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久保田(豊)
委員 問題は、公共
事業という範囲ですね。これはいまのようなあれからいくと、地方の
産業を盛んにして、それによって一般のあれということになれば、これは一般的になるわけなんだね。しかし、公共
事業という以上は、――それはどんな私
企業といえども、その私
企業が盛んになって、その地方の人が、たとえば就職の点、あるいは仕事がよけいになるだろうという点で
利益を受けることは、これは当然ですよ。そういう場合に、無制限に出資ができるというものじゃなかろうかと思う。公共
事業というものと私
企業というものとの限界ということが、非常に最近はぼやけてきておる。そうして同時に、問題は、出資をした先についての監督権なり、指導権、あるいは関与権とか、そういうものとか、あるいは――出資をした金は、いずれにしてもそれは公金です。その公金の保護に対してはどうするのか。あるいはその果実が出てくる、あるいは損失が出てきた場合に、 そういったものの処理をどうするのか。これは、地方団体について非常に大きな
関係を持ってくると思うのです。こういうものについての最近のあれは、非常にぼけてきておるように思うのです。ですから、いろいろ問題ができるのだ。ですから、私の知っているある温泉場ですが、そこの温泉場のボス連中が、主人連中が、ロープウエーをつくったのです。ところが、そのロープウエーが、計画が間違っておったので、赤字でどうにもならぬ。ところで、今度は借金をしなければならぬ。その場合の借金の保証を町がした。こういうべらぼうなことができてくる。それに類したような仕事が、次々にできてくる。聞いてみると、赤字でしょうがないから、まず第一に保証ということだけを――これは金を出すのは保険
会社らしい。ところが、その保険
会社から、町の保証がなければだめだと言われて、町議会のボス連中がそういうことをして、ほかの連中は知らぬものですから、無理押しをしそうなところなんです。いまのところ、私どもはそれに文句を言ってやっておるのだが、その次は何かというと、町へ移してしまおうではないか。もともと赤字のものを、それを町に移してしまおうという形ですね。ところが、それはどうかというと、温泉地ですから、そういうレクリエーション
設備があれば、客が来るという名目です。それは悪くいった場合の例です。よくいった場合は、ある道路公団が非常にもうかっている。予想よりも四倍も収入がよけいになる。それで、今度はその施設はどうかというと、それは県がやはり保証して金を出している。あるいは一部出資をしておるようだ。そうしておいて、その裏ではどうかというと、町村から五十円くらいでもって土地を何百町歩というものをやって、それを今度はそれとうらはらの
会社をつくって、それを全部町に移して、五十円でとった土地が五千円もしている。それで役人というか、地方のおも立った連中はどうかというと、
会社と公共
事業みたいなもの、この
事業と、両方の役員をしている。だから、もうかればかってに
利益を取ってしまうということになりがちだ。こういうふうなことが次々に起こってくる可能性がある。これだってそういう危険はあると思うのです。したがって、そういう場合には、地方公共団体が出費する公共
事業というものはどういう性格のものかということと、その公共小業に対する地方公共団体の責任はどうか、責任の限界というものを明確にしなければならぬ。同時に、監督というか、関与というか、そういう点を明確にしなければいかぬ。果実が出た場合、あるいは損失が出た場合に、これに対しまするはっきりした処置がなければ、いまのように、いろいろのそういう
事業に、めちゃくちゃにこの二条の公共専業という解釈をかってに広げてやるということは、私は納得できない。そういうことをやれば、公共団体はそのこと自体から乱れる。これは当然です。そういうことについては、この
法律においても、国の出したものについては――国の出したというのは、
中小企業公庫が出資した分ですが、これについては、一条はっきり設けて、こまかい保護
規定というか、取り扱いの原則を立てておる。ところが、それと同額もしくはそれ以上を期待しておるという地方団体については、何ら
規定がない。あとは地方村政法なり地方自治法によるというだけです。これじゃ何もはっきりしない。この
法案だけじゃないけれども、こういう点について、もっと突っ込んだものを、当然国の政策としてこれはやらなければならぬ。そうしなければ、地方自治体というものは、いまの
