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1963-02-15 第43回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十五日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 岡本  茂君 理事 首藤 新八君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       小沢 辰男君    岡崎 英城君       小平 久雄君    笹本 一雄君       田中 榮一君    中川 俊思君       山手 滿男君  早稻田柳右エ門君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    多賀谷真稔君       中村 重光君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (重工業局長) 島田 喜仁君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君  委員外出席者         通商産業事務官         (重工業局重工         業品輸出課長) 山下 英明君     ————————————— 二月十三日  中小企業者産業分野の確保に関する法律案(  向井長年提出参法第五号)(予)  百貨店法の一部を改正する法律案向井長年君  提出参法第六号)(予)  商店街振興組合法の一部を改正する法律案(向  井長年提出参法第七号)(予) 同月十四日  中小企業基本法案向井長年提出参法第四  号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金属鉱物探鉱融資事業団法案内閣提出第八三  号)  プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第五二号)      ————◇—————
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより会議を開きます。  去る二月十二日に付託になりました内閣提出金属鉱物探鉱融資事業団法案議題とし、審査に入ります。
  3. 逢澤寛

    逢澤委員長 まず、通商産業大臣より趣旨説明を聴取することにいたします。福田通商産業大臣
  4. 福田一

    福田国務大臣 金属鉱物探鉱融資事業団法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国の金属鉱業は、経済発展に不可欠な鉱産物を供給する重要な基礎産業でありまして、多数の労務者に雇用の機会を提供し、あるいは地域経済振興に寄与するという見地かうも、国民経済上きわめて重要な役割を果たしておりますが、国際的にその競争力が弱いため、貿易自由化を契機に、重大な局面に逢着している現状であります。  さきの第四十国会におきましては、かかる現状に対処するため、抜本的な金属鉱業対策を樹立すべき旨の決議が行なわれましたが、政府といたしましては、自来、この決議で示された検討事項にも即し、鉱業審議会審議その他により鋭意検討を進めて参ったのであります。  自由化に対処する金属鉱業政策基本的な方向は、まず、金属鉱業の抜本的な体質改善を進め、金属鉱産物の低廉かつ安定的な供給体制を確立することを基本として推進されるべきでありますが、金属鉱業にとっては、採掘鉱石品位を向上させることがコスト引き下げによる体質改善のための最大のきめ手であることを考慮しますと、この際、探鉱を積極的に促進して、品位の高い優良な金属鉱物資源を十分に確保することがぜひとも必要であります。  探鉱を促進すべき方策として、昭和三十八年度におきましては、別途、従来からの新鉱床探査補助金中小鉱山向けに拡充するとともに、地質調査所においてボーリングによる地質構造調査を実施するよう考慮しておりますが、貿易自由化後、鉱産物価格の低落により企業経営が著しく困難となる時期に探鉱を急速に促進するためには、ただいま申し上げました諸措置とあわせて、新たに長期低利融資措置を講じて、強力な資金的助成を行なう必要があると考えます。このような探鉱融資は、その性格上既存の金融機関によっては行ない得ないものでありますので、新たに特別の機関を設置して、これを行なわせることとした次第であります。  この法律案は、このような考え方をもととし、金属鉱物探鉱を促進するための機関として、特殊法人である金属鉱物探鉱融資事業団を設立し、金属鉱物探鉱に必要な資金貸付を行なわせることとし、その性格組織及び業務に関して必要な規定を定めたものであります。  この法律案内容の第一は、事業団性格及び組織についてであります。事業団は、この法律に基づく特殊法人としての性格を有することとし、その役員として理事長理事及び監事を置くことといたしております。  第二は、事業団業務内容であります。事業団業務は、金属鉱業を営む者に対する金属鉱物探鉱に必要な資金貸付及びこれに付帯する業務とし、貸付対象となる金属鉱物の範囲は、銅鉱、鉛鉱及び亜鉛鉱中心として通商産業省令で定めることといたしております。  なお、事業団監督につきましては、その業務性格上、これを通商産業大臣監督下に置くことといたしております。  このほか、事務所の設置、名称の使用制限業務方法書の認可、予算及び決算、借入金等に関し、通常の事業団に関する法律案に盛られる規定と同趣旨規定を置いております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  5. 逢澤寛

    逢澤委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  なお、本案についての質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に、プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。板川正吾君。
  7. 板川正吾

    板川委員 プラント類輸出促進臨時措置法の一部改正について、質問をいたしたいと思います。  まず第一に、本法昭和三十四年に施行になりましたが、本法は、プラント類輸出を大いに促進しよう、こういう意図で制定をされたのでありますが、その後、どのくらいプラント類輸出促進のために本法が役に立ってきたかという点について、質問を申し上げたいと思います。
  8. 島田喜仁

    島田政府委員 かぜを引いてのどをつぶしておりますので、ちょっとお聞き苦しいかと思いますが、政府補償契約を結びましたものは、遺憾ながら一件でございます。政府補償契約を結ぼうとして話のありましたのが、実は十四件ございました。
  9. 板川正吾

    板川委員 この法律をつくる場合は、こういう法律をつくったら、この法律によって相当な補償をされて、輸出が増進されるのじゃないかと思ったのですが、四年間実績一件というのですが、この一件は、一体どのくらいの金頭で、どこを相手に、どこの国に行ったのか、もうちょっと詳細に説明していただきたい。
  10. 島田喜仁

    島田政府委員 二十八億の契約でございまして、ソ連に対する製紙プラントであります。
  11. 板川正吾

    板川委員 本法施行にあたって、実際的な事務の運営はプラント協会に委託しておるわけですが、プラント協会に三十四年から三十七年の四年間に、委託事務費というのは政府からどのくらい払っておるのか。その実績一つ発表願いたいと思います。
  12. 島田喜仁

