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久保田(豊)
委員 私は、いまの
肥料工業というものを——
肥料工業全体じゃありませんけれ
ども、いわゆる
アンモニア系のあれを、単なる自由競争だとは少なくとも受け取れない。二法のもとで、
生産数量もちゃんと調整され、そうして
価格についても、あれだけ強力な調整がされておるわけです。しかも、それは
法律に基づくものなんです。したがって、
設備についての調整が——それはなるほど
法律では、
設備調整を
政府がする権限はあるとは言っておりません。しかしながら、私は、こういう点については、
設備の調整ということも当然
政府が行政指導で十分やり得る、そこいらについての
見通しの甘さなり、あるいは業界に対する
政府のかまえの弱さといいますか、そういう点が、こういういわゆる過剰
生産というか、過剰施設的な傾向を生んできた根本原因だと思うのであります。もちろんこれは業界自体が強く反省しなければならぬ点でありますけれ
ども、業界自体は、やはりあくまでもシェア拡大という点から、そのほうに突っ走るのは当然であります。それを
政府が、あの二法に基づく権限を利用しながら、あれだけの強い根拠を持っているものが、
生産の
設備調整のある程度の行政指導ができないということはうそだ、私はこう思うのであります。この点で、
政府は大きな手抜かりがあったというふうに私は思うわけです。それが
輸出赤字を大きくした第一の原因であるというふうに、私は思います。
その次に、今度は第二次の
計画、これは御
承知のとおり、いま実行中ですから、まだはっきりしたことはわかりません。わかりませんけれ
ども、私は、これもどうもあぶなっかしい点があるのではないかというふうに思うのであります。それは御
承知のとおり、ガス源の転換ということを第一に徹底し、しかもそれは固体ではなくて流体原料への転換を徹底してやろうという点でありまして、これは
計画によると、三十八年末で九三%までいくということでありますから、ほぼ完成をいたす、このことはいいことだと私は思うのであります。
それから
肥料形態の転換という点です。この点も、相当徹底して行なわれるようになっておりますね。しかし、ここには相当問題があるんじゃないかというふうに思われるわけです。それは、何といいましても尿素と高度化成、これは最重点が置かれる。それから
硫安については、いわゆる合成
硫安は減産をして、副生と回収のほうに重点を置いていく、こういうことであります。この
硫安についての
考え方は私はいいと思いますけれ
どもこういうふうな
計画を立てる場合に、はたしてこういう長期の需給
見通しがはっきり立っているのかどうかという点であります。これは、私
どもは何か意図的に変えておるように思うのです。というのは、これは御
承知のとおり、三十四年の二月に
計画の策定をして、それからさらに三十六年の九月に改定をされて、現行
計画になったわけです。そこらを見ますと、
輸出見込みを、特に
赤字を小さくするために、小さくしておる点がありはしないか。特に
硫安を小さくして、尿素や高度化成というようなものの
生産なり——あるいは高度化成は
輸出はあまりされてありませんけれ
ども、尿素の
輸出というようなものを非常によけいに見ておるような点があるのです。こういう点は、何か
輸出赤字を小さくするための一つのあれであって、実績と相当食い違っておるのではないか。特に全体としてみると、またここでも
設備投資の
金額が、当初の
計画では四百七十七億であったわけですね。これが三十六年の改定では七百八十九億にふえておる。したがいまして、能力についても、大体六百九十八万トンというふうなものが三十八年末の
計画になって、第一次
計画に比べると、さらにこれは約二百万トンの増ということになりますね。こういうことになっておる。コストの引き下げについても、いまの五十二ドルですか、五十四ドルですか、これを四十七ドルに引き下げよう、これも
計画どおりに進んでいない。特に三十六年度についてみても、内需は、
計画が三十六年度は三百三十八万トンに対して、実際は二百二十八万トンしかないわけです。三十七年度についても、内需が三百六十一万トンに対して三百一万トン、非常に大きな食い違いがあるわけです。三十八年度になって、これが三百八十四万トンの内需になっておる。いままでの経過から見て、こういう
計画では需給
見通しが間違っていはせぬか。その結果として出てくるのは何かというと、やはり
設備過剰という問題が一般的に出てきて、したがって、三十七年度は、御
承知のとおり、一割以上の操短をやらざるを得なかった。したがって、コストの引き下げということもできてきはせぬ。さらに
海外市場の状況が悪くなるということから、これまた
赤字を増大する根本の原因になっておる。ここでも態様は違っておりますけれ
ども、第一次の間違いと同じ間違いを第二次の
計画、特に改定
計画においても同じようにしておるのではないかというふうな点が、われわれしろうとから結果を見ると思われる。その土台になっておるのは、需給
計画がずさんというか、
見通しが甘過ぎるという点、しかもその裏には、
海外市場に対する
見通しが非常に甘いということ、さらにそれに便乗して自分たちのシェアを拡大しようという業者の
設備拡大の意向に無批判に追随しておる、こういう点が多いのではないか。その結果が、今度のような
赤字を生んできた根本になりはせぬかというふうに思うのですが、この点についてはどうですか。