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1963-02-05 第43回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月五日(火曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 小川 平二君 理事 首藤 新八君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    笹本 一雄君       田中 榮一君    中川 俊思君       林   博君    南  好雄君       山手 滿男君  早稻田柳右エ門君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    多賀谷真稔君       中村 重光君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小沼  亨君         経済企画政務事         官       舘林三喜男君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    山本 重信君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  向坂 正男君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  大來佐武郎君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 渡邊彌榮司君         通商産業事務官         (通商局長)  松村 敬一君         特許庁長官   今井 善衞君     ――――――――――――― 二月一日  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五三  号) 同月二日  中小企業工場集団化制度に関する請願小平久  雄君紹介)(第四〇四号)  ガソリン価格値上げ反対に関する請願小沢辰  男君紹介)(第四六二号)  同(大村清一紹介)(第五〇一号)  プロパンガス容器計量器必置に関する請願(  小沢辰男紹介)(第四六三号)  工業立地調整法制定に関する請願福永健司君  外一名紹介)(第四九九号)  西大寺市犬島の離島振興対策実施地域指定に関  する請願(逢澤寛君紹介)(第五〇〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月一日  日朝貿易正常化に関する陳情書  (第六七号)  石油鉱業政策確立に関する陳情書  (第六九号)  同(第七  〇号)  同(  第七一号)  同外一件  (第七二号)  同(第七三  号)  同外一件(第七四  号)  同(第七五号)  同(  第七六号)  同(第七七号)  同(第七八号)  同(  第七九号)  金属鉱業政策確立に関する陳情書  (第八〇号)  同(第八一  号)  中小企業投資育成会社設置に関する陳情書  (第八二号)  大阪工業用水道計画促進に関する陳情書  (第八三号)  零細企業者等指導強化に関する陳情書  (第八四号)  中小企業金融の充実に関する陳情書  (第八五号)  新産業都市建設促進に関する陳情書  (  第一六一号)  物価値上げ抑制措置に関する陳情書  (第  一六二号)  工業立地調整法早期制定に関する陳情書  (第一六三号)  貿易自由化に伴う非鉄金属工業危機打開に関  する陳情書  (第一六四号)  商工会の経営指導員及び補助員完全配置に関  する陳情書  (第一六五号)  中小企業団地化資金拡大に関する陳情書  (第一六六号)  中小企業信用保険公庫業務改善に関する陳情  書  (第六七号)  中小企業基本対策樹立に関する陳情書  (第一六八号)  地域総合開発のための行財政措置に関する陳情  書  (第二四一号)  中小企業商業集団化に対する法律改正に関  する陳情書  (第二四二号)  北海道の電気料金値上げ抑制に関する陳情書  (第二四七号)  公立義務教育学校等電気基本料金減免に関  する陳情書  (第二四八号)  公衆街路灯電気料金軽減に関する陳情書  (第二四九号)  国土調査補助基本額増額に関する陳情書  (第二六二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五三  号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件      ――――◇―――――
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより会議を開きます。  去る二月一日に本委員会に付託になりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。
  3. 逢澤寛

    逢澤委員長 まず、総理府総務長官より、趣旨説明を聴取することにいたします。徳安総理府総務長官
  4. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  本改正案の内容は、公正取引委員会事務局の定員を現行より六名増加し、二百五十一名としようとするものであります。  これは第四十回国会において、不当景品類及び不当表示防止法を成立させていただきました際の附帯決議趣旨を尊重し、また、消費者物価対策の一環としての違法な価格協定の取り締りの強化のため、それぞれ経済部に四名、審査部に二名、計六名を増員しようとするものであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  5. 逢澤寛

    逢澤委員長 以上で趣旨の御説明は終わりました。  本案についての質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に、通商産業基本施策に関する件、及び経済総合計画に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします、北山愛郎君。
  7. 北山愛郎

