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1963-06-06 第43回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月六日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 上林山榮吉君    理事 有田 喜一君 理事 岡本  茂君    理事 神田  博君 理事 中川 俊思君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 中村 重光君       木村 守江君    倉成  正君       白浜 仁吉君    中村 幸八君       井手 以誠君    滝井 義高君       細迫 兼光君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  大山  正君         通 商 産 業         政 務 次 官 廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      塚本 敏夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         大蔵事務官         (主計官)   田辺 博通君         通商産業事務官         (重工業局次         長)      熊谷 典文君         通商産業事務官         (石炭局炭政課         長)      井上  亮君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君     ————————————— 六月三日  炭鉱労働者雇用安定等に関する請願(赤松勇  君紹介)(第三九九六号)  同(加藤清二紹介)(第三九九七号)  同(穗積七郎紹介)(第三九九八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件、  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第九二号)  電力用炭代金精算株式会社法案内閣提出第九  三号)  石炭鉱業経理規制臨時措置法案内閣提出第一  二四号)  重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第一五八号)      ————◇—————
  2. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案電力用炭代金精算株式会社法案石炭鉱業経理規制臨時措置法案及び重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田(利)委員 初めに、過般開かれました石炭鉱業審議会において、昭和三十八年度閉山のワクが五百五十三万トンに決定されておるわけですが、調査団答申に基づく閉山規模は、一応昭和三十七年度閉山並びに昭和三十八年度閉山を含んで、昭和三十九年度以降どの程度閉山規模想定しておるのか、まずお伺いしたい。
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 三十八年度の分は、先般の審議会決定を見たのでございますが、三十九年度以降は未定でございます。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 有沢調査団答申に基づくと、閉山規模については明らかにされておりませんけれども、大体そのめどとして一千二百万トン程度と言われてみたり、一千百万トン程度ではないかと言われている。いずれにしても一千百万トンをこえることはないという考え方に私は貫かれておると思うわけです。   〔委員長退席神田委員長代理着   席〕 そういたしますと、この閉山規模というのは調査団調査した時点でありますから、当然昭和三十七年度も含み、昭和三十八年度にかかり、さらに昭和三十九年度以降四十二年度の間、石炭鉱業近代化並びに石炭産業の安定ということを考えた場合、おのずから一応その想定されるべき閉山規模というものが出てくるのではないか、こう実は考えるわけです。したがって需要の面については、いわゆる五千五百万トンというものが一応保証されておるわけですから、五千五百万トンの供給というものは、その裏返しをすると、保証せられるということになってまいるわけです。したがってビルドアップをする山、維持する山、さらに閉山する山、あるいは新鉱開発をする山ということになってまいりますと、大体その想定が出てくるのではないか、こう思うのですが、その点については、全然そういう想定がないという理解でいいのかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  6. 井上亮

    井上説明員 ただいま御質問がありました石炭鉱業調査団といたしましては、昭和四十二年度までに、閉山規模でおおむね千二百万トン程度、この千二百万トンと申しますのは、これは生産減少分として千二百万トンという意味でありまして、いわゆる先般の石炭鉱業審議会決定されました閉山規模ということになりますと、この生産減で千二百万トンというのは千五百万トン程度でございます。なお、こういう閉山を一面においてやりますと同時に、一面においてビルドを、増強炭鉱の育成をしまして、生産規模といたしましては、五千五百万トン程度生産を維持するように努力していきたいという趣旨でございますので、政府としましても、それに対応する需要についても、この生産規模にマッチするように努力していくという考え方になっております。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま炭政課長の言われた五千五百万トンの問題でありますけれども、これは予算委員会において、わが党の成田質問によって、五千五百万トンは確保するために努力するのではなくして、五千五百万トンというものは最大限確保するということが、これは明らかにされておるわけです。しかも総理答弁では、これは本会議でも答弁されておるわけですが、非常に需要確保は困難であるけれども、将来六千万トン程度確保に向かって最大限努力をするのだ。五千五百万トン以上については努力がついても、五千五百万トンの確保は、これは絶対保証であるということは明らかだと思うのですが、いかがでしょうか。
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 御承知のように、石炭需要確保は当今非常に困難でございますけれども、政府といたしましては、五千五百万トンはぜひとも確保したいということで努力を続けておるわけでございます。さらに各方面の御要請もあることでもございますので、目標といたしましては、さらに努力を重ねまして、六千万トンを確保したいというようなことでまいっておるわけでございます。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 千二百万トン程度というのは生産減少分であって、即それが閉山規模ではない。したがって閉山規模の場合には千二百万トン以下であるということだけは間違いがないと思うのですね。
  10. 井上亮

    井上説明員 ただいまの私の説明、ちょっと不十分であった点があるかと思いますけれども、先ほど申しました、調査団昭和四十二年度までに閉山規模生産減少分として千二百万トンということを申しておるわけですが、この生産減少といいますのは、年々炭鉱縮小していって、そして閉山していくその過程の年々の生産減少分をとらえてみれば千二百万トンという意味でございまして、閉山規模にこれを換算いたしますと、この調査団の申しております千二百万トンといいますのは、千五百万トン台になるというふうに考えます。なぜ数字がふえるかと申しますと、いわゆる石炭鉱業審議会等審議いたします閉山規模買い上げ規模でございますから、過去三年間の当該炭鉱生産平均をとりますので、閉山するような炭鉱についての生産は年々減少していきますので、過去三年間の平均をとりますと、この数字がふえるわけでございます。そういう意味でお答え申し上げたわけであります。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、いまの説明はちょっと理解に苦しむわけなんです。というのは、結局基準になる年度は五千五百万トンに達していないわけです。千二百万トンのいわゆる生産減少は、何を基準にして千二百万トンの減少かということになってくると思うのです。しかし、いずれにしても、今日まで過去三カ年においても、五千五百万トンの生産確保された年はないわけです。一応現在の出炭規模は、五千七百万トンと言われてみたり、五千八百万トンではないかとか、いろいろ言われておりますけれども、出炭実績は五千五百万トンに達していないわけです。そういたしますと、千二百万トン生産減少させるということは、一方において千二百万トンないし千三百万トンのいわゆる出炭増をほかの山でしなければならないという問題が出てくるでしょうし、千五百万トンのいわゆる閉山をするということになりますと、当然生産減少の面も、縮小維持という炭鉱もあるわけです。そういたしますと、逆に千五百万トンに出炭減少維持炭鉱群の総出炭量を足して、その分は最低限、ビルドアップの山あるいは新鉱開発出炭が増加しなければならない、こういうことになると思うのですね。この点についてはいかがですか。
  12. 井上亮

    井上説明員 生産計画生産規模との関係で申し上げますと、結局生産減少分で千二百万トン程度閉山が行なわれるということになりますと、五千五百万トンの出炭は維持するという考え方に立ちました場合には、この千二百万トンに該当する程度ビルドを考える、平たくいえばそういう考え方になります。その場合には閉山規模でなく考えていいのじゃないか。生産計画あるいは生産規模として考えますと、そのようになります。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 この点、われわれが調査団説明を具体的に受けた場合と通産省理解では、だいぶ食い違いがあると思うのです。私どもの理解は、大手、中小炭鉱含めて、大体この答申に基づくと千二百万トン程度閉山規模になる。千二百万トンの山は閉山をしなければならぬだろう、こう実はいわれておるわけです。ですから、逆に、千五百万トン閉山するというのは、千五百万トンは生産減少であって、千二百万トンが閉山規模であるというなら、これは私は理解できると思うのです。一方において縮小維持分で三百万トン程度減少が出てくるんだということであれば、理解ができるのですが、千二百万トンの生産減少で千五百万トン閉山規模ということになりますと、その関係はどうも私はつじつまが合わぬのじゃないか、こう思うわけです。ですから三百万トンというさやを、これが縮小維持分減少である、こう考えますと、千五百万トン閉山されることは千八百万トンの生産減少が行なわれるのだ、こうならねば私は理屈に合わぬと思うのですが、いかがですか。
  14. 井上亮

    井上説明員 私のお答えいたしましたことは調査団趣旨と全く同じ考え方でございます。具体的に表で説明いたしますとすぐおわかりいただけることと思いますが、簡単に申し上げますと、生産減少で千二百万トンといいますのは、たとえば調査団では四十二年度までを目途に考えておりますので、三十七年度から三十八年度までに閉山する山が現実にその時点生産している、それが何トン減少するか、こういう計算を年々閉山炭鉱について累積して計算したものが千二百万トンでございます。私が申しました閉山規模といいますのは、たとえば先般石炭鉱業審議会合理化部会決定になりました五百五十三万トンについて例をあげて申し上げましても、この五百五十三万トンと申しますのは、本年度、三十八年度閉山する炭鉱が三十八年度生産した数量、これが閉山すればなくなるその数字ではございませんで、閉山規模といいます場合には、本年度閉山いたします山の過去三年間の生産実績年平均をとっております。したがいまして、五百五十三万トンというのは、現実生産減少としましては、これよりも少ない数字が本年度生産減少になるわけであります。そういうような関係で、その四十二年度までの累積が生産減少として千二百万トン、閉山規模にいたしますと千五百万トン台、こういうことになるわけであります。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの点は非常に問題がありますので、これは資料として提出願いたいと思うのです。  それで次にお伺いしますけれども、審議会において今年度五百五十三万トンの閉山をきめたわけですが、当初通産省から提出したのは六百七十一万トンの閉山規模であった。審議会審議をした結果、これを北海道が十八万トン、九州地区が百万トン、合わせて百十八万トン閉山規模縮小する、その結果五百五十三万トンになっている、このようにわれわれは説明を受けておるわけです。そこでお尋ねしたいのは、この九州地区において百万トン閉山規模縮小させ、北海道で十八万トンの閉山規模を当初通産省提出原案から減らしたという根拠は一体何なのか、具体的に御説明願いたいと思います。
  16. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 当初役所のほうで案をつくりましたのは、各炭鉱からの申請等資料といたしまして、いろいろ修正をいたしまして作案したわけでありますけれども、審議会におかれまして数量が減じて、いわゆる修正をされましたのは、地域経済でありますとか、あるいは雇用関係でありますとかいうようなものを顧慮されてのことだと思うのでございます。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は少なくとも通産省当局石炭鉱業審議会にいわゆる閉山規模提出するにあたって、業者からの申請だけでそのまま自動的に原案として提出をする、この考え方に非常に疑問を持つわけです。少なくとも今日の合理化を遂行するにあたって、いろいろ社会的、経済的な、あるいはまた炭鉱近代化合理化というあらゆる要件を加味しつつ、さらに今日まで問題になってきたこれらの面を考えて、通産省としてのそういう総合的な検討の中から原案石炭鉱業審議会提出すべきだと思うわけです。しかし、いまの説明ですと、通産省会社側から一応閉山をしたいという希望そのものを単に無条件に取り入れて六百七十一万トンの閉山規模審議会提出した、こう私は理解せざるを得ないわけです。私はなぜこういう問題が出てくるのかということを疑問に思うわけですが、これは有沢調査団長が本特別委員会参考人として中間報告をした場合に、私は冒頭こういう質問をしておるわけです。この出されておるのは石炭鉱業調査団のいわゆる答申大綱である、答申大綱である以上、答申詳細というか、これに付随する詳細の報告を当然出さなければならぬ、こう団長に私は質問しておる。団長はこれに対して、これは一応大綱でありますから、御質問趣旨のとおりであって、いずれ大綱に基づく詳細を提出いたします。報告をいたします、こういうことを正式に本特別委員会有沢団長答弁されておるわけです。伝え聞くところによると、この詳細については、むしろ通産省のほうで出すべきではないといって大綱にとどめた、あと通産省資料として保管しておく、こう私は聞いておるわけです。このことは事実なのかどうかということをまず確めたいし、そういう詳細を本委員会報告をするという約束はどうなったのか。それが終わらなければ調査団任務は終わらないと、団長明言しておる。にもかかわらず、そういう詳細が出されたということを私は聞いていないわけです。ここからいわゆる、今度の審議会企業の言うなりに六百七十一万トンの閉山規模をただ出すという結果が生まれてきているのではないか、こう私は考えざるを得ないのですが、この辺の関係についてひとつ御答弁を願いたいと思うわけです。
  18. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 御指摘の前段でございますが、役所のほうが案をつくりますときに、申請をそのまま無条件に集計して出したというようなことはないのでありまして、先刻私から御答弁しましたように、十分審査修正いたしまして案をつくったつもりでございますけれども、さらに審議会におかれまして、観点を変えられてごらんになってこういうような数字決定されたわけでございます。決して役所のほうが無条件でうのみにしたということではないのでございます。  さらに第二のお尋ねであります調査団報告につきまして、詳細な資料提出するということに役所が阻止をしたというような事実は全くないのであります。さよう御承知願いたいと思います。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 では、有沢団長が私の質問に対して、詳細を報告します、それまでは調査団任務は終わりません、こう言っておるが、その詳細は正式に出されたのかどうか、出されたとすればそれは公表できないものかどうか。調査団報告なんですからこれは当然報告しますと、団長は私に明言をしている。この点について、では一体どうなのかお伺いしたい。
  20. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 その問題につきましては、ただいま調査団におかれまして検討を続けられておるものだと思うのでございます。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、調査団は団をまだ解散していない、調査団の構成は残っているということになりますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  22. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 御承知のように、団はすでに解散されたのでありますけれども、当時団員であられました方が一部そういうことを進められておるようでございます。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は調査団答申大綱を持っておるのですが、これはどう見ても、あれだけの国民的な期待と、炭鉱労働者政府約束に基づいた調査団としては、この大綱だけではその任務を果たしておるというふうに理解できないわけです。これはきわめて抽象的であって、一体こういう結論が導き出された調査の結果というものは一体どうだったかという点については、何ら明確ではないわけです。たとえばこれから質問したいと思っておる需要確保についても、電力並びに原料炭の鉄鋼、ガス、これらに対する方向というものは大体大綱として出されておりますけれども、それ以外に非常に重要な問題が実は数多くあるわけです。これらについても、その後詳細にこの裏づけは、一体どういう考え方のもとに出されてきたのかという点なども明らかになっておりませんし、特に需要想定生産規模について私は数多くの問題があると思うのです。しかもある程度審議会にかけなくても、炭鉱のスクラップ・アンド・ビルド方向というものをきめておる、こう理解せざるを得ないわけです。ですから一、二の人間が残って詳細について検討しておる、こう言われますけれども、それは調査団としての任務の放棄ではないか。少なくとも団が解散するという場合には、政府の一応の了解がなければ解散できるものではないわけですから、一方的に任務を放棄したのか、団の解散を、詳細を報告する以前に政府は認めたのか、これは非常に重要なポイントだと思うのです。今後こういう調査団ができないとは、私はいえないと思うのです。これは、産業が高度化すれば調査団ができる。ところがそれが、国民大衆政府との約束に基づいて調査団ができた、しかも権威ある調査団であると言いながら、その点が明らかにされていない点は私はきわめて問題だと思うのです。ですから、これは単に通産省の問題でなくして、政府としてそういう態度を将来においてとるとするならば、こういう方式による産業別調査というものは期待ができないということになるのではないか。これは政治に対する信頼感の問題として非常に重要だと思うのですが、この点をもう一度お聞きしたいと思うわけです。なお、この点が不明確であれば、あらためて大臣総理出席のときに政府考え方をただしたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  24. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 政府といたしましては、その大綱を正式な答申だと認めたわけでありまして、その後のふえんいたしました詳細な資料等は、お出しになりますのは非公式にお出しになるということで差しつかえないのじゃないか、かように考えております。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 しかし調査団団長は、詳細を報告します、こう明言をしているわけです。政府は、調査団団長が詳細を出すというのに、大綱でよろしいのだ、あとは非公式でよろしいのだと言う権限は一体あるのだろうか。閣議決定の文書を読んでも、権威ある調査団、しかも総理の直属である——通産省で依頼した調査団であれば問題は別ですが、わざわざ総理が直接団長を指名し、総理のもとにこの調査団が発足したわけです。そうすると、池田総理大臣もそういう見解だということにも通ずるわけですが、これが事実とすれば、池田総理大臣答申大綱だけで正式な答申と認めるが、詳細については必要がない、これが正式であって、あと団長が出そうという意思があっても必要がないということに池田総理大臣は断定されたということになるのです。これは非常に重要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  26. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 政府といたしましては、大綱によって答申が出たというふうに考えておりますけれども、詳細な資料報告されるということにつきましては、少しもこちらは阻止する意思はないのでありまして、提出されれば喜んでその報告を承るという態度をとっております。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただいまの質問は一応保留して、また別途適当の機会にさらに質問をいたしたいと考えます。  そこで、今年度の六百七十一万トンの当初原案が、五百五十三万トンに閉山規模縮小された。そこで問題となるのは、九州北部地域の百万トンの閉山規模縮小、これは伝えられるところによると、田川並びに山野を第二会社にするということで存続させるために、百万トンの生産規模縮小した、こういわれておるわけです。しかし第二会社は、政府閣議決定をしておりますように、その当該労働組合雇用のために必要として認めた場合のみ認められるのだというように閣議決定がなされ、池田総理大臣炭鉱労働者にそのことを保証した。しかも法律事項にはできないけれども、閣議決定ということで第二会社については措置をする。雇用のために労働者が希望する以外には、第二会社というものは認めないということが明らかになっておるわけです。そのことは石炭鉱業審議会のメンバーが知らないはずはないと思う。知らないならば、当然通産省としてはこれを教えてやる必要がある。ですから、そういう閣議決定をくつがえすような決定石炭鉱業審議会でできるとするならば、これは石炭鉱業審議会の性格に関する問題である。その関係について審議会はどう審議をし、通産省はそのことをどう受けたのか、この点について説明を願いたい。
  28. 井上亮

