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1963-03-12 第43回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十二日(火曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 小川 平二君 理事 岡本  茂君    理事 首藤 新八君 理事 白浜 仁吉君    理事 中村 幸八君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       神田  博君    小平 久雄君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       始関 伊平君    田中 榮一君       田中 龍夫君    中川 俊思君       山手 滿男君    岡田 利春君       久保田 豊君    小林 ちづ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         公正取引委員会 佐藤  基君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口 一夫君         農林事務官         (園芸局長)  富谷 彰介君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (繊維局長)  磯野 太郎君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局官房庶         務課長)    吉野 秀雄君         総理府技官         (北海道開発庁         農林水産課長) 青山  俊君         農 林 技 官         (園芸局特産課         長)      西村 周一君     ————————————— 三月十一日  計量法施行法の一部を改正する法律案内閣提  出第一四二号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五三  号)  繊維に関する件(亜麻産業に関する問題)      ————◇—————
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより会議を開きます。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 川島行政管理庁長官一つ、ただいま議題となっております独禁法の一部改正——一部改正といいましても、これは定員改正でありますが、所管事項について、とりあえず二、三伺いたいと思います。  公正取引委員会で、定員増加を、ことしの予算要求につきまして、五十二名一応要求したのです。その結果が六名という結論になりました。そこで行政管理庁としては、管理庁の権限として、行政管理庁設置法によりまして「各行政機関機構の新設、改正及び廃止並びに定員設置、増減及び廃止に関する審査を行なう」ということになっておりまして、当然公正取引委員会増加要求に対しまして、行政管理庁として審査をしたことと思うのであります。そこで五十二名の要求に対して六名ということの審査の結果が出たのだろうと思うのですが、その経過について一応説明を願いたいと思います。
  4. 川島正次郎

    川島国務大臣 毎年予算編成時期になりますと、各省庁から機構の拡大、定員増加等要求が参ります。三十八年度予算編成の際にも、定員増はざっと要求が四万二千名ございまして、政府方針といたしましては、公務員定員はなるべくこれを増加しない、仕事事務能率を高め、合理化をすることによって処理していこう、こういう方針を堅持いたしておりまして、三十七年度予算の際にもその方針であったのでございまして、三十八年度予算の際にも、その方針に基づきまして、各省庁要求審査いたしまして、大体認めたのは現業関係であります。郵政省の現業員、もしくは文部省の高等学校増設、大学の学科の増設等による増員、防衛庁の、これは年次によって国防計画がきまっておりますから、その人間などでありまして、事務系統の職員は極力圧縮をいたしたのであります。その結果といたしまして、公正取引委員会は六名だけ、この程度はぜひ必要だという観点から認めたわけであります。
  5. 板川正吾

    板川委員 予算編成時期になりますと、言われるまでもなく、各省でそれぞれ希望的な予算を提出いたします。その希望予算通りやったら、国家財政は破算してしまいますから、適当な査定をされるということは、これは当然だと思うのです。それと同様に、希望人員を全部認めるというわけにもいかない。原則として認めない方針だということは、政府立場として当然だと思う。ただ、認めない方針だが、必要なものについてどうしても認めないということじゃないと思うのです。まあ今のお話ですと、絶対に認めないんじゃないが、できるだけ削減したということであります。そこで問題は、必要であるかないかということの認定にかかるんだろうと思うのです。  そこで、一つ伺いたいのです。これは公取でも大蔵省でもいいんですが、五十二名を要求した場合の年間予算は、どのくらいあったのですか。五十二名を増員したならば、人件費その他でどれくらい予算年間にかかるのですか。
  6. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 予算担当課長から説明さしたいと思います。
  7. 吉野秀雄

    吉野説明員 約二千七百八十八万円程度でございます。
  8. 板川正吾

    板川委員 二千七百万円の年間予算が必要ということになりますと、二兆八千億の中で二千七百万というのは、全く軽微な金額ですから、この人員を査定したということは、予算上の問題じゃないと思う。結論としては、公取機能をそう強化する必要がないんじゃないかという結論になった。要するに、予算的な措置でふやさないという理由じゃないだろう、こう思うのです。  そこで、私は川島長官総務長官一つ質問をしたいのですが、ようやく先進国並みとなってきておる日本で、一番不足なのは消費者行政であるといわれておる。産業行政はあるが、国民消費者のための行政というものはない。これが一般に言われておる言葉なんです。アメリカでは、御承知のように、消費者のために消費者省設置しようという議員立法が提案されておるという状況のもとにある。日本では消費者省をつくるまでには至っていないかもしれませんが、消費者行政というものが非常に必要な段階になってきておる。内閣消費者行政を担当するところはどこかということになると、当面は公正取引委員会中心とならざるを得ないと思うのです。消費者行政を強化すべきだという国民の声がある。われわれもそう思うのですが、消費者行政を強化すべきだという点について、どういう御認識を持っておられるか。一つその点でお伺いいたしたい。
  9. 川島正次郎

    川島国務大臣 消費者行政につきましては、主として通産省関係でありますが、通産省中小企業関係者にしても、ただこれは生産者販売業者だけの観点行政をしておるのではございません。やはり消費者立場考えながら、適切な行政をしておるわけであります。今お話しのように、特に消費者行政のために部局が必要かどうかということは、私は、まだ深い検討はいたしておりません。おりませんけれども、全然政府消費者行政に無関心だということでないことだけは申し上げられると思うのでありますが、そういうお考えがありますれば、一応今後の課題として検討してみます。
  10. 板川正吾

    板川委員 行政管理庁長官として、私は、消費者行政通産省にあると言うのはどうかと思うのです。通産省は、中小企業庁も持っておりますけれども、これは産業官庁です。産業振興を建前としている官庁ですから、それは産業振興上、消費者のことも考えるかもしれませんが、消費者中心にした消費者行政というのは、通産省ではいけないと思うのです。これは通産省消費者行政考えるというのではなく、今のところ、日本機構消費者行政というのを中心考えるのは、公取以外にはないのではないか。通産省でと、そう考えるのはおかしいのではないですか。
  11. 川島正次郎

    川島国務大臣 通産省もありますし、また、経済企画庁もこのことについては考えております。物価問題などは、経済企画庁でも非常な関心を持っていろいろ政策をやっておるわけでありまして、ただ通産省限りではございません。政府全体として消費者行政を無視しておるのではないということを、私は申し上げたわけであります。
  12. 板川正吾

    板川委員 川島長官は、経済閣僚ではありませんけれども、首相不在の場合に首相代理もされた池田内閣有力閣僚ですから、そこで一つ質問したいのですが、池田内閣の一番の欠陥は、物価政策がなかったということだと思うのです。所得倍増によって産業を振興するのだという政策はありましても、国民消費者立場からの物価政策というものがないというところに、池田内閣の一番の欠陥があったのではないかと思うのです。たとえば所得倍増政策を掲げましたけれども、実際は物価が上がったために、所得倍増というのが計画通り行っていない。政府の統計によりましても、三十六年度を一〇〇といたしまして一これは労働省の賃金所得倍増計画が月給二倍論と通ずると言っておるのですから、所得倍増計画は、池田さんは当面三カ年に九%の所得倍増をするのだと、こう言っておる。十年間で約倍にする、年間七・二%の所得を上げていくということを言っておる。でも、これは池田さんは総所得を言っているのかもしれませんが、国民一人々々が聞くときには、やはり十年間に自分の所得は二倍になるのだという気持を持つわけです。そこで労働者賃金を見たら、三十五年を一〇〇としますと、三十六年は実質的に所得が上がったのは五・九%、それから三十七年度は、三十六年度に対して実賃質金の上がりというのは二・九%です。そういうふうに、とにかく当面三年間九%の所得を上げるという池田さんの目標、あるいは十年間平均七・二%の所得を引き上げようという所得倍増計画も、実は第一年度、二年度でそういう計画にはるかに及ばない。その及ばない原因は何かというと、物価が非常に値上がりしたことなのです。物価はどのくらい上がっているかというと、三十五年を一〇〇としまして、三十六年の十二月が九・三%、三十七年の十二月が、三十五年を一〇〇としまして、一一四・八%で一五%近く、三十八年の一月が、三十五年を一〇〇として、一一六・七%で一七%近く上がっておる。こういうように消費物価がウナギ登りに上がっているところに、池田さんの所得倍増計画の大きな失敗がある。私は、所得倍増計画目標としたことが失敗だというのではない。その計画が実質的に裏づけをされないから失敗になったと思う。その原因は何かというと、物価値上がりにあったのではないか。その物価値上がりは、池田さんの言うように、所得が上がって、散髪やクリーニングあるいはそば屋出前持ちの給料が上がったために上がったというものもありましょう。それはわかりますが、しかし、消費物価全体として、三十五年の平均に比較しまして一七%も今日上がっておる。こういうことは、物価値上がりの中に便乗値上げが相当あるからだと思うのです。この便乗値上げを押える機構というものは、どこですか。これを監視するというような機構は、どこでしょう。これは通産省じゃないでしょう。通産省のどこでもこれはやりません。あるいは経済企画庁は、それは財政経済政策を立てるについて、その総体のワクをきめる場合に、物価を刺激しないような考慮を払うかもしれません。しかし、実際は便乗値上げが行なわれておることに対して、それを押えるような措置というものは、公取以外にないのではないですか。だから、私が言いたいのは、そういう池田内閣欠陥というものを反省されて、それでその反省された上に立って必要な措置をとるというならば、この便乗値上げを押えるためには、公取のような機関をもっともっと強化しなければならぬと思う。この点について、川島長官の御意見を伺いたい。
  13. 川島正次郎

