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1963-03-05 第43回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月五日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 小川 平二君 理事 岡本  茂君    理事 首藤 新八君 理事 白浜 仁吉君    理事 中村 幸八君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君       小沢 辰男君    小平 久雄君       齋藤 憲三君    田中 榮一君       中川 俊思君    南  好雄君       村上  勇君    山手 滿男君       岡田 利春君    北山 愛郎君       多賀谷真稔君    中村 重光君       山口シヅエ君    田中幾三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         総理府総務長官 徳安 實藏君         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         中小企業庁長官 樋詰 誠明君  委員外出席者         参議院議員   向井 長年君     ————————————— 二月二十七日  委員北山愛郎辞任につき、その補欠として高  田富之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員高田富之辞任につき、その補欠として北  山愛郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員中村重光辞任につき、その補欠として和  田博雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として中  村重光君が議長指名委員に選任された。 三月二日  委員岡田利春君、多賀谷真稔君及び中村重光君  辞任につき、その補欠として山花秀雄君、加藤  清二君及び堂森芳夫君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員加藤清二君、堂森芳夫君及び山花秀雄君辞  任につき、その補欠として多賀谷真稔君、中村  重光君及び岡田利春君が議長指名委員に選  任された。 同月五日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  田中幾三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  春日一幸君が議長指名委員に選任された。 同日  委員春日一幸辞任につき、その補欠として伊  藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十七日  中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二三号) 三月四日  上水道事業用電力特別料金設定に関する請願  (二階堂進君紹介)(第一六九五号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六九号)  中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二三号)  中小企業基本法案向井長年提出参法第四  号)(予)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五三  号)      ————◇—————
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。質疑通告がありますので、これを許可いたします。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 時間がありませんから、今議題となっております公庫法の一部改正案に対して、二、三点大臣にお尋ねしますが、御承知通り高度成長政策によりまして、中小企業設備投資、あるいは中小企業に対する一般融資というのは、非常に増額されつつあるわけであります。従いまして、これに伴っての信用補完制度というものは、非常な重要性を帯びて参りました。今度三十八年度予算の中におきまして、保険公庫に対して三十億の融資基金出資が行なわれることになっております。私は、ただいま申し上げましたような点からいたしまして、三十億は少額に過ぎるのではないか。もっと信用補完重要性というものを考えるならば、少なくとも五十億程度の出資が必要になってくるのではないか。それだけではなくて、準備基金というのがきわめて重要であると考えるのであります。しかし、準備基金に対しての出資がないということに対しては、大臣はどのようにお考えになっておられるのか。その点に対する大臣考え方を聞かしていただきたいと思います。
  4. 福田一

    福田国務大臣 御承知のように、この信用保険制度は、中小企業、いわゆる信用等もあまりないけれども、実際に設備近代化していくというようなものをできるだけ助成するという建前からやっておるわけでありまして、昨年の暮れまでに三千億円ほど保険をつけておるわけでございます。来年一ぱいにこれが四千六百億円くらいまで保険高がふえる予定でございまして、その場合には、大体三十億円くらい出資をいたしておけば、その保険を引き受け得るという観点から、これだけの予算措置をいたしておるわけでありまして、大体今の考えでは、われわれが必要とする限度までは何とか保険をつけ得るのではないか、かように考えておるわけでございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 先日、この問題に対しましては、いろいろ質疑をいたしました。大体大蔵省に対して中小企業庁予算要求をしておったのは、四十五億でございます。これが削られたということになっておるわけであります。さらにまた、保証協会から参考人に来ていただきまして、いろいろ質疑をしたわけであります。これに対しましても、融資基金、さらには準備基金出資を強く要望しておったわけであります。この点に対しては、大臣のこの後の一そうの努力によって、融資基金、さらには準備基金増額出資が行なわれるように強く要請いたしておきたいと思います。  さらに、信用保険条件改善というのが重要になって参りますが、小口保険填補率引き上げていくということ、さらには保険料率を大幅に引き下げる。これはいわゆる低金利政策ということに対しまても、特に閣議等におきましても、重要問題点として取り上げられておると思います。特に、政府金融機関に対する中小企業期待というものは強いわけであります。このことを考慮いたしますならば、填補率引き上げていく。それから保証協会が貸し付けた資金の回収努力するわけであります。この回収金に対して長年間保証協会公庫に強く要請をしておったのは、還付金制度をつくってもらいたいということであります。これは回収成績を上げていくということに対しては、非常に重要な点であります。しかし、今のところは、これが非常に少ない。意欲を阻害しておる、こういう結果が生じておると私は思います。この還付金制度は、この際やはり検討しなければならないのではないか。今申し上げましたいわゆる填補率引き上げ、それから保証料率引き下げの問題、それから還付金制度の問題、この点に対する大臣考え方を聞かしていただきたい。
  6. 福田一