    井上説明員 ただいまの筑豊地域につきまして、審議会においては、閉山規模をさらに百万トン程度削減する修正案をもって可決されたわけでございますが、この百万トンにつきましては、これは審議会意見といたしましては、この政府原案をさらに閉山規模縮小するということについては非常な意見がありまして、審議会の多数の御意見は削減すべきでないというような意見があったわけであります。それに対しまして合理化部会長とされましては、片方の政府原案修正する場合には、これは需給の関係にも相当大きな影響があるし、あるいは企業経理雇用等の問題にも相当大きな影響がございますので、特に審議会としては異例の措置といたしまして、石炭鉱業審議会部会長会議でこの善後措置をきめたいという提案を合理化部会長がされまして、それを合理化部会雇用部会全員が一応この部会長会議に一任するというような決議を行ないまして、それに基づきまして部会長会議を開きまして、この問題を討議したわけでございますが、部会長会議とされましては、種々各方面から、あらゆる角度から検討されました結果、政府原案妥当性は認める、しかし地域経済に及ぼす影響雇用安定等見地から、筑豊地域においては閉山規模をさらに政府原案よりも百万トン削減することが最終的には妥当であるというような答申を行なわれたわけでございます。その際さらに、百万トンを削減するけれども、この該当炭鉱については、やはり地域経済に及ばす影響雇用対策上の見地、こういうような点から考えて第二会社形態がしかるべきであろうというような意見政府提出されておるわけであります。御承知のように、政府におきましても、毎々通産大臣が御答弁されておりますように、この第二会社化ということについては、政府としては従来一貫して、今日もそうでございますが、好ましくないという見解をとっておるわけでございます。この部会長会議の御意見とされましても、同じような意見政府出したわけであります。一応部会長会議意見を朗読してみますと、「閉山規模百万トンの削減によって影響を受けると想定される筑豊二山について具体的に検討した結果、第二会社方式によって合理化を行なう以外にないとの判断に到達した。もとより第二会社方式は石炭鉱業調査団答申においても原則としてはこれを認めないこととし、雇用対策上やむを得ない場合において労使双方が必要と認めるときに限りこれを許容することとした。われわれも第二会社方式は好ましいものとは考えないが、現状の形態での合理化では企業の経営は全く行き詰まり、雇用の不安定はさらに拡大するものと考えられる。よって関係労使双方ともにこの趣旨理解して再建のための合理化を進めることを要望する」以上のような趣旨で、政府はもとよりこの第二会社方式というものは原則的に好ましくない、認めます例外的な場合といいますのは、雇用対策上真にやむを得ない場合に限って労使双方が納得する場合に認める、こうい態度できておったわけでありますが、石炭鉱業審議会におきましても、ただいま申し上げましたような趣旨で、好ましくはないが、これが最善の案ではないかというような考え方答申されたわけでございまして、この点につきましては、私どもの従来の見解政府の従来の見解と同じ趣旨でございますので、政府としましても、この部会長会議意見を尊重していきたいというふうに考えております。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 第二会社を認めるということは、これは調査団答申に基づくものではないのです。これは四・六の炭鉱労働者政府との約束、それに基づく閣議決定において、すでに調査団発足以前に閣議決定で明確に約束されていることなんです。そのことを調査団は知っておるから、調査団政府閣議決定と同様の意見出しておるという程度のものであって、調査団意見によって云々というものではないと思うのです。政府閣議決定ですでにきまっておることである。そういたしますと、石炭鉱業審議会というものが政府閣議決定まで無視をするような一つの結論を出す、方向を出すということは、私は審議会として行き過ぎだと思うのです。審議会は少なくとも個別の問題については、結論を出さぬことになっている。閉山規模をきめて、会社側から労働組合に閉山の問題について提案をする。合理化についても同様、人員削減についても提案をする。それを受けて、労使の関係でこれが協議をされる。その結果、労働組合がこれを第二会社として認めるというのであれば、これは閣議決定趣旨に反しないわけですから、そういう方向で問題が解決されるかもしれません。しかしながら、そういう労使の関係には介入をしない。ただ自後問題があって、これが審議会でさらに問題にされる場合には、ある程度具体的に論議することもあるという、きわめて消極的な態度がとの審議会審議の原則として確立されておるはずなんです。にもかかわらず、今度の九州の筑豊二山、田川、山野については、第二会社以外にない、こう規定することは私は行き過ぎだと思うのです。百万トン閉山規模縮小さして、そのあとは三井鉱山から三井の当該労働組合合理化案を提示することで事足りる問題である。これは明らかに労使関係に対する審議会の不当介入である、こう言わざるを得ないと思う。閣議決定趣旨からいっても審議会の性格からいっても、そうであると思う。政府閣議決定を尊重するというたてまえをとる場合に、会がそういう意見を付しておるということは行き過ぎであることを認めるかどうか、見解を承りたい。
  30. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 政府が第二会社を好ましくないと思っていますことは、御承知のとおりでございますけれども、審議会といたしましても、万やむを得ざる方策といたしましてそういう結論をお出しになったわけでございまして、政府趣旨と同じ立場で結論を出したものであると考えておらない次第でございます。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 次官はそう言われますけれども、これは明らかに審議会の性格を変えています。昭和三十八年度閉山規模をきめるにあたって、審議会の性格を変えたということは、これはわれわれはとても了承できないわけです。と言いますのは、先ほどから申し上げていますけれども、経営形態まで云々するという権限が一体あるのかどうか。権限があるならば、そういう根拠を示してもらいたい。少なくとも、それは拘束するものではないとしても、当然それに基づいて、それを尊重して行政機関である政府は、そういう方向に指導するでしょう。資金その他の面についても、そういう方向で指導する。国家管理ならいいですよ。ですから、炭鉱は今日国家管理の段階にきているといわれる理由もあるのでしょうが、残念ながら政府のほうはそれに同意をしない。そうして審議会の原則については、私が先ほど申し上げた方向で原則が確立をされている。経営形態の変化に対して、労使問題について介入するということは不当であり、行き過ぎであり無効である。あくまでも閉山規模以外に百万トン縮小するなら百万トン縮小する、それ以外にきめ得る権限はないはずである、それ以外に意見を付する資格はないはずである。それを付するということは、これは明らかに労使関係に対する不当介入であり、企業形態の変更に対してそういう物を申すということは行き過ぎである、こう私は断ぜざるを得ない。ですからこれは、山の名前というのは審議の過程で一応出てきたのでしょうけれども、山の名前が明らかになって、経営形態についてはっきり意見を付されているということになりますと、これは私にはとても理解できないと思うのです。審議会としては温情で、閉山するよりも、雇用上の問題もあるし、いろいろあるから、これは第二会社のほうがいい、そういう意見もあるようだから、そういう意見をつけてもたいして問題にならぬだろう。こういうことだとしますと、そういう常識や良心的にやったということでありても、審議会の性格はこれによってがらりかわります。そういうことが今後審議会でやられるとするならば、これはたいへんなことなんです。そういう審議会の性格があるとするならば、これは私はこの審議会のメンバーをかえ、さらにこの構成についてもかえなければならぬと思うのです。ですから私は、そういうことまできめ得る審議会というものは、性格がかわるし、この審議会は当然解散をすべきだと思う。新たにそういう原則について明らかにした上で審議会を構成して、少なくとも労働者の死命を制するような閉山規模をきめる場合には、慎重な配慮がなされる審議会でなければならぬ、こういう見解を私は持つわけでありますが、いかがでありますか。
  32. 井上亮