    島田政府委員 昭和三十四年度が百万円でございます。それから昭和三十五年度が百十五万円、それから昭和三十六年度が百十三万円、昭和三十七年度も百十三万円でございます。予算のついたのがそうでございます。
  13. 板川正吾

    板川委員 四年間本法利用者がわずか一件、しかも、それに約五百万円近い費用がかかっております。  そこで一つ政府も考えてもらいたいのは、最初こういう法律をつくるときには、通産省では、通産省の立場から、一つの理想的な考え方から出発するのですね。ところが、実際法案を持ち回っている間に、いろいろあっちこっちにひっかかって、文句を言われ、削られ、大蔵省でいろいろの注意をされて、法律の大事なところを骨を抜いてしまう、こういう例が多いと思うのです。たとえば輸取法改正しよう。あの中で、パキスタン綿花は非常に割高である。だから、パキスタン綿花の割高なやつを買ってやらないと、日本輸出が伸びない。そこでカルテルを結んで輸出と輸入を調整しようという法律改正を、大騒ぎをして輸取法でしたのです。これはなかなか新しいケースで、これによって後進国の割高な品物も、要するに高いものを承知して買い、日本のものを輸出業者は割高に売って、そうして損得のバランスをとるというやり方なんですが、この法律改正に大騒ぎしたのです。ところが、その後、実は一件もその法律適用を受けているところはないのです。一件もない。たとえば今問題の新産業秩序の問題、国際競争力の問題だって、やはりそうだろうと思うのです。通産の立案者から理想的な要綱を並べ立てて、あっちこっち持ち回っている間に、財界でこういう注文をつけられた、全銀協でこういう注文をつけられた、あっちこっちで注文をつけられておると、しまいには、実際法案を出しても、一件もあの法律にひっかかって合併しようというようなことはなくなるのじゃないかというようなおそれがあるわけなんです。このプラント類輸出促進法の過去の実績から見ると、まさにそうじゃないかと思うのです。大体利用者が一件しかない。これはプラント類輸出を盛んにしなくちゃならない。コンサルティング態勢日本じゃ不備だから、そういう調査機能強化して、要望に応じて設計をしてやる。注文を受けてプラント類輸出する。しかし、向こうの国内の事情や風土関係で、あるいは設計不備があったりした場合は、その損失を補償するのだ、こういうことで、考え方そのことは決して悪いことじゃない。しかし、四年間に、法律をつくってやったのはいいけれども、一件しか利用者がないというようなこの法律を、これは限時法ですが、なぜまた今後もその期間を延長していくのか。四年間に一件くらいしか引き合いがないようなら、ほんとうはやめたっていいじゃないかと思うのです。あるいはこれをやめるのがどうかと思うならば、輸出保険法があるのですから、輸出保険法の中には、保険の種類はたくさんありますが、場合によってはその中へ組み入れていいじゃないか。あえて特別の立法をして残しておく必要はないじゃないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  14. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 予算の編成でありますとか、あるいは法律案の策定につきまして、同じ政府部内で、原局大蔵省意見を異にするというようなことがありまして、原局意図が通らなかったというようなことも、私どもの口からこういうことを申し上げてはどうかと思うのでありますが、実際上これはあると思うのでございます。あるいはまた、産業態勢整備等のことにつきましても言及されたのでありますが、まさに財界とか全銀協から意見も出ておりまして、その調整に苦慮いたしておるわけでありますが、御指摘通りだと思うのであります。ところで、今度御審議願っております法律案につきましては、これは御説明申し上げておりますように、従来は違約金だけが対象であったわけでありますが、今度は設備機械そのもの対象として、対象を拡大いたして参ったわけであります。法律そのもの内容も非常に違って参っておりますし、それから政令にゆだねられております補償料率につきましても、いろいろ大蔵省と折衝いたしまして、従来一割でございましたが、それを七分程度に下げる。さらにそれをもう少し下げたいということを考えております。これは政令の問題でありますけれども、そういうようなことで、従来の実績は御指摘通りでございますけれども、将来は、対象も変わって参りまして、広がって参りましたので、幾らかふえるのじゃないかというように考えております。
  15. 板川正吾

    板川委員 今度存続しようということについては、従来の内容では、また四年間に一件くらいじゃ価値がないから、内容実情に合わせるように改正しようというのが、今度の改正案趣旨だと思います。そこで従来は違約金の支払いだけであったのを、今度二条の六項を改正して、義務の履行のための負担限度額という項目に改めて、こわれた機械を直したりなんかする費用の分も保険対象になる。補償料率も一〇%から七%に下げてみる。将来はもっと下げてもいいが、とりあえず七%にしてみる。こういう改正案内容ですが、こういうような改正をしたら、見通しとして、今後四年間にどのくらいのプラント輸出について本法を利用する件数がある見込みなんですか。せっかく変えたのはいいが——私が言いたいのは、たとえばつじつまを合わせて多少の改正をしても、もっと利用者がどんどんなければ、意味がないんじゃないか。だから、意味のない法律なら、やめた方がいい。改正するならば、もっと利用者があるような内容改正したらいいじゃないか。利用者がないということは、内容に魅力がないからだと思うのです。そういう点で、今後見通しをどう予想されておるのか。  それからもう一つは、日本プラント類輸出金額件数等について、一つ説明を願いたいと思います。
  16. 島田喜仁

