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1963-02-06 第43回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月六日(水曜日)   午前十時三十六分開議  出席委員   委員長 逢澤  寛君  理事小川 平二君理事岡本  茂君  理事首藤 新八君理事白浜 仁吉君  理事中村 幸八君理事板川 正吾君  理事松平 忠久君    浦野 幸男君  神田  博君    小平 久雄君  笹本 一雄君    始関 伊平君  田中 龍夫君    村上  勇君  山手 滿男君    早稻田柳右エ門君    北山 愛郎君  久保田 豊君    小林 ちづ君  中村 重光君    山口シヅエ君   出席政府委員    通商産業政務次 廣瀬 正雄君    官    通商産業事務官 渡邊弥栄司君    (大臣官房長)    通商産業事務官 塚本 敏夫君    (公益事業局長)     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  (豪雪による通商産業関係被害状況  等)  公益事業に関する件  (深川ガス爆発に関する問題)      ————◇—————
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開議を開きます。  まず、通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  通商産業関係豪雪による被害状況及びその対策について、最初政府より説明を聴取することにいたします。渡邊官房長
  3. 渡邊弥栄司

    渡邊政府委員 豪雪被害状況対策につきまして、御報告申し上げます。  先般、一月三十日の委員会中間報告を申し上げたわけでございますが、その後の概況、対策進展状況を申し上げたいと存じます。お手元に資料を差し上げてありますが、先日も申し上げましたように、今回の被害は、建物崩壊等は比較的少ないのでございますが、輸送の停滞による滞貨増、それから生産減少などがおもなものでございます。従いまして、交通回復に伴いまして逐次改善されておるわけでございますが、現在までのところ、食糧、燃料医療品等輸送がおもでございまして、原料輸送する余裕が乏しいのでございます。原料不足企業生産は必ずしも回復しておりません。原料不足のために生産が落ちておる事態は、まだあまり改善されていないのであります。しかし、労働者の通勤はかなり緩和されましたので、従来労働者欠勤のため操業度が落ちておりました企業生産は、回復のきざしが見えて参りました。このような状況に対処いたしますために、原料輸送につきまして国有鉄道の御協力をお願いしておるわけでありますが、道路輸送につきましては、国道一号線などのように、一車線のみ開通しておりますところでは、輸出品用原材料、それから保安を確保するための原材料など、緊急に輸送しなければならない物資につきまして、通商産業局において証明書の発行をいたしまして、これを優先的に送るようにお願いをいたしておるわけでございます。また、製品の出荷につきましては、各県の県当局証明によりまして選択的な輸送をお願いしておりますが、この場合、輸出品につきましては特に配慮するようにいたしておるわけであります。なお、灯油——油でございます。灯油などの民生用燃料につきましては、名古屋通産局全国石油販売業協同組合連合会及び石油連盟協力を得まして、緊急輸送を行なっておりますので、十分とは申せませんけれども必要最小限度の数量を何とか確保したいと思っておるわけでございます。  次に、輸出品対策でございますが、輸出品輸送原料手当等につきまして努力しておるわけですが、輸送力現状から見まして、必ずしも円滑には参っておりません。従いまして、納期遅延などによりますクレームの問題が起こって参りますので、通産局長、及び繊維品につきましては、災害地にあります繊維品検査所、これが遅延証明書を発行することにいたしております。また、外務省から在外公館あて豪雪による出荷不能の実情外国政府及び外国産業界に徹底いたしますように、電報で実情を知らせておるわけでございます。  最後に、中小企業金融関係でございますが、政府関係中小企業金融機関に対しまして、中小企業庁及び大蔵省から、災害を受けた中小企業向け資金の潤沢かつ円滑な供給を行なうよう指示をいたしました。また、年度末の中小企業金融対策として、買いオペレーション及び政府関係機関への財政資金追加を各百億円行なうことになっておりますが、その運用にあたりまして、雪害地被災中小企業に対して特別の配慮を加えることにいたしました。さらに必要があれば、追加措置を講ずるということになっております。現地視察のために通産局の職員を適宜現地に派遣しておりますが、一昨日、繊維局長及び大阪の通産局総務部長福井方面に出かけております。なお、本日、東京通産局長調査団を編成しまして、新潟方面に出発することになっておるわけでございます。  以上、中間報告で不十分でございますけれども、現在までの状況を御報告申し上げます。
  4. 逢澤寛