    井上説明員 先ほど御説明申し上げました石炭鉱業審議会部会長会議意見についてでございますが、これは石炭鉱業審議会そのものの意見ではございません。これは石炭鉱業審議会から政府意見書を出すことを部会長会議が一任された、そういう形で意見が述べられております。したがいまして、部会長会議意見というものは、石炭鉱業審議会そのものが審議して意見出したということとは、性質が少し違うと思います。特に石炭鉱業審議会におかれましては、百万トン削減という問題に関連いたしまして、ただ漫然と百万トン削減ということはできないということで、やはり百万トン削減するについては、やはり地域経済とか雇用とかというような点に関して、そういう配慮から、あえて政府原案を削減したものであるから、無条件で削減するわけにいかないというような御意見がありまして、ただ、だからといいまして、この石炭鉱業審議会は個別の山については審議の対象にはしない、ただし経理審査会だけは別でございますが、それ以外の部会においては、個別の山についての討議は一応しないというような申し合わせもやっておりますので、この審議会の場において、こういう意見を出すことは適当ではないというような考え方から、審議会の部会でも何でもない部会長会議というものをあえて開きまして、そうして慎重に検討された御意見だというふうに考えております。したがいまして、これは審議会そのものということとちょっと違うということだけ御理解いただきたいと思います。  それから第二点は、政府が四月六日に第二会社の問題につきまして閣議決定を行なったのでございまして、その趣旨岡田先生御承知のとおり、私先ほど申しましたような趣旨閣議決定が行なわれたわけでございますが、この四月六日の第二会社に関する閣議決定趣旨を私どもは今日でも体して考えておるわけでございまして、したがいまして、審議会部会長会議から先ほどのような意見は出ておりますけれども、政府といたしましては、この意見意見として尊重しなければいかぬと思いますけれども、しかし実際問題といたしましては、この部会長会議意見は、単なる意見でございまして、実際問題としては労使が自主的に判断して、第二会社が妥当であるかないかというようなことは、労使みずからが話し合ってきめるべきことでございます。その話し合った線については、政府もその趣旨を尊重していきたいというふうに考えておるわけでございます。不当な介入ということはないのではないかというふうに考えます。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういう理解の仕方は、根本的に間違っておると思うのです。少なくとも審議会というものが構成されて、各部会がある。そこでこれが問題になって、結論が出ないから部会長会議というものを開いた。これはあくまでも審議会の延長です。審議会できめ得たら、何も部会長会議を開く必要はない。しかも、各部会長は全部総合部会に入っている。だから私は、これは審議会とは全然関係ないものではないと思うのです。審議会で結論が出ないから、その一つの便法として、審議会の責任において部会長会議というものを開いてこの問題を扱ったと思う。だからそこから出てくる意見というものは、当然審議会意見だ。そういう、審議会がそこまで審議をして結論を出すことは不当だと思うのです。しかも、この内容はすでに新聞紙上に公式的に報道されておるわけです。その及ぼした影響ははかり知れないものがある。三井鉱山の社長は何と言ったか。二山が第二会社で残ることは不満である、しかし、一応そういう結論が出たのであるから、この点については不満であるけれども受けます、こういう談話を出した。三井鉱山の社長が談話を出しておるのは、そのことを明らかに知っておるからそういう談話が出せると思う。ですから、私はそういう審議の経過について問題があると思う。審議会でやることは雇用の造成、地域経済に与える影響地域経済の問題については特に自民党社会党で、公党間で約束した事項であり、政府がこれを確認している事項なんだ。   〔神田委員長代理退席、岡本(茂)委員長代理着席〕 ですから、そういう問題が起きることは、われわれは当然承知しているはずです。こういう大手の山で一挙に閉山することは、地域経済に非常に大きな影響を与える。雇用の問題についても、いろいろ問題が出てくる。そういう場合については、閉山方式あるいは閉山規模等についても十分考慮して、審議会で結論を出すのだという、審議会に対しては非常に大きな期待がかけられておるわけです。その審議会企業の形態の変更、労使関係の問題まで介入することは行き過ぎです。権限がありません。そこまでやった審議会の責任を私は問わなければならぬと思う。これでは、今後昭和四十二年度までの重要な閉山規模をきめ、石炭産業合理化問題を一緒に扱う審議会のメンバーとしては、不適当だと思う。そういう常識のない、そういうことの客観情勢を知らない、国会審議の経過も知らない者が集まって、こういう審議会で結論を出す、不当な結論を出す、権限以上の結論を出すということは、前代にないと思うのです。政府にはいろいろな審議会があります。これは特に、実行する問題点について出すわけでしょう。ほかの医療審議会とかなんとかと違うのです。政府がそのあとで選択してやるというものではありません。審議会意見を一〇〇%取り入れるという方式でこの石炭鉱業審議会は改組強化されておるはずなんです。そういう意味において、審議会としては、そういう国会の審議の経過、与党、野党並びに政府間の約束というものを無視して、そういうおこがましいことをやっているから、資格がないと思う。ぜひひとつやめさせて、新たにもう一度検討し直して、審議会をつくってもらいたい、こう思うのですが、次官、いかがでしょうか。
  34. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 先刻も井上説明員から御答弁申し上げましたように、審議会そのものの決定ではないのでありまして、部会長の会合による審議の結果の結論がそういうことになったというようなことで、ただいま岡田委員の御指摘のように、いわば便法であろうかと思います。審議会そのものの決定ではない、かように考えているわけでございます。しかし部会長の会合が、審議会におかれましてもさような御見解を持っていらっしゃるということは、われわれ一応はかり知ることができるわけでございますが、しかし政府といたしましては、先刻も御答弁申し上げましたように、労使の話し合いがととのった上で実施に移したい、かように考えているわけでございます。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はこの九州二山は、三井なるがゆえに問題だと思う。ほかの山ならば、ここまでいかぬと思う。私は今日の三井鉱山の置かれている現状をよく知っているから、特にこの二山についてこういう企業形態にまで介入したということは、単に一つの企業のものだけを考えて、そのものの企業擁護、こういった面を十分配慮したから、このような越権的な、労使間に介入するような結論を出した、そういう意見を付した、こう私は理解せざるを得ないわけです。したがって今日、三井鉱山を起点として、三井鉱山をどうするかというのが、石炭政策の大部分です。それだけに政府はいまの私企業を立て直すためには、三井鉱山を安定させなければならない、それにはここまで言わなければ、がたがたしたのでは問題が出てくるという判断から、このような先ばしった意見書というものがつけられたと思うのです。いま炭政課長が朗読したように、これは公式の審議会意見として付されて大臣に出されているわけです。そういう意見が正式に付されているのです。別に、行政上そういうことも十分配慮してやりなさいという程度のものではない。公式に文書で、非公式に言われたのではなしに、公式に付されたのだから、この与える影響は大きいですよ。これは死刑の宣告ですよ。これ以外にないということですよ。しかし一方においては、規模を百万トン縮小したわけでありますから、審議会としては百万トン縮小して、あとは三井鉱山のそれに基づいて、二山を含めて百万トンにすると、今の形態でいいかどうかは三井鉱山自身が考えて、労働組合に相談すべきですよ。それを審議会がそういう意見をつけ、通産省がそれを指導するということは、国家管理ですよ。国家管理なら国家管理のように、合理化法は根本的に改定しなければならぬ。そのことはわれわれの望むところですから、そこまでいくという決意があれば、私はいいと思うのです。しかしながら中途はんぱでこういう審議会が、いま私が述べているようなところまでいくということは、審議会の性格、権限についても問題があるし、しかもいままでの国会の審議の経過や与党、野党、政府間の約束なり、閣議決定を十分理解しないで、そういうばかげた意見を出すということは、審議会委員としての資格がない。ですから、これは審議会委員はすみやかに全員辞職をして、取りかえるべきだ、こう判断せざるを得ない。まして、いまの審議会が労使中立三者対等の立場で、そういう原則で構成もそうなっておれは、労働者委員も納得した——労働者委員は、これに対しては態度を保留している。そういうたてまえもとられていないわけでありますから、なお私は問題があると思うのです。ですから私は、審議会というものの構成については再検討すべきだ、こういう強い結論を持っておるわけです。でなければ、これはとてもこういう審議会の運用では、われわれは安心してまかせることができないということになると思うわけです。一応私は、この問題は重要な問題ですから、先ほどの問題と同様、ここではなかなか結論が出ないようですから、保留しておきたいと思います。  次にお伺いしたいのは、北海道における十八万トンの閉山規模縮小の問題でありますが、少なくとも政府原案として出して、十八万トンの閉山規模北海道においては縮小されたということは、それなりの根拠がなければならないと思う。この十八万トンの閉山規模縮小した審議会審議経過、内容についてお伺いしたいと思うわけです。
  36. 井上亮

    井上説明員 北海道のあの石狩地域におきまして、石炭鉱業審議会合理化部会雇用部会におきましては、政府原案をさらに十八万トン程度削減されたわけでございますが、これは筑豊の場合と違いまして、政府の計数整理のような形で行なわれておるわけであります。実質的には、率直に申しまして、これは昭和三十七年度末から昭和三十八年度初めにかけての閉山の見方、この判断によりましてそのような計数整理が行なわれたわけでございまして、筑豊のただいま問題になりましたようなケースとは、ちょっと事情が違う内容でございます。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 この十八万トンという閉山規模縮小というのは、月産にすると一万三千トンくらいになるわけです。そういたしますと、この十八万トンの計数整理が出るというのは大へんな問題だと思うのです。いま十八万トンの出炭規模炭鉱に、一体労働者はどれだけ働いているでしょう。これは千名の労働者が働いていますよ。十八万トンの石炭を出すのに働いておる労働者は、千名おります。ですから、これはもう地域経済に与える影響は非常に大きいのです。ですから、二万トンや三万トンの計数整理が行なわれることは、当然あり得ると思うのです。しかしながら、百六十一万トンに対して十八万トン。最終的には百六十一万トンですから、閉山規模の一割の計数整理が出てくるということは、私はこれは少なくとも労働者の死命を制する、山をつぶすかどうかという問題の場合には、あまりにも大きな数字である。九州におきましては二百九十五万トンですが、北海道の場合は、最終決定通産大臣が公示したものは百六十一万トンです。そうすると、これは一割を上回る計数整理である。これはちょっと納得できないのですね。そういうようなことが政府原案から出てくる、計数整理が十八万トンも出るとするならば、調査団が何のために長い間調査し、通産省は何のために一体この点についてやってきたのか、私は非常に理解に苦しむわけです。少なくとも私の想定では、これは現在のスクラップを進めていく過程において、いろいろ企業形態の問題、あるいは山と山との鉱業所の合同の問題とか、いろいろ問題がある。したがってそれらの検討を加えて、当然この報告がなされなければならないと思うのですね。私はここで山の名前を言えというわけではありませんけれども、単なる計数整理ではないんだ、そういう点について北海道合理化については、そういう一つの山をつぶすとか生かすとかいう問題ではない、そういう問題じゃないけれども、そういう山別の鉱業所単位の統合とか何とかいう問題、当然そういう重要な面から十八万トンの通産省のいう計数整理というものが出てきたんだ、こう言わざるを得ないと思うのです。そうでなければ、これはおかしいですよ。そういう理解でよろしゅうございますか。
  38. 井上亮

