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1963-02-22 第43回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十二日(金曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長  逢澤  寛君    理事 小川 平二君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    海部 俊樹君       小平 久雄君    笹本 一雄君       始関 伊平君    田中 榮一君       中川 俊思君    南  好雄君       村上  勇君    山手 滿男君       久保田 豊君    小林 ちづ君       中村 重光君    山口シヅエ君  出席政府委員         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 渡辺弥栄司君         通商産業事務官         (中小企業庁         振興部長)   加藤 悌次君         通商産業事務官         (中小企業庁         指導部長)   影山 衛司君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房         財務調査官)  佐竹  浩君         中小企業信用保         険公庫総裁   山本  茂君     ————————————— 二月二十一日  委員 久保田豊君  辞任につき、その補欠として川村継義君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員川村継義辞任につき、その補欠として久  保田豊君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十九日  中小企業基本法案永井勝次郎君外三十名提出  、衆法第一〇号)  中小企業組織法案永井勝次郎君外三十名提出、  衆法第一一号)  中小企業基本法案内閣提出第六五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六九号)      ————◇—————
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業金融全般にわたってお尋ねをしたいのですが、時間の関係がありますので、きょうは、ただいま議題になっております中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案中心といたしまして、お尋ねしたいと思います。  まず、政務次官にお伺いをしますが、御承知通り高度経済成長政策によって、設備投資が大企業中心に行なわれておるわけであります。しかし、日本経済の安定的な発展をはかっていくこういうことになって参りますと、大きな役割を日本経済の中に占めておる中小企業設備投資を行ない、従って、これを合理化、近代化していくということが、きわめて重要な問題点にあることは議論の余地はありません。しかし、いろいろな統計を見てみましても、中小企業設備投資というのは、あまり伸びがないのであります。これは非常に問題である。  そこでお尋ねをいたしますが、過去三年間の大企業設備投資中小企業設備投資比率、これはどういうことになっておるのか、その点に対する御説明をお伺いしたい。数字の問題でございますので、事務当局から御答弁を願ってもけっこうです。
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 数字の内容でございますから、事務当局からお答えいたさせます。
  5. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 お答え申し上げます。  毎年、これは中小企業金融公庫の方で具体的に調査をいたしておりますが、その調査資料に基づく数字を申し上げます。昭和三十三年度実績でございますが、これは製造工業だけでございます。割合が、大企業が六四%、中小企業が三六%。三十四年度実績でございますが、大企業割合は六五%、一%上がっております。それから三十五年度実績でございますが、大企業が六九%、中小企業は三一%。それから三十六年度実績でございますが、大企業はさらに上がりまして七一%、中小企業は二九%。三十七年度見通しと申しますか、一応各企業体予定しておる数字がございますが、大企業が七三%、中小企業二七%、こういうふうになっております。
  6. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業設備投資は、大企業よりも例年下がっている、こういうふうに、比率から見ますと、現われておるわけです。これは非常な問題です。日本銀行の貸し出し残高を見てみますと、一九六〇年度では四八%を記録しておる。次年度は一・五六%を記録したわけですね。ところが、中小企業はどうかというと、同じ年度に、三十六年度にはわずかに一%を記録したにすぎない。このことをもって見ましても、いかに中小企業を育成し、これを強化して発展をさしていかなければならぬ、そして経済の二重構造を直していかなければならぬのだということをいつも政府は口にしながら、数字に現われておる実績は、ただいま振興部長から御答弁がございましたように、逆の結果を現わしておる。これは大きな問題だと思います。私は、この問題に対しましては、なお深く突っ込んで問題点指摘し、また見解も伺ってみたいと思います。しかし、中小企業基本法質疑も行なわれなければなりません。その際に十分お尋ねをいたしたいと思います。  そこで具体的な問題に入りますが、中小企業信用補完をはかるために、現在信用保険公庫というものが設立されている。そこで保証残高というものが問題になってくるわけでありますが、保証残高は、最近の年度でけっこうでございますが、大体どうなっておりますか。それから三十八年度保証残高見通し、これはどの程度予想しておられますか。