    川島国務大臣 物価政策は、池田内閣として非常に大きな政策として掲げておるのでありますが、国民所得と均衡をとれるような物価方針をとっておるのであります。公共料金については、その値上がりを抑制する方針でやっておりまして、今年になってから、卸相場は大体横ばいでございますが、小売相場がやや上向きになっております。しかも、その大部分は生鮮食料品でございます。そこで農林大臣は、生鮮食料品小売価格を押えることにいろいろ苦慮いたしておりますが、これは配給機構欠陥もありますし、その他いろいろなことが重なり合いまして、生鮮食料品上向きになっておると思います。これは公取というよりも、農林大臣責任において解決すべき問題だと思います。しばしば閣議等においても、これを取り上げて議論をいたしておるのであります。現在の池田内閣は、適正物価を出すということについてはきわめて熱心にやっておるつもりでありまして、それぞれ関係省庁におきましてこれを分担してやっております。必ずしも考え通り物価を押えることはできませんけれども、しかし、これを全然無方針にしているわけではございませんので、現に生鮮食料品につきましても、最近は標準店舗をつくるとか、あるいは輸送環境を改善するとか、冷蔵庫を設置することについて国家が補助をするとか、いろいろな施策をしておるわけであります。
  14. 板川正吾

    板川委員 野菜やその他の生鮮食料品が比較的値上がりを示している、そして主管の官庁である農林大臣も頭を悩ましていろいろ対策を講じておる、これは農林大臣として当然の任務だと思います。しかし、それにもかかわらず、これは経済企画庁月例経済報告ですけれども、これの三月一日号によりますれば、その十三ページに、三十八年の一月の東京における消費者物価は、三十五年を一〇〇として一一六・七%である。それはもちろんそういう施策を講じたからこれでおさまっているのですが、しかし、それにしても二年ちょっとに一七%近く上がっておるのです。だから、その手当はしましたよというだけでは、国民に対して責任を果たしたとはいえないと私は思う。結論として上がっておるのですからね。それを農林省でやっておるのだからといったって、実際そうじゃない。物価というものは、全般的に見なくちゃならない。農林省の管轄ばかりではございません。だから、そういう中に、便乗価上げ的要素が相当にある。その便乗値上げ的ムードというのを押える官庁は、現在は公正取引委員会しかない。だから、行政管理庁長官として、公取任務というのをいま少し、池田内閣政策とにらみ合わせて、認識を変えるべきじゃないかと私は思う。農林大臣が今大へんやっているということですが、たとえば農林省の問題ですが、飼料が非常に高い。飼料というのは牛や豚なんかに交わせる飼料ですか、この飼料が、現在は——飼料といっても、鶏の食う飼料として考えてみますと、この原料輸入トウモロコシですが、その輸入トウモロコシが、三十一年には一トン二万六千六百円で入荷しておった。ところが、三十七年八月になりますと、それが二万八百円、二二%に輸入トウモロコシが値下がりしておるのです。ところが、そのトウモロコシ主原料とした鶏のえさ代は、この六年間ほとんど変わらない。原料は二割二分も安くなっているのに、その飼料値段は少しも変わらない。これはどういうことですか。これはやはり独占価格といって、業者間にカルテルを設けて価格を維持しているからではないですか。こういうものがあるのですよ。それから例とすると、板ガラス製造会社があります。大手三社、これが大半を持っておりますが、これが三十年の生産量を一〇〇としますと、三十六年度には二倍近くになって、一八〇%に生産量は上がっておるのです。ところが、従業員は、その間にわずか二割しかふえていない。生産が八割ふえて従業員は二割ふえておるから、板ガラス値段が非常に安くなったかと思うと、そうじゃない。値段はちっとも変わらない。あるいはナイロンでも、三十三年を一〇〇として、三十六年は二倍になっておる、わずか三年間に二倍になっておりますが、価格は下がらない。従業員はふえない。こういうふうに独占的な価格、その独占価格を維持しておるということが明らかだと思うのです。こういうものに対して、通産省が値下げしろ、農林省が値下げしろなどということは言ったことはないし、言えた義理じゃないの灯す。価格維持農林省通産省が一段買っておったかもしれないけれども、価格を引き下げよなどという勧告も、指導も、全然なされておりません。こういうのはどこで押えるかといえば、これは公正取引委員会調査権を発動して、価格協定をしておるというならば、それはいかぬということを注意して、自由競争さして値段を下げさせる、これが消費者国民のための行政じゃないですか。そういう任務公正取引委員会というのは持っているのじゃないでしょうか。こういうように独占価格を維持するようなものに対する規制というのは、日本では、今のところ公正取引委員会しかない。こういうようなところに池田内閣物価政策の大きな欠陥がある。消費者行政というのを軽視しておって、産業行政、物をつくればいい——つくることも大切ですが、それは公平に国民に配分をされるという形をとらなければならないのですが、物価値上げをして、あるいはつり上げておいて、そうしてこの産業関係だけもうけておるというような態勢がある。これは政府として、こういう点はもっともっと認識を深めて、どうしても日本としては公正取引委員会以外にそういうものをチェックする機関がないのですから、公正取引委員会は、私はもっともっと強化すべきであると思う。大臣は五十二名を六名に剃った関係もあって、公取を強化するという言質を与えては工合が悪いというふうにお考えのようですが、悪かったら改めた方がいいと思うので、率直な見解を開きたいのですが……。
  15. 川島正次郎

    川島国務大臣 物価問題に対する公正取引委員会重要性は、むろん私も認めておるのでありますが、大体物価行政は、各官庁にわたりまして総合行政が必要なのでありまして、ひとり公正取引委員会だけが担当する仕事でもないのであります。しかし、公正取引委員会重要性を認めればこそ、ほとんど各官庁定員増を削減したにかかわらず、わずか六名でありますけれども、これを認めたわけでありまして、六名の行政官を認めたということは、やはり公正取引委員会重要性を認めたということの一つの証左になると思うのでありまして、私どもといたしましては、ほかの役所は、ほとんど現業関係以外は認めておりません。その中で、わずかながら認めたということは、お認め願いたい、こう思うのです。
  16. 板川正吾

    板川委員 公正取引委員会の六名を認めたという理由は、提案説明の中にもあったと思うのですが、これは昨年やはり消費者国民のために法案が二つほど通った。それは不当景品類及び不当表示防止法といいまして、いいかげんな宣伝をして、土地が坪二千円だなどといってとんでもないところへ連れていったり、あるいは誇大な宣伝をするというように、不当な表示をするというようなことを取り締まるために法律ができた、そういう意味で、そういう関係を取り締まるものとして人数が二名か三名ふえている。それからもう一つは、この下請代金支払遅延等防止法改正をしまして、あるいは物価の問題についていま少し公取が活発に動けるようにということのようで、わずか二、三名ふえたのです。結局私は、今一般論として議論しておるのであって、六名ふえたのは、公取任務重要性というのを認識したからふやしたということではない。仕事の量がふえたからやむを得ず最小限にこれを認めたというのであって、六名ふやしたということは、この池田内閣の一番の欠陥である消費者行政物価行政というものに対して反省の上に公取重要性を認めたということではないのです。だから、私の言いたいのは、池田内閣欠陥というのを反省した上で公正取引委員会という機能認識されて、それにもっと活動をしてもらって、国民生活物価安定のための機能を発揮してもらいたいという認識行政管理庁長官として持つべきじゃないか。そういう認識の上に立つならば、六名ということはないのじゃないかという結論なんです。その点食い違いはありますが……。
  17. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは公正取引委員会だけでなく、一般理論として申し上げるのですけれども、役所事務量がふえただけ公務員を増すなら、公務員増加はほとんど底止するところを知らないのでありまして、事務量のふえたものは、事務の機械化なり、合理化なり、能率化をして処置させるということが、ただいまの方針であります。従いまして、公取に対しましても、事務量のふえたものは能率化合理化によって処置してもらいたい、こういうことを強く要求しておるのであります。その中においても六名認めたということは、やはり公取仕事重要性を認めたからこそ六名認めることになったのでありまして、一般官庁に対しては、そういう認め方をいたしておりません。全部が事務能率化合理化簡素化等によって処置するように要求いたしておるのであります。
  18. 板川正吾