    逢澤委員長 次いで質疑の通告がありますので、これを許可いたします。中村重光君。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 簡単に、具体的な対策を伺ってみたいと思います。  ただいま通商産業省関係被害状況ということに対しましては、御報告を伺ったわけであります。そこで、今特別の金融措置ということを考えておるんだということですが、具体的な面に対しては御報告はございませんでした。今度のこの被害というのは、中小企業関係になって参りますと、間接被害ということになるわけであります。そこで激甚災害指定ということが、大ワクとしては私は行なわれるだろうと思っております。しかし、具体的な指定があり得るかどうかということに対しましては、中小企業関係におきましては困難であるというように思います。北陸関係は、新聞の様子から見ましても、ただいまの御報告を伺いましても、相当被害は大きいと思いますが、私は、その地帯に行っておりませんので、わかりません。しかし、九州地帯には行って参りました。全く九州では雪害などということは夢にも考えられなかった。私どもも、参りますまでは実感がわかなかった。行ってみたところが、全く被害の甚大なのに実は驚いたわけであります。そういった点から、果樹あるいは蔬菜類に対しましては、直接な被害ということになりますけれども中小企業関係では、申し上げるまでもなく、水害であるとか、あるいは台風であるとか、直接その商品が水に流されたとか、全然使いものにならなかったとかいう形ではなくて、商売が全然できなくなった、そういう形の被害ということになっておるわけであります。従いまして、金融対策といたしまして、具体的にどういったことをおやりになろうと考えているか、まずその点を伺ってみたいと思います。
  6. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま中村委員指摘のように、中小企業者に対します被害は、商品滞貨したとかいうような運営の面からの難渋でございまして、施設がどうなったということはきわめて少ないんじゃないかと思うのでありまして、いわば間接被害であったと思うのであります。そこで、その救済策といたしましても、先刻役所の災害対策本部官房長から御説明申し上げましたように、中小企業金融につきまして困っていらっしゃる方がさだめし相当たくさんであろうと思うので、現地政府関係金融機関に対しまして、そうした業者融資について不都合のないように、潤沢に、しかも迅速にそうした御要望に応ずるようにということを、大蔵省並び中小企業庁から強く示達をいたしてあるのであります。  さらに、これも先刻申しましたように、御承知のように中小企業金融対策といたしましては、年度末に特別の財政措置と買いオペレーションによりまして四百億の措置を講じたのでございますけれども年度末に対しまして、つまり第四、四半期に対しまして、財政資金と買いオペレーション、おのおの百億ずつを放出するということにいたしておるわけでございます。そうしたことによって、しかも一そうした災害地に優先的にそのような運営をするようにというようなことを特に考えておるわけでございます。二百億と申しますのは、第四、四半期中小企業対策全国的な、一般的な措置でございますけれども、それをとにかく災害地に対しましては優先的に配慮するようにというように考えておるわけでございます。それでなおかつ不足でありますれば、追加も考えたい、こういうような程度をただいま考えておるわけでございます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 まあその融資ワクを拡大するということはわかるわけですね。ところが、中小企業者要望の形で国の施策として望んでおることは、具体的な、間接被害であるということで、特別の取り扱いということがはたしてあるのかどうか、そこを心配しているわけです。たとえば今まで借りている、既往の債務に対して返済期間を延ばしてもらえるであろうか、あるいはまた金利引き下げということに対してはどう考えておるのであろうか、あるいは保険公庫填補率問題等も出て参ります。激甚災害指定を受けますと、これが自動的に適用できますけれども、今度は私は、激甚災害指定は非常にむずかしいと思っております。私どもが参りました九州各県、これは与野党とも行ったわけですが、額が基準額に達しないという点があるのです。しかも直接の被害でありますと、また具体的なことがちゃんと法律の面に明らかになっておりますけれども間接被害ということになって参りますと、市町村長証明なんという形は出て参りません。そこが非常にむずかしいのですね。融資ワクを拡大した。そこで特に金融上困っておるであろう。手形も発行しているが、物が売れていないから、利潤は上がっておりません。資金も動かない。そこで支払いもできなくなるであろう。これは何とかしなければならぬ。それはわかるわけですよ。しかし、具体的にどういう取り扱いをなさろうとしておられるのか。台風とか、水害ということになって参りますと、直接の被害ですからはっきりしますけれども雪害ということになって参りますと、内臓、血管をやられた、こういう形になって参りまして、相当深刻な金融上の問題が出てくるのではなかろうか、こう考えております。従いまして、それらの点に対して、大蔵省との折衝というものが行なわれておるのであるか。また、特別の措置として、閣議決定等によって、法律にかかわらず、何か取り扱いをしようと考えておられるのか。そこを聞いてみたいと思います。
  8. 渡邊弥栄司