  7. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 保証協会保険公庫との保険契約状況を申し上げますると、三十七年度の上期が千六百六十七億、これが実績でございます。それから下期、これは予定が一部入るわけでありますが、千四百五十七億、合計が年間で三千百二十四億円の契約をする、こういうことでございます。
  8. 中村重光

    中村(重)委員 その予定は、保証利用率は何%と踏んでおりますか。
  9. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 三十六年度が二・八四%でございますが、一番最近でわかっております数字が、昨年の十月でございますが、二・九二%、月を追うごとに率が高くなっております。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどの保証残高公庫協会契約でございますが、三千百二十四億と言われるのは、三十八年度見通しでございましょうか。そうでございますね。
  11. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 先ほど、お答え申し上げましたのが、先生の御質問とちょっと食い違いがあると思いますので……。お答え申し上げましたのは、保証協会保険公庫との間の、このワクまで保険をいたしますという契約でございます。それで補足してお答えいたしますが、最近の保証残高、昨年の十月末現在でございますが、金額で千九百五十億、こういうことになっております。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 昭和三十八年度保証残高、これはもう一度確認いたしますが、大体見通しはどの程度予想しておられるのかということと、もう一つは、その予想数字が出ましょうから、それによる保証利用率は、何%と踏んでおられるのかこれはこの改正法律案関係がありますから、お尋ねをいたしておきます。
  13. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 保証規模を大体今年度の三五%アップぐらいに考えておりまして、三千億弱、こういうふうに考えております。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 金額は……。
  15. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 二千九百九十五億でございます。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 私が調査いたしております数字と若干違っております。これは私は、政府関係機関統計数字でありますから間違いないと思いますが、まずあなたの答弁をもとにいたしてお尋ねいたします。その信用補完制度をただいまのお答えのような数字でもって充実をしていく、こうなって参りますと、その度合いが問題になって参りますが、その点はまず別といたしまして、ただいまあなたがお答えになりましたような保証利用率を達成するということになって参りますと、勢い保険公庫基金の問題、いわゆる融資基金の問題、あるいは準備基金の問題というものが、ここへ出てこなければなりません。でなければ、補完制度充実をさせる、こういうことにはなって参りません。そのような信用補完充実を期していく、ただいまお答えになりましたような数字を達成するために、保険公庫の必要であるという資金はまずどの程度であるのか、そのことを一つお答えを願いたいと思います。
  17. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 今申し上げました来年度保証規模二千九百九十五億と予定いたしまして、そのために必要な出資が三十億という計算で予算が算定されておるわけであります。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの方は、大蔵省予算要求をなさったと思います。その予算要求数字をまず聞かしていただきたい、今あなたの方では、改正案として三十億を御提案になっておるから、これに合わせなければいかぬというので、逆算をしていらっしゃる。だから、そういう保証残高数字が出、また保証利用率という、お答えのような数字が出た。私はこれは問題であると思う。指摘いたしましたように、中小企業設備投資を強化していかなくちゃならぬ。特に先日の本会議におけるように、小規模企業に対しては特別の融資考えているんだ、そういうことであるならば、小規模企業育成強化をはかっていくということになって参りますと、信用補完制度充実ということが当然起こってこなければならぬ。それならば、保証残高の面におきましても、相当大きな予算を計上していかなければならないし、従って、保証利用率というものもそこに問題になって参りますから、あなたの方では、そうした目的を達成をするために大蔵省にこの程度予算が必要であるという要求をなさったことだろうと思う。まず、そのあなたの方が予算要求をなさった保証残高、その数字、それに伴うところのいわゆる利用率何%であったのか、それを達成するためには、保険公庫資金はどの程度必要であるのか、まず、その三点にわたってお答えを願います。
  19. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 ちょっとはっきりした数字はここに持ち合わせておりませんので、予算要求をいたしました数字は四十五億——融資基金四十五億という数字要求でございます。基本的な設備投資に対する考え方でございますが、これは財政投融資全般についてそういう考え方予算要求をしたわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、ここ数年、大企業中小企業との設備投資割合が、逐年中小企業は低下している、これではいけない。基本法中心の課題でありますいわゆる設備近代化、それと並行していかなければいけません、いわゆる資本装備率増大という面からいたしまして、どうしてもこの中小企業と大企業との間の設備投資のバランスを、なかなか一挙にといってもむずかしいと思いますが、少なくともここ数年の平均値でございます三三%くらいに上げたい、こういった考え方要求をいたしておったわけでございますが、ただ、その後、逐次来年度中小企業あるいは大企業設備投資見通しというか、こういう数字もはっきりして参りまして、そういう面から見ますというと、今度の最終的に予算できめられた数字でもまあまあいけるのじゃなかろうかということでおきめを願っておる、こういうことになっておるわけであります。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 そうしますと、その三十億の中に入っていると思いますが、三十六年度から出発をいたしました輸出振興特別保証制度、これは、その数字の中にどの程度三十八年度予想しておられるのか。それからいま一つは、この制度運営といいますか、それはどういう状況になっておるのか。まず、その点を伺ってみたいと思います。