    福田国務大臣 ただいま御質問の点は、いずれも信用保険の問題を取り扱う上においては、また、特に中小企業を育成する意味において、非常に大事な問題であると思います。  あとの方から申して恐縮なんですが、還付金を創設するということは、実はその理由もわれわれ一応納得できる面もありますので、何とか一つできたらやりたい、こういう考えで今までも努力をして参りました。予算その他の場合においても努力しておったのでありますが、今後一そう努力をいたしたいと思います。  それから保険料率引き下げにつきましては、二毛と一毛下げたことは御承知通りであります。  それから填補率の問題ですが、これはまだ今交渉をいたしておりますが、御希望に沿うようなところまでいっておりません。今後も一つ大いに努力をいたしたいと思います。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、填補率の問題は、小口保険、いわゆる小規模保険でありますが、これは二十万円という制度がただいまできておる。保証協会等におきましては、現在の段階においては、これを三十万円くらいまで引き上げる必要があるのではないかということを強く、先日の参考人意見としても陳述しておったのであります。私どもその必要を感じておりますが、この問題は将来一つ御検討していただくということにいたしまして、ともかく小口保険は、最低八〇%までの填補率引き上げということは、当然おやりにならなければならぬと思います。小口保険制度というものをつくられたのは、やはり零細企業がなかなか金が借りられない。そこでむずかしい条件を避けて、ともかく無担保、無保証、それから申し込んだならば直ちに借りられるというような考え方、そういうことで取り組んでいく必要がある。また、そうした零細な企業者期待にこたえることになるであろうということであった。ところが、現実にはなかなかそう行なわれておりません。この点に対しては、大臣は特に一つ関心を持って、小口保険制度を十二分に活用する、そして金融面から閉ざされておるこれら零細企業者の救済をやる、こういうことに一つ努力をしていただかなければならぬと思います。そのことは、今私が申し上げました填補率の問題、それから保証料率の問題も、若干下げましたけれども、そういうことでは、これはもう実情に即しません。ですから、一つもっと勇断を持って大蔵省とも積極的に折衝をやりまして、もっと引き下げるように努力をしていただきたい、そのことを一つ強く大臣に要望いたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。最後大臣の御意見を伺えれば幸いでございます。
  8. 福田一

    福田国務大臣 御趣旨はよく了承いたしましたので、今後一つ大いに努力をさしていただきたいと思います。
  9. 逢澤寛

    逢澤委員長 他に本案についての御質疑はありませんか。——なければ、お諮りいたします。  本案についての質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  11. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に、討論に入るのでありまするが、通告もありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  本案原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  13. 逢澤寛

    逢澤委員長 起立総員。よって、本案原案通り可決されました。  なお、本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  15. 逢澤寛

    逢澤委員長 去る二十七日に付託になりました内閣提出中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。
  16. 逢澤寛

    逢澤委員長 まず、通商産業大臣より趣旨説明を聴取することにいたします。福田通商産業大臣
  17. 福田一

    福田国務大臣 中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  従来、中小企業関係法律における中小企業者範囲は、おおむね、製造業等につきましては資本金一千万円または従業員三百人以下、商業サービス業につきましては、一千万円または三十人以下と規定されてきたのでありますが、最近における経済の著しい成長発展に伴い、中小企業における資本金規模従業員規模との関係が変化して参り、このため、これまでの中小企業者定義規定では、このような中小企業実態にそぐわないこととなって参ったのであります。  さきに提案いたしました中小企業基本法案におきましては、このような中小企業実態にかんがみまして、中小企業範囲の一応の基準を明らかにするとともに、諸施策が対象とする中小企業者範囲は、その施策が同法案に定める中小企業政策目標を達成するため効率的に実施されるように、各施策において定めるべきであるといたしたわけであります。  本改正法案は、このような中小企業基本法案趣旨に基づき、中小企業における資本金規模及び従業員規模実態に即応するよう中小企業等協同組合法中小企業団体組織に関する法律商工組合中央金庫法及び中小企業金融公庫法の四法律における中小企業者範囲に関する規定改正し、中小企業者範囲製造業等につきましては資本金五千万円または従業員三百人以下、商業サービス業につきましては同じく一千万円または五十人以下の事業者といたしたものでありまして、これによって中小企業施策の総合的、効率的な実施を期するものであります。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  18. 逢澤寛