    板川委員 たとえば通産省では、今まで外貨割当仕事をやっておりましたね。貿易自由化になってくれば、そういう点は人があくのじゃないですか。同時に、貿易自由化になってくると、外国の巨大な資本が日本に進出して、それでエッソのガソリンじゃないけれども、何億の赤字を出しても、膨大な宣伝を行なう。これは沖繩にあったそうですが、アメリカの何とかいう歯みがき会社が、島民に全部ただで歯みがき宣伝のために配った。日本のライオンとかサンスターというものは、全然輸出がとまってしまった、こういうようなこともある。要するに、貿易自由化によって、巨大な経済力を利用して、日本中小企業者なんかのまねのできないような宣伝方法をとって販路を拡大するというやり方が行なわれる。こういうようなことなんかは、やはり公取規制、監視するほかはないのです。そういうことから考えたりすると、それは仕事があいてくるところもあるでしょうから、そういう面から何十人かふやすということがあってもいいじゃないでしょうか。それは原則として定員をふやさないということは、政府立場としてわれわれもわかります。それは無制限に人を入れるべきじゃないでしょう。国民もそれを希望しております。しかし、そういう出入りをすれば、必要なところへ必要な人員が集まるべきじゃないか。量が減ったところは、人員が減ってもいいじゃないでしょうか。そういう点を調整するのが、行政管理庁任務じゃないかと私は思うのです。公取六名をふやしたのが、重要性認識したというのですが、これは何としても私ども納得できないのですが、特に公取行政というのは、独禁法といろいろの、あるいは下請代金支払遅延等防止法にしても、あるいは不当景品の問題にしましても、直接国民中小企業者生活を守るような問題がありますが、北海道の場合は、北海道公取の出店がないのですね。北海道から東京までわざわざ申請に来なくちゃならない。こちらは名古屋にあり、大阪にあり、九州にある。ところが、東北の方は、仙台にもないし、北海道にもない、北海道という工業地帯、六百万かの道民がおりますが、工業も盛んです。いろいろの申請をしたいといっても、東京に来なければできないのですね。公取要求の中には、せめて北海道に——できれば仙台も置きたいが、せめて北海道に支所を設けたい、そうでないと、一々東京の方から調査に行かなくちゃならないということもあったと思うのです。こういう点は、私は、率直な池田内閣物価政策反省の上に立って、それを補うために機能を強化すべきではないか、こう思うのです。  そこで、時間がないのですから端折りますが、この国家行政組織法十九条の二項によりまして、特別の事情により定員を緊急に増加させる必要が生じた場合には、法律で定めるという一項の規定にかかわらず、増加すべき定員は、一年以内の期限を限り、政令でこれを定めることができる。三項で、前項の規定に基づく政令により増加された定員で一年をこえて置く必要があるものについては、すみやかに、一項の規定に基づいて法律改正する措置がとられるようにしなければならないといって、緊急の場合には、増員も必要があれば政府責任においてできないことはないんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう、この六名を改定して、北海道公取の支所を設けるようなお考えはないでしょうか。
  19. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま前段にお話しの、通産省の通商局が、なるほど貿易の自由化によって事務量が減りました。従いまして、大幅に現員の定員を減らしたわけであります。全体の役所を見ますと、非常にひまのところと忙しいところとアンバランスがあるのでありまして、このアンバランスを是正することが、行政機構の改革として非常に重要な事項であります。ところが、一省庁内でもなかなかこれができない。いわんや他の省庁間の公務員のアンバランスの是正は、非常に抵抗があってできません。従って、これをどうしてやるかということに一つきまして、ただいま臨時行政調査会で特に取り上げて、この問題を検討しているわけであります。公務員全体の数の範囲内において、アンバランスの是正ということが一つの課題になっております。今の公正取引委員会人員増加につきましては、三十八年度予算案編成の際に認めた六名、一応あれでもって、活動してもらうということで予算を組んだのでありまして、あれ以上増員するという考えを持っておりません。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 関連してお伺いいたします。  先ほど来、板川委員の質問に対して、川島長官はいろいろと御答弁になっております。しかし、われわれが見ました場合に、やはり政府の姿勢といいますか、政府の側から見て都合の悪いもの、もっとはっきり言うならば、独占企業、こういう方面から見て都合の悪いところには人を少なくやる。たとえば労働基準法ができています。ところが、労働基準法がほんとうに実施されておるかどうかということは、大へん疑問なんです。われわれが労働基準監督署へ行っていろいろ話を聞くと、ともかく一人の労働監督官で百何十あるいは二百何十というような事業場を担当しておるので、とても手が回りません、こういうことなんです。従って、政府はそういう方面には人をあまり出さない。先ほど来、板川委員が言っているように、公正取引委員会といたしましても、この任務は、もう言うまでもなく現在において消費者利益を守る役所といえば、今のところ独禁法による公取委員会しかないのですよ。経済企画庁国民生活何とか研究なんてやっておっても、こんなものは絵にかいたもちなんです。ほんとうに守るのは公取だけなんです。それが五十何名の要求が出ておるのに対して六名。しかも先ほど来板川君が言っておるように、北海道には分局がないわけです。地方局がないわけです。川島長官御存じかと思いますが、この提案説明の中に言われておる不等景品類及び不当表示防止法ができたからふやすのだ。この法律の第三条をごらん願いたい。これはこちらから訴えたときに取り上げるというのではないのです。そういうような事実があれば、公取委員会は排除命令を出すというような格好のやつなんです。こういうことを言っておる。北海道には一人もいない、こういう格好で、ほんとうに不当景品類及び不当表示防止法の実施ができますか。これは両長官、どうです。不当景品類及び不当表示防止法という法律の内容をあなた方御存じですか、いかがですか。
  21. 川島正次郎

    川島国務大臣 六名のたまたま認めましたものにつきましては、政府委員が来ておりますから、説明いたさせます。
  22. 山口一夫

    ○山口(一夫)政府委員 六名認めましたのは、六名のうち四名が、ただいま御質問のございました不等景品類及び不当表示防止法関係する増員でございます。あとの二名は、物価対策のため、価格協定等の取り締まりの強化のために認めたのでございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 僕はそんなことを聞いていないのですよ。両長官は、不当景品類及び不当表示防止法という法律が、どういう役目を果たそうとしておるかということを認識しておられるかと聞いておるのです。
  24. 川島正次郎

    川島国務大臣 私はわかりませんから、政府委員から答弁いたします。
  25. 山口一夫

    ○山口(一夫)政府委員 先ほど長官から御答弁のございましたように、法律ができ、事務がふえたということのために、それだけによって定員をふやすという査定方針はいたしておりません。従いまして、各省を通じまして相当たくさんの新しい法律ができ、それに伴う事務増加いたしておりますが、増員につきましては、それぞれ現在おられます人員を最高度に利用し、また、予想されます処理件数等審査いたしまして、それに基づきまして、やむを得ないと認めますものにつきましてだけ、査定をいたしまして増員を認めております。従って、不当景品類及び不当表示防止法並びにそれに関連する業務等につきましては、審査の際に十分伺っております。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 あなた、伺っておりますと言うんなら聞きますが、この法律は受け身の法律ですか、それともこちらから働きかける法律ですか。
  27. 山口一夫

    ○山口(一夫)政府委員 法律の内容につきましては、直接公正取引委員会から御説明申し上げるのが筋かと思います。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 公取委員長は、当然それは提案してきたのだから知っています。私の言っておるのは、あなた方のこの法律に対する把握の仕方を聞いているのです。いいですか。そのときに附帯決議をつけたのです。今度の提案理由の中には、「不当景品類及び不当表示防止法を成立させていただきました際の附帯決議の趣旨を尊重し、」云々なんです。それでたった四人です。こういう重要な法律が、実際先ほど来板川君が言っているように、現在消費者を守っておるところの、専管しておる官庁はどこかというと、独禁法の建前から、公取委しかないのです。しかもこの法律は、先ほど言っているように、この法律の第三条をごらんなさい。受けて立つのじゃない、裁判所のように受けて立つのじゃないのです、民事裁判のように。こちらから不当表示不当景品だ、こういうことを認定した場合は、こちらが出かけていく法律なんです。民事訴訟とは違うのですよ。それが四人なんかでできるかということです。どれだけここで前国会で論議をし、そのときつけた附帯決議をどれだけ尊重したかということです。東京におって、北海道の札幌あたりで行なわれている不当販売法をどうして規制できるのか。総務長官、どうです。
  29. 徳安實藏

    徳安政府委員 先般御注意もございましたので、私も、その重要性は知ってはおりましたが、法案等について詳しく承知いたしておりませんでしたが、御指摘もございますので、先般来から法律の内容等も、まだ全部は読み終わっておりませんが、大体法案の趣旨だけは研究させていただいております。お説のように非常に重要なものであることは、よくわかります。  そこで、この人員の問題でございますが、昨年の予算編成にあたりまして、内閣方針として、ただいま川島大臣のお話のように、仕事の量がふえましても、できるだけ庁内操作で配置統合あるいは転換いたしまして、人をふやさないという方針でいってほしいという御要望がございますので、でもさように決定いたしまして、特に必要と認められるもの以外はふやさないという考え方で、庁内のおのおのの持ち人員で操作をするという方針で進んだわけであります。この公取に対しまする決議等も、私どもも、最近に至りまして、まことに不勉強でございましたが承知いたしまして、さらにお話のように、北海道等に対するそうした事態をどうするのだといって、開き直ってお話しいただきますと、これは何とかせんならぬという気持になるわけでありますが、一応当時そうした政府方針でようやく四名、あるいは合計いたしまして六名に決定いたしたわけでございますので、一つ私の方でも公取の方とよくひざを突き合わせて相談いたしまして、そうして今の人員の可能な範囲において、そうした御希望が達せられるかどうか、そういうことも再検討してみます。そうしてどうしてもこれは不可能だという結論になり、また、本日川島大臣もお見えになっておりますから、よく事情を聞いていただいておきまして、そして今後に残された課題として、一つ真剣に研究いたしますから、しばらくお持ちをいただきたい、こう思うのであります。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、行政管理庁長官とか総務長官に、直接関係のない法律の一条々々を知ってくれとは言いません。しかし、その法律の性質、これくらいは知ってもらわなければ困りますよ。先ほど来言っているように、民事訴訟法とは違うのです。民事訴訟法は、だれかが訴えて出たやつを取り上げたらいいんだ。この法律はそうではない。いわば積極的に乗り出さなければいけないのです。そういう法律であることを把握していただきたいということを私は前にあなたに言って、げたを預けておいた。勉強していただきたいと言っておいた。先ほども例に出しました労働監督官もそうなんだ。もちろん、労働基準法違反だという訴えがあって動く場合もありましょう。だが、そうじゃなくて、積極的に何々企業内において基準法の違反の事実があるかないかを監視する役なんです。そういうところにあまり人を出さないということが、今までの政府のあり方だったということです。そうして、そうでないところに人が余ってくるようなことが現にあるのです。だから、仕事がないから詰まらぬ法律を出してきよるのです。あってもなくてもいいような法律を現につくりつつあるでしょう。それが出たときに、こんなものはなくてもいいということを私は明らかにしますけれども。そこで、それ以上は言ったって議論になりますからやめますが、川島長官、じっとしていてもいい役所、いわゆる受け身の役所と、こちらが働きかける役所、こういうところを頭に置いて、今後人員配置、定員の配置がえということを十分考えてもらいたい。同町にまた、現在においては消費者を守るのは公取が唯一のとりでであるということ、これは十分考えてもらいたい。そういうことを要望いたします。  それから公取委員長に伺いますが、あなたも、五十何人も要求しておいて六人で、もうちょっと何とかなったのですかな。しかも、これで北海道まで、あなた、この法律によるあれができますかね。そういう点を一つお伺いいたします。
  31. 徳安實藏