  21. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 お答えいたします。  本年度予算の二十五億でございますが、その二十五億の融資基金のうち、先生の今おっしゃいました輸出特別保証基金として出しております金額は、三億でございます。来年度三十億をどの程度そちらの方に向けるかということは、最近の輸出振興特別保証制度利用状況、それから今後の利用状況等を見まして、あらためて検討したいということで、現在のところはまだワクをきめておらない、こういうことでございます。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 私がお尋ねしたのは、三十六年度から出発した輸出振興特別保証制度運営というものが、うまくいっておるのかどうか。端的にお伺いしますが、実は中小企業金融公庫なんかの状況調査いたしてみましても、どうも当初の考え方というものに無理があったのか、あるいは指導がまずいのか、あるいはPRが徹底をしていないのか、あまりいい成績が上がっていないと私は考えている。だから、どういうことなのか、それをまずお尋ねしますのと、それから先ほどお尋ねをしましたのが、抽象的でおわかりにならなかったと思います、この制度のために、協会保険公庫予定をしていた金額がありましょう、三億であったと私は記憶いたしますが、その点は三十八年度にはどの程度考えておられるのか、そこを一つお答えを願います。
  23. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 ただいま申し上げましたよううに、まだ来年度の三十億のうち、どの程度輸出振興基金に向けるかきめておらないわけでございます。ただ、先生指摘のところの、この制度が始まりまして一年以上たつわけでございますが、必ずしもわれわれの所期していた成績を上げておらないという点がございます。と申しますのは、おそらく輸出商売というのは、非常に何と申しますか、マージンの薄い商売であるという場合に、一般金融資金を獲得いたします場合に、さらにそれに加えて保証料コストといいますか、保証料は、これは御承知のように、一般保証に比べて低くしておるわけでございますが、これを低くいたしましても、普通の融資に比べてそれだけコストが割高になるという点もあるのじゃなかろうかということで、この制度改善につきましていろいろ検討いたしておりますが、比較的裏日本機業地、ああいったところに利用率が高くて、商社の多いところに比較的利用程度が薄い、こういうような状況にもなっておりますので、その辺いろいろ検討いたしまして改良いたしたい。今後の成績を見て、来年度の三十億のうち幾ら使うかという数字をきめたい、こういうふうに考えております。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 今あなたのお答えを聞いていますと、いろいろ検討しなければならない点が通産省自体の中にある、こういうふうに思われます。しかし、あなたの方では、大蔵省に対して、この制度改善をはかり、充実をはかっていく、そうして躍飛的な前進を期そう、こういう考え方から、予算要求は六億程度なさったのではないか。それならば、それに伴う確固たる方針が樹立されていなければならぬと私は思う。それでなければ、現在の輸出振興という面から問題があると思う。その点に対して、もっと具体的な、こうあらねばならぬという一つ方針が立っておらなければならぬと思いますが、その点、今の答弁ではどうも納得がいきません。それを伺ってみたいと思います。
  25. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 お答えいたします。  具体的に申し上げますと、たとえば兵庫県あたり貿易商社が非常に多いわけでございますが、県自体の御要望が非常に強いわけでございまして、実際の利用率が、今申しましたように、むしろわれわれも意外と思うくらい少ない、こういう状況にあるわけであります。それで、そのほんとうの理由がどこにあるかということを、実は今までにも二回くらい担当者会議を開きまして、いろいろと検討を願っておるわけでございますが、そういう問題がはっきりいたしますれば、これと抱き合わせになる県からの融資と申しますか、こういうことも予定しておるわけでございますが、そういう準備があっても、なかなかそこまでは実績が上がっておらないというのが、現在の実情でございますので、少し時間をおかしいただきまして、その点を検討して、できれば来年度改善をいたしたい、こういうふうに考えております。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 今度中小企業基本法が提案され、おそらく政府当局としてはこれの成立を期待しておられると思うのであります。この中小企業基本法成立をし、関連法案成立をするということになって参りますと、それに伴っての信用補完制度というものは、当然より飛躍的な発展をはかっていかなければならぬと思います。そうなって参りますと、当然この保険公庫に対する出資、あるいは政府関係金融機関に対する出資投資というものが考えてこられなければならぬ。この基本法成立に伴って、保証残高というものが当然伸びてくるという予想があると思う。このことが、保険公庫運営数字的な面でどの程度はね返ってくるという期待を持っておられるか。それが今度の提出法案には、どういうような数字の形で基本的に入っておるのか。まず、その点を伺っておきたいと思います。
