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横山委員 ちょっと時間を取り過ぎるようですが、この問題について念のために大臣に聞いておいてほしいのですが、ちょうどいまから六年ばかり前、三十二年の
不況時でありました。大蔵
委員会におきまして、与野党が相談をいたしまして、何とかひとつ
中小企業に財政投融資と
中小企業向け買いオペを当時の池田大蔵大臣にやらせようじゃないかという話がありまして、全く超党派的に話がまとまりまして池田大蔵大臣に申し入れましたところ、快く話が成立をいたしました。そしてたしか両方で約三百五十億になんなんとしたと思います。私ども与野党とも、非常によかったなというわけで、大手を振って選挙区へ帰りまして、今度は大蔵
委員会の実績があがりましたと言って、気持よく吹いて回ったわけであります。ところが、その年の経済企画庁の全金融機関の
中小企業向けの貸し出し実績を見ますと、驚いたことに、前年よりも
中小企業者に対する貸し出しは激減いたしております。大
企業に対する貸し出しは、前年よりも激増しておったわけであります。この皮肉、このわれわれの失敗というものを与野党とも話し合いました結果、こういう一%を二%にふやすというやり方ではもうだめなんだということを、与野党そのときに確認をしたわけであります。しかし、与党の皆さんは、与党の立場がございますから、それを表立ってわあわあ言うわけにはいかない。しかし、こういうやり方でわれわれが
中小企業公庫やあるいは市中銀行に買いオペをやって
中小企業者に回すといったって、これはだめなんだ、やはり全般をとらえなければだめなんだということが、そのときの結論であります。それでいま
中小企業金融を論ずるにあたって、私は、その質と量とを同時に論じなければ、こういうような
政府案の二十四条では、旧態依然として、まあ一%が二%にふえたからいいなということにとどまってしまう。私は繰り返し申しますが、たとえば五〇なら五〇にきめ、それをしなかったら罰だとか、つぶすとか、あるいは未来永劫変わらないとか、そんなことは常識的にも言っておるわけではありません。けれども、今日までの
中小企業金融が、いわれながらうまくいかなかったというところにそういう一面があるから、これは社会党案の四十九条をはじめ第一節についてお考えをなさるべきときだ、これなくして金融を論ずるわけにいかないじゃないか、こう言っておるわけです。これはいささか意見になりますが、御意見があれば伺います。——よろしゅうございますか。
それでは金融については、大臣も相当御意見を述べられましたから、時間がなくなってまいりましたので、ひとつ大臣に聞いてもらいたいもう
一つのことがございます。それは
政府案を
中小企業者が、大体どういうふうに見ているかということであります。あなたの耳元には、おそらく
基本法だから、たいへんいいものが通るらしい、法をこの国会で通してくれという話ばかりだと実は思うのであります。そう言っては失礼でありますが、こんなものではだめだという声は、なかなかあなたのところには通らないと私は思っておる。私が集約をいたしました
政府案についての
中小企業者の意見は、特に大臣に聞いてもらいたいところだけですから、最もきわ立った問題だけになるかもしれませんが、こういう意見です。
第一に、経済の骨格の変更をしよう。つまり
中小企業者はこれではいかぬ、大
企業に対して何とかしなければならぬという、そういう盛り上がっている雰囲気があるけれども、何かこの法案はそれを中和させてしまう、そういう感じがする、こう言うわけです。大
企業に対して、百貨店に対して、あるいはスーパーマーケットに対して、わっと盛り上がってくるものを、何か絵でそれを中和さしてしまう。われわれの盛り上がる力というものを、ずっと前で前進をさせないような結果になってしまいはせぬか。事実これは絵でありますから、大臣がおっしゃるように、これができたって、しばらくはまだだめなんだよ、人間もふえないよ、予算もふえないよ、こういうことなんでありますから、絵だけもらって、ありがとうございました、さようなら、しばらくは待ってくれ、こういう中和力にしかならないのではないか。
第二番目に、
中小企業と大
企業と比べてみますと、大
企業に対しては、
特定産業
振興法案、これはきわめて具体的であります。きわめてボリュームをもって動き出しておる。
政府にとっては全力推進だ。ところが、こちらのほうはきわめて抽象的で、きわめて具体的でないのであります。その対比について非常な不満を持っておる。これが第二であります。
第三番目は、
中小企業者の
努力といっておる。われわれに
努力しろと条文に書いてある。何条でございましたか、六条ですか、なぜこういうことを書くのだろうか。なるほどこれは理屈としてはそうかもしれぬ。けれども、何かおまえさん方がしっかりやらぬからうまくいかないのだという、
中小企業者に対する逃げ道をつくっておるような気がする。ほかの法案にこういうことがあったかというと、どうもないような気がする。労働者に対して、労働立法の中でこういうことをいっておるだろうか、農業
基本法でこういうことをいっておるだろうか、という点について疑問を持っています。
それからその次は、先ほど
中小企業庁長官が、零細
企業のベースをもっと引き上げる、こういう政策目標をお示しになった。ところが、
政府案のどこにその零細
企業について書いてありますか。小規模
企業はと定義をつけ、そしてあとずっと目をさらのようにして見回しても、最も
中心を置かなければならない零細
企業に関する
施策が、何らないではないか。何ら新鮮味のあるものはないではないか。章を
一つ設けて、小規模
企業はこうだといいながら、それについての
施策に何ら新しいものがないとは何たることであろう、こう言っておる。
それから第五番目に、
事業の転換に関する条項がある。これは社会党案にもある。私のほうが、ある
意味では具体的かもしれぬ。けれども、そういうと勘ぐり過ぎるかもしれないけれども、むしろここに
政府案の運用の焦点がきておるのではなかろうか。しかもこれは、私どもの案は、
政府の政策によって生ずる
中小企業——
政府のほうは、それに何らの
関係もなく、抽象的にいっておる。きわめて広範に網をかけておるけれども、それに対して具体的な
施策がないではないか。
それから紛争処理のないこと、大
企業に対する
政府の決意のないこと、この法案の中の紛争処理の項目が全然ない。いま
中小企業が、最も不満を漏らしておる大
企業に対してどうするのだということについての、何らの文句もないし、その決意がない。私は、いまの
中小企業問題は、大
企業と
中小企業のけんかだけとは思っておりませんよ。しかし、その中の大黒柱の
一つである大
企業対
中小企業、この
中小企業をよくするためには、大
企業を押えなければならない。それを押えなければならないにかかわらず、その押えるべき大
企業に対する決意というものがこの中にないとは、何たることであるか。
最後に、
中小企業省のないことは、しょせん
中小企業政策を
政府全体に推進する力がないのではないか。これは冒頭に私申しましたけれども、そういう点については、結局全体の推進力が、推進する機構というものが、この法案の中にみなぎっていないではないか、そういう不満というものが、
中小企業者の中にあるわけであります。
時間の
関係上、全部
一つ一つ例をあげて
お話をするとよいのでありますけれども、だいぶ話が進行してまいりましたので、七項目にわたって、いまの
中小企業者の
政府の
中小企業基本法に対する不満というものを列挙いたしまして、御感想がありましたら、承りたい。