    徳安政府委員 私の方の力が足りなかったでございましょうし、おわかりのいい川島大臣ですから、もっとお話すれば話はできたのだろうと思うのですが、やはり力が足りなかったのでしょう。そこで、一つこれから公取ともよく相談して、内部的な人員も調べましたり、配置等も考えましたり、また、川島大臣とよく御相談いたしまして検討いたしますから、どうぞきょうは、一つこの程度でよろしいということにいたしていただきたいと思います。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 全体の配置の問題として、川島さんからやはり一言。
  33. 川島正次郎

    川島国務大臣 御趣旨のように、仕事の内容によっても定員の増減を査定する必要があります。それから分量によって査定する必要があります。各角度から見まして、適当な人員配置をするようにいたしたい、かように考えております。
  34. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいま公取予算についての問題でございますが、公取予算につきましては、主計局へ要求するのに総務長官の手元を経ていくことになっております。そこでわれわれの方といたしましては、総務長官にもよく説明申し上げ、また、総務長官にも特に公取のためにお骨折りをいただいたのであります。その結果がこの六名ということでありまして、五十二名ということに対して六名は、いかにも少ない。まことにお話の通りでありまして、私もそう思っております。しかし、この二、三年来の公取要求に対する査定と比べれば、必ずしも少なくはない。非常に消極的な説明になりますけれども、そういう関係でありまして、人員は六名認められたけれども、その公取の業務を円滑に行なうために、私はむしろ旅費が少ないということを常に感じておりまして、今度は前年度五百万円に対しまして六百二十万円、旅費としては相当大きな増額をしてもらったわけであります。その旅費を十分に活用いたしまして、公取任務を果たしたいと思います。ことに北海道の問題につきましては、非常に遠いし、今までもあまり手が十分に回っておらぬので、しかも、この消費者行政の点がお話の通りだんだんクローズ・アップしてくるので、われわれの方としてもやらなければならぬ。先般われわれの方の職員を北海道へ派遣いたしまして、道庁等の意見も聞きまして、道庁等もぜひ地方事務所を札幌へつくった方がいいという意見もありましたので、それやこれやあわせまして、札幌に地方事務所をつくろうという考えになったわけであります。しかし、残念ながら予算は削られましたが、今後とも、さらに総務長官なり、あるいは主計当局の御了解を得まして、さらに行政管理庁の御了解を得て、来年度はぜひ実現したいものと思っております。
  35. 板川正吾

    板川委員 時間もないようですからこれでやめますが、政府が最近用意されておるという特定産業振興に関する法律があります。最近閣議で決定される段取りだそうですが、新聞等によりますと、例の国際競争力強化法というやつですが、その法律が万一成立をした場合に——もちろん、政府の方は成立をするために提案するのでしょうが、その運用に、公取機能というのが相当の人手を必要とするのじゃないかと思うのです。もちろん、法律が通ったその日からたくさんの人手を必要とすることはないかもしれません。しかし、あの予想されるような特定産業の振興に関する法律、国際競争力強化法というものが出た場合には、公取機能というものは、さらに仕事の量も増しますし、重要性を増してくると思うのです。その法律が出た場合に、公取定員というものも一面考えなくてはならぬと思うのです。まだ出てこない法律ですから、出てこない前に言う必要はないかもしれないが、政府の思想統一としては、法律を出すという建前に立つならば、公取機能強化というものも考えなくてはならぬ法律だと私は思うのです。そこで先ほども言いましたように、その法律を出すような場合になったら、行政管理庁としても御検討願いたいのです。国家行政組織法の十九条の二項によれば、必要があれば緊急にふやすこともあり得るわけで、川島長官は、六名査定した関係上、非常にそれにこだわっておるようですが、そういう決定にこだわるというよりも——川島さんのように総理大臣の代理を兼ねるような方が、あまりそういうものにこだわる必要はない。政治を進める上において、こうやるべきだ、なるほど、それは国民全体の立場から免れば、公取は強化した方がいい、こういう率直な気持になれば、五十二名ふやしたって年間二千七百万円ですから、それはそう大した金額じゃない。金額でできないというものじゃない。だから、そこらをお考えになっていただいて、総務長官も、先ほど、次の機会には検討して善処を約束されておりますが、一つ池田内閣欠陥を是正するという意味で、消費者行政物価行政を強化する意味で、私は、公取の強化に対して、今後大幅な増員をするような心がまえを持っていただきたい。率直に持つことが、池田内閣有力閣僚として当然じゃないか。六名ふやしたから、それにこだわって、あまり官僚的な答弁をする必要はないと思うのです。大臣の率直な見解を承って終わりたいと思います。
  36. 川島正次郎

    川島国務大臣 六名ふやしたからそれにこだわるということは、全然ございません。私の方としては、各官庁をずっと見まして、公取は六名以上が適当であると思ったのですが、これをふやすということは伝染性がありまして、ほかの官庁もみなふやさなければならぬということがあるので困るのです。  後段の今後の方針については、検討したいと思います。
  37. 板川正吾

    板川委員 特に国際競争力強化法の出るような場合には考慮されて、次の機会には必ず善処するということをわれわれは期待して、以上川島長官に対する質問は終わります。あとは留保しまして、きょうの質問は、これで終わります。      ————◇—————
  38. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に、繊維に関する件について、調査を進めます。  亜麻産業に関する問題について、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。岡田利春君。
  39. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、亜麻産業の問題について質問をいたします。まだ繊維局長が来ておりませんから、ほかの省の関係の質問を先に行ないたいと思います。  今日、亜麻産業は、実は経営の合理化その他で多くの問題が発生いたしておるわけです。最近の傾向を見ますと、亜麻繊維の需要というものは拡大されつつあるわけでありますが、しかしながら、一方において亜麻の生産については、大体が横ばい、停滞ぎみにあるというのが現状ではないか、このように考えるわけです。  そこで、私はまず農林省にお聞きいたしたいのでありますが、昭和三十八年度の亜麻栽培の計画は、一体どのように策定をしておるか、その計画はどうなっておるかという点について、お尋ねをいたしたいのであります。
  40. 西村周一

    ○西村説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、三十八年度の作付面積につきましては、道庁が計画しておりますのは一万二、三千町歩になるかと思いますが、そういう計画で進めて参っておりますが、それに対して、農林省といたしましては約八百万円ほど予算を計上いたしまして、原々種の生産と原種の生産、それに採種組合の育成ということと、昨年から新しく亜麻の耕種基準の設定圃というものを設けまして、その耕種基準の設定圃によりまして反当収量の向上をはかりまして、生産性の向上をはかっていく、そういう考え方で三十八年度も進めて参りたいと考えております。
  41. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今課長の答弁された内容は、私は違うのではないかと思うわけです。私の調べておるところでは、昭和三十八年度の亜麻の生産計画は、面積にして一万四千二百ヘクタール、生産量にして四万八千二百八十トンの計画あるようになっておるわけです。今の答弁では、一万若干の面積、こういう工合に答弁されておるのですが、この計画については御存じですか。
  42. 西村周一

    ○西村説明員 面積につきましては、先ほど一万二、三千町歩と申し上げましたが、それは私数字をちょっとはっきり覚えておりませんのでそう申し上げたのでございますが、そのほかの施策につきましては、先ほど申し上げました通りに、四つの事業をやっていくということで進めて参りたいと考えております。
  43. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 施策の問題はあとからでけっこうなのですが、私は、生産量で四万八千二百八十トン、反当平均三百四十キログラムというこの生産計画が、一体昭和三十八年度に達成可能なのかどうか、このことをお聞きいたしたいわけです。農林省では一体どのように考えていますか。
  44. 西村周一

    ○西村説明員 先生御承知と存じますが、最近亜麻の面積は、先ほどお話しのように大体横ばいの状態でございますが、反当収量につきましては、昭和三十二、三年ごろからだんだん上がって参りまして、最近の道庁からの報告によりますと、三十七年度の反当収量は、全道平均で三百二十三キロということになっております。生産量が達成できるかどうかということは、結局反当収量をどこまで上げていくかということによると存ずるのでございますが、実は北海道と申しましても、支庁によりまして反当収量がかなり違っております。高いところでは三百キロをこえておりますが、低いところでは二百キロに達しないというような地帯もございますので、そういった低い地帯の反当収量を今後上げていくということが、亜麻栽培の合理化に非常に必要なことだと存じますので、先ほど申し上げました耕種基準圃による耕種基準の設定ということによって反当収量の増大をはかっていく。道庁が立てております計画目標数字といたしまして、その方にだんだん進めて参りたいと考えております。
  45. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今課長が答弁された面積についても、昭和三十七年度の実績というのは一万一千百六十三ヘクタール、これに対して昭和三十八年度の作付面積は一万四千二百、こういう実績と計画があるわけです。ですから、面積についても拡大されていく。また、反収についても、あなたは三百二十三キログラムと言われましたけれども、私の手元の、実績では三百二キログラム、昭和三十八年度においては三百四十キログラム、こういう計画が実は立てられておるわけです。ですから、面積についても、反収についても、生産高についても、拡大の方向を計画としては打ち出している、こう言って間違いないと私は思うのです。この数字に間違いがなければ、そうだと思う。ですから、私が聞きたいのは、この亜麻の生産計画というものが、一体こういう計画の方向に進むのかどうか。それとも昭和三十七年度の実績程度にとどまるという見通しを持っているのかどうか。道庁が策定しているこの計画が一応達成できると、農林省考えておるのかどうか。この見解を承りたいわけです。
  46. 西村周一