  27. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 今度の基本法につきまして、金融、特に設備資金融資につきましては、御承知のように、政府系の三金融機関、これの財政投融資の増強をはかるということで、今度の予算でお願いしておる数字はきまっておるわけでございます。そのうち、保証につきましては、これはむしろ保証制度本来の建前からいたしますと、中小企業のうちでも比較的底辺の階層にあるもののための信用補完制度であるというふうに考えておりまして、そういった趣旨から、今までの保証制度をさらに増強するという意味で、先ほどお答え申し上げました二千九百九十五億、これは平均残高でありますが、本年に比べまして三五%くらいのアップ率でお願いするということにしておるわけであります。その中でも特にさらに階層の低いいわゆる小規模事業者のための施策といたしましては、御承知小口保険制度、これは昨年の四月から始まったのでありますが、それとさらに五十万円までの第一種包括保険、この二つにつきまして融資する小口融資保証保険につきましても、保険料率を引き下げるということで、現在小口日歩一厘六毛でございますのを一厘四毛に引き下げる、さらに第一種包括の五十万円未満のものにつきまして、現在日歩二厘でございますのを一厘九毛に引き下げる、こういうことで予定をいたしております。  それから設備投資をもっと活発化しなければいかぬ、という面からの新しい施策といたしまして、今度の国会で御審議を願います予定にいたしておりますが、新しい設備近代化保険、そういう制度をつくりまして、御承知のように、最近は、ちょっとした設備を入れようといたしましても相当な金額がかかるわけでありますから、現在の保証制度では、一人あたり七百万円、こういう限度がございますので、そういう特別の業種についての設備を近代化するための必要な設備資金、あるいはこれに伴う長期の運転資金というものに限りまして、一人三千万円まで、組合につきましては五千万円までワクを広げまして保証をし、さらにそれを保険公庫の再保険に入れる、こういう新しい設備近代化保険制度をつくりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 私も、時間がございますれば、もっと今の点に対して突っ込んでお尋ねしたいと思うのですが、後日にその点は譲りたいと思います。  そこで大臣に申し上げたいのですが、政務次官一つこの際十分御留意願いたいと思いますのは、先ほど部長から御答弁がございましたように、中小企業設備投資中心とする中小企業に対する融資というものは、非常に貧弱である、こういう点は、十分御理解になったことだろうと思うのであります。せめて今度の改正法案には、もっと大きな数字、少なくとも大蔵省要求をされたのは四十五億程度であろうと私は考えておるのであります。この数字をそのままそっくりと言いますと、大蔵省は査定をしているんだから、これはすべて全面的に要求通り認められていないんだからやむを得ないんだといったような、何というのか、一般的な考え方も出るかもしれない。しかし、それはそうではない。現在置かれておる中小企業立場、なかんずく零細企業、いわゆる小規模事業立場というものを考えてみますと、この信用補完制度というものは、飛躍的な発展、いわゆる充実というものが行なわれてこなければいかぬ、こう思います。その点に対しては、今質疑応答をお聞きになって、政務次官はこの後どういった心組みで取り組むお考えであるのか。せっかく山本総裁もお見えでございますので、保険公庫運営上、三十億程度融資資金増大ということで、あなたの保険公庫運営がうまくいくとお考えになっておるか、率直にこの際お聞かせを願いたい。
  29. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 中小企業設備投資が、大企業のそれに比べましてきわめて弱いものである、補完制度等につきましても、そういう点について特に配慮を加えなければならぬということについては、全く御指摘通りであると思うのでありまして、今回の信用保険公庫基金通産省要求につきまして、大蔵省との折衝に遺憾がありますことは、まことに残念に思っておりますわけでございますけれども、きわめて重大な問題であるということについては、御指摘通りだと思うのであります。今後、私ども、御趣旨の線に沿って十分努力を続けて参りたいと考えておるのであります。御指摘まことにごもっともだと思う次第でございます。
  30. 山本茂

    山本説明員 ただいま非常に御理解のあるお言葉をいただきまして、まことに感謝いたしております、われわれは、三十億円で必ずしも満足しているわけではありません。これからも諸先生方の御好意をいただきまして、年々これをふやすように努力したいと思っております。  御参考までに申し上げますが、御承知通り、三十七年度融資基金は二十五億でございまするし、その前年度は二十億でございます。とにかく幾らか年々ふえておりますので、来年はさらに御尽力をいただきまして、画期的に御増大をいただきたいと思います。必ずしも三十億で満足しているわけではありませんが、結果としてこういう結果になりましたわけで、来年はさらに御同情、御協力をいただきたいと思うわけであります。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 私は、あなた方が答弁なさることでいつも非常に遺憾に思うのは、年々数字が伸びた——それは数字だけから言えば、いかにも前向きの姿勢でもってやっているのだというように聞こえる。しかし、国の予算は幾らふえているか。しかも中小企業というものは、今どういう地位にあるか、どのようなことが期待されているのか、零細企業というものは、どう保護育成していかなければならぬのかということを考えてみますと、数字が昨年よりも五億伸びたとか十億伸びたという程度で、いかにも前向きでやっているのだという錯覚をお持ちになってくると、飛躍的な発展を期することはできません。まず、あなた方が大蔵省に対して、もっと積極的な態度でぶつかっていくということでなければならぬと私は思う。  今総裁お答えになりましたので私はお尋ねをいたしますが、小規模保険、昨年の四十一回の国会でございましたか、成立したいわゆる小規模保険制度、これはどのような運営がなされておるのか。御承知通りに、この制度をつくりましたのは、迅速な貸付が行なわれなければならぬ、同時に、無担保、無保証という精神がここに貫かれてこなければならぬという点にあったと思う。このことは、先日の本会議におきましても、田中大蔵大臣はその必要性を強調しておられる。その通りであるといったような答弁をしておられたのですが、その運営にあたっては、大臣答弁のごとく、また、この制度をつくりました当時のような趣旨が生かされて運営されておるとお考えになっておるかどうか、まず、そのことの実績の面からお答えを願いたいと思います。