    渡邊政府委員 ただいまの中村委員の御質問でございますが、間接被害をどういうふうに算定をして、激甚災害指定との関連を考えていくかという問題と、それから激甚災害指定に乗らない案件をどういうふうに処理していくか、この二つの問題かと存じますが、まず激甚災害指定の問題は、御承知のように、この指定になりますと、金利とか納期支払い期間の問題とか、それから保証協会関係とか、いろいろな特典があるわけでございますが、全国生産に対しまして〇・〇六%以上の被害が今度の災害であって、そうして特定の県について、その県の中小企業生産の二%以上の損害があるという判定ができますと、御承知のように激甚災害指定ができるわけでありまして、これは少し計算をしていかないとわかりませんが、この指定で救済できるケースが相当出てくるんじゃないか、つまり指定をし得るケースが相当あるんじゃないかというふうに考えるわけでございますが、それに関連しまして、やはりどういう基準——ただいま御指摘のように、直接被害は比較的少ないが、間接被害が大きいという場合に、この算定基準をどういうふうにするか、これを関係省の間で今相談をしておるわけでございます。建物、設備の損壊による被害額は、これは算定が比較的容易かと思いますが、それに関連して、製品原材料がいたむ、これも当然算定していいかと思うわけでございます。そのほか、除雪のための費用でありますとか、滞貨をしたための金利負担、それから生産減少売り上げ減少による損失の算定、これが非常に難物でございまして、操業度低下ないし操業停止によっていろいろな損害があるわけですけれども操業低下をしたにかかわらず、支払わなければいけないような固定した費用といいますか、欠勤者に対しても賃金を支払う、管理費等がやはり操業低下してもかかる、それをどういうふうに算定したらいいか、この算定方式等を今技術的に詰めておるわけでございます、こういうような間接被害をできるだけ早く集計をいたしまして、そうして激甚災害指定の問題をなるべく早く処理をしたいということで、せっかく努力をしておるわけであります。ただ、特定府県で、中小企業の受けた被害は、間接被害が非常に大きいけれども法律指定ということにいかないような特殊のケースといいますか、それをどういうふうに処理していったらいいか、この点はただいまのところまだ結論を得ておりませんけれども、何らかの措置を講じなければいかぬ、これは早急に検討を進めたいというふうに考えております。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な対策はまだ立っていないということもあります。激甚災害は、大ワクとしては北陸九州全部ですね。積雲による被害である、こういうことで指定が行なわれております。しかし、具体的に、どの県を、どの市町村激甚災害、しかもまた、中小企業あるいは公共災害、あるいは農地などの災害と、そういうことを集計して具体的な指定をするのには、相当時間がかかります。しかし、中小企業者の金繰りという面から申しますと、そうゆっくりされちゃ困る、こういうことになって参ります。従いまして、北陸方面には被害が甚大であるだけに、それぞれ対策を講じて、あるいは現地出張等が行なわれておるであろうと私は期待をいたしております。それはそれなりに、被害が大きいだけに、特別な取り組みをしていただかなければなりません。しかし、九州地方その他の地区にいたしましても、全く三十年、五十年ぶりの被害であるということであります。全く雪の被害なんというのは初めてだということでありまして、全くもう深刻なんです。私どもが参りまして、どうですかとこう尋ねると、町長さんなんか、全くもう何とも言えません、対策も何も立ちません、ぼう然自失ということです、どうしたらいいものかわからないのです、こう言っているんですよ。準備がないのですから。そういうことで果樹蔬菜等のこうむる被害も、先ほど申し上げたように、心臓、血管を今度のこの積雪被害というものはやられるというわけですね。それだけ非常に深刻である、こういうことであります。そこで、中小企業関係は、何回も申し上げましたように、直接の被害ではない。従って、法律で規定しているケースの方にはなかなか出てこない。しかし、非常な深刻な打撃を受けるであろうと思われますし、相当長期にわたって打撃というものがなかなかいえないという形になろうと私は思います。ですから、閣議決定答によって特別措置をしてもらう、あるいは大蔵省と話し合って特別な具体的な方法を講ずる、そういうことを一つやっていただかなければならぬと思うのです。私どもが行って参りまして、具体的な例として、たとえば硫黄を露天掘りをしているのですけれども、なかなか掘れないのですよ。ところが、労務者を遊ばせておっても賃金を払わないでほったらかすというわけには参りません。その日その日の生活ですから、生活していかなければならない。従って、仕事はできないが賃金は払うというようなことで、業者は大打撃を受けておる。それから福岡県なんかの例でいきますと、緊就をやるわけですね。紹介所強制紹介をやっているんですよ。ところが、仕事ができないで、七千万円くらいの損害だというので、これまた業者負担被害という形になっております。また、中小土建業者被害等々、あなた方の方ではまだ御調査になっていらっしゃらない。私どもなるほどと思いまして、これは相当な打撃だなというふうに感じました。それから行商人なんかは、零細な人たちですが、商売にならないんですね。全然もう何れません。従って、とたんに生活に困るという実態が出ております。それから一カ月の間に三日か四日ぐらいしか商売をしておりませんけれども、その間品物は売れておりませんので、資金繰りで困っておる。また、利益が上がらないから、そういう面からの生活も困る、こういう事態でございます。ですから、一つの具体的な激甚災害その他のケースの中には乗ってこないと思いますから、従って、これは普通の金融として考えてやらなければならぬということでは、立ち上がれないと思います。ですから、あなた方の方では、特別な対策を講ずる。そうして金利引き下げであるとか、融資ワクの拡大は今お答えがございましたからわかりましたが、填補率の問題であるとか、あるいは特にもう市町村長証明等はなかなかできないケースが相当あろうと思います。それに対しては、何か一つ特別の方策を講ずる、こういうことで、しかもそれはすみやかに一つやっていただきたいと思います。案外中小企業というものはそう大したことはないのだと、間接被害であるだけにあまり関心が強まっていないようであります。しかし、影響は大きいという点も十分配慮されまして、特別に考慮していただきたい、こう思います。一つ政務次官から……。
  10. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 中小企業者被害は全く中村委員の御指摘通りだと思いますので、十分調査いたしまして、すみやかに対策を講じたいと思います。      ————◇—————
  11. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に、公益事業に関する件について調査を進めます。  深川におけるガス漏れ火災事故の問題について、最初政府より説明を聴取することにいたします。塚木公益事業局長
  12. 塚本敏夫