    井上説明員 この十八万トンにつきましては、計数整理ということを申し上げましたが、これは先ほども申しましたように、いつ閉山することになったかという、その閉山の時期の判断に関連する問題でございまして、三十七年度末つまり昭和三十八年三月三十一日に、ほとんど全部の労働者の方が他に再就職されたが、それが一人残っていたために、それが三十八年度閉山になるのか、その辺の三十七年度、三十八年度の過渡期と申しますか、経過的なその判断の問題にからむ計数整理でございますので、実質的には、それによって離職者の方が特によけいになったとか、そのために離職者の要対策人員がふえるという関係ではございません。これは本来ならば具体的にどこどこの山でございますという答弁をすれば、すぐ御理解いただけると思いますが、抽象的ではなはだ恐縮でございますが、そのために離職者の要対策人員がふえるというような関係の計数整理ではございません。そういった年度、三十七年度から八年度への閉山の時期の判断にからむ問題でございまして、その程度のことで御了解いただきたいと思います。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣がこられましたが、いま大臣がこられる前に、重要な二つの問題を私は質問を保留したわけです。私はそれを繰り返して大臣に聞こうとは思いません。ただ問題点は、有沢団長は私の質問に対して、答申大綱に基づく答申詳細を報告します、こう国会で正式に約束されておる。これがまだ報告されていないということが明らかになった。一、二の人間が残ってやっておるそうですが、これは通産大臣が委嘱した調査団ではないのです。内閣総理大臣の権威ある調査団として、わが国歴史始まって以来の画期的な調査団である。この調査団の結末が非常に明確でないということは、今後非常に政治問題として重要問題だと思うのです。この点について私は一つ質問を保留しておきました。  第二の質問は、九州北部地域における三井二山、すなわち田川、山野の第二会社の問題です。審議会が第二会社の問題まで言及するということは、企業形態の変更であり、労資の問題に対する不当介入である。そういう権限は審議会にはない。あるとするならば大問題である。ですから、そういう閣議決定や国会審議の経過もわからぬようなメンバーが集まっておる審議会は即刻これを解散して、新たな審議会の構成をすべきであると、私は意見を述べておるのです。この点も私は質問を保留しておきました。今後の審議会の性格上きわめて重大だと思うのです。個別的な山の問題については、企業形態の変更とか、そういうものはやらぬということになっておる。閣議決定で第二会社は労使間で正式に希望する以外は認めぬということをいっている。そんなことのわからぬ審議会がかってなことを言っておる。また、そのことを唯々諾々として受け取っている通産省もどうかしている。これは審議会の性格としては、重要な問題だと思うのです。私に言わしめると、労働者の死命を制する審議会の結論なんです。ですから、これは当然、そういうわけのわからぬ、理解不足の審議会のメンバーは即刻やめてもらって、新たにもう一度組織を検討し、委員を任命すべきである、こういう実は意見を述べておったのですが、この二点については保留しておりますので、大臣も十分ひとつ検討をしておいていただきたいと思います。あらためて繰り返す気持はありません。あとからまた審議の日程がありますから、そのときにあらためてこの二点は、お伺いします。  そこで大臣にお伺いしたいのは、この石炭鉱業審議会において、昨年末の国会でわれわれは、この審議会を改組強化するにあたっては、合理化法の改正は石炭関係のいずれの法案にも先んじてすみやかに出して、そうして合理化法をきめて、それに基づいて石炭鉱業審議会を改組強化して、閉山規模なり、石炭鉱業審議会審議をする必要案件について審議すべきである、こういう意見を述べてまいりました。ところが大臣はがんとしてきかないで、当面はこれでいいのだ、あと閣議決定で改組強化することになっているから、それで省令を改正してやればいいんだ、こういう意見に終始したことは、われわれの見解と対立をしたところです。ところが今度の改正案を見ましても、いままで合理化臨時措置法の中には、雇用の問題まで政府が取り上げるという方式はなかったわけです。それは通産省合理化臨時措置法に基づく合理化計画に基づいて、あとは労働省がこれはしりぬぐいをすればいい、こういう方式だったわけです。それではいけないということで、調査団は、審議会審議の内容についてもかくあるべきである、こういう答申を実はしておるわけです。政府は実はこの答申を尊重したわけです。ですから雇用の問題については、これは新たにつけ加えられた部面である。法律的に新たにつけ加えられて、しかもそのことが新たに鉱業審議会任務になったわけです。鉱業審議会合理化法に定めてあることを審議するわけです。雇用の問題については、全然やってはいかぬという規定はないけれども、法律的にはいままでなかったわけです。新たに目的に、安定という中に、成田質問に対して、これは雇用計画が大部分ですという福田大臣答弁によって了承されておる。そういたしますと、今度の合理化法の改正を見ると、この雇用の問題が労働大臣の所管事項として、通産大臣の所管事項と相かね合わせて鉱業審議会審議をする、こうなっておるわけです。ですからそういう意味では私は、この法律改正で審議会を改組強化すればいいんだという大臣考え方は、若干ここに問題があると思うのです。だから私は、どうも雇用の問題についてはあまり熱心でなくて、不十分だと思うわけです。そして合理化のほうだけを優先さしてものを考えるという風潮が、審議会の中にも出てきておると思うわけです。したがって、私はこの法案が通ったならば、あらためて鉱業審議会は改組強化すべきである。単に鉱区調整部会だけをつけ加えるというのではなくして、あらためて雇用の問題を、この法律がどういう形で通るかわかりませんけれども、そういうものを含めて鉱業審議会というものをあらためて改組強化すべきである、こういう見解を持っておるのですが、大臣見解はいかがでしょう。
  40. 福田一

    ○福田国務大臣 お答えをいたします。いま岡田委員からお話がありましたとおり、私は従来の法律のうちに、あなたも御存じのように、その条文において、これは実は措置をとるまでにはずいぶんいろいろ勉強したつもりでおるのですが、石炭鉱業合理化に関する重要事項を調査審議するという第七十条がございますので、これでやれるという形で実は処理をいたしてまいったわけであります。  そこで、今度の法律によって一部改正が行なわれるということになるのでありますから、それが改正されれば、もう一ぺんその審議会はレビューしてみる必要があるのじゃないか、こういう御質問かと思うのでありますが、根本の精神は第七十条によって貫かれておりますので、その内容の不明確な点を明らかにしておるというふうに私たちとしては解しておりますから、特にこの法案が通ったからといって、いままでの審議会を考え直してみるという必要はないのじゃないか、同じような目的をここで明らかにして、疑義を明らかにすると同時に、雇用問題というものは非常に大事であるということをここで明らかにするための改正である、こういうふうに考えるのでありまして、雇用問題はやはり重要でございますから、これは明らかにし、またそこに重点を置いてあるということを明らかにする必要がある、こういう考え方でこの法案を提案しておるというわけでございます。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 この問題は、大臣御記憶になっておると思うのですが、この問題を質疑している最中に、委員長から質疑を打ち切られて、臨時国会ではきわめて不穏な個所なんです。それだけ私には因縁があるところなのです。あなたはこれはできる、できると終始答弁されたわけです。できるならば、法律を改正する必要はないじゃないですか。私は、それはできないことは法律的にないと思いますよ、何でも重要事項だから。しかしながら、審議会は一年前にできたわけではないのです。審議会は、できてもう四年も五年も経過しておるわけです。そういう経過からいっても、問題が正式に取り上げられたことはないのですね。審議会雇用の問題を計画的に、重点的に取り上げられたことはない。希望条件程度には出ましたけれども。ですから、私は、どうせ合理化法を改正するんだから、特に調査団の最終目的、調査団ができた目的——池田総理が確約したのは、国際収支とエネルギーと雇用の安定を三本の柱、石炭産業として重要である、何度かにわたる会見でも、総理はそう言明した。ここほど緊急に法律を改正する必要のあるところはないと思うのです。それをあなたのほうは、やれ離職金はどうだとか、そのほうだけをちょっと改正して、この面はできるんだ、できるんだという態度で終始したことが、私はきわめて問題だと思うのです。できるとあれだけがんばられたんだから、法律を改正しなくてもいいんじゃないですか。あなたはがんばられたんだから、現行法でやればいいわけでしょう。そうではないわけです。わざわざ目的に新たに安定という文字をつけ加えられて、労働大臣の所管すべき事項についても、わざわざ法律上明確に定められた。ここと鉱区の問題だけですよ、法案が大きく変わっているのは。それだけ重要な個所なんです。それをあなたは、いや、できるんだ、できるんだと、そういう態度は、少なくとも通産大臣として芳ばしからざる態度だと思うのです。ですから、そういう意味で、合理化法が変わったのですから、しかも、あなたもがんばられたけれども、炭鉱の問題は緊急な問題であるということで、便法的にそういう方法であったということは理解できても、そういう点については、審議会はいずれ開かれるわけですから、法案の修正点を審議会説明をして、そしていままで審議したものについても、そのままきまっても、一応そういう趣旨に基づいて処置をされることがより望ましい、そういう態度のほうが、私は望ましいと思うのですが、この点についてはやられる意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  42. 福田一

    ○福田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたが、われわれは第七十条の条文によって処置ができるということで、いまもその考え方は変わっておりません。しかし、それならなぜこういうものを出したかと言われれば、しかしながら、いま雇用の問題というものはわれわれも非常に重要視し、今後も特に重要視しなければならぬ問題であるので、これについての明確な条文を置いたほうがよろしい、こういう考え方でこの法案を出しておるのでありまして、こういう例はほかの法律でもあるかと考えております。  そこで、そういう場合において、こういう条文の改正が行なわれた以上は、鉱業審議会というものをあらためて改組するなり、あるいはいままでやった処置も全部もう一ぺんレビューし直すべきではないかということでありますが、われわれとしてはこれでできるということでございますから、いままでやった措置もレビューするということは必要ないと考えますが、しかし、いままではこういうことをしておったんだという報告、この改正が行なわれたときにあたって、審議会において、こういう改正案が今度通ったということについてもう一ぺんレビューではなくて、こういうことがあったけれども、いままでのことはこうだということぐらいの報告ならば、私は何もしていけないということにはならないと思いまするが、考え方として、いままでの措置が有効であったというたてまえをとっておるのに、もう一ぺんレビューし直すという必要はないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、第一の理由は、合理化法の改正が前臨時国会で出されていなかったのならいいのですけれども、せっかく合理化法の改正をするのなら、総理が言明している重大な柱である、調査団答申している最大の重要な柱であるそういう問題について、なぜ同じ法律を改正するならばその面について改正しないのか。それはできるからやらぬ、こうあなたは終始されたわけです。そして今通常国会にこれをそっと出してきた。そうであればそうであるように、あなたのほうも、これは改正する必要はある、しかし事務当局で間に合わなかったなら間に合わなかったとはっきり言えばよかった。そうは言わないのです。とにかくこれはやれるのだ、こうあなたは終始言明されたわけです。ここに政治家として問題がある。そうして何カ月もたたないうちに、二カ月か三カ月の間にぽっとこの法案が国会に出されて、再び合理化法の改正が出されてくるという点が問題だと私は思う。  それから第二の問題は、今年度の再就職計画で三万人の新たな労働者が首を切られ、加えて、今年度の末には全員が就職できればまだ問題はないが、計画では就職できないのです。ですから、これを前進させる方向で再検討すべきではないか。私は、合理化計画は適法ですから、一応閉山というものは、そういうことを変更しろとは言っていない。しかしながら、就職できない者が依然として残ってくるわけです。ですから、この面についてさらに、こういう法案も国会を通過したのだから、労働省のほうも再検討するなら、通産省としてもそれに対して十分配慮しつつ、この面を、当初出した計画をさらに前進させるためには、少なくとも再検討していいのではないか。人が余るやつをできるだけ多く就職させようということで、再検討したっていいじゃないですか。少なくともそれぐらいのことは、この法案の通過をきっかけにしてやる。雇用計画もできるわけでしょう。再検討するぐらいの言明を大臣からやられないということは、どうもふに落ちないと私は思うのです。単に報告するのではなくして——雇用の問題については通産大臣はあまり関心がないらしい。山をつぶすほうは関心があるらしいけれども、人を就職させるほうは、どうも労働省のやることで関心はないらしいのですが、この面は、合理化法は労働大臣の所管の面についても規定されますけれども、その主たる所管は通産大臣なんですから、この法案を改正するにあたって、特に雇用問題についてさらに前進させるように再検討するぐらいの大臣答弁がないということになりますと、これは再審査してもらいたい、こういう意見になってくるのですが、いかがですか。
  44. 福田一

    ○福田国務大臣 いまあなたのお話がございましたように、スクラップ・アンド・ビルドの計画については、これはもう考え直す必要はないけれども、雇用の面については、この法案が通ればこれにウエートを置いて改正するということであれば、この面はもう一ぺん、いわゆる再就職をさせるという面から見て、一ぺんレビューを、もう一ぺん勉強をしてみてはどうかということでございますので、私は、それはできるとかできぬとか、ここでこうします、ああしますと、実態も把握しておりませんから言いませんが、これは労働大臣並びに通産大臣として、そのことをもう一ぺん必要かどうかということも打ち合わせをし、また必要があれば、いわゆる雇用を促進するという面において、スクラップ・アンド・ビルドするという計画自体は動かさないにしても、雇用をもう少しふやすのに何かもっと措置はないだろうかということを研究することは、私は差しつかえないと思います。ただ、これは御承知のように、労働大臣がやはりその面において計画を立てられるのに、私が独断でもってここで申し上げることはいかがかと思うのでありまして、労働大臣とそういう面についてよく打ち合わせをするということは、いま申し上げた限りにおいて、また、あなたのおっしゃったことばの字義を解してみれば、ごもっともな御意見になるかと思います。しかし私がここで、実態を把握しておらないのに、またそのすべてをあれしておらないのに申し上げるわけにはいかない。ただ、いままでやったこと自体が間違っておったのだという段階でこれを検討するということでなく、これは合法的にやった措置であるけれども、しかしこの法律を改正しているということは、雇用の面ということをやはり重視しているからこういう法律の改正をし、また提案をしておるわけです。そうなれば、その後その計画が実施されてどういうことになっていくかということを考えてみて、そしてできるだけまた雇用の促進等についても考えるということは、私はすなおな措置であると思っております。
  45. 岡田利春