体制でいけば、だんだん
独占資本になり、あるいは
独占資本の間接の手伝い役になってしまう、こういうことにならざるを得ない。しかも、その結果は、非常に不明なものが出てくる。地方自治体をますます悪くする結果になってくる。ただ、
法律の何条によって、拡張解釈すればこうできますというようなことじゃないと思う。まあ当面
法律を改正しないということになれば、公共
事業の範囲をどうきめるか、いまのあなたのように、ただ地方住民といっても、これによってやる
会社はどれくらいかというと、少なくとも対象
会社は、
法律的にいえば全部で十五万幾らあるわけです。――もっとよけいある。六十万ぐらいある。そのうちで年に百はいかないわけです。当初一画では、二十五と二十五と十五というんですから、大体において六十五しかいかない。これをいわゆる一般住民と見れるかどうかということが問題だ。投資
会社がかりにうまくいったにしても、そういう少数のいわば私
企業的なものに投資をするもの、これは数からいったら、
中小企業対策にならぬと私は思う。
大臣の答弁は、最初はしょうがないから、新しく今度ぼつぼつやって、うまくいったらでかくする、こういうことですが、しかし、この全体の構想は、少なくとも
法律的に該当する対象
企業というものは、うんと数が多い。しかし、せいぜい千くらいしか考えておらない。そういう千の
中小企業に地方公共団体なり国の金を出すなら出していいですけれども、それには明確な
一つの
理由づけなり、それに対する
規定というものがなければいかぬと思うんだ。ところが、それが何もない。こういうあれでは、ただ単にこの解釈をどうするとかこうするとかいった
法律上の技術解釈の問題でない。そういう点についてひとつも――実はあなたはせんだっておらなかったから、あなたの下の課長さんに聞いてみると、出してもいいし、出さぬでもいい、禁止の
規定もない、出していいという積極的
規定もない、こういう電話の返答だった。そういうあやふやなものに依存して地方の
産業開発なり
産業助成をやっていくということは、私は間迷いだと思う。それならそれではっきり補助金なり何なりということで明確にして、全部損がいっても何があっても間違いないということにして明らかにするのが、行政の一番根本になると思う。こういう点については、まず、公共
事業という解釈をどう解釈されておるか。ただ単に住民の
利益になるということでは、じゃ住民の
利益にならぬ
事業があるか、それぞれ即応を立てれば、どんな個人
企業といえども住民の
利益になる。住民の
利益になるから成り立っている。もし公共
事業と非公共
事業との区別をつけるとすれば、だれがつけるのか、何を
基準にしてつけるのかということを明確にしなければならぬ。どんな
事業だって、
需要のある限り、いわゆる公共の必要に、ある意味で地方住民の
利益に直接、間接役立っていることは間違いない。こういう点の解釈をまず第一点に伺いたい。
それから立法政策として、いまのようなあやふや
基準でやっていくことがいいかどうかということです。
それからもう
一つは、この
会社をどう理解するのか。いま言ったように、対象は、少なくとも
法律上の対象ではなくて、通産省の考えている対象としても、これは製造業でやるということになれば、製造業は、
日本には十六万ある。そしてその合弁
会社がある。そのうちで、これの対象になるのは一万一千くらいしかない。そのうちのこれでもって直接やるのは、十年くらいたってから千くらいの目標だ。とりあえずは六十五か七十の
事業しかない。そういうものに地方公共団体がどんどん金を出す。しかも、それに対しては何ら明確な
規定も何もなしに、国が出すからしかたがない――この
法律には、国の出資分の取り扱いについては、かなり厳格な
規定がある。しかし、その見返りの裏は何かというと、関与権を非常に強くしておる。その関与権の見返りとして出しておると見ても差しつかえないように思える。ところが、地方団体については、関与権その他は、普通の株主権行使以外には何もない。そういうのをやることはおしかいと思う。この点について、いままでどれだけやっておるか。これはそういう点についての言いわけではなくて、基本の考え方を
検討しておるならば、
検討してあるようにはっきり出してもらいたいし、
検討してなくて、これから
検討しますなら
検討しますでよろしい、はっきりしてもらいたいと思います。