましたら、低
金利政策を実施するためにはと言って、
大臣もやはりそういうことばを使っておられる。だから私は、やはり低
金利政策というのはあるのだなと確認をしたわけでありますが、低
金利政策を片一方で進めて、今国会に郵貯法の改正案を出して、郵便貯金の
金利を省令によって自由にして、大蔵省が、おいちょっと下げてくれと肩をたたけば郵政省はさあきたといってこれを下げるような
状態をつくる、いま下げることではないでしょうが、つくるということは、将来預金
金利のほうは下げたい――これはそうですね、貸し出し
金利がある程度下がってくれば預金
金利を下げなければ銀行がペイしないから。
物価のほうは上がる、預金
金利は下がるということになれば、逆ざやがますますふえるというのが
日本の今後の構造的な変化である、こうなってくると、これはたまたま偶然起きていることではなくて、
日本経済における構造的変化は需要が増加し供給がそれに伴って伸びないということは非常に私は明らかになってくると思う。そういう中でいま
銀行局長は、理想案だろうと思うのですが、理想の方向を述べられたけれ
ども、なかなか私は理想のようにいかないと思う。この現実の中でそれではこの環をどこで切るか、
大臣にひとつお伺いいたします。