    ○西村説明員 面積において一万四千町歩というのは目標でございまして、そういう目標に進んで参るわけで、これが必ず達成できるかどうかということは、ここで断言するわけには参りませんが、しかし、今後の亜麻の生産を伸ばして参りたいということは、私どもも考えているわけでございます。御承知のように、亜麻繊維の需要というものはだんだん伸びておるわけでございますが、現在の自給率というものを見ますと、大体四〇%から五〇%の間くらいだと思います。四〇何%何がしだと思いますが、以前はそれが逆で、六〇%以上のものを自給しておったわけでございます。そういう関係で、需要の伸びに従って亜麻の栽培も伸ばして参りたい、かように考えているわけでございますが、御承知のように、北海道におきます亜麻の現在の判収入と申しますのは、反当にいたしまして七、八千円、悪いところは五千円ぐらいの反当粗収入しかない。これを反当収量を上げまして、もっと有利な作物にしていくということによって面積の確保をはかっていかなければならないと思うのでございますが、そういう意味合いにおきまして、先ほど申し上げたような施策を進めて参りたいと思っております。
  47. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私はこの際開発庁にお聞きしたいのですが、今農林省の方から私の質問に対する答弁がなされておるわけです。亜麻の需要の伸びというものは、ここ二、三年来急迫に伸びておることも間違いがないわけです。それに伴って輸入亜麻が増大をしておる傾向を示しておることは、数字の示しておる通り、だと私は考えるわけです。そこで北海道としては、亜麻の生産地として、特に成長財作物として、この問題については北海道総合開発の中にも当然組み入れられているくらいなわけです。開発庁としては第二期総合開発計画内閣の閣議決定がなされておる今日、この第二期総合開発の中でこの亜麻産業をどのように位置づけられておるか、この点についての見解を承りたいわけです。
  48. 青山俊

    ○青山説明員 私どもの方で考えております第二期総合開発計画の中で占めます亜麻の位置について、御説明申し上げます。  私どもの持っております計画では、農業総生産の基準年次を三十五年といたしましたものに対する目標年次四十五年、これの一応積み上げ作業としていたしました数字を申しますと、伸びは一八一%になっております。その中で亜麻の伸びは一九六%ということになっております。農業全体の伸びの平均に比べますと、若干上回ったものを意欲的に考えております。これらの作付面積、生産量等につきましては、農業全体の作付面積の伸び、亜麻の作付面積の伸び、生産量の伸び、ともに亜麻の伸びの方を若干強く考えております。
  49. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで農林省にお尋ねしたいのでありますが、先ほど特に来年度の亜麻産業に対する対策について若干触れられておるわけですが、今開発庁から説明がありましたように、外貨の節約の面からいっても、国内需要の伸びの見通しからいっても、亜麻については大体二倍の増産をする、こういう方向がすでに計画として打ち出され、その計画は閣議決定できまっておるわけです。そういたしますと、現状でこの生産量を倍加するということは、非常に多くの問題点があると思うのです。そこで、この計画に従って亜麻の生産を将来二倍に伸ばすという場合に、今日どういうところに施策の重点が向けられなければならないのか、この点特に農林省の見解を承っておきたいと思うのです。
  50. 西村周一

    ○西村説明員 先ほどから申し上げておりますように、農林省といたしましても、将来亜麻の生産をふやしていきたいという考え方には違いございません。そこで繰り返して申すことになりますが、反当収量を上げるということが農民の栽培意欲を押し進めることになるわけでございますので、重点的に反当収量を上げるという施策に集中して参る。なお、北海道で現在つくられております亜麻の栽培地帯は、根釧から宗谷、非常に広い範囲にわたっているわけでありますが、私どもの方で扱っておりますこういう特用作物と申しますのは、適地適産主義で参らないと能率が上がらないというような関係もありますので、今後は主産地形成的な考えを持ちまして、適地に集団的に主産地を形成して参りたい、そういう考え方で進めて参りたいと思います。
  51. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 もちろん、反収を上げるためには、適地適産の生産地形成ということも問題になるでしょう。しかしながら、私は、単にそれだけでは、この倍加する土産計画を達成することはできないと思うのです。反収を上げるといっても、それにはいろいろ数多くの問題があると思うのです。もちろん原種の問題もあるでしょうし、あるいは機械化の問題もあるでしょうし、単に反収を上げるというだけの問題でないと私は思うのです。特に適地通産政策は、これは何人も容認するところでありましょうけれども、しかし、北海道の場合、特に最近ビート工場がどんどん認可されて、ビートの作付面積を伸ばしていかなければならぬ。これと競合する地帯が大体亜麻の主産地形成地帯である、こう言っても私は過言でないと思う。しかしながら、酪農振興の面から見ると、たとえばビートが非常にとれない。根釧のように三千斤を割る、二千五、六百斤よりビートがとれないところでも、ビートの作付ば奨励されておるわけです。そういう面から考えてみますと、単に生産地形成、適地通産というだけでなくして、生産量を倍加する場合に、当然反収を上げるという以外の施策も講じて、やはり作付面積を確保する、こういう政策もあわせてある程度進めていかなければならぬじゃないか、このように私は考えるわけです。そういう点についてはいかがですか。
  52. 西村周一