    逢澤委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案についての質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  19. 逢澤寛

    逢澤委員長 去る二月十四日予備付託となりました向井長年提出中小企業基本法案議題とし、審査に入ります。
  20. 逢澤寛

    逢澤委員長 まず、提出者より趣旨説明を聴取することにいたします。提出者向井長年君。
  21. 向井長年

    向井参議院議員 ただいま議題となりました中小企業基本法案民主社会党案提案理由と、その概要を御説明いたしたいと存じます。  中小企業基本法成立が何ゆえに必要か、それは今さら申し上げるまでもありません。わが党を初めとして与野党三党ともに、それぞれの中小企業基本法案提出し、かつまた、今回は政府案提出された事実こそ、本案重要性並びに一日も早く成立をはかるべき緊要性を立証しているのであります。  わが国中小企業は、雇用面では全労働者の約七割を占め、生産においては全生産額の約六割を生産し、輸出面では輸出総額の五割強を受け持っております。わが国経済において、中小企業が実際に果たしている役割の大きさは、何人といえども認めざるを得ないのであります。しかるに、中小企業の置かれている実態を見ますと、資本労働技術経営のそれぞれの面で、まだまだ近代化が進んでおりません。大企業に比べて競争条件が著しく劣っているばかりか、企業規模も、零細企業を底辺として、大きさに格差があり過ぎます。現在の中小企業は、大企業中小企業といういわゆる経済の二重構造の桎梏に縛られているばかりか、お互いの間で激しい過当競争を繰り返しているという二重、三重の不利な条件のもとに置かれております。このような条件にある中小企業をいかに振興育成し、その生産性を高め、近代化を進めていくか、その基本策を定め、それに基づいて具体策の体系的、計画的推進をはからない限り、わが国経済から、二つ経済構造二つ労働条件が存在するという根本欠陥を取り除くことはできません。  中小企業基本法こそは、中小企業者が自分の正しい創意を生かして企業発展従業員労働条件の向上をはからんとする努力を高く評価し、この努力が生かされるよう保障していく中小企業の進むべき大道を示すものであります。私どもは、このような観点に立って本法案を立法し、提案しているのであります。  本案は、前文及び十二章二十八条よりなる本文によって構成しました。  まず、前文におきましては、ただいま述べましたような本法の本質を明らかにしました。特に前文最後にありますように、「国の将来の理想像は、全国民中産階級化福祉国家の実現にあり、この目標に向かって、中小企業の安定と振興を図るため、ここに新たなる中小企業政策基本原則を指向し、この法律を制定する。」という点に、私ども理想が集約されております。  本文の第一章、総則におきましては、本法が目的としている中小企業政策基本目標をまず明らかにし、この政策を実現する国、地方公共団体責任を明らかにしました。特に私どもは、国の政策実施機関として中小企業省を設置すべきである旨を規定しました。なお、中小企業定義につきましては、最近の経済発展実態にかんがみまして、資本額は最高五千万円といたしました。また、中小企業のうち、特に小規模事業定義を明らかにして、小規模対策確立をはかりました。  第二章、調査及び計画は、国が政策実施するにあたり、調査基本計画実施計画の三案、国会に対する報告義務について規定しました。  第三章、中小企業者協力組織におきまして、今後の中小企業者基本組織は、業種別地域別に自主的に組織され、民主的に運営される同業組合である旨を規定しました。従来の協同組合はもちろん活発に活動しなければなりませんが、さまざまな産業分野を担当していく社会的責任体制確立し、大企業に対抗していく実力を備え、かつお互い過当競争を自主的に調整していくためには、同業組合の設立こそが、中小企業発展の土台となるべきであります。なお、協同組合組織として商店街組合を新たに加えることにいたしました。  第四章、中小企業者産業分野確保におきましては、今後のわが国産業構造の中にあって、中小企業者による経営経済的、社会的に適切であると認められる業種確保し、大企業がここに不当侵入せしめないような方向を明らかにしました。  第五章、中小企業者事業活動の保護におきましては、現在並びに将来にわたる中小企業と大企業との間の紛争を処理し、中小企業事業活動をこの面から保護する基本規定であります。  第六章、中小企業者に対する官公需確保におきましては、政府並びに政府関係機関としての公企業体、公団、公庫及び地方公共団体などが、わが国における最も大きな購買力を持つ団体である事実にかんがみまして、これらの諸団体が、できるだけ中小企業者より物資サービスを購入するよう、その基本方針規定しました。これによって、中小企業者に対する安定した発注先確保せんとするものであります。  第七章から第十一章までは、設備技術及び経営近代化施策貿易上の施策財政金融上の施策、税制上の施策、労務上の施策の五つの面の基本施策規定しました。  第十二章、中小企業政策審議会におきましては、中小企業行政民主化をはかる当然の措置として、国が中小企業政策の立案、実施にあたりましては、民間から選ばれた総理府付属の本機関に諮問すべき旨を規定しました。  私どもは、政府案が、中小企業者自主的努力を大きくうたいながら、その努力基盤となるべき中小企業の自主的な協業組織強化について、何らの規定を持たない点を深く遺憾といたします。また、政府案は、小規模事業について一条を充てておりますが、その位置づけは基本法案のきわめて僅少なる一部としての扱いであります。これでは、中小企業のほとんど大半を小規模事業が占めている実情を無視したものと言わざるを得ません。  このほか、政府案について、私どもはきわめて不満とし、不十分と判断せざるを得ない個所が多数あります。  今や、貿易自由化という世界的潮流に、中小企業も裸でさらされようとしているときにあたりまして、中小企業者のため、特に小規模事業者のための基本法確立は緊急の必要があります。従って、政府案及び各党案について、中小企業者のための中小企業基本法確立のために、お互いに率直に審議し合うことが非常に大切であると考えます。この意味におきまして、本案につきまして、慎重審議の上、何とぞ御賛同あらんことを希望いたします。(拍手)
  22. 逢澤寛