    北山委員 私は、まず経済企画庁長官に対して、政府経済見通し、また本年度の当面の経済政策等に関連しまして、二、三できるだけ具体的に質問をしようと思います。  われわれの見解からしますと、政府経済高度成長政策というのは、内外のいろいろな不均衡を引き起こしておりますが、大体四つあると思うのであります、国際収支の問題、物価問題格差拡大の問題、それから過剰生産の問題、大体四つに分けられると思うのですが、政府施策を見ると、その中で国際収支改善の問題やあるいは過剰生産供給過剰の問題については、一生懸命になってやっておるようですが、格差拡大物価上昇に対しては、どうも不熱心であるように思うのであります。  これらの四つの問題については、いろいろ各委員からも質問があると思うのであまりすが、その中で、物価上昇格差拡大というのは、高度成長政策が順調に上昇するという段階におきましても、あるいは停滞をする段階におきましても、これが拡大をしておる。あるいは物価が上がっておるという現象だと思うのであります。物価につきましては、本年度政府経済見通しでは、消費者物価が本年もさらに二・八%上がるということを初めから予定しておるわけであります、これは去年、三十七年度におきましても、実は二・八%の予定をしたのですが、実質は五・九%というように、倍以上に上がった、ことしもそういう去年と同じような経過を経るような懸念をわれわれ国民としては大きく持つわけなんでありますが、この数年来の消費者物価上昇というのは一貫しておりまして、三十五年が四・三%、三十六年が七・七%、三十七年が五・九%というように、非常に激しく消費者物価が上がっておる。  そこでお伺いしたいのは、消費者物価高騰を押えるという点について、政府は具体的にどのような対策考えておるのか。また、本年度三十八年度に二・八%という消費者物価上昇を見込んだのは、一体どういう計算によるのであるか。その根拠を明らかにしていただきたいと思うのであります、
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 北山委員がただいま四つの点をおあげになりましたわけであります。その中で、とりわけ政府は最後の二点、格差縮小ということ、及び物価、なかんずく消費者物価についておっしゃったと考えますが、その二つのことについては、施策がきわめて適当でない、あるいは不熱心だというようにおっしゃったと思います、その二つの中で、格差縮小については、私ども北山委員の言われましたことと必ずしも所見を同じくいたしませんが、消費者物価が不安定であるということについては残念ながら北山委員の御指摘通りであると思います。ここ二、三年のいわゆる高度成長及び景気調整の間にあって、消費者物価が相当大きな値上がりをしたということは事実でありまして、それにつきましては、さきの臨時国会におきましても、また今回の通常国会におきましても、総理大臣が所信で申し上げましたように、分析をいたしますと、いろいろ理由があります。中には、ある意味で、施策を講じてもやむを得ない、むしろそのことが経済高度化に伴う一つの必然的な現象であると思われる部分もございますけれども、しかし、とりわけ消費者物価上昇分析いたしますと、最も大きな関係をいたしておりますものは、やはり生鮮食料品等、直接に消費生活に一審関係の深い、そういう物資でございまして、最近では、それらのものが消費者物価値上がりに寄与しておるところの寄与率は、実は四〇%に近いという分析の結果が出ております、すなわち、消費者物価が六%値上がりいたしましたときには、そのうちの四割、あるいは場合によってはそれを上回って——六のうち二・四なりなんなりというものは、生鮮食料品の値上に基づくものである、一〇〇のうち四〇%がそれに基づくものであるという結果が出ております。このことはいろいろな理由があると思いますが、しかし、政治の責任としては、やはり一方においてそういう物資の増産が可能であるような環境をつくり出す、他方においてそれらのものの流通供給に至る間の障害を排除する、あるいはそのためのもろもろの施策あるいは運搬手段等改善する、そういう形で、できるだけ生鮮食料品国民生活への供給を円滑にする。  基本的には、私どもやはり生産増加ということが一番の基本であると考えるのでありまして、そのことに政治の重点が置かれなければならないと思います。私どは、総体的には経済政長政策はうまくいっておるというふうに考えておるのでありますが、その中で、消費者物価の著しい不安定というもうが何としても克服しなければならないところの一番大きな問題であるというふうに認識をいたしております。  それから本年、三十八年度消費者物価値上がりを二・八%と見たことについてでございますが、この二・八%のうちですでに一・三は既往の事実の中に含まれておるということを申し上げなければならないと思います。と申しますのは、三十七年度において消費者物価が大体上り坂にきて、三十七年度末を迎えられると考ねられますので、三十八年度消費者物価の平均は上り坂のちょうどまん中の地点をとってまっすぐ水平に伸ばすということになるわけでございます。従って、三十七年度末から三十八年度一ぱい、全く消費者物価が上がらずに水平になりましたとしても、三十七年度中間地点から右へ伸ばしたところの水平線と、それから上のところを右に伸ばした水平線との間には、すでに一・三の差があるということであります。かりにこの一・三を全くゼロにしようといたしますと、三十七年度に上がった程度上昇線を、逆に今度は屋根が下に下降するように、そのまま下降をいたしましたときに初めてゼロになるわけでございますが、そういう期待は持てそうにございません。従って、二・八のうちで一・三は既往の事実の中に含まれておる、こう考えておるわけでございます。そしてその上でさらに一・五程度の三十八年度年間を通じての上がりがあるこういう考え方をいたしております。  なお、その算定の根拠につきましては、もしお入り用であれば、事務当局からさらに御説明申し上げます。
  9. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの大臣お話しになった資料は、あとで提出をしていただきます。  私の聞きたいことは、三十八年度において、そのように上昇の、傾向にある物価をどのようにして押えるという措置をとられようとしておるのか、この点が欠けておると思うのです。このような傾向にあるんだ、それは何%だ、こういう理由だという原因の追及については、政府からいろいろ御説明があるわけですが、どのようにして押えようとするのかという点については、具体策を持っていない。たとえば食料品にしても、単に生鮮食料品というだけではなくて、たとえば消費者米価を一二%も上げた。これは政策的に上げたわけで、それがやはり食料品価格を上げておる。あるいは公共料金についてもしかりであります。長官は、公共料金値上げはもうあとやらないんだというお話を談話の中でされておるのですが、その点について、ここで確認をしておきたいというのが一つ。  それから具体的にたたとえば家賃地代値上がりというものは、家計には相当重大な影響を及ぼしておるわけであります。その原因となった宅地高騰、これに対してどういう手を打っておるのか。こういう問題はもう数年前から国会では論議されておるのですが、もう二、三年たっても、いまだに宅地価格上昇を抑制する具体的の措置政府がとっていない。家賃地代高騰を押えるためには、どういう措置考えておりますか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず、公共料金の問題でございますが、昨年、私ども経済高度成長化に伴って正当な理由があると思うものについては、ほぼ手当をいたしたつもりでございます。今年度、三十八年度起こってくるものは幾つか想像いたされますけれども、しかし、何分にも、先ほど北山委員から御指摘があり、私も同意を申し上げましたような消費者物価の不安定という問題が、ただいまの経済政策の一番の難点でございますので、三十八年度におきましては、多少の理由があると思われますようなものにつきましても、公共料金値上げはしばらくいたさない。しばらくと申します意味は、先ほど申しましたように、生鮮食料品寄与率が一番大きいのでありますから、これについての諸施策が幸いに適正にいきまして、そこからくるところの物価圧力というものを感じなくてもいい、大体物価というものはまず落ちついて心配ないという時点までは、公共料金の問題は考えたくない、考えないという方針を過般も総理大臣から本会議で申し上げたわけであります。  次に、生鮮食料品供給の問題でございますが、ただいま私どもが当面心配しておりますのは、異常の気候に基づきますところの先行きの供給の減少のおそれがないかということでございまして、これにつきましてはただいま具体的な見通しを立てておりますので、しかるべき機会に申し上げることができるかもしれないと思いますが、いずれにいたしましても、基本はやはり供給力増加であります。この点は、幸いにして相当の作付積がふえておりますので、自然的な条件が非常に異常にならない限りは、一般的には三十八年度鮮食料品供給は順調であろうというのが、農林当局見通しでございます。従って、ここからくるところの消費者物価値上がり圧力は、今年度、三十八年度は、何とかして過去数年のような状態でないことに持っていけるのではないか。農林当局は、多少供給増加を心配しておったような傾向が見えるのでございますが、そこまで参りませんでも、何とか押えていけないか、いけるであろうという自信をこのたびは持っておるわけでございます。  それから一般的に申しますと、卸売物価は、三十八年度、上へ向かっていく形跡はございません。具体的な事例について考えてみますと、昭和二十七年、今から十年前と今ごろとの卸売物価の水準を考えますと、たとえば化学製品でありますとか、鉄鋼でありますとか、非鉄金属でありますとかは、十年間に一割ないし三割近く下がっております。わずかに非常に顕著に上がりましたのは木材でございましたが、その他のものは下降傾向がその程度でございますので、卸売物価上昇からくる消費者物価への圧力は、総体的にはないものと考えております。  次に、地価及び家賃の安定につきましては、長い間問題になりながら適切な手が打てなかったということは、率直に申して御指摘通りだと思います。このたびは、宅地造成でありますとか、住宅建設促進既存土地の合理的な利用の推進、その他のことになりまして、結局いかにして供給を増大するかということが問題になっておるわけでございます。これについては、過般建設大臣からも本会議で御答弁があったというふうに記憶しておりますが、三十八年度予算につきましても、公営住宅建設事業がありますとか、住宅地区改良事業、その他宅地制度審議会等がいろいろ考えられておりますところの宅地造成その他について、一般会計並びに財政投融資からかなり思い切った施策をいたしておることは、御承知の通りであります。
  11. 北山愛郎