    塚本政府委員 それでは、一月二十四日、深川におきましてガスによる火災事故を起こしましたその概要につきまして、御説明申し上げます。お配り申しております資料をごらん願いたいと思います。  一月二十四日の午前六時四十七分第一現場であります深川三好町、ここで火災が起こりまして、次いで七時七分、三好町の第一現場から二百メートルばかり先の方で火災が起こったのでございます。なお、八町ごろからマンホール等爆発によりまして飛びまして、いろいろガラス窓等を損傷いたしたのであります。  その被害は、火災による焼失が十六棟、これには半焼も含んでおりますが、十六棟、半壊が一棟、ガラス破損等が十棟、死亡者が六名、負傷者が二十三名、そのうちガス中毒者が五名、そのほか消防庁の自動車等損壊を来たしたのであります。  これにつきまして、応急に東京ガスにおきまして対策を講じたのであります。その対策につきましては、四、五以下に書いてあるわけであります。この原因は、第一現場のすぐそばにガス高圧循環導管が引いてあったのでありまして、その高圧導管溶接部分が、円周にしまして一メートルばかり——円周が、導管の回りが二メートルぐらいあるわけでありますが、その半分ぐらいが裂けたわけであります。たまたまその下に下水導管がありまして、この導管は素焼きの導管でありますが、その導管が損傷を来たしておりまして、推定でありますが、この下水導管を伝いまして高圧のパイプから漏れましたガス事故現場に流れたのではないか。その流れたガスに火がつきまして火災を起こした、こういうように推定されるわけであります。  なおまた、この導管がどうして裂けたか。普通でありますれば、溶接部分は、これは昭和三十二年ごろ開設した導管でありまして、溶接が悪い場合は、直後にそういう故障が発見されるのであります。五、六年もたったあとで溶接部分損壊したということは、非常にまれなケースであります。この溶接部分につきましては、現在警視庁にその部分を持って参りまして、鑑識が行なわれておるわけであります。御承知のように、この地帯地盤沈下が激しいところでありまして、激しいときには五十ミリから六十ミリの地盤沈下をしておる地帯であります。そういう点で、もちろん地盤沈下、その他気温の変化、及び根本的にはそういった溶接の問題、こういうものがからみまして、こういった事故を起こしたのではないか、かように推測されております。  なお、こういった事故に対しましては、直ちに当日、通産大臣より、東京ガスはもちろん、全国ガス業者に対しまして、このような事故のないように厳重な通達を出しますと同時に、こういった事故を防止するための対策を立てますために、官民の検討会を設置することにいたしまして、今月の八日からこの検討会を毎週開くことにいたしております。  以上のような状況でありまして、火災の直接の原因はもちろんガス漏洩であるわけでありますが、その漏洩を来たした亀裂原因につきましては、目下警視庁におきまして検討中であります。  なお、今後の東京ガス対策といたしましては、そういった亀裂原因の究明のほかに、このような地帯が多数あるわけでありまして、特にこの高圧導管の通っております地帯は、相当住民におかれましても不安な感を持たれるわけであります。そういう意味におきまして、各営業所ごとに百三十名ずつの人を動員いたしまして——これは都下で大体十三、四くらいの営業所があるわけでありますが、各営業所ごとに百三十名の人を動員いたしまして、漏洩調査を毎日やらしております。  なお、今後の対策といたしましては、こういった事故が起こりませんように、溶接部分——この高圧導管は一本の長さが六メートルくらいありまして、この六メートルのものを継ぎ合わせてやるわけでありますが、たまたま作業日誌によりますと、その六メートルずつを大体四、五本ずつ地上で溶接いたしまして、その部分をさらに地下溶接する。で、作業日誌によりますと、この損壊場所も、その地下溶接した部分故障でありまして、そういう点から、そういった地下溶接したと認められるものにつきましては、もう一回掘りまして、レントゲン検査をやらせる。こういうことにいたしまして、今後こういう事故を防止するように極力努めさせておる次第でございます。  なお、この亀裂原因がわかりますれば、さらにまた本委員会に御報告を申し上げたい、かように考えております。
  13. 逢澤寛

    逢澤委員長 以上で説明は終わりました。  次に、この事件について現地視察して参りました委員より、視察の結果をお聞きすることにいたします。小林ちづ君。
  14. 小林ちづ

    小林(ち)委員 ただいま通産省より御説明がありました東京瓦斯漏洩事故に関しましては、当委員会におきまして、事故発生の翌一月二十五日委員長初め十名が急拠現場におもむき、災害実情調査するとともに、罹災者に対しましてお見舞いを申し上げて参りましたので、以下簡単にその結果を御報告申し上げます。  まず御報告に先だちまして、今回の事故により死亡されました方々に対し、衷心より哀悼の意を表する次第であります。  被害状況並びに東京瓦斯株式会社緊急措置等に関しましては、通産省の御報告通りでありますので省略いたしますこととし、以下現地におもむいて直接感じましたことについて報告申し上げます。  第一は、厳寒のもとに焼け出された罹災者の悲惨な現状を目にし、再びかかる事故が発生しないよう万全の措置を早急に講ずべきことを痛感いたしました。  第二は、事故発生のおもな原因は、高圧導管として布設した鋼管溶接部分亀裂したということであります。この鋼管については、ガス事業法施行規則にのっとり、検査を行なって埋設され、溶接に関しても、世界的水準を誇る溶接技術を持つといわれる日本鋼管が実施したもので、これが亀裂を生じたことについては、関係者を初めひとしく不可解としているところであります。  第三は、当該地区特殊性であります。江東地区が年々地盤沈下していることは御承知通りでありまして、加うるに交通量の増加、大型トラック急増等により、埋設物に対する影響もきわめて甚大なものがあると想像されます。  以上の諸点より勘案しまして、監督官庁である通産省に対し特に要請いたしたいことは、まず今回の事故原因となっている高圧導管亀裂に関しては、現在司直の手によって原因調査中とのことでありますから、この結果を待って早急に対策を講ずべきであることは申すまでもありません。  次に、保安の維持、定期検査等に関して、法制上不備な点があるのではないかということであります。ガス事業法第一条の目的にも、公共の安全を確保するということが明記されているのでありまして、この点十分考慮の上、さらに一段と保安の確保に努力すべきであると同時に、埋設工事及び定期検査等については、特に地盤の軟弱な地区等を指定し、特別の方法を講ずる必要があるのではないかと思うのであります。  最後に、罹災者に対する補償の問題であります。現在、東京瓦斯では、当該町会を主体として補償に関する件を打ち合わせ中とのことでありますが、この点に関しましては、罹災者の意向を十分に尊重し、円滑に補償が行なわれるよう御指導されることを強く要望いたし、重ねてかかる不祥事の起こらぬよう関係者に十分の注意を喚起し、簡単でありますが、御報告を終わります。     —————————————
  15. 逢澤寛