  32. 山本茂

    山本説明員 小口保険につきましては、三十七年度から始めたわけでありますが、これは二十万円以下の金額で、小規模業者を対象としまして、保険料日歩一厘六毛というようなごく少額でありますので、小企業者のためには非常に役立っておるわけであります。現在保証協会全部で五十一ありますが、多くの保証協会は、小口保険につきましては担保を取らず迅速にやる、場合によっては、金融機関が金を貸した後に追認でやるといったような制度をとっておるのでありますが、中には追認制度をとっていないところもありますし、担保を取っておるところも若干あるかと思いますが、その担保は必ずしもシビヤーな取り方をしておりません。第二番あるいは第三番といったような抵当でもいいのでありまして、ただそれは形式的に担保を取っておるというような形でありますので、中小企業者のためには迅速に処置をしておると思っておるわけであります。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのところに菅さんという理事がおられますね。菅さんがどこかへ御出張になって、何かたよりという形でお書きになっておるのを私見たのです。私は、あながちそれを非難するものではありません。しかし、零細企業の期待というものにこたえ得るのだろうかという異様な感じを持って私は読みました。この小規模保険制度ができ上がった、この保険制度によって保証というものが行なわれてくることは当然だ。この審査にあたる審査員は町の有力者だ——有力者というなには使っておりませんが、そういう意味だ。人柄も知っている。資産の状態も知っているんだ。そこで買し倒れもない。代置弁済もないのだ。しかも、滞納者にはこの制度を受ける資格はないのだ。納税にも一役買っている。こういう書き方です。これをそのまま読みますと、これは国の貴重な金だから、買し倒れがないのがあたりまえだ。代置弁済もないのが好ましいのだ。こうお読みになる方もあるかもしません。しかし、この小口小規模の保険制度というものがつくられたのはどういうことなのか、今自分のからだだけでは、だれのところに行っても金を貸してくれない。相手になる人もいない。しかも、こういった生業で苦しんでいる人たちを、ある程度の危険があっても、この制度で救ってやろう。そうして生業から企業発展をきせなければいかぬという考え方から出発した、私はこう思う。それならば、納税に一役買っている、貸し倒れもない、代理弁済もないのだ。それは審査員が人柄を知っているから、資産の状態を知っているからというこの考え方、思想からは、私は、この制度がほんとうに生かされておるのであろうか、こういったような感じを持って、実は心配といあか、ほんとうに生かされているのであうろうかという感じをもって私は読みました。しかも、中小企業基本調査資料というものが出ております。この資料から見ると、政務次官おわかりでございましょうが、二十人以下の従業員を雇っておる企業の五〇%は、金を借りていない企業であるという事実を私どもは知らなければならぬ。しかも、その金を借りていないというのは、金融機関が入っていないのはもちろんである。取引先もこの中にある。しかも高利貸しという金融業者も入っている。知人、友人も入っている。こういった人たちからすべて金を借りていない小規模企業が五〇%あるというこの事実、これは全く四苦八苦の生活をしている。財布は軽く気持は重いという言葉がありますが、私は全くその通りだと思う。そういったようなことに対しては、少なくともその衝に当たる保険公庫なり、保証協会なり、政府当局はもちろんでありますけれども、ほんとうに真剣な態度をもって取り組んでいかなければならぬのじゃないか、こう思うのであります。これらいろいろな問題に対しまして、いろいろお尋ねしたいのでありますけれども、十一時半から私は予算委員会で質問することになっております。お答えはこの次の質問の際にしていただくことにいたしまして、まだ私も質問したいことがありますので、一応質問を留保いたしまして、これをもって私の質問を終わりたいと思います。
  34. 中川俊思

    ○中川委員 関連して、この問題は、多少ニュアンスが違うかと思うのですが、この前いつか問題になったことがあるのです。大蔵省が見えているからちょうどいいので、中小企業金融公庫の支店のないところでは、中小企業金融公庫の金を地方の相互銀行とか地方銀行へ委託しておられますね。その委託された方で、ほんとうに政府の親心、国会で審議した親心を無視して、自分の従来からの得意先だけに貸すというケースが、かなりあると思うのです。そういうようなことで、いつかこの委員会で問題になったと思うのですが、それについて、その後政府では、大蔵省の銀行局あたりと連絡をおとりになって、どういう対策を講じておられるか、ちょっと伺っておきたい。
  35. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、中小企業金融公庫の代理店が、国家資金融資を自分の方のすでにあった債権の肩がわりに使うとか、特に焦げついた債権の肩がわりに使うというような点、それからさらに見返りに預金を、はっきり申し上げますと、いわゆる歩積み、両建てというような格好で預金をとるとか、いろいろ問題があると思うのです。私ども、大蔵省と絶えず連絡をとりまして、さらに、両省から中小企業金融公庫の方にも、代理店のそういった面の業務の監査につきまして特別の御配慮をいただくということでやっておるわけであります。現に、最近でございますが、二月二日付で、公庫総裁の方から、各代理店に対しまして、そういった趣旨の非常にきつい通達でございますが、場合によったら代理店を取り消すというようなことになっておりますが、今後さらにそういった面からの代理店の指導強化をいたしていきたい、こういうように考えておるわけであります。