    島田政府委員 プラントの問題というのは、御承知のように、商品の輸出と違いまして、たとえば一件のあるプラント向こうと大体契約ができて、日本から一つプラントをつくるためにそういうプラントを出してくれというまでには、二年、三年、四年の実は長い年月がかかるわけでございます。その土地の需要の面、土地気候風土、あるいは環境条件等をあわせ、しかも延べ払い条件、金利あるいは技術者の派遣というような問題を、長い間各国競争しまして、そうしていよいよ成約という形になるわけであります。そこで実は、この法律だけでプラント輸出が促進されるというわけには参らないわけでございます。今申し上げましたように、延べ払い条件その他金融面、あるいは技術コンサルティングというような面もあわせて管理いたしませんと、できない。実はこの法律は、そういう輸出契約が大体できるという前提に立ったときに、もし設計上のミスがあった場合にはどうするのだ、こういう話に実はなるわけであります。しかも、今までの例を見ますと、日本は、御承知のように船とかあるいは車両とか、そういうものが非常に多くて、なかなかプラント類というものは、ある工場を建てるわけでございますから、日本に対する後進国信用が、欧米に比してないというところに、実は問題があったわけであります。ところが、日本からもしかりにいく場合には、根本は、その建てた工場プラント設計通りにいったということでありませんと、国際的に信用を落としますので、従来は、まずこういう法律にかかってくる件数が少なかったということになるわけでございますが、そういう日本プラント輸出が非常に少なかったということが第一。それから第二は、今までプラントを出す場合に、せめて外国に比べて日本信用の置かれるような化学プラントあるいは繊維プラントのようなものが、実は中心でありました。ところが、だんだん競争が激烈になって参りますと、新しい業種のプラント、そうして今までより以上にへんぴな国にいくことに相なりますので、そういう面からは、今年も従来より以上に政府補償契約をするような申し出の件数がふえて参る、こういうように考えます。従って、そういう状況でございますので、現在これからいろいろ話し合い各国とする——今現に話し合いをしておるものもございますが、従って、このあと年間で一体どれだけプラントが出る見込みであるかということの算定は、非常にむずかしいわけでございます。幾つか話がありましても、立ち消えになるものがたくさんございます。しかし、少なくともただいまのような改正がもしできますとすれば、これはまだ一般に話し合いを業界からとっておりませんけれども、今すでに出ておるものでも、とりあえず三件ぐらいは、今度の改正によって政府補償契約をしたい——これはもちろん外国輸出契約ができたことを前提にしておるのでございまして、まだ輸出契約が確立しておりませんが、大体乗ってくるであろう。これが現在の状況でございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 提出日本プラント協会資料によりますと、一九五七年から六一年の五年間で、プラント類輸出が八百六十六件あるようになっておりますね。一九五七年に六十件、一九五八年に百六十六件、一九五九年に二百件、一九六〇年に二百三十五件、一九六一年二百五件、合計八百六十六件、最近のこの実績からいうと、年間二百件から二百五十件ぐらいの見当になるんじゃないかと思います。これは六一年まで、二年前までの実績ですが、そうしますと、これから四年間、一年間二百二、三十件、四年間で九百件かそこらあろうかと思うのです。そういうように、過去においてもプラント類輸出が非常に多くなってきておるのに、利用者が一件しかないというのは、あまりにも価値がないのじゃないかということを言いたいわけなのです。この法案ができたからプラント類が急にふえるとか——ふやしたいと思っているが、コンサルティング態勢強化をはかって、外国から受注があった場合には、注文内容に応じて調査をして、あるいは設計を出していくというようなこともあるのですから、補償するほかにそういう態勢強化もあるはずですから、件数が幾らふえるかというのじゃなくて、こういう件数の中に、この補償を利用しようというのがわずか一件か二件では、本来の価値がないじゃないか。そのためにたとい何百万でも国費を使うのは、利用者があまり少ないなら、どうかと思うということを言いたいのですがね。
  18. 島田喜仁

    島田政府委員 ただいま先生の御指摘資料の一九五七年から一九六一年、計八百六十六件というのは、一応話のあったものでございまして、話が一応ありましても、たくさんあるうちで、プラントとして出るというのはほんとうに少なくなるわけです。これはそういう話し合いを幾度かするところにプラント成約のむずかしさがあるわけですが、いろいろの話がありましても、みな立ち消えになって、日本側のメーカーもしくはシッパーと外国との間にプラント輸出契約ができたのは、非常に少ないわけです。
  19. 板川正吾

    板川委員 この表五は、そういう成約件数じゃなくて、引き合いがあったものですか——そういう説明がないから、実はそれが輸出件数と思っておったのですが、表の第三表に、これは通産省通商局資料なんですが、一九五七年から六一年まで、二億四千八百万ドル、プラント類輸出承認額としておりますが、これまた輸出承認はしたが、実際は輸出をしなかったというのですか。そうでしょう。そうすると、これによる件数はどれくらいですか。さっきのやつは引き合い件数でしょう。今度は五年間に二億四千八百万——二億五千万ドルはかり輸出をしておる金額件数は、何件にあたりますか。
  20. 島田喜仁

    島田政府委員 一応こちらで調べておりますのは、昭和三十三年に十六件でございます。成約のできたものが十六件。それから昭和三十四年が二十件、それから昭和三十五年が二十三件、それから昭和三十六年が三十三件、昭和三十七年が、今のところあれしてますのは十一件でございます。これが全部成約のできたプラントの大体小さなところはわかりませんが、大体保険資料によって調べますと、そういう件数になっております。
  21. 板川正吾

    板川委員 そうすると、年間平均二十件から三十件程度、これは日本プラント輸出件数であって、大体その十倍程度引き合いにくる。まあ二百件以上ありますから、二百件から二百五十件ありますから、引き合いの話があったのは二百五十件くらいあり、輸出はその十分の一程度しかないということになるわけですね。その二十件から二十五件程度輸出の中で、本法適用を申請してきたのはわずか一件、こういうことになるわけですか。
  22. 島田喜仁