    逢澤委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  23. 逢澤寛

    逢澤委員長 私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  24. 板川正吾

    板川委員 官房長官に、私は第一番に聞きたいのでありますが……。
  25. 逢澤寛

    逢澤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  26. 逢澤寛

    逢澤委員長 速記を始めて下さい。板川正吾君。
  27. 板川正吾

    板川委員 独禁法の一部改正法案について、まず第一に、黒金官房長官一つ伺いたいと思います。  この法案は、定員を六名ふやすという内容のものですが、これに関連した問題として、黒金官房長官は、二月二十三日の記者会見で、例の特定産業国際競争力強化法、この法案をいろいろごたごたした結果まとめた。で、その際に、合併やカルテルの認可というものを公取に置くということにきまりましたね。そのときに、もし国際競争力強化法ができた場合には、現在の公正取引委員会機能は不備だから、一つこれは強化すべきじゃないか、こういう記者会見のときの言明があると思うのです。そのときの言明内容について、一つ直接伺いたいのです。
  28. 黒金泰美

    黒金政府委員 二月二十三日の土曜日の記者会見のときに、いろいろとこの権限につきましても議論がございました。今度はだいぶ権限強化になりますので、公取委員会の方もやはりいろいろと考えなければならぬのじゃありますまいか、不備なところがあれば、これは改善していくことは当然のことでございますし、特に、そう申しては、ここに委員長がおられますので、恐縮でございますけれども委員長の地位も認証官でありながら、実は給与は官房長官並みでございまして、御本人を前にはなはだ恐縮なんでありますが、これではなかなかりっぱな方を迎えにくいので、そういう点もやはり検討すべきものじゃありますまいか、かようなことを申しました。
  29. 板川正吾