    北山委員 家賃地代、あるいはその根底にある宅地建築費高騰に対する施策、これについて、建設省の方で宅地開発などの施策もやろうとしておる、こういうお話がありましたが、私は、むしろその施策は逆に土地価格を引き上げる作用をするのではないか。いわゆる宅地開発と称して政府自身土地に対する一種の投資をするのですから、ほかのところを制限、規制をしないで、政府がさらにその土地に対する需要拡大をやるという結果になって、むしろ土地の値段はそれによって上がるのではないか。私は、むしろ、政府でも考えがあったように、空間地課税であるとか、あるいは政府地方公共団体の遊んでおる土地を開放するとか、あるいは土地譲渡所得説をきちっと取るとか、そういうような施策をとって、土地売買によって不当な利潤があがらない、利益があがらないというような措置をとる、これが必要だと思うのでありますが、そういう措置はとらない。むしろ宅地需要宅開発と称してふやしておるのではないか。私は逆行するものだと思うのですが、とにかく家賃地代値上がりは、三十五年度には一〇%も上がっており、三十六年度は八・八%、どんどん上がっております。また、土地価格も何倍にも上がっておるのですが、問題は、単にこれが消費者家計を苦しめるというだけではなしに、土地や株の値上がりによって所得分配に非常な不均衡を生じておるということなんです。いろいろ政府の不完全な統計資料を見ましても、勤労所得に対して、賃貸料所得であるとか、あるいは土地譲渡所得であるとか、そういうものが非常にふえておるのです。たとえば賃貸料収入にしてみれば、政府分配国民所得の推移を計算しますと、昭和三十年に比べまして、勤労所得は八割一分しか伸びておらないのに、賃貸料利子所得というのは二・八四倍、こういうふうに資産所得というものが非常にふえておるのです。あるいは土地譲渡所得についてみれば、昭和三十二年度には五百十七億円というものに対して、三十六年度は三千七百八十九億と、実に七・三二倍になっております。こういうように資産関係資産所得がふえてきておる、勤労所得に比較をいたしまして大幅に差をつけておるというのは、そのような土地や株が大幅に値上がりをすることにより所得分配に不均衡を来たしておる。単に物価が上がるということが平均して家計を苦しめるというだけではなしに、そういう所得分配を不公平にする、不均衡にするという、いわゆる格差拡大する作用をしておる。この点については、企画庁長官はどういうふうに考えておるか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもは、基本的には、供給増加ということによって土地及び住宅の事情を安定させようというふうに考えておるわけでございますので、御指摘のように、新規の宅地造成をするというようなときに、それに投ぜられました資本費がその宅地賃貸価格にかかってくるということは避けられないと思います。従って、そういう土地については、従来の土地に比べて賃貸料が上がるということは、これは避けられない経済現象であると考えますし、住宅についても同様なことが言えると思います。私ども考えますことは、いずれにしても絶対的な供給量が不足である。従って、多少供給価格が高くなりましても需給関係を安定するということをはかる以外に方法がないのではないか。資産所得が上がったということは御指摘通りでありますが、これはしかし、たとえば値入かその資産を、借家をつくり——家をつくってそれを貸すというような形で運用することを、私ども住宅供給という面からむしろ奨励をしたいという考えでおるわけでございます。そういう意味では、そういう供給を増大するという施策の反射として、それらから生ずるところの資産所得がふえておるということは、これはご指摘のような傾向があることは確かだと思います。
  13. 北山愛郎

    北山委員 その需給アンバランス、ことに土地というものはふえるものじゃないわけですから、そういうところからいわゆる土地投機的な投資が行なわれるということなんです。最近では、製造工業あるいは企業にしても、具体的に工業建設をするという当てがなくても、広い土地を取得しておく。そうなればどうせ値上がりをするんだから損はないのだというようなことで、いろいろな企業が不必要に土地を購入しておるという例が非常に多いと思うのです。そういう企業関係土地投資といいますか、土地の取得というのは、どの程度に及んでおりますか。何か政府の方で調査ありますか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ちょっとつまびらかにいたしませんので、調べましてお答えいたします。
  15. 北山愛郎