    ○西村説明員 先生のおっしゃる通りだと存じますが、反当収量を上げると同時に、いわゆる労働生産性の向上、そういったことを当然やって参らなければならないわけでありまして、亜麻の栽培の中で最も労力を要しますのは、御承知のように、収穫の作業でございます。その収穫作業の機械化ということを昭和三十六年からテスト的に始めまして、外国から収穫の機械を輸入いたしまして、それによって労働生産性を上げていくということで、昭和三十八年には約六十台の機械を入れる予定をしておるわけであります。
  53. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで繊維局長にお尋ねをしますが、現在の亜麻繊維の国内需要の推移は、昭和三十五年から非常に上がってきておるわけですね。伸びておるわけです。その点について、結局国内自給度というものが、現状六〇%程度である。ところが、一方においてやはり国内需要というものは伸びていく、こういう傾向を漸次示しつつあるのではないか。もちろん、一方においては競合する繊維があります。合繊、化繊等の進出によって、競合する面も非常に強くなって参りますけれども、しかし、総体的な伸びの中で亜麻繊維については国内需要は伸びていく、こういう傾向をたどっておるのではないかと思う。緩慢ではあるけれども、伸びていく。しかも、自給度が今日六〇%程度である。今私の質問で開発庁からお答えがあったように、そういう見通しに立って、亜麻の生産は将来倍にする、国内自給度を倍にする、こういう計画を策定されておるわけです。そういう面から考えて、繊維は現在すでに貿易自由化をされておる。ところが、輸入繊維に対しては、無関税の措置があわせてとられておるわけです。従って、そういう関係から言って、亜麻製品の自由化の問題は、この将来計画に対して重大な影響を及ぼすのではないか、私はこう考えておるわけです。聞くところによると、今年の十月ごろに亜麻製品の自由化をするという計画があるやに聞くわけでありますが、この点について一体どうなのか。それから亜麻繊維の需要の見通しについて、どのように考えておるか、お聞きしたいと思います。
  54. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 亜麻繊維の需要の関係でありますが、今御指摘のありました通り、たとえば亜麻糸の生産高で見ますと、三十五年の生産が九千三百十二トンでございますが、三十七年にはそれが九千四百三十トンというふうにふえております。三十一年から三十七年を通じまして、今御指摘のように、若干ではございますけれども、少しずつふえておるというような傾向でございます。この点は、麻につきましてあまり伸びないというふうな見通しもございますけれども、一方、御承知のように、最近はテトロンと麻との混紡だとか、スフと麻との混紡糸が、ワイシャツ、その他に需要が出て参りまして、そういう関係もありまして、徐々にふえておるというような格好でございます。  それからもう一つの自由化の問題でございますけれども、ただいまのところ、通産省といたしましては、ことしの十月に自由化をするというふうな予定に相なっております。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで園芸局長にお尋ねしたいのですが、今日の亜麻産業の現状からいって、特に亜麻製品が十月から貿易の自由化がされるということになりますと、亜麻繊維産業にとってもきわめて重要であるし、また、亜麻を耕作している農民にとっても非常に重大だと私は思うのです。ところが、亜麻の場合には、全繊維に占める比率が非常に低い。あるいはまた、地域的に見て北海道に限られておる。大体北海道という点で、これに対する認識なり対策というものがずいぶん甘いのじゃないか、こう私は考えるわけです。この点について今、繊維局長から答弁があったのですが、農林省としてはどのように考えられておるか、見解を承りたいと思います。
  56. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 先生御指摘の通り、亜麻が北海道の特産物でございますことは、その通りでございます。ただ、先ほど来特産課長から申し上げました通り、やはりこういう特用作物というものは、特産地というものがございまして、そこでその生産を伸ばして参るということが肝要かと考えるわけでございます。従って、私どもとしましては、国際競争力をつけますために、生産費の低減、そのためには、さっき申し上げましたように農作業の機械化でありますとかいった措置を講じまして、将来の繊維品の自由化にも対処できるような措置をとって参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今年の十月に貿易の自由化がされるとすれば、すでに昭和三十八年の予算は参議院で今審議されておりますが、大体確定されておるわけです。そういたしますと、今あなたが答弁されておるのはきわめて事務的な答弁であって、この問題に対して、私の質問に対する回答にはなっていないと思うのです。今日の亜麻繊維産業の現状から見ても、亜麻製品が貿易の自由化でどんどん入ってくるというこりになりますと、これは亜麻繊維産業自体が問題になってくるのではないか。いわゆる輸入製品との太刀打ちが非常に困難な状況になってくるのではないか。それに伴ういわゆる生産者農民に対して間接的な影響も出てくるのではないか。せっかく開発計画では、これは寒冷地特用作物として将来は二倍に伸ばす、しかも自給度というものを大体八〇%以上保っていこう、こういう計画というものが狂ってくるのではないか、このように私は考えるわけです。むしろもう少しそういう態勢ができるまで、少なくとも亜麻製品の貿易の自由化については伸ばすべきではないか。これは、北海道から見れば、酪農製品と同じように、やはりこの亜麻製品の貿易の自由化についてはむしろ繰り延べをすべきじゃないか、乳製品と同じような考え方に立つべきじゃないか、そういう中でこの主産地形成をはかっていくとか、あるいは体質改善をしていくとか、いろいろな面が考慮されてくるのが至当ではないか、こう思うわけです。今、繊維局長の答弁から見ると、十月に亜麻製品の貿易の自由化をする予定だという。農林省として、特に国内亜麻の保護という面から見て、もう少し別途の角度からこの問題を検討してしかるべきでないか、このように考えるのですが、もう一度その点についての見解を承りたい。
  58. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 先生御存じの通り、原料繊維につきましてはすでに自由化されておるわけでございまして、従って、将来製品の自由化が行なわれます際には、むろんさっき申し上げました通り、現状の亜麻の生産費を下げて参りまして競争力を強める、これが農民にとって一番肝要だと思いますけれども、亜麻繊維製造会社にとりましては、それとは別に、当然企業の合理化その他の対抗措置というものがあるだろうというふうに考えておるわけであります。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 繊維局長にお尋ねしますが、亜麻繊維の占有率の大きいのは、帝繊あるいは日繊等があるわけですが、特に大会社の占有率は、現在どういうことになっておりますか。
  60. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 今お話のございました点、大企業と中小企業とございますが、たとえば亜麻糸で申し上げますと、帝国繊維日本繊維、麻糸紡績、東洋繊維、この四社が大きなものでございます。これが全体の生産の約九〇%を占めております。
  61. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 帝国繊維の場合は、占有率は何%になっておりますか。
  62. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 ちょっと資料がございませんので……。
  63. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私の記憶に間違いがなければ、大体六〇%くらいの占有率であると聞いておるのですが、大体その見当でよろしいですか。
  64. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 大体そんなものではないかと思っております。
  65. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで、農林省にさらにお尋ねいたしたいのでありますが、現在亜麻繊維の会社の場合に、四社で九〇%程度の占有率を占めており、帝繊一社だけで六〇%の占有率を占めておるわけです。しかも、これは中央繊維と帝麻が合併した後、六〇%の占有率を占めているわけです。しかも、この亜麻生産は、会社と農民が契約栽培をするわけです。従って、帝繊あるいは上位四社の計画、経営の方針というものが、この亜麻産業、その作付等に及ぼす影響はきわめて重大だ、このように私は理解をするわけです。従って、一方においては、亜麻生産についてはこれは将来倍に生産量を拡大する。ところが、一方においては、繊維業界の中で合理化をしなければならない。こういう相矛盾した状態が出てきているわけです。従って、今のままに放置しておくのでは、むしろ会社が自分の経営の合理化のために、原料工場等をどんどん引き揚げる。主産地形成等いろいろ新しい施策も行なうでしょうけれども、その方向は、どうも閣議決定の亜麻生産量を二倍に拡大していくという方向にはブレーキが大きくかかってくるのではないか、こう私は判断せざるを得ないわけですが、こういう点については、どういう見解を持っていますか。
  66. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 お言葉ではございますけれども、やはり農家としまして、特にその製品を安く買いたたかれるという心配がない限りは、生産はどんどん伸びていくのではないだろうか。特に北海道の場合、畑作農業でローテーションということが重要な問題でありますから、その一環として、当然亜麻作というものは、将来といえども私は経営の中に取り入れられていくものであると考えております。今、先生御心配の亜麻そのものの取引条件その他につきましては、これは農林省としましても、将来とも十分関心を持って見守っていくつもりであります。
  67. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 関心を持って見守ることはけっこうですが、少なくとも閣議決定で、北海道総合開発の一環として亜麻の生産は二倍にするんだという大方針があるわけです。ですから、当然その方向に向かって農林行政の面で亜麻の栽培をふやす、反収をあげて生産量を二倍に拡大していくという方向が、政策的に推し進められていかなければならないんじゃないかと思うのです。ところが、先ほど申し上げましたように、最近、北海道原料工場は、逆に漸次縮小されておるわけです。これは帝麻あるいは中央繊維が合併前には、原料工場だけで五つすでに閉鎖をされておる。また、合併後においては、わずか三年の間に三つの原料工場がすでに閉鎖をされてしまった。今度新たに提案されておるのは、標茶の原料工場と帯広の原料工場を閉鎖する。一方において、日繊の方は美幌の原料工場を閉鎖するという方針が出されておるわけです。そういたしますと、一つの例をとると、美幌から釧路、根室の釧根にかけて、前に中標津の工場が閉鎖をされておりますから、原料工場がない。ところが、亜麻の繊維は、茎を買って、実際に歩どまりというのは二割か二割三分か五分程度でありますから、輸送量から見ても、これは当然その地域における亜麻栽培の撤収作戦という工合に理解せざるを得ないわけです。しかしながら、この地域は、御存じのように酪農を中心とする寒地畑作であります。そうすると、輪作の面から言っても、亜麻の栽培というものが撤収をされていくということになりますと、これからのこれら地域の開発計画にも影響してくるのではないか、実はこう判断をせざるを得ないわけです。ですから、こういう工場の閉鎖等については、当然一方的に会社が閉鎖するのじゃなくて、そういう亜麻の生産計画に見合って廃止というものを考えていかなければならぬではないか。また、私は、そういうところに強力な行政指導が行なわれる、こういう前提に立って、いろいろ問題になりました帝麻と中央繊維の合併問題も十分消化されるということで、合併承認がなされておるものと考えるわけです。ところが、占有率が拡大をした一方においては、次第に合理化をして原料工場を減らしていく、農民に対するサービス等についても、漸次その地域から撤収をするということになると、きわめてこれは問題だと思うのです。公取においてこの問題を提起されて、いろいろそれぞれの関係者の公述が行なわれて、この合併が承認されておるという経過から見ても、私は相当重大な関心を払わなければならぬ問題だと思うのです。ですから、こういう原料工場等の計画については、全然相談のないものか。こういう閉鎖については、そういう経過からいって、あなたの方では相談を受けてこれに承認を与えておるものかどうか。この点についてお伺いしたいわけです。
  68. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 ただいまお話のございました原料工場の閉鎖の問題は、私の方に御相談がございました。私どもとしましては、ただいま先生御指摘になりました通り、その地方から工場がなくなりますと、農民に与えます心理的な影響というのは、確かに非常にあると思うわけであります。従って、あるいは将来この地方からもう亜麻作は放棄するんじゃなかろうかといったような心配が農家に起こるし、あるいはまた会社も腹の中でそういったことを考えておるんじゃなかろうかといった心配もございますので、そういう点は十分ただしましたところが、ほんとうの経営の合理化の意味であって、将来といえどもこの地方の亜麻作は買い取っていくと申しておりまして、私どもはその言葉を信用いたしまして、本来ならばこの地方に原料工場がありますことが望ましいのでありますけれども、会社の合理化のためであれば、これまたやむを得ぬことではないかというような了解をしておる次第でございます。
  69. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 どうも園芸局長の言うことは、会社の言うことだけ信用して、いわゆる行政的な立場に立ってものを見ないという欠陥があるんじゃないか、こう思うわけです。と言いますのは、一つの実例を出しておるのですが、その中に、中標津の原料工場が閉鎖されておるわけです。このときには、会社はどういう説明をしましたか。これは標茶、中標津に工場があって、どちらも操業率が低い。そういう点から考えて、集中操業をするためには、中標津の工場を閉鎖して、標茶の工場を残して、そうしてこの集中原料生産をはかるのである、こういう説明をしたのはごく最近ですよ。ところが、それが二年もたたないうちに、今度は標茶の工場を閉鎖する。これでも信用できますか。
  70. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 一方的に必ずしも信用してやっているわけではございませんけれども、ただ、先ほど先生も御指摘になりました通り、将来の自由化に対処する企業としての経営方針というものは、おそらく非常にきびしいものであろう、私どもは、部外者ではございますが、そういうふうに想像するわけでございます。従って、本来、長い目で見ますならば、将来の競争力に備えまして、生産農民の不利にならないような経営の合理化が行なわれるということは、この際やむを得ないことであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  71. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、こういう合理化を出す場合には、普通一般の会社の合理化と違って、今まで長い間、明治二十年から亜麻の栽培が行なわれて、六十年間北海道で操業しているわけです。しかも、日本の資本主義と戦争経済の中で亜麻産業は発展をした。いうなれば、これは石炭産業と同じような状態にあると思う。そういう歴史性から見ても、農民の理解と協力を得る、農民の納得を得ることが、きわめて大事な問題だと思うのです。ところが、会社は単なる自分の都合によって一方的に工場を閉鎖していく、地域の住民の意向を聞かないで、一方的に工場閉鎖計画を立てていくということは、少なくとも亜麻生産の場合には、普通一般の企業とは違うのでありますから、そういう行政指導が強力になされなければならぬと思うのです。少なくとも農民の意見を正式に聞く、そういう代表の意見を添付されて説明をされる、こういうことがなければならぬと思うのです。そういうことが全然なされていない。今までは、原料工場閉鎖についてもそうです。この点は、私は、亜麻産業の歴史性からいって納得のできないところです。こういう点について、どう考えますか。
  72. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 私どもは、先生の御指摘の通り、きわめて事務的であったかもしれません、それは、生産農民の製品が買い上げられるという保障があればよろしいということで、農民の心理的な影響その他まで深く考察しなかったという御批判は、そのままお受けすべきであろうと思います。確かにその点はございましょうが、繰り返して申し上げますが、さっきも申し上げました通り、製品の買い取りの保障があるという前提で、私どもは、この撤収をやむを得ぬと考えたわけであります。
  73. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 製品の買い取り保障があるということは、あたりまえです。初めから栽培するときに契約栽培です。しかしながら、その契約栽培を積極的に拡大していく場合と、これが漸次縮小していく場合では、違ってくるのです。できた製品を買い上げるというのは、契約栽培だからあたりまえだけれども、その点に大きな違いが出てくると思う。だから、そういう意味で、地域的な農民のこれからの営農方針、営農計画というものがあるはずですから、そういうものと十分突き合わしてこの問題については考えるべきではないか。ある場合においては、この原料工場については、若干縮小しても維持すべきだという結論が出る場合があると思う。そういう措置がとられないということは、きわめて遺憾だと思うのです。常識的に考えても、契約栽培ですから、そうじゃないですか。そうすると、原料工場がなくなって、その地域からさらに契約栽培を拡大していくという方向がとられるとは常識では考えられないのですが、原料工場は撤収されるわけですから、そういう点に具体的な問題は出てくると私は思う。あなた方は農民の立場を守るのが役目だから、そういう点で、農業協同組合もあれば、地域のいろいろな団体もある。地方自治団体もある。そういう意見を十分聞いて、これらの問題についてサゼスチョンをする。そうして、そういう納得の得られたものについては、やむを得ないでしょう。しかしながら、これは会社の言い分もあるけれども、どうしても農民の言い分を聞いて、そういう調整の中に残すという場合が出てこなければおかしいと思う。こういう点で、日繊並びに帝繊の原料工場の閉鎖について、再検討する考えはないかどうか。
  74. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 なるべくすみやかに、北海道庁に対しまして、この点の意見、地元の行政機関並びに生産農民としての意見というものを問いただしてみたいと考えます。
  75. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 開発庁に聞きたいのですか、先ほどあなたの説明にありましたように、亜麻の産業は、第二期総合開発計画で大体約二倍の生産量に拡大をする、こういう説明がありました。もちろんこの中には、生産地形成と反収を上げるという積極的な施策が含まれておることは当然でありますけれども、この計画には、大体北海道各支庁別に、あるいはブロック別に見て、この二倍にする生産計画というものの地域的な計画があるのかどうか。この点について見解を承りたいと思います。
  76. 青山俊

