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久保田(豊)
委員 今の
計算の
基礎が、
測定の
基礎が、
価格や何かいろいろ変わってきますから、そういうところに置いてくれば、多少そういうあれがあるかと思います。思いますが、
基本的には、私は、この三年間で、ことしの
民間設備投資が予想
通りいった場合には、かなり四十五年の
目標に近づいてくることは間違いない。ところが、ほかの要件がこれに伴わないという点が問題の
中心だろうと思う。
輸出入にしましても、あの
計画に基づけば、大体二十二兆の
国民総生産がある場合に、大体
輸出入とも百億ドル近くの
規模にならなければならぬ。しかも、その
内容は、
重化学工業がほとんど六〇%以上
輸出入の
内容を占めてこなければならぬ、こういうことになるでしょうし、特にあなたの
商工委員会におきますいろいろなあれを見ても、
公共投資、つまり
社会資本の形成というものは非常に立ちおくれておると言っておる。おくれるわけですよ。片方で
設備投資がどんどん
伸びている。立ちおくれているのではなくて、
民間投資の方が行き過ぎたから、結局
バランスがとれなくなったということに私はなると思うのであります。こういういろいろなひずみが至るところに出てきておるというのが今日の
状況であって、今
お話のありましたように、ことしの
世界経済の単なる
景気の
見通しという点からいえば、あなたのおっしゃるようになるかもしれない。しかし、
アメリカにしましても、
景気そのものは、
生産そのものは落ちないかもしれない。しかしながら、
外貨事情は悪くなっております。そのほか、どうも
減税も、最近の
状況では、だんだん
資本家減税、
日本でいう
政策減税の力に近づいていくような
傾向にあるようです。これでは、新しい
投資を刺激してやるというふうな格好にはならないのじゃないか。むしろ対外的には、非常にきびしい線がこれから出てくることは、当然だろうと思う。
景気がいいから、あるいはそんなに
景気が悪くないから、
日本の
輸出が
伸びるということにはならないのじゃないか。特に
日本側の
事情からいえば、
アメリカは軽工業ないしは軽機械の
輸出市場としてはさることながら、
重工業品の
市場としてはほとんど価値を持っていない。しかも、
原料品としては、
重化学工業はほとんど
アメリカに依存している、こういう状態です。欧州にいたしましても、
EECがだんだん強くなってくる。その中で、ドイツあるいは
イギリス等はすでに頭打ちで、
イギリスあたりはこれからますます
停滞という
傾向が強くなってくるのじゃないか。
フランスは、今のところまだ
停滞の
傾向は出ておりませんけれ
ども、
イタリアにはすでに出ておる。こういうのは、
イギリスの
EEC参加が不調になった今日の
段階で、
景気の
動向そのものではなくて、どういうふうに
国際市場に出てくるかというふうなことも、
国内の
構造変革と結びつけて考えた場合には、
相当深刻な問題になるんじゃないか。ただ単に、
景気もそう大して上向きもしないが下向きもしない、だろう。だから、
日本の
輸出努力によって
輸出が多少量的にふえるだろうというふうな観測は、ことし一年はそれでごまかせるかもしれない。しかしながら、来年、再来年ということになると、私は
相当はこれが行き詰まってくるという問題がありはせぬかというふうに思うわけです。こういう問題について、ここで結論を出せといっても、無理な話です。これは議論をすれば、どうでも水かけ論で逃げることのできる問題であります。われわれの
見方が正しいのか、あるいはあなたの
見方が正しいのか、これはお互いが論点を変えていけば、指標のとり方、評価の仕方を変えれば、どうにでもなる問題です。しかし、そういう
基本的な問題が、私は、少なくともことしの後半においてはある程度
日本の
国内の
経済の
動向にはっきり出てくるんではないかというふうに思いますので、こういう点については、
一つ経済運営の点で慎重な
——政府としては今まで以上に、ただ
国内で政治的にごまかすために、
池田さんのようなああいう無責任な発言でごまかしていくということは、これは間違いです。少なくともそういう点について、
政府が真摯な
態度をもって対処するということが、
内閣の評判はある程度落ちるかもしれませんけれ
ども、私は
国民生活なり
国民経済を正しく指導していく道ではないかというふうに思うので、この点は
一つ要望として、単に
国内の
経済問題としてだけ、あるいは政治問題としてだけ、こういう問題を取り扱わないように御注意を申し上げておきたいと思うのであります。
その次に、今度具体的な問題でお聞きいたしますが、ことしのこの
計画によりますと、
民間設備投資は、大体において三兆五千億ということになっております。これはどういう根拠から出してきたのかということであります。それから、さっきあなたの
お話では、大
企業については、
設備投資も一巡して、あまりこれからやる
機会がなかろう、やっても
過剰投資になりはせぬかという危険があるのではないか、しかし、
中小企業等は、
政策と
機会を与えれば、これに対する
設備投資の
機会はある、またやる必要がある、そういうことを見込んで三兆五千億という
数字が出たような
お話だった。しかし、私が一番心配するのは、そうじゃない。これから
自由化の中で外国へ立ち向かっていく
日本の
独占資本の体制からいいますと、そういう
中小企業に対する
設備投資もある程度いくだろうが、ちょうど今石炭その他に見られるような、スクラップ・アンド・ビルドの
方向へ全般にいわゆる
投資が片寄っていきはせぬかということが、一番問題だと私は思うのであります。というのは、もっとはっきりいえば、いわゆる能率の悪い
工場、あるいは労働集約的な
工場、こういうものはどしどしぶっつぶして、そうしてかわってオートメ化したところの大
規模な
工場へ集中的に
投資を振り向けていく。まあ
あとで問題になる
企業整備の問題ももちろんありますけれ
ども、単にそれだけでは追っつけない問題が多々ある。少なくとも
生産の
一つの単位といいますか、これを
相当高度化して、いわゆる
合理化投資といいますか、そういう方へ
投資が集中をされる結果におそらくなるんではないかというふうに心配をされるわけです。そうなってくれば、
中小企業との
格差はますますひどくなる、あるいは農業との
格差はますますひどくなる。あるいはそのほかに、いろいろの
格差問題というものはますますひどくなる。しかも、その結果はどうかといえば、
雇用関係に大きく響いてくることは、これは言うまでもありません。
国民経済全体と
本年度の三兆五千億の
投資の
内容いかんということが、非常に大きな問題です。
高度成長政策というか、
所得倍増計画が当初問題になったときも、自民党の皆さんでさえ、
シェアの
拡大のための
投資というものはいけないというようなことを言っておった。実際はそうではない。なるほど
合理化投資もあった。
技術革新の
投資もあった。あったけれ
ども、結果としてはむしろ
シェア拡大の
投資が一番よけいになって、それが行き過ぎになったということは事実であります。そこで多少前年度よりは落ちてはおりましょうけれ
ども、三兆五千億の
投資は、どの
方向へ向けていくかということは、なかなか
政府の思う
通りにはいかないでしょうが、これについて
政府なり企画庁なりがよほど明確な方針なり
計画を持っていなければ、ますます
日本の
経済のアン
バランスというものはひどくなってくるよりほかはないと思うのであります。しかも、
中小企業以下の国民全体が、非常に苦しむ結果になることは明らかである。
そこで私がお聞きしたいのは、第一に、三兆五千億の
基礎はどこにあるのか。三兆五千億の
民間設備投資を、
政府はどのような
方向で、これをあるべき姿へどういうふうに配分をしてやっていだという
計画を持っておるのか。それを具体的にするのには、どういう
政策を用意しておるのか。この三点をここではっきり言えるなら、言っていただきたい。