    北山委員 土地の問題は、政府不動産研究所みたいな民間の機関によって資料をとってやっているのです。これは一番大きな問題だと思うのです、土地に対する対策を立てるというなら、やはりそういう実態を、どの程度土地に対して投資が行なわれておるか、資金が流れておるかということをお調べにならなければならぬと思うのです。最近では地方団体地方自治体ですらも土地造成をすると損はないということで、どんどん当てもないのに山林あるいは農地を買っておる。こういうような土地に対する投機思惑地方自治体までやるような傾向にある。こういう中では、ほんとうの需要とのバランスじゃなくて、単に思惑投機による土地値上がりというのが、当然起こるのはあたりまえなんです。それに対して今の企画庁長官がそんな考え方では、土地価格を抑制するという正しい対策は立たない。私はそう言わざるを得ないのです。問題は、当然資産所得がふえてもいいというようなお話でありますけれども、ここから生まれてくる不労所得土地を持っている人が、自分がその土地を改良したり何かしないでも、自然に環境のせいでもって値上がりをするということでもって受ける不労所得、これと株の、有価証券譲渡所得、こういうものが莫大な金額に上る。これが所得分配アンバランスを起こす一つ原因になる、たとえば株にして見れば、昭和三十年と三十五年と比べてみますと、株の売買というのは十一倍以上になっています。これは企画庁資料によって見たのですが、一日に二百億、三百億円という取引が行なわれておる、この取引に対する有価証券譲渡所得税がかかっていないのです。まるまるもうける。株を持っている人に対する配当所得に対してはいわゆる税額控除が行なわれて、百六十万円までの利子、株の配当所得を持った標準世帯でも所得税が一文もかからないといったような、そういうふうないわば不労所得を助長するような政策をとっておりますから、ますますもって資産所得とそれから勤労所得格差が広がってくる。こういう現象は、一体どう思うのですか。だから、高度成長経済の成長政策政府所得倍増政策というものは、所得分配において大きな格差をどんどん拡大していく、こういう事実をお認めになりますか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 株式の売買についてのキャピタル・ゲインを課税すべきかすべきでないかということは、御承知のようにいろいろ議論がりあましたし、税制上の取り扱いも何度か変っておるわけでございます。現在の建前は、業としてそれを行なわない限りキャピタル・ゲインはかけない。たしかその基準は、私の記憶が正しければ、年間二十回であったかと思いますが、そういうことで、株式の売買についての譲渡所得を業としていない限り課税しないということは、今の税法のとっておりますこの点は、いわゆる株式の民主化ということを十年あまり前にいわれましたその線に沿いまして、株式というものを国民一般に広く持たせよう、そのための一つの何と申しますか、奨励策といったようなことから税制が書かれておるわけでありまして、現実に株式というものが国民各層に、昔に比べて非常に広く持たれるようになったということは事実であろうと思います。私は、このことはそれでよろしいし、株というものは今や必ずしも富裕なる階級だけが持っているものではない、国民各層が非常に広く持つようになったということは、これでよろしいのたというふうに考えております。土地については譲渡所得に課税をいたしております。  これはただ、自分用の住宅をつくるために、いわゆる買いかえと申しますか、片方を売りまして片方を買うというときには、譲渡所得の特例を認めておる。これは住宅建設促進するという趣旨からの規定でございますが、そういう建前をとっております。従って、建前としては、有価証券の場合も、土地の場合も、私はそれでよろしかろうと考えるわけであります。  問題は、なお、そういう土地について相当な投機が行なわれて、譲渡所得税を払いましても、なお非常に大きなキャピタル・ゲインがあるということは、残念ながらお説の通りであります。その点に関する限り、所得格差が開いて、それによって不均衡が大きくなっていくということは、お説の通りで、その点は認めざるを得ないのであります。
  17. 北山愛郎

    北山委員 資産所得勤労所得との所得格差を開くような政策をとっておる。これは事実としてでなくて、たとえば有価証券譲渡所得税は、前にはとっておりましたけれども、今はとらないようになっておりますし、今申し上げたように、配当所得に対しては税額控除という非常な恩典があるし、また、利子所得についても同様であります。また、土地については、土地譲渡所得から十五万円引いて、さらにそのあとの半分にしか課税していないというように、税法上の恩典を資産所得に対しては非帯に手厚いものを加えておりますから、いよいよもってこの資産所得勤労所得との格差が開くという現実、これが数字となって今申し上げたように現われておるわけであります。高度成長が行なわれた昭和三十年、三十五年の比較は、政府資料によりましても、法人所得は三・三倍です。賃貸料等の資産所得というのは二・八四倍、勤労所得は一・八一倍、個人業主所得に至っては、一・二三倍というように平均の伸びよりも下回っておるわけであります。こういうような分配所得傾向というのは、これを大臣は是認しておるわけです。要するに、金持ち天国であり、働く者は地獄だという政治でも、政策でも、かまわない、こういうふうにお考えですか。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま仰せのうちで、有価証券、株式の譲渡から生ずるところのキャピタル・ゲインの考え方については、北山委員のお考えとは私は所見を異にします。株式というものは、富裕なる階級だけの専有物であるというような時代では明らかにないと思いますので、その点については、私はお説と意見を異にいたします。  それから土地売買によるところのキャピタル・ゲインにつきましては、先ほど申しましたように、譲渡所得税を明らかにかけておるわけでありまして、私はこの譲渡所得税をこれよりさらに上げることが、はたして土地価格を低める結果を生ずるのであるか、あるいは逆に高める結果を生ずるのであるかということは、必ずしも議論が簡単でないと思います。土地について譲渡得税所をかけておるという建前、証券について業としていない限りそれをかけないという建前は、私は、租税政策としては誤っていないというように考えます。
  19. 北山愛郎

    北山委員 大臣は、今の資本主義の経済において、高度成長、高い資本蓄積というものを推進していくという立場からのお話だと思うのです。それは立場が違うと思うのですりしかし、それは現実の面として、私が指摘した通り、結果としては働く者に対する所得と、それから財産を持っておる、あるいは何もしないで財産だけにあぐらをかいている者の所得との開きが、ますますひどくなるんだ。高度成長経済成長の過程の中で、これは数字的にはっきりしておるということだけはお認めになりますね。これは政府資料によって、その通りの結果が出てきておるのです。法人所得が伸び、資産所得が伸びておる。しかし、勤労所得中小企業、農民の所得はその割合に伸びないという結果が、高度成長政策の結果として出てきておる。この事実だけは認めざるを得ないと思うのです、それがいいか悪いかは別として。  それでさらにつけ加えてお伺いするのは、こういうような政策、たとえば有価証券なり土地資産所得に対する優遇措置というものは、資本蓄積のためだということで、本年度におきましても・御承知のように、配当所得利子所得の分離課税を存続し、さらにその源泉の税率を下げるというような政策減税が行なわれたわけです。ところが、日本の貯蓄の率というのは非常に高いわけです。たしか二〇%くらいになっておる。外国に比べると、先進国では六%くらいなものでありますから、三倍以上になっておるわけです。これでも足らないで日本人は貧乏でありながら一生懸命になって貯金をしておる。非常に高い貯蓄率を持っておるにかかわらず、さらにそのような政策減税でもって貯蓄を奨励しなければならぬという理由はとどこにあるか。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は、一番基本的には、わが国における社会資本、いわゆる公共投資というものが進んでいないというところにあるというふうに考えております。仰せのように、たとえばアメリカあたりにおいては、最近の限界消費性向は、たしか今九六%くらいとおっしゃいましたが、まさにその辺の数字で、九四くらいが限界消費性向でありますから、限界貯蓄性向は六とか五とかになるわけであります。おっしゃった数字、私も大体その辺と思いますが、それに比べて、わが国の限界貯蓄性向は相当高い、その通りであります。この辺はやはり経済政策の問題として、私どもは、それによって一般的には公共投資、先行投資を充実していくべきである、こういうふうに考えておるわけでありまして、他方で消費というものを抑制すること、が政策としてよろしいというふうには考えておりません。
  21. 北山愛郎