    板川委員 公取委員長待遇というのは、この独禁法ができたときは、国務大臣と同じ待遇だったのです。それが、今は次官並みに下がってしまった。これは認証官でありながら、一番低い待遇を受けておる、けしからぬということで、前々からわれわれ議論しておったのです。これはあとでまたやりたいと思うのですが、この国際競争力強化法というのが、いずれ出るだろうと思います。その内容も、公取関係ではおそらくこれ以上動かぬと思います。公取業務については変わらぬと思いますが、そうしますと、公取業務が、それを機会に非常に——公取というのはやればやるだけの仕事はあり、やらなければやらないで済む仕事かもしれません。しかし、一方において合併が促進されて、企業合併というのが一つ産業界のムードになってくる。それと同時に、独占の弊害というものが一方において生まれつつある。こういう場合には、やはり公取機能強化して、そして一方において一般国民の利益を守るという態勢を政府として組む必要がある。そこらをお考えになって公取機能強化するということを発言されたのではないかと思うのですが、いかがですか。
  30. 黒金泰美

    黒金政府委員 今申し上げた、その必要があればよく検討して改善をしたいということの背景といたしましては、今お話がございましたように、今までの独占禁止法というものは、率直に申して、あまり外国交渉のない封鎖されたそういう日本経済の中で、独占事業ができて、そうして消費者が困る、これを監視すればよろしいというふうに思っておったわけでありますが、今度自由化になって、よそから安いもの、しかもいいものが入ってくる。その場合には、日本産業自体基盤強化考えなければいけない。日本産業外国の波でもってつぶれては何にもなりませんから、これも考えながら、しかも消費者に迷惑のかからないように、そういう処理をしていかなければならない。今までとだいぶ変わった見地に立って独禁法も運用すべきであろうし、ことに、その中の特定産業につきましては、振興法を新しくつくりたい、こういう気持でおるのでありますから、そういう見地から、一ぺん公取自体制度なり機能も見直しまして、必要があればこれを改善していきたい、こういう趣旨で申したわけであります。
  31. 板川正吾

    板川委員 もちろん、必要があればそうすることは当然ですが、必要を前提としておられるのじゃないかと思っておるわけです。なるほど外国から安いものは入って参りますが、一面において、外国の大きな資本日本と比較にならない資本日本に自由に出入りして、そこでその資本力背景に不公正な取引をやることも当然考えられる。不公正な取引を用いて中小企業零細企業を圧迫するという傾向も、当然ある。それを監視するのが、独禁法のいわゆる不公正取引禁止の項目だと思います。それを取り締まるか、取り締まらないかというのは、取り締まるべき要素が多くなってくると思うのでありますが、それは公取をもっと強化しないと、今の公取の人数では、日本全国にわたって、外資の大企業が不公正な取引を用いて中小企業を圧迫するというようなことを取り締まっていけないのじゃないか。だから、そこらを考えて、これは直接官房長官が人数をふやせと言う位置にあるわけではないのですから、遠慮して、必要があればそれをふやすことも当然じゃないか、こういうことで記者会見をされたのじゃないかと思いますが、どうなんですか。
  32. 黒金泰美

    黒金政府委員 今お話の通りに、直接の関係者としては委員長もおられますし、いわばやや独立的な機関になっておりますし、それからこの上には総務長官もおられますし、関係の方とよく御相談を申し上げて善処したい、こういう気持で、必要があればということを申し上げたのであります。
  33. 板川正吾

    板川委員 それでは官房長官けっこうです。また、必要があればあとで来七もらいます。  そこで、まず第一に、公取委員長待遇問題について総務長官に一つ伺いたい。  直接の関係でないといいますか、官房長官の方から、過日、これまた新聞等に報道されたように、公取委員長待遇を、これは不当に低いから改善すべきだということが言われた。これは再々この商工委員会でも取り上げて参ったのでありますが、総務長官としてどういう認識をされておるのか、伺いたい。昭和二十三年この独禁法が施行された当時は、公正取引委員長は、いわゆる国務大臣、検査官、人事院総裁並みの待遇を受けておった。ところが、昭和二十六年の十月から、公取委員長は一階級下がりまして、内閣官房長官公正取引委員長、これが同じ待遇になった。三十三年には、政務次官、内閣官房副長官、総理府総務副長官、国家公安委員会委員公正取引委員会委員長というふうに、その下にまた一クラス下がってきております。それで、一方において公取委員長は、独禁法二十九条に「委員長の任免は、天皇が、これを認証する。」とありますように、認証官ですね。最近大学総長を十六万円、十八万円というふうに認証官にして格上げをしようという法律が出ましたが、この公取委員長待遇改善というものをどういうふうにお考えであるか、一つ伺いたい。
  34. 徳安實藏