    岡田(利)委員 この問題はまた労働大臣に来てもらって質問もできると思うのですが、しかし通産大臣としても、いま産炭地振興審議会の会長も置かぬのですよ。しばらくの間ほっぽり投げておいて、この重要な石炭問題が審議されているのに、会長が死んでも会長の選任もしないで、あわ食って産炭地振興対策を審議している。しかもこれは、いままでよりも前進させようとして審議している。産炭地振興は当然雇用が伴いますよ。そういう面からいっても、雇用計画というものは、一応雇用計画が出されておりますけれども、この法案を通過成立したことをきっかけに再検討する要件は、通産省にもあるのですよ。私に言わしめると、産炭地振興を具体的にやれば、雇用計画は変わってきますよ。そうでしょう。だから、これは通産省側から見て、そういう再検討をするぐらいの要件があるのですから、ほかの省だからといって気を使わないで、あなたがつぶして首を切るわけですから、あなたのほうが積極的にやるということの意思の表明をされることは、要件がないならいざ知らず、あるのですから、通産大臣からも積極的にそういう方向検討するという答弁があってもしかるべきだと思うのです。労働大臣のほうはあらためて聞きますから、特にその点、答弁は必要ありませんから、十分承知を願って、この面を積極的に考えていただきたいと思うわけです。  そこで、時間がありませんから審議を急ぎたいと思うのですが、最近の需要確保の問題について御質問を申し上げたいと思うのです。  初めに、一般炭は渇水等によってある程度順調にさばけてきたわけですね。昨年末から今年初めにかけて、一応順調にこれが電力会社に引き取られた。今度は、夏はどうなるかということで、非常に夏場の貯炭等が心配されておるわけです。ところが昨年末から、原料炭については依然だぶつきぎみだ、もちろん高低はありますけれども、現在原料炭の鉄鋼業界の引き取り状況はどうか、貯炭の状況はどうなっておるか、どういう現状になっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  46. 井上亮

    井上説明員 原料炭の問題につきましては、これは先般来鉄鋼業界と通産省の間でいろいろ話し合いを進めまして、さらにまた、石炭業界と鉄鋼業界の話し合いもありまして、結局最終的には、植村さんのごあっせんという形で両業界の話が先般ついたわけでございまして、三十八年度の鉄鋼の引き取り見通しといたしましては、七百四十五万トンということに決定されております。現在鉄鋼業界は逐次不況から脱しまして、好況に転じつつある傾向を見せておりますので、私どもの見通しといたしましては、三十八年度のこの七百四十五万トンの鉄鋼業界の引き取りは、一応可能ではないかというふうに考えております。
  47. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣にお伺いしたいのですが、昭和三十八年度の上期の石炭外貨予算というものは、すでに決定されておるわけです。この外貨予算というものは、これは昨年から見て微増しておるわけですね。外貨割り当ては減ってはいないわけです。一方において、国内においては原料炭引き取りが順調ではないわけです。昨年下期の外貨割り当てについてもそうだった。今度上期の外貨割り当てについても、これは需要者本位で考えれば、原料炭の価格の差がありますから、結局そういう希望は強いと思うのです。しかし貿易収支は慢性的な赤字である、そういう傾向を持続するということは、もうだれしもが認めておるところです。ところが、一方において石炭対策がやかましくいわれて、国内原料炭の引き取りは順調にいかない。外貨割当の場合には、これは減るどころか、依然として漸次微増する傾向を持っておる。このことは相矛盾するのではないか。そこで、原料炭の輸入については長期契約があるからこれはなかなか減らすことはできないんだという説がありましたけれども、私が調べたところによると、そういう長期引き取り協定を結んでおるところはないわけです。そういたしますと、これだけ石炭対策をやっておるのですから、競合する原料炭の外貨割り当てについては、通産省としては考えなければならぬ問題だと思うのです。いま国内原料炭が余るということは、粘結性をデリミットして一般炭に振り向いていく、こういう傾向を強めるわけです。このことは石炭政策としては不十分であるし、答申に基づいて、原料炭はこれからビルドアップしてさらに増産をはかる、そういうことで各社は増産態勢に入っている。ところが鉄鋼の景気がなかなか立ち直らぬ、外国炭は依然として入ってくる、国内原料炭が余るという現象は、石炭政策としては下の下だと私は思うのです。外貨の面から考えても、エネルギーの安全保障の面から考えても、雇用の面から考えても、特に国際収支の問題を総理は大きな柱に出しているのですから、この点をどのように考えられ、どう判断されて昭和三十八年度の上期石炭外貨予算を決定されたのか、通産省考え方を聞きたいし、大蔵省としても、国際収支の問題についてずいぶん配慮されておると思うのですが、一方に金はなかなか出ないけれども、外貨の予算だけは、こういう石炭政策を国としてとっておるにもかかわらず、依然として同じような傾向を保っておるのはどういう意味なのか、どこまで検討されておるのか、ひとつ伺いたい。
  48. 福田一

    ○福田国務大臣 実はわれわれもその点は非常に心配をいたしておったのでございまして、特にこの間豪州あたりからは、原料炭をもっと引き取ってくれという要望が非常に強かったのでございます。しかし、既契約分が四十五万トンあったのを実は五万トン削っておるようなわけでありまして、向うは六十万トンぜひ引き取ってくれ——これは豪州との貿易関係等から見まして、われわれとしてはもし石炭政策がなければほんとうは引き取ってやりたいというような感じもあったのですが、それだけは何としても国内で困っておるからということで説明をして、向こうは不承不承承知をしたという実情もございます。それからこの間豪州のパースあたりからやってきた人たちの話でも、そういうこともいろいろございました。またほかの面でも、そういう契約がなくても、いままで何かを向こうへ輸出しておって、その見返りで引き取るというようになっているものや、契約という形が公に出ていなくても、義理としても買わなければならぬというようなものを各会社が持っている分もあるわけです。八幡にしても富士にしても、そういうことはあります。しかしそういうことはこの際、今後石炭問題を根本的に解決していくために、こういうように人員を減らすということまでしているときに、そういうものをふやすということは好ましくないというので、われわれとしては極力押えておるわけでありまして、岡田委員が御理解を賜わっている以上に政府としては努力をいたしておるつもりでございますので、御了解を賜りたいと思うのであります。
  49. 岡田利春

    岡田(利)委員 もちろん国内原料炭の引き取りの計画としては、昨年よりふえる計画は立てられておるわけなんですが、輸入炭は、横ばい傾向でありますけれども、漸次ふえていく。ところが鉄鋼の場合、輸入炭の比率が非常に高い。もちろん鉄鋼の場合は特殊でしょうけれども、あとのコークスとかガスの場合には、国内原料炭が非常にウエートを占めているわけです。従って鉄鋼の大資本の背景の中に、政府のこういう政策はどうも行き渡らぬのではないかという懸念が私は非常にするわけです。ですから現実の問題として、調査団原料炭の国内消費の見込み違いということも、最近ちらほら言われつつありますし、あるいはまた鉄鋼生産の長期見通し、これに伴う国内原料炭の需給見通しも、今日不安定要素が非常にふえてきているのではないか、こういう懸念がなされるわけです。したがって、もちろん反対輸出等の関係もあって、特に豪州の場合は私は問題になると思いますけれども、やはり国内原料炭消費優先という原則は貫かれていかなければならないと私は思います。もしその結果、景気の変動によって国内原料炭の貯炭がどうしても一時増大するという場合には、そういう措置政府が責任を持ってとるべきではないか、こういう考え方を持つわけです。これはもちろん一般炭の場合も出てまいりますけれども、特に経済変動等によって、輸入炭は一定量入ってくる、国内原料炭は引き取ることが非常に不可能であるという場合には、政府は、政府の責任において原料炭確保していくのだという基本方針に基づいて、そういう貯炭融資等について重点的に配慮する考え方があるのかどうか、この面については、いま大臣説明された内容とかね合ってどうお考えになっておるか、見解を聞きたいと思います。
  50. 福田一

    ○福田国務大臣 海外から入れるものについてはできるだけ入れないようにする、国内でもし余った場合には、それに対して何らかの措置をやれ、こういう御意見と承るのでありますが、御趣旨のようにいたすべきだと思います。ただし、これはすでに五千五百万トンというワクがはまっておりますので、そのワクを越えてどんどんつくった場合でも幾らでもめんどうを見ろ、こういう御趣旨ではないと思うのでありますから、その点はわれわれも十分配慮いたすべきである、かように考えておるわけでございます。
  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣は時間の都合があるそうですから、この一問で大臣への質問を終わります。  いま豪州炭の問題が出ましたけれども、これは通産省も御存じだと思うのですが、三井鉱山が豪州炭の海外開発を計画して、一応そういう方向で長い間折衝しておった。ところが、三井鉱山は企業が非常に困難な情勢に直面してもたもたしておったという結果、アメリカ資本によってその豪州の膨大な鉱区が買い上げられた。そこでアメリカの資本が出てきて、豪州で豪州炭の採掘を始めることになった。私は具体的にはあまり承知しておりませんけれども、そういうことが報道されておるわけです。確かめたところ、それは事実です。石油の問題については、海外開発ということが非常にやかましくいわれている。ところが石炭の場合には企業がそれぞれ別々であって、国策的な会社がありませんから、特に原料炭確保という問題については、少なくとも一千万トン以上の——昭和四十五年度には二千五百万トンにのぼる原料炭を輸入しようとする日本の所得倍増計画の計画から見ても、海外原料炭開発という問題は、石油の油田開発と同じだと思うのです。これをやるとすれば、いまの企業単位では不可能だと思います、一方において国内では、企業政府の方針に基づいて合理化を進めていくわけですから、その余力をもって海外に行って原料炭開発、そういう地域確保することは、石炭企業の実態から見て非常に困難だと思います。ですからそういう方向を考えるとすれば、石油と同じなんですから、政府はそういう点について十分検討して、何らか一つの海外原料炭開発の母体をつくらなければならぬのではないか、こういう気がするわけです。これは所得倍増計画で二千五百万トンで、昭和五十五年には四千八百万トン程度の石炭の輸入になると思うのです。ものすごい量です。カロリーで計算すると、国内炭とほとんど匹敵する。それだけの石炭を海外から輸入する計画が立てられておる。政府で一応そういう目安が立っておる。ですから、これは石油の場合と同じように、いまにして政策を立てないと問題が残ると私は思うのです。この点についていままで検討されたことがあるのか。これは単なる石炭の私企業にのみまかしておるのか。私はこの政策を打ち立てるのには、もういまではおそいと思われるくらいの時期だと思うのですが、この点何かあれば見解説明願いたい。
  52. 福田一

    ○福田国務大臣 三井のお話は、私実はあまりつぶさに承知はいたしておりませんが、たしかあれは弱粘ではなくて、強粘結炭であったと思っております。いずれにいたしましても、将来エネルギーの問題を所得倍増計画とからみ合わせてどう考えていくかということは、いままでも研究はいたしておりましたが、今後も十分研究をいたさねばなりません。そうして、もし必要が起きたとしても、石炭で四千八百万トン入れるのがいいのか、油で入れるのがいいのか、どういうふうにしていくのがいいのかということも、私は問題が残っておると思いますが、いずれにいたしましても、そういうものを海外から入れるということになった場合にどうしたらいいかということになれば、あなたのお考えのような構想をもって処置していきませんと、ばらばらに入れるというと、それがまた非常に影響がある。したがって、一つの特殊機関でもつくって、そこでやらしていくという考え方も一つのりっぱな考えであると思いますので、今後ひとつ研究をさしていただきたいと思います。
  53. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから、大臣にはまたあらためて質問をすることにいたします。  次に、一般炭の確保の問題ですが、電力用炭が漸次毎年毎年増大をして、最終的には三千五百万トンの電力用炭を確保する、こういう基本方針を貫かれて今日の石炭政策が進められておるわけです。しかし、去る三十一日の電源開発調整審議会でも、その面を配慮して石炭火力発電所の新設等についてもきまったように聞いておるわけですが、また反面、電力用炭の引き取りというものがなかなか順調にいかぬのではないか。代金の精算のほうは、今度は新しく法案が出されておりますけれども、長期引き取り協定に基づく電力用炭の引き取りということになりますと、なかなか石炭会社電力会社との間に順調にいかぬ問題が出てくるのではないか、こう私は懸念しておるわけです。しかも現在電力会社に納めておる石炭というのは、山から直接納めている場合もあるし、商社を通じて納めている場合もあるわけです。私は、その電力用炭代金の精算をすることも必要でしょうが、むしろ中間マージンを少なくして、少なくともこういう三千五百万トンの石炭をたくとするならば、山から直接石炭を電力会社に納入させる、いわゆる直売制度に完全にすべきだ、こう考えるわけです。しかも最近の動向を見ますと中国電力、四国電力あたりで、いわゆるワクの買い上げということで、決算委員会でもこれまた問題になっている事件も実はあるわけです。これは、商社の納炭ワクを権利として買い上げる、こういう問題が今日起きておるわけです。ですから、いろいろ歴史的な因縁関係はあったとしても、流通合理化の面から考えても、炭価を下げていくという面から考えても、こういう点についてはまず合理化をする、と同時に、石炭の引き取りについてはある程度、もう少し強力に義務づける必要があるのではないか。長期協定を結べば、その電力会社と石炭会社の長期協定を確認する機関というものが必要ではないか。そうでない限り、もし今年度一応割り当て量を引き取ったとしても、最後には収容し切れぬ。そうすると、それが来年度に持ち越される。来年度は、そういう経過事実に基づいて、来年度の当初計画の電力用炭の総量というものを引き取ることができないという現実問題にぶつかっていくのではないか、こういう感じがするわけですが、この点、電力用炭の引き取りの昭和四十五年度三千五百万トンまでの見通しについては、計画どおり順調にいくという見通しなのかどうか、この点について公益事業局長にお伺いしたと思います。
  54. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ただいまの岡田先生の、昭和四十五年三千五百万トンというお話でありますが、三十八年から四十二年、四十五年、それぞれ一応電力用炭の引き取り数量をきめまして、電力業界ともいろいろ折衝いたしまして、その負担増対策等も政府において講じました上、電力業界としては三十八年二千五十万トン、四十二年二千五百五十万トン、四十五年三千万トン、これにつきましては電力業界はこれを引き取りましょうということになっているわけであります。もちろん電力用炭も電気の消費と関連があるわけで、われわれが一応見通しております電気の消費がそのとおりまいりますれば、もちろんその計画達成はできると思っているわけであります。現在のところ、その消費もわれわれの計画どおりに伸びているとは考えられませんし、また豊渇水等もありまして、相当の豊水がありますれば、当然石炭もその分だけ要らない。   〔岡本(茂)委員長代理退席、委員長着席〕 石炭をわざわざたいて電気をつくりまして電気を流す、そういった不経済なことまでやることは、われわれとしても考えられないわけであります。そういう面を考えますれば、なかなか実際問題としてこのきめられた数量を引き取るということは、毎年毎年非常にむずかしい問題であろう、かように考えております。ただ一応電力業界としましては、政府約束をいたしておりますので、それに対しまして、異常な豊水等がない限りこれを確実に実行したい、かように電力業界も言っているわけであります。われわれもそれに対して万全を期していきたい、かように考えております。
  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は最近の需要見通しから考えて、電力用炭の引き取りが不安定であるということでは、石炭政策は成り立たないと思う。しかもその反面、五千五百万トンを保証することもできないと思う。電力用炭がいまこの計画で完全に引き取られて、はたして五千五百万トンが確保できるかどうか、こういう需給の見通しに実はなっているわけです。ですからこの引き取りができないとすれば、五千五百万トンどころか、五千二百万トン程度しかもう確保がむずかしくなっていく、こういう事態に私は直面してまいると思う。ところが総理は社会党の質問に対して、これは与野党とも約束しているところでありますが、非常に困難ではあるが、将来六千万トンに向かって需要確保努力していきたい、そういう点は十分検討して努力していきだい、こう説明をされているわけであります。そうしますと、電力用炭の引き取りのウエートは、上がっても下がることはないと見るのが、きわめて常識的であると同時に、そういう見方が正確だと思う。したがって電力用炭が豊渇水等によって、異常な豊水等があれば電力用炭の引き取りができないということになりますと、五千五百万トンが確保できないということになるのでありますから、私はこの点は非常に重要な問題だと思うのです。この点、電力用炭の引き取りが減った場合の五千五百万トンの確保はだいじょうぶである、こういう見解を石炭局としては持っているか、聞いておきたいと思う。
  56. 井上亮