    逢澤委員長 引き続き、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。久保田君。
  16. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 通産省にお聞きしますが、こういうことの問題について、特に公共的性格を持つ企業事故をいろいろ起こした場合についての責任をどういうふうにするか、この点が一つ。  それからこれによって被害を受けた人に対する補償をどうするかという点について、どんなふうに考えておられるのか、研究しておられるのか、実施しようとしておられるのか、これらの点について通産省のお答えを願いたいと思います。
  17. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 一応私から御説明いたします。なお、詳細なことにつきましては、担当の局長からお答えいたします。  ガス漏洩によりまして、たくさんな死傷者を出しましたことにつきましては心から私どもお気の毒に存じ、御同情申し上げておる次第であります。ただいま久保田委員からのお尋ねにつきましては、小林委員から御報告もありましたように、目下司直の手で亀裂原因を究明いたしておるわけであります。それが明らかになりましたならば、責任をはっきりいたしたいと思っております。  なお、被害者に対しましては、責任が業者にある、東京瓦斯にあるということでございますれば、東京瓦斯の方からそれ相当の補償をするということになると思います。
  18. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 実はその点が問題なんです。とにかく河川とか道路そのものによって大きな害が起きたわけではないのです。公共的性格を持った、しかし、企業体なんです。そういう企業体のいろいろ施設なり業務に連関をして、こういう害が起こったのです。責任の主体が一向に明らかにならない。これは単にガスだけではない。鉄道だってそうです。最後になると、だれが責任を負うのかわからなくなる。それはいろいろ起きた原因によって違いますけれども、かりにたとえば今度のようなことが地盤沈下なり何なりによって起こったとしても、地盤沈下によって起こったのだから、それによって営業しておった東京瓦斯は、責任がないということはいえないと思うのです。そういうふうに問題を理解をするならば、今のようにいろいろ客観的な条件の中でどんどん変わっておるときに、多くの場合、私どもが今まで関知してきたほとんどの問題が、いわゆる不可抗力ということになってしまって、責任の所在が一向に明らかにならない。こういう点を私は、単に企業防衛とか、企業を守るというような立場でなくて、政府としては明確な責任をとらすべきであると思う。もしほんとうにそういうふうな地盤沈下なり何なりによって企業体そのものに責任がないというならば、誰が責任を負うのか。これは当然国家が責任を負わなければならないと思うのです。こういう点について、単にガスだけでなく、鉄道その他いろいろなものを含めて、どういうふうな研究なり考慮をしておるかということが問題なんです。あらゆる問題がすべてそういうことで、最後になるとだれが責任を負うのやらてんでわからない。こういうことではいかぬと私は思うのです。  もう一つは補償について、よくある問題ですが、かりにこれがいわゆる被害者の不注意とか何とかによってやった場合なら別ですが、被害者の方には何らの原因がないと認められた場合でも、今度は企業体なり、公共企業体なりの責任が明らかにならないということになるならば、補償の基準がなかなか明確にならない。こういう点についても、今の公共企業体なりあるいは公共的性格を持っておる企業体と各個人に、それぞれ起きた被害について明確なものがない。こういう点が不十分だと思うのです。これらについて、どういうふうな研究なり解決をしようとしておるのか、これを聞いておるわけなんです。この点はどうなんですか。
  19. 塚本敏夫

    塚本政府委員 ただいま久保田委員からお話がありましたように、この件につきましては、政務次官からお答えしましたように、最終的な亀裂原因につきましては、警視庁の方で調べておるわけであります。たまたまあるいは不可抗力あるいは無過失責任という場合に、そういった公益事業によって起こった災害についてどういう措置をとるべきか、こういう問題につきましては、無過失責任をどこに負わすのか、最終的に国で負うかどうかという問題につきましては、十分われわれとしましても今後も検討したいと思っております。  ただ、この件につきましては、亀裂原因そのものはわかりませんが、ガスによって火災を起こしたことははっきりいたしてありますので、この罹災者につきましては、当然東京瓦斯におきまして補償をすることにいたしております。
  20. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今の、要するに責任がどっちにあるかという問題を、何を基準にして、現在のたとえば民法なり何なりのこういう個人間の、いわゆる損傷なり補償なんというものを中心にして考えておられるのか、あるいは公共企業体というものの一つの特性というものを考えて、そこに責任なり何なりの基準を置くかという点が、一つの問題だろうと思うのです。それから補償の問題についても、補償の基準というものをどこへ求めようとしておるのですか。受けた人の被害の程度によっていろいろあるでしょうが、私どもが直接いろいろの問題にぶつかるのは、かりにたとえば一人の人が死んだという場合に、その死んだ人の被害の補償についての基準というものが、一向に明確でない。それはもちろん、個人と個人間の場合において、また原因によって、被害の程度によっていろいろ状態は違ってきましょうけれども、何を基準にして補償をするのかという点が、一向に明らかでない。この点が非常に問題だと思うのですが、これらについては、どんなふうに考えておりますか。この二点をさらにあらためて…。
  21. 塚本敏夫