    島田政府委員 今三十三年といいましたが、三十四年本法ができましてから、補償契約を結びたいというてプラント協会に申し出たのが、実は十四件であります。その十四件の中で、実は輸出契約がまだ未成立のものと、それから今のような違約金条項だけしかないために、設備の取りかえ等の条項がないためにできなかったもの、それから料率が非常に高過ぎるものですから、そろばんをはじいてみて、とても採算が合わないというのでやめたもの等が脱落しまして、それで一件ということになっております。
  23. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、三十四年以来約百件近く輸出プラント成立をしておった。そのうちに、本法の申請をしたのがわずか一件であった。百分の一程度しか本法を利用してないということ、あとの九割九分の、これは何らかの形で、外国プラント輸出する場合には、万が一事故があった場合には当社でこれを負担しますというような契約はあろうと思うのですがね、その契約については、大体本法補償制度は利用せずに、個人で、あるいは引き受けした会社共同で、そういう補償責任に応じておるのですか。実際の実情はどうなんです。
  24. 島田喜仁

    島田政府委員 それは会社自体が、もしそういう事故が発生した場合には保証責任に応じているわけです。ただ御承知のように、プラントを出します場合には、国際的な信用もございますので、そういう違約金条項を書きましても、大丈夫自信があるというところまでは持っていって出しておるわけです。ですから、違約金を払うということよりも、もしかりに問題が起こったときには、信用にかかわるのですから、看板が大事だという面で相当慎重にやっているわけです。そのために相当な金をかけてやっておるわけでございますが、ただもし万一そういう事故が起こった場合の責任をとるかとらないかというところで、腹をきめなければならぬ。実際に大丈夫だというときには、政府に対して補償料を払わずに、絶対におれのところは自信があるというのは、保証条項だけ書いて、実際輸出して事故も起きなかった。それで事故の起きたケースが比較的少ないわけでございまして、過去におきましては、百四十件の中で、事故が起きておりますのは三件でございます。従って、本制度で問題になりますのは、事故率が一体どのくらいになるかという点が非常に確率計算がむずかしいわけでございまして、先ほど板川先生から輸出保険の中に入れたらどうかというお話がございましたが、その問題にも実は関連して参りますが、輸出保険は長い過去の経験からある程度保険計算ができますが、本問題につきましては、なかなか事故率計算がむずかしい。それからもう一つは、件数も少ない関係から、保険のように確率がなかなか出てこない。それから同時に、輸出保険は、相手方の信用保険という面が実は入っておる。戦争あるいは災害というもののほかにそういうものが入っておりますが、この制度は、広義であれしますと、予想せざる事故ではございますが、業者自身責任になるという考え方に立たざるを得ないわけでございますので、その点が保険制度とは違う、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  25. 板川正吾

    板川委員 これを利用しないプラント輸出関係ですね、プラント輸出は、御承用のように、一社で全部やるということじゃないと思うのです。一面において、大きな工場を請け負うのですから、電力関係はどこそこ、あるいは配線関係はどこそこ、工場建設機械はどこそこ、こういうふうに各社共同プラント輸出をすると思うんです。それで、各社がおのおの自分の機械なら機械、あるいは発電装備なら発電装備、それには担当した会社がその危険負担をする。信用の面にかかわるから、もし動かないような場合があったら、全額当社で動くようにしますというようなことになっておるために、このプラント輸出促進法を利用するものがないのですか。いや、私が言いたいのは、今、年間二、三十件程度でありますが、将来大いに力を入れて、東南アジア、後進国地域には、プラント類輸出を促進してやるべきだと思うのです。そのためには、大手ばかりじゃなくて、もう少し中小企業プラント業者輸出できるような態勢にしなくちゃいかぬと思うのです。そのためには、こういったプラント類輸出促進法のようなものが必要である。だから、何かプラント類輸出全体が補償制度を利用するような態勢にならないものだろうか。そうすれば、まあ確率も、だんだん数が多くなるほど的確になってきますし、補償料率も、万が一のことを考えて、そう高くなくてもいいと思うのです。安ければ、どこの会社でも、一応この制度を利用してくるんじゃないか。だから、この制度輸出業者全般に利用されるような制度に、今度の改正の場合には考えておるのかどうか。せっかく改正しても、年間三件かそこそこだ。今までは四年に一件しかないけれども、今度は一年に二、三件あるだろう。しかし、実際は二十件ないし三十件ある。その十倍くらいある。そういうものがこの制度を利用するような制度に、これが法律改正ができないものだろうか。そこを実は聞きたい。
  26. 島田喜仁

    島田政府委員 実は、かりに二十件、三十件ありましても、実際に契約成立をするかしないかという、そこに実は問題がございまして、この商品を見て、これなら価格が安いから買おうというようなことでなしに、工場の立地条件その他を考えて、長いことかかっていろいろ成約ができるわけであります。特に、まず最初に日本引き合いがくる場合には、その設備機械として出すメーカーに実はくるわけでございません。また、コンサルティングをする場合には、御承知のように、肥料プラント製紙プラントということになると、製紙工場を動かす、設計をする人でないと、実はできないわけです。機械メーカーは、その設計に基づいて機械をつくって出すだけでございます。そういうコンサルタントが日本には実は少ないわけでございまして、製紙工場並びに肥料工場を動かすことはやっておりますけれども外国に自分の肥料工場なり製紙工場と同じようなものを輸出するために、プラントを出すために事業しておるわけではございません。ここが先進国と違うところであります。従って、コンサルティングをする場合の機械メーカーは、そういう日本にある製紙工場、あるいはメーカー、あるいは肥料工場に相談をして、そして輸出をするわけであります。従って、そういうことから考えますと、そういうものが全部で一体補償制度として大体どのくらいの事故が起こり、どれだけの件数が出てきて、そうして補償料率をどのくらいにするかという計算が、実はなかなか出て参らぬ。もしかりに一件でも出てきますと、相当な金額になる。出なければ、ほとんど政府負担をしなくていい、業者も負担をしなくていいということに相なりますので、今のような日本のむずかしいプラント輸出の現況では、なかなか制度的に、今先生がお話のような制度として確立することはなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考えます。
  27. 板川正吾