  36. 中川俊思

    ○中川委員 御趣旨はよくわかるのですが、実際その運用がそういうふうに行なわれているかどうかということについて、私は疑問の点があるのです。あなた方ここで答弁されるときは、いつもそういう御答弁なんですが、実際問題は、下部にそれが浸透していないのです。そこで大蔵省、ちょうど銀行局からいらっしゅっておるからお尋ねしますが、そういうことについて、銀行局としてどういう調査をなさっておりますか。それから、そういう問題でいろいろリスクが出てくると思うのですが、そういう何か例があると思うのです。そういうことについての問題が今まであったのに対して、どういう処置をされたか。それから、できたらこれは中小企業金融公庫の方に頼むのが至当だと思っておりますが、代理店の、この代理店にはどの程度金額の代行をやらせておる、そうしてこれはどういう方面にどういうふうに借しておるかというような資料を、御提出願いませんか。そこまでは銀行局としてはむずかしゅうございますか。
  37. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、いわゆる中小企業金融公庫の代理貸しの面におきましていろいろ問題があるということは、私どもいろいろ承知いたしております。ごく最近でございますが、いわゆる歩積み、両建をとっておるものもあるのじゃないか、先般予算委員会でも、そういう御指摘がございました。もしそういう事実がございますれば、まことに遺憾きわまりないことでございますので、私どもといたしましても、いろいろ金融機関の検査等にあたりまして、中小公庫からの代理貸しが本来の趣旨に沿って行なわれておるかどうかという点については、十分注意をしなければならない。と同時に、歩積み、両建というものを強制するものがございますれば。すみやかに是正をさせるとの方針でやっておりますが、同時に、最近のそういう事例に徴しまして、中小企業金融公庫の内部におきまして、末端支店に対し、あるいは代理店に対して、そのようなことのないように十分注意するように、部内通達を出しておると聞いております。今後とも、そのようなことのないように、一そう注意をいたして参りたいと思いますが、ただいま先生お示しの資料でございますが、実はそういう代理店の個々についてのこまかいデータは、直接大蔵省としては持っておりません。まあ問題のつど指摘をして参るということで従来やっておりますので、その点、御了承いただきたいと思います。
  38. 中川俊思

    ○中川委員 今度政府提出せんとしておる基本法にも、御承知通り、その点を一番心配しておるのだろうと思うのです。実際問題として、われわれ地方へ行ってよく聞きますことは、通産省大蔵省がそういう親心でやっていらっしゃるのだけれども、実際はそううまくいっていない、ここで御答弁なさるときには、厳重に注意する。そういうことのないように大蔵省と緊密な連絡をとるというふうに通産省も言うのですが、忙しく推そう緊密な連絡も実際にはとれないかもしれないが、実際に中小企業がわずかな金を借りようとしても、なかなか容易でないのですよ。借りる場合は、どっかの保証を持ってこいとかいって——保証ができるくらいなら、中小企業金融公庫にいってわずか三十万か五十万の金を借りはしない。借りられないから、政府にいったら簡単に借りられるだろうというようなことから、借りにくる場合もあると思うのです。政府の金といっても国民の税金ですから、決してむだに使うわけにはいかないですけれども、もっと貸し出しの方法を簡易にしていただいて、そうして、今、私が冒頭に指摘いたしましたような問題のないように、これはほんとうに厳重にやってもらいたいと思うのです。ここでおざなりの答弁だけでなくて、ほんとうに厳重にやっていただきませんと、やはり銀行とすれば、商売ですから、従来のお得意さんに貸したがるのは無理ないと思うのです。けれども、この金はちょっと違うのですから、中小企業金融公庫は性格が違うのですから、銀行が商売で貸す金とは違うのですから、この点は、くどいようですが、注意をしておきます。      ————◇—————
  39. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来たる二月二十六日、参考人より意見を聴取することにいたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。  なお、人選等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 御異議なしと認めます、さよう決しました。      ————◇—————
  42. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 この際、中川俊思君より資料要求の発言を求められておりますので、これを許可いたします。中川俊思君
  43. 中川俊思

    ○中川委員 銀行局においで願って恐縮なんですが、御案内の通り、日本の産業構造は非常に浅いということから、金融機関の世話にずいぶんなっておるわけです。ところが、近時ややもしますと、産業資本が金融資本にずいぶんいじめられておる。一口に言えば、たとえば乗っ取られる場合もあるし、それからいろいろの面で経営にまで介入してくる場合もあるし、そういうことで、通産省といたしましては、せっかく産業経済発展をはからなければならないというので、いろいろ努力をしておるけれども、金融資本の圧迫のために思うようにいかない。たとえば一例を申しますと、最近金融引き締めは多少緩和したとはいいまけれども、昨年の上期あたり金融引き締め等のためにばたばた倒れた会社もかなりあります。さらに、貿易の面においても、政府が企図いたしました輸出入とも四十八億ドルというものは、おそらく私は達成されていないのではないかと思う。けさの新聞でもごらんの通り、二月の上期を見たところで、輸出は二億三千万ドル、輸入は一億九千万ドルというのですから、四十七、八億ドルの輸出入ということは、一カ月四億ドルということじゃないのですか。