    徳安政府委員 お説ほんとうにごもっともでございまして、私どもも就任しましたその直後におきまして、現委員長に再任をお願いした場合に、そういうような問題も出て参りました。こういう待遇では、再任をお願いするのもほんとうは無理ではないかという話も出、私もほんとうにお気の毒なことだったという考えで、総理とも、官房長官とも常々話をしておりまして、何とか適当な機会には待遇改善しなければいけないということを、昨年の九月ごろから話をしておったわけでございます。認証官でありながら、今お話のように、ほかに比較いたしまして非常に低い地位に並置されておるというようなこと、認証官としての体面から、また、現在の地位の重い点から考えましても、ほうっておくべきではない、さように考えまして、総理もそういう御意見でございました。機会を見てこれは上げなければいけない、上げるようにしようという話をしておりました。たまたま今回通産省関係等からいろいろな問題もございますし、ますますその重要性が深くなって参りました。また、今の佐藤委員長からも、私はこれで別に不足はないからがまんするが、あとにいい人を求めようとされるならば、今のようなことではいけませんよという御注意も、実は受けております。かたがた適当な機会にはそうしようという考えでおりましたが、この点は、認証官の問題でございますから、総理なり官房長官の方に取り上げていただいて御相談願いたいということで、相談していただいておるわけでございますが、だいぶん前から、世間には出ておりませんでしたけれども、あの大学総長の認証官の問題が起きます以前から、これはつり合い上当然待遇改善すべきだということを総理もお考えになっておりまして、内々大蔵省と折衝しておったわけでございますが、ようやく最近話がつきまして、大蔵省の方から、一応十八万円程度に待遇を上げたらどうだろうかということに了解がついたと話があったということを、官房長官から昨日私承りました。それはもっと上げるにこしたことはございませんが、一応はこの線でやっておきまして、そしてその次に地ならしをしなくてはならないような事態も起きておりますので、非常に現在まで俸給表はでこぼこでございまして、その場その場できめられたようなものがございまして、上に立つ人の方が安くて、その以外の下の方が高いようなものもございまするし、それから今申しましたような、認証官でありながら、他の認証官とつり合いのとれないような状態にほうっておかれたものもありましたので、これを一つ調整していこうという考え方が内閣にはございますので、一応今度十八万円にきめましても、その次の機会には全部の地ならしをするという考え方のようでございますし、決してほうっておくようなことはいたさぬと思います。まことにこれまでの行き方は悪かったと思いますが、気づいて今一生懸命やっておるわけでありますから、御了承いただきたいと思います。
  35. 板川正吾

    板川委員 いつから改善するようですか。
  36. 徳安實藏

    徳安政府委員 御承知のように、ただいま予算審議中でございますから、さかのぼってやるわけには参らぬと思いますので、あるいは四月の一日からの方になろうかと思います。
  37. 板川正吾

    板川委員 公正取引委員会というのは、政府の方はあまり歓迎しないかもしれないけれども国民としては、非常に重要な国民の利益を守っておる委員会ですね。これは大企業中小企業を圧迫するというものを守り、あるいは大企業が、その価格を調整してカルテルを結んで、安くするのを安くしない、お互いに協定して値段をつり上げよう、こういう国民生活に非常な重大な問題のときに、目を光らすのですね。ですから、国民の側からいうと、公正取引委員会機能というものが発揮されて十分な活躍をすることが、国民生活安定上当然歓迎すべきことなんです。公取は、その行政的な権限を持っておりますが、一面また、独禁法の中で立法的な機能も持っておる、また、場合によっては司法的な機能も持っておる。政府という形をある意味じゃ圧縮したような機能を持っておる。そういう機能を持っておる重要な公取委員長待遇というのが、政務次官並み官房長官並みというのでは、これまではあまりひどかったと思うのです。一つ四月からその点においては改善をして、将来さらにつり合いのとれた改善をしてもらいたいと思うのです。そうでないと、これから出るだろう国際競争力強化法——合併促進法とわれわれは考えておりますが、これは公取考え方いかんによって実際は骨抜きにもなるということになります。公取がしゃんとしておれば、りっぱな——佐藤委員長は、今度勇退される名委員長で、最近は公正取引委員会委員長の職責に非常に忠実であったわけです。停年勇退ということになりますと、あとそのかわりを当然きめなくちゃならないわけですが、政府として意中の人物がありますか。これは、この前の国対委員会かあるいは議院運営委員会で、公正取引委員長を任命する場合には、野党の意見も尊重して人選をするということになっておりますが、そういう方針できめられるのかどうか、承っておきたいと思います。
  38. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまのお説ごもっともだと思いますが、今度は認証官というような立場と考え方から選考されるようでございますから、もちろん私にも最後にはお話もあろうと思いまするし、参画はいたしますが、そうした高い地位の関係から、総理、官房長官を中心として御選考になると思います。御趣旨の点はよく伝えまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  39. 板川正吾