    板川委員 日本プラント協会というのがありますね。ここに国の補助が二億二千万ほどあるのです。外国から引き合いがきた場合には、まず各製紙工場あるいは肥料工場設計をやる会社ということでなくて、プラント協会で窓口を一つにして、そうして対外的な成約をたくさんとっていこうという便宜をはかっているわけですね。外国から注文にくる場合には、なるべくプラント協会へ行って、プラント協会でその注文に応じてコンサルタントを派遣したり、あるいは設計をしてやったり、あるいは業者の選定のアドバイスをしてやるという形でやっておるのでしょう。ですから、従って、この補償業務を一任しておるプラント協会で、そういう点は全体を調整できるというのですか。総合的な仕事をやっておるわけですね。ですから、プラント協会の機能をもっと強化して、そこで話し合いがたとえば年間二百五十件ある、そのうちで成約が大体十分の一の二十五件程度であるという、その中で、今度の法律改正して、利用者が一割程度——二、三件あるのではないか、こういう形になっていると思うんです。ですから、私は、その話し合いが二百五十件もきたときの窓口は、日本プラント協会が主として担当しておる。きまったものも、プラント協会が主としてそれを総合してやって便宜をはからっておる、こういう機関である。その輸出するときの二十五件全体が、それは一括して包括的に入る場合もあるでしょう。あるいはこの発電所ならこの発電所を担当した会社が、これは私の責任ですから、発電所の部分だけやりましょう、機械部分は、これは私が担当したのですから、私の会社でこの保険を利用しましょう、こういう形でもいいし、あるいはプラント協会が全業者の代行者になって、一手に補償料を払ってやるという方法もあると思うのです。とにかく、せっかく法律をつくってやるならば、いまちっと利用者がふえるような内容にしてやることはできないものだろうか。輸出保険制度が一方においてあり、輸出のいろいろなリスクについて、どこでも万が一ということで保険をかけていると思うんですよ。まあそういうのが多いと思うので、もうちっと利用度を高めるような内容にするためには、一体どこに問題があるか。これだと不十分だと思う。先ほど言ったように、おそらく二、三件しかないだろうという見込みです。だから、いまちっと全体が利用するような制度改正をしていくためには、どことどこを一つ手入れしたらいいのかという理想論から、考え方はありませんか。将来そういう方向を推進していくという意味において、一応聞いておきたい。
  28. 島田喜仁

    島田政府委員 実は、今後制度趣旨が、日本の要するにシッパーあるいはメーカーが外国に対してプラント輸出する場合に、これは一社でも数社でもいいと思うのですが、輸出する場合に違約金条項もしくは取り扱い、修理の条項というものを書かされて、そのときに、自分みずからの責任においてできるんだ、あるいはもう事故は起こらないんだという自信のあるものは、実は本法に持ってこなくていいわけです。やはりどうしてもあぶないんだというものがある。外国にも実はこういう制度はありません。日本がそういうプラント輸出についてはまだ先進国に及ばないという形から、こういう政策をとっておるわけでございますから、持ってこなくてもいい。ただ、乗りたいときにどうなるかというところに、私は問題があると思います。だから、保険と比べますと、そこの点が実は違うわけでございまして、ただ一つ問題は、この制度を批判するあれといたしましては、それじゃもしどんどんあぶないやつが持ってきたらどういうことになるか。この制度をあれしたら、あぶないやつが持ってきたときに、事故が起こったら、御承知のように、百億の場合には、現在の割合でいけば、十四億くらいを払わなければならないわけですから、大へんなものになる。だから、そこに問題があるというので、今まで、補償料率なり、この法律が多少シビアになっておったわけですから、その場合の問題だと思います。だから、あぶないもの、自信のないものが、この制度があるから出すというような形になるというところに、考え方としては問題があるわけです。現実には今まではそういうことは実はなかったわけですが、私どもとしてもは、できるだけそういうものをここに乗せる方には努力をいたしますが、今の例にかんがみますと、やはりプラント協会が、自分でコンサルタントを持っておりますか、あるいはほかの部面に技術者その他コンサルタントの動員のあっせんをいたしまして、そしていくわけですが、各社の相当自信があるもの、もし万一の場合は自分のところで負担をしてもいいというものが、相当あるということは間違いない。なお、そういうプラント件数が、非常にまだ数からいって成約そのものが少ない。私どもは、できるだけ今度は中小企業関係プラントを出すように、実は努力をいたしたい、こういうように考えまして、プラント協会にも実はそういう技術、経営の相談をするような仕事を新しく設けております。これもなかなかむずかしい問題と思いますが、こういう形で、プラント輸出等についても、できるだけ中小のプラントの出るような方向に持って参りたいと思っております。
  29. 板川正吾