    ○青山説明員 計画の積み上げ作業の段階におきまして、一応試算をしてみた程度のものはございますが、計画として地域におろしたものはございません。
  77. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 従って、亜麻の生産は二倍にするという計画を持ちながら、地域的にはやはり問題があるわけです。これはやはり来年度、調整をされていかなければならぬ問題ではないかと思います。そういたしますと、特に占有率が——原料主産地は北海道であって、しかも、合併によって占有率が非常に高まってきておる、そういう企業が存在する限り、先ほど私が申し上げましたことが、特に企業合理化をする場合に重要な問題になってくるということが、今の答弁で裏づけされるのではないか、こう実は判断をするわけです。  そこで、公取委員長にお聞きしたいのでありますが、この帝麻と中繊が合併するときに、いろんな問題について関係者から公述が行なわれておるわけです。その中で、特にこの合併によって作付農民に対する——今まで競合しておったものが合併して、占有率が高まる、そのことによって農民に対して不利な事態でも起きないのかどうか、一本化したことによって原料工場がどんどん撤収をするというようなことが起きないのかどうかという問題点が心配されて検討をなされておると思うわけです。さらにこの中で、合併した場合に、六十年の歴史を持つ札幌の繊維工場の閉鎖という問題が、どうも意図されておるらしい。そのためにこの合併ということが考えられておるのだというふうなことが、ずいぶんやかましく論議されました。そこで、本件について、公取委員会の中で公述人がそれぞれ述べておることは、久保社長、当時中央繊維の社長でありましたが、現在の社長が述べておるのは、「最後に合併いたします両社の従業員にとりまして、合併は企業の基礎を強固にいたしまして、今後の発展を目的とするものでありまして、このような積極的な合併でございますから企業縮小の懸念は少しもないことを強調いたしたいのであります。」帝麻の社長は、「業界に生きようというのが合併目的でございますから、先ほど久保君の申し上げたように、従業員に圧迫するというようなことは絶対にないのでございます。」、こういう話がなされておるわけです。しかも、札幌工場の問題は、このときに具体的に出ておるわけです。佐藤さんは、参議院農林水産委員会で、東隆参議院議員が、特に札幌工場の問題については、一体この公取の中でも問題になっておるように聞いておる。この点についてはどうなのか。重大な社会問題を起こしてくるので、この点をはっきり一つ聞かしてほしい、こういう質問がなされておるのに対して、あなたは、「札幌工場の問題は、お話のようなことを私の方でも聞いたんです。そこで工場廃止ということを、われわれの方で何といいますか差し出がましく言うのはどうかという気もしたんですけれども、それはやっぱり従業員の問題にもなりますのでその点は念を押したんです。押さしたところが、いや札幌工場は廃止しないということを会社側が言っておる。こういう事実であります。」あなたはこういう答弁をされておるのですが、この点には間違いありませんか。
  78. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 今お話の公述人の話、あるいは参議院における私の発言、その通りでございます。
  79. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで開発庁にお聞きしたいのですが、北海道総合開発は、多額な国費がつぎ込まれて今日進められて参ったわけです。特に北海道原料供給地である。これを漸次変えていこう、そういう中で、北海道に企業の誘致をして、北海道原料を使って、北海道でものを生産するということを前提にして、北海道の総合開発が進められておるわけです。特に、亜麻については北海道生産が独占的にされておるわけでありますから、そういう面から考えても、六十年間の歴史を持つ札幌工場が、今度単なる企業の合理化のために簡単に閉鎖をされてしまう、そうして亜麻主産地の北海道は単なる原料の供給地になってしまうこういうことは、私は、歴史的に見ても、あるいはまた中繊と帝国製麻とが合併するときの公取委員会における公述等を見ても、これは政治的にも、社会的にも、きわめて問題だと思うのです。北海道総合開発の一環から考えても、これは非常に大きな問題だと思うのですね。この点について知っておるかどうか。知っておるとすれば、この点についてどういう見解を持っておるか、お聞きしたいと思うわけです。
  80. 青山俊