そういうことになりますと、政府が冒頭企図いたしました貿易額にも達していない、そういうことから、とにかく日本の産業経済というものは、非常に苦境に陥っている。特に産業構造は浅いですから、そういう金融機関がちょっと意地悪をしようと思えば、どんなことでもできる。赤ん坊の手をねじるような状態だと思うのです。そこできょう銀行局の方にお越しをいただきましたのは、こういう資料を出していただきたい。ずっと前から孝のことは申しませんけれども、過去数カ年間にわたって、たとえばかりに三十五年からとしましょう。昭和三十五年度から今日に至るまで、銀行が自分の系列会社、あるいは系列会社でなくとも、取引のある企業に対して、人を派遣したり、あるいは銀行から出向したり、相当経営の首脳部に人を入れておる、こういうのがかなりあると思う。給料はどっちで払うにしても、そういうのがかなりあると思うのです。これは、こまかい事務員というようなことを言っておるわけではありませんよ。首脳陣です。銀行の従来の首脳陣であって、そういう企業体に出向させておったり、あるいはそこへ出向でなく、そこの人に送り込んでおるという事例がかなりあると思います。その資料を一つ出していただきたい。これは市銀のおもな銀行だけでよろしいのです。お調べ下さればすぐわかる。政府機関なんかだったら、こんなものはざらにありますね。今まで、たとえばあなた方は銀行局におって、すぐどこかの総裁や副総裁になっていくというような、そういうのはたくさんある。それは私は言わない。そういうのでなく、今私が申しましたような、まず市中銀行ですね、市中銀行からそういう企業体に天下りしている、これはかなりありますよ。これの資料を一つ、お調べいただく期間もありますから、今月中でよろしゅうございます。御提出を願いたい。
  44. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 ただいまの中川先生の資料の御要求でございますが、ちょっと一言先生にお教えを受けさせていただいてよろしゅうございますか。資料作成の上にいろいろ……。  今のお話は、あれでございましょうか、つまり独禁法の立場ということでございますか。
  45. 中川俊思

    ○中川委員 関係ありません。
  46. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 独禁法ということでなくて、要するに、そういう事実はあるかないかということだけでございますか——わかりました。  これは、実は従来そういう調査は私どもの方にございません。もしそういう案件が問題になるとすれば、私どもの見るところによりますと、一番問題の中心点は、いわゆる不公正取引というようなことがあるかないか、独占禁止法に触れるか触れないかという点からこれを見なければならぬと思うのですが、そういう意味で実は私どもの方としてはそういう調査をしておりませんものですから……。(田中(武)委員「お前は一体何者だ。政府委員説明員か。政府委員でなかったら、そんなことを言ってはだめだ。政府委員答弁せよ。」と呼ぶ)
  47. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 ちょっと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  48. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 速記を始めて下さい。  それでは委員長から宣言いたします。ただいま中川委員の方から要求のありました参考資料については、正規の政府委員ではありませんが、その旨を了承しておりますから、それは要求に応じてこれを提出さすことを委員長から命じます。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して資料要求を……。この際、一緒に資料を要求いたしたいのですが、これは労働省と共同作業になると思いますが、この前、臨時国会で大月銀行局長に若干質問して、途中になっておるのですが、全国で社内預金をやっておる企業が幾らあるか、その条件はどういうものか、それを巨大、大、中——巨大と大ということだが、これは常識的になりますから、そこはまかせます。大と中小とは、現在の規定でいう中小企業でけっこうです。その条件及び金額、それを直ちに出してもらいたい。
  50. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 ただいまの田中委員の御要求でございますが、御承知のように社内預金につきましては、直接の主務大臣が労働大臣でございます。従いまして、ただいま承りましたので、至急労働省と連絡をいたしまして、その上で提出させていただきたいと思います。  なお、この際、先ほどの中川委員の御質問に対しまする私の発言、田中先生からだいぶおしかりをいただきましたので、一言釈明させていただきたいと思いますが、私、田中先生指摘通り、まさに説明員でございます。一介の説明員でございまして、何ら政策判断、意見がましいことを申し上げる立場にございません。従いまして、先ほど私が申し上げましたことは、決して意見にわたることでございませんので、中川先生の資料の御要求に対してお答えをして、提出いたしますための心がまえとして、一言先生に御趣旨をお伺いしたわけでございますが、私の言葉が至りませんために、大へんおしかりをいただきまして、申しわけありません。どうかお許しをいただきたいと思います。
  51. 中川俊思

    ○中川委員 それで佐竹さん、さっきも申しました通り説明員とか何とかいうのではないのですよ。あなた方はわかっておるはずだから、できるだけ詳細に頼みます。今月一ぱいに出してもらいたい。
