○深瀬参考人 私、
全国信用保証協会連合会常務の深瀬でございます。よろしくお願いいたします。平素保証業務につきましては、皆様の格別の御理解とあたたかい御支援を賜わっておる次第でございまして、おかげをもちまして、いささかでも
中小企業者のために貢献をすることができておりますことは、皆様の御配意によるものでございまして、この
機会に
全国の協会にかわりまして厚く御礼を申し上げたいと存じます。なお、今後せねばならないこと、
改善すべきことが多々ございますが、今後とも引き続きまして、どうぞ御指導のほどをお願い申し上げたいと存じます。
本日、当
委員会に私が参考人としてお呼びをいただきました
趣旨は、来年度の
政府予算案におきまして、国の
財政から三十億円を保険公庫に出資するに伴いまする公庫法の改正に関連する事項につきまして、保証協会として意見を述べよということでございますが、御
趣旨を体しまして、この三十億円の効果とか、なおせっかくお与え下さいました
機会でもありますので、それに関連いたしまする事項につきまして、保証協会として意見を述べさせていただきたいと考えます。
なお、これは私どもの会長の意見を私がかわって申し上げるということでございますが、私非才でございまして、表現がまことにまずいところがございまして、はたして会長の真意をお伝えできるかどうかお恥ずかしい次第でございますが、しばらくお聞き取りを願いたいと存じます。
第一は、この三十億円の
資金は、保証の伸長の原資といたしまして保証協会にお貸付を願う、こういう建前と承っておるのでございますが、その限りではまことに保証協会といたしましてありがたいことでございまして、協会といたしましては、この国の御配意に十分におこたえをせねばならぬと考えております。おかげをもちまして、保証制度も年々
強化されて参りまして、三十七年度は約四〇%の保証伸長をいたしまして、この三月末残高は大体二千六百億円に近いものだと推定いたしておるのでございます。三十八年度におきましては、この三十億円と、都道府県からの
財政援助、それから協会自体の収支残高等をもとといたしまして、さらに本年度程度以上の保証伸長をせねばならぬ、こういうふうに存じておるのでございます。
それではこの三十億円で十分満足か、こういう点でございますが、私どもは、
政府と同じように、三十八年度の保証平残の
目標は二千九百億円ということでございまして、これを達成いたしますに必要な流動資産をその約五・五分の一というふうに計算をいたしまして、大体五百三十億円と押えまして、そのうち三十七年度末には約三百九十八億円くらいの保有流動資産があると推算いたしまして、差引百三十億円ばかり新しい流動資産を持たねばならない、こういうふうに存じておるのでございます。ここまでは
政府と全く同じ見解でございます。県から七十億円、それから保証協会全体の三十七年度におきまする収支じり、これが約十二億円くらいの見当でありますが、差し引きまして五十億円を国の
財政に期待いたしたのでございますが、それが三十億円になったのでございまして、ありがたいという気持は一ぱいでございますが、決して手放しで満足しておるというには遠いのでございます。
それでは五十億円の要望が三十億円になったから、二千九百億円の
目標達成というのは絶対不可能か、こういう現実の問題になって参りますと、これはそれだけ都道府県に期待をいたす分が多くなるわけでございまして、これは保証協会といたしまして、今後なみなみならぬ
努力を要する問題であるのでございます。なお、保証協会といたしましては、
関係の金融機関に対しまして、保証業務の伸長につきまして今後一そうの協力を要請する等の
努力をいたしまして、何とかしてこの
目標に近い点までこぎつけたいというのが、今の心境でございます。ただ、来年度災害とかいうような
一般保証と性質の違う保証が多数発生いたしますと、なかなかこの三十億円では乗り切れぬ事態が起こるということを申し上げまして、そういう事態が起こらないということを願いながらも、なおそのときのことが心配であるというのが、率直な感じでございます。
次に、この公庫への出資に関連いたしまして、今後ぜひとも御配意を賜わりたい事項を簡単に申し上げたいと存じます。それは保険料の引き下げでございます。この三十億円の運用益の一部をもちまして、来年度小口保険料を日歩二毛、これは大体現行の一二%でございますが、その程度引き下げていただける。さらに包括一種の保険につきまして日歩一毛、これは現行の約五%に相当いたしますが、その程度引き下げを願えるという
政府案になっているように伺っております。これは、いずれもその限りではまことにけっこうでございますが、協会の年来要望いたしておりまする引き下げ率にははるかに遠いのでございまして、全体的にはなお二〇%から二五%程度の引き下げが望ましいのでございまして、毎年少々しつっこいとお考えになるほど繰り返し要望申し上げておる問題でございます。
ではなぜさように保険料の引き下げを望むかということでございますが、これは保証料の引き下げのためには、保険料の引き下げが一番近道である、こういうことからでございます。大へんに概括的なことで恐縮でございますが、三十六年度について見ますと、全協会の保証料の収入というのは二十六億円ございましたのに対しまして、保険料は約八億円の支出をいたしております。これは大体保証料の三〇%程度に当たるわけでございますが、この三〇%程度は何としても高率でございまして、これを引き下げることによりまして保証料の引き下げをはかりたいということでございます。もちろん、公庫の貸付金の利息収入からの運用益の一部が保証料引き下げに寄与しておることは事実でございますが、先ほどの保証料の一〇%を引き下げるといたしましても、二十六億の一〇%程度でございますから、二億六千万でございまして、この三十億円の利息収入ではなかなかそこまでいかないのでございます。
保証料は、御承知のように、