    ○青山説明員 工場の閉鎖等につきまして、うすうすながら話は聞いておったのでございますが、具体的に直接協議を受けたというふうなことはございません。北海道の第二次開発計画を推進して参る私どもの気持からいたしますと、原料生産はそごなく続けられるということは別といたしまして、道内にこれら原料を使います二次産業が、今後とも伸びていくというふうなことを期待しております、そういう気持から言いますと、望ましくない姿ではなかろうかというふうに考えております。
  81. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで、私は園芸局長並びに繊維局長にお伺いしたいのですが、北海道の総合開発は、開発庁だけでやっているわけではない。これは企画をするところであって、政府全体が北海道総合開発を進めているわけです。そうしますと、特にこういう北海道のみに原料供給が限られておる場合ですね、北海道総合開発の一環として、私は名君とも慎重に考える必要があると思うのです。もちろん札幌工場は、これは町のまん中になってしまった。坪十万円するではないか、こう言われておる。帯広の原料工場も、市役所の裏になってしまって、これも土地利用では、町のまん中で、都市計画に組み入れられていく、この事情は私わかるわけです。勘ぐってみると、それだけ地代が上がってきたから、この工場をやめて財産処分をする、あるいは別に利用をする方が、常識的に考えて、企業にとっては確かに符なわけです。しかしながら、北海道のそういう総合開発の一環として、国費を投じて開発を進め、工場を北海道に持っていこう、こういう時期でありますから、特に北海道のみで原料が供給されている亜麻の繊維生産工場としての札幌工場の閉鎖ということは、これは各省とも関連して重大なる関心を払うべきだと私は思うのです。特に帝国繊維は、歴史的に麻茎の買い入れから製品販売まで一貫して行なっているわけです。ほかの中小メーカーですと、生産して、その販売は問屋で行なう。ところが、六十年間の歴史があって、とにかく官僚商法といいますか、そういう一つの方向でずっと今日まできているわけです。ですから、企業の合理化という場合には、そういう面で検討なされなければならぬ問題がむしろあるのではないか。今の茎の買い入れから販売まで一貫して行なっているのは、今日の繊維業界の現状から見ても、どうなのか。こういう問題の方がむしろ先に検討されるべきではないのか。ですから、結局資金量も非常に膨大に必要だ。茎の買い入れから生産品の販売まで一貫してかかえなければならぬのですから、運転資金だけ見ても、非常に膨大なものです。この金利の負担は、全部この会社が一貫して行なわなければならぬという問題もあるわけです。このように考えて参りますと、私は、むしろそういう点の合理化が先に促進されるべきであって、北海道の総合開発と切っても切り離すことのできないこういう工場の閉鎖等の問題については、いわゆる原料供給側の農林省、あるいは北海道総合開発で工場をむしろ北海道へ持っていくという立場から見れは、繊維局としても、やはりそういう国の政策に基づいて関心を払わなければならない問題じゃないか。北海道開発庁としては、当然今の答弁の通りだと思うのです。できれば残したいというのは当然だし、しかも道民の声もそうだと思うのです。こういう点について意見の調整が行なわれ、それぞれ各省で検討されるということは、私はおそらくないと思うのです。ありますか。こういう亜麻の問題は、繊維の問題の一、二%くらい、だから、もうわずかな問題だから、あまりそんなことは考えておらない。それ以上とても大へんな大きい問題があるんだということで、あまり顧みられないのが、私は、実情ではないかと思うのです。そういう角度から、もう少し政治的な、社会的な面からこの問題について検討する意思があるかどうか。検討しなきゃならぬ問題だと思うのですが、この点の見解を承っておきたいと思います。
  82. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 亜麻の問題につきましては、今お話のございましたように、繊維の中ではシェアは少のうございますけれども、私ども決して軽々しく取り扱っているわけではございません。従って自由化の問題につきましても、慎重に考えまして、他の繊維につきましては、自由化をすでにやったわけでございますけれども、これを延ばしておるというのが現状でございます。そういうふうな現状でございますが、亜麻糸そのものにつきましては、大体日本の亜麻糸は、外国のそれに対しまして、約二〇%から三〇%近く高いというふうに聞いております。そういう点で、貿易の自由化、輸入の自由化を目前に控えまして、企業の生産合理化が要請されておるわけでございます。そういうことで、会社といたしましては、おそらくそういうふうな見地から、これは御承知かと思いますけれども、帝国繊維といたしましては、ただいま工場を五つ持っておりますが、その工場の中で、札幌工場が、設備数その他から見まして比較的規模が小でございますので、これを大きなところに持っていきまして集中生産をやりたいというようなことで、会社がこういうことをきめたものだというふうに考えています。
  83. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 一方においては、亜麻は特用作物として、しかも北海道における成長財作物として、これは倍に生産を拡大していく。そうして自給度を八〇%以上に高めていこうという計画が細まれておるわけです。あなたの答弁では、現状は、確かに四〇%の亜麻糸が輸入されておるわけです。これもしかし四〇%だから、価格の面でも相当影響しておると思うのです。これが逆になると、私は輸入糸の価格というものが上がらぬとは断言できないと思うのです。特に輸出国であるベルギーでは、相当な保護政策なりをとっておるわけです。ですから、そう簡単に亜麻糸が安いという短期間のものの見方では、私は大きな誤りを来たすのではないか、実はこういう感じがするわけです。ですから、一方においては、とにかく八〇%以上の国内自給度を高めていこうというのですから、私は、先ほど言っているように、製品の自由化についても、そういう面を十分各省間で検討した上でやらなければならぬ問題だ、むしろ私の判断では、砂糖製品と同様にこれは相当延ばさなければならぬのではないか、こういう見解も実は持っておるわけです。そうすると、自給度が高まってくるのは北海道ですよ。ですから、今の短期間のものの見方で、北海道から工場を撤収し、集中生産すれば合理化できるという企業の要求だけで、この問題は私は容認さるべき問題ではないと思うのです。もし札幌工場が不便ならば、臨海工業地帯に移してもいいんじゃないですか。今は、繊維は全体的に確かに操短ですよ。だから、操短であるから、札幌工場をやめて持ってくれば、集中生産合理化ができる。しかしながら、機械はすべて移すわけです。しかもまた、第二会社をつくるという計画もあるわけです。そこにも一部機械が配置される。全部それが閉鎖されて、完全にそういうものがストップするものではないわけです。札幌は太ものの生産をしているわけですから、そういう面が、一方国の政策では、毎年四百億も五百億も六百億も七百億もずるずると北海道総合開発に金を投じて、一方においては、こういう生産の拡大について計画が組まれている、そのための施策というものが考えられなければならぬといわれている。ところが企業の力は、単なる企業の要求だけで、その自給度を高めていこうという生産計画に逆行して、北海道から工場を撤退する。それも今の短期的なものの見方で撤退をされるなら、私はきわめて重大な問題だと思うのです。東北、北海道の開発金融金庫までつくって、向こうの方に融資しようという、そういうわけですから、私は、この点むしろ関係省においてこの合理化を内容的に検討し直さなければならないのじゃないか。先ほど言ったように、必要資金が多いとすれば、この販売部門を切り離すというような面も考えられるでしょうし、あるいは亜麻茎を買い入れることは非常に多量の資金を毎年々々要するわけですから、この面については、むしろ普通市中銀行に依存するのでなくして、そういう自給度を高めるという政策からいえば、低利の系統資金を貸し付けるということも考えていくことが、政策的には大事ではないかと思うのです。そういう総合的な検討の中で、この占有率六〇%を占める帝国繊維合理化という問題が消化されなければ、どうも今の国の政策と企業の考えとはずれがある、こう私は言わざるを得ないと思うのです。こういう点についてはいかがでしょうか。
  84. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 確かに先生の御指摘の通りだと存じます。私どもといたしましても、過日帝国繊維の会社側の申し出に対しまして検討を約している次第でございますが、近い機会に北海道の意見を聞く機会がございますので、それを聞きます。  それからなお、私は、決して短期的な合理化で工場閉鎖ということを申し出したのではないというふうに、きわめて善意かもしれませんが、解しております。その点、先生の御指摘もございますので、担当の局でございます通産省繊維局長の方ともよく相談いたします。
  85. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 繊維局長に特にお尋ねしておきたいと思うのですが、先ほど言ったように、上位四社がかきわめて占有率が高い。しかも、中小企業の場合には、これは非常に数が多くて、中小企業団体法の適用を受けて、そうして生産規制なり、あるいは価格の問題等についても、ある程度規制を行なっておるようなんです。そうすると、亜麻産業の将来を考えると、まだまだ大会社集中の方向がとられていくのではないか。そうしてその占有率は高まっていくのではないか。中小企業は将来漸次減って、消滅する傾向を強めるのではないか。現在の政策では、私はそういう判断をするわけです。現状の亜麻繊維産業の状態から考えて、私のこういう見解については、繊維局長としてどう思われますか。
  86. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 今お話がございました通り、大手四社のほかに、亜麻糸につきましては、中小企業が九社ございます。それから、これは従業員も四百人程度でございまして、一社百人というのは比較的小規模工場でございますが、将来の麻紡績業あるいは亜麻糸製造業がどういうような格好になるかということにつきましては、私どもも実はよくわからないわけでございますけれども、ただ、感じといたしましては、今のように輸入の自由化、貿易の自由化がございます。もしそういうことになれば、これはイギリスあたりから相当質のいいものが入ってくるおそれが十分ございますというふうなこと、それから、そういうような状態に対処いたしまして、私どもといたしましても、三十六年の六月に関税を引き上げましたり、あるいは輸入機械につきましては、その関税を免除したり等々の手を打っておりますが、そういうことと同時に、いろいろ紡績の仕上げの関係につきましても、その生産工程を短縮するとか、それから温湿度調整の機械を備えさせるとか、いろいろそういうふうなことがございます。結局こういうような生産合理化につきましては、相当の金が要るわけでございまして、そういう点につきましては、これは大企業の方が、現状におきましては、比較的そういうふうな生産合理化をしやすいというふうな関係もございます。中小企業につきましても、この中小企業の振興の立場からいろいろ将来めんどうを見ていきたいというふうに考えておりますが、そういうふうな状況でございまして、今後どういうふうになるかということにつきましては、いろいろの感じがあろうかと思います。私どもといたしましては、中小企業につきましても、だんだんと生産合理化をやって、そうしていろいろな環境にこたえていくことができるというような方向で育成、助成をはかっていきたいと考えております。
  87. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 上位四社の経理状況はどうですか。
  88. 磯野太郎

    ○磯野政府委員 私の記憶では、今の問題点になっておりますと申しますか、帝国繊維が、従来八分程度の配当をしておったと思いますが、最近は四分ぐらい減配をしておると覚えております。これはそういうようなことで配当をやっておりますけれども、必ずしもその計上されたような利益が現実にあるかどうかということについては、疑問を持っております。その他の三社につきましては、ただいま無配でございまして、その経理内容ば相当に苦しいというように考えます。
  89. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、残念ながら時間がありませんから申し上げておくのですが、結局、亜麻産業は、競合繊維関係もあり、あるいは製品の自由化という問題も、ある程度将来の展望に立って考えなければいかぬ。そうすると、特に上質のものは、イギリスあたりのものが国際貿易の中でも非常に優位を占めている、こういう問題がある。ところが、一方において、企業としてなかなか成り立っていかない。だから、合理化が集中的に進む。一方においては、外貨節約という面から考えて、これは製品輸出もあるわけなんですから、糸については外貨節約をするということで自給度を高めていく、倍の生産に拡大をしていくという方向がとられるわけですね。ですから、これは石炭産業と同じです。歴史的にも似ておるのです。戦争経済とともに発展し、終戦とともにばたりといって、そうして今日いわゆる競合繊維がどんどん出てきている。しかし、需要はあるんだ。石炭も一定の需要があると同じように、需要がある。非常に似ておると思うのです。歴史的にも、現状も似ていると思う。ただ、たまたま繊維の占める率が一%程度だ、あるいはまた北海道に地域的に限られておるから、社会的な影響も及ばさぬから、これはあまり大きな問題にならぬと思うのです。しかし、北海道という地域的に考えると、これは石炭産業と同じ問題です。しかも、寒地畑作農業の一環として、輪作その他の面からいっても、亜麻産業というものはどうしても保持しなければならぬし、ある程度拡大しなければならぬという方向を持っておるわけです。ですから、そういう面で、繊維局長としても、この合理化の問題について、単なる今の合理化の方向がいいのかどうか、ある程度施策が必要なのではないか。特に政府方針としては、北海道に企業誘致をする、工場を分散するということで、毎年度膨大な予算がつけられて行なわれておる。ですから、その場合に、単に企業内部の合理化だけで見るのではなくして、何らかの施策があれば工場を残すという前提で、まず物事を考えてみる。今の札幌の工場が、将来問題があるとするならば、どこかに移すということも考えられるでしょう。あるいはまた、農林省としても、先ほど言っておるように、帝国繊維の場合には、一貫操業で茎の買い入れから製品販売までしておる。そのための金利負担、金融面が非常に困難になって、借入金が増大しておる。しかも、銀行管理というような状態に追い込まれておる。ましてそれ以外の亜麻繊維企業というものは、おしなべてよくないというのであれば、そういう面を多角的に検討して、この対策を立てるべきだと思うのです。この点について、一応会社は合理化案を提示しておりますけれども、私は、単に労使の問題でこのことを見ておるのではないのです。やはり産業の配置なり、企業の配置なり、国の政策としての国土開発計画なり、それに伴う寒地農業政策の面から総合的に考えても、単に一企業にまかせるべきではない。まして帝国繊維の場合には、占有率が六〇%を占めておるという面から見ても、重大な関心と強力な行政指導がとられなければならぬと思うのです。そういうものが明らかになって、地域の理解を受け、農民の了解を受けて、工場の閉鎖、いわゆる合理化が行なわれるという方向がとらるべきだと思うのです。この点を、時間がありませんので、特に強く要望しまして、終わりたいと思います。
  90. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次会は明十三日午前十時より開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会