    板川委員 この法律ができるときに、この業務プラント協会に委任する。プラント協会は、御承知のように、大手の二十八社が中心になってプラント協会をつくっておる。その大手中心プラント協会にこの業務をまかせるということは、実は中小企業プラント輸出をねらいとする本法からいって、どうもあまり好ましくないんじゃないかという危惧を持っておったのですが、その後、プラント協会本法施行にあたってのそうした危惧の点について、どうですか、心配ないですか。たとえば大手偏重というようなことがない——どうも今まであったと思うのです。そこで、今度プラント協会業務内容を少し変えて、今局長が言ったように、中小企業プラントができるような態勢一つ強化していこう、こういうことになったのだと思うのですが、そのプラント協会業務運営の内容強化していくというのは、具体的にはどういうような内容なんですか。
  30. 島田喜仁

    島田政府委員 約八百五十万円ぐらいをコンサルティング及び中小プラント引き合いあっせん事業費といたしまして、まあ一千万円にはなりませんでしたが、八百五十万円ぐらいの予算で、今十名足らずの人間を、そこにプラント協会の中から供出いたしまして、そしていろいろな引き合いあっせんの事務をしよう。実は中小の輸出につきましては、外国——後進国ではございますが、実は中小企業者がそのコンサルティングをやるわけには参らぬ。外国に自分と同じ事業を起こさせるというような、そういう仕事をなかなかやってもらうわけには参らぬ。大メーカーも、実は中小のプラントについては、そう得意ではございません。しかし、そうかといって、それには金も要る、技術も経営も要るということになると、そういう能力を持ってやるということは、実はなかなかむずかしいわけでございます。今までもそういうことをいろいろやってきたのでありまして、やらなかったわけではございません。いろいろ苦労をいたしまして通産省としてはあれしたのでございますけれども一つのサービス業務でありますので、ほとんどプラント輸出ということよりも、いろいろな相談に応ずる手間の方が大へんだというのが、実は実態だと思います。そこで、そういう態勢をつくりまして、後進国からくる引き合いあっせん、あるいは相談に応じよう、こういう態勢をつくり上げつつあるわけでございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 この資料によると、プラント類輸出は、主として東南アジア、インド、パキスタン、それから南米、こういう方向に重点が置かれておるようです。ところが、インドネシアに比較的プラント類輸出が出ないということは、何か事情がありますか。実はインドネシアと日本関係は、たとえばインドネシアの石油、スマトラ石油なんかいっておるのですが、その後、あまり成約通りの発展をしてないんですね。そんなようなことも実は頭にあるのですが、インドネシアは、どうもプラント類輸出というのはあまり出てないのですが、こういう関係は何かありますか。
  32. 島田喜仁

    島田政府委員 まず第一は、インドネシアは、御承知のように賠償がございますので、いわゆるプラント輸出という形でなしに、賠償で相当実質的なプラント輸出のかわりになっておると思います。それから第二は、御承知のように、政情不安な点がございます。それから第三は、外貨事情が特にインドネシアは悪いという関係で、かりに延べ払いにいたしましても、はたして延べ払いとして金が返ってくるかどうかという面。この三つが、インドネシアのプラント輸出が比較的出ていない理由だと思います。
  33. 板川正吾

    板川委員 以上で私の質問を終わります。
  34. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関連して。この法律改正の点は、第一は期間の延長、第二は保証損失の範囲の拡大です。この保証損失の範囲の拡大で、まずこの補償契約において、ことに従来は違約金の支払い義務というのが前提でありました。今度は、必ずしも違約金の支払い義務というだけでなくて、ほかに範囲を機械の取りかえとかいろいろ入れているわけですね。そこで、従来扱われた例の中で、今度の改正案でいくならば、どの程度救われたか。本来、今度の改正案があったならば、従来事故補償ができた、こういう件数がどの程度あるのか。それからもう一つ、この補償契約をする場合に、違約金の支払い義務というものが書いてなくて、ただ機械の取りかえというような契約がはたしてあるのか。それから従来の場合でも、違約金は書いてはあるけれども、実際は違約金にかえて機械の取りかえをすればいいわけですね。そこで、具体的にはそう違わないのじゃないか。ただ、違約金の支払い義務というものが初めからない場合によく起こるのでありますけれども違約金の支払い義務というものが書いてあって、実際には違約金の支払いをしなくて機械の取りかえをする場合には、現行法でいけたのではないか。そういう点が、具体的にはどう違うのか。そうして実際問題として、どの程度これによって範囲の拡大が行なわれるのか。これを一つお聞かせ願いたい。
  35. 島田喜仁

    島田政府委員 本法は、法律といたしましては、シッパーと向こうのユーザーなりインポーターなりと、もし設計上のミスがあった場合には違約金を払うという条項があるものについてだけ政府補償する。従って、先ほどからお話の、そういう違約金条項等がない場合もあると思います。それは乗ってこない。これは、こちら側も民間も負担をする必要がありませんので、違約金条項がある場合に、政府はその填補する率の範囲内で填補する、こういうことになっております。従って、違約金を払わずに、もし設計上のミスがあった場合には、取りかえなり修理をして、こういうものをとにかくつくれ、こういう条項がある場合には、本法適用することになっておらないわけです。そこで、こちらのシッパーと向う側では、今先生のお話のように、違約金条項にはなっているけれども、ミスがあったから、違約金を払わなくていいからもと通りにしろという話し合いでいく場合があると思いますけれども政府は、そういう取りかえもしくは修理でいくという場合には、本法適用がないわけであります。
  36. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 現行法はある。違約金条項があれば、あるのですよ。
  37. 島田喜仁