    北山委員 これは政府の数字によりますと、日本の貯蓄率というのは、昭和二十八年には一〇%、それがどんどん上がっていって、三十五年は一九・四%、現在ではおそらく二〇%こすのじゃないかと思うのですが、そういうふうに今まで貯蓄率が上がってきておる。外国に比べて非常に高い率を示しておる。さらに、これは一面から言えば、長官は、今国民の消費を圧迫してはならぬとおっしゃいますけれども、それだけの高い、二割もの貯蓄率を持っておれば、当然個人消費が減るにきまっていますね。だから、消費を圧迫するわけですよ。さらに政府は、これでは足らなくて、政策減税をやって、そして貯蓄率を上げようとしておる。少しこれは行き過ぎじゃないでしょうか。政策減税の行き過ぎじゃないでしょうか。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、政府が消費を圧迫するとか、あるいは貯蓄を無理に高めさせるということをやっておりますわけではないのでありまして、貯蓄をする場合には、なるべくそれについて租税負担をかけないという考え方政策減税でございますので、が貯蓄をして下さるということに対しては、それが消費に向く場合に比べて租税負担を軽くしようという考えに立っておるにすぎないわけであります。
  23. 北山愛郎

    北山委員 それは詭弁ですよ。政策として、なぜ利子課税だとか配当所得課税だとか、そういうものに対していろいろ便宜を与える、あるいは五十万円までの貯金に対しては非課税とするという措置をとるかということは、これは貯蓄の奨励ですよ、それ以外の何ものでもないじゃないですか。政策減税というものは、そういうものじゃないですか。政府の施政方針の中でも、予算の説明でも、大蔵大臣説明でも、資本蓄積のための一つの方針とするというふうに書いてある。そのための政策減税でしょう。今の高い国民消費をむしろ圧迫しているような貯蓄率の不当な高さをさらに高めよう。そしてそれは単に公共投資だけじゃない。公共投資は一部で、結局は大部分は民間企業の設備投資に回る。民間資本、特に大企業の設備拡大のために、貯蓄率を上げようというわけだ。こういう政策は、少し行き過ぎじゃないでしょうか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政策として、国民が貯蓄をしてくれようとしているならばそれを助けようということを申し上げておるわけであります。それを奨励という言葉でおっしゃるならば、私は一向に異存はございません。それによって国民経済全体としての資本の蓄積を行なう、それが公共投資の形であれ、民間企業の資本蓄積の形であれ、国民経済全体として資本蓄積を助けていこうという考え方に立っておりますことは、その通りであります。そしてそれが貯蓄としての利子を生み、あるいは民間経済に対する投資としての配当利潤を生むということでありますから、そうすべきか、あるいは直接消費に向けらるべきであるかということは、これは国民自身の自由な選択であるというふうに、現実に政策はそうなっておりますし、またそう申し上げるよりほかないわけであります。もしそのことの逆がいいのであるということであれば、貯蓄に対する利子に重い税をかけて、なるべく貯蓄しないで、直接消費に向かうようにしろ、そういう政策になると思うのでありますが、私どもは、そういう政策をとるつもりはございません。
  25. 北山愛郎

    北山委員 この問題は、あとの過剰生産供給過剰の問題とも関連しますし、非常に大きな問題であって、短い時間では不十分ですから、大体一面だけをお伺いして終わりとしたいのですが、少なくともそういう大企業の設備投資を三十八年度においてもさらに推進しようという政府政策は、一面においては国民の消費を押えるような結果になって、経済アンバランスをさらに拡大するという見解をわれわれは持っているわけであります。その点で長官と意見が違うわけであります。長官は、総体のパイの大きさが大きければよろしい、それが今の政府政策だこういうように言われるわけです。そして分配する前に全体のパイの大きさを大きくしなければいけないのだということを言われているのでありますが、いつまでたっても、パイは大きくなるけれども分配の方は不公平で、働く者への分配は少しふえる程度で、別の部分の、特に資産所得階級あるいは大企業所得がどんどんふくれ上がる。いつになったらそれが是正されるのかわれわれは非常に疑問に思うわけでございます。今のところはパイを大きくするんだ。いつになったら、その大きくなったパイの分配を働く者に対しても均霑させるか、あるいは農民や中小企業にもそれを分配させるか、どういうお考えなんですか。とにかく今はがまんしろ、まずパイを大きくするんだ国民全体の総生産所得をふやすんだ、そのうちにはその大きくしたものの分配を是正するんだ、こういうようなお考えじゃないかと思うのですが、それで一体いつになったらそうなるんですか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 非常に意味のある問題を提起しておられると思いますが、極限まで問題を推し進めますならば、かりに非常にうまい適正な分配の方法と非常にまずい分配の方法とありましたときに、いずれの場合におきましても、パイが大きい方が分配量は大きいということだけは、極限に立って申せば申せると思います。私ども考えは、やはり生活保護基準の引き上げにいたしましても、国民年金の増額にいたしましても、あるいは社会保険の負担軽減にいたしましても、パイが大きければ大きいほどそれが可能である。また、過去においてそういうふうに歩いてきたというふうに考えておりますので、そういう考え方を改めるつもりはございませんので、分配の方法をより適正にしなければならぬとおっしゃる意味でありますならば、それは逐年やはりそういうふうに努力して参ってきたつもりであります。
  27. 北山愛郎