    井上説明員 通産省としましては、前々大臣から御答弁がありますように、五千五百万トンの需要確保については最大限の努力をしていくわけでございますが、この需要確保の中で電力の占めますウエートは非常に大きいわけでございますので、できるだけ私どもとしましては、電力需要確保努力してまいりたいというふうに考えております。しかし、経済情勢の見通しにも需要確保はかかるわけでございますので、ときには計画以上にふえることもありましょうし、あるいは、ときには計画を若干下回ることもあるというようなことはあろうかと思いますけれども、方向としては従来政府で考えておりますような線で需要確保努力していきたいというふうに考えております。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日電力用炭の場合には、努力するとかしないとかいう問題では、石炭政策は成り立たないと思うんですよ。これは絶対に最低限確保されなければならぬというのが、電力用炭の引き取りの問題だと私は理解をするわけです。ですからたとえば、昭和三十八年が三百万トン減った、昭和三十九年に三百万トン引き取りがふえたということであれば、何とかこれは方策が立つでしょうが、それが恒久的にどうしてもずんずん引き取りが減っていくということになると、私は石炭政策というものは成り立たぬし、五千五百万トンの確保もとうていできないと思うんですね。ですから長期引き取り協定に対する保証は一体何なのか、ここが大事なわけです。ですからそういう豊渇水による差があるとするならば、これに対する、受けとめるものが必要ではないですか。これは私は、需給を調整する機関だと思うのです。そうすると当然ある一定量、三百万トンないし四百万トン程度の石炭は貯炭をする、保有をするという政策が、どうしてもいま両方の答弁を聞けば必要だと思うのです。それは石炭会社電力会社も相協力してそういうことを考えなければならぬし、それをまた政府が保証しなければならぬのではないか。このことは、年々引き取り量がふえてくるのですから、制度的にそういう貯炭をささえる機関というものがどうしても必要になってくる。これは油の場合も私はそうだと思うんです。一体安全保障のためにどれだけの量を貯油をするか、それはいずれが貯油をするかということも、今日エネルギー部会で問題になっておるところだと思うのです。前の特別委員会通産大臣は、私もそういう機関は必要であると思うので、十分研究したいと答弁されておるのですが、その後この問題の検討が具体的に進んだとは考えられないわけです。やはり貯炭するという場合には、画期的な方法をとるべきだ。大体私の調べたところによりますと、貯炭方式としてはまあ常識的に、水中貯炭あるいは地下貯炭、構造物貯炭、圧縮法による貯炭法、大体この四つに分類されるのではないか。政府は少なくともそういう電力会社に対する貯炭をささえるとすれば、このいずれかの方式によらなければならぬわけです。しかしながら、構造物の貯炭ではものすごく建造費がかかる。トン当たりおそらく五、六千円かかるでしょう。ですからやるとすれば、画期的に圧縮貯炭方式をとれば、トン当たり千円前後でその設備ができる。三百三十万トン程度、その程度の貯炭設備ができる。大体二十年間償却で見ると、これはトン当たり三百七、八十円、まあ四百円以下で貯炭経費が上がるとすれば、これが一番安い方法ではないかとも考えられるわけです。ですから需給を調整するというのは、単なる現状の貯炭場を利用するというのではなくて、事電力用炭に関してはそういう画期的な貯炭対策、こういうものはいまからその方向を定めて、来年度あたりそれが建築にかかって昭和四十、四十一年度、特に四十一年度は私は一番問題のある年だと思うのです。これは有沢団長も言っているように、昭和四十、四十一年の火力発電所の新設の運開状況を見ても一番問題があるのですから、これは早急に通産省として結論を出して、政府のそういう援助に基づいて電力会社と石炭会社に対して協力させる。そのことは引き取りに対する、あまり強制を伴わない最もいい方法ではないか、当面考えられる一番いい方法ではないか、こう実は私は理解をしておるわけです。したがって、通産大臣が私に答弁している需給の調整というものは、一体どこまで検討が進んでおるのか、どの程度検討したのか、お伺いしたいと思うわけです。
  58. 井上亮

    井上説明員 需給の調整の問題でございますが、これは御承知のように、現在石炭企業におきます出炭能力としましては、今日までのスクラップ・ビルド政策にもかかわらず、なお能力的に見ますと五千七百万トン程度の能力があろうと思います。したがいまして需給との関係もありまして、本年度は遺憾ながらこれを五千五百万トン程度出炭規模縮小せざるを得ないというような立場から、現在出炭調整をやっておるわけでございます。ただ需要確保の見通しとの関連で言いますと、本年度につきましては電力用炭につきましてもすでに二千五十万トン、これは閣議決定の中にもある数字でございますが、電力部門としまして、九電で二千五十万トン引き取るということを電力業界も確約されておりますので、本年度については、政府の現在考えております需給関係は一応計画どおりいくのではないかというふうに考えております。なお将来の問題につきましては、先ほど来御質問になっております電力需要の問題に関連しまして申しますと、電力業界とされましては、同じく昭和四十二年度に二千五百万トン程度のものを引き取る努力をする、数年先のことですから、というようなお考えをすでに表明しておられますので、私どもはそれに信頼をかけておるわけでございまして、そういった関係業界の御協力がある場合には、この五千五百万トン出炭ベースの維持ということは、一応可能ではないかというふうに考えております。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 いずれにしても、やはり今日でも貯炭の増減、引き取り量の増減はあるわけですよ。雨が降るか降らぬか、ちょっとわからぬですね。三年先の天気の、長期予報というものは、これは当てにならぬわけです。あすのやつでさえ当てにならぬのですから、非常にこれは困ったものです。ですから、当然これは引き取りの増減というものはあるのですから、少なくとも将来の電力に対する供給安定の面から考えても、そういう制度は必要だと思うのです。そういう貯炭設備等も必要だと思うのです。三百三十万トン程度でありますと、わずか三十億ちょっとでできるわけですから、それは流通の近代化もかねてやれば私は可能だと思うのです。このことの立案は、当然私は石炭局でまず立案すべき事項じゃないかと思うのです。供給側として供給の安定を確保する、そういう態勢をとるべきではないか、それに対して電力側の協力を求めるというのが、私は筋だと思うんですね。ですからこれをやらぬということは、いまにして考えないということは、私はたいへんな問題になると思うのです。今年度予算を要求しても、昭和三十九年度分ですよ。完成するのは昭和四十年度ですよ。だから、この問題はどうしてもやらなければならぬ問題であるという考え方があるならば、今年度予算に当然要求すべきである、そうして来年度予算がついて、これができるのは一年間かかりますから、そうすると結局昭和四十一年度にできる、こういうことに実はなると思うのです。特に私は東京電力並びに関西電力、この二つの大きい石炭を消費する中央部の石炭の供給の安定をはかり、その調節をする、こういう考え方がどうしても必要だと思うんですね。通産省の考えておる考え方は、どうも検討する検討するといって、結局は貯炭融資程度しか考えていないんじゃないかという気さえするわけです。貯炭融資だけでは、これは問題は解決しないわけです。ですからやはりそういう合理的な貯炭方法を考えて、この検討を進めて結論を出して、昭和四十、四十一年の対策として、もう当然今年度予算を要求されなければならぬ問題じゃないか、ここまで思い詰めて実は私自身は考えておるわけですが、通産省はそこまで思い詰めて検討されたことがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  60. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 石炭の需要確保につきましては、五千五百万トンを目途といたしまして、大いに政府努力をいたしておりますが、需要の大宗であります電力につきましては、幸いに本年度すでに九電力だけで二千五十万トンという需要決定を見ることになりましたのは、まことに喜ばしく思っておりますが、なおかつ政府が最善の努力をしておるにもかかわらず、貯炭ができたという場合につきましては、政府といたしましては、現在のところ、市中銀行に貯炭融資を御協力願うという努力をいたしたいと考えておるのでありまして、まだ貯炭の設備につきましては、いまのところ具体的な議題にはなっていないのでございますが、将来大いに考えなくちゃならない一つの問題であろうかとは存ずるのでございます。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは、先ほどから私が意見を述べておりますが、将来の問題ではなく、貯炭ができたときにはもう終わりですよ。結局極端な生産制限をするか、そういう方法しかないと思うのです。ですから、結局いまの火力発電所の能力、こういうものから考えて豊渇水の差を検討すれば、当然その間相当量の貯炭が四十、四十一年に出てくる。将来にわたっても出てくると思うのです。ですからこのことは、いまにしてやらなければ非常に問題だと思います。来年、再来年になって、あわを食ってやってもおそいと思うのです。これは科学的に技術的に十分検討して、その結果どうしてもやるべきだ。せっかく金のほうの精算株式会社をつくるのですから、ささえるものがなければ、金の精算そのものをつくっても何も需要確保の保障にはならぬわけです。価格の保障になっても量の保障にはならぬわけですから、価格の保障をする、量の方も引き取り保障をする、弾力的にささえる、これが相かねて初めて供給が安定し、電力会社もある程度その面で弾力性をもって合理的に石炭をかかえていくことができる、こう私は思いますので、この点特に私は検討を強く要望しておきたいと思います。  そこで公益事業局長にお尋ねするのですが、有沢団長説明によりましても、結局四十、四十一年度の場合には石油専焼火力の操業率を下げて、極端にいえば石炭火力をフル運転をする。とにかく石炭の稼働率を相当上げなければ四十年、四十一年の石炭の量は消化できない、こう有沢団長が判定をされて、実はわれわれに説明をされておるわけです。いま火力発電所をつくっても、これはおそらく四十一年度末になるわけですから、いうなれば四十一年度にはなかなか間に合わぬ、こういっても差しつかえないわけです。大体四十二年度以降分ということになるわけですから、そういたしますと、現在建設している火力発電所の早期完成という問題が一つ考えられる。それと同時に、さらに四十二年度まで増加していく場合にも、四十一年以降問題があるわけですから、そういう面で石炭火力の電源開発についても、もう一歩計画的な検討を加えるべきでないか、こう実は考えるわけです。特に電発の場合ですと、水系開発ということで、産炭地であろうがなかろうが、電発は電発の仕事をどんどん進めていくわけです。たとえば北海道でいいますと、北海電力と電発の関係はもちろんあるでしょうが、産炭地における火力開発という面になると、北電が一応計画しますけれども、電発の関係というものは総合的に一体計画が組まれておるのかどうかということが、非常に懸念される面があると思います。電発としては、北海道からさらによそに移るのはたいへんですから、次々に水系開発をする。ところが、北海道の水系開発は非常に高くつく。ですから、その面のある程度の調整等も考えるべきではないか。こういうような見解も実は持っているわけです。いずれにいたしましても、現在着工中の石炭専焼火力の繰り上げ完成ということが可能なのかどうか。そういう対策をとる必要はないと考えておられるかどうか。今年度きめた石炭専焼火力発電所についても、従来三年かかるものを繰り上げて完成するという必要性があるのではないか。場所にもよるでしょうが、できれば二年ちょっとくらいに完成さしたいという方向も必要ではないか。資金が裏づけになるものですから、有沢団長説明等から考えて、私の調べた範囲では、その必要性があるのではないかという感じがするのですが、この点の説明をしていただきたい。
  62. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 電力会社におきましては、電源開発は相当長期にわたって計画を持っておるわけでありまして、実を申しますれば、石炭政策がきまります以前におきましては、千八百万トン・ベースの引き取りを予定いたしまして、重油火力の計画も一応できておったわけであります。ところが、石炭政策がきまりまして、最終年度四十五年度三千万トン、こういうような計画になりますれば、当然いままでの各電力会社の重油火力の計画を切っていく以外に方法がないわけであります。これは、ただいま水力の問題でちょっとお話がありましたが、水力はあくまでピーク調整用でありまして、単に現在の新鋭の火力より高いからということで、水力の開発をおくらすわけにはまいらぬわけであります。あくまでピーク調整用として、水力は水力で開発の必要があるわけであります。火力の中で石炭と重油の比率をどう考えるかという問題になってくるわけであります。そういう面で、重油火力を現在の各社の持っております計画を切っていく、伸ばしていくということが必要なわけであります。三十八年度におきましても、今度石炭専焼火力を三十八年度に無理につつ込みました分だけは、重油の専焼火力の建設を延期し、あるいはまた中止する、そういうような措置をとったわけであります。将来におきましてもそういうような措置をとりまして、最終年度三千万トンを確保するというようなことに考えておるわけであります。もちろん、ただいまお話の中にありました重油専焼火力の稼働率を落とすということは、引き取りの最中におきましても、どうしても目標だけの石炭がとれないというような事態が起こりますれば、そういった点もある程度やらざるを得ないかと思いますが、そういう重油専焼ができているものを稼働率を落とすことは、つくらないよりもさらに非常に不経済なやり方であります。そういうような不合理なやり方はなるべく避けたいということで、重油専焼を落としていく、それに見合う石炭火力をつくっていく、こういうことで指導していきたい、かように考えております。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 現状の需要の面で、電源開発量が関係してくるわけですが、わが国の九電力別の供給予備率の問題です。これはとり方もいろいろあるでしょうが、大体どの程度になっておるのですか。
  64. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 大体三十七年度におきまして八%。これはたまたま需要が落ちましたので、ある程度予備率がふえて八%程度になっております。三十八年度におきましては大体一〇%くらいになるんじゃないか、かように考えております。
  65. 岡田利春