    島田政府委員 実は、私が御説明申し上げようと思っておったことと変わりはないのですが、私の説明が悪いとすれば、従来の法律では、違約金条項でなしに、設備の取りかえもしくは補修の義務だけを規定した条項しかない場合には、法律適用がなかったわけです。だから、従来も、違約金条項があって、その違約金条項向こうとの話し合いで振りかえて、設備の取りかえその他をやるものは、実は今までも適用しておったわけです。そこで今度は、違約金条項がなくて、設備の取りかえその他補修をしようというケースというものが相当多いし、特に日本のように国際的に名の信用されていない国に対しては、おそらく金を払えというよりも、とにかく設備をちゃんとつくれという格好が多いと思います。従って、どうしてもそういう条項を入れて、違約金条項でない場合にも本法適用がある。その場合に、ではどうするかといいますと、実際に取りかえをしたり補修をしたりして、実際に使った金が出てきます。それを違約金の場合と同じような計算で、填補をして参ろう、こういうことでございます。
  38. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それはよくわかるのですけれども違約金条項がなくて、ただ機械、装置の取りかえ等をしなければならぬという必要義務を書いてある輸出契約というものが、そうあるかどうか。それから、そういう場合には大てい違約金条項もくっつけるのではないでしょうかと、私は言っておるわけです。くっついておるとするならば、従来の規定と実質上はあまり変わらない取り扱いになるのではないか。というのは、従来でもできたじゃありませんかと、こういうことを言っているわけです。  それから私がもう一つ質問しておるのは、今までの取り扱いをされて、違約金条項がなかったために、新しい改正法、案ならば適用を受けて金がもらえるけれども、もらえなかったというような例がありますか。こう言っておる。
  39. 島田喜仁

    島田政府委員 大体最近までの状況で判断しますと、やはり違約金条項が少なくともあるものと、それから全然違約金条項がないものとをあれしますと、大体三分の一は違約金条項がない。書いてないわけです。それで、先ほどちょっと例に引きましたが、板川先生の御質問のときに述べましたが、今まで損失補償契約の締結について民間からお話があったものが十四件ございますが、このうち四件は、違約金条項を含まない輸出契約であったために、実は補償契約が結べなかった。十四件のうち四件は、そういうよりな例があったわけであります。一般的にも、諸外国の例等を大体あれしますと、先ほど申し上げたように、おおむね三分の一は違約金条項がない、こういうことになっております。
  40. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 わかりました。
  41. 逢澤寛

    逢澤委員長 次は北山愛郎君。
  42. 北山愛郎

    ○北山委員 私は、今法案に関連をいたしまして、輸出貿易の問題について当面する問題をお伺いしたいと思っておったわけですが、大臣がおらぬので……。
  43. 逢澤寛

    逢澤委員長 それでは関連して久保田君。
  44. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 このプラント輸出は、これから日本としては非常に力を入れていかなければならぬ問題だと思うわけです。そこで、これにはいろいろの障害があるのですけれども技術的に見て、どういう点に現在では大きな障害があるのですか。実務的にと言ってもいいかもしらぬが、プラントをやる場合に、外国との比較や何かもしながらやった場合に、どういう点に一番日本の立ちおくれというか、困難かあるのか、こういう点については、どういうふうな見解を持っておられるわけですか。
  45. 島田喜仁

    島田政府委員 まず第一は、欧米先進国のように、先ほど申し上げましたある工場を建てようと後進国が考えましたときに、それに対して、要するに日本に頼んだらいいのか、アメリカあるいはドイツに頼んだらいいのかということが、まず問題になると思うのです。そのときに、日本は、やはり信頼度が少ない、歴史も浅い。従って、日本に頼んでくるケースが、諸外国に比して少ない。そして話をしているうちに、やはり競争になって参りますと、どうもドイツ、アメリカの方が日本よりいい、こういうところに、まず一番ブラントのむずかしいところがあるわけです。  第二は、御承知のように、日本というのは、今までは欧米先進国からプラントを入れてつくっておった。実は入れた側でございまして、ここ数年間、船、車両等を除きますと、日本は最近やっとプラントを出し始めたわけです。実は率直に申しますと、特殊なものを除けば、外国からまねをしてつくっておったのですから、今度は輸出することになりますと、欧米先進国との技術の差といいますか、新しい技術というものについて、日本技術開発がおくれておりますから、外国に似たような設備は一応できるにいたしましても、日本のオリジナリティを持った技術、ドイツやアメリカにとらわれず、このものはいいのであるというところが、実はないのが第二の弱い点であります。
  46. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 実際的な問題として、われわれ輸出業者あたりと話してみますと、輸出業者自体に、そういう紹介能力というか、宣伝能力というか、それが非常に足りないのですね。外国の方はどういうふうになっておるのか知らぬが……。それで、日本あたりで実際こういう設計を本格的にやらせるということになれば、今では千代田化工くらいでしょう、世界的にある程度名の通っているのは。三菱とかその他二、三、そういう新しい工場設計というものには、コンサルティングの充実されておるものがあるようですが、そういう点で、どうもわれわれの見るところでは、私も大した経験はないのだけれども輸出業者といいますか、そういうものとの連携というか、そういうものの蓄積が非常に足りないように思うのですが、こういう点はどうなんですか。
  47. 島田喜仁