    北山委員 時間が経過しましたから次に、企画庁長官にもう一点。これはこの前にも御質問いたしましたが、国土総合開発法によるいろいろな計画、これの調整問題は一体どういうふうにされるのですか。新産業都市の建設という問題が別に出てきておるし、しかも、地域経済の開発という計画がたくさんあるわけです。ごっちゃにあるわけです。それをどのように整理されるのか。たとえば特定地域の計画とあるいは地方の計画と全国の計画とをどのように調整されるのか、これを簡単にお伺いしたいと思います。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全国総合開発計画が非常に——十年近くもおくれましたために、そういう御質問を受けることは私はごもっともだと思います。今の時点に立って考えます限り、やはり各地方で地方総合開発計画を進めていく。これは、全国総合開発計画の一環として進めていくわけでございますが、それとの見合いにおいて、新産業都市をそのおのおのの地方の開発の拠点にしていくという考え方であります。それから、そうなりますと、過度密集地帯には、再開発の問題がございますし東京、大阪、名古屋等でございます、それからそれを取り巻きますところの整備地域については、整備地域をいかに開発整備していくかという問題がございます。これはいずれも全国総合開発計画という、しかもようやくでき上がりました構想の中でおのおののものを進めていく、こういうふうに御説明するしかないかと思いますが、開発局長からさらに補足をいたさせます。
  29. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいまの問題は、実は全国総合開発計画の前書きのところにも、開発施策の体系化と総合的整備改善をはかるということがうたわれておりまして、ただいま長官から御答弁がありましたように、全国計画ができましたことによりまして、御指摘のようなばらばらな点が少しずつ方向づけ、整理される方向に向いておるように思うのでございます。また、御指摘のように、いろいろと体系化をはかる上で不十分な点があるかと存じます。特定地域の問題にいたしましても、指定を受けて十年を経過したような地域が七、八つございまして、今後この扱いをどうするかということも、現在各地域の実績をいろいろ集めて検討中でございます。できるだけ早い機会に、これらを総合的な立場で体系化をはかるということで参りたいというので、現在いろいろ検討中の段階でございます。
  30. 北山愛郎

    北山委員 これは私から言うまでもなくて、国土総合開発法ができたときから、もう問題が起こっておるわけですよ。全国総合開発計画というのは、あの当時からむしろ一番先につくらなければならぬものとして、それを地方に今度は分けて、そして地域の計画をつくるというような建前でつくられておったのが、逆になってきた。だから政府が全国の開発計画をつくるという以上は、直ちに地域の地方計画なりあるいは特定地域の計画なりと調整しなければならぬ。調整にいっての基本的な考えを持たなければならぬわけですよ。これは開発計画というものが実際に帰納しないといいますか、ただ紙の上のプランというので、一つのめどであるから、計画が三重にも重なってごちゃごちゃしておっても一向差しつかえはない——一向というか、大した支障はないわけです。これがほんとうに実施計画であるならば、すぐに矛盾が起こるわけですよ。計画という以上は、そんな何段階もの計画をばらばらにつくって、そして進めていくというそのものを、そのまま放置しておくというわけにはいかぬと思うのです。逐次手直しというよりか、総合的に一本の統一した考え方によってこれを整理し、調整する段階だと思う。そういう考え方企画庁は持たなければならぬと思う。だんだんに調整するんだというようなことではいかぬと思うのです。そういう考えはないのですか。
  31. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいまの点につきましては、少し説明が足らなかったと思うのですが、全国計画ができました機会に、九州、中国、四国等の地方のブロック別の開発促進計画を新たに作成ないし改正いたしまして、東北についても同様でございますが、そういう作業を現在進めておるわけでございます。実は全国計画に規定されておる計画の中に、府県計画というものがございますが、私ども現在の考えといたしましては、全国計画をブロック計画の段階におろしていく。それから県の計画をブロック計画に上げていく。その両者を広域ブロックの計画の面で結びつけるのが、一番実際的な方向ではないかというふうに存じておるわけでございます。ただ、地方計画につきましては、近畿から東海、関東、この三つの部面については、ただいま首都圏の法律がございますが、近くは近畿圏の問題も取り上げられる。東海がまだこの取り扱いがはっきりいたしておらないという事情がございますが、この点も地方計画というのが、国土総合開発法の規定がございますので、これを援用しながら、全国計画をブロックの計画におろして参る、そういうつもりで作業をやっておりますので、逐次御指摘のような点も整備が進んで参る。もう少し早くやって参らなければならぬのですけれども、非常に具体問題がからみますので、現在作業を推し進めておる段階でございます。
  32. 北山愛郎

    北山委員 今の総合開発計画の問題は、懸案としての非常に大きな問題だと思うのです。府県計画をブロックに上げるというけれども、府県計画はほとんど今はないでしよう。むしろ特定地域の計画の方が大きいわけですよ。今のお話の中には、特定地域のお話はなかったけれども……。だから、個別の地方計画を今の国土総合開発法のいわゆる地方計画にして、そして特定地域はどうするのか、そういう考え方をはっきりしてもらいたいのです。だれから見たって、これは学校の生徒だってすぐわかるはずなんです。こんなごちゃごちゃと計画があって、それをもたもたやっているということは、むしろ実際の成り行きにまかしている。こんなことでは、計画ということにはほど遠いと思うのです。この点はさらに検討を要望します。  今通産大臣は時間が限られておりますので通産大臣に一点だけお伺いします。それは問題になっておりますスーパーマッケットの問題なんです。アメリカの巨大な世界最大といわれるセーフウェイというスーパーマッケットが日本に進出して、国内の商社と協力をして、日本の国内にいろいろなストアをつくろう、こういうことで全国の小売商は非常な脅威を感じている。そうして明日、大会を設けるということになったそうであります。これに対して通産大臣はどういう措置をおとりになり、また、今後どういう措置をおとりになろうとするのか、明らかにしていただきたい。
  33. 福田一