  52. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 ただいまの中川委員の御要求でございますが、通産省との関連もございますので、通産省ともよく連絡いたしまして、その上で提出いたしたいと思いますが、ただ、何分にも先生の御要求が全国的な規模にわたるようでございますので、特に大銀行だけというお話もございましたけれども、いろいろ銀行の数は多うございますので、その間の調査にどの程度の日数がかかりますか、私ただいま即座には決しかねますので、はたして今月中に御提出申し上げられるかどうか、物理的に実は自信がございません。従いまして、至急立ち帰りまして、十分その間の見通しをつけました上で、大体何日ごろということを申し上げさしていただきたいと思いますが、もしお約束してもできませんと、お約束を破ることになりますから、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。
  53. 中川俊思

    ○中川委員 今田中委員からもお話しがあったが、あなた方銀行局におって、そういうことがわからないということはおかしい。毎日そういうことが仕事じゃないですか。たとえば銀行にこういう専務がおって、こういう常務がおって、今度どこどこの会社に行くということは、あなた方は監督する立場にあるのですから、あらかじめ銀行局のあなた方に了承を得るでしょう。公式に了承を得る必要はないかもしれぬけれども、しかし、一応は、従来の常識上、そういうことはあなた方の了承を得て天下りするなり何かするなりしておるはずです。そんなことがわからぬようでは、銀行局は何をしているかということになる。あなたがおわかりにならなくても、あなたの部下だとか、局長あたりはちゃんと知っていますよ。あそこの銀行におった専務がどこに行ったとか、あの常務がどこに行ったとかはわかる。通産省と協議する必要はありません。通産省こそ、そんなことは知りません。だから、ここでおざなりの答弁をしないで、はっきりしたところを出してもらいたい。帰れば一日でできるのだから……。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。説明員だから、主観は聞きません。銀行法の二十条以下の条文について、どんなにしておりますか。まじめに銀行法をやっておったら、そんなばかな答弁はできるはずはないです。
  55. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 二十条以下の条文を申し上げますと、いろいろ銀行が法令違反その他不始末を起こした場合に対する処置を規定してあるかと思いますが……。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 二十条は調査権です。
  57. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 調査権でございますか——これは御承知のように、銀行の資産内容の健全性、預金者保護等の大目的に沿って経営されておるかどうかということを主眼として調査をいたすわけでありますが、それにとどまりませんで、銀行経営全般について調査できることになっております。ただ、ただいま中川先生の御指摘のごとく、銀行の役員がいつどこの会社に行ったかということにつきましては、これは必ずしも報告事項でもございません。ただ、役員の交代にあたりましては、役員交代の報告がございます。しかし、そのつど、どこの会社に行ったということは、直接銀行局としてはタッチしておりません。従いまして、日常の報告ルートにおいては、一切そういうものがございません。先生の御指摘のように、どこの銀行のどの常務がどこに行ったというような、ごく断片的のものは耳に入って参ります。しかし、組織として、そういうものが毎月月々の報告のルートとして乗っておるという仕組みにはなっておりませんので、その点は一つ御了承をいただきたいと思います。私ども、決して先生の御要求をおくらせるとかなんとか、そういうことを申しておるのではございません。必ず御提出を申し上げなければならないということはもちろんのことでございますですが、ただ、調査の日数の点について私自信がないものでございますから、月末というふうに御約束して、万一できなかったならば、まことに申しわけないことでございますので、さっそくきょう帰りました上で、十分その辺の見通しをつけて、その上で先生の御了承をいただきたい、かように申し上げておるわけでありますから、御了承を願います。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 銀行法の二十条を読んでごらん。いつでも調査をし、報告をせしめる権利があるんですよ。今から帰ってすぐ全国に通達を出せばいいじゃないですか。そんなことを言うのは、あなた方が銀行法のほんとうの精神に沿って運用しておらぬ証拠ですよ。君は銀行法を知っておるのかね。
  59. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 どうも田中先生から非常におしかりをいただいてまことに恐縮なんでございますが、ただいまのお話のように、全国に通達を出しましても、やはり返事がくるまでには、通信関係で若干の日にちもかかりますので、そのような関係で、きょは二十二日でございますから、月末まで一週間足らずでございますので、その辺に多少自信がないということを申し上げておるわけでありますので、極力御要望に沿うべく努力をいたします。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 念のために読んでおきます。銀行法二十条には「主務大臣ハ何時ニテモ銀行ヲシテ其ノ業務二関スル報告ヲ為サシメ又ハ監査書其ノ他ノ書類帳簿ヲ提出セシムルコトヲ得」となっておる。いつにてもだから、直ちにやりなさい。
  61. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 それでは、今の件について委員長から特に佐竹財務調査官要求いたします。今月中にという中川委員からの要求もありましたが、調査官の方では……。(田中(武)委員「そうじゃないですよ。僕の言った二十条によって直ちに調査せいと言ってもらったらいいんですよ。」と呼ぶ)そこで、なるべく、田中君の銀行法における法律趣旨もありますから、すみやかに提出するように委員長から要求をしておきます。  次会は、来たる二十六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会