    島田政府委員 今先生のお話しの通りでございまして、日本には、そういうコンサルティングを専門にする企業もしくはコンサルタントがいないわけです。アメリカ等先進国では、もう世界を相手にしましてコンサルティングの仕事をしている。また、その引き合いがあるわけです。ところが、まだ日本ではそう外国にどんどん出しておるわけでございませんし、そういう企業が実はなかなか成り立たない。しょっちゅうたくさん引き合いがあれば商売になるわけですけれども、そういうために、日本にはコンサルタントが少ない、コンサルティングをするメーカーが少ない。いわんや商社においては、そういうコンサルタントを持った商社というのは、私は少ないと思います。従って、商社がやる場合には、メーカーなりあるいは向こう工場を建てたいという、そういうエンタープライズをやるような会社との結びつきで相談をして、向こうとネゴに入る、こういうことになると思います。そこで、実は先ほど申し上げましたプラント協会なるものも、実は民間の企業ではございませんが、そういうプラント協会というような団体をつくりまして、そこにコンサルタントを置いております。そしてなお、そのコンサルタントが、各民間のメーカーと話をしながら、企業と話をしながら、外国引き合いに応じていくという一つ態勢をつくり上げておるわけであります。
  48. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 プラント協会の新しい仕事として、中小企業というようなこともあったのですが、私は少し事情にうといかもしれぬけれども、大体これからのプラントの大きな市場というのは、やはり共産圏と未開発地域ですよ、ざっくばらんの話をいえば。欧米に日本プラントを持っていこうたって、できるわけはないんだから、これは問題にならぬ。ですから、問題になるのは、要するに共産圏と未開発地域だと思う。共産圏のものは、技術的に非常に程度が高いようにわれわれは聞いているわけです。従って、欧米の新しい技術をよほどこっちがマスターしていなければ、やれないという面がある。しかし、また内容によっては、日本の方が欧米よりむしろ進んでいるというような例が相当あるわけです。たとえば製紙のプラントのごときは、今では必ずしも負けちゃおらぬようにわれわれは聞いておるわけです。特にマンモス機械の場合は別ですけれども、そうでない、これから未開発地域がやるのは、かりに製紙をとっても、欧米のようなマンモス抄紙機を持っていってつくったって、そんなものは消費との関係で引き合うはずがない。どうしてもやはり中小企業段階というか、世界的に見れば、そういうものの段階の方が、むしろ向くんではないかというふうに思うのです。だから、日本の市場では、欧米に比べて必ずしも技術的に特に立ちおくれていることはないんじゃないか。ただ、そういう商売が非常に新しいために、とにかく商社なんかのそういう点についての蓄積というか何というか、非常に足りないわけですね、向こうからいえば。相談があっても、そういう点では米英あたりは連絡が非常に早いようです。連絡というか、協調というか、メーカーとコンサルタントないしはそういう商売人との間が、非常に早いようです。とにかくそういう点では、日本は非常におくれておる。具体的に聞きますと、向こうでは、すでにある程度の規模の設計が、見本で大体できているんですね。ところが、日本では、引き合いがあってから、話が出てから、それからあわてて日本へ持ってきて、関係各社でもって設計をし直すのです。ですから、どうしても最終段階になればおくれてしまう。向こうの連中は、ある一定の規格ができておって、それを向こう注文によって、ここをこう変えればいいということで、基本ができておるということを聞いておる。日本の方は、そういう基本の型が何もできていない。だから、一件々々全部設計をしなければならぬ。その設計をする連中も、なかなかうまくいかないものだから、あっちこっち非常に手間を食って、結局競争に負ける。基礎設計しても、向こうの意向が変われば、また最初から設計し直しをしなければならぬ、こういうふうに非常に不利の点があるということを業者の事情通は書っておる。私は、やはりこういう点について、これは政府が介入をしてやることかどうかということは別問題です。別問題だけれども、そういう点に大きな立ちおくれがあるのじゃないかというふうに思うのです。こういう点も、業者なり何なりそういう関係者をどう指導していくかというようなことが、私はこれからのプラント輸出の実務的な課題の中心ではないかと思うんだが、そういう点についてどう思うのかということと、それからそういう点について、何か政府として具体的にプラント協会から話を聞いたのか。そういう点で非常に差があるように、実務を担当しておる連中から私どもは聞いておるが、この点はどうかということを聞きたい。
  49. 島田喜仁

    島田政府委員 ただ、中小のプラントにつきましては、なかなか成約ができないという現出がもう一つあるのです。それは、大きなプラントにつきましては、やはりある程度条件さえ両方で合えば、コマーシャル・ベースに実は乗るわけでございますが、中小のプラントになりますと、後進国の立場から見まして、経済協力と申しますか、そういう問題になりますので、従って、商社あたりの立場で向こう話し合いしても、どうしても採算の点から限界があるというような問題が実はありまして、ここにもむずかしい問題があるかと思います。ただ、そういう面では、日本といたしましても、経済協力の面で補完的な方法をとっております。その点は、私実は、経済協力関係の面接担当でございませんので、その点で一つ……。
  50. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そういう点は、われわれいろいろな実例も知っておるのですが、日本の方は発注というか、話し合いがきてから、初めから全部関係者を寄せて設計のし直しをするというようなばかなことをやっておる。これじゃ、今のような際に商売になるわけはない。だから、みんな取られてしまうということになる。よほど条件がよくなければ、日本にはころげてこない、こういうことになるように聞いておるのです。商社あたりに聞いてみますと、それまでかかえてやるだけ実は大体において力がないようです。その点はどうなっておるのか、政府としてはどんな指導をしておるのか、もし実情が多少でもわかれば聞きたいと思うのですが、どうでしょうか。
  51. 島田喜仁

    島田政府委員 担当課長から申し上げます。
  52. 山下英明

    ○山下説明員 ただいまのお尋ねのモデル・プラントにつきまして、お答え申し上げます。  プラント協会で現在まで百四十種ばかりのモデル・プラントをつくりまして、海外にも送っております。これに対して政府は五〇%の補助をいたしております。      ————◇—————
  53. 逢澤寛

    逢澤委員長 この際、本案審査のための参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  理事の諸君と御協議願いました通り、来たる十九日火曜日の委員会に、日本プラント協会事務局長の天岩旭君に参考人として出席を求めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は、十九日、火曜日午前十時より開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会