    板川委員 前に公正取引委員会委員を補充するときには、これが人選の場合には議運の方で野党の意見も十分尊重するということになっておりますから、一つそのことも念頭に置いて、国民の利益を守るようなりっぱな人を、野党も納得するような人選をしてもらいたいということを要望しておきます。  そこで、次に公取委員長に伺いたいのですが、今度の三十八年度予算の場合に、公正取引委員会として定員の増加を要望したと思うのです。それは、昨年御承知のように、不当景品類及び不当表示防止法という法律を制定して、それの主管が公取となって、一般消費者国民の利益を守るということで、その仕事公取が見ることになった。また、昨年は下請代金支払遅延等防止法という法律を抜本的に改正をしまして、そうして大会社が下請企業に下請代金を払う場合には六十日を最高限度としろ、それ以上の場合には法定の延滞利子をつけろ、こういった画期的な下請代金支払遅延等防止法の改正があったわけです。その全国的な運用ということが、私は重要だろうと思う。法律はつくったがそれを守らぬというのでは、これは全く国会の意思を無視するわけですから、そういう法改正の意思を尊重して、行政的な取り締まりを強化していく、監視を強化していくということが、公取の任務になったわけですが、そこでそうした仕事の量がふえたために、三十八年度では少なくともこの程度人員が必要である、そうでないと、公取として独禁法の目的を守ることができない、こういうことになろうかと思うのですが、公取として幾人人員増加の要求をしたのか、それを説明していただきたい。
  40. 佐藤基

    ○佐藤(基)政府委員 三十八年度予算の要求につきましては、ただいまお話のありましたようないろいろな事件があります。われわれの方といたしましては、消費者物価がどんどん上がってきておる、この上がってくる原因はいろいろありますけれども公取の立場といたしましては、価格協定等によって上がる場合も相当あるので、この価格協定の取り締まりが必要だ。それから、先ほどお話がありました不当景品類及び不当表示防止法の運用の問題、下請代金支払遅延等防止法の施行の問題、こういう問題に関連いたしまして、増員の要求をしたのであります。  なお、その関係において今まで特に問題にいたしましたのは、現在大阪、名古屋、福岡に地方事務所がありますけれども、北の方にはない。しかして北の方にもだんだん事件もありますので、札幌に地方事務所を設けることが適当であるという考えで、それらの考えを合わせまして五十二名の要求をいたしたのであります。しかし、いろいろな関係でだんだん査定されまして、結局わずか六名になって、今度の法律改正をお願いすることになったのであります。この点につきましては、われわれの方としては非常に不満でありますけれども、過去の実績から見ますと、今年度に対する前年の要求は、四十六名の要求に対しまして査定はゼロであります。それから三十六年度に対する三十三名の要求に対しまして査定は四名、その前はゼロというように、私の方では一生懸命にやるつもりでありますけれども、また、総務長官においても非常に応援していただいておるのでありますけれども、増員要求はなかなかむずかしい。幸いに三十八年度につきましては、この委員会におきまして附帯決議をつけられた趣旨もございまして、やっと六名増員が認められたということであります。  なお、これに関連しまして、定員増加も必要だけれども公取の活動を強化するために検査に行く、調査に行くという旅費の点が相当不足しておったので、この旅費についても、相当公取といたしましては同情ある査定を受けたという現状であります。しかしながら、このわずか六名で満足したわけじゃありませんので、来年度はさらにこれを増すように努力し、総務長官にもいろいろお骨折りを願いたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 総務長官は時間がなさそうですから、ちょっと総務長官に関連して伺います。また、あらためて来ていただくことといたしましても、きょうは基礎的なことをお伺いしておきたいと思うのですが、あなたは私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律、並びにそれに関連する付属法として去年できました不当景品類及び不当表示防止法という法律を御存じですか。それはどういうような趣旨のものか御存じか、一つお伺いいたします。
  42. 徳安實藏

