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滝井委員 六百二十万トン
程度ということになると、これは相当のものなんですよ。六百二十万トンの炭を人に掘らせておって、しかもその販売権をみな自分がとる。
石炭企業のうまみというのは日本で
一体どこにあるかというと、炭を掘ってもうけるうまみは、日本では少ないのです。やっぱりこれは売炭なんですよ。国鉱とかあるいは
セメントとか
電力とか鉄鉱というものの
需要先をきちっと握っておって、そうしてそこに出た炭を持っていく。だから今
大手の
石炭会社というのは、
石炭の販売
会社的な傾向が非常に強くなってきたわけです、昔の
石炭の
生産会社ではなくて。従って、商人的な性格が強くなってきた。何といいますか、ほんとうに
生産会社的なものよりか、商人的な性格が強くなってきたために、
労働者を大事にしない。炭を掘ることについての熱意というものは非常に少なくて、もう気安く第二
会社、租鉱権でやって、自分がいいところだけをとって、少し鉱害が多くなる、トン当たりの
出炭コストが上がるということになると、みんな切り売りです。しかし、販売権だけは押えてしまう。そのかわり、一切の鉱害はお前がやるんだぞということで、その租鉱区を安くやる。こういう形でやられてきているのが、日本の
大手の
石炭政策です。こういう点をもう少しきちっとえりを正してやる必要があると私は思うのですよ。そうしないと、これは大へんな問題だと思う。しかも自分が
会社をやらぬと言っておきながら、出た炭だけ販売権を一手に握ってしまう。しかもその数が六百万トンをこえる、こういうばかげたことはないと思うのです。しかもそこの
労働者は、かつて自分の使っておった
労働者であるけれども、
賃金は三割も四割も
切り下げてしまう、そうして、一切の——厚生省に来てもらってあとで触れますが、一切の病院も厚生施設も全部やめてしまう、そうして炭の販売だけは、出た炭だけはきちっと抑えてしまうなんという、こういうやり方は高利貸し以上ですよ。悪らつ因業といいますか、それ以上のやり方です。こういうことは、
大手の
炭鉱、日本の資本主義の基礎燃料の基盤をやる経営者のやることでないと私は思うのです。どうも私のヒューマニズムがそれを許さぬ感じがします。しかも鉱害はほったらかす、なるべくやらぬようにする、そうして引っぱれば引っぱるほど農民その他を泣かせる、こういうことでしょう。
労働者を泣かせ、中小企業を泣かせ、そうして農民を泣かせていく。そして自分は、東京で大きなビルディングに住んでおる。こういう
矛盾は、やはり皆さんにほんとうにヒューマニズムの精神があったならば、これはたちどころにやめさせる方向に行政を持っていくべきだと思うのですね。資本主義の悪い面が最も露骨に現われているのです。そして、いなかではみんな泣いておるわけです。だから、今までもうけたものを吐き出せとは私は言いませんけれども、やはり立つ鳥は跡を濁さずで、やったあとだけは、人間の面についても、鉱害の面についてもやるという精神だけは持ってもらわなければ困ると思うのですよ。この第二
会社化の傾向あるいは租鉱権の傾向は、これから非常に急速にふえていくと思うんです。今あなたは第二
会社化については、異常な場合以外は許さぬ、こういうことです。やがて
三井その他にそういう
可能性が出てくるわけです。これは私は断じて許してはいかぬと思う。許さずに、そのままやれ、
地域経済でありますから、
三井鉱山の経営でやれ、こういう形をとらせないと、これはナンセンスです。
労働者の同意があったらやむを得ぬときはやるといえば、
労働者は追い込まれてしまうから、ごらんなさい、すでに
賃金は職員の人については一割二分下げる、工員についても下げる。私がいつも言っている。そうして今度は未払い
賃金をつくればいい。
賃金を分割払いにすると、
労働者は手を上げてしまいます。これはいわば昔の兵糧攻めです。封建の
政策を用いている。
労働者は、兵糧攻めを用いますと、こんな
炭鉱は大へんだからやめよう、こうなる。そうすると、やめようと思ってやめて、どこか職がある人はいけれども、もう四十才をこえてどこに行くところもないという人は、第二
会社でも仕方がありませんと泣き寝入りする。その泣き寝入りを待つ。だから、こういう
政策を私は断じてとらしてはいかぬと思うんですが、これは局長よりは政務次官です、どうですか。
私はだんだんデータをあとで全部出していきますが、それらの
会社が第二
会社化をすることについて今局長は、特別の場合以外はないと言いますけれども、用心しないと、みんな特別の場合になってしまうんです。
労働者の弱味につけ込んでいくんです。特別の場合とは
一体どういう場合なのかというと、
労働者が同意した場合というのですが、
労働者が同意をするのは、今言ったように、追い込んでしまえば同意せざるを得ないことになってしまうのです。そういう追い込み方を許してはいけないわけです。今の
段階で、たとえば答申は五%ずつ
賃金を毎年上げるということになっているのです。公務員は七・一%、七・九%上がるけれども、
炭鉱労働者は五%で満足せい、こういうことでしょう。ところがその五%上げなければならぬものを、今度は一割二分ないし一割
程度、職員、工員について引き下げるという
政策を出している
炭鉱もあるんですから、逆の
政策をやっているわけです。そういう中で第二
会社に追い込んでしまう。やむを得ぬ場合というのは、
労働者が泣き寝入りする場合になつてしまうのです。そういう
政策を私はとらしてはいかぬと思うのです。どうですか。第二
会社は特別の場合といったってこれは認めない
方針だ、そしてその
会社が販売権を持って、やる場合には全部その
会社に経営させる、こういう基本
方針を貫いてもらわなければいかぬと思うのです。販売権をその
会社に全部まかしてしまうなら別です。これは独立の企業になる。第二
会社じゃないわけです。AならAという
石炭山を第二
会社に移そうとするときには、その鉱区を全部その
会社に売ってしまって、そうして鉱害をまず自分がきちっとやってしまってから売る。こういう原則を確立してもらいたいと思うのです。そういう原則がないものは、ここで徹底的にこれから反対します。そうしないと、全部そのしわは地域の住民だけ——われわれ代議士にも寄ってくるんです。全部その跡始末をわれわれがやらなければならぬことになってしまうのです。どうですか、その点をはっきりしておいて下さい。