    塚本政府委員 無過失の場合におきまして、こういう公益事業あるいは公営企業体、そういったものによる被害をどういうように今後処置するか。これは一般の個人対個人であれば、やはり無過失であれば、責任はもちろん負わないというのが当然だろうと思いますが、こういった公益事業、公営企業体というものにつきましては、特別に考えるべきであるという御意見だろうと思うわけであります。そういう点につきましては、十分検討をいたしたい、かように考えております。  それからなお、こういったものについての具体的な補償の基準であります。これはもちろん、基準というようなものは今までできておりません。今度の災害におきましても、東京瓦斯とその町内会の代表者の方と、いろいろ具体的に折衝をいたしております。個々の場合につきまして、適当な補償をいたしたい、かように考えております。ただ、そういった交渉にいろいろ問題がありますので、将来こういった災害につきまして、補償の基準をある程度つくっていく必要があろうか、かように考えておりますので、そういった点につきましては十分検討いたしたい、かように考えております。
  22. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 いつもこういう問題が起きると、大がい政府の答弁はきまりきっておる。今のようなお話です。しかし、いつまでたってもきまったことがない。今の公共企業体あるいは公益企業体の責任の所在を明確にするための一つの決定なり何なりを、いつまでにやるのか、またそういうものによって——いろいろ状態によって違いましょうけれども、補償基準をいつまでにつくるのか。大体の約束ができるなら、してもらいたい。それがなければ、いつでも同じようなその場限りの答弁で、そうして次々と延ばされてしまう。しかも、そういった災害というものは、最近の状態から見れば、次々に起こっているのが実態です。この点について、明確なお答えをいただきたい。
  23. 塚本敏夫

    塚本政府委員 そういった公共企業体の災害についての補償基準、あるいはまた無過失の場合の補償をどうするかという問題をいつまでつくるかということがありますが、なかなかこれはむずかしい問題でありまして、特に無過失の場合に、公共企業体に無過失の場合でも負わすのか、あるいは最終的に国家が負うのかという問題、これは相当むずかしい問題であります。なおまた、具体的な補償につきましても、具体的に一々微に入り細をうがった補償基準というものは不可能であろうと思うわけでありまして、大体の基準ということはもちろんきめておく方が双方にとっても便宜であるわけであります。そういう面につきましては、できるだけ早く基準というものを、今度も官民の委員会をつくりまして検討をすることになっておるわけでありまして、いつまでというお約束はできませんが、少なくともそういった大体の補償基準というものは、一応早期に検討いたしまして——ただ、これを一般的にどういうような方法で強制力を持たすかという問題は、非常にむずかしい問題であろうかと思いますが、大体の基準というものはもちろんできるわけでありますので、そういった補償基準につきましては、早急につくりたい、かように考えております。
  24. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今、補償の問題については、何か特別な委員会ができておるようなことだったのですが、現実にその作業状態はどうなのですか。それと、今の過失、無過失の問題について、公共企業体についてのそういうところの検討なり何なりのために、関係官庁なり、関係公共企業体なりが寄って相談をしたことがあるのかないのか。政府部内において、そういう問題を現に真剣に取り上げて、どの程度まで今検討しておるのか。そういう点を明らかにしてもらいたい。
  25. 塚本敏夫

    塚本政府委員 そういった委員会につきましては、これはもちろん法制上の委員会でありませんで、緊急を要しましたので、懇談会形式の委員会にしておるわけであります。もちろん必要があれば法制的な措置も講じたいと考えております。  なお、公共企業体全般につきましてのそういった無過失責任をどうするかという問題につきましては、これまで関係官庁で話し合ったということはまだありませんが、十分関係官庁とも連絡をしまして、どういうような措置をとるかにつきまして、検討を進めたい、かように考えております。
  26. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これは次官に一つお願いをしておきますが、今の二点について、いつもこういう問題が出ると、政府の答弁はその場限りの逃げ口上で、具体的になったことがない。ですから少なくとも今回のようなことが起きて、今後も、やはりいろいろな機会において似たような問題が相当出る可能性が十分あるわけです。そのつど、出たとこ勝負では困る。ぜひこれは通産省が音頭をとるなり何なりいたしまして、早急に、こういう問題についてどう措置するかということを、政府として検討をしてもらいたい。そしてその結果をここで報告を願いたい。少なくともこの国会中には、これらの点について、ある具体的な——最後的な結論の出るのは、実際にはなかなかむずかしいでしょう。しかし、今のお話のように、これからいろいろやります、やりますというだけの話でいつも逃げてしまうから、それでなくても、こういう問題は、今後いろいろの状況を勘案する場合に私は今までよりも起こりがちだと思うのです。非常にそういう問題が多く起こる危険性を多分に含んでいると思いますから、私は、これに対して一つの次官が政府側に働きかけて、これについての何らかの解決の具体的な、少なくとも方途だけでも——結論はあとでよろしゅうございます。そう簡単に出るとは私は考えません。しかし、具体的な措置を講ずる必要があると思いますから、おやりになる意思があるのかないのか。一つお聞きをしておきたい。
  27. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま塚本局長が御答弁申し上げましたのは、通産省公益事業の立場からお答えしたわけでございますけれども、久保田委員の御指摘のように、公共事業、公的な、ことに無過失責任というような問題につきましては、政府全体の問題であろうかと思いますので、十分御期待に沿うように検討を進めたいと思います。
  28. 逢澤寛