    ○福田国務大臣 お説のように、スケパーマッケットの問題は、小売商に対して非常に大きな問題になり、関心事になっておるわけでございます。特に今御指摘になったことにつきましては日本のある商社と結びついてそういうものをやるというお話がありましたので、その後私としては事情を聴取しておるのでありますが、その商社の意向では、特に日本の小売商に大きな影響を与えるような考え方はしておらないのだというような話をしておるわけでございます。なお、われわれとしましては、今後それがどういうような構想のもとに、どういう措置をとってくるかということは、大分よく調査をいたしまして、そうして場合によっては、御承知のような調整法の規定を適用したい、あるいはまた何らかの行政指導等によって大きな弊害が起きないようにいたしたいと思っております。ただし、スーパーマーケット自体は、もう時代の一つの趨勢でございまして、一画においては小売業者に非常な脅威を与えますが、一画においてはこれが消費者に便益を与えておるという事実も見のがすわけにいかないと思うのであります。何といっても、大量生産の時代に入って参りしたし、それからまた人手不足というような事態がある段階おいては、こういうような仕組みというものが、海外からの進出がないまでも、国内においてもそういう問題を考える行き方が、どうしても流行といいますか、増加する傾向にあります。そこで、通産省としましては、こういうような小売業者がスーパー・マーケット化するといいますか、何らかの共同施設をつくったり、あるいは団地等によってそういうようなことができるように転換をしていくような工夫もしなければならないというので、今年度の予算におきましても、団地化等について実は措置をとっておるというわけでございます。
  34. 北山愛郎

    北山委員 一体スーパーマーケットというのは、どういうふうな基準のものをスーボーマーケットと考えておるのですか。
  35. 福田一

    ○福田国務大臣 定義というものがあるべきかどうかわかりませんが、私の理解しておるところでは、何といいますか、いろいろやり方もあるようであります。一定のあれがなくて移動してやる場合もありますが、大体の概念としては、食料品を中心といたしまして一億円以上の売り上げがあるようなもの、もちろんそれには衣料その他、日本の場合はいろいろございます。食料品もあるが、最近は衣料も相当ふえておるように聞いております。
  36. 北山愛郎

    北山委員 スーパーマーケットがどういうものであるかということは、今お話のように、通産省としてもまだ研究過程じゃないかと思うのです。問題は、当面しておるセーフウェイというような外国の巨大なそういう商業資本が国内に入ってくる、このことをどう思うか。実情を調査しなければというのだが、しかし、私ども考えると、国内には商人がたくさんあって、何も外国の商人まで導入して商売をしてもらわなければならぬほど商人に不足をしていない。しかも、そういう巨大なものが一年に一兆円も売るというような大きな商業資本が入ってくれば、国内のスーパーマーケットですらもいろいろな問題を起こしているのですから、これ以上に国内の商業機構には大きな影響を与えるのですから、これに対しては調査も必要ですけれども基本的にどういう考えを持っているのか。あるいは何によって規制しようとしておるのか。(「外資法」と呼ぶ者あり)今お話の外資法によってやれるのか、これを一つ……。どういう考えを持っておるか。
  37. 福田一

    ○福田国務大臣 お説の件については実は資本提携をする方の会社の方とも連絡をとって、一体どういう考え方でやるのかということを今調べておるのでありまして、その会社の言っておるところでは、ただいまのところ、それほど大規模ないわゆるスパーマーケット化をする意思はないということをわれわれには伝えておるような状況であります。しかし、今お話になったような、そういうスーパーマーケットが国内に進出してきた場合の影響等を考えてみますと、やはり消費者に安いものを与えていくというのも、私は一つ政治の上での大きな命題だと思うのでありまして、同時にまた、そういうものによって非常に影響を受ける小売業者を助けていくといいますか、擁護するといいますか、そういうことも大きな政治の要請だと思うのであります。この二つをどこで調和させるかというところに私は政治があるのだと思うのでありまして、一言に言って、そういうものが入ってくることは絶対の悪だというふうに考えてはいけないのじゃないか。だから、私が申し上げておるように、よく調査をして、あまり大きな影響がないようで、しかもある意味消費者に好影響があるというような場合も、私は考えられないわけじゃないと思います。しかし、消費者にはある程度影響を与えるが、それが小売業者に決定的な悪影響与をえるということでございますれば、これはわれわれとしては何らかの形においてチェックしなければならない、こう思うのでありまして、やはりこれはその場合々々に応じて適切な措置をすると、ここで申し上げておくよりほかに私は道がないのじゃないか、こう考えておるわけでございます。
  38. 北山愛郎

    北山委員 今大臣のおっしゃった二つの要求をどういうふうに調整しようとするのか。ただ問題を提起されただけじゃ困るのです。二つの要求が現実にあるわけですね。今のたくさんの小商売を殺さないで、しかも消費者に対しても利益が受けられるような形、これが政治だ、こう言われたのですが、一体どうすればいいのです。
  39. 福田一