中小企業者にとりまして金利の上積みになるわけでございまして、負担軽減という面から保証料の引き下げという声はすこぶる強いのでございまして、協会といたしましては、本
委員会から私がちょうだいいたしました
政府の資料によりましても明らかでございますように、だんだんと保証料の引き下げを実現いたしておるのでございます。しかしながら、保険公庫の
立場に立って考えますと、保証協会の要請はよくおわかりになっておりながら、なかなか要望をかなえられないという仕組みになっているのでございまして、保険公庫の苦しい
立場も了とせざるを得ないのでございます。と申しますのは、相当大幅な保険料引き下げのためには、公庫の経理が収支均衡せねばならぬという鉄則をはずすか、それとも収支均衡の上に立つという
原則を守るためには、これは保険料引き下げに相当する原資を生む保険準備金を相当額追加投入しなければできないわけでございまして、私は、収支均衡という今の
原則を堅持するためには、何とかして保険準備金を追加投入してほしいのでございます。現在の保険準備金は六十五億でございますが、これを倍程度まで増加いたしまして、さしあたってわれわれが要望いたしておりまする程度の引き下げを実現していただきたいというのが、お願いの
趣旨でございます。私どもといたしましては、少し控え目に、来年度四十五億円くらいの準備金の追加を要望いたしまして、これによりまして相当の保険料の引き下げを
希望いたしたのでございますが、残念ながら実現に至らないのでございます。
なお、これはよけいな
希望だというおしかりをこうむるかもしれませんが、保険準備金は、現在のように
資金運用部に預託をいたしませんで、保証協会にお貸しを願えれば、保証協会は、これを保証原資といたしまして取引の銀行に預託をいたしまして、金利はそのまま保険公庫にお納めする。これによりまして、保険公庫の運用収入は全く同じで、しかも保証伸長ができ、その金は保証と結びついておるのでございますから、一銭の違いもなく確実に
中小企業に向かって流れるという、一石二鳥の方法があるということを申し添えきせていただきたいのでございます。
次は、保険の限度についてでございます。この問題は、むしろ保険法の改正の御
審議がこの
委員会で行なわれます際に申し上げるべき筋合いでございますが、せっかくお与え下さいました本日の
機会でもございますので、お許しをこうむりまして、申し述べさせていただきたいと存じます。
現行の小口保険は、一人につき二十万円でございまして、包括二種は、
一般は七百万円、
組合は一千万円、これが限度でございます。小口保険についてみますと、保証の第一線の窓口で直接
中小企業者に接しておる者の実感といたしましては、これは営業
資金でありますから、何といたしましても二十万円では低過ぎるという意見でございます。大体の感触といたしましては、
一般に五十万円、大都市におきましてはそれよりもう少し高いところというのが、御意見でございます
経済の
拡大に伴いまして、
中小企業者といたしましては、
資金の需要がだんだんと高くなってくるということは事実でございまして、私ども保証協会といたしましては、三十八年度少し控え目に現在の二十万円を三十万円に引き上げまして、しかも現在とっておりまする
従業員常時五人以下、
サービス業三人以下という制限をはずしまして、三十万円の申し込みなら、それをこのまま小口保険の対象とするというふうにお考えを願いたいということを要望いたしましたが、これも実現に至らなかったのでございます。小口保険の制度は、
趣旨はまことにけっこうな制度でございいますが、こういう実情でございまして、まことに中途半端な制度になりまして、実効が薄いということが、私どもの抱いておる実感でございます。
次に、包括二種保険の限度は、
一般には先ほど申しましたように七百万円、
組合は一千万円でありますが、各協会で
中小企業者に接しておりまする者の意見といたしましては、これでは中途半端だということでございます。
経済が
拡大いたしまして、
中小企業者の
資金需要が大きくなるということは、先ほど申し上げた
通りでございまして、皆さんすでに御承知の
通りでございますが、一方、
中小企業基本法での
中小企業者の定義も拡張されるという時期でもございまするので、来年度七百万円を一千万円に引き上げまして、
組合の現在の一千万円を三千万円に保証を引き上げるということを
全国の協会で申し合わせをいたしまして、その裏づけといたしまして、保険の限度も同様に引き上げ方を要望いたしたのでございますが、残念ながらこれも見送りとなったのでございます。
政府でも、来年は見送るが、三十九年度には考えてもよろしいという御意見も一部にあるかと伺っておりますので、それまでは
中小企業者の方々にがまんをして待っていただくということになるのでございます。
蛇足でございますが、この限度引き上げをやれば、大口に力が入りまして、せっかくの小口制度がなおざりになりはしないかという御懸念を万一お持ちの方がございましたら、その御心配はないと申し上げたいのであります。
保証の中で二十万円以下の占める比率を申しますと、件数では四〇%、金額では一〇%でございますこれを五十万円以下ということにいたしますると、件数で七五%、金額で三〇%でございまして、実績の上からも、小口に力を注いでおるということを申し上げていいと存ずるのでございます。
要は、保証協会の心がまえの問題でございまして、全協会とも、
中小企業者のための保証という
立場に強く立脚いたしておるのでございまして、小口をなおざりにするということは、将来もないと断言してよろしいと存ずるものでございます。その上に、各方面の有識者によって
組織いたされておりまする保証協会の
理事会なり、さらに直接日常保証業務を監督されておりまする都道府県当局の強い御監督もある次第でございまするから、二重の意味でただいまの懸念はないということを申し添えさせていただきたいと思います。
大へん簡単でございますが……。