    逢澤委員長 板川正吾君。
  29. 板川正吾

    ○板川委員 今の久保田委員廣瀬次官のやりとりの中で、次官がこう言ったことが、実ば当面の問題から離れているんじゃないかと思うのですが、もし責任が東京瓦斯にあるならば、というふうに最初に答弁された。しかし、今度の事件は、当然東京瓦斯に責任ありと見ていいんじゃないでしょうか。たとえばあの地域に突然地震なりあるいは地すべりなりが起こった、そのために鋼管亀裂を生じたとかということであれば、それは東京瓦斯の責任じゃないのだということにもなり得ると思うのですが、現地を見てきた者として、見た目から言うと、あのガス漏れ原因は、鋼管溶接をしたところがそのままはげたのです。そのまま口があいたのです。それは地盤沈下等が多少あったかもしれないけれども溶接目が完全であれば、大体溶接したところは溶接しないところよりも普通丈夫なはずなんです。溶接した場合には、そこの方が丈夫でほかに亀裂が生じたというなら別ですが、私はあの現地を見た関係から言うと、溶接したところがはげたのですから、これは溶接した部分に大きな原因があった。もし多少の地盤沈下があっても、それは全体が弾力性を持っていますから、管がゆがむとか、弓なりになるということはありますよ。あるいは突然地震があって、そこが大きく落盤でもしたということじゃないのです。ですから、この場合は、企業の主体である東京瓦斯に全部責任ありと見ていいんじゃないかと思うのです。検査は、定期検査なりをしておった。従って、検査はしておったんだから、ガス漏ればなかったはずだ、事故は起こるべきでなかったということから、東京瓦斯に責任なしというふうにお考えになっておって、これは無過失責任論までいったのですが、たとえば無過失責任論というのは、過失がなかったとしても、その企業の主体が責任を負うというのが、無過失責任じゃないですか。たとえば最善を尽くした、あるいは法令の趣旨を守ってやったが、結果的に事故が起こったという場合に、やはり無過失責任論というのは、そこの企業の主体が責任を負うという建前を社会から要求されていくのじゃないでしょうか、と思うのです。  そこで、溶接部分がはげたところは、警視庁へ持っていかれて検査しておると思うのですが、この検査の結論はいつごろ出る見通しですか。
  30. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは警視庁でやっておりますが、なかなかむずかしいように占っておりまして、いつまでということは向こうもはっきり申しませんが、もちろん早急に出すように努力しておると思っております。  なお、板川委員から東京瓦斯の責任云々のことがありましたが、これはもちろん、この事故を起こした直接の原因東京瓦斯側にあるわけでありまして、そういう面につきましては、罹災者に対しましては、東京瓦斯の方で十分なことをいたしたい、かように考えております。
  31. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 関連して一つ。ただいま割れ目の問題で質問が出ていたようでございますけれども、その鉄管の一部が今いろいろな面から調べられているというような過程にあるようですが、大体溶接した部分が割れ目を生じたのか、あるいは溶接をした最も近いきわが亀裂を生じたのかということは、いまだにはっきり調べができておりませんでしょうか。
  32. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは溶接部分であることは、はっきりいたしております。
  33. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 そういたしますと、溶接部分ということになりますと、やはり技術のミスということは明らかでございますね。
  34. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これはもちろん今警視庁で調べておりますが、多分技術のミスであることは確かであろうと思っております。
  35. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 専門的なことは、むしろ私どもよりも調べをなさっていらっしゃる方の方がお詳しいと存じますが、これは溶接した場合に、溶接された部分は、御承知のように、今の委員の質問のように、むしろ丈夫になりますが、その溶接のきわというものは、急激に熱を加えられますから、むしろもろくなって弱くなる。溶接のきわが亀裂を生ずるということは、よく鋼鉄の場合にございますが、溶接をした部分が割れたということになれば私は、明らかにこれは技術のミスであるということを認めると同町に、そういう意味での補償がされなければならないということで、一言つけ加えさせていただきたいと思います。
  36. 板川正吾

    ○板川委員 今山口さんも言いましたが、われわれが見たのでは、やはり溶接部分がはげたのです。それは間違いないのですから、そういう点で、私は、溶接をするときの作業上のミスの方が多いのじゃないかと思うのです。たとえば日本鋼管という一流会社で、それを作業したのですね。溶接がはげるような作業、そういう技術は私は持っていないと思うのですよ。ただ、作業をする者が実は手を抜いたか、あるいはなれない者が適当にその場だけやったか、何かそういうところに原因があったのじゃないかと感ずるわけでありますが、その作業をやる場合には、その責任の主体である東京瓦斯は、監督者を置いてそういうものを十分監督しておるのでしょうか。
  37. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは溶接部分でありますので、やはり作業しのミスがあったのじゃないか、かように推定されるわけであります。  なお、日本鋼管に工事を請け負わせておるわけでありまして、ただ、御承知のように、ガス導管の埋設工事は、一般の公共の道路の下に埋設するわけでありまして、夜間作業が多いわけであります。もちろん、できるだけ東京瓦斯の職員ができ上がりにつきましては一々検査をするのが建前でありますが、その検査も、やはり徹底は今までしておらぬようであります。
  38. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、そういう施設をする場合には、何かガス事業法施行規則の中には、監督者が十分監督するような規定はありませんか。
  39. 塚本敏夫