    ○福田国務大臣 私は、その場合にはそのスーパーマーケットがどういう場所で、どういう方法で、どれくらいの資本金でやるか、また、その付近にはそれに関係する小売業者がどれだけおって、またその付近の人口がどれくらいあるか、そのものに対する消費需要がどれくらいあるかというような調査に基づいてきめていくべきではないか。非常に消費要求が多いけれども、そういうようないわゆる販売業が少ないというような場合においては、あるいはそれほど悪影響がなくて済むかもしれません、そこいら辺の——これは中小企業基本法でもだんだん今究明をしていくわけでありますが、大体衣料なら衣料、その衣料のうちでもたとえば洋服なら洋服とか、あるいは生地なら生地というものが、人口が何万なら何万についてはどれくらい必要性があるものか、そういうことに従事しておる小売業者が何人おるかというような基礎的な調査が、実は遺憾ながらほんとうにまだできておらない。これは非常に残念なことでございますが、そういうような数字に基礎を置かないで、ただこれは善悪といいますか、好影響とか悪影響とかいうことを言うておるわけにはいかないと思うのでありまして、これはわれわれとしては今後十分に調査を進めていかなければならないと思っておりますが、私は、セーフウェイというのはどれくらいの構想で出てくるか、まだ具体的にその内容をつまびらかにいたしておりませんが、これは日本で千億円も一年間に売り上げをするのだ、二千億円もやるのだということになったら、相当な影響があるものと見なければいかぬと思うので、そこいら辺は、千億がいいのか、五百億がいいのか。たとえば人口二十万の都市で二十億売るとか三十億売るといったら、非常に影響力が大きい。だから、やはり場所々々に応じたものの考え方をとらざるを得ないと思っておるわけでございます。  なお、基本対策につきましては、御承知のように、産業合理化審議会におきまして流通部会というものがございますが、その流通部会におきまして今いろいろ検討しておるのであります。私は、大体言うと、あまり審議会なんかで検討しておるよりは、そのときそのときできっぱりやっていった方がいいんじゃないかと思っておりますけれども、しかし審議はやってもらっております。もらっておるが、具体的にあなたが言われるようなことが出てくれば、私はその場合に応じて——今のところそれは影が少し映ったというふうに見ておるので、まだ事実がそこに出てきてはいない。今そうい具体的なことがあるかないかは、やはり国内の会社を信用するよりしようがない。その会社が、まだそういうことまでしません。まあまあ大したことはないと言っている以上は、そうあわてないでもいいんじゃないか。しかし、基礎調査はしておく方がいいんじゃないか、そう思いますので、審議会において十分研究していただくということはやっておりますが、いずれにしても、その個々の場合、具体的な場合に応じて適切に処置をいたして参りたい、こう考えておるわけであります。
  40. 北山愛郎

    北山委員 現在のスーパーマーケットの実際に及ぼしている影響というものが現実に現われておるわけですから、問題はどういう影響があるのか。小売商がたくさんあるところにスーパーマーケットが、ほかの資本で——これが外国の資本でなくても、来れば影響があることは事実だと思うのです。またスーパーマーケット同士で競争して、片一方がつぶれるということがあるわけです。そういうことは影響としては考えられるわけなんです。あとは具体的にどれだけの販売が出るのかということは、政府がこれを五百億売れという規制できるか、できないでしょう。できないなら、具体的なケースに従ってと言ったって、規制するめどがないのですから、初めから予想される危険性というようなものは、国内のスーパーマーケットの現状から考えて、いろいろ推定をすれば出てくることじゃないかと思うのです。進出をしてしまえは、商品はどれだけということは政府がこれを規制するわけにいかぬでしょう。それができるという権限を持っているなら、具体的なケース・バイケースで押えればいいと通産大臣が言う通りなんです。しかしそういうふうな規制がほとんど何もない。このごろのように、施策の方があとからついていくというような、先ほどの土地対策みたいなもので、そういうことであれば、あれよあれよといううちに人ってくるんです。それを小売たちが心配しているんだと思うのです。ですから私は、この問題は、さらに国内のスーパーマーケット対策と関連をしてこの委員会でも論議ができると思うのですが、少なくとも私の見解を申し上げるならば、消費者の利益をはかり、かつ小売商の立場も殺さないようにするという一つの形は、その地域における小売商の共同によってマーケットをつくるというような、販売の体系を合理化させる。よそから資本を持ってきて既存の小売商と競争させるんじゃ、小売商を殺してしまいますから、両方の要求を調整するという政治の方式というのは、たとえば、そういうことを考えなければならぬと思うのです。そういうものさしからするならば、アメリカから、よそから巨大な資本を商業機構に持ってくるということが、どういう影響があるのか。大ざっぱに言ったって、大臣、どんなに上手に答弁されても、それは影響することはわかると思うのです。しかも、その販売機構は、国内の生産物じゃなくて、やはりアメリカならアメリカの商品をその機構に乗せて売ってくるでしょう。貿易の自由化とともに、商品が機構に乗って渡ってくるわけなんです。そういう影響を考えたならば、調査してとか、ケース・バイ・ケースとかを言わないでやはりスーパーマーケット対策というものを立てなくちゃならぬのです。会に相談するのも必要ですが、自分自身でも決断を持ってやるという大臣のお考え、私は賛成です。もう事は急なんですから、この国会一つそういう対策を立てるようなお考えはないですかしもうあした小売商は大会をやろうとしておるんですよ。どうですか。
  41. 福田一

    ○福田国務大臣 私がケース・バイ・ケースと申し上げたのは、いわゆる外国系のものが入ってくるような場合のことをさして申し上げたのでありまして、国内の問題として、小売業者をどういうふうにして助けていくかということについては、冒頭にも申し上げました通り、今あなたのおっしゃれたような協業化、あるいは団地化あるいはスーパーマーケット化、小売業自体が集まって、そういうようなことをする、それに対して、こちらは資本金なり、資金の面なり、あるいは場合によっては金融関係等、その他の面で強力に応援してやる、こういう形で、小売業自体がスーパーマーケット化していくという方向に、お説の通り進めていくべきである、従って、その点に対しましては、十分われわれとしても対策を立てなければいけません。場合によっては法律提案の必要が起きるかもしれませんが、その点は今後も一つ十分に調査をいたして参りたいと思っております。
  42. 北山愛郎

    北山委員 今申し上げたように、問題はどんどん進行して、国内のスーパーマーケット問題も各地で起こっておるわけでありますから、そのスーパーマーケットを、今申し上げたようないろいろな基準で小売商を殺さずに、しかも配給機構を合理化していくという方法でいくならば、売上金がどのくらいで、面積がどのくらいでとかというような基準を設けて、百貨店法と同じようにスーパーマーケットを対象とする立法化というのは、これは急がなければならぬと思うのです。ぜひともこの国会で、政府がやらなければ、一つこの委員会ででもそういうことを検討していただきたい。どうですか、この国会は間に合いませんか。
  43. 福田一

    ○福田国務大臣 いや、何も間に合わないというわけではないし、これは非常に中小企業としては大きな問題ですから、十分調査いたしまして、それで必要だということであれば、与野党の皆さんもすぐに賛成をしてもらえると思うのでありますから、何もそう悲観する必要もないと思います。一つ調査をさせることにいたします。
  44. 北山愛郎

    北山委員 時間も経過しておりますので、まだ問題がありますけれども、今日はこれでやめたいと思います。
  45. 逢澤寛

    逢澤委員長 次回は明日の午前十時より開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会