    岡田(利)委員 所得倍増計画の電源開発計画を見ますと、大体供給予備率は一〇%を一応予定しております。しかし、専門家の意見を聞きますと、大体国際的にも供給予備率の常識は、いわゆる安全性から見て六%ないし七%、経済変動を含めて一五%といわれておるわけです。アメリカの例を見ましても、一五ないし一七%の供給予備率があるように聞いておるわけであります。そういたしますと、確かに需要の面はありますけれども、電源開発の面を考えれば、日本の経済は急速に伸びたり、今度のように緩慢になるというような傾向があるわけであります。伸びる場合には成長率がものすごく伸びる、一五%も伸びるという面があるわけですから、一五%程度の供給予備率を持つことは、私は別に問題はないと思うのです。そこでこの石炭火力の電源開発を見ても、もちろん資金需要はいろいろあるでしょうけれども、設備としては需要の面でそうちゅうちょする必要はないのではないか。それを裏づける資金計画が伴うかどうか、それだけの供給予備率の設備を持って電気料金にどの程度影響がくるのか、こういう問題があるでしょうが、設備の予備としては何ら多いことにはならぬ。そういう点で、電源開発の面は進め得るうちは積極的に進めるべきだ、そういう中で石炭火力の問題も長期引き取りに基づいて位置づけをすべきだ、こういう見解を持っておるのですが、こういう点についてはいかがお考えでしょうか。
  66. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ただいまお話がありましたように、一〇%前後でありますれば、これは当然持つべき予備率であろうと考えております。ただ火力の建設について、これは促進されないのじゃないかという御懸念かと思いますが、これはもちろんさっきも申しましたように、重油のほうをおくらしてやるわけでありまして、資金面では幾らか石炭の火力のほうは建設費は高いわけでありますが、そう大した違いはないわけであります。実際問題としましては、石炭と重油をたく場合の、石炭と重油の値段の差及びその手間の差、それが非常に大きな負担になるわけであります。建設費そのものはそう大した差になりませんので、その建設資金のために電力会社は石炭火力をやらない、こういうことはない、かように御了承願いたいと思います。
  67. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは石炭局にお尋ねしておきますが、電発の若松火力発電所十五万キロが完成をして、近く運開をするように聞いておるわけです。しかしながら、これに続いて苅田の二十二万キロの発電所が完成をするということになってまいりますと、三千五百カロリーから三千六百ないし七百カロリーの石炭を供給する、ともにこれはボタ山であるということで、供給源はある、こう言われておったのでありますが、現地に参りますと、そう安易なものではないようです。ボタ山をくずして土地もつくらなければならぬのですから、そう安易なものではないわけです。そういたしますと、私の判断では、結局ボタに商品炭をまぜるという傾向がどうしても出てくると思う。このことはまた避けられないと思うのです。そうすると、五千カロリー以下の石炭はボタとまぜて三千五百カロリー程度の炭をつくる、こういう傾向が、当初判断したよりもある程度急速に進んでいくのではないか、こう思うのです。しかしながら、そういう低品位炭火力発電所に供給する炭は五千カロリー以下を切るわけですから、商品価値はないわけです。結局五千五百か、その程度の炭をまぜることになるわけです。平均カロリー三千五百程度ですから。そうすると、商品の石炭が切られる、低品位炭が切られるわけです。その半面、商品の平均カロリーは上がるという傾向が出てくる。一方においては商品を切るということによる需給の変動というものが、ある程度あるのかどうか、そういう変動というものが考えられるのかどうか、これが第一点としてお伺いしたい問題です。  そういう判断から考えて、苅田の二十二万キロの第二期の発電計画は非常に問題があるように、実は現地でも聞いてまいったのです。この点に対する考え方は、一体供給側としてはどうなのか。それから公益事業局として、これは一応長期計画の中に苅田の二十二万キロの第二期が組まれておるわけですから、そういう意味では当初の予定どおり進める考え方があるのかどうか、この点ひとつ伺っておきたいと思います。
  68. 井上亮

    井上説明員 供給力の面から見ますると、現在計画されておりますものにつきましては、一応従来の計画で、低品位炭火力ということで、低品位炭の供給は可能だというふうに考えております。ただ、お話にもありましたように、第二期工事になりますと、低品位炭はまだ余力はございますけれども、しかし発電所の寿命と申しますか、十五年から二十年近くの安定した供給ということまで考えなければならぬわけでございますので、今後の計画につきましては、低品位炭火力にするか、あるいは高品位炭火力にするか、もう少し慎重に検討していきたいというふうに考えております。現在の計画につきましては、十分余力があるというふうに考えております。
  69. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ただいま炭政課長からお答えしましたように、低品位炭火力でやるかどうかという問題は相当問題がありますので、これは情勢を見た上でもう少し検討していきたいと思います。
  70. 岡田利春

    岡田(利)委員 九州地区の場合には九州、宇部地区が包括されて、これは広域利用ということになってきておる。これはおそらく送電線ができましたら四国も含まって、そういう体制が進んでいくのではないか、こう実は考えるわけです。したがって、私も苅田の問題についてはあまり詳しくはないのですけれども、問題はその供給源が確保できるか、それが低品位炭でいいのか、ある程度高品位炭でいいのかということは非常に大事な問題だと思うのです。私は中国地方、四国を含めて広域利用という問題をついておるわけですから、この点はやはり早急に結論を出すべきだ、こう実は考えます。第二期をつくらぬ限り、電気供給料金は一期だけでは安くならぬわけです。だからその問題についても早急に検討してもらいたいと考えるわけです。  第二の問題は、今年度電源開発調整審議会で下関石炭火力発電所を設置することにきまったわけです。私は、全国的に石炭火力発電所の配置状況を考えてみますと、下関の場合には、供給源は宇部地区だけではなくして、九州の筑豊地帯、長崎、あるいは佐賀の場合にも供給源になり得ると思うのです。ですからそういう点ではあまり問題はないでしょうけれども、宇部地区の一般炭の産出は、大体二百万トン切れるわけです。常磐の場合には、現状では一般の供給源は大体三百万トン、今度さらに常磐の場合増強されると、一般炭はほぼ常磐共同火力で消化できるという体制が整うと思うわけです。一方北海道の場合には、御存じのように、釧路炭田は現状では三百万トンの石炭を生産しているわけです。そうしてこの三百万トンを上回るということは、今日通産省の計画でも間違いがないわけです。しかし北海道の火力発電所の配置状況というのは、江別に十二万五千キロ三基の火力発電所ができた。さらに、奈井江ができる。それ以外に滝川がすでに完成をし、古い施設では砂川が稼働している。一般炭の比率から見ると、石炭を火力発電所でたくという場合には、釧路炭田の炭を中央、空知でたくわけにはまいらぬ。だからこれは船に載せて、東京電力あるいは中部電力に石炭を送るという形態になるわけでありますが、いずれにしても三百万トン以上の石炭生産規模がある。将来三百五十万トンをおそらくこえて三百七、八十万トンに達するのではないか。それがすべて一般炭であるという面から考えても、釧路地域に石炭火力発電所を早急に配置をするということは、私は大事だと思います。  第二の問題は、今年の春並びに昨年の春、風雪害によって全市の電気がとまって、水道、ガスその他もとまり、しかも釧路から送電線が一本でありますから、根室の果てまで十時間に及ぶ停電をする、炭鉱は水没の危機にさらされるということも、これは十勝水源からの送電線が非常に遠距離のために、安全性がそこなわれる面が出てきておるわけです。特に道東特有の気候等の問題も、これに加味されている。したがって石炭対策の面から見ても、特に太平洋ベルト地帯である釧路地域の電気供給の安定性から考えても、これは早急にやらねばならぬ問題だと思う。この問題は十年近く問題になっておるのですが、それも佐賀のほうに早くきまり、あるいは下関がきまり、北海道の場合には中央部だけで、単に経済合理性だけに終始して北電の電源開発の申請が行なわれておるというところに問題があるように思うわけです。私は今日の千葉火力、四国その他の火力発電所をずっと見てまいりましたけれども、土地の条件とか水の条件とかいうのは、たいした問題じゃないと思うのです。いまの調査機能、そういう技術をもってすれば、早急に結論が出る問題だ、こう実は私は思うのです。全国の石炭火力発電所でいろいろ説明を聞くと、水温の三十度以上に上がる火力発電所すらもあるのですから、そう問題はないと思うのです。にかかわらず、この開発がおくれておるということは、これはたとえば今年かかっても四十一年でなければ開業しないのでありますから、そういう面からいっても、この問題は一体どこまで進んでおるのかという点について、説明を受けておきたいと思うわけです。
  71. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 釧路火力の問題につきましては、その設置の必要性につきましては、ただいま岡田先生のお話しになりましたとおりでございます。われわれとしましても、早く着工するように、従来もこれを推進してまいったのであります。ただ立地の問題で、ただいまもお話がありましたように、冷却水の問題あるいはまた地盤の問題等いろいろ慎重に会社としては検討調査を進めてきておるわけであります。ただ、その調査検討のしかたが幾ぶんおそいのじゃないかという御指摘もあるようであります。そういう面につきまして、われわれとしましては、局で直接これの調査をいたしたいということで、現在調査を進めておるわけであります。できますれば、今度秋に審議会を開きまして、できるだけひとつ早目に決定したい、かように考えております。
  72. 岡田利春