    塚本政府委員 現有ガス事業法に基づきます監督規定には、そこまで明確に書いてありません。ただ、そういう工事の施行方法につきましては、通産大臣の認可を受けろということになっておりまして、その認可によることになっておるわけでありますが、東京瓦斯の場合には、そういう鋼管工事に対する請負作業の一々の監督についてまで工事方法に書いてありません。そういう点で、従来の監督方法にある程度の欠陥があったのではないか、かように考えております。
  40. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、通産省が工事をする場合の一つ基準というものを示すわけですね。その中に、普通表に出ておるところならば、事故があっても、すぐ取りかえもききます。しかし、二メートル下に埋設するような場合に、しょっちゅうどこが思いだろうか見るわけにはいきませんから、結局埋設するときに厳重な検査というものが必要じゃないでしょうか。そういう点は、通産大臣指定するときに——何年に一ぺんしか掘り返してやることができないでしょうから、掘り返してやることはほとんどないということになると、その埋設をするとき十分な監督をしなければ、こういう事故は起こることになるのじゃないですか。こういう点を規則を改正するということも必要じゃないか、こう私は思うのですが、どうでしょう。
  41. 塚本敏夫

    塚本政府委員 ただいま板川委員からのお話のありましたように、そういった点、従来は工事方法等につきましても、ある程度不十分な点があったかと思います。そういう点で、さっきも申しました委員会におきまして十分検討いたしまして、その検査の方法等につきましては、今後遺憾なきを期したい、かように考えております。御承知のように、現在は、大体溶接につきましては全部エックス線検査をやっておるわけでございますが、その当時は、まだエックス線検査をやっておりませんでした。そういった点も、今後は十分加味して、監督を十分にやっていきたい、かように考えております。
  42. 板川正吾

    ○板川委員 そのエックス線検査をするようになったのは、何年からですか。
  43. 塚本敏夫

    塚本政府委員 三十四年ころから大体エックス線検査を始めております。
  44. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、あの辺の工事は三十二年ごろだったと思いますが、ほとんどがエックス線検査をしておらないということになりますね。そうしますと、同様の事故があの周辺に今後起こるような可能性はありませんか。これはどういうふうに防止しようとしていますか。
  45. 塚本敏夫

    塚本政府委員 それはさっきも申しましたように、大体あの導管、六メーターぐらいのものを地上で四、五本継ぎ合わせまして、その四、五本継ぎ合わせましたものを、四、五本分のもの二つを入れまして、それを地下溶接するわけでございます。その溶接部分は、今度全部掘り返しまして、エックス線検査をやることにいたしております。
  46. 板川正吾

    ○板川委員 では、まあそれで再検討をし直して、そうして安全を期するということになりますね。東京瓦斯の場合は、一応そこで再検討をするということで今後の事故が未前に防げる可能性があるのですが、大阪瓦斯なり、あるいは名古屋の東邦、瓦斯なり、こういうところに同様の工事でやっておる点もあるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどういうふうに考えますか。
  47. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは、事故を起こしましたのが八気圧の高圧管でありまして、そういうような高圧管につきましては、全国的に、これは作業日誌がありますので、その作業日誌によりまして、不備な点がありましたら、同じように検査をいたしたい、かように考えております。
  48. 板川正吾

    ○板川委員 工事をした場合、どこそこのパイプは、だれが、どういう人が工事責任者としてやり、あるいはどういう者がその安全を確認した検定をするかということは、その工事の仕様書か何かには、あるいは会社では、ちゃんとわかっているのですか。たとえば、この部分はだれそれが担当して、だれそれが作業したということは、わかっておるのでしょうか。
  49. 塚本敏夫

    塚本政府委員 その点は、作業日誌にそこまではっきり書けというふうに積極的にこちらから言っておりませんので、全部のガス会社についてそういうような記録が残っておるかどうかはちょっと不明確でありますが、大体そういったパイプを使った程度のことでありますれば、全部作業日誌に載っておることと思います。監督者がだれであったかというところまで全部がはっきり載っているかどうか、私ちょっとはっきり存じませんが、そこまでは載っていないのじゃないか、かように考えております。
  50. 板川正吾

    ○板川委員 今後作業基準を指示する場合は、こういうガス漏れをすれば、そのガスのために死ぬ人もあるし、火災も、こういう場合も起きるのですね。ですから、そのでかい鋼管地下に埋没するような場合には、溶接をした担当者もちゃんと記録に残しておくように——だれとだれがこの地域で担当してやったのだということになれば、おのずから責任を感じて手を抜くようなこともないと思うのです、あとから責任を追及されますから。そういうことも考えて、一つ検査基準というものを、事故のないように充実してもらいたいということを要望します。
  51. 逢澤寛

    逢澤委員長 次会は、明後八日午前十時三十分より開会することといたし、本日はこれにて、散会いたします。    午前十一時四十五分散会