    徳安政府委員 法律のあることも知っておりますし、その重要なることも承知いたしておりますが、あまり詳しいことは、実は読んで解釈するほど頭に残っておりませんが、しかし、公取委員会重要性につきましては、抽象的ではございますけれども承知いたしておるわけでございます。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 今までですら少なかったのです。それはさておき、去年当委員会において審議成立いたしました公取関係法律二つあります。これは先ほど板川君が申しましたように、下請代金支払遅延等防止法の改正、及び今申しました不当景品類及び不当表示防止法なんです。この膨大な法律実施するのに、わずか六人くらいふやして実施できると思いますか。そうして独禁法と、この不当景品類及び不当表示防止法、下請代金支払遅延等防止法、この二つ法律について伺いますから、この次までに勉強してきて下さい。
  44. 板川正吾

    板川委員 公取委員長が助け舟を出して、過去の実績はゼロが多かったのだけれども、六名だけまあまあふえたというお話です。それは助け舟のつもりだろうと思うのですが、しかし、独禁法行政というものは、ここで非常に重要性を持ってきたと思うのです。貿易自由化で、為替自由化も行なわれ、資本自由化も行なわれる、こういう態勢の中で、外国のスーパーマーケットの日本進出と同じように、外国の大きな資本あるいは外国資本日本の大きな資本と結びついた企業活動というものが、自由になってくる。そうなってくると、中小企業者の立場を守ったりするという仕事も、これは重要な仕事になってくると思うのです。それから物価問題にしろ、何といったって物価が上昇を示しておる。その基礎は、やはりカルテルが中心なんですよ。やみカルテルといい、公然たるカルテルといい、カルテルが中心になっておるのです。大体過去三年間——一昨年ですか、経済企画庁長官は、ことしは物価は一・一%しか上がらぬ、日本の物価は世界で一番安定しておる、こう言って、実際は、前年比から言うならば一〇%近く——九・何%も上がっておる。昨年は二・八%物価は上がるだろうと言ったら、今度は、平均ですが、六・二%上がった。三十八年度は二・八%上がるだろう。これも五、六%上がるのは必至なんです。そうすると、三十六、七、八と三年間に、二割近く消費物価が上がるということになる。しかも、その消費物価の上がる値上がりムードというのは、何と言ってもカルテルが原動力になる、カルテルが中心になるのです。だから、政府も、物価値上がり対策として、公正取引委員会強化して、一面において独禁法をきびしく運用して、そういうのを取り締まっていこうと言わざるを得なくなったと思うのです。そういう意味で、貿易自由化があり、外国の大資本日本中小企業を圧迫するという傾向もあり、それも不公正な競争方法を通じて圧迫しようということがあり、物価の問題、あるいは下請あるいは不当景品の問題ということを考えると、公正取引委員会の任務というのは、私は非常に重要になってくると思う。だから、従来、封鎖経済といわれた中で、自由化でないときに、いろいろ要求したが、思うように通らなかった。これはある程度当時やむを得なかったかもしれないけれども、今になってくると、公取の活動というのが非常に重要になっておるだけに、従来四十名も要求して一人もなかったことからいえば、五十二名要求して六名だから、命中率は一〇%くらいになって、まあまあというだけじゃ、私は済まぬと思うのです。そこで、きょうは総務長官もお忙しいようですから、私はこれで質問を留保して打ち切りますが、一つ五十二名を要求されて六名に削った理由を、資料を整えて、納得するような説明を次の機会にお尋ねしたいと思うので、次の機会まで待って、きょうはこれで質問を打ち切っておきます。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 板川君の要求いたしました資料に関連してですが、不当景品類及び不当表示防止法を実施するための人員は幾らになるか、これはふやした六名がどうなるのか、あるいは今まで他のものを出しているのか、その問題で何人の人が当たるのか、何人でやればこの法律が十分に効果を現わすことができるかという検討の結果も、一つお願いしたいと思います。
  46. 逢澤寛

    逢澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明六日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時十五分散会