    岡田(利)委員 これからの委員会で、特に電力用炭代金の精算株式会社法案が審議されてまいるわけですが、これは前回も私は依頼しておきましたけれども、各電力会社にどういう形態で一体炭が納められておるのかということが問題なわけです。これは直売と、それから中小炭鉱の場合には商社経由の面があると思うのです。しかし中小炭鉱ビルド・アップの山はきまっておるわけです。そうすると、商社の再編成が行なわれていく、こう理解しなければいかぬと思うのです。ですからそのまま放置しておいていいものじゃないと思うのです。そういう電力会社に石炭を納める場合に、大手と中小のランクといいますか、間差というものも、これは当然解消されていく運命にあると思うのです。それから納炭方式についても、これは当然合理化されていかなければならぬという宿命を持つと私は思うのです。今年度から実施せよとか、来年度からやれということではなくて、そうなっていくと思うのです。そういう意味で、私は一体どういう方式で今日炭が納められておるのか、中小炭鉱がどういう形態をとっておるか、そして商社はどうなのか、大手とどういう違いがあるか、大手の場合でも商社を経由しておるのがあるのかどうか、それから大手が商社の納炭ワクを買うなんというように、今後そういう傾向で納炭実績を処理されていく方針なのか、私は非常に問題だと思います。これは通産省として、特に石炭局、公益事業局の指導の問題として、これは問題にされなければならぬと思うのです。こういう点について検討されて、改革していく意思があるかどうか。私は当然これは、黙っていてもやはりそういう傾向になると思うのですけれども、ただ放置しておくと非常にいろいろな問題が出てくると思うのです。ですから、ある程度計画的に、時期に合わして一つの指導を電力会社にも、それから石炭の供給側にも加えていく、そしてできるだけ早急に流通機構が合理化され、しかも安定的に供給できるように、先ほど言った貯炭をささえるという問題も含めて、この問題は再検討して、そういう指導が強力になさるべきものだ、こう思うのですが、特にこの問題は買う側は電力会社になりますので、公益事業局態度を聞いておきたいと思うのです。
  73. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 従来は、ただいまお話がありましたように、商社の納入炭が相当多いわけであります。もちろんこれは石炭生産業者が自分の石炭の販売を広げるために商社を使ったというようなことで、そういった従来のいきさつもあると思います。なおまた電力会社側としましては、特に渇水時期におきましては、石炭の納入が非常に困難な状況に立ち至るわけであります。そういう場合におきましては、商社の納入がありますれば、商社としましては、何はさておいても一番需要家である電力に納めるといったようないきさつもあるわけであります。そういう面で、従来も商社を使っておるわけであります。もちろん中小炭鉱及び大手の炭鉱、両方商社を使っておる場合があるわけであります。ただ納入の価格につきましては、商社を使います場合は、むしろ直接納入より値段は安くなっておりまして、そういう面におきましては、もちろん石炭の全体の流通機構の問題として考えますれば、あるいはもう少し納入価格の切り下げというような問題も考えられるかとも思うわけであります。いままでのところは、一応商社の納入炭というものは、直接の直売炭よりも高いという実情にはないわけです。今後特に電力会社としましては、各生産会社と直結する、これはもちろん、今後渇水等におきまして石炭の納入が非常に不足であるというような事態がくることも予想されるわけでありますが、それよりもむしろ石炭の余り過ぎという傾向が強いわけであります。そういう面から言いますと、できるだけ直売に持っていったほうが、中間経費も節減できるということでありますので、そういう方向に持っていくことは、もちろんわれわれとしても異存はありませんし、そういうようにできるだけ指導いたしたい、かように考えております。ただ石炭全体の配給機構の問題は、これはもちろん商社もたくさんあるわけであります。そういったものをどうするかという問題もありますので、石炭局とも十分今後打ち合わせて、そういう方向で進めたい、かように考えております。
  74. 岡田利春

    岡田(利)委員 特別法案で将来この問題は質問ができますので、いずれその機会に譲ることにいたしまして、この問題で最後にひとつ伺っておきたいと思います。  先般三井三池の争議がありましたときに、開銀から十億円の金が電力会社に出て、しかも九電力会社からさらに三井鉱山に十億円、納炭の先払いということで出されておる実績が実はあるわけです。これは争議の最中であります。争議の最中なのに開銀から十億円の金をわざわざ借り、電力会社が十億の金を三井鉱山に、北海道とかそれぞれ三井鉱山が納めておるところに先払いとして出しておる。私は非常に不思議な現象だと思うのです。このことを公益事業局長は知っておるのかどうかというのが第一点です。  それから今後精算会社が行なわれた場合に、先払いという制度が行なわれるのかどうか、この二点だけを聞いておきたいと思います。
  75. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 三井三池に対して電力会社が約十億程度の、融資と申しますか、先払いしたということは私も知っております。ただこれが争議に対する問題としてやったというふうには、私は理解していないわけであります。三井鉱山がつぶれるかどうかというような問題が、非常に真剣に討議されたわけであります。そういう場合におきまして電力業界としましては、石炭について前払いをしたということは実際やったのであります。  なおまた、今後そういう前払いをやるかどうか、これは電力業界としては前払いはなるべくしたくないわけであります。ただいろいろ事情がありまして、船で着きました港渡し、あるいは貨車乗り渡し、そういったことで仕切って金を払う、ただし実際の精算は検炭後に精算をする。こういうものも一応前払いになっておるわけであります。そういった程度の前払いは、あるいはやむを得ないかと思います。できるだけ電力業界としては前払いはやりたくない、かように考えております。
  76. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから先を急ぎますけれども、産炭地域振興法が制定されて、産炭地域振興法に基づく二条並びに六条の指定がそれぞれ行なわれたわけです。しかしながら当時の基準は、昭和三十五年を基準にしてこの指定が行なわれておるわけです。しかし現在の事情というものは、ずいぶん変わってきておるように私どもは判断をいたしております。したがって、この二、六条の、特に六条の指定を受けておるところは問題はないのですが、六条の指定を受けてないところは、そういう事情が変わっておるのにかかわらず、なかなかこの追加指定が行なわれないという点で、最近問題になってきておるわけです。たとえば、いま水没事故を起こしておる大浜炭鉱の所在する小野田市も、これは六条指定を受けていないわけです。北海道では夕張、釧路等が指定を受けてないわけです。ところが、離職者が漸次集中化してくる、産炭地振興をしなければならない、こういう問題が最近非常に顕著になってまいりました。そこで、六条指定をする場合には、これは通産省、自治省、それに大蔵省が関係すると思うのですが、少しこれは再検討をして、そして追加指定をすみやかに行なうべきだ。いますでに各自治体は、企業の誘致をやっておるわけです。受けてないところは非常に少ないのでありますけれども、そこでもやはり企業の誘致を一生懸命やっておるわけです。ですから、それにこたえるためにも、この六条指定というものは早急に行なうべきではないか。大体いま漏れておる個所というものは、ほとんど六条指定の基準に合致しておる、条件に合ってきておるというくらいに私は理解をしておるわけです。この点、一回きめると、言われなければ、陳情を受けないとなかなかやらぬという実は悪いくせがあるわけですが、この点は私も検討するように前にも要請をしておりましたけれども、そういう検討をしておるのかどうか。しておるとすれば、いつごろ結論が出るのか、この点について伺っておきたいと思うわけです。
  77. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま検討いたしておりますわけでございます。
  78. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで、通産省側としては産炭地振興については一応担当省でありますけれども、これは地方自治の問題に関連するわけですから、自治省としてはどうなのか。これは減免措置になるわけですから、大蔵省もそういう点については、当初の基準にほぼ一致すれば、この指定は追加するという方針か、この点ひとつ承っておきたいと思うわけです。
  79. 松島五郎

    ○松島説明員 産炭地振興法第六条の指定の問題についてのお尋ねでございますが、現在産炭地関係地域指定のございますのは、炭鉱離職者関係臨時措置法の二十三条による地域の指定とか、あるいは、ただいま御指摘のありました産炭地振興法第六条の指定でありますとか、あるいは国税の関係では租税特別措置法第四十五条の指定とか、いろいろあるわけでございます。最初この産炭地振興法の第六条の指定をいたしますときの基本的な考え方は、税の減免をするということ自体は産炭地振興法によって初めてできるのではなくて、地方税法の規定によって現在でも工場誘致等をやっておるところもあるわけでございます。そういうところに対して、その減免による減収をどういうふうに取り扱うかという問題は、その団体の財政という問題とやはり密接な関連をもって考えていかなければならないのではないか。そういう意味では、やはり財政の貧弱なところで、産炭地振興のために工場誘致をし、減免をしたために減収になった、そういうところへ補てんをしていくという考え方に立つべきであろう、こういうことから、基準を、通産省とも御相談をいたしまして、決定をいたして指定をいたしたわけでございます。現在指定になっておりますのは九十九でございますが、その後私どもが直接聞いておりますのは、ただいま御指摘になりました小野田市において、炭鉱がその後だいぶ整理されつつあるので、ぜひこの際考えてくれというお話を承っております。一たん指定したら、もうそれでもって陳情がなければやらないではないかというお尋ねでございますが、私ども必ずしもそうは考えておりません。しかし一応の基準をもって指定をいたしたものでございますので、やはりその基準そのものについて再検討する必要があるかどうかというようなことは、いま申し上げました幾つかの法律関係もございますので、各省間で十分検討した上でいたしませんと、あるところだけが入ったとか入らなかったとかいう不公平が起きても、事態をかえって混乱させますので、そういう点は通産省とも十分連絡をしてやりたいと思っております。
  80. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの点は、先ほど言ったような基準をとったのは三十五年でしょう。ところが、産炭地振興はかけ声だけで行なわれていないわけです。これからいよいよ本格的に漸次行なおうという時期になってきておるわけです。ですから、前の基準で一応とったからという考え方ではだめだと思います。産炭地振興は、法律はできたけれども、二年間ほとんど空白であったと言って差しつかえない。これから本格的に入るわけですから、そういう意味で、特に漏れておる個所は非常に少ないのでありますから、早急にこれは再検討してもらいたいということを強く要望いたしておきたいと思います。  それから厚生省にお伺いしたいのですが、炭鉱労働者の災害による未亡人並びに身体障害者の対策であります。これは非常にむずかしい問題で、災害のために、未亡人が生活ができないから、その会社ではその未亡人を採用しておる、こういう問題が実はあるわけです。この数は、毎年大体六百人ずつ死んでおるわけです。ですから、十五年間に相当な数の、何千人にも及ぶ数の者が死んでおるわけです。身体障害者の数は、相当それを上回る数字が示されておるわけですから、一般の未亡人並びに身体障害者対策という厚生省が考える一般対策では、この問題はとうてい処理の不可能な問題である。炭鉱という閉鎖性の強い社会に、非常に多くあるわけです。今度閉山する三井美唄では、未亡人、身体障害者は残っておる従業員の三分の一近くに及ぶわけです。未亡人だけでも三百人おるといわれておる。ですから、これは普通の労働者と違って、閉山になって解雇されるこの未亡人、身体障害者の人がすぐ自動的に仕事につけるという条件にはないわけです。しかし、いままで仕事にずっとついておったわけですから、この面から考えますと、炭鉱閉山に基づく未亡人並びに身体障害者対策は、特に厚生省としても重点的に考えるべきではないかと私は考えるわけです。したがって、厚生省としては、この未亡人並びに身体障害者の問題について、いままで石炭の閉山がどんどん行なわれておるのに、そういう点について十分検討されたことがあるか。聞いたことはあると思いますが、聞いたことがあるとすれば、そういう対策について特に考えられたことがあるかどうか、この点を第一点としてお伺いしたいわけです。私どもは、特にこの面については重点的に施策を進めるべきだという見解を持っておるわけです。閉山になりますと、数百名の未亡人並びに身体障害者がほうり出されてくるわけですから、合理化が進んで炭鉱労働者が解雇されてまいりますと、特に身体障害者、未亡人にどうしても重点がいくわけです。職場が偏在しておりますから、そのほうにずっと重点が向いていくわけです。ですから、その面から考えますと、やはりある機関をつくって、未亡人並びに身体障害者の転換をはかるということが考えられなければならぬと思います。この問題を進める場合には、単に労働省は再就職、雇用転換というだけで考えるべき問題ではないと思います。これは当然通産、厚生、労働の三省間において、この問題は早急に対策を立てて結論を出すべきだ。私は通産省には強くそのことを要望しておりますが、どうも所管が違うので、炭鉱労働者で、閉山になるその地域に限ってということが、非常にむずかしいようでありますけれども、この面についてはどういう理解をされておるのか、厚生省からお伺いしたいと思います。
  81. 大山正

    ○大山(正)政府委員 身体障害者並びに未亡人、特に母子世帯の福祉の問題につきましては、厚生省で所管しておるわけでございますが、その雇用の問題につきましては、ただいまもお話がありましたように、労働省におきまして、あるいは身体障害者雇用促進法その他によってやっているわけでございますが、特に炭鉱におけるこれらの方々の問題につきまして、やはり労働省における就職あっせんの部門に入るかと思いますが、私どもとしましても、身体障害者、未亡人の福祉の問題につきましては、重大な関心を持っているところでございますので、今後ひとつ労働省並びに通産省と十分連絡いたしまして、御趣旨の線に沿って努力したい、かように考えます。
  